説明

浴室床構造

【課題】浴室の洗い場床面の清掃性を簡易な構成により向上し得る浴室床構造を提供する。
【解決手段】浴室床構造Aは、浴室ベース床部21の上面21aに、複数枚の表面床パーツ3を取外し可能に敷き詰めて、洗い場床面を構成するようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、システムバスルームやユニットバスルーム、シャワールーム等の浴室の洗い場床面を構成する浴室床構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の浴室の洗い場の床面には、床面の意匠性を高めるためや、滑り止めのため、或いは、水はけを良くし乾燥を促進させるため等の理由により目地や凹凸が形成されている。
このような目地や凹凸が形成された床面では、該目地や凹部に汚れが溜まり易く、また、その汚れは、除去し難いという問題があった。また、このような汚れを除去する際には、屈み込んで清掃する必要があり、身体への負担も大きいものであった。
【0003】
下記特許文献1では、浴室床面の排水口の清掃を容易に行うことを目的として提案された浴室の二重床構造が開示されている。
このものでは、浴室と出入り口との段差をなくすために、浴室の床面に表面材を支持する支持部材を配設し、該支持部材に複数枚の表面材を被着させた二重床構造としている。また、該二重床は、排水口を覆う部分が切り欠かれており、その切欠部分に、上記同様の支持部材及び該支持部材に表面材を被着させた被覆体を脱着自在に嵌合する構造とされている。
これによれば、上記被覆体を取外すだけで排水口が露出し、二重床の他の部分を取外す必要がないため、簡単に排水口の清掃を行うことができる、と説明されている。
【特許文献1】特開2001−65182号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1に記載の浴室の二重床構造では、上記被覆体を取外すことにより、排水口の清掃性は向上されるものではあるが、浴室の洗い場床面自体の清掃性を向上させることは困難なものであった。すなわち、上記二重床構造では、上記表面材が被着される床面に配置された支持部材は、該表面材が嵌め合わされるための凹部等が形成された複雑な構造となっており、また、該表面材の裏面にも該凹部に嵌め込まれる突起等が形成された複雑な構造となっており、これらの清掃性の考慮がなされていないという問題があった。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、浴室の洗い場床面の清掃性を簡易な構成により向上し得る浴室床構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明に係る浴室床構造は、浴室ベース床部の上面に、複数枚の表面床パーツを取外し可能に敷き詰めて、洗い場床面を構成するようにしていることを特徴とする。
【0007】
本発明の前記浴室床構造においては、前記複数枚の表面床パーツを、それぞれ略同寸の多角形状としてもよい。
また、本発明の前記浴室床構造においては、前記表面床パーツの外周部に、該表面床パーツの上面より段落ち状に形成された突片部を設け、前記浴室ベース床部の上面に前記表面床パーツを敷き詰めた際には、前記突片部が隣接する該表面床パーツ同士の間に介在されて床目地を形成するようにしてもよい。前記突片部を設けた前記浴室床構造においては、前記突片部を、軟質材からなるものとしてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る前記浴室床構造では、浴室の洗い場床面を、浴室ベース床部と、該浴室ベース床部の上面に取外し可能に敷き詰められる複数枚の表面床パーツとにより構成している。これにより、清掃時には、表面床パーツを浴室ベース床部から取外して清掃でき、清掃性が向上する。すなわち、これら表面床パーツを清掃する際には、取外すことにより手元で清掃できるので、屈み込んで清掃する必要がなく、身体への負担も軽減される。また、浴室ベース床部から取外した表面床パーツは、該浴室ベース床部に敷き詰めることで、容易に元に戻すことができ、清掃時等における作業性が良い。
【0009】
