説明

海洋性腐植土壌抽出エキスを使用した理美容処理剤

【課題】薬理効果による毛髪損傷を軽減し、損傷した毛髪への美的実用薬理効果を発揮すること。
【解決手段】海洋性腐植土壌抽出エキスとを含む理美容処理剤である。海洋性腐植土壌抽出エキスに、(A)チオグリコール酸アンモニウムおよび/またはチオグリコール酸モノエタノールアミンおよび/または(B)システインがさらに含まれてなり、前記システインが、L−システイン、DL−システイン、N−アセチル−L−システイン、L−システイン塩酸塩、DL−システイン塩酸塩からなる群より選ばれた1種以上であることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、理美容室におけるパーマ、ヘアカラーおよび縮毛矯正用の薬液処理に使用される理美容処理剤に関する。さらに詳しくは、薬理効果による毛髪損傷を軽減し、損傷した毛髪への美的実用薬理効果を発揮する理美容処理剤に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪に対する薬液処理は、毛髪の蘇生を傷めるものである。過度な薬液施術が繰り返されると、毛髪の蘇生そのものが著しい損傷を受け、次回の薬液施術が不可能または施術可能であっても所望の効果が発揮されにくく、持続性が著しく低下し、美的要素が損なわれるという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、海洋性腐植土壌抽出エキスとを配合することにより、薬理効果による毛髪損傷を軽減し、損傷した毛髪への美的実用薬理効果を発揮することを目的とする。
【0004】
本発明において、「薬理効果」とは、その薬剤が目的とするパーマネント、ヘアカラー、ストレート施術において、その薬品認可の定める反応が得られることをいい、施術後の毛髪の美的要素は含まない。
【0005】
また、本発明において、「美的実用薬理効果」とは、その薬剤が目的とする施術をした場合、目的とするパーマネントの均一性や持続性、目的とするヘアカラーの均一性や持続性、目的とするストレート(矯正剤を含む)の伸びおよび持続性を損なうことなく、毛髪の損傷を視覚的に与えない効果をいう。また、毛髪が損傷した状態とは、視覚的、触覚的に「ツヤ、強度、弾力」が低下した状態をいう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の理美容処理剤は、海洋性腐植土壌抽出エキスを含むことを特徴とする。
【0007】
前記海洋性腐植土壌抽出エキスに、フルボ酸とフミン酸とが含まれてなることが好ましい。
【0008】
前記海洋性腐植土壌抽出エキスに、フルボ酸が6.0〜9.0mg/L含有されてなることが好ましい。
【0009】
前記海洋性腐植土壌抽出エキスに、フミン酸が3.0〜5.0mg/L含有されてなることが好ましい。
【0010】
前記フルボ酸と前記フミン酸との配合割合が、1:1〜3:1であることが好ましい。
【0011】
前記海洋性腐植土壌抽出エキスに、(A)チオグリコール酸アンモニウムおよび/またはチオグリコール酸モノエタノールアミンおよび/または(B)システインがさらに含まれてなり、前記システインが、L−システイン、DL−システイン、N−アセチル−L−システイン、L−システイン塩酸塩、DL−システイン塩酸塩からなる群より選ばれた1種以上であることが好ましい。
【0012】
前記(A)と(B)との合計に対して、前記海洋性腐植土壌抽出エキスが4〜60重量%含まれてなることが好ましい。
【0013】
パーマネント用、ストレートパーマ用、縮毛矯正用、ヘアカラー用に使用されてなることが好ましい。
【0014】
また、本発明の理美容処理剤の使用方法は、パーマネント施術後に理美容処理剤を使用することを特徴とする。
【0015】
