浴室殺菌システム
【課題】本発明は、浴槽水を使用して変性された殺菌水を散布した後に、上水を使用して変性された殺菌水を散布することで、洗い場床上に新鮮な殺菌水を滞留させることが可能な浴室殺菌システムを提供する。
【解決手段】散水部と、導水路と、上水管路と、ポンプと、殺菌装置と、上水管路内の上水を導水路内に導入するか否かを切替える切替え弁と、制御装置と、を備え、制御装置は、ポンプと殺菌装置を駆動させて浴槽水を殺菌水に変性して散水した後、ポンプの駆動を停止した状態で切替え弁から上水を導水路内に導入して上水を殺菌水に変性して散水することを特徴とする浴室殺菌システムを提供する。
【解決手段】散水部と、導水路と、上水管路と、ポンプと、殺菌装置と、上水管路内の上水を導水路内に導入するか否かを切替える切替え弁と、制御装置と、を備え、制御装置は、ポンプと殺菌装置を駆動させて浴槽水を殺菌水に変性して散水した後、ポンプの駆動を停止した状態で切替え弁から上水を導水路内に導入して上水を殺菌水に変性して散水することを特徴とする浴室殺菌システムを提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、浴室の洗い場床上に殺菌水を吐水して、洗い場床面上における細菌の発生を抑制する浴室殺菌システムに関する。
【背景技術】
【０００２】
従来、殺菌性物質又はイオンを含有する殺菌水を浴室の壁や洗い場床に散布して、細菌の発生を抑制する浴室防汚装置が提案されている（例えば、特許文献１参照。）。
斯かる浴室防汚装置においては、殺菌水を霧状、粒状、流水状等の形態で、浴室壁や洗い場床に散布することにより、細菌に起因する浴室壁や洗い場床の表面に生じる汚れを防止することができることが開示されている。
【特許文献１】特開平９−２２０２７３号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００３】
しかしながら、特許文献１では、散布される殺菌水の全てが上水を殺菌水に変性して生成されたものであるため、広範囲に殺菌水を散布する場合、多量の上水を使用することが必要となる。
【０００４】
そこで、浴槽の残り湯（浴槽水）を殺菌水に変性して浴室内に散布することが考えられるが、その場合、浴槽水には皮脂や石鹸カスなどの有機物汚れが混ざっているため、上水を変性して生成された殺菌水に比べて効果が低くなるおそれがある。特に、殺菌水は長時間、滞留させることで、その効果をより向上させるものであるため、最終的に洗い場床上に滞留する殺菌水は上水を変性したものであることが好ましい。
【０００５】
本発明は上述の問題に鑑みてなされ、浴槽水を利用した節水が可能な浴室殺菌システムであって、浴槽水を使用して変性された殺菌水を散布した後に、上水を使用して変性された殺菌水を散布することで、洗い場床上に新鮮な殺菌水を滞留させることが可能な浴室殺菌システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
本発明の一態様によれば、洗い場床上に殺菌水を散水するための散水部と、浴槽内の浴槽水を前記散水部に導くための導水路と、前記導水路の途上に合流するように取り付けられた上水管路と、前記導水路における前記上水管路との合流部より前記散水部側に設けられ、前記浴槽内の浴槽水を前記散水部に圧送するためのポンプと、前記導水路における前記上水管路との合流部より前記散水部側に設けられ、浴槽水または上水を殺菌水に変性するための殺菌装置と、前記上水管路内の上水を導水路内に導入するか否かを切替える切替え弁と、前記ポンプと前記殺菌装置と前記切替え弁とを制御する制御装置と、を備えた浴室殺菌システムであって、前記制御装置は、前記ポンプと前記殺菌装置を駆動させて浴槽水を殺菌水に変性して散水した後、前記ポンプの駆動を停止した状態で前記切替え弁から上水を導水路内に導入して上水を殺菌水に変性して散水することを特徴とする浴室殺菌システムを提供する。
【発明の効果】
【０００７】
本発明に係る浴室殺菌システムによれば、浴槽水を利用した節水が可能な浴室殺菌システムであって、浴槽水を使用して変性された殺菌水を散布した後に、上水を使用して変性された殺菌水を散布することで、洗い場床上に新鮮な殺菌水を滞留させることが可能な浴室殺菌システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００８】
本発明に係る浴室殺菌システムの一実施形態について、添付図面を参照して説明する。図１は、本実施形態に係る浴室殺菌システムの全体的な概要を示すものである。
この浴室殺菌システムは、浴槽２と、浴槽２の長辺側に隣接する洗い場床３と、浴槽２側から洗い場床３を隔てて浴槽２に対向する第一の壁面４へ横設された浴室カウンタ５と、浴室殺菌装置１とから構成される。洗い場床３は、排水口７内に向かって排水用の下り勾配が取られている。ここで、浴室カウンタ５は、第二の壁面４２に取り付けられており、浴槽２のリム２ａより低い位置に配置されている。また、この浴室には、洗い場床３の浴槽２側端辺から、浴槽２の洗い場床３側端辺までを掩蔽するバスエプロン６と、洗い場床３の浴槽２側端辺に、洗い場床３より一段低く形成され、排水トラップ（図示せず）が取設される排水口７が設けられ、排水口７上面には、洗い場床上の水が排水口７内に流入可能な程度の隙間を空けて排水蓋８が載置される。浴槽水取水口７６を浴槽２に設け、浴槽水導水路７０を機能ユニット（殺菌装置）１１まで接続し、機能ユニット１１内で殺菌水に変えて、散布部１２から浴室内の洗い場床３に散布する。浴槽水導水路７０の途上には、ポンプ７１を設けて浴槽水を自吸する。
【０００９】
給湯機４４は、上流の給水管４５および下流の給湯管１６と繋がっている。また、風呂往き管４７と風呂戻り管４８を通じて浴槽２と繋がっている。給湯機４４で加熱された湯は給湯管１６を通じて、洗い場水栓（吐水部）から出湯される。また、浴室には浴室リモコン４９が設置されている。浴室リモコン４９は、通信線５０を通じて、給湯機４４の制御部（図示せず）と双方向で通信している。また、給湯機４４の制御部により、給湯機４４から風呂往き管４７と風呂戻り管４８を通じて浴槽２へのお湯はり運転を行ったり、また、浴槽水の追焚運転を行ったりする。
