説明

消毒用組成物および方法

【課題】水溶液から送達される製品で、皮膚に対する殺細菌活性の速度および/または長さが上昇した消毒薬を提供する。
【解決手段】ヨウ素(I2)、ヨードフォア、およびそれらの組合せからなる群より選択される抗微生物剤であって、少なくとも約0.25重量%の利用可能なヨウ素濃度を提供するのに十分な量で存在する抗微生物剤;少なくとも約5重量%の量のヒドロキシカルボン酸緩衝剤;水;および場合によって永続性がある皮膜形成性ポリマー;を含む消毒剤組成物、ならびに製造方法および使用方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組織消毒、特に皮膚消毒を主たる目的とする少なくとも1種の抗微生物剤を含有する組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
工業世界において、感染の危険を減少させるために、外科手術、カテーテル処置、または針穿刺等の侵襲的手技に先立って皮膚を消毒することは、標準技法である。こうした製品は、しばしば皮膚プレップまたは単に「プレップ」と呼ばれる。無傷の皮膚にも粘膜組織(たとえば膣、口、鼻、および眼の組織)にも使用することができる単一製品を有することは、顧客にとって特に有利である。抗菌製品が使用されてきた他の敏感な組織としては、急性および慢性の創傷、ならびに火傷などがある。臨床医が所期の手技で成功できるように、こうした皮膚消毒薬の全てが、非常に速い微生物の減少を達成することが望ましい。
【0003】
近年、術前消毒およびカテーテル処置前消毒の両者向けに、幾つかのアルコール系消毒薬が上市されている。こうした製品は、アルコール含有率が高い(たとえば、一般に少なくとも約60重量%)ため、優れた即効性の消毒薬であるが、無傷の皮膚への使用に適するに過ぎず、粘膜組織、創傷、または火傷組織等の敏感な組織への使用には適さない。
【0004】
市販されている皮膚消毒薬の中で、皮膚上の細菌の全てを死滅させるものはないことは周知である。このような理由で、最近の製品は、外科手術中の洗い落としまたは体液への曝露に耐える皮膜形成性ポリマーを組み入れている。こうした製品の幾つかは、皮膚からプレップを除去するために、有機リムーバー液またはローションも必要とする。このことは、臨床医にとって不便であり、また、かなりの余分な時間を要する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、好ましくは乾燥して、粘着性をほとんどまたは全くもたない被膜になり、また、好ましくは、PSA被覆製品の接着を可能にする、水溶液から送達される製品で、皮膚に対する殺細菌活性の速度および/または長さが上昇した消毒薬が依然として必要である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、少なくとも1種の抗微生物剤を含む組成物に関する。このような組成物は、主として組織消毒、さらに詳細には、皮膚消毒を目的とする。意外なことに、本発明の組成物は、粘膜組織ならびに無傷の皮膚に優しく、したがって有用である。
【0007】
本発明の組成物は、ヨウ素(I2)、ヨードフォア、またはそれらの組合せ、少なくとも約5重量%のヒドロキシカルボン酸緩衝剤、水、および場合によって、好ましくは親水性部分および疎水性部分の両方を有する皮膜形成性ポリマーを含む。意外なことに、非常に親水性であるヒドロキシカルボン酸緩衝剤が高レベル(少なくとも約5重量%)であるにもかかわらず、本発明の好ましい組成物は、概して、乾いたとき非粘着性のままであり、感圧接着剤(PSA)被覆製品の長期接着を可能にする。さらに、比較的高レベルのヒドロキシカルボン酸緩衝剤とともにポリマー皮膜形成物を含む組成物の場合、即座にまたは時間が経過して、組成物から沈殿(すなわち溶液から塩析)しないことは意外である。
【0008】
注目に値すべきは、本発明の好ましい組成物は、ASTMテスト方法E1173−93に準拠して、中程度の圧力を使用して、該組成物中に浸漬したガーゼで30秒こすり洗いして試験するとき、乾いたヒト皮膚部位(一般に、背部または腹部)の正常な皮膚フローラを、わずか2分で、少なくとも対数値で約1(すなわち、10倍)の減少、しばしば少なくとも約1.5の対数減少、およびたいていは少なくとも対数値で約2(すなわち、100倍)の減少だけ、減少させる。
【0009】
一実施形態では、本発明は、ヨウ素(I2)、ヨードフォア(すなわち、使用条件で、元素状のヨウ素を発生させることができる、ヨウ素または三ヨウ化物と担体との複合体、たとえばポビドンヨード)、およびそれらの組合せからなる群より選択される抗微生物剤であって、少なくとも約0.25重量%の利用可能なヨウ素濃度(好ましくは、約1.0重量%以下の利用可能なヨウ素濃度)を提供するのに十分な量で存在する抗微生物剤;少なくとも約5重量%の量(好ましくは、約15重量%以下の量)のヒドロキシカルボン酸緩衝剤;水;および、好ましくは永続性があり、それによって永続性がある組成物を生じる、皮膜形成性ポリマー(好ましくは少なくとも約2重量%の量);を含む、消毒剤組成物を提供する。好ましくは、皮膜形成性ポリマーとヒドロキシカルボン酸緩衝剤との重量比は、少なくとも約0.25:1である。
【0010】
好ましくは、本発明の組成物は、非イオン性、陰イオン性、または両性であってもよい、1種以上の界面活性剤を含む。好ましい非イオン性界面活性剤は、少なくとも約14のHLB値を有する。ある特定の実施形態では、好ましい界面活性剤は、スルホン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、ホスホン酸塩、およびスルホン酸アンモニウム両性、およびそれらの混合物からなる群より選択される陰イオン性または両性の界面活性剤である。ある他の実施形態では、好ましい界面活性剤は、アミンオキシドである。必要に応じて、このような界面活性剤の様々な混合物を使用することができる。
【0011】
別の実施形態では、本発明は:ヨウ素(I2)、ヨードフォア、およびそれらの組合せからなる群より選択される抗微生物剤であって、少なくとも約0.25重量%の利用可能なヨウ素濃度を提供するのに十分な量で存在する抗微生物剤;少なくとも約5重量%の量のヒドロキシカルボン酸緩衝剤;水;および、永続性がある皮膜形成性ポリマー;を含む消毒剤組成物であって、該組成物の乾燥皮膜が安定しておりかつ永続性がある、消毒剤組成物を提供する。
【0012】
さらに別の実施形態では、本発明は:ヨウ素(I2)、ヨードフォア、およびそれらの組合せからなる群より選択される抗微生物剤であって、少なくとも約0.25重量%の利用可能なヨウ素濃度を提供するのに十分な量で存在する抗微生物剤;少なくとも約5重量%の量のヒドロキシカルボン酸緩衝剤;水;および、親水性部分と疎水性部分とを含む皮膜形成性ポリマー;を含む消毒剤組成物を提供する。
【0013】
また別の実施形態では、本発明は:5重量%より多い量のヨードフォアであって、ポリビニルピロリドン、N−ビニルラクタムのコポリマー、ポリエーテルグリコール、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、多糖類およびそれらの組合せからなる群より選択される担体を含むヨードフォア;少なくとも約5重量%の量のヒドロキシカルボン酸緩衝剤;および水;を含む消毒剤組成物を提供する。
【0014】
さらに別の実施形態では、本発明は:ヨウ素(I2)、ヨードフォア、およびそれらの組合せからなる群より選択される抗微生物剤であって、少なくとも約0.25重量%の利用可能なヨウ素濃度を提供するのに十分な量で存在する抗微生物剤;少なくとも約5重量%の量のヒドロキシカルボン酸緩衝剤;水;および、永続性がある皮膜形成性ポリマー;を含む消毒剤組成物を提供する。該組成物の乾燥皮膜は、安定しておりかつ永続性があり、以下の特徴:ASTMテスト方法E1173−93を使用し、中程度の圧力を使用して、該組成物中に浸漬したガーゼで30秒こすり洗いして、乾いたヒト皮膚部位の正常な皮膚フローラを、2分で、少なくとも対数値で約1だけ、減少させる;乾燥皮膜の形態であるとき、実質的に非粘着性である;ウサギ眼刺激テストに準拠して、約96時間以下で、ドレイズ(Draize)スコア0を示す;または、2.1kg、5.1cm幅のローラーをかけることによって、乾いたヒト皮膚上の乾燥皮膜にPSA被覆テープを貼付した後、少なくとも1分待ち、剥離角度180°速度30.5cm/分で、PSA被覆テープを剥がして、180°剥離テストを使用して測定したとき、乾いたベタジン・サージカル・スクラブ(BETADINE surgical scrub)および塗布剤溶液の上に貼付されたPSA被覆テープの接着レベルの少なくとも約50%のレベルで、PSA被覆テープに接着する;の1つ以上を示す。
【0015】
また別の実施形態では、本発明は、ヨウ素(I2)、ヨードフォア、およびそれらの組合せからなる群より選択される抗微生物剤であって、少なくとも約0.25〜約1.0重量%の利用可能なヨウ素濃度を提供するのに十分な量で存在する抗微生物剤;約5〜約15重量%の量のヒドロキシカルボン酸緩衝剤;水;および、永続性がある皮膜形成性ポリマー;を含み、該ヒドロキシカルボン酸緩衝剤が、式:
1(CR2OH)n(CH2mCOOH
[式中:R1およびR2は、互いに独立してHまたは飽和した直鎖状、分枝状、または環状の(C1〜C8)アルキル基、(C6〜C12)アリール基、あるいはアルキル基が飽和した直鎖状、分枝状、または環状である(C6〜C12)アラルキル基またはアルカリール基であり、R1およびR2は、場合によって1つ以上のカルボン酸基で置換されていてもよく;m=0または1であり;およびn=1〜3である]で表される化合物を含む消毒剤組成物を提供する。
【0016】
本発明は、組織、たとえば、皮膚組織または粘膜組織を消毒する方法も提供する。一実施形態では、本発明は:ヨウ素(I2)、ヨードフォア、およびそれらの組合せからなる群より選択される抗微生物剤であって、少なくとも約0.25重量%の利用可能なヨウ素濃度を提供するのに十分な量で存在する抗微生物剤;少なくとも約5重量%の量のヒドロキシカルボン酸緩衝剤;および水;を含む消毒剤組成物を、組織に直接(これによって、該組成物が希釈されていないことを意味する)塗布するステップと、該消毒剤組成物を組織上に残留させておくステップとを含む、組織を消毒する方法を提供する。好ましくは、該消毒剤組成物は、好ましくは永続性がある、皮膜形成性ポリマーをさらに含む。
【0017】
本発明の組成物を使用して消毒する、様々な他の方法を提供する。これらの方法は、該組成物を組織に直接(すなわち、未希釈で)塗布し、それを組織上に残留させておくことを含む。このような方法は、石鹸およびシャンプーを使用し、使用中の即時希釈および塗布直後の十分なすすぎを含む、従来の方式と対照的である。すなわち、本発明の消毒剤組成物は、組織上の細菌負荷を減少させるのに十分な時間、組織上に残留することを目的とする。本発明の組成物の刺激潜在性は非常に低いため、これが可能である。
【0018】
本発明はまた、消毒剤組成物を製造する方法も提供する。このような一法は:ヨウ素(I2)、ヨードフォア、およびそれらの組合せからなる群より選択される抗微生物剤であって、少なくとも約0.25重量%の利用可能なヨウ素濃度を提供するのに十分な量で存在する抗微生物剤;少なくとも約5重量%の量のヒドロキシカルボン酸緩衝剤;水;および永続性がある皮膜形成性ポリマーを含む成分を配合するステップを含む。好ましくは、該ヒドロキシカルボン酸緩衝剤および抗微生物剤を配合し、次いで永続性がある皮膜形成性ポリマーを加える。
【0019】
本明細書では、以下の定義を使用する。
「乾いたヒト皮膚部位」は、人の背部または腹部を指す;
「皮膜形成性」は、環境条件(たとえば、23℃および相対湿度(RH)50%)で、無傷の皮膚上で乾かすとき、組織の単純な伸縮後に、薄片になって落ちない連続した層を形成する組成物を指す;
「ヒドロキシカルボン酸緩衝剤」は、遊離酸、ならびに以下に詳細に記述されている、そのラクトン類、その塩類、および/またはその誘導体を指す;
「正常な皮膚フローラ」は、健常者の皮膚上に存在する常在皮膚フローラを指し、多くの場合、主として表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)からなる;
「ポリマー」は、ホモポリマーおよびコポリマーを包含し、「コポリマー」は、2種以上の重合可能なモノマーの任意の長さ(オリゴマーを包含する)のポリマーを包含し、したがって、ターポリマー、テトラポリマー等々を包含し、ランダムコポリマー、ブロックコポリマー、またはシーケンシャルコポリマーを包含することができる;
「側鎖」は、次の重合が、ポリマー・バックボーン(すなわち、主鎖)から枝分れを形成するモノマーの部分を指し;ビニルポリマーの場合、側鎖は、ビニル重合によって形成される炭素原子の直鎖から枝分れする2個以上の原子団である;
「安定した」は、50℃で5日(好ましくは10日、より好ましくは20日、最も好ましくは30日)間保存した後、目に見える巨視的相分離(沈殿、分相、沈降等々)の兆候を示さない消毒剤組成物を指し;あるサンプルは、50℃で5日間保存している間に僅かに濁ってくることがあるものの、巨視的沈殿および/または沈降がないため、これらのサンプルは物理的に安定していると考えられるが、最も安定したサンプルは、目に見える変化、すなわち、透明度、色等々の変化を示さない;
「実質的に非粘着性の」は、乾燥皮膜に押し付けて、直ちに離したとき、乾いた(使用直前に、アイボリー(IVORY)固形石鹸(オハイオ州シンシナティにあるプロクター・アンド・ギャンブル(Proctor and Gamble,Cincinnati,OH))等の、ローションを含まない石鹸で洗って完全に乾かした)親指に、ほとんどまたは全く粘着性を示さない、約4ミリグラムの組成物/前腕のヒト皮膚平方センチメートル(mg/cm2)の乾燥皮膜を指す;
消毒剤組成物(または皮膜形成性ポリマー)に使用したとき、「永続性がある」は、消毒剤組成物(または溶液状の皮膜形成性ポリマー)を、内側前腕の清浄な乾いた皮膚1平方センチメートル当たりおよそ4ミリグラム(mg/cm2)の量で、均一な湿った皮膜としてヒト皮膚に塗布して、完全に乾かした(たとえば、23℃、相対湿度50%で、少なくとも10分)とき、組成物が、15センチメートル(cm)の高さから落ち、かつ該乾いた組成物の真上の皮膚を打ち(乾いた組成物を直接ではない)、次いで該乾いた組成物の上を少なくとも約15秒間流れる、温度約23〜約24℃、流量約2.4〜2.5リットル/分(L/分)の水道水での除去に抵抗することを意味する;
「使用濃度」は、皮膚に実際に塗布される組成物の濃度を指す;および
「創傷」は、外科的切開、穿刺、裂傷、または火傷(この限りではない)に起因する、通常は、下にある組織への損傷を伴う、皮膚または粘膜表面等の膜の破壊を含む、哺乳類の組織への傷害を指す。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】α−ヒドロキシ酸の総モル濃度の関数としてプロットした、抗微生物活性の結果を示す図である。
【図2】乳酸(LA)+リンゴ酸(MA)の濃度のみの関数としてプロットした、抗微生物活性の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
望ましい消毒剤組成物は、水性系であり、かつ下記の特徴:比較的高レベルの細菌死滅;比較的短い乾燥時間;一般に、下にある組織がはっきり見えること;乾いたとき、皮膚によく接着すること;乾いたとき、ほとんどまたは全く粘着性がないこと;長時間にわたって抗微生物剤を放出できること;切開用ドレープ、テープ、創傷ドレッシング等々の、感圧接着剤(PSA)被覆製品の優れた接着;一般に、外科手術における収縮中に生じる応力による、PSA被覆製品のリフトオフに抵抗する;長時間、たとえば、数時間から数日、PSA被覆製品の接着を可能にする;粘膜組織等の、敏感な組織上に使用するのに適する;および、比較的容易に、好ましくは有機溶剤系剥離剤を必要とせずに、除去することができる、を有する。
【0022】
本発明の好ましい消毒剤組成物は、上述の特徴を全て有する。注目に値すべきは、本発明の好ましい消毒剤組成物は、迅速な微生物の死滅をもたらし、乾いて低粘着性または非粘着性の皮膜になり、PSA被覆製品の良好な接着を可能にする。さらに、本発明の好ましい消毒剤組成物は、組織に優しく、タオルまたはシンプルガーゼ等の水に浸した布地で除去することができる。
【0023】
さらに、本発明の好ましい組成物は、非常に安定しており、高温に長時間曝露しても、たとえば、50℃、および60℃という高温に、たとえば、しばしば7日を超える長時間、曝露しても耐えることができる。最も安定したサンプルは、目に見える変化、たとえば色、濁度、等々の変化を全く示さない。また、本発明の好ましい組成物は、低温、たとえば、4℃に曝露したとき、およびたとえば、2サイクル以上の繰り返し凍結/解凍サイクルの間でも、非常に安定している。
【0024】
本発明の好ましい組成物は、概して、永続性もある。本発明のより好ましい組成物は、膣円蓋等の湿った環境にあるのに、永続性があり、またベタジン(BETADINE)10%ポビドンヨード溶液(コネチカット州ノーウォークにあるパーデュー・フレデリック(Purdue Frederick,Norwalk,CT))等の代表的な消毒薬より長時間、膣内に留まる。「永続性がある」組成物は、上述の通りにテストしたとき、少なくとも約15秒間、除去に抵抗するものである。好ましくは、該組成物は、よりいっそう永続性があり、同一条件で少なくとも約30秒間、より好ましくは少なくとも45秒間、最も好ましくは少なくとも約60秒間、除去に抵抗する。これは、該組成物に色を与える(たとえば、有無を容易に判断することができる、比較的暗い色を皮膚上に生じる、少量の色素または着色した有効成分、たとえば十分な濃度のポビドンヨード等を含める)ことによって、好都合に測定される。
【0025】
