浸出水処理システム
【課題】浸出水に包含される汚染物濃度を、放流可能なレベルまで減少することが出来て、逆浸透膜に対する負担を出来る限り低減することが出来る浸出水処理システムの提供。
【解決手段】逆浸透膜装置(2)と蒸気圧縮凝縮装置(4)を備え、逆浸透膜装置(2)に浸出水を供給される逆浸透膜装置供給系統(L10、L20、L1、L12)と、逆浸透膜装置(2)で汚染物質が浄化処理された処理水が排出される処理水排出系統(L22、L2、L3)と、浄化処理されなかった水(濃縮水)が排出される濃縮水排出系統(L24、L241、L242)を備えている。
【解決手段】逆浸透膜装置(2)と蒸気圧縮凝縮装置(4)を備え、逆浸透膜装置(2)に浸出水を供給される逆浸透膜装置供給系統(L10、L20、L1、L12)と、逆浸透膜装置(2)で汚染物質が浄化処理された処理水が排出される処理水排出系統(L22、L2、L3)と、浄化処理されなかった水(濃縮水)が排出される濃縮水排出系統(L24、L241、L242)を備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、埋立地(埋立処分場)、廃棄物処分場等から発生する浸出水を処理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
廃棄物処分場では廃棄物を埋立した後に、処分場内に供給される水分(雨水、散水)による洗い出しや、廃棄物の分解によって、「浸出水」と呼ばれる汚水が発生する。
係る汚水が拡散すると、周囲の環境や生活に影響を及ぼすため、浸出水は浄化処理を行った後に排水する必要がある。
【0003】
近年、環境規制の強化により、浸出水処理は高度化され、SS分(いわゆる、浮遊物質)の除去や有機成分の分解だけでなく、重金属除去や脱塩までが要求されつつある。そのため、逆浸透膜処理を採用するケースが増加している。
しかし、逆浸透膜処理では、汚染成分を5倍程度に濃縮するのが限界であり、逆浸透膜処理設備に投入する原水(浸出水)の20〜25%に相当する濃縮水が発生してしまう。そして、係る濃縮水については、さらなる濃縮、蒸発・乾燥処理する以外には、減容化の手段がないのが実情である。
また、逆浸透膜処理に用いられる逆浸透膜は、耐久性に問題があり、メンテナンスには十分な注意が必要である。
【0004】
逆浸透膜処理設備に浸出水を投入した際に生じる濃縮水のさらなる濃縮、蒸発・乾燥処理には、ボイラによる直接乾燥の他に、蒸発缶等を利用する従来技術も存在する。図11は、エゼクタ−付きの三重効用蒸発缶を示している。
図11において、エゼクターEJを介して供給されるボイラ蒸気が第1の蒸発器VP1の内部(相対的に高温)の熱交換器で凝縮し、濃縮水の一部を蒸発させる。凝縮されなかった蒸気v11と第1の蒸発器VP1内で発生した蒸気v12は、第2の蒸発器VP2内部(相対的に中温)の熱交換器で凝縮し、その気化熱で濃縮水の一部を蒸発させる。さらに、凝縮されなかった蒸気v21と第2の蒸発器VP2内で発生した蒸気v22は、第3の蒸発器VP3内部(相対的に低温)の熱交換器で凝縮し、その気化熱で濃縮水の一部を蒸発させる。凝縮されなかった蒸気v31及び第3の蒸発器VP3内で発生した蒸気v32が保有する熱量は、予熱器PHにおいて濃縮水原液の予熱に使われ、更に凝縮器CDで冷却水配管CWを流れる冷却水と熱交換して凝縮されてから、第3の蒸発器VP3内の熱交換器で凝縮した凝縮水と共に、蒸留水として系外に排出される。最後に、濃縮された液体が残るが、当該濃縮された液体はボイラBIで蒸発・乾燥する。
【0005】
上述した様に、逆浸透膜で発生する濃縮水は、蒸発缶等でさらに濃縮され、さらに濃い濃縮水となり、最後にボイラで蒸発・乾燥されて初めて処理が完了する。
図11の従来技術において、例えば、エゼクターEJはNo.1蒸発器VP1の原液側の蒸気を吸引するが、供給蒸気のエネルギーを消費する。この様に、図11で例示する三重効用蒸発缶では、構成機器が多く、昨今の省エネルギーの要請に応えるには、さらなる改善が必要である。
【0006】
その他の従来技術として、原水タンクと、逆浸透膜式浄水器と、ボイラと、ヒートポンプ等から構成され、ボイラや逆浸透膜式浄水器に供給される原水を、ヒートポンプにより予め加熱する技術が提案されている(特許文献1参照)。
係る従来技術(特許文献1)はボイラの効率向上や、逆浸透膜式浄水器に原水を供給するポンプの負荷低減を目的としており、逆浸透膜装置の濃縮水の減容化処理や、汚染物質処理を行うものではない。
また、さらに別の従来技術として、被処理水を加圧して、加圧された被処理水を無孔質膜で透過せしめて、透過水を回収する技術が提案されている(特許文献2参照)。
この技術(特許文献2)は、被処理水を加圧することにより被処理水が無孔質膜を透過することを促進して、排水の浄化処理効率の向上を図るものであり、逆浸透膜装置の濃縮水の減容化処理や、汚染物質処理に寄与するものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−224148号公報
【特許文献2】特開2006−159177号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、埋立地或いは埋立処分場から発生する浸出水に包含される汚染物濃度を、放流可能なレベルまで減少することが出来て、しかも、逆浸透膜に対する負担を出来る限り低減することが出来る浸出水処理システムの提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
ここで、逆浸透膜で発生する濃縮水を、蒸発圧縮凝縮システム(VCC)によって、処理(蒸発・乾燥)して、濃縮水を蒸留水と固形物に分離することが考えられる。VCCは水の蒸留の効率が高く、構造がシンプルで、制御性が高く、しかも、経済性に優れているからである。
図12は、浸出水をVCCにより蒸留(蒸発・凝縮)することで、含有成分濃度が如何に変化するかを示したものである。
図12において、「COD」は化学的酸素要求量を示し、「BOD」は生物化学的酸素要求量を示し、「T−N」は総窒素量を示し、「Ca」はカルシウム量を示し、「Cl」は塩素量を示している。
【0010】
図12から、有機物に起因する揮発性成分を含む浸出水が少ないことが分かる。我が国の処分場では、有機系ごみを受け入れているところが少なく、大半は焼却灰を埋め立てているからである。
また、図12を参照すれば、VCCのような蒸発・圧縮システムは、揮発性物質(COD、BOD、T−N)の処理能力は比較的弱いことが分る。ただし、揮発性物質濃度が高い場合には、VCCによる処理で、揮発性物質濃度を1/3〜1/2(除去率50〜70%)程度まで低減できることが、図12から理解出来る。
さらに図12によれば、VCCのような蒸発・圧縮システムは、CaやClのような不揮発性物質の除去には非常に有効であり、逆浸透膜で処理する以上の除去率を有することが分かる。なお、図12におけるA線は、VCCで処理した水の汚染の限界を示す線であり、浄化の程度に応じてA線から右下に離れた位置にくる。
【0011】
ここで、逆浸透膜によって浸出水を処理するに際して、浸出水に揮発性物質、例えば、アンモニアや低級脂肪酸等が含まれる場合には、蒸発圧縮凝縮システム(VCC)等で蒸発させた際に、当該揮発性物質の一部が蒸留水に移行してしまう。そして、揮発性物質が蒸留水に移行した状態では、VCCの蒸留水における揮発性物質濃度如何によっては、当該蒸留水を環境中に直接放出することが出来ない場合があることを考慮しなければならない。
そして、その様な場合には、VCCの蒸留水を浸出水(原水)側に戻して、再び逆浸透膜による処理を行う必要がある。
本発明の浸出水処理システムは、上述した様な知見に基いて、創作された。
【0012】
本発明の浸出水処理システムは、逆浸透膜装置(2)と蒸気圧縮凝縮装置(4、41、42)を備え、逆浸透膜装置(2)に浸出水を供給される逆浸透膜装置供給系統(L10、L20、L1、L12)と、逆浸透膜装置(2)で汚染物質(例えば、揮発性汚染物質)が浄化処理された処理水が排出される処理水排出系統(L22、L2、L3)と、浄化処理されなかった水(汚染物質濃度が高い水:濃縮水)が排出される濃縮水排出系統(L24、L241、L242)を備え、濃縮水排出系統は蒸気圧縮凝縮装置(VCC:4)に連通しており、蒸気圧縮凝縮装置(4)は蒸発して凝縮された蒸留水が流れる蒸留水排出系統(L44、L4、L41、L42、L43、L5、L51、L52)を接続されており、蒸留水排出系統(L44、L4、L41、L42、L43、L5、L51、L52)と処理水排出系統(L22、L3)とが合流する合流系統(L60、L6)を備え、汚染物質濃度を計測する計測装置(60、61、62、611、612、613、614)を有している(図1、図3、図5、図7、図9)。
【0013】
本発明において、浸出水を貯留する浸出水貯留槽(1)を有し、浸出水貯留槽(1)は逆浸透膜装置(2)の供給系統(L1)を介して逆浸透膜装置(2)に連通しており、
蒸留水排出系統(L4、L5)には蒸気圧縮凝縮装置(4)で蒸発して凝縮された蒸留水を貯留する蒸留水貯留槽(5)が設けられ、蒸留水貯留槽(5)には蒸留水量及び蒸留水中の汚染物質濃度を計測する第1の計測装置(61:水分析1)が設けられており、
処理水排出系統(L2、L3)には逆浸透膜装置(2)で汚染物質が浄化処理された処理水を貯留する処理水貯留槽(3)が設けられ、処理水貯留槽(3)には処理水量及び処理水中の汚染物質濃度を計測する第2の計測装置(62:水分析2)が設けられており、
第1の計測装置(61:水分析1)の計測結果及び第2の計測装置(62:水分析2)の計測結果が入力される制御装置(10)を備え、
制御装置(10)は、第1の計測装置(61:水分析1)で計測された蒸留水の汚染物質濃度が基準値(R)未満である場合、或いは、第1の計測装置(61:水分析1)の計測結果及び第2の計測装置(62:水分析2)の計測結果に基いて演算される処理水と蒸留水との混合水中の汚染物質濃度が基準値(R)未満である場合に、蒸留水排出系統(L4、L5)の蒸留水貯留槽(5)よりも下流側(L5)を、処理水排出系統(L2、L3)の処理水貯留槽(3)の下流側(L3)における合流点(G)に連通する機能と、
第1の計測装置(61:水分析1)で計測された蒸留水の汚染物質濃度が基準値(R)以上である場合、或いは、第1の計測装置(61:水分析1)の計測結果及び第2の計測装置(62:水分析2)の計測結果に基いて演算される処理水と蒸留水との混合水中の汚染物質濃度が基準値(R)以上である場合に、蒸留水排出系統(L4、L5)の蒸留水貯留槽(5)よりも下流側(L5r)を、浸出水貯留槽(1)に連通する機能を有している(図3、図4)。
【0014】
また本発明において、浸出水を貯留する浸出水貯留槽(1)を有し、浸出水貯留槽(1)には浸出水量と浸出水中の汚染物質濃度を計測する第1の計測装置(611:水分析1)を備え、浸出水貯留槽(1)は逆浸透膜装置(2)の供給系統(L1、L12)を介して逆浸透膜装置(2)に連通すると共に、蒸気圧縮凝縮装置(4)の供給系統(L1、L14)を介して蒸気圧縮凝縮装置(4)にも連通しており、
蒸留水排出系統には蒸気圧縮凝縮装置(4)で蒸発して凝縮された蒸留水を貯留する蒸留水貯留槽(5)が設けられ、蒸留水貯留槽(5)には蒸留水量及び蒸留水の汚染物質濃度を計測する第3の計測装置(613:水分析3)が設けられており、
処理水排出系統(L2、L3)には逆浸透膜装置(2)で汚染物質が浄化処理された処理水を貯留する処理水貯留槽(3)が設けられ、処理水貯留槽(3)には処理水量及び処理水の汚染物質濃度を計測する第2の計測装置(612:水分析2)が設けられており、
第1の計測装置(611:水分析1)〜第3の計測装置(613:水分析3)の計測結果が入力される制御装置(10)を備え、
制御装置(10)は、蒸留水の汚染物質濃度(計測値或いは推定値)が基準値(R)未満である場合、或いは、第2の計測装置(612:水分析2)の計測結果及び第3の計測装置(613:水分析3)の計測結果に基いて演算される処理水と蒸留水との混合水中の汚染物質濃度(推定値)が基準値(R)未満である場合に、蒸留水排出系統(L4、L5)の蒸留水貯留槽(5)よりも下流側(L5)を、処理水排出系統(L2、L3)の処理水貯留槽(3)の下流側(L3)における合流点(G)に連通する機能と、
蒸留水の汚染物質濃度(計測値或いは推定値)が基準値(R)以上である場合、或いは、第2の計測装置(612:水分析2)の計測結果及び第3の計測装置(613:水分析3)の計測結果に基いて演算される処理水と蒸留水との混合水中の汚染物質濃度(推定値)が基準値(R)以上である場合に、蒸留水排出系統(L4、L5)の蒸留水貯留槽(5)よりも下流側(L5r)を、浸出水貯留槽(1)に連通する機能と、
浸出水貯留槽(1)から逆浸透膜装置(2)に供給される浸出水と蒸気圧縮凝縮装置(4)に供給される浸出水との割合(W:比率)を変動する機能と、
(所定の時点における)蒸気圧縮凝縮装置(4)の揮発性汚染物質除去率(X:負荷除去率)を演算する機能を有している(図5、図6)。
【0015】
ここで、浸出水貯留槽(1)に連通する第1の蒸気圧縮凝縮装置(41)と、逆浸透膜装置(2)の濃縮水排出系統(L242)に連通する第2の蒸気圧縮凝縮装置(42)を有しており、第1の蒸気圧縮凝縮装置(41)の凝縮水排出系統(L41)と第2の蒸気圧縮凝縮装置(42)の凝縮水排出系統(L42)は(同一の)蒸留水貯留槽(5)に連通しており、
濃縮水排出系統(L242)には三方弁(Vb3)が介装されており、三方弁(Vb3)はバイパスライン(L241)を介して第1の蒸気圧縮凝縮装置(41)と連通しており、浸出水貯留槽(1)と第1の蒸気圧縮凝縮装置(41)を接続する第1の蒸気圧縮凝縮装置(41)の供給系統(L14)には開閉弁(Vb1)が介装されており、
制御装置(10)は、第1の蒸気圧縮凝縮装置(41)及び第2の蒸気圧縮凝縮装置(42)が正常に作動している場合(通常時)には、三方弁(Vb3)のバイパスライン(L241)側のポートを閉鎖し、第2の蒸気圧縮凝縮装置(42)側のポートを開放して、開閉弁(Vb1)を開放する機能と、
(故障、修理、メンテナンス作業等に起因して)第1の蒸気圧縮凝縮装置(41)が作動していない場合には、三方弁(Vb3)のバイパスライン(L241)側のポートを閉鎖し、第2の蒸気圧縮凝縮装置(42)側のポートを開放して、開閉弁(Vb1)を閉鎖する機能と、
(故障、修理、メンテナンス作業等に起因して)第2の蒸気圧縮凝縮装置(42)が作動していない場合には、三方弁(Vb3)のバイパスライン(L241)側のポートを開放し、第2の蒸気圧縮凝縮装置(42)側のポートを閉鎖して、開閉弁(Vb1)を閉鎖する機能を有している(図7、図8)。
ここで、第1の蒸気圧縮凝縮装置(41)の容量が、浸出水及び濃縮水を処理することが出来る程度に大きい場合には、第2の蒸気圧縮凝縮装置(42)が作動していない場合には、開閉弁(Vb1)を開放することが好ましい。
【0016】
或いは、浸出水貯留槽(1)に連通する第1の蒸気圧縮凝縮装置(41)と、逆浸透膜装置(2)の濃縮水排出系統(L24)に連通する第2の蒸気圧縮凝縮装置(42)を有しており、第1の蒸気圧縮凝縮装置(41)の凝縮水排出系統(L41)は第1の蒸留水貯留槽(51)に連通しており、第2の蒸気圧縮凝縮装置(42)の凝縮水排出系統(L42)は第2の蒸留水貯留槽(52)に連通しており、
第1の蒸気圧縮凝縮装置(41)の蒸留水排出系統(L41)に連通する第1の蒸留水貯留槽(51)には、第1の蒸留水貯留槽(51)の蒸留水(第1の蒸気圧縮凝縮装置41で蒸発して凝縮した蒸留水)の量及び汚染物質濃度を計測する第3の計測装置(613:水分析3)が設けられており、
第2の蒸気圧縮凝縮装置(42)の蒸留水排出系統(L42)に連通する第2の蒸留水貯留槽(52)には、第2の蒸留水貯留槽(52)の蒸留水(第2の蒸気圧縮凝縮装置42で蒸発して凝縮した蒸留水)の量及び汚染物質濃度を計測する第4の計測装置(614:水分析4)が設けられており、
制御装置(10)は、第3の計測装置(613:水分析3)及び第4の計測装置(614:水分析4)の計測結果が入力され、
第1の蒸留水貯留槽(51)中の蒸留水の汚染物質濃度(計測値或いは推定値)が基準値(R)未満である場合、或いは、第2の計測装置(612:水分析2)の計測結果及び第3の計測装置(613:水分析3)の計測結果に基いて演算される処理水と第1の蒸気圧縮凝縮装置(41)の蒸留水との混合水中の汚染物質濃度(D1´:推定値)が基準値(R)未満である場合に、第1の蒸気圧縮凝縮装置(41)の蒸留水排出系統(L41、L51)の第1の蒸留水貯留槽(51)よりも下流側(L51)を、処理水排出系統(L2、L3)の処理水貯留槽(3)の下流側(L3)における合流点(G)に連通する機能と、
第1の蒸留水貯留槽(51)中の蒸留水の汚染物質濃度(計測値或いは推定値)が基準値(R)以上である場合、或いは、第2の計測装置(612:水分析2)の計測結果及び第3の計測装置(613:水分析3)の計測結果に基いて演算される処理水と第1の蒸気圧縮凝縮装置(41)の蒸留水との混合水中の汚染物質濃度(D1´:推定値)が基準値(R)以上である場合に、蒸留水排出系統(L41、L51r)の蒸留水貯留槽(51)よりも下流側(L51r)を、浸出水貯留槽に連通する機能と、
第2の蒸留水貯留槽(52)中の蒸留水の汚染物質濃度(計測値或いは推定値)が基準値(R)未満である場合、或いは、第2の計測装置(612:水分析2)の計測結果及び第4の計測装置(614:水分析4)の計測結果に基いて演算される処理水と第2の蒸気圧縮凝縮装置(42)の蒸留水との混合水中の汚染物質濃度(D2´:推定値)が基準値(R)未満である場合に、第2の蒸気圧縮凝縮装置(42)の蒸留水排出系統(L42、L52)の第2の蒸留水貯留槽(52)よりも下流側(L52)を、処理水排出系統(L2、L3)の処理水貯留槽(3)の下流側(L3)における合流点(G)に連通する機能と、
第2の蒸留水貯留槽(52)中の蒸留水の汚染物質濃度(計測値或いは推定値)が基準値(R)以上である場合、或いは、第2の計測装置(612:水分析2)の計測結果及び第4の計測装置(614:水分析4)の計測結果に基いて演算される処理水と第2の蒸気圧縮凝縮装置(42)の蒸留水との混合水中の汚染物質濃度(D2´:推定値)が基準値(R)以上である場合に、蒸留水排出系統(L42、L52r)の蒸留水貯留槽(52)よりも下流側(L52r)を、浸出水貯留槽(1)に連通する機能と、
浸出水貯留槽(1)から逆浸透膜装置(2)に供給される浸出水と第1の蒸気圧縮凝縮装置(41)に供給される浸出水との割合(W:比率)を変動する機能と、
(所定の時点における)第1の蒸気圧縮凝縮装置(41)の揮発性汚染物質除去率(X:負荷除去率)を演算する機能と、
(所定の時点における)第2の蒸気圧縮凝縮装置(42)の揮発性汚染物質除去率(Y:負荷除去率)を演算する機能と、
を有している(図9、図10)。
【発明の効果】
【0017】
上述する構成を具備する本発明によれば、逆浸透膜装置(2)の濃縮水を蒸気圧縮凝縮装置(4:VCC)で蒸留することにより、発生した蒸留水中の汚染物質濃度を、放流可能なレベルまで減少することが可能となる。
そして、本発明によれば、逆浸透膜装置(2)の濃縮水を、放流の基準値(R)を満たしつつ、出来る限り放流可能にすることができて、濃縮水処理に要するエネルギーを節約することが出来る。
【0018】
本発明の浸出水処理システムによれば、濃縮水処理においては、従来方式の三重効用蒸発缶よりもエネルギー効率が2倍以上高く、システム全体の構成がシンプルなため、初期コスト、機械室スペース、ランニングコスト、エネルギー負荷(CO2を含む)が全て低減される。また、各構成がシンプルな構造なので、運転が簡単(補助機器が圧倒的に少ない)で、複雑な制御に耐えられる。
【0019】
ここで蒸気圧縮凝縮装置(4)を1機だけ用いる場合(図1〜図6)において、浸出水の一部が蒸気圧縮凝縮装置(4)に直接供給される場合(図1、図2、図5、図6)には、蒸気圧縮凝縮装置(4)は、逆浸透膜装置(2)と蒸気圧縮凝縮装置(4)への浸出水処理量の振り分けに拘わらず、一定の揮発性負荷を受け持つことになる。蒸気圧縮凝縮装置(4)における負荷除去率を一定とすれば、蒸気圧縮凝縮装置(4)で直接処理する量が大きいほど、蒸気圧縮凝縮装置(4)で処理する水の揮発性負荷濃度が低くなり、直接放流基準を満たす可能性が高くなる。
しかし、蒸留水における揮発性負荷濃度が放流基準を超えてしまうと、当該蒸留水を膜処理に戻さねばならなくなり、運転負荷が不連続に増大する。そのため、データを蓄積して、負荷除去率をフィードバックしつつ、VCCの凝縮水が放流可能となる量が最大となるように制御する必要がある。
【0020】
本発明では、浸出水原水、処理水、蒸留水の量と水質(上記有機性負荷)を常時監視しており、除去率を定期的に計算して、水量を割り当て制御フィードバックする。そして、放流基準を満たせる濃度かどうかを判定して、逆浸透膜装置(2)に導くか、蒸気圧縮凝縮装置(4)に導くかを決める(図5、図6)。
蒸留水あるいは混合水の濃度が規制値を満たすなら、蒸気圧縮凝縮装置(4)処理を増加させ、満たさないなら低減する様に制御を行なうことで、蒸気圧縮凝縮装置(4)で処理するべき浸出水の量を可能な限り増加し、以って、逆浸透膜装置(2)の寿命を延命しつつ、消費するエネルギーを節約することが出来る。
その結果、浸出水処理に関わる電力・燃料消費量を低減して環境負荷とコストダウンを図ることが可能となる。
【0021】
