消火装置
【課題】 軽量化された消火装置を提供する。
【解決手段】搬送可能な消火装置であり、消火装置1は、圧縮空気を貯留可能な圧源流体用容器2と、消火剤を貯留可能な消火剤用容器3,4と、圧源流体用容器2と消火剤用容器3,4とに接続され、圧源流体用容器2に貯留される圧縮空気を消火剤用容器3,4に導く圧源流体用導管5と、圧源流体用導管5に介在し、圧源流体用導管を流下する圧縮空気の圧力を減圧する減圧弁6と、消火剤用容器3,4に貯留される消火剤を放出可能な放出手段7と、消火剤用容器3,4と放出手段7とに接続され、消火剤用容器3,4に貯留される消火剤を放出手段7に導く消火剤用導管8とを備える
【解決手段】搬送可能な消火装置であり、消火装置1は、圧縮空気を貯留可能な圧源流体用容器2と、消火剤を貯留可能な消火剤用容器3,4と、圧源流体用容器2と消火剤用容器3,4とに接続され、圧源流体用容器2に貯留される圧縮空気を消火剤用容器3,4に導く圧源流体用導管5と、圧源流体用導管5に介在し、圧源流体用導管を流下する圧縮空気の圧力を減圧する減圧弁6と、消火剤用容器3,4に貯留される消火剤を放出可能な放出手段7と、消火剤用容器3,4と放出手段7とに接続され、消火剤用容器3,4に貯留される消火剤を放出手段7に導く消火剤用導管8とを備える
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮流体を用いて容器に貯留される消火剤を吐出させて放出し、この消火剤によって消火する消火装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の第1の技術は、特許文献1に開示される。従来の第1の技術の消火装置には、圧縮空気が充填された空気ボンベと、消火液が充填された液体タンクとが含まれ、これら空気ボンベと液体タンクとが互いに連通する。消火装置には、さらに消火液をミスト状に噴霧するための噴射ガンが含まれる。この噴射ガンは、噴射用ホースによって、液体タンクに接続され、液体タンクの内圧に応じて、消火液が導かれる。噴射ガンは、開閉弁および吐出ノズルを備え、開閉弁を開状態にすることによって、導かれた消火液を吐出ノズルからミスト状に噴霧することができる。また消火装置には、呼吸器が設けられている。このようにして構成される消火装置は、空気ボンベに充填される5MPa以上30MPa以下の圧縮空気を液体タンク内に導き、この圧縮空気によって消火液を噴射ガンに圧送し、噴射ガンからミスト状に噴霧させる。
【0003】
従来の第2の技術は、特許文献2に開示される。従来の第2の技術の二流体消火装置は、圧縮空気が充填された空気ボンベと、圧液を供給可能な液体供給源と、圧縮空気と圧液とを混合して霧状に噴霧する二流体ノズルと、空気ボンベおよび二流体ノズルに接続され、圧縮空気を二流体ノズルに導くための空気ホースと、液体供給源および二流体ノズルに接続され、圧液を二流体ノズルに導くための液体ホースとを備える。このような構成を有する二流体消火装置は、空気ボンベから導かれる圧縮空気と、液体供給源から導かれる圧液とを、二流体ノズルで混合して、霧状に噴射させる。
【0004】
【特許文献1】特開2000−140143号公報
【特許文献2】特開2003−190314号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の第1の技術の消火装置は、空気ボンベから液体タンクにその圧力が5MPa以上30MPa以下の圧縮空気を導くことによって、吐出ノズルからミスト状に水を噴霧することができる。このように5MPa以上30MPa以下の圧縮空気を導くので、液体タンクは、この圧力に耐え得る耐圧性能を必要とする。このような耐圧性能を達成するためには、液体タンクを厚肉にする必要があり、これによって液体タンクの重量が大きくなり、結果的に消火装置の重量の増加に繋がる。
【0006】
液体タンクを薄肉にするために、圧縮空気の圧力を従来の第1の技術で開示される範囲以下にすると、消火液の噴射量が低下し、高濃度のミストを噴射することができず、消火効率の向上を図ることが困難である。それ故、圧縮空気の圧力を下げることによる薄肉化を、従来の第1の技術の消火装置で図ることは困難である。
【0007】
従来の第2の技術の二流体消火装置は、空気ボンベに充填される圧縮空気と、液体供給源から供給される液体とを二流体ノズルで混合させて霧状の水にし、消火対象物に噴射する。このように霧状の水を噴射することによって、消火対象物を消火する。二流体消火装置では、圧縮空気と液体とを混合して、霧状の水にするので、大量の圧縮空気を必要とする。空気ボンベに充填される圧縮空気が少量であると、噴射時間が短くなり、充分な消火を行うことが困難となる。それ故、噴射時間を延ばすために、空気ボンベの容量を大きくする必要がある。このように空気ボンベの容量が大きくなると、当然その重量が大きくなり、その結果、消火装置の重量が大きくなる。
本発明の目的は、軽量化された消火装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、圧縮される圧源流体を貯留可能な圧源流体用容器と、
消火剤を貯留可能な消火剤用容器と、
圧源流体用容器と消火剤用容器とに接続され、圧源流体用容器に貯留される圧源流体を消火剤用容器に導く圧源流体用導管と、
圧源流体用導管に介在し、圧源流体用導管を流下する圧源流体の圧力を減圧する減圧手段と、
消火剤用容器に貯留される消火剤を放出可能な放出手段と、
消火剤用容器と放出手段とに接続され、消火剤用容器に貯留される消火剤を放出手段に導く消火剤用導管とを備えることを特徴とする消火装置である。
【0009】
本発明に従えば、圧源流体用容器に貯留される圧源流体は、その圧力が減圧手段で減圧され、圧源流体用導管を通って、消火剤用容器に導かれる。消火剤用容器に貯留される消火剤は、導かれる圧源流体から圧力を受け、消火剤用容器から消火剤用導管に吐出される。吐出される消火剤は、消火剤用導管を通って、放出手段に導かれる。装着者は、放出手段を用いてこの導かれる消火剤を放出させ、消火する。
【0010】
また本発明は、減圧手段は、圧源流体の圧力を減圧し一定に保持する圧力制御弁であることを特徴とする。
【0011】
本発明に従えば、圧力制御弁によって、その圧力が一定に保持された圧源流体を消火剤用容器に導くことができる。これによって消火剤用容器から消火剤用導管に吐出される消火剤の流量を、圧源流体の残量に拘わらず、一定にすることができる。
【0012】
また本発明は、減圧手段に接続され、減圧手段で減圧された圧源流体を給気可能な給気手段をさらに含み、
圧源流体用容器に貯留される圧源流体は、少なくとも酸素を含む混合気体であることを特徴とする。
【0013】
本発明に従えば、少なくとも酸素を含む混合気体を減圧手段で減圧し、給気手段によって給気することができる。これによって装着者は、給気手段によって給気される混合気体を吸気することができる。
【0014】
また本発明は、圧源流体用導管に介在し、消火剤が圧源流体用導管を消火剤用容器から圧源流体用容器に向かって逆流することを阻止する逆流防止手段が、減圧手段より圧源流体の流下方向下流側に設けられることを特徴とする。
【0015】
本発明に従えば、逆流防止手段によって、消火剤用容器から圧源流体用容器に向かう消火剤の逆流を、減圧手段より流下方向下流側の位置で阻止することができる。これによって消火剤が逆流して、減圧手段に達することを阻止できる。
【0016】
また本発明は、消火剤用導管に介在し、圧源流体が消火剤用導管を流下することを阻止する流下防止手段をさらに有することを特徴とする。
【0017】
本発明に従えば、流下防止手段によって、圧源流体が消火剤用導管を流下することを阻止し、放出手段に導かれることを阻止できる。これによって圧源流体が放出手段から放出されることを阻止できる。
【0018】
また本発明は、圧源流体用導管に介在し、圧源流体用導管を流下する圧源流体の流量が予め定める設定流量以上になると、圧源流体が圧源流体用導管を流下することを阻止する過流防止手段をさらに備えることを特徴とする。
【0019】
本発明に従えば、圧源流体用導管には、過流防止手段が介在する。過流防止手段は、圧源流体用導管を流下する圧源流体の流量が予め定める設定流量以上になると、圧源流体が圧源流体用導管を流下することを阻止する。これによって圧源流体の浪費を抑制することができる。
【0020】
また本発明は、消火剤は、難燃性を有し、温度上昇にともなって粘度が高くなる樹脂が溶解する水溶液であることを特徴とする。
【0021】
本発明に従えば、消火剤に温度上昇にともない粘度が高くなる樹脂が溶解する水溶液が用いられる。これによって消火剤を消火対象物に向かって放出すると、放出される消火剤は、その温度が上昇して粘度が高くなる。粘度が高くなった消火剤は、水に比べて流動しにくく、消火対象物に付着している消火剤が流れるなどして広がることを抑制できる。また消火剤用導管を流下する場合、放出後よりも消火剤の温度が低いので、その粘度が小さく、消火剤を、消火剤用導管を通って放出手段まで圧送するために必要な圧力を低くすることができる。
【0022】
また本発明は、圧源流体用容器および消火剤用容器を配設するための枠体をさらに含み、
枠体は、圧源流体用容器および消火剤用容器が立位する状態で保持可能に構成されていることを特徴とする。
【0023】
本発明に従えば、圧源流体用容器および消火剤用容器が配設される枠体によって、圧源流体用容器および消火剤用容器を立位状態に保持することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、圧縮された圧源流体によって、消火剤用容器に貯留される消火剤を吐出させることができるので、従来の第2の技術の二流体消火装置のように、水を噴霧するために大量の空気を使用することなく、少量の圧源流体によって消火剤を放出することができる。これによって圧源流体用容器に貯留すべき圧源流体の容量を従来の技術の二流体消火装置より低減でき、圧源流体用容器の重量を低減することができる。
【0025】
さらに本発明では、圧源流体の圧力を減圧手段によって減圧して、この減圧されている圧源流体が圧源流体用導管を通って消火剤用容器に導かれる。これによって消火剤用容器に導かれる圧源流体の圧力の変動を抑制でき、放出手段から放出される消火剤の放出量が変動することを抑制できる。このように圧源流体を、その圧力を減圧して消火剤用容器に導くことによって、消火剤の放出量の変動を抑制し、放出時間に依存しない安定した消火剤の放出を実現できる。圧源流体の圧力を減圧して導くことによって、消火剤用容器の耐圧性能を高める必要がなく、従来の第1および第2の技術の消火装置より消火剤用容器の薄肉化を図ることができる。これによって消火装置の重量を低減することができる。
【0026】
また本発明によれば、圧力制御弁によって、消火剤用容器から消火剤用導管に吐出される消火剤の流量を一定にすることができる。これによって消火剤用導管を通って、放出手段から放出される消火剤の放出量を一定にすることができる。従来の第1および第2の技術の消火装置では、消火剤用容器の内圧に基づいて放出されるので、放出量が消火剤の貯留量に依存する、換言すると放出時間に依存する。本発明では、一定の圧力に保持される圧源流体によって、消火剤が吐出されるので、放出時間に依存することなく、消火剤を一定の放出量で放出することができる。このように消火剤の放出量を一定にすることによって、消火剤の放出量が放出時間に依存しない、安定した消火能力を有する消火装置を実現できる。
【0027】
また本発明によれば、給気手段によって、圧源流体用容器に貯留される少なくとも酸素を含む混合気体を装着者に給気することができる。これによって装着者は、給気された混合気体によって呼吸することができる。このように消火剤を消火剤用容器から吐出させるための混合気体を、装着者への給気に用いることによって、前記給気のためだけに新たに混合気体を貯留するための容器を設ける必要がない。これによって消火および給気を可能にするとともに、軽量化されている消火装置を実現することができる。
【0028】
また本発明は、圧源流体を減圧して圧源流体用容器から消火剤用容器に導くので、従来の第1の技術の消火装置に比べて、圧源流体用容器から消火剤用容器に導かれる混合気体が少量である。したがって従来の第1の技術の消火装置より多くの混合気体を、給気手段によって、装着者に給気することができる。これによって装着者は、酸素欠乏を気にすることなく、従来の第1の技術のものより長く火災現場などに滞在し、消火活動をすることができる。
【0029】
また本発明によれば、逆流防止手段によって、消火剤が逆流して、減圧手段に達することを阻止できる。これによって消火剤が給気手段に導かれ給気手段から吐出されることを防げる。これによって装着者が給気手段を用いて安心して吸気することができる。このように圧源流体用容器に貯留される圧源流体によって、装着者が安心して吸気可能な混合気体を給気できるとともに、放出手段から消火剤を放出させることができる消火装置を実現できる。
【0030】
また本発明によれば、消火剤用容器から吐出可能な消火剤がなくなった場合、流下防止手段によって、消火剤用容器に導かれる圧源流体が消火剤用導管を流下して、放出手段から放出されることを防げる。消火剤がなくなった後、圧源流体が放出され続けることによって、圧源流体用容器内の圧源流体が浪費される。流下防止手段を用いて、圧源流体の放出を防ぐことによって、このような圧源流体の浪費を抑制することができる。
【0031】
給気手段を有する場合、消火剤がなくなった後、圧源流体の浪費を抑制することによって、流下防止手段が設けられない場合に比べて、給気手段から混合気体を給気可能な時間を延ばすことができる。流下防止手段が設けられない場合に比べて、長い時間火災現場に滞在することができる。
【0032】
また本発明によれば、消火剤用容器から吐出可能な消火剤がなくなった場合、消火剤用容器から圧源流体が吐出され、これによって圧源流体用導管を流下する圧源流体の流量が増加する。この点を踏まえて、圧源流体用導管には、過流防止手段が介在する。過流防止手段は、圧源流体用導管を流下する圧源流体の流量が予め定める設定流量以上になると、圧源流体が圧源流体用導管を流下することを阻止する。これによって圧源流体の浪費を抑制することができる。
【0033】
給気手段を有する場合、消火剤がなくなった後、圧源流体の浪費を抑制することによって、過流防止手段が設けられない場合に比べて、給気手段から混合気体を給気可能な時間を延ばすことができる。過流防止手段が設けられない場合に比べて、長い時間火災現場に滞在することができる。
【0034】
また本発明によれば、消火剤に温度上昇にともない粘度が高くなる樹脂が溶解する水溶液が用いられることによって、消火対象物に付着している消火剤が流れるなどして広がることを抑制でき、水より多くの量の消火剤を消火対象物付近に停留させることができる。多量の消火剤が停留することによって、熱を吸収量が増加し、消火対象物に対する冷却効果を高めることができる。これによって従来の第1および第2の技術の消火装置より消火性能を向上させることができる。消火性能の向上に伴い、少量の消火剤で消火が可能になり、消火剤用容器に貯留すべき消火剤の容量を少なくすることができる。これによって消火剤用容器の重量を低減でき、消火装置の重量を低減することができる。また消火剤の粘度が低いので、消火剤用導管を流下する際、消火剤を吐出させるために必要な圧力を小さくでき、消火剤用容器に導くべき圧源流体の圧力を低減を図ることができる。これによって消火剤用容器の耐圧性能を高める必要がなく、薄肉化を図ることができる。
【0035】
また本発明によれば、枠体によって、圧源流体用容器および消火剤用容器を立位状態で保持することができる。これによって圧源流体用容器および消火剤用容器が地面に寝かされるなどして、その表面が損傷することを抑制できる。このような損傷を防ぐことによって、前記圧源流体用容器および消火剤用容器が破裂などすることを抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、図面を参照しながら本発明を実施するための形態を、複数の形態について説明する。各形態で先行する形態で説明している事項に対応している部分には同一の参照符を付し、重複する説明を略する場合がある。構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分は、先行して説明している形態と同様とする。また実施の各形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施の形態同士を部分的に組合せることも可能である。
【0037】
図1は、本発明の実施の第1形態の消火装置1の構成を概略的に示す系統図である。図2は、消火装置1の構成を示すブロック図である。図3は、消火装置1を示す正面図である。消火装置1は、家屋、家具および電子機器などの消火対象物を消火する際、用いられる搬送可能な消火装置である。消火装置1は、たとえば装着者が身に着ける、または車両などに積載して搬送可能に構成されている。消火装置1は、圧縮空気を用いて消火剤を吐出させ、消火剤を消火対象物に放出して消火可能に構成される。本実施の形態では、消火装置1は、装着者が背負って搬送可能に構成されている。
【0038】
消火装置1には、圧源流体用容器2と、2つの消火剤用容器3,4と、圧源流体用導管5と、減圧弁6と、消火剤用導管8と、放出手段7と、開閉弁9と、呼吸器10と、逆止弁11と、流下防止弁12と、容器保持具13と、報知器190と、圧力指示計191とが含まれる。
【0039】
