海洋波エネルギーを電気に変換する方法及び装置
海洋波の動きのエネルギーを利用して発電するため海洋表面内又は表面上に位置づけられた発電装置。本装置は、到来する海洋波に対して〜45°で船首及び船尾に係留され、波方向の変化に適応するヨーイング能力を備える。本装置は、発電機から海底ケーブルを介して海岸送電系統に電力を供給する。発電機への回転駆動トルクは、2つの長い反転駆動管体により生成され、これらの管体は、装置の船首船体及び船尾船体で軸受により保持される。代替形態として、エネルギー取り込み及びパワー平滑化のため流体圧を利用することができ、発電機を駆動するために流体圧モータを通じて回転トルクを提供することができる。主本体は、部分的に潜水され、駆動管体が通過する軸受を備えたロッカーアームにより構造体に接続された複数のポッド浮体を有し、或いは、アームと主本体との間にポッド変位によりエネルギーを取り込んでアキュームレータ内に蓄えられる二重作動式流体圧ラムを有する。駆動管体の回転トルクは、波の運動に応じてポッドが上下に移動するときに生成され、発電機に伝達されて発電を行う。流体圧ケースにおいて、エネルギーは、波の運動に応じてポッドが上下に移動するときに二重作動式流体圧ピストンのポンプ送給によって圧力としてアキュームレータ内に蓄えられる。流体圧はポンプを駆動し、これにより発電機にトルクを提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海洋波の運動に内在するエネルギーを取り込んで発電機を回転させ、これにより電力を発生させる装置に関する。
【背景技術】
【0002】
波エネルギーコンバータ(WEC)は、通常、発電用に海洋表面波からエネルギーを取り込む。太陽エネルギーを利用した形態のなかでも波のエネルギーは最も高いエネルギー密度をもたらす。しかしながら、波力発電における従来の取り組みは、様々な理由から広く受け入れられてはいない。
【0003】
波力は、波が低速で高位の場合に利用しやすいが、力の動きは単一の方向ではない。ほとんどの商用発電機はより高速度で作動し、供給源エネルギーの定常流を必要とする。更に、海洋上に配備されるあらゆる装置が過酷な荒天に耐え抜くことができなければならず、製造及び保守コストが増大する。
【0004】
波力技術の実用化の鍵は、競争力のある均等化発電原価(Levelized Cost of Energy、LCOE)である。波力は、発電の総コストが低いときに優位性がある。総コストには、資本コスト、保守コスト、及び電力供給コストが含まれ、これにより発生電力に関連してエネルギーの「寿命」コストが決定付けられる。従って、発電システムにおいて最小コストで海洋波から最適エネルギー抽出を得る方法及び装置を提供することが望ましい。
【0005】
システムは、漁場及び海岸線などの海洋環境への影響を最小限にする必要があり、海洋航海を妨げてはならない。
【0006】
Rubiに付与され、表題「波力発電システム及び方法(Wave action electricity generation system and method)」の米国特許第4,851,704号は、水上でシステム構成要素を支持する浮遊プラットフォームを含む波力発電システムを開示している。波動エネルギーは機械エネルギーに変換され、発電機は、機械的出力伝達ストロークを電気エネルギーに変換する。
【0007】
コンバータは、対向するシリンダチャンバ部分に潤滑剤を含有するシリンダと、シリンダの本体内に拘束されずに摺動可能に配置された第1の重量ピストンとを含む。重量ピストンは、水本体の波動エネルギーに摺動自在に応答し、流体を圧縮し、シリンダチャンバ部分の各々においてそれぞれ圧縮出力ストロークを生成するのに使用される。圧縮ストロークのエネルギーは、シリンダチャンバ部分内に位置付けられた第2及び第3のピストンにより受けられる。第1及び第2のピストンに関連する出力伝達ストロークは、更にギア伝達機構により回転運動に変換され、該回転運動により発電機に結合されたフライホイールを転回させる。次に、生成された電気エネルギーは、送電線を介して遠隔の動力部に配分される。
【0008】
Tateishiに付与され、表題「発電設備(Power generating installation)」の米国特許第5,889,336号は、浅水波を利用した発電用の浅海水域に位置付けられた発電設備を開示している。システムは、海中又は海底の何れかに位置付けられる係留設備と、一方端が係留設備に接続され、他方端には重りが取り付けられるチェーンとを含む。浮体は、発電機と、チェーンが係合した回転部材とを備えている。浮体が波の上下動に応じて上方及び下方に移動するときに生成される回転部材の回転力は、発電機に伝達され、これにより電力を生成する。
【0009】
Henchに付与され、表題「海洋波エネルギーを電気に変換する方法及び装置Method and apparatus for converting ocean wave energy into electricity)」の米国特許第7,453,165は、海洋波に関連するパワーを利用して当該パワーを電気に変換する方法を開示している。本装置は、垂直方向に向いた中央シャフト、振り子、及び発電機を収容するブイである。ブイが、波動の影響を受けて垂直から傾くと、振り子が中央シャフトの周りに加速され回転する。中央に配置された発電機は、回転する振り子によって機械的に駆動され、この振り子の運動エネルギーが電気に変換される。
【0010】
これら従来技術のシステムは、コスト効果があり且つ現代のエネルギー需要を満たす実用規模の発電出力を生成することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第4,851,704号明細書
【特許文献2】米国特許第5,889,336号明細書
【特許文献3】米国特許第7,453,165明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
必要とされているのは、安定したプラットフォームを提供し、機械的にリンクした浮遊体(又はブイ)が波の作用に対して最大露出を有し、これによりエネルギー取り込みを最大にすることができる、海洋波運動からのパワー取り込み用発電装置である。
【0013】
更に、効率的で、製造及び維持のコスト効果があり、過酷な気象事象に耐えることができる、海洋波からのエネルギーを取り込む方法を提供することが望ましい。
【0014】
波エネルギーコンバータの配備及びサービスの点で経済的に優位となるよう拡張可能な方法及び装置を有することが望ましい。
【0015】
海洋航海を妨げることなくポートとの間で輸送することができるような構成で波エネルギーコンバータを配置する方法及び装置を提供することが望ましい。
【0016】
また、波エネルギーコンバータが、接近する波に対する最適/最大露出を可能にするアクティブヨーシステムを有して、エネルギー取り込みを最大にすることも望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、海洋波を利用した発電装置に関する。本発明の1つの態様によれば、複数の力伝達浮遊ポッド(ブイ)が回転シャフトに係合する。回転シャフトは発電機を駆動する。回転シャフトは、海洋波の上下運動に応じてポッドが上下に移動するときに回転力を発生する。この回転力は、発電機に伝達され、これにより発電機が発電を行うようになる。
【0018】
本発明の別の態様によれば、流体圧システムは、上方及び下方のポッド運動の両方でエネルギー取り込みを可能にする。
【0019】
本発明によれば、波が通過するときに上下運動で移動する浮遊ポッドが使用される。ポッドは、レバー組立体、例えば、堅固な材料で作られたアームに結合又は接続される。ポッドは、細長いベースに沿って配列され、開放格子構造とすることができ、波が通過してポッドを反対側に作動させることができるようにする。ベースの長さ及び/又はポッドの数及びサイズは、ターゲット区域の波の期待周波数、波長、及び振幅に依存する。ベースは、複数の波(例えば、2から3つの長い波)をまたがるように十分長くすることができ、これによりベースの「ピッチング」を最小限にし、ポッドによるエネルギー取り込みを最大にすることができる。ベース(例えば、V字型又はボックス形構造)に沿って、多数の発電構成要素が配置される。ポッドのアーム/レバーと発電システムとの間の機械的結合については、トルク伝達シャフトが細長いベースに沿って延びている。幾つかの長い波にわたって延びる構造体を構築するために、共に堅固に結合された複数のベースが存在することができる。流体圧システムへのポッドのアーム/レバーの結合については、ベースは、流体圧シリンダを備え、又は収容し、該シリンダは、可動ポッドにより加えられ且つアーム/レバーにより伝達される力によって作動される。従って、ベースは、ポッドと同じようにして波の上下運動に追従しないので、てこ力の作用点を提供する。ベースは、波の波長の少なくとも相当部分にわたって(或いは、1より多くの波長にわたってでも)延びるので、ベースに作用する力は、単一のポッド(波長の一部分にわたって延びるだけである)に作用する力とは常に異なる。従って、ポッドは、ベースに対して上下方向に移動している。ポッドのアーム/レバーは枢動可能であるようにベースに結合されるので、てこ力を力伝達要素に作用させることができる。
【0020】
従って、本発明の1つの主要な特徴は、複数のポッドを共通の開放格子構造体に結合することである。構造体は、全波長又は1よりも多い波長にわたって延びるので、様々なポッドが異なる波高又は振幅を生じることになる。これは、ポッドと同様に波運動に追従しない構造体を意味する。このことは、ポッドと残りの構造体との相対移動を生じさせ、その結果、てこ力及び更に回転トルク又は流体圧に変換される。
【0021】
構造体は、波面に対する露出及び波間の期間を最適にし、最小ピッチング及び最大エネルギー取り込みを行うために、接近する波に対してある角度(〜45°)であるようにアクティブにヨーイングするようにする。波方向が変化すると、システムはこれに応じてヨーイングする。
【0022】
ベースは、浮力を提供するために受動的浮遊要素を含むことができる。しかしながら、ベースはまた、ベースに結合されたポッドのみを用いて支持されてもよい。
【0023】
ポッドは、海水及び機械的応力に耐え得るあらゆる適切な材料から作ることができる。ポッドの形状は、波の上昇及び移動に最適にされる。ポッドは、取り付けアーム(又はレバー)に対して回転され、ポートから配備サイトまでの曳航を可能にし、又は極度な海上状態下で波荷重を最小限にすることができる。ポッドは、波エネルギーコンバータシステム全体が潜在的に損傷を受ける波軌道を下回って潜水できるように、注水することができるチャンバを有することができる。
【0024】
ベースに沿って、ポッドは、ベースの2つの対向する側部上に配列され、これによりベースを平衡に保ち、ベースの他方の側部上のポッドに対する反対の力を提供することができる。ポッドが取り付けられる開放格子ベースは、波がベース構造体を通過して対向する側部上でポッドを自由に作動させることを可能にする。
【0025】
本発明による設計及び動作上の手法は、50年回波による極度な波荷重を持続する撓み、ホッギング、及び捻れ荷重に抗する構造的材料の広範囲の使用を必要とする構造概念を排除している。本発明は、複雑な係留バックボーン構造を提供し、複数の波にまたがるポッドを用いることによりこれを実施する。荷重の一部はバックボーンに移されたが、電力変換システムは、波高が高くなるほどより小さな抵抗をポッドに提供する(結果として一定の出力となる)ことによりこれらの荷重を制御する。極度な波荷重に耐える別の方法は、ポッドを部分的に注水し、波コンバータシステムが極度な表面波力の範囲外の深さまで潜水可能にすることである。極度な海面状態が正常になると、注水されたポッドには空気圧が充填されて海水を排出し、システムが再度浮上する。
【0026】
構造体の長さに起因してピッチングが最小にされ、これは、装置のエネルギー取り込みがより大きくなることにつながる。
【0027】
本発明の更に別の態様によれば、流体圧システムは、波のエネルギーを用いて、発電機に接続されたインパルスモータ又は流体圧モータなどの流体圧システム及び流体圧タービンを作動させることにより、ポッドの移動を制御する。
【0028】
本発明の別の態様によれば、流体圧システムは、ポッド流体圧システムを備えた回路内にインパルスタービン及びインパルスタービンノズルを含み、該ノズルは、波高の変化に応じて波によりポッドを移動させるのに必要な力を自動的に調整する。
【0029】
本発明の別の態様によれば、ポッド及びシャフトは、使用可能なポッド変位ひいては海洋波からのエネルギー取り込みを最大にすることを可能にする安定した中央構造をもたらす長さで組み付けられる。
【0030】
本発明の別の態様によれば、ポッドは、流体圧を加圧するために二重作動式ポンプを用いて上方及び下方波運動の両方でポンプ力を加え、エネルギー取り込みを可能にする。本発明は、モジュール式ユニットがコスト効果のある製造及び配備、並びにサイトでの需要及び配分を考慮した装置当たりの総パワーの調整を可能にする利点を有する。
【0031】
本発明は、使用可能なポッド変位ひいては波からのエネルギー取り込みを最大にすることを可能にする安定した中央構造をもたらす長さにユニットが組み付けられる利点を有する。本発明は、システムがピストン振れに対してソフトストップな流体圧を用いる利点を有する。
【0032】
本発明は、中央又はベース構造体の設計のケーブルステイ構造形態がコスト及び重量節減をもたらす利点を有する。
【0033】
本発明は、ポッド流体力学及び流体静圧形状が低エネルギーコストに最適化され(波軌道からの望ましくない荷重すなわちリフト力を最小限にしながら、上昇及び降下力を最大にすること)、アームへの取り付けにおいて回転されて、配備サイトへの曳航中の抗力を最小限にし、極度な波事象中に波に対する露出を最小限にすることができる利点を有する。
【0034】
本発明は、管状ベース構造が出力を等しくするための流体圧アキュームレータとして2倍になる利点を有する。管状構造体はまた、バラスト及び/又は加圧空気タンクとして働き、注水ポッドから海水を取り除いて、極度の波浪状態が弱まったときに潜水したシステムを再浮上させることができる。
【0035】
本発明は、ポッドの可変上昇及び降下力がエネルギー取り込みを最大にする利点を有する。
【0036】
本発明は、システムが多方向及び周波数のエネルギー取り込みを可能にする利点を有する。
【0037】
本発明は、ヨーシステムが個々のユニット及び集合ユニットをアレイ状に提供し、風及び/又は波移動の方向の変化を管理しエネルギー取り込みを最大にする利点を有する。
【0038】
本発明は、利用される係留システムが係留点を共用し、コストを低減する利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】従来技術の力ゼロの実施例である。
【図2】従来技術の固定容積の実施例である。
【図3】本発明の波エネルギーコンバータの実施形態の背後にある理論の1つの実施例である。
【図4】波スペクトルとパワーのグラフである。
【図5】海洋波に応答して海洋表面上の本発明の第1の実施形態の波エネルギーコンバータの側面図からのポッドの動きを示す図である。
【図6】図5の波エネルギーコンバータの第1の実施形態の1つの実施例の上面図である。
【図7】本発明の波エネルギーコンバータの第1の実施形態の上面図である。
【図8】本発明の波エネルギーコンバータの第1の実施形態の側面図である。
【図9】図7の波エネルギーコンバータの駆動管体、ラチェット、及び浮遊ポッドの端面図である。
【図10】図7の波エネルギーコンバータの駆動管体、ラチェット、及び浮遊ポッドの上面図である。
【図11】本発明の波エネルギーコンバータの第2の実施形態で利用される二重作動式ピストンポンプの図である。
【図12】流体圧モータと組み合わせた二重作動式ピストンポンプの図である。
【図12a】本発明と共に使用される流体圧システムのより詳細な図である。
【図12b】本発明と共に使用される代替の流体圧システムのより詳細な図である。
【図13】海洋波に応答して海洋表面上の本発明の第2の実施形態の側面図からのポッドの動きを示す図である。
【図14】構造体用にトラスシステムを利用する本発明の波エネルギーコンバータの第2の実施形態の斜視図である。
【図15】図14の波エネルギーコンバータの側面図である。
【図16】図14の波エネルギーコンバータの端面図である。
【図17】図14の波エネルギーコンバータの上面図である。
【図18】構造体用にケーブルステイ及び展開器を利用する波エネルギーコンバータの第2の実施形態の等角図である。
【図19】図18の波エネルギーコンバータの1つのセクションの上面図である。
【図20】図18の波エネルギーコンバータの端面図である。
【図21】図18の波エネルギーコンバータの側面図である。
【図22】取り外し可能パワーポッドを利用した波エネルギーコンバータの等角図である。
【図23】取り外し可能パワーポンツーンを利用した波エネルギーコンバータの等角図である。
【図24】波エネルギーコンバータの主構造からパワーポンツーンの動きを結合解除する実施可能な方法を示す図である。
【図25】構造体の下にパワーポンツーンを配置した、波エネルギーコンバータの端面図である。
【図26】種々の電気及び/又は流体圧構成要素を収容する波エネルギーコンバータポッドの等角図である。
【図27】図14の係留された波エネルギーコンバータの等角図である。
【図28】図14の係留された波エネルギーコンバータの側面図である。
【図29】複数の波エネルギーコンバータの係留構成の等角図である。
【図30】波移動の1つの方向での図29の係留構成の等角図である。
【図31】単一の波エネルギーコンバータ係留及びウィンチシステムの等角図である。