また、ここで蒸気圧縮凝縮装置(4)を1機だけ用いる場合(図1、図3〜図6)において、逆浸透膜装置(2)の濃縮水のみが蒸気圧縮凝縮装置(4)に供給される場合(図3、図4)には、蒸気圧縮凝縮装置(4)の蒸留水における揮発性汚染物質濃度により、当該蒸留水を直接放流できる場合と、できない場合が存在する。
上述した本発明(図3、図4)では、蒸気圧縮凝縮装置(4)の蒸留水を直接放流せずに、蒸留水貯留槽(5)で貯留して汚染物濃度を分析し、放流可能かどうかを判断している。
この際に、浸出水処理システム全体で見た場合に、仮に蒸気圧縮凝縮装置(4)の蒸留水中の揮発性汚染物質濃度が高くても、システム全体で処理した浸出水の8割を占める逆浸透膜装置(2)の処理水における揮発性汚染物質濃度が低ければ、蒸気圧縮凝縮装置(4)の蒸留水と逆浸透膜装置(2)の処理水を混合した際に、放流の基準を満たしていれば、放流することが可能になる。
そして、蒸気圧縮凝縮装置(4)の蒸留水と逆浸透膜装置(2)の処理水を混合して放流することが出来れば、蒸気圧縮凝縮装置(4)の蒸留水を逆浸透膜装置(2)に戻す必要がなくなり、浸出水処理量を増加させて、逆浸透膜装置(2)の処理量を減少することが出来る。
【0022】
本発明において、蒸気圧縮凝縮装置(41、42)を2機設け、2機の蒸気圧縮凝縮装置(41、42)で生じる蒸留水を単一の蒸留水貯留槽(5)で貯留する場合(図7、図8)では、蒸気圧縮凝縮装置(41)と蒸気圧縮凝縮装置(42)を同時に稼動させることも出来るし、何れか一方のみを稼動させることも可能である。
そのため、一方の蒸気圧縮凝縮装置が故障しても、或いはメンテナンス等により稼動を中止しても、他方を稼動することにより、浸出水処理システムの運転を中止すること無く、連続することが出来る。
また、浸出水貯留槽(1)及び蒸留水貯留槽(5)を比較的大きく設定すれば、短期的な負荷変動が小さい場合、蒸気圧縮凝縮装置(41)と蒸気圧縮凝縮装置(42)の処理量の比を一定にすれば、その条件下での負荷除去率を求めることが可能となる。
【0023】
さらに本発明において、蒸気圧縮凝縮装置(41、42)を2機設け、各々の蒸気圧縮凝縮装置(41、42)に対応する蒸留水貯留槽(51、52)を用いる場合(図9、図10)においては、浸出水を直接処理する系統(蒸気圧縮凝縮装置41と蒸留水貯留槽51)と、濃縮水を処理する系統(蒸気圧縮凝縮装置42と蒸留水貯留槽52)がある場合、濃度の観点から放流が可能となる可能性が高いのは浸出水を直接処理する系統(蒸気圧縮凝縮装置41と蒸留水貯留槽51)における蒸留水である。
上述した本発明(図9、図10)では、逆浸透膜装置(2)の処理量を必要最小限として、揮発性汚染物質濃度が低いと推測される蒸気圧縮凝縮装置(41)と蒸留水貯留槽(51)の系統で主に処理する様に制御することにより、システム全体の信頼性と効率的な運転の両立が可能となる。すなわち、蒸気圧縮凝縮装置(41)による処理を優先し、蒸気圧縮凝縮装置(42)の蒸留水濃度が非常に低い場合や、逆浸透膜装置(2)の処理水がさらなる希釈に使う余裕がある場合等、余裕があれば蒸気圧縮凝縮装置(42)及び蒸留水貯留槽(52)側における処理を追加すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1実施形態を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態における処理手順を示すフローチャートである。
【図3】本発明の第2実施形態を示すブロック図である。
【図4】第2実施形態における処理手順を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第3実施形態を示すブロック図である。
【図6】第3実施形態における処理手順を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第4実施形態を示すブロック図である。
【図8】第4実施形態における三方弁及び開閉弁の開閉制御を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第5実施形態を示すブロック図である。
【図10】第5実施形態における処理手順を示すフローチャートである。
【図11】エゼクタ−付きの三重効用蒸発缶の構成を示したレイアウト図である。
【図12】蒸気圧縮凝縮装置による汚染物質の除去率を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1、図2は、本発明の第1実施形態を示している。
図1において、全体を符号101で示す浸出水処理システムは、逆浸透膜装置2と、蒸気圧縮凝縮装置(VCC)4と、計測装置60と、制御装置10とを備えている。
図示しない埋立地(埋立処分場)、廃棄物処分場等から発生した浸出水は、ラインL10を流れ、分岐点Bで蒸気圧縮凝縮装置4に連通するラインL14(流量Q1)と、逆浸透膜装置2に連通するラインL20(流量Q2)とに分岐する。
【0026】
ラインL20(流量Q2)を介して逆浸透膜装置2に流入した浸出水は、逆浸透膜装置2で処理され、逆浸透膜装置2の処理水は、ラインL22を流下する。
一方、ラインL14(流量Q1)を介して蒸気圧縮凝縮装置4に流入した浸出水は、蒸気圧縮凝縮装置4で処理され、蒸気圧縮凝縮装置4で発生した蒸留水(凝縮水)は、ラインL44を流下する。
ラインL22とラインL44とは、合流点Gで合流ラインL60に合流する。
浸出水を逆浸透膜装置2で処理して生じた濃縮水は、ラインL24を介して圧縮凝縮装置4に供給される。
ラインL14には流量制御弁Vcが介装され、ラインL20には流量制御弁Vdが介装されている。
合流ラインL60には取水アダプタ60Aが介装されており、その取水アダプタ60Aは、計測装置60と接続されている。
【0027】
浸出水処理システム101は制御装置10を備え、制御装置10は入力信号ラインSiによって計測装置60と接続し、制御信号ラインSoによって流量制御弁Vc及び流量制御弁Vdと接続している。
ラインL14の流量Q1及びラインL20の流量Q2は、それぞれラインL14、L20に介装された流量制御弁Vc、Vdの弁開度により決定される。
【0028】
上述した様に、逆浸透膜装置2において、処理されて清浄化された水(処理水:逆浸透膜装置2に供給された流量Q2の例えば約8割)はラインL22を流れる。一方、揮発性汚染物質を含む汚染物質が濃縮された濃縮水(Q2の例えば約2割)は、ラインL24を介して、蒸気圧縮凝縮装置VCCで処理される。
蒸気圧縮凝縮装置4で蒸発して凝縮した凝縮水(蒸留水)は、ラインL44を流れ、合流点Gで、ラインL22を流れる処理水(逆浸透膜装置2において清浄化処理された水)と合流する。合流の結果、蒸気圧縮凝縮装置4の凝縮水は希釈されて、汚染物質濃度が低下する。
【0029】
計測装置60では、蒸気圧縮凝縮装置4の凝縮水と逆浸透膜装置2の処理水とが混合した水の、揮発性汚染物質濃度が計測される。そして、計測装置60による計測結果は、制御装置10に送られる。
制御装置10は、計測装置60の計測結果に基いて、図2を参照して後述する制御に従って、流量制御弁Vc、Vdの弁開度を決定する。
【0030】
図1で示す第1実施形態における浸出水処理の手順を、主として図2を参照して説明する。
図1の処理システム101では、蒸気圧縮凝縮装置4の方が、逆浸透膜装置2よりも耐久性が高く、省エネルギー性にも優れている。そのため、浸出水は出来る限りラインL14に流して(流量Q1を大きくして)、蒸気圧縮凝縮装置4における処理量を多くする。
ここで、図2における処理手順では、蒸気圧縮凝縮装置4側に供給される浸出水の流量Q1と、逆浸透膜装置2側に供給される浸出水の流量Q2が決定すれば、係る流量Q1、Q2に対応して、流量制御弁Vc、Vdの弁開度が一義的に決定される。
【0031】
図2において、ステップS1では、処理システム101で浸出水を受け入れる。そして、ステップS2において、処理システム101の浸出水処理を開始した直後の時点では、ラインL14の流量Q1を100%、ラインL20の流量Q2を0%に、(仮に)設定する。
次のステップS3では、ラインL60を流れる水、すなわち、蒸気圧縮凝縮装置4の凝縮水と逆浸透膜装置2の処理水とが混合した水の揮発性物質の濃度を、計測装置60によって計測する。
【0032】
ステップS4において、制御装置10は、当該濃度が基準値(例えば、法規で定められた規制値)未満であるか否かを判断する。当該濃度が基準値未満であれば(ステップS4がYES)、ステップS5に進み、基準値以上であれば(ステップS4がNO)、ステップS6に進む。
ステップS5(浸出水における揮発性汚染物質濃度が法規で定められた基準値未満の場合)では、Q1=100%、Q2=0%の場合を除き、蒸気圧縮凝縮装置4側に供給する浸出水の流量Q1を、所定流量ΔQだけ増加し、逆浸透膜装置2側に供給される浸出水の流量Q2は、所定流量ΔQだけ減少する。そしてステップS7に進む。
【0033】
耐久性が高く、省エネルギー性にも優れている蒸気圧縮凝縮装置4における処理量を多くするため、ステップS5では、浸出水における揮発性汚染物質濃度が法規で定められた基準値未満の場合には、蒸気圧縮凝縮装置4側に供給する浸出水の流量Q1を増加する。
ここで、所定流量ΔQは、処理システム101の処理能力その他の仕様、浸出水の性状、その他の各種条件によって、ケース・バイ・ケースに決定されるべき数値である。
【0034】
一方、ステップS6では、浸出水における揮発性汚染物質濃度が法規で定められた基準値以上であり、蒸気圧縮凝縮装置4側に供給する浸出水の流量Q1を所定流量ΔQだけ減少させ、逆浸透膜装置2側に供給される浸出水の流量Q2は、所定流量ΔQだけ増加する。
そしてステップS7に進む。
逆浸透膜装置2側に供給される浸出水の流量Q2を増加すれば、揮発性汚染物質濃度が低く、清浄な処理水量が増加するので、蒸気圧縮凝縮装置4の凝縮水と逆浸透膜装置2の処理水とが混合した水の揮発性物質濃度が低下する。そのため、ステップS6では、逆浸透膜装置2側の流量Q2を増加している。
【0035】
ステップS7において、制御装置10は、蒸気圧縮凝縮装置4側に供給する浸出水の流量Q1が0%であるか否か(逆浸透膜装置2側に供給される浸出水の流量Q2が100%に達したか否か)を判断する。
蒸気圧縮凝縮装置4側に供給する浸出水の流量Q1が0%であれば(ステップS7がYES)、蒸気圧縮凝縮装置4の凝縮水と逆浸透膜装置2の処理水とが混合した水の揮発性物質濃度を計測し(ステップS8)、ステップS10に進む。
蒸気圧縮凝縮装置4側に供給する浸出水の流量Q1が0%でなければ(ステップS7がNO)、蒸気圧縮凝縮装置4の凝縮水と逆浸透膜装置2の処理水とが混合した水の揮発性物質濃度を計測し、ステップS12に進む。
【0036】
ステップS10において、制御装置10は、蒸気圧縮凝縮装置4の凝縮水と逆浸透膜装置2の処理水とが混合した水の揮発性物質濃度が基準値未満であるか否かを判断する。当該濃度が基準値未満であれば(ステップS10がYES)、ステップS12に進む。
ステップS12では、制御を終了するか、或いは、制御を続行するかを判断する。制御を続行するのであれば(ステップS12がNO)、ステップS4まで戻る。そして、ステップS4以降を繰り返す。ステップS12が「YES」であれば、制御が終了する。
ステップS10において、揮発性物質濃度が基準値以上であれば(ステップS10がNO)、浸出水の全量を逆浸透膜装置2側に供給しても、逆浸透膜装置2の処理水中の汚染物質濃度が基準値以上であることを意味している。そのような状態では、浸出水における汚染物質濃度が高過ぎるので、図1で示す処理システム101では浄化処理することが不可能であると判断する(ステップS11)。
【0037】
図1、図2の第1実施形態によれば、浸出水の一部(Q1=100%であれば浸出水の全量)を蒸気圧縮凝縮装置4で処理すると共に、逆浸透膜装置2の濃縮水を蒸気圧縮凝縮装置4で処理して、浸出水を可能な限り蒸気圧縮凝縮装置4で処理している。また、蒸気圧縮凝縮装置4の蒸留水と逆浸透膜装置2の処理水とを合流して放流することにより、蒸気圧縮凝縮装置4で発生した蒸留水(凝縮水)中の汚染物質濃度を、放流可能なレベルまで減少することが可能となる。
そして、逆浸透膜装置2の濃縮水を、基準値(R)を満たしつつ、出来る限り放流することが可能であるため、濃縮水処理に要するエネルギーを節約することが出来る。
【0038】
また、発明者の試算によれば、図11を参照して上述した従来の三重効用蒸発缶に比較して、図1、図2の第1実施形態におけるエネルギー効率は2倍以上高く、システム全体の構成がシンプルなため、初期コスト、機械室スペース、ランニングコスト、エネルギー負荷(CO2を含む)が全て低減される。
そして、各構成がシンプルで、補助機器が極めて少ないため、運転が簡単で、複雑な制御に耐えることが出来る。
【0039】
図3、図4は、本発明の第2実施形態を示している。
図3において、全体を符号102で示す浸出水処理システムは、浸出水貯留槽1と、逆浸透膜装置2と、処理水貯留槽3と、蒸気圧縮凝縮装置(VCC)4と、蒸留水貯留槽5と、第1の分析装置61と、第2の分析装置62と、消毒装置7と、制御装置10とを備えている。
図3、図4の第2実施形態では、浸出水は全て逆浸透膜装置2側に供給される。すなわち、図1において、常にQ1=0%、Q2=100%の状態で運転されている。換言すれば、図1において、逆浸透膜装置2の濃縮水のみが、ラインL24を介して、蒸気圧縮凝縮装置4に供給される状態で運転されている。
図3において、蒸気圧縮凝縮装置4側に供給される逆浸透膜装置2の濃縮水は、例えば、逆浸透膜装置2に供給された浸出水の20%である。
【0040】
図示しない埋立地(埋立処分場)、廃棄物処分場等から発生した浸出水は、浸出水貯留槽1に貯留される。
浸出水貯留槽1と逆浸透膜装置2とは、浸出水供給ラインL1によって接続されている。
逆浸透膜装置2の処理水は、処理水排出ラインL2を介して、処理水貯留槽3に貯留される。そして、処理水貯留槽3と合流点Gとは、処理水排出ラインL3によって接続されている。
逆浸透膜装置2で生じた濃縮水は、濃縮水排出ラインL24を介して、蒸気圧縮凝縮装置(VCC)4に供給される。
【0041】
蒸気圧縮凝縮装置(VCC)4で生じた蒸留水(或いは凝縮水)は、蒸留水排出ラインL4により蒸留水貯留槽5に供給され、貯留される。蒸留水貯留槽5と合流点Gとは、流量制御弁Vaを介装した蒸留水排出ラインL5によって接続されている。
処理水排出ラインL3と蒸留水排出ラインL5とは、合流点Gにおいて、消毒機構7を介装したラインL6に合流する。
消毒機構7は、放流される水(逆浸透膜装置2からの処理水と、蒸留水貯留槽5からの蒸留水を混合した水)の中に含まれている汚染物質、特に生物学的汚染物質を無害化するため、当該水に消毒液を供給している。
【0042】
蒸留水貯留槽5と浸出水貯留槽1とは、図示しない搬送ポンプを介装した蒸留水戻しラインL5rによって接続されている。
図3における「放流」は、特定の機器を示すのではなく、逆浸透膜装置2からの処理水と、蒸気圧縮凝縮装置4からの蒸留水を混合した水を放流する旨を示している。
【0043】
蒸留水貯留槽5には、第1の水分析装置61が設けられ、蒸留水貯留槽5内の蒸留水の水質(揮発性汚染物質濃度:C1)及び水量V1を分析・計測している。そして、その計測結果は、入力信号ラインSiによって制御装置10に送信される。
後述するように、蒸留水貯留槽5は、蒸気圧縮凝縮装置4からの蒸留水(凝縮水)を放流する(合流点Gで逆浸透膜装置2からの処理水と混合して放流する場合を含む)ことが可能な場合には、蒸留水貯留槽5に貯留された蒸留水を、ラインL5に流す機能を有している。
また、蒸留水貯留槽5は、貯留されている蒸留水が放流出来ない場合(合流点Gで逆浸透膜装置2からの処理水と混合しても放流出来ない場合を含む)には、図示しない搬送ポンプを作動させて、蒸留水貯留槽5に貯留された蒸留水を、ラインL5rを経由して浸出水貯留槽1に戻す機能を有している。
【0044】
処理水貯留槽3には、第2の水分析装置62が設けられ、処理水貯留槽3内の処理水の水質(揮発性汚染物質濃度:C2)及び水量V2を分析・計測している。そして、その計測結果は、入力信号ラインSiによって制御装置10に送信される。
そして、合流点Gで、逆浸透膜装置2からの処理水と、蒸留水貯留槽5からの蒸留水を合流して、混合した際に、混合した水の揮発性汚染物質濃度が基準値を上回るか否かを判断するためのデータとして活用される。
【0045】
以下、図3、図5、図7、図9において、各ラインの下、或いはライン近傍に付した符号は、浸出水における揮発性汚染物質濃度をC0とした場合の、各ラインを流れる水の揮発性負荷量を示している。
また、図3、図5、図7、図9において、各ラインの下、或いはライン近傍に付した[]内の数値、或いは[]内において符号「W」を含む数値は、浸出水貯留槽から出る水量を1.0とした場合の、水量を示している。
ここで、符号「X」、「Y」は、蒸気圧縮凝縮装置4の負荷除去率(揮発性汚染物質除去率)である。
【0046】
図3、図4の第2実施形態において、説明の簡略化のため、逆浸透膜装置2では処理された浸出水の80%が清浄な処理水として処理水貯留槽3に送られ、処理された浸出水の20%が濃縮水(揮発性汚染物質が濃縮され、その濃度が高い水)として蒸気圧縮凝縮装置4に供給されるものと仮定する。
図3において、逆浸透膜装置2における「処理水80%」、「濃縮水20%」という表記は、逆浸透膜装置2の機器或いはブロックを表示するものではなく、係る比率を表示したものである。
【0047】
また、蒸気圧縮凝縮装置4では、処理水の99%が蒸発し、凝縮して蒸留水或いは凝縮水として蒸留水貯留槽に送られ、処理水の1%が塩その他の固形物として、(蒸気圧縮凝縮装置4において)濃縮水から分離されるものとする。
図3において、蒸気圧縮凝縮装置4において「固形物1%」、「蒸留水99%」という表記も、蒸気圧縮凝縮装置4の機器或いはブロックを表示するものではなく、蒸発し、凝縮して蒸留水として蒸留水貯留槽に送られる蒸留水と、蒸気圧縮凝縮装置4において濃縮水から分離される塩等の固形物との比率を表示したものである。
なお、蒸気圧縮凝縮装置4において濃縮水から分離される塩等の固形物は、蒸気圧縮凝縮装置4から取り出されて、図示しない貯溜施設で貯蔵される。
もちろん、逆浸透膜装置2における「80%」、「20%」という数値と、蒸気圧縮凝縮装置4における「99%」、「1%」という数値は、あくまでも例示であり、実機では、種々の条件により、ケース・バイ・ケースで定まる。
【0048】
制御装置10は、第1の水分析装置61で計測された蒸留水の汚染物質濃度が基準値(R)未満である場合、或いは、処理水と蒸留水との混合水中の汚染物質濃度が基準値(R)未満である場合に、ラインL5を、合流点Gに連通させる機能を有している。「混合水中の汚染物質濃度」は、第1の水分析装置61の計測結果と、第2の水分析装置62の計測結果に基づいて、演算される。
また、制御装置10は、第1の水分析装置61で計測された蒸留水の汚染物質濃度が基準値(R)以上である場合、或いは、第1の水分析装置61の計測結果及び第2の水分析装置62の計測結果に基づいて演算される処理水と蒸留水との混合水中の汚染物質濃度が基準値(R)以上である場合に、蒸留水貯留槽5と浸出水貯留槽1とを、ラインL5rで連通させ、図示しない搬送ポンプによって蒸留水貯留槽5内の水を浸出水貯留槽1に送る機能を有している。
【0049】
図3で示す浸出水処理システム102における浸出水処理の手順を、主として図4のフローチャートを参照して説明する。
浸出水処理システム102における浸出水処理の手順は、処理システム101内に全く水が存在しない状態から行なわれるものではなく、浸出水、処理水、濃縮水、蒸留水が存在する状態から行なわれる。そして、浸出水処理を行なっている間に、ラインL5rで浸出水貯留槽1に戻される蒸留水量が出来る限り少なくなる様に、制御される。
図4のステップS21において、蒸留水貯留槽5における蒸気圧縮凝縮装置4からの蒸留水における揮発汚染物質濃度C1と蒸留水量V1が計測される。
【0050】
ステップS22において、制御装置10は、第1の分析装置61から送られた情報によって、蒸気圧縮凝縮装置4で生じた蒸留水における揮発性汚染物質濃度(分析値C1)が、規制値R未満であるか否かを判断する。
ここで、規制値Rは、法規で定められた揮発性汚染物質濃度の規制値(上限値)を示しており、揮発性汚染物質濃度が規制値R未満であれば、放流することが可能である。
ステップS22において、揮発性汚染物質濃度(分析値C1)が規制値R未満であれば(ステップS22がYES)、ステップS23に進む。
ステップS23では、流量制御弁Vaを操作して、蒸留水貯留槽5から合流点Gに向けて蒸留水を流し、ラインL3を流れる逆浸透膜装置2からの処理水と合流させて、放流する(ステップS24)。
【0051】
一方、蒸気圧縮凝縮装置4からの蒸留水における揮発性汚染物質濃度(分析値C1)が規制値R以上であれば(ステップS22がNO)、ステップS25に進む。
ステップS25では、制御装置10は、希釈放流の可能性を判断する。すなわち、蒸気圧縮凝縮装置4からの蒸留水が、逆浸透膜装置2からの処理水と合流して混合した状態で(希釈した状態で)、放流することが可能か否かを判断する。
仕様条件によっては、逆浸透膜装置2からの処理水と合流して混合した状態で(希釈した状態で)揮発性汚染物質の濃度が規制値R未満になったとしても、蒸留水が単独で規制値R未満でなければ、放流することができない場合があるからである。