皮膜形成性ポリマーを含む本発明の好ましい消毒組成物の乾燥皮膜は、概して、柔軟でかつ丈夫である。すなわち、脆弱な皮膜であればひび割れたりまたは薄片になって落ちたりすることもあるが、本発明の組成物の乾燥皮膜はそうではない。注目に値すべきは、皮膜形成性ビニルポリマーが、低粘着性と柔軟性との間の微妙なバランスを実現するための一助となることである。
【0026】
また、本発明の好ましい組成物は、処理しやすく、速やかに乾燥することができる比較的薄い皮膜を形成する調合物を保証する粘度を有する。ブルックフィールドRTVロトビスコ(Brookfield RVT ROTOVISCO)粘度計および実施例のセクションに記載の手順を使用して23℃で測定したとき、好ましくは、組成物のブルックフィールド(Brookfield)粘度(実施例のセクションに記載)は、約1000センチポアズ(cps)以下、より好ましくは約500cps以下、よりいっそう好ましくは約250cps以下、よりいっそう好ましくは約100cps以下、最も好ましくは約50cps以下である。この低い粘度により、ほとんど労せずに、該組成物を、速やかに乾燥する一様な薄い皮膜状で、皮膚に塗れることが保証される。
【0027】
乾燥時間は、23℃、相対湿度45〜55%で測定したとき、皮膚上で、好ましくは約5分以下、より好ましくは約3分以下、よりいっそう好ましくは約2分以下、最も好ましくは約1.5分以下である。乾燥時間は、ガーゼで、組成物約3mg/cm2皮膚の一様な薄い皮膜状に塗布した組成物が、目で見て乾き、ラテックス手袋をはめた手に該組成物が移らず、かつ最小レベルの粘着性を示す、最小時間として測定される。少なくとも5被験者の平均が、一般に使用される。
【0028】
本発明の組成物の特に重要な特性は、組織上、特に皮膚上の、細菌負荷を減少させる力、すなわち、速やかに、自然の皮膚フローラを死滅させる力である。好ましくは、本発明の組成物は、ASTMテスト方法E1173−93を使用し、中程度の圧力を使用して、該組成物中に浸漬したガーゼで30秒こすり洗いすることにより、乾いたヒト皮膚部位(一般に、腹部または背部の皮膚)の正常な皮膚フローラを、2分で、少なくとも対数値で約1(10倍)、より好ましくは少なくとも対数値で約1.5、最も好ましくは少なくとも対数値で約2(100倍)、減少させることができる。
【0029】
驚くほど速くかつ高い抗微生物活性は、特に高い使用濃度で、1種以上のヒドロキシカルボン酸緩衝剤と組み合せて、ヨウ素またはヨードフォアを有効な抗微生物剤として使用することにより、もたらされる。本発明の組成物中のヒドロキシカルボン酸緩衝剤は、このような良好な細菌死滅に大いに貢献する。比較すると、本発明の組成物は、ヒドロキシカルボン酸が存在しない同一組成物より少なくとも対数値で約0.5多く、正常な皮膚フローラを減少させる。この「同一」組成物は、ヒドロキシカルボン酸の代わりに補足的な水を含み、また、ヒドロキシカルボン酸を含む組成物と同じpHに調節される。
【0030】
意外なことに、プラシーボ組成物(すなわち、抗微生物剤を含まない組成物)は、ヒドロキシカルボン酸緩衝剤を含むにもかかわらず、比較的不活性である。比較すると、ASTMテスト方法E1173−93に準拠し、中程度の圧力を使用して、該組成物に浸漬したガーゼで30秒こすり洗いを完了した2分後に、乾いたヒト皮膚部位(たとえば、背部または腹部)で試験したとき、本発明の組成物は、抗微生物剤が存在しない同じ組成物より少なくとも対数値で約0.5多く、正常な皮膚フローラを減少させる。
【0031】
概して、消毒剤組成物は、組織、一般に皮膚に塗布し、乾燥させ、所定の位置に少なくとも2分、しばしば数時間から数日、残留させる。注目に値すべきは、本発明の組成物の多くが、たとえば、しばしば6時間まで、さらに24時間までという長時間にわたって、組織上、一般に皮膚上で非常に低い細菌数を維持することである。
【0032】
抗微生物剤
好ましい有効な抗微生物剤は、元素状のヨウ素(I2)である。ほとんどのヨウ素含有患者プレップと同様、ヨウ素に加えて、他のヨウ素含有種が存在してもよい。このような種としては、たとえば、次亜ヨウ素酸(HOI)、ヨウ化物(I-)、三ヨウ化物(I3-)、ヨウ素酸塩(IO3-)、等々がある。元素状のヨウ素が最も有効な抗微生物剤種であることは、広く認められている。たとえば、シーモア・エス・ブロック(Seymour
S.Block)著、Disinfection,Sterilization,and Preservation、第4版、第8章「ヨウ素およびヨウ素化合物(Iodine and Iodine Compounds)」、Lea & Febiger出版、ペンシルバニア州フィラデルフィア、1991年、を参照されたい。
【0033】
ほとんどの市販されているヨウ素消毒薬では、ヨウ素がヨウ化物に急速に還元されるのを防止するために、溶液は、一般に僅かに酸性に緩衝化されている。ヨウ素溶液における安定性を維持するため、および菌力が低い他のヨウ素種への変換を抑制するためには、一般に酸性が必要である。たとえば、ヨウ素を含有する市販の皮膚プレップは、概して、分子状のヨウ素種の安定性に有利な3〜5の範囲のpH値を有する。HOIは、通常、I2に比して非常に低レベルで存在するが、効果的な抗微生物剤として報告されており、一部の組成物では、死滅の一助となる可能性がある。IO3-は、かなりの量のHIO3が存在できるpH値4未満でに限って、有効な酸化剤である。
【0034】
本発明を理解し、実行するためのさらなる背景として、元素状のヨウ素は、水に僅かに溶解するに過ぎない(25℃で0.03重量%)。ヨウ素と結合して三ヨウ化物(I3-)を形成するアルカリ金属ヨウ化物は、その溶解性を高める。しかし、分子状のヨウ素は、高濃度で、非常に刺激性な可能性がある。たとえば、ルゴール(Lugol)液(元素状のヨウ素5%およびヨウ化カリウム10%)およびヨードチンキ(元素状のヨウ素2%およびヨウ化ナトリウム2.4%を含む45%水性エタノール)は、両者とも皮膚をかなり刺激することは、文献で十分に実証されている。
【0035】
多くの参考文献には、元素状のヨウ素または三ヨウ化物とある種の担体との複合体である「ヨードフォア」の調製法が記載されている。これらのヨードフォアは、ヨウ素溶解性を高めるばかりではなく、溶液中の遊離分子形ヨウ素のレベルを下げ、元素状のヨウ素の徐放型貯蔵所を提供する役目をする。ヨードフォアは、ポリビニルピロリドン等のポリマー、N−ビニルラクタムと他の不飽和モノマー、たとえばアクリレート類およびアクリルアミド類等(しかし、この限りではない)とのコポリマー、ポリエーテル含有界面活性剤を含む様々なポリエーテルグリコール類、たとえばノニルフェノールエトキシレート類等々、ポリビニルアルコール類、ポリアクリル酸等のポリカルボン酸類、ポリアクリルアミド類、デキストロース等の多糖類等々およびそれらの組合せの担体を使用することは周知である。ヨードフォアの好ましい群は、ポリビニルピロリドン(PVP)等のポリマー、N−ビニルラクタムのコポリマー、ポリエーテルグリコール(PEG)、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、多糖類およびそれらの組合せを包含する。米国特許第4,957,975号明細書(ウッドワード(Woodward))には、やはり本発明で使用するのに好適なヨードフォアであるプロトン化アミンオキシド界面活性剤−三ヨウ化物複合体も報告されている。ヨードフォアの様々な組合せを、本発明の組成物で使用することができる。
【0036】
好ましいヨードフォアは、ポビドンヨードである。特に好ましいヨードフォアは、ポビドンヨードUSPとして商業的に入手することができ、利用可能なヨウ素が約9〜約12重量%で存在する、K30ポリビニルピロリドン、ヨウ素、およびヨウ化物の複合体である。
【0037】
好ましくは、ヨードフォアは、消毒剤組成物の総重量を基準にして、少なくとも約2.5重量%、より好ましくは少なくとも約5重量%、最も好ましくは5重量%より高い濃度で、使用組成物中に存在する。乾燥した組成物が過剰に水溶性になるのを防止するために、使用組成物中のヨードフォアの濃度は、消毒剤組成物の総重量を基準にして、好ましくは約15重量%以下、より好ましくは約10重量%以下で存在する。
【0038】
ヨードフォアは、利用可能なヨウ素の量が変化するため、通常は、利用可能なヨウ素レベルに換算して濃度を記述する方が好都合である。本発明では、ヨウ素からであろうと、またはヨードフォアからであろうと、またはそれらの組合せからであろうと、利用可能なヨウ素濃度は、消毒剤組成物の総重量を基準にして、好ましくは少なくとも約0.25重量%、より好ましくは少なくとも約0.5重量%である。利用可能なヨウ素は、好ましくは、組成物の総重量を基準にして、約1.5重量%以下、好ましくは約1重量%以下で存在する。
【0039】
ほとんどの組成物に関する利用可能なヨウ素は、ポビドンヨードに関する米国薬局方医薬品各条(United States Pharmacopeia Official
Monographs for Povidone−Iodine)に記載の方法に従って決定することが可能である。ある調合物は、他の陰イオン種等の、本方法を妨害する可能性がある成分を含むことがある。このような理由で、正確さを保証するために適当な標準を実行しなければならず、また、正確さを保証するために溶剤系または試薬を変更することが必要な場合もある。当業者は、こうした考慮すべき事項を正しく理解するであろう。
【0040】
ヒドロキシカルボン酸緩衝剤
本発明の組成物は、保存中のpHドリフトを防止するために、緩衝化されていることが好ましい。たとえば、ヨウ素含有系では、pHを約2〜約6に、好ましくは約3〜約5に、維持することが重要なことは周知である。pHが約6より上に上昇すると、ヨウ素は、急速にヨウ化物に変換される可能性があり、したがって、このようなことが必要な場合、抗微生物剤の効果が不活性化される。はるかに低い約2のpH付近では、該組成物は、刺激性になることがある。本発明の組成物では、pHは、好ましくは約3.0〜約4.5、より好ましくは約3.5〜約4.2に調整される。
【0041】
従来の組成物は、約0.1〜約2重量%の濃度の緩衝剤を含んでいたが、本発明の組成物は、はるかに高い緩衝剤濃度で使用することができるある種のヒドロキシカルボン酸緩衝剤を含む。好ましくは、該ヒドロキシカルボン酸緩衝剤は、消毒剤組成物の総重量を基準にして、少なくとも約5重量%、より好ましくは少なくとも約6重量%の量で存在する。
【0042】
意外なことに、こうした組成物(すなわち、好ましくは約3.0〜約4.5、より好ましくは約3.5〜約4.2に調整されたpH、および比較的高いヒドロキシカルボン酸緩衝剤濃度(少なくとも約5重量%、より好ましくは少なくとも約6重量%)を有する)は、(使用濃度の)アリコートをウサギ眼に点眼することによって実施される試験によって示される通り、組織(たとえば、皮膚組織および粘膜組織)に対して実質的に非刺激性である。このことは、ウサギ眼刺激テスト(Rabbit Eye Irritation
Test)に準拠して試験するとき、本発明の組成物は、たとえあるとしても、非常にわずかな角膜混濁を引き起こし、約96時間以下で、好ましくは約72時間以下で、実質的に完全に正常に戻る(すなわち、透明である、すなわちドレイズ(Draize)スコア0を有する)ことを示す、実施例で例証される。このことから、該組成物は、皮膚組織および粘膜組織への使用に対して非常に優しいであろうことが分かる。前報では、高レベルの、酸性pHのα−ヒドロキシ酸は、皮膚を刺激する可能性があることを示していたため、これは意外である。
【0043】
このレベルの緩衝剤は、抗微生物剤としてポビドンヨード(特にポビドンヨードUSP)を含む消毒剤組成物に特に望ましい。こうした系では、迅速な微生物の死滅のレベルが有意に上昇し、また幾つかの系では、ヒドロキシカルボン酸のモル濃度と直線様式で、上昇する。
【0044】
好ましいヒドロキシカルボン酸緩衝剤は、式:
1(CR2OH)n(CH2mCOOH
[式中:R1およびR2は、互いに独立してHまたは(C1〜C8)アルキル基(飽和した直鎖状、分枝状、または環状基)、(C6〜C12)アリール基、または(C6〜C12)アラルキル基またはアルカリール基(飽和した直鎖状、分枝状、または環状アルキル基)であり、R1およびR2は、場合によって1つ以上のカルボン酸基で置換されていてもよく;m=0または1であり;およびn=1〜3であり、好ましくは、n=1〜2である]で表される1種以上の化合物を含む。
【0045】
炭化水素基を含む緩衝剤および他の賦形剤が飽和しているかまたは低レベルの不飽和を含むことは、該組成物中のヨウ素を消耗させ、かつ/または有毒な種を生成する可能性がある、ヨウ素付加を防止するために特に望ましい。好ましくは、該組成物中の不飽和のレベルは、約50ミリ当量/リットル(meq/L)以下、より好ましくは、約5meq/L以下、最も好ましくは、約0.5meq/L以下の不飽和である。
【0046】
本発明のヒドロキシカルボン酸緩衝剤は、好ましくは、β−およびα−ヒドロキシ酸(それぞれ、BHA、AHA、集合的にヒドロキシ酸(HA)と呼ばれる)、それらの塩類、それらのラクトン類、および/またはその誘導体を含む。これらは、モノ−、ジー、およびトリ−官能カルボン酸を含んでもよい。特に好ましいのは、1個または2個のヒドロキシル基、および1個または2個のカルボン酸基を有するHAである。好適なHAとしては、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、2−ヒドロキシブタン酸、3−ヒドロキシブタン酸、マンデル酸、グルコン酸、酒石酸、サリチル酸、ならびにそれらの誘導体(たとえば、ヒドロキシル、フェニル基、ヒドロキシフェニル基、アルキル基、ハロゲン類、ならびにそれらの組合せで置換された化合物)などがあるが、この限りではない。好ましいHAとしては、乳酸、リンゴ酸、およびクエン酸などがある。これらの酸類は、D形、L形、またはDL形であってもよく、遊離酸、ラクトン、またはその塩類として存在してもよい。他の好適なHAは、米国特許第5,665,776号明細書(ユ(Yu))に記載されている。ヨウ素と、特にポビドンヨードと、使用するのに好ましいHAは、乳酸およびリンゴ酸である。必要に応じて、ヒドロキシカルボン酸類の様々な組合せを使用することができる。
【0047】
ヒドロキシカルボン酸緩衝剤は、好ましくは、少なくとも約0.3モル濃度、より好ましくは少なくとも約0.45モル濃度、最も好ましくは少なくとも約0.6モル濃度で存在する。皮膚上での非常に迅速な微生物の死滅が望まれる調合物の場合、ヒドロキシカルボン酸緩衝剤濃度は、0.7モル濃度を上回る。
【0048】
概して、ポビドン/ヨウ素調合物の抗微生物剤効力は、ヒドロキシカルボン酸緩衝剤のモル濃度と直接関連する。十分に高いレベルのヒドロキシカルボン酸緩衝剤を使用すると、該組成物は、ASTMテスト方法E1173−93に準拠して試験するとき、30秒こすり洗いの後、好ましくは該部位を3回塗りつける単なる塗布剤の塗布後(こすり洗いなし)、乾いたヒト皮膚部位(一般に、背部または腹部)上の正常な皮膚フローラを、わずか2分で、平均で、対数値で2以上、減少させることができる。これは、実施例のセクションで証明する。
【0049】
一般に、使用組成物の重量%で表したヒドロキシカルボン酸緩衝剤の濃度は、使用組成物の重量を基準にして、少なくとも約5重量%、しばしば少なくとも約7重量%である。ヒドロキシカルボン酸緩衝剤の濃度は、使用組成物の重量を基準にして、好ましくは約15重量%以下、より好ましくは約10重量%以下、最も好ましくは約5重量%以下である。幾つかの用途では、ヒドロキシカルボン酸緩衝剤のはるかに高い濃度を有する濃縮物を供給することが好都合なこともあるが、使用濃度に希釈したとき、指定された範囲内に入る。
【0050】
高濃度のヒドロキシカルボン酸緩衝剤は、特に長い装着時間にわたるPSA被覆製品接着不良を助長すると考えられよう。装着時間が長い用途では、外的流体曝露と組み合せた発散および発汗による水分蓄積が、主な破損様式であると考えられる。親水性化合物を組み入れると、通常は、早期接着破壊を来たす。たとえば、グリセリンおよびプロピレングリコール等のグリコール類を、3%という低いレベルで組み入れることにより、PSA被覆製品の接着力が有意に低下する。しかし、ある種のヒドロキシカルボン酸緩衝剤(たとえば、乳酸、リンゴ酸、およびクエン酸)を使用する場合、意外なことに、5重量%を上回る濃度で、10〜13重量%という高い濃度でも、十分なPSA被覆製品(たとえば、切開用ドレープ)接着が依然として可能である。
【0051】
好ましくは、ヒドロキシカルボン酸(「HA」)緩衝剤(遊離酸、ならびにそのラクトン類、その塩類、またはその誘導体)と抗微生物剤との比率は、少なくとも約4.0グラムのHA緩衝剤/グラム利用可能なヨウ素、より好ましくは、少なくとも約6.5グラムのHA緩衝剤/グラム利用可能なヨウ素、最も好ましくは、少なくとも約9.0グラムのHA緩衝剤/グラム利用可能なヨウ素である。
【0052】
媒体
本発明の消毒剤組成物に適する液体媒体としては、場合によって、アセトンまたはアルコール、特に(C1〜C4)アルコール(すなわち、低級アルコール)、たとえばエタノール、2−プロパノール、およびn−プロパノール、およびそれらの混合物と組み合せた、水などがある。好ましい媒体は、注射可能級の水、すなわち、USP級「注射用水」であるが、蒸留水および脱イオン水等の、他の形態の精製水も適する。
【0053】
しかし、無傷の皮膚に塗布する場合、エタノール、イソプロパノール、またはn−プロパノール等の低級アルコールを含むことが望ましい可能性がある。こうしたアルコールが、迅速な微生物の死滅の一助となることは、周知である。こうした用途では、アルコールと水との比率は、重量基準で、好ましくは少なくとも約60:40、より好ましくは少なくとも約70:30である。こうした高濃度でアルコールを加えることはまた、該組成物の乾燥時間も減少させる。
【0054】
低級アルコールを使用するとき、界面活性剤を組み入れること(以下に、さらに詳細に検討する)は、必要なこともまたは必要でないこともある。界面活性剤を除去することにより、乾燥皮膜上へのPSA被覆製品の接着がよくなる可能性がある場合もある。
【0055】