圧源流体用容器2は、圧縮される圧源流体である圧縮空気を貯留可能に構成され、圧縮空気が充填されている。圧源流体用容器2には、29.4MPaまたは14.7MPaの圧源流体が充填される。圧源流体用容器2は、たとえばガラス繊維製FRP−アルミニウム合金またはカーボン繊維製FRP(繊維強化プラスチック)−アルミニウム合金から成る。ただしこのような材料に限定されない。圧源流体用容器2は、大略的に円筒状に形成され、その軸線方向一端部が閉塞し、他端部が開口し、この開口部には、開閉弁9が設けられている。
【0040】
2つの消火剤用容器3,4は、消火剤を貯留可能に構成され、消火剤が貯留されている。消火剤用容器3,4は、たとえばステンレス鋼から成る。ただし消火剤用容器3,4は、このような材料に限定されず、樹脂であってもよい。2つの消火剤用容器3,4は、大略的に円筒状に形成され、その軸線方向両端部が開口し、一端部の開口部が蓋体20によって封止され、他端部の開口部には、集合配管21が設けられている。本実施の形態では、2つの消火剤用容器3,4は、形状および構成が同一である。
【0041】
消火剤は、難燃性を有し、温度上昇にともなって粘度が高くなる樹脂が溶解する水溶液である。前記樹脂は、たとえば水溶性アクリルアミド系樹脂であり、具体的にはN−イソプロピルアクリルアミドを主成分とする樹脂である。ただし前記例示される樹脂に限定されず、難燃性を有し、温度上昇にともなって粘度が高くなる樹脂であればよい。
【0042】
圧源流体用導管5は、たとえばNBR(ブタジエンアクリロニトリル共重合体)系合成ゴムから成り、圧源流体用容器2と2つの消火剤用容器3,4とに接続され、圧源流体用容器2内の圧縮空気を各消火剤用容器3,4に導くことができるように構成される。本実施の形態では、圧源流体用導管5は、圧源流体用容器2に開閉弁9を介して接続されている。ただし前記材料から成ることに限定されない。以下、圧縮空気が圧源流体用容器2から消火剤用容器3,4に流下する方向をA1方向と称する。
【0043】
具体的に説明すると、圧源流体用導管5は、第1圧源流体用導管部5aと第2圧源流体用導管部5bとを有する。第1圧源流体用導管部5aは、その一端部が開閉弁9に接続され、その他端部が第2圧源流体用導管部5bの中間部に連なる。第2圧源流体用導管部5bは、その一端部が一方の消火剤用容器3に、その他端部が他方の消火剤用容器4に連なる。
【0044】
図4は、減圧弁6を示す平面断面図である。図5は、図4の切断線A−Aで切断して減圧弁を見た断面図である。図1〜図3を参照しつつ説明すると、減圧手段であり、圧力制御弁である減圧弁6は、たとえばアルミニウムまたは真鍮から成り、第1圧源流体用導管部5aに介在し、圧源流体用導管5を流下する圧縮空気の圧力を減圧するように構成される。本実施の形態では、減圧弁6は、圧源流体用導管5を流下する圧縮空気の圧力を、たとえば0.7MPaに減圧し、一定に保持する圧力制御弁である。ただし減圧弁6は、0.7MPaに減圧するものに限定されず、また一定の圧力に保持する構成に限定されない。さらに減圧弁6は、アルミニウムまたは真鍮から成るものに限定されない。
【0045】
さらに詳細に説明すると、減圧弁6は、圧縮空気導通路形成部110と圧力制御弁部111と安全弁部112とを有し、これらが一体的に形成されている。圧縮空気導通路形成部110は、圧縮空気導通路148が形成されている。圧縮空気導通路110には、圧縮空気動通路110を流下する圧縮空気を濾過するためのフィルタ113が介在している。圧力制御弁部111は、筐体部分114と、一次側ポート形成部115と、受圧体116と、弁体117と、閉塞部材118と、弁体調整部材119と、第1ばね部材120と、第2ばね部材121と、蓋部122とが含まれている。
【0046】
筐体部分114は、軸線L4を有し、軸線L4周りに第1空間123と、第2空間124が形成されている。第1空間123は、第2空間124より小径に形成されている。第1空間123と第2空間124とは、連なっている。筐体部分114は、その軸線方向一端側に第1空間123が形成され、他端側に第2空間124が形成されている。筐体部分114は、第1空間123が圧縮空気導通路148に連なり、その軸線方向他端部が前記軸線方向に開口している。筐体部分114には、第1空間123が第2空間124に臨む開口を外囲する円環状の突起部132が形成されている。
【0047】
一次側ポート形成部115は、円筒状に形成され、その軸線方向一端部に外周部全周にわたって、半径方向外方に突出する外向きフランジ部125が形成されている。一次側ポート形成部115の軸線は、軸線L4に一致している。一次側ポート形成部115の円筒状部分の内周部によって、一次側ポート126が形成される。外向きフランジ部125には、軸線L4周りに、複数の連通路127が形成されている。一次側ポート形成部115は、外向きフランジ部125を除く残余部が第1空間123に収納されて、筐体部分114にシールを達成した状態で設けられている。
【0048】
受圧体116は、外向きフランジ部収容部116aと弁体収容部116bとを有する。外向きフランジ部収容部116aは、円筒状に形成され、その内周部に外向きフランジ部125が螺着されている。外向きフランジ部収容部116aは、筐体部分114にシールを達成している状態で、第2空間124に収納されている。外向きフランジ部125は、軸線L4に平行な方向に摺動変位可能であって、シールを達成した状態で、筐体部分114に設けられている。
【0049】
弁体収容部116bは、外向きフランジ部収容部116aより外径および内径が、小径に形成される円筒状である。外向きフランジ部収容部116aおよび弁体収容部116bは、その軸線が軸線L4に一致し、一体的に形成されている。弁体収容部116bの外向きフランジ部収容部116aに連なる端部の外周部には、その周方向全周にわたって、フランジ状の第1ばね部材支持部116cが形成される。第1ばね部材支持部116cは、その外径が外向きフランジ部収容部116aの外径より小径に形成される。
【0050】
弁体117は、シート保持部117aとシート部117bとを有する。シート保持部117aは、円筒状に形成され、その軸線方向一端部にシート部117bが嵌合されている。シート部117bは、大略的に円筒状に形成されている。弁体117は、弁体収容部116bにシールを達成する状態で、その内方に収容されている。シート保持部117aおよびシート部117bの軸線は、軸線L4に一致している。一次側ポート形成部115には、一次側ポート126のシート部117bに臨む開口を外囲するように円環状の弁座128が形成されている。シート部117bは、この弁座128とオリフィス129を形成する。
【0051】
筐体部分114は、その開口する部分に閉塞部材118が螺着され、閉塞されている。閉塞部材118は、円筒状に形成され、その内周部に弁体調整部材119が螺着されている。弁体調整部材119は、大略的に円柱状に形成され、シート保持部117aの軸線方向他端部に当接可能に閉塞部材118に螺着されている。弁体調整部材119の軸線は、軸線L4に一致している。シート保持部117aの軸線方向他端部は、弁体調整部材119の片当たりを抑制するために、部分球面上に形成されている。弁体調整部材119は、ドライバーなどの工具によって回動させることによって、軸線L4に平行な方向に変位させ、弁体117の可動範囲を調節することができる。
【0052】
第1ばね部材120は、圧縮コイルばねであり、弁体収容部116bに外装され、弁体収容部116bと筐体部分114との間に形成される円環状のばね収容空間130に配設される。第1ばね部材120の一端部は、第1ばね部材支持部116cに支持され、他端部は、閉塞部材118に支持されている。第2ばね部材121は、圧縮コイルばねであり、第1ばね部材120に外装され、ばね収容空間130に収容されている。第2ばね部材121の一端部は、外向きフランジ部収容部116aに支持され、他端部は、閉塞部材118に支持されている。閉塞部材118には、ばね収容空間130を大気開放する大気開放孔131が形成されている。また閉塞部材118には、弁体調整部材119を覆うための蓋部122が嵌合されている。
【0053】
このようにして構成されると、オリフィス129より半径方向内方に一次圧力室133が形成され、オリフィス129より半径方向外方に第1二次圧力室134が形成される。筐体の突起部132より半径方向外方に円環状の第2二次圧力室135が形成される。第1および第2二次圧力室134,135は、連通路127によって連通され、これらによって二次圧力室が構成されている。ている。筐体部分114には、第2二次圧力室135に連なる二次側ポート136が形成されている。
【0054】
一次側ポート126から一次圧力室133に流下した圧縮流体がオリフィス129を通過し、第1二次圧力室134に流入する。第1二次圧力室134の圧縮流体は、連通路127を介して第2二次圧力室135に流下する。受圧体116は、第1および第2二次圧力室134,135の圧縮空気の圧力を受圧する。第1および第2ばね部材120,121は、この受圧する圧力に対向する弾発力を受圧体116に付勢するように配設されている。受圧体116は、それが受圧する圧力、すなわち二次側の圧縮空気の圧力に応じて、筐体部分114を摺動変位し、オリフィス129の開度を調整する。これによって、圧縮空気を減圧し、一定の圧力に保持して、二次側ポート136に排出する。
【0055】
安全弁部112は、軸線L5を有し、筐体部分140、ばね保持部材141と、安全弁体142と、安全弁ばね部材143とを含む。筐体部分140は、軸線L5周りに弁孔144および安全弁収容孔145が形成される。弁孔144は、二次側ポート136および安全弁収容孔145に連なり、安全弁収容孔145より小径に形成されている。筐体部分140には、弁孔144の安全弁収容孔145に臨む開口を外囲する円環状の安全弁座146が形成されている。筐体部分140は、軸線方向一方側、具体的には二次側ポートと反対側の部分が開口し、この開口する部分にばね保持部材141が螺着されている。また安全弁収容孔145には、安全弁体142が軸線L5に平行な方向に摺動変位可能に収容されている。安全弁体142は、摺動変位することによって、安全弁座146に着座し、安全弁座146から離反する。安全弁ばね部材143は、安全弁体142と安全弁ばね部材143との間に介在し、安全弁体142に、これを着座させる方向の弾発力を付勢する。筐体部分140には、安全弁収容孔145を大気開放する大気開放孔147が形成されている。安全弁部112は、二次側ポート136内の圧力が予め定められる圧力以上になると、安全弁座146から離反し、圧縮空気を大気開放し減圧する。
【0056】
減圧弁6は、圧源流体用導管5に介在し、圧縮空気導通路148および二次側ポート136が圧源流体流路30に連なり、圧縮空気導通路148から二次側ポート136に向かって圧縮空気が流下するように配設されている。
【0057】
図6は、放出手段7を示す正面図である。図7は、図6を紙面左側から見た放出手段7を示す左側面図である。図8は、図6を紙面右側から見た放出手段7を示す右側面図である。図9は、図6を紙面上側から見た平面図である。図10は、図6を紙面下側から見た放出手段7を示す底面図である。図11は、図6を紙面裏側から見た放出手段7を示す背面図である。図12は、図7の切断線B−Bで切断して見た放出手段7を示す正面断面図である。図13は、図6の切断線E−Eで切断して見た放出手段7の端面図である。図14は、図6の切断線F−Fで切断して見た放出手段7の端面図である。図15は、図6の切断線G−Gで切断して見た放出手段7の端面図である。図16は、図7の切断線B−Bで切断して見た放出手段筐体25を示す断面図である。図12は、説明の便宜上、図6に示す放出手段7の断面と異なっている。図1および図2を参照しつつ説明すると、放出手段7は、いわゆるハンドガンであり、消火剤用容器3,4に貯留される消火剤を放出可能に構成される。
【0058】
消火剤用導管8は、たとえばNBR系合成ゴムから成り、2つの消火剤用容器3,4と放出手段7とに接続され、2つの消火剤用容器3,4に貯留される消火剤を放出手段7に導くように構成される。ただし前記材料から成ることに限定されない。消火剤用導管8には、第1消火剤用導管部8aと第2消火剤用導管部8bとが含まれる。第1消火剤用導管部8aは、その一端部が一方の消火剤用容器3に接続され、他端が他方の消火剤用容器4に接続されている。第2消火剤用導管部8bは、その一端部が放出手段7に接続され、他端部が第1消火剤用導管部8aの中間部に接続されている。
【0059】
図17は、集合配管21を示す図である。図18は、図17の紙面下側から見た集合配管21を示す底面図である。図19は、図17の紙面上側から見た集合配管21を示す平面図である。2つの消火剤用容器3,4の軸線方向他端の開口部には、集合配管21が設けられ、この集合配管21には、圧源流体用導管5および消火剤用導管8の一部が形成されている。集合配管21には、消火剤用導管8の一部によって、消火剤用容器3,4から放出手段7に流下する消火剤の流量を確保するために、複数の流路、本実施の形態では2つの流路21a,21bが形成されている。消火剤用導管8の残余部では、1つの流路で消火剤の流量が確保されている。このように1つの集合配管21に圧源流体用導管5および消火剤用導管8の一部を形成することによって、圧源流体用導管5または消火剤用導管8を接続するために、消火剤用容器3,4に新たに加工をする必要がなく、構成が簡単になる。
【0060】
第2圧源流体用導管5の一端部および他端部には、消火剤用容器3,4の他端部から一端部近傍まで、前記消火剤用容器3,4の軸線方向に延びる有底円筒状のサイフォン管22が設けられている。サイフォン管22は、その軸線方向一端部が開口して第2圧源流体用導管5に接続され、軸線方向他端部に半径方向内外方向に貫通する連通孔23が形成されている。消火剤用容器3,4が立位する状態で、このサイフォン管22の連通孔23が消火剤の水位より高い位置に配置される量の消火剤が、消火剤用容器3,4に貯留されている。換言すると、連通孔23は、消火剤用容器3,4が立位する状態で、貯留される消火剤が連通孔23に入り込まないように配置されている。
【0061】
放出手段7は、放出手段筐体25と、開閉弁部26と、供給管27と、レバー28と、噴射ノズル29とが含まれる。放出手段筐体25は、たとえば黒に塗装され、アルミニウムから成る。ただし黒に限定されるものでなく、赤、青、黄および緑であってもよく、材料もアルミニウムに限定されるものでなく、樹脂であってもよい。放出手段筐体25は、筐体本体25aと把持部25bとを有する。筐体本体25aは、大略的に長尺の長方形状に形成され、その長手方向一端部が長手方向に開口する円筒状に形成される。以下では、長手方向一端部の円筒部分の軸線を、筐体本体25aの軸線と称する場合がある。
【0062】
筐体本体25aの内方には、その長手方向一端部から他端部近傍にわたって空間が形成されている。筐体本体25aの一表面部は、その長手方向他端部近傍が開口している。また筐体本体25aの長手方向他端部近傍には、開口が形成される一表面部に隣接する2つの表面部に、突起部159が形成される。突起部159は、その表面部から離反する方向に突起している。この突起部159は、放出手段7のこれを除く残余部と、色彩が異なる。たとえば赤、青、黄および緑などの塗装が施される。ただし色彩が異なるものに限定されず、同一色であってもよい。把持部25bは、大略的にU字状に形成され、その一端部160aが筐体本体25aの長手方向他端部に、他端部160bが筐体本体25aの長手方向中間部に一体形成され、把持可能に形成されている。
【0063】
開閉弁部26は、大略的に円筒状に形成される弁通路形成部26aと、弁体26bとを有する。弁通路形成部26aは、その軸線が筐体本体25aの軸線と一致するように筐体本体25a内の長手方向一端部側に配設されている。弁通路形成部26aは、その軸線方向一端部の開口が、筐体本体25aの長手方向一端部の開口に連通するように配設され、その内方に弁通路26cが形成される。弁体26bは、棒状に形成され、弁通路形成部26aの軸線方向他端部にシールを達成する状態で挿通されている。弁体26bは、弁通路形成部26aを軸線方向に摺動可能に構成され、軸線方向に摺動変位することによって、弁通路26cを開閉可能に構成される。弁通路形成部26aは、供給管27が接続可能に形成され、接続される供給管27内と弁通路26cとが連なるように形成されている。
【0064】
供給管27は、その一端部が消火剤用導管8に接続され、その他端が弁通路形成部26aに接続されている。供給管27は、消火剤用導管8を流下する消火剤を弁通路26cに導くことができるように構成される。供給管27は、把持部25bに嵌合して設けられる。レバー28は、その一部が筐体本体25aの軸線方向他端部近傍の内方に配設され、残余部が筐体本体25aの開口から突出している。レバー28は、この残余部が把持部25bとともに把持可能に形成され、把持される状態で変位可能、具体的には、角変位可能に配設されている。弁体26bは、レバー28に係止され、レバー28の変位に連動して、筐体本体25aの軸線方向に摺動可能に構成される。つまりレバー28を角変位させることによって、弁体26bを、弁通路形成部26aの軸線方向、つまり筐体本体25aの長手方向に摺動させ、弁通路26cの開閉可能に構成される。
【0065】
