説明

浴室の洗い場面構造

【課題】排水性能が向上して乾燥時間を短縮することができ、スポンジ等で簡単に掃除できて清掃性が向上する浴室の洗い場面構造を提供する。
【解決手段】凸部2と谷部3が交互に連続した形状に形成された浴室の洗い場面1aにおいて、凸部2は平面視多角形であって、該多角形の中心と該多角形の辺の中心とを通る断面において、凸部2は谷部3から傾斜角度aが8〜20°で上方へ膨出しているとともに、凸部2の頂点と谷部3の底の高低差tが0.5〜2mmに設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室の洗い場面の構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示されているように、浴室の洗い場面を、上方に膨出した凸状の形状面と、凹状の目地で形成し、形状面と目地を曲面で繋げた構成のものがある。
【特許文献1】特開2003−176558号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1に開示されている構造では、浴室の洗い場面を早く乾燥させることができるが、繋ぎ曲面の傾斜角度が大きいため、上方から垂直にスポンジ等の掃除道具をあてても繋ぎ曲面には力が入らず、凹状の目地に付着した汚れが掃除し難いという新たな問題が生じていた。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は上記従来の問題点に鑑み案出したものであって、乾燥性能が向上するとともに、汚れを掃除し易い浴室の洗い場面構造を提供することを目的とし、その請求項1は、凸部と谷部が交互に連続した形状に形成された浴室の洗い場面において、前記凸部は平面視多角形であって、該多角形の中心と該多角形の辺の中心とを通る断面において前記凸部は前記谷部から傾斜角度が8〜20°で上方へ膨出しているとともに、前記凸部の頂点と前記谷部の底の高低差が0.5〜2mmに設定されていることである。
【0005】
また、請求項2は、前記凸部は、断面視が一定の曲率を有する円弧形状で上方へ膨出されていることである。
【0006】
また、請求項3は、前記谷部は、断面視が一定の曲率を有する円弧で凹状に形成され、前記凸部と外接する円弧で繋がれていることである。
【0007】
また、請求項4は、前記凸部は、前記断面において前記谷部から8〜20°の角度で傾斜し水平方向に1〜10mm延びる直線状の傾斜面と、該傾斜面の上の傾斜角度が10°以下の膨出部または平坦部で構成され、前記傾斜面の角度は前記膨出部の角度よりも大きく設定されていることである。
【0008】
また、請求項5は、前記膨出部は、断面視が一定の曲率を有する円弧であることである。
【0009】
また、請求項6は、前記傾斜面と前記膨出部は、それぞれ内接する円弧で繋がれていることである。
【0010】
また、請求項7は、前記谷部は、断面視において、幅が1〜2mmの平面状に形成され、前記傾斜面と外接する円弧で繋がれていることである。
【0011】
また、請求項8は、前記凸部および谷部の表面は、微細な凹凸加工もしくは親水性塗料の塗布による親水性処理が施されていることである。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、凸部と谷部が交互に連続した形状に形成された浴室の洗い場面において、前記凸部は平面視多角形であって、該多角形の中心と該多角形の辺の中心とを通る断面において前記凸部は前記谷部から傾斜角度が8〜20°で上方へ膨出しているとともに、前記凸部の頂点と前記谷部の底の高低差が0.5〜2mmに設定されていることにより、汚れを落とし難かった谷部の底まで清掃道具が届き易くなり、スポンジ等の清掃用具で簡単に谷部の底側まで掃除できるものとなり、清掃性が向上したものとなる。
【0013】