【００１０】
浴室リモコン４９には、給湯設定温度などを表示する表示部５１と、運転スイッチ５２と、運転スイッチ５２がＯＮ状態の時に点灯する点灯部５２ａと、湯はりスイッチ５３と、湯はりスイッチ５３がＯＮ状態の時に点灯する点灯部５３ａと、追焚スイッチ５４と、追焚スイッチ５４がＯＮ状態の時に点灯する点灯部５４ａと、音声を発生させたりブザー音を鳴動させるためのスピーカー５５と、給湯設定温度を設定するための給湯温度設定スイッチ５６ａ、５６ｂが備えられている。
【００１１】
浴室殺菌装置１は、制御ボックス（制御装置）１０と、機能ユニット１１と、殺菌水吐水部に該当する散水部１２と、リモコン１３とを備える。
制御ボックス１０は、浴室の天井裏に設置され、リモコン１３からの指示により、機能ユニット１１内の後述する電磁弁及び電解槽を制御する。機能ユニット１１は、殺菌水を生成するユニットであり、浴室カウンタ内に内蔵され、その先端には殺菌水を散布する散水部１２が接続される。
【００１２】
リモコン１３は、浴室前の更衣室等の壁面に設置され、スイッチ１３ａとＬＥＤ１３ｂとを備える。スイッチ１３ａをＯＮにすると、浴室殺菌装置１が作動を開始するとともに、ＬＥＤ１３ｂが点灯し、浴室殺菌装置１が作動中であることを表示する。
【００１３】
浴室カウンタ５内部には、図２に示すように、洗い場水栓（吐水部）に給水／給湯する上水管１５及び給湯管１６が配管される。このうち上水管１５は、上水管分岐部７５で分岐されて、機能ユニット１１に水を供給する水道水導入管１７が接続される。この水道水導入管１７の途中には止水栓１８が設けられ、この止水栓１８を閉めることにより、機能ユニット１１を取り外す際にも、浴室の通常の使用に支障を来さないようになっている。
【００１４】
浴槽水を機能ユニット１１まで導水する浴槽水導水路７０が設けられ、途中にポンプ７１が取設される。ポンプ前段にはストレーナ７２を設け、径の大きなゴミなどの異物を捕獲する。浴槽２に取設される浴槽水取水口７６に付設されるフィルター（図示しない）とストレーナ７２により、浴槽水中の髪の毛やゴミなどを捕獲し、ポンプの作動不良を防止する。浴槽水導水路７０は、合流部７３で機能ユニット１１と合流し、合流部７３の前段には、浴槽水導水路用の逆止弁７４を設ける。浴槽水導水路用の逆止弁７４は、水道水導入管１７からの水道水を機能ユニット１１に通水して殺菌水を生成中に、浴槽水導水路７０側に合流部７３から水道水が入るのを防止する。
【００１５】
以上に述べた配管図を図３にまとめた。上水管１５が、上水管分岐部７５で分岐して、一方は洗い場水栓７７へ、もう一方は散水部１２から殺菌水となって吐水される。洗い場水栓７７には給湯管１６も接続される。上水管分岐部７５で分岐された水道水は、止水栓１８、電磁弁２２（切替え弁）、合流部７３、電解槽２６を通り散水部１２から吐水される。浴槽水を殺菌水として利用する場合は、電磁弁２２を閉めて、ポンプ７１を作動させる。浴槽水は浴槽水導水路７０を通って合流部７３、電解槽２６を通り散水部１２から吐水される。電磁弁２２、ポンプ７１、電解槽２６は制御ボックス１０から作動を制御される。
【００１６】
水道水導入管１７により導入された水は、機能ユニット１１内において殺菌水に変成され、殺菌水導出管１９を経由して散水部１２へと送られる。
【００１７】
機能ユニット１１は、図４（ａ）に示すように、ケース２０内に、水道水導入管１７に接続する流入口２１を介して順に、電磁弁２２、定流量弁２３、大気開放弁２４、逆止弁２５、及び電解槽２６が連通され、電解槽２６は、流出口２７を介して殺菌水導出管に接続される。また、浴槽水は合流部７３から機能ユニットに流入する。流入口２１および流出口２７は浴室カウンターの前端部側に配置されるように取設されており、流入口と流出口の軸はそれぞれ対角位置に配置されている。電解槽を介して流入口と流出口を連通するための管路部は、流入口から浴室カウンターの後端部側に直進する往路部と、流出口から浴室カウンターの後端部側に直進する復路部と、往路部および復路部の浴室カウンター後端部側の端部を連通するためにＵ字状に屈曲すると共に、復路部が往路部に比べて高い位置に配置されるように取り付けられる屈曲部と、を有している。
【００１８】
機能ユニット１１は、ケース２０内にウレタン樹脂２８が充填されて、防水構造とされている。これにより、電気部品の端子部の防水と、通水部からの漏水が防止される。
また、図４（ｂ）に示すように、機能ユニット１１の大きさを最小とすべく、流入ロ２１と流出口２７の軸が、ケース２０の対角に位置するように配設される。
【００１９】
リモコン１３のスイッチ１３ａが押されると、制御ボックス１０からの指示により電磁弁２２が開閉する。そして、電磁弁２２が開くことにより通水され、定流量弁２３により流量が一定に保たれる。これにより、生成される殺菌水の濃度が一定に保たれると同時に、散水部１２から散布される殺菌水の水圧も一定に保たれ、所望の範囲に殺菌水を散布することが可能となる。
【００２０】
通水状態になると、電解槽２６の電極２９に通電が開始され、電極２９の電気分解が行われて銀イオンが発生する。銀イオンを含有する水は殺菌水として散水部１２へ送られる。こうして生成された殺菌水は、逆止弁２５により給水管１５へと逆流することが防止される。
【００２１】
大気開放弁２４は、通電時（電磁弁開）においては閉止状態になって、水が外部に漏出することが防止され、待機時（電磁弁閉）には開放状態になって、逆止弁２５より下流側は空気と置換される。これにより、電解槽２６内に残存水が残ることが防止される。
【００２２】
電解槽２６の電極２９は、銀、銀合金または銀メッキ金属により形成され、電極２９の電気分解が行われると銀イオンが発生する。この電極２９は、図５（ａ）に示すように、電極２９同士が水平になるような位置関係で設置されている。これにより、図５（ｂ）に示すように、待機時に残存水の表面張力による電極の導通状態が回避される。このようにすることで、電解槽をコンパクト（厚みを薄く）にしても、待機時に残存水の表面張力によって電極が導通状態になることを回避できる。