さらに、従来の浴室の洗い場床面に形成されていた目地や凹凸を、前記表面床パーツに形成することで、上記のように清掃性が向上されるのみならず、意匠性、滑り止め性及び水はけ性も同時に向上させることができる。すなわち、意匠性、滑り止め性及び水はけ性の機能としての目地や凹凸を、取外し可能な表面床パーツに備えさせることで、従来除去が困難であった洗い場床面の凹部や目地溝の清掃性を飛躍的に向上させることができる。
さらにまた、前記表面床パーツは、取外し可能とされているので、除去できない汚れや破損等が生じたい場合、或いは模様替え等をしたい場合には、交換もできる。
また、前記浴室ベース床部の上面には、目地や凹凸を形成する必要がないので、その上面を略平滑とでき、製造が容易である。また、その上面を略平滑とできるので、前記表面床パーツを取外すことで、浴室ベース床部を容易に清掃できる。
【0010】
本発明に係る前記浴室床構造において、前記複数枚の表面床パーツを、それぞれ略同寸の多角形状とすれば、製造コストを低減できるとともに、保管性及び搬送性に優れた表面床パーツとなる。
また、それぞれ略同寸の多角形状とされているので、前記浴室ベース床部から取外して、該表面床パーツを清掃した後に、前記浴室ベース床部に敷き詰める際に、容易に敷き詰めることができる。
【0011】
本発明に係る前記浴室床構造において、前記表面床パーツの外周部に、該表面床パーツの上面より段落ち状に形成された突片部を設け、前記浴室ベース床部の上面に前記表面床パーツを敷き詰めた際には、前記突片部が隣接する該表面床パーツ同士の間に介在されて床目地を形成するようにすれば、以下のような効果を奏する。
すなわち、該突片部により形成される床目地により、洗い場床面の意匠性、滑り止め性及び水はけ性が向上される。
【0012】
前記突片部を設けた前記浴室床構造において、前記突片部を、軟質材からなるものとすれば、前記浴室ベース床部に前記複数枚の表面床パーツを敷き詰める際に、取付け誤差や寸法誤差等があった場合にもこれら誤差を軟質材からなる前記突片部の変形により吸収できる。
また、該突片部が表面床パーツ間のシール部材としても機能し、浴室ベース床部側へ水等が漏れることを防止でき、該浴室ベース床部への汚れの付着が低減される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に本発明の最良の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態に係る浴室床構造を用いた浴室ユニットの一例を模式的に示す概略縦断面図及び該概略縦断面図の一点鎖線内を拡大して示す概略拡大縦断面図、図2(a)、(b)は、いずれも同実施形態に係る浴室床構造を示し、(a)は、概略平面図、(b)は、(a)におけるX−X線矢視概略縦断面図である。
図3(a)、(b)は、いずれも同浴室床構造における表面床パーツの着脱方法の一例を説明する図であり、(a)は、概略平面図、(b)は、(a)におけるY−Y線矢視概略縦断面図、図4(a)は、同着脱方法を説明する概略平面図、(b)は、表面床パーツの全てを脱離させた状態を示す概略平面図である。
尚、図2〜図4では、側壁パネル及び天井パネルを取外した状態を図示している。
【0014】
本実施形態に係る浴室床構造Aは、図1に示すように、浴室ユニット1に適用した例を示している。
上記浴室ユニット1は、大略的に、浴室床部2と、後記する複数枚の表面床パネル3と、該浴室床部2の四周に立設された側壁パネル4と、該側壁パネル4の上端に、浴室内空間を覆うように設けられた天井パネル5と、浴室床部2の一方の片側半部を構成する浴槽床部(浴槽床パン)20に設置された浴槽6と、浴室床部2の下方に配設された排水部7とを備えている。
【0015】
上記浴室床部2は、上記浴槽床部20と、該浴槽床部20に連設され、該浴室床部2の他方の片側半部を構成する洗い場ベース床部(洗い場床パン)21と、これら浴槽床部20及び洗い場ベース床部21の四周に立設された立ち上がり部22とを有している。
上記浴槽床部20は、上記浴槽6の下部が嵌め込まれるよう上記洗い場ベース床部21よりも段下がり状に形成されている。この浴室床部2は、その下部に設けられ、高さ調節可能とされた複数の支持脚12により支持されている。
尚、浴室床構造Aの詳細については後述する。
【0016】
上記側壁パネル4は、上記浴室床部2の四周の立ち上がり部22の上端に水密的に連設されている。この側壁パネル4には、カウンター8、ミラー9、カラン10、シャワー11等が設けられている。また、側壁パネル4には、図示しない照明具、出入り口及び該出入り口に開閉自在に設けられた浴室ドア等が設けられている。
