説明

海底観測システム

【課題】海底観測システムにおいて、センサ信号を送る線路の数を低減する。
【解決手段】情報信号を送受信してセンサ信号を受信する端局装置41と、センサ信号を多重化する多重化伝送装置13を内蔵する中継器筐体28と、海底における物理現象を検出してセンサ信号を発するセンサ装置12a〜12dを内蔵する複数個のセンサ筐体2a〜2dと、端局装置41に対して多重化伝送装置13を接続する共通センサ信号線路252と、多重化伝送装置13と複数個のセンサ装置12a〜12dとを接続する複数本のセンサ信号線路253、254と、を有して形成される海底ケーブル25と、を備え、端局装置41を海底ケーブル25の終端に接続するようにして、端局装置41と中継器筐体28と、複数個のセンサ筐体2a〜2dの各々と、を海底ケーブル25によって直列に接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海底で生じた物理現象を検知するために、海底に配置されたセンサからのセンサ信号をモニタリングする海底観測システムに関し、特にセンサからの信号送出の技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
海底で生じた物理現象、例えば、海底で生じた地震による振動、水圧変化、磁気変化等、を検出して信号を地上に送出する海底観測システムを海底ケーブルに組み込む技術が近年注目されている(特許文献1、特許文献2を参照)。特許文献1、特許文献2では、海底ケーブルに組み込んだセンサからの検出信号を地上に設置される端局装置(端局)に伝送する技術が提案されている。
【0003】
図3は、特許文献1に記載の技術である。図3を参照して特許文献1に記載の技術について説明をする(特許文献1における符号は200番台に変更されている)。特許文献1に記載の海底観測システム200では、海底ケーブル222、224、226、228内の各光ファイバー230、232、234はそれぞれ海底観測装置204、206、208に対応しており、同一の海底観測装置に対応する光ファイバーは、対応する海底観測装置の接続箇所を除いてすべて直列に接続されている。前記接続箇所で、海底観測装置の2つのポート216、218は異なる海底ケーブルの対応する光ファイバーに接続され、海底ケーブル222、228の光ファイバー230、232、234の端部は陸上端局装置236、238にそれぞれ接続されている。各海底観測装置からの光信号は異なる経路で陸上端局装置236、238に伝送されるため、1本の海底ケーブルが切断されても、かならず一方の陸上端局装置には光信号が伝送される。
【0004】
図4は、特許文献2に記載の技術である。図4を参照して特許文献2に記載の技術について説明をする(特許文献2における符号は300番台に変更されている)。特許文献2に記載の技術では、端局301と端局302の間に、減衰した光通信データ信号を増幅させる光増幅器303、305と、地震等の観測を行い、該観測に基づいた光観測データ信号を出力する観測装置304、306をそれぞれn(nは1以上の自然数)組備え、前記光通信データ信号と前記光観測データ信号を多重化させて通信ケーブル307を介して伝搬させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−40152号公報
【特許文献2】特開平9−214425号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、センサと海底ケーブル内の光ファイバーは一対一で構成しているために、海底観測システム内でセンサの数が増加するとそれに応じて海底ケーブルの情報信号線路数も増えてしまう。そして、海底ケーブルの径が増大するとともに、海底ケーブルの重量も増大してしまった。その結果、海底ケーブルの敷設が困難となる場合があった。
【0007】
特許文献2に記載の技術では、センサからの信号を多重化して、センサの数に対して、センサからの信号を伝送する線路の数を1本にして、さらには、情報を伝送する線路と共通化しているので、海底ケーブルの径の増大、重量の増大の問題は生じない。しかしながら、センサの個数と等しい数の多重化の回路が必要となり、装置が複雑化する。又、センサからの信号を伝送する線路と情報を伝送する線路とが共通化され、多重化の回路がこの1本の線路に直列に接続されているために、多重化の回路、情報を中継する回路、又は、線路の、いずれかの一部に障害が発生した場合には、センサからの信号、通信すべき情報のすべてが端局に伝送されなくなってしまった。
【0008】
