説明

浮遊型浄水機

【課題】浮き構造の羽根板によって羽根アームを水面から離間させた水没状態で浮上支持し、各羽根板を回転体側を支点に波に追随し単独的に上下作動させることを可能とし、各羽根板を適正な掻き回し姿勢に維持して効率のよい掻き回し作業を行うことができる浮遊型浄水機を提供する。
【解決手段】複数の羽根板3を回転駆動部2の回転体10に放射方向に設けて浮遊状態で支持し、羽根板3を回転駆動部2を中心に回転させて水の循環流を生じさせ水中の浄化を行うものにおいて、前記羽根板3を回転体10に対し上下動可能に支持すると共に、羽根板3を水面に水没した掻き回し姿勢で浮かばせる浮き構造にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湖沼等に浮遊状態で係留し羽根板によって水面を掻き回すことにより、水底から水面に流れる循環流を起こして浄水をする浮遊型浄水機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、池やダム,湖沼,入り海等に浮遊状態で設置される浮遊型浄水機は特許文献1に示されるように既に公知である。この浄水機は回転駆動部から放射方向に延設される複数の羽根板を回転させ水面を掻き回すことにより、水面に広がる水流を起こして多量の水を水底から水面に導き、水底を這うように流れる循環流を起こして浄水を行うものである。
【0003】
上記浮遊型浄水機は、羽根板を回転駆動する回転駆動部をフロート台の浮き構造によって水面に浮遊状態で支持し、回転駆動部の駆動軸に取付固定される羽根アームに羽根板を一体的に設けた構成になっている。また回転駆動部はフロート台を介し水底の地盤に設置される複数のアンカーと、ワイヤーロープ又は鎖等の可撓性を有する係留部材で連結され係留状態で支持される。これにより回転駆動部は羽根板が水面を掻き回す反力に抗して回転不能に支持されると共に、水位の変化や波の動きに応じて上下動や揺動等の追随作動を行うことを可能にしている。
【特許文献1】特許第3360075号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1で示される浮遊型浄水機は、フロート台の浮き構造によって羽根板を回転駆動する回転駆動部を水面に浮遊支持すると共に、可撓性を有する複数の係留部材によって水位や波に追随して作動できるように支持されるので、羽根板を水面に水没させた所定の掻き回し姿勢に維持した状態で回転することができる利点がある。然し、複数の羽根板のなかで特定の羽根板が波によって局部的に大きく浮き上げられるとき、駆動軸に固定状態で支持される羽根アームの他方に位置する羽根板が水中に深く没入した沈没姿勢にされる。
【0005】
従って、上記沈没姿勢で回転される羽根板は、水中で大きな掻き回し抵抗を受けることになり、掻き回し回転を不調にし循環流の形成に乱れを生じ易くする。また前記対向する羽根板や羽根アームは駆動軸を支点とし上下方向に大きな曲モーメントを受けるので、羽根アームの補強構造を必要とし装置重量が大きくなる等の欠点がある。
【0006】
さらに、強風や高波等によって大きな水位の変化を急激に受けたとき、係留部材は浮遊型浄水機の大きな下方移動に伴い弛みが増大し係留作用を失って前記掻き回し抵抗を規制支持しなくなる。これにより複数の係留部材は回転駆動部の下方で縒れて交差状に絡み合う事態を発生し、浮遊型浄水機を適正位置に係留することを不能にすると共に、絡み合った係留部材との接触により羽根板や回転駆動部を破損する等の問題がある。
【0007】
そこで、特許文献1の図3で示されるような羽根板の回転駆動部を浮上支持する支点部を、アンカーから可撓性を有する1本の係留部材によって連結しようとすると、当該係留部材は回転駆動部の回転反力によって捩じられ、係留長さが短くなって羽根アーム及び回転駆動部を水中に順次沈没させてしまう欠点を伴う。
【0008】