また、本発明の理美容処理剤の使用方法は、ヘアカラー施術後に理美容処理剤を使用することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の理美容処理剤およびその使用方法によれば、薬理効果による毛髪損傷を軽減し、損傷した毛髪への美的実用薬理効果を発揮する理美容処理剤およびその使用方法を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の理美容処理剤は、海洋性土壌抽出エキスを含むことを特徴とする。また、本発明の理美容処理剤は、前記海洋性腐植土壌抽出エキスに、(A)チオグリコール酸アンモニウムおよび/またはチオグリコール酸モノエタノールアミンおよび/または(B)システインがさらに含まれてなり、前記システインが、L−システイン、DL−システイン、N−アセチル−L−システイン、L−システイン塩酸塩、DL−システイン塩酸塩からなる群より選ばれた1種以上であることが好ましい。
【0018】
本発明に用いる(A)は、チオグリコール酸アンモニウムおよび/またはチオグリコール酸モノエタノールアミンであり、その配合量はチオグリコール酸として1〜25重量%が好ましく、5〜20重量%がより好ましい。配合量が25重量%を超えると、必要以上の作用を毛髪や頭皮に与えることとなるため、毛髪の損傷や逃避への刺激を生じる傾向がある。また、1重量%よりも少ない場合は、充分な効果を得ることができない傾向がある。
【0019】
(B)は、システインであり、より好ましくは、L−システイン、DL−システイン、N−アセチル−L−システイン、L−システイン塩酸塩、DL−システイン塩酸塩からなる群より選ばれた1種以上のシステインである。これらのシステインにより、毛髪の最外層を充分に軟化させることができる。(B)は、N−アセチル−L−システイン、L−システイン塩酸塩、DL−システイン塩酸塩を含むことが好ましく、その重量比は、N−アセチル−L−システイン:L−システイン塩酸塩:DL−システイン塩酸塩=0.1〜5:1〜10:1〜10であることが好ましい。これらのシステインの配合量は、0.1〜10重量%が好ましく、0.1〜5重量%がより好ましい。配合量が10重量%を超えると不快臭が強くなり、毛髪の損傷や頭皮への刺激を生じる傾向がある。一方、0.1重量%よりも少ない場合は、充分な効果を得ることができない傾向がある。
【0020】
本発明に用いる海洋性腐植土壌抽出エキスは、フルボ酸とフミン酸とが含まれることが好ましい。
【0021】
前記海洋性腐植土壌抽出エキスは、海洋性腐植土壌より抽出される。海洋性腐植土壌とは、通常、500万年以上前に海草、植物、藻類、魚介類、そのほか無機質類などが海底、湖や沼などの底に堆積した堆積物が嫌気性微生物などにより分解、合成、有機化を受けたものであり、たとえば地下約20mに約10mの層として存在する。
【0022】
本発明に用いる海洋性腐植土壌としては、いずれから採取したものをも用いることができるが、とりわけ長崎県北高来郡森山町唐比西名で採取した腐植土が好ましい。採取した腐植土壌は水分を含んでおり、水田からとった土のようにべとついたものであり、粗乾燥および精密乾燥の2段階の乾燥工程をへてから抽出工程に供される。乾燥工程は、海洋性腐植土壌を乾燥させて細分化するとともに、好気性微生物のはたらきを活性化させて嫌気性菌のはたらきを抑制し、太陽熱殺菌を行なうと同時に、紫外線等吸収(光合成)によってアミノ酸、ビタミン、酵素などを活性化(熟成)するなどすると考えられる。これにより抗酸化作用、防腐食作用などの有益な作用が奏されると考えられる。乾燥工程を2段階で行なうことにより構成成分の均一化と腐植土以外の泥土の除去、抽出時のpHのばらつきの少ない安定した海洋性腐食土壌抽出物質含有水性液の取得を行なうことができる。前記粗乾燥は、まず採取した径が5〜50cm程度の塊状の海洋性腐植土壌をコンクリートなどの腐植土壌と混ざらないもののうえで雨ざらし、日ざらしの状態(天日)で半年〜1年間乾燥させることにより行なわれる。この間、適宜海洋性腐植土壌をひっくりかえして全体によく天日があたるようにするのが好ましい。この工程により海洋性腐植土壌は乾燥した塊状物になる。ついで、ビニールハウス内でさらに乾燥させる(精密乾燥)。この乾燥は最短では1ヵ月間、通常1.5〜2ヵ月間行なわれる。これにより塊状物の乾燥がさらにすすみ、塊状のものは耕運機などでさらに粉砕して、砂状のさらさらにしたものにする。本発明でいう「海洋性腐植土壌」とは、前述した工程をへて得られる乾燥し、粉砕された腐植土壌のことである。