【００２３】
散水部１２は、図６に示すように、大別して、殺菌水導出管１９に接続されるボディ３０と、その先端に軸支される回転体３１とから構成される。回転体３１はまた、上側部材３２と下側部材３３とに分割され、ワッシャ３４を介して、固定ビス３５により、ボディ３１の先端に回転自在に取設される（図８参照。）。回転体３１はこのように取り外し可能かつ分解可能に形成されているので、その内部及びボディ３０の先端を清掃することができる。
【００２４】
回転体３１（の下側部材３３）には、図７（ａ）に示すように、４対８個の液体噴出孔３３ａ，３３ｂ，３３ｃ，３３ｄが設けられる。これらの液体噴出孔３３ａ，３３ｂ，３３ｃ，３３ｄは、回転体３１の回転中心から同一方向へ同一距離偏心して設けられるので、通水状態になると、水流により回転し、洗い場床３ヘ殺菌水を万遍なく散布することができる。
【００２５】
これらのうち、液体噴出孔３３ａは、図７（ｂ）に示すように、水平に開口するものの、液体噴出孔３３ｂは、図７（ｃ）に示すように、仰角４°に開口する。また、液体噴出孔３３ｃは、図７（ｄ）に示すように、仰角８°に、液体噴出孔３３ｄは、図７（ｄ）に示すように、仰角１２°にそれぞれ開口する。
【００２６】
これにより、洗い場床３の散水部近傍から遠方まで、万遍なく散布することができる。なお、各液体噴出孔の仰角は、散布する洗い場床の広さに応じて適宜決定される。
ところで、ボディ３０の先端は、図８に示すように、直径Ｄ１に形成された軸先端３０ａのさらに先に直径Ｄ２の最先端３０ｂが段落ちして形成される。これに対応して、上側部材３２には、軸先端３０ａが挿通可能な直径Ｄ１’の挿通孔３２ａが形成され、下側部材３３には、最先端３０ｂが挿通可能なものの軸先端３０ａは挿通不能な直径Ｄ２’’の挿通孔３３ｅが形成される。
【００２７】
これにより、回転体３１を分解した後、誤って上側部材３２と下側部材３３とを上下逆に取り付けることが防止されるので、液体噴出孔３３ｂ，３３ｃ，３３ｄは仰角を確保でき、常に上方を指向して開口する。
【００２８】
本実施の形態に係る浴室殺菌システムは上記のように構成されており、以下その殺菌水散布状態について説明する。図９は、殺菌水の散布状態を示す平面図であり、図１０は同立面図である。
【００２９】
図９に示すＧのエリアは、主に仰角０°の液体噴出孔３３ａからの殺菌水が散布されるエリアであり、同Ｈのエリアは、主に仰角４°の液体噴出孔３３ｂからの殺菌水が散布されるエリア、同じく、Ｉ及びＪのエリアは、それぞれ主に仰角８°及び１２°の液体噴出孔３３ｃ及び３３ｄからの殺菌水が散布されるエリアである。このように、液体噴出口３３ａ，３３ｂ，３３ｃ，３３ｄの仰角を異ならせることにより広範囲に亘って殺菌水を散布することが可能となる。
【００３０】
これに対し、図９に示すＦのエリアには、殺菌水は直接散布されない。このエリアには、図１０に示すように、散水部１２より奥側で浴室カウンタが取設される第二の壁面４２、第二の壁面近傍側の第一の壁面４、または第二の壁面近傍側のバスエプロン６に当たり跳ね返った水、及び跳ね返った後そこから洗い場床３の勾配に沿って流れ下る殺菌水により洗浄される。このように、散水部１２が回転して吐水する形態であるため、散水部から離れたエリアＧ，Ｈ，Ｉ，Ｊエリア用の液体噴出孔を設けておけば、必然的に散水部１２近傍の洗い場床上は、大量の殺菌水が流れることになる。これにより、洗い場床上全面に殺菌水を行き渡らせることが可能となる。特に、水道圧力のみで、散水部１２遠方側まで殺菌水を散布するためには、液体噴出孔の総孔面積に限界があるが、本実施形態では、散水部から離れたエリアＧ，Ｈ，Ｉ，Ｊエリア用の液体噴出孔のみで足りるため、水道水圧のみで洗い場床の全面に殺菌水を行き渡らせることができる。
【００３１】
この点、散水部１２は、浴槽２と洗い場床３を隔てて対向する壁面４近傍、すなわち、排水口７と対角位置となるに水上に取設されるので、散水部近傍においても殺菌水が廻らないエリアはない。
【００３２】
また、散水部１２は、浴室カウンタ５下部に取設されるので、浴室カウンタ５下部が陰になって、殺菌水が廻らないということもない。
【００３３】
他方、液体噴出口３３ｄの仰角は一定以下に抑えられるので、無闇に広いエリアに散布することはなく、経済的であるばかりでなく、図１０に示すように、殺菌水は最高位置でも浴槽２のリム２ａの高さを超えないので、風呂蓋に殺菌水がかかることもない。
【００３４】
さらに、殺菌水は、バスエプロン６に向かっても散布されるので、図１１に示すように、排水口７上の排水蓋８とバスエプロン６との間にできる隙間には、バスエプロン６に当たって流れ落ちる殺菌水によって洗浄される。このように、洗い場床３を流れ落ちる殺菌水だけでは網羅できないエリア（排水口におけるバスエプロン６側の端辺であって、特にその中央付近は洗い場床上を流れた殺菌水が流れにくい。）も洗浄することができる。
【００３５】
散水部１２は、広範囲に洗浄水を散布する固定ノズル７７でも構わない。図１２に示すような固定ノズル７７から、洗い場床３に向けて殺菌水を吐水する。図１２に示すように排水口７と反対側の壁付近に洗浄水を吐水すれば、洗い場床３が有する排水口に向かう傾斜を利用して洗浄水を流せるため、ほぼ全面の洗い場床３に殺菌水を接触させることが可能となる。
【００３６】
図１３は、本発明の実施例を示すフローチャートである。浴室殺菌ＳＷがＯＮされると、浴槽水の検知を行う。検知方法は、給湯機４４内に設置される圧力センサー（図示せず）により、風呂往き管４７や風呂戻り管４８内の水圧を検知し、浴槽水がある場合に前記水圧が高く、浴槽水がない場合は水圧が低くなるのを利用する。また、浴槽水導水路７０に水検知センサーを設けて、浴槽水の検知を行ってもよい。浴槽水導水路７０は機能ユニット１１と、洗濯機（図示せず）に分岐して接続する配管を組んでもよい。
【００３７】
