説明

海洋空間に建造するハイブリッド方式人工地盤とその建造方法

【課題】設置する際の位置の制御精度が高く工期が短くコストのかからない人工地盤とその建造方法を提供する。
【解決手段】ハイブリッド方式人工地盤は、海底地盤上に打設する杭構造を側部四隅に備えたケーソンで補強構成される海洋構造物と、仮枠組み鉄骨フレームに取り付けられる杭構造を、鉄筋コンクリートの壁版・床版パネルで補強構成される海洋構造物である。この鉄骨仮枠組みは、鉛直かつ互いに平行であって、正方形の頂点にそれぞれ立設する4本の中空の鋼管と、隣接する鋼管同士の頂部と底部とに其々垂直に結合するフレーム材によって直方体状に形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海洋空間に建造するハイブリッド方式地盤に係り、特に杭構造とケーソン構造を組合わせた人工地盤とその建造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、海洋空間に人工地盤を建造する手段として複数の施工法が提案されている。
【0003】
第1の提案は、杭構造を利用した海洋空間に人工地盤を建造する工法である。すなわち、杭構造工法は、海底に杭を打設し、その杭を基礎として海洋建築物を構成する工法である。予め決定された地点での杭の打設が可能であるため、設計図通り正確な地点に杭を打設することが可能である。また、複数の杭を利用して海洋構造物を製造するが、各杭間の海底面の地質の海底地質の剛性および海底面の平担性は問われない。つまり、杭が打設できるか否かについては杭を打設する点のみの問題であり、各杭間の多少の平坦性や海底地質の剛性が損なわれていても海洋建築物の建築は可能である。
【0004】
また、第2の提案は、ケーソン構造を利用した海洋空間に人工地盤を建設する工法である。ケーソン構造は、予め陸上でコンクリート並びに鉄鋼で建設された大きさ15m×15m程度の箱状構造物である。ケーソン構造の内部は空洞であり、陸上で上面以外に壁を設けた後に海上に浮遊した状態で輸送、目的地点まで、そのまま浮遊状態で移動され、設置点でその内部に海水等を入水させ、その入水重量でケーソン構造の上昇運動と下降運動を制御しながら、海底面へ沈設する。前記側壁板の両端にシール材が設けられていることを特徴とする。
【0005】
さらに、第3の提案としては、埋め立て工法が存在する。すなわち、大量の土砂を海底に積層しながら海水と土砂を置換える単純な従来の手法である。
【0006】
そして、第4の提案が、フロート工法である。海上に大型の浮遊物を敷き詰める工法であり、浮遊物が陸上で自由な形状に製造できしかも敷設が簡単であるという利点が存在する。
【0007】
【特許文献1】特開2003−3453号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、これら従来の工法においても幾つかの課題が生じていた。
【0009】
第1の杭構造工法では、通常、杭を堅い岩盤に到達して水平方向の応力に対向できる軸耐力の生ずる深さまで打設する必要があった。このため、杭の打設時間が増加していた。しかも、海上での作業は、海象条件が悪化すると作業ができないため、ますます建造時間を延長させる要因となっていた。
【0010】
また、水平方向の応力に対応する為には、杭の直径を増加させる必要があるが、この点も打設時間を延ばす要因となる。
【0011】
一方、第2のケーソン構造工法は、ケーソン底面の平担性が必要である。すなわち、通常は直方体からなるケーソン構造を設置するため海底が平坦でない場合にケーソン構造が傾斜することがある。さらに、ケーソン構造が巨大であると共に、基軸の存在しない海中でケーソン構造の位置制御を行い精度を高く設置位置を指定することは困難であった。
【0012】
さらに、第3の埋め立て工法は、大量の土砂を必要とすると共に工期が、他の工法と比較して著しく長く、コストが高くなる問題点を有している。しかも、埋め立て後に地盤が沈下する現象や地盤の液状化現象が解決しているわけではない。
【0013】
そして、第4の工法であるフロートは、波の高さが40cm以下でなければ使用できず、通常使用するためには、使用海域を常時静水面として確保する為にフロート周囲に防波堤を設置する必要があり、却ってコストが防波堤設置に加えられていた。
【0014】