このため浮遊型浄水機は異方向に配置された可撓性を有する複数の係留部材によってアンカー支持されるから、煩雑な浮遊設置工事を要すると共に、係留部材及び係留工事がコスト高になる等の問題もある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための浮遊型浄水機は、第1に、複数の羽根板3を回転駆動部2の回転体10に放射方向に設けて浮遊状態で支持し、羽根板3を回転駆動部2を中心に回転させて水の循環流を生じさせ水中の浄化を行うものにおいて、前記羽根板3を回転体10に対し上下動可能に支持すると共に、羽根板3を水面に水没した掻き回し姿勢で浮かばせる浮き構造にしたことを特徴としている。
【0010】
第2に、回転体10に揺動回動可能に支持される羽根アーム22の先端部に、ボルト等の取付具23によって取付けられる羽根壁板25,25と、該羽根壁板25,25の間で支持される板状のフロート部材26によって浮き構造の羽根板3を構成することを特徴としている。
【0011】
第3に、回転体10の回転駆動部2を収容支持する固定ケース15と、水底の地盤に固定されるアンカー20とを、上下端に係合部17を有する棒状の連結杆19によって連結することを特徴としている。
【0012】
第4に、浄水機1に藻類又は餌又はミネラル等の資材を水中に供給する資材供給部7を設け、該資材供給部7から資材を水中に供給し循環流に乗せて拡散させる構成としたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
上記のように構成される本発明の浮遊型浄水機は、水面に掻き回し姿勢で浮かぶ浮き構造の羽根板を回転体側を支点に波に追随し単独的に上下作動させるので、他方の羽根板を水面から深く沈没させることを防止することができる。また各羽根板は適正な掻き回し姿勢を維持し効率のよい掻き回し作業を行うことができる。
【0014】
板状のフロート部材を羽根壁板と羽根壁板の間に支持することにより、羽根アームの先端部に強度を有する浮き構造の羽根板を簡潔な構成によって製作することができる。また板部材で形成される羽根板は、羽根長さ方向の延長や切断が容易で浮力調節を簡単に行うことができる。
【0015】
回転駆動部の固定ケースと水底の地盤に固定されるアンカーを、棒状の連結杆の上下端に継ぎ手部になる係合部によって連結することにより、羽根板の回転反力に抗し固定ケースを回転不能に支持することができる。また浄水機は1本の連結杆による係留が可能になるので、浮遊設置工事等を簡単且つ廉価に行うことができる。
【0016】
また浄水機に藻類又は餌又はミネラル等の資材を水中に供給可能とする資材供給部を設けることにより、資材供給部から資材を水中に供給し循環流に乗せて広く拡散させることができ、資材が有する機能を簡単に促進することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図面において符号1は本発明に係わる浮遊型浄水機( 以下単に浄水機と言う) である。この浄水機1は従来のものと同様に広い池やダム,湖沼,入り海等に浮遊状態で設置され、回転駆動部2から放射方向に延設される複数の羽根板3によって水面を掻き回すことができる。この浄水機1は僅かなエネルギーで水面に広がる水流を起こし多量の水を水底から水面に導き、水底を這うように流れる循環流を発生させることにより水中環境を改善し浄水を行うことができる。
【0018】
図1で示される本発明の第1実施形態に係わる浄水機1は、浮き構造からなる回転駆動部2の底側中心部を、水底の地盤から後述するアンカー構造4によって係留支持し、浮き構造の羽根板3を回転させることにより、係留部位を略中心とした循環流を起こすことができる。
【0019】
そして図示例の浄水機1は、藻類を育成して供給する育成装置5及びミネラルを収容し供給する資材供給装置6等からなる資材供給部7を陸上に備え、該資材供給部7に対し水底を這うように敷設される導管8によって接続し、資材供給部7の供給制御動作によって搬送される藻類及び餌やミネラル類等を循環流中に供給することができる。
【0020】
浄水機1の各部の構成について説明する。浄水機1の回転駆動部2は、複数の羽根板3を揺動支持構造9によって放射方向に延長して設けるドラム状の回転体10と、該回転体10の中心部を駆動軸11に着脱可能に取付支持して回転される駆動モータ12と、該駆動モータ12を中心部に収容固定し、且つ発泡プラスチック材からなるフロート部材13を内周に沿って充填収容する固定ケース15等から構成される。