特に好ましい組成物は水を含み、かつ揮発性有機溶剤(すなわち、密閉式引火点が約140°F(60℃)より高いもの)、たとえば、アセトン、低級アルコール類、アルカン類、揮発性シリコーン類等々を、実質的に含まない(すなわち、約10重量%未満)。
【0056】
水性調合物は、皮膚組織にも粘膜組織にも優しいため、好ましく、また、創傷クレンザーとして、開放した創傷への使用にさえ適する可能性がある。さらに、有機溶剤を含有する組成物は、引火性である可能性もあり、このことは、一般に、製品の輸送および取り扱いに際して考慮すべき事項である。
【0057】
本発明の好ましい組成物は、組成物の総重量を基準にして、約5重量%未満の揮発性有機溶剤、より好ましくは約3重量%未満の揮発性有機溶剤を含む。こうした好ましい水性組成物は、一般に不燃性であり、密閉式引火点が約140°F(60℃)より高い。約4重量%未満の低級アルコール類(C1〜C4)を加えることにより、組成物の湿潤性を改良し、さらに引火点を約140°F(60℃)より上に維持することが可能である。引火点は、テスト方法ASTM D3278−96に準拠して測定される。
【0058】
任意の皮膜形成性ポリマー
永続性(たとえば、血液および体液への曝露によって洗い落とされることに対する抵抗性)を改良し、PSA被覆製品の接着を改良し、かつ/または該組成物の粘着性を減少させるために、1種以上の皮膜形成性ポリマーを消毒剤組成物に加えることは特に望ましい。本発明の消毒剤組成物の好ましい皮膜形成性ポリマーは、永続性があり、かつ、水、食塩水、および体液等の流体への長時間曝露による除去に抵抗し、さらに、有機溶剤を必要とせずに、容易にかつ優しく除去することができる。
【0059】
好ましい皮膜形成性ポリマーは、親水性部分および疎水性部分の両方を有する。特に好ましい皮膜形成性ポリマーは、比較的高いレベルの総疎水性モノマーを有する。好ましいポリマーは、良好な永続性およびPSA被覆製品の長時間接着を提供するために、比較的疎水性である。特に好ましいポリマーは、重合可能な組成物の総重量を基準にして(好ましくは、ポリマーの総重量を基準にして)、少なくとも約50重量%、しばしば80重量%という高い疎水性モノマーレベルを使用して形成される。必要に応じて、疎水性モノマーの様々な組合せを使用することができる。
【0060】
適当な疎水性モノマーおよび親水性モノマーの例は、「皮膜形成性組成物および方法(FILM−FORMING COMPOSITIONS AND METHODS)」と題する、これとともに同日出願された、出願人の譲受人の同時係属米国特許出願第10/052,158号明細書(弁理士事件整理番号(Attorney Docket No.)57339US002)に記載されている。
【0061】
皮膜形成性ポリマーは、非イオン性、陰イオン性、または陽イオン性であってもよい。皮膜形成性ポリマーは、感圧接着剤特性も有していてもよい。これらは、合成および天然の両ポリマーならびに天然ポリマーの誘導体を包含する。好ましい皮膜形成性ポリマーは、陽イオン性である。
【0062】
意外なことに、陽イオン性皮膜形成性ポリマーの溶解性および安定性は、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、等々のヒドロキシ酸を含有する多官能性カルボン酸の存在によって悪影響を受けない。これらの酸を、非常に高濃度で陽イオン性ポリマーを含有する組成物に加えた結果、たとえば、イオン架橋によってポリマーの沈殿を生じるであろうことが予測されるため、このことは特に意外である。
【0063】
好ましい皮膜形成性ポリマーは、陽イオン性ポリマー、特に、側鎖官能性アミン基を含むものである。このような群の例としては、プロトン化第三級アミン類、第四級アミン類、アミンオキシド類、およびそれらの組合せなどが挙げられる。好ましいこのようなポリマーは、「皮膜形成性組成物および方法(FILM−FORMING COMPOSITIONS AND METHODS)」と題する、これとともに同日出願された、出願人の譲受人の同時係属米国特許出願第10/052,158号明細書(弁理士事件整理番号(Attorney Docket No.57339US002)に記載されている。
【0064】
好ましい皮膜形成性ポリマーは、アミン基含有モノマーから調製されるビニルポリマーである。好ましくは、該ビニルポリマーは、少なくとも約30℃、より好ましくは少なくとも約50℃のTgを有する。ポリマーのTgを測定する一方法は、−100℃〜+100℃の範囲で、20℃/分の率での、示差走査熱量計(DSC、たとえば、コネチカット州シェルトンにあるパーキン・エルマーのピリス7シリーズ・サーマル・アナライザー(PYRIS 7−Series Thermal Analyzer,Perkin−Elmer,Shelton,CN)の使用を含むことがある。
【0065】
ある好ましい皮膜形成性ポリマーの場合、重合可能な組成物の総重量を基準にして(および好ましくは、ポリマーの総重量を基準にして)少なくとも約15重量%、より好ましくは少なくとも約20重量%、よりいっそう好ましくは少なくとも約25重量%、最も好ましくは少なくとも約30重量%の量で、アミン基含有モノマーを使用して、該皮膜形成性ポリマーを調製することができる。該皮膜形成性ポリマーの調製に使用されるアミン基含有モノマーは、一般に、重合可能な組成物の総重量を基準にして(好ましくは、ポリマーの総重量を基準にして)、約70重量%以下、好ましくは約65%以下、より好ましくは約60重量%以下、最も好ましくは約55重量%以下の量で使用される。
【0066】
該ポリマーに含まれるアミン基の当量は、好ましくは少なくとも約300、より好ましくは少なくとも約350、よりいっそう好ましくは少なくとも約400、最も好ましくは少なくとも約500グラムのポリマー/アミン基当量である。該ポリマーに含まれるアミン基の当量は、好ましくは約3000以下、より好ましくは約1500以下、よりいっそう好ましくは約1200以下、最も好ましくは約950グラム以下のポリマー/アミン基当量である。
【0067】
室温でPSAである、皮膜形成性ポリマーの例としては、長鎖アルキルアクリルポリマーおよび場合によって他の親水性モノマーと組み合せた側鎖官能性アミン基モノマーに基づくものなどがある。たとえば、PSAである特に効果的なポリマーは、重合可能な組成物の総重量を基準にして(好ましくは、ポリマーの総重量を基準にして)、2−エチルヘキシルアクリレート80%およびトリメチルアミノエチルメタクリレートクロリド20%を含む。このクラスの別のPSAポリマーは、2−エチルヘキシルアクリレート75%、トリメチルアミノエチルメタクリレートクロリド25%、およびメトキシポリエチレングリコール(約9エチレンオキシ単位)モノアクリレート(AM−90Gという商品名で日本の和歌山市にある新中村化学工業株式会社から販売されている)5%を含む。
【0068】
好ましくは、本発明の組成物の粘度は、ブルックフィールドRTVロトビスコ(Brookfield RVT ROTOVISCO)粘度計を使用して23℃で測定したとき、約1000cps以下である。したがって、本発明の皮膜形成性ポリマーは、好ましくは、実施例のセクションの方法に準拠してテトラヒドロフランで測定したとき、約0.75以下、好ましくは約0.5以下のインヘレント粘度を有する。しかし、十分な永続性を確保するためには、該皮膜形成性ポリマーのインヘレント粘度は、実施例のセクションの方法に準拠してテトラヒドロフランで測定したとき、好ましくは少なくとも約0.1である。
【0069】
低粘度組成物を維持するためには、該ポリマーの分子量も、低く保つことが好ましい。好ましくは、該ポリマーの分子量は、概して約350,000ダルトン以下、より好ましくは約250,000ダルトン以下、よりいっそう好ましくは約150,000ダルトン以下、最も好ましくは約100,000ダルトン以下である。
【0070】
1種以上の皮膜形成性ポリマー、好ましくは永続性がある皮膜形成性ポリマーは、消毒剤組成物の総重量を基準にして、少なくとも約2重量%、好ましくは少なくとも約3重量%、より好ましくは少なくとも約5重量%の総量で、該消毒剤組成物中に存在する。1種以上の皮膜形成性ポリマー、好ましくは永続性がある皮膜形成性ポリマーは、消毒剤組成物の総重量を基準にして、約10重量%以下、より好ましくは約8重量%以下の総量で、該消毒剤組成物中に存在する。任意の皮膜系精製ポリマーは、好ましくは、永続性のある組成物を提供する量で存在する。
【0071】
高濃度の、皮膜形成性ポリマーは、PSA被覆製品の接着を促進すると考えられる。しかし、ある組成物では、特に50℃を超える温度に暴露されると不安定なため、高濃度はあり得ないかもしれない。
【0072】
好ましくは、十分な永続性を保証するために、皮膜形成性ポリマーとヒドロキシカルボン酸との重量比は、少なくとも約0.25:1、好ましくは少なくとも0.35:1、より好ましくは少なくとも約0.5:1、最も好ましくは少なくとも約0.70:1である。
【0073】
任意の界面活性剤
皮膜形成性ポリマーを用いて調合するとき、組成物における該ポリマーの溶解性および安定性を高めるために、1種以上の界面活性剤を含むことが特に望ましい。加えて、界面活性剤は、組成物が皮膚を湿らせて、滑らかな一様な塗膜を確保するのに役立つ。塗膜が薄いために速やかに乾燥し、容易なエラーのない塗布を確実にするために、全適用範囲を有する薄い一様な塗膜を提供することが特に重要である。加えて、ある種の面活性剤は、抗微生物活性を高めることが可能である。
【0074】
使用する場合、1種以上の界面活性剤は、概して、組成物の総重量を基準にして少なくとも約0.5重量%の量で、本発明の消毒剤組成物に添加される。好ましくは、1種以上の界面活性剤は、概して、組成物の総重量を基準にして、約10重量%以下、より好ましくは約7重量%以下、よりいっそう好ましくは約5重量%以下、最も好ましくは約3重量%以下の量で、本発明の消毒剤組成物に添加される。界面活性剤が少なすぎると、特に高温に曝露されたとき、結果として不安定な組成物になる。界面活性剤が多すぎると、皮膚上の乾いた組成物の永続性を害することがある。こうした理由で、界面活性剤レベルは、概して、50℃で安定性を保証するのに必要な全界面活性剤の最小レベルを僅かに超えるように選択される。
【0075】
さらに、塩化ナトリウム,硫酸ナトリウム等々の低無機塩不純物を有する界面活性剤を使用することが好ましい。好ましくは、このような塩含量は、水中に20%の界面活性剤溶液が、約100マイクロモー(micromho)/cm未満、より好ましくは約85マイクロモー/cm未満、最も好ましくは約75マイクロモー/cm未満の導電率を有するように、十分に低くなければならない。
【0076】
下記のタイプの界面活性剤を必要に応じて使用することができる:
a.非イオン性界面活性剤。特に有用な界面活性剤は、非イオン性界面活性剤である。ポリアルコキシ化した、特にポリエトキシル化した、非イオン性界面活性剤は、水溶液状の本発明の皮膜形成性ポリマーを特に良好に安定化することができる。概して、有用なポリアルコキシ化非イオン性界面活性剤は、好ましくは、少なくとも約14、より好ましくは少なくとも約16の親水性/親油性バランス(HLB)を有する。有用なポリアルコキシ化非イオン性界面活性剤は、好ましくは約19以下のHLBを有する。非イオン性界面活性剤の組合せを使用するとき、非イオン性界面活性剤系のHLBは、重量平均HLBを使用して決定される。本明細書で使用するとき、HLBは、界面活性剤分子におけるエチレンオキシド部分の重量%の5分の1と定義される。
【0077】
以下に、特に有用であった非イオン型界面活性剤を挙げる:
1.ポリエチレンオキシド伸長(extended)ソルビタンモノアルキレート類(すなわち、ポリソルベート類)。特に、ニッコール(NIKKOL)TL−10として(バレット・プロダクツ(Barret Products)から)販売されているポリソルベート(Polysorbate)20が非常に有効である。
【0078】
2.ポリアルコキシ化アルカノール類。少なくとも約14のHLBを有する、デラウェア州ウィルミントンにあるICIスペシャルティ・ケミカルズ(ICI Specialty Chemicals,Wilmington,DE)からブリジ(BRIJ)という商品名で販売されているもの等の界面活性剤が有用である。特に、ブリジ(BRIJ)78およびブリジ(BRIJ)700は、それぞれ20モルおよび100モルのポリエチレンオキシドを有するステアリルアルコールエトキシレートであり、非常に有用である。ニュージャージー州マウント・オリーブにあるBASFコープ、パーフォーマンス・ケミカルズ事業部(BASF Corp.,Performance Chemicals Div.,Mt.Olive,NJ.)からプルラファク(PLURAFAC)A−39の商品名で販売されているセテアレス(ceteareth)55は、やはり有用である。
【0079】
3.ポリアルコキシ化アルキルフェノール類。このタイプの有用な界面活性剤としては、少なくとも約14のHLB値を有するポリエトキシル化したオクチルフェノール類またはノニルフェノール類であり、それぞれ、イコノール(ICONOL)およびトリトン(TRITON)の商品名で、ニュージャージー州マウント・オリーブにあるBASFコープ、パーフォーマンス・ケミカルズ事業部(BASF Corp.,Performance Chemicals Div.,Mt.Olive,NJ.)およびコネチカット州ダンベリーにあるユニオン・カーバイド・コープ(Union Carbide Corp.,Danbury,CT)から販売されている。例としては、トリトン(TRITON)X100(ユニオン・カーバイド・コープ(Union Carbide Corp.,Danbury,CT)から販売されている、15モルのエチレンオキシドを有するオクチルフェノール)およびイコノール(ICONOL)NP70およびNP40(ニュージャージー州マウント・オリーブにあるBASFコープ、パーフォーマンス・ケミカルズ事業部(BASF Corp.,Performance Chemicals Div.,Mt.Olive,NJ.)から販売されている、それぞれ、40モルおよび70モルのエチレンオキシド単位を有するノニルフェノール)などが挙げられる。これらの界面活性剤の硫酸化誘導体およびリン酸化誘導体もやはり有用である。このような誘導体の例としては、ローダペクス(RHODAPEX)CO−436という商品名でニュージャージー州デートンにあるロージア(Rhodia,Dayton,NJ)から販売されている、アンモニウムノノキシノール−4−硫酸塩などが挙げられる。
【0080】
4.ポロキサマー(Polaxamer)。エチレンオキシド(EO)およびプロピレンオキシド(PO)のブロックコポリマーを主成分とする界面活性剤は、本発明の皮膜形成性ポリマーの安定化に有効であり、また十分な湿潤を提供することが証明されている。EO−PO−EOブロックも、PO−EO−POブロックも、HLBが少なくとも約14、好ましくは少なくとも約16である限り、十分に機能することが予期される。このような界面活性剤は、プルロニック(PLURONIC)およびテトロニック(TETRONIC)という商品名で、ニュージャージー州マウント・オリーブにあるBASFコープ、パーフォーマンス・ケミカルズ事業部(BASF Corp.,Performance
Chemicals Div.,Mt.Olive,NJ.)から販売されている。BASFから販売されているプルロニック(PLURONIC)界面活性剤は、上述とは別の仕方で算出されるHLB値が報告されている。このような状況では、BASFによって報告されているHLB値を使用すべきである。たとえば、好ましいプルロニック(PLURONIC)界面活性剤は、L−64およびF−127であり、それぞれ、15および22というHLBを有する。該プルロニック(PLURONIC)界面活性剤は、本発明の組成物の安定化に非常に有効であり、該活性物質としてヨウ素を用いると非常に有効であるが、活性物質としてポビドンヨードを使用する組成物の抗微生物活性を低減する可能性がある。
【0081】
5.ポリアルコキシ化エステル類。ポリアルコキシ化グリコール類、たとえばエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、等々は、部分的にまたは完全にエステル化されていてもよい、すなわち、1つ以上のアルコールが、(C8〜C22)アルキルカルボン酸でエステル化されていてもよい。少なくとも約14、好ましくは少なくとも約16のHLBを有するこのようなポリエトキシル化エステル類は、本発明の組成物での使用に好適である。
【0082】
6.アルキルポリグルコシド類。アルキルポリグルコシド類、たとえば9欄、44行目から始まる米国特許第5,951,993号明細書(ショルツ(Scholz))に記載のものは、本発明の皮膜形成性ポリマーと相容性であり、かつポリマー安定性の一助となる可能性がある。例としては、(C8〜C16)アルキル鎖長と、10.3炭素の平均鎖長および1〜4グルコース単位を有するグルコパン(glucopon)425などが挙げられる。
【0083】
b.両性界面活性剤。両性型界面活性剤としては、プロトン化されていてもよい第三級アミン基を有する界面活性剤、ならびに第四級アミン含有双極性イオン性界面活性剤などがある。以下に、特に有用であったものを挙げる。
【0084】
1.アンモニウムカルボキシレート両性。このクラスの界面活性剤は、次式:
3−(C(O)−NH)a−R5−N+(R42−R6−COO-
[式中:a=0または1であり;R3は、(C7〜C21)アルキル基(飽和した直鎖状、分枝状、または環状基)、(C6〜C22)アリール基、または(C6〜C22)アラルキルまたはアルカリール基(飽和した直鎖状、分枝状、または環状アルキル基)であって、R3は、場合によって、1つ以上のN原子、O原子、またはS原子、または1つ以上のヒドロキシル基、カルボキシル基、アミド基、またはアミン基で置換されていてもよく;R4は、Hまたは(C1〜C8)アルキル基(飽和した直鎖状、分枝状、または環状基)であって、R4は、場合によって1つ以上のN原子、O原子、またはS原子、または1つ以上のヒドロキシル基、カルボキシル基、アミン基、(C6〜C9)アリール基、または(C6〜C9)アラルキルまたはアルカリール基で置換されていてもよく;R5およびR6は、互いに独立して、同じであってもまたは異なってもよく、また場合によって1つ以上のN原子、O原子、またはS原子、または1つ以上のヒドロキシル基またはアミン基で置換されていてもよい(C1〜C10)アルキレン基である]で表すことができる。