また、前記凸部は、断面視が一定の曲率を有する円弧形状で上方へ膨出されていることにより、凸部と谷部を繋ぐ屈曲面が無くなるため、清掃道具が谷部の底まで届き易くなり、全体を満遍なく掃除することができるものとなる。
【0014】
また、前記谷部は、断面視が一定の曲率を有する円弧で凹状に形成され、前記凸部と外接する円弧で繋がれていることにより、凸部の頂点から谷部の底まで急に角度が変わることがないため、段差を有さない曲面が連続した形状となり、谷部の底まで良好に清掃することができるものとなる。
また、排水は谷部を広がりながら流れるようになり、広がって流れる水は、ゆっくりと排水されるため、洗い場面全域の排水が繋がったまま排水口へ流され、水切れ性能が向上し、洗い場面の乾燥時間を短縮させることができるものとなる。
【0015】
また、前記凸部は、前記断面において前記谷部から8〜20°の角度で傾斜し水平方向に1〜10mm延びる直線状の傾斜面と、該傾斜面の上の傾斜角度が10°以下の膨出部または平坦部で構成され、前記傾斜面の角度は前記膨出部の角度よりも大きく設定されていることにより、直線状の傾斜面が設けられているため、1つの凸部の幅寸法が大きくなり、洗い場面全体の谷部の本数を減少させることができ、しかも、谷部に付着した汚れはスポンジ等で簡単に清掃することができるものとなる。
【0016】
また、前記膨出部は、断面視が一定の曲率を有する円弧であることにより、膨出部を球面で形成することにより、凸部の頂上に水滴が残ることが良好に防がれ、水切れが良くなり、排水性能が向上するものとなる。
【0017】
また、前記傾斜面と前記膨出部は、それぞれ内接する円弧で繋がれていることにより、傾斜面と膨出部が円弧で繋がれて凸部の頂上に水滴が残ることが良好に防がれ、また、谷部の汚れを掻き出しやすくなり、清掃性が向上し、洗い場面の速乾性を確保できるものとなる。
【0018】
また、前記谷部は、断面視において、幅が1〜2mmの平面状に形成され、前記傾斜面と外接する円弧で繋がれていることにより、谷部の底面が幅を有するため、谷部の汚れをしっかりと掻き出すことができ、汚れが落としやすくなり、谷部に汚れが蓄積されにくいものとなる。
【0019】
また、前記凸部および谷部の表面は、微細な凹凸加工もしくは親水性塗料の塗布による親水性処理が施されていることにより、洗い場面の排水が玉状になることがなく、排水は薄く膜状に広がって排水口まで流れてゆくため、水が繋がったまま良好に排水口に流れ、水切れ性能が向上して洗い場面の乾燥時間を短縮することができるものとなる。
【実施例】
【0020】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は、浴室の防水パン1の洗い場面1aの平面構成図であり、図2は、図1の要部拡大平面構成図である。
防水パン1上の洗い場面1aの表面は、平面視菱形の凸部2と、谷部3が、交互に連続したモザイクパターンに形成されている。なお、洗い場面1aには浴槽側に排水口4が形成されており、この排水口4に向かって水勾配が形成されたものとなっている。
【0021】
図3には、菱形の中心と菱形の辺の中心とを通る図2のA−A線断面における、洗い場面の凸部2と谷部3の断面形状を示し、また図4には、図3の要部を拡大した断面構成図を示す。
凸部2は、谷部3の底側から最大傾斜角aが8〜20°で、曲率半径Rが15〜120mmの円弧形状に上方へ膨出されて形成されている。また、谷部3は、曲率半径rが2〜4mmの円弧状をなす凹状に形成されており、この谷部3は凸部2と共通する接線で繋がれて段差状の傾斜面が無いものとなっている。なお、前記傾斜角aは、隣り合う凸部2と凸部2の円弧の仮想交点Pを通る接線と水平線との角度である。
なお、凸部2の頂点と谷部3の底部間の高低差tは、1〜2mmに設定されている。
【0022】