浴槽水が検知されると、ポンプ７１が駆動し、浴槽水を機能ユニット１１まで圧送する。この時、電磁弁２２は閉じている。殺菌装置をＯＮにし、電解槽２６への通電を開始して、電極２９から水中に銀イオンを溶出させる。タイマーが所定時間Ｔ０をカウントしたら、ポンプ７１を閉じ、殺菌水生成装置を停止する。殺菌水を吐水する所定時間は、洗い場全面を万遍なく洗浄する時間Ｔ0に設定する。その後、電磁弁２２を開き、殺菌装置をＯＮして、水道水から生成したフレッシュな殺菌水を所定時間Ｔ１、洗い場に吐水する。浴槽水を用いた殺菌水で十二分に洗い場床を洗い、水道水を用いた殺菌水吐水は、洗い場床３や排水口内を清浄にする仕上げ洗浄を行う。従って、洗浄時間はＴ０＞Ｔ１と設定する。人が入浴した浴槽水と違い、皮脂などの有機物が含まれていない水道水で生成した殺菌水で、洗い場床や排水口内の水をほぼ完全に置換することで、細菌が原因となるヌメリやニオイを長期間抑制することが可能となる。
【００３８】
浴槽水が検知されない場合は、電磁弁２２を開き、殺菌水生成装置をＯＮして、水道水から生成した殺菌水を所定時間Ｔ１、洗い場に吐水する。Ｔ１は、洗い場床３や排水口内を殺菌水でほぼ完全に置換する時間に設定するが、浴槽水がない場合は、ある場合に比べて時間Ｔ１を長く設定してもよい。尚、導水路における上水管路との合流部より散水部側に定流量弁を設けても良い。この位置に定流量弁を設けることで、浴槽水を利用して山水する際と、上水を利用して散水する際の散水量を一定にすることができる。
【００３９】
また、本実施例に記載した銀イオン殺菌水は、鏡や水栓に付着すると黒ずみやすいことが本発明の過程で分かった。一方、洗い場床や壁表面、バスエプロンにかかっても黒ずまないことを見出した。銀イオン水の散水部１２を浴室カウンタ５の下に設置したのは、浴室カウンタが障壁となって、浴室カウンタの上方に設置される鏡や水栓に銀イオン水がかからないためである。、固定ノズル７７を浴室カウンタ７７の前面に設け、銀イオン水吐水を洗い場床に向けて吐水するのも、鏡や水栓に銀イオン水がかからないようにするためである。回転ノズル、固定ノズルとも、吐水する銀イオン水が鏡や水栓にかからない位置に設置する実施例は全て本発明に含まれる。
【００４０】
本実施例における殺菌水としては、銀イオン水以外でも、殺菌性物質又はイオンを含有する水を例示することができる。具体的には、遊離塩素、抗菌性金属（例えば、銅、亜鉛等）又はそのイオン、オゾン、オゾン含有水、結合塩素、有機塩素系消毒液、有機リン酸系消毒液、ベルオクソ炭酸イオン又はその塩、アルコール系消毒液などを挙げることができる。
【００４１】
尚、上述した本実施形態による浴室殺菌システムによれば、以下の効果が得られる。
浴槽水を利用した節水が可能な浴室殺菌システムであって、浴槽水を使用して変性された殺菌水を散布した後に、上水を使用して変性された殺菌水を散布することで、洗い場床上に新鮮な殺菌水を滞留させることが可能な浴室殺菌システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【００４２】
【図１】本発明に係る浴室殺菌システムの全体概要を示す図。
【図２】浴室カウンタ裏面に取設された機能部を示す図で、（ａ）は平面図、（ｂ）は正面図、（ｃ）は側面図。
【図３】浴室カウンタ内の配管構成を表す図。
【図４】機能部の詳細を示す図で、（ａ）は正面図、（ｂ）は側面図図。
【図５】銀電極の配置を模式的に説明する図。
【図６】散布部の構成を示す図。
【図７】散布部の回転体を示す図で、（ａ）は平面図、（ｂ）はＢ−Ｂ断面図、（ｃ）はＣ−Ｃ断面図、（ｄ）はＤ−Ｄ断面図、（ｅ）はＥ−Ｅ断面図。
【図８】散布部の分解断面図。
【図９】殺菌水の散布状態を示す平面図。
【図１０】殺菌水の散布状態を示す立面図。
【図１１】排水口廻りにおける殺菌水の散布状態を示す斜視図。
【図１２】散布部が固定ノズルの場合の散布状態を表す図。
【図１３】本発明の実施例となるフローチャート。
【符号の説明】
【００４３】
１ 浴槽殺菌装置
２ 浴槽
２ａ リム
３ 洗い場床
４ 第一の壁面
５ 浴室カウンタ
６ バスエプロン
７ 排水口
８ 排水蓋
１０ 制御ボックス
１１ 機能ユニット
１２ 散布部
１３ リモコン
１３ａ スイッチ
１３ｂ ＬＥＤ
１５ 上水管
１６ 給湯管
１７ 水道水導入管
１８ 止水栓
１９ 殺菌水導出管
２０ ケース
２１ 流入口
２２ 電磁弁
２３ 定流量弁
２４ 大気開放弁
２５ 逆止弁
２６ 電解槽
２７ 流出口
２８ ウレタン樹脂
２９ 電極
３０ ボディ
３０ａ 軸先端
３０ｂ 最先端
３１ 回転体
３２ 上側部材
３２ａ ３３ｅ 挿通孔
３３ａ，３３ｂ，３３ｃ，３３ｄ 液体噴出孔３３ 下側部材
３４ ワッシャ
３５ 固定ビス
４２ 第二の壁面
４４ 給湯機
４５ 給水管
４７ 風呂往き管
４８ 風呂戻り管
４９ 浴室リモコン
５０ 通信線
５１ 表示部
５２ 運転スイッチ
５３ 湯はりスイッチ
５４ 追焚スイッチ
５５ スピーカー
５６ａ、５６ｂ 給湯温度設定スイッチ
７０ 浴槽水導水路
７１ ポンプ
７２ ストレーナ
７３ 合流部
７４ 浴槽水導水路用の逆止弁
７５ 上水管分岐部
７６ 浴槽水取水口
【技術分野】
【０００１】
本発明は、浴室の洗い場床上に殺菌水を吐水して、洗い場床面上における細菌の発生を抑制する浴室殺菌システムに関する。
【背景技術】
【０００２】
従来、殺菌性物質又はイオンを含有する殺菌水を浴室の壁や洗い場床に散布して、細菌の発生を抑制する浴室防汚装置が提案されている（例えば、特許文献１参照。）。
斯かる浴室防汚装置においては、殺菌水を霧状、粒状、流水状等の形態で、浴室壁や洗い場床に散布することにより、細菌に起因する浴室壁や洗い場床の表面に生じる汚れを防止することができることが開示されている。
【特許文献１】特開平９−２２０２７３号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００３】
しかしながら、特許文献１では、散布される殺菌水の全てが上水を殺菌水に変性して生成されたものであるため、広範囲に殺菌水を散布する場合、多量の上水を使用することが必要となる。