なお、ステップS25のように、逆浸透膜装置2からの処理水と合流すれば規制値R未満となったとしても、蒸気圧縮凝縮装置4からの蒸留水における揮発性汚染物質濃度(C1)が規制値R以上の場合には放流することが出来ない場合に該当するか否かを判断する工程は、図5〜図10を参照して後述する各実施形態においても存在する。
【0052】
逆浸透膜装置2からの処理水と合流して混合した状態で(希釈した状態で)揮発性汚染物質の濃度が規制値R未満になれば放流することが出来る(希釈放流の可能性がある)場合には(ステップS25がYES)、ステップS26に進み、第2の分析装置62によって、処理水貯留槽3内の処理水の揮発性汚染物質濃度(分析値C2)を分析し、水量V2を計測する。
そして、ステップS27において、制御装置10は、希釈後の平均濃度Dを計算する。希釈後の平均濃度Dは、逆浸透膜装置2からの処理水と、蒸留水貯留槽5からの蒸留水を混合した後において、当該混合された水における揮発性汚染物質の濃度(推定値)を示している。
希釈後の平均濃度Dは、次式によって演算される。
D=(C1・V1+C2・V2)/(V1+V2)
【0053】
希釈後の平均濃度Dを計算したならばステップS28に進み、平均濃度Dが規制値R未満か否かを判断する。
平均濃度Dが規制値R未満であれば(ステップS28がYES)、ステップS23に進み、逆浸透膜装置2からの処理水と合流させて、放流する(ステップS24)。
一方、平均濃度Dが規制値R以上であれば(ステップS28がNO)、蒸留水貯留槽5内の蒸留水を、図示しない搬送ポンプにより、ラインL5rを介して浸出水貯留槽1に戻す。そして、再び逆浸透膜装置2による処理からやり直す(ステップS29)。
【0054】
ステップS25において、希釈放流の可能性が無い場合(ステップS25がNO)、すなわち、施主の意向等により、逆浸透膜装置2からの処理水と合流して混合した状態で(希釈した状態で)揮発性汚染物質の濃度が規制値R未満になったとしても、蒸留水が単独で規制値R未満でないと放流することができない場合には、ステップS29に進み、蒸留水貯留槽5内の蒸留水をラインL5rを介して浸出水貯留槽1に戻し、再び逆浸透膜装置2による処理からやり直す(ステップS29)。
図3、図4の第2実施形態におけるその他の構成及び作用効果は、図1、図2の第1実施形態と同様である。
【0055】
次に、図5、図6を参照して、本発明の第3実施形態を説明する。
図5、図6の第3実施形態は、図1、図2の第1実施形態における各種構成や手順を具体的に特定する内容である。
図3、図4の浸出水処理システム102では浸出水の全量が逆浸透膜装置2に供給されているのに対して、図5において全体を符号103で示す浸出水処理システムは、浸出水貯留槽1から浸出水が流出するラインが途中で分岐しており、逆浸透膜装置2と蒸気圧縮凝縮装置4との双方に浸出水貯留槽1から浸出水が供給されている。
【0056】
浸出水貯留槽1には、第1の分析装置611が設けられ、浸出水における揮発性汚染物質濃度C1、浸出水量V1を計測している。
処理水貯留槽3には第2の分析装置612が設けられ、逆浸透膜装置2からの処理水における揮発性汚染物質濃度C2、浸出水量V2を計測している。
蒸留水貯留槽5には第3の分析装置613が設けられ、蒸気圧縮凝縮装置4からの蒸留水における揮発性汚染物質濃度C3、浸出水量V3を計測している。
第1〜第3の分析装置611〜613の計測結果は、入力信号ラインSiによって制御装置10におくられて、蒸気圧縮凝縮装置4からの蒸留水を(合流点Gを経由して)放流するか、或いは、ラインL5rを介して浸出水貯留槽1に戻すかを判断するためのデータとして活用される。係る判断については、図6を参照して後述する。
【0057】
図5において、符号「W」は、浸出水貯留槽1から、逆浸透膜装置2或いは蒸気圧縮凝縮装置4に供給される単位流量の浸出水の内、逆浸透膜装置2へ供給される割合(比率:按分率)である。
図6を参照して後述する様に、係る比率Wは、処理手順の初期段階では適当な数値が仮に決定され、浸出水処理が進行するに連れて、最適な処理を行なうために特定の数値に収束する。
蒸気圧縮凝縮装置4における負荷除去率(揮発性汚染物質除去率X)も同様であり、処理手順の初期段階では適当な数値が仮に決定され、浸出水処理が進行するに連れて、最適な処理を行なうために特定の数値に収束する。
【0058】
図5で示す第3実施形態における浸出水処理の手順を、主として図6を参照して説明する。
図6で示す浸出水処理の制御も、処理システム103内に全く水が存在しない状態から行なわれるものではなく、浸出水、処理水、濃縮水、蒸留水が存在する状態から行なわれる。
【0059】
図6の制御も、処理システム103の運転を続行するにつれて、安定して、各種数値も一定値に収束する。上述した様に、浸出水貯留槽1から、逆浸透膜装置2或いは蒸気圧縮凝縮装置4に供給される単位流量の浸出水の内、逆浸透膜装置2へ供給される割合(比率)Wと、蒸気圧縮凝縮装置4における負荷除去率(揮発性汚染物質除去率)Xは、制御当初は適当に決定(いわゆる「仮決め」)した数値で運転を行う。
そして、浸出水処理システム103全体における放流量が、可能な限り多くなる様に、「W」の制御が進行する。
つまり、蒸気圧縮凝縮装置4からの蒸留水が、ラインL5rを介して浸出水貯留槽1に戻される事態が、出来る限り防止される様に(ラインL5rで浸出水貯槽1に戻される蒸留水量が出来る限り少なくなる様に、換言すれば、Wが出来る限り小さくなる様に)制御が進行する。
制御が進行することにより、逆浸透膜装置2へ供給される割合(比率)Wと、負荷除去率(揮発性汚染物質除去率)Xは、一定の数値に収束する。
【0060】
図6において、ステップS31では、浸出水貯留槽1内の浸出水の揮発性汚染物質濃度C1と水量V1とを分析・計量する。
ステップS32では、蒸気圧縮凝縮装置4の負荷除去率Xの設定及び按分率Wの設定を行う。上述した様に、このステップS32では、蒸気圧縮凝縮装置4の負荷除去率X及び按分率Wは、いわゆる「仮決め」がなされる。ただし、「X」は、図12においてプロットがA線の下方に位置する様にせしめるために、0.1〜0.5を初期値とするのが望ましい。
ステップS33に進み、制御装置10は、蒸留水貯留槽5内の蒸留水の揮発性汚染物質濃度D1を、以下の演算式によって推定する。
D1=C1(1-X)/(1−0.8W)
【0061】
ステップS34では、第1の分析装置611から送られた情報によって、ステップS33で求めた蒸留水貯留槽5内の蒸留水の揮発性汚染物質濃度(推定値)D1が規制値R未満であるか否かを判断する。
揮発性汚染物質濃度D1が規制値R未満であれば(ステップS34がYES)、ステップS35に進む。
ステップS35では、蒸留水貯留槽5内の蒸留水の放流は可能と判断すると共に、逆浸透膜装置2で処理するべき割合W(按分率)を、それまでの割合Wから所定量(ΔW)だけ減じた、W−ΔWに設定してステップS41に進む。
上述した通り、蒸気圧縮凝縮装置4における浸出水の処理量を、可能な限り多くしたいので、蒸留水貯留槽5内の蒸留水の揮発性汚染物質濃度D1が規制値R未満であれば、蒸気圧縮凝縮装置4における浸出水の処理量を多くするために、逆浸透膜装置2で処理するべき割合W(按分率)を減少するのである。
【0062】
一方、揮発性汚染物質濃度D1が規制値R以上であれば(ステップS34がNO)、ステップS36に進み、希釈放流が可能か否かを判断する。このステップS36は、図4におけるステップS25と同様な工程であり、蒸気圧縮凝縮装置4からの蒸留水が、逆浸透膜装置2からの処理水と合流して混合した状態で(希釈した状態で)、放流すること(希釈放流)が可能か否かを判断している。
換言すれば、逆浸透膜装置2からの処理水と合流して混合した状態で(希釈した状態で)揮発性汚染物質の濃度が規制値R未満になったとしても、蒸留水が単独で規制値R未満でなければ、放流することができない様な仕様条件であるか否かを判断している。
【0063】
ステップS36で、希釈放流が可能であれば(ステップS36がYES)、ステップS37に進む。一方、希釈放流が出来ない場合には(ステップS36がNO)、ステップS40まで進む。
【0064】
ステップS37では、制御装置10は、処理水貯留槽3に設けた第2の分析装置612で処理水貯留槽3内の処理水の揮発性汚染物質濃度C2及び処理水貯留槽3内の処理水量V2を分析・計量する。
そして、ステップS38において、合流点Gにおける希釈混合した混合水(蒸気圧縮凝縮装置4からの蒸留水と、逆浸透膜装置2からの処理水とが混合した水)の揮発性汚染物質濃度D2(推定値)を、以下の演算式によって演算する。
D2=C1(1−X)・(1−0.8W)+C2・0.8W
混合水の揮発性汚染物質濃度D2を演算したならばステップS39に進み、制御装置10は、混合水の揮発性汚染物質濃度D2が規制値R未満か否かを判断する。
【0065】
推定値D2が規制値R未満であれば(ステップS39がYES)、ステップS35で、蒸留水貯留槽5内の蒸留水は、逆浸透膜装置2からの処理水と合流して、希釈された状態であれば放流は可能であると判断する。それと共に、逆浸透膜装置2で処理するべき割合Wをそれまでの割合Wから所定量(ΔW)だけ減じた、W−ΔWに設定してステップS41に進む。
逆浸透膜装置2からの処理水で希釈することにより、蒸留水貯留槽5内の蒸留水を放流(希釈放流)することが出来るのであれば、蒸気圧縮凝縮装置4における浸出水の処理量をさらに多くしても問題はないと判断して、逆浸透膜装置2で処理するべき割合W(按分率)を減少するのである。
明確には図示されていないが、逆浸透膜装置2で処理するべき割合W(按分率)の減少は、例えば、ラインL12及びラインL14に図示しない流量制御弁を介装し、ラインL12の流量制御弁の弁開度を減少し、ラインL14の流量制御弁の弁開度を増加することにより行なう。
【0066】
一方、推定値D2が規制値R以上であれば(ステップS39がNO)、ステップS40で、蒸留水貯留槽5内の蒸留水の放流は希釈を行なっても不可能と判断する。それと共に、逆浸透膜装置2で処理するべき割合Wをそれまでの割合Wから所定量(ΔW)だけ増加させて、W+ΔWに設定してステップS41に進む。
逆浸透膜装置2の処理量を増加すれば、揮発性汚染物質濃度が低く、清浄な処理水の流量が増加して、蒸留水貯留槽5内の蒸留水と混合して希釈することにより、混合水の揮発性汚染物質濃度を低下することが出来る。そのため、逆浸透膜装置2で処理するべき割合W(按分率)を増加するのである。
逆浸透膜装置2で処理するべき割合W(按分率)の増加は、例えば、ラインL12に介装された流量制御弁(図示せず)の弁開度を増加し、ラインL14に介装された流量制御弁(図示せず)の弁開度を減少することにより行なう。
【0067】
ステップS41では、制御装置10は、逆浸透膜装置2で処理するべき割合Wを、ステップS40或いはステップS35で求めた新たな割合Wに設定し直す。
そして、ステップS42において、第3の分析装置613によって蒸留水貯留槽5内の蒸留水の揮発性汚染物質濃度C3及び蒸発水量V3を分析・計量する。
【0068】
ステップS43では、制御装置10は、蒸気圧縮凝縮装置4の負荷除去率Xの設定(演算)を行う。
図5のラインL4に記載されているように、蒸気圧縮凝縮装置4の蒸留水量は[1−0.8X]であり、揮発性汚染物質濃度は[C1(1−X)]となる。ここで、揮発性汚染物質濃度[C1]は第1の分析装置611で求められているので、第3の分析装置613で計測された蒸留水貯留槽5内の蒸留水の揮発性汚染物質濃度C3及び蒸発水量V3から、その時点における蒸気圧縮凝縮装置4の負荷除去率Xが演算されるのである。
【0069】
次のステップS44において、制御装置10は、新たに設定(演算)されたX、Wが、一定値に収束するか否かを判断する。
最終的にX、Wが一定値に収束したならば(ステップS44がYES)、X、Wが決定されたと判断する。
一方、X、Wが一定値に収束していなければ(ステップS44がNO)、ステップS33まで戻り、再びステップS33以降を繰り返す。
【0070】
図5、図6の第3実施形態では、浸出水(原水)、処理水、蒸留水において、各々の水量と水質(例えば、揮発性汚染物質負荷)を常時監視しており、(例えば、揮発性汚染物質の)除去率を定期的に計算して、水量の按分率Wを制御フィードバックする。そして、放流基準を満たせる濃度かどうかを判定して、浸出水をどのような割合で逆浸透膜装置2に導き、蒸気圧縮凝縮装置4に導くかを決定している。
そして、蒸留水あるいは混合水の濃度が規制値を満たす限り蒸気圧縮凝縮装置4における揮発水処理量を増加しているので、逆浸透膜装置2の処理量が減少して、その寿命を延命することが出来る。さらに、浸出水処理システム103全体におけるエネルギー消費量を低減することが出来る。
図5、図6の第3実施形態におけるその他の構成及び作用効果は、図3、図4の第2実施形態と同様である。
【0071】
次に、図7、図8を参照して、本発明の第4実施形態を説明する。
図7、図8の第4実施形態は、図5、図6の第3実施形態の変形に係る実施形態である。
図7において、全体を符号104で示す浸出水処理システムは、浸出水貯留槽1に貯留された浸出水が、蒸気圧縮凝縮装置と逆浸透膜装置2の双方に供給される点、逆浸透膜装置2の濃縮水が、蒸気圧縮凝縮装置に供給される点では、図5、図6の浸出水処理システム103と同様である。
しかし、図7の浸出水処理システム104では、蒸気圧縮凝縮装置として、ラインL14によって浸出水貯留槽1に連通している第1の蒸気圧縮凝縮装置41と、逆浸透膜装置2の濃縮水が流れるラインL242に連通している第2の蒸気圧縮凝縮装置42を備えている。
【0072】
図7、図8の第4実施形態においても、図5、図6の第3実施形態と同様に、浸出水貯留槽1から、逆浸透膜装置2或いは第1の蒸気圧縮凝縮装置41に供給される単位流量の浸出水の内、逆浸透膜装置2へ供給される割合(比率)が、符号Wで示されている。
そして、第1の蒸気圧縮凝縮装置41及び第2の蒸気圧縮凝縮装置42の各々における負荷除去率(揮発性汚染物質除去率)が、符号Xで示されている。ここで、第1の蒸気圧縮凝縮装置41及び第2の蒸気圧縮凝縮装置42の各々における負荷除去率(揮発性汚染物質除去率)Xは、同一の数値である。
【0073】
図7において、浸出水貯留槽1に貯留された浸出水が流れるラインL1は、分岐点Bにおいて、ラインL12とラインL14に分岐している。
ラインL14には流量制御弁Vb1が介装されており、第1の蒸気圧縮凝縮装置41に接続している。そしてラインL12は、逆浸透膜装置2と接続している。
第2の蒸気圧縮凝縮装置42は、三方弁Vb3を介装したラインL242によって逆浸透膜装置2と接続されている。ここで、ラインL242には、逆浸透膜装置2で発生した濃縮水が流れる。
三方弁Vb3の1箇所のポートは、バイパスラインL241を介して、第1の蒸気圧縮凝縮装置41に接続されている。換言すれば、第1の蒸気圧縮凝縮装置41は、ラインL242、三方弁Vb3、バイパスラインL241を介して、間接的に逆浸透膜装置2と接続されている。
流量制御弁Vb1及び三方弁Vb3は、制御信号ラインSoによって制御装置10と接続されている。
【0074】
第1の蒸気圧縮凝縮装置41で蒸発、凝縮された蒸留水は、ラインL41、合流点G2、ラインL43を介して、蒸留水貯留槽5に送られる。そして、第2の蒸気圧縮凝縮装置42で蒸発、凝縮された蒸留水は、ラインL42、合流点G2、ラインL43を介して、蒸留水貯留槽5に送られる。
換言すれば、第1の蒸気圧縮凝縮装置41及び第2の蒸気圧縮凝縮装置42は、共に、蒸留水貯留槽5に連通している。
【0075】
ラインL242に介装されている三方弁Vb3は、通常時は、逆浸透膜装置2側のポートと、第2の蒸気圧縮凝縮装置42側のポートが開放されており、バイパスラインL241側(第1の蒸気圧縮凝縮装置41側)のポートは閉鎖している。
そのため、通常時においては、逆浸透膜装置2の濃縮水は、第2の蒸気圧縮凝縮装置42に供給される。
図7で示す第4実施形態における浸出水処理の手順は、図6のフローチャートで示した第3実施形態の浸出水処理の手順と同様である。
【0076】
ここで、故障の修理やメンテナンス作業等で第2の蒸気圧縮凝縮装置42が使用出来ない場合には、三方弁Vb3の逆浸透膜装置2側のポートと、バイパスラインL241側(第1の蒸気圧縮凝縮装置41側)のポートを開放して、第2の蒸気圧縮凝縮装置42側のポートを閉鎖する。
その場合には、逆浸透膜装置2の濃縮水は、三方弁Vb3、バイパスラインL241を介して第1の蒸気圧縮凝縮装置41に供給されるので、図5、図6で示す処理ユニット103と同様なレイアウトになる。
逆浸透膜装置2の濃縮水は、三方弁Vb3、バイパスラインL241を介して第1の蒸気圧縮凝縮装置41に供給される状態であれば、浸出水処理システム104における浸出水処理を続行しつつ、第2の蒸気圧縮凝縮装置42における故障の修理やメンテナンス作業等を行うことが出来る。
【0077】
一方、(故障の修理やメンテナンス作業等で)第1の蒸気圧縮凝縮装置41が使用出来ない場合には、通常時と同様に、逆浸透膜装置2側のポートと、第2の蒸気圧縮凝縮装置42側のポートを開放し、バイパスラインL241側(第1の蒸気圧縮凝縮装置41側)のポートを閉鎖する。また、分岐点Bと第1の蒸気圧縮凝縮装置41を連通するラインL14に設けた開閉弁Vb1を閉鎖する。
その様にすれば、図3、図4で示す処理ユニット102と同様なレイアウトになり、浸出水処理システム104による処理を続行しつつ、第1の蒸気圧縮凝縮装置41における故障の修理やメンテナンス作業等を行うことが出来る。
【0078】
次に、図7で示す第4実施形態において、通常時、第1の蒸気圧縮凝縮装置41或いは第2の蒸気圧縮凝縮装置42が使用出来ない場合のそれぞれにおける三方弁Vb3、開閉弁Vb1の開閉制御について、図8に基づいて説明する。
【0079】
図8において、ステップS51では、制御装置10は、浸出水処理システム104が通常運転をしているのか、第1の蒸気圧縮凝縮装置41の稼動を中止しているのか、それとも第2の蒸気圧縮凝縮装置42の稼動を中止しているのかを判断する。
浸出水処理システム104が通常運転をしているのであれば(ステップS51で「通常」)、ステップS52に進み、三方弁Vb3における第2の蒸気圧縮凝縮装置42側のポートを開放し、バイパスラインL241側を閉鎖し、ラインL14の開閉弁Vb1を開放する。そして、再びステップS51以降を繰り返す。
【0080】
第1の蒸気圧縮凝縮装置41の稼動が中止している場合(ステップS51で「VCC1運転中止」)には、ステップS53に進み、三方弁Vb3における第2の蒸気圧縮凝縮装置42側のポートを開放して、バイパスラインL241側を閉鎖し、ラインL14の開閉弁Vb1を閉鎖する。そして、再びステップS51以降を繰り返す。
第2の蒸気圧縮凝縮装置42の稼動が中止している場合(ステップS51で「VCC2運転中止」)には、ステップS54に進み、三方弁Vb3における第2の蒸気圧縮凝縮装置42側のポートを閉鎖して、バイパスラインL241側を開放し、ラインL14の開閉弁Vb1を閉鎖する。すなわち、第2の蒸気圧縮凝縮装置42の稼動が中止(ステップS51で「VCC2運転中止」)すると、第1の蒸気圧縮凝縮装置41は、逆浸透膜装置2の濃縮水の処理を専ら請け負うことになる。ただし、第1の蒸気圧縮凝縮装置41の容量が、浸出水及び濃縮水を処理することが出来る程度に大きい場合には、第2の蒸気圧縮凝縮装置42が作動していない場合(ステップS51で「VCC2運転中止」)に、開閉弁(Vb1)を開放する。
ステップS54の後、ステップS51以降を繰り返す。
【0081】
図示の第4実施形態では、蒸気圧縮凝縮装置を2機(第1の蒸気圧縮凝縮装置41、第2の蒸気圧縮凝縮装置42)設け、故障の修理やメンテナンス作業等で第1の蒸気圧縮凝縮装置41或いは第2の蒸気圧縮凝縮装置42が使用出来ない場合に、当該運転できない蒸気圧縮凝縮装置を停止して、他方の運転可能な蒸気圧縮凝縮装置を稼動させて、浸出水処理システム104の稼動を継続することができる。
図7、図8の第4実施形態におけるその他の構成及び作用効果は、図5、図6の第3実施形態と同様である。
【0082】
図9、図10を参照して、第5実施形態を説明する。
図9において、第5実施形態に係る浸出水処理システムは、全体が符号105で示されている。
図9で示す浸出水処理システム105は、図7の処理システム104と同様に、第1の蒸気圧縮凝縮装置41及び第2の蒸気圧縮凝縮装置42を有している。
【0083】
しかし、図9で示す浸出水処理システム105では、第1の蒸気圧縮凝縮装置41で蒸発して凝縮した蒸留水は第1の蒸留水貯留槽51に送られて貯留され、第2の蒸気圧縮凝縮装置42で蒸発して凝縮した蒸留水は第2の蒸留水貯留槽52に送られて貯留されている。すなわち、第1の蒸気圧縮凝縮装置41と第2の蒸気圧縮凝縮装置42は、それぞれ、別個に設けられた第1の蒸留水貯留槽51、第2の蒸留水貯留槽52に連通している。その点で、図9で示す浸出水処理システム105は、第1の蒸気圧縮凝縮装置41と第2の蒸気圧縮凝縮装置42が同一の蒸留水貯留槽5に連通している図7の処理システム104とは異なっている。
それに関連して、図9で示す浸出水処理システム105では、第1の蒸気圧縮凝縮装置41は、浸出水貯留槽1からのみ処理するべき水(浸出水)が供給されており、逆浸透膜装置2の濃縮水は供給されない。そして、第2の蒸気圧縮凝縮装置42は逆浸透膜装置2の濃縮水のみが供給され、浸出水貯留槽1の浸出水は供給されない。
【0084】
図9において、第1の蒸気圧縮凝縮装置41からの蒸留水が貯留される第1の蒸留水貯留槽51は、ラインL51rを介して、浸出水貯留槽1に連通している。そして第1の蒸留水貯留槽51は、ラインL51を介して合流点Gに連通し、ラインL2、処理水貯留槽3、ラインL3を介して逆浸透膜装置2から流れる処理水と合流する。