図20は、噴射ノズル29を拡大して示す図である。筐体本体25aの軸線方向一端部には、噴射ノズル29が形成されている。噴射ノズル29は、消火剤を拡散可能に構成されている。さらに詳細に説明すると、噴射ノズル29は、ノズル筐体部70と、ノズル軸体71とを有する。ノズル筐体部70は、円筒状に形成され、その軸線方向中間部の内周部に、周方向全周にわたって、内方に突出する内向きフランジ部72が形成される。内向きフランジ部72の内周部は、その一部がノズル筐体部70の軸線方向他端部から一端部に向かって縮径するテーパ状に形成される。ノズル筐体部70は、その軸線方向一端部が放出手段7の筐体本体25aの軸線方向一端部に軸線方向に変位可能に装着され、他端部の内周部が軸線方向他端部から一端部に向かって縮径するテーパ状に形成されている。ノズル筐体部70は、筐体本体25aに螺着され、軸線方向に変位可能に装着されている。ノズル筐体部70および筐体本体25aの軸線は、一致している。
【0066】
ノズル軸体71は、軸基体部73と、軸棒部74と、導流部75を有する。軸基体部73は、円盤状に形成されている。軸基体部73は、その軸線まわりに等間隔をあけて、その軸線方向に貫通する複数の流下孔76が形成される。軸棒部74は、大略的に円柱状に形成され、その軸線方向一端部が軸基体部73に一体的に設けられる。軸棒部74の軸線方向他端部は、導流部75が一体的に設けられる。導流部75は、円柱状に形成される第1導流部分75aと半球状に形成される第2導流部分75bと、第1導流部分75aと第2導流部分75bとを連ねる第3導流部分75cとを有する。第1導流部分75aは、第2導流部分75bより小径であって、軸棒部74より大径に形成されている。また第1導流部分75aは、内向きフランジ部72の内周部より小径に形成されている。第3導流部分75cは、第2導流部分75bから第1導流部分75aに向かって縮径するテーパ状に形成されている。第1〜3導流部分75a〜75cの軸線は、一致しており、軸基体部73、軸棒部74および導流部75の軸線が一致するように形成される。
【0067】
ノズル軸体71は、軸棒部74が内向きフランジ部72を挿通するように配設される。軸棒部74は、内向きフランジ部72に対して半径方向に間隔をあけて挿通されている。筐体本体25aの軸線方向一端部の内周部には、周方向全周にわたって内方に突出するフランジ部分77が形成されている。ノズル軸体71の軸基体部73は、このフランジ部分77に当接する状態で、筐体本体25a内に配設されている。軸基体部73の軸線と、放出手段7の筐体部分25aの軸線とは、一致している。
【0068】
図21は、開閉弁9を示す平面図である。図22は、図21の切断線C−Cで切断して見た開閉弁9を示す図である。図23は、図21の切断線D−Dで切断して見た開閉弁9を示す図である。開閉弁9は、第1圧源流体用導管部5aが接続され、圧源流体用容器2の開口部に設けられている。開閉弁9は、圧源流体流路30と圧源流体用容器2の内方とに連なる流路が形成され、この流路を開閉可能に構成される。開閉弁9は、基本的には、ハンドル31と開閉弁体32とを含み、ハンドル31を操作することによって、開閉弁体32が前記流路を開閉するように構成されている。
【0069】
さらに詳細に説明すると、開閉弁9には、第1流路形成部91と、開閉弁部92と、第2流路形成部93とが含まれ、これらが一体的に形成される。第1流路形成部91には、圧縮流体が流下可能な第1流路94が形成されている。第1流路形成部91は、圧源流体用容器2の開口部に接続されている。第1流路形成部91は、軸線L1を有し、この軸線周りに第1流路94が形成される。第1流路94は、圧源流体用容器2に貯留される圧縮空気が流下するように形成されている。開閉弁部92は、筐体部分95と、ハンドル31と、開閉弁体32と、ステム97と、ばね部材98と、ばね押さえ部材99とが含まれる。
【0070】
筐体部分95は、軸線L2を有し、この軸線L2周りに開閉弁一次側ポート100および開閉弁体収容孔101が形成されている。筐体部分95は、その軸線方向一端側に開閉弁一次側ポート100が形成され、他端側に開閉弁体収容孔101が形成され、これらが互いに連なっている。筐体部分95は、開閉弁一次側ポート100が第1流路94に連なり、その軸線方向他端部が前記軸線方向に開口している。開閉弁一次側ポート100は、開閉弁体収容孔101より小径に形成されている。筐体部分95には、開閉弁一次側ポート100が開閉弁体収容孔101に臨む開口を外囲するように円環状の開閉弁座102が形成される。
【0071】
開閉弁体32は、円柱状に形成され、その外周部にその軸線方向一端から他端にわたって開閉弁溝103が形成されている。開閉弁体32は、開閉弁体収容孔101に収納され、軸線L2に平行な方向に摺動変位可能に筐体部分95に設けられている。開閉弁体32は、開閉弁座102に着座可能に設けられる。具体的には、開閉弁体32は、軸線L2に平行な方向に変位することによって、着座および離反するように構成されている。
【0072】
ステム97は、大略的に円柱状に形成され、その軸線方向一端部が開閉弁部102に当接可能状態で、軸線L2に平行な方向に摺動変位可能に開閉弁体収容孔102に収納されている。ステム97の軸線方向一端部は、筐体部分95にシールを達成した状態で、軸線L2に平行な方向に摺動変位可能に設けられている。ステム97は、その軸線方向他端部が筐体部分95の開口から軸線L2に平行な方向に突出している。開閉弁体32およびステム97の軸線は、軸線L2に一致している。
【0073】
ハンドル31は、大略的に切頭円錐状に形成され、ステム97が、軸線L2に平行な方向に変位可能であって、軸線L2まわりの回動が阻止されて挿通されている。ハンドル31は、筐体部分95の軸線方向他端部を覆うように配設されている。ステム97の軸線方向他端部には、ばね押さえ部材99が螺着されている。ハンドル31は、その挿通されるステム97の軸線方向他端部の周りに、円環状のばね部材収容空間104が形成されている。このばね部材収容空間104には、圧縮コイルばねであるばね部材98が収容され、その軸線方向一端部がばね押さえ部材99に当接され、他端部がハンドル31に当接している。ハンドル31およびばね部材98の軸線は、軸線L2に一致している。このように配設されると、ばね部材98によって、ハンドル31には、軸線L2に平行で、かつ筐体部分95に向かう方向の弾発力が付勢される。
【0074】
第2流路形成部93は、軸線L3を有し、軸線L3周りに第2流路105が形成される。第2流路形成部93は、圧源流体用導管5が接続されている。第2流路形成部部93は、圧源流体用導管5が接続されている状態で、第2流路105を流下する圧縮流体を圧源流体用導管5に導くように形成されている。開閉弁部92と第2流路形成部93とにわたって、開閉弁体収容孔101と第2流路105とを連通する連通路106が形成されている。連通路106は、開閉弁体32が開閉弁座102から離反すると、開閉弁一次側ポート100を流下し開閉溝103を通過して導かれる圧縮空気を第2流路105に導くように形成される。
【0075】
図24は、呼吸器10を示す斜視図である。図25は、呼吸器10の断面を示す断面図である。図26は、呼吸器10に含まれる肺力弁35および呼気弁36の一部を破断して示す斜視図である。給気手段である呼吸器10は、減圧弁6で減圧された圧縮空気を給気可能に構成される。呼吸器10には、面体37と、給気導管38と、肺力弁35と、呼気弁36とが含まれる。面体37は、装着者の顔に装着可能に構成され、装着される状態で、装着者の目、鼻および口を覆うように形成される。給気導管38は、面体37と減圧弁6とを接続している。肺力弁35は、給気導管38に介在し、給気導管38内に形成される給気通路39の開度を調整可能に構成されている。肺力弁35は、面体37内の空気の圧力に基づいて、給気通路39の開度を調整するように構成されている。具体的には、面体37内の空気の圧力が、予め定められる圧力である陽圧未満になると、給気通路39を開き、陽圧以上になると、給気通路39を閉じる。呼気弁36は、面体37内の空気の圧力に基づいて、面体37に形成される呼気通路40の開度を調整するように構成される。具体的には、面体37内の空気の圧力が陽圧を超えると、呼気通路40を開き、面体37内の空気の圧力が陽圧以下であると、呼気通路40を閉じる。
【0076】
図27は、逆止弁11を概略示す断面図である。逆流防止手段である逆止弁11は、圧源流体用導管5に介在し、消火剤が消火剤用容器3,4から圧源流体用容器2に向かって圧源流体用導管5を逆流することを阻止するように構成される。逆止弁11は、減圧弁6よりA1方向下流側に設けられる。逆止弁11は、逆止弁体41と逆止弁ばね部材42とが含まれる。逆止弁体41は、圧源流体用導管5に配設され、圧源流体流路30を開閉可能に構成されている。逆止弁ばね部材42は、逆止弁体41にA1方向上流側に向かう弾発力を付勢し、逆止弁体41が圧源流体流路30を閉じる方向に変位させるように配設される。さらに逆止弁体41は、圧源流体用導管5を流下する圧縮空気の圧力および逆流する消火剤の圧力を受圧するように配置される。このように構成することによって、逆止弁体41に対してA1方向下流側および上流側が同一圧力となっても、逆止弁体41が圧源流体流路30を閉じた状態に維持する。これによって少なくとも消火剤から受ける圧力より圧縮空気から受ける圧力が高い状態に維持することができ、逆流を防止する機能が高い。
【0077】
図28は、流下防止弁12を概略示す断面図である。流下防止手段である流下防止弁12は、圧縮空気が消火剤用導管8を流下することを阻止するように構成される。流下防止弁12は、第1消火剤用導管部8aの一端および他端部に設けられ、消火剤用容器3,4に貯留される消火剤の量に基づいて、第1消火剤用導管部8aの一端及び他端部の開口を開閉するように構成される。本実施の形態では、消火剤用容器3,4に貯留される消火剤がなくなると、消火剤より密度が小さい浮子43が第1消火剤用導管部8aの一端及び他端部の開口を閉じて(図28の2点鎖線で示す浮子43)、圧縮空気が消火剤用導管8を流下することを阻止する。
【0078】
図29は、カバー体46,47が開いた状態の容器保持具13を示す正面図である。図30は、図29の紙面左側から見た容器保持具13を示す左側面図である。図31は、図29の紙面上側から見た容器保持具13を示す平面図である。図32は、図29の紙面下側から見た容器保持具13を示す底面図である。図33は、図29の紙面裏側から見た容器保持具13を示す背面図である。図34は、カバー体46,47の断面を示す図である。図35は、カバー体46,47が閉じた状態の容器保持具13を示す正面図である。図36は、図35の紙面左側から見た容器保持具13を示す左側面図である。図37は、図35の紙面上側から見た容器保持具13を示す平面図である。図38は、図34の紙面下側から見た容器保持具13を示す底面図である。図39は、図34の紙面裏側から見た容器保持具13を示す背面図である。図40は、容器保持具13に圧源流体用容器2および消火剤用容器3,4が装着された状態を示す正面図である。容器保持具13は、図29および図35の紙面において左右対称構造であるので、図29および図35の紙面右側から見た容器保持具13は、図29および図35の紙面左側から見た容器保持具13に対して対称である。
【0079】
容器保持具13は、枠体45と2つのカバー体46,47とバックプレート150とを含む。枠体45は、圧源流体用容器2および2つの消火剤用容器3,4を立位状態で配設可能に構成される。具体的には、枠体45に配設された状態で、2つの消火剤用容器3,4は、間隔をあけて配置され、その軸線が平行になるように並設される。圧源流体用容器2は、2つの消火剤用容器3,4の間に配設され、その軸線が2つの消火剤用容器3,4の軸線に平行に配設される。圧源流体用容器2および2つの消火剤用容器3,4は、これらの軸線が二等辺三角形の頂点に位置するように配設される(図37の一点鎖線で示す)。このような位置で圧源流体用容器2および2つの消火剤用容器3,4を配設可能に枠体45が構成される。したがって図40において、圧源流体用容器2の軸線L7に関して、左右対称に2つの消火剤用容器3,4が配設される。
【0080】
枠体45は、たとえばステンレス鋼から成り、圧源流体用容器2および2つの消火剤用容器3,4を着脱可能に形成されている。ただし枠体45は、ステンレス鋼から成るものに限定されない。枠体45は、圧源流体用容器2および2つの消火剤用容器3,4が立位状態で保持可能に構成されている。換言すると、圧源流体用容器2および2つの消火剤用容器3,4が立位する状態で、枠体45が自立可能に構成されている。容器保持具13が自立した状態では、圧源流体用容器2および各消火剤用容器3,4の軸線は、鉛直に延びる。
【0081】
枠体45は、立位する状態で、床などの水平面に当接する脚部分45aと、脚部分45aに連なり各容器2,3,4を着脱可能に保持するための胴部分45bとを含んで構成される。各容器2,3,4が胴部分45bに装着された状態では、枠体45の脚部分45aと、各容器2,3,4とは、間隔をあけて配置され、立位する状態では、各容器2,3,4は、脚部分45aに対して間隔をあけて上方に配置される。
【0082】
立位する状態では、開閉弁9および減圧弁6は、圧源流体用容器2の下方でかつ、枠体45の脚部分45aの上方に配置される。また各圧源流体用および消火剤用導管5,8、減圧弁6、開閉弁9ならびに逆止弁11についても、脚部分45aよりも上方に配置される。これによって各容器2,3,4、圧源流体用導管5、消火剤用導管8、減圧弁6、開閉弁9ならびに逆止弁11が、床に直接接触することが防がれ、それらの損傷を防ぐことができる。
【0083】
また枠体45は、圧源流体用導管5と、減圧弁6と、消火剤用導管8と、開閉弁9と、逆止弁11とを直接または間接的に支持する。本実施の形態では、バックプレート150を介して、それらの各構成5,6,8,9,11を支持する。バックプレート150は、板状に形成され、使用者が消火装置1を装着した状態で、使用者の背中に対向する。具体的には、バックプレート150は、消火剤用容器3,4の2つの軸線を含む仮想平面に対して、圧源流体用容器2の軸線とは反対側に配置され、前記仮想平面に平行に延びる。バックプレート150は、立位する状態の枠体45の上端部および下端部で装着されることで、枠体45に安定的に固定される。
【0084】
枠体45には、消火装置1を使用者が背負うための肩ベルト48が設けられている。2つの消火剤用容器3,4は、使用者が消火装置1を背負っている状態で、消火装置1の横幅が肩幅より狭くなるように配設されている。ここで横幅とは、消火剤用容器3,4が互いに間隔をあけている方向であり、軸線に垂直な方向で、前記3つの容器2〜4の軸線を結んだ二等辺三角形の底辺が延びる方向である。
【0085】
図34は、カバー体46,47の軸線に垂直な仮想平面で切断して見た断面である。2つのカバー体46,47は、半円筒状に形成され、枠体45に回動可能に設けられる。半円筒状とは、円筒をその軸線を含む仮想平面で切断したものと同義である。カバー体46,47は、たとえばFRPから成り、赤、灰または黒などによってその表面が塗装されている。ただしカバー体46,47は、このような材料および色彩から成るものに限定されない。たとえば、カバー体46,47は、材料自体が赤または黒などの色彩を有するアクリル変性高衝撃塩化ビニルによって形成されてもよい。2つのカバー体46,47は、枠体45に装着される2つの消火剤用容器3,4をそれぞれ被覆可能に構成される。一方のカバー体46を回動させることによって、一方の消火剤用容器3の被覆および露出を切換えることができ、他方のカバー体47を回動させることによって、他方の消火剤用容器4の被覆および露出を切換ることができる。具体的には、カバー体46,47は、大略的に半円筒状に形成されている。カバー体46,47は、消火剤用容器3,4より大径に形成され、その周方向一端部が枠体45の胴部分45bに回動可能に設けられている。具体的には、消火剤用容器3,4の軸線に平行な軸線まわりに回動可能に設けられている。カバー体46,47は、これらをそれぞれ回動させることによって、消火剤用容器3,4を被覆および露出させることができる。
【0086】
報知器190は、開閉弁9と減圧弁6との間に介在する圧源流体用導管5から分岐して設けられる。報知器190は、開閉弁9から減圧弁6に流下する圧縮空気の圧力が、予め定められる圧力以下になると、装着者に報知するように構成されている。報知器190は、たとえば警笛などによって装着者に報知する。これによって装着者は、圧源流体用容器2内の圧縮空気の圧力、すなわち残量を知ることができる。したがって使用中に、装着者が呼吸困難に陥ることを抑制できる。
【0087】
圧力指示計191は、開閉弁9と減圧弁6との間に介在する圧源流体用導管5から分岐して設けられる。圧力指示計191は、開閉弁9から減圧弁6に流下する圧縮空気の圧力を計測し、その圧力を表示可能に構成される。これによって装着者は、圧源流体用容器2内の圧縮空気の圧力、すなわち残量を知ることができ、消火剤を放出可能な残り時間および呼吸可能な時間を知ることができる。
【0088】
以下では、このように構成される消火装置1の動作について説明する。開閉弁9のハンドル31を操作することによって、開閉弁9内の流路が開き、圧縮空気が圧源流体流路30を流れる。具体的には、ハンドル31を回動させると、ステム97が変位し、開閉弁体32が開閉弁座102から離反する。これによって第1流路94と第2流路105とが連通し、圧源流体用容器2内の圧縮空気が開閉弁9を介して、圧源流体流路30に流れる。圧縮空気は、圧源流体用導管5を流下し、その圧力が減圧弁6で減圧される。減圧後、圧縮空気は、圧源流体用導管5を通って、サイフォン管22を介して、消火剤用容器3,4に導かれる。消火剤用容器3,4に貯留される消火剤は、導かれる圧縮空気から圧力を受け、消火剤用容器3,4から消火剤用導管8に吐出される。吐出される消火剤は、消火剤用導管8を通って、放出手段7に導かれる。装着者は、放出手段7を用いてこの導かれる消火剤を放出させ、消火する。