なお、傾斜角aが8°より小さい場合や高低差tが1mmより小さい場合には、水切れ効果が悪くなることが確認されており、逆に、傾斜角aが20°を超えたり、高低差tが2mmを越えると、凹凸が大きくなるため、足の踏み心地が悪くなり、洗い場面1aに椅子等を置くとガタツキが生じるものとなる。
なお、谷部3の曲率半径rが2mmより小さくなると、鋭角になり、谷部3に汚れが残り易くなることが確認されている。また、谷部の曲率半径rが4mmより大きくなると、水切れが悪くなることが確認されている。
【0023】
なお、例えば、傾斜角aを20°に設定して、凸部2の曲率半径Rを20mmに設定した場合、谷部3と谷部3間の水平距離は15mmとなる。また、傾斜角aを8°に設定して、凸部2の曲率半径Rを113mmに設定した場合には、谷部3と谷部3間の水平距離は30mmとなる。なお、傾斜角aは好ましくは10〜12°が最適であり、また、高低差tは1.2〜1.4mmが最適である。
また、凸部2の曲率半径Rは、好ましくは20〜80mmが最適である。
【0024】
上記したような傾斜角aおよび高低差tに設定することで、スポンジ等の清掃具が谷部3の底まで入り易くなり、従来、細いブラシ等で擦らないと落ちなかった谷部3の汚れをスポンジ等の清掃具で簡単に清掃できるものとなる。
【0025】
また、凸部2の頂点から谷部3の底部まで急に角度が変わることなく段差を有さない曲面で繋がれるため、谷部3を流れる排水は横に広がって流れ、抵抗が発生するため、ゆっくりとした流れで排水口4に向かうこととなり、これにより洗い場面1a全体の水滴が繋がったまま良好に排水口4に排水され、洗い場面1a全体の水切れ性能が向上して、洗い場面1aの乾燥時間を短縮することができるものとなる。
【0026】
なお、更に洗い場面1aの凸部2および谷部3全域の表面に、微細な凹凸加工いわゆるシボ加工を施して、洗い場面1aの表面全体を親水性にしておいたり、または、洗い場面1aの表面全体に親水性塗料、例えばアクリルウレタンに親水化剤としてシラノール基が入っている塗料を塗布して、表面全体の親水性を向上させるように処理しておけば、洗い場面1aの表面に排水が玉状になって残ることがなく、排水は薄く膜状に広がって排水口4まで流れてゆき、排水が繋がったまま途切れることがなく良好に排水されて、洗い場面1aの乾燥期間を短縮することができるものとなる。
【0027】
上記防水パンにおいて、表面の親水性は、「水との接触角」で50°以下が好ましく、より好ましくは30°以下であり、この「水との接触角」は小さいほど親水性が高く好ましい。また、防水パンの基体表面には、親水性膜が密着して形成されており、水との接触角は親水性膜の無い樹脂表面に比べて小さく、親水性が高い。親水性が高いと、防水パン上に残った水は広がりやすく、小区画上の水は谷部3へ流れ込みやすく、谷部3の水は繋がって排水口4へ導かれやすい。従って、蒸発,乾燥時間を短くすることができる。
【0028】
なお、図5は、洗い場面のモザイクパターンを変更させた全体平面構成図であり、図6は、図5の要部拡大平面構成図である。
この図5および図6に示すようなモザイクパターンにおいても、凸部2は谷部3から傾斜角度8〜20°で上方へ膨出した円弧形状に形成され、凸部2と谷部3の高低差は1〜2mmに設定することで、良好な排水性能と清掃性が確保されるものとなる。
【0029】
さらに、図7および図8には、モザイクパターンの異なる洗い場面の平面構成図を示す。
この図7および図8の洗い場面1aでは、平面視三角形状の凸部2,2,2が谷部3,3,3と交互に形成されたものであり、各凸部2は、傾斜面21と、膨出部22で構成されている。
即ち、図7における要部拡大図を図9に示し、図10では、更に図9の要部を拡大して示す。
【0030】
各凸部2は平面視して、その中央部の略三角形状の膨出部22の外周3辺に、それぞれ傾斜面21,21,21が形成されており、それぞれの傾斜面21が外周側の谷部3にそれぞれ連続し、3辺の谷部3,3,3に囲まれて、傾斜面21と膨出部22からなる凸部2が連続して形成されている。