上記天井パネル5は、上記側壁パネル4の上端に水密的に連設されている。この天井パネル5には、図示しない換気扇等が設けられている。
【0017】
上記浴槽6は、その下部が上記浴槽床部20と洗い場ベース床部21との段差により形成された凹部に嵌め込まれており、その外周壁のうち、三方の外周壁が上記側壁パネル4に当接され、その残余の外周壁が洗い場空間側に面するエプロン6aとされている。この浴槽6には、該浴槽6内へ給水をするための図示しない給水装置等が設けられている。
上記排水部7は、洗い場空間側からの排水口(排水トラップ)7a及びこれに合流する浴槽6からの排水配管7b等を備えている。
【0018】
尚、図例では、浴槽6と洗い場空間とからなる浴室ユニット1を示したが、その他、洗面設備やトイレ、或いは脱衣室等も含めてユニット化された浴室ユニットにも後記する本実施形態に係る浴室床構造Aの適用が可能である。或いは、浴槽6を備えず、シャワーのみを備えたシャワーユニットやユニット化されていないシステムバスにも本実施形態に係る浴室床構造Aの適用が可能である。
【0019】
上記浴室床構造Aは、上記浴室ユニット1の洗い場空間に適用されており、該洗い場空間の床パンを構成する。
該浴室床構造Aは、浴室ベース床部を構成する上記洗い場ベース床部21と、該洗い場ベース床部21の上面21aに敷き詰められて洗い場床面を構成する複数枚の表面床パーツ3とを備えている。
洗い場ベース床部21は、本実施形態では、上記浴室床部2の一部を構成し、上記浴槽床部20と一体的に形成されている。
【0020】
上記浴室床部2は、例えば、FRP等の強化プラスチック、或いはポリプロピレンやABS、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、PPS等の硬質の合成樹脂を基材として、裏面には発砲ウレタン等の断熱保温材が設けられており、また、上面には、保護コーティング等が施されている。さらに、当該浴室床部2の洗い場ベース床部21には、床暖房等が内蔵されたものとしてもよい。
尚、本実施形態では、浴槽床部20と洗い場ベース床部21とを一体的に形成した浴室床部2を例示しているが、浴槽床部20と、洗い場ベース床部21とを別部材とするようにしてもよい。
【0021】
上記洗い場ベース床部21は、図2(a)に示すように、該洗い場ベース床部21の四周端部のうち三方には、上記立ち上がり部22がそれぞれの端部に沿って立設されており、その残余の端部には、上記浴槽6のエプロン6aが該端部に沿うように配置されている。すなわち、上記立ち上がり部22の内周側面22a及びエプロン6aが、該洗い場ベース床部21の四周端部に沿って配置されており、これら内周側面22a及びエプロン6aが、後記する複数枚の表面床パーツ3の集合体の最外周端部を規制するための規制面を構成する。
この洗い場ベース床部21の大きさは、後記する表面床パーツ3の略整数倍とされている。
【0022】
また、図2及び図3に示すように、上記洗い場ベース床部21の浴槽6側端部の略中央には、上記排水口7aに連通される排水凹部23が形成されている。この排水凹部23の内周壁の上記洗い場ベース床部21の上面21aからやや低い位置とされた適所には、該排水凹部23に嵌め込まれる後記する排水蓋32を支持する支持突部23aが設けられている。
上記洗い場ベース床部21の上記排水凹部23以外の上面21aは、図4(b)に示すように、凹凸のない略平滑面とされ、該上面21aには、該排水凹部23へ向かう緩やかな水勾配が形成されている。
【0023】
上記洗い場ベース床部21の上面21aに敷き詰められる表面床パーツ3は、図2(a)に示すように、平面視で略矩形状(図例では略正方形状)の板状体からなるパーツ本体部30と、該パーツ本体部30の外周端部30bに設けられた突片部31とから構成されている。
また、本実施形態では、洗い場ベース床部21の上面21aに敷き詰められた複数枚の表面床パーツ3のそれぞれは、略同寸同形状とされている。
上記パーツ本体部30は、FRP等の強化プラスチック、或いはポリプロピレンやABS、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、PPS等の硬質の合成樹脂からなり、その裏面は、略平滑面とされ、その上面30aには、滑り止め性を高めるための凹凸や、親水性を高めて水はけ性を高めるための微細な凹凸或いは模様等が施されている。