【0089】
開閉弁9は、ハンドル31を軸線L2まわり一方に回転させると、ステム97が連動して回転し、軸線L2に平行であって、開閉弁体32を弁座102から離反させる方向に変位する。これによって開閉弁一次側ポート100と第2流路105とが連通し、圧縮空気が流下する。ハンドル31を軸線L2まわり他方に回動させると、ステム97が連動して回動し、軸線L2に平行であって、開閉弁体32が開閉弁座102着座する方向に変位する。このように変位させて、開閉弁体32を開閉弁座102に着座させると、開閉弁一次側ポート100と第2流路105とが遮断され、圧縮空気の供給が停止する。
【0090】
減圧弁6によって、その圧力が一定に保持された圧源流体を消火剤用容器に導くことができる。これによって消火剤用容器3,4から消火剤用導管8に吐出される消火剤の吐出量を、圧縮空気の残量に拘わらず一定にし、放出手段7から放出される消火剤の放出量を一定にすることができる。具体的には、圧力制御弁部111で減圧が行われる。受圧体116が二次側の圧縮空気の圧力を受圧し、この圧力に基づいて、オリフィス129の開度を調整し、二次側の圧力を一定の圧力に保持する。このようにして減圧される。
【0091】
少なくとも酸素を含む混合気体である圧縮気体を減圧弁6で減圧して、給気導管38を介して面体37に給気することができる。装着者は、この面体37を装着することによって、給気される予め定められる圧力(陽圧)空気を吸気することができる。これによって装着者は、呼吸することができる。
【0092】
逆止弁11によって、消火剤用容器3,4から圧源流体用容器2に向かう消火剤の逆流を、減圧手段よりA1方向下流側の位置で阻止することができる。換言すると、消火剤が消火剤用容器3,4から圧源流体用容器2に向かって逆流すると、逆止弁が圧源流体流路30を閉じ、消火剤の逆流を阻止する。これによって消火剤が逆流して、減圧弁6に達することを阻止できる。
【0093】
流下防止弁12によって、圧縮空気が消火剤用導管8を流下することを阻止し、放出手段7に導かれて放出されることを阻止できる。具体的には、消火剤用容器3,4に貯留される消火剤がなくなると、流下防止弁12によって、消火剤用導管8の一端部および他端部の開口を塞ぎ、圧縮空気が消火剤用導管8を流下することを阻止する。これによって圧縮空気が放出手段7から放出されることを阻止できる。
【0094】
消火装置1では、消火剤として、温度上昇にともない粘度が高くなる樹脂が溶解する水溶液が用いられる。これによって消火剤を火に向かって放出すると、放出される消火剤は、その温度が上昇して粘度が高くなる。粘度が高くなった消火剤は、水に比べて流動しにくく、消火対象物に付着している消火剤が流れるなどして広がることを抑制できる。また消火剤用導管を流下する場合、放出後よりも消火剤の温度が低いので、その粘度が低く、消火剤を消火剤用導管8を通って放出手段7まで圧送するために必要な圧力が低くなる。
【0095】
圧源流体用容器2および消火剤用容器3,4が配設される枠体45によって、圧源流体用容器および消火剤用容器を立位状態に保持することができる。また枠体45に設けられるカバー体46,47を回動させることによって、消火剤用容器3,4を被覆し保護する状態と、消火剤用容器3,4を露出させて離脱可能な状態とを切換えることができる。
【0096】
図41は、ノズル筐体70を放出手段7の筐体本体25aに対して変位させた状態を示す図である。放出手段7は、レバー28を角変位させると、弁体26bが軸線方向に変位し、弁通路26cを開く。開閉弁9のハンドル31が操作されて圧源流体流路30に圧縮空気が導かれる状態で、このような動作を行うと、消火剤用導管8および供給管27を介して、弁通路26cに導かれる消火剤が、弁通路26cを通って噴射ノズル29に達し、拡散して噴射される。具体的には、図20のように筐体本体25aの軸線方向一端部と内向きフランジ部72とが当接している状態では、消火剤は、流下孔76および内向きフランジ部72を通過し、第1導流部分75aの一端部に当たって、拡散されて外方に放出される。また図41のようにノズル筐体70を変位させて、第1導流部分75aが内向きフランジ部72に挿通されると、消火剤は、第3導流部分75cによって半径方向外方に緩やかに拡散される。このようにノズル筐体70を変位させることによって、消火剤を拡散させる範囲を変えることができる。
【0097】
図42は、消火剤を消火剤用容器3,4に給液する手順を示すフローチャートである。消火剤用容器3,4の蓋体20を開けると、給液処理が開始し、ステップs1へ移行する。ステップs1では、消火剤用容器3,4に消火剤の濃縮液を供給する。供給が終了すると、ステップs2へ移行する。ステップs2では、水を供給し、消火剤の濃縮液を希釈する。水の供給は、たとえばホースを用いて行う。水を供給する際、ホースの供給口部を消火剤の濃縮液に潜らせ、気泡が消火剤の濃縮液に介在しないように供給する。消火剤の濃縮液を希釈すると、ステップs2からステップs3へ移行する。ステップs3では、消火剤用容器3,4を蓋体20によって封止する。封止されると、給液処理が終了する。
【0098】
以下では、このようにして構成される消火装置1が奏する効果について説明する。本実施の形態の消火装置1によれば、圧縮空気によって、消火剤用容器3,4に貯留される消火剤を吐出させることができるので、従来の第2の技術の二流体消火装置のように、水を噴霧するために大量の空気を使用することなく、少量の圧縮空気によって消火剤を放出することができる。これによって圧源流体用容器2に貯留すべき圧縮空気の容量を従来の技術の二流体消火装置より低減でき、圧源流体用容器2の重量を低減することができる。また同容量の圧縮空気が貯留される圧源流体用容器2の場合、その圧縮空気の圧力を低減することができ、圧源流体用容器2の耐圧性能を高める必要がなく、従来の第2の技術の二流体消火装置より圧源流体用容器を薄肉にすることができる。これによって圧源流体用容器2の重量を低減することができる。このように圧源流体用容器2の重量を低減することによって、消火装置1の重量を低減することができる。
【0099】
さらに消火装置1では、圧縮空気の圧力を減圧弁6によって減圧して、この減圧されている圧縮空気が圧源流体用導管5を通って消火剤用容器3,4に導かれる。これによって消火剤用容器3,4に導かれる圧縮空気の圧力の変動を抑制でき、放出手段7から放出される消火剤の放出量が変動することを抑制できる。このように圧縮空気を、その圧力を減圧して消火剤用容器3,4に導くことによって、消火剤の放出量の変動を抑制し、放出時間に依存しない安定して消火剤の放出を実現できる。圧縮空気の圧力を減圧して導くことによって、消火剤用容器3,4の耐圧性能を高める必要がなく、消火剤用容器3,4の従来の第1および第2の技術の消火装置より薄肉化を図ることができる。これによって消火装置1の重量を低減することができる。
【0100】
また本実施の形態の消火装置1によれば、減圧弁6によって、消火剤用容器3,4から消火剤用導管8に吐出される消火剤の流量を、圧縮空気の残量に拘わらず、一定にすることができる。これによって消火剤用導管8を通って、放出手段7から放出される消火剤の放出量を一定にすることができる。従来の第1および第2の技術の消火装置では、消火剤用容器3,4の内圧に基づいて放出されるので、放出量が消火剤の貯留量に依存する、換言すると放出時間に依存する。本発明では、一定の圧力に保持される圧縮空気によって、消火剤が吐出されるので、放出時間に依存することなく、消火剤を一定の放出量で放出することができる。このように消火剤の放出量を一定にすることによって、消火剤の放出量が放出時間に依存しない、安定した消火能力を有する消火装置1を実現できる。
【0101】
また本実施の形態の消火装置1によれば、呼吸器10によって、圧源流体用容器2に貯留される圧縮空気を、予め定められる圧力(陽圧)に減圧されている空気を面体37に給気し、面体37を装着している装着者が吸気することができる。これによって装着者は、給気された空気によって呼吸することができる。このように消火剤を消火剤用容器3,4から吐出させるための圧縮空気を、装着者への給気に用いることによって、前記給気のためだけに新たに圧縮空気を貯留するための容器を設ける必要がない。これによって消火および給気を可能にするとともに、重量の低減を図ることが可能な消火装置1を実現することができる。
【0102】
また本発明は、圧縮空気を減圧して圧源流体用容器2から消火剤用容器3,4に導くので、従来の第1の技術の消火装置に比べて、圧源流体用容器2から消火剤用容器3,4に導かれる圧縮空気が少量である。したがって従来の第1の技術の消火装置1より多くの圧縮空気を、呼吸器10によって、装着者に給気することができる。これによって装着者は、酸素欠乏を気にすることなく、従来の第1の技術のものより長く火災現場などに滞在し、消火活動をすることができる。
【0103】
また本実施の形態の消火装置1によれば、逆止弁11によって、消火剤が逆流して、減圧弁6に達することを阻止できる。これによって消火剤が呼吸器に導かれ、肺力弁35を通って面体37に吐出されることを防げる。これによって装着者が呼吸器10を用いて安心して吸気することができる。このように圧源流体用容器2に貯留される圧縮空気によって、装着者が安心して吸気可能な空気を給気できるとともに、放出手段7から消火剤を放出させることができる消火装置1を実現できる。
【0104】
また本実施の形態の消火装置1によれば、流下防止弁12によって、消火剤用容器3,4から吐出可能な消火剤がなくなった場合、消火剤用容器3,4に導かれる圧縮空気が消火剤用導管8を流下して、放出手段7から放出されることを防げる。消火剤がなくなった後、圧縮空気が放出され続けることによって、圧源流体用容器2内の圧縮空気が浪費される。流下防止弁12を用いて、圧縮空気の放出を防ぐことによって、このような圧縮空気の浪費を抑制することができる。
【0105】
呼吸器10を有する場合、消火剤がなくなった後、圧縮空気の浪費を抑制することによって、流下防止弁12が設けられない場合に比べて、給気手段から空気を給気可能な時間を延ばすことができる。これによって流下防止弁が設けられない場合に比べて、長い時間火災現場に滞在することができる。火災現場では、呼吸器10を用いて呼吸しながら消火対象物を捜索し、消火活動を行う場合がある。したがって消火対象物を捜索しながら消火が行われるので、空気を給気可能な時間が延ばすことができることは、給気機能を有する消火装置にとって重要である。
【0106】
また本実施の形態の消火装置1によれば、消火剤として温度上昇にともない粘度が高くなる樹脂が溶解する水溶液が用いられることによって、消火対象物に付着している消火剤が流れるなどして広がることを抑制でき、水より多くの量の消火剤を消火対象物付近に停留させることができる。多量の消火剤が停留することによって、熱を吸収量が増加し、消火対象物に対する冷却効果を高めることができる。これによって従来の第1および第2の技術の消火装置より消火性能を向上させることができる。消火性能の向上に伴い、少量の消火剤で消火が可能になり、消火剤用容器3,4に貯留すべき消火剤の容量を少なくすることができる。これによって消火剤用容器3,4の重量を低減でき、消火装置1の重量を低減することができる。また消火剤用導管8を流下する際、消火剤の粘度が小さいので、消火剤を吐出させるために必要な圧力を小さくでき、消火剤用容器3,4に導くべき圧縮空気の圧力を低減を図ることができる。これによって消火剤用容器3,4の耐圧性能を高める必要がなく、薄肉化を図ることができる。
【0107】
また本実施の形態の消火装置1によれば、枠体45によって、圧源流体用容器2および消火剤用容器3,4を立位状態で保持することができる。これによって圧源流体用容器2および消火剤用容器3.4が地面に寝かされるなどして、その表面が損傷することを抑制できる。このような損傷を防ぐことによって、前記容器2〜4が破裂などすることを抑制できる。
【0108】
また本実施の形態の消火装置1によれば、サイフォン管22の連通孔23は、消火剤用容器3,4が立位する状態で、消火剤の水位より高い位置に配設される。これによって圧縮空気が、消火剤をくぐることを抑制できる。圧縮空気が消火剤をくぐることによって、消火剤用導管8を流下する消火剤に気泡が介在し、消火剤を放出しにくくなる。圧縮空気が消火剤をくぐることを抑制することによって、このような問題を克服し、安定した消火剤の放出を実現している。またこのように連通孔23が形成されることによって、消火剤がサイフォン管22に入り込んで、圧源流体用導管5に導かれることを抑制できる。
【0109】
また本実施の形態の消火装置1によれば、このように配設される圧源流体用容器2および2つの消火剤用容器3,4は、圧源流体用容器2の軸線を含み横幅方向に垂直な仮想平面に対して対象に配設されている。したがって装着者が消火装置1を背負うことによって、左右の一方側に重心が傾くことを抑制できる。これによって消火活動時の疲れなどを抑制することができる。また3つの容器2〜4の軸線を結んだ二等辺三角形の底辺を、他の2つの辺より長尺になるように配設することによって、装着者が背負う際、重心が後方側に移ることを防ぎ、消火活動時の疲れなどを抑制することができる。
【0110】
また本実施の形態の消火装置1によれば、消火剤として温度上昇にともない粘度が高くなる樹脂が溶解する水溶液の消火剤を消火対象物に噴射し、粘度が高くなってゲル化している消火剤によって消火対象物を覆うことができる。このように消火対象物を覆うことによって、この消火対象物付近の酸素濃度および温度を低下させ、消火することができる。
【0111】
また本実施の形態の消火装置1によれば、消火剤を消火剤用容器3,4に封入する際、気泡が介在しないように行われる。これによって消火剤が気泡が介在して、消火効率が低下することを抑制できる。
【0112】
また本実施の形態の消火装置1によれば、消火剤用容器3,4がカバー体46,47によって被覆され、圧源流体用容器2が露出している。このように圧源流体用容器2が露出することによって、圧源流体用容器2を注意深く扱うべきことを喚起させることができる。
【0113】
また減圧弁6によれば、2つのばね部材122,121が受圧体116に弾発力を付勢している。これによって受圧体116に安定した弾発力を付勢することができ、受圧体116の突発的な変動を抑制できる。
【0114】
また噴射ノズル29によれば、円環状に消火剤を噴霧し、消火対象物に広範囲に消火剤を散布することができる。さらに噴射ノズル29をその軸線に平行な方向に変位させることによって、消火剤が噴霧される軸線に対する角度を可変可能であり、消火対象物に適した噴射角度で消火剤を噴射することができる。
【0115】
本実施の形態の消火装置1を用いることによって、水の確保が困難な場所において、少量の消火剤および圧縮空気で、効果的な初期消火活動を行うことができる。たとえば高速道路での車両火災、山林火災、車両の進入困難な密集民家での火災、大規模災害地域での火災、道路が寸断されている地域での火災、ならびに工場およびビルでの火災に対する消火に、特に有効である。
【0116】
本実施の形態では、前述のような消火剤を用いることで、消火対象物に付着して、再燃防止効果を発揮させることができ、優れた消火能力を発揮することができる。また本実施の形態では、圧縮空気を圧源流体用容器2内に溜めて、消火活動時には、消火剤用導管8に消火剤のみが流れるようにすることで、不所望に圧縮空気が浪費することを防いで、装着者が吸引可能な圧源流体用容器2内の空気残量を可及的に増やすことができる。また減圧弁6によって減圧した圧縮空気を用いて、前記消火剤を噴射させることで、放射時の反動力が小さく、片手で放出手段7であるハンドガンを把持した状態での消火活動が可能となる。また消火剤の噴流による消火対象物の飛散を少なくすることができる。
【0117】
また前述のような消火剤を用いることで、少ない液量であっても消火効率を高めることができ、消火装置1を背負うことが可能な重量で、かつ消火能力を向上することができる。さらに消火活動時には、消火剤用導管8に消火剤のみが流れるようにすることで、自給式呼吸装置と圧源流体用容器2を兼用したとしても、大容量化を防いで、可搬性を高めることができる。また減圧弁6を用いることで、消火剤用容器3,4は、圧力容器を使用しなくてもよく、軽量化を図ることができる。
【0118】
図43は、本発明の実施の第2形態の消火装置が備える流下防止手段12Aを概略的に示す断面図である。本実施の形態の消火装置は、前述の第1形態の消火装置1に類似する。本実施の形態の消火装置では、前述の流下防止弁12に代えて、以下のような流下防止弁12Aが用いられる。
【0119】
流下防止弁12Aは、第2消火剤用導管部8bに介在している。流下防止弁12Aは、2つの消火剤用容器3,4から流下する圧縮空気が放出手段7まで流下し放出されることを防止できる。
【0120】
さらに詳細に説明すると、流下防止弁12Aは、浮子43と第2消火剤用導管部8bに形成されるフランジ部51とを含んで構成される。浮子43は、消火剤用導管8内に設けられる。フランジ部51は、第2消火剤用導管8bの内周面部の全周にわたって内方に向かって突出して形成される。このようにして形成されるフランジ部51の内周部は、第2消火剤用導管部8bの内周部より小径に形成される。浮子43は、たとえば球状に形成され、消火剤より密度が小さい材料から成る。浮子43は、フランジ部51の内径より大径に形成され、消火剤用導管部8の内径より小径に形成されている。