【0031】
図10に示すように、傾斜面21と膨出部22の繋がる稜線23の曲率半径Rは、例えば45mmに設定されている。また、図10における傾斜面21と傾斜面21の繋がるeで示す寸法は、例えば15mmに設定されている。
さらに、この傾斜面21と膨出部22からなる凸部2を詳細に説明するために、図10におけるB−B線断面拡大図を図11に示し、また、図12では、図10におけるB−C線断面拡大図を示す。
B−C線断面は、膨出部22の中心22aと膨出部22の辺の中心とを通る断面であり、このB−C線断面である図12で示すように、谷部3から傾斜角aで傾斜面21が上向きに直線状に形成されており、この傾斜面21の上端に、曲率半径r2の円弧で繋がれて、傾斜角bの膨出部22が連続して形成されており、この膨出部22は曲率半径Rの円弧で形成されたものである。
【0032】
また、本例では、谷部3の幅寸法dは1〜2mmに設定されており、この谷部3から曲率半径r1の円弧で前記傾斜面21が繋がれたものとなっている。
即ち、谷部3と傾斜面21は、それぞれに外接する曲率半径r1の円弧で繋がれており、この曲率半径r1は1〜2mmに設定されている。
また、前記傾斜面21の傾斜角度aは8〜15°に設定されており、好ましくは9〜12°に設定される。また、傾斜面21と膨出部22は、それぞれに内接する円弧で繋がれており、この円弧の曲率半径r2は2〜30mmであり、好ましくは5〜20mmに設定されている。また、図11では、曲率半径Rが120mmの場合を例示しており、このように膨出部の曲率半径Rが大きい場合は、膨出部22はフラットに近くなる。
【0033】
逆に、この膨出部22の曲率半径Rが小さすぎると足の裏が痛く感じるものとなり、図13では、曲率半径Rが12mmの場合を例示している。
なお、図14では、この膨出部22の曲率半径Rが95mmである場合を例示している。
なお、谷部3と膨出部22の頂点との高低差tは、1〜2mmの範囲に設定されており、膨出部22の傾斜角度bは2〜10°に設定されて、好ましくは4〜9°に設定される。
また、谷部3から傾斜面21の最上点までの水平距離fは、5〜10mmに設定されており、また、谷部から膨出部22の中心22a、即ち頂点までの水平距離gは、7.5〜15mmに設定されている。また、谷部3と谷部3間の水平距離hは、15〜30mmに設定されている。
【0034】
なお、谷部3を幅寸法dの平面状に形成しておくことで、谷部3に溜まった汚れを良好に掻き出すことができるものとなり、汚れを落としやすいものとなる。
なお、傾斜面21の傾斜角度aは、膨出部22の傾斜角度bよりも大きくなるように設定されており、膨出部22の傾斜角度bは10°以下に設定されているが、この傾斜角度bをゼロにすると、膨出部22は平坦な平坦部24となり、そのような平坦部24に形成した場合の例を、図15および図16のB−B線断面図で示す。
【0035】
図15では、傾斜面21の傾斜角度aは9°に設定されており、谷部3から傾斜面21の最上点までの水平距離fは10mmに設定されている。また、平坦部24は傾斜面21の最上点からほぼ水平に平面状をなし、その水平距離iは10mmに設定されている。
また、図16のように、傾斜面21の傾斜角度aを15°に設定した場合は、谷部3と傾斜面21の最上点間の水平距離fは5mmであり、平坦部24の水平距離iは5mmになる。
【0036】
このように、傾斜面21の上方に円弧状に膨出部22を連続して形成させても、また傾斜面21の上方に平面状の平坦面24を形成させても良く、平坦面24を形成させた場合にも、傾斜面21は谷部3から8〜15°の角度で傾斜して水平方向に5〜10mm延びるように設定されており、この直線状の傾斜面21を設けたことにより、1つの凸部2の水平方向寸法、即ち幅寸法が大となるため、洗い場面1a全体では谷部3の本数を減らすことができ、谷部3が減ることにより汚れが溜まりにくいものとなる。