【0024】
上記パーツ本体部30の外周端部30bには、該パーツ本体部30の上面30aから段落ち状に形成された突片部31が設けられている。
本実施形態では、上記突片部31は、パーツ本体部30の外周端部30bの全周に亘って形成されるとともに、パーツ本体部30とは別部材とされ、その外周端部30bに固着されている。
また、本実施形態では、上記突片部31は、合成ゴム、天然ゴム、ウレタン系軟質樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂或いはエラストマー樹脂等の軟質材で形成されている。
【0025】
上記構成とされた表面床パーツ3は、図1の一点鎖線内概略拡大縦断面図に示すように、洗い場ベース床部21の上面21aに敷き詰められた状態では、それぞれの表面床パーツ3の隣接する上記突片部31同士の外周端部31aが突き合わせられて当接或いは弾接する構成とされている。
また、これら突片部31が、図2(a)に示すように、隣接する表面床パーツ3同士の間に介在されて床目地を形成している。
尚、上記表面床パーツ3のパーツ本体部30と突片部31との段差は、図では比較的大きく図示しているが、0.5mm〜5.0mm程度としてもよい。また、上記パーツ本体部30の上端周縁部は、図例のような角張った形状ではなく、該上端周縁部をR面取り加工或いはC面取り加工するようにしてもよい。これら突片部31の幅及び段差、並びにパーツ本体部30の上端周縁部の形状等は、表面床パーツ3により構成される洗い場床面の意匠性、滑り止め性、水はけ性等を高めるべく適宜、設定可能である。
【0026】
また、本実施形態では、上記突片部31は、上記パーツ本体部30の外周端部30bに固着された例を示しているが、大きさの異なる2枚の板状体を積層して突片部を形成するようなものとしてもよい。すなわち、硬質材で形成された上層部と、該上層部よりも平面域方向に大きく形成された軟質材からなる下層部とを積層して固着し、これら上層部と下層部との大きさの違いにより軟質材からなる突片部を、表面床パーツの外周部に形成するようにしてもよい。
或いは、上記パーツ本体部30と突片部31とを一体的に形成するようにしてもよい。この場合は、表面床パーツの全体を硬質材或いは軟質材からなるものとしてもよい。
【0027】
また、図2(a)では、洗い場ベース床部21の上面21aに、19枚の表面床パーツ3を敷き詰めた例を示しているが、洗い場ベース床部21の大きさ或いは表面床パーツ3の大きさに合わせて、敷き詰める枚数は、図例のものには限られない。
さらに、図例では、表面床パーツ3は、その一辺が300mm程度とされた大きさのものを例示しているが、これに限られず、一辺が100mm〜800mm程度のものとしてもよい。より好ましくは、一辺が200mm〜400mm程度の比較的小モジュールとされたものとしてもよい。これにより、取り扱い性に優れるとともに、清掃も容易となる。すなわち、表面床パーツ3のそれぞれが小さすぎると、洗い場ベース床部21の上面21aに敷き詰める際、及び該上面21aから取外す際に面倒な作業となる。また、表面床パーツ3のそれぞれが大きすぎると、取り扱いが困難となるとともに、例えば、キッチンのシンクや洗面化粧台の洗面ボウル等での清掃も困難となる。
【0028】
上記洗い場ベース床部21の上記排水凹部23に嵌め込まれる排水蓋32は、平面視で略矩形状とされており、本実施形態では、上記略正方形状とされた表面床パーツ3と同寸とされた平面視略正方形状とされている。
この排水蓋32の厚さは、上記表面床パーツ3の厚さよりも厚く形成されている。すなわち、図2(b)に示すように、上記排水蓋32の厚さは、上記排水凹部23に嵌め込まれて、該排水凹部23の内周壁に設けられた支持突部23aに支持された状態では、該排水蓋32の上面と、該排水蓋32に隣接して配置された表面床パーツ3の上面30aとが略同高さ(略同平面)となるよう該支持突部23aと洗い場ベース床部21の上面21aとの段差に合わせて形成されている。
また、この排水蓋32の浴槽6側端部には、洗い場床面からの排水を誘導する排水用段差部32c及び上記排水凹部23と連通する排水用切欠部32aが形成されている。
【0029】
上記排水蓋32が上記排水凹部23に嵌め込まれた状態では、該排水蓋32の浴槽6側端部が上記浴槽6のエプロン6aに当接し、残余の三方の外周端部32bは、それら外周端部のそれぞれに隣接して配置された上記表面床パーツ3の上記突片部31の外周端部31aに当接或いは弾接している。