【０００４】
そこで、浴槽の残り湯（浴槽水）を殺菌水に変性して浴室内に散布することが考えられるが、その場合、浴槽水には皮脂や石鹸カスなどの有機物汚れが混ざっているため、上水を変性して生成された殺菌水に比べて効果が低くなるおそれがある。特に、殺菌水は長時間、滞留させることで、その効果をより向上させるものであるため、最終的に洗い場床上に滞留する殺菌水は上水を変性したものであることが好ましい。
【０００５】
本発明は上述の問題に鑑みてなされ、浴槽水を利用した節水が可能な浴室殺菌システムであって、浴槽水を使用して変性された殺菌水を散布した後に、上水を使用して変性された殺菌水を散布することで、洗い場床上に新鮮な殺菌水を滞留させることが可能な浴室殺菌システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
本発明の一態様によれば、洗い場床上に殺菌水を散水するための散水部と、浴槽内の浴槽水を前記散水部に導くための導水路と、前記導水路の途上に合流するように取り付けられた上水管路と、前記導水路における前記上水管路との合流部より前記散水部側に設けられ、前記浴槽内の浴槽水を前記散水部に圧送するためのポンプと、前記導水路における前記上水管路との合流部より前記散水部側に設けられ、浴槽水または上水を殺菌水に変性するための殺菌装置と、前記上水管路内の上水を導水路内に導入するか否かを切替える切替え弁と、前記ポンプと前記殺菌装置と前記切替え弁とを制御する制御装置と、を備えた浴室殺菌システムであって、前記制御装置は、前記ポンプと前記殺菌装置を駆動させて浴槽水を殺菌水に変性して散水した後、前記ポンプの駆動を停止した状態で前記切替え弁から上水を導水路内に導入して上水を殺菌水に変性して散水することを特徴とする浴室殺菌システムを提供する。
【発明の効果】
【０００７】
本発明に係る浴室殺菌システムによれば、浴槽水を利用した節水が可能な浴室殺菌システムであって、浴槽水を使用して変性された殺菌水を散布した後に、上水を使用して変性された殺菌水を散布することで、洗い場床上に新鮮な殺菌水を滞留させることが可能な浴室殺菌システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００８】
本発明に係る浴室殺菌システムの一実施形態について、添付図面を参照して説明する。図１は、本実施形態に係る浴室殺菌システムの全体的な概要を示すものである。
この浴室殺菌システムは、浴槽２と、浴槽２の長辺側に隣接する洗い場床３と、浴槽２側から洗い場床３を隔てて浴槽２に対向する第一の壁面４へ横設された浴室カウンタ５と、浴室殺菌装置１とから構成される。洗い場床３は、排水口７内に向かって排水用の下り勾配が取られている。ここで、浴室カウンタ５は、第二の壁面４２に取り付けられており、浴槽２のリム２ａより低い位置に配置されている。また、この浴室には、洗い場床３の浴槽２側端辺から、浴槽２の洗い場床３側端辺までを掩蔽するバスエプロン６と、洗い場床３の浴槽２側端辺に、洗い場床３より一段低く形成され、排水トラップ（図示せず）が取設される排水口７が設けられ、排水口７上面には、洗い場床上の水が排水口７内に流入可能な程度の隙間を空けて排水蓋８が載置される。浴槽水取水口７６を浴槽２に設け、浴槽水導水路７０を機能ユニット（殺菌装置）１１まで接続し、機能ユニット１１内で殺菌水に変えて、散布部１２から浴室内の洗い場床３に散布する。浴槽水導水路７０の途上には、ポンプ７１を設けて浴槽水を自吸する。
【０００９】
給湯機４４は、上流の給水管４５および下流の給湯管１６と繋がっている。また、風呂往き管４７と風呂戻り管４８を通じて浴槽２と繋がっている。給湯機４４で加熱された湯は給湯管１６を通じて、洗い場水栓（吐水部）から出湯される。また、浴室には浴室リモコン４９が設置されている。浴室リモコン４９は、通信線５０を通じて、給湯機４４の制御部（図示せず）と双方向で通信している。また、給湯機４４の制御部により、給湯機４４から風呂往き管４７と風呂戻り管４８を通じて浴槽２へのお湯はり運転を行ったり、また、浴槽水の追焚運転を行ったりする。
【００１０】
浴室リモコン４９には、給湯設定温度などを表示する表示部５１と、運転スイッチ５２と、運転スイッチ５２がＯＮ状態の時に点灯する点灯部５２ａと、湯はりスイッチ５３と、湯はりスイッチ５３がＯＮ状態の時に点灯する点灯部５３ａと、追焚スイッチ５４と、追焚スイッチ５４がＯＮ状態の時に点灯する点灯部５４ａと、音声を発生させたりブザー音を鳴動させるためのスピーカー５５と、給湯設定温度を設定するための給湯温度設定スイッチ５６ａ、５６ｂが備えられている。
【００１１】
浴室殺菌装置１は、制御ボックス（制御装置）１０と、機能ユニット１１と、殺菌水吐水部に該当する散水部１２と、リモコン１３とを備える。
制御ボックス１０は、浴室の天井裏に設置され、リモコン１３からの指示により、機能ユニット１１内の後述する電磁弁及び電解槽を制御する。機能ユニット１１は、殺菌水を生成するユニットであり、浴室カウンタ内に内蔵され、その先端には殺菌水を散布する散水部１２が接続される。
【００１２】
リモコン１３は、浴室前の更衣室等の壁面に設置され、スイッチ１３ａとＬＥＤ１３ｂとを備える。スイッチ１３ａをＯＮにすると、浴室殺菌装置１が作動を開始するとともに、ＬＥＤ１３ｂが点灯し、浴室殺菌装置１が作動中であることを表示する。
【００１３】
浴室カウンタ５内部には、図２に示すように、洗い場水栓（吐水部）に給水／給湯する上水管１５及び給湯管１６が配管される。このうち上水管１５は、上水管分岐部７５で分岐されて、機能ユニット１１に水を供給する水道水導入管１７が接続される。この水道水導入管１７の途中には止水栓１８が設けられ、この止水栓１８を閉めることにより、機能ユニット１１を取り外す際にも、浴室の通常の使用に支障を来さないようになっている。
【００１４】