そこで、本発明の目的は、設置する際の位置の制御精度が高く工期が短く竣工後広範囲の所要水平・垂直力に対応できるコストのかからない人工地盤とその建造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記目的を達成するために、本願発明の海洋空間に建造するハイブリッド方式人工地盤は、海底地盤上に打設する杭構造を側部四隅に備えた構造体から構成される海洋空間に建造する。また、海底地盤上に打設する杭構造を側部四隅に備えたケーソンから構成される。杭構造は、予め鋼管を設けてその中央に杭を配置するよう構成されてもよい。
【0016】
ケーソンと海底地盤に間隙が存在する場合に細砂又はコンクリートミルク又はモルタルで間隙を充填することで、平坦でない海底上でも設置が可能となる。
【0017】
さらに、ケーソンの材質が、鋼殻又はコンクリート殻であることにより、コストや海象条件に適合した人工地盤を提供することができる。
【0018】
また、ケーソンと杭構造とが、伸縮自在に接合し、一体化した構造物の上部に更に床板を設けられることにより、竣工後の人工地盤の海面高を自由自在に調整できる。
【0019】
ケーソン内部には、さらに液体保存タンク構造を有することにより、人工地盤上の空間と人工地盤内部の空間を有効に活用可能となる。
【0020】
ケーソン内部にさらに居住空間構造を有することで、海上により安価な居住空間を建造することが可能となる。杭構造と鉄骨仮枠組みと側壁板とが一体化して更にその上部に床板が設けられてもよい。
【0021】
また、本願発明に係るハイブリッド方式人工地盤の建造方法は、海底地盤上に打設する杭構造を側部四隅に備えた構造体から構成される海洋空間に建造する。
【0022】
さらに、予め定められた海底地盤上の2点に特定の間隔を設けて杭構造を打設した後に特定の間隔と同長の幅を有する直方体からなるケーソンを前記幅の側面が前記杭構造間に嵌挿するよう沈設して反対側の側面が嵌挿されるようさらに杭構造を打設して海洋空間に建造してもよい。
【0023】
杭構造の打設は、同時に複数の杭を打設可能な杭打ち装置で打設することにより固定された作業台を中心に四辺形平面作業台の場合は四方向に短時間で杭の打設が可能になる。
【0024】
所定の鉄骨仮枠組みを予め海上または海中に一体化した形で設置・安定させる工程と、
前記鉄骨仮枠組みに添って杭を打ち込むとともに鉄骨仮枠組みに添って側壁用の鉄またはコンクリート板を垂直に建て込んで鉄骨仮枠および打設済杭と一体化して海中の杭構造と鉄・コンクリート壁板構造として安定させる工程と、
海上に露出している杭頭を水平に揃えて前記杭頭上に予め作成した鉄およびコンクリート床板を水平に設置または固定する海洋空間に建造してもよい。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、杭構造とケーソン構造を一体化した形で施工し、構造的にも一体化した形で機能する為に全体構造物の垂直・水平方向の耐力を自由に加減し得る。
【0026】
ケーソン上面の作業床への転用および片持ち梁等の杭打ち支援機構の構成を適切にケーソン嵌め込み沈設と組合わせることにより、周辺海象条件の影響を小にして、杭打ち作業可能な水深であれば、杭形状・規模の変化、杭間隔の広範囲な変更にも適宜対応可能である。このため、周辺陸上部と全く無関係に、海面上作業台を中心に杭構造、ケーソン構造、それらの組合せ・ハイブリッド構造からなる人工地盤を短期間で建造できる。また、建造工期を短縮することにより建造コストの低下を計ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施例について添付の図1〜図8により説明する。
【実施例1】
【0028】
図1に本願発明に係る海洋空間に建設するハイブリッド方式人工地盤の構造を概略的に説明する。図1(A)が概略平面図を示し、図1(B)がA−A断面図を示す。
【0029】
図1(A)において、参照符号2はケーソンを示し、その形状は正方形の4隅の角を各辺に対して45度の角度で切り落とした8角形である。正方形の4辺にあたる辺で隣り合うケーソン2と接合する。切り落とした4隅にできる各小正方形空間の中心に杭4が配置され、杭4は伸縮自在な結合部6を介してケーソン2と結合される。各ケーソン2は、隣接するケーソンと各辺で接すると共に杭4を介して隣接するケーソン2、並びに対角上に存在するケーソン2と結合される。ケーソン2は、骨格に複数のH鋼が使用され、側板に鋼板等を用いる鋼殻ケーソンから構成される。しかし、鋼殻ケーソンに限定されるものではなく骨格を鉄筋で構成する鉄筋コンクリート殻であっても良い。いずれにしろケーソン2は内部中空な箱型に形成され、上面が開口する。ケーソン2の大きさは、例えば、水深10メートルの海洋の場合であれば、奥行き15メートル、幅15メートル、高さ20メートルである。また、杭4についても鋼材またはコンクリート材のいずれであってもよい。