第2の蒸気圧縮凝縮装置42からの蒸留水が貯留される第2の蒸留水貯留槽52は、ラインL52rを介して浸出水貯留槽1に連通している。そして第2の蒸気圧縮凝縮装置42は、ラインL52を介して合流点Gに連通し、ラインL2、処理水貯留槽3、ラインL3を介して逆浸透膜装置2から流れる処理水と合流する。
【0085】
ラインL51には開閉弁Vaが介装され、ラインL52には開閉弁Vbが介装されている。開閉弁Va及び開閉弁Vbは、制御信号ラインSoによって制御装置10と接続されている。そして、開閉弁Vaと開閉弁Vbは、制御装置10によって開閉制御される。
図9の処理ユニット105では、第2の蒸留水貯留槽52に第4の分析装置614が装備されており、第4の分析装置614は入力信号ラインSiによって制御装置10と接続されている。
【0086】
そして、図9の処理ユニット105においても、浸出水貯留槽1から、逆浸透膜装置2或いは第1の蒸気圧縮凝縮装置41に供給される単位流量の浸出水の内、逆浸透膜装置2へ供給される割合(比率)が、符号Wで示されている。
そして、第1の蒸留水貯留槽51における揮発性汚染物濃度C3と、蒸留水量V3が計測装置613により計測される。また、第2の蒸留水貯留槽52における揮発性汚染物濃度C4と、蒸留水量V4が計測装置614により計測される。
【0087】
図9の処理ユニット105において、第1の蒸気圧縮凝縮装置41における負荷除去率(揮発性汚染物質除去率)が符号「X」で示されており、第2の蒸気圧縮凝縮装置42における負荷除去率(揮発性汚染物質除去率)が符号「Y」で示されている。
【0088】
次に、図10を主に参照して、図9で示す処理システムの作業の手順を説明する。
図10で示す手順も、処理システム105内に全く水が存在しない状態から行なわれるものではなく、浸出水、処理水、濃縮水、蒸留水が存在する状態から行なわれる。
そして、第1の蒸気圧縮凝縮装置41における浸出水の処理量が、可能な限り多くなる様に(換言すれば、Wが出来る限り小さくなる様に)、制御が進行する。
そして、第1の蒸気圧縮凝縮装置41から浸出水貯溜槽1に戻される蒸留水、或いは、第2の蒸気圧縮凝縮装置42から浸出水貯留槽1に戻される蒸留水の総量を、可能な限り少なくする方向へ制御を進める。
【0089】
図10の制御も、処理システム105の運転を続行するにつれて、状態が安定して、各種数値も一定値に収束する。そして、逆浸透膜装置2へ供給される割合(比率)Wと、負荷除去率(揮発性汚染物質除去率)X、Yは、一定の数値に収束する。
そのため、制御の初期においては、浸出水貯留槽1から、逆浸透膜装置2或いは第1の蒸気圧縮凝縮装置41に供給される単位流量の浸出水の内、逆浸透膜装置2へ供給される割合(比率)W、第1の蒸気圧縮凝縮装置41における負荷除去率(揮発性汚染物質除去率)X、第2の蒸気圧縮凝縮装置42における負荷除去率(揮発性汚染物質除去率)Yを、適当に設定(いわゆる「仮決め」)した数値により運転を行う。
【0090】
さらに、第2の蒸気圧縮凝縮装置42の蒸留水における揮発性汚染物質濃度C4は、第1の蒸気圧縮凝縮装置41からの蒸留水における汚染物質濃度C3に比較して、高くなる可能性が高いと推定して行なわれている。第2の蒸気圧縮凝縮装置42は逆浸透膜装置2の濃縮水を処理しており、逆浸透膜装置2の濃縮水における揮発性汚染物質濃度C4は、第1の蒸気圧縮凝縮装置41で処理している浸出水における揮発性汚染物質濃度C1よりも高いからである。
換言すれば、図10の制御は、第2の蒸気圧縮凝縮装置42からの蒸留水に比較して、第1の蒸気圧縮凝縮装置41からの蒸留水の方が、放流され易い条件となっているという推定のもとに行なわれる。
【0091】
図10において、ステップS61では、第1の分析装置611によって浸出水貯留槽1内の浸出水の揮発性汚染物質濃度C1を分析し、水量V1を計量し、第2の分析装置612によって処理水貯留槽3内の処理水の揮発性汚染物質濃度C2を分析し、水量V2を計量する。
ステップS62では、第1の蒸気圧縮凝縮装置41の負荷除去率X及び第2の蒸気圧縮凝縮装置42の負荷除去率Yを設定(仮決め)すると共に、処理方法の按分率W(逆浸透膜装置2への水供給割合)の設定(仮決め)を行う。
【0092】
ステップS63において、制御装置10は、第1の蒸留水貯留槽51における蒸留水の揮発性汚染物濃度の推定値D1と、第2の蒸留水貯留槽52における蒸留水の揮発性汚染物濃度の推定値D2を、以下の2式によって演算する。
D1=C1(1-X)
D2=5C1(1-Y)
ステップS64では、ステップS63で求めた第1の蒸留水貯留槽51における蒸留水の揮発性汚染物濃度D1(推定値)が、規制値R未満か否かを判断する。
第1の蒸留水貯留槽51における蒸留水の揮発性汚染物濃度D1が規制値R未満であれば(ステップS64がYES)、ステップS65に進み、第1の蒸留水貯留槽51に溜まった蒸留水を放流し、逆浸透膜装置2で処理する浸出水の割合Wを、所定量(ΔW)だけ減少した新たな数値W(=W-ΔW)に設定する。
そして、ステップS66まで進む。一方、第1の蒸留水貯留槽51における蒸留水の揮発性汚染物質濃度D1が規制値R以上であれば(ステップS64がNO)、ステップS68に進む。通常、第1の蒸留水貯留槽51における蒸留水の揮発性汚染物質濃度D1は、第2の蒸留水貯留槽52における蒸留水の揮発性汚染物質濃度D2よりも低いからである。
【0093】
第1の蒸留水貯留槽51における蒸留水の揮発性汚染物質濃度D1が規制値R未満である場合に(ステップS64がYES)、ステップS65の次に、第2の蒸留水貯留槽52における蒸留水の揮発性汚染物質濃度D2が規制値R未満であるか否かを判断する(ステップS66)。
第2の蒸留水貯留槽52における蒸留水の揮発性汚染物質濃度D2が規制値R未満であれば(ステップS66がYES)、第2の蒸留水貯留槽52に溜まった蒸留水を放流する(ステップS67)。ここで、逆浸透膜装置2で処理する浸出水の割合Wは、ステップS65で決定した数値を適用する。その後、ステップS76まで進む。
【0094】
一方、第2の蒸留水貯留槽52における蒸留水の揮発性汚染物濃度D2が規制値R以上であれば(ステップS66がNO)、ステップS68に進む。ただし、第1の蒸留水貯留槽51における蒸留水は放流を決定しているので、ステップS68以下では、第1の蒸留水貯留槽51における蒸留水に関わる判断は無視する。
ステップS68では、第1の蒸留水貯留槽51の蒸留水と、逆浸透膜装置2の処理水とを混合した混合水における揮発性汚染物濃度D’1(推定値)を、下式によって演算する。
D’1={C1(1-X)・(1−0.8W)+C2・0.8W}/(1−0.2W)
またステップS68では、第2の蒸留水貯留槽52の蒸留水と、逆浸透膜装置2の処理水とを混合した混合水における揮発性汚染物濃度D’2(推定値)を、下式によって演算する。
D’2=C1(1-Y)+0.8C2
そして、ステップS69に進む。
【0095】
ステップS69では、制御装置10は、ステップS68で演算された揮発性汚染物濃度D’1と揮発性汚染物濃度D’2が何れも規制値R未満であるか否かを判断する。
第1の蒸留水貯留槽51の蒸留水と逆浸透膜装置2の処理水を混合した混合水における揮発性汚染物濃度D’1と、第2の蒸留水貯留槽52の蒸留水と逆浸透膜装置2の処理水を混合した混合水における揮発性汚染物濃度D’2(推定値)が、何れも規制値R未満であれば(ステップS69がYES)、ステップS70へ進む。
第1の蒸留水貯留槽51の蒸留水と逆浸透膜装置2の処理水を混合した混合水における揮発性汚染物濃度D’1と、第2の蒸留水貯留槽52の蒸留水と逆浸透膜装置2の処理水を混合した混合水における揮発性汚染物濃度D’2(推定値)が、何れかが規制値R以上であれば(ステップS69がNO)、ステップS73に進む。
【0096】
ステップS70では、制御装置10は、「0.2W」の値が「1−W」の値を下回っているか否かを判断する。すなわち、第2の蒸留水貯留槽52へ送られる蒸留水の流量「0.2W」が、第1の蒸留水貯留槽51へ送られる流量「1−W」よりも少ないか否かを判断する。
第2の蒸留水貯留槽52へ送られる蒸留水の流量「0.2W」が、第1の蒸留水貯留槽51へ送られる流量「1−W」よりも少なければ(ステップS70がYES)、ステップS71に進み、第1の蒸留水貯留槽51の蒸留水を逆浸透膜装置2の処理水で希釈後に放流し、第2の蒸留水貯留槽52の蒸留水を浸出水貯留槽1側へ戻す。そして、それまでの処理按分率Wから所定割合(ΔW)を減じた新たな按分率W(W−ΔW)を設定する。この場合は、第1の蒸留水貯留槽51の蒸留水を放流可能であるため、第1の蒸気圧縮凝縮装置41における浸出水の処理量を増加するべく、按分率Wを減少している。
そして、ステップS76まで進む。
【0097】
一方、第2の蒸留水貯留槽52へ送られる蒸留水の流量「0.2W」が、第1の蒸留水貯留槽51へ送られる流量「1−W」以上であれば(ステップS70がNO)、ステップS72へ進み、第1の蒸留水貯留槽51の蒸留水を浸出水貯留槽1側へ戻し、第2の蒸留水貯留槽52の蒸留水を逆浸透膜装置2の処理水で希釈後に放流する。そして、それまでの処理按分率Wに所定割合(ΔW)を加えた新たな按分率W(W+ΔW)を設定する。この場合は、このループで決定しているW、X、Yにおいて、第1の蒸留水貯留槽51の蒸留水よりも、第2の蒸留水貯留槽52の蒸留水の方が量が多いため、第2の蒸留水貯留槽52の蒸留水を逆浸透膜装置2の処理水で希釈して放流することにして、さらに、この経路における放流量を増加するために、按分率Wを増加する。
そして、ステップS76まで進む。
ステップS70〜S72の制御により、浸出水貯留槽1側へ戻される蒸留水の量は可能な限り少なくなる。
【0098】
ステップS73では、第1の蒸留水貯留槽51の蒸留水と逆浸透膜装置2の処理水を混合した混合水における揮発性汚染物濃度D’1が規制値R未満であり、且つ、第2の蒸留水貯留槽52の蒸留水と逆浸透膜装置2の処理水を混合した混合水における揮発性汚染物濃度D’2(推定値)が規制値Rを超えているかを判断する。
揮発性汚染物濃度D’1が規制値R未満であり、且つ、揮発性汚染物濃度D’2(推定値)が規制値Rを超えている場合には(ステップS73がYES)、ステップS74へ進む。
揮発性汚染物濃度D’1が規制値R未満であり、且つ、揮発性汚染物濃度D’2(推定値)が規制値Rを超えている場合に該当しなければ(ステップS73がNO)、ステップS75に進む。
【0099】
ステップS74では、第1の蒸留水貯留槽51の蒸留水を逆浸透膜装置2の処理水で希釈後に放流して、第2の蒸留水貯留槽52の蒸留水を逆浸透膜装置2側へ戻し、それまでの処理按分率Wから所定割合(ΔW)を減じた新たな按分率W(W−ΔW)を設定する。
ステップS74の場合は、第1の蒸留水貯留槽51の蒸留水を放流可能であるため、第1の蒸気圧縮凝縮装置41における浸出水の処理量を増加するべく、按分率Wを減少するのである。
そして、ステップS76まで進む。
【0100】
ステップS75では、第1の蒸留水貯留槽51の蒸留水ならびに第2の蒸留水貯留槽52の蒸留水の揮発性汚染物質濃度が高すぎると判断して、蒸留水を浸出水貯留槽1(逆浸透膜装置2側)へ戻す。そして、逆浸透膜装置2で処理するべき浸出水の量を増加し、揮発性汚染物質濃度が低い処理水の量を増加するため、按分率Wに所定割合ΔWを加えた数値だけ増加する(W=W+ΔW)。
【0101】
そしてステップS76に進み、按分率WをステップS65、ステップS71、ステップS72、ステップS74、ステップS75で決定された新たな按分率Wに設定する。
そして、ステップS77では、第1の蒸留水貯留槽51内及び第2の蒸留水貯留槽52内における蒸留水の揮発性汚染物質濃度C3、C4を分析し、水量V4、V4を計量する。
次のステップS78では、制御装置10は、第1の蒸留水貯留槽51内及び第2の蒸留水貯留槽52内における蒸留水の揮発性汚染物質濃度C3、C4と、水量V4、V4を用いて、第1の蒸気圧縮凝縮装置41の負荷除去率Xと、第2の蒸気圧縮凝縮装置42の負荷除去率Yを演算する。
【0102】
次のステップS79では、ステップS78で演算した数値X、Yと、ステップS65、S71、S72、S74、S75で設定された数値Wが、一定の数値に収束しているか否かを判断する。
X、Y、Wが一定値に収束していれば(ステップS79がYES)、X、Y、Wを決定(固定)する。
X、Y、Wが一定値に収束していなければ(ステップS79がNO)、ステップS63まで戻り、再びステップS63以降を繰り返す。
【0103】
図9、図10の第5実施形態におけるその他の構成や作用効果については、図1〜図8の各実施形態と同様である。
図10で示す制御では、逆浸透膜装置2の処理水で希釈するのは、第1の蒸留水貯留槽51の蒸留水か、第2の蒸留水貯留槽52の蒸留水の何れか一方である。ただし、図示はされていないが、浸出水処理システム105全体としての放流量を最大にするため、第1の蒸留水貯留槽51の蒸留水と第2の蒸留水貯留槽52の蒸留水を、それぞれの放流量を調節しつつ、同時に放流する制御も可能である。
図示はされていないが、図9において、分岐点Bから第2の蒸気圧縮凝縮装置42に連通するラインと、逆浸透膜装置2から第1の蒸気圧縮凝縮装置41に連通するラインを設け、図9におけるラインL12、L14と切替可能に構成し、以って、第1の蒸気圧縮凝縮装置41と第2の蒸気圧縮凝縮装置42を切り替えて運転出来る様に構成することも可能である。
【0104】
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではない。
【符号の説明】
【0105】
1・・・浸出水貯留槽
2・・・逆浸透膜装置
3・・・処理水貯留槽
4、41、42・・・蒸気圧縮凝縮装置
5、51、52・・・蒸留水貯留槽
7・・・消毒装置
10・・・制御装置
60・・・計測装置
61、62、611、612、613、614・・・分析装置
101、102、103、104、105・・・浸出水処理システム
【技術分野】
【0001】
本発明は、埋立地(埋立処分場)、廃棄物処分場等から発生する浸出水を処理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
廃棄物処分場では廃棄物を埋立した後に、処分場内に供給される水分(雨水、散水)による洗い出しや、廃棄物の分解によって、「浸出水」と呼ばれる汚水が発生する。
係る汚水が拡散すると、周囲の環境や生活に影響を及ぼすため、浸出水は浄化処理を行った後に排水する必要がある。
【0003】
近年、環境規制の強化により、浸出水処理は高度化され、SS分(いわゆる、浮遊物質)の除去や有機成分の分解だけでなく、重金属除去や脱塩までが要求されつつある。そのため、逆浸透膜処理を採用するケースが増加している。
しかし、逆浸透膜処理では、汚染成分を5倍程度に濃縮するのが限界であり、逆浸透膜処理設備に投入する原水(浸出水)の20〜25%に相当する濃縮水が発生してしまう。そして、係る濃縮水については、さらなる濃縮、蒸発・乾燥処理する以外には、減容化の手段がないのが実情である。
また、逆浸透膜処理に用いられる逆浸透膜は、耐久性に問題があり、メンテナンスには十分な注意が必要である。
【0004】
逆浸透膜処理設備に浸出水を投入した際に生じる濃縮水のさらなる濃縮、蒸発・乾燥処理には、ボイラによる直接乾燥の他に、蒸発缶等を利用する従来技術も存在する。図11は、エゼクタ−付きの三重効用蒸発缶を示している。
図11において、エゼクターEJを介して供給されるボイラ蒸気が第1の蒸発器VP1の内部(相対的に高温)の熱交換器で凝縮し、濃縮水の一部を蒸発させる。凝縮されなかった蒸気v11と第1の蒸発器VP1内で発生した蒸気v12は、第2の蒸発器VP2内部(相対的に中温)の熱交換器で凝縮し、その気化熱で濃縮水の一部を蒸発させる。さらに、凝縮されなかった蒸気v21と第2の蒸発器VP2内で発生した蒸気v22は、第3の蒸発器VP3内部(相対的に低温)の熱交換器で凝縮し、その気化熱で濃縮水の一部を蒸発させる。凝縮されなかった蒸気v31及び第3の蒸発器VP3内で発生した蒸気v32が保有する熱量は、予熱器PHにおいて濃縮水原液の予熱に使われ、更に凝縮器CDで冷却水配管CWを流れる冷却水と熱交換して凝縮されてから、第3の蒸発器VP3内の熱交換器で凝縮した凝縮水と共に、蒸留水として系外に排出される。最後に、濃縮された液体が残るが、当該濃縮された液体はボイラBIで蒸発・乾燥する。
【0005】
上述した様に、逆浸透膜で発生する濃縮水は、蒸発缶等でさらに濃縮され、さらに濃い濃縮水となり、最後にボイラで蒸発・乾燥されて初めて処理が完了する。
図11の従来技術において、例えば、エゼクターEJはNo.1蒸発器VP1の原液側の蒸気を吸引するが、供給蒸気のエネルギーを消費する。この様に、図11で例示する三重効用蒸発缶では、構成機器が多く、昨今の省エネルギーの要請に応えるには、さらなる改善が必要である。
【0006】
その他の従来技術として、原水タンクと、逆浸透膜式浄水器と、ボイラと、ヒートポンプ等から構成され、ボイラや逆浸透膜式浄水器に供給される原水を、ヒートポンプにより予め加熱する技術が提案されている(特許文献1参照)。
係る従来技術(特許文献1)はボイラの効率向上や、逆浸透膜式浄水器に原水を供給するポンプの負荷低減を目的としており、逆浸透膜装置の濃縮水の減容化処理や、汚染物質処理を行うものではない。
また、さらに別の従来技術として、被処理水を加圧して、加圧された被処理水を無孔質膜で透過せしめて、透過水を回収する技術が提案されている(特許文献2参照)。
この技術(特許文献2)は、被処理水を加圧することにより被処理水が無孔質膜を透過することを促進して、排水の浄化処理効率の向上を図るものであり、逆浸透膜装置の濃縮水の減容化処理や、汚染物質処理に寄与するものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−224148号公報
【特許文献2】特開2006−159177号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、埋立地或いは埋立処分場から発生する浸出水に包含される汚染物濃度を、放流可能なレベルまで減少することが出来て、しかも、逆浸透膜に対する負担を出来る限り低減することが出来る浸出水処理システムの提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
ここで、逆浸透膜で発生する濃縮水を、蒸発圧縮凝縮システム(VCC)によって、処理(蒸発・乾燥)して、濃縮水を蒸留水と固形物に分離することが考えられる。VCCは水の蒸留の効率が高く、構造がシンプルで、制御性が高く、しかも、経済性に優れているからである。
図12は、浸出水をVCCにより蒸留(蒸発・凝縮)することで、含有成分濃度が如何に変化するかを示したものである。
図12において、「COD」は化学的酸素要求量を示し、「BOD」は生物化学的酸素要求量を示し、「T−N」は総窒素量を示し、「Ca」はカルシウム量を示し、「Cl」は塩素量を示している。
【0010】
図12から、有機物に起因する揮発性成分を含む浸出水が少ないことが分かる。我が国の処分場では、有機系ごみを受け入れているところが少なく、大半は焼却灰を埋め立てているからである。
また、図12を参照すれば、VCCのような蒸発・圧縮システムは、揮発性物質(COD、BOD、T−N)の処理能力は比較的弱いことが分る。ただし、揮発性物質濃度が高い場合には、VCCによる処理で、揮発性物質濃度を1/3〜1/2(除去率50〜70%)程度まで低減できることが、図12から理解出来る。
さらに図12によれば、VCCのような蒸発・圧縮システムは、CaやClのような不揮発性物質の除去には非常に有効であり、逆浸透膜で処理する以上の除去率を有することが分かる。なお、図12におけるA線は、VCCで処理した水の汚染の限界を示す線であり、浄化の程度に応じてA線から右下に離れた位置にくる。
【0011】
ここで、逆浸透膜によって浸出水を処理するに際して、浸出水に揮発性物質、例えば、アンモニアや低級脂肪酸等が含まれる場合には、蒸発圧縮凝縮システム(VCC)等で蒸発させた際に、当該揮発性物質の一部が蒸留水に移行してしまう。そして、揮発性物質が蒸留水に移行した状態では、VCCの蒸留水における揮発性物質濃度如何によっては、当該蒸留水を環境中に直接放出することが出来ない場合があることを考慮しなければならない。
そして、その様な場合には、VCCの蒸留水を浸出水(原水)側に戻して、再び逆浸透膜による処理を行う必要がある。
本発明の浸出水処理システムは、上述した様な知見に基いて、創作された。
【0012】
本発明の浸出水処理システムは、逆浸透膜装置(2)と蒸気圧縮凝縮装置(4、41、42)を備え、逆浸透膜装置(2)に浸出水を供給される逆浸透膜装置供給系統(L10、L20、L1、L12)と、逆浸透膜装置(2)で汚染物質(例えば、揮発性汚染物質)が浄化処理された処理水が排出される処理水排出系統(L22、L2、L3)と、浄化処理されなかった水(汚染物質濃度が高い水:濃縮水)が排出される濃縮水排出系統(L24、L241、L242)を備え、濃縮水排出系統は蒸気圧縮凝縮装置(VCC:4)に連通しており、蒸気圧縮凝縮装置(4)は蒸発して凝縮された蒸留水が流れる蒸留水排出系統(L44、L4、L41、L42、L43、L5、L51、L52)を接続されており、蒸留水排出系統(L44、L4、L41、L42、L43、L5、L51、L52)と処理水排出系統(L22、L3)とが合流する合流系統(L60、L6)を備え、汚染物質濃度を計測する計測装置(60、61、62、611、612、613、614)を有している(図1、図3、図5、図7、図9)。