【0085】
より好ましくは、上式において、R3は(C1〜C16)アルキル基であり、R4は、好ましくはメチル基またはベンジル基で置換された、最も好ましくはメチル基で置換された、(C1〜C2)アルキル基である。R4がHであるとき、該界面活性剤は、より高いpH値で、Na、K、Li等の陽イオン性対イオンを有する第三級アミン、または第四級アミン基として存在し得ると理解される。
【0086】
このような両性界面活性剤の例としては、ある種のベタイン、たとえばココベタインおよびコカミドプロピルベタイン(マッカム(MACKAM)CB−35およびマッカム(MACKAM)Lという商品名で、イリノイ州ユニバーシティ・パークにあるマッキンタイヤ・グループ・リミテッド(McIntyre Group Ltd.,University Park,IL)から販売);ラウロアンフォアセテートナトリウム等のモノアセテート類;ラウロアンフォアセテート二ナトリウム等のジアセテート類;アミノ−およびアルキルアミノ−プロピオネート類、たとえばラウラミノプロピオン酸(それぞれ、マッカム(MACKAM)1L,マッカム(MACKAM)2L,およびマッカム(MACKAM)151Lという商品名で、マッキンタイヤ・グループ・リミテッド(McIntyre Group Ltd.)から販売)などが挙げられるが、この限りではない。
【0087】
2.スルホン酸アンモニウム両性。このクラスの両性界面活性剤は、しばしば「スルタイン(sultaine)類」または「スルホベタイン類」と呼ばれ、次式
3−(C(O)−NH)a−R5−N+(R42−R6−SO3-
[式中:R3〜R6および「a」は、上で定義されている]で表される。例としては、コカミドプロピルヒドロキシスルテイン(MACKAM 50−SBとして、マッキンタイヤ・グループ・リミテッド(McIntyre Group Ltd.)から販売)などが挙げられる。
【0088】
c.陰イオン性界面活性剤。以下に、特に有用であった陰イオン型の界面活性剤を挙げる。
1.スルホン酸塩および硫酸塩。好適な陰イオン性界面活性剤としては、スルホン酸塩および硫酸塩、たとえば、アルキル硫酸、アルキルエーテル硫酸、アルキルスルホン酸、アルキルエーテルスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルベンゼンエーテル硫酸、アルキルスルホ酢酸、第二級アルカンスルホン酸、第二級アルキル硫酸等々がある。これらの多くは、式:
3−(OCH2CH2n(OCH(CH3)CH2p−(Ph)a−(OCH2CH2m−(O)b−SO3-+
および
3−CH[SO3−M+]−R7
[式中:aおよびbは、0または1であり;n、p、m=0〜100(好ましくは0〜40、より好ましくは0〜20)であり;R3は上に定義されている通りであり;R7は、場合によって、N原子、O原子、またはS原子またはヒドロキシル基、カルボキシル基、アミド基、またはアミン基で置換されていてもよい(C1〜C12)アルキル基(飽和した直鎖状、分枝状、または環状基)であり;Ph=フェニルであり;Mは、Na、K、Li、アンモニウム、トリエタノールアミン等のプロトン化第三級アミン、または第四級アンモニウム基等の陽イオン性対イオンである]で表される。
【0089】
上式において、エチレンオキシド基(すなわち、「n」基および「m」基)およびプロピレンオキシド基(すなわち、「p」基)は、逆の順序、ならびにランダム配列、連鎖配列またはブロック配列で存在することがある。好ましくは、この種の場合、R3は、R8−C(O)N(CH3)CH2CH2−等のアルキルアミド基、ならびにエステル基−OC(O)−CH2−を含み、ここで、R8は、(C8〜C22)アルキル基(飽和した分枝状、直鎖状、または環状基)である。
【0090】
例としては、アルキルエーテルスルホン酸、たとえば、イリノイ州ノースフィールドにあるステパン・カンパニー(Stepan Company,Northfield,IL)から販売されているポリステップ(Polystep)B12(n=3〜4,M=ナトリウム)およびB22(n=12,M=アンモニウム)等のラウリルエーテル硫酸、およびメチルタウリンナトリウム(ニッコール(NIKKOL)CMT30という商品名で、日本の東京にある日光ケミカルズ株式会社(Nikko Chemicals Co.,Tokyo,Japan)から販売);第二級アルカンスルホン酸、たとえば、ノースカロライナ州シャーロットにあるクラリアント・コープ(Clariant Corp.,Charlotte,NC)から販売されているナトリウム(C14〜C17)第二級アルカンスルホン酸類(α−オレフィンスルホン酸)であるホスタプール(Hostapur)SAS;メチル−2−スルホアルキルエステル、たとえばアルファステ(ALPHASTE)PC−48という商品名でステパン・カンパニー(Stepan Company)から販売されているメチル−2−スルホ(C12~16)エステルナトリウムおよび2−スルホ(C12〜C16)脂肪酸二ナトリウム;ラウリルスルホ酢酸ナトリウム(商品名ランタノール(LANTHANOL)LAL)およびラウレススルホコハク酸二ナトリウム(ステパンマイルド(STEPANMILD)SL3)として、ともにステパン・カンパニー(Stepan Company)から販売されている、アルキルスルホ酢酸およびアルキルスルホコハク酸;アルキル硫酸、たとえばステパノール(STEPANOL)AMという商品名でステパン・カンパニー(Stepan Company)から販売されているラウリル硫酸アンモニウムなどが挙げられるが、この限りではない。
【0091】
2.リン酸塩およびホスホン酸塩(phosponate)。好適な陰イオン性界面活性剤は、アルキルリン酸、アルキルエーテルリン酸、アラルキルリン酸塩、およびアラルキルエーテルリン酸塩等のリン酸塩も包含する。その多くは、式:
[R3−(Ph)a−O(CH2CH2O)n(CH2CH(CH3)O)pq−P(O)[O-+r
[式中:Ph、R3、a、n、p、およびMは、上に定義されており;rは、0〜2であり;q=1〜3である;が、但し、q=1のとき、r=2であり、q=2のとき、r=1であり、q=3のとき、r=0である]で表すことができる。上述の通り、エチレンオキシド基(すなわち、「n」基)およびプロピレンオキシド基(すなわち、「p」基)は、逆の順序、ならびにランダム配列、連鎖配列またはブロック配列で存在することがある。
【0092】
例としては、一般に、トリラウレス−4−リン酸と呼ばれる、ホスタファット(HOSTAPHAT)340KLという商品名でクラリアント・コープ(Clariant Corp)から販売されている、モノ−、ジーおよびトリ−(アルキルテトラグリコールエーテル)−o−リン酸エステルの混合物、ならびにクロダフォス(CRODAPHOS)SGという商品名でニュージャージー州パーシッパニーにあるクローダ・インク(Croda Inc.,Parsipanny,NJ)から販売されているPPG−5セテス10リン酸塩などが挙げられる。
【0093】
3.アミンオキシド類。好適な陰イオン性界面活性剤は、次式:
(R33−N→O
[式中:R3は上に定義されており、各R3は、同じであってもまたは異なってもよい]のアルキルおよびアルキルアミドアルキルジアルキルアミンオキシドを含むアミンオキシドも包含する。場合により、アルキルモルホリン、アルキルピペラジン等々のアミンオキシド等の界面活性剤を形成するために、R3基は、結合して窒素を含む複素環を形成してもよい。好ましくは、2個のR3基はメチルであり、1個のR3は、(C12〜C16)アルキルまたはアルキルアミドプロピル基である。
【0094】
アミンオキシド界面活性剤の例としては、ラウリルジメチルアミンオキシド、ラウリルアミドプロピルジメチルアミンオキシド、およびセチルアミンオキシドである、アンモニクス(AMMONYX)LO、LMDO、およびCOという商品名で、販売されている(全て、ステパン・カンパニー(Stepan Company)から)ものなどが挙げられる。
【0095】
必要に応じて、様々な界面活性剤の組合せを使用することができる。たとえば、非イオン性界面活性剤は、上述のある陰イオン性界面活性剤と組み合せて、ある利益のために使用することができる。たとえば、1つの好ましい界面活性剤系は、ポリソルベートおよびポリエトキシル化アルキルアルコール(ポリソルベート20+ステアレス−100)の組合せを主成分とする。
【0096】
ある好ましい陰イオン性界面活性剤は、ポリアルコキシレート基を含む。これらは、スルホン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、およびホスホン酸塩を包含する。
【0097】
ある実施形態では、十分に乾燥させた後、組成物中の他成分と会合するかまたは潜在的に会合する1種以上の界面活性剤を選択することが望ましい。たとえば、ポリアミンオキシド皮膜形成性ポリマーと組み合せた、ある種の陰イオン性界面活性剤、たとえばメチル−2−スルホアルキルエステル(たとえば、アルファステップ(ALPHASTEP)PC−48という商品名でステパン・カンパニー(Stepan Company)から販売されているメチル−2−スルホ(C12~16)エステルナトリウムおよび2−スルホ(C12〜C16)脂肪酸二ナトリウム)は、該消毒剤組成物の乾燥皮膜の永続性およびPSA被覆製品の接着力を高めるようである。ある種の硫酸塩およびスルホン酸塩を含有する界面活性剤もまた、乾燥時間を有意に減少させるようである。このメカニズムは明白ではない。理論に縛られるつもりはないが、これらの界面活性剤は、乾燥中に、皮膜形成性ポリマー上の陽イオン性アミン基と会合して、より疎水性の複合体を形成する可能性がある。硫酸塩およびスルホン酸塩、リン酸塩およびホスホン酸塩、ならびにスルホベタイン型界面活性剤は、乾燥時間を有意に減少させることが証明されている。
【0098】
他の任意の成分
所望の効果を得るために、皮膜形成性ポリマーのほかにも、様々な他の成分を本発明の消毒剤組成物に加えることが可能である。これらは、皮膚軟化薬および湿潤剤、たとえば、米国特許第5,951,993号明細書(ショルツ(Scholz))に記載のもの、芳香剤、着色料、粘着付与剤、可塑剤等々を包含するが、この限りではない。
【0099】
他の抗微生物剤および保存料は、該組成物と相容性である限り、含まれていてもよい。これらは、グルコン酸クロルヘキシジン(CHG)等のクロルヘキシジン塩類、パラクロロメタキシレノール(PCMX)、トリクロサン、ヘキサクロロフェン、グリセリンおよびプロピレングリコールの脂肪酸モノエステル類、たとえばグリセロールモノラウレート、グリセロールモノカプリレート、グリセロールモノカプレート、プロピレングリコールモノラウレート、プロピレングリコールモノカプリレート、プロピレングリコールモノカプレート、フェノール類、(C12〜C22)疎水物質および第四級アンモニウム基を含む界面活性剤およびポリマー、ポリヘキサメチレンビグアニド等のポリ第四級アミン類、第四級シラン類、銀、塩化銀、酸化銀およびスルファジアジン銀等の銀塩類、メチル、エチル、プロピルおよびブチルパラベン類、オクテニデン(octenidene)、等々、ならびにそれらの組合せなどを包含するが、この限りではない。
【0100】
低粘着性を有する、または無粘着性の、好ましい実施形態の調合物
本発明の好ましい皮膚消毒薬は、タオルまたはシンプルガーゼ等の水に浸した布地で除去することができる、低粘着性または非粘着性の乾燥皮膜を提供する。乳房の下または皮膚厚内等の、皮膚が一緒にくっつくのを防止するためには、低粘着性が望ましい。
【0101】
粘着性は、組成物の皮膜約4ミリグラム(mg)/平方センチメートルの皮膚を内側前腕に伸ばし、これを完全に乾かすことによって測定することができる。次いで、乾いた親指(テスト前に、アイボリー(IVORY)棒石鹸で洗って完全に乾かした)を、乾いた皮膜に押し付けて、直ちに離す。好ましい調合物では、10%ポビドンヨード溶液(たとえば、ベタジン・サージカル・ソリューション(BETADINE Surgical Solution)という商品名で、コネチカット州ノーウォークにあるパーデュー・フレデリック・カンパニー(Purdue Frederick Company,Norwalk,CT)から販売されているもの)の性能と似て、粘着性の知覚は本質的にない。最も好ましいプレップも、ジョージア州ロズウェルにあるキンバリー・クラーク(Kimberly−Clark,Roswell,GA)から販売されているクリネックス(登録商標)(KLEENEX)商標のティッシュ等のティッシペーパーを、プレップ上に押し付けて離すことにより、評価することができる。このティッシュは、その自重で落下しなければならない。皮膚のタイプにはばらつきがあるため、これは、被験組成物を塗布した多数の被験者および多数の検討者で行わなければならない。
【0102】
乾燥した組成物の粘着性は、永続性がある皮膜形成性ポリマーのTg、および皮膜を可塑化することが可能な調合物中の親水性添加物(たとえば、グリコール類、ある種の低分子量有機酸類、ある種の界面活性剤、抗微生物剤、等々)のレベル等の、様々な因子に起因する可能性がある。たとえば、ある種のヨードフォア、たとえばPEG系またはPVP系のヨードフォアは、低分子量親水性化合物によって可塑化され得る。こうした化合物は、さらに、皮膜中に水を保持して、粘着性に寄与する。
【0103】
しかし、非常に親水性であるにもかかわらず、本発明の好ましい有機酸緩衝剤は、高い粘着性に著しく寄与しない。理論に縛られるつもりはないが、これは、カルボン酸とピロリドン環カルボニルまたはヨードフォアのエーテル酸素との間の水素結合会合に起因する可能性がある。
【0104】
該調合物が、皮膚温度で感圧接着剤である、永続性がある皮膜形成性ポリマーを含むのであれば、乾いた組成物の粘着性は、特に高くてもよい。このような組成物の場合、粘着性であってもよい他と同様に、ある種の賦形剤を加えて、粘着性を下げることができる。たとえば:高Tgポリマー;ある種の多官能酸;およびある種の界面活性剤;を加えることによって、粘着性を調節することができる。
【0105】
ある種の高Tgポリマー、たとえば、少なくとも約30℃、好ましくは少なくとも約50℃、より好ましくは少なくとも約55℃、最も好ましくは少なくとも約70℃のTgを有するものは、本発明の組成物の粘着性を有意に低下させることができる。好適なこのようなポリマーは、ポリビニルアルコールを包含する。粘着性を低下させるために好ましい高Tgポリマー(Tgは、75〜80℃と報告されている)は、約97%超の加水分解度を有する、加水分解したポリビニルアルコール(PVA)である。このような材料は、セルボール(CELVOL)305という商品名で、98〜98.8%加水分解したPVAとして、テキサス州ダラスにあるセラニーズ・リミテッド(Celanese Ltd.,Dallas,TX)から販売されている。この材料は、23℃、水中に4%で、わずか4.5〜5.5cpsという粘度を有する比較的低分子量のものであるため、特に望ましい。また、この材料はかなり親水性であるが、加水分解したPVAは、乾いた本発明の組成物の永続性に悪影響を及ぼさない。理論に縛られてはいないが、これらのポリマーは、冷水可溶性ではなく、したがって、いったん乾燥するとその後は溶液に戻らないため、高度の加水分解は、永続性に悪影響を及ぼさずに、低粘着性に寄与すると考えられる。
【0106】
ある種の多官能酸は、本発明の組成物の粘着性を劇的に低下させることができることも判明している。たとえば、リンゴ酸は、等モル量の乳酸を有する類似した調合物と比較して、調合物の粘着性を低下させることが可能である。3個以上のカルボン酸を有する分子は、ある種の組成物の粘着性を低下させる際に、特に有効である。たとえば、第四級アンモニウム側鎖官能基モノマーおよび長鎖アルキル基モノマーを含むPSA皮膜形成性ポリマーを有するある種の組成物は、クエン酸を加えることにより、非粘着化することができる。乾燥粘着性である調合物は、クエン酸3%で非常に低い粘着性を有し、またクエン酸5%で本質的に粘着性を持たないように改質することができる。理論に縛られてはいないが、こうした多官能酸は、皮膜形成性ポリマー上の第四級アンモニウム基とイオン架橋を形成することが可能であると考えられる。
【0107】
ある種の界面活性剤は、本発明の組成物の粘着性を低下させることができる。特に有効なものは、シリコーンコポリオール界面活性剤であり、これは、ポリアルキレングリコールのペンダント側鎖を有するポリジアルキルシロキサンを主成分とする界面活性剤である。こうした界面活性剤の多くは、調合物の粘着性を劇的に低下させるが、こうした界面活性剤のほとんどは、また、乾燥したプレップ上へのPSA被覆製品の接着を阻害した。ある種の低分子量シリコーンコポリオール、たとえば、メイシル(MASIL)SF−19CGという商品名で、PPG・インダストリーズ(PPG Industries)から販売されているものは、組成物の粘着性を低下させることができる上に、PSA被覆製品の接着を著しく阻害しない。
【0108】
また、本質的にPSAではないポリマーを使用することにより、組成物の粘着性を低下させることができる。こうしたポリマーは、概して、約30℃より高いガラス転移温度を有する。たとえば、多量の短鎖アルキル基を有するポリマーは、高いガラス転移温度を有する傾向があり、したがって、実質的に非粘着性の組成物を生じる。たとえば、1種の好ましいポリマーは、短鎖アルキル(メタ)アクリレート疎水性モノマーおよび長鎖アルキル(メタ)アクリレート疎水性モノマーの両者と共重合した側鎖アミン基官能モノマーの少なくとも3成分の組合せを主成分とする。
【0109】
特に、下記の2つのグループのポリマーが極めて望ましい。
【0110】
【表1】