【0030】
図1(B)は、図1(A)の人工地盤をA−A線で切断した断面図を示す。ケーソン2は、海底8上に沈設される。ここで、10が海面を示す。ケーソン2は、杭4と複数の結合部6で結合される。杭4は、海底8に1〜2メートルの深さまで打設される。
【0031】
すなわち、水平方向の応力については、杭4のみで水平応力を支持する場合と比較して、ケーソンと杭で支持する本発明の構成ではケーソン2と海底8との摩擦力と水平応力が相殺される。このため、杭4には大きな水平応力は生じない。一方垂直方向にはケーソン底面で垂直力を分散させる為に杭4は軸耐力を必要とせず、杭打ち工法の場合に必要とされた杭側面と杭先端部で分担していた軸耐力を生ずるために必要であった海底深く支持層まで杭を打設する必要がない。
【0032】
一方垂直方向において、既述のように杭4とケーソン2とが一体化しておりケーソン2の浮力が、杭4に作用する垂直方向の摩擦力および逆摩擦力を相殺する。このため、杭4とケーソン2から構成される人工地盤の垂直方向の耐力および水平方向の耐力を制御することとなる。すなわち、ケーソン2に注入する海水量でケーソン2の浮力を制御し、人工地盤全体のケーソン2の注入する海水量を制御することで人工地盤全体の浮力が制御可能である。
【0033】
続いて、図2〜図6を用いてハイブリッド方式人工地盤の建造方法について具体的に説明する。
【0034】
図2から図6において(A)が側面図を(B)が平面図を示す。図2(A)に示すように、沿岸域の水深10メートルの海面上1メートルに、幅50メートル奥行き50メートルの固定作業台12を設置して、図3(A)に示すように固定作業台12端部に片持ち梁16を設け、その梁長は15メートルであり、その先端に杭打ち機18を備えており直立杭柱4を打設する。ここで、杭打ち機18は振動ハンマーと重錘ハンマーの何れであってもよい。
【0035】
図4に示すように、予めドライドッグ等で製造されたケーソン2が曳航船20に牽引されて3本の既設杭打ち点に運搬・嵌め込まれ正確な沈設が可能となる。
【0036】
図5に示す通り運搬されたケーソン2は杭間にその3隅を接した状態で海底面まで沈設される。ケーソンが箱型、底板付きである場合は、ケーソン内部に注水して沈設させる。ここで、杭位置でケーソン沈設位置決めを行うため従来工法でのケーソン単体の位置決めと比較して容易であり、沈設を短時間で行える。
【0037】
さらに、図6に示すように沈下安定したケーソン2の上部をコンクリート又は鋼板からなる床板22で遮蔽し、さらにケーソンの残る1隅側部に杭をそれぞれ打設する。その上で、外洋に面する杭上に図3と同様の片持ち梁16を設け、備えられた杭打ち機18で直立杭柱を片持ち梁16から15メートル外洋に打設する。続いて図4の工程に再び戻りケーソンを既に打設済みの3本の杭間にはめ込むよう沈設する。その後、ケーソン上部をコンクリートで遮蔽し、沈設したケーソンの残る1隅側部にさらに杭を打設する。この工程を固定作業台12と垂直方向並びに水平方向の両方向に渡り繰り返すことで15メートル毎に杭が打設され、その間にケーソンが沈設されてより安定した構造の人工地盤が任意の大きさで設置される。当初の固定作業台から出発して順次以上の作業を繰返すことによりケーソン自体も順次作業台となるため安定した構造となり、海象条件に左右されることなく建造を推進できるので複雑な海象条件による工程の遅れを解消する。
【0038】
また、杭打ち機18を2台以上連装して、正確な位置に打設済の杭を利用してケーソンの嵌め込み、正確な位置でのケーソンの沈設作業終了後、ケーソンの上面は作業床として利用され、片持ち梁の上部を移動する台車を設けることにより杭打ちの能率を向上させることも可能である。杭打ち機18の構成やその台数を増加させ杭打ち作業とケーソン嵌め込み・沈設作業を組合わせることで工期を短縮することもできる。
【0039】