【図32】複数の波エネルギーコンバータ及び共用係留設備を備えた、図31の係留及びウィンチシステムの等角図である。
【図33】波の移動方向及び/又は風方向が変化した、図32の係留構成の等角図である。
【図33a】単一の波エネルギーコンバータ係留システムの等角図である。
【図33b】60度回転能力を有する反時計回りの回転を示す係留及びウィンチシステムの概略図である。
【図33c】120度回転能力を有する反時計回りの回転を示す係留及びウィンチシステムの概略図である。
【図33d】冗長ウィンチ及び120度ヨーイング能力を有する反時計回りのヨーイング(回転)を示す係留及びウィンチシステムの概略図である。
【図34】本発明の第3の実施形態による波エネルギーコンバータの等角図である。
【図35】図34に示すポッドの1つのような、ブイにより波からの最適エネルギー抽出を描いた概略図である。
【図36】図34に示すポッドを制御する流体圧システムの概略図である。
【図37】ポッドの動きからエネルギーを抽出する二重作動式流体圧ポンプの作動を描いた概略図である。
【図38a】インパルスタービンノズルが波高の変化に伴ってポッドのロック力をどのように自動的に調整するかを示す概略図である。
【図38b】インパルスタービンノズルが波高の変化に伴ってポッドのロック力をどのように自動的に調整するかを示す概略図である。
【図39】図34に示す複数ポッドの波エネルギーコンバータの図である。
【図40】構造体の中央における動力部の位置を示す本発明の第4の実施形態の斜視図である。
【図41】動力部の正面図を示す、図40の装置の断面図である。
【図42】主2MW動力部の位置及び2つの1MW動力部の位置を示す、図40の装置の側面図である。
【図43】モジュール式1MWセクションが付加されてパワー定格及びエネルギー取り込みが増大した装置、並びにサービス容器用の上陸プラットフォームの上面図である。
【図44】中央動力部及び電気及び電力用電子システムを備えた主2MWセクションの側面図である。
【図45】1つのモジュール式1MWセクションの上面図である。
【図46】海上での動作モードを描いた装置サブシステムを示す本発明の第5の実施形態の正面図である。
【図47】ポッドバラストシステムの詳細を示す、図46の装置の等角図である。
【図48】回転したポッドを示す図46の装置、並びに海洋表面下に潜水した装置の正面図である。
【図49】図48の潜水した装置の側面図である。
【図50】ポートから離れて装置を波力発電サイトに移動させる配備における回転ポッドを示す正面図である。
【図51】本発明の第6の実施形態の上面図と側面図を組み合わせた図である。
【図52】第6の実施形態の等角図である。
【図53】矩形バックボーン(ベース構造)を示す、本発明の第6の実施形態の正面図である。
【図54a】本発明の第6の実施形態による多セクションバックボーン及び開放ジョイントの概略側面図である。
【図54b】バックボーンのセクション間のジョイントの詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1を参照すると、従来技術の力ゼロの実施例である。この実施例において、1つのブイは固定されておらず、当該ブイに加わる力は存在せず、よって波から吸収されるエネルギーは存在しないようになる。波の振幅は同じままである。
【0041】
図2を参照すると、従来技術の固定容積の実施例である。この実施例において、波が傍を通過するときに1つのブイが固定されている。変位が存在しないので、吸収されるエネルギーも存在しない。波の振幅は、ブイを通過する前と後で同じままである。ブイを通過する間、ブイが水中に沈められるときに、ブイの容積が波の容積に付加されるので、波の前面により高さが増大することは明らかである。波の後面は、ブイが水面に浮上するときに高さが失われる。
【0042】
図3を参照すると、本発明の波エネルギーコンバータ(WEC)の1つの実施例である。この実施例において、容積(ブイなど)は、その運動を抑制するためにブイに何かを取り付けて、これに力を加える。この力は、ある距離にわたって変位を生じ、よってエネルギーが波から吸収されて波の振幅が減少する。ブイは、波の位相から外れた正弦波パターンで周期的に変動するので、この振幅は減少する。ブイは波の谷で潜水し、充填され、波のピークで水面に浮上し、その高さが低下する。
【0043】
図4を参照すると、波のエネルギーが制限された波スペクトルとパワーのグラフである。9.5秒の周期を備えた3.5m波は、横波面の潜在的パワー55kW/メートルを有するに過ぎない。50%効率では、2.5MWのパワーを生成するためには波間で90メートルを必要とする。この理由から、波エネルギーコンバータの波面露出は、上述のことを考慮して設計される必要がある。
【0044】
図5を参照すると、海洋表面上の本発明の波エネルギーコンバータの側面図である。装置は、パワーを増大させるようポッドアーム剛性、向き、及び長さによって調整することができ、そのパワー出力を増大させる、波エネルギーコンバータユニット全体の予測ピッチング(縦揺れ)に起因して効率に付加される最大−50%の補正を有する。「パワーセクション」におけるポッドの全ては、トルクシャフトにリンクされ、同じ速度でシャフト軸の周りを回転する。これによりポッドは、ほぼ一定の速度で上昇する。シャフトの回転速度は、ポッドがどれほど迅速に潜水するか及びその最大変位を決定付ける。この速度は、最大パワーになるように選択される。ポッドは一定の変位容積をもたず、エネルギー取り込みが減少する。「コーストセクション」におけるポッドは、トルクシャフトにリンクされておらず、従って、この状況における発電には寄与していない。
【0045】
図6を参照すると、図5の波エネルギーコンバータの上面図である。2.5MW装置では、V型の各側部に25個ずつ、合計50個のポッドがある。海洋波は高さが3.5m、周期9.5s及び140mの波長を有すると仮定している。これは、装置シャフトに4250kN−mトルクで2.8RPMをもたらす。V型装置の後方幅は190mである。
【0046】
(本発明の第1の実施形態)
本発明の波エネルギーコンバータの第1の実施形態の上面図である図7、及び側面図である図8を参照する。波エネルギーコンバータ(WEC)は、海洋波の作用により駆動される発電装置である。本装置は、通常は風上の到来波に面する船首部1から係留され、出力伝達機構2からの海底ケーブルを介して海岸送電系統に出力を供給する。この構成において、ポッドとシャフト3との間には機械的結合が存在する。しかしながら、ポッドは、レバー組立体/アームからシャフトへの一方向のみの回転運動の伝達を可能にし、且つ反対方向の回転運動の伝達を阻止する装置によってシャフトに結合される。
【0047】
これに関連して、図7の波エネルギーコンバータの駆動管体、ラチェット、及び浮遊ポッドの端面図である図9と、上面図である図10とを参照する。2つの長い逆回転駆動管体(シャフト)3は、発電機に回転駆動力を提供する。駆動管体3は、船首船体及び船尾船体において軸受4により保持される。管体は、駆動管体が通過する軸受7を備えたロッカーアーム6により管体に接続される複数のポッド浮体5を有する。
【0048】
ロッカーアームは、浮遊ポッドが波と共に上昇するときに駆動管体と係合するラチェット機構を有し、これにより駆動管体に転回モーメントをもたらす。駆動管体は、ラチェット受け9を備え、ロッカーアームのラチェット機構と係合する。波が後退すると、ラチェットが係合解除し、浮遊ポッドは波の谷へと降下し、次の波が接近すると再度係合する。
【0049】
図8に示すように、駆動管体の長さに沿った複数の浮遊ポッドにより、通過する波が浮遊ポッドのグループ10を連続的に持ち上げることが可能になり、これにより駆動管体3に連続した転回運動をもたらす。波間隔は変化するが、依然として一定の力を生成する。波の周波数がより高く間隔が短いほどより大きなパワーが発生し、波の周波数が低いほどより小さなパワーが発生する。
【0050】
船首船体1において(図7)、駆動管体は、互いに近接しており、後方船体に入る箇所において離隔距離12がより大きくなっている。これは、駆動管体に沿って各下向き流の浮遊ポッドを提供して、波に対する露出が更に増大させ、他の場合では、浮遊ポッドが下向き流と直接整列した場合に波エネルギーレベルを漸減させることになる。
【0051】
平水では、駆動管体は、浮遊ポッドと共にほぼ駆動管体の中心線13に浮遊すると共に、ポッドは、上面だけが水位線の上に露出した状態で浮遊している。
【0052】
ポッドの運動は、各々45度の駆動管体中心線の上方及び下方の上昇及び降下を伴った、駆動管体の中心軸線から約90℃の半径方向円弧14の形である。この運動範囲は、通常動作における最大作動波高さまでの波からのエネルギー取り込みを可能にする。ロッカーアーム/レバー組立体の長さ15は、このポッドの運動範囲を決定付け、すなわち、システムは、ロッカーアームの長さを最適化することによって配備区域の波状態を「調整」することができる。ポッドは、波が最小乱流の波形で通過するときに「上昇」をもたらし、波のエネルギー損失を最小限するよう設計された流体力学的形状(図10を参照)を有する。
【0053】
(本発明の第2の実施形態)
第2の実施形態によれば、ポッドは、どのような回転シャフトにも機械的に結合されていない。代わりに、上下に移動するポッドによって二重作動式ピストンが作動する。この目的において、レバー組立体は、ベース構造にヒンジ接続され、ピストンは、ポッドとヒンジとの間のレバーアームに結合される。図11及び12に示すように、ピストンは、高圧の流体圧流体をリザーバからアキュームレータにポンプ送給する。アキュームレータは、外部供給源(例えば、バネ又は加圧ガス)により加圧下で流体が保持される圧力貯蔵リザーバである。アキュームレータは、流体圧モータに送給し、波エネルギーにおける周期的振動を平滑化する。流体圧モータは発電機を駆動する。
【0054】
図12aは、流体圧システムのより詳細な図を示している。流体圧システムは、可変容量流体圧モータ−直接駆動発電機に低速度で供給する一連の振動ポンプ(各ポッドに接続された流体圧ラム)からなる能動的制御の油又は海水ベースのシステムである。接近する波がポッドに浮力を作用させる(ポンプピストンが左に移動する)と、SV−2は、規定圧力(発電機負荷圧力)に達するまで閉鎖されたままである。この時点で、SV−2が開き、加圧油が流体圧モータに供給される。波が通過し、ポッドへの浮力が減少すると、SV−1は、圧力が負荷圧力に達するまでポッドを懸下したまま保持し、圧力が達した時点でSV1が開き、加圧流体が流体圧モータに運ばれる。複数の位相ずれポッドは、一定流量の確保を可能にする。
【0055】
ポッドは、4つから8のグループにまとめられ、単一の発電機に供給する。流体圧モータの変位は、平均波高さ及び周期(利用可能な流量)に基づいて変化し、発電機が一定の速度及び圧力であるが可変の入力トルク(出力電流)で稼働することを可能にし、すなわち、波高さが減少するほど、発電機電流出力が比例して減少することになる。図12bは、典型的な4ポッドHMGセットを示す。
【0056】
図13を参照すると、海洋波に応答したポッドの動きの例図である。これらのポッドは、海水の密度の半分である。左端のポッドは、谷の表面から始まる。このポッドは海中に沈み、谷に容積を付加する。ポッドがほとんど完全に沈むと、その浮力がピストンにおいて流体圧に打ち勝ち、ポッドが波の頂点にまで上昇する。ここでポッドは、その重量がラム力に打ち勝つまで頂点から浮上して容積が除去され、次いで、谷まで降下する。
【0057】
本発明のトルクシャフトの第1の実施形態と比較すると、この設計は、その変位を超える一定力を有し、流体圧結合に起因するポッドの上昇及び降下の両方に作用する。また、本設計は、装置に加わる相殺モーメントを有し、よって、正味転動モーメントが存在しない。波の上下運動により、複数のポッドが上下に移動する。波の上下運動は、流体圧流体をポンプ送給する流体圧ピストンを作動させる。この場合も同様に、エネルギーコンバータの長さが1つ又はそれ以上の波を超えて延びることに起因して、ポッドは、同時に波の異なる振幅を生じる。波によって上方に移動するポッドのグループと、下方に移動するポッドのグループとが常に存在する。ポッドが常に、流体をあまり大きな範囲にポンプ送給していないターンアラウンド位置にて短時間スパンを費やす可能性がある場合でも、関連ポッドは異なる運動ステージにあるので他の何れかの流体圧ピストンは同時に加圧される。
【0058】
図14を参照すると、本発明の波エネルギーコンバータの第2の実施形態の斜視図である。
【0059】
複数のポッド3は、レバー組立体/アーム31に装着される。アームは、ベース構造33、34の支持部材34にヒンジ接続される。ベース構造は、堅固なトラスシステムとして構成され、更に、支持部材34に対して平行に配列された2つのバー33を備え、バーと支持体が三角形状を形成し、該バーが三角のコーナーにあるようにする。支持部材とバー33との間には、安定化バー又はトラスレールが存在し、トラスシステムの捻れ、張力、及び曲げの剛性をもたらすようにする。アーム31には流体圧ピストン32が結合され、これらは、波の上下運動によりパッドが移動したときのポッド30とベースとの間の相対運動により作動される。この実施例では、各ポッドにより作動される1つのピストンがある。
【0060】
図15を参照すると、図14の波エネルギーコンバータの側面図である。主本体の長さは、モジュールの組み立てられた長さがエネルギー取り込みに最適なポッド偏位が確保されるようにする。
【0061】
図16を参照すると、図14の波エネルギーコンバータの端面図である。堅固なトラスシステムは、ポッドアーム及び二重作動式ピストンに接続される。トラスレールは、流体圧システムのアキュームレータとして使用される。
【0062】
図17を参照すると、図14の波エネルギーコンバータの上面図である。図18を参照すると、ケーブルステイベース構造を備えた波エネルギーコンバータの等角図である。ケーブルは、捻れ、張力、及び曲げの剛性をもたらすように配列される。
【0063】
図19を参照すると、ケーブルステイ構造のセクションの上面図である。中央管体が構造化され、流体圧システムのアキュームレータとして機能する。
【0064】
図20を参照すると、ケーブルステイ構造の端面図である。3つの展開器により構造体の長さ全体にわたってケーブルを用いることが可能になる。二重作動式ピストンポンプ及びポッドが図示される。
【0065】
図21を参照すると、図18の波エネルギーコンバータの側面図である。
【0066】
図22を参照すると、加圧流体及び発電設備を収容するパワーポンツーンを備えた本発明による波エネルギーコンバータを示す。ポンツーンは、海上で供用するために取り外し可能である。
【0067】
図23を参照すると、パワーポンツーンを備えた本発明による波エネルギーコンバータの追加の斜視図である。
【0068】
図24を参照すると、波エネルギーコンバータ主構造から結合解除されたパワーポンツーンを備えた波エネルギーコンバータの端面図である。図25を参照すると、ケーブルステイ構造の下及び表面下のパワーチャンバを備えた波エネルギーコンバータの端面図である。
【0069】
図26を参照すると、波ポッドに移動され、すなわちパワーポンツーンが波エネルギーコンバータから取り除かれた様々な波エネルギーコンバータ流体圧及び電気システムを示す等角図である。
【0070】
図27を参照すると、波エネルギーコンバータの4点係留構成の等角図である。出力の海底電力ケーブルは、係留部の1つに延びてくる。
【0071】
図28を参照すると、図27におけるシステムの側面図である。
【0072】
図29を参照すると、全体ヨー制御機能を有する複数の波エネルギーコンバータの等角図である。ヨー機構は、波の方向が変化したときに波に対して最適に露出させるよう波エネルギーコンバータを転回させるのに用いられる。この目的のため、複数のコンバータがケーブルを介して結合される。更に、コンバータは、係留点に係留される。ケーブルの長さを調節(例えば、ウィンチを用いて)することにより、装置は、波に対して右方向に向けることができ、ヨー制御が可能にされる。
【0073】
係留点は、コスト低減のため複数のエネルギーコンバータ間で共用することができる。図30を参照すると、波の方向が変化したときの図29のヨー制御機能を描いている。
【0074】
図31を参照すると、波方向に対するWECの向きを最適化するために独立した装置のヨー制御を可能にするケーブルウィンチ制御による単一の波エネルギーコンバータ係留システムの等角図である。
【0075】
図32を参照すると、複数の波エネルギーコンバータを備えた図31の係留システムの上面図である。係留点を共用し、コストを低減することができる。
【0076】
図33を参照すると、風及び/又は波の方向が変化したときに図31のヨー制御機能を描いている。この制御機能は、各々が独立して制御されるように複数の波エネルギーコンバータに対してより大きな冗長性を付加する。
【0077】
図33aから33dを参照すると、風及び/又は波の方向が変化したときに図31のヨー制御機能を描いている。図33bから33dは、代替の係留制御システムを示す。図33bから33dにおいて、参照符号20は、エネルギーコンバータ(ポッドを備えたベース構造)を示している。参照符号21は、ケーブルジャンクション及び転回ブロックを示す。参照符号22、23、24、及び25は、構造体のバックボーンの両端のそれぞれのコーナーに誘導される係留ケーブルを示している。参照符号26は転回ブロックの位置を示す。システムは更に、トラクションウィンチ27と、並びに冗長トラクションウィンチ28(図33d)とを含む。
【0078】
(本発明の第3の実施形態)