尚、上記排水蓋32は、本実施形態では、上記洗い場ベース床部21の浴槽6側端部の略中央に配置される構成としているが、排水凹部23の形成箇所を上記以外の箇所として、他の箇所に配置するようにしてもよい。
また、この排水蓋32の排水のための排水用段差部32c及び排水用切欠部32aの構成は、どのようなものでもよく、例えば、排水蓋32の上面側に長孔状(スリット状)の排水孔等を形成するようにしてもよい。
【0030】
次に、本実施形態に係る浴室床構造Aにおける表面床パーツ3の着脱工程について図3及び図4に基づいて説明する。
まず、図3(a)、(b)に示すように、排水蓋32を排水凹部23から取外して排水凹部23を露出させる。
この状態では、該排水凹部23の周囲に配置された表面床パーツ3の突片部31が上記排水蓋32の外周端部32bとの当接による規制が解除されて露出した状態となる。
【0031】
次いで、図4(a)に示すように、上記排水凹部23の周囲に配置された表面床パーツ3を洗い場ベース床部21の上面21aから順次、取外す。
このように、排水蓋32を取外すことにより、排水凹部23の周囲に配置された表面床パーツ3を容易に取外すことができる。
この状態では、洗い場ベース床部21の上面21aの一部が露出した状態となる。
さらに、図4(b)に示すように、残りの表面床パーツ3を洗い場ベース床部21の上面21aから順次、取外す。
この状態では、排水蓋32及び全ての表面床パーツ3が取外されて、排水凹部23及び洗い場ベース床部21の上面21aの全てが露出した状態となる。
【0032】
上記のように取外した表面床パーツ3を洗い場ベース床部21に敷き詰める際には、排水蓋32を排水凹部23に嵌め込み、次いで、上記洗い場ベース床部21の三方の外周端部に設けられた立ち上がり部22及び浴槽6のエプロン6a、排水蓋32等に沿って、順次、表面床パーツ3同士の突片部31を突き合わせ、敷き詰めるようにしてもよい。
尚、表面床パーツ3の上記着脱手順は、一例に過ぎず、各部材の機能を阻害しない限りにおいて、別手順でなされるようにしてもよい。
また、汚れの付着がひどい等の理由により、所望箇所の表面床パーツ3のみを取外すことも可能である。
【0033】
以上のように、本実施形態に係る浴室床構造Aでは、浴室ユニット1の洗い場床面を、洗い場ベース床部21と、該洗い場ベース床部21の上面21aに取外し可能に敷き詰められる複数枚の表面床パーツ3とにより構成している。これにより、清掃時には、表面床パーツ3を洗い場ベース床部21から取外して清掃でき、清掃性が向上する。すなわち、これら表面床パーツ3を清掃する際には、取外すことにより手元で清掃できるので、屈み込んで清掃する必要がなく、身体への負担も軽減される。また、洗い場ベース床部21から取外した表面床パーツ3は、洗い場ベース床部21に敷き詰めることで、容易に元に戻すことができ、清掃時等における作業性が良い。
また、特に、本実施形態では、上記表面床パーツ3は、裏面が略平滑面とされているので、該表面床パーツ3を容易に清掃できる。
【0034】
また、従来の浴室の洗い場床面に形成されていた目地や凹凸を、表面床パーツ3の上面30aに形成するようにしているので、上記のように清掃性が向上されるのみならず、意匠性、滑り止め性及び水はけ性も同時に向上させることができる。すなわち、意匠性、滑り止め性及び水はけ性の機能としての目地や凹凸を、取外し可能な表面床パーツ3に備えさせることで、従来除去が困難であった洗い場床面の凹部や目地溝の清掃性を飛躍的に向上させることができる。
【0035】
さらに、表面床パーツ3は、取外し可能とされているので、除去できない汚れや破損等が生じたい場合、或いは模様替え等をしたい場合には、交換もできる。
さらにまた、洗い場ベース床部21の上面21aには、目地や凹凸が形成されておらず、略平滑面とされているので、製造が容易であるとともに、表面床パーツ3を取外すことで、洗い場ベース床部21の上面21aを容易に清掃できる。
【0036】
また、複数枚の表面床パーツ3のそれぞれは、略同寸同形状とされているので、製造コストを低減できるとともに、保管性及び搬送性に優れた表面床パーツ3となる。
さらに、それぞれ略同寸同形状とされているので、洗い場ベース床部21から取外して、該表面床パーツ3を清掃した後に、洗い場ベース床部21に敷き詰める際に、容易に敷き詰めることができる。