【0111】
アミンオキシド含有ポリマーの調製は、実施例のセクションで後述するが、上記パーセンテージは、全ての第三級アミンがアミンオキシドに変換されることに基づいて与えられていることに注目すべきである。常にこのようであるとは限らない。好ましいポリマーでは、第三級アミンの少なくとも約50%、より好ましくは少なくとも約60%、最も好ましくは少なくとも約70%が、アミンオキシドに変換される。この種の最も好ましいポリマーは、ダイアフォーマー(DIAFORMER)Z−731という商品名で、ノースカロライナ州マウント・ホリーにあるクラリアント・コープ(Clariant Corp.,Mt Holly,NC.)から販売されているものである。
【0112】
【表2】

【0113】
このクラスの最も好ましいポリマーは、トリメチルアミノエチルメタクリレートクロリド40%、メチルメタクリレート45%、ラウリルアクリレート5%、およびブチルアクリレート10%を含む(ここで、全てのパーセンテージは、重合可能な組成物の重量%である)。
【0114】
用途および使用
本発明の組成物は、好ましくは、使用に合った濃度で供給されるが、使用前に希釈される濃縮物として調製されていてもよい。たとえば、0.5:1〜3:1部の水と濃縮物の希釈比率を要する濃縮物が考えられている。濃縮物の上限は、高濃度における様々な成分の溶解性および相容性によって制限される。
【0115】
本発明の組成物は、適当な方法を使用して、皮膚に塗布することができる。通常は、一種の吸収材、たとえばガーゼ、フォーム・スポンジ、不織布、綿布、綿棒または綿球等々に、該組成物を染み込ませ、これを使用して、所期の部位上に組成物を塗りつける。並外れた湿潤特性を有する超高活性組成物(たとえば、高アルコール含量調合物)を使用すれば、プレップを一なでするだけでよい。しかし、たいていの場合、皮膚を十分に濡らして、皮膚の細かいところまで十分な被覆率を保証するためには、染み込ませた吸収材を皮膚全体に数回、好ましくは様々な方向に、塗りつけることが役立つと考えられる。しかし、高濃度の有機緩衝剤によって活性が増強されるため、概して、従来技術の生成物で推奨されたような広範なこすり洗いは要求されない。たとえば、ベタジン・サージカル・スクラブ(BETADINE Surgical Scrub)の製造会社(コネチカット州ノーウォークにあるパーデュー・フレデリック・カンパニー(Purdue Frederick Company,Norwalk,CT))は、ユーザーが、5分間、十分にこすり洗いをするように指示している。本発明の組成物は、約60秒未満、好ましくは約45秒未満、最も好ましくは約30秒未満、こすり洗い、続いて、吸い取らずに2分間待つことを必要とする。
【0116】
しかし、厳密な無菌状態を維持するためには、術前患者皮膚プレップの使用者は、明示された切開部位から始め、「汚れた」塗布用具で決して切開部位に戻らずに、外に向かって進まなければならない。本発明の最も好ましい組成物は、本質的にこすり洗いを必要としないように、ユーザーが外に向かって進むとき、各スポットを少なくとも2回または3回塗り広げるように気を付けながら、単純な重複動作で皮膚に塗りつけることができる。
【0117】
幾つかの用途では、乾いた組成物の皮膜上にPSA被覆物品を載せることが望ましいこともある。たとえば、該組成物をカテーテル処置前用の皮膚プレップとして使用する場合、一般に、無菌を維持するために、穿刺部位を覆うことが推奨される。これは、一般に、ガーゼおよびテープまたは創傷用包帯を、穿刺部位の上に、乾いた組成物に接するように載せることによって行われる。こうした製品はPSA被覆物品であり、乾いた組成物への接着は、無菌状態を維持するために重要である。同様に、該組成物を術前皮膚プレップとして使用するのであれば、多くの場合、PSA被覆ドレープ(いわゆる切開用(incise)ドレープ)を、乾いたプレップの上に載せることが望ましい。接着剤被覆ドレープの目的は、滅菌していない皮膚を封鎖して、外科医に無菌表面を提供することである。外科医は、このドレープ越に切開を行う。したがって、ドレープが、乾いた組成物に接着し、かつ手技中に持ち上がらないことが重要である。
【0118】
PSA被覆製品、たとえばテープ、創傷用包帯、切開用ドレープ等々の、良好な初期接着および長期接着を達成するためには、下記の性質:比較的低い界面活性剤濃度(好ましくは約10重量%以下、より好ましくは約7重量%以下、よりいっそう好ましくは約5重量%以下、最も好ましくは約4重量%以下);十分に乾かしている間および/または後で、組成物中の他の成分と会合するかまたは潜在的に会合する1種以上の界面活性剤;高含有率の疎水性モノマーを含む1種以上の皮膜形成性ポリマー;比較的高い皮膜形成性ポリマー濃度(好ましくは少なくとも約2重量%、より好ましくは少なくとも約3重量%、最も好ましくは少なくとも5重量%);および比較的低いヒドロキシカルボン酸濃度(好ましくは約15重量%以下、より好ましくは約12.5重量%以下、最も好ましくは約10重量%以下);を備えた組成物を調合することが極めて望ましく、また好ましい。
【0119】
乾いたとき、本発明の組成物に特に良好に接着するメディカル・テープおよび包帯としては、アクリレート系感圧接着剤、ブロックコポリマー系感圧接着剤(たとえば、テキサス州ハウストンにあるクラトン・ポリマーズ(Kraton Polymers,Houston,TX)から販売されているクラトン(KRATON)ポリマーを主成分とする接着剤)、およびゴム系感圧接着剤を使用するものなどがある。例としては、ミネソタ州セント・ポールにあるスリーエム・カンパニー(3M Company,St.Paul,MN)から、トランスポア(TRANSPORE)、ブレンダーム(BLENDERM)、ステリ・ストリプス(STERI−STRIPS)、マイクロポア(MICROPORE)、テガダーム(TEGADERM)、ステリドレープ(STERIDRAPE)、およびアイオバン(IOBAN)2という商品名で販売されているテープおよび包帯などが挙げられる。
【0120】
皮膚上の本発明の乾いた組成物の上に貼付された感圧接着剤テープは、好ましくは、乾いたポビドンヨード溶液(具体的には、ベタジン・サージカル・スクラブ(BETADINE Surgical Scrub)(7.5%ポビドンヨード溶液)およびベタジン・サージカル・ソリューション(BETADINE Surgical Solution)(10%ポビドンヨード溶液)、両者ともにコネチカット州ノーウォークにあるパーデュー・フレデリック・カンパニー(Purdue Frederick Company,Norwalk,CT)から販売)の上に貼付された感圧接着剤テープの接着レベルの少なくとも約50%のレベルで接着する。これは、実施例のセクションに記載の通りに、薄い均一な量の被験組成物を皮膚に塗布し、皮膜を乾かし、PSA被覆テープ(たとえば、ミネソタ州セント・ポールにあるスリーエム・カンパニー(3M Company,St.Paul,MN)から販売されているスリーエム・アイオバン2・アンチマイクロビアル・インサイズ・ドレープ(3M IOBAN 2 Antimicrobial Incise Drape)の、0.5インチ(1.27cm)幅のサンプル)を貼付し、4.5ポンド(2.1kg)、2インチ(5.1cm)幅のローラーをかけることにより、測定することができる。少なくとも1分、好ましくは5分、待った後、該PSA被覆テープを、剥離角度180°、速度12インチ/分(30.5cm/分)で剥がす。皮膚のタイプにばらつきがあるため、統計学的に適切なサンプル(一般に、少なくとも2枚のストリップが各被験者の背部に貼付される、少なくとも8被験者)が使用される。
【0121】
本発明の組成物は、薄い皮膜状で皮膚に塗布して乾かす場合、医用接着剤製品を直ちに接着させることが好ましい。すなわち、一般におよび好ましくは、薄い皮膜を塗布した約3分以内に(または、いったん該組成物が指触乾燥状態になった後)、PSA被覆製品を該組成物の上に貼付して、わずか約5分で、好ましくは、わずか約120秒で、最も好ましくはわずか約60秒で、良好な接着を示すことができる。さらに、接着は、貼付後、少なくとも数時間、維持される。
【0122】
本発明の場合、切開用ドレープ等のPSA被覆製品の、乾いた皮膚プレップ上での主たる破損様式は、主として水分への曝露である。該組成物の一部または全部を溶解することができ、また持ち上がりを助長する水分は、患者の発散、発汗に、または外科手術用灌流液等の体外起源、血液、カテーテル関連の水腫および体液等々に由来する可能性がある。
【実施例】
【0123】
本発明の目的、特徴および利点を、個々の材料および量を含み、本発明を不当に限定すると解釈すべきではない、以下の実施例で説明する。全ての材料は、特に記載がないかまたは明白でない限り、市販されている。実施例における全ての部、パーセンテージ、比率等々は、特に記載がない限り重量基準である。
【0124】
【表3】