図34を参照すると、海洋表面上にある本発明の第3の実施形態による波エネルギーコンバータの等角図である。装置は、到来する海洋波に対し可変の角度で係留され、その出力を中央主動力部内に位置付けられる発電機から海底ケーブルを介して海岸送電系統に供給する。流体圧システムは、波のエネルギーを用いて流体圧システムを起動することによって、ポッドの移動を制御する。流体圧システムは、インパルスタービンと、波高の変化に応じてポッドのロック力を自動的に調整するインパルスタービンノズルとを含む。波エネルギーコンバータ(WEC)は、波の上昇及び下降の両方での波から出力を抽出する。波の上下運動が、複数のポッドの上下移動を引き起こす。ポッドの上下運動は流体圧ピストンを作動させ、該ピストンは、インパルスタービンを駆動するノズルに流体圧流体をポンプ送給する。Peltonホイールは、インパルスタービンの1つのタイプである。インパルスタービンのケーシング内にノズルにより導入される加圧下の水は、強制的にノズルを通過させるときに加速される。ノズルからの高速ジェットは、タービンホイールの周りのバケットに衝突し、ホイールをシャフトの周りに回転させるようにする。シャフトは、発電機に接続される。インパルスタービンは、流体圧モータ、インパルスタービン、又はPeltonホイールを含む、移動流体からエネルギーを取得する何らかの回転エンジンのような何れかの流体圧タービンと置きかえることができる。
【0079】
(最適エネルギー抽出を得る方法)
図35を参照する。ブイによる波からの最適なエネルギー抽出のため、共振条件を酌量して、以下のサイクルに従う必要がある。
(1)水位線がニュートラル37c(B)の上の波高の深さHに上昇するまで、ブイを固定高さ(A)に保持しなければならない。
(2)次に、ブイは、増大する水高(C)により発生する一定の浮力で波の頂点35にまで上昇させる。結果として生じるブイストロークは、波高の1/2に等しい。
(3)ブイが波の頂点35に達すると、水位線がニュートラル37c(D)の下の波高37bの量Hに低下するまで当該高さに保持されなければならない。
(4)次いで、ブイは、減少した水高(E)により発生する一定力で波の谷36まで降下させる。結果として生じるブイストロークは、波高の1/2に等しい。
【0080】
(流体圧回路)
図36及び37を参照する。流体圧システムは、開放又は閉鎖回路とすることができ、リザーバ40、一方向逆止弁42、及びポッド48により駆動される緩衝停止部/二重作動式流体圧ラムポンプ41を含むことができ、ポッドのピボット周りの上下運動によりピストンロッドが駆動される。流体圧マニホルド43内の一方向逆止弁42を開閉し、システム内の流体の流れを制御する。任意選択の流体圧アキュームレータ44はパワー出力のレベルを等しくするために設けることができる。流体圧マニホルド43は、流体を高圧ライン46に通してノズルに強制的に送り込み、流体圧モータ又はインパルスタービン45を転回させる。低圧ライン47の帰還経路は、流体をリザーバ40に戻し、或いは、オープン海水システムでは、流体は海洋に戻される。流体圧モータは、流体圧及び流体圧流をトルク及び角度変位に変換する機械式アクチュエータである。本明細書で使用される用語「流体圧タービン」は、流体圧モータ、インパルスタービン、又はPeltonホイールを含む、移動流体からエネルギーを得る何らかの回転エンジンである。
【0081】
(流体圧システム動作の実施例)
例えば、3m波からの定格パワーでは、ポッドは、ポッドが移動し始める前に0.75mの潜水及び浮上をし、すなわち、1.5mの振れを有することになる。流体圧は、3000psi(最大)で流量が1ユニットとなる。
【0082】
波高が1mから定格の1/3に低下した場合、ポッドは、0.25mの潜水及び浮上が望ましく、定格の1/3の流体圧すなわち10000psiを必要とする。振れもまた定格の1/3すなわち5mまで低下し、流量が1/3ユニットにまで低下することになる。
【0083】
インパルスタービンを利用して発電機にパワーを供給する場合、流体はノズルを通して噴出され、パドルホイールを転回させる。ノズルを通過する流量が下がると、圧力もまたほぼ線形的に低下する。よって、ホイールにパワーを供給する圧力が元の1/3に低下した場合、自動的に背圧が1/3に低下する。これは、ポッドが最適性能を維持するのに必要な圧力と流量の関係と同じである。このようにしてポッドは、自己調整して最適性能を自動的に維持する。
【0084】
一定のRPMにおいて、インパルスタービンもまた、広い範囲の波高において効率的範囲に留まる。より長い波では、流体圧ラムの振れ及びポッドサイズを制限することにより、パワーが定格に維持される。
【0085】
パワー出力のレベルを等しくするために流体圧アキュームレータ44が使用される場合、流体圧アキュームレータはまたポッドの調整を遅延させる(すなわち、最大圧力が蓄積された場合、ポッドは、エネルギーを更に取り込む前に蓄えられた流体圧に打ち勝つのに十分なエネルギーを確認しなければならない)。この理由から、別の方法でパワーのレベルを等しくするのが好ましい場合がある。
【0086】
図37を参照すると、設定力に到達するまで流体圧システムがどのようにして運動ロックを達成するか、並びにポッド運動に対して一定の抵抗を生じさせるかを示している。
【0087】
最初に、ピストン41の両側部の圧力は等しいので、ピストンに作用する力は存在しない。ピストンに作用する力が作動力よりも小さい場合、ピストンの移動は極めて微小であり、この力が平衡し運動が止まるまで一方の側部に作用する圧力が増大し、他方の側部に作用する圧力は減少する。
【0088】
ピストンに作用する力が作動力に等しい場合、入口及び出口バルブ42が開く。ピストンは、一定の作動力で移動する。低圧流体47が膨張側部を充填し、高圧流体46が抽出側部から流出する。
【0089】
図38a〜38bを参照すると、インパルスタービンノズルが波高の変化に伴ってポッドのロック力をどのように自動的に調整するかを示している。
【0090】
図38aにおいて、大きな波が大きなストロークを発生させ、大きなストロークにより大きな流量が得られる。大きな流量は、高い流体背圧を引き起こし、流体ラムを移動させるのに大きな力が必要となる。この大きな力は、波高Hを維持するためのポッドの潜水を増大させ、増大した波高による潜水の増大によって、エネルギー生成が最適化される。
【0091】
図38bにおいて、小さな波が、小さなストローク、小さな流量、低い流体圧、低いラム力、及びポッドの潜水の減少を発生させる。ノズルサイズ、流体圧システム及びポッドの数並びに幾何形状を設定することにより、波高に応じたポッド力の自己調整によって最適性能を維持することができる。
【0092】
図39を参照すると、図34に示される波エネルギーコンバータの詳細図である。図36及び37に示す流体圧ラム41及び流体圧マニホルド43は、波エネルギーコンバータの背部に沿って反復されている。高圧ライン46は、マニホルド43を共通の圧力アキュームレータ44及び流体圧モータ又はインパルスタービン45に接続する。流体圧モータ又はインパルスタービン45は、共通の発電機34を駆動する。流体圧モータ又はインパルスタービン45からの使用済み流体は、流体圧リザーバ40に集められ、流体は、低圧戻りライン47を介してマニホルド43に戻される。
【0093】
(本発明の第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態によれば、発電装置は、中央セクション、該中央セクションに接続された1つ又はそれ以上の周辺セクション、及び中央セクションに位置付けられる動力部を含む。流体圧タービンは、インパルスタービン又は流体圧モータとすることができる。装置は、到来海洋波に可変角度で係留され、中央主動力部に位置付けられる発電機から海底ケーブルを介して海岸送電系統にパワーを供給する。
【0094】
本発明の1つの態様によれば、動力部は、周辺モジュールの電力生成を収集し、装置から海底への出口を提供し、ここで海底ケーブルを介して電力が海岸に伝達される。
【0095】
本発明1つの態様によれば、外側セクションはモジュール式であり、単一の周辺動力部を収容し、該動力部が、外側セクションの加圧された流体圧流を集め且つ電気を発生させ、パワー調整及び海底ケーブルを介した伝送のため主中央動力部と配線接続される。
【0096】
本発明の1つの態様によれば、中央動力部及び全ての周辺動力部が潜水し、構造体の長さの大部分が海水により支持されなくなる可能性がある大きな高潮における波スラッピング荷重及び事象を避けるようにする。
【0097】
図40を参照すると、海洋表面上にある本発明の波エネルギーコンバータの等角図である。装置は、複数の力伝達ポッドと、力伝達ポッドのアームと係合した二重作動式流体圧ラムと、発電機に係合され、高圧作動流体により駆動されるPeltonホイールとを含む。
【0098】
図42及び図43を参照する。図42は、本発明の波エネルギーコンバータの側面図であり、図43は、図42の側面図である。波エネルギーコンバータ(WEC)は、海洋波の作用により駆動される電力発生装置である。本装置は、その端部により係留され、電力抽出を最大にするようヨーイングすることができ、電力を主動力部から海底ケーブルを介して海岸送電系統に供給する。
【0099】
波エネルギーコンバータは、発電用の動力部を含むモジュール構成セクションにおいて複数のポッドを用いて波からのエネルギー抽出を最適化するよう設計されている。この構成の利点は、経済性、作動性、及びサービス上の理由から大型装置における共通性であることに加え、長周期の波長を超える装置長さを可能にし、波力抽出の最大化に反する働きをするポッドに安定したプラットフォームをもたらすことになる。従来の造船方法を利用してもよい。
【0100】
ポッドは、波の上昇下降時のエネルギーを抽出し、二方向二重作動式流体圧ラムに力を作用させる。ラムは、流体圧油又は海水などの作動液をポンプ送給し、液圧は、Peltonホイール又は他の流体圧モータ及び発電機システムを駆動して電気を生成するのに使用される。
【0101】
この構成は、流体圧システム、パワー調整器、昇圧器、及び開閉装置を収容する中央セクションからなる。この主動力部は、自己の主セクションの電気を生成するだけでなく、周辺モジュール全体の電力生成を収集し、装置から海底への出口を提供し、ここで電力が標準海底ケーブルを介して海岸に伝送される。
【0102】
図43及び45に示す外側セクションは、完全にモジュール式であり、単一の周辺動力部を収容し、該動力部が、各セクションの生成された流体圧を集め且つ電気を発生させ、パワー調整及び海底ケーブルを介した海岸への伝送のため主中央動力部に配線接続される。
【0103】
中央動力部及び全ての周辺動力部は、異常気象事象に耐え抜くため潜水して最大で数気圧の圧力が加わるように設計される。装置全体は、構造体の長さの大部分が海水により支持されなくなる可能性がある大きな高潮における波スラッピング荷重及び事例を避けるため潜水するよう設計される。
【0104】
(本発明の第5の実施形態)
第5の実施形態によれば、海洋波を利用した発電装置は、複数の力伝達ポッドと、力伝達ポッドのアームと係合した二重作動式流体圧ラムと、発電機に係合され、高圧作動流体により駆動される流体圧タービンとを含む。装置は、潜水のため海水を注入し、浮上させるため海水を排出させることができるチャンバをポッド内に含む。流体圧タービンは、インパルスタービン又は流体圧モータとすることができる。
【0105】
本発明の1つの態様によれば、ポッドは、潜水及び浮上のため、並びにWECの移送のために垂直位置に上昇することができる。
【0106】
第5の実施形態による波エネルギーコンバータ(WEC)は、波の上昇及び下降側の両方で波からパワーを抽出する。しかしながら、この結果、ポッド及び構造体を大きな高潮以上に上昇させることが本来的にできない。最新の実施形態は、可変浮力装置及び方法を利用して、(1)波力発電にWECを配備するのを助け、(2)作動モードでのエネルギー取り込みを最適化し、(3)完全に装置を潜水させて、大きな波スラッピング荷重を避け、構造体の長さの大部分が海水により支持されなくなる可能性がある事例を避けるようにする。
【0107】
図46には、装置バラストサブシステムが海上にて動作モードで示されている。ポッドの自由注水タンクを一定レベルまで注水することにより提供される定められたバラスト量がある。これは、上述のように波の上昇及び下降側での波エネルギーの取り込みを最適化する。
【0108】
図47は、図46に図示したポッドバラストシステムの詳細を示している。バラストを作動させるための定められた注水区域が、常に開放している小さな水入口と空気出口とを備えて示されている。ポッド内の1つの小区域(シールされた浮力チャンバ)は、空気でシールされたままであり、ポッドの残りの部分が注水できるようになったときに潜水時に最小浮力を提供する。空気ポンプ及び空気ホースラインは、別の動作又はメンテナンスのために装置を浮上させる必要があるときに空気変位によって水を排出する。
【0109】
図48は潜水したWECを示している。装置に損害を与える可能性がある大きな高潮又は単一の波事象が通知されると、ポッドは、バラストを付加し、装置全体の浮力を低減するよう注水される。ポッドアーム−ポッド境界部にて流体圧ラムが作動し、ポッドを図示の垂直方向に回転させる。従って、空気ポンプがオフ状態では、ポッドには海水が注入され、ポッド位置シリンダが延びてポッドアームが上昇し、装置は、大きな高潮の谷を十分に下回る規定深さまで潜水する。図49は潜水したWECを示している。
【0110】
図50は、ポートから離れて装置を波力発電サイトに移動させる配備方法を示している。ポッドは、垂直方向に配置され、海水バラストが完全に空にされ、装置が曳航される。従って、空気ポンプがオンの状態では、ポッドは海水が空にされ、ポッド位置シリンダが延びてポッドアームが上昇し、装置は波の水位線まで浮上する。
【0111】
(本発明の第6の実施形態)
図51及び図52を参照する。図51は、本発明の波エネルギーコンバータの上面図と側面図との組み合わせである。波エネルギーコンバータ(WEC)は、海洋波の作用により駆動される発電装置である。本装置は、その端部により係留され、電力抽出を最大にするようヨーイングすることができ、電力を主動力部から海底ケーブルを介して海岸送電系統に供給する。コンバータのバックボーン(ベース構造)は、ジョイント構造を介して接続されたセクションを含む。図52は第6の実施形態の斜視図である。
【0112】
図53は、矩形バックボーン(ベース構造)を示す、本発明の第6の実施形態の正面図である。強固で堅牢なバックボーンを得るために、矩形フレームシステムが開発され、矩形の各コーナーに4つの大直径のレッグと、バックボーンの長さに沿ってフレームシステムを提供するユニットの各面並びにポッドアームを通ってバックボーンにポッド荷重が伝達される各パネルレベルとにおいて小直径の管状ブレースとを備える。
【0113】
大直径と小直径の管体の組み合わせを選択する根拠は、バックボーンに加わる荷重を最小限にすることである。小直径管体上での水粒子の速度に起因した最大垂直力は、頂線での大直径管体上の水粒子加速度(及び反対に作用する可変浮力)に起因した最大垂直力と位相ずれ(頂線より90度進む)が生じる。コンバータバックボーンは、極めて長く細長の構造体であり、56個のポッド及びポッドアームの28セットを収容する。バックボーンの4つの側部の各々にあるバックボーンの4つの管体及び小直径ブレースと、合計で30個のクロスフレームとによってバックボーンに剛性がもたらされる。これらのクロスフレームのうちの28個は、ポッド及びポッドアームとバックボーンとの構造上の一体化を提供する。
【0114】
バックボーンに影響を及ぼす臨界荷重条件は、波頭がバックボーンの中央にあるときのホッギング、及び2つの波頭がバックボーンの各端部にあり、トラフが中央にあるときのサッギングである。バックボーンは、該バックボーンに直接作用する波荷重によるホッギング及びサッギング荷重の妥当なレベルに対応し、且つ荷重がポッドからバックボーンに伝達されるように十分な容積を有するように設計することができる。
【0115】
バックボーンに作用するこれらの直接的及び間接的な印加荷重は、中央で最大となる曲げモーメントをもたらす。曲げモーメントは軸方向の張力及び圧縮力になり、バックボーンの大直径コーナーレッグに作用する。各海面状態に対する曲げモーメントは異なるので、システムの構造的一体性が維持され、全体コストが妥当なままであるように、バックボーンのターゲット容量を考慮することが望ましい。
【0116】
この実施形態によれば、バックボーンは、2つの等しいセグメントで構成され、バックボーンの一方端が他方端に打ち込まれている。4つのスタブオン要素の各々は、システムの連続性をもたらすように、4つのレッグの各々のロックを可能にする。従って、ロックインシステム容量に適合する曲げモーメント及び軸方向力をもたらす暴風事象までは、バックボーンは単一ユニットとして機能する。
【0117】
図54aは、本発明の第6の実施形態による多セクション・バックボーンの概略図である。図54bは、バックボーンのセクション間のジョイントの詳細図を示す。
【0118】
軸方向荷重がロック容量を超えると、スタブオンレッグが開放されるが、依然としてガイド内に留まる。開放状態では回転方向の柔軟性が与えられ、曲げモーメントをもたらす印加荷重の作用を無効にする。
【0119】
プレテンションされたガイワイヤは、ユニットの2つの半部分を互いに極めて近接した状態にすることを目的としている。しかしながら、スタブオンレッグがガイドから抜け出るのを防ぐ2〜3mの長チェーンを取り付けることによって、追加の安全システムも設けられる。システム上の緩衝又はラバーバンパーは、バックボーンの長手方向軸線に沿った大きな移動を阻止することができる。
【0120】