さらにまた、本実施形態では、表面床パーツ3の外周部に、表面床パーツ3の上面30aより段落ち状に形成された突片部31を設け、洗い場ベース床部21の上面21aに表面床パーツ3を敷き詰めた際には、該突片部31が隣接する該表面床パーツ3同士の間に介在されて床目地を形成するようにしているので、洗い場床面の意匠性、滑り止め性及び水はけ性が該突片部31により向上される。
【0037】
また、本実施形態では、上記表面床パーツ3の突片部31を、軟質材からなるものとしているので、洗い場ベース床部21に複数枚の表面床パーツ3を敷き詰める際に、取付け誤差や寸法誤差等があった場合にもこれら誤差を軟質材からなる突片部31の変形により吸収できる。
また、該突片部31が表面床パーツ3間のシール部材としても機能し、洗い場ベース床部21側へ水等が漏れることを防止でき、該洗い場ベース床部21への汚れの付着が低減される。
尚、本実施形態では、表面床パーツ3自体の清掃性を向上すべく、取外しのための手掛け用の凹部や取っ手等を表面床パーツに形成していない例を示しているが、これら取外しのための手掛け用の凹部や取っ手等を表面床パーツに形成するようにしてもよい。
【0038】
次に、本実施形態に係る浴室床構造Aに用いられる表面床パーツの変形例について、図面に基づいて説明する。
図5(a)〜(c)は、いずれも第1変形例に係る表面床パーツを示し、(a)は、概略平面図、(b)は、(a)におけるV矢視概略側面図、(c)は、(a)におけるW矢視概略側面図、図6は、同変形例の表面床パーツの連結構造を説明する概略底面図である。
尚、上記表面床パーツ3と同様の構成については、説明を省略或いは簡略に説明する。
【0039】
本変形例に係る表面床パーツ3Aは、上記同様、平面視略正方形状とされたパーツ本体部30Aと、該パーツ本体部30Aの外周端部30Abの全周に亘って形成された突片部31Aとを備えている。
また、本変形例では、図5(a)に示すように、表面床パーツ3Aの互いに対向する端部に、一対の被係合凹部33,33と、一対の係合アーム収容凹部34,34とがそれぞれ形成されている。すなわち、図例では、対向する上下端部に一対の被係合凹部33,33を形成し、対向する左右端部に一対の係合アーム収容凹部34,34を形成している。
【0040】
上記係合アーム収容凹部34,34は、図5(b)に示すように、表面床パーツ3Aの裏面側及び端部外方に向けて開口するように切欠形成されており、該係合アーム収容凹部34内には、係合アーム37が収容されている。
この係合アーム37は、その基端部が当該表面床パーツ3Aの厚さ方向に貫通されたアーム軸36に固設されており、該アーム軸36の上端部には、図5(a)に示すように、操作軸頭部35が固設されている。
該操作軸頭部35の上面側には、マイナスドライバー或いはコイン等の治具により該操作軸頭部35を回転させるための凹条が形成されている。
上記治具等により操作軸頭部35を回転させることで、上記係合アーム37が、上記アーム軸36廻りに回転されて、表面床パーツ3Aの一端部から出没される(図6参照)。
【0041】
上記被係合凹部33,33は、図5(c)に示すように、表面床パーツ3Aの裏面側及び端部外方に向けて開口するように切欠形成されている。
上記構成とされた表面床パーツ3Aは、図6に示すように、上記洗い場ベース床部21(図1他参照)に敷き詰める際には、互いに隣接して配置される表面床パーツ3Aの被係合凹部33と係合アーム収容凹部34とが突き合わせられて対向するように配置される。
上記のように敷き詰めた状態で、上記係合アーム37に連結された操作軸頭部35を回転させることで、該係合アーム37が上記係合アーム収容凹部34から外方に向けて突出し、その先端部分が隣接して配置された表面床パーツ3Aの被係合凹部33に収容される。
【0042】
すなわち、図例のように、3枚の表面床パーツ3Aのうち、中央に配置された表面床パーツ3Aの上下端部から突出された係合アーム37,37が、それぞれ上下に隣接する表面床パーツ3Aの被係合凹部33,33に収容されて規制されることで、中央に配置された表面床パーツ3Aが上記洗い場ベース床部21の上面21aから浮くようなことを防止できる。
このように、上記洗い場ベース床部21の上面21aに、本変形例に係る表面床パーツ3Aを敷き詰めて、上記のように係合アーム37,37を回転させることで、それぞれの表面床パーツ3Aが上記のように規制されるので、全体として表面床パーツ3A同士が連結された構造となり、洗い場床面を構成する表面床パーツ3Aに浮き等が生じることがない。
