説明

浴槽に浮かべる経木製品

【課題】歴史上の浴室は、近親者との交流の場でもあり、それらからの「労いの言葉」が癒しとしての大きな要素であった。近年の浴室は利便性の追求から極めて個人的な空間となり、また入浴の効果も高性能な浴室機能追求や入浴剤などの効能優先となり、近親者の人為的な演出での癒し空間になりにくい。また、湿潤な空間であるがために肌になじみやすい自然素材の木製品が排除されている。
【解決手段】本発明は、木材の有用成分の提供と、自由に浮遊する物を注視しようという人間の自然の動作によって、心理的安定を取り戻す効果とそれらの形状やメッセージによって、近親者からのねぎらいのメッセージを表現する製品を提供する。カラマツの経木を、葉の形状あるいは数字や文字あるいは動物などの知育遊具に用いられる形状等に切り抜き、スライスする。図2

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入浴時、浴槽に浮かべる経木製品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、木材の素材研究が進み、木材からの多くの有用抽出物の発見がなされている。そのなかには、ヒノキシオール及びアラビノガラクタン・タキシホリンなど、食用や化粧品などの成分が比較的容易に利用出来る形態で存在している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この発明は、木材の持つ有用成分を手軽に利用できる製品を供給する。
【0004】
入浴は、清潔と癒しとそれらの相乗効果による健康を目的にした行為である。
【0005】
現在の住宅事情による浴室は、清潔かつ利便性に富んでおり、昔のように入浴するときに、誰かが湯加減等をサポートするなどという事は皆無になった。さらに先進例ではTVやコンピューター類なども設置され、浴室はより個人的に利用する時間が長くなり、その分身近な人と接する時間が減少する傾向にある。
【0006】
過去には入浴行為は、湯沸し等が大変な作業であった時代には、もっと丁寧に生活のイベントとして扱われ、複数人での入浴シーンで有り、背中を流しながらまたは湯加減を聞きながらその日の出来事などをコミュニケーションされるシーンなどもあっただろうと想像する。そのような身近に居る人からの「癒し」のメッセージがそこには有ったはずである。
【0007】
現在では、入浴は個人的でかつ清潔や利便性のみを追求してきたために、身近なコミュニケーションが行えない空間となってしまった。しかしながら、浴室に気軽なコミュニケーションツールがあることでもう少しなごみを取り戻す事が出来ると思われる。
【0008】
また、木材の有用成分の存在は広く衆知されているので、浴槽を始めとして壁材及び天井やスノコ等、沢山の浴室木製品が存在している。しかしながらそれらの多くは交換可能ではなく、長い間湿潤状態に置かれているために木材の持つ有用成分効果にも劣化がおき、さらには腐朽菌の温床となってしまった事に起因して、浴室は次第に湿度の状況に変化が起きない化学物質製品に交換されてきた。
【0009】
木材の有用性に関しては多くの人が認めながらも、置かれている状態が過酷なために起きたメンテナンスのわずらわしさから、現在のように水周りから木製品が排除されている。
【0010】
経木は浴室に、木材資源をそこなうことなく、常に木材の有用な効果を新鮮で交換可能にする製品を提供する事が出来る。また、本当の「癒しの効果」は、身近の人の心づかいや交流からであることを再認識できるような介在製品を考案する事が出来る。
【0011】
経木は浴室に、木材資源をそこなうことなく、常に木材の有用な効果を新鮮で交換可能にする製品を提供する事が出来る。また、本当の「癒しの効果」は、身近の人の心づかいや交流からであることを再認識できるような介在製品を考案する事が出来る。
【0012】
また、経木は、所定の形状を得るために、一枚ずつ切り抜いているので、効率が悪い。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、有用成分を含む木材を1〜3mm程度の厚さにした経木、あるいはそれ以下の薄経木を積層接着した基材を目的の形に切り抜いたものを湯に浮かべることを特徴とし、それに身近な人たちのメッセージを表現演出する。