本構成は、拡張性によるコストを低減するのに効果的な方法を提供する。第6の実施形態のモジュール式設計は、システムを係留上及び作動上の観点から最もコスト効果のあるサイズにスケール調整することができる。本実施形態は、〜45°で波面に露出され且つ波面の方向の変化に応答してヨーイングすることができる単一の214m長の半潜水キャリア構造体上に56,80kWポイント吸収ポッドを組み合わせることにより、これを達成している。コアシステムは28個のポッドで2.24MWとなることを計画している。2.24MWモジュールを追加することで4.5MWコンバータが完成し、中央部に柔軟なセクションを備えている。将来的には更に拡張することも可能である。
【0121】
実績のある技術及び商用的に入手可能な構成要素を使用することで、技術上の問題及びコストが低減され、市場化プロセスをより迅速にすることが可能になる。本実施形態で使用されるほとんどの構成要素は、産業用カタログソースによって入手でき、早期商業化段階において新規設計の構成要素に通常付随する「初期コスト」が有意に低減される。更に、残存性、作動性、及び安全性について洋上石油ガス産業からの実績のあるプロセス及び経験的技能を活用することによって、設計、実施、及び証明プロセス上の予測可能性が可能になる。本実施形態はまた、タンク試験、下位尺度試験、及びモデリングによって得られた、約30年間にわたる波打ち点吸収体の経験的技能からの恩恵を受ける。従って、性能及び動的応答は十分理解され、商業化は、長期の研究プロジェクトの必要性により妨げられることはない。
【0122】
通常の海面状態条件で定期的メンテナンス及び補修作業を実施することができることにより、O&M(Operations & Maintenance:運用及びメンテナンス)コストが予測可能であり、問題が発生した場合には、タイムリーに是正できることが確実になる。これには、要員がアクセスし、船内で運転作業を実施できることが必要とされる。この実施形態における設計基準は、90%を超えるアクセス性を有することであり、発電システムの可用性の改善に直接つながり、LCOE(Levelized Cost of Energy(均等化発電原価))を有意に向上させる。これは、海洋波よりも十分に上回って高い傾斜により全ての重要構成要素に安全にアクセス可能になることで達成される。高い傾斜はまた、サービスクレーン用にレールを組み込み、該クレーンは、サービスボートの乗船プラットフォームまでの全コンバータ構造長を移動することができる。要員の輸送は、サービスボート又はヘリコプターにより行われる。
【0123】
システムモジュール方式は、製造を簡素化し、オンボードサービスクレーンを用いてサブシステムを容易に交換可能にすることにより、O&Mコストを低減する。モジュール方式により、工業用構成要素をオンボードクレーンにより人的管理を可能にすることができ、船上装着クレーンの費用が排除される。オンボードクレーンを用いて、浮遊ポッド流体圧ラム、水力タービン、及び発電機を排除することができる。
【0124】
配備の容易性及び設置コストの低減は、コンバータ構造体のサイトへの曳航、係留用重力アンカーの使用、及び何らかの波浪装置と同様に海底装着構造体の排除に基づいている。
【0125】
高い可用性を得るため、及び壊滅的損失をもたらす故障の可能性を低減するための冗長性がコンバータサブシステムに組み込まれている。冗長性の組み込みには複数のレベルがあり、故障モード及び全体システムにどれほどの影響があるかに関して特に注意を払っている。制御システム、係留設備、その他を含む全ての重要なシステムは、ある程度の冗長性を組み込んでいる。
【0126】
構造材料の量(コスト)として測定される高効率の吸収及び電力変換プロセスは、所望の電気出力(kWh/年)を達成する必要がある。バックボーンキャリア上に装着される、複数の最適サイズ、形状、及び調整可能な点吸収ポッドは、高効率の波力変換を生じる。波の作用と流体圧ラムの係合タイミングとの間の相互作用は、エネルギー変換の有意な増大をもたらす。開発中のほとんどの成熟装置の一部と比べて、本発明の実施形態は、約2倍から5倍優れた構造的重量−パワー比を有する。
【0127】
ポッド効率はまた、通常2から3つの波長に「またがる」よう設計されたキャリアの長さにより強化され、これによりポッドによる吸収及び電力変換を犠牲にしてピッチングを最小限にする。
【0128】
ポッド効率はまた、本発明によるコンバータによる波面への最適露出で増大され、接近する波線に対して約45度の角度のヨーイングをし、全てのポッドを露出させて波の作用を最大限にする。ヨーシステムは、コンバータの向きの90°変化を可能にする。
【0129】
本構成は、可能であれば設計からアクティブシステムを排除することにより海洋用最良実施を採用する。FMEA(Failure Modes & Effects Analysis;故障モード影響解析)プロセスは、潜在する故障モードを根絶し、これらを追跡するために早期に設計に採用されてきた。このプロセスは、RAM(Reliability, Availability and Maintenance;信頼性、可用性、及びメンテナンス)と共に、構成要素、サブシステム及び完全システムレベルにおける、Mean Time Between Critical Failure(平均故障間隔)、Mean Down Time(平均故障時間)、及び可用性又は動作可能時間(通常はパーセンテージで表現される)についての設計目標を追跡及び生成するのに用いられる。
【0130】
本発明のLCOEは、現在配備されている設計及び洋上風力発電の範囲におけるよりも実質的に改善されている(12から18セント/kWh)と発明者は考えている。LCOEは、EPRIのUtility Generator economic methodologyに基づいて算出され、助成金は無いものと仮定する。この配備の参照位置は、PG&E WaveConnectプロジェクトにおけるCalifornia州Humboldt郡である。
【0131】
波エネルギーが商業的に成功を収め、市場で幅広く受け入れてもらうようになるためには、相対的に無害な環境フットプリントを持たなければならないことは明らかである。潜在的な環境への影響を評価することは、開発プロセスの不可欠な部分を構成する。本発明による設計において、海洋生物に干渉する可能性がある流体圧流体の流出、衝突、防汚塗料の毒性、及び係留構成に関連する問題には特に注意が払われている。以下の潜在的影響及び緩和対策は例証として示される。
【0132】
【表1】
これは決して総合リストではないが、設計により対処される重要な問題を詳細に説明している。
【0133】
理想的には、ポッドは、全ての波浪状態の間に作動しエネルギーを生成する。波エネルギー抽出は、小波の間に最適なパワー取出制御によって最大にされ、発電機の定格容量で横ばいになる。波がより大きくより高エネルギーになると、過剰パワーは、波打ちポッドをデチューンすることにより削減される。デチューンは、極度な潮位における流体圧パワー取出を調節することでポッドに対する最適減衰未満を適用することにより達成される。以下の表は、海面状態の関数としての単一ポッド性能を示している。
【0134】
【表2】
【0135】
上述の性能マトリクスに示すように、発電機の定格容量は、ポッド当たりの電気出力を約80kWに制限する。カリフォルニア北部の波浪状態では、上述の性能テーブルは、年平均32kW/ポッドをもたらす。
【0136】
本発明は一年中作動することになるが、O&Mサービスのアクセスは、気象条件により制限される場合がある。O&M手順を実施する運用上のアクセスは、要員による構造体へのアクセス能力に高度に依存する。このようにするために、本発明によるコンバータのアクセスランプは、波の作用よりも十分に高く、時間の大多数となるはずの通常の海面状態作動条件中に要員の安全なアクセスを可能にする。要員の輸送は、洋上石油プラットフォーム及び風力タービンと類似した方法でサービスボート又はヘリコプターにより構造体との間で行うことができる。
【0137】
更に最悪の暴風状態における設計の残存度は、商業上の成功に重要なことである。本発明によるエネルギーコンバータは、低パワーの海面状態中に電力生成を最適化するよう設計され、極度状態に近づくパワーの削減を開始する。このパワー削減は、設計全体の重要且つ不可欠な態様であり、以下のことにより達成される。
−個々のポッドが何らかの極度の事象を乗り越えることができ、これらの状態中にバックボーンに輸送する力を最小限にする。
−柔軟なバックボーン構造を有し、巨大な波に対して撓むが、運用条件中に安定した基準点(最小ピッチング)を提供する。重要な設計態様は、残存度に必要なシステムがフェールセーフを装備し、アクティブではないことである。この設計原理を利用することによって、コンバータは、最も過酷な暴風を耐え抜く可能性が遙かに高くなる。
【0138】
上述の実施形態によれば、各ポッドは最大80kWを発生する。本発明の別の態様によれば、リニア発電機は、運動エネルギー変換のために用いられる。波エネルギー変換は、理想的にはリニア発電機に好適であり、これにより吸収体の運動を直接的に結合することができる。リニア発電機は、複雑なパワー取出装置の必要性を排除し、付加的に効率改善の恩恵を受け、潜在的に環境への影響を低減する。ここでは、好適な発電機の設計の算出の根拠としての役割を果たす理論上の考慮事項がある(例えば、Oskar Danielssonの著作、「Design of a Linear Generator for Wave energy Plant」University of Uppsala, Master's Degree Project 2003;Wolfbrandt, A、「Automated design of a linear generator for wave energy converters-a simplified model」、IEEE Transactions on Magnetics, Volume 42, Issue 7, July 2006 Page(s) : 1812 - 1819)。
【0139】
上記で説明したように、エネルギーの競合コストを達成するために、本発明によるシステム構成は、スケールメリットを提供すると共に極度な波事象中の残存度に対処する。本発明は、新規の構成に基づき、波力変換をコスト的に実現可能なものにする本質的基準を統合する。この基準には以下のものが含まれる。
−構造体が何らかの過剰荷重を削減し、従って、構造的質量及び設計要件を低減可能にすることにより達成される、最重要設計ドライバーとして固有の残存度。
−所望の電気出力を達成する必要がある、構造材料の量(コスト)として測定される高効率の吸収及び電力変換プロセス。
−長手方向の安定性、キャリアピッチングの最小限化、及びこれにより浮遊ポッドの上昇及び降下による最大波力を抽出することを可能にする接近する波にまたがるのに十分なキャリア又は「バックボーン」長。
−波面の方向シフトを用いて必要に応じて向きを調節するアクティブヨーにより、波面に対するポッド露出を最大にするようなセンチポッドの向き。
−係留及び海岸への電力収集に起因する総コストのパーセンテージを低減することによってLCOEを下げるのに効果的な方法として構成の拡張性。
−発電システム全体の商業的に入手可能な構成要素の使用。
−全てのシステム構成要素のアクセス性及び通常の海面状態中にO&Mサービスに対してポッドを個々にオフラインにする能力。
−壊滅的損失をもたらす故障の可能性を低減する冗長性
−単一のエネルギー発生装置(例えば、4.5MWシステム)をアレイサイトに単に曳航することによる配備コストの低減、ほとんどの場合、低コストの重力アンカーを用いてステーションを保持することができる。
【符号の説明】
【0140】
2:発電機
3:回転シャフト
5:伝達浮遊ポッド
【技術分野】
【0001】
本発明は、海洋波の運動に内在するエネルギーを取り込んで発電機を回転させ、これにより電力を発生させる装置に関する。
【背景技術】
【0002】
波エネルギーコンバータ(WEC)は、通常、発電用に海洋表面波からエネルギーを取り込む。太陽エネルギーを利用した形態のなかでも波のエネルギーは最も高いエネルギー密度をもたらす。しかしながら、波力発電における従来の取り組みは、様々な理由から広く受け入れられてはいない。
【0003】
波力は、波が低速で高位の場合に利用しやすいが、力の動きは単一の方向ではない。ほとんどの商用発電機はより高速度で作動し、供給源エネルギーの定常流を必要とする。更に、海洋上に配備されるあらゆる装置が過酷な荒天に耐え抜くことができなければならず、製造及び保守コストが増大する。
【0004】
波力技術の実用化の鍵は、競争力のある均等化発電原価(Levelized Cost of Energy、LCOE)である。波力は、発電の総コストが低いときに優位性がある。総コストには、資本コスト、保守コスト、及び電力供給コストが含まれ、これにより発生電力に関連してエネルギーの「寿命」コストが決定付けられる。従って、発電システムにおいて最小コストで海洋波から最適エネルギー抽出を得る方法及び装置を提供することが望ましい。
【0005】
システムは、漁場及び海岸線などの海洋環境への影響を最小限にする必要があり、海洋航海を妨げてはならない。
【0006】
Rubiに付与され、表題「波力発電システム及び方法(Wave action electricity generation system and method)」の米国特許第4,851,704号は、水上でシステム構成要素を支持する浮遊プラットフォームを含む波力発電システムを開示している。波動エネルギーは機械エネルギーに変換され、発電機は、機械的出力伝達ストロークを電気エネルギーに変換する。
【0007】
コンバータは、対向するシリンダチャンバ部分に潤滑剤を含有するシリンダと、シリンダの本体内に拘束されずに摺動可能に配置された第1の重量ピストンとを含む。重量ピストンは、水本体の波動エネルギーに摺動自在に応答し、流体を圧縮し、シリンダチャンバ部分の各々においてそれぞれ圧縮出力ストロークを生成するのに使用される。圧縮ストロークのエネルギーは、シリンダチャンバ部分内に位置付けられた第2及び第3のピストンにより受けられる。第1及び第2のピストンに関連する出力伝達ストロークは、更にギア伝達機構により回転運動に変換され、該回転運動により発電機に結合されたフライホイールを転回させる。次に、生成された電気エネルギーは、送電線を介して遠隔の動力部に配分される。
【0008】
Tateishiに付与され、表題「発電設備(Power generating installation)」の米国特許第5,889,336号は、浅水波を利用した発電用の浅海水域に位置付けられた発電設備を開示している。システムは、海中又は海底の何れかに位置付けられる係留設備と、一方端が係留設備に接続され、他方端には重りが取り付けられるチェーンとを含む。浮体は、発電機と、チェーンが係合した回転部材とを備えている。浮体が波の上下動に応じて上方及び下方に移動するときに生成される回転部材の回転力は、発電機に伝達され、これにより電力を生成する。
【0009】
Henchに付与され、表題「海洋波エネルギーを電気に変換する方法及び装置Method and apparatus for converting ocean wave energy into electricity)」の米国特許第7,453,165は、海洋波に関連するパワーを利用して当該パワーを電気に変換する方法を開示している。本装置は、垂直方向に向いた中央シャフト、振り子、及び発電機を収容するブイである。ブイが、波動の影響を受けて垂直から傾くと、振り子が中央シャフトの周りに加速され回転する。中央に配置された発電機は、回転する振り子によって機械的に駆動され、この振り子の運動エネルギーが電気に変換される。
【0010】
これら従来技術のシステムは、コスト効果があり且つ現代のエネルギー需要を満たす実用規模の発電出力を生成することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第4,851,704号明細書
【特許文献2】米国特許第5,889,336号明細書
【特許文献3】米国特許第7,453,165明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
必要とされているのは、安定したプラットフォームを提供し、機械的にリンクした浮遊体(又はブイ)が波の作用に対して最大露出を有し、これによりエネルギー取り込みを最大にすることができる、海洋波運動からのパワー取り込み用発電装置である。
【0013】
更に、効率的で、製造及び維持のコスト効果があり、過酷な気象事象に耐えることができる、海洋波からのエネルギーを取り込む方法を提供することが望ましい。
【0014】
波エネルギーコンバータの配備及びサービスの点で経済的に優位となるよう拡張可能な方法及び装置を有することが望ましい。
【0015】
海洋航海を妨げることなくポートとの間で輸送することができるような構成で波エネルギーコンバータを配置する方法及び装置を提供することが望ましい。
【0016】
また、波エネルギーコンバータが、接近する波に対する最適/最大露出を可能にするアクティブヨーシステムを有して、エネルギー取り込みを最大にすることも望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、海洋波を利用した発電装置に関する。本発明の1つの態様によれば、複数の力伝達浮遊ポッド(ブイ)が回転シャフトに係合する。回転シャフトは発電機を駆動する。回転シャフトは、海洋波の上下運動に応じてポッドが上下に移動するときに回転力を発生する。この回転力は、発電機に伝達され、これにより発電機が発電を行うようになる。
【0018】
本発明の別の態様によれば、流体圧システムは、上方及び下方のポッド運動の両方でエネルギー取り込みを可能にする。
【0019】