【0023】
本発明の腐植土壌抽出エキスは、前記腐植土壌を水で抽出したものである。前記抽出に用いる水はどのような水でもよく、たとえば地下水、井戸水、水道水、精製水、蒸留水などを用いることができる。とりわけ、低pHの抽出液を得るにはミネラル成分が多い水が好ましいことや塩素系消毒剤を含まない点から、ミネラルを含有している地下水や井戸水が好ましい。
【0024】
抽出は、腐植土壌と水とを撹拌することにより行なうことができる。抽出時の温度は通常常温である。撹拌時間は通常1〜3時間、好ましくは2〜3時間である。
【0025】
撹拌終了後、2〜4週間、好ましくは約3週間静置して浮遊微粒子を沈降させたのち、上澄液をデカンテーション、吸引、50〜100μmのバッグフィルターによる予備濾過などの濾過工程に通常用いられる分離方法により分離する。上澄液と腐植土層との界面から5〜10cm上に吸引口がくるようにし、吸引する場合には、腐植土層を吸引することなく上澄液を高い収率で吸引することができる。
【0026】
つぎに抽出液を0.3μm以下のフィルターを用いて濾過する。この濾過を行なうことにより、雑菌の除去、浮遊物、懸濁物または経時に沈殿を起こす不溶性物質の排除を行なうことができ、飲料に適した透明な清水を得ることができる。0.3μmより大きい孔径のフィルターでは前記のごとき抽出液を得ることができない。
【0027】
用いるフィルターの孔径は0.3μm以下、好ましくは0.2μm以下(本発明では0.2μm以下)であり、下限は0.1μmである。フィルターの濾材は、濾液に影響を与えないかぎり制限されないが、具体的には、ナイロン、ポリプロピレン、ポリビニリデンフルオライドなどがあげられる。これらのなかでもポリビニリデンフルオライドが好ましい。
【0028】
濾過は、加圧下、減圧下のいずれで行なうこともできるが、一般的には加圧下で行なう。その方法は、たとえば、前記材質のメンブレンフィルターのカートリッジをハウジングにセットし、これを加圧タンクに接続して2kg/cm2以下の圧力で圧送して行なう。この濾過を行なう前に、予備濾過を行なうことは、濾過の効率向上、濾過装置の負担軽減などの観点から好ましい。実際には50〜100μmのバッグフィルターで濾過すれば充分である。
【0029】
以上のようにして得られた本発明における海洋性腐植土壌抽出エキスには、フミン酸をはじめ、フルボ酸、ヒューミンなどの腐植土を構成する物質、リパーゼなどの脂肪分解酵素、アルコールデヒドロゲナーゼなどのアルコール分解酵素などの酵素、タンパク質、アミノ酸、脂肪酸、有機酸、ビタミン、ミネラル、還元物質などが含有されている。
【0030】
フミン酸は腐植酸ともいわれ、土壌中の有機質および石炭質の大部分を形成している成分である。フミン酸の化学構造は不明であるが、多価フェノール形の芳香族化合物と含チッ素化合物との縮合物であり、フェノール性水酸基およびカルボキシル基を有する。ただフミン酸は、腐植の進行度の相違により分子量や構成成分が大きく変化するので決定的な判断は下せないが、50〜55%がアミノ酸、ヘキソサミン、多環芳香族、酸素含有官能基を有する化合物からなり、残りは化学構造が未知で二重結合の多い化合物と考えられる。
【0031】