また、谷部は幅1〜2mmの平面状に形成されていれば、谷部に溜まった汚れはしっかりとスポンジ等で掻き出すことができ、谷部に汚れが蓄積されにくいものとなる。
【0037】
なお、図17に示すものは、前記図2のモザイクパターンの洗い場面において、平面視菱形状の各凸部2のそれぞれを、傾斜面21と膨出部22で構成した場合の要部平面拡大図である。
図17のように、谷部3で囲まれた菱形の各凸部2は、中心部に膨出部22を設けて、その周囲4辺に谷部3に向かって傾斜する傾斜面21,21,21を連続させて形成することで、1つの凸部2の幅寸法が大となり、洗い場全体の谷部3の本数を減らすことができ、清掃性が向上するものとなる。
【0038】
さらに、図18には、モザイクパターンの異なる洗い場面の要部平面構成図を示す。
この図18の洗い場面1aでは、平面視正方形状の凸部2,2,2が谷部3,3,3と交互に形成されたものであり、各凸部2は、図19に要部を拡大して示すように、中央部の膨出部22の外周4辺に、それぞれ傾斜面21,21,21,21が形成され、それぞれの傾斜面21が外周側の谷部3にそれぞれ連続して形成されている。
【0039】
なお、図20には、正方形状の凸部2の中心と凸部2の辺の中心とを通る図19のA−A線断面図を示し、また図21には、このA−A線断面における谷部3の拡大図を示す。
また、図22には、正方形状の凸部2の中心と直交する凸部2の辺の中心とを通る図19のB−B線断面図を示し、図23には、B−B線断面における谷部3の拡大図を示す。
谷部3は、幅長dが1mmに設定されて平面状の凹部となっており、この谷部3から傾斜角aが18°に設定された直線状の傾斜面21が上傾状に形成され、谷部3と傾斜面21間は、曲率半径r1が3mmに設定された外接する円弧で繋がれている。
【0040】
A−A線断面においては、この傾斜面21の上端に、曲率半径r2が3.5mmに設定された内接する円弧で膨出部22がつなげられており、膨出部22は、傾斜面21の上端に対し傾斜角bが9°で膨出する曲率半径Rが57.2mmに設定された円弧で形成されている。
なお、この膨出部22のA−A線断面における水平方向距離jは21mmに設定されており、谷部3,3間の全長hは25mmに設定されている。また、谷部3の中心から前記傾斜面21の上端までの水平距離lは、2mmに設定されている。
【0041】
また、B−B線断面においては、谷部3から、曲率半径r1が3mmの外接する円弧でつながれて傾斜角aが18°に設定された直線状の傾斜面21が上傾状に形成され、傾斜面21の上端から、曲率半径r2が3.5mmの内接する円弧でつながれた直線状の側面傾斜面25が傾斜角cが12°に設定されて上傾状に形成され、この側面傾斜面25の上端には更に上部傾斜面26が連続しており、この上部傾斜面26の上端に略平坦状に膨出部22が連続形成されており、側面傾斜面25と上部傾斜面26間の稜線23aは、図19に示すように曲率半径13mmの円弧で形成され、上部傾斜面26と膨出部22間の稜線23bは、曲率半径19.4mmの円弧で形成されており、各稜線23a,23bは、平行状にその両端側が凸部2のコーナー部側に延びている。
なお、B−B線断面における膨出部22の対向する稜線23b,23b間の距離kは12mmに設定されている。
【0042】
このように、凸部2にはB−B線断面において、対向する両側面にそれぞれ側面傾斜面25及び上部傾斜面26が形成されており、このような側面傾斜面25,上部傾斜面26が、図18に示すように、隣り合わせの凸部2では90°異なる配置状態にされている。
なお、この洗い場面1aの凸部2及び谷部3の全域の表面には、親水性処理が施されている。