本発明によれば、波が通過するときに上下運動で移動する浮遊ポッドが使用される。ポッドは、レバー組立体、例えば、堅固な材料で作られたアームに結合又は接続される。ポッドは、細長いベースに沿って配列され、開放格子構造とすることができ、波が通過してポッドを反対側に作動させることができるようにする。ベースの長さ及び/又はポッドの数及びサイズは、ターゲット区域の波の期待周波数、波長、及び振幅に依存する。ベースは、複数の波(例えば、2から3つの長い波)をまたがるように十分長くすることができ、これによりベースの「ピッチング」を最小限にし、ポッドによるエネルギー取り込みを最大にすることができる。ベース(例えば、V字型又はボックス形構造)に沿って、多数の発電構成要素が配置される。ポッドのアーム/レバーと発電システムとの間の機械的結合については、トルク伝達シャフトが細長いベースに沿って延びている。幾つかの長い波にわたって延びる構造体を構築するために、共に堅固に結合された複数のベースが存在することができる。流体圧システムへのポッドのアーム/レバーの結合については、ベースは、流体圧シリンダを備え、又は収容し、該シリンダは、可動ポッドにより加えられ且つアーム/レバーにより伝達される力によって作動される。従って、ベースは、ポッドと同じようにして波の上下運動に追従しないので、てこ力の作用点を提供する。ベースは、波の波長の少なくとも相当部分にわたって(或いは、1より多くの波長にわたってでも)延びるので、ベースに作用する力は、単一のポッド(波長の一部分にわたって延びるだけである)に作用する力とは常に異なる。従って、ポッドは、ベースに対して上下方向に移動している。ポッドのアーム/レバーは枢動可能であるようにベースに結合されるので、てこ力を力伝達要素に作用させることができる。
【0020】
従って、本発明の1つの主要な特徴は、複数のポッドを共通の開放格子構造体に結合することである。構造体は、全波長又は1よりも多い波長にわたって延びるので、様々なポッドが異なる波高又は振幅を生じることになる。これは、ポッドと同様に波運動に追従しない構造体を意味する。このことは、ポッドと残りの構造体との相対移動を生じさせ、その結果、てこ力及び更に回転トルク又は流体圧に変換される。
【0021】
構造体は、波面に対する露出及び波間の期間を最適にし、最小ピッチング及び最大エネルギー取り込みを行うために、接近する波に対してある角度(〜45°)であるようにアクティブにヨーイングするようにする。波方向が変化すると、システムはこれに応じてヨーイングする。
【0022】
ベースは、浮力を提供するために受動的浮遊要素を含むことができる。しかしながら、ベースはまた、ベースに結合されたポッドのみを用いて支持されてもよい。
【0023】
ポッドは、海水及び機械的応力に耐え得るあらゆる適切な材料から作ることができる。ポッドの形状は、波の上昇及び移動に最適にされる。ポッドは、取り付けアーム(又はレバー)に対して回転され、ポートから配備サイトまでの曳航を可能にし、又は極度な海上状態下で波荷重を最小限にすることができる。ポッドは、波エネルギーコンバータシステム全体が潜在的に損傷を受ける波軌道を下回って潜水できるように、注水することができるチャンバを有することができる。
【0024】
ベースに沿って、ポッドは、ベースの2つの対向する側部上に配列され、これによりベースを平衡に保ち、ベースの他方の側部上のポッドに対する反対の力を提供することができる。ポッドが取り付けられる開放格子ベースは、波がベース構造体を通過して対向する側部上でポッドを自由に作動させることを可能にする。
【0025】
本発明による設計及び動作上の手法は、50年回波による極度な波荷重を持続する撓み、ホッギング、及び捻れ荷重に抗する構造的材料の広範囲の使用を必要とする構造概念を排除している。本発明は、複雑な係留バックボーン構造を提供し、複数の波にまたがるポッドを用いることによりこれを実施する。荷重の一部はバックボーンに移されたが、電力変換システムは、波高が高くなるほどより小さな抵抗をポッドに提供する(結果として一定の出力となる)ことによりこれらの荷重を制御する。極度な波荷重に耐える別の方法は、ポッドを部分的に注水し、波コンバータシステムが極度な表面波力の範囲外の深さまで潜水可能にすることである。極度な海面状態が正常になると、注水されたポッドには空気圧が充填されて海水を排出し、システムが再度浮上する。
【0026】
構造体の長さに起因してピッチングが最小にされ、これは、装置のエネルギー取り込みがより大きくなることにつながる。
【0027】
本発明の更に別の態様によれば、流体圧システムは、波のエネルギーを用いて、発電機に接続されたインパルスモータ又は流体圧モータなどの流体圧システム及び流体圧タービンを作動させることにより、ポッドの移動を制御する。
【0028】
本発明の別の態様によれば、流体圧システムは、ポッド流体圧システムを備えた回路内にインパルスタービン及びインパルスタービンノズルを含み、該ノズルは、波高の変化に応じて波によりポッドを移動させるのに必要な力を自動的に調整する。
【0029】
本発明の別の態様によれば、ポッド及びシャフトは、使用可能なポッド変位ひいては海洋波からのエネルギー取り込みを最大にすることを可能にする安定した中央構造をもたらす長さで組み付けられる。
【0030】
本発明の別の態様によれば、ポッドは、流体圧を加圧するために二重作動式ポンプを用いて上方及び下方波運動の両方でポンプ力を加え、エネルギー取り込みを可能にする。本発明は、モジュール式ユニットがコスト効果のある製造及び配備、並びにサイトでの需要及び配分を考慮した装置当たりの総パワーの調整を可能にする利点を有する。
【0031】
本発明は、使用可能なポッド変位ひいては波からのエネルギー取り込みを最大にすることを可能にする安定した中央構造をもたらす長さにユニットが組み付けられる利点を有する。本発明は、システムがピストン振れに対してソフトストップな流体圧を用いる利点を有する。
【0032】
本発明は、中央又はベース構造体の設計のケーブルステイ構造形態がコスト及び重量節減をもたらす利点を有する。
【0033】
本発明は、ポッド流体力学及び流体静圧形状が低エネルギーコストに最適化され(波軌道からの望ましくない荷重すなわちリフト力を最小限にしながら、上昇及び降下力を最大にすること)、アームへの取り付けにおいて回転されて、配備サイトへの曳航中の抗力を最小限にし、極度な波事象中に波に対する露出を最小限にすることができる利点を有する。
【0034】
本発明は、管状ベース構造が出力を等しくするための流体圧アキュームレータとして2倍になる利点を有する。管状構造体はまた、バラスト及び/又は加圧空気タンクとして働き、注水ポッドから海水を取り除いて、極度の波浪状態が弱まったときに潜水したシステムを再浮上させることができる。
【0035】
本発明は、ポッドの可変上昇及び降下力がエネルギー取り込みを最大にする利点を有する。
【0036】
本発明は、システムが多方向及び周波数のエネルギー取り込みを可能にする利点を有する。
【0037】
本発明は、ヨーシステムが個々のユニット及び集合ユニットをアレイ状に提供し、風及び/又は波移動の方向の変化を管理しエネルギー取り込みを最大にする利点を有する。
【0038】
本発明は、利用される係留システムが係留点を共用し、コストを低減する利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】従来技術の力ゼロの実施例である。
【図2】従来技術の固定容積の実施例である。
【図3】本発明の波エネルギーコンバータの実施形態の背後にある理論の1つの実施例である。
【図4】波スペクトルとパワーのグラフである。
【図5】海洋波に応答して海洋表面上の本発明の第1の実施形態の波エネルギーコンバータの側面図からのポッドの動きを示す図である。
【図6】図5の波エネルギーコンバータの第1の実施形態の1つの実施例の上面図である。
【図7】本発明の波エネルギーコンバータの第1の実施形態の上面図である。
【図8】本発明の波エネルギーコンバータの第1の実施形態の側面図である。
【図9】図7の波エネルギーコンバータの駆動管体、ラチェット、及び浮遊ポッドの端面図である。
【図10】図7の波エネルギーコンバータの駆動管体、ラチェット、及び浮遊ポッドの上面図である。
【図11】本発明の波エネルギーコンバータの第2の実施形態で利用される二重作動式ピストンポンプの図である。
【図12】流体圧モータと組み合わせた二重作動式ピストンポンプの図である。
【図12a】本発明と共に使用される流体圧システムのより詳細な図である。
【図12b】本発明と共に使用される代替の流体圧システムのより詳細な図である。
【図13】海洋波に応答して海洋表面上の本発明の第2の実施形態の側面図からのポッドの動きを示す図である。
【図14】構造体用にトラスシステムを利用する本発明の波エネルギーコンバータの第2の実施形態の斜視図である。
【図15】図14の波エネルギーコンバータの側面図である。
【図16】図14の波エネルギーコンバータの端面図である。
【図17】図14の波エネルギーコンバータの上面図である。
【図18】構造体用にケーブルステイ及び展開器を利用する波エネルギーコンバータの第2の実施形態の等角図である。
【図19】図18の波エネルギーコンバータの1つのセクションの上面図である。
【図20】図18の波エネルギーコンバータの端面図である。
【図21】図18の波エネルギーコンバータの側面図である。
【図22】取り外し可能パワーポッドを利用した波エネルギーコンバータの等角図である。
【図23】取り外し可能パワーポンツーンを利用した波エネルギーコンバータの等角図である。
【図24】波エネルギーコンバータの主構造からパワーポンツーンの動きを結合解除する実施可能な方法を示す図である。
【図25】構造体の下にパワーポンツーンを配置した、波エネルギーコンバータの端面図である。
【図26】種々の電気及び/又は流体圧構成要素を収容する波エネルギーコンバータポッドの等角図である。
【図27】図14の係留された波エネルギーコンバータの等角図である。
【図28】図14の係留された波エネルギーコンバータの側面図である。
【図29】複数の波エネルギーコンバータの係留構成の等角図である。
【図30】波移動の1つの方向での図29の係留構成の等角図である。
【図31】単一の波エネルギーコンバータ係留及びウィンチシステムの等角図である。
【図32】複数の波エネルギーコンバータ及び共用係留設備を備えた、図31の係留及びウィンチシステムの等角図である。
【図33】波の移動方向及び/又は風方向が変化した、図32の係留構成の等角図である。
【図33a】単一の波エネルギーコンバータ係留システムの等角図である。
【図33b】60度回転能力を有する反時計回りの回転を示す係留及びウィンチシステムの概略図である。
【図33c】120度回転能力を有する反時計回りの回転を示す係留及びウィンチシステムの概略図である。
【図33d】冗長ウィンチ及び120度ヨーイング能力を有する反時計回りのヨーイング(回転)を示す係留及びウィンチシステムの概略図である。
【図34】本発明の第3の実施形態による波エネルギーコンバータの等角図である。
【図35】図34に示すポッドの1つのような、ブイにより波からの最適エネルギー抽出を描いた概略図である。
【図36】図34に示すポッドを制御する流体圧システムの概略図である。
【図37】ポッドの動きからエネルギーを抽出する二重作動式流体圧ポンプの作動を描いた概略図である。
【図38a】インパルスタービンノズルが波高の変化に伴ってポッドのロック力をどのように自動的に調整するかを示す概略図である。
【図38b】インパルスタービンノズルが波高の変化に伴ってポッドのロック力をどのように自動的に調整するかを示す概略図である。
【図39】図34に示す複数ポッドの波エネルギーコンバータの図である。
【図40】構造体の中央における動力部の位置を示す本発明の第4の実施形態の斜視図である。
【図41】動力部の正面図を示す、図40の装置の断面図である。
【図42】主2MW動力部の位置及び2つの1MW動力部の位置を示す、図40の装置の側面図である。
【図43】モジュール式1MWセクションが付加されてパワー定格及びエネルギー取り込みが増大した装置、並びにサービス容器用の上陸プラットフォームの上面図である。
【図44】中央動力部及び電気及び電力用電子システムを備えた主2MWセクションの側面図である。
【図45】1つのモジュール式1MWセクションの上面図である。
【図46】海上での動作モードを描いた装置サブシステムを示す本発明の第5の実施形態の正面図である。
【図47】ポッドバラストシステムの詳細を示す、図46の装置の等角図である。
【図48】回転したポッドを示す図46の装置、並びに海洋表面下に潜水した装置の正面図である。
【図49】図48の潜水した装置の側面図である。
【図50】ポートから離れて装置を波力発電サイトに移動させる配備における回転ポッドを示す正面図である。
【図51】本発明の第6の実施形態の上面図と側面図を組み合わせた図である。
【図52】第6の実施形態の等角図である。
【図53】矩形バックボーン(ベース構造)を示す、本発明の第6の実施形態の正面図である。
【図54a】本発明の第6の実施形態による多セクションバックボーン及び開放ジョイントの概略側面図である。
【図54b】バックボーンのセクション間のジョイントの詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1を参照すると、従来技術の力ゼロの実施例である。この実施例において、1つのブイは固定されておらず、当該ブイに加わる力は存在せず、よって波から吸収されるエネルギーは存在しないようになる。波の振幅は同じままである。
【0041】
図2を参照すると、従来技術の固定容積の実施例である。この実施例において、波が傍を通過するときに1つのブイが固定されている。変位が存在しないので、吸収されるエネルギーも存在しない。波の振幅は、ブイを通過する前と後で同じままである。ブイを通過する間、ブイが水中に沈められるときに、ブイの容積が波の容積に付加されるので、波の前面により高さが増大することは明らかである。波の後面は、ブイが水面に浮上するときに高さが失われる。
【0042】
図3を参照すると、本発明の波エネルギーコンバータ(WEC)の1つの実施例である。この実施例において、容積(ブイなど)は、その運動を抑制するためにブイに何かを取り付けて、これに力を加える。この力は、ある距離にわたって変位を生じ、よってエネルギーが波から吸収されて波の振幅が減少する。ブイは、波の位相から外れた正弦波パターンで周期的に変動するので、この振幅は減少する。ブイは波の谷で潜水し、充填され、波のピークで水面に浮上し、その高さが低下する。
【0043】
図4を参照すると、波のエネルギーが制限された波スペクトルとパワーのグラフである。9.5秒の周期を備えた3.5m波は、横波面の潜在的パワー55kW/メートルを有するに過ぎない。50%効率では、2.5MWのパワーを生成するためには波間で90メートルを必要とする。この理由から、波エネルギーコンバータの波面露出は、上述のことを考慮して設計される必要がある。
【0044】
図5を参照すると、海洋表面上の本発明の波エネルギーコンバータの側面図である。装置は、パワーを増大させるようポッドアーム剛性、向き、及び長さによって調整することができ、そのパワー出力を増大させる、波エネルギーコンバータユニット全体の予測ピッチング(縦揺れ)に起因して効率に付加される最大−50%の補正を有する。「パワーセクション」におけるポッドの全ては、トルクシャフトにリンクされ、同じ速度でシャフト軸の周りを回転する。これによりポッドは、ほぼ一定の速度で上昇する。シャフトの回転速度は、ポッドがどれほど迅速に潜水するか及びその最大変位を決定付ける。この速度は、最大パワーになるように選択される。ポッドは一定の変位容積をもたず、エネルギー取り込みが減少する。「コーストセクション」におけるポッドは、トルクシャフトにリンクされておらず、従って、この状況における発電には寄与していない。
【0045】
図6を参照すると、図5の波エネルギーコンバータの上面図である。2.5MW装置では、V型の各側部に25個ずつ、合計50個のポッドがある。海洋波は高さが3.5m、周期9.5s及び140mの波長を有すると仮定している。これは、装置シャフトに4250kN−mトルクで2.8RPMをもたらす。V型装置の後方幅は190mである。
【0046】
(本発明の第1の実施形態)
本発明の波エネルギーコンバータの第1の実施形態の上面図である図7、及び側面図である図8を参照する。波エネルギーコンバータ(WEC)は、海洋波の作用により駆動される発電装置である。本装置は、通常は風上の到来波に面する船首部1から係留され、出力伝達機構2からの海底ケーブルを介して海岸送電系統に出力を供給する。この構成において、ポッドとシャフト3との間には機械的結合が存在する。しかしながら、ポッドは、レバー組立体/アームからシャフトへの一方向のみの回転運動の伝達を可能にし、且つ反対方向の回転運動の伝達を阻止する装置によってシャフトに結合される。
【0047】
これに関連して、図7の波エネルギーコンバータの駆動管体、ラチェット、及び浮遊ポッドの端面図である図9と、上面図である図10とを参照する。2つの長い逆回転駆動管体(シャフト)3は、発電機に回転駆動力を提供する。駆動管体3は、船首船体及び船尾船体において軸受4により保持される。管体は、駆動管体が通過する軸受7を備えたロッカーアーム6により管体に接続される複数のポッド浮体5を有する。
【0048】
ロッカーアームは、浮遊ポッドが波と共に上昇するときに駆動管体と係合するラチェット機構を有し、これにより駆動管体に転回モーメントをもたらす。駆動管体は、ラチェット受け9を備え、ロッカーアームのラチェット機構と係合する。波が後退すると、ラチェットが係合解除し、浮遊ポッドは波の谷へと降下し、次の波が接近すると再度係合する。
【0049】
図8に示すように、駆動管体の長さに沿った複数の浮遊ポッドにより、通過する波が浮遊ポッドのグループ10を連続的に持ち上げることが可能になり、これにより駆動管体3に連続した転回運動をもたらす。波間隔は変化するが、依然として一定の力を生成する。波の周波数がより高く間隔が短いほどより大きなパワーが発生し、波の周波数が低いほどより小さなパワーが発生する。