【0014】
湯に浮かばせた本品の揺らぐ運動を自然に注視する事での心理的効果の他に、さまざまな形に切り抜くことで、形状効果が期待できる。
【0015】
あるいは印刷することによって、表面が化粧され、知育玩具や入浴客へのメッセージカードなどの応用範囲を広げることが可能である。
【0016】
木質有用成分は、適度な温度によって木部が蒸され、溶出しあるいは水分と共に蒸発あるいは揮発することによって、浴槽内の湯や浴室の空気に広がり、効果が得られる。
【0017】
木材の有用成分の溶出効果以外に、その他の有用成分を塗布、含浸、はさみこむ事が可能である。
【0018】
また、所定の形状を効率的に得るために、原木を糸鋸等で切り抜きいた後、スライスする。
【発明の効果】
【0019】
経木によって、交換可能な安価な木質有効成分を応用した製品を供給できる。
【0020】
また、経木は主に木製容器や木製品の加工素材などの供給を担ってきたが、その歴史的な素材技術を応用することで、木の持つ自然素材としての風合いなどから生まれる心理的な効果を、より多くの生活の機会に供給することで、日常生活に彩りを与える事が可能である。
【0021】
浴室における木製品は、浴槽やスノコ及び壁床天井素材、あるいは桶や椅子といった器具で、一般的に高価だが、経木の製品は安価により多く自然素材を供給することが出来る。使用後も形を損なう事も無いので、乾燥させて再利用する事も出来あるいは、手工芸や園芸材料にも応用できる。また、ごみとして廃棄するときにも紙と同様の焼却物として扱えるために環境に与える影響が少ない。
【0022】
また、所定の形状を効率的に得るために、原木を糸鋸等で切り抜きいた後、スライスすることで、型抜き刃物や型抜き工程数を省略する事が出来、デザインのバリエーションを増やす事も可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【実施例】
【0023】
カラマツの原木を1〜3mm程度の厚さにスライスし乾燥させ、カラマツの経木を得る。さらに、葉の形状あるいは数字や文字あるいは動物などの知育遊具に用いられる形状等に、刃物で打ち抜く。または、糸鋸やレーザー等の切断機器で切り取り目的の形状を得る。図1
【0024】
形状を得る手段の実施例2として、原木を乾燥後、糸鋸等で切り抜く−図2。切り抜いた端材と共に、1〜3mm程度の厚さにスライスする−図3
【0025】
実施例の3として、薄経木を2枚以上張り合わせる場合、層の間に浴室香料や入浴有用効果のある素材を挿み込み基材を得たのち、糸鋸やレーザー等の切断機器で切り取り目的の形状を得る。図1
【0026】
実施例の4として、耐水性印刷あるいは耐水性筆記用具、レーザー及び焼印等によって表面化粧を施し、メッセージカードや広告などの用途にも供する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】葉の形状
【図2】形状先行切り出し
【図3】端材と共にスライス
【図4】経木積層と有用成分挿み込み断面
【符号の説明】
【0028】
1 目的の形状
2 原木
3 糸鋸
4 切り抜き
5 目的の切り抜き線
6 糸鋸で切り抜いた後の形状
7 目的のスライスする線
8 切り抜いた端材
9 積層経木
10 積層経木
11 接着及び有用成分混入層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入浴時、浴槽の湯に浮かべて、その浮遊運動を注視させることから心理的安楽効果を得ることを基本に、知育玩具機能とメッセージ機能を特徴とする経木製品の着眼とその製法
【請求項2】
目的の形状に切り抜いてから、目的の厚さにスライスする事を特徴とする経木製品
【請求項3】
木製品から溶出する香り及び有用成分を特徴とする経木製品

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−1278(P2007−1278A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−216478(P2005−216478)
【出願日】平成17年6月27日(2005.6.27)
【出願人】(501485696)
【Fターム(参考)】