【0021】
これにより固定ケース15は、フロート部材26の上方を回転体10によって覆ったフロート構造の浮き子を構成し、底面の中心部に突設される係留環16にアンカー構造4の係合部17を融通作動可能に連結し、水面に浮上状態で係留される。
アンカー構造4は、棒状の連結杆19の上下端に反円弧状の係合部17,17を設け、下部の係合部17は水底の地盤に固定されるアンカー20から突設した反円弧状の係留環21に、融通作動可能に連結することができる。
【0022】
この構成により固定ケース15とアンカー20は、棒状の連結杆19の上下端で自在継ぎ手を構成する係合部17と係留環16によって連結されるので、通常水位の水面を基準に浄水機1を浮遊させるに当たり、連結杆19を予め傾斜する姿勢となす長さとなして連結する。これにより各羽根板3は水面に各羽根アーム22を水面から離間して水没する状態の掻き回し姿勢を維持し駆動モータ12によって回転される。
【0023】
羽根板3が回転すると固定ケース15は、羽根板3の回転反力によって連結杆19に捩じり負荷を掛けるが、この負荷に対し連結杆19は、浄水機1を自在継ぎ手部を介し傾き等の姿勢を変更可能に融通支持し且つ捩じり回転不能に支持する。従って、連結杆19は回転負荷によって連結距離を短くしないので、1本の係留部材による係留を可能にする。
【0024】
また水位の変化や波,うねりによって浄水機1が大きく浮遊昇降するとき、連結杆19は起立及び傾倒方向に揺動し追随するので、浄水機1は上昇及び下降を妨げられることなくスムーズな掻き回し姿勢を維持して水面に浮遊追随し、循環流の形成をスムーズに継続することができる。
【0025】
さらに浄水機1は1本の連結杆19による係留を可能にすることができるので、従来のもののように可撓性を有する複数の係留部材によって異方向からアンカー支持する必要がなく、浄水機1の浮遊設置工事等を簡単且つ廉価に行うことができる。尚、連結杆19はスライド継ぎ手構造にすることができ、この場合には支持長さを自在に変更可能にすることができる。
【0026】
次に回転体5に設置される羽根構造について説明する。図2〜図4に示されるように羽根板3は、角パイプ等の中空部材からなる羽根アーム22の先端部にボルト等の取付具23によって取着される羽根壁板25,25と、該羽根壁板25,25の間で支持される板状のフロート部材26等から構成される。
【0027】
上記羽根壁板25,25は、左右対称で断面視コ状の鉄板又はプラスチック板を突き合わせ、内部にフロート部材26を挟持した状態で、取付具23の固定具によって羽根アーム22に取付固定される。このとき羽根壁板25,25の前後に形成される開口端は蓋板25aによって塞ぎ、羽根板3を密閉し内部のフロート部材26を保護する。
【0028】
以上のように構成される羽根構造は、羽根アーム22の先端部に設置される羽根板3がフロート部材26を内包し浮力を有するので、回転駆動部2側に設置するフロート部材13の嵩張りを抑制し装置の小型化を図ることができる。
また板状に形成されるフロート部材26と羽根壁板25,25は、羽根長さ方向に延長したり切断することが容易であり、羽根板3の長さを簡単に変更して製作することができる。
【0029】
従って、羽根板3の掻き回し直径を異にした各種の浄水機1を製作するとき、羽根板3の長さ調節及び浮力調節も簡単に行うことができ、設置現場での組み立て作業も容易に行うことができる。
尚、羽根板3は羽根壁板25を中空状の袋構造にしたものの中に、発泡プラスチック材を充填したり、発泡プラスチック材からなる板の表面に耐候性を有する硬質壁部材を貼着又はコーテングした羽根構造にすることもできる。
【0030】