さらに、図7に示すように海底が平坦でない場合は、杭を打設してケーソンは、海底面の最も突出している点24とケーソンの底面が接するまで沈設する。その後、予めケーソン底部に設けた孔部26より海底面に、細砂又はコンクリートミルクまたは、モルタルを流し込みケーソン底部と海底面間の間隙を充填することにより平担性を保つことが可能である。
【実施例2】
【0040】
また、ケーソンを利用しないハイブリッド方式人工地盤並びにその建造方法について実施例2において図8A〜8Gを参照しながら説明する。海底地盤上に打設する杭を利用した海洋構造物建造の場合、図8Aに示すように立方体に形成した所定の鉄骨仮枠組み40を、予め海上・海中に一体化した形で設置・安定させる。この鉄骨仮枠組み40は、鉛直かつ互いに平行であって、正方形の頂点にそれぞれ立設する4本の中空の鋼管42と、隣接する鋼管42同士の頂部と底部とに其々垂直に結合するフレーム材44によって直方体状に形成される。すなわち、鋼管42が柱状に配置されて、フレーム材44が梁状に配置される。また、隣接する鋼管42は互いに溝部を向け合うように溝型鋼46が平行に接合される。この鉄骨仮枠組み40を海上・海中に一体化した形で設置・安定させる場合は、鋼管42が海底面に鉛直に立設するように設置される。
【0041】
その仮枠組み40に添って、海底面に杭構造48を打ち込む(図8B)。杭構造48は、中空の鋼管42の中心を貫通させて、上部から押圧されて杭構造48の先端が海底面に埋設するように立設される。この手法を採用することで杭構造48の埋設時に位置決めをする必要がなく、また波による影響を受けることなく埋設が可能となる。図8Bは、杭構造48が3本埋設され、1本が挿入される前の状態を示す。図8Cは、全杭構造48が埋設された状態を示す。
【0042】
さらに、必要に応じ、鉄骨仮枠組み40の鋼管42の側面に溝型鋼46が設けられその溝型鋼46に添って側壁用の鉄・コンクリート壁板構造50を垂直に挿入する。鉄骨仮枠・打設済杭と一体化して、海中の杭構造48と鉄・コンクリート壁板構造50として安定させる(図8D)。図8Dに挿入時の状態を示し、図8Eに挿入後の状態を示す。図9に鉄・コンクリート壁板構造50と溝型鋼46の配置についての詳細図面を示す。図9では杭構造48を貫通させた鋼管42に対して溝型鋼46がウェブの外側と接合され、ウェブの内側に鉄・コンクリート壁板構造50の端部が接合する。前記鋼管42の側面に設けられた前記溝型鋼46は、鉄骨仮枠組み40の全体構造強度によっては省略され、前記フレーム材44を直接鋼管に両面から取り付けることも出来る(図12)。この溝型鋼46の省略は、鉄骨仮枠組み全体重量軽減となり、好ましい結果をもたらすこととなる。さらに、前記鉄・コンクリート壁板構造50から90度回転した方向にも同様に溝型鋼46がウェブの外側と接合され、ウェブの内側に鉄・コンクリート壁板構造50の端部が接合するよう配置する。
【0043】
続いて、杭構造48の頭部を切断して水平に揃える(図8F)。
【0044】
その杭頭上に予め作成した鉄・コンクリート床板52を水平に設置・固定する(図8G)。なお、鉄骨仮枠組み40に隣接してさらに他の鉄骨仮枠組み40を設けることでより広い面積に渡って設置可能である(図10)。また、フレーム材44を柱と梁のみとせずブレース材54を取り入れた構成図を図11に示す。
【実施例3】
【0045】
本発明に係るハイブリッド方式人工地盤の第3の実施例について、図12(a)、(b)を利用して示す。図11との大きな違いは、フレーム材44及び56が二重に設けられ、鋼管42の内部に設けられるフレーム材44と鋼管42の外側に設けられる56から構成される。フレーム材44、56はL型鋼から構成されると廉価で強靭な構造が得られる。二重のフレーム材に加えてブレース材54と組みあわせることで頑丈なハイブリッド方式人工地盤の骨組みを構成することができる。
【実施例4】
【0046】
本発明に係るハイブリッド方式人工地盤の第4の実施例について、図13を利用して示す。溝型鋼46がウェブの外側と接合され、ウェブの内側に鉄・コンクリート壁板構造50の端部にゴム製のシールを設けたものである。このシール材によって止水効果を得ることができる。また、ウェブの内側に鉄・コンクリート壁板構造50を吊り下げる場合、溝型鋼46と鉄・コンクリート壁板構造50が直接接触しないため、スムースに挿入可能となる。溝型鋼46を省略し、鋼管42の両側面にL型鋼44と56を加えることも出来る。
【0047】