ここで、前記フルボ酸とは、生体の活性化を導くはたらきを有し、天然の組成物としては最強の有機電解質であり、重金属などを吸着、排泄するキレート作用やスカベンジャー作用を有し、これに接触する物質を平衡化し、生物的性質にエネルギーを与えるための電流を伝える物質であるとともに電気化学的平衡を保ち増進し、遊離基スカベンジャー(清掃剤)および、抗酸化剤と言える。細胞が必要とする平衡に基づき、時には電子の供与体として、ある時は電子の受容体となる。誘導される反応の一つは酸化反応で化学物質は電子をドナーとして供与し失う、もう一つは還元反応で活性物質は受容体として電子を受容する。体内に滞留する農薬、添加物、ダイオキシン、重金属など汚染物質を無毒化するフルボ酸は、生体に危険となる濃度や量になる前でも後でも環境に存在する化学物質と吸着作用が関係することである。
【0032】
また、海洋性腐植土壌抽出エキスに、フルボ酸が6.0〜9.0mg/L含有されてなることが好ましい。6.0mg/Lより少ない場合、本願の美的実用薬理効果が充分に得られないという問題があり、9.0mg/Lより多い場合、それ以上の効果が得られることなく実用的でないという問題がある。また、海洋性腐植土壌抽出エキスに、フミン酸が3.0〜5.0mg/L含有されてなることが好ましい。3.0mg/Lより少ない場合、本願の美的実用薬理効果が充分に得られないという問題があり、5.0mg/Lより多い場合、それ以上の効果が得られることなく実用的でないという問題がある。
【0033】
また、上記含有量から算出した値として、前記フルボ酸と前記フミン酸との配合割合が、1:1〜3:1であることが好ましい。
【0034】
さらに、前記(A)と(B)との合計に対して、前記海洋性腐植土壌抽出エキスが4〜60重量%含まれてなることが好ましい。前記海洋性腐植土壌抽出エキスが4重量%より少ない場合、本願の美的薬理効果が充分に得られないという問題があり、60重量%より多い場合、ウェーブ効率が低下したり、設定された美的実用薬理効果が得られないという問題がある。
【0035】
本発明の理美容処理剤には、適宜有効成分をさらに含有させることができる。たとえばアルカリ剤としてモノエタノールアミンや炭酸水素アンモニウムおよび/またはアンモニアを含ませることができる。これらの配合量としては特に制限されないが、アンモニア臭の軽減の観点から、モノエタノールアミン:炭酸水素アンモニウムおよび/またはアンモニア=1〜15:1が好ましい。1:1より低い場合、アンモニアによる刺激臭が強くなる傾向があり、1:15よりも高い場合、毛髪内部に還元剤を浸透させにくくなるという問題がある。また、これらの成分の合計量としては、1〜10重量%が好ましい。合計量が10重量%を超える場合、毛髪に過剰な膨潤を引き起こし、毛髪表面の損傷につながる傾向がある。また、合計量が1重量%より少ない場合、毛髪を充分に膨潤させることができないという問題がある。
【0036】
また、例えば、アニオン性界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤などの各種界面活性剤、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリンなどの湿潤剤、パラフィン、脂肪酸エステル、動植物油などの油脂類、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコールなどの高級アルコール、コラーゲン、ケラチン、絹、大豆タンパク、小麦タンパクなどの動植物由来の蛋白質の加水分解物やその誘導体、毛髪保護剤、防腐剤、安定剤、抗炎症剤、着色剤、キレート剤、香料などを添加することもできる。
【0037】
本発明の理美容処理剤は、特に、パーマネント用、ストレートパーマ用、縮毛矯正用、ヘアカラー用に使用されることが好ましい。
【0038】
パーマネント用に使用する場合は、パーマネントの1剤に混合することもでき、パーマネントの2剤に混合することもでき、さらに、パーマネントの中間剤に使用することもできる。また、本発明の理美容処理剤は、パーマネント施術前またはパーマネント処理後に使用しても、所望の美的実用薬理効果を得ることができる。