【0050】
船首船体1において(図7)、駆動管体は、互いに近接しており、後方船体に入る箇所において離隔距離12がより大きくなっている。これは、駆動管体に沿って各下向き流の浮遊ポッドを提供して、波に対する露出が更に増大させ、他の場合では、浮遊ポッドが下向き流と直接整列した場合に波エネルギーレベルを漸減させることになる。
【0051】
平水では、駆動管体は、浮遊ポッドと共にほぼ駆動管体の中心線13に浮遊すると共に、ポッドは、上面だけが水位線の上に露出した状態で浮遊している。
【0052】
ポッドの運動は、各々45度の駆動管体中心線の上方及び下方の上昇及び降下を伴った、駆動管体の中心軸線から約90℃の半径方向円弧14の形である。この運動範囲は、通常動作における最大作動波高さまでの波からのエネルギー取り込みを可能にする。ロッカーアーム/レバー組立体の長さ15は、このポッドの運動範囲を決定付け、すなわち、システムは、ロッカーアームの長さを最適化することによって配備区域の波状態を「調整」することができる。ポッドは、波が最小乱流の波形で通過するときに「上昇」をもたらし、波のエネルギー損失を最小限するよう設計された流体力学的形状(図10を参照)を有する。
【0053】
(本発明の第2の実施形態)
第2の実施形態によれば、ポッドは、どのような回転シャフトにも機械的に結合されていない。代わりに、上下に移動するポッドによって二重作動式ピストンが作動する。この目的において、レバー組立体は、ベース構造にヒンジ接続され、ピストンは、ポッドとヒンジとの間のレバーアームに結合される。図11及び12に示すように、ピストンは、高圧の流体圧流体をリザーバからアキュームレータにポンプ送給する。アキュームレータは、外部供給源(例えば、バネ又は加圧ガス)により加圧下で流体が保持される圧力貯蔵リザーバである。アキュームレータは、流体圧モータに送給し、波エネルギーにおける周期的振動を平滑化する。流体圧モータは発電機を駆動する。
【0054】
図12aは、流体圧システムのより詳細な図を示している。流体圧システムは、可変容量流体圧モータ−直接駆動発電機に低速度で供給する一連の振動ポンプ(各ポッドに接続された流体圧ラム)からなる能動的制御の油又は海水ベースのシステムである。接近する波がポッドに浮力を作用させる(ポンプピストンが左に移動する)と、SV−2は、規定圧力(発電機負荷圧力)に達するまで閉鎖されたままである。この時点で、SV−2が開き、加圧油が流体圧モータに供給される。波が通過し、ポッドへの浮力が減少すると、SV−1は、圧力が負荷圧力に達するまでポッドを懸下したまま保持し、圧力が達した時点でSV1が開き、加圧流体が流体圧モータに運ばれる。複数の位相ずれポッドは、一定流量の確保を可能にする。
【0055】
ポッドは、4つから8のグループにまとめられ、単一の発電機に供給する。流体圧モータの変位は、平均波高さ及び周期(利用可能な流量)に基づいて変化し、発電機が一定の速度及び圧力であるが可変の入力トルク(出力電流)で稼働することを可能にし、すなわち、波高さが減少するほど、発電機電流出力が比例して減少することになる。図12bは、典型的な4ポッドHMGセットを示す。
【0056】
図13を参照すると、海洋波に応答したポッドの動きの例図である。これらのポッドは、海水の密度の半分である。左端のポッドは、谷の表面から始まる。このポッドは海中に沈み、谷に容積を付加する。ポッドがほとんど完全に沈むと、その浮力がピストンにおいて流体圧に打ち勝ち、ポッドが波の頂点にまで上昇する。ここでポッドは、その重量がラム力に打ち勝つまで頂点から浮上して容積が除去され、次いで、谷まで降下する。
【0057】
本発明のトルクシャフトの第1の実施形態と比較すると、この設計は、その変位を超える一定力を有し、流体圧結合に起因するポッドの上昇及び降下の両方に作用する。また、本設計は、装置に加わる相殺モーメントを有し、よって、正味転動モーメントが存在しない。波の上下運動により、複数のポッドが上下に移動する。波の上下運動は、流体圧流体をポンプ送給する流体圧ピストンを作動させる。この場合も同様に、エネルギーコンバータの長さが1つ又はそれ以上の波を超えて延びることに起因して、ポッドは、同時に波の異なる振幅を生じる。波によって上方に移動するポッドのグループと、下方に移動するポッドのグループとが常に存在する。ポッドが常に、流体をあまり大きな範囲にポンプ送給していないターンアラウンド位置にて短時間スパンを費やす可能性がある場合でも、関連ポッドは異なる運動ステージにあるので他の何れかの流体圧ピストンは同時に加圧される。
【0058】
図14を参照すると、本発明の波エネルギーコンバータの第2の実施形態の斜視図である。
【0059】
複数のポッド3は、レバー組立体/アーム31に装着される。アームは、ベース構造33、34の支持部材34にヒンジ接続される。ベース構造は、堅固なトラスシステムとして構成され、更に、支持部材34に対して平行に配列された2つのバー33を備え、バーと支持体が三角形状を形成し、該バーが三角のコーナーにあるようにする。支持部材とバー33との間には、安定化バー又はトラスレールが存在し、トラスシステムの捻れ、張力、及び曲げの剛性をもたらすようにする。アーム31には流体圧ピストン32が結合され、これらは、波の上下運動によりパッドが移動したときのポッド30とベースとの間の相対運動により作動される。この実施例では、各ポッドにより作動される1つのピストンがある。
【0060】
図15を参照すると、図14の波エネルギーコンバータの側面図である。主本体の長さは、モジュールの組み立てられた長さがエネルギー取り込みに最適なポッド偏位が確保されるようにする。
【0061】
図16を参照すると、図14の波エネルギーコンバータの端面図である。堅固なトラスシステムは、ポッドアーム及び二重作動式ピストンに接続される。トラスレールは、流体圧システムのアキュームレータとして使用される。
【0062】
図17を参照すると、図14の波エネルギーコンバータの上面図である。図18を参照すると、ケーブルステイベース構造を備えた波エネルギーコンバータの等角図である。ケーブルは、捻れ、張力、及び曲げの剛性をもたらすように配列される。
【0063】
図19を参照すると、ケーブルステイ構造のセクションの上面図である。中央管体が構造化され、流体圧システムのアキュームレータとして機能する。
【0064】
図20を参照すると、ケーブルステイ構造の端面図である。3つの展開器により構造体の長さ全体にわたってケーブルを用いることが可能になる。二重作動式ピストンポンプ及びポッドが図示される。
【0065】
図21を参照すると、図18の波エネルギーコンバータの側面図である。
【0066】
図22を参照すると、加圧流体及び発電設備を収容するパワーポンツーンを備えた本発明による波エネルギーコンバータを示す。ポンツーンは、海上で供用するために取り外し可能である。
【0067】
図23を参照すると、パワーポンツーンを備えた本発明による波エネルギーコンバータの追加の斜視図である。
【0068】
図24を参照すると、波エネルギーコンバータ主構造から結合解除されたパワーポンツーンを備えた波エネルギーコンバータの端面図である。図25を参照すると、ケーブルステイ構造の下及び表面下のパワーチャンバを備えた波エネルギーコンバータの端面図である。
【0069】
図26を参照すると、波ポッドに移動され、すなわちパワーポンツーンが波エネルギーコンバータから取り除かれた様々な波エネルギーコンバータ流体圧及び電気システムを示す等角図である。
【0070】
図27を参照すると、波エネルギーコンバータの4点係留構成の等角図である。出力の海底電力ケーブルは、係留部の1つに延びてくる。
【0071】
図28を参照すると、図27におけるシステムの側面図である。
【0072】
図29を参照すると、全体ヨー制御機能を有する複数の波エネルギーコンバータの等角図である。ヨー機構は、波の方向が変化したときに波に対して最適に露出させるよう波エネルギーコンバータを転回させるのに用いられる。この目的のため、複数のコンバータがケーブルを介して結合される。更に、コンバータは、係留点に係留される。ケーブルの長さを調節(例えば、ウィンチを用いて)することにより、装置は、波に対して右方向に向けることができ、ヨー制御が可能にされる。
【0073】
係留点は、コスト低減のため複数のエネルギーコンバータ間で共用することができる。図30を参照すると、波の方向が変化したときの図29のヨー制御機能を描いている。
【0074】
図31を参照すると、波方向に対するWECの向きを最適化するために独立した装置のヨー制御を可能にするケーブルウィンチ制御による単一の波エネルギーコンバータ係留システムの等角図である。
【0075】
図32を参照すると、複数の波エネルギーコンバータを備えた図31の係留システムの上面図である。係留点を共用し、コストを低減することができる。
【0076】
図33を参照すると、風及び/又は波の方向が変化したときに図31のヨー制御機能を描いている。この制御機能は、各々が独立して制御されるように複数の波エネルギーコンバータに対してより大きな冗長性を付加する。
【0077】
図33aから33dを参照すると、風及び/又は波の方向が変化したときに図31のヨー制御機能を描いている。図33bから33dは、代替の係留制御システムを示す。図33bから33dにおいて、参照符号20は、エネルギーコンバータ(ポッドを備えたベース構造)を示している。参照符号21は、ケーブルジャンクション及び転回ブロックを示す。参照符号22、23、24、及び25は、構造体のバックボーンの両端のそれぞれのコーナーに誘導される係留ケーブルを示している。参照符号26は転回ブロックの位置を示す。システムは更に、トラクションウィンチ27と、並びに冗長トラクションウィンチ28(図33d)とを含む。
【0078】
(本発明の第3の実施形態)
図34を参照すると、海洋表面上にある本発明の第3の実施形態による波エネルギーコンバータの等角図である。装置は、到来する海洋波に対し可変の角度で係留され、その出力を中央主動力部内に位置付けられる発電機から海底ケーブルを介して海岸送電系統に供給する。流体圧システムは、波のエネルギーを用いて流体圧システムを起動することによって、ポッドの移動を制御する。流体圧システムは、インパルスタービンと、波高の変化に応じてポッドのロック力を自動的に調整するインパルスタービンノズルとを含む。波エネルギーコンバータ(WEC)は、波の上昇及び下降の両方での波から出力を抽出する。波の上下運動が、複数のポッドの上下移動を引き起こす。ポッドの上下運動は流体圧ピストンを作動させ、該ピストンは、インパルスタービンを駆動するノズルに流体圧流体をポンプ送給する。Peltonホイールは、インパルスタービンの1つのタイプである。インパルスタービンのケーシング内にノズルにより導入される加圧下の水は、強制的にノズルを通過させるときに加速される。ノズルからの高速ジェットは、タービンホイールの周りのバケットに衝突し、ホイールをシャフトの周りに回転させるようにする。シャフトは、発電機に接続される。インパルスタービンは、流体圧モータ、インパルスタービン、又はPeltonホイールを含む、移動流体からエネルギーを取得する何らかの回転エンジンのような何れかの流体圧タービンと置きかえることができる。
【0079】
(最適エネルギー抽出を得る方法)
図35を参照する。ブイによる波からの最適なエネルギー抽出のため、共振条件を酌量して、以下のサイクルに従う必要がある。
(1)水位線がニュートラル37c(B)の上の波高の深さHに上昇するまで、ブイを固定高さ(A)に保持しなければならない。
(2)次に、ブイは、増大する水高(C)により発生する一定の浮力で波の頂点35にまで上昇させる。結果として生じるブイストロークは、波高の1/2に等しい。
(3)ブイが波の頂点35に達すると、水位線がニュートラル37c(D)の下の波高37bの量Hに低下するまで当該高さに保持されなければならない。
(4)次いで、ブイは、減少した水高(E)により発生する一定力で波の谷36まで降下させる。結果として生じるブイストロークは、波高の1/2に等しい。
【0080】
(流体圧回路)
図36及び37を参照する。流体圧システムは、開放又は閉鎖回路とすることができ、リザーバ40、一方向逆止弁42、及びポッド48により駆動される緩衝停止部/二重作動式流体圧ラムポンプ41を含むことができ、ポッドのピボット周りの上下運動によりピストンロッドが駆動される。流体圧マニホルド43内の一方向逆止弁42を開閉し、システム内の流体の流れを制御する。任意選択の流体圧アキュームレータ44はパワー出力のレベルを等しくするために設けることができる。流体圧マニホルド43は、流体を高圧ライン46に通してノズルに強制的に送り込み、流体圧モータ又はインパルスタービン45を転回させる。低圧ライン47の帰還経路は、流体をリザーバ40に戻し、或いは、オープン海水システムでは、流体は海洋に戻される。流体圧モータは、流体圧及び流体圧流をトルク及び角度変位に変換する機械式アクチュエータである。本明細書で使用される用語「流体圧タービン」は、流体圧モータ、インパルスタービン、又はPeltonホイールを含む、移動流体からエネルギーを得る何らかの回転エンジンである。
【0081】
(流体圧システム動作の実施例)
例えば、3m波からの定格パワーでは、ポッドは、ポッドが移動し始める前に0.75mの潜水及び浮上をし、すなわち、1.5mの振れを有することになる。流体圧は、3000psi(最大)で流量が1ユニットとなる。
【0082】
波高が1mから定格の1/3に低下した場合、ポッドは、0.25mの潜水及び浮上が望ましく、定格の1/3の流体圧すなわち10000psiを必要とする。振れもまた定格の1/3すなわち5mまで低下し、流量が1/3ユニットにまで低下することになる。
【0083】
インパルスタービンを利用して発電機にパワーを供給する場合、流体はノズルを通して噴出され、パドルホイールを転回させる。ノズルを通過する流量が下がると、圧力もまたほぼ線形的に低下する。よって、ホイールにパワーを供給する圧力が元の1/3に低下した場合、自動的に背圧が1/3に低下する。これは、ポッドが最適性能を維持するのに必要な圧力と流量の関係と同じである。このようにしてポッドは、自己調整して最適性能を自動的に維持する。
【0084】
一定のRPMにおいて、インパルスタービンもまた、広い範囲の波高において効率的範囲に留まる。より長い波では、流体圧ラムの振れ及びポッドサイズを制限することにより、パワーが定格に維持される。
【0085】
パワー出力のレベルを等しくするために流体圧アキュームレータ44が使用される場合、流体圧アキュームレータはまたポッドの調整を遅延させる(すなわち、最大圧力が蓄積された場合、ポッドは、エネルギーを更に取り込む前に蓄えられた流体圧に打ち勝つのに十分なエネルギーを確認しなければならない)。この理由から、別の方法でパワーのレベルを等しくするのが好ましい場合がある。
【0086】
図37を参照すると、設定力に到達するまで流体圧システムがどのようにして運動ロックを達成するか、並びにポッド運動に対して一定の抵抗を生じさせるかを示している。
【0087】
最初に、ピストン41の両側部の圧力は等しいので、ピストンに作用する力は存在しない。ピストンに作用する力が作動力よりも小さい場合、ピストンの移動は極めて微小であり、この力が平衡し運動が止まるまで一方の側部に作用する圧力が増大し、他方の側部に作用する圧力は減少する。
【0088】
ピストンに作用する力が作動力に等しい場合、入口及び出口バルブ42が開く。ピストンは、一定の作動力で移動する。低圧流体47が膨張側部を充填し、高圧流体46が抽出側部から流出する。
【0089】
図38a〜38bを参照すると、インパルスタービンノズルが波高の変化に伴ってポッドのロック力をどのように自動的に調整するかを示している。
【0090】
図38aにおいて、大きな波が大きなストロークを発生させ、大きなストロークにより大きな流量が得られる。大きな流量は、高い流体背圧を引き起こし、流体ラムを移動させるのに大きな力が必要となる。この大きな力は、波高Hを維持するためのポッドの潜水を増大させ、増大した波高による潜水の増大によって、エネルギー生成が最適化される。
【0091】
図38bにおいて、小さな波が、小さなストローク、小さな流量、低い流体圧、低いラム力、及びポッドの潜水の減少を発生させる。ノズルサイズ、流体圧システム及びポッドの数並びに幾何形状を設定することにより、波高に応じたポッド力の自己調整によって最適性能を維持することができる。
【0092】
図39を参照すると、図34に示される波エネルギーコンバータの詳細図である。図36及び37に示す流体圧ラム41及び流体圧マニホルド43は、波エネルギーコンバータの背部に沿って反復されている。高圧ライン46は、マニホルド43を共通の圧力アキュームレータ44及び流体圧モータ又はインパルスタービン45に接続する。流体圧モータ又はインパルスタービン45は、共通の発電機34を駆動する。流体圧モータ又はインパルスタービン45からの使用済み流体は、流体圧リザーバ40に集められ、流体は、低圧戻りライン47を介してマニホルド43に戻される。
【0093】
(本発明の第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態によれば、発電装置は、中央セクション、該中央セクションに接続された1つ又はそれ以上の周辺セクション、及び中央セクションに位置付けられる動力部を含む。流体圧タービンは、インパルスタービン又は流体圧モータとすることができる。装置は、到来海洋波に可変角度で係留され、中央主動力部に位置付けられる発電機から海底ケーブルを介して海岸送電系統にパワーを供給する。
【0094】
本発明の1つの態様によれば、動力部は、周辺モジュールの電力生成を収集し、装置から海底への出口を提供し、ここで海底ケーブルを介して電力が海岸に伝達される。
【0095】