【0121】
浮子43は、貯留される消火剤がなくなると、圧縮空気によってフランジ部51に向かって、消火剤用導管8内を移動する。フランジ部51に到達すると、浮子43は、フランジ部51に着座し、消火剤用導管8に形成される流路を閉じて(図43の2点鎖線の浮子)、圧縮空気が第2消火剤用導管部8bを流下することを阻止する。
【0122】
本実施の形態の消火装置によれば、流下防止弁12Aを各消火剤用容器3,4に設ける必要がなく、消火装置の構成を簡単化することができる。また圧源流体用導管部5が分岐する分岐点よりも、A1方向上流側に流下防止弁12Aが設けられることで、消火剤用容器3,4に圧縮空気が導かれることを一度に阻止することができ、これによって左右の重量バランスを維持した状態に保つことができる。
【0123】
図44は、本発明の実施の第3形態の消火装置1Cの構成を概略的に示す系統図である。図45は、消火装置1Cの構成を示すブロック図である。本実施の形態の消火装置1Cは、前述の第1形態の消火装置1に類似する。本実施の形態の消火装置1Cでは、前述の流下防止弁12に代えて、以下のような過流防止手段201が用いられ、また前述の逆止弁11に代えて、以下のような逆止弁11Aが用いられる。
【0124】
過流防止手段201は、第1圧源流体用導管部5aに介在する。過流防止手段201は、減圧弁6よりA1方向下流側、かつ、逆止弁11AよりA1方向上流側に、設けられる。このような過流防止手段201は、第1圧源流体用導管部5aを流下する圧縮空気の流量が予め定める設定流量以上になると、圧縮空気が第1圧源流体用導管部5aを流下することを阻止する。
【0125】
図46は、逆止弁11Aと過流防止手段201とを示す断面図である。本実施の形態では、逆止弁11Aと過流防止手段201とは、1つの弁複合体202に組み込まれる。この弁複合体202は、圧源流体用導管5のうち減圧弁6よりA1方向下流側の部分に介在される。弁複合体202は、入口ポート203と出口ポート204とが形成され、筐体部分205がバックプレート150に固定される。圧源流体用導管5は、減圧弁6によって減圧される圧縮空気を、弁複合体202の入口ポート203に導くとともに、弁複合体202の出口ポート204から吐出される圧縮空気を各消火剤用容器3,4に導く。
【0126】
過流防止手段201は、流下開始時における圧縮空気の流下速度を抑制する抑制構造206と、圧縮空気の流下速度が過剰となると導管を塞ぐ過流防止構造207とを含んで構成される。抑制構造206は、入口ポート形成部211と、抑制体212と、第1収容空間形成部213と、抑制用ばね部材214と、第1収容空間閉塞部215とを含んで構成される。抑制構造206は、弁複合体202の一部に形成され、第1軸線L11が設定される。
【0127】
入口ポート形成部211は、圧源流体用導管5から圧縮空気が導かれる空間である入口ポート203を形成する。第1収容空間形成部213は、入口ポート203に連なり、第1軸線L11を中心軸線とし、段付きの円柱状の第1収容空間を形成する。第1収容空間は、第1軸線方向一方側領域の直径が第1軸線方向他方側領域よりも小さく形成される。また第1収容空間形成部213の第1軸線方向一方端部は、第1軸線方向一方に進むにつれて縮径する円錐面が形成される。第1収容空間形成部213の第1軸線方向他端部は、第1収容空間を第1軸線方向他方に開放する開口を形成する。第1収容空間には、抑制体212と、抑制用ばね部材214とが収容され、その開口が第1収容空間閉塞部215によって閉塞される。
【0128】
抑制体212は、円柱状の基部220と、基部220から周方向全周にわたって半径方向に突出する第1〜第3突出部221,222,223とが形成される。第1突出部221は、基部220の軸線方向一端部に連なり、外形形状が略円錐状に形成される。第2突出部222は、基部220の軸線方向中間部に連なり、外形形状が略円柱状に形成される。第3突出部223は、基部220の軸線方向他端部に連なり、外形形状が略円柱状に形成される。第1突出部221と第2突出部222とは、基部220の軸線方向に間隔をあけて配置される。また第2突出部222と第3突出部223とは、基部220の軸線方向に間隔をあけて配置される。第3突出部223は、第2突出部222よりも大きい直径を有する。
【0129】
抑制体212は、第1収容空間に収容された状態で、第1収容空間と同軸に配置され、第1軸線方向に変位可能に構成される。また第1突出部221および第2突出部222が、第1収容空間の第1軸線方向一方側領域に配置され、第3突出部223が第1収容空間の第1軸線方向他方側領域に配置される。第2突出部222および第3突出部223の外周面には、第1収容空間形成部213の内周面の全周にわたって、弾発的に接触するシール部材222a,223aが設けられる。これによって第1収容空間内のうちで各突出部222,223で仕切られた空間での圧縮空気のシールを実現することができる。また抑制体212の基部220には、軸線方向一端面から、第2突出部222よりも軸線方向一方の領域まで、中心軸線に沿って挿通する挿通孔224と、挿通孔224に連なって、第1突出部221と第2突出部222との間の領域を、半径方向に貫通する貫通孔225とが形成される。挿通孔224および貫通孔225は、第1収容空間の直径に比べて十分小さい細孔に形成される。
【0130】
また第1突出部221の円錐面には、第1収容空間形成部213の第1軸線方向一方側端面の全周にわたって、弾発的に接触可能なシール部材221aが設けられる。抑制体212が第1軸線方向一方に押圧されることによって、第1収容空間形成部213の円錐面と、抑制体212の第1突出部221のシール部材221aとが当接することで、第1収容空間形成部213の円錐面と、抑制体212の第1突出部221との間を圧縮空気が通過することが阻止される。このとき入口ポート203内の圧縮空気は、基部220の挿通孔224および貫通孔225を通る第1経路を通過して、第1突出部221と第2突出部222との間の空間に移動する。
【0131】
また抑制体212が第1軸線方向他方に移動することで、第1収容空間形成部213の円錐面と、抑制体212の第1突出部221シール部材221aとが離間することで、第1収容空間形成部213の円錐面と、抑制体212の第1突出部221との間を圧縮空気が通過することが許容される。このとき入口ポート203内の圧縮空気は、基部220の挿通孔224および貫通孔225を通る第1経路を通過するとともに、第1収容空間形成部213の円錐面と、抑制体212の第1突出部221との間を通る第2経路を通過して、第1突出部221と第2突出部222との間の空間に移動する。第2経路は、第1経路に比べて、流路断面積が大きく、大部分の圧縮空気が第2経路を通過する。
【0132】
抑制用ばね部材214は、圧縮コイルばねであって、第1収容空間に収容された状態で、第1収容空間と同軸に配置され、第1収容空間閉塞部215に支持される。抑制用ばね部材214は、第1収容空間の第1軸線方向他方側領域に配置され、第1軸線方向一端部が抑制体212に接触し、第1軸線方向他端部が第1収容空間閉塞部215に接触する。抑制用ばね部材214は、抑制体212を第1軸線方向一方に向かって弾発的に押圧する。第1収容空間が、抑制体212の第3突出部223によって仕切られることで、第3突出部223の軸線方向一方と他方とで、シールが実現された状態となる。本実施の形態では、第3突出部223よりも第1軸線方向他方であって、抑制用ばね部材214が配置される空間は大気圧に保たれる。抑制体212は、第3突出部223よりも第1軸線方向一方の空間の圧力が予め定められる第1設定値を超えると、第3突出部223の両側の圧力差によって発生する力によって、抑制用ばね部材214のばね力に抗して第1軸線方向他方に変位する。
【0133】
過流防止構造207は、第2収容空間形成部231と、過流防止弁体232と、過流防止用ばね部材233と、第2収容空間閉塞部234と、導入空間形成部235とを含んで構成される。過流防止構造207は、弁複合体202の一部に形成され、第2軸線L12が設定される。
【0134】
第2収容空間形成部231は、第2軸線L12を中心軸線とし、第1収容空間に連なり、段付きの円柱状の第2収容空間を形成する。第2収容空間は、第1収容空間のうちで、抑制体212の第1突出部221と第2突出部222とに挟まれた空間に連なる。また第2収容空間は、第2軸線方向一方側領域の直径が第2軸線方向中間領域よりも大きく形成される。また第2収容空間形成部231の軸線方向他端部は、第2収容空間を軸線方向他方に開放する開口を形成する。第2収容空間には、過流防止弁体232と、過流防止用ばね部材233とが収容され、その開口が第2収容空間閉塞部234によって閉塞される。
【0135】
過流防止弁体232は、弁本体241と、位置決め片242と、ばね支持片243とを含んで構成される。弁本体241は、円板状に形成される。また位置決め片242は、弁本体241を位置決めするために設けられ、弁本体241から厚み方向一方に突出する。またばね支持片243は、過流防止用ばね部材233を支持するために設けられ、弁本体241から厚み方向他方に突出する。
【0136】
弁本体241は、第2収容空間に収容された状態で、第2軸線L12と同軸に配置され、第2軸線方向に変位可能に構成される。また弁本体241は、第2収容空間のうち第2軸線方向一方側領域に配置され、第2収容空間の第2方向中間領域の断面積よりも大きく形成される。位置決め片242は、第2収容空間形成部231の第2軸線方向一方端面に当接することで、弁本体241と、第2収容空間形成部231の端面および内周面との間に隙間を形成する。この状態では、弁本体241と、第2収容空間形成部231の内周面との間の隙間は、第2収容空間の断面積に比べて十分小さく形成される。
【0137】
過流防止用ばね部材233は、圧縮コイルばねであって、第2収容空間に収容された状態で、第2収容空間と同軸に配置され、第2収容空間形成部231に支持される。過流防止用ばね部材233は、第2収容空間の第2軸線方向他方側領域に配置され、第2軸線方向一端部が抑制体212に接触し、第2軸線方向他端部が第2収容空間形成部231に接触する。過流防止用ばね部材233は、過流防止弁体232を第2軸線方向一方に向かって弾発的に押圧する。このとき、過流防止弁体232の位置決め片242が、第2収容空間形成部231の端面に当接することで、弁本体241は、第2収容空間形成部231の端面および内周面との間に隙間を形成した状態を維持する。これによって第1収容空間から、第2収容空間の中間領域への圧縮空気の通過が許容される。
【0138】
また弁本体241は、第2収容空間の軸線方向一方側領域よりも中間領域の圧力が予め定められる第2設定値未満になると、弁体本体の両側の圧力差によって発生する力によって、過流防止用ばね部材233のばね力に抗して第2軸線方向他方に変位する。そして第2空間形成部の段つき部分に形成される弁座に、弁本体241が着座する。これによって弁本体241が、第2収容空間の軸線方向一方側領域と、中間領域との間を封鎖し、第2収容空間を圧縮空気が流れることが阻止される。
【0139】
また第2収容空間の中間領域は、第2収容空間の第2軸線方向他方の領域に連なる。第2収容空間の中間領域を通過した圧縮空気は、フィルタ部材245を通過して、第2収容空間の第2軸線方向他方の領域に移動する。また導入空間形成部235は、導入空間を形成する。導入空間は、第2収容空間の第2軸線方向他方の領域と、第1収容空間のうちで、抑制体212の第2突出部222と第3突出部223とに挟まれた空間に連なる。
【0140】
逆止弁11Aは、消火剤が消火剤用容器3,4から圧源流体用容器2に向かって逆流することを防止するために逆止弁構造301によって実現される。逆止弁構造301は、逆止弁体302と、第3収容空間形成部303と、逆止弁ばね部材304と、出口ポート形成部305とを含んで構成される。抑制構造206は、弁複合体202の一部に形成され、第3軸線L13が設定される。
【0141】
第3収容空間形成部303は、導入空間に連なり、第3軸線L13を中心軸線とする第3収容空間を形成する。また出口ポート形成部305は、第3収容空間に連なり、圧源流体用導管5に圧縮空気を導く空間である出口ポート204を形成する。逆止弁体302は、第3収容空間に収容され、導入空間と第3収容空間との連通路を開閉可能に構成されている。逆止弁ばね部材304は、逆止弁体302によって連通路を塞ぐ方向に逆止弁体302を弾発的に押圧する。また逆止弁体302は、第3収容空間の圧力を受圧する。このように構成することによって、導入空間と第3収容空間との圧力が同一圧力となっても、逆止弁体302が連通路を閉じた状態に維持する。また導入空間の圧力が、第3収容空間の圧力よりも、予め定められる圧力分高くなると、圧力差によって、逆止弁ばね力のばね力に抗して変位し、連通路を開いた状態とする。
【0142】
圧縮空気が入口ポート203から供給されていない供給前状態では、第1〜第3収容空間および各ポート203,204の圧力は、大気圧となる。この場合、図46に示すように、抑制構造206において、基部220の第1突出部221が、第1収容空間形成部213の第1軸線方向一方端部に当接する。また過流防止構造207において、弁本体241と、第2収容空間形成部231の端面および内周面との間に隙間を形成する。また逆流防止構造において、逆止弁体302が、連通路を閉鎖する。
【0143】
この状態から、圧縮空気が入口ポート203に供給されると、圧縮空気は、基部220の挿通孔224および貫通孔225を通過することで、流下速度が弱められ、第1突出部221と第2突出部222との間の空間の圧力が緩やかに増大する。これによって過流防止構造207における弁本体241の両側の圧力差が急激に変化することが防がれる。弁本体241と第2収容空間形成部231との間に形成される隙間が維持され、圧縮空気は、第2収容空間を通過して導入空間に流れる。
【0144】
導入空間に圧縮空気が流れることで、導入空間の圧力が増加する。これによって、逆止弁が連通路を開いて、圧縮空気が第3収容空間を介して出口ポート204に流れる。また導入空間に圧縮空気が流れることで、第1収容空間における第2突出部222分と第3突出部223分にも圧縮空気が流れる。この場合、第3突出部223分の両側の空間で圧力差が生じ、抑制体212が第1軸線方向他方に移動する。これによって圧縮空気は、基部220の挿通孔224および貫通孔225を通る第1経路のほかに、第1収容空間形成部213の円錐面と抑制体212の第1突出部221との間を通る第2経路を通過して、入口ポート203から第2収容空間に移動可能となる。
【0145】
このように圧縮空気の供給直後は、圧縮空気は第1経路を通過する。また導入空間の圧力が十分高くなると、圧縮空気は、第1経路および第2経路を通過する。第1経路だけを通過する場合、圧縮空気が急速に第2収容空間に流れ込むことが妨げられ、圧縮空気の供給直後に、過流防止構造207の弁本体241による第2収納空間の閉鎖を防ぐことができる。
【0146】
また圧縮空気が安定的に供給される供給状態では、圧縮空気は、第1経路および第2経路を通過する。この状態で、消火剤の残量がゼロになって圧縮空気が放射ノズルから噴出すると、過流防止構造207の弁本体241よりも下流側の圧力が急激に減少して、圧力差によって弁体が第2収容空間を塞ぐ。これによって放射ノズルから圧縮空気が噴射することを防いで、圧縮空気の浪費を防ぐことができる。また本実施形態の弁構造体は、圧縮空気の供給を解除して、入口ポート203と出口ポート内を大気圧とすることで、特別な操作を行う必要がなく、初期状態に切換えることができる。
【0147】
たとえば、消火剤が噴射される場合において、圧縮空気が導通通路を流れる流量は、0.06m3/分(約60リットル/分)であるのに対して、消火剤の残量がゼロとなり、圧縮空気が噴射される場合において、圧縮空気が導通通路を流れる流量は、0.2m3/分(約200リットル/分)である。このように、消火剤と圧縮空気とで、約3倍以上の流量差が発生するので、流量差が大きい場合に、導通路を塞ぐ弁を設けることで、圧縮空気の浪費を防ぐことができる。また本実施形態では、消火剤と圧縮空気とでの圧縮空気の流量差に起因する圧力差に基づいて、過流防止を行ったが、他の構成によって過流防止を行ってもよい。
【0148】
また弁複合体202として、過流防止構造207と、抑制構造206と、逆止弁構造301とを一体と構成することで、圧源流体用導管5との接続部品を減らして、小形化および軽量化を図ることができる。
【0149】
また変形例として、過流防止構造207と、抑制構造206と、逆止弁構造301とがそれぞれ、別体に形成されてもよい。また過流防止手段は、過流防止弁以外で実現されてもよい。たとえば流量検出手段と、開閉弁と、制御手段とを組合せたものであってもよく、流量検出手段によって検出される圧縮空気の流量が、予め定められる設定値を超えたことを制御手段が判断すると、制御手段は、圧源流体用導管5を閉じるように開閉弁に制御指令を与える。これによっても、過流防止弁と同様の効果を得ることができる。また本実施形態では、抑制構造を有したが、圧縮空気の供給開始直後において、開閉弁9によって圧縮空気をゆっくり流下させることができるならならば、抑制構造を有しなくてもよい。
【0150】