【表4】

【表5】

【0125】
テストプロトコール
インヘレント粘度(IV)
フレッド・ビルメイヤー・ジュニア(Fred Billmeyer,Jr).によって、ワイリー・インターサイエンス(Wiley−Interscience)(1971年)発行、「ポリマー科学の教科書」、第2版、と題する教科書の84〜85ページに記載されているプロトコールに準拠して、ポリマーのインヘレント粘度を測定した。簡単に記載すると、指定された体積のポリマー溶液が毛細管を貫流するのに要する流出時間(t)を、対応する溶剤の流出時間(t0)と比較することによって、溶液粘度を測定する。次いで、測定された変数t、t0、および溶質濃度(c)を使用し、次式:
η=(ln t/t0)/c
を使用してインヘレント粘度(対数粘度としても知られる)を算出する。
【0126】
本発明の実施例の場合、IVは、テトラヒドロフラン(THF)中、皮膜形成性ポリマーの0.15〜0.50重量%溶液として測定された。アミンオキシド含有ポリマーは、THFのみの中には溶解せず、したがって、重量基準で50/50のTHF/メタノール中、0.15〜0.5重量%溶液で測定される。
【0127】
分子量測定
ポリマーを、THFで、5ミリグラム/ミリリットル(mg/mL)に希釈し、0.45ミクロン(すなわち、マイクロメートル)膜で濾過する;移動相:THF;流量:1.0ミリリットル/分(mL/分);検出器:ウォーターズ410リフラクティブ・インデックス(Waters 410 Refractive Index);カラム:UltraStyragel−6、30×7.8各ミリメートル(mm);標準:ポリスチレン、狭い分散度;7.5×106〜580の範囲の分子量のポリスチレン。
【0128】
ヒト皮膚抗微生物活性
組成物を健常なボランティアの背部(「乾いた」部位を考えた)に塗布したこと、およびベースライン細菌フローラ数がASTM方法のセクション7.1で提案されているほど高くなかったこと以外は、ASTM試験方法E−1173−93 術前皮膚標本を評価するための標準試験(ASTM test method E−1173−93 Standard Test for Evaluation of a Pre−operative Skin Preparation)に類似した方法で、抗微生物活性について、組成物の多くを試験した。プレップを、製造会社の説明書による、ベタジン・サージカル・スクラブ(BETADINE Surgical Scrub)(7.5%ポビドンヨード(povidone−iondine)、コネチカット州ノーウォークにあるパーデュー・フレデリック・カンパニー(Purdue Frederick Company,Norwalk,CT)およびベタジン・サージカル・ソリューション(BETADINE Surgical Solution)(10%ポビドンヨード「塗布剤」、コネチカット州ノーウォークにあるパーデュー・フレデリック・カンパニー(Purdue
Frederick Company,Norwalk,CT))の2段階塗布と常に比較した。全ての試験は、乱塊法であった。試験日に、ベースライン微生物計数用に、2つのサンプル(上背部から1つと、脊椎の反対側の下背部から1つ)を採取した。被験調合物および対照を、背部で無作為に割り当てた(通常は、上背部全体で4つおよび下背部全体で4つ)。塗布完了の2.0分後に、全ての部位から、残存している細菌をサンプリングした。2通りの方法のうちの1法で使用した、被験組成物を十分に染みこませた(十分に濡れていて、滴がしたたっている)滅菌ガーゼを使用して、全ての被験サンプルを塗布した。1つの方法では、およそ2×2インチ(5.1cm×5.1cm)の領域を、中程度の圧力を使用して30秒間「こすり洗いした」。第2の方法では、単に、止まることのない連続運動で、中程度の圧力で3回、該部位に塗ることにより、プレップを塗布した。製造会社の指示に従って、ベタジン・サージカル・スクラブ(BETADINE Surgical Scrub)およびベタジン・サージカル・ソリューション(BETADINE Surgical Solution)を塗布した。簡単に記載すると、十分に染みこませたガーゼでベタジン・サージカル・スクラブ(BETADINE Surgical Scrub)を塗布し、5分間、こすり洗いし、拭き取った;そして、ベタジン・サージカル・ソリューション(BETADINE Surgical Solution)を、中心から外に向かうらせん状で、塗布した。したがって、本発明の組成物は、ベタジン(BETADINE)スクラブおよび塗布手順より、はるかに短い時間で死滅させた。ASTMテスト方法E1173のセクション8.2〜8.3に準拠して、最小限8名の被験者を使用した。被験者全員が、最小限2週間、抗微生物剤製品の使用を止めた。各組成物について、ベースラインからの対数減少の平均値を測定した。複数の部位を実行する場合、各部位の対数減少を測定した。結果を、対数減少の平均値(対数減少値の数値平均)で報告する。ASTMテスト方法E1173−93セクション6.7に準拠して、被験調合物ごとに、適切な中和剤を最初に決定した。ほとんどのポリマー系で、中和後、サンプリング溶液を使用した:リン酸二水素カリウム0.4g、リン酸水素ナトリウム10.1g、テキサス州ハウストンにあるユニオン・カーバイド・コープ(Union Carbide Corp.,Houston,TX)から販売されているトリトン(TRITON)X100界面活性剤1.0g、レシチン(CAS#8002−43−5、ニュージャージー州フェアローンにあるフィッシャーマン・サイエンティフィック(Fisher Scientific,Fairlawn,NJ)から、カタログ番号03376−250として販売)4.5g、トゥウィーン(TWEEN)80(ICI)45.0g、チオ硫酸ナトリウム1.0g、および脱イオン水で総体積を1リットルにした。全成分を一緒に加え、溶解するまで、攪拌しながらおよそ60℃に加熱することにより、サンプリング溶液を調製した。次いで、これを容器に入れ、蒸気滅菌した。
【0129】
幾つかの第四級ポリマーは、抗微生物活性を有し、また、本明細書に記載の通り、適切な中和剤を必要とすることが証明されている。第四級ポリマーを沈殿させることができるポリスルホン酸ポリマー等のポリ陰イオン性ポリマーが、功を奏する。好ましいポリスルホン酸ポリマーは、AQポリエステルとして、テネシー州キングスポートにあるイーストマン・ケミカル・カンパニー(Eastman Chemical Company,Kingsport TN)から販売されており、また、特に好ましいのは、スルホイソフタル酸ナトリウムを主成分とする直鎖状非晶質ポリエステルであると報告されている、AQ 55Sである。イーストマン(EASTMAN)AQ 55Sポリマーは、さらに、約55℃という乾燥Tgを有する、比較的高い分子量であると記述されている。これを、水中に30重量%で、水中に分散させてから、中和媒体に加えた。必要なとき、水中にAQ55Sの30% wt/wt溶液70gとして、これをサンプリング溶液に加えてから、水で最終体積を1リットルに調節した。
【0130】
永続性テスト
選択された組成物を、健常なボランティアの前腕に塗布した。組成物は、およそ5×5cmの領域全体に、およそ4ミリグラム/平方センチメートル(mg/cm2)の量で、一様な湿った塗膜として塗布し、完全に乾かした(一般に、最低限5分)。乾いた組成物を、温度23〜24℃、流量約2.5リットル/分(L/分)の水道水に暴露した。水を、腕の被験部位のすぐ上を打たせ、該部位の上を流れ落ちさせておく。腕を、およそ45°の角度に保ち、水が腕を打つ前に、水を、およそ15cmから落下させておく。色が完全になくなる時間を記録した。ベタジン・サージカル・ソリューション(BETADINE Surgical Solution)(10%ポビドンヨード(povidone−iondine)、「塗布剤」)を、しばしば対照として使用したが、これは一般に、5秒未満、存続した。色がついていない組成物は、適当な着色料を加えることにより、試験することが可能である。着色料は、永続性に悪影響を及ぼしてはならず、したがって、顔料がしばしば使用される。
【0131】
サンプルを同一方法で塗布し、洗い落としに対する抵抗性について試験することにより、幾つかのサンプルを定性的に評価したが、時間は記録しなかった。これらのサンプルでは、「非常によい」は、洗い落としに非常によく抵抗し、60秒を超える永続性値を有すると考えられる組成物を指し、「よい」は、30秒より大きい永続性値を有する組成物を指し、「低い」は、15〜30秒の永続性値を有する組成物を指す。
【0132】
粘着性テスト
組成物を健常なボランティアの前腕に塗布し、乾かした後、乾いた組成物の粘着性を評価した。組成物を、およそ4mg/cm2の量で、一様な湿った塗膜として塗布し、完全に乾かした(一般に、最低限5分)。きれいな(洗って完全に乾かした)指または親指を、中程度の圧力で3〜5秒間、組成物に押し付けて放すことにより、粘着性を評価した。粘着性なし(ベタジン・サージカル・ソリューション(BETADINE Surgical Solution)、すなわち、10%ポビドンヨード(povidone−iondine)、「塗布剤」に等しい)、非常に低い粘着性(テスト指へのごくわずかな粘着、テスト指を外したとき、被覆された皮膚の目に見える皮膚変形は、ほとんどない、およびない。クリネックス(登録商標)(KLEENEX)ティシュを押し付けると、その自重で落下することができる)、低粘着性(テスト指へのわずかな粘着、接着力を示す、被覆された皮膚の若干の上方への変形、クリネックス(登録商標)(KLEENEX)ティシュを押し付けると、繊維をわずかに残して、または全く残さずに剥すことができる)、中程度の粘着性(外したとき、被覆された皮膚の目に見える変形を伴って、テスト指にくっつく、剥がすとき、クリネックス(登録商標)(KLEENEX)ティシュが裂ける)、または高い粘着性(テスト指をゆっくり外すとき、被覆された皮膚が、目に見えるほど有意に引き上げられるほどくっつく)として、粘着性を主観的に評価した。
【0133】
切開用ドレープ接着力テスト
本発明の組成物上での接着剤製品の接着力を、定性的使用テストおよび定量的剥離テストの両者で評価した。
【0134】
定性試験:定性試験では、永続性テストについて上述した通り、サンプルを、前腕の片側に塗布した。ベタジン・サージカル・スクラブ(BETADINE Surgical
Scrub)(「スクラブ」、7.5%ポビドンヨード)およびベタジン・サージカル・ソリューション(BETADINE Surgical Solution)(「塗布剤」、10%ポビドンヨード)を、製造会社の説明書に従って、側面に塗った。両者を、少なくとも5分間、乾かした。スリーエム・アイオバン(3M IOBAN)2抗菌性切開用ドレープ(ミネソタ州セント・ポールにあるスリーエム・カンパニー(3M Company,St.Paul,MN))のサンプルを、乾いた被験部位の上に貼付し、ドレープを約2時間装着した。装着期間の後、切開用ドレープの持ち上がりは認められなかった。ドレープを、剥離によって除去し、除去に要する力、および除去するときに感じた塗布剤に基づいて、低い(ベタジン(BETADINE)スクラブおよび塗布溶液より低い)、中程度(ベタジン(BETADINE)スクラブおよび塗布溶液に等しい)、または良好(ベタジン(BETADINE)スクラブおよび塗布溶液より良い)として、接着剤を定性的に評価した。
【0135】
定量試験:ボランティア16名に、単に、連続した円運動で、中程度の圧力を3回使用して、被験組成物を十分に染みこませたガーゼで塗ることによって、背部に被験組成物を塗布した。このプレップを5分間、乾かし、その後、乾いた組成物の上に、3M IOBAN 2抗菌性切開用ドレープの1/2インチ(1.27cm)幅のストリップを優しく貼付した。5分以内に、このサンプルに、4.5ポンド(2.1キログラム(kg))、2インチ(5.1cm)のローラーをかけて、一様な貼付圧を確保した。貼付の10分後に、剥離角度180°(他に記載がなければ)および速度12インチ/分(30.5cm/分)で力測定機を使用して、ドレープサンプルを除去した。サンプルの長さ3インチ(7.6cm)全部を除去するのに要した平均の力を記録した。報告の値は、被験者全16名の値の平均である。
【0136】
ブルックフィールド(Brookfield)粘度テスト
粘度は、マサチュセッツ州ミドルボロにあるエンジニアリング・ラブズ・インク(Engineering Labs Inc.,Middleboro,MA)から販売されている、小さいサンプルアダプター(ULA アダプター)LVDVI+が付いたブルックフィールドRTVロトビスコ(Brookfield RVT ROTOVISCO)粘度計を使用して測定した。スピンドルサイズ00を、30回転/分(rpm)の速度で使用して、23〜25℃で、測定を行った。
【0137】
ウサギ眼刺激テスト
組成物を、その眼刺激の可能性について、市販の消毒薬:ベタジン・サージカル・スクラブ(BETADINE Surgical Scrub)(7.5%ポビドンヨード)およびベタジン・ステライル・オフタルミック・プレップ・ソリューション(BETADINE Sterile Ophthalmic Prep Solution)(5%ポビドンヨード)と比較して評価した。このテストは、両性の、体重2.0〜3.5Kgの成体ニュージーランド(New Zealand)白色アルビノウサギに点眼することを含んでいた。試験前の、清潔な住居、高繊維ウサギ食餌(No.5326ピューリナ・ミルズ・インク(Purina Mills,Inc.))、適切で清浄な給水、適切な環境管理(16℃〜22℃、相対湿度30%〜70%、および12時間明/12時間暗周期)を含む、動物の適切な管理を確実にする。全ての動物を少なくとも5日順応させ、様々なケージ充実装置を与えた。角膜損傷または眼の異常が存在しないことを保証するために、被験材料を投与する前日に、フルオレセインナトリウム(sodium fluorscein)色素を使用して、眼を検査した。各被験材料(未希釈の被験材料0.1mL/眼)を連続2日、ウサギ3羽に与えた。被験材料の損失を防止するために、眼瞼を、1秒間、優しく合わせてから、解放した。被験材料の点眼後、およそ24時間、ウサギは洗眼しないままであった。各動物の右眼は処置したが、左眼は、対照として、未処置のままであった。各処置の1、4、24、48、および72時間後に、眼球刺激について、眼を検査した。72時間に刺激が存在した場合、96時間および120時間に、さらなる観察を行った。各動物について、存在し得る角膜損傷を明示するのを助けるために、24時間検査で開始し、陰性の応答が得られるまでの各継続検査で、フルオレセインナトリウム(Sodium Fluoroscein)を使用した。若干改良した、眼ドレイズ技法(Ocular Draize Technique)(J.H.ドレイズ(Draize):経皮毒性(Dermal Toxicity)、“Appraisal of the Safety of Chemicals in Foods, Drugs and Cosmetics”、Association of Food and Drug Officials of the U.S.(1959年、59〜51ページ)を使用して、刺激に得点をつけた。これらの実施例の最高総得点は、結膜のみから得られる得点の合計であった。可能な最高総得点は60点である(20点/眼×眼3つ)。角膜混濁に関して注目したが、これは、得点化に含まれなかった。
【0138】
出発材料
ポリマーAの調製
表1aに記載の化学化合物の量を、クォートサイズのビン(1.06リットル)に量り入れ、一緒に混合して均一な溶液とした。
【0139】
【表6】

【0140】
ビンの中の混合物を窒素でパージして、酸素を除去し、テフロン(登録商標)(TEFLON(登録商標))フッ素重合体樹脂(イー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー(E.I.du Pont de Nemours and Company))裏打ちした金属のふたで密封した。このビンを、サーモスタット制御の水浴内で閉じた容器を回転させるための装置に、60℃で24時間、入れた。該ポリマーのインヘレント粘度(IV)は、THF中で0.11であると測定された(インヘレント粘度のためのテストプロトコール参照)。モノマーの、ポリマーへの変換は99.6%であった。
【0141】
脱イオン(DI)水(450グラム(g))をこのビンに加えて、ポリマーを分散させ、固形分23.5%にした。この分散液を、10% NaOH溶液を加えることによって、pH=6〜7に中和した。次に、この分散液を、700/600、700/600、700/500ppmの比率のTBHP/SFSで、60℃にて3回清掃し、残留モノマーレベルを低下させた。清掃反応は:1)初回量のTBHP(5%エタノール溶液2.8g)を加えて、10分間攪拌し;2)初回量のSFS(5%水溶液2.4g)を加えて、さらに30分間攪拌し;3)1)および2)をさらに2回繰り返す;ことによって実施した。結果として生じた分散液を、10% NaOH溶液を加えることによってpH=7〜8に中和し、続いて水浴中、60〜70℃にて、減圧下でエタノールを取り除いた。除去工程の間に、DI水約150gを加えて、蒸留されたエタノールの埋め合わせをした。ポリマー分散液の最終的な特性は以下の通りであった:固形分26.8%、Mw/Mn=58.2/16.5K;インヘレント粘度、THF中で0.13;残留モノマー、全モノマーは10ppm未満であった。
【0142】
ポリマーBの調製
表1bに記載の化学化合物の量を、クォートサイズのビン(1.06リットル)に量り入れ、一緒に混合して均一な溶液とした。
【0143】
【表7】

【0144】
ポリマーAの調製に記載の通りに、混合物を脱気し、密閉し、重合した。モノマーの、ポリマーへの変換は、99.5%を超えていた。DI水(375g)をビンに加えて、ポリマーを分散させ、固形分20%にした。ポリマーAの調製に記載の通りに、この分散液を、1000/1000、800/700、800/700ppmの比率のTBHP/SFSで、60℃にて3回清掃し、残留モノマーレベルを低下させた。清掃した分散液を、大気圧で蒸留して、エタノールを除去した。D−Cアディティブ(Additive)62(固形分を基準にして0.30%)を加えて、蒸留工程中に泡立ちを制御した。最終サンプルは、濃厚でかつ透き通っていた。ポリマー分散液の分析結果は以下の通りであった:固形分、20.5%;ブルックフィールド(Brookfield)粘度、6000cps;pH=3.9;残留モノマー、DMAEAMC 3ppm以外は、なし。
【0145】
ポリマーCの調製
表1cに記載の化学化合物の量を、クォートサイズのビン(1.06リットル)に量り入れ、一緒に混合して均一な溶液とした。
【0146】
【表8】