【0043】
また、本変形例に係る表面床パーツ3Aを、洗い場ベース床部21の上面21aから取外す際には、上記操作軸頭部35を回転させ、上記係合アーム37を係合アーム収容凹部34に収容させることで、上記被係合凹部33との係合を解除させて取外すようにしてもよい。或いは、上記例のように、排水蓋32を取外した後に、表面床パーツ3Aの取外しをする際には、該係合アーム37が上記係合アーム収容凹部34から突出し、その先端部分が上記被係合凹部33に収容されている状態のまま、表面床パーツ3A自体をスライドさせて取外すようにしてもよい。
【0044】
尚、表面床パーツ3A同士を連結して、上記のように浮き等を防止する構成は、図例のものに限られず、表面床パーツ3A同士の連結とその解除ができる連結構造であれば、どのようなものでもよい。すなわち、表面床パーツ3Aの一方の対向両端部にそれぞれ被係合凹部を設け、他方の対向両端部に、該端部から出没自在とされた係合部をそれぞれ設け、該係合部を該被係合凹部に収容させることで、該係合部が該被係合凹部に規制されるような構成としてもよい。
また、本変形例では、操作軸頭部35をパーツ本体部30Aの上面30Aaに位置させ、また、それに合わせてアーム軸36を該パーツ本体部30Aの厚さ方向に貫通させた例を示しているが、操作軸頭部35を突片部31Aの上面に位置させるとともに、それに合わせて、アーム軸36を該突片部31Aの厚さ方向に貫通させるようにしてもよい。
【0045】
また、本変形例では、表面床パーツ3Aの清掃性を高めるべく、上記被係合凹部33及び上記係合アーム収容凹部34のいずれも表面床パーツ3Aの裏面側及び端部外方に向けて開口するように切欠形成したものを例示しているが、これに限られず、端部外方に向けてのみ開口するような凹溝状のものとしてもよい。これによれば、互いの連結をより高めることができ、浮き等をより効果的に防止できる。
さらに、本変形例では、係合アーム37をいずれの方向に回転させても上記被係合凹部33に収容可能なように、係合アーム収容凹部34は、係合アーム37がアーム軸36廻りに略180°回転可能なように形成され、また、上記被係合凹部33の形状も該係合アーム37の回転移動に合わせて底面視して略半楕円状の形状としているが、以下のようにしてもよい。係合アーム収容凹部を、係合アームがアーム軸廻りに略90°回転可能なように形成するとともに、該被係合凹部の形状もそれに合わせて、底面視して略扇形状としてもよい。
さらにまた、係合アームの先端部に鉤状突起を設け、上記被係合凹部に該鉤状突起が収容される鉤溝部を形成するようにしてもよい。
【0046】
次に、本実施形態に係る浴室床構造Aに用いられる表面床パーツの他の変形例について、図面に基づいて説明する。
図7(a)〜(c)は、いずれも同実施形態に係る浴室床構造に用いられる表面床パーツの他の変形例をそれぞれ示す概略平面図である。
尚、上記表面床パーツ3と同様の構成については、説明を省略或いは簡略に説明する。
【0047】
図7(a)は、第2変形例に係る表面床パーツ3Bを示し、該表面床パーツ3Bは、平面視略正方形状とされている点は、上記表面床パーツ3と同様であるが、突片部31Aの構成が上記例とは異なる。
すなわち、該表面床パーツ3Bでは、パーツ本体部30Bの外周端部の全周に亘って突片部を形成しておらず、四周端部のうち、隣接する二つの外周端部30Bbにのみ突片部31Bを形成するようにしている。
このものでも上記表面床パーツ3と同様、洗い場ベース床部21に敷き詰められた状態では、突片部31Bは、床目地を形成するとともに、軟質材からなるものとすることで、誤差吸収でき、また、シール部材として機能する。
【0048】
図7(b)は、第3変形例に係る表面床パーツ3Cを示し、該表面床パーツ3Cは、平面視して略正六角形状とされている。
すなわち、該表面床パーツ3Cは、そのパーツ本体部30Cが平面視して略正六角形状とされるとともに、その外周端部30Cbの全周に亘って突片部31Cが形成されている。
また、図7(c)は、第4変形例に係る表面床パーツ3Dを示し、該表面床パーツ3Dは、平面視して略正三角形状とされている。
すなわち、該表面床パーツ3Dは、そのパーツ本体部30Dが平面視して略正三角形状とされるとともに、その外周端部30Dbの全周に亘って突片部31Dが形成されている。