また圧源流体用導管5の分岐前に過流防止構造を形成することで、過流防止構造を2つ設ける必要がなく、構造を簡単化することができる。また圧縮空気の浪費を確実に防ぐことができ、安全性を向上することができる。また、他の実施形態として、圧源流体用導管5の分岐後に過流防止構造をそれぞれ形成してもよい。この場合、一方の消火剤用容器3の消火剤がなくなっても、他方の消火剤用容器4から消火剤を噴射させることができる。
【0151】
本実施の形態では、過流防止手段201が用いられるけれども、過流防止手段201に代えて、他の開閉弁246が用いられてもよい。この場合、装着者は、消火剤用容器3,4内の消火剤がなくなったと判断すると、他の開閉弁246を開状態から閉状態に切換える。これによって圧縮空気の浪費を抑制することができる。
【0152】
図47は、本発明の実施の第4形態の消火装置1Dの構成を概略的に示す系統図である。本実施の形態の消火装置1Dは、前述の第1形態の消火装置1に類似する。本実施の形態の消火装置1Dでは、前述の流下防止弁12に代えて、以下のような過流防止弁250が用いられる。
【0153】
過流防止手段である過流防止弁250は、第1圧源流体用導管部5aに介在する。過流防止弁250は、減圧弁6よりA1方向下流側、かつ、逆止弁11よりA1方向上流側に、設けられる。過流防止弁250は、前述の第3形態の過流防止構造207と同様の構成によって実現される。このような過流防止弁250は、第1圧源流体用導管部5aを流下する圧縮空気の流量が予め定める設定流量以上になると、圧縮空気が第1圧源流体用導管部5aを流下することを阻止する。
【0154】
本実施の形態の消火装置1Dは、過流防止弁250を迂回する迂回導管251と、迂回導管251に介在し、開状態と閉状態とに切換え可能に構成される迂回導管開閉弁252とをさらに備える。迂回導管251は、第1圧源流体用導管部5aのうち減圧弁6と過流防止弁250との間の部分から分岐し、第1圧源流体用導管部5aのうち過流防止弁250と逆止弁11との間の部分に合流する。
【0155】
圧源流体用容器2から消火剤用容器3,4に圧縮空気が導かれる前、消火剤用容器3,4内の圧力は大気圧である。消火剤用容器3,4内の圧力が大気圧である場合、消火剤用容器3,4に消火剤があるにも拘わらず、開閉弁9を閉状態から開状態に切換えたときに、第1圧源流体用導管部5aに、予め定める設定流量以上の圧縮空気が流下することがある。この点を考慮して、迂回導管251および迂回導管開閉弁252が設けられる。
【0156】
開閉弁9を閉状態から開状態にするにあたっては、まず、迂回導管開閉弁252を開状態にする。この状態で、開閉弁9を閉状態から開状態に切換える。このとき圧縮空気の大部分は、迂回導管251を通って、消火剤用容器3,4に導かれる。したがって過流防止弁250が不所望に作動してしまうことを防ぐことができる。消火剤用容器3,4内の圧力が上昇した後、迂回導管開閉弁252を開状態から閉状態に切換える。
【0157】
図48は、本発明の実施の第5形態の消火装置が備える容器保持具13Aを示す正面図であり、この図48は、カバー体46,47が開いた状態の容器保持具13Aを示す。図49は、図48の紙面左側から見た容器保持具13Aを示す左側面図である。図50は、図48の紙面上側から見た容器保持具13Aを示す平面図である。図51は、図48の紙面下側から見た容器保持具13Aを示す底面図である。図52は、図48の紙面裏側から見た容器保持具13Aを示す背面図である。図53は、カバー体46,47が閉じた状態の容器保持具13Aを示す正面図である。図54は、図53の紙面左側から見た容器保持具13Aを示す左側面図である。図55は、図53の紙面上側から見た容器保持具13Aを示す平面図である。図56は、図53の紙面下側から見た容器保持具13Aを示す底面図である。図57は、図53の紙面裏側から見た容器保持具13Aを示す背面図である。図58は、容器保持具13Aに圧源流体用容器2および消火剤用容器3,4が装着された状態を示す正面図である。容器保持具13Aは、図48および図53の紙面において左右対称構造であるので、図48および図53の紙面右側から見た容器保持具13Aは、図48および図53の紙面左側から見た容器保持具13Aに対して対称である。
【0158】
本実施の形態の消火装置は、前述の第1形態の消火装置1に類似する。本実施の形態では、前述の容器保持具13に代えて、以下のような容器保持具13Aが用いられる。本実施の形態で用いられる容器保持具13Aは、前述の容器保持具13に類似するので、異なる点についてだけ説明する。
【0159】
枠体45の脚部分45aは、使用者が消火装置を装着した状態で使用者を中心とする円弧に沿うように形成される。これによって使用者が消火装置を装着した状態で移動する際に、枠体45の脚部分45aと他の物体との干渉を防ぐことができる。
【0160】
枠体45の胴部分45bには、この胴部分45bに圧源流体用容器2が装着された状態で前記圧源流体用容器2の上部よりも上方に突出し、使用者が把持可能に構成される取手部256が形成される。このように取手部256が形成されるので、使用者は、取手部256を把持して消火装置を容易に持ち上げることができる。
【0161】
取手部256には、グリップ部材が設けられてもよい。グリップ部材は、取手部256を覆うように設けられる。この場合、使用者は、グリップ部材を把持することになる。グリップ部材を把持する場合、グリップ部材と使用者の手との接触面積が大きくなり、これによって取手部256から使用者の手に作用する力を分散させることができ、したがって把持し易くなる。
【0162】
図59は、本発明の実施の第6形態の消火装置が備える容器保持具13Bを示す正面図である。図60は、図59の紙面左側から見た容器保持具13Bを示す左側面図である。図61は、図59の紙面下側から見た容器保持具13Bを示す底面図である。図62は、図59の切断線T−Tから見た断面図である。本実施の形態の消火装置は、前述の第5形態の消火装置に類似する。本実施の形態では、前述の容器保持具13Aに代えて、以下のような容器保持具13Bが用いられる。本実施の形態で用いられる容器保持具13Bは、前述の容器保持具13Aに類似する。
【0163】
具体的には、枠体45の脚部分45aは、使用者が消火装置を装着した状態で使用者を中心とする円弧に沿うように形成され、また枠体45の胴部分45bには、この胴部分45bに圧源流体用容器2が装着された状態で前記圧源流体用容器2の上部よりも上方に突出し、使用者が把持可能に構成される取手部260が形成される。取手部260には、グリップ部材が設けられてもよい。このような本実施の形態では、前述の第5形態と同様の効果を達成することができる。
【0164】
図63は、本発明の実施の第7形態の消火装置1Bを示す図である。本実施の形態の消火装置1Bは、前述の第1形態の消火装置1に類似する。本実施の形態の消火装置1Bは、二輪車52に積載される。具体的には、二輪車52の後部座席に圧源流体用容器2が積載され、後部座席の両側に消火剤用容器3,4がそれぞれ配設されている。二輪車52には、巻取手段53が設けられ、消火剤用導管8を巻取および巻き戻し可能に構成されている。消火剤用導管8は、巻取手段53に巻取られて収納され、使用時に巻き戻される。
【0165】
本実施の形態では、消火装置1Bは、二輪車52に積載されているけれども、二輪車52に限定されない。たとえば消防車、台車およびリヤカーなどの四輪車、三輪車またはヘリコプターおよび飛行機などの飛行体であってもよく、積載して移動可能な移動体であればよい。
【0166】
図64は、本発明の実施の第8形態の消火装置が備える放出手段7の噴射ノズル29Cを拡大して示す図である。本実施の形態の噴射ノズル29Cは、前述の第1形態の噴射ノズル29に類似する。放出手段7の筐体本体25aは、そのフランジ部分77が軸線方向一端部より軸線方向他端部側に形成され、軸線方向一端部とフランジ部分77との間に、半径方向に貫通する吸い込み口81が形成されている。ノズル筐体70Cは、円筒状に形成され、その軸線方向に伸びる長尺に形成される。
【0167】
このように構成される噴射ノズル29Cによれば、消火剤がフランジ部分77の内方を通過し、噴射ノズル29Cを流下する。このとき消火剤が流下することによって、噴射ノズル29Cの内圧力が低下し、吸い込み口81から外方の空気が吸い込まれる。吸い込まれる空気と消火剤とが混合し、消火剤が発泡して放出される(図64の二点鎖線)。
【0168】
図65は、本発明の実施の第9形態の消火装置が備える放出手段7Dを示す正面図である。図66は、図65を紙面左側から見た放出手段7Dを示す左側面図である。図67は、図65を紙面右側から見た放出手段7Dを示す右側面図である。図68は、図65を紙面上側から見た平面図である。図69は、図65を紙面下側から見た放出手段7Dを示す底面図である。図70は、図65を紙面裏側から見た放出手段7Dを示す背面図である。
図71は、図65の切断線H−Hで切断して見た放出手段7Dの端面図である。図72は、図65の切断線J−Jで切断して見た放出手段7Dの端面図である。図73は、図65の切断線K−Kで切断して見た放出手段7Dの端面図である。図74は、図66の切断線M−Mで切断して見た放出手段筐体170を示す断面図である。本実施の形態の放出手段7Dは、前述の第1形態の放出手段7に類似し、放出手段筐体170の外形だけが放出手段筐体25と異なる。放出手段筐体170の外形の詳細な説明については、図71から図74を参照し、省略する。その他の同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0169】
放出手段7Dは、放出手段筐体170と、開閉弁部26と、供給管27と、レバー28と、噴射ノズル29とが含まれる。放出手段筐体170は、筐体本体170aと把持部170bとを含む。筐体本体170aは、筐体本体25aと構成が類似し、具体的には、突起部159が形成されていない。把持部170は、大略的にU字状に形成され、その一端部171aが筐体本体170aの長手方向他端部に、他端部171bが筐体本体25aの長手方向中間部に一体形成され、把持可能に形成されている。
【0170】
図75は、本発明の実施の第10形態の消火装置が備える減圧弁6Eを示す平面図である。図76は、図75の切断線N−Nで減圧弁6Eを切断して見た断面図である。図77は、図75の切断線P−Pで減圧弁6Eを切断して見た断面図である。図78は、図77の切断線Q−Qで減圧弁6Eを切断して見た断面図である。図79は、図75の切断線R−Rで減圧弁6Eを切断して見た部分断面図である。本実施の形態の減圧弁6Eと前述の第1形態の減圧弁6とは、外観および各構成の配置が異なるだけで、大略的に構成が同一である。したがって本実施の形態の減圧弁6Eにおいて、前述の第1形態の減圧弁6と同一の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0171】
図80は、本発明の実施の第11形態の消火装置が備える消火剤用容器3,4の蓋体20Aの構成を示す平面図である。図81は、図80の切断線S−Sから見た断面図である。本実施の形態の消火装置は、前述の第1形態の消火装置1に類似する。本実施の形態では、前述の蓋体20に代えて、以下のような蓋体20Aが用いられる。
【0172】
蓋体20Aは、消火剤用容器3,4の軸線方向一端部の開口部に着脱可能に形成され、蓋体20Aが消火剤用容器3,4から取外されることで、消火剤用容器3,4はその開口が開放する。また蓋体20Aが消火剤用容器3,4に装着されることで、消火剤用容器3,4は、その開放が閉塞される。蓋体20Aは、外ねじが形成される円柱状に形成され、消火剤用容器3,4の開口部に形成される内ねじに螺着されることで、消火剤用容器3,4に装着される。蓋体20Aは、略円柱状に形成されて、消火剤用容器3,4に螺合した状態で、軸線方向一端面が消火剤用容器3,4の内部空間に臨み、外周面が消火剤用容器3,4の開口部に臨む。蓋体20Aは、消火剤用容器3,4に螺合した状態で、消火剤用容器3,4と蓋体20Aとの隙間を塞ぐシール部材271が外周部に形成される。
【0173】
蓋体20Aは、消火剤用容器3,4内の圧力を大気圧まで低下させる圧抜き機能を有する圧抜き弁272が形成される。蓋体20Aは、蓋体本体273に形成される連通管274と、蓋体本体273とは別体に形成される圧抜き用弁体275とが形成される。連通管274は、軸線方向一端面から、蓋体20A内部を挿通して、外周面に達する連通孔を形成する。連通管274は、軸線方向一端面から蓋体20Aの中心軸線に沿って延びる縦孔を形成する第1部分276と、第1部分276に連なり圧抜き用弁体275が収容される収容空間を形成する第2部分277と、第2部分277に連なり蓋体20Aの半径方向に延びて蓋体20Aの外周面に開放する横孔を形成する第3部分278とを有する。収容空間の軸線方向断面積は、縦孔に比べて大きく形成される。第1部分276と第2部分277との接続部分には、圧抜き用弁体275が着座する着座面281が形成される。
【0174】
圧抜き用弁体275は、軸線方向に変位可能に形成され、着座面281に当接することによって、第1部分276に形成される縦孔を塞ぐ。これによって消火剤用容器3,4内の圧縮空気が、連通管274内を通過することが阻止される。また圧抜き用弁体275が着座面281から離間することで、連通管274の封止が解除され、消火剤用容器3,4内の圧縮空気が、連通管274内を通過することが許容される。
【0175】
圧抜き用弁体275は、弾発性を有して、着座面281に臨む当接部材282と、当接部材282を保持する保持部材283とによって構成される。保持部材283は、蓋体本体273に形成される内ねじに螺着する。保持部材283が、螺進することで着座面281に近接する方向に当接部材282を移動させ、螺退することによって着座面281から離反させる方向に当接部材282を移動させる。また保持部材283は、蓋体本体273に設けられるピン部材280によって係止されることで、変位範囲が制限される。
【0176】
また消火剤用容器3,4には、圧抜きのための圧抜き空間284が形成される。圧抜き空間284は、環状空間285と、脱出孔286とから成る。環状空間285は、蓋体20Aが螺着された状態で、蓋体20Aに形成される横孔の開口に臨んで、厚み方向に没入して円環状に形成される空間である。脱出孔286は、環状空間285に連なり、消火剤用容器3,4を厚み方向に貫通する空間である。
【0177】
消火剤用容器3,4内の圧縮空気が大気圧よりも高い状態で、保持部材283を螺退させて、当接部材282を着座面281から離間させると、消火剤用容器3,4内の圧縮空気は、大気圧に対する圧力差によって、連通管274内、消火剤用容器3,4の圧抜き空間284を順に通過して、消火剤用容器3,4外方に噴出する。また消火剤用容器3,4内の圧力が大気圧となると、消火剤用容器3,4からの空気の噴出が収まる。また圧抜き用弁体275は、圧縮空気によって蓋体本体273から離脱する方向に圧力を受けても、ピン部材に係止されることによって、圧抜き時に蓋体本体273から抜出ることが防がれる。
【0178】
本実施の形態によれば、圧抜き弁272は、消火剤用容器3,4内の消火剤の一部が消火剤用容器3,4に残留している状態で、消火剤を継ぎ足す場合に用いられる。この場合、開閉弁9によって圧源流体用導管5が閉鎖された状態で、圧抜き弁272によって消火剤用容器3,4内の圧縮空気を消火剤用容器3,4外に放出させる。そして消火剤用容器3,4内の圧力を大気圧まで低下させた後で、蓋体20Aを消火剤用容器3,4から取外して、消火剤を再充填する。次に、蓋体20Aによって消火剤用容器3,4を塞ぐ。これによって残留する消火剤を消火剤用容器3,4から排出させることなく、消火剤を再充填することができ、利便性を向上することができる。
【0179】
図82は、本発明の実施の第12形態の消火装置1Eの構成を概略的に示す系統図である。本実施の形態の消火装置1Eは、前述の第3形態の消火装置1Cに類似する。前述の第3形態では、消火剤用容器3,4の内部空間に配置されるサイフォン管22によって、消火剤用容器3,4の開口部から離れた位置に圧縮空気を供給したけれども、本実施の形態では、消火剤用容器3,4にそれぞれ設けられる接続体321によって、消火剤用容器3,4の内部空間に圧縮空気を導入してもよい。
【0180】
接続体321は、消火剤用容器3,4の蓋体20近傍にそれぞれ配置される。接続体321は、溶接によって消火剤用容器3,4に接続され、消火剤用容器3,4の内部空間と挿通する接続口を形成する。接続体321は、第2圧源流体用導管部5bの端部と着脱可能にそれぞれ接続される。接続体321が第2圧源流体用導管部5bに接続されることで、圧源流体用導管5を流れる圧縮空気は、接続口を介して消火剤用容器3,4内に充填される。これによってサイフォン管22が配置される場合と同様の効果を得ることができる。
【0181】
接続体321は、消火剤用容器3,4の上端部のうちで圧源流体用容器2寄りに配置され、枠体45から水平方向に突出することが防がれる。これによって接続体321が、火災現場などで障害物に衝突することが妨がれ、消火剤用容器3,4から折れることを防ぐことができる。また圧源流体用導管5を、2つの消火剤用容器3,4の間の空間を通過させることができ、圧源流体用導管5が、消火剤用容器3,4よりも外側を延びることを妨いで、障害物に引っかかることが妨げられる。また枠体45の上端部よりも、接続体321の上端部が低く設定されることによっても、接続体321が消火剤用容器3,4から折れることを防ぐことができる。
【0182】