【0039】
このように、本発明の理美容処理剤をパーマネントの施術において、使用するタイミングに寄らず、パーマネント処理の前後、処理中の1剤、中間剤、2剤と混合して使用することにより、従来は、たとえば長髪に対してパーマネントを施す場合において、毛髪の根元部、毛髪の中間部、毛髪の先端部とで髪のコンディションが異なるため、1剤の処理時間などを各部において適宜調整したり、複数の薬剤を使い分けたりする必要があり、あらかじめ毛髪診断を行ったり、さらには熟練した技術を要しており、さらにはダメージヘア用や健康毛用などの薬剤を使い分けて使用していたが、本発明の理美容処理剤を使用してパーマネントを施術すれば、髪の各部において処理時間を調整する必要がなく、複数の薬剤を使い分けたり併用したりする必要がなく、ダメージを抑えるためのたんぱく質(PPT)を使用する必要がなく、不均一な健康状態の毛髪に対して、髪全体に均一なパーマネントを施すことができる。特に、中間剤に使用した場合には、過収斂を起こすこともない。
【0040】
ヘアカラー用に使用する場合もパーマネントの施術における場合と同様に、ヘアカラーの施術前後に使用するか、ヘアカラー剤に混合することもできる。
【0041】
ヘアカラーにおいても同様に、髪の各部において処理時間を調整する必要がなく、複数の薬剤を使い分けたり併用したりする必要がなく、ダメージを抑えるためのたんぱく質(PPT)を使用する必要がなく、髪全体に均一なカラーリングを施すことができる。また、毛髪の健康状態(ツヤ、弾力、すべり等)を向上させることができる。
【0042】
縮毛矯正用に使用する場合も同様に、縮毛矯正の施術前後は、縮毛矯正剤に混合することもできる。
【0043】
縮毛矯正においても同様に、髪の各部において処理時間を調整する必要がなく、複数の薬剤を使い分けたり併用したりする必要がなく、ダメージを抑えるためのたんぱく質(PPT)を使用する必要がなく、髪全体に均一な矯正効果を得ることができる。
【0044】
以下、実施例により、本発明の理美容処理剤およびその使用方法をより詳細に説明するが、本発明は、なんらこれらに限定されるものではない。
【0045】
実施例1
下記処方にしたがって、理美容処理剤1を調製した。
【0046】
理美容処理剤
海洋性土壌抽出エキス 100.0重量%
合計 100.0重量%
【0047】
上記海洋性土壌抽出エキスにおけるフミン酸の量を、吸光光度法(可視)にて測定した。また、フルボ酸の量は、IHSS法にて測定し、MT−6型CHNコーダーにて元素分析を行った。フルボ酸は8.425mg/L、フミン酸は5.0mg/Lであった。
【0048】
実施例2
実施例1で得られた理美容処理剤1を、パーマネントの1剤に対して33重量%となるよう混合した。混合後の1剤を使用して、パーマネントを施術した。パーマネントの施術条件は、毛髪診断、1剤を毛髪に塗布、ワインディング(ロット巻き)、1剤再塗布、ラップ後、自然放置10分、ウェーブのチェック、中間水洗(シャンプーボールにて1剤を洗い流す)、2剤塗布、10分放置、すすぎおよび仕上げの順で行った。パーマ剤として、フィレディカ エクシフォン54CT((株)ナンバースリー製)を使用した。その中に使用されている還元基剤は、L−システィン・チオグリコール酸アンモニウム液・モノエタノールアミン液であった。
【0049】
パーマネント前後および理美容処理剤1を使用せずに施術した場合における毛髪強度と伸長率を測定した。測定はトライコグラム(REDKEN社製)を使用した。結果を表1に示す。
【0050】
実施例3
実施例1で得られた理美容処理剤1を、パーマネントの1剤に対して5重量%となるよう混合した以外は、実施例2と同様に行った。結果を表1に示す。
【0051】
実施例4
実施例1で得られた理美容処理剤1を、パーマネントの1剤に対して60重量%となるよう混合した以外は、実施例2と同様に行った。結果を表1に示す。