本発明は上述した問題点を解決し、海底ケーブルを構成するセンサ信号を伝送する線路の数をセンサの数よりも少なくするとともに、装置の一部、海底ケーブルの一部に障害が生じた場合でも、その被害を最小限度に留めることができる海底観測システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の海底観測システムは、情報信号を送受信してセンサ信号を受信する端局装置と、前記センサ信号を多重化する多重化伝送装置を内蔵する中継器筐体と、海底における物理現象を検出して前記センサ信号を発するセンサ装置を内蔵する複数個のセンサ筐体と、前記端局装置に対して前記多重化伝送装置を接続する共通センサ信号線路と、前記多重化伝送装置と複数個の前記センサ装置とを接続する複数本のセンサ信号線路と、を有して形成される海底ケーブルと、を備え、前記端局装置を前記海底ケーブルの終端に接続するようにして、前記端局装置と前記中継器筐体と、前記複数個の前記センサ筐体の各々と、を前記海底ケーブルによって直列に接続する。
【0010】
本発明の海底観測システムでは、端局装置と多重化伝送装置とを接続する共通センサ信号線路と、多重化伝送装置と複数個のセンサ装置とを接続する複数本のセンサ信号線路と、を有して形成される海底ケーブルと、を備え、センサ信号を端局装置に送ることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の海底観測システムでは、センサ信号を送る線路の数を低減することによって、海底ケーブルを構成するセンサ信号を伝送する線路の数をセンサの数よりも少なくするとともに、共通センサ線路に多重化伝送装置を並列に接続して海底ケーブルの一部に障害が生じた場合でも、その被害を最小限度に留めることができる
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】海底観測システムの構成を示す図である。
【図2】海底観測システムにおけるセンサ筐体、中継機筐体及び海底ケーブルの構成を示す図である。
【図3】特許文献1に記載の技術である。
【図4】特許文献2に記載の技術である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
発明を実施するための形態では、海底ケーブルに接続したセンサ装置を用いた海底観測システムにおいて、複数のセンサ装置からのセンサ情報を伝送するセンサ信号線路と、情報を伝送する情報線路とを分離して、一方の線路に係る障害が他方に影響を及ぼさないようにする。又、センサ信号を伝送するためのケーブルの本数を低減して海底ケーブルの径を小さくし、重量の軽減化を図るものである。以下、図面を参照して、実施形態の具体例である、実施例について説明をする。
【0014】
図1は、海底観測システムの構成を示す図である。図2は、図1に示す海底観測システムにおけるセンサ筐体、中継機筐体及び海底ケーブルの構成をより詳細に示す図である。図1、図2を参照して、海底観測システムについて説明をする。
【0015】
図1に示す海底観測システム51は、端局装置41と、海底ケーブル25と、センサ筐体2a〜センサ筐体2dと、中継器筐体28と、を有している。海底ケーブル25の各区間である海底ケーブル25a〜海底ケーブル25eの各々の断面構造は同一とされている。なお、海底ケーブル25a〜海底ケーブル25eの各々の長さを海底ケーブル25のシステム長と称している。センサ筐体2a〜センサ筐体2dの各々の構造は同一とされている。
【0016】
ここで用いられる用語の意味について説明をする。海底ケーブル25a、海底ケーブル25b、海底ケーブル25c、海底ケーブル25d、で示すように、添字であるa、b、c、dを付した符号が指し示す各部分は、海底ケーブル25の各々の区間を指し示すものとする。又、海底ケーブル25の用語は、海底ケーブルの各区間である海底ケーブル25a〜海底ケーブル25eの全体で構成される海底ケーブルを指し示すととともに、海底ケーブル25a〜海底ケーブル25eの各々についての総称を指し示すものとする。
【0017】
又、後述する、共通センサ信号線路252a〜共通センサ信号線路252d、センサ信号線路253a〜センサ信号線路253d、センサ信号線路254a〜センサ信号線路254dについても海底ケーブル25に対すると同様の用語が用いられる。つまり、共通センサ信号線路252の用語は、共通センサ信号線路の各区間である共通センサ信号線路252a〜共通センサ信号線路252dの全体を指し示すととともに、共通センサ信号線路252a〜共通センサ信号線路252dの各々についての総称を指し示すものとする。
【0018】