また接続体321を設けることで、消火剤の濃縮液および水をホース等によって消火剤用容器3,4に注入する場合に、障害物をなくすことができ、ホースを容易に消火剤用容器3,4内に進入させることができる。またサイフォン管が存在する場合には、ホースとサイフォン管とが接触して、サイフォン管が破損するおそれがあるが、本実施の形態のようにサイフォン管をなくすることで、サイフォン管の破損による消火装置の損傷を防ぐことができる。
【0183】
またサイフォン管を設ける場合には、消火剤用容器3,4の開口に集合配管21を設ける必要があったが、本実施の形態のように、消火剤用容器3,4に対する圧縮空気の入口を、消火剤用容器3,4の開口とは別体に設けることで、集合配管21を省いて汎用品を用いることができ、製造コストを低減することができる。
【0184】
また接続体321と第2圧源流体用導管部5bとが着脱可能に形成されることで、消火剤の残量がゼロになった消火剤用容器3,4を消火装置から取外して、消火剤が充填された消火剤用容器3,4を新たに装着することができる。これによって火災現場などで消火剤の消火剤用容器3,4への再充填作業を不必要とすることができ、消火作業を短時間で再開することができる。
【0185】
前述の実施の各形態は、本発明の例示に過ぎず、本発明の範囲内において構成を変更することができる。たとえば前述の実施の各形態では、圧源流体として、圧縮空気が用いられているけれども、呼吸器10が設けられていない場合、圧縮空気に限定されない。たとえば窒素などの気体であってもよく、液体であってもよい。また消火剤としては、難燃性を有する液体であればよく、たとえば水が用いられてもよく、あるいは泡消火薬剤および強化液が用いられてもよい。
【0186】
減圧手段として、減圧弁6,6Eが用いられているけれども、このような一定圧力に減圧可能な構成に限定されない。たとえば圧源流体用導管5にオリフィスを形成して、減圧するようにしてもよく、圧縮空気の圧力を減圧可能な手段であればよい。同様に逆止弁11,11A、流下防止弁12,12A、過流防止手段201および開閉弁9も、このような構成に限定されず、それぞれ各機能を果たすことができるような構成であればよい。
【0187】
また放出手段7であるハンドガンは、1箇所以上、本実施形態では、2箇所にリング状に形成される連結部分を有する。これによってハンドガンは、カラビナなどの連結金具を介して、腰バンドに対して着脱可能に形成される。本実施の形態では、各連結部は、噴射ノズルから離反した位置に配置され、ハンドガンを腰バンドに装着した状態で、噴射ノズルが下方に向くように連結部分が配置される。第1連結部分は、噴射方向と反対に噴射ノズルから離反した位置に配置される。また第2連結分は、供給管27よりに配置される。
【0188】
ハンドガンが腰バンドに装着されることで、装着者は、ハンドガンを両手で常時把持する必要がなく、火災現場における作業を円滑に行うことができる。またハンドガンを腰バンドから取外すことで、装着者がハンドガンを両手で支持して、消火対象物に消火剤を噴射させることができる。
【0189】
枠体45には、圧源流体用容器2および消火剤用容器3,4があたるところに緩衝部材が配置されている。これによって搬送時に枠体45に対して、圧源流体用容器2および消火剤用容器3,4が上下動したとしても、装着者に与えられる衝撃を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0190】
【図1】本発明の実施の第1形態の消火装置1の構成を概略的に示す系統図である。
【図2】消火装置1の構成を示すブロック図である。
【図3】消火装置1を示す正面図である。
【図4】減圧弁6を示す平面断面図である。
【図5】図4の切断線A−Aで切断して減圧弁を見た断面図である。
【図6】放出手段7を示す正面図である。
【図7】図6を紙面左側から見た放出手段7を示す左側面図である。
【図8】図6を紙面右側から見た放出手段7を示す右側面図である。
【図9】図6を紙面上側から見た平面図である。
【図10】図6を紙面下側から見た放出手段7を示す底面図である。
【図11】図6を紙面裏側から見た放出手段7を示す背面図である。
【図12】図7の切断線B−Bで切断して見た放出手段7を示す正面断面図である。
【図13】図6の切断線E−Eで切断して見た放出手段7の端面図である。
【図14】図6の切断線F−Fで切断して見た放出手段7の端面図である。
【図15】図6の切断線G−Gで切断して見た放出手段7の端面図である。
【図16】図7の切断線B−Bで切断して見た放出手段筐体25を示す断面図である。
【図17】集合配管21を示す図である。
【図18】図17の紙面下側から見た集合配管21を示す底面図である。
【図19】図17の紙面上側から見た集合配管21を示す平面図である。
【図20】噴射ノズル29を拡大して示す図である。
【0191】
【図21】開閉弁9を示す平面図である。
【図22】図21の切断線C−Cで切断して見た開閉弁9を示す図である。
【図23】図21の切断線D−Dで切断して見た開閉弁9を示す図である。
【図24】呼吸器10を示す斜視図である。
【図25】呼吸器10の断面を示す断面図である。
【図26】呼吸器10に含まれる肺力弁35および呼気弁36の一部を破断して示す斜視図である。
【図27】逆止弁11を概略示す断面図である。
【図28】流下防止弁12を概略示す断面図である。
【図29】カバー体が開いた状態の容器保持具13を示す正面図である。
【図30】図29の紙面左側から見た容器保持具13を示す左側面図である。
【図31】図29の紙面上側から見た容器保持具13を示す平面図である。
【図32】図29の紙面下側から見た容器保持具13を示す底面図である。
【図33】図29の紙面裏側から見た容器保持具13を示す背面図である。
【図34】カバー体46,47の断面を示す図である。
【図35】カバー体が閉じた状態の容器保持具13を示す正面図である。
【図36】図35の紙面左側から見た容器保持具13を示す左側面図である。
【図37】図35の紙面上側から見た容器保持具13を示す平面図である。
【図38】図35の紙面下側から見た容器保持具13を示す底面図である。
【図39】図35の紙面裏側から見た容器保持具13を示す背面図である。
【図40】容器保持具13に圧源流体用容器2および消火剤用容器3,4が装着された状態を示す正面図である。
【0192】
【図41】ノズル筐体70を放出手段7の筐体本体25aに対して変位させた状態を示す図である。
【図42】消火剤を消火剤用容器3,4に給液する手順を示すフローチャートである。
【図43】本発明の実施の第2形態の消火装置が備える過流防止弁12Aを概略的に示す断面図である。
【図44】本発明の実施の第3形態の消火装置1Cの構成を概略的に示す系統図である。
【図45】消火装置1Cの構成を示すブロック図である。
【図46】逆止弁11Aと過流防止手段201とを示す断面図である。
【図47】本発明の実施の第4形態の消火装置1Dの構成を概略的に示す系統図である。
【図48】本発明の実施の第5形態の消火装置が備える容器保持具13Aを示す正面図である。
【図49】図48の紙面左側から見た容器保持具13Aを示す左側面図である。
【図50】図48の紙面上側から見た容器保持具13Aを示す平面図である。
【図51】図48の紙面下側から見た容器保持具13Aを示す底面図である。
【図52】図48の紙面裏側から見た容器保持具13Aを示す背面図である。
【図53】カバー体46,47が閉じた状態の容器保持具13Aを示す正面図である。
【図54】図53の紙面左側から見た容器保持具13Aを示す左側面図である。
【図55】図53の紙面上側から見た容器保持具13Aを示す平面図である。
【図56】図53の紙面下側から見た容器保持具13Aを示す底面図である。
【図57】図53の紙面裏側から見た容器保持具13Aを示す背面図である。
【図58】容器保持具13Aに圧源流体用容器2および消火剤用容器3,4が装着された状態を示す正面図である。
【図59】本発明の実施の第6形態の消火装置が備える容器保持具13Bを示す正面図である。
【図60】図59の紙面左側から見た容器保持具13Bを示す左側面図である。
【0193】
【図61】図59の紙面下側から見た容器保持具13Bを示す底面図である。
【図62】図59の切断線T−Tから見た断面図である。
【図63】本発明の実施の第7形態の消火装置1Bを示す図である。
【図64】本発明の実施の第8形態の消火装置が備える放出手段7の噴射ノズル29Cを拡大して示す図である。
【図65】本発明の実施の第9形態の消火装置が備える放出手段7Dを示す正面図である。
【図66】図65を紙面左側から見た放出手段7Dを示す左側面図である。
【図67】図65を紙面右側から見た放出手段7Dを示す右側面図である。
【図68】図65を紙面上側から見た平面図である。
【図69】図65を紙面下側から見た放出手段7Dを示す底面図である。
【図70】図65を紙面裏側から見た放出手段7Dを示す背面図である。
【図71】図65の切断線H−Hで切断して見た放出手段7Dの端面図である。
【図72】図65の切断線J−Jで切断して見た放出手段7Dの端面図である。
【図73】図65の切断線K−Kで切断して見た放出手段7Dの端面図である。
【図74】図66の切断線M−Mで切断して見た放出手段筐体170を示す断面図である。
【図75】本発明の実施の第10形態の消火装置が備える減圧弁6Eを示す平面図である。
【図76】図75の切断線N−Nで減圧弁6Eを切断して見た断面図である。
【図77】図75の切断線P−Pで減圧弁6Eを切断して見た断面図である。
【図78】図77の切断線Q−Qで減圧弁6Eを切断して見た断面図である。
【図79】図75の切断線R−Rで減圧弁6Eを切断して見た部分断面図である。
【図80】本発明の実施の第11形態の消火装置が備える消火剤用容器3,4の蓋体20Aの構成を示す平面図である。
【0194】
【図81】図80の切断線S−Sから見た断面図である。
【図82】本発明の実施の第12形態の消火装置1Eの構成を概略的に示す系統図である。
【符号の説明】
【0195】
1 消火装置
2 圧源流体用容器
3,4 消火剤用容器
5 圧源流体用導管
6 減圧弁
7 放出手段
8 消火剤用導管
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮流体を用いて容器に貯留される消火剤を吐出させて放出し、この消火剤によって消火する消火装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の第1の技術は、特許文献1に開示される。従来の第1の技術の消火装置には、圧縮空気が充填された空気ボンベと、消火液が充填された液体タンクとが含まれ、これら空気ボンベと液体タンクとが互いに連通する。消火装置には、さらに消火液をミスト状に噴霧するための噴射ガンが含まれる。この噴射ガンは、噴射用ホースによって、液体タンクに接続され、液体タンクの内圧に応じて、消火液が導かれる。噴射ガンは、開閉弁および吐出ノズルを備え、開閉弁を開状態にすることによって、導かれた消火液を吐出ノズルからミスト状に噴霧することができる。また消火装置には、呼吸器が設けられている。このようにして構成される消火装置は、空気ボンベに充填される5MPa以上30MPa以下の圧縮空気を液体タンク内に導き、この圧縮空気によって消火液を噴射ガンに圧送し、噴射ガンからミスト状に噴霧させる。
【0003】
従来の第2の技術は、特許文献2に開示される。従来の第2の技術の二流体消火装置は、圧縮空気が充填された空気ボンベと、圧液を供給可能な液体供給源と、圧縮空気と圧液とを混合して霧状に噴霧する二流体ノズルと、空気ボンベおよび二流体ノズルに接続され、圧縮空気を二流体ノズルに導くための空気ホースと、液体供給源および二流体ノズルに接続され、圧液を二流体ノズルに導くための液体ホースとを備える。このような構成を有する二流体消火装置は、空気ボンベから導かれる圧縮空気と、液体供給源から導かれる圧液とを、二流体ノズルで混合して、霧状に噴射させる。
【0004】
【特許文献1】特開2000−140143号公報
【特許文献2】特開2003−190314号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の第1の技術の消火装置は、空気ボンベから液体タンクにその圧力が5MPa以上30MPa以下の圧縮空気を導くことによって、吐出ノズルからミスト状に水を噴霧することができる。このように5MPa以上30MPa以下の圧縮空気を導くので、液体タンクは、この圧力に耐え得る耐圧性能を必要とする。このような耐圧性能を達成するためには、液体タンクを厚肉にする必要があり、これによって液体タンクの重量が大きくなり、結果的に消火装置の重量の増加に繋がる。
【0006】
液体タンクを薄肉にするために、圧縮空気の圧力を従来の第1の技術で開示される範囲以下にすると、消火液の噴射量が低下し、高濃度のミストを噴射することができず、消火効率の向上を図ることが困難である。それ故、圧縮空気の圧力を下げることによる薄肉化を、従来の第1の技術の消火装置で図ることは困難である。
【0007】
従来の第2の技術の二流体消火装置は、空気ボンベに充填される圧縮空気と、液体供給源から供給される液体とを二流体ノズルで混合させて霧状の水にし、消火対象物に噴射する。このように霧状の水を噴射することによって、消火対象物を消火する。二流体消火装置では、圧縮空気と液体とを混合して、霧状の水にするので、大量の圧縮空気を必要とする。空気ボンベに充填される圧縮空気が少量であると、噴射時間が短くなり、充分な消火を行うことが困難となる。それ故、噴射時間を延ばすために、空気ボンベの容量を大きくする必要がある。このように空気ボンベの容量が大きくなると、当然その重量が大きくなり、その結果、消火装置の重量が大きくなる。
本発明の目的は、軽量化された消火装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、圧縮される圧源流体を貯留可能な圧源流体用容器と、
消火剤を貯留可能な消火剤用容器と、
圧源流体用容器と消火剤用容器とに接続され、圧源流体用容器に貯留される圧源流体を消火剤用容器に導く圧源流体用導管と、
圧源流体用導管に介在し、圧源流体用導管を流下する圧源流体の圧力を減圧する減圧手段と、
消火剤用容器に貯留される消火剤を放出可能な放出手段と、
消火剤用容器と放出手段とに接続され、消火剤用容器に貯留される消火剤を放出手段に導く消火剤用導管とを備えることを特徴とする消火装置である。
【0009】
本発明に従えば、圧源流体用容器に貯留される圧源流体は、その圧力が減圧手段で減圧され、圧源流体用導管を通って、消火剤用容器に導かれる。消火剤用容器に貯留される消火剤は、導かれる圧源流体から圧力を受け、消火剤用容器から消火剤用導管に吐出される。吐出される消火剤は、消火剤用導管を通って、放出手段に導かれる。装着者は、放出手段を用いてこの導かれる消火剤を放出させ、消火する。
【0010】
また本発明は、減圧手段は、圧源流体の圧力を減圧し一定に保持する圧力制御弁であることを特徴とする。
【0011】
本発明に従えば、圧力制御弁によって、その圧力が一定に保持された圧源流体を消火剤用容器に導くことができる。これによって消火剤用容器から消火剤用導管に吐出される消火剤の流量を、圧源流体の残量に拘わらず、一定にすることができる。
【0012】
また本発明は、減圧手段に接続され、減圧手段で減圧された圧源流体を給気可能な給気手段をさらに含み、
圧源流体用容器に貯留される圧源流体は、少なくとも酸素を含む混合気体であることを特徴とする。
【0013】
本発明に従えば、少なくとも酸素を含む混合気体を減圧手段で減圧し、給気手段によって給気することができる。これによって装着者は、給気手段によって給気される混合気体を吸気することができる。
【0014】
また本発明は、圧源流体用導管に介在し、消火剤が圧源流体用導管を消火剤用容器から圧源流体用容器に向かって逆流することを阻止する逆流防止手段が、減圧手段より圧源流体の流下方向下流側に設けられることを特徴とする。
【0015】
本発明に従えば、逆流防止手段によって、消火剤用容器から圧源流体用容器に向かう消火剤の逆流を、減圧手段より流下方向下流側の位置で阻止することができる。これによって消火剤が逆流して、減圧手段に達することを阻止できる。
【0016】
また本発明は、消火剤用導管に介在し、圧源流体が消火剤用導管を流下することを阻止する流下防止手段をさらに有することを特徴とする。
【0017】
本発明に従えば、流下防止手段によって、圧源流体が消火剤用導管を流下することを阻止し、放出手段に導かれることを阻止できる。これによって圧源流体が放出手段から放出されることを阻止できる。
【0018】
また本発明は、圧源流体用導管に介在し、圧源流体用導管を流下する圧源流体の流量が予め定める設定流量以上になると、圧源流体が圧源流体用導管を流下することを阻止する過流防止手段をさらに備えることを特徴とする。
【0019】
本発明に従えば、圧源流体用導管には、過流防止手段が介在する。過流防止手段は、圧源流体用導管を流下する圧源流体の流量が予め定める設定流量以上になると、圧源流体が圧源流体用導管を流下することを阻止する。これによって圧源流体の浪費を抑制することができる。
【0020】
また本発明は、消火剤は、難燃性を有し、温度上昇にともなって粘度が高くなる樹脂が溶解する水溶液であることを特徴とする。
【0021】
本発明に従えば、消火剤に温度上昇にともない粘度が高くなる樹脂が溶解する水溶液が用いられる。これによって消火剤を消火対象物に向かって放出すると、放出される消火剤は、その温度が上昇して粘度が高くなる。粘度が高くなった消火剤は、水に比べて流動しにくく、消火対象物に付着している消火剤が流れるなどして広がることを抑制できる。また消火剤用導管を流下する場合、放出後よりも消火剤の温度が低いので、その粘度が小さく、消火剤を、消火剤用導管を通って放出手段まで圧送するために必要な圧力を低くすることができる。