本発明1つの態様によれば、外側セクションはモジュール式であり、単一の周辺動力部を収容し、該動力部が、外側セクションの加圧された流体圧流を集め且つ電気を発生させ、パワー調整及び海底ケーブルを介した伝送のため主中央動力部と配線接続される。
【0096】
本発明の1つの態様によれば、中央動力部及び全ての周辺動力部が潜水し、構造体の長さの大部分が海水により支持されなくなる可能性がある大きな高潮における波スラッピング荷重及び事象を避けるようにする。
【0097】
図40を参照すると、海洋表面上にある本発明の波エネルギーコンバータの等角図である。装置は、複数の力伝達ポッドと、力伝達ポッドのアームと係合した二重作動式流体圧ラムと、発電機に係合され、高圧作動流体により駆動されるPeltonホイールとを含む。
【0098】
図42及び図43を参照する。図42は、本発明の波エネルギーコンバータの側面図であり、図43は、図42の側面図である。波エネルギーコンバータ(WEC)は、海洋波の作用により駆動される電力発生装置である。本装置は、その端部により係留され、電力抽出を最大にするようヨーイングすることができ、電力を主動力部から海底ケーブルを介して海岸送電系統に供給する。
【0099】
波エネルギーコンバータは、発電用の動力部を含むモジュール構成セクションにおいて複数のポッドを用いて波からのエネルギー抽出を最適化するよう設計されている。この構成の利点は、経済性、作動性、及びサービス上の理由から大型装置における共通性であることに加え、長周期の波長を超える装置長さを可能にし、波力抽出の最大化に反する働きをするポッドに安定したプラットフォームをもたらすことになる。従来の造船方法を利用してもよい。
【0100】
ポッドは、波の上昇下降時のエネルギーを抽出し、二方向二重作動式流体圧ラムに力を作用させる。ラムは、流体圧油又は海水などの作動液をポンプ送給し、液圧は、Peltonホイール又は他の流体圧モータ及び発電機システムを駆動して電気を生成するのに使用される。
【0101】
この構成は、流体圧システム、パワー調整器、昇圧器、及び開閉装置を収容する中央セクションからなる。この主動力部は、自己の主セクションの電気を生成するだけでなく、周辺モジュール全体の電力生成を収集し、装置から海底への出口を提供し、ここで電力が標準海底ケーブルを介して海岸に伝送される。
【0102】
図43及び45に示す外側セクションは、完全にモジュール式であり、単一の周辺動力部を収容し、該動力部が、各セクションの生成された流体圧を集め且つ電気を発生させ、パワー調整及び海底ケーブルを介した海岸への伝送のため主中央動力部に配線接続される。
【0103】
中央動力部及び全ての周辺動力部は、異常気象事象に耐え抜くため潜水して最大で数気圧の圧力が加わるように設計される。装置全体は、構造体の長さの大部分が海水により支持されなくなる可能性がある大きな高潮における波スラッピング荷重及び事例を避けるため潜水するよう設計される。
【0104】
(本発明の第5の実施形態)
第5の実施形態によれば、海洋波を利用した発電装置は、複数の力伝達ポッドと、力伝達ポッドのアームと係合した二重作動式流体圧ラムと、発電機に係合され、高圧作動流体により駆動される流体圧タービンとを含む。装置は、潜水のため海水を注入し、浮上させるため海水を排出させることができるチャンバをポッド内に含む。流体圧タービンは、インパルスタービン又は流体圧モータとすることができる。
【0105】
本発明の1つの態様によれば、ポッドは、潜水及び浮上のため、並びにWECの移送のために垂直位置に上昇することができる。
【0106】
第5の実施形態による波エネルギーコンバータ(WEC)は、波の上昇及び下降側の両方で波からパワーを抽出する。しかしながら、この結果、ポッド及び構造体を大きな高潮以上に上昇させることが本来的にできない。最新の実施形態は、可変浮力装置及び方法を利用して、(1)波力発電にWECを配備するのを助け、(2)作動モードでのエネルギー取り込みを最適化し、(3)完全に装置を潜水させて、大きな波スラッピング荷重を避け、構造体の長さの大部分が海水により支持されなくなる可能性がある事例を避けるようにする。
【0107】
図46には、装置バラストサブシステムが海上にて動作モードで示されている。ポッドの自由注水タンクを一定レベルまで注水することにより提供される定められたバラスト量がある。これは、上述のように波の上昇及び下降側での波エネルギーの取り込みを最適化する。
【0108】
図47は、図46に図示したポッドバラストシステムの詳細を示している。バラストを作動させるための定められた注水区域が、常に開放している小さな水入口と空気出口とを備えて示されている。ポッド内の1つの小区域(シールされた浮力チャンバ)は、空気でシールされたままであり、ポッドの残りの部分が注水できるようになったときに潜水時に最小浮力を提供する。空気ポンプ及び空気ホースラインは、別の動作又はメンテナンスのために装置を浮上させる必要があるときに空気変位によって水を排出する。
【0109】
図48は潜水したWECを示している。装置に損害を与える可能性がある大きな高潮又は単一の波事象が通知されると、ポッドは、バラストを付加し、装置全体の浮力を低減するよう注水される。ポッドアーム−ポッド境界部にて流体圧ラムが作動し、ポッドを図示の垂直方向に回転させる。従って、空気ポンプがオフ状態では、ポッドには海水が注入され、ポッド位置シリンダが延びてポッドアームが上昇し、装置は、大きな高潮の谷を十分に下回る規定深さまで潜水する。図49は潜水したWECを示している。
【0110】
図50は、ポートから離れて装置を波力発電サイトに移動させる配備方法を示している。ポッドは、垂直方向に配置され、海水バラストが完全に空にされ、装置が曳航される。従って、空気ポンプがオンの状態では、ポッドは海水が空にされ、ポッド位置シリンダが延びてポッドアームが上昇し、装置は波の水位線まで浮上する。
【0111】
(本発明の第6の実施形態)
図51及び図52を参照する。図51は、本発明の波エネルギーコンバータの上面図と側面図との組み合わせである。波エネルギーコンバータ(WEC)は、海洋波の作用により駆動される発電装置である。本装置は、その端部により係留され、電力抽出を最大にするようヨーイングすることができ、電力を主動力部から海底ケーブルを介して海岸送電系統に供給する。コンバータのバックボーン(ベース構造)は、ジョイント構造を介して接続されたセクションを含む。図52は第6の実施形態の斜視図である。
【0112】
図53は、矩形バックボーン(ベース構造)を示す、本発明の第6の実施形態の正面図である。強固で堅牢なバックボーンを得るために、矩形フレームシステムが開発され、矩形の各コーナーに4つの大直径のレッグと、バックボーンの長さに沿ってフレームシステムを提供するユニットの各面並びにポッドアームを通ってバックボーンにポッド荷重が伝達される各パネルレベルとにおいて小直径の管状ブレースとを備える。
【0113】
大直径と小直径の管体の組み合わせを選択する根拠は、バックボーンに加わる荷重を最小限にすることである。小直径管体上での水粒子の速度に起因した最大垂直力は、頂線での大直径管体上の水粒子加速度(及び反対に作用する可変浮力)に起因した最大垂直力と位相ずれ(頂線より90度進む)が生じる。コンバータバックボーンは、極めて長く細長の構造体であり、56個のポッド及びポッドアームの28セットを収容する。バックボーンの4つの側部の各々にあるバックボーンの4つの管体及び小直径ブレースと、合計で30個のクロスフレームとによってバックボーンに剛性がもたらされる。これらのクロスフレームのうちの28個は、ポッド及びポッドアームとバックボーンとの構造上の一体化を提供する。
【0114】
バックボーンに影響を及ぼす臨界荷重条件は、波頭がバックボーンの中央にあるときのホッギング、及び2つの波頭がバックボーンの各端部にあり、トラフが中央にあるときのサッギングである。バックボーンは、該バックボーンに直接作用する波荷重によるホッギング及びサッギング荷重の妥当なレベルに対応し、且つ荷重がポッドからバックボーンに伝達されるように十分な容積を有するように設計することができる。
【0115】
バックボーンに作用するこれらの直接的及び間接的な印加荷重は、中央で最大となる曲げモーメントをもたらす。曲げモーメントは軸方向の張力及び圧縮力になり、バックボーンの大直径コーナーレッグに作用する。各海面状態に対する曲げモーメントは異なるので、システムの構造的一体性が維持され、全体コストが妥当なままであるように、バックボーンのターゲット容量を考慮することが望ましい。
【0116】
この実施形態によれば、バックボーンは、2つの等しいセグメントで構成され、バックボーンの一方端が他方端に打ち込まれている。4つのスタブオン要素の各々は、システムの連続性をもたらすように、4つのレッグの各々のロックを可能にする。従って、ロックインシステム容量に適合する曲げモーメント及び軸方向力をもたらす暴風事象までは、バックボーンは単一ユニットとして機能する。
【0117】
図54aは、本発明の第6の実施形態による多セクション・バックボーンの概略図である。図54bは、バックボーンのセクション間のジョイントの詳細図を示す。
【0118】
軸方向荷重がロック容量を超えると、スタブオンレッグが開放されるが、依然としてガイド内に留まる。開放状態では回転方向の柔軟性が与えられ、曲げモーメントをもたらす印加荷重の作用を無効にする。
【0119】
プレテンションされたガイワイヤは、ユニットの2つの半部分を互いに極めて近接した状態にすることを目的としている。しかしながら、スタブオンレッグがガイドから抜け出るのを防ぐ2〜3mの長チェーンを取り付けることによって、追加の安全システムも設けられる。システム上の緩衝又はラバーバンパーは、バックボーンの長手方向軸線に沿った大きな移動を阻止することができる。
【0120】
本構成は、拡張性によるコストを低減するのに効果的な方法を提供する。第6の実施形態のモジュール式設計は、システムを係留上及び作動上の観点から最もコスト効果のあるサイズにスケール調整することができる。本実施形態は、〜45°で波面に露出され且つ波面の方向の変化に応答してヨーイングすることができる単一の214m長の半潜水キャリア構造体上に56,80kWポイント吸収ポッドを組み合わせることにより、これを達成している。コアシステムは28個のポッドで2.24MWとなることを計画している。2.24MWモジュールを追加することで4.5MWコンバータが完成し、中央部に柔軟なセクションを備えている。将来的には更に拡張することも可能である。
【0121】
実績のある技術及び商用的に入手可能な構成要素を使用することで、技術上の問題及びコストが低減され、市場化プロセスをより迅速にすることが可能になる。本実施形態で使用されるほとんどの構成要素は、産業用カタログソースによって入手でき、早期商業化段階において新規設計の構成要素に通常付随する「初期コスト」が有意に低減される。更に、残存性、作動性、及び安全性について洋上石油ガス産業からの実績のあるプロセス及び経験的技能を活用することによって、設計、実施、及び証明プロセス上の予測可能性が可能になる。本実施形態はまた、タンク試験、下位尺度試験、及びモデリングによって得られた、約30年間にわたる波打ち点吸収体の経験的技能からの恩恵を受ける。従って、性能及び動的応答は十分理解され、商業化は、長期の研究プロジェクトの必要性により妨げられることはない。
【0122】
通常の海面状態条件で定期的メンテナンス及び補修作業を実施することができることにより、O&M(Operations & Maintenance:運用及びメンテナンス)コストが予測可能であり、問題が発生した場合には、タイムリーに是正できることが確実になる。これには、要員がアクセスし、船内で運転作業を実施できることが必要とされる。この実施形態における設計基準は、90%を超えるアクセス性を有することであり、発電システムの可用性の改善に直接つながり、LCOE(Levelized Cost of Energy(均等化発電原価))を有意に向上させる。これは、海洋波よりも十分に上回って高い傾斜により全ての重要構成要素に安全にアクセス可能になることで達成される。高い傾斜はまた、サービスクレーン用にレールを組み込み、該クレーンは、サービスボートの乗船プラットフォームまでの全コンバータ構造長を移動することができる。要員の輸送は、サービスボート又はヘリコプターにより行われる。
【0123】
システムモジュール方式は、製造を簡素化し、オンボードサービスクレーンを用いてサブシステムを容易に交換可能にすることにより、O&Mコストを低減する。モジュール方式により、工業用構成要素をオンボードクレーンにより人的管理を可能にすることができ、船上装着クレーンの費用が排除される。オンボードクレーンを用いて、浮遊ポッド流体圧ラム、水力タービン、及び発電機を排除することができる。
【0124】
配備の容易性及び設置コストの低減は、コンバータ構造体のサイトへの曳航、係留用重力アンカーの使用、及び何らかの波浪装置と同様に海底装着構造体の排除に基づいている。
【0125】
高い可用性を得るため、及び壊滅的損失をもたらす故障の可能性を低減するための冗長性がコンバータサブシステムに組み込まれている。冗長性の組み込みには複数のレベルがあり、故障モード及び全体システムにどれほどの影響があるかに関して特に注意を払っている。制御システム、係留設備、その他を含む全ての重要なシステムは、ある程度の冗長性を組み込んでいる。
【0126】
構造材料の量(コスト)として測定される高効率の吸収及び電力変換プロセスは、所望の電気出力(kWh/年)を達成する必要がある。バックボーンキャリア上に装着される、複数の最適サイズ、形状、及び調整可能な点吸収ポッドは、高効率の波力変換を生じる。波の作用と流体圧ラムの係合タイミングとの間の相互作用は、エネルギー変換の有意な増大をもたらす。開発中のほとんどの成熟装置の一部と比べて、本発明の実施形態は、約2倍から5倍優れた構造的重量−パワー比を有する。
【0127】
ポッド効率はまた、通常2から3つの波長に「またがる」よう設計されたキャリアの長さにより強化され、これによりポッドによる吸収及び電力変換を犠牲にしてピッチングを最小限にする。
【0128】
ポッド効率はまた、本発明によるコンバータによる波面への最適露出で増大され、接近する波線に対して約45度の角度のヨーイングをし、全てのポッドを露出させて波の作用を最大限にする。ヨーシステムは、コンバータの向きの90°変化を可能にする。
【0129】
本構成は、可能であれば設計からアクティブシステムを排除することにより海洋用最良実施を採用する。FMEA(Failure Modes & Effects Analysis;故障モード影響解析)プロセスは、潜在する故障モードを根絶し、これらを追跡するために早期に設計に採用されてきた。このプロセスは、RAM(Reliability, Availability and Maintenance;信頼性、可用性、及びメンテナンス)と共に、構成要素、サブシステム及び完全システムレベルにおける、Mean Time Between Critical Failure(平均故障間隔)、Mean Down Time(平均故障時間)、及び可用性又は動作可能時間(通常はパーセンテージで表現される)についての設計目標を追跡及び生成するのに用いられる。
【0130】
本発明のLCOEは、現在配備されている設計及び洋上風力発電の範囲におけるよりも実質的に改善されている(12から18セント/kWh)と発明者は考えている。LCOEは、EPRIのUtility Generator economic methodologyに基づいて算出され、助成金は無いものと仮定する。この配備の参照位置は、PG&E WaveConnectプロジェクトにおけるCalifornia州Humboldt郡である。
【0131】
波エネルギーが商業的に成功を収め、市場で幅広く受け入れてもらうようになるためには、相対的に無害な環境フットプリントを持たなければならないことは明らかである。潜在的な環境への影響を評価することは、開発プロセスの不可欠な部分を構成する。本発明による設計において、海洋生物に干渉する可能性がある流体圧流体の流出、衝突、防汚塗料の毒性、及び係留構成に関連する問題には特に注意が払われている。以下の潜在的影響及び緩和対策は例証として示される。
【0132】
【表1】
これは決して総合リストではないが、設計により対処される重要な問題を詳細に説明している。
【0133】
理想的には、ポッドは、全ての波浪状態の間に作動しエネルギーを生成する。波エネルギー抽出は、小波の間に最適なパワー取出制御によって最大にされ、発電機の定格容量で横ばいになる。波がより大きくより高エネルギーになると、過剰パワーは、波打ちポッドをデチューンすることにより削減される。デチューンは、極度な潮位における流体圧パワー取出を調節することでポッドに対する最適減衰未満を適用することにより達成される。以下の表は、海面状態の関数としての単一ポッド性能を示している。
【0134】
【表2】
【0135】
上述の性能マトリクスに示すように、発電機の定格容量は、ポッド当たりの電気出力を約80kWに制限する。カリフォルニア北部の波浪状態では、上述の性能テーブルは、年平均32kW/ポッドをもたらす。
【0136】
本発明は一年中作動することになるが、O&Mサービスのアクセスは、気象条件により制限される場合がある。O&M手順を実施する運用上のアクセスは、要員による構造体へのアクセス能力に高度に依存する。このようにするために、本発明によるコンバータのアクセスランプは、波の作用よりも十分に高く、時間の大多数となるはずの通常の海面状態作動条件中に要員の安全なアクセスを可能にする。要員の輸送は、洋上石油プラットフォーム及び風力タービンと類似した方法でサービスボート又はヘリコプターにより構造体との間で行うことができる。
【0137】
更に最悪の暴風状態における設計の残存度は、商業上の成功に重要なことである。本発明によるエネルギーコンバータは、低パワーの海面状態中に電力生成を最適化するよう設計され、極度状態に近づくパワーの削減を開始する。このパワー削減は、設計全体の重要且つ不可欠な態様であり、以下のことにより達成される。