また図3で示すように羽根構造は、回転体5の上面に下向きコ字状に形成された取付ブラケット27を設け、該取付ブラケット27内に羽根アーム22の基部を挿入した状態で、両者を横軸の支持ピン29で連結する構成としている。このとき羽根アーム22は、取付ブラケット27によって左右方向のガタを規制し、支持ピン29を支点に上下方向の揺動回動を自由にする。羽根アーム22の揺動回動とその回動規制は、取付ブラケット27の開口上端と回転体10の隙間によって行われる。
【0031】
以上のように構成される羽根板3は前記浮き構造によって、羽根アーム22を水面から離間させる位置まで水没した状態で浮上させることができ、波の上下動に追随し支持ピン29を支点に単独的に上下作動をすることができる。即ち、波によって任意の羽根板3が上動したとき、他方に位置する羽根板3を従来のもののように回転駆動部2側を支点に下方に連れ作動(シーソー動作)し、水中に完全に水没(沈没)させることを抑制することができる。
【0032】
従って、羽根板3及び羽根アーム22を水面から深く沈没させた状態での回転を防止し、浄水機1の省エネ運転を促進することができる。また浄水機1は回転駆動部2側の揺れを僅少にしながら、各羽根板3を適正に水没させた掻き回し姿勢(水没姿勢)に維持し、効率のよい掻き回し作業をスムーズに行う。
【0033】
また浄水機1を設置現場の水中に設置する際に、回転駆動部2は各羽根板3を外した状態で連結杆19によって係留支持することができ、また羽根板3は自身の浮力によって水面に浮ぶので、羽根アーム22を位置決めし取付ブラケット27内に挿入し易くすることができ、支持ピン29を挿入し両者を連結することができる。従って、陸上で組み立てられた大型の浄水機1を水中に運搬設置するための大きな労力を要することなく、水中での組み立て及び分解作業を簡単且つ省力的に行うことができる。
【0034】
次に前記資材供給部7について説明する。この浄水機1は図1で示すように、資材供給部7を最寄りの陸上に建築される建物30内に設置している。この資材供給部7は前記藻類の育成装置5と、餌又はミネラル等の水中供給資材を収容する資材供給装置6と、藻類及び餌,ミネラル等を送り出すポンプ部31と、これらを運転制御するコントロール部32及び電源としてのバッテリー33等から構成される。
【0035】
同図の浄水機1はコントロール部32によって、バッテリー33の電力を前記導管8を介して回転駆動部2に供給し、駆動モータ12を回転駆動し運転制御される。また建物30の屋根に設置されるソーラーパネル型の太陽発電装置35は発電した電力をバッテリー33に充電する。尚、駆動モータ12を駆動する電源は一般的な電力によっても駆動することができる。
【0036】
育成装置5は屋根側に設置されるを集光装置36を備え、タンク内に収容される藻類を太陽光によって光合成栽培する。この育成装置5は集光装置36によって得た太陽光を間歇照射等の光量調節手段を備え、光量を変化させてタンク内に供給することにより藻類の成長を促すようにしている。
【0037】
そして育成装置5は、ポンプ部31によって水と共に藻類を送り出し、導管8を介し浄水機1に供給して水中に放出する。この藻類の放出手段は図3,図4に示すように、導管8に通じ回転体5の中心部から延設される放出管37を、取付ブラケット27及び羽根アーム22内を通し、その放出端を羽根アーム22の中途部又は羽根板3に設けている。
【0038】
この構成により放出管37の露出を抑制し、水面に浮遊する藻類やゴミ等の浮遊物との接触を防止し保護することができる。
また羽根アーム22内を通した放出管37は羽根板3の回転方向の裏側で水中に放出端を臨ませると、水流による負圧により藻類及び各資材を吸い出すようにして放出することができる。尚、各資材は上記水中供給手段の他に、連結杆19に沿わせた導管8の中途部、或いは回転駆動部2側の適所から藻類を放出することもできる。
【0039】
上記構成により羽根アーム22の延長部から羽根板3の近傍の水中に放出される藻類は、羽根板3の回転によって形成される循環流に速やかに乗り、水中及び水底に広く拡散することができる。これにより藻類は水中での繁殖が促進され、これを餌としたり住処とする微生物や魚貝等の水中生物の成長を促すことができる。
【0040】