浴槽水を機能ユニット１１まで導水する浴槽水導水路７０が設けられ、途中にポンプ７１が取設される。ポンプ前段にはストレーナ７２を設け、径の大きなゴミなどの異物を捕獲する。浴槽２に取設される浴槽水取水口７６に付設されるフィルター（図示しない）とストレーナ７２により、浴槽水中の髪の毛やゴミなどを捕獲し、ポンプの作動不良を防止する。浴槽水導水路７０は、合流部７３で機能ユニット１１と合流し、合流部７３の前段には、浴槽水導水路用の逆止弁７４を設ける。浴槽水導水路用の逆止弁７４は、水道水導入管１７からの水道水を機能ユニット１１に通水して殺菌水を生成中に、浴槽水導水路７０側に合流部７３から水道水が入るのを防止する。
【００１５】
以上に述べた配管図を図３にまとめた。上水管１５が、上水管分岐部７５で分岐して、一方は洗い場水栓７７へ、もう一方は散水部１２から殺菌水となって吐水される。洗い場水栓７７には給湯管１６も接続される。上水管分岐部７５で分岐された水道水は、止水栓１８、電磁弁２２（切替え弁）、合流部７３、電解槽２６を通り散水部１２から吐水される。浴槽水を殺菌水として利用する場合は、電磁弁２２を閉めて、ポンプ７１を作動させる。浴槽水は浴槽水導水路７０を通って合流部７３、電解槽２６を通り散水部１２から吐水される。電磁弁２２、ポンプ７１、電解槽２６は制御ボックス１０から作動を制御される。
【００１６】
水道水導入管１７により導入された水は、機能ユニット１１内において殺菌水に変成され、殺菌水導出管１９を経由して散水部１２へと送られる。
【００１７】
機能ユニット１１は、図４（ａ）に示すように、ケース２０内に、水道水導入管１７に接続する流入口２１を介して順に、電磁弁２２、定流量弁２３、大気開放弁２４、逆止弁２５、及び電解槽２６が連通され、電解槽２６は、流出口２７を介して殺菌水導出管に接続される。また、浴槽水は合流部７３から機能ユニットに流入する。流入口２１および流出口２７は浴室カウンターの前端部側に配置されるように取設されており、流入口と流出口の軸はそれぞれ対角位置に配置されている。電解槽を介して流入口と流出口を連通するための管路部は、流入口から浴室カウンターの後端部側に直進する往路部と、流出口から浴室カウンターの後端部側に直進する復路部と、往路部および復路部の浴室カウンター後端部側の端部を連通するためにＵ字状に屈曲すると共に、復路部が往路部に比べて高い位置に配置されるように取り付けられる屈曲部と、を有している。
【００１８】
機能ユニット１１は、ケース２０内にウレタン樹脂２８が充填されて、防水構造とされている。これにより、電気部品の端子部の防水と、通水部からの漏水が防止される。
また、図４（ｂ）に示すように、機能ユニット１１の大きさを最小とすべく、流入ロ２１と流出口２７の軸が、ケース２０の対角に位置するように配設される。
【００１９】
リモコン１３のスイッチ１３ａが押されると、制御ボックス１０からの指示により電磁弁２２が開閉する。そして、電磁弁２２が開くことにより通水され、定流量弁２３により流量が一定に保たれる。これにより、生成される殺菌水の濃度が一定に保たれると同時に、散水部１２から散布される殺菌水の水圧も一定に保たれ、所望の範囲に殺菌水を散布することが可能となる。
【００２０】
通水状態になると、電解槽２６の電極２９に通電が開始され、電極２９の電気分解が行われて銀イオンが発生する。銀イオンを含有する水は殺菌水として散水部１２へ送られる。こうして生成された殺菌水は、逆止弁２５により給水管１５へと逆流することが防止される。
【００２１】
大気開放弁２４は、通電時（電磁弁開）においては閉止状態になって、水が外部に漏出することが防止され、待機時（電磁弁閉）には開放状態になって、逆止弁２５より下流側は空気と置換される。これにより、電解槽２６内に残存水が残ることが防止される。
【００２２】
電解槽２６の電極２９は、銀、銀合金または銀メッキ金属により形成され、電極２９の電気分解が行われると銀イオンが発生する。この電極２９は、図５（ａ）に示すように、電極２９同士が水平になるような位置関係で設置されている。これにより、図５（ｂ）に示すように、待機時に残存水の表面張力による電極の導通状態が回避される。このようにすることで、電解槽をコンパクト（厚みを薄く）にしても、待機時に残存水の表面張力によって電極が導通状態になることを回避できる。
【００２３】
散水部１２は、図６に示すように、大別して、殺菌水導出管１９に接続されるボディ３０と、その先端に軸支される回転体３１とから構成される。回転体３１はまた、上側部材３２と下側部材３３とに分割され、ワッシャ３４を介して、固定ビス３５により、ボディ３１の先端に回転自在に取設される（図８参照。）。回転体３１はこのように取り外し可能かつ分解可能に形成されているので、その内部及びボディ３０の先端を清掃することができる。
【００２４】
回転体３１（の下側部材３３）には、図７（ａ）に示すように、４対８個の液体噴出孔３３ａ，３３ｂ，３３ｃ，３３ｄが設けられる。これらの液体噴出孔３３ａ，３３ｂ，３３ｃ，３３ｄは、回転体３１の回転中心から同一方向へ同一距離偏心して設けられるので、通水状態になると、水流により回転し、洗い場床３ヘ殺菌水を万遍なく散布することができる。
【００２５】
これらのうち、液体噴出孔３３ａは、図７（ｂ）に示すように、水平に開口するものの、液体噴出孔３３ｂは、図７（ｃ）に示すように、仰角４°に開口する。また、液体噴出孔３３ｃは、図７（ｄ）に示すように、仰角８°に、液体噴出孔３３ｄは、図７（ｄ）に示すように、仰角１２°にそれぞれ開口する。
【００２６】
これにより、洗い場床３の散水部近傍から遠方まで、万遍なく散布することができる。なお、各液体噴出孔の仰角は、散布する洗い場床の広さに応じて適宜決定される。
ところで、ボディ３０の先端は、図８に示すように、直径Ｄ１に形成された軸先端３０ａのさらに先に直径Ｄ２の最先端３０ｂが段落ちして形成される。これに対応して、上側部材３２には、軸先端３０ａが挿通可能な直径Ｄ１’の挿通孔３２ａが形成され、下側部材３３には、最先端３０ｂが挿通可能なものの軸先端３０ａは挿通不能な直径Ｄ２’’の挿通孔３３ｅが形成される。
【００２７】