【0052】
実施例5
実施例1で得られた理美容処理剤1を、カラーリング剤の1剤と2剤に対して23重量%となるよう混合した。混合後の薬剤を使用して、ヘアカラーを施術した。ヘアカラーの施術条件は、毛髪診断、カラー1剤とカラー2剤(過酸化水素水)を混合、混合したカラー剤を毛髪に塗布、ラップをして自然放置20分、発色を確認、コーミング、空気酸化5分、シャンプーボールにて乳化、すすぎ、シャンプーおよび仕上げの順で行った。カラーリング剤として、ポセグレイカラー(色番NB7、株式会社ムーランエムーラン製)を使用した。
【0053】
ヘアカラー前後および理美容処理剤1を使用せずに施術した場合における毛髪強度と伸長率を測定した。測定はトライコグラム(REDKEN社製)を使用した。結果を表2に示す。
【0054】
実施例6
実施例1で得られた理美容処理剤1を、カラーリングの1剤と2剤に対して4.7重量%となるよう混合した以外は、実施例5と同様に行った。結果を表2に示す。
【0055】
実施例7
実施例1で得られた理美容処理剤1を、カラーリングの1剤と2剤に対して37.5重量%となるよう混合した以外は、実施例5と同様に行った。結果を表2に示す。
【0056】
実施例8
実施例1で得られた理美容処理剤1を、縮毛矯正の1剤に対して50重量%となるよう混合した。混合後の薬剤を使用して、縮毛矯正を施術した。縮毛矯正の施術条件は、毛髪診断、1剤を毛髪全体に塗布、ラップをして自然放置20分、軟化チェック、1剤をすすぐ、毛髪をドライヤーにて乾かす、180度のアイロンにてプレス、2剤を毛髪全体に塗布、自然放置10分、すすぎおよび仕上げの順で行った。矯正剤として、SHリシオノチュール((株)ミルボン製)を使用した。その中に使用されている還元基剤は、チオグリコール酸塩・ジチオグリコール酸ジアンモニウム液であった。縮毛矯正前後および理美容処理剤1を使用せずに施術した場合における毛髪強度と伸長率を測定した。測定はトライコグラム(REDKEN社製)を使用した。結果を表3に示す。
【0057】
実施例9
実施例1で得られた理美容処理剤1を、縮毛矯正の1剤に対して5重量%となるよう混合した以外は、実施例8と同様に行った。結果を表3に示す。
【0058】
実施例10
実施例1で得られた理美容処理剤1を、縮毛矯正の1剤に対して33重量%となるよう混合した以外は、実施例8と同様に行った。結果を表3に示す。
【0059】
実施例11
実施例1で得られた理美容処理剤1を、縮毛矯正の1剤に対して60重量%となるよう混合した以外は、実施例8と同様に行った。結果を表3に示す。
【0060】
評価方法
毛髪強度
不作為に抽出した毛髪1本(約15cm)を、トライコグラム(REDKEN社製)を使用して破断するために必要な毛髪強度と伸長率を測定した。測定は3回行い、平均値を算出した。
【0061】
【表1】

【0062】
表1に示されるように、実施例1の理美容処理剤を処理せずにパーマを施術した場合、施術前と比較して、毛髪強度は約12〜32%低下し、伸長率は約6%低下したか変化がなかったのに対し、実施例1の理美容液処理剤を処理してパーマを施術した場合には、毛髪強度は約4〜38%向上し、伸長率は約18〜42%向上した。
【0063】
【表2】

【0064】
表2に示されるように、実施例1の理美容処理剤を処理せずにヘアカラーを施術した場合、施術前と比較して、毛髪強度は約6〜20%低下し、伸長率は約9%低下したか約1%向上したのに対し、実施例1の理美容液処理剤を処理してヘアカラーを施術した場合には、毛髪強度は約8〜28%向上し、伸長率は約2%しか低下しなかったか約22%向上した。
【0065】
【表3】

【0066】
表3に示されるように、実施例1の理美容処理剤を処理せずに縮毛矯正を施術した場合、施術前と比較して、毛髪強度は約49%低下し、伸長率は約15%低下したのに対し、実施例1の理美容液処理剤を処理して縮毛矯正を施術した場合には、毛髪強度は約23〜35%向上し、伸長率は約8〜26%向上した。