育成装置5に用いられる藻類を水中に供給する供給態様は、タンク内で培養した微細な藻類をそのまま供給するか、該藻類を液体に混合させた状態で供給したり、或いは藻類をセラミック等の担体に担持させて供給することができる。
【0041】
この浄水機1で採用される藻類は、赤潮や水の華の原因になるアオコ等を避け、自然環境の恒常性に寄与したり水中生物の体内に入って有効に作用する微細藻類として、例えば植物プランクトンの優占種である珪藻等の有用藻類を、培養しながら水中に適量づつ供給する。この珪藻は水中において食物連鎖を促し魚貝類の活性化や水の浄化作用を行うことが期待される。
【0042】
次に資材供給装置6について説明する。この資材供給装置6は、タンク内に収容される餌又はミネラル等の資材を水と共にポンプ部31によって送り出し、導管8を介し浄水機1に搬送し、前記藻類と同様な放出手段によって放出管37から水中に放出する。
上記資材の水中供給手段は、藻類を供給するポンプ部31と導管8を利用し、藻類と同時に供給したり単独的に供給することができる。これにより各資材は前記藻類と同様に循環流に乗って広く分散するように水中に供給される。
【0043】
尚、餌は一般的な給餌繰り出し手段によって適時適量に水中に供給され、魚貝類の餌となり成長を促進する。また資材供給装置6に用いられるミネラルは、水中生物の体内に入って有効に作用するもの、及び水中において触媒となり水浄化作用を行うミネラル分が選択される。そして、ミネラルを水中に供給する供給態様は、粉体状のミネラルをそのまま供給するか、該ミネラルを液体に混合させたり、或いはミネラルをセラミック等の担体に担持させて供給することができる。
【0044】
次に図5,図6を参照し、資材供給部7を本体側に設けた別実施形態に係わる浄水機1について説明する。尚、上記実施形態のものと同様な構成については説明を省略する。先ず図5で示す浄水機1は、駆動モータ12の駆動軸11に支持した回転体10側に、育成装置5と資材供給装置6等からなる資材供給部7を設け、該資材供給部7の制御動作によって藻類と資材を、前記循環流中に適時適量に供給することができる。
【0045】
即ち、この浄水機1は羽根アーム基部の上方に位置し駆動軸11に支持される上部回転体10aに、太陽発電装置35を屋根構造を以て設置し、両者によって形成される空間部内で中心部に資材供給装置6を設けている。また資材供給装置6の周囲に藻類及びミネラルを送り出すポンプ部31と、これらのコントロール部32とバッテリー33を配置している。34はコントロール部32が備えるアンテナであり、例えば陸上から携帯電話等で発信される制御信号を受けることができ、また必要により浄水機1の状況等も発信することができる。
【0046】
また羽根板3を揺動支持構造9を介して支持する下部の回転体10は、内部に育成装置5のタンクを収容し、該タンク内に太陽発電装置35の上部に設置される集光装置36によって得た太陽光を供給し、藻類を育成する構成となっている。
以上のように構成される浄水機1は、コントロール部32の指令によってポンプ部31を作動し、前記実施形態のものと同様に藻類並びにミネラルを水中に放出し循環流に乗せることができる。
【0047】
次に図6で示す浄水機1について説明する。この浄水機1は前記特許文献1の第2図で示されるものと同様に、羽根板3を回転駆動する駆動モータ12を、フロート50を支脚51に備えたフロート台52の中心部に設けた方式にしている。また駆動モータ12から下向きに突出される駆動軸11に円盤状の回転体10を取付固定し、該回転体10に前記揺動支持構造9を設け羽根板3を有する各羽根アーム22を揺動回動可能に取付支持している。
【0048】
そして、回転駆動部2の近傍に前記実施形態のものと同様の資材供給部7をコンパクトに纏めて設置し、ドーム状の屋根形状で形成される太陽発電装置35によって、資材供給部7及び回転駆動部2を覆った構成としている。尚、資材供給装置6は餌を供給するものとミネラルを供給するものとを、それぞれ個別に設けることもできる。
【0049】
図示例の浄水機1は、複数の支脚51を立設するリング状のプレートからなる連結枠51aに、発泡プラスチック材等のブロック体で形成される複数のフロート50を略等間隔に設け水面に浮遊支持される。