【0147】
75℃にて16時間であったこと以外は、ポリマーAの調製に記載の通りに、混合物を脱気し、密閉し、重合した。モノマーの、ポリマーへの変換は、97.4%であり、インヘレント粘度は、THF中で0.33であった。
【0148】
次に、H22の50%水溶液(1.1のH22/アミンモル比)25gをポリマーに加えて、60℃で20時間、第三級アミンをアミンオキシドに酸化した。
【0149】
酸化したポリマーをDI水と等部で混合し、透き通った水性分散液を作った。ポリマーAの調製に記載の通りに、この分散液を、1000/1000、1000/1000、1000/1000ppmの比率のTBHP/SFSで、60℃にて3回清掃した。次に、約0.05%のD−Cアディティブ(Additive)62消泡剤を用いて、減圧下でエタノールを取り除いた。除去されたエタノールを、DI水155gで補充した。最終的な分散液は、下記の特性を有していた:固形分、17.1%;ブルックフィールド(Brookfield)粘度、19600cps;pH=7.7;残留モノマー、LMA/IBMA/DMAEMA/MMA=570/770/検出されず/75ppm(ポリマー固形分に基づく)。
【0150】
実施例のための一般的組成物調製法
本発明の組成物を、下記の方法で調製した。ポビドンヨード(PVP−I)を含む組成物の場合、先ずPVP−Iを30重量%溶液でDI水に溶解した。概して、加える順序は重要ではないが、以下に記載の一般的な順序に従うことが好ましい。
a.全ての加水分解的に安定した非イオン性界面活性剤、特に固体である可能性があり、溶解するために加熱を必要とする可能性があるもの、たとえば、ブリジ(BRIJ)700を、サンプルジャーに量り入れる。
b.水を加え、混合し、必要に応じて、(たとえば、約60℃に)加熱して、あらゆる界面活性剤/ポリマーを溶解する、1〜2時間を要することもある。
c.添加と添加の間に完全に混合しながら、緩衝剤成分を1つずつ加える。
d.5N水酸化ナトリウムを加えることにより、pHを約2.5〜6.0、好ましくは3.5〜4.0に調整する。水酸化ナトリウムの量は、水の量の計算に入れる。
e.場合によって、加水分解的に安定でないかもしれない界面活性剤、たとえば、エステル連結を含む界面活性剤を加える。
f.場合によって、陰イオン性界面活性剤を加える。
g.抗微生物剤または他の活性物質を、たとえばPVP−Iを、水中に30%溶液濃度として、加える。
h.皮膜形成性ポリマー溶液を加え、混合する。
i.必要かもしれない、最終的なpH調整を行う。
【0151】
実施例1および2および比較例AおよびB
上述の一般手順を使用して、表2aに示す組成物を調製した。第四級アミン官能ポリアクリレートターポリマーは、モノマーレベルを、75/20/5の2−EHA/DMAEAMC/AM−90Gに変更したこと意外は、ポリマーAの調製のための一般手順を用いて調製した。
【0152】
【表9】

【0153】
実施例1および2のpHは4であった。刺激の可能性について、2種類の市販されている消毒薬:ベタジン・サージカル・スクラブ(BETADINE Surgical Scrub)(7.5%ポビドンヨード)(比較例A)およびベタジン滅菌眼科用プレップ溶液(BETADINE Sterile Ophthalmic Prep Solution)(5%ポビドンヨード)(比較例B)と比較して、組成物を評価した。ウサギ眼刺激に関するテストプロトコールは、上に記載した。結果を、表2bに示す。数値による得点は、赤みおよび結膜浮腫のみに関し、全動物に関する総得点の単純な足し算である。
【0154】
【表10】

【0155】
実施例3〜11
上述の一般手順を使用して、表3aに示す組成物を調製した。モノマーレベルを75/20/5の2−EHA/DMAEAMC/AM−90Gに変更したこと以外は、ポリマーA調製のための一般手順を用いて、第四級アミン官能ポリアクリレートポリマーを調製した。
【0156】
刺激の可能性について、実施例1および2に関して記載した2種類の市販されている消毒薬と比較して、組成物を評価した。その結果を表3bに示す。数値による得点は、赤みおよび結膜浮腫のみに関し、全動物に関する総得点の単純な足し算である。
【0157】
【表11】

【0158】
【表12】

【0159】
高レベルの有機酸緩衝剤にもかかわらず、組成物の全てが、長年にわたって皮膚および粘膜組織(粘膜組織に対する使用については指示されていないが)に対して広く使用されてきたベタジン・サージカル・スクラブ(BETADINE Surgical Scrub)(比較例A)より優しかったことが、結果からわかる。加えて、実施例8および9は、ベタジン滅菌眼科用プレップ溶液(BETADINE Sterile Ophthalmic Prep Solution)(比較例B)より優しいことを示した。72時間後、本発明の組成物で処置した全ての眼に、知覚できる刺激はなかった。意外なことに、実施例6および8は、48時間後に、知覚できる刺激はなかった。実施例9は、わずか24時間後に、知覚できる刺激はなかった。
【0160】
実施例12〜17
上述の一般手順を使用して、表4aに示す組成物を調製した。第四級アミン官能ポリアクリレートポリマーは、モノマーレベルを、それぞれ、15/35/50の2−EHA/DMAEAMC/MMAおよび5/10/40/45のLMA/BA/DMAEMAC/MMAに変更したこと以外は、ポリマーA(2−EHA)の調製またはポリマーC(LMA)の調製のための一般手順を用いて調製した。これらの組成物全てのpHは3.5〜4であった。
【0161】
【表13】

【0162】
刺激の可能性について、実施例1および2に関して記載した2種類の市販されている消毒薬と比較して、組成物を評価した。その結果を表4bに示す。数値による得点は、赤みおよび結膜浮腫のみに関し、全動物に関する総得点の単純な足し算である。
【0163】
【表14】

【0164】
高レベルの有機酸緩衝剤(7重量%)にもかかわらず、全ての組成物が、ベタジン滅菌眼科用プレップ溶液(BETADINE Sterile Ophthalmic Prep Solution)(比較例B)とほぼ同じ刺激の可能性を有し、ベタジン・サージカル・スクラブ(BETADINE Surgical Scrub)(比較例A)よりはるかに少ない刺激性であったことが結果から分かる。ポリマーまたはポリマー配合物のタイプは、刺激の可能性を有意に変えなかった。最低レベルの界面活性剤およびアミンオキシド官能ポリマーを有する実施例、13および16は、最少の刺激を示した。
【0165】
実施例18〜21
上述の一般手順を使用して、表5aに示す組成物を調製した。第四級アミン官能ポリアクリレートポリマーは、ポリマーA(2−EHA)の調製のための一般手順で調製し、実施例1で使用したものと同じポリマーを、実施例18〜21用の組成物で使用した。これらの各組成物のpHは、3〜4であった。
【0166】
【表15】

【0167】
それぞれ全部で8名の被験者で試験した被験者集団で、上述のテスト方法に記載の通りに、皮膚上で、抗微生物活性について、組成物を評価した。総好気性菌対数減少を測定した。α−ヒドロキシ酸(AHA)の濃度は、かなりの範囲にわたって変えた。モル濃度は、抗微生物活性(対数減少、最終行)として、表5bに示す。
【0168】
【表16】

【0169】
抗微生物活性の結果を、α−ヒドロキシ酸総モル濃度の関数(図1)および乳酸(LA)+リンゴ酸(MA)の濃度のみの関数(図2)としてプロットした。皮膚でみられる対数減少は、高レベルのAHAでは、組成物中のAHAレベルに直接関連しているようであることが、結果から分かる。
【0170】
実施例22〜43
実施例22〜43は、アミン基含有皮膜形成性ポリマーと組み合せた陰イオンデタージェント型界面活性剤の使用について、実例で示す。これらの実施例で使用した陰イオンデタージェント型界面活性剤を、表6aに記載する。
【0171】
【表17】

【表18】

【0172】
上述のポリマーBの調製で製造されたLMA/MMA/トリメチルアミノエチルメタクリレートクロリド塩/BAを使用して、基本組成物を調製した。それぞれの成分および量および重量%を、表6bに示す。
【0173】
【表19】

【0174】
様々な界面活性剤を、表6bの組成物のアリコートに加えた。該組成物を数時間、よく混合した。組成物の安定性を2通りの方法で評価した。第1の方法では、透明度および色を評価するために、バイアルを、明るい頭上の蛍光灯にかざした。第2の方法では、非常に明るい小さな照明器(ニューヨーク州スカニアトレス・フォールズにあるウェルチ−アリン(Welch−Allyn,Skaneateles Falls,N.Y.)の、モデル78103、ヴァギナル・イルミネーター・システム(Model78103,Vaginal Illuminator System)F/58001)を使用して、組成物で満ちたバイアルを評価した。照明器光源をバイアルの底に直接置き、光路に特別に注意を払って、サンプルを評価した。完全に透明なサンプル、たとえば10%ポビドンヨードUSPの溶液は、光回折をほとんど伴わずにバイアルをほぼまっすぐ進む光路のために、透明に見える。該照明器で試験したとき、蛍光灯評価方法で濁って見えるサンプルは、しばしば、円錐形でより散乱性の光路を示した。23℃および60℃で、最初および4日後に、安定性を評価した。組成物および安定性テストの結果を、表6c、6d、6e、6f、6g、6hに記載する。パーセンテージは、%固形分である。各組成物は、3.5〜4のpHを有していた。安定性を記述するために使用される用語は以下の通りである。「透明」は、蛍光灯および照明器の両方で評価したとき、該組成物が完全に安定した透明な溶液であったことを意味し;「濁り」は、蛍光灯および照明器の下で、該組成物が濁って見え、かつ照明器で散乱性の光路を示したことを意味する。これらのサンプルは、物理的に安定しており、特に記載がなければ、分離がなかった。これらのサンプルは、透明でなかったため、あり得る相互作用が起こった可能性がある;「沈澱」は、通常は蛍光灯の下で見え、照明器の下で明確に見える、沈降を通常伴う相分離が起きたことを意味し;「モカ」は、蛍光灯下のモカ・チョコレート飲料と類似した、より不透明な様相を意味する。照明器を使用したとき、こうしたモカ・サンプルは、濁って見えたこともまたは見えなかったこともある;「濁りを帯びた」は、照明器で評価したとき組成物は透明にみえるが、蛍光灯下ではわずかに濁っているものの、それでもなお相分離を伴わずに安定していたことを意味する。
【0175】
【表20】

【0176】
【表21】

【0177】
【表22】

【0178】
【表23】

【0179】
【表24】

【0180】
【表25】

【0181】
概して、陰イオン性界面活性剤の大多数は、第四級アミンポリマーと組み合せて、透明な/黒っぽい溶液を形成できなかったことが、結果からわかる。スルタインおよびアミンオキシド界面活性剤は、第四級アミン官能ポリマーと組み合せて、透明な/黒っぽい溶液を形成した。ある種の界面活性剤、たとえばラウラミドプロピルジメチルアミンオキシドは、ある種の陰イオン性界面活性剤の安定性を増進する。アルキルアルコキシル化陰イオン性界面活性剤は、概して、より相容性であると考えられる。たとえば、STEOL CS330、CRODAFOS SG、STEPANMILD SL3、およびRHODAPEX CO436は全て、アルコキシル化アルコール類から形成され、またAMMONYX LMDOの存在下で、全てが透明な黒っぽい溶液を形成する。
【0182】
実施例44〜53
アミンオキシド官能ポリマー、ダイアフォーマー(DIAFORMER)Z731を使用して、実施例44〜53を調製した。ダイアフォーマー(DIAFORMER)Z731は、エタノールに入った状態で入手した。水を加え、ロータリー・エバポレーターでエタノールを除去して、固形分17%の溶液を得た。ダイアフォーマー(DIAFORMER)Z731アミンオキシド基は、低pHでプロトン化して、正電気を帯びるであろうポリマーをもたらすことができる。サンプルを滴定してポリマーのpKaを決定した。これは、高pH(たとえば8)で開始して、HClで低pHまで滴定し、次いで元に戻ることにより、決定した。複数のpKaが得られた。これは、コポリマーにおけるアミンオキシド基の多様な配列に起因すると考えられるであろう。データを解析して、pH4で、アミンオキシド基の100%近くがプロトン化されていることが判明した。アミン当量も算出し、およそ330gポリマー/アミン当量であった。このポリマーは高度に荷電していたであろうが、意外なことに、中程度レベル(2%未満)の多くの陰イオン性界面活性剤と相容性であった。皮膚上で調合物が十分な永続性を有することを保証するために、界面活性剤のレベルは、極端に上昇させなかった。これらの実施例に関する組成、pH、安定性、および永続性を、表7aおよび7bに記載する。表7aおよび7bでは、全成分の量を、固体ベースで示す。これによって、ある特定の成分を水溶液として加える場合、その水は、この成分の量の中に含まれるのではなく、組成物中の水の総量に反映されることを意味する。
【0183】
【表26】

【0184】
【表27】

【0185】
永続性があるアミンオキシド側鎖官能性ポリマー、ダイアフォーマー(DIAFORMER)Z731は、多種多様な陰イオン性界面活性剤と驚くほど相容性であることがデータから分かる。アミンオキシド(アンモニクス(AMMONYX)LMDO)等の補助界面活性剤の存在は、第四級ポリマーの場合にもそうであったが、安定性を助ける。汚れ、油等々の除去を容易にするために、シャンプー、石鹸および他のクリーナーで広く使用されている、これらのデタージェント型界面活性剤を加えたにもかかわらず、皮膚に対する永続性は優れていた。
【0186】
実施例54〜63
実施例54〜63は、室温でPSAである、補足的な親水性モノマー(ポリエトキシル化したアクリレート、AM−90G)および1039gポリマー/第四級アミン当量のアミン当量を有する、第四級アンモニウム側鎖官能性ポリアクリレートポリマーの使用について、実例で示す。これらの組成物は、ポリマーAの調製ならびに表8aおよび8b記載の成分を使用して一般的組成物調製法に関して、上に略述した通りに調製した。
【0187】
テストプロトコールに記載の通りに、30秒「こすり洗い」塗布技術を使用して、ヒト・ボランティアに対するヒト・皮膚抗微生物活性について、組成物を評価した。テストプロトコールに略述した通りに、永続性、粘着性、および切開用ドレープ接着力についても、組成物を評価した。結果を表8aおよび8bに示す。全ての成分量は、固体ベースで示す。
【0188】
【表28】

【0189】
【表29】

【0190】
結果:実施例54は、陰イオン性界面活性剤および比較的高いレベルの乳酸と組み合せた、第四級アンモニウム側鎖ポリアクリレート皮膜形成性ポリマーを含む組成物を実例で示す。該組成物は、4℃、45℃、50℃、および60℃での長期保存(30日超)に対して安定していた。該組成物を、抗微生物活性について2回試験した。対数減少の平均値は、ベタジン(BETADINE)スクラブおよび塗布剤溶液より低いようであるが、このテスト方法にはばらつきがあるため、該組成物は、統計学的にベタジン(BETADINE)に等しい殺生物活性を有していた。本発明の組成物は、塗布時間がはるかに短かかった(実施例54では、総接触時間が2.5分であったのに比べて、ベタジン・サージカル・スクラブ(BETADINE Surgical Scrub)で5分間こすり洗いし、続いて拭き取り、ベタジン(BETADINE)溶液を塗り、これを、合計で約7分超、乾かした)ため、このことは意外であった。実施例55、55P(プラシーボ)、56、57、57P(プラシーボ)、および58は、非イオン性界面活性剤の存在下で、第四級アンモニウム側鎖官能性ポリマーと組み合せた、乳酸、リンゴ酸、およびクエン酸を主成分とする高濃縮緩衝剤系の使用を実例で示す。該組成物は、60℃で1週間保存した後、安定していた。予想通り、有効な組成物(実施例55および57)は、プラシーボ(実施例55Pおよび57P)より優れた微生物の死滅を示した。プラシーボサンプルの「死滅」は、単に、該組成物を塗布したために細菌が除去され、その後、その部位をサンプリングしたことに起因すると考えられる。実施例62および63は、比較的低い抗微生物活性を有するようであるが、これは、プルロニック(PLURONIC)L64が存在するためであろう。この界面活性剤は、比較的低いHLB(BASFによる報告では15、%EO/5の標準計算では8)を有し、これが、この結果の原因であろう。
【0191】
実施例54は、比較的高い粘着性を有していた。実施例55、57、60、61、および62は全て、中程度の粘着性を有していた。実施例56で分かるように、クエン酸の存在が、粘着性の低下を助けると考えられる。シリコーンコポリオール界面活性剤の使用も、粘着性を低下させるようであるが、実施例59は、低い定性的切開用ドレープ接着力を有し、実施例60および61は、良好な定性的切開用ドレープ接着力を有していた。ポリアクリレート皮膜形成性ポリマーのレベルが低く、またPVAが存在していたため、実施例63も、低い粘着性を有していた。
【0192】
実施例55を、定量的接着力テストでも評価したが、ベタジン(BETADINE)スクラブおよび塗布剤溶液上に貼付した切開用ドレープより剥離し易かった(36対55g/2.54cm)。
【0193】
全ての活性物質を含有する調合物をヒト皮膚に塗布して、十分に濡らし、かつ一様に被覆することが確認された。該組成物は、粘度が低いため、容易にヒト皮膚上に一様に塗ることができた。皮膚上に形成された乾燥皮膜は、柔軟で、丈夫で、かつひび割れしなかった。全ての調合物の永続性は優れており、永続性値は60秒より大きかった。良好な永続性にもかかわらず、サンプルは、濡れた紙タオルで拭くことにより、容易に除去された。さらに、実施例58〜62では、ポリマーレベルが低い(ポリマー/活性物質の比率0.47に対して、実施例54〜57ではポリマー/活性物質の比率0.67)にもかかわらず、該組成物は依然として非常に良好な永続性を有していた。
【0194】
実施例64〜66
実施例64〜66は、ガラス転移モノマーのレベルが高い(MMAの添加)ため、室温でPSAではない、第四級アンモニウム側鎖官能性ポリマーの使用について、実例で説明する。これらの組成物は、表9に記載の成分を使用して、ポリマーAの調製および一般的組成物調製法に関して上に略述した通りに調製した。テストプロトコールに記載の通りに、3拭き塗布剤塗布技法を使用して、ヒト・ボランティアに対するヒト・皮膚抗微生物活性について、組成物を評価した。テストプロトコールに略述した通りに、永続性、粘着性、および切開用ドレープ接着力についても、組成物を評価した。結果を表9に示す。全ての成分量は、固体ベースで示す。
【0195】
【表30】