【0067】
これらの結果から、実施例1の理美容処理剤を処理せずに施術した場合は、処理の前後において、毛髪強度が約6〜49%低下したのに対し、実施例1の理美容処理剤を処理して施術した場合には、約4〜38%向上した。すなわち、処理の前後において、実施例1の理美容処理剤を処理した場合には、通常(処理しない場合)では、施術前後で毛髪強度が大幅に低下するのに対して、低下するばかりか大幅に向上するという格別顕著な効果を奏することが判った。
【0068】
また、実施例1の理美容処理剤を処理せずに施術した場合は、処理の前後において、毛髪強度が約15%低下するか、約1%向上したのに対し、実施例1の理美容処理剤を処理して施術した場合には、約2%しか低下しなかったか、約42%向上した。すなわち、処理の前後において、実施例1の理美容処理剤を処理した場合には、通常(処理しない場合)では、施術前後で伸長率がほとんど変化しないか、大幅に低下するのに対して、ほとんど変わらないか、大幅に向上するという格別顕著な効果を奏することが判った。
【0069】
すなわち、通常では施術の前後において、毛髪の状態は著しく悪化することが明らかであるが、実施例1の理美容処理剤を使用した場合、毛髪の状態は悪化することなく、施術前と比べて大幅に向上することが判り、格別顕著な美的実用薬理効果を示すことが判った。
【0070】
以上の結果から、本発明の理美容処理剤は、薬理効果による毛髪損傷を軽減し、損傷した毛髪への美的実用薬理効果を発揮することが確認された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
海洋性腐植土壌抽出エキスを含む理美容処理剤。
【請求項2】
前記海洋性腐植土壌抽出エキスに、フルボ酸とフミン酸とが含まれてなる請求項1記載の理美容処理剤。
【請求項3】
前記海洋性腐植土壌抽出エキスに、フルボ酸が6.0〜9.0mg/L含有されてなる請求項1または2記載の理美容処理剤。
【請求項4】
前記海洋性腐植土壌抽出エキスに、フミン酸が3.0〜5.0mg/L含有されてなる請求項1〜3のいずれか1項に記載の理美容処理剤。
【請求項5】
前記フルボ酸と前記フミン酸との配合割合が、1:1〜3:1である請求項3または4記載の理美容処理剤。
【請求項6】
前記海洋性腐植土壌抽出エキスに、(A)チオグリコール酸アンモニウムおよび/またはチオグリコール酸モノエタノールアミンおよび/または(B)システインがさらに含まれてなり、前記システインが、L−システイン、DL−システイン、N−アセチル−L−システイン、L−システイン塩酸塩、DL−システイン塩酸塩からなる群より選ばれた1種以上である請求項1〜5のいずれか1項に記載の理美容処理剤。
【請求項7】
前記(A)と(B)との合計に対して、前記海洋性土壌抽出エキスが4〜60重量%含まれてなる請求項1〜6のいずれか1項に記載の理美容処理剤。
【請求項8】
パーマネント用、ストレートパーマ用、縮毛矯正用、ヘアカラー用に使用されてなる請求項1〜7のいずれか1項に記載の理美容処理剤。
【請求項9】
パーマネント施術後に請求項1〜8のいずれか1項に記載の理美容処理剤を使用する、理美容処理剤の使用方法。
【請求項10】
ヘアカラー施術後に請求項1〜8のいずれか1項に記載の理美容処理剤を使用する、理美容処理剤の使用方法。

【公開番号】特開2010−270063(P2010−270063A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−123234(P2009−123234)
【出願日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【出願人】(509143309)Wackプランニング株式会社 (1)
【出願人】(398060798)日本フミン化学株式会社 (1)
【Fターム(参考)】