これにより、回転体３１を分解した後、誤って上側部材３２と下側部材３３とを上下逆に取り付けることが防止されるので、液体噴出孔３３ｂ，３３ｃ，３３ｄは仰角を確保でき、常に上方を指向して開口する。
【００２８】
本実施の形態に係る浴室殺菌システムは上記のように構成されており、以下その殺菌水散布状態について説明する。図９は、殺菌水の散布状態を示す平面図であり、図１０は同立面図である。
【００２９】
図９に示すＧのエリアは、主に仰角０°の液体噴出孔３３ａからの殺菌水が散布されるエリアであり、同Ｈのエリアは、主に仰角４°の液体噴出孔３３ｂからの殺菌水が散布されるエリア、同じく、Ｉ及びＪのエリアは、それぞれ主に仰角８°及び１２°の液体噴出孔３３ｃ及び３３ｄからの殺菌水が散布されるエリアである。このように、液体噴出口３３ａ，３３ｂ，３３ｃ，３３ｄの仰角を異ならせることにより広範囲に亘って殺菌水を散布することが可能となる。
【００３０】
これに対し、図９に示すＦのエリアには、殺菌水は直接散布されない。このエリアには、図１０に示すように、散水部１２より奥側で浴室カウンタが取設される第二の壁面４２、第二の壁面近傍側の第一の壁面４、または第二の壁面近傍側のバスエプロン６に当たり跳ね返った水、及び跳ね返った後そこから洗い場床３の勾配に沿って流れ下る殺菌水により洗浄される。このように、散水部１２が回転して吐水する形態であるため、散水部から離れたエリアＧ，Ｈ，Ｉ，Ｊエリア用の液体噴出孔を設けておけば、必然的に散水部１２近傍の洗い場床上は、大量の殺菌水が流れることになる。これにより、洗い場床上全面に殺菌水を行き渡らせることが可能となる。特に、水道圧力のみで、散水部１２遠方側まで殺菌水を散布するためには、液体噴出孔の総孔面積に限界があるが、本実施形態では、散水部から離れたエリアＧ，Ｈ，Ｉ，Ｊエリア用の液体噴出孔のみで足りるため、水道水圧のみで洗い場床の全面に殺菌水を行き渡らせることができる。
【００３１】
この点、散水部１２は、浴槽２と洗い場床３を隔てて対向する壁面４近傍、すなわち、排水口７と対角位置となるに水上に取設されるので、散水部近傍においても殺菌水が廻らないエリアはない。
【００３２】
また、散水部１２は、浴室カウンタ５下部に取設されるので、浴室カウンタ５下部が陰になって、殺菌水が廻らないということもない。
【００３３】
他方、液体噴出口３３ｄの仰角は一定以下に抑えられるので、無闇に広いエリアに散布することはなく、経済的であるばかりでなく、図１０に示すように、殺菌水は最高位置でも浴槽２のリム２ａの高さを超えないので、風呂蓋に殺菌水がかかることもない。
【００３４】
さらに、殺菌水は、バスエプロン６に向かっても散布されるので、図１１に示すように、排水口７上の排水蓋８とバスエプロン６との間にできる隙間には、バスエプロン６に当たって流れ落ちる殺菌水によって洗浄される。このように、洗い場床３を流れ落ちる殺菌水だけでは網羅できないエリア（排水口におけるバスエプロン６側の端辺であって、特にその中央付近は洗い場床上を流れた殺菌水が流れにくい。）も洗浄することができる。
【００３５】
散水部１２は、広範囲に洗浄水を散布する固定ノズル７７でも構わない。図１２に示すような固定ノズル７７から、洗い場床３に向けて殺菌水を吐水する。図１２に示すように排水口７と反対側の壁付近に洗浄水を吐水すれば、洗い場床３が有する排水口に向かう傾斜を利用して洗浄水を流せるため、ほぼ全面の洗い場床３に殺菌水を接触させることが可能となる。
【００３６】
図１３は、本発明の実施例を示すフローチャートである。浴室殺菌ＳＷがＯＮされると、浴槽水の検知を行う。検知方法は、給湯機４４内に設置される圧力センサー（図示せず）により、風呂往き管４７や風呂戻り管４８内の水圧を検知し、浴槽水がある場合に前記水圧が高く、浴槽水がない場合は水圧が低くなるのを利用する。また、浴槽水導水路７０に水検知センサーを設けて、浴槽水の検知を行ってもよい。浴槽水導水路７０は機能ユニット１１と、洗濯機（図示せず）に分岐して接続する配管を組んでもよい。
【００３７】
浴槽水が検知されると、ポンプ７１が駆動し、浴槽水を機能ユニット１１まで圧送する。この時、電磁弁２２は閉じている。殺菌装置をＯＮにし、電解槽２６への通電を開始して、電極２９から水中に銀イオンを溶出させる。タイマーが所定時間Ｔ０をカウントしたら、ポンプ７１を閉じ、殺菌水生成装置を停止する。殺菌水を吐水する所定時間は、洗い場全面を万遍なく洗浄する時間Ｔ0に設定する。その後、電磁弁２２を開き、殺菌装置をＯＮして、水道水から生成したフレッシュな殺菌水を所定時間Ｔ１、洗い場に吐水する。浴槽水を用いた殺菌水で十二分に洗い場床を洗い、水道水を用いた殺菌水吐水は、洗い場床３や排水口内を清浄にする仕上げ洗浄を行う。従って、洗浄時間はＴ０＞Ｔ１と設定する。人が入浴した浴槽水と違い、皮脂などの有機物が含まれていない水道水で生成した殺菌水で、洗い場床や排水口内の水をほぼ完全に置換することで、細菌が原因となるヌメリやニオイを長期間抑制することが可能となる。
【００３８】
浴槽水が検知されない場合は、電磁弁２２を開き、殺菌水生成装置をＯＮして、水道水から生成した殺菌水を所定時間Ｔ１、洗い場に吐水する。Ｔ１は、洗い場床３や排水口内を殺菌水でほぼ完全に置換する時間に設定するが、浴槽水がない場合は、ある場合に比べて時間Ｔ１を長く設定してもよい。尚、導水路における上水管路との合流部より散水部側に定流量弁を設けても良い。この位置に定流量弁を設けることで、浴槽水を利用して山水する際と、上水を利用して散水する際の散水量を一定にすることができる。
【００３９】
また、本実施例に記載した銀イオン殺菌水は、鏡や水栓に付着すると黒ずみやすいことが本発明の過程で分かった。一方、洗い場床や壁表面、バスエプロンにかかっても黒ずまないことを見出した。銀イオン水の散水部１２を浴室カウンタ５の下に設置したのは、浴室カウンタが障壁となって、浴室カウンタの上方に設置される鏡や水栓に銀イオン水がかからないためである。、固定ノズル７７を浴室カウンタ７７の前面に設け、銀イオン水吐水を洗い場床に向けて吐水するのも、鏡や水栓に銀イオン水がかからないようにするためである。回転ノズル、固定ノズルとも、吐水する銀イオン水が鏡や水栓にかからない位置に設置する実施例は全て本発明に含まれる。