同様に、センサ信号線路253の用語は、センサ信号線路の各区間であるセンサ信号線路253a〜センサ信号線路253dの全体を指し示すととともに、センサ信号線路253a〜センサ信号線路253dの各々についての総称を指し示すものとする。同様に、センサ信号線路254の用語は、センサ信号線路の各区間であるセンサ信号線路254a〜センサ信号線路254dの全体を指し示すととともに、センサ信号線路254a〜センサ信号線路254dの各々についての総称を指し示すものとする。
【0019】
又、センサ筐体2、中継器筐体28、後述する、センサ装置12についても、それらが複数個ある場合には添字、a、b、c、等を用いて、その各々を特定する。そして、センサ筐体2と同じ添字を有するセンサ装置12は同一の筐体に含まれる構成部品を表す。
【0020】
図1では、海底観測システム51を構成する構成部である、端局装置41と、海底ケーブル25と、センサ筐体2と、中継器筐体28とを備えている。海底観測システム51では、端局装置41は陸上に設置され、センサ筐体2は海底に配置されている。海底ケーブル25の一部は、地上の端局装置と接続するために海中又は地上に配置されているが、海底ケーブル25の多くは、海底のセンサ筐体2又は海底の中継器筐体28と接続され海底に配置されている。このようにして、センサ筐体2が海底に配置されている故に海底における物理現象を検出できることとなる。センサ装置12が検出する物理現象は、海底で生じた地震による振動、水圧変化、磁気変化、水温変化等である。
【0021】
海底ケーブル25の1区間当たりの長さであるチャンネル長(例えば、海底ケーブル25aの長さ)は、実施例では、数km程度である。海底ケーブル25は、通信に供する情報(単に情報と以下では省略をする)を伝送する情報信号線路と、後述するセンサ装置で検出するセンサ信号を伝送する線路と、電力を給電する給電線路(図示せず)とを有して構成されている。情報信号線路及びセンサ信号を伝送する線路は、光ファイバーであっても導電材料からなる導電線であっても良いが、給電線路は導電線で形成されている。
【0022】
又、図1では、海底ケーブル25の本数は4本、センサ筐体2の個数は4個、中継器筐体28の個数は1個として記載されているが、これらの本数、個数は、原理的にはこれらに限るものではない。例えば、情報を伝送するケーブルの本数を増やせば通信可能容量を増加させることができる。又、中継器筐体28の個数を増加させれば、通信可能距離を増加させることができる。又、センサ筐体2の個数を増やせば、物理現象の観測点の数を増加させることができる。
【0023】
端局装置41と他の端局装置(図示せず)とは、海底ケーブル25を介して相互に通信するための変復調器(図示せず)、地上の他の設備と接続するための回線接続装置(図示せず)を配している。又、少なくとも一方の端局装置である端局装置41は、センサ筐体2と中継器筐体28とに給電線路を介して電力を給電するための電圧源としての電源装置(図示せず)を配している。
【0024】
図2を参照して、センサ筐体2及び中継器筐体28のセンサ信号の伝送に係る部分を中心に説明をする。
【0025】
海底ケーブル25aは、センサ筐体2aから中継器筐体28へセンサ信号を送るセンサ信号線路253a、センサ筐体2bから中継器筐体28へセンサ信号を送るセンサ信号線路253b、センサ筐体2cから中継器筐体28へセンサ信号を送るセンサ信号線路253c、センサ筐体2dから中継器筐体28へセンサ信号を送るセンサ信号線路253d、中継器筐体28から端局装置41又は他の端局装置のいずれか、若しくは、端局装置41にセンサ信号を送る共通センサ信号線路252a、を有し、通信情報を送る情報信号線路(図示せず)を有して構成されている。
【0026】
海底ケーブル25b〜海底ケーブル25eの各々は海底ケーブル25aと同様な構成を有している。なお、情報信号線路の各々は1本又は複数本の線路から形成されている。導電線で情報信号線路を形成する場合には、リターン側の線路も本数に含んでいる。
【0027】
実施例における海底ケーブル25が、端局装置41、センサ筐体2、中継器筐体28の各部とどのように接続されているかについて、図2を参照して以下に説明をする。海底ケーブル25は、端局装置41から1連のものとして形成されている。
【0028】
海底ケーブル25のセンサ信号線路253には、海底ケーブル25の伸びる方向に沿って、センサ装置12a、センサ装置12dの各々が、端局装置41(基点)からの距離が順に長くなる位置に分岐して(並列に)接続される。又、センサ信号線路254には、海底ケーブル25の伸びる方向に沿って、センサ装置12b、センサ装置12cの各々が、基点からの距離が順に長くなる位置に分岐して(並列に)接続される。