【0050】
そして、連結枠51aの直径を13メートル程度にする場合に、羽根板3による回転軌跡の外側直径は10メートル程度に設定されることが望ましい。また浄水機1はフロート台52を、ワイヤーロープ又は鎖等の可撓性を有する係留部材によって水底の地盤に設置される複数のアンカーに連結することにより、羽根板3が水面を掻き回す反力に抗して回転不能に係留支持され、且つ水位の変化や波に対し上下動や揺動等の追随作動を行うことができる。
【0051】
フロート台52の太陽発電装置35の基部外周には、手摺りを兼ねるガード53を備えた通路55が形成されると共に、連結枠51aの上面も通路として構成される。この通路55等は資材供給部7及び回転駆動部2並びに羽根板3等のメンテナンス作業を行う際に利用できる他、浄水機1を利用した釣り場を提供することができる。
【0052】
以上のように複数のフロート50によって浮上支持されるフロート台52に設置される資材供給部7は、図示しない放出管37を羽根板3の掻き回し軌跡の任意位置において上方に臨ませて設けることができ、放出した藻類並びに餌,ミネラルを循環流に確実に乗せることができる。また上記放出管37はフロート台52側に簡単に取付支持することができる等の利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明に係わる浄水機の全体構成と使用状態を示す側面図である。
【図2】図1の浄水機の要部の構成を一部分解して示す斜視図である。
【図3】図2の揺動支持機構の構造を示す側断面図である。
【図4】羽根板及び揺動支持機構の構造を示す分解斜視図である。
【図5】本発明の別実施形態に係わる浄水機の全体構成と使用状態を示す側面図である。
【図6】本発明のさらに別実施形態に係わる浄水機の全体構成と使用状態を示す側面図である。
【符号の説明】
【0054】
1 浮遊型浄水機(浄水機)
2 回転駆動部
3 羽根板
4 アンカー構造
5 育成装置
6 資材供給装置
7 資材供給部
8 導管
9 揺動支持構造
10 回転体
11 駆動軸
12 駆動モータ
15 固定ケース
16 係留環
17 係合部
20 アンカー
22 羽根アーム
23 取付具
25 羽根壁板
26 フロート部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の羽根板(3)を回転駆動部(2)の回転体(10)に放射方向に設けて浮遊状態で支持し、羽根板(3)を回転駆動部(2)を中心に回転させて水の循環流を生じさせ水中の浄化を行うものにおいて、前記羽根板(3)を回転体(10)に対し上下動可能に支持すると共に、羽根板(3)を水面に水没した掻き回し姿勢で浮かばせる浮き構造にしたことを特徴とする浮遊型浄水機。
【請求項2】
回転体(10)に揺動回動可能に支持される羽根アーム(22)の先端部に、ボルト等の取付具(23)によって取付けられる羽根壁板(25),(25)と、該羽根壁板(25),(25)の間で支持される板状のフロート部材(26)によって浮き構造の羽根板(3)を構成する請求項1の浮遊型浄水機。
【請求項3】
回転体(10)の回転駆動部(2)を収容支持する固定ケース(15)と、水底の地盤に固定されるアンカー(20)とを、上下端に係合部(17)を有する棒状の連結杆(19)によって連結する請求項1又は2の浮遊型浄水機。
【請求項4】
浄水機(1)に藻類又は餌又はミネラル等の資材を水中に供給する資材供給部(7)を設け、該資材供給部(7)から資材を水中に供給し循環流に乗せて拡散させる構成とした請求項1又は2又は3の浮遊型浄水機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−35021(P2006−35021A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−215175(P2004−215175)
【出願日】平成16年7月23日(2004.7.23)
【出願人】(391020056)小松電機産業株式会社 (15)
【Fターム(参考)】