【００４０】
本実施例における殺菌水としては、銀イオン水以外でも、殺菌性物質又はイオンを含有する水を例示することができる。具体的には、遊離塩素、抗菌性金属（例えば、銅、亜鉛等）又はそのイオン、オゾン、オゾン含有水、結合塩素、有機塩素系消毒液、有機リン酸系消毒液、ベルオクソ炭酸イオン又はその塩、アルコール系消毒液などを挙げることができる。
【００４１】
尚、上述した本実施形態による浴室殺菌システムによれば、以下の効果が得られる。
浴槽水を利用した節水が可能な浴室殺菌システムであって、浴槽水を使用して変性された殺菌水を散布した後に、上水を使用して変性された殺菌水を散布することで、洗い場床上に新鮮な殺菌水を滞留させることが可能な浴室殺菌システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【００４２】
【図１】本発明に係る浴室殺菌システムの全体概要を示す図。
【図２】浴室カウンタ裏面に取設された機能部を示す図で、（ａ）は平面図、（ｂ）は正面図、（ｃ）は側面図。
【図３】浴室カウンタ内の配管構成を表す図。
【図４】機能部の詳細を示す図で、（ａ）は正面図、（ｂ）は側面図図。
【図５】銀電極の配置を模式的に説明する図。
【図６】散布部の構成を示す図。
【図７】散布部の回転体を示す図で、（ａ）は平面図、（ｂ）はＢ−Ｂ断面図、（ｃ）はＣ−Ｃ断面図、（ｄ）はＤ−Ｄ断面図、（ｅ）はＥ−Ｅ断面図。
【図８】散布部の分解断面図。
【図９】殺菌水の散布状態を示す平面図。
【図１０】殺菌水の散布状態を示す立面図。
【図１１】排水口廻りにおける殺菌水の散布状態を示す斜視図。
【図１２】散布部が固定ノズルの場合の散布状態を表す図。
【図１３】本発明の実施例となるフローチャート。
【符号の説明】
【００４３】
１ 浴槽殺菌装置
２ 浴槽
２ａ リム
３ 洗い場床
４ 第一の壁面
５ 浴室カウンタ
６ バスエプロン
７ 排水口
８ 排水蓋
１０ 制御ボックス
１１ 機能ユニット
１２ 散布部
１３ リモコン
１３ａ スイッチ
１３ｂ ＬＥＤ
１５ 上水管
１６ 給湯管
１７ 水道水導入管
１８ 止水栓
１９ 殺菌水導出管
２０ ケース
２１ 流入口
２２ 電磁弁
２３ 定流量弁
２４ 大気開放弁
２５ 逆止弁
２６ 電解槽
２７ 流出口
２８ ウレタン樹脂
２９ 電極
３０ ボディ
３０ａ 軸先端
３０ｂ 最先端
３１ 回転体
３２ 上側部材
３２ａ ３３ｅ 挿通孔
３３ａ，３３ｂ，３３ｃ，３３ｄ 液体噴出孔３３ 下側部材
３４ ワッシャ
３５ 固定ビス
４２ 第二の壁面
４４ 給湯機
４５ 給水管
４７ 風呂往き管
４８ 風呂戻り管
４９ 浴室リモコン
５０ 通信線
５１ 表示部
５２ 運転スイッチ
５３ 湯はりスイッチ
５４ 追焚スイッチ
５５ スピーカー
５６ａ、５６ｂ 給湯温度設定スイッチ
７０ 浴槽水導水路
７１ ポンプ
７２ ストレーナ
７３ 合流部
７４ 浴槽水導水路用の逆止弁
７５ 上水管分岐部
７６ 浴槽水取水口
【特許請求の範囲】
【請求項１】
洗い場床上に殺菌水を散水するための散水部と、
浴槽内の浴槽水を前記散水部に導くための導水路と、
前記導水路の途上に合流するように取り付けられた上水管路と、
前記導水路における前記上水管路との合流部より前記散水部側に設けられ、前記浴槽内の浴槽水を前記散水部に圧送するためのポンプと、
前記導水路における前記上水管路との合流部より前記散水部側に設けられ、浴槽水または上水を殺菌水に変性するための殺菌装置と、
前記上水管路内の上水を導水路内に導入するか否かを切替える切替え弁と、
前記ポンプと前記殺菌装置と前記切替え弁とを制御する制御装置と、を備えた浴室殺菌システムであって、
前記制御装置は、前記ポンプと前記殺菌装置を駆動させて浴槽水を殺菌水に変性して散水した後、前記ポンプの駆動を停止した状態で前記切替え弁から上水を導水路内に導入して上水を殺菌水に変性して散水することを特徴とする浴室殺菌システム。
【請求項１】
洗い場床上に殺菌水を散水するための散水部と、
浴槽内の浴槽水を前記散水部に導くための導水路と、
前記導水路の途上に合流するように取り付けられた上水管路と、
前記導水路における前記上水管路との合流部より前記散水部側に設けられ、前記浴槽内の浴槽水を前記散水部に圧送するためのポンプと、
前記導水路における前記上水管路との合流部より前記散水部側に設けられ、浴槽水または上水を殺菌水に変性するための殺菌装置と、
前記上水管路内の上水を導水路内に導入するか否かを切替える切替え弁と、
前記ポンプと前記殺菌装置と前記切替え弁とを制御する制御装置と、を備えた浴室殺菌システムであって、
前記制御装置は、前記ポンプと前記殺菌装置を駆動させて浴槽水を殺菌水に変性して散水した後、前記ポンプの駆動を停止した状態で前記切替え弁から上水を導水路内に導入して上水を殺菌水に変性して散水することを特徴とする浴室殺菌システム。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【公開番号】特開２００９−２２５８８６（Ｐ２００９−２２５８８６Ａ）
【公開日】平成２１年１０月８日（２００９．１０．８）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００８−７２３４４（Ｐ２００８−７２３４４）
【出願日】平成２０年３月１９日（２００８．３．１９）
【出願人】（００００１００８７）ＴＯＴＯ株式会社 (3,889)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２１年１０月８日（２００９．１０．８）
【国際特許分類】
【出願日】平成２０年３月１９日（２００８．３．１９）
【出願人】（００００１００８７）ＴＯＴＯ株式会社 (3,889)
【Ｆターム（参考）】
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