【0029】
センサ筐体2a〜センサ筐体の各々は、防水構造とされている。センサ筐体2aの内部にセンサ装置12aを有し、センサ筐体2bの内部にセンサ装置12bを有し、センサ筐体2cの内部にセンサ装置12cを有している。センサ装置12aは海底ケーブル25bに含まれるセンサ信号線路253bに接続され、センサ装置12bは海底ケーブル25cに含まれるセンサ信号線路254cに接続され、センサ装置12cは海底ケーブル25dに含まれるセンサ信号線路254dに接続され、センサ装置12dは海底ケーブル25eに含まれるセンサ信号線路253eに接続されている。
【0030】
センサ装置12aから得られるセンサ信号は、センサ信号線路253bとセンサ信号線路253cとを介して多重化伝送装置13に入力される。センサ装置12bから得られるセンサ信号は、センサ信号線路254cを介して多重化伝送装置13に入力される。センサ装置12cから得られるセンサ信号は、センサ信号線路254dを介して多重化伝送装置13に入力される。センサ装置12dから得られるセンサ信号は、センサ信号線路253eとセンサ信号線路253dとを介して多重化伝送装置13に入力される。なお、後述するように、センサ装置12に対して、端局装置41が制御コマンドを送出する場合には、上述した入出力の関係が逆転する。
【0031】
多重化伝送装置13の出力側は、共通センサ信号線路252c及び共通センサ信号線路252dに接続されている。多重化伝送装置13は、センサ装置12a〜センサ装置12eの各々から入力されるセンサ信号を多重化して多重化伝送装置13の出力側に出力する。このようにして、多重化されたセンサ信号は共通センサ信号線路252cを介して端局装置41に伝送されることができる。なお、後述するように、センサ装置12に対して、端局装置41が制御コマンドを送出する場合には、上述した入出力の関係が逆転する。
【0032】
ここで、センサ信号を端局装置41又は他の端局装置に伝送するためのセンサ信号を伝送する線路の総数は、共通センサ信号線路252が1本、センサ信号線路であるセンサ信号線路253とセンサ信号線路254との2本の合計3本である。すなわち、3本の線路で、4個のセンサ装置からの信号を伝送することができる。一方、図示はしないが、特許文献1に記載の技術を用いる場合にはセンサ信号線路の数はセンサ装置の数と等しい4本となる。つまり、4本から3本と1本だけセンサ信号を伝送する線路の本数を減らせたこととなる。
【0033】
多重化伝送装置13における多重化と、多重化伝送装置13と端局装置41との間の伝送の手法について簡単に説明する。多重化については、周波数分割、時分割のどちらでも可能であるが、以下では時分割の1例を説明する。又、通信のプロトコルの1例についても説明をするが、実施形態はこのプロトコルに限定されるものではない。つまり、周知の他の通信技術を適用するものであっても良い。
【0034】
端局装置41は、共通センサ信号線路252、多重化伝送装置13を介してセンサ装置12a〜センサ装置12dを制御するための制御コマンドを送出し、データを送受信するためのデコーダ・エンコーダ(図示せず)を有している。センサ装置12の各々には、その機器を特定するためのユニークなセンサ装置アドレスが付されている、そして、制御コマンドに含まれるセンサ装置アドレスによって制御するセンサ装置12を特定することができるようになされている。又、制御コマンドによって、検出する物理量(振動、温度、圧力変化等)を特定することができるようになされている。
【0035】
端局装置41は、例えば、センサ装置12aに振動データを送出するように命令する制御コマンドを発する。多重化伝送装置13は、例えば、センサ装置12aに対する指令であることを解読して、センサ装置12aに対して、この制御コマンドを転送する。
【0036】
この制御コマンドを受け取ったセンサ装置12aは、センサ装置12aの内部の震度計(図示せず)から得られた振動のデータに自己のセンサ装置アドレスを付したセンサ情報を、多重化伝送装置13を介して、共通センサ信号線路252に対して送信する。
【0037】
端局装置41は、共通センサ信号線路252に対して送信されたセンサ情報を解読して、センサ装置12がセンサ装置12aであることを特定して、センサ装置12aからの振動のデータを得ることができる。同様にして、センサ装置12をスキャンしてすべてのセンサ装置12から振動のデータを得ることができる。又、振動以外のデータを得たい場合には、制御コマンドによって、各センサ装置12に対してその旨のコマンドを送出する。