以上で、海上空間に海上作業床である鉄・コンクリート床板を固定し、海上作業空間を得る。海中空間に、海上作業床を支持する杭・コンクリート壁板付き鉄骨仮枠組が、安定した形で得られる。
【0048】
この手法を採用することで、ケーソンを利用した場合、陸上におけるケーソンの組立て・曳航作業に多くの困難が伴う付近海域の海象条件が厳しい場合にも採用可能である。
【0049】
また、この不利な条件を克服する為に、鉄骨仮枠組を予め作業床上に準備し、この仮枠組を作業床上のクレーンを利用して、仮枠組脚先端が海底面に到達するよう海上から吊り込む。その仮枠組に添って杭を打ち込む場合は、その杭の位置も既に明確に定まり、打ち込み作業が確実容易で、短時間に終了するところに今回の着想のメリットがある。
【0050】
さらに、鉄筋コンクリート壁の建て込みも、仮枠組脚先端が既に海底面に安定しているため確実容易で、短時間に終了することも今回の着想のメリットである。
【0051】
この工法は、ケーソンの曳航作業が周辺の海象条件で作業能率が左右されるのに対し、作業能率が変化することが少ない工法としてメリットを強調できる。
【0052】
加えて、本実施例では鋼管42の長さが一様な鉄骨仮枠組み40について説明したが、予め海底の地形を計測し4本の鋼管を地形に適合させて異なる長さとした鉄骨仮枠組とすることは設計変更の範囲内である。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明のハイブリッド方式人工地盤は、海中および海上に地盤を造成可能なため、従来埋め立て等が困難な場所においても容易に設置ができ、油田開発や、空港建設や、漁礁開発等が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明に係る海洋空間に建造するハイブリッド方式人工地盤の構造を概略的に説明したもので、(A)が概略平面図を示し、(B)がA−A断面図を示す。
【図2】本発明に係る海洋空間に建造するハイブリッド方式人工地盤の建造方法であって杭打設後の(A)側面図と(B)平面図を示す。
【図3】本発明に係る海洋空間に建造するハイブリッド方式人工地盤の建造方法であって杭打ち装置の(A)側面図と(B)平面図を示す。
【図4】本発明に係る海洋空間に建造するハイブリッド方式人工地盤の建造方法であってケーソン運搬時の(A)側面図と(B)平面図を示す。
【図5】本発明に係る海洋空間に建造するハイブリッド方式人工地盤の建造方法であってケーソン沈設時の(A)側面図と(B)平面図を示す。
【図6】本発明に係る海洋空間に建造するハイブリッド方式人工地盤の建造方法であって更なる杭打設工程の(A)側面図と(B)平面図を示す。
【図7】本発明に係る海洋空間に建造するハイブリッド方式人工地盤の建造方法であって海底が平坦でない場合の側面図を示す。
【図8A】本発明に係る海洋空間に建造するハイブリッド方式人工地盤の建造方法である工程図を示す。
【図8B】本発明に係る海洋空間に建造するハイブリッド方式人工地盤の建造方法である工程図を示す。
【図8C】本発明に係る海洋空間に建造するハイブリッド方式人工地盤の建造方法である工程図を示す。
【図8D】本発明に係る海洋空間に建造するハイブリッド方式人工地盤の建造方法である工程図を示す。
【図8E】本発明に係る海洋空間に建造するハイブリッド方式人工地盤の建造方法である工程図を示す。
【図8F】本発明に係る海洋空間に建造するハイブリッド方式人工地盤の建造方法である工程図を示す。
【図8G】本発明に係る海洋空間に建造するハイブリッド方式人工地盤の建造方法である工程図を示す。
【図9】本発明に係る海洋空間に建造するハイブリッド方式人工地盤の建造方法の鋼管近傍の詳細図を示す。
【図10】本発明に係る海洋空間に建造するハイブリッド方式人工地盤の建造方法において複数の鉄骨仮枠組みを配置した構成図を示す。
【図11】本発明に係る海洋空間に建造するハイブリッド方式人工地盤の建造方法においてフレーム材に筋交い構造を適用した構成図を示す。
【図12】本発明に係る海洋空間に建造するハイブリッド方式人工地盤の建造方法において第3の実施例による構成図を示す。
【図13】本発明に係る海洋空間に建造するハイブリッド方式人工地盤の建造方法において第4の実施例による構成図を示す。
【符号の説明】
【0055】
2 ケーソン
4 杭
6 結合部
8 海底
10 海面
12 固定作業台
14 位置決め装置
16 片持ち梁
18 杭打ち機