【0013】
本発明において、浸出水を貯留する浸出水貯留槽(1)を有し、浸出水貯留槽(1)は逆浸透膜装置(2)の供給系統(L1)を介して逆浸透膜装置(2)に連通しており、
蒸留水排出系統(L4、L5)には蒸気圧縮凝縮装置(4)で蒸発して凝縮された蒸留水を貯留する蒸留水貯留槽(5)が設けられ、蒸留水貯留槽(5)には蒸留水量及び蒸留水中の汚染物質濃度を計測する第1の計測装置(61:水分析1)が設けられており、
処理水排出系統(L2、L3)には逆浸透膜装置(2)で汚染物質が浄化処理された処理水を貯留する処理水貯留槽(3)が設けられ、処理水貯留槽(3)には処理水量及び処理水中の汚染物質濃度を計測する第2の計測装置(62:水分析2)が設けられており、
第1の計測装置(61:水分析1)の計測結果及び第2の計測装置(62:水分析2)の計測結果が入力される制御装置(10)を備え、
制御装置(10)は、第1の計測装置(61:水分析1)で計測された蒸留水の汚染物質濃度が基準値(R)未満である場合、或いは、第1の計測装置(61:水分析1)の計測結果及び第2の計測装置(62:水分析2)の計測結果に基いて演算される処理水と蒸留水との混合水中の汚染物質濃度が基準値(R)未満である場合に、蒸留水排出系統(L4、L5)の蒸留水貯留槽(5)よりも下流側(L5)を、処理水排出系統(L2、L3)の処理水貯留槽(3)の下流側(L3)における合流点(G)に連通する機能と、
第1の計測装置(61:水分析1)で計測された蒸留水の汚染物質濃度が基準値(R)以上である場合、或いは、第1の計測装置(61:水分析1)の計測結果及び第2の計測装置(62:水分析2)の計測結果に基いて演算される処理水と蒸留水との混合水中の汚染物質濃度が基準値(R)以上である場合に、蒸留水排出系統(L4、L5)の蒸留水貯留槽(5)よりも下流側(L5r)を、浸出水貯留槽(1)に連通する機能を有している(図3、図4)。
【0014】
また本発明において、浸出水を貯留する浸出水貯留槽(1)を有し、浸出水貯留槽(1)には浸出水量と浸出水中の汚染物質濃度を計測する第1の計測装置(611:水分析1)を備え、浸出水貯留槽(1)は逆浸透膜装置(2)の供給系統(L1、L12)を介して逆浸透膜装置(2)に連通すると共に、蒸気圧縮凝縮装置(4)の供給系統(L1、L14)を介して蒸気圧縮凝縮装置(4)にも連通しており、
蒸留水排出系統には蒸気圧縮凝縮装置(4)で蒸発して凝縮された蒸留水を貯留する蒸留水貯留槽(5)が設けられ、蒸留水貯留槽(5)には蒸留水量及び蒸留水の汚染物質濃度を計測する第3の計測装置(613:水分析3)が設けられており、
処理水排出系統(L2、L3)には逆浸透膜装置(2)で汚染物質が浄化処理された処理水を貯留する処理水貯留槽(3)が設けられ、処理水貯留槽(3)には処理水量及び処理水の汚染物質濃度を計測する第2の計測装置(612:水分析2)が設けられており、
第1の計測装置(611:水分析1)〜第3の計測装置(613:水分析3)の計測結果が入力される制御装置(10)を備え、
制御装置(10)は、蒸留水の汚染物質濃度(計測値或いは推定値)が基準値(R)未満である場合、或いは、第2の計測装置(612:水分析2)の計測結果及び第3の計測装置(613:水分析3)の計測結果に基いて演算される処理水と蒸留水との混合水中の汚染物質濃度(推定値)が基準値(R)未満である場合に、蒸留水排出系統(L4、L5)の蒸留水貯留槽(5)よりも下流側(L5)を、処理水排出系統(L2、L3)の処理水貯留槽(3)の下流側(L3)における合流点(G)に連通する機能と、
蒸留水の汚染物質濃度(計測値或いは推定値)が基準値(R)以上である場合、或いは、第2の計測装置(612:水分析2)の計測結果及び第3の計測装置(613:水分析3)の計測結果に基いて演算される処理水と蒸留水との混合水中の汚染物質濃度(推定値)が基準値(R)以上である場合に、蒸留水排出系統(L4、L5)の蒸留水貯留槽(5)よりも下流側(L5r)を、浸出水貯留槽(1)に連通する機能と、
浸出水貯留槽(1)から逆浸透膜装置(2)に供給される浸出水と蒸気圧縮凝縮装置(4)に供給される浸出水との割合(W:比率)を変動する機能と、
(所定の時点における)蒸気圧縮凝縮装置(4)の揮発性汚染物質除去率(X:負荷除去率)を演算する機能を有している(図5、図6)。
【0015】
ここで、浸出水貯留槽(1)に連通する第1の蒸気圧縮凝縮装置(41)と、逆浸透膜装置(2)の濃縮水排出系統(L242)に連通する第2の蒸気圧縮凝縮装置(42)を有しており、第1の蒸気圧縮凝縮装置(41)の凝縮水排出系統(L41)と第2の蒸気圧縮凝縮装置(42)の凝縮水排出系統(L42)は(同一の)蒸留水貯留槽(5)に連通しており、
濃縮水排出系統(L242)には三方弁(Vb3)が介装されており、三方弁(Vb3)はバイパスライン(L241)を介して第1の蒸気圧縮凝縮装置(41)と連通しており、浸出水貯留槽(1)と第1の蒸気圧縮凝縮装置(41)を接続する第1の蒸気圧縮凝縮装置(41)の供給系統(L14)には開閉弁(Vb1)が介装されており、
制御装置(10)は、第1の蒸気圧縮凝縮装置(41)及び第2の蒸気圧縮凝縮装置(42)が正常に作動している場合(通常時)には、三方弁(Vb3)のバイパスライン(L241)側のポートを閉鎖し、第2の蒸気圧縮凝縮装置(42)側のポートを開放して、開閉弁(Vb1)を開放する機能と、
(故障、修理、メンテナンス作業等に起因して)第1の蒸気圧縮凝縮装置(41)が作動していない場合には、三方弁(Vb3)のバイパスライン(L241)側のポートを閉鎖し、第2の蒸気圧縮凝縮装置(42)側のポートを開放して、開閉弁(Vb1)を閉鎖する機能と、
(故障、修理、メンテナンス作業等に起因して)第2の蒸気圧縮凝縮装置(42)が作動していない場合には、三方弁(Vb3)のバイパスライン(L241)側のポートを開放し、第2の蒸気圧縮凝縮装置(42)側のポートを閉鎖して、開閉弁(Vb1)を閉鎖する機能を有している(図7、図8)。
ここで、第1の蒸気圧縮凝縮装置(41)の容量が、浸出水及び濃縮水を処理することが出来る程度に大きい場合には、第2の蒸気圧縮凝縮装置(42)が作動していない場合には、開閉弁(Vb1)を開放することが好ましい。
【0016】
或いは、浸出水貯留槽(1)に連通する第1の蒸気圧縮凝縮装置(41)と、逆浸透膜装置(2)の濃縮水排出系統(L24)に連通する第2の蒸気圧縮凝縮装置(42)を有しており、第1の蒸気圧縮凝縮装置(41)の凝縮水排出系統(L41)は第1の蒸留水貯留槽(51)に連通しており、第2の蒸気圧縮凝縮装置(42)の凝縮水排出系統(L42)は第2の蒸留水貯留槽(52)に連通しており、
第1の蒸気圧縮凝縮装置(41)の蒸留水排出系統(L41)に連通する第1の蒸留水貯留槽(51)には、第1の蒸留水貯留槽(51)の蒸留水(第1の蒸気圧縮凝縮装置41で蒸発して凝縮した蒸留水)の量及び汚染物質濃度を計測する第3の計測装置(613:水分析3)が設けられており、
第2の蒸気圧縮凝縮装置(42)の蒸留水排出系統(L42)に連通する第2の蒸留水貯留槽(52)には、第2の蒸留水貯留槽(52)の蒸留水(第2の蒸気圧縮凝縮装置42で蒸発して凝縮した蒸留水)の量及び汚染物質濃度を計測する第4の計測装置(614:水分析4)が設けられており、
制御装置(10)は、第3の計測装置(613:水分析3)及び第4の計測装置(614:水分析4)の計測結果が入力され、
第1の蒸留水貯留槽(51)中の蒸留水の汚染物質濃度(計測値或いは推定値)が基準値(R)未満である場合、或いは、第2の計測装置(612:水分析2)の計測結果及び第3の計測装置(613:水分析3)の計測結果に基いて演算される処理水と第1の蒸気圧縮凝縮装置(41)の蒸留水との混合水中の汚染物質濃度(D1´:推定値)が基準値(R)未満である場合に、第1の蒸気圧縮凝縮装置(41)の蒸留水排出系統(L41、L51)の第1の蒸留水貯留槽(51)よりも下流側(L51)を、処理水排出系統(L2、L3)の処理水貯留槽(3)の下流側(L3)における合流点(G)に連通する機能と、
第1の蒸留水貯留槽(51)中の蒸留水の汚染物質濃度(計測値或いは推定値)が基準値(R)以上である場合、或いは、第2の計測装置(612:水分析2)の計測結果及び第3の計測装置(613:水分析3)の計測結果に基いて演算される処理水と第1の蒸気圧縮凝縮装置(41)の蒸留水との混合水中の汚染物質濃度(D1´:推定値)が基準値(R)以上である場合に、蒸留水排出系統(L41、L51r)の蒸留水貯留槽(51)よりも下流側(L51r)を、浸出水貯留槽に連通する機能と、
第2の蒸留水貯留槽(52)中の蒸留水の汚染物質濃度(計測値或いは推定値)が基準値(R)未満である場合、或いは、第2の計測装置(612:水分析2)の計測結果及び第4の計測装置(614:水分析4)の計測結果に基いて演算される処理水と第2の蒸気圧縮凝縮装置(42)の蒸留水との混合水中の汚染物質濃度(D2´:推定値)が基準値(R)未満である場合に、第2の蒸気圧縮凝縮装置(42)の蒸留水排出系統(L42、L52)の第2の蒸留水貯留槽(52)よりも下流側(L52)を、処理水排出系統(L2、L3)の処理水貯留槽(3)の下流側(L3)における合流点(G)に連通する機能と、
第2の蒸留水貯留槽(52)中の蒸留水の汚染物質濃度(計測値或いは推定値)が基準値(R)以上である場合、或いは、第2の計測装置(612:水分析2)の計測結果及び第4の計測装置(614:水分析4)の計測結果に基いて演算される処理水と第2の蒸気圧縮凝縮装置(42)の蒸留水との混合水中の汚染物質濃度(D2´:推定値)が基準値(R)以上である場合に、蒸留水排出系統(L42、L52r)の蒸留水貯留槽(52)よりも下流側(L52r)を、浸出水貯留槽(1)に連通する機能と、
浸出水貯留槽(1)から逆浸透膜装置(2)に供給される浸出水と第1の蒸気圧縮凝縮装置(41)に供給される浸出水との割合(W:比率)を変動する機能と、
(所定の時点における)第1の蒸気圧縮凝縮装置(41)の揮発性汚染物質除去率(X:負荷除去率)を演算する機能と、
(所定の時点における)第2の蒸気圧縮凝縮装置(42)の揮発性汚染物質除去率(Y:負荷除去率)を演算する機能と、
を有している(図9、図10)。
【発明の効果】
【0017】
上述する構成を具備する本発明によれば、逆浸透膜装置(2)の濃縮水を蒸気圧縮凝縮装置(4:VCC)で蒸留することにより、発生した蒸留水中の汚染物質濃度を、放流可能なレベルまで減少することが可能となる。
そして、本発明によれば、逆浸透膜装置(2)の濃縮水を、放流の基準値(R)を満たしつつ、出来る限り放流可能にすることができて、濃縮水処理に要するエネルギーを節約することが出来る。
【0018】
本発明の浸出水処理システムによれば、濃縮水処理においては、従来方式の三重効用蒸発缶よりもエネルギー効率が2倍以上高く、システム全体の構成がシンプルなため、初期コスト、機械室スペース、ランニングコスト、エネルギー負荷(CO2を含む)が全て低減される。また、各構成がシンプルな構造なので、運転が簡単(補助機器が圧倒的に少ない)で、複雑な制御に耐えられる。
【0019】
ここで蒸気圧縮凝縮装置(4)を1機だけ用いる場合(図1〜図6)において、浸出水の一部が蒸気圧縮凝縮装置(4)に直接供給される場合(図1、図2、図5、図6)には、蒸気圧縮凝縮装置(4)は、逆浸透膜装置(2)と蒸気圧縮凝縮装置(4)への浸出水処理量の振り分けに拘わらず、一定の揮発性負荷を受け持つことになる。蒸気圧縮凝縮装置(4)における負荷除去率を一定とすれば、蒸気圧縮凝縮装置(4)で直接処理する量が大きいほど、蒸気圧縮凝縮装置(4)で処理する水の揮発性負荷濃度が低くなり、直接放流基準を満たす可能性が高くなる。
しかし、蒸留水における揮発性負荷濃度が放流基準を超えてしまうと、当該蒸留水を膜処理に戻さねばならなくなり、運転負荷が不連続に増大する。そのため、データを蓄積して、負荷除去率をフィードバックしつつ、VCCの凝縮水が放流可能となる量が最大となるように制御する必要がある。
【0020】
本発明では、浸出水原水、処理水、蒸留水の量と水質(上記有機性負荷)を常時監視しており、除去率を定期的に計算して、水量を割り当て制御フィードバックする。そして、放流基準を満たせる濃度かどうかを判定して、逆浸透膜装置(2)に導くか、蒸気圧縮凝縮装置(4)に導くかを決める(図5、図6)。
蒸留水あるいは混合水の濃度が規制値を満たすなら、蒸気圧縮凝縮装置(4)処理を増加させ、満たさないなら低減する様に制御を行なうことで、蒸気圧縮凝縮装置(4)で処理するべき浸出水の量を可能な限り増加し、以って、逆浸透膜装置(2)の寿命を延命しつつ、消費するエネルギーを節約することが出来る。
その結果、浸出水処理に関わる電力・燃料消費量を低減して環境負荷とコストダウンを図ることが可能となる。
【0021】
また、ここで蒸気圧縮凝縮装置(4)を1機だけ用いる場合(図1、図3〜図6)において、逆浸透膜装置(2)の濃縮水のみが蒸気圧縮凝縮装置(4)に供給される場合(図3、図4)には、蒸気圧縮凝縮装置(4)の蒸留水における揮発性汚染物質濃度により、当該蒸留水を直接放流できる場合と、できない場合が存在する。
上述した本発明(図3、図4)では、蒸気圧縮凝縮装置(4)の蒸留水を直接放流せずに、蒸留水貯留槽(5)で貯留して汚染物濃度を分析し、放流可能かどうかを判断している。
この際に、浸出水処理システム全体で見た場合に、仮に蒸気圧縮凝縮装置(4)の蒸留水中の揮発性汚染物質濃度が高くても、システム全体で処理した浸出水の8割を占める逆浸透膜装置(2)の処理水における揮発性汚染物質濃度が低ければ、蒸気圧縮凝縮装置(4)の蒸留水と逆浸透膜装置(2)の処理水を混合した際に、放流の基準を満たしていれば、放流することが可能になる。
そして、蒸気圧縮凝縮装置(4)の蒸留水と逆浸透膜装置(2)の処理水を混合して放流することが出来れば、蒸気圧縮凝縮装置(4)の蒸留水を逆浸透膜装置(2)に戻す必要がなくなり、浸出水処理量を増加させて、逆浸透膜装置(2)の処理量を減少することが出来る。
【0022】
本発明において、蒸気圧縮凝縮装置(41、42)を2機設け、2機の蒸気圧縮凝縮装置(41、42)で生じる蒸留水を単一の蒸留水貯留槽(5)で貯留する場合(図7、図8)では、蒸気圧縮凝縮装置(41)と蒸気圧縮凝縮装置(42)を同時に稼動させることも出来るし、何れか一方のみを稼動させることも可能である。
そのため、一方の蒸気圧縮凝縮装置が故障しても、或いはメンテナンス等により稼動を中止しても、他方を稼動することにより、浸出水処理システムの運転を中止すること無く、連続することが出来る。
また、浸出水貯留槽(1)及び蒸留水貯留槽(5)を比較的大きく設定すれば、短期的な負荷変動が小さい場合、蒸気圧縮凝縮装置(41)と蒸気圧縮凝縮装置(42)の処理量の比を一定にすれば、その条件下での負荷除去率を求めることが可能となる。
【0023】
さらに本発明において、蒸気圧縮凝縮装置(41、42)を2機設け、各々の蒸気圧縮凝縮装置(41、42)に対応する蒸留水貯留槽(51、52)を用いる場合(図9、図10)においては、浸出水を直接処理する系統(蒸気圧縮凝縮装置41と蒸留水貯留槽51)と、濃縮水を処理する系統(蒸気圧縮凝縮装置42と蒸留水貯留槽52)がある場合、濃度の観点から放流が可能となる可能性が高いのは浸出水を直接処理する系統(蒸気圧縮凝縮装置41と蒸留水貯留槽51)における蒸留水である。
上述した本発明(図9、図10)では、逆浸透膜装置(2)の処理量を必要最小限として、揮発性汚染物質濃度が低いと推測される蒸気圧縮凝縮装置(41)と蒸留水貯留槽(51)の系統で主に処理する様に制御することにより、システム全体の信頼性と効率的な運転の両立が可能となる。すなわち、蒸気圧縮凝縮装置(41)による処理を優先し、蒸気圧縮凝縮装置(42)の蒸留水濃度が非常に低い場合や、逆浸透膜装置(2)の処理水がさらなる希釈に使う余裕がある場合等、余裕があれば蒸気圧縮凝縮装置(42)及び蒸留水貯留槽(52)側における処理を追加すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1実施形態を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態における処理手順を示すフローチャートである。
【図3】本発明の第2実施形態を示すブロック図である。
【図4】第2実施形態における処理手順を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第3実施形態を示すブロック図である。
【図6】第3実施形態における処理手順を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第4実施形態を示すブロック図である。
【図8】第4実施形態における三方弁及び開閉弁の開閉制御を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第5実施形態を示すブロック図である。
【図10】第5実施形態における処理手順を示すフローチャートである。
【図11】エゼクタ−付きの三重効用蒸発缶の構成を示したレイアウト図である。
【図12】蒸気圧縮凝縮装置による汚染物質の除去率を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1、図2は、本発明の第1実施形態を示している。
図1において、全体を符号101で示す浸出水処理システムは、逆浸透膜装置2と、蒸気圧縮凝縮装置(VCC)4と、計測装置60と、制御装置10とを備えている。
図示しない埋立地(埋立処分場)、廃棄物処分場等から発生した浸出水は、ラインL10を流れ、分岐点Bで蒸気圧縮凝縮装置4に連通するラインL14(流量Q1)と、逆浸透膜装置2に連通するラインL20(流量Q2)とに分岐する。
【0026】
ラインL20(流量Q2)を介して逆浸透膜装置2に流入した浸出水は、逆浸透膜装置2で処理され、逆浸透膜装置2の処理水は、ラインL22を流下する。
一方、ラインL14(流量Q1)を介して蒸気圧縮凝縮装置4に流入した浸出水は、蒸気圧縮凝縮装置4で処理され、蒸気圧縮凝縮装置4で発生した蒸留水(凝縮水)は、ラインL44を流下する。
ラインL22とラインL44とは、合流点Gで合流ラインL60に合流する。
浸出水を逆浸透膜装置2で処理して生じた濃縮水は、ラインL24を介して圧縮凝縮装置4に供給される。
ラインL14には流量制御弁Vcが介装され、ラインL20には流量制御弁Vdが介装されている。
合流ラインL60には取水アダプタ60Aが介装されており、その取水アダプタ60Aは、計測装置60と接続されている。
【0027】
浸出水処理システム101は制御装置10を備え、制御装置10は入力信号ラインSiによって計測装置60と接続し、制御信号ラインSoによって流量制御弁Vc及び流量制御弁Vdと接続している。
ラインL14の流量Q1及びラインL20の流量Q2は、それぞれラインL14、L20に介装された流量制御弁Vc、Vdの弁開度により決定される。
【0028】
上述した様に、逆浸透膜装置2において、処理されて清浄化された水(処理水:逆浸透膜装置2に供給された流量Q2の例えば約8割)はラインL22を流れる。一方、揮発性汚染物質を含む汚染物質が濃縮された濃縮水(Q2の例えば約2割)は、ラインL24を介して、蒸気圧縮凝縮装置VCCで処理される。
蒸気圧縮凝縮装置4で蒸発して凝縮した凝縮水(蒸留水)は、ラインL44を流れ、合流点Gで、ラインL22を流れる処理水(逆浸透膜装置2において清浄化処理された水)と合流する。合流の結果、蒸気圧縮凝縮装置4の凝縮水は希釈されて、汚染物質濃度が低下する。
【0029】
計測装置60では、蒸気圧縮凝縮装置4の凝縮水と逆浸透膜装置2の処理水とが混合した水の、揮発性汚染物質濃度が計測される。そして、計測装置60による計測結果は、制御装置10に送られる。
制御装置10は、計測装置60の計測結果に基いて、図2を参照して後述する制御に従って、流量制御弁Vc、Vdの弁開度を決定する。
【0030】
図1で示す第1実施形態における浸出水処理の手順を、主として図2を参照して説明する。
図1の処理システム101では、蒸気圧縮凝縮装置4の方が、逆浸透膜装置2よりも耐久性が高く、省エネルギー性にも優れている。そのため、浸出水は出来る限りラインL14に流して(流量Q1を大きくして)、蒸気圧縮凝縮装置4における処理量を多くする。
ここで、図2における処理手順では、蒸気圧縮凝縮装置4側に供給される浸出水の流量Q1と、逆浸透膜装置2側に供給される浸出水の流量Q2が決定すれば、係る流量Q1、Q2に対応して、流量制御弁Vc、Vdの弁開度が一義的に決定される。
【0031】
図2において、ステップS1では、処理システム101で浸出水を受け入れる。そして、ステップS2において、処理システム101の浸出水処理を開始した直後の時点では、ラインL14の流量Q1を100%、ラインL20の流量Q2を0%に、(仮に)設定する。
次のステップS3では、ラインL60を流れる水、すなわち、蒸気圧縮凝縮装置4の凝縮水と逆浸透膜装置2の処理水とが混合した水の揮発性物質の濃度を、計測装置60によって計測する。
【0032】
ステップS4において、制御装置10は、当該濃度が基準値(例えば、法規で定められた規制値)未満であるか否かを判断する。当該濃度が基準値未満であれば(ステップS4がYES)、ステップS5に進み、基準値以上であれば(ステップS4がNO)、ステップS6に進む。