このようなモザイクパターンにおいても、凸部2と谷部3の高低差tは1.45mmとなっており、また谷部3の底と傾斜面21の上端との間の溝高さt1は0.5mmに設定され、足を置いた時に足の裏が痛く感じることがなく、しかも良好な排水性能と清掃性が確保されるように構成されている。即ち、谷部3の底まで清掃道具が届き易く掃除し易いものとなり、排水は谷部3を広がりながら流れるようになり、広がって流れる水はゆっくりと排水されるため、洗い場面1a全域の排水がつながったまま排水口へ流され、水切れ性能が向上し洗い場面1aの乾燥時間を短縮させることができるものである。
【0043】
次に、図24には更に異なるモザイクパターンの洗い場面1aの要部平面図を示す。
この図24においても、平面視正方形状の凸部2,2,2が谷部3,3,3と交互に形成され、各凸部2は、傾斜面21と平坦部24で構成されている。即ち、図25には、この凸部2を更に拡大して示す。
各凸部2は、平面視して中央部の正方形状の平坦部24の外周4辺に、それぞれ傾斜面21,21,21が形成されており、それぞれの傾斜面21が谷部3にそれぞれ連続している。
【0044】
なお、図26には、図25の正方形状の凸部2の中心と凸部2の辺の中心とを通るA−A線断面図を示し、また図27には、A−A線断面における谷部の拡大図を示す。
また、図28には、図25の正方形状の凸部2の中心と直交する凸部2の辺の中心とを通るB−B線断面図を示し、図29には、B−B線断面における谷部の拡大図を示す。
A−A線断面及びB−B線断面のそれぞれにおいて、谷部3は幅長dが1mmに設定された平面状に形成されており、谷部3から、曲率半径r1が3mmに設定された円弧でつながれて傾斜面21が上傾状に形成されており、傾斜面21の上端に、略水平状の平坦部24が連続形成されている。
谷部3の中心から傾斜面21の上端までの水平距離lは2mmに設定されており、谷部3の底から平坦部24までの高さt1は0.5mmに設定されている。なお、谷部3から上傾する傾斜面21の傾斜角aは18°に設定されている。また、対向する傾斜面21,21の外端間の水平距離hは25mmに設定されており、平坦部24の水平距離jは21mmに設定されている。
【0045】
本例においては、図26のA−A線断面に示すように、平坦部24上には、B−B線断面方向に延びる凸条24aが、波状に一体形成されており、各凸条24aの平坦部24からの突出高さは略0.1mmに設定されている。
図24のように、この凸条24aの延びる方向が隣り合う凸部2ごとに90°位置を変えて配置され、洗い場面1aが形成されている。
図24に示すようなモザイクパターンの洗い場面1aにおいても、高低差が小さく設定されており、良好な排水性能と清掃性が確保されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】洗い場面の全体平面構成図である。
【図2】図1の要部拡大平面構成図である。
【図3】図1の洗い場面に形成されたモザイクパターンの断面構成図である。
【図4】図3の要部拡大断面構成図である。
【図5】モザイクパターンを変更した洗い場面の全体平面構成図である。
【図6】図5の要部拡大平面構成図である。
【図7】モザイクパターンを変更した洗い場面の全体平面構成図である。
【図8】更にモザイクパターンを変更した洗い場面の全体平面構成図である。
【図9】図7の洗い場面の要部を拡大して示す要部拡大平面構成図である。
【図10】更に図9の要部を拡大した拡大構成図である。
【図11】図10におけるB−B線断面拡大図である。
【図12】図10におけるB−C線断面拡大図である。
【図13】膨出部の曲率半径が小さい場合の例を示すB−C線断面拡大図である。
【図14】膨出部の曲率半径が大な場合の例を示すB−C線断面拡大図である。
【図15】膨出部に代えて平面状の平坦部を設けた場合のB−B線断面拡大構成図である。
【図16】傾斜面の傾斜角度が大な場合の平坦部を有する凸部のB−B線断面拡大構成図である。