−個々のポッドが何らかの極度の事象を乗り越えることができ、これらの状態中にバックボーンに輸送する力を最小限にする。
−柔軟なバックボーン構造を有し、巨大な波に対して撓むが、運用条件中に安定した基準点(最小ピッチング)を提供する。重要な設計態様は、残存度に必要なシステムがフェールセーフを装備し、アクティブではないことである。この設計原理を利用することによって、コンバータは、最も過酷な暴風を耐え抜く可能性が遙かに高くなる。
【0138】
上述の実施形態によれば、各ポッドは最大80kWを発生する。本発明の別の態様によれば、リニア発電機は、運動エネルギー変換のために用いられる。波エネルギー変換は、理想的にはリニア発電機に好適であり、これにより吸収体の運動を直接的に結合することができる。リニア発電機は、複雑なパワー取出装置の必要性を排除し、付加的に効率改善の恩恵を受け、潜在的に環境への影響を低減する。ここでは、好適な発電機の設計の算出の根拠としての役割を果たす理論上の考慮事項がある(例えば、Oskar Danielssonの著作、「Design of a Linear Generator for Wave energy Plant」University of Uppsala, Master's Degree Project 2003;Wolfbrandt, A、「Automated design of a linear generator for wave energy converters-a simplified model」、IEEE Transactions on Magnetics, Volume 42, Issue 7, July 2006 Page(s) : 1812 - 1819)。
【0139】
上記で説明したように、エネルギーの競合コストを達成するために、本発明によるシステム構成は、スケールメリットを提供すると共に極度な波事象中の残存度に対処する。本発明は、新規の構成に基づき、波力変換をコスト的に実現可能なものにする本質的基準を統合する。この基準には以下のものが含まれる。
−構造体が何らかの過剰荷重を削減し、従って、構造的質量及び設計要件を低減可能にすることにより達成される、最重要設計ドライバーとして固有の残存度。
−所望の電気出力を達成する必要がある、構造材料の量(コスト)として測定される高効率の吸収及び電力変換プロセス。
−長手方向の安定性、キャリアピッチングの最小限化、及びこれにより浮遊ポッドの上昇及び降下による最大波力を抽出することを可能にする接近する波にまたがるのに十分なキャリア又は「バックボーン」長。
−波面の方向シフトを用いて必要に応じて向きを調節するアクティブヨーにより、波面に対するポッド露出を最大にするようなセンチポッドの向き。
−係留及び海岸への電力収集に起因する総コストのパーセンテージを低減することによってLCOEを下げるのに効果的な方法として構成の拡張性。
−発電システム全体の商業的に入手可能な構成要素の使用。
−全てのシステム構成要素のアクセス性及び通常の海面状態中にO&Mサービスに対してポッドを個々にオフラインにする能力。
−壊滅的損失をもたらす故障の可能性を低減する冗長性
−単一のエネルギー発生装置(例えば、4.5MWシステム)をアレイサイトに単に曳航することによる配備コストの低減、ほとんどの場合、低コストの重力アンカーを用いてステーションを保持することができる。
【符号の説明】
【0140】
2:発電機
3:回転シャフト
5:伝達浮遊ポッド
【特許請求の範囲】
【請求項1】
海洋波を利用した発電装置であって、
前記海洋波の動きに応答する複数の力伝達浮遊ポッド(5)を備え、前記ポッドの各々が複数のレバー組立体の1つに結合され、各レバー組立体が前記ポッドの動きを前記レバー組立体と係合した回転シャフト(3)に伝達し、前記ポッドが前記レバー組立体と共に回転シャフトに沿って軸方向に配列されており、前記回転シャフト(3)は、前記ポッドが海洋波の上下運動に応じて移動するときに回転トルクを生成し、
前記装置が更に、
前記回転シャフト(3)に係合された発電機(2)を備え、前記回転トルクが前記発電機(2)に伝達されて、これにより前記発電機が発電するようになる、発電装置。
【請求項2】
前記レバー組立体が、レバー組立体から前記シャフトへの回転運動の伝達を一方向のみ可能にし且つ反対方向の回転運動の伝達を阻止する装置を介して前記回転シャフトに結合される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記装置がラチェット組立体である、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
V字型に配列された少なくとも2つの回転シャフトを有し、前記ポッドの各々が前記それぞれのレバー組立体を介して前記回転シャフトの1つに結合される、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
海洋波を利用した発電装置であって、
前記海洋波の動きに応答する複数の力伝達浮遊ポッド(5)を備え、前記ポッドの各々が複数のレバー組立体の1つに結合され、各レバー組立体が前記ポッドの動きを前記力伝達浮遊ポッドのレバー組立体と係合した流体圧ラムに伝達し、前記流体圧ラムが流体圧回転エンジンに結合され、前記ポッドが海洋波の上下運動に応じて移動するときに前記流体圧ラムにより生成された流体圧を前記流体圧回転エンジンに送給するようにし、
前記装置が更に、
前記回転エンジンに結合されてこれにより発電するようになる発電機(2)を備える、装置。
【請求項6】
前記流体圧ラムがアキュームレータシステムに結合され、該アキュームレータシステムは、前記流体圧ラムと流体圧回転エンジンとの間に結合され、これにより前記アキュームレータシステムが流体圧モータに送給し、波エネルギーの振動を平滑化する、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記流体圧ラムは二重作動式流体圧ラムであり、これにより前記装置は、上方及び下方のポッド運動の両方でエネルギーを取り込み、前記回転エンジン及び発電機を駆動して発電を行うことを可能にする、請求項5又は6に記載の装置。
【請求項8】
前記流体圧回転エンジンが流体圧タービンを含む、請求項5、6又は7に記載の装置。
【請求項9】
流体圧システムを更に備え、該流体圧システムは、波のエネルギーを用いて該流体圧システムを作動させることにより前記ポッドの移動を制御する、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記流体圧タービンが流体圧モータ又はインパルスタービンのうちの1つである、請求項8に記載の装置。
【請求項11】
前記流体圧タービンが、インパルスタービンと、波高の変化に応じてポッドのロック力を自動的に調整するインパルスタービンノズルと、最大力となるようにポッド位置を維持するためのバルブ調整手段とを含む、請求項9に記載の装置。
【請求項12】
中央セクションと、該中央セクションに接続された1つ又はそれ以上の外側周辺セクションと、前記中央セクションに位置付けられた主動力部とを備える、請求項8に記載の装置。
【請求項13】
前記主動力部が、前記周辺モジュールの電力生成を収集し、前記装置から海底への出口を提供して、ここで海底ケーブルを介して電力が海岸に伝達される、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
外側セクションがモジュール式のものであり、単一の周辺動力部を収容し、該動力部が前記外側セクションの加圧された流体圧流を集め且つ電気を発生させ、パワー調整及び海底ケーブルを介した伝送のため前記主中央動力部に配線接続される、請求項12又は13に記載の装置。
【請求項15】
前記主動力部及び全ての周辺動力部が潜水し、前記構造体の長さの大部分が海水により支持されなくなる可能性がある大きな高潮における波スラッピング荷重及び事象を避けるようにする、請求項12、13、又は14に記載の装置。
【請求項16】
前記ポッドを垂直方向にまで回転させる手段を更に備える、請求項8、9、又は10に記載の装置。
【請求項17】
ポッド内に2つの注水チャンバを含み、1つが、常に開放している小さな水入口と空気出口とを備えた作動バラスト用のものであり、1つが、空気ポンプ、空気ホースライン、及び前記装置を浮上させる必要があるときに空気変位によって前記注水チャンバ内の水を排出するための水出口孔を備える、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
シール浮力チャンバが前記ポッド内に設けられ、前記浮力チャンバは、空気とのシールを維持して、前記注水チャンバが注水可能になったときに潜水時の最小浮力を提供する、請求項16又は17に記載の装置。
【請求項19】
極度の海面状態において柔軟なバックボーンが荷重を削減可能にする開放ジョイント/スタブであって、予め定められたプレ荷重で設定されるスタブ構成により2つのセクションを本質的に結合解除し、前記スタブ構成は、曲げ応力が過剰になるとガイドワイヤとの係合が解除され、構造体全体を整列して戻すようにする、開放ジョイント/スタブ。
【請求項20】
複数の波エネルギーコンバータのためアクティブヨー制御システムを独立して又は集合的に有し、エネルギー取り込み、コスト低減、並びにシステムの信頼性及び冗長性を最大限にすることを可能にする、請求項1又は5に記載の装置。
【請求項1】
海洋波を利用した発電装置であって、
前記海洋波の動きに応答する複数の力伝達浮遊ポッド(5)を備え、前記ポッドの各々が複数のレバー組立体の1つに結合され、各レバー組立体が前記ポッドの動きを前記レバー組立体と係合した回転シャフト(3)に伝達し、前記ポッドが前記レバー組立体と共に回転シャフトに沿って軸方向に配列されており、前記回転シャフト(3)は、前記ポッドが海洋波の上下運動に応じて移動するときに回転トルクを生成し、
前記装置が更に、
前記回転シャフト(3)に係合された発電機(2)を備え、前記回転トルクが前記発電機(2)に伝達されて、これにより前記発電機が発電するようになる、発電装置。
【請求項2】
前記レバー組立体が、レバー組立体から前記シャフトへの回転運動の伝達を一方向のみ可能にし且つ反対方向の回転運動の伝達を阻止する装置を介して前記回転シャフトに結合される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記装置がラチェット組立体である、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
V字型に配列された少なくとも2つの回転シャフトを有し、前記ポッドの各々が前記それぞれのレバー組立体を介して前記回転シャフトの1つに結合される、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
海洋波を利用した発電装置であって、
前記海洋波の動きに応答する複数の力伝達浮遊ポッド(5)を備え、前記ポッドの各々が複数のレバー組立体の1つに結合され、各レバー組立体が前記ポッドの動きを前記力伝達浮遊ポッドのレバー組立体と係合した流体圧ラムに伝達し、前記流体圧ラムが流体圧回転エンジンに結合され、前記ポッドが海洋波の上下運動に応じて移動するときに前記流体圧ラムにより生成された流体圧を前記流体圧回転エンジンに送給するようにし、
前記装置が更に、
前記回転エンジンに結合されてこれにより発電するようになる発電機(2)を備える、装置。
【請求項6】
前記流体圧ラムがアキュームレータシステムに結合され、該アキュームレータシステムは、前記流体圧ラムと流体圧回転エンジンとの間に結合され、これにより前記アキュームレータシステムが流体圧モータに送給し、波エネルギーの振動を平滑化する、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記流体圧ラムは二重作動式流体圧ラムであり、これにより前記装置は、上方及び下方のポッド運動の両方でエネルギーを取り込み、前記回転エンジン及び発電機を駆動して発電を行うことを可能にする、請求項5又は6に記載の装置。
【請求項8】
前記流体圧回転エンジンが流体圧タービンを含む、請求項5、6又は7に記載の装置。
【請求項9】
流体圧システムを更に備え、該流体圧システムは、波のエネルギーを用いて該流体圧システムを作動させることにより前記ポッドの移動を制御する、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記流体圧タービンが流体圧モータ又はインパルスタービンのうちの1つである、請求項8に記載の装置。
【請求項11】
前記流体圧タービンが、インパルスタービンと、波高の変化に応じてポッドのロック力を自動的に調整するインパルスタービンノズルと、最大力となるようにポッド位置を維持するためのバルブ調整手段とを含む、請求項9に記載の装置。
【請求項12】
中央セクションと、該中央セクションに接続された1つ又はそれ以上の外側周辺セクションと、前記中央セクションに位置付けられた主動力部とを備える、請求項8に記載の装置。
【請求項13】
前記主動力部が、前記周辺モジュールの電力生成を収集し、前記装置から海底への出口を提供して、ここで海底ケーブルを介して電力が海岸に伝達される、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
外側セクションがモジュール式のものであり、単一の周辺動力部を収容し、該動力部が前記外側セクションの加圧された流体圧流を集め且つ電気を発生させ、パワー調整及び海底ケーブルを介した伝送のため前記主中央動力部に配線接続される、請求項12又は13に記載の装置。
【請求項15】
前記主動力部及び全ての周辺動力部が潜水し、前記構造体の長さの大部分が海水により支持されなくなる可能性がある大きな高潮における波スラッピング荷重及び事象を避けるようにする、請求項12、13、又は14に記載の装置。
【請求項16】
前記ポッドを垂直方向にまで回転させる手段を更に備える、請求項8、9、又は10に記載の装置。
【請求項17】
ポッド内に2つの注水チャンバを含み、1つが、常に開放している小さな水入口と空気出口とを備えた作動バラスト用のものであり、1つが、空気ポンプ、空気ホースライン、及び前記装置を浮上させる必要があるときに空気変位によって前記注水チャンバ内の水を排出するための水出口孔を備える、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
シール浮力チャンバが前記ポッド内に設けられ、前記浮力チャンバは、空気とのシールを維持して、前記注水チャンバが注水可能になったときに潜水時の最小浮力を提供する、請求項16又は17に記載の装置。
【請求項19】
極度の海面状態において柔軟なバックボーンが荷重を削減可能にする開放ジョイント/スタブであって、予め定められたプレ荷重で設定されるスタブ構成により2つのセクションを本質的に結合解除し、前記スタブ構成は、曲げ応力が過剰になるとガイドワイヤとの係合が解除され、構造体全体を整列して戻すようにする、開放ジョイント/スタブ。
【請求項20】
複数の波エネルギーコンバータのためアクティブヨー制御システムを独立して又は集合的に有し、エネルギー取り込み、コスト低減、並びにシステムの信頼性及び冗長性を最大限にすることを可能にする、請求項1又は5に記載の装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図12a】
【図12b】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図33a】
【図33b】
【図33c】
【図33d】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38a】
【図38b】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【図54a】
【図54b】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図12a】
【図12b】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図33a】
【図33b】
【図33c】
【図33d】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38a】
【図38b】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【図54a】
【図54b】
【公表番号】特表2012−514708(P2012−514708A)
【公表日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−544087(P2011−544087)
【出願日】平成21年8月24日(2009.8.24)
【国際出願番号】PCT/IB2009/006614
【国際公開番号】WO2010/076617
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(510079422)デールセン・アソシエイツ・エルエルシイ (2)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月24日(2009.8.24)
【国際出願番号】PCT/IB2009/006614
【国際公開番号】WO2010/076617
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(510079422)デールセン・アソシエイツ・エルエルシイ (2)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]