ステップS5(浸出水における揮発性汚染物質濃度が法規で定められた基準値未満の場合)では、Q1=100%、Q2=0%の場合を除き、蒸気圧縮凝縮装置4側に供給する浸出水の流量Q1を、所定流量ΔQだけ増加し、逆浸透膜装置2側に供給される浸出水の流量Q2は、所定流量ΔQだけ減少する。そしてステップS7に進む。
【0033】
耐久性が高く、省エネルギー性にも優れている蒸気圧縮凝縮装置4における処理量を多くするため、ステップS5では、浸出水における揮発性汚染物質濃度が法規で定められた基準値未満の場合には、蒸気圧縮凝縮装置4側に供給する浸出水の流量Q1を増加する。
ここで、所定流量ΔQは、処理システム101の処理能力その他の仕様、浸出水の性状、その他の各種条件によって、ケース・バイ・ケースに決定されるべき数値である。
【0034】
一方、ステップS6では、浸出水における揮発性汚染物質濃度が法規で定められた基準値以上であり、蒸気圧縮凝縮装置4側に供給する浸出水の流量Q1を所定流量ΔQだけ減少させ、逆浸透膜装置2側に供給される浸出水の流量Q2は、所定流量ΔQだけ増加する。
そしてステップS7に進む。
逆浸透膜装置2側に供給される浸出水の流量Q2を増加すれば、揮発性汚染物質濃度が低く、清浄な処理水量が増加するので、蒸気圧縮凝縮装置4の凝縮水と逆浸透膜装置2の処理水とが混合した水の揮発性物質濃度が低下する。そのため、ステップS6では、逆浸透膜装置2側の流量Q2を増加している。
【0035】
ステップS7において、制御装置10は、蒸気圧縮凝縮装置4側に供給する浸出水の流量Q1が0%であるか否か(逆浸透膜装置2側に供給される浸出水の流量Q2が100%に達したか否か)を判断する。
蒸気圧縮凝縮装置4側に供給する浸出水の流量Q1が0%であれば(ステップS7がYES)、蒸気圧縮凝縮装置4の凝縮水と逆浸透膜装置2の処理水とが混合した水の揮発性物質濃度を計測し(ステップS8)、ステップS10に進む。
蒸気圧縮凝縮装置4側に供給する浸出水の流量Q1が0%でなければ(ステップS7がNO)、蒸気圧縮凝縮装置4の凝縮水と逆浸透膜装置2の処理水とが混合した水の揮発性物質濃度を計測し、ステップS12に進む。
【0036】
ステップS10において、制御装置10は、蒸気圧縮凝縮装置4の凝縮水と逆浸透膜装置2の処理水とが混合した水の揮発性物質濃度が基準値未満であるか否かを判断する。当該濃度が基準値未満であれば(ステップS10がYES)、ステップS12に進む。
ステップS12では、制御を終了するか、或いは、制御を続行するかを判断する。制御を続行するのであれば(ステップS12がNO)、ステップS4まで戻る。そして、ステップS4以降を繰り返す。ステップS12が「YES」であれば、制御が終了する。
ステップS10において、揮発性物質濃度が基準値以上であれば(ステップS10がNO)、浸出水の全量を逆浸透膜装置2側に供給しても、逆浸透膜装置2の処理水中の汚染物質濃度が基準値以上であることを意味している。そのような状態では、浸出水における汚染物質濃度が高過ぎるので、図1で示す処理システム101では浄化処理することが不可能であると判断する(ステップS11)。
【0037】
図1、図2の第1実施形態によれば、浸出水の一部(Q1=100%であれば浸出水の全量)を蒸気圧縮凝縮装置4で処理すると共に、逆浸透膜装置2の濃縮水を蒸気圧縮凝縮装置4で処理して、浸出水を可能な限り蒸気圧縮凝縮装置4で処理している。また、蒸気圧縮凝縮装置4の蒸留水と逆浸透膜装置2の処理水とを合流して放流することにより、蒸気圧縮凝縮装置4で発生した蒸留水(凝縮水)中の汚染物質濃度を、放流可能なレベルまで減少することが可能となる。
そして、逆浸透膜装置2の濃縮水を、基準値(R)を満たしつつ、出来る限り放流することが可能であるため、濃縮水処理に要するエネルギーを節約することが出来る。
【0038】
また、発明者の試算によれば、図11を参照して上述した従来の三重効用蒸発缶に比較して、図1、図2の第1実施形態におけるエネルギー効率は2倍以上高く、システム全体の構成がシンプルなため、初期コスト、機械室スペース、ランニングコスト、エネルギー負荷(CO2を含む)が全て低減される。
そして、各構成がシンプルで、補助機器が極めて少ないため、運転が簡単で、複雑な制御に耐えることが出来る。
【0039】
図3、図4は、本発明の第2実施形態を示している。
図3において、全体を符号102で示す浸出水処理システムは、浸出水貯留槽1と、逆浸透膜装置2と、処理水貯留槽3と、蒸気圧縮凝縮装置(VCC)4と、蒸留水貯留槽5と、第1の分析装置61と、第2の分析装置62と、消毒装置7と、制御装置10とを備えている。
図3、図4の第2実施形態では、浸出水は全て逆浸透膜装置2側に供給される。すなわち、図1において、常にQ1=0%、Q2=100%の状態で運転されている。換言すれば、図1において、逆浸透膜装置2の濃縮水のみが、ラインL24を介して、蒸気圧縮凝縮装置4に供給される状態で運転されている。
図3において、蒸気圧縮凝縮装置4側に供給される逆浸透膜装置2の濃縮水は、例えば、逆浸透膜装置2に供給された浸出水の20%である。
【0040】
図示しない埋立地(埋立処分場)、廃棄物処分場等から発生した浸出水は、浸出水貯留槽1に貯留される。
浸出水貯留槽1と逆浸透膜装置2とは、浸出水供給ラインL1によって接続されている。
逆浸透膜装置2の処理水は、処理水排出ラインL2を介して、処理水貯留槽3に貯留される。そして、処理水貯留槽3と合流点Gとは、処理水排出ラインL3によって接続されている。
逆浸透膜装置2で生じた濃縮水は、濃縮水排出ラインL24を介して、蒸気圧縮凝縮装置(VCC)4に供給される。
【0041】
蒸気圧縮凝縮装置(VCC)4で生じた蒸留水(或いは凝縮水)は、蒸留水排出ラインL4により蒸留水貯留槽5に供給され、貯留される。蒸留水貯留槽5と合流点Gとは、流量制御弁Vaを介装した蒸留水排出ラインL5によって接続されている。
処理水排出ラインL3と蒸留水排出ラインL5とは、合流点Gにおいて、消毒機構7を介装したラインL6に合流する。
消毒機構7は、放流される水(逆浸透膜装置2からの処理水と、蒸留水貯留槽5からの蒸留水を混合した水)の中に含まれている汚染物質、特に生物学的汚染物質を無害化するため、当該水に消毒液を供給している。
【0042】
蒸留水貯留槽5と浸出水貯留槽1とは、図示しない搬送ポンプを介装した蒸留水戻しラインL5rによって接続されている。
図3における「放流」は、特定の機器を示すのではなく、逆浸透膜装置2からの処理水と、蒸気圧縮凝縮装置4からの蒸留水を混合した水を放流する旨を示している。
【0043】
蒸留水貯留槽5には、第1の水分析装置61が設けられ、蒸留水貯留槽5内の蒸留水の水質(揮発性汚染物質濃度:C1)及び水量V1を分析・計測している。そして、その計測結果は、入力信号ラインSiによって制御装置10に送信される。
後述するように、蒸留水貯留槽5は、蒸気圧縮凝縮装置4からの蒸留水(凝縮水)を放流する(合流点Gで逆浸透膜装置2からの処理水と混合して放流する場合を含む)ことが可能な場合には、蒸留水貯留槽5に貯留された蒸留水を、ラインL5に流す機能を有している。
また、蒸留水貯留槽5は、貯留されている蒸留水が放流出来ない場合(合流点Gで逆浸透膜装置2からの処理水と混合しても放流出来ない場合を含む)には、図示しない搬送ポンプを作動させて、蒸留水貯留槽5に貯留された蒸留水を、ラインL5rを経由して浸出水貯留槽1に戻す機能を有している。
【0044】
処理水貯留槽3には、第2の水分析装置62が設けられ、処理水貯留槽3内の処理水の水質(揮発性汚染物質濃度:C2)及び水量V2を分析・計測している。そして、その計測結果は、入力信号ラインSiによって制御装置10に送信される。
そして、合流点Gで、逆浸透膜装置2からの処理水と、蒸留水貯留槽5からの蒸留水を合流して、混合した際に、混合した水の揮発性汚染物質濃度が基準値を上回るか否かを判断するためのデータとして活用される。
【0045】
以下、図3、図5、図7、図9において、各ラインの下、或いはライン近傍に付した符号は、浸出水における揮発性汚染物質濃度をC0とした場合の、各ラインを流れる水の揮発性負荷量を示している。
また、図3、図5、図7、図9において、各ラインの下、或いはライン近傍に付した[]内の数値、或いは[]内において符号「W」を含む数値は、浸出水貯留槽から出る水量を1.0とした場合の、水量を示している。
ここで、符号「X」、「Y」は、蒸気圧縮凝縮装置4の負荷除去率(揮発性汚染物質除去率)である。
【0046】
図3、図4の第2実施形態において、説明の簡略化のため、逆浸透膜装置2では処理された浸出水の80%が清浄な処理水として処理水貯留槽3に送られ、処理された浸出水の20%が濃縮水(揮発性汚染物質が濃縮され、その濃度が高い水)として蒸気圧縮凝縮装置4に供給されるものと仮定する。
図3において、逆浸透膜装置2における「処理水80%」、「濃縮水20%」という表記は、逆浸透膜装置2の機器或いはブロックを表示するものではなく、係る比率を表示したものである。
【0047】
また、蒸気圧縮凝縮装置4では、処理水の99%が蒸発し、凝縮して蒸留水或いは凝縮水として蒸留水貯留槽に送られ、処理水の1%が塩その他の固形物として、(蒸気圧縮凝縮装置4において)濃縮水から分離されるものとする。
図3において、蒸気圧縮凝縮装置4において「固形物1%」、「蒸留水99%」という表記も、蒸気圧縮凝縮装置4の機器或いはブロックを表示するものではなく、蒸発し、凝縮して蒸留水として蒸留水貯留槽に送られる蒸留水と、蒸気圧縮凝縮装置4において濃縮水から分離される塩等の固形物との比率を表示したものである。
なお、蒸気圧縮凝縮装置4において濃縮水から分離される塩等の固形物は、蒸気圧縮凝縮装置4から取り出されて、図示しない貯溜施設で貯蔵される。
もちろん、逆浸透膜装置2における「80%」、「20%」という数値と、蒸気圧縮凝縮装置4における「99%」、「1%」という数値は、あくまでも例示であり、実機では、種々の条件により、ケース・バイ・ケースで定まる。
【0048】
制御装置10は、第1の水分析装置61で計測された蒸留水の汚染物質濃度が基準値(R)未満である場合、或いは、処理水と蒸留水との混合水中の汚染物質濃度が基準値(R)未満である場合に、ラインL5を、合流点Gに連通させる機能を有している。「混合水中の汚染物質濃度」は、第1の水分析装置61の計測結果と、第2の水分析装置62の計測結果に基づいて、演算される。
また、制御装置10は、第1の水分析装置61で計測された蒸留水の汚染物質濃度が基準値(R)以上である場合、或いは、第1の水分析装置61の計測結果及び第2の水分析装置62の計測結果に基づいて演算される処理水と蒸留水との混合水中の汚染物質濃度が基準値(R)以上である場合に、蒸留水貯留槽5と浸出水貯留槽1とを、ラインL5rで連通させ、図示しない搬送ポンプによって蒸留水貯留槽5内の水を浸出水貯留槽1に送る機能を有している。
【0049】
図3で示す浸出水処理システム102における浸出水処理の手順を、主として図4のフローチャートを参照して説明する。
浸出水処理システム102における浸出水処理の手順は、処理システム101内に全く水が存在しない状態から行なわれるものではなく、浸出水、処理水、濃縮水、蒸留水が存在する状態から行なわれる。そして、浸出水処理を行なっている間に、ラインL5rで浸出水貯留槽1に戻される蒸留水量が出来る限り少なくなる様に、制御される。
図4のステップS21において、蒸留水貯留槽5における蒸気圧縮凝縮装置4からの蒸留水における揮発汚染物質濃度C1と蒸留水量V1が計測される。
【0050】
ステップS22において、制御装置10は、第1の分析装置61から送られた情報によって、蒸気圧縮凝縮装置4で生じた蒸留水における揮発性汚染物質濃度(分析値C1)が、規制値R未満であるか否かを判断する。
ここで、規制値Rは、法規で定められた揮発性汚染物質濃度の規制値(上限値)を示しており、揮発性汚染物質濃度が規制値R未満であれば、放流することが可能である。
ステップS22において、揮発性汚染物質濃度(分析値C1)が規制値R未満であれば(ステップS22がYES)、ステップS23に進む。
ステップS23では、流量制御弁Vaを操作して、蒸留水貯留槽5から合流点Gに向けて蒸留水を流し、ラインL3を流れる逆浸透膜装置2からの処理水と合流させて、放流する(ステップS24)。
【0051】
一方、蒸気圧縮凝縮装置4からの蒸留水における揮発性汚染物質濃度(分析値C1)が規制値R以上であれば(ステップS22がNO)、ステップS25に進む。
ステップS25では、制御装置10は、希釈放流の可能性を判断する。すなわち、蒸気圧縮凝縮装置4からの蒸留水が、逆浸透膜装置2からの処理水と合流して混合した状態で(希釈した状態で)、放流することが可能か否かを判断する。
仕様条件によっては、逆浸透膜装置2からの処理水と合流して混合した状態で(希釈した状態で)揮発性汚染物質の濃度が規制値R未満になったとしても、蒸留水が単独で規制値R未満でなければ、放流することができない場合があるからである。
なお、ステップS25のように、逆浸透膜装置2からの処理水と合流すれば規制値R未満となったとしても、蒸気圧縮凝縮装置4からの蒸留水における揮発性汚染物質濃度(C1)が規制値R以上の場合には放流することが出来ない場合に該当するか否かを判断する工程は、図5〜図10を参照して後述する各実施形態においても存在する。
【0052】
逆浸透膜装置2からの処理水と合流して混合した状態で(希釈した状態で)揮発性汚染物質の濃度が規制値R未満になれば放流することが出来る(希釈放流の可能性がある)場合には(ステップS25がYES)、ステップS26に進み、第2の分析装置62によって、処理水貯留槽3内の処理水の揮発性汚染物質濃度(分析値C2)を分析し、水量V2を計測する。
そして、ステップS27において、制御装置10は、希釈後の平均濃度Dを計算する。希釈後の平均濃度Dは、逆浸透膜装置2からの処理水と、蒸留水貯留槽5からの蒸留水を混合した後において、当該混合された水における揮発性汚染物質の濃度(推定値)を示している。
希釈後の平均濃度Dは、次式によって演算される。
D=(C1・V1+C2・V2)/(V1+V2)
【0053】
希釈後の平均濃度Dを計算したならばステップS28に進み、平均濃度Dが規制値R未満か否かを判断する。
平均濃度Dが規制値R未満であれば(ステップS28がYES)、ステップS23に進み、逆浸透膜装置2からの処理水と合流させて、放流する(ステップS24)。
一方、平均濃度Dが規制値R以上であれば(ステップS28がNO)、蒸留水貯留槽5内の蒸留水を、図示しない搬送ポンプにより、ラインL5rを介して浸出水貯留槽1に戻す。そして、再び逆浸透膜装置2による処理からやり直す(ステップS29)。
【0054】
ステップS25において、希釈放流の可能性が無い場合(ステップS25がNO)、すなわち、施主の意向等により、逆浸透膜装置2からの処理水と合流して混合した状態で(希釈した状態で)揮発性汚染物質の濃度が規制値R未満になったとしても、蒸留水が単独で規制値R未満でないと放流することができない場合には、ステップS29に進み、蒸留水貯留槽5内の蒸留水をラインL5rを介して浸出水貯留槽1に戻し、再び逆浸透膜装置2による処理からやり直す(ステップS29)。
図3、図4の第2実施形態におけるその他の構成及び作用効果は、図1、図2の第1実施形態と同様である。
【0055】
次に、図5、図6を参照して、本発明の第3実施形態を説明する。
図5、図6の第3実施形態は、図1、図2の第1実施形態における各種構成や手順を具体的に特定する内容である。
図3、図4の浸出水処理システム102では浸出水の全量が逆浸透膜装置2に供給されているのに対して、図5において全体を符号103で示す浸出水処理システムは、浸出水貯留槽1から浸出水が流出するラインが途中で分岐しており、逆浸透膜装置2と蒸気圧縮凝縮装置4との双方に浸出水貯留槽1から浸出水が供給されている。
【0056】
浸出水貯留槽1には、第1の分析装置611が設けられ、浸出水における揮発性汚染物質濃度C1、浸出水量V1を計測している。
処理水貯留槽3には第2の分析装置612が設けられ、逆浸透膜装置2からの処理水における揮発性汚染物質濃度C2、浸出水量V2を計測している。
蒸留水貯留槽5には第3の分析装置613が設けられ、蒸気圧縮凝縮装置4からの蒸留水における揮発性汚染物質濃度C3、浸出水量V3を計測している。
第1〜第3の分析装置611〜613の計測結果は、入力信号ラインSiによって制御装置10におくられて、蒸気圧縮凝縮装置4からの蒸留水を(合流点Gを経由して)放流するか、或いは、ラインL5rを介して浸出水貯留槽1に戻すかを判断するためのデータとして活用される。係る判断については、図6を参照して後述する。
【0057】
図5において、符号「W」は、浸出水貯留槽1から、逆浸透膜装置2或いは蒸気圧縮凝縮装置4に供給される単位流量の浸出水の内、逆浸透膜装置2へ供給される割合(比率:按分率)である。
図6を参照して後述する様に、係る比率Wは、処理手順の初期段階では適当な数値が仮に決定され、浸出水処理が進行するに連れて、最適な処理を行なうために特定の数値に収束する。
蒸気圧縮凝縮装置4における負荷除去率(揮発性汚染物質除去率X)も同様であり、処理手順の初期段階では適当な数値が仮に決定され、浸出水処理が進行するに連れて、最適な処理を行なうために特定の数値に収束する。
【0058】
図5で示す第3実施形態における浸出水処理の手順を、主として図6を参照して説明する。
図6で示す浸出水処理の制御も、処理システム103内に全く水が存在しない状態から行なわれるものではなく、浸出水、処理水、濃縮水、蒸留水が存在する状態から行なわれる。
【0059】
図6の制御も、処理システム103の運転を続行するにつれて、安定して、各種数値も一定値に収束する。上述した様に、浸出水貯留槽1から、逆浸透膜装置2或いは蒸気圧縮凝縮装置4に供給される単位流量の浸出水の内、逆浸透膜装置2へ供給される割合(比率)Wと、蒸気圧縮凝縮装置4における負荷除去率(揮発性汚染物質除去率)Xは、制御当初は適当に決定(いわゆる「仮決め」)した数値で運転を行う。
そして、浸出水処理システム103全体における放流量が、可能な限り多くなる様に、「W」の制御が進行する。
つまり、蒸気圧縮凝縮装置4からの蒸留水が、ラインL5rを介して浸出水貯留槽1に戻される事態が、出来る限り防止される様に(ラインL5rで浸出水貯槽1に戻される蒸留水量が出来る限り少なくなる様に、換言すれば、Wが出来る限り小さくなる様に)制御が進行する。
制御が進行することにより、逆浸透膜装置2へ供給される割合(比率)Wと、負荷除去率(揮発性汚染物質除去率)Xは、一定の数値に収束する。
【0060】
図6において、ステップS31では、浸出水貯留槽1内の浸出水の揮発性汚染物質濃度C1と水量V1とを分析・計量する。
ステップS32では、蒸気圧縮凝縮装置4の負荷除去率Xの設定及び按分率Wの設定を行う。上述した様に、このステップS32では、蒸気圧縮凝縮装置4の負荷除去率X及び按分率Wは、いわゆる「仮決め」がなされる。ただし、「X」は、図12においてプロットがA線の下方に位置する様にせしめるために、0.1〜0.5を初期値とするのが望ましい。
ステップS33に進み、制御装置10は、蒸留水貯留槽5内の蒸留水の揮発性汚染物質濃度D1を、以下の演算式によって推定する。
D1=C1(1-X)/(1−0.8W)
【0061】
ステップS34では、第1の分析装置611から送られた情報によって、ステップS33で求めた蒸留水貯留槽5内の蒸留水の揮発性汚染物質濃度(推定値)D1が規制値R未満であるか否かを判断する。
揮発性汚染物質濃度D1が規制値R未満であれば(ステップS34がYES)、ステップS35に進む。
ステップS35では、蒸留水貯留槽5内の蒸留水の放流は可能と判断すると共に、逆浸透膜装置2で処理するべき割合W(按分率)を、それまでの割合Wから所定量(ΔW)だけ減じた、W−ΔWに設定してステップS41に進む。
上述した通り、蒸気圧縮凝縮装置4における浸出水の処理量を、可能な限り多くしたいので、蒸留水貯留槽5内の蒸留水の揮発性汚染物質濃度D1が規制値R未満であれば、蒸気圧縮凝縮装置4における浸出水の処理量を多くするために、逆浸透膜装置2で処理するべき割合W(按分率)を減少するのである。
【0062】
一方、揮発性汚染物質濃度D1が規制値R以上であれば(ステップS34がNO)、ステップS36に進み、希釈放流が可能か否かを判断する。このステップS36は、図4におけるステップS25と同様な工程であり、蒸気圧縮凝縮装置4からの蒸留水が、逆浸透膜装置2からの処理水と合流して混合した状態で(希釈した状態で)、放流すること(希釈放流)が可能か否かを判断している。
換言すれば、逆浸透膜装置2からの処理水と合流して混合した状態で(希釈した状態で)揮発性汚染物質の濃度が規制値R未満になったとしても、蒸留水が単独で規制値R未満でなければ、放流することができない様な仕様条件であるか否かを判断している。
【0063】
ステップS36で、希釈放流が可能であれば(ステップS36がYES)、ステップS37に進む。一方、希釈放流が出来ない場合には(ステップS36がNO)、ステップS40まで進む。
【0064】
ステップS37では、制御装置10は、処理水貯留槽3に設けた第2の分析装置612で処理水貯留槽3内の処理水の揮発性汚染物質濃度C2及び処理水貯留槽3内の処理水量V2を分析・計量する。
そして、ステップS38において、合流点Gにおける希釈混合した混合水(蒸気圧縮凝縮装置4からの蒸留水と、逆浸透膜装置2からの処理水とが混合した水)の揮発性汚染物質濃度D2(推定値)を、以下の演算式によって演算する。
D2=C1(1−X)・(1−0.8W)+C2・0.8W
混合水の揮発性汚染物質濃度D2を演算したならばステップS39に進み、制御装置10は、混合水の揮発性汚染物質濃度D2が規制値R未満か否かを判断する。
【0065】
推定値D2が規制値R未満であれば(ステップS39がYES)、ステップS35で、蒸留水貯留槽5内の蒸留水は、逆浸透膜装置2からの処理水と合流して、希釈された状態であれば放流は可能であると判断する。それと共に、逆浸透膜装置2で処理するべき割合Wをそれまでの割合Wから所定量(ΔW)だけ減じた、W−ΔWに設定してステップS41に進む。
逆浸透膜装置2からの処理水で希釈することにより、蒸留水貯留槽5内の蒸留水を放流(希釈放流)することが出来るのであれば、蒸気圧縮凝縮装置4における浸出水の処理量をさらに多くしても問題はないと判断して、逆浸透膜装置2で処理するべき割合W(按分率)を減少するのである。
明確には図示されていないが、逆浸透膜装置2で処理するべき割合W(按分率)の減少は、例えば、ラインL12及びラインL14に図示しない流量制御弁を介装し、ラインL12の流量制御弁の弁開度を減少し、ラインL14の流量制御弁の弁開度を増加することにより行なう。
【0066】
一方、推定値D2が規制値R以上であれば(ステップS39がNO)、ステップS40で、蒸留水貯留槽5内の蒸留水の放流は希釈を行なっても不可能と判断する。それと共に、逆浸透膜装置2で処理するべき割合Wをそれまでの割合Wから所定量(ΔW)だけ増加させて、W+ΔWに設定してステップS41に進む。
逆浸透膜装置2の処理量を増加すれば、揮発性汚染物質濃度が低く、清浄な処理水の流量が増加して、蒸留水貯留槽5内の蒸留水と混合して希釈することにより、混合水の揮発性汚染物質濃度を低下することが出来る。そのため、逆浸透膜装置2で処理するべき割合W(按分率)を増加するのである。
逆浸透膜装置2で処理するべき割合W(按分率)の増加は、例えば、ラインL12に介装された流量制御弁(図示せず)の弁開度を増加し、ラインL14に介装された流量制御弁(図示せず)の弁開度を減少することにより行なう。
【0067】
ステップS41では、制御装置10は、逆浸透膜装置2で処理するべき割合Wを、ステップS40或いはステップS35で求めた新たな割合Wに設定し直す。
そして、ステップS42において、第3の分析装置613によって蒸留水貯留槽5内の蒸留水の揮発性汚染物質濃度C3及び蒸発水量V3を分析・計量する。
【0068】
ステップS43では、制御装置10は、蒸気圧縮凝縮装置4の負荷除去率Xの設定(演算)を行う。
図5のラインL4に記載されているように、蒸気圧縮凝縮装置4の蒸留水量は[1−0.8X]であり、揮発性汚染物質濃度は[C1(1−X)]となる。ここで、揮発性汚染物質濃度[C1]は第1の分析装置611で求められているので、第3の分析装置613で計測された蒸留水貯留槽5内の蒸留水の揮発性汚染物質濃度C3及び蒸発水量V3から、その時点における蒸気圧縮凝縮装置4の負荷除去率Xが演算されるのである。
【0069】
次のステップS44において、制御装置10は、新たに設定(演算)されたX、Wが、一定値に収束するか否かを判断する。
最終的にX、Wが一定値に収束したならば(ステップS44がYES)、X、Wが決定されたと判断する。
一方、X、Wが一定値に収束していなければ(ステップS44がNO)、ステップS33まで戻り、再びステップS33以降を繰り返す。
【0070】
図5、図6の第3実施形態では、浸出水(原水)、処理水、蒸留水において、各々の水量と水質(例えば、揮発性汚染物質負荷)を常時監視しており、(例えば、揮発性汚染物質の)除去率を定期的に計算して、水量の按分率Wを制御フィードバックする。そして、放流基準を満たせる濃度かどうかを判定して、浸出水をどのような割合で逆浸透膜装置2に導き、蒸気圧縮凝縮装置4に導くかを決定している。
そして、蒸留水あるいは混合水の濃度が規制値を満たす限り蒸気圧縮凝縮装置4における揮発水処理量を増加しているので、逆浸透膜装置2の処理量が減少して、その寿命を延命することが出来る。さらに、浸出水処理システム103全体におけるエネルギー消費量を低減することが出来る。
図5、図6の第3実施形態におけるその他の構成及び作用効果は、図3、図4の第2実施形態と同様である。
【0071】
次に、図7、図8を参照して、本発明の第4実施形態を説明する。
図7、図8の第4実施形態は、図5、図6の第3実施形態の変形に係る実施形態である。
図7において、全体を符号104で示す浸出水処理システムは、浸出水貯留槽1に貯留された浸出水が、蒸気圧縮凝縮装置と逆浸透膜装置2の双方に供給される点、逆浸透膜装置2の濃縮水が、蒸気圧縮凝縮装置に供給される点では、図5、図6の浸出水処理システム103と同様である。
しかし、図7の浸出水処理システム104では、蒸気圧縮凝縮装置として、ラインL14によって浸出水貯留槽1に連通している第1の蒸気圧縮凝縮装置41と、逆浸透膜装置2の濃縮水が流れるラインL242に連通している第2の蒸気圧縮凝縮装置42を備えている。
【0072】
図7、図8の第4実施形態においても、図5、図6の第3実施形態と同様に、浸出水貯留槽1から、逆浸透膜装置2或いは第1の蒸気圧縮凝縮装置41に供給される単位流量の浸出水の内、逆浸透膜装置2へ供給される割合(比率)が、符号Wで示されている。
そして、第1の蒸気圧縮凝縮装置41及び第2の蒸気圧縮凝縮装置42の各々における負荷除去率(揮発性汚染物質除去率)が、符号Xで示されている。ここで、第1の蒸気圧縮凝縮装置41及び第2の蒸気圧縮凝縮装置42の各々における負荷除去率(揮発性汚染物質除去率)Xは、同一の数値である。
【0073】
図7において、浸出水貯留槽1に貯留された浸出水が流れるラインL1は、分岐点Bにおいて、ラインL12とラインL14に分岐している。
ラインL14には流量制御弁Vb1が介装されており、第1の蒸気圧縮凝縮装置41に接続している。そしてラインL12は、逆浸透膜装置2と接続している。
第2の蒸気圧縮凝縮装置42は、三方弁Vb3を介装したラインL242によって逆浸透膜装置2と接続されている。ここで、ラインL242には、逆浸透膜装置2で発生した濃縮水が流れる。
三方弁Vb3の1箇所のポートは、バイパスラインL241を介して、第1の蒸気圧縮凝縮装置41に接続されている。換言すれば、第1の蒸気圧縮凝縮装置41は、ラインL242、三方弁Vb3、バイパスラインL241を介して、間接的に逆浸透膜装置2と接続されている。
流量制御弁Vb1及び三方弁Vb3は、制御信号ラインSoによって制御装置10と接続されている。
【0074】
第1の蒸気圧縮凝縮装置41で蒸発、凝縮された蒸留水は、ラインL41、合流点G2、ラインL43を介して、蒸留水貯留槽5に送られる。そして、第2の蒸気圧縮凝縮装置42で蒸発、凝縮された蒸留水は、ラインL42、合流点G2、ラインL43を介して、蒸留水貯留槽5に送られる。
換言すれば、第1の蒸気圧縮凝縮装置41及び第2の蒸気圧縮凝縮装置42は、共に、蒸留水貯留槽5に連通している。
【0075】
ラインL242に介装されている三方弁Vb3は、通常時は、逆浸透膜装置2側のポートと、第2の蒸気圧縮凝縮装置42側のポートが開放されており、バイパスラインL241側(第1の蒸気圧縮凝縮装置41側)のポートは閉鎖している。
そのため、通常時においては、逆浸透膜装置2の濃縮水は、第2の蒸気圧縮凝縮装置42に供給される。
図7で示す第4実施形態における浸出水処理の手順は、図6のフローチャートで示した第3実施形態の浸出水処理の手順と同様である。
【0076】
ここで、故障の修理やメンテナンス作業等で第2の蒸気圧縮凝縮装置42が使用出来ない場合には、三方弁Vb3の逆浸透膜装置2側のポートと、バイパスラインL241側(第1の蒸気圧縮凝縮装置41側)のポートを開放して、第2の蒸気圧縮凝縮装置42側のポートを閉鎖する。
その場合には、逆浸透膜装置2の濃縮水は、三方弁Vb3、バイパスラインL241を介して第1の蒸気圧縮凝縮装置41に供給されるので、図5、図6で示す処理ユニット103と同様なレイアウトになる。
逆浸透膜装置2の濃縮水は、三方弁Vb3、バイパスラインL241を介して第1の蒸気圧縮凝縮装置41に供給される状態であれば、浸出水処理システム104における浸出水処理を続行しつつ、第2の蒸気圧縮凝縮装置42における故障の修理やメンテナンス作業等を行うことが出来る。
【0077】
一方、(故障の修理やメンテナンス作業等で)第1の蒸気圧縮凝縮装置41が使用出来ない場合には、通常時と同様に、逆浸透膜装置2側のポートと、第2の蒸気圧縮凝縮装置42側のポートを開放し、バイパスラインL241側(第1の蒸気圧縮凝縮装置41側)のポートを閉鎖する。また、分岐点Bと第1の蒸気圧縮凝縮装置41を連通するラインL14に設けた開閉弁Vb1を閉鎖する。
その様にすれば、図3、図4で示す処理ユニット102と同様なレイアウトになり、浸出水処理システム104による処理を続行しつつ、第1の蒸気圧縮凝縮装置41における故障の修理やメンテナンス作業等を行うことが出来る。
【0078】
次に、図7で示す第4実施形態において、通常時、第1の蒸気圧縮凝縮装置41或いは第2の蒸気圧縮凝縮装置42が使用出来ない場合のそれぞれにおける三方弁Vb3、開閉弁Vb1の開閉制御について、図8に基づいて説明する。
【0079】
図8において、ステップS51では、制御装置10は、浸出水処理システム104が通常運転をしているのか、第1の蒸気圧縮凝縮装置41の稼動を中止しているのか、それとも第2の蒸気圧縮凝縮装置42の稼動を中止しているのかを判断する。
浸出水処理システム104が通常運転をしているのであれば(ステップS51で「通常」)、ステップS52に進み、三方弁Vb3における第2の蒸気圧縮凝縮装置42側のポートを開放し、バイパスラインL241側を閉鎖し、ラインL14の開閉弁Vb1を開放する。そして、再びステップS51以降を繰り返す。
【0080】
第1の蒸気圧縮凝縮装置41の稼動が中止している場合(ステップS51で「VCC1運転中止」)には、ステップS53に進み、三方弁Vb3における第2の蒸気圧縮凝縮装置42側のポートを開放して、バイパスラインL241側を閉鎖し、ラインL14の開閉弁Vb1を閉鎖する。そして、再びステップS51以降を繰り返す。
第2の蒸気圧縮凝縮装置42の稼動が中止している場合(ステップS51で「VCC2運転中止」)には、ステップS54に進み、三方弁Vb3における第2の蒸気圧縮凝縮装置42側のポートを閉鎖して、バイパスラインL241側を開放し、ラインL14の開閉弁Vb1を閉鎖する。すなわち、第2の蒸気圧縮凝縮装置42の稼動が中止(ステップS51で「VCC2運転中止」)すると、第1の蒸気圧縮凝縮装置41は、逆浸透膜装置2の濃縮水の処理を専ら請け負うことになる。ただし、第1の蒸気圧縮凝縮装置41の容量が、浸出水及び濃縮水を処理することが出来る程度に大きい場合には、第2の蒸気圧縮凝縮装置42が作動していない場合(ステップS51で「VCC2運転中止」)に、開閉弁(Vb1)を開放する。
ステップS54の後、ステップS51以降を繰り返す。
【0081】
図示の第4実施形態では、蒸気圧縮凝縮装置を2機(第1の蒸気圧縮凝縮装置41、第2の蒸気圧縮凝縮装置42)設け、故障の修理やメンテナンス作業等で第1の蒸気圧縮凝縮装置41或いは第2の蒸気圧縮凝縮装置42が使用出来ない場合に、当該運転できない蒸気圧縮凝縮装置を停止して、他方の運転可能な蒸気圧縮凝縮装置を稼動させて、浸出水処理システム104の稼動を継続することができる。
図7、図8の第4実施形態におけるその他の構成及び作用効果は、図5、図6の第3実施形態と同様である。
【0082】
図9、図10を参照して、第5実施形態を説明する。
図9において、第5実施形態に係る浸出水処理システムは、全体が符号105で示されている。
図9で示す浸出水処理システム105は、図7の処理システム104と同様に、第1の蒸気圧縮凝縮装置41及び第2の蒸気圧縮凝縮装置42を有している。
【0083】
しかし、図9で示す浸出水処理システム105では、第1の蒸気圧縮凝縮装置41で蒸発して凝縮した蒸留水は第1の蒸留水貯留槽51に送られて貯留され、第2の蒸気圧縮凝縮装置42で蒸発して凝縮した蒸留水は第2の蒸留水貯留槽52に送られて貯留されている。すなわち、第1の蒸気圧縮凝縮装置41と第2の蒸気圧縮凝縮装置42は、それぞれ、別個に設けられた第1の蒸留水貯留槽51、第2の蒸留水貯留槽52に連通している。その点で、図9で示す浸出水処理システム105は、第1の蒸気圧縮凝縮装置41と第2の蒸気圧縮凝縮装置42が同一の蒸留水貯留槽5に連通している図7の処理システム104とは異なっている。
それに関連して、図9で示す浸出水処理システム105では、第1の蒸気圧縮凝縮装置41は、浸出水貯留槽1からのみ処理するべき水(浸出水)が供給されており、逆浸透膜装置2の濃縮水は供給されない。そして、第2の蒸気圧縮凝縮装置42は逆浸透膜装置2の濃縮水のみが供給され、浸出水貯留槽1の浸出水は供給されない。
【0084】
図9において、第1の蒸気圧縮凝縮装置41からの蒸留水が貯留される第1の蒸留水貯留槽51は、ラインL51rを介して、浸出水貯留槽1に連通している。そして第1の蒸留水貯留槽51は、ラインL51を介して合流点Gに連通し、ラインL2、処理水貯留槽3、ラインL3を介して逆浸透膜装置2から流れる処理水と合流する。
第2の蒸気圧縮凝縮装置42からの蒸留水が貯留される第2の蒸留水貯留槽52は、ラインL52rを介して浸出水貯留槽1に連通している。そして第2の蒸気圧縮凝縮装置42は、ラインL52を介して合流点Gに連通し、ラインL2、処理水貯留槽3、ラインL3を介して逆浸透膜装置2から流れる処理水と合流する。
【0085】
ラインL51には開閉弁Vaが介装され、ラインL52には開閉弁Vbが介装されている。開閉弁Va及び開閉弁Vbは、制御信号ラインSoによって制御装置10と接続されている。そして、開閉弁Vaと開閉弁Vbは、制御装置10によって開閉制御される。
図9の処理ユニット105では、第2の蒸留水貯留槽52に第4の分析装置614が装備されており、第4の分析装置614は入力信号ラインSiによって制御装置10と接続されている。
【0086】
そして、図9の処理ユニット105においても、浸出水貯留槽1から、逆浸透膜装置2或いは第1の蒸気圧縮凝縮装置41に供給される単位流量の浸出水の内、逆浸透膜装置2へ供給される割合(比率)が、符号Wで示されている。
そして、第1の蒸留水貯留槽51における揮発性汚染物濃度C3と、蒸留水量V3が計測装置613により計測される。また、第2の蒸留水貯留槽52における揮発性汚染物濃度C4と、蒸留水量V4が計測装置614により計測される。
【0087】
図9の処理ユニット105において、第1の蒸気圧縮凝縮装置41における負荷除去率(揮発性汚染物質除去率)が符号「X」で示されており、第2の蒸気圧縮凝縮装置42における負荷除去率(揮発性汚染物質除去率)が符号「Y」で示されている。
【0088】
次に、図10を主に参照して、図9で示す処理システムの作業の手順を説明する。
図10で示す手順も、処理システム105内に全く水が存在しない状態から行なわれるものではなく、浸出水、処理水、濃縮水、蒸留水が存在する状態から行なわれる。
そして、第1の蒸気圧縮凝縮装置41における浸出水の処理量が、可能な限り多くなる様に(換言すれば、Wが出来る限り小さくなる様に)、制御が進行する。
そして、第1の蒸気圧縮凝縮装置41から浸出水貯溜槽1に戻される蒸留水、或いは、第2の蒸気圧縮凝縮装置42から浸出水貯留槽1に戻される蒸留水の総量を、可能な限り少なくする方向へ制御を進める。
【0089】
図10の制御も、処理システム105の運転を続行するにつれて、状態が安定して、各種数値も一定値に収束する。そして、逆浸透膜装置2へ供給される割合(比率)Wと、負荷除去率(揮発性汚染物質除去率)X、Yは、一定の数値に収束する。
そのため、制御の初期においては、浸出水貯留槽1から、逆浸透膜装置2或いは第1の蒸気圧縮凝縮装置41に供給される単位流量の浸出水の内、逆浸透膜装置2へ供給される割合(比率)W、第1の蒸気圧縮凝縮装置41における負荷除去率(揮発性汚染物質除去率)X、第2の蒸気圧縮凝縮装置42における負荷除去率(揮発性汚染物質除去率)Yを、適当に設定(いわゆる「仮決め」)した数値により運転を行う。
【0090】
さらに、第2の蒸気圧縮凝縮装置42の蒸留水における揮発性汚染物質濃度C4は、第1の蒸気圧縮凝縮装置41からの蒸留水における汚染物質濃度C3に比較して、高くなる可能性が高いと推定して行なわれている。第2の蒸気圧縮凝縮装置42は逆浸透膜装置2の濃縮水を処理しており、逆浸透膜装置2の濃縮水における揮発性汚染物質濃度C4は、第1の蒸気圧縮凝縮装置41で処理している浸出水における揮発性汚染物質濃度C1よりも高いからである。
換言すれば、図10の制御は、第2の蒸気圧縮凝縮装置42からの蒸留水に比較して、第1の蒸気圧縮凝縮装置41からの蒸留水の方が、放流され易い条件となっているという推定のもとに行なわれる。
【0091】
図10において、ステップS61では、第1の分析装置611によって浸出水貯留槽1内の浸出水の揮発性汚染物質濃度C1を分析し、水量V1を計量し、第2の分析装置612によって処理水貯留槽3内の処理水の揮発性汚染物質濃度C2を分析し、水量V2を計量する。
ステップS62では、第1の蒸気圧縮凝縮装置41の負荷除去率X及び第2の蒸気圧縮凝縮装置42の負荷除去率Yを設定(仮決め)すると共に、処理方法の按分率W(逆浸透膜装置2への水供給割合)の設定(仮決め)を行う。
【0092】
ステップS63において、制御装置10は、第1の蒸留水貯留槽51における蒸留水の揮発性汚染物濃度の推定値D1と、第2の蒸留水貯留槽52における蒸留水の揮発性汚染物濃度の推定値D2を、以下の2式によって演算する。
D1=C1(1-X)
D2=5C1(1-Y)
ステップS64では、ステップS63で求めた第1の蒸留水貯留槽51における蒸留水の揮発性汚染物濃度D1(推定値)が、規制値R未満か否かを判断する。
第1の蒸留水貯留槽51における蒸留水の揮発性汚染物濃度D1が規制値R未満であれば(ステップS64がYES)、ステップS65に進み、第1の蒸留水貯留槽51に溜まった蒸留水を放流し、逆浸透膜装置2で処理する浸出水の割合Wを、所定量(ΔW)だけ減少した新たな数値W(=W-ΔW)に設定する。
そして、ステップS66まで進む。一方、第1の蒸留水貯留槽51における蒸留水の揮発性汚染物質濃度D1が規制値R以上であれば(ステップS64がNO)、ステップS68に進む。通常、第1の蒸留水貯留槽51における蒸留水の揮発性汚染物質濃度D1は、第2の蒸留水貯留槽52における蒸留水の揮発性汚染物質濃度D2よりも低いからである。
【0093】
第1の蒸留水貯留槽51における蒸留水の揮発性汚染物質濃度D1が規制値R未満である場合に(ステップS64がYES)、ステップS65の次に、第2の蒸留水貯留槽52における蒸留水の揮発性汚染物質濃度D2が規制値R未満であるか否かを判断する(ステップS66)。
第2の蒸留水貯留槽52における蒸留水の揮発性汚染物質濃度D2が規制値R未満であれば(ステップS66がYES)、第2の蒸留水貯留槽52に溜まった蒸留水を放流する(ステップS67)。ここで、逆浸透膜装置2で処理する浸出水の割合Wは、ステップS65で決定した数値を適用する。その後、ステップS76まで進む。
【0094】
一方、第2の蒸留水貯留槽52における蒸留水の揮発性汚染物濃度D2が規制値R以上であれば(ステップS66がNO)、ステップS68に進む。ただし、第1の蒸留水貯留槽51における蒸留水は放流を決定しているので、ステップS68以下では、第1の蒸留水貯留槽51における蒸留水に関わる判断は無視する。
ステップS68では、第1の蒸留水貯留槽51の蒸留水と、逆浸透膜装置2の処理水とを混合した混合水における揮発性汚染物濃度D’1(推定値)を、下式によって演算する。
D’1={C1(1-X)・(1−0.8W)+C2・0.8W}/(1−0.2W)
またステップS68では、第2の蒸留水貯留槽52の蒸留水と、逆浸透膜装置2の処理水とを混合した混合水における揮発性汚染物濃度D’2(推定値)を、下式によって演算する。
D’2=C1(1-Y)+0.8C2
そして、ステップS69に進む。
【0095】
ステップS69では、制御装置10は、ステップS68で演算された揮発性汚染物濃度D’1と揮発性汚染物濃度D’2が何れも規制値R未満であるか否かを判断する。
第1の蒸留水貯留槽51の蒸留水と逆浸透膜装置2の処理水を混合した混合水における揮発性汚染物濃度D’1と、第2の蒸留水貯留槽52の蒸留水と逆浸透膜装置2の処理水を混合した混合水における揮発性汚染物濃度D’2(推定値)が、何れも規制値R未満であれば(ステップS69がYES)、ステップS70へ進む。
第1の蒸留水貯留槽51の蒸留水と逆浸透膜装置2の処理水を混合した混合水における揮発性汚染物濃度D’1と、第2の蒸留水貯留槽52の蒸留水と逆浸透膜装置2の処理水を混合した混合水における揮発性汚染物濃度D’2(推定値)が、何れかが規制値R以上であれば(ステップS69がNO)、ステップS73に進む。
【0096】
ステップS70では、制御装置10は、「0.2W」の値が「1−W」の値を下回っているか否かを判断する。すなわち、第2の蒸留水貯留槽52へ送られる蒸留水の流量「0.2W」が、第1の蒸留水貯留槽51へ送られる流量「1−W」よりも少ないか否かを判断する。
第2の蒸留水貯留槽52へ送られる蒸留水の流量「0.2W」が、第1の蒸留水貯留槽51へ送られる流量「1−W」よりも少なければ(ステップS70がYES)、ステップS71に進み、第1の蒸留水貯留槽51の蒸留水を逆浸透膜装置2の処理水で希釈後に放流し、第2の蒸留水貯留槽52の蒸留水を浸出水貯留槽1側へ戻す。そして、それまでの処理按分率Wから所定割合(ΔW)を減じた新たな按分率W(W−ΔW)を設定する。この場合は、第1の蒸留水貯留槽51の蒸留水を放流可能であるため、第1の蒸気圧縮凝縮装置41における浸出水の処理量を増加するべく、按分率Wを減少している。
そして、ステップS76まで進む。
【0097】
一方、第2の蒸留水貯留槽52へ送られる蒸留水の流量「0.2W」が、第1の蒸留水貯留槽51へ送られる流量「1−W」以上であれば(ステップS70がNO)、ステップS72へ進み、第1の蒸留水貯留槽51の蒸留水を浸出水貯留槽1側へ戻し、第2の蒸留水貯留槽52の蒸留水を逆浸透膜装置2の処理水で希釈後に放流する。そして、それまでの処理按分率Wに所定割合(ΔW)を加えた新たな按分率W(W+ΔW)を設定する。この場合は、このループで決定しているW、X、Yにおいて、第1の蒸留水貯留槽51の蒸留水よりも、第2の蒸留水貯留槽52の蒸留水の方が量が多いため、第2の蒸留水貯留槽52の蒸留水を逆浸透膜装置2の処理水で希釈して放流することにして、さらに、この経路における放流量を増加するために、按分率Wを増加する。
そして、ステップS76まで進む。
ステップS70〜S72の制御により、浸出水貯留槽1側へ戻される蒸留水の量は可能な限り少なくなる。
【0098】
ステップS73では、第1の蒸留水貯留槽51の蒸留水と逆浸透膜装置2の処理水を混合した混合水における揮発性汚染物濃度D’1が規制値R未満であり、且つ、第2の蒸留水貯留槽52の蒸留水と逆浸透膜装置2の処理水を混合した混合水における揮発性汚染物濃度D’2(推定値)が規制値Rを超えているかを判断する。
揮発性汚染物濃度D’1が規制値R未満であり、且つ、揮発性汚染物濃度D’2(推定値)が規制値Rを超えている場合には(ステップS73がYES)、ステップS74へ進む。
揮発性汚染物濃度D’1が規制値R未満であり、且つ、揮発性汚染物濃度D’2(推定値)が規制値Rを超えている場合に該当しなければ(ステップS73がNO)、ステップS75に進む。
【0099】
ステップS74では、第1の蒸留水貯留槽51の蒸留水を逆浸透膜装置2の処理水で希釈後に放流して、第2の蒸留水貯留槽52の蒸留水を逆浸透膜装置2側へ戻し、それまでの処理按分率Wから所定割合(ΔW)を減じた新たな按分率W(W−ΔW)を設定する。
ステップS74の場合は、第1の蒸留水貯留槽51の蒸留水を放流可能であるため、第1の蒸気圧縮凝縮装置41における浸出水の処理量を増加するべく、按分率Wを減少するのである。
そして、ステップS76まで進む。
【0100】
ステップS75では、第1の蒸留水貯留槽51の蒸留水ならびに第2の蒸留水貯留槽52の蒸留水の揮発性汚染物質濃度が高すぎると判断して、蒸留水を浸出水貯留槽1(逆浸透膜装置2側)へ戻す。そして、逆浸透膜装置2で処理するべき浸出水の量を増加し、揮発性汚染物質濃度が低い処理水の量を増加するため、按分率Wに所定割合ΔWを加えた数値だけ増加する(W=W+ΔW)。
【0101】
そしてステップS76に進み、按分率WをステップS65、ステップS71、ステップS72、ステップS74、ステップS75で決定された新たな按分率Wに設定する。
そして、ステップS77では、第1の蒸留水貯留槽51内及び第2の蒸留水貯留槽52内における蒸留水の揮発性汚染物質濃度C3、C4を分析し、水量V4、V4を計量する。
次のステップS78では、制御装置10は、第1の蒸留水貯留槽51内及び第2の蒸留水貯留槽52内における蒸留水の揮発性汚染物質濃度C3、C4と、水量V4、V4を用いて、第1の蒸気圧縮凝縮装置41の負荷除去率Xと、第2の蒸気圧縮凝縮装置42の負荷除去率Yを演算する。
【0102】
次のステップS79では、ステップS78で演算した数値X、Yと、ステップS65、S71、S72、S74、S75で設定された数値Wが、一定の数値に収束しているか否かを判断する。
X、Y、Wが一定値に収束していれば(ステップS79がYES)、X、Y、Wを決定(固定)する。
X、Y、Wが一定値に収束していなければ(ステップS79がNO)、ステップS63まで戻り、再びステップS63以降を繰り返す。
【0103】
図9、図10の第5実施形態におけるその他の構成や作用効果については、図1〜図8の各実施形態と同様である。
図10で示す制御では、逆浸透膜装置2の処理水で希釈するのは、第1の蒸留水貯留槽51の蒸留水か、第2の蒸留水貯留槽52の蒸留水の何れか一方である。ただし、図示はされていないが、浸出水処理システム105全体としての放流量を最大にするため、第1の蒸留水貯留槽51の蒸留水と第2の蒸留水貯留槽52の蒸留水を、それぞれの放流量を調節しつつ、同時に放流する制御も可能である。
図示はされていないが、図9において、分岐点Bから第2の蒸気圧縮凝縮装置42に連通するラインと、逆浸透膜装置2から第1の蒸気圧縮凝縮装置41に連通するラインを設け、図9におけるラインL12、L14と切替可能に構成し、以って、第1の蒸気圧縮凝縮装置41と第2の蒸気圧縮凝縮装置42を切り替えて運転出来る様に構成することも可能である。
【0104】
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではない。
【符号の説明】
【0105】
1・・・浸出水貯留槽
2・・・逆浸透膜装置
3・・・処理水貯留槽
4、41、42・・・蒸気圧縮凝縮装置
5、51、52・・・蒸留水貯留槽
7・・・消毒装置
10・・・制御装置
60・・・計測装置
61、62、611、612、613、614・・・分析装置
101、102、103、104、105・・・浸出水処理システム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
逆浸透膜装置と蒸気圧縮凝縮装置を備え、逆浸透膜装置に浸出水を供給される逆浸透膜装置供給系統と、逆浸透膜装置で汚染物質が浄化処理された処理水が排出される処理水排出系統と、浄化処理されなかった水が排出される濃縮水排出系統を備え、濃縮水排出系統は蒸気圧縮凝縮装置に連通しており、蒸気圧縮凝縮装置は蒸発して凝縮された蒸留水が流れる蒸留水排出系統を接続されており、蒸留水排出系統と処理水排出系統とが合流する合流系統を備え、汚染物質濃度を計測する計測装置を有することを特徴とする浸出水処理システム。
【請求項2】
浸出水を貯留する浸出水貯留槽を有し、浸出水貯留槽は逆浸透膜装置の供給系統を介して逆浸透膜装置に連通しており、
蒸留水排出系統には蒸気圧縮凝縮装置で蒸発して凝縮された蒸留水を貯留する蒸留水貯留槽が設けられ、蒸留水貯留槽には蒸留水量及び蒸留水中の汚染物質濃度を計測する第1の計測装置が設けられており、
処理水排出系統には逆浸透膜装置で汚染物質が浄化処理された処理水を貯留する処理水貯留槽が設けられ、処理水貯留槽には処理水量及び処理水中の汚染物質濃度を計測する第2の計測装置が設けられており、
第1の計測装置の計測結果及び第2の計測装置の計測結果が入力される制御装置を備え、
制御装置は、第1の計測装置で計測された蒸留水の汚染物質濃度が基準値未満である場合、或いは、第1の計測装置の計測結果及び第2の計測装置の計測結果に基いて演算される処理水と蒸留水との混合水中の汚染物質濃度が基準値未満である場合に、蒸留水排出系統の蒸留水貯留槽よりも下流側を、処理水排出系統の処理水貯留槽の下流側における合流点に連通する機能と、
第1の計測装置で計測された蒸留水の汚染物質濃度が基準値以上である場合、或いは、第1の計測装置の計測結果及び第2の計測装置の計測結果に基いて演算される処理水と蒸留水との混合水中の汚染物質濃度が基準値以上である場合に、蒸留水排出系統の蒸留水貯留槽よりも下流側を、浸出水貯留槽に連通する機能を有している請求項1に記載の浸出水処理システム。
【請求項3】
浸出水を貯留する浸出水貯留槽を有し、浸出水貯留槽には浸出水量と浸出水中の汚染物質濃度を計測する第1の計測装置を備え、浸出水貯留槽は逆浸透膜装置の供給系統を介して逆浸透膜装置に連通すると共に、蒸気圧縮凝縮装置の供給系統を介して蒸気圧縮凝縮装置にも連通しており、
蒸留水排出系統には蒸気圧縮凝縮装置で蒸発して凝縮された蒸留水を貯留する蒸留水貯留槽が設けられ、蒸留水貯留槽には蒸留水量及び蒸留水の汚染物質濃度を計測する第2の計測装置が設けられており、
処理水排出系統には逆浸透膜装置で汚染物質が浄化処理された処理水を貯留する処理水貯留槽が設けられ、処理水貯留槽には処理水量及び処理水の汚染物質濃度を計測する第3の計測装置が設けられており、
第1の計測装置〜第3の計測装置の計測結果が入力される制御装置を備え、
制御装置は、蒸留水の汚染物質濃度が基準値未満である場合、或いは、第2の計測装置の計測結果及び第3の計測装置の計測結果に基いて演算される処理水と蒸留水との混合水中の汚染物質濃度が基準値未満である場合に、蒸留水排出系統の蒸留水貯留槽よりも下流側を、処理水排出系統の処理水貯留槽の下流側における合流点に連通する機能と、
蒸留水の汚染物質濃度が基準値以上である場合、或いは、第2の計測装置の計測結果及び第2の計測装置の計測結果に基いて演算される処理水と蒸留水との混合水中の汚染物質濃度が基準値以上である場合に、蒸留水排出系統の蒸留水貯留槽よりも下流側を、浸出水貯留槽に連通する機能と、
浸出水貯留槽から逆浸透膜装置に供給される浸出水と蒸気圧縮凝縮装置に供給される浸出水との割合)を変動する機能と、
蒸気圧縮凝縮装置の揮発性汚染物質除去率を演算する機能を有している請求項1に記載の浸出水処理システム。
【請求項4】
浸出水貯留槽に連通する第1の蒸気圧縮凝縮装置と、逆浸透膜装置の濃縮水排出系統に連通する第2の蒸気圧縮凝縮装置を有しており、第1の蒸気圧縮凝縮装置の凝縮水排出系統と第2の蒸気圧縮凝縮装置の凝縮水排出系統は蒸留水貯留槽に連通しており、
濃縮水排出系統には三方弁が介装されており、三方弁はバイパスラインを介して第1の蒸気圧縮凝縮装置と連通しており、浸出水貯留槽と第1の蒸気圧縮凝縮装置を接続する第1の蒸気圧縮凝縮装置の供給系統には開閉弁が介装されており、
制御装置は、第1の蒸気圧縮凝縮装置及び第2の蒸気圧縮凝縮装置が正常に作動している場合には、三方弁のバイパスライン側のポートを閉鎖し、第2の蒸気圧縮凝縮装置側のポートを開放して、開閉弁を開放する機能と、
第1の蒸気圧縮凝縮装置が作動していない場合には、三方弁のバイパスライン側のポートを閉鎖し、第2の蒸気圧縮凝縮装置側のポートを開放して、開閉弁を閉鎖する機能と、
第2の蒸気圧縮凝縮装置が作動していない場合には、三方弁のバイパスライン側のポートを開放し、第2の蒸気圧縮凝縮装置側のポートを閉鎖して、開閉弁を閉鎖する機能を有している請求項3に記載の浸出水処理システム。
【請求項5】
浸出水貯留槽に連通する第1の蒸気圧縮凝縮装置と、逆浸透膜装置の濃縮水排出系統に連通する第2の蒸気圧縮凝縮装置を有しており、第1の蒸気圧縮凝縮装置の凝縮水排出系統は第1の蒸留水貯留槽に連通しており、第2の蒸気圧縮凝縮装置の凝縮水排出系統は第2の蒸留水貯留槽に連通しており、
第1の蒸気圧縮凝縮装置の蒸留水排出系統に連通する第1の蒸留水貯留槽には、第1の蒸留水貯留槽の蒸留水の量及び汚染物質濃度を計測する第3の計測装置が設けられており、
第2の蒸気圧縮凝縮装置の蒸留水排出系統に連通する第2の蒸留水貯留槽には、第2の蒸留水貯留槽の蒸留水の量及び汚染物質濃度を計測する第4の計測装置が設けられており、
制御装置は、第3の計測装置及び第4の計測装置の計測結果が入力され、
第1の蒸留水貯留槽中の蒸留水の汚染物質濃度が基準値未満である場合、或いは、第2の計測装置の計測結果及び第3の計測装置の計測結果に基いて演算される処理水と第1の蒸気圧縮凝縮装置の蒸留水との混合水中の汚染物質濃度が基準値未満である場合に、第1の蒸気圧縮凝縮装置の蒸留水排出系統の第1の蒸留水貯留槽よりも下流側を、処理水排出系統の処理水貯留槽の下流側における合流点に連通する機能と、
第1の蒸留水貯留槽中の蒸留水の汚染物質濃度が基準値以上である場合、或いは、第2の計測装置の計測結果及び第2の計測装置の計測結果に基いて演算される処理水と第1の蒸気圧縮凝縮装置の蒸留水との混合水中の汚染物質濃度が基準値以上である場合に、蒸留水排出系統の蒸留水貯留槽よりも下流側を、浸出水貯留槽に連通する機能と、
第2の蒸留水貯留槽中の蒸留水の汚染物質濃度が基準値未満である場合、或いは、第2の計測装置の計測結果及び第4の計測装置の計測結果に基いて演算される処理水と第2の蒸気圧縮凝縮装置の蒸留水との混合水中の汚染物質濃度が基準値未満である場合に、第2の蒸気圧縮凝縮装置の蒸留水排出系統の第2の蒸留水貯留槽よりも下流側を、処理水排出系統の処理水貯留槽の下流側における合流点に連通する機能と、
第2の蒸留水貯留槽中の蒸留水の汚染物質濃度が基準値以上である場合、或いは、第2の計測装置の計測結果及び第4の計測装置の計測結果に基いて演算される処理水と第2の蒸気圧縮凝縮装置の蒸留水との混合水中の汚染物質濃度が基準値以上である場合に、蒸留水排出系統の蒸留水貯留槽よりも下流側を、浸出水貯留槽に連通する機能と、
浸出水貯留槽から逆浸透膜装置に供給される浸出水と第1の蒸気圧縮凝縮装置に供給される浸出水との割合を変動する機能と、
第1の蒸気圧縮凝縮装置の揮発性汚染物質除去率を演算する機能と、
第2の蒸気圧縮凝縮装置の揮発性汚染物質除去率を演算する機能とを有している請求項3に記載の浸出水処理システム。
【請求項1】
逆浸透膜装置と蒸気圧縮凝縮装置を備え、逆浸透膜装置に浸出水を供給される逆浸透膜装置供給系統と、逆浸透膜装置で汚染物質が浄化処理された処理水が排出される処理水排出系統と、浄化処理されなかった水が排出される濃縮水排出系統を備え、濃縮水排出系統は蒸気圧縮凝縮装置に連通しており、蒸気圧縮凝縮装置は蒸発して凝縮された蒸留水が流れる蒸留水排出系統を接続されており、蒸留水排出系統と処理水排出系統とが合流する合流系統を備え、汚染物質濃度を計測する計測装置を有することを特徴とする浸出水処理システム。
【請求項2】
浸出水を貯留する浸出水貯留槽を有し、浸出水貯留槽は逆浸透膜装置の供給系統を介して逆浸透膜装置に連通しており、
蒸留水排出系統には蒸気圧縮凝縮装置で蒸発して凝縮された蒸留水を貯留する蒸留水貯留槽が設けられ、蒸留水貯留槽には蒸留水量及び蒸留水中の汚染物質濃度を計測する第1の計測装置が設けられており、
処理水排出系統には逆浸透膜装置で汚染物質が浄化処理された処理水を貯留する処理水貯留槽が設けられ、処理水貯留槽には処理水量及び処理水中の汚染物質濃度を計測する第2の計測装置が設けられており、
第1の計測装置の計測結果及び第2の計測装置の計測結果が入力される制御装置を備え、
制御装置は、第1の計測装置で計測された蒸留水の汚染物質濃度が基準値未満である場合、或いは、第1の計測装置の計測結果及び第2の計測装置の計測結果に基いて演算される処理水と蒸留水との混合水中の汚染物質濃度が基準値未満である場合に、蒸留水排出系統の蒸留水貯留槽よりも下流側を、処理水排出系統の処理水貯留槽の下流側における合流点に連通する機能と、
第1の計測装置で計測された蒸留水の汚染物質濃度が基準値以上である場合、或いは、第1の計測装置の計測結果及び第2の計測装置の計測結果に基いて演算される処理水と蒸留水との混合水中の汚染物質濃度が基準値以上である場合に、蒸留水排出系統の蒸留水貯留槽よりも下流側を、浸出水貯留槽に連通する機能を有している請求項1に記載の浸出水処理システム。
【請求項3】
浸出水を貯留する浸出水貯留槽を有し、浸出水貯留槽には浸出水量と浸出水中の汚染物質濃度を計測する第1の計測装置を備え、浸出水貯留槽は逆浸透膜装置の供給系統を介して逆浸透膜装置に連通すると共に、蒸気圧縮凝縮装置の供給系統を介して蒸気圧縮凝縮装置にも連通しており、
蒸留水排出系統には蒸気圧縮凝縮装置で蒸発して凝縮された蒸留水を貯留する蒸留水貯留槽が設けられ、蒸留水貯留槽には蒸留水量及び蒸留水の汚染物質濃度を計測する第2の計測装置が設けられており、
処理水排出系統には逆浸透膜装置で汚染物質が浄化処理された処理水を貯留する処理水貯留槽が設けられ、処理水貯留槽には処理水量及び処理水の汚染物質濃度を計測する第3の計測装置が設けられており、
第1の計測装置〜第3の計測装置の計測結果が入力される制御装置を備え、
制御装置は、蒸留水の汚染物質濃度が基準値未満である場合、或いは、第2の計測装置の計測結果及び第3の計測装置の計測結果に基いて演算される処理水と蒸留水との混合水中の汚染物質濃度が基準値未満である場合に、蒸留水排出系統の蒸留水貯留槽よりも下流側を、処理水排出系統の処理水貯留槽の下流側における合流点に連通する機能と、
蒸留水の汚染物質濃度が基準値以上である場合、或いは、第2の計測装置の計測結果及び第2の計測装置の計測結果に基いて演算される処理水と蒸留水との混合水中の汚染物質濃度が基準値以上である場合に、蒸留水排出系統の蒸留水貯留槽よりも下流側を、浸出水貯留槽に連通する機能と、
浸出水貯留槽から逆浸透膜装置に供給される浸出水と蒸気圧縮凝縮装置に供給される浸出水との割合)を変動する機能と、
蒸気圧縮凝縮装置の揮発性汚染物質除去率を演算する機能を有している請求項1に記載の浸出水処理システム。
【請求項4】
浸出水貯留槽に連通する第1の蒸気圧縮凝縮装置と、逆浸透膜装置の濃縮水排出系統に連通する第2の蒸気圧縮凝縮装置を有しており、第1の蒸気圧縮凝縮装置の凝縮水排出系統と第2の蒸気圧縮凝縮装置の凝縮水排出系統は蒸留水貯留槽に連通しており、
濃縮水排出系統には三方弁が介装されており、三方弁はバイパスラインを介して第1の蒸気圧縮凝縮装置と連通しており、浸出水貯留槽と第1の蒸気圧縮凝縮装置を接続する第1の蒸気圧縮凝縮装置の供給系統には開閉弁が介装されており、
制御装置は、第1の蒸気圧縮凝縮装置及び第2の蒸気圧縮凝縮装置が正常に作動している場合には、三方弁のバイパスライン側のポートを閉鎖し、第2の蒸気圧縮凝縮装置側のポートを開放して、開閉弁を開放する機能と、
第1の蒸気圧縮凝縮装置が作動していない場合には、三方弁のバイパスライン側のポートを閉鎖し、第2の蒸気圧縮凝縮装置側のポートを開放して、開閉弁を閉鎖する機能と、
第2の蒸気圧縮凝縮装置が作動していない場合には、三方弁のバイパスライン側のポートを開放し、第2の蒸気圧縮凝縮装置側のポートを閉鎖して、開閉弁を閉鎖する機能を有している請求項3に記載の浸出水処理システム。
【請求項5】
浸出水貯留槽に連通する第1の蒸気圧縮凝縮装置と、逆浸透膜装置の濃縮水排出系統に連通する第2の蒸気圧縮凝縮装置を有しており、第1の蒸気圧縮凝縮装置の凝縮水排出系統は第1の蒸留水貯留槽に連通しており、第2の蒸気圧縮凝縮装置の凝縮水排出系統は第2の蒸留水貯留槽に連通しており、
第1の蒸気圧縮凝縮装置の蒸留水排出系統に連通する第1の蒸留水貯留槽には、第1の蒸留水貯留槽の蒸留水の量及び汚染物質濃度を計測する第3の計測装置が設けられており、
第2の蒸気圧縮凝縮装置の蒸留水排出系統に連通する第2の蒸留水貯留槽には、第2の蒸留水貯留槽の蒸留水の量及び汚染物質濃度を計測する第4の計測装置が設けられており、
制御装置は、第3の計測装置及び第4の計測装置の計測結果が入力され、
第1の蒸留水貯留槽中の蒸留水の汚染物質濃度が基準値未満である場合、或いは、第2の計測装置の計測結果及び第3の計測装置の計測結果に基いて演算される処理水と第1の蒸気圧縮凝縮装置の蒸留水との混合水中の汚染物質濃度が基準値未満である場合に、第1の蒸気圧縮凝縮装置の蒸留水排出系統の第1の蒸留水貯留槽よりも下流側を、処理水排出系統の処理水貯留槽の下流側における合流点に連通する機能と、
第1の蒸留水貯留槽中の蒸留水の汚染物質濃度が基準値以上である場合、或いは、第2の計測装置の計測結果及び第2の計測装置の計測結果に基いて演算される処理水と第1の蒸気圧縮凝縮装置の蒸留水との混合水中の汚染物質濃度が基準値以上である場合に、蒸留水排出系統の蒸留水貯留槽よりも下流側を、浸出水貯留槽に連通する機能と、
第2の蒸留水貯留槽中の蒸留水の汚染物質濃度が基準値未満である場合、或いは、第2の計測装置の計測結果及び第4の計測装置の計測結果に基いて演算される処理水と第2の蒸気圧縮凝縮装置の蒸留水との混合水中の汚染物質濃度が基準値未満である場合に、第2の蒸気圧縮凝縮装置の蒸留水排出系統の第2の蒸留水貯留槽よりも下流側を、処理水排出系統の処理水貯留槽の下流側における合流点に連通する機能と、
第2の蒸留水貯留槽中の蒸留水の汚染物質濃度が基準値以上である場合、或いは、第2の計測装置の計測結果及び第4の計測装置の計測結果に基いて演算される処理水と第2の蒸気圧縮凝縮装置の蒸留水との混合水中の汚染物質濃度が基準値以上である場合に、蒸留水排出系統の蒸留水貯留槽よりも下流側を、浸出水貯留槽に連通する機能と、
浸出水貯留槽から逆浸透膜装置に供給される浸出水と第1の蒸気圧縮凝縮装置に供給される浸出水との割合を変動する機能と、
第1の蒸気圧縮凝縮装置の揮発性汚染物質除去率を演算する機能と、
第2の蒸気圧縮凝縮装置の揮発性汚染物質除去率を演算する機能とを有している請求項3に記載の浸出水処理システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−125726(P2012−125726A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−281285(P2010−281285)
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【出願人】(000001373)鹿島建設株式会社 (1,387)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【出願人】(000001373)鹿島建設株式会社 (1,387)
【Fターム(参考)】
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