【0049】
これら第3変形例及び第4変形例に係る表面床パーツ3C及び表面床パーツ3Dにおいても上記表面床パーツ3と同様、洗い場ベース床部21に敷き詰められた状態では、各突片部31C,31Dは、床目地を形成するとともに、軟質材からなるものとすることで、誤差吸収でき、また、シール部材として機能する。
尚、上記第2変形例〜第4変形例の各表面床パーツに、上記第1変形例で説明した連結構造を設けるようにしてもよい。
【0050】
また、表面床パーツの形状は、上記各例において示した形状に限らず、平面視して他の多角形状、或いは、その他の幾何学形状としてもよいが、複数枚の表面床パーツのそれぞれが略同寸同形状とされたものとすることが好ましい。
さらに、突片部をその外周端部に設けないようにしてもよい。
さらにまた、平面視して略矩形状とされた表面床パーツ以外の形状とされた表面床パーツの場合においては、平面視して略矩形状とされた洗い場ベース床部に敷き詰める際に、外周部において半端部が形成されるが、このような半端部は、切除することにより、洗い場ベース床部の形状に合わせて、その上面の全面に亘って敷き詰めるようにすればよい。或いは、予め洗い場ベース床部の形状に合わせて、外周部専用の表面床パーツを形成するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明に係る浴室床構造の一実施形態を用いた浴室ユニットの一例を模式的に示す概略縦断面図及び該概略縦断面図の一点鎖線内を拡大して示す概略拡大縦断面図である。
【図2】(a)、(b)は、いずれも同実施形態に係る浴室床構造を示し、(a)は、概略平面図、(b)は、(a)におけるX−X線矢視概略縦断面図である。
【図3】(a)、(b)は、いずれも同浴室床構造における表面床パーツの着脱方法の一例を説明する図であり、(a)は、概略平面図、(b)は、(a)におけるY−Y線矢視概略縦断面図である。
【図4】(a)は、同着脱方法を説明する概略平面図、(b)は、表面床パーツの全てを脱離させた状態を示す概略平面図である。
【図5】(a)〜(c)は、いずれも同実施形態に係る浴室床構造に用いられる表面床パーツの変形例を示し、(a)は、概略平面図、(b)は、(a)におけるV矢視概略側面図、(c)は、(a)におけるW矢視概略側面図である。
【図6】同変形例の表面床パーツの連結構造を説明する概略底面図である。
【図7】(a)〜(c)は、いずれも同実施形態に係る浴室床構造に用いられる表面床パーツの他の変形例をそれぞれ示す概略平面図である。
【符号の説明】
【0052】
3,3A,3B,3C,3D 表面床パーツ
30a,30Aa,30Ba,30Ca,30Da 表面床パーツの上面
30b,30Ab,30Bb,30Cb,30Db 表面床パーツの外周部
31,31A,31B,31C,31D 表面床パーツの突片部
21 洗い場ベース床部(浴室ベース床部)
21a 洗い場ベース床部の上面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室ベース床部の上面に、複数枚の表面床パーツを取外し可能に敷き詰めて、洗い場床面を構成するようにしていることを特徴とする浴室床構造。
【請求項2】
請求項1において、
前記複数枚の表面床パーツは、それぞれ略同寸の多角形状とされていることを特徴とする浴室床構造。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記表面床パーツの外周部には、該表面床パーツの上面より段落ち状に形成された突片部が設けられており、
前記浴室ベース床部の上面に前記表面床パーツを敷き詰めた際には、前記突片部が隣接する該表面床パーツ同士の間に介在されて床目地を形成するようにしていることを特徴とする浴室床構造。
【請求項4】
請求項3において、
前記突片部は、軟質材からなることを特徴とする浴室床構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−228367(P2009−228367A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−77738(P2008−77738)
【出願日】平成20年3月25日(2008.3.25)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】