【0038】
同一の共通センサ信号線路252に複数個の多重化伝送装置13が接続され、各々の多重化伝送装置13に4個以外の複数個のセンサ装置12が接続されている場合においても、以上の手法は採用することができる。そして、すべてのセンサ装置12からのセンサ情報を端局装置41は得ることができる。中継器筐体28には、多重化伝送装置13が内蔵されている。
【0039】
このような構成を有する、海底観測システム51におけるセンサ信号を伝送する線路の数と、特許文献1に記載の技術に基づく場合のセンサ信号を伝送する線路の数とを比較する。
【0040】
センサの数をn(整数)とした場合の例を比較する。この場合にはセンサ装置の総数はn個である。実施形態では、この場合のセンサ信号線路の本数はn/2本であり、共通センサ信号線路は1本であるので、センサ信号を伝送する線路の本数は(n/2+1)本となる。一方、特許文献1に記載の技術では、センサ装置の総数と等しいn本のセンサ信号を伝送する線路の本数が必要とされる。
【0041】
例えば、センサ数n=100の場合について比較をする。実施形態の海底観測システムでは、センサ信号を伝送する線路の本数は、(n/2+1)=51本となる。一方、特許文献1に基づく場合には、n=100本となる。このように、本実施形態によれば、センサ信号を伝送する線路の本数を、(n/2+1)/nと、大幅に低減することができる。
【0042】
又、特許文献2に記載の技術との比較を以下におこなう。実施形態の海底観測システムでは、共通センサ信号線路に多重化伝送装置が接続されている。従って、センサ装置の一部に障害が発生した場合でも、正常なセンサ装置からのセンサ信号は端局装置で検出することができる。一方、特許文献1に記載の技術では、すべてのセンサ装置が直列に接続されることとなるので、その内の一部に障害が発生すると、センサ信号は端局装置で検出することが全くできなくなってしまう。
【0043】
さらに、海底観測システムでは、2つの端局装置の両方に共通センサ信号を伝達する場合には、共通センサ信号線路一箇所が切断した場合でも、両方の端局装置から得られるセンサ情報を総合してセンサ装置のすべてからのセンサ信号を得ることが可能となる。
【0044】
実施形態の海底観測システムは、情報信号を送受信してセンサ信号を受信する端局装置と、センサ信号を多重化する多重化伝送装置及び情報信号を中継する中継器を内蔵する中継器筐体と、海底における物理現象を検出してセンサ信号を発するセンサ装置を内蔵する複数個のセンサ筐体と、端局装置に対して多重化伝送装置を接続する共通センサ信号線路と、多重化伝送装置と複数個のセンサ装置とを接続する複数本のセンサ信号線路と、を有して形成される海底ケーブルと、を備えている。そして、端局装置を海底ケーブルの終端に接続するようにして、端局装置と中継器筐体と、複数個のセンサ筐体の各々と、を海底ケーブルによって直列に接続する。
【0045】
このようにして、海底ケーブルに含まれる、センサ信号を伝送する線路の数を低減することができる。その結果、海底ケーブルの径の増大を抑えることができるようになり、海底ケーブルの重量が軽量化でき、屈折が容易となってハンドリング特性も良好な物となる。
【符号の説明】
【0046】
2、2a〜2d センサ筐体、 12、12a〜12d センサ装置、 13、13a〜13z 多重化伝送装置、 28 中継器筐体、 41 端局装置、 51 海底観測システム、 25、25a〜25e 海底ケーブル、 252、252a〜252e 共通センサ信号線、 253、253a〜253e、254、254a〜254e センサ信号線路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報信号を送受信してセンサ信号を受信する端局装置と、
前記センサ信号を多重化する多重化伝送装置を内蔵する中継器筐体と、
海底における物理現象を検出して前記センサ信号を発するセンサ装置を内蔵する複数個のセンサ筐体と、
前記端局装置に対して前記多重化伝送装置を接続する共通センサ信号線路と、前記多重化伝送装置と複数個の前記センサ装置とを接続する複数本のセンサ信号線路と、を有して形成される海底ケーブルと、を備え、
前記端局装置を前記海底ケーブルの終端に接続するようにして、前記端局装置と前記中継器筐体と、前記複数個の前記センサ筐体の各々と、を前記海底ケーブルによって直列に接続する海底観測システム。
【請求項2】
前記中継器筐体の一方の側と他方の側とに前記センサ筐体が配される請求項1に記載の海底観測システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate