説明

浸漬型膜ろ過装置

【課題】 簡単な構造で、浸漬膜の設置や交換の容易な浸漬型膜ろ過装置の提供。
【解決手段】 側面に少なくとも一つの開口部2を有する浸漬槽1と、開口部2を閉塞する開閉自在な覆蓋6と、浸漬膜を備えた膜ユニット50と、浸漬槽1内に棚状に設けられ、膜ユニット50を載置する棚枠構造体30と、棚枠構造体30に載置された膜ユニット50の上部に設けられ、膜ユニット50の浮上を防止する抑え枠構造体40と、を備え、膜ユニット50が開口部2を介して棚枠構造体30と抑え枠構造体40との間から出し入れ可能とされていることを特徴とする浸漬型膜ろ過装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、精密ろ過膜や限外ろ過膜等のろ過膜を利用する浸漬型膜ろ過装置の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の浸漬型膜ろ過装置は、代表的には特許文献1や特許文献2に記載されるように、上部が開口した構造をしており、精密ろ過膜(MF膜)や限外ろ過膜(UF膜)などの浸漬膜の設置或いは交換をする際には、浸漬槽(水槽)の上部から出し入れを行っていた。浸漬型膜ろ過装置は、通常複数の浸漬膜を用いており、大型のケーシングに収容して一括して出し入れするため、多くの場合クレーン等の重機械を使用することとなり、膜の設置工事や交換等の維持管理にコストがかかり、多大な時間を必要としていた。また、装置の上方に、クレーン等で浸漬膜を収容したケーシングを吊り上げるために大きな空間が必要であり、屋内に設置する場合の制約となっていた。
【0003】
一方、特許文献3には、上方に十分な空間がない場所にも設置し得るように、浸漬槽の側面に開口部を設けた浸漬型膜分離装置が開示されている。しかし、特許文献3に記載の浸漬型膜分離装置は、複数の浸漬膜を収容した膜ケースを散気ケース上に分割可能に設けており、浸漬膜のメンテナンス時には膜ケースを散気ケースから吊り上げて取り出すため、取り出しの際に特殊な装置を必要とするなどの難点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】 特開平8−257581号公報
【特許文献2】 特開2002−224684号公報
【特許文献3】 特開平8−243581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、簡単な構造で、浸漬膜の設置や交換の容易な浸漬型膜ろ過装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の浸漬型膜ろ過装置は、側面に少なくとも一つの開口部を有する浸漬槽と、前記開口部を閉塞する開閉自在な覆蓋と、浸漬膜を備えた膜ユニットと、前記浸漬槽内に棚状に設けられ、前記膜ユニットを載置する棚枠構造体と、前記棚枠構造体に載置された前記膜ユニットの上部に設けられ、該膜ユニットの浮上を防止する抑え枠構造体と、を備え、前記膜ユニットが前記開口部を介して前記棚枠構造体と前記抑え枠構造体との間から出し入れ可能とされていることを特徴としている。
【0007】
前記膜ユニットが、少なくとも上下方向に開放された支持枠体と、該支持枠体内に配設された浸漬膜とを備えてなり、前記浸漬槽内の液体が前記膜ユニット内を上下方向に通過し得るように、前記棚枠構造体及び前記抑え枠構造体が前記膜ユニットの支持枠体を保持することが好ましい。
このように、少なくとも上下方向が開放された膜ユニットの外周部(支持枠体)を棚枠構造体と抑え枠構造体とで保持することで、膜ろ過装置の運転時に、膜ユニットの上下方向への移動を最小限に抑えることが可能となると共に、棚枠構造体及び抑え枠構造体に阻まれることなく、支持枠体内に配設された浸漬膜に上下方向から浸漬槽内の液体(水)を接触させることが可能となる。また、浸漬型膜ろ過装置では、多くの場合、膜ユニットの下方に散気管(ディフューザ)等の散気手段が設置されており、散気管から供給する気体(空気)により、気泡を含む液体の上昇流を生じさせ、汚濁物質付着による膜汚染を防止しているが、上記構成とすることで、膜ユニットの下方に散気手段を設置しても、上昇流を妨げることなく、膜汚染を良好に防止し得る。
【0008】
前記膜ユニットが複数あり、該複数の膜ユニットを個別に収容し得るように、前記棚枠構造体と前記抑え枠構造体との対が、少なくとも前記膜ユニットに対応する数だけ前記浸漬槽内に多段状に設置されていることが好ましい。
膜ユニットが複数ある場合に、棚枠構造体と抑え枠構造体との対が多段状に設置されることで、浸漬槽の設置面積(床占有面積)を小さくすることができる。また、多段状にすることで膜ユニットごとに散気手段を設ける必要がなく、一つの散気手段により生じる上昇流を有効利用することが可能となる。また、膜ユニットを個別に収容し得るので、浸漬槽内に膜ユニット同士を上下に多段に積み重ねて使用する場合のような強度は要しないので、安価な材料で膜ユニットを製造することが可能となる。
【0009】
上段の棚枠構造体が下段の抑え枠構造体を兼ねてもよい。上段と下段の膜ユニットの配置間隔が狭い場合には、上段の棚枠構造体が下段の抑え枠構造体を兼ねることができ、省スペース化やコスト低減を図ることが可能となる。
【0010】
前記膜ユニットが、引き出し方向に前後に所定間隔置いて配置される一対の取付板の四隅を4本の連結部材で各々固定してなる支持枠体と、シート状に並列した複数の中空糸膜の両端をそれぞれ該複数の中空糸膜の内部が連通するように一対の集水管で固定した複数の膜モジュールとを備え、並列させた前記複数の膜モジュールの集水管の両端を前記一対の取付板でそれぞれ固定することにより前記複数の膜モジュールが前記支持枠体内に配設されていることが好ましい。
このように、膜ユニットが、複数の膜モジュールを一対(前後2枚)の取付板と連結部材とからなる支持枠体で固定する単純な構造を有しているので、膜ユニットの解体及び組み立てが容易であり、メンテナンス時の膜モジュールの交換等に要する時間を短縮できる。
【0011】
また、前記取付板は、前記集水管の端部を挿入可能な複数の貫通孔を有しており、前記取付板に前記集水管の端部を挿入することで、前記膜モジュールを前記取付板に固定可能であることが好ましい。さらに、前記集水管が両端に小径部を有していることが好ましい。
このように、取付板に設けた貫通孔で膜モジュールを固定することで、さらに組立・解体作業を容易にし得ると共に、集水管の両端に小径部を設けることで、一対の取付板間で膜モジュールが移動するのを防止することが可能となる。
【0012】
前記膜ユニットと該膜ユニットから得られる処理水を槽外に移送する処理水配管とを接続する接続管を備え、前記膜ユニットには、前記集水管が少なくとも一方の端部(小径部)が前記取付板から突出するように取り付けられており、前記接続管が、前記膜ユニットとの接続側で分岐して、該分岐部と前記突出板から突出した複数の集水管の突出部とが各々液密に接続(嵌合)されることが好ましい。
複数の集水管を内部に空間を有するヘッダで集水管の内部空間とヘッダの内部空間が連通するよう固定した膜ユニットを用い、膜処理水を該ヘッダを介して吸引する場合、ヘッダ内に空気溜まりが生じ、一部の集水管の吸引効率が低下する場合があるが、このように分岐した接続管を用いて各集水管の端部を吸引することにより、かかる不具合を回避し得る。
【0013】
前記膜ユニットと該膜ユニットから得られる処理水を槽外に移送する処理水配管とが、前記膜ユニット及び/又は前記処理水配管との接続部にユニオン継手が取り付けられた接続管を介して連接されることが好ましい。
このようにユニオン継手により容易に膜ユニットと処理水配管を脱着可能であるので、作業性が向上する。
【0014】
前記棚枠構造体及び前記抑え枠構造体が、平面視略矩形状の枠体で、該枠体には外周の三辺から立ち上がった立壁が形成されており、該立壁を有しない辺が前記浸漬槽の開口部に面し、かつ、前記棚枠構造体の立壁と前記抑え枠構造体の立壁が対向するように、前記棚枠構造体と前記抑え枠構造体とを浸漬槽内に配設していることが好ましい。
前記棚枠構造体及び前記抑え枠構造体がこのような構造を有することで、両側部の立壁が膜ユニットを案内するガイドとして働くと共に、後方の立壁と共同して膜ユニットの載置位置を決定し得るので、膜ユニットを槽内の所定位置に容易に収めることが可能となると共に、装置の運転時に膜ユニットが上下方向、水平方向へ移動してしまうのを防止することが可能となる。
【0015】
また、前記膜ユニットには、浸漬膜(中空糸膜)が前記棚枠構造体(又は抑え枠構造体)の開口部に対応する領域内に収まるように配置されていることが好ましい。
すなわち、浸漬膜(中空糸膜)を棚枠構造体の膜ユニットの載置面(又は抑え枠構造体の対応する面)を含む平面に垂直に投影した際に、棚枠構造体(又は抑え枠構造体)の開口部内に投影された浸漬膜が収まるように配置することにより、下方から散気された気泡を、棚枠構造体(又は抑え枠構造体)に阻まれることなく、浸漬膜(中空糸膜)全体に十分に接触させることが可能となる。
【0016】
前記膜ユニットから得られる処理水を槽外に移送する処理水配管が、前記棚枠構造体及び/又は抑え枠構造体で支持されることが好ましい。
このように、処理水配管を棚枠構造体及び/又は抑え枠構造体で支持することで、新たに配管を固定する枠体を設ける必要がなく、省コスト、省スペース化を図ることが可能である。なお、浸漬槽の上部より浸漬膜を取り出す従来の浸漬型膜ろ過装置では、処理水配管のメンテナンスを行うために、処理水配管自体を取り出す必要があり、処理水配管を支持するサポート枠も取出し可能なものである必要があり、通常、浸漬膜を収容するケーシングに固定していたが、本発明の浸漬槽では、側面に開口部を設けているので、該開口部を介して配管のメンテナンスを行うことが可能であり、このような取り出し可能なサポート枠を設ける必要がない。
【0017】
本発明の他の態様は、上記浸漬型膜ろ過装置に用いられ、槽内に前記棚枠構造体及び前記抑え枠構造体を備える浸漬槽である。
また、本発明の更なる他の態様は、上記浸漬型膜ろ過装置に用いられる膜ユニットである。
【発明の効果】
【0018】
本発明の浸漬型膜ろ過装置は、浸漬槽内に棚状に設けられた棚枠構造体と抑え枠構造体との間に膜ユニットを載置した単純な構造であり、また、膜ユニットの浮上を防止する抑え枠構造体を有するため、膜ユニット自体を軽量化し得る。したがって、浸漬膜の設置や交換などのメンテナンス時に重機械や特殊装置を使用することなく、棚枠構造体と抑え枠構造体との間から浸漬槽側面の開口部を介して膜ユニットを引き出しのように略水平方向に出し入れし得るので、膜ユニットの出し入れが簡単でメンテナンス等が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】 図1(a)は、本発明の一例を示す浸漬型膜ろ過装置の斜視図であり、図1(b)は、図1(a)のA−A断面図である。
【図2】 図2は、本発明の一実施形態に用いられる浸漬槽の内部構造を説明するための一部切り欠き説明図である。
【図3】 図3は、棚枠構造体の一例を示す斜視図である。
【図4】 図4(a)は、浸漬槽内の液体の流れを説明するための模式図であり、図4(b)は、図4(a)のC−C断面図である。
【図5】 図5は、本実施形態で用いられる膜ユニット及びこの膜ユニットをろ過水配管に接続するための接続管の一例を示す斜視構成図である。
【図6】 図6は、本実施形態で用いられる膜ユニット及びこの膜ユニットをろ過水配管に接続するための接続管の他の例を示す斜視構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明の実施の形態に係る浸漬型膜ろ過装置について、図面を参照しながら説明する。
【0021】
図1(a)は、本発明の一例を示す浸漬型膜ろ過装置の斜視図であり、図1(b)は、図1(a)のA−A断面図であり、図2は、本実施形態の浸漬槽の内部構造等を説明するための一部を切り欠いた説明図である。
【0022】
図1(a)、図1(b)及び図2に示すように、浸漬型膜ろ過装置100は、浸漬槽1、膜ユニット50、浸漬槽1内に設けられ、膜ユニット50を載置する棚枠構造体30、及び膜ユニット50の浮上を防止する抑え枠構造体40より主に構成されている。
【0023】
浸漬槽1は、縦型の略円筒形状を有している。ここで、縦型とは、円筒の直径よりも高さが高いことをいう。一般に、縦型の円筒形タンク(浸漬槽)の縦横比(高さと円筒の直径の比)は、2対1が安定で理想といわれている。この理想型のタンクは、例えば同容積で立方体型に形成した場合より、敷地面積を42%削減できる。すなわち、一辺が3メートルの立方体型タンクの容積は27mであるが、これを縦横比2:1の円筒形タンク(直径aメートル)とした場合、π*(a/2)*2a=27より、a=2.58となり、円筒形タンクの敷地面積/立方体型タンクの敷地面積=π*(2.58/2)/9=0.58となり、敷地面積を42%削減し得ることになる。また、図示しないマンホールやドレン管等のはみ出しを含めた実設計例で計算した場合には、敷地面積の省スペース率は31%となる。
【0024】
また、浸漬槽1には側面に、鉛直方向に上下に並んだ複数の開口部2が設けられており、膜ユニット50の出し入れや後述するディフューザ14等のメンテナンスが該開口部2を介して可能とされている。開口部2の縁部には、平面視略矩形状の枠部3が外方に突設されており、枠部3の他端部周縁にはフランジ4が一体的に設けられている。図1(a)では、上段の開口部2が覆蓋6で閉じられ、下段の開口部2が開放された状態を示したが、浸漬型膜ろ過装置100の運転時には、下段の開口部2も覆蓋6により密閉される。フランジ4又は覆蓋6の少なくとも一方には、浸漬槽1内に貯留される液体(被処理水)が外部に漏れ出さないように接合面にパッキン等が取り付けられており、覆蓋6とフランジ4は四隅と必要に応じて外周近傍の適当箇所を相当数のボルト・ナット等の締結部材(図示略)で緊締することにより、覆蓋6をフランジ4に密接固定させている。
【0025】
浸漬槽1(浸漬槽本体)、枠部3、フランジ4、覆蓋6等の浸漬型膜ろ過装置100を構成する主要構造材の材質は、浸漬槽1に貯留する液体が漏れなければ、コンクリート、ステンレス、鉄、プラスチック等のいずれであっても良く、剛体であっても柔体(可撓性や弾性のある部材)であっても良い。浸漬槽1の最上部は開放状態でも良いが(図2参照)、粉塵や落ち葉等の混入を防ぐため、通常天板5で覆われている(図1(a)参照)。なお、天板5には、必要に応じてマンホール、ノズル及びドレン管等が取り付けられていてもよい(図示略)。
【0026】
図2に示すように、浸漬槽1内には、膜ユニット50を載置する棚としての棚枠構造体30と膜ユニット50の浮上を防止する抑え枠構造体40とが鉛直方向に交互に多段に設けられている。棚枠構造体30と抑え枠構造体40の対はいずれも、棚枠構造体30と抑え枠構造体40との間から浸漬槽1側面の開口部2を介して膜ユニット50を略水平方向に引き抜きし得る位置(開口部2に面する位置)に配置されている。棚枠構造体30は、平面視略矩形状の枠体であり、前部(開口部2に面する辺)を除く外周の3辺に立ちあがり部(立壁)が設けられている。棚枠構造体30の上方には、同形状の抑え枠構造体40が、両側部の立ち上がり部40a及び背部の立ち上がり部40bが棚枠構造体30の両側部の立ち上がり部30a及び背部の立ち上がり部30bに各々対応するように対向配置される。この一対の棚枠構造体30と抑え枠構造体40の両側部の立ち上がり部30a、40aがガイドとなり、このガイドに沿って膜ユニット50が容易に挿入、引き出し可能とされており、この両側部のガイドと背部(後部)の立ち上がり部30b、40bにより、膜ユニット50の位置決めがされる。抑え枠構造体40は、棚枠構造体30上に載置された膜ユニット50の上端より若干空隙を空けて設置される。なお、膜ユニット50と抑え枠構造体40との間の空隙の距離は、膜ユニット50が棚枠構造体30と抑え枠構造体40との間から出し入れ可能な間隔であれば、特に限定するものではないが、例えば2〜10mmである。膜ユニット50を載置する棚枠構造体30(抑え枠構造体40)の載置面の幅(枠体の幅)は、後述するディフューザから供給される気泡の通過を妨げないよう、膜ユニット50を保持し得る最小限の幅があればよい。
【0027】
浸漬槽1、棚枠構造体30及び抑え枠構造体40が鋼製である場合は、棚枠構造体30は、その四隅を浸漬槽1の内周に溶接することで直接浸漬槽1の内壁に固定される(図1(b)参照)。抑え枠構造体40についても同様に溶接で浸漬槽1の内壁に固定される。なお、浸漬槽1、棚枠構造体30及び抑え枠構造体40が鋼製以外の材料である場合は、それぞれの構成材料に応じた接合方法を採用すると良い。
【0028】
図3は、棚枠構造体30の一例を示す斜視図である。図3に示すように、棚枠構造体30は、前部(開口部2側)に配置される1本のフラットバー(平鋼)31と、側部及び後部に配置される3本の断面略L字状のアングル(山形鋼)32、33、34から主に構成されている。棚枠構造体30は、例えば、3本のアングル32、33、34により形成される立ち上がり部が全て同方向に立ち上がり、外周に配置されるように、フラットバー31及び3本のアングル32、33、34を額縁状に配置し、各部材を溶接固定することにより製造できる。また、棚枠構造体30の側部を構成するアングル32、33には、立ち上がり部32a、33aの外面に、各々小片(配管固定部材)35が1本ずつ垂直に立設されており、配管12、16aは、各々この各小片35にUボルトとナットにより固定される。
【0029】
浸漬槽1の底部7には、図2に示すように、多数の微細な小孔を有するダブルループ状のディフューザ(散気管)14が敷設されており、ブロワ11から配管12を介してディフューザ14に空気等の気体が送られる。配管12は、底部7のディフューザ14から鉛直方向に上方に延設され、浸漬槽1上部より外方に引き出されている。これにより、ブロワ11を停止した際に、反動でディフーザ28の細孔より引き込まれた液体が配管12を介してブロワ11内に侵入するのを防止することが可能となる。なお、配管12の途中に逆止弁(チャッキ弁)を設けることで、配管12を浸漬槽1の側面より水平方向に引き出してもよい。
【0030】
ディフューザ14は、棚枠構造体30の開口部70a(抑え枠構造体40の開口部70b)を底部7に垂直に投影した領域に収まる大きさであり(図4(b)参照)、浸漬型膜ろ過装置100の運転時にディフューザ14から供給される気泡(空気泡)は、棚枠構造体30の開口部70a、膜ユニット50に備えられた複数のろ過膜(浸漬膜)の間隙、抑え枠構造体40の開口部70bを経て上方へ浮上する。この気泡の上昇により液体の上昇流が生じ、この気体と液体の混合流によりろ過膜表面に汚れ成分が付着するのを防止することが可能になる。上昇する気泡の水平方向への広がり及び気泡全体の水平方向への揺らぎ現象は少なく、開口部70a、70bを通過せず、開口部70a、70bの外側にはみ出る気泡は僅少であることが既に検証確認されており、気泡が開口部70a、70bを通過し、膜ユニット50のろ過膜に接触し得るよう気泡の流れを規制し、気泡の広がりを防ぐための囲い板、ガイド板等を設けなくてもよい。なお、囲い板やガイド板を設けることを妨げるものではない。
【0031】
図4(a)及び(b)に浸漬槽1内の液体の流れを説明するための図を示す。同図(a)及び(b)中の矢印Kは浸漬槽1内の液体の流れを示す。同図(a)及び(b)に示すように、ディフューザ14より供給される気泡により生じた気液混合流は、開口部70a及び開口部70bを断面として含む、上下方向に鉛直に延びる空間領域(上向流領域)Mを通って上昇する。−旦上昇した気液混合流中の気体は天板5に設けられた図示しない通気孔より槽外に放出され、液体は下降流となって、浸漬槽1の内壁付近、すなわち、開口部70aと浸漬槽1の内壁とで囲まれる領域及び開口部70bと浸漬槽1の内壁とで囲まれる領域を断面として含み、鉛直方向に上下に延びる空間領域(下降流領域)Nを下降していくことになる。
【0032】
膜ユニット50は、外形(支持枠体54)が略直方体状で、少なくとも上下方向(鉛直方向)が開放されており、膜ユニット50内に配置されたろ過膜に、ディフーザからの気泡が接触して、気泡により膜表面に汚濁物質が付着するのを防止し得るようにされている。ろ過膜は、有機膜であっても無機膜であってもよく、有機膜としては、例えば、ポリスルホン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)等が用いられ、無機膜としては、例えば、セラミック、金属多孔体等が用いられる。また、ろ過膜の孔径は、0.005μm以上0.5μm以下程度が好ましい。ろ過膜の形状は、中空糸膜、平膜、管状膜等の如何なるものであってもよい。また、ろ過膜は、浸漬槽1の底部(底面)7に対し、水平となるように膜ユニット50内に配置されていてもよく、また、斜め方向或いは垂直方向となるように配置されてもよい。
【0033】
膜ユニット50は、浸漬槽1内に、膜ユニット50間の鉛直方向の空隙距離(下段の膜ユニットの上端と、上段の膜ユニットの下端との距離)が、吹き出した気泡が一定速度以上に回復するのに必要な距離と一般的にいわれる15センチメートル以上、好ましくは20〜50センチメートル程度がよい。最下段の膜ユニットの下端とディフューザ14との鉛直方向の空隙距離についても同様である。
【0034】
次に、膜ユニット50の構造について、具体例を挙げて詳細に説明する。
図5は、本実施形態で用いられる膜ユニット50及びこの膜ユニット50を処理水配管16aに接続するための接続管60の一例を示す斜視構成図である。同図に示すように、膜ユニット50は、複数の膜モジュール51と、複数の膜モジュール51を鉛直方向に多段に配置されるように固定する支持枠体54とから主に構成されている。
【0035】
膜モジュール51には、MF膜やUF膜等の複数の中空糸膜52が略平行に並列され、シート状とされており、複数の中空糸膜52の両端は、中空糸膜52と直交するように配置される集水管53で各々固定されており、中空糸膜52の内部空間は集水管53の内部に連通している。なお、中空糸膜52の一端のみを集水管53で固定し、他端は内部に空間を有さない固定部材で固定し、一端側のみから処理水を吸引するようにしてもよい。
膜モジュール51の集水管53の両端には、集水管53よりやや口径の小さいノズル(小径部)57が各々連設されており、後述する取付板55a、55bに設けられた取付穴58に挿入され、支持枠体54に固定される。
【0036】
膜モジュール51は、支持枠体54内に等間隔に配置される。膜モジュール51の配置間隔は、膜ユニット50ができるだけコンパクトになるように設計されることが好ましく、例えば、各膜モジュール51の間隔が5〜20ミリメートル程度となるように互いに近接して配置される。
【0037】
支持枠体54は、一対の取付板55a、55b及び一対の取付板55a、55bを連結する4本の丸棒56(連結部材)から構成されている。支持枠体54(取付板55a、55b及び丸棒56等)の材質は、ステンレス等の鋼、鉄、マグネシウム又はその合金、アルミニウム又はその合金等の金属材料、FRP(繊維強化プラスチック)、FRP以外の他のプラスチック材料、合成ゴム等のいずれであっても良く、また、剛体であっても可撓性又は弾性を有する柔体であってもよい。但し、人力で出し入れができるといった軽量化の観点からは、マグネシウム合金、アルミニウム合金等の軽量金属材料、FRP、FRP以外のプラスチック材料等の軽量材料であることが好ましい。4本の丸棒56は同じ長さで、前後の取付板55a、55bの配置間隔はこの四隅に各々渡される丸棒56の長さによって定まる。丸棒56の両端には螺子穴(図示なし)が設けられており、位置ズレが起きないように、ビス59で取付板55a、55bに固定される。取付板55a、55bには、ノズル57を挿入することにより膜モジュール51を略水平に多段に固定し得るように、各々所定位置にノズル57径より若干大きく、集水管53より小さな取付穴(貫通孔)58が設けられている。具体的には、取付板55a、55bには、一対(2つ)の集水管53の片側のノズル57に対応する水平に設けられた一対(2個)の取付穴が、垂直方向に3組設けられている。
【0038】
ノズル57は、一部が取付板55a、55bから突出するように、取付板55a、55bの厚みより長く形成されており、ノズル57の少なくとも取付板55a(膜ユニット50の引出方向における前部の取付板)から突出する部分(突出部)には、外周に外螺子部が形成され、後述する接続管60のユニオン(ユニオン継手)61の内螺子部と螺合可能にされている。
【0039】
接続管60は、略水平に配置される直管部62の中央付近から逆T字状となるように立ち上がった立ち上がり管部63を有している。直管部62は両端でさらに三叉に分岐しており、この計6本の分岐管部64は、立ち上がり管部63と直交する向きに屈曲して、分岐管部64の開口を全て同方向に向けている。6本の分岐管部64の先端は全て、膜ユニット50の取付板55aと略平行な同一平面上に位置し、各分岐管部64の先端にはユニオン61が設けられており、膜ユニット50前面の取付板55aから突出するノズル57に、対応するユニオン61を各々嵌合(螺合)することで、膜ユニット50と接続管60を液密に接続することが可能とされている。また、接続管60の立ち上がり管部63の他端側(直管部62との接続部と反対側)にもユニオン(ユニオン継手)65が設けられており、このユニオン65により配管16aに接続(螺合)される。
【0040】
膜ユニット50の背面側の取付板55bから突出するノズル57には、図示しないプラグ等の止水栓(閉塞具)が取り付けられる。なお、背面側のノズル57にも前面側に取り付けるものと同様の接続管60を接続し、膜ユニット50の前面と背面の両方から吸引することとしてもよいが、処理水(ろ過水)の取水量(排出性能)は前面にのみ取り付けた場合と比較してほぼ変わらず、また、開口部2から背面までは距離があるため、開口部2より背面の接続管60を取り外すのは困難であるため、メンテナンス性の観点からは止水栓を取り付けることが好ましい。
【0041】
配管16aは、浸漬槽1内に鉛直方向に配設されており、浸漬槽1の上部から外方に引き出され、処理水配管(主管)16を介して処理水槽や受水槽等(図示なし)に連通している。なお、配管16aは、浸漬槽1の側面より水平方向に引き出してもよい。
【0042】
処理水配管16には、吸引ポンプ15が備えられており、吸引ポンプ15を駆動し、中空糸膜52の内外に差圧を生じさせることで、膜の外側から内側方向に膜ろ過を行い、膜の内側に処理水を得る。中空糸膜52の内側に吸引された処理水は、一旦集水管53に集められた後、ノズル57より取り出され、接続管60、配管16aを介して、処理水槽等に移送される。
【0043】
膜ユニット50の交換や洗浄等のメンテナンス時には、接続管60を膜ユニット50から取り外すことで、簡単に膜ユニット50を浸漬槽1より引き出すことができる。接続管60は、上述のように膜ユニット50のノズル57にユニオン61により連結されており、容易に膜ユニット50から取り外せるので、浸漬型膜ろ過装置100の組み立てや解体を短時間で行うことができる。
【0044】
なお、上記具体例では、3個の膜モジュール51を備えた膜ユニット50を浸漬槽1内に2段配置した例について説明したが、これに限定されず、膜ユニット50に配設される膜モジュール51の数は少なくとも1つあればよく、2つ以上備えていると、メンテナンス時の作業効率性等の点から好ましい。また、膜ユニット50は浸漬槽1内に少なくとも1段配置できればよいが、2段以上配置することにより、省スペース化を図ることが可能となる。なお、図6に、膜ユニット50と接続管60の他の例として、浸漬槽1内に載置した際に中空糸膜52が略鉛直方向を向くように4個の膜モジュール51を並列配置した膜ユニット50と、これに用いられる8本の分岐管部64を有する接続管60の例を示した。
また、上記例では同一の構造を有する膜ユニット50を用いたが、膜ユニット50ごとに、膜モジュール51の数や配置間隔等を変えてもよい。膜ユニット50の配置間隔についても、全て同一にする必要はなく、例えば、空気泡の減少を考慮し、上方にいくほど配置間隔を狭めるなどしてもよい。
さらに、上記例では膜ユニット50の支持枠体54を構成する連結部材として、4本の丸棒56を用いたが、これに限定されず、角棒等の他の棒状部材を使用してもよく、2枚の板状部材(側板)を用いてもよい。また、取付板55a、55bの代わりに内部に空間を有するヘッダを用いて、ヘッダと集水管53の内部空間が連通するように集水管53を固定するようにしてもよい。
また、膜ユニット50及び処理水配管16aと接続管60との接続は、液密に接続できればよく、ユニオンに限定するものではない。
【0045】
本実施形態によれば、縦型の浸漬槽1内に鉛直方向に多段に膜ユニット50を載置するので省スペース化が可能である。また、膜ユニット50は、棚枠構造体30と抑え枠構造体40とで画定される空間に個別に載置されており、浸漬槽1の側面に設けられた開口部2より、棚枠構造体30及び抑え枠構造体40のガイドに沿って略水平方向に膜ユニット50を個別に出し入れできるので、重機等を用いずに膜ユニット50の出し入れを容易に行うことが可能である。さらに、本実施形態では、複数の膜ユニット50を積み上げる(積み重ねる)のではなく、浸漬槽1内に設けられた多段の棚枠構造体30に個別に載置しているので、上部に積み上げられる膜ユニット50の重量を考慮して膜ユニット50の構造や強度を強化する必要がないので、膜ユニット50の構造を簡略化することができ、製造コストを下げることができる。また、従来の複数の膜ユニット50を積み上げる積み上げ型の場合、浸漬槽からの出し入れを容易にするために上下に積み上げた膜ユニット同士を連結していたため、膜ユニットのメンテナンス時等に膜ユニットを切り離す作業が必要であったが、本実施形態では、膜ユニット50は、個別に載置されるので、このよう煩雑な切り離し作業をする必要がなく、メンテナンス時等の作業時間を大幅に短縮できる。また、膜ユニット50を軽量化しても、抑え枠構造体40を設けているので、貯留液の浮力や浸漬槽底部7のディフューザ14より供給される空気泡により膜ユニット50が浮上するのを防ぐことができる。
【0046】
また、浸漬型膜ろ過装置では、ディフューザのメンテナンス(例えば、目詰まりが生じた際の洗浄等)やディフューザ自体の交換の必要性があるが、従来の浸漬型膜ろ過装置では、浸漬槽の底部に敷設する床面固定方式のディフューザをメンテナンス又は交換する際、全ての膜ユニットを水槽から撤去する必要があったが、本実施形態の浸漬型膜ろ過装置100では、複数の膜ユニット50を個別に棚枠構造体30に載置しているため、下段(最下段)の膜ユニット50を外せば、棚枠構造体30の開口部70aを介してディフューザ14のメンテナンス等を行うことが可能であり、全ての膜ユニット50を取り外さずに済むので作業効率が向上する。
【0047】
また、膜ユニット50と接続管60は、分岐管部64に取り付けられたユニオン61により締結されているので容易に脱着可能であり、接続管60を取り外すことで、膜ユニット50を浸漬型膜ろ過装置100から簡単に出し入れすることができる。また、膜ユニット50は、前後の取付板55a、55bと4本の丸棒56とからなる支持枠体54に膜モジュール51を配置した簡単な構造とすることで、膜ユニット50自体の組み立てや解体も容易に行うことが可能である。さらに、膜ユニット50を、中空糸膜52の両端に設けた集水管53を支持枠体54で固定する構造とすることで、中空糸膜52を直接支持枠体54(取付板55a、55b)に固定する場合等と比較して、膜ユニット50内における中空糸膜52の配置位置の自由度が高まる。したがって、中空糸膜52を直接支持枠体54(取付板55a、55b)に固定した場合には、棚枠構造体30の載置面(膜ユニット50を載置する面)にかかって中空糸膜52と支持枠体54との接続部付近にまでディフューザ14からの気泡が十分に行き届かないことがあるが、中空糸膜52を集水管53を介して支持枠体54に固定することで、中空糸膜52を膜ユニット50の棚枠構造体30の開口部70aに対応する領域内に配置し得るので、中空糸膜52への汚濁物質の付着を防止することが可能となる。
【0048】
浸漬型膜ろ過装置100の運転時には配管16aと接続管60を介して連接されているが、膜ユニット50のメンテナンス時等には、接続管60のユニオン61を外すことで、膜ユニット50を浸漬型膜ろ過装置100から容易に取り出すことが可能となっている。
【0049】
ろ過膜(浸漬膜)より処理水を取水する配管を浸漬槽内に設置する場合、従来は、配管をサポートする配管サポート枠は、膜ユニットを収容するケーシング(躯体)で支持するのが通常であったが、本実施形態では、棚枠構造体30及び/又は抑え枠構造体40を利用して配管(配管12、16a等)を支持することができる。したがって、配管の修繕も開口部2を利用して容易に行うことができるので、従来のような浸漬槽1から取り出し可能な配管サポート枠は不要となる。
【0050】
以上、本発明について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限り、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加えることが可能である。
例えば、上記実施形態では、膜モジュール51の形状は、平面視略矩形状であったが、多角形、円形等のいかなる形状であってもよい。また、膜ユニット50の外形(支持枠体54の外形)は、上記例では略直方体状であったが、これに限定されず、略立方体状、円筒形状等のいずれの形状であってもよい。
【0051】
また、浸漬槽1の形状は縦型円筒形としたが、これに限定されず、縦型又は横型であっても、角筒形(直方体形)等の如何なる形状を有していてもよく、浸漬槽1の形状や大きさは、膜ユニット50の外形等に応じて適宜選択するとよい。浸漬槽1の側壁の開口部2の数も2つに限定されず、1つでも3つ以上設けてもよい。また、上記例では開口部2は膜ユニット51ごとに設けたが、これに限定されず、1つの開口部2から2以上の膜ユニット51を取り出すように構成してもよい。
【0052】
棚枠構造体30及び抑え枠構造体40の配設方法についても、上記例のように直接浸漬槽1に固定するのではなく、例えば浸漬槽1内に4本の支柱を立設し、該支柱に固定するようにしてもよい。なお、直接浸漬槽1に固定すると、浸漬型膜ろ過装置100の一層の小型化が図れる。棚枠構造体30及び抑え枠構造体40の形状も上記に限定するものではなく、膜ユニット50の形状に応じて適宜変更してもよい。また、矩形状の棚枠構造体30(抑え枠構造体40)も、上記例のように3本のL字状部材と1本の平板状部材で形成するだけでなく、一体形成したものを用いてもよい。
【0053】
また、上記では、覆蓋6をボルト・ナット機構により締結したが、覆蓋6は、液密に開口部2を閉塞できればよく、これに限定されない。したがって、ボルト・ナット機構の代わりに、取手型ハンドルを90度回転させると連動して背面に備えられた締付具(止め金)がリフトし、覆蓋6を締め付けるいわゆるワンタッチタイプを使用してもよい。このようなワンタッチタイプを利用すれば、覆蓋6の脱着は容易で、例えば浸漬槽1への膜ユニットの設置や膜交換に要する作業時間を、大幅に短縮することができる。
【符号の説明】
【0054】
K 液体の流れ
M 上向流領域
N 下降流領域
1 浸漬槽
2 開口部
3 枠部
4 フランジ
5 天板
6 覆蓋
7 底部
11 ブロワ
12 配管
14 ディフューザ(散気管)
15 吸引ポンプ
16 処理水配管(主管)
16a 処理水配管(分岐管)
30 棚枠構造体
30a 側部の立ち上がり部
30b 背部の立ち上がり部
31 フラットバー(平鋼)
32、33、34 アングル(山形鋼)
32a、33a、34a 立ち上がり部
40 抑え枠構造体
40a 側部の立ち上がり部
40b 背部の立ち上がり部
50 膜ユニット
51 膜モジュール
52 中空糸膜
53 集水管
54 支持枠体
55a、55b 取付板
56 丸棒
57 ノズル
58 取付穴
59 ビス
60 接続管
61 ユニオン
62 直管部
63 立ち上がり管部
64 分岐管部
65 ユニオン
70a 棚枠構造体の開口部
70b 抑え枠構造体の開口部
100 浸漬型膜ろ過装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
側面に少なくとも一つの開口部を有する浸漬槽と、
前記開口部を閉塞する開閉自在な覆蓋と、
浸漬膜を備えた膜ユニットと、
前記浸漬槽内に棚状に設けられ、前記膜ユニットを載置する棚枠構造体と、
前記棚枠構造体に載置された前記膜ユニットの上部に設けられ、該膜ユニットの浮上を防止する抑え枠構造体と、
を備え、前記膜ユニットが前記開口部を介して前記棚枠構造体と前記抑え枠構造体との間から出し入れ可能とされていることを特徴とする浸漬型膜ろ過装置。
【請求項2】
前記膜ユニットが、少なくとも上下方向に開放された支持枠体と、該支持枠体内に配設された浸漬膜とを備えてなり、
前記浸漬槽内の液体が前記膜ユニット内を上下方向に通過し得るように、前記棚枠構造体及び前記抑え枠構造体が前記膜ユニットの支持枠体を保持することを特徴とする請求項1に記載の浸漬型膜ろ過装置。
【請求項3】
前記膜ユニットが複数あり、該複数の膜ユニットを個別に収容し得るように、前記棚枠構造体と前記抑え枠構造体との対が、少なくとも前記膜ユニットに対応する数だけ前記浸漬槽内に多段状に設置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の浸漬型膜ろ過装置。
【請求項4】
上段の棚枠構造体が下段の抑え枠構造体を兼ねることを特徴とする請求項3に記載の浸漬型膜ろ過装置。
【請求項5】
前記膜ユニットが、引き出し方向に前後に所定間隔置いて配置される一対の取付板の四隅を4本の連結部材で各々固定してなる支持枠体と、シート状に並列した複数の中空糸膜の両端をそれぞれ該複数の中空糸膜の内部が連通するように一対の集水管で固定した複数の膜モジュールとを備え、
並列させた前記複数の膜モジュールの集水管の両端を前記一対の取付板でそれぞれ固定することにより前記複数の膜モジュールが前記支持枠体内に配設されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の浸漬型膜ろ過装置。
【請求項6】
前記膜ユニットと該膜ユニットから得られる処理水を槽外に移送する処理水配管とが、前記膜ユニット及び/又は前記処理水配管との接続部にユニオン継手が取り付けられた接続管を介して連接されることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の浸漬型膜ろ過装置。
【請求項7】
前記膜ユニットから得られる処理水を槽外に移送する処理水配管が、前記棚枠構造体及び/又は抑え枠構造体で支持されることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の浸漬型膜ろ過装置。
【請求項8】
請求項1乃至8の何れかに記載の浸漬型膜ろ過装置に用いられ、槽内に前記棚枠構造体及び前記抑え枠構造体を備えることを特徴とする浸漬槽。
【請求項9】
請求項5に記載の浸漬型膜ろ過装置に用いられる膜ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−162523(P2010−162523A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−25374(P2009−25374)
【出願日】平成21年1月13日(2009.1.13)
【出願人】(596136316)株式会社ウェルシィ (18)
【Fターム(参考)】