20 曳航船
22 床板
24 海底面最突出点
26 充填材注入用孔部
40 鉄骨仮枠組み
42 鋼管
44 フレーム材
46 溝型鋼
48 杭構造
50 鉄・コンクリート壁板構造
52 鉄・コンクリート床板
54 ブレース材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
海底地盤上に打設する杭構造を側部四隅に備えた構造体から構成される海洋空間に建造するハイブリッド方式人工地盤。
【請求項2】
杭構造は、予め鋼管を設けてその中央に杭を配置するよう構成されることを特徴とする請求項1記載のハイブリッド方式人工地盤。
【請求項3】
海底地盤上に打設する杭構造を側部四隅に備えたケーソンから構成される海洋空間に建造する請求項1記載のハイブリッド方式人工地盤。
【請求項4】
ケーソンと海底地盤に間隙が存在する場合に細砂又はコンクリートミルク又はモルタルで間隙を充填することを特徴とする請求項1記載の海洋空間に建造するハイブリッド方式人工地盤。
【請求項5】
ケーソンの材質が、鋼殻又はコンクリート殻であることを特徴とする請求項1記載の海洋空間に建造するハイブリッド方式人工地盤。
【請求項6】
ケーソンと杭構造とが、伸縮自在に接合し、一体化した構造物の上部に更に床板を設けられることを特徴とする請求項1記載の海洋空間に建造するハイブリッド方式人工地盤。
【請求項7】
ケーソン内部にさらに浮力調整用タンク構造を有することを特徴とする請求項1記載の海洋空間に建造するハイブリッド方式人工地盤。
【請求項8】
ケーソン内部にさらに居住空間構造を有することを特徴とする請求項1記載の海洋空間に建造するハイブリッド方式人工地盤。
【請求項9】
杭構造と鉄骨仮枠組みと側壁板とが一体化して更にその上部に床板が設けられる請求項1記載のハイブリッド方式人工地盤。
【請求項10】
前記側壁板の両端にシール材が設けられていることを特徴とする請求項1記載のハイブリッド方式人工地盤。
【請求項11】
海底地盤上に打設する杭構造を側部四隅に備えた構造体から構成される海洋空間に建造するハイブリッド方式人工地盤の建造方法。
【請求項12】
予め定められた海底地盤上の2点に特定の間隔を設けて杭構造を打設した後に特定の間隔と同長の幅を有する直方体からなるケーソンを前記幅の側面が前記杭構造間に嵌め込まれるよう位置を定め、次に沈設してケーソン上面を遮蔽板にて覆うことにより作業床として利用しさらに杭構造を打設して海洋空間に建造する請求項11記載のハイブリッド方式人工地盤の建造方法。
【請求項13】
杭構造の打設は、同時に複数の杭を打設可能な杭打ち装置で打設することを特徴とする海洋空間に建造する請求項11記載のハイブリッド方式人工地盤の建造方法。
【請求項14】
所定の鉄骨仮枠組みを予め海上または海中に一体化した形で設置・安定させる工程と、
前記鉄骨仮枠組みに設けられた鋼管の中心に杭を打ち込むとともに鉄骨仮枠組みに添って側壁用の鉄またはコンクリート板を垂直に建て込んで鉄骨仮枠および打設済杭と一体化して海中の杭構造と鉄・コンクリート壁板構造として安定させる工程と、
海上に露出している杭頭を水平に揃えて前記杭頭上に予め作成した鉄およびコンクリート床板を水平に設置または固定する海洋空間に建造する請求項10記載のハイブリッド方式人工地盤の建造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図8E】
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【図8F】
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【図8G】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−92454(P2007−92454A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−285465(P2005−285465)
【出願日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(500331149)株式会社シーズ・インターナショナル (1)
【出願人】(505365714)
【出願人】(000154901)株式会社北川鉄工所 (63)
【出願人】(000110000)株式会社トーメック (4)