【0022】
また本発明は、圧源流体用容器および消火剤用容器を配設するための枠体をさらに含み、
枠体は、圧源流体用容器および消火剤用容器が立位する状態で保持可能に構成されていることを特徴とする。
【0023】
本発明に従えば、圧源流体用容器および消火剤用容器が配設される枠体によって、圧源流体用容器および消火剤用容器を立位状態に保持することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、圧縮された圧源流体によって、消火剤用容器に貯留される消火剤を吐出させることができるので、従来の第2の技術の二流体消火装置のように、水を噴霧するために大量の空気を使用することなく、少量の圧源流体によって消火剤を放出することができる。これによって圧源流体用容器に貯留すべき圧源流体の容量を従来の技術の二流体消火装置より低減でき、圧源流体用容器の重量を低減することができる。
【0025】
さらに本発明では、圧源流体の圧力を減圧手段によって減圧して、この減圧されている圧源流体が圧源流体用導管を通って消火剤用容器に導かれる。これによって消火剤用容器に導かれる圧源流体の圧力の変動を抑制でき、放出手段から放出される消火剤の放出量が変動することを抑制できる。このように圧源流体を、その圧力を減圧して消火剤用容器に導くことによって、消火剤の放出量の変動を抑制し、放出時間に依存しない安定した消火剤の放出を実現できる。圧源流体の圧力を減圧して導くことによって、消火剤用容器の耐圧性能を高める必要がなく、従来の第1および第2の技術の消火装置より消火剤用容器の薄肉化を図ることができる。これによって消火装置の重量を低減することができる。
【0026】
また本発明によれば、圧力制御弁によって、消火剤用容器から消火剤用導管に吐出される消火剤の流量を一定にすることができる。これによって消火剤用導管を通って、放出手段から放出される消火剤の放出量を一定にすることができる。従来の第1および第2の技術の消火装置では、消火剤用容器の内圧に基づいて放出されるので、放出量が消火剤の貯留量に依存する、換言すると放出時間に依存する。本発明では、一定の圧力に保持される圧源流体によって、消火剤が吐出されるので、放出時間に依存することなく、消火剤を一定の放出量で放出することができる。このように消火剤の放出量を一定にすることによって、消火剤の放出量が放出時間に依存しない、安定した消火能力を有する消火装置を実現できる。
【0027】
また本発明によれば、給気手段によって、圧源流体用容器に貯留される少なくとも酸素を含む混合気体を装着者に給気することができる。これによって装着者は、給気された混合気体によって呼吸することができる。このように消火剤を消火剤用容器から吐出させるための混合気体を、装着者への給気に用いることによって、前記給気のためだけに新たに混合気体を貯留するための容器を設ける必要がない。これによって消火および給気を可能にするとともに、軽量化されている消火装置を実現することができる。
【0028】
また本発明は、圧源流体を減圧して圧源流体用容器から消火剤用容器に導くので、従来の第1の技術の消火装置に比べて、圧源流体用容器から消火剤用容器に導かれる混合気体が少量である。したがって従来の第1の技術の消火装置より多くの混合気体を、給気手段によって、装着者に給気することができる。これによって装着者は、酸素欠乏を気にすることなく、従来の第1の技術のものより長く火災現場などに滞在し、消火活動をすることができる。
【0029】
また本発明によれば、逆流防止手段によって、消火剤が逆流して、減圧手段に達することを阻止できる。これによって消火剤が給気手段に導かれ給気手段から吐出されることを防げる。これによって装着者が給気手段を用いて安心して吸気することができる。このように圧源流体用容器に貯留される圧源流体によって、装着者が安心して吸気可能な混合気体を給気できるとともに、放出手段から消火剤を放出させることができる消火装置を実現できる。
【0030】
また本発明によれば、消火剤用容器から吐出可能な消火剤がなくなった場合、流下防止手段によって、消火剤用容器に導かれる圧源流体が消火剤用導管を流下して、放出手段から放出されることを防げる。消火剤がなくなった後、圧源流体が放出され続けることによって、圧源流体用容器内の圧源流体が浪費される。流下防止手段を用いて、圧源流体の放出を防ぐことによって、このような圧源流体の浪費を抑制することができる。
【0031】
給気手段を有する場合、消火剤がなくなった後、圧源流体の浪費を抑制することによって、流下防止手段が設けられない場合に比べて、給気手段から混合気体を給気可能な時間を延ばすことができる。流下防止手段が設けられない場合に比べて、長い時間火災現場に滞在することができる。
【0032】
また本発明によれば、消火剤用容器から吐出可能な消火剤がなくなった場合、消火剤用容器から圧源流体が吐出され、これによって圧源流体用導管を流下する圧源流体の流量が増加する。この点を踏まえて、圧源流体用導管には、過流防止手段が介在する。過流防止手段は、圧源流体用導管を流下する圧源流体の流量が予め定める設定流量以上になると、圧源流体が圧源流体用導管を流下することを阻止する。これによって圧源流体の浪費を抑制することができる。
【0033】
給気手段を有する場合、消火剤がなくなった後、圧源流体の浪費を抑制することによって、過流防止手段が設けられない場合に比べて、給気手段から混合気体を給気可能な時間を延ばすことができる。過流防止手段が設けられない場合に比べて、長い時間火災現場に滞在することができる。
【0034】
また本発明によれば、消火剤に温度上昇にともない粘度が高くなる樹脂が溶解する水溶液が用いられることによって、消火対象物に付着している消火剤が流れるなどして広がることを抑制でき、水より多くの量の消火剤を消火対象物付近に停留させることができる。多量の消火剤が停留することによって、熱を吸収量が増加し、消火対象物に対する冷却効果を高めることができる。これによって従来の第1および第2の技術の消火装置より消火性能を向上させることができる。消火性能の向上に伴い、少量の消火剤で消火が可能になり、消火剤用容器に貯留すべき消火剤の容量を少なくすることができる。これによって消火剤用容器の重量を低減でき、消火装置の重量を低減することができる。また消火剤の粘度が低いので、消火剤用導管を流下する際、消火剤を吐出させるために必要な圧力を小さくでき、消火剤用容器に導くべき圧源流体の圧力を低減を図ることができる。これによって消火剤用容器の耐圧性能を高める必要がなく、薄肉化を図ることができる。
【0035】
また本発明によれば、枠体によって、圧源流体用容器および消火剤用容器を立位状態で保持することができる。これによって圧源流体用容器および消火剤用容器が地面に寝かされるなどして、その表面が損傷することを抑制できる。このような損傷を防ぐことによって、前記圧源流体用容器および消火剤用容器が破裂などすることを抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、図面を参照しながら本発明を実施するための形態を、複数の形態について説明する。各形態で先行する形態で説明している事項に対応している部分には同一の参照符を付し、重複する説明を略する場合がある。構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分は、先行して説明している形態と同様とする。また実施の各形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施の形態同士を部分的に組合せることも可能である。
【0037】
図1は、本発明の実施の第1形態の消火装置1の構成を概略的に示す系統図である。図2は、消火装置1の構成を示すブロック図である。図3は、消火装置1を示す正面図である。消火装置1は、家屋、家具および電子機器などの消火対象物を消火する際、用いられる搬送可能な消火装置である。消火装置1は、たとえば装着者が身に着ける、または車両などに積載して搬送可能に構成されている。消火装置1は、圧縮空気を用いて消火剤を吐出させ、消火剤を消火対象物に放出して消火可能に構成される。本実施の形態では、消火装置1は、装着者が背負って搬送可能に構成されている。
【0038】
消火装置1には、圧源流体用容器2と、2つの消火剤用容器3,4と、圧源流体用導管5と、減圧弁6と、消火剤用導管8と、放出手段7と、開閉弁9と、呼吸器10と、逆止弁11と、流下防止弁12と、容器保持具13と、報知器190と、圧力指示計191とが含まれる。
【0039】
圧源流体用容器2は、圧縮される圧源流体である圧縮空気を貯留可能に構成され、圧縮空気が充填されている。圧源流体用容器2には、29.4MPaまたは14.7MPaの圧源流体が充填される。圧源流体用容器2は、たとえばガラス繊維製FRP−アルミニウム合金またはカーボン繊維製FRP(繊維強化プラスチック)−アルミニウム合金から成る。ただしこのような材料に限定されない。圧源流体用容器2は、大略的に円筒状に形成され、その軸線方向一端部が閉塞し、他端部が開口し、この開口部には、開閉弁9が設けられている。
【0040】
2つの消火剤用容器3,4は、消火剤を貯留可能に構成され、消火剤が貯留されている。消火剤用容器3,4は、たとえばステンレス鋼から成る。ただし消火剤用容器3,4は、このような材料に限定されず、樹脂であってもよい。2つの消火剤用容器3,4は、大略的に円筒状に形成され、その軸線方向両端部が開口し、一端部の開口部が蓋体20によって封止され、他端部の開口部には、集合配管21が設けられている。本実施の形態では、2つの消火剤用容器3,4は、形状および構成が同一である。
【0041】
消火剤は、難燃性を有し、温度上昇にともなって粘度が高くなる樹脂が溶解する水溶液である。前記樹脂は、たとえば水溶性アクリルアミド系樹脂であり、具体的にはN−イソプロピルアクリルアミドを主成分とする樹脂である。ただし前記例示される樹脂に限定されず、難燃性を有し、温度上昇にともなって粘度が高くなる樹脂であればよい。
【0042】
圧源流体用導管5は、たとえばNBR(ブタジエンアクリロニトリル共重合体)系合成ゴムから成り、圧源流体用容器2と2つの消火剤用容器3,4とに接続され、圧源流体用容器2内の圧縮空気を各消火剤用容器3,4に導くことができるように構成される。本実施の形態では、圧源流体用導管5は、圧源流体用容器2に開閉弁9を介して接続されている。ただし前記材料から成ることに限定されない。以下、圧縮空気が圧源流体用容器2から消火剤用容器3,4に流下する方向をA1方向と称する。
【0043】
具体的に説明すると、圧源流体用導管5は、第1圧源流体用導管部5aと第2圧源流体用導管部5bとを有する。第1圧源流体用導管部5aは、その一端部が開閉弁9に接続され、その他端部が第2圧源流体用導管部5bの中間部に連なる。第2圧源流体用導管部5bは、その一端部が一方の消火剤用容器3に、その他端部が他方の消火剤用容器4に連なる。
【0044】
図4は、減圧弁6を示す平面断面図である。図5は、図4の切断線A−Aで切断して減圧弁を見た断面図である。図1〜図3を参照しつつ説明すると、減圧手段であり、圧力制御弁である減圧弁6は、たとえばアルミニウムまたは真鍮から成り、第1圧源流体用導管部5aに介在し、圧源流体用導管5を流下する圧縮空気の圧力を減圧するように構成される。本実施の形態では、減圧弁6は、圧源流体用導管5を流下する圧縮空気の圧力を、たとえば0.7MPaに減圧し、一定に保持する圧力制御弁である。ただし減圧弁6は、0.7MPaに減圧するものに限定されず、また一定の圧力に保持する構成に限定されない。さらに減圧弁6は、アルミニウムまたは真鍮から成るものに限定されない。
【0045】
さらに詳細に説明すると、減圧弁6は、圧縮空気導通路形成部110と圧力制御弁部111と安全弁部112とを有し、これらが一体的に形成されている。圧縮空気導通路形成部110は、圧縮空気導通路148が形成されている。圧縮空気導通路110には、圧縮空気動通路110を流下する圧縮空気を濾過するためのフィルタ113が介在している。圧力制御弁部111は、筐体部分114と、一次側ポート形成部115と、受圧体116と、弁体117と、閉塞部材118と、弁体調整部材119と、第1ばね部材120と、第2ばね部材121と、蓋部122とが含まれている。
【0046】
筐体部分114は、軸線L4を有し、軸線L4周りに第1空間123と、第2空間124が形成されている。第1空間123は、第2空間124より小径に形成されている。第1空間123と第2空間124とは、連なっている。筐体部分114は、その軸線方向一端側に第1空間123が形成され、他端側に第2空間124が形成されている。筐体部分114は、第1空間123が圧縮空気導通路148に連なり、その軸線方向他端部が前記軸線方向に開口している。筐体部分114には、第1空間123が第2空間124に臨む開口を外囲する円環状の突起部132が形成されている。
【0047】
一次側ポート形成部115は、円筒状に形成され、その軸線方向一端部に外周部全周にわたって、半径方向外方に突出する外向きフランジ部125が形成されている。一次側ポート形成部115の軸線は、軸線L4に一致している。一次側ポート形成部115の円筒状部分の内周部によって、一次側ポート126が形成される。外向きフランジ部125には、軸線L4周りに、複数の連通路127が形成されている。一次側ポート形成部115は、外向きフランジ部125を除く残余部が第1空間123に収納されて、筐体部分114にシールを達成した状態で設けられている。
【0048】
受圧体116は、外向きフランジ部収容部116aと弁体収容部116bとを有する。外向きフランジ部収容部116aは、円筒状に形成され、その内周部に外向きフランジ部125が螺着されている。外向きフランジ部収容部116aは、筐体部分114にシールを達成している状態で、第2空間124に収納されている。外向きフランジ部125は、軸線L4に平行な方向に摺動変位可能であって、シールを達成した状態で、筐体部分114に設けられている。
【0049】
弁体収容部116bは、外向きフランジ部収容部116aより外径および内径が、小径に形成される円筒状である。外向きフランジ部収容部116aおよび弁体収容部116bは、その軸線が軸線L4に一致し、一体的に形成されている。弁体収容部116bの外向きフランジ部収容部116aに連なる端部の外周部には、その周方向全周にわたって、フランジ状の第1ばね部材支持部116cが形成される。第1ばね部材支持部116cは、その外径が外向きフランジ部収容部116aの外径より小径に形成される。
【0050】
弁体117は、シート保持部117aとシート部117bとを有する。シート保持部117aは、円筒状に形成され、その軸線方向一端部にシート部117bが嵌合されている。シート部117bは、大略的に円筒状に形成されている。弁体117は、弁体収容部116bにシールを達成する状態で、その内方に収容されている。シート保持部117aおよびシート部117bの軸線は、軸線L4に一致している。一次側ポート形成部115には、一次側ポート126のシート部117bに臨む開口を外囲するように円環状の弁座128が形成されている。シート部117bは、この弁座128とオリフィス129を形成する。
【0051】
筐体部分114は、その開口する部分に閉塞部材118が螺着され、閉塞されている。閉塞部材118は、円筒状に形成され、その内周部に弁体調整部材119が螺着されている。弁体調整部材119は、大略的に円柱状に形成され、シート保持部117aの軸線方向他端部に当接可能に閉塞部材118に螺着されている。弁体調整部材119の軸線は、軸線L4に一致している。シート保持部117aの軸線方向他端部は、弁体調整部材119の片当たりを抑制するために、部分球面上に形成されている。弁体調整部材119は、ドライバーなどの工具によって回動させることによって、軸線L4に平行な方向に変位させ、弁体117の可動範囲を調節することができる。
【0052】
第1ばね部材120は、圧縮コイルばねであり、弁体収容部116bに外装され、弁体収容部116bと筐体部分114との間に形成される円環状のばね収容空間130に配設される。第1ばね部材120の一端部は、第1ばね部材支持部116cに支持され、他端部は、閉塞部材118に支持されている。第2ばね部材121は、圧縮コイルばねであり、第1ばね部材120に外装され、ばね収容空間130に収容されている。第2ばね部材121の一端部は、外向きフランジ部収容部116aに支持され、他端部は、閉塞部材118に支持されている。閉塞部材118には、ばね収容空間130を大気開放する大気開放孔131が形成されている。また閉塞部材118には、弁体調整部材119を覆うための蓋部122が嵌合されている。
【0053】
このようにして構成されると、オリフィス129より半径方向内方に一次圧力室133が形成され、オリフィス129より半径方向外方に第1二次圧力室134が形成される。筐体の突起部132より半径方向外方に円環状の第2二次圧力室135が形成される。第1および第2二次圧力室134,135は、連通路127によって連通され、これらによって二次圧力室が構成されている。ている。筐体部分114には、第2二次圧力室135に連なる二次側ポート136が形成されている。
【0054】
一次側ポート126から一次圧力室133に流下した圧縮流体がオリフィス129を通過し、第1二次圧力室134に流入する。第1二次圧力室134の圧縮流体は、連通路127