【図17】図2に示したモザイクパターンにおいて、凸部を傾斜面と膨出部で構成した場合の要部拡大平面構成図である。
【図18】モザイクパターンを変更した洗い場面の要部平面構成図である。
【図19】図18の凸部の拡大平面構成図である。
【図20】図19のA−A線断面図である。
【図21】A−A線断面における谷部の拡大構成図である。
【図22】図19のB−B線断面図である。
【図23】B−B線断面における谷部の拡大構成図である。
【図24】更に異なるモザイクパターンの洗い場面の要部平面構成図である。
【図25】図24における凸部の拡大平面構成図である。
【図26】図25のA−A線断面図である。
【図27】A−A線断面における谷部の拡大構成図である。
【図28】図25のB−B線断面図である。
【図29】B−B線断面における谷部の拡大構成図である。
【符号の説明】
【0047】
1 防水パン
1a 洗い場面
2 凸部
3 谷部
4 排水口
21 傾斜面
22 膨出部
22a 膨出部の中心
23,23a,23b 稜線
24 平坦部
24a 凸条
25 側面傾斜面
26 上部傾斜面
a 傾斜角
b 膨出部の傾斜角
f 谷部と傾斜面の最上点間の水平距離
R 凸部の円弧の曲率半径
r 谷部の円弧の曲率半径
r1 谷部と傾斜面の繋ぎ部分の円弧の曲率半径
r2 傾斜面と膨出部の繋ぎ部分の円弧の曲率半径
t 凸部と谷部の高低差

【特許請求の範囲】
【請求項1】
凸部と谷部が交互に連続した形状に形成された浴室の洗い場面において、
前記凸部は平面視多角形であって、該多角形の中心と該多角形の辺の中心とを通る断面において前記凸部は前記谷部から傾斜角度が8〜20°で上方へ膨出しているとともに、前記凸部の頂点と前記谷部の底の高低差が0.5〜2mmに設定されていることを特徴とする浴室の洗い場面構造。
【請求項2】
前記凸部は、断面視が一定の曲率を有する円弧形状で上方へ膨出されていることを特徴とする請求項1に記載の浴室の洗い場面構造。
【請求項3】
前記谷部は、断面視が一定の曲率を有する円弧で凹状に形成され、前記凸部と外接する円弧で繋がれていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の浴室の洗い場面構造。
【請求項4】
前記凸部は、前記断面において前記谷部から8〜20°の角度で傾斜し水平方向に1〜10mm延びる直線状の傾斜面と、該傾斜面の上の傾斜角度が10°以下の膨出部または平坦部で構成され、前記傾斜面の角度は前記膨出部の角度よりも大きく設定されていることを特徴とする請求項1に記載の浴室の洗い場面構造。
【請求項5】
前記膨出部は、断面視が一定の曲率を有する円弧であることを特徴とする請求項4に記載の浴室の洗い場面構造。
【請求項6】
前記傾斜面と前記膨出部は、それぞれ内接する円弧で繋がれていることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の浴室の洗い場面構造。
【請求項7】
前記谷部は、断面視において、幅が1〜2mmの平面状に形成され、前記傾斜面と外接する円弧で繋がれていることを特徴とする請求項4または請求項5または請求項6に記載の浴室の洗い場面構造。
【請求項8】
前記凸部および谷部の表面は、微細な凹凸加工もしくは親水性塗料の塗布による親水性処理が施されていることを特徴とする請求項1〜請求項7何れかに記載の浴室の洗い場面構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2008−82151(P2008−82151A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−54518(P2007−54518)
【出願日】平成19年3月5日(2007.3.5)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】