【0196】
より高いガラス転移ポリマー(PVA)を添加したため、これらの調合物の粘着性は、概して、実施例54〜63の粘着性より低かった。実施例64および65の微生物の死滅は良好であり、またプラシーボ調合物より有意に高かった。実施例65は、曝露時間が非常に短かったにもかかわらず、ベタジン(BETADINE)スクラブおよび塗布剤と同じぐらい良く死滅させた。これは、サンプル中に高レベルで存在する緩衝剤により助けられる。全てのサンプルが非常に良好な永続性を示した。良好な永続性にもかかわらず、サンプルは、濡れた紙タオルで拭くことによって容易に除去することができた。実施例64〜66の組成物は粘度が低いため、容易にヒト皮膚上に一様に塗ることができた。皮膚上に形成された乾燥皮膜は、柔軟で、丈夫で、かつひび割れしなかった。
【0197】
実施例67〜74
実施例67〜74は、好ましい第四級アミンおよび永続性があるアミンオキシド側鎖官能性皮膜形成性ポリマーと組み合せた高レベルの有機酸緩衝剤の使用について、実例で説明する。これらの組成物は、表10aおよび10bに記載の成分を使用して、ポリマーA(2−EHA)の調製法およびポリマーC(LMA)の調製法ならびに一般的組成物調製法に関して上に略述した通りに調製した。ダイアフォーマー(DIAFORMER)Z731の組成物は、炭素NMR(乾燥ポリマー100ミリグラム(mg)を、CDCl3中50マイクロモル(μM)のCr(OOCCH33溶液3ミリリットル(mL)に溶解することにより測定した)で分析し、以下の通りであった。ジメチルアミノエチルメタクリレートのアミンオキシド48.7%、IBMA 18.8%、MMA 20.8%、長鎖メタクリレート(ラウリルおよびステアリルの混合物)6.8%、ジメチルアミノエタノール0.9%、およびジメチルアミノエチルメタクリレート4.0%。滴定により測定すると、pH4で、アミンオキシド基のおよそ100%がプロトン化されていることが判明した。
【0198】
テストプロトコールに記載の通りに、3拭き塗布剤塗布技法を使用して、ヒト・ボランティアに対するヒト皮膚抗微生物活性について、組成物を評価した。テストプロトコールに略述した通りに、永続性および粘着性についても組成物を評価した。結果を、表10aおよび10bに示す。
【0199】
【表31】

【0200】
【表32】

【0201】
全ての組成物の永続性および粘着性の結果は優れていた。良好な永続性にもかかわらず、サンプルは、濡れた紙タオルで拭くことによって容易に除去することができた。実施例67〜70の微生物の死滅は、ヨウ素含有調合物は、平均ベースラインがわずか2.5〜3.5であった8名の参加者集団で、良好な死滅(>1.5より大きい対数減少)を有することを示し、高い緩衝剤レベルが、速やかな抗微生物活性の一助になることが分かる。さらに、これらの実施例の高い抗微生物活性から、非イオン性ポリエトキシル化アルコールおよびポリエトキシレートソルビタンエステル界面活性剤が、有効成分ポビドンヨードと相容性であることも分かる。プラシーボ調合物(67P〜70P)は、比較的低い微生物の死滅を有し、ヨウ素が主要な有効成分であることが分かる。これらの実施例は全て、その粘度が非常に低かった。実施例67および73では、粘度テストに準拠して調合物の粘度を測定し、それぞれ、7.4cpsおよび10cpsであった。見た目には、他の実施例の粘度値は類似していた。低粘度は、代表的なスポンジタイプの塗布用具を使用した、プレップの皮膚上への容易な送達を劇的に簡単にする。実施例67〜74の組成物は、低粘度であるため、容易にかつ一様にヒト皮膚に塗布することができた。皮膚上に形成された乾燥皮膜は、柔軟で、丈夫で、かつひび割れしなかった。
【0202】
実施例75〜77
実施例75〜77は、高レベルの有機酸緩衝剤を含む組成物の安定性に対する、界面活性剤系の影響について、実例で説明する。これらの実施例で使用した第四級アンモニウム側鎖官能性ポリマーは、表11に記載の成分を使用して、ポリマーAの調製および一般的組成物調製の手順に準拠して製造した。全ての成分量は、固体ベースで示す。
【0203】
【表33】

【0204】
実施例75の組成物は、中間のHLB値で、ポリソルベート20(ニッコール(NIKKOL)TL10)の存在下で安定しているに過ぎなかった。実施例77の高HLB単一界面活性剤系および実施例76の低HLB単一界面活性剤系は、両者とも、不安定な組成物に終わった。
【0205】
実施例78〜86
実施例78〜86は、高有機酸緩衝剤レベルおよび永続性があるポリマーを含む組成物の安定性を確保するための、HLBの重要性をさらに実例で説明する。該ポリマーは、アミン基官能側鎖ポリマーであった。これらの実施例で使用したポリマーは、表12aおよび12bに記載の成分を使用して、ポリマーAの調製および一般的組成物調製の手順に準拠して製造した。実施例22〜43について記載した通りに安定性について、またテストプロトコールに略述した通りに粘着性および切開用ドレープ接着力について、組成物を評価した。結果を、表12aおよび12bに示す。全ての成分量は、固体ベースで示す。HLBは、界面活性剤系のそれを指す。
【0206】
【表34】

【0207】
【表35】

【0208】
以上の実施例から、HLBが12.25〜18である界面活性剤系を含む組成物は、安定していたことが分かる。しかし、最も安定した組成物は、結果として透明な溶液になるもの、たとえば、HLBが15.75〜17.27である界面活性剤系を有する、実施例78、83、および84のものである。
【0209】
実施例87〜91
実施例87〜91は、粘着性を低下させるために組成物中に溶解した高Tgポリマーの使用について、実例で説明する。該組成物に加えた高Tgポリビニルアルコール(PVA)は、先ず、PVAを水に加え、溶解するまで時々攪拌しながら、密閉した容器内で90℃に加熱することにより、10重量%の水中濃縮物として溶解した。エア・プロダクツ・ブレティン(Air Pruducts Bulletin)が報告した、テキサス州ダラスにあるセラニーズ・リミテッド(Celanese Ltd.,Dallas,TX)から販売されているCELVOL ポリビニルアルコールの、20℃における4%水溶液に関する、%加水分解および粘度を表13aに示す。
【0210】
【表36】

【0211】
実施例は、表13bに記載の成分を使用して、一般的組成物調製に準拠して製造した。実施例22〜43について記載されている通りに安定性について、またテストプロトコールに略述されている通りに永続性、粘着性および切開用ドレープ接着力についても、組成物を評価した。その結果を、表13bに示す。全ての成分量は、固体ベースで示す。
【0212】
【表37】

【0213】
加水分解度が非常に高い、PVAを含有する実施例87および88の永続性は非常に良好であった。こうした調合物のPVA成分は、加水分解度が高いため、冷水可溶性ではないことに注目すべきである。良好な永続性にもかかわらず、サンプルは、濡れた紙タオルで拭くことによって容易に除去することができた。
【0214】
実施例88は、上述の定性テストで試験したとき、PSA被覆製品(切開用ドレープ)の最高の接着力を有するようであった。実施例89および91で、セルボール(CELVOL)305および523組成物がなぜ安定していなかったかは明白ではない。
【0215】
実施例92〜97
実施例92〜97は、永続性があるアミンオキシド側鎖官能性皮膜形成性ポリマーと組み合せた、高レベルの有機酸緩衝剤の使用について、実例で説明する。実施例92〜94で使用したポリマーは、ダイアフォーマー(DIAFORMER)Z−731(クラリアント・コープ(Clariant Corp.))として販売されている、市販のポリ(アミンオキシドアクリレート)であった。実施例95〜97で使用されたポリマーは、ポリマーC(LMA)の調製について上に略述した通りに調製した。該ポリマーは、SMA(10%)/IBMA(25%)/DMAEMA(55%)/MMA(10%)を含んでいた。0.3重量%のVAZO 67を使用して、温度65℃で、モノマーを重合した。DMAEMAと使用した過酸化水素とのモル比0.9を使用して、DMAEMAをアミンオキシドに酸化した。SFSの代わりにビタミンCで残留モノマーを清掃した。蒸留後、過酸化水素の残留レベルを測定すると、100ppm未満であった。ポリマーは、インヘレント粘度0.7を有していた。表14に記載の成分を使用して一般的組成物調製法に準拠して、組成物を調製した。
【0216】
30秒こすり洗い適用技術を使用して、テストプロトコールに記載の通りに、ヒト・ボランティアに対するヒト皮膚抗微生物活性について、組成物を評価した。テストプロトコールに略述されている通りに、永続性、ドレープ接着、および粘着性についても組成物を評価した。その結果を表14に示す。
【0217】
【表38】

【0218】
結果から、実施例92〜94は、非常に良好な抗微生物活性を有していたことが分かる。実施例92、95、および96は、格別の永続性を有していた。実施例93、94および97の永続性は、一般に10秒未満持続するベタジン溶液(BETADINE SOLUTION)のそれよりはるかに大きかった。全サンプルの粘着性は非常に低かった。実施例92〜94では、アイオバン(IOBAN)2切開用ドレープの接着(ドレープ接着(Drape Adhesion))は良好で、乾燥したベタジン(BETADINE)溶液上への接着に相当すると判定された。全てのサンプルは、室温で、透明で黒っぽかった(安定していた)。
【0219】
特許、特許文献、および本明細書に引用した刊行物の完全な開示内容を、それぞれを個々に援用したかのように、参照により本明細書に全体を援用する。本発明に対する様々な修正および変更は、本発明の範囲および精神から逸脱することなく、当業者に明白になるであろう。本発明は、本明細書に記載の例示的な実施形態および実施例によって不当に限定されるものではなく、このような実施例および実施形態は、単に例示のために提示されており、本発明の範囲は、本明細書に記載の特許請求の範囲によってのみ限定されるものであることを理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2、ヨードフォア、およびそれらの組合せからなる群より選択される抗微生物剤であって、少なくとも約0.25重量%の利用可能なヨウ素濃度を提供するのに十分な量で存在する抗微生物剤;
少なくとも約5重量%の量のヒドロキシカルボン酸緩衝剤;
水;および
永続性がある皮膜形成性ポリマー;
を含む、消毒剤組成物。
【請求項2】
前記抗微生物剤は、約1.0重量%以下の利用可能なヨウ素濃度を提供するのに十分な量で存在し、前記ヒドロキシカルボン酸緩衝剤は、約15重量%以下の量で存在する、請求項1に記載の消毒剤組成物。
【請求項3】
前記組成物が、約1000cps以下のブルックフィールド粘度を有する、請求項1に記載の消毒剤組成物。
【請求項4】
前記組成物が、ASTMテスト方法E1173−93を使用し、中程度の圧力を使用して、該組成物中に浸漬したガーゼで30秒こすり洗いして、乾いたヒト皮膚部位の正常な皮膚フローラを、2分で、少なくとも対数値で約1減少させる、請求項1に記載の消毒剤組成物。
【請求項5】
ASTMテスト方法E1173−93を使用して、中程度の圧力を使用して、前記組成物中に浸漬したガーゼを用いて30秒こすり洗いを完了した2分後に測定して、乾いたヒト皮膚部位で試験するとき、前記組成物が、ヒドロキシカルボン酸緩衝剤が存在しない同一組成物より少なくとも対数値で約0.5多く正常な皮膚フローラを減少させる、請求項1に記載の消毒剤組成物。
【請求項6】
前記抗微生物剤が、ポリビニルピロリドン、N−ビニルラクタムのコポリマー、ポリエーテルグリコール、ポリビニルアルコール、ポリカルボン酸、ポリアクリルアミド、多糖類、およびそれらの組合せからなる群より選択される担体を含むヨードフォアであるか、またはポビドンヨードである、請求項1に記載の消毒剤組成物。
【請求項7】
前記ヒドロキシカルボン酸緩衝剤が、式:
1(CR2OH)n(CH2mCOOH
[式中:
1およびR2は、互いに独立してHまたは飽和した直鎖状、分枝状、または環状の(C1〜C8)アルキル基、(C6〜C12)アリール基、あるいはアルキル基が飽和した直鎖状、分枝状、または環状である(C6〜C12)アラルキル基またはアルカリール基であり、R1およびR2は、場合によって1つ以上のカルボン酸基で置換されていてもよく;
m=0または1であり;および
n=1〜3である]
で表される化合物を含む、請求項1に記載の消毒剤組成物。
【請求項8】
前記ヒドロキシカルボン酸緩衝剤が、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、2−ヒドロキシブタン酸、3−ヒドロキシブタン酸、マンデル酸、グルコン酸、酒石酸、サリチル酸、それらのラクトン類、それらの塩類、それらの誘導体、またはそれらの組合せを含む、請求項7に記載の消毒剤組成物。
【請求項9】
1〜C4アルコールをさらに含む、請求項1に記載の消毒剤組成物。
【請求項10】
揮発性有機溶剤を実質的に含まない、請求項1に記載の消毒剤組成物。
【請求項11】
ASTMテスト方法D3278−96を使用するとき、前記組成物が、約60℃より高い密閉式引火点を有する、請求項1に記載の消毒剤組成物。
【請求項12】
前記皮膜形成性ポリマーが、ポリマーの総重量を基準にして、少なくとも約50重量%の1つ以上の疎水性モノマーから調製される、請求項1に記載の消毒剤組成物。
【請求項13】
前記皮膜形成性ポリマーが、側鎖官能性アミン基を含む、請求項1に記載の消毒剤組成物。
【請求項14】
前記組成物の乾燥皮膜が実質的に非粘着性である、請求項1に記載の消毒剤組成物。
【請求項15】
ヒドロキシカルボン酸緩衝剤と抗微生物剤との比率が、少なくとも約4.0グラムのヒドロキシカルボン酸緩衝剤/利用可能なヨウ素である、請求項1に記載の消毒剤組成物。
【請求項16】
界面活性剤をさらに含む、請求項1に記載の消毒剤組成物。
【請求項17】
2、ヨードフォア、およびそれらの組合せからなる群より選択される抗微生物剤であって、少なくとも約0.25重量%の利用可能なヨウ素濃度を提供するのに十分な量で存在する抗微生物剤;
少なくとも約5重量%の量のヒドロキシカルボン酸緩衝剤;
水;および
親水性部分と疎水性部分とを含む皮膜形成性ポリマー;
を含む、消毒剤組成物。
【請求項18】
2、ヨードフォア、およびそれらの組合せからなる群より選択される抗微生物剤であって、少なくとも約0.25重量%の利用可能なヨウ素濃度を提供するのに十分な量で存在する抗微生物剤;
少なくとも約5重量%の量のヒドロキシカルボン酸緩衝剤;および
水;
を含む消毒剤組成物を組織に直接塗布するステップと、
前記消毒剤組成物を組織上に留めておくステップと、
を含む、組織を消毒する方法。
【請求項19】
前記消毒剤組成物が、皮膜形成性ポリマーをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
消毒剤組成物を製造する方法であって、
2、ヨードフォア、およびそれらの組合せからなる群より選択される抗微生物剤であって、少なくとも約0.25重量%の利用可能なヨウ素濃度を提供するのに十分な量で存在する抗微生物剤;
少なくとも約5重量%の量のヒドロキシカルボン酸緩衝剤;
水;および
永続性がある皮膜形成性ポリマー;
を含む成分を配合するステップを含む方法。
【請求項21】
前記ヒドロキシカルボン酸緩衝剤および抗微生物剤を配合し、次いで永続性がある皮膜形成性ポリマーを加える、請求項20に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−138180(P2010−138180A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−33458(P2010−33458)
【出願日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【分割の表示】特願2003−561345(P2003−561345)の分割
【原出願日】平成14年11月18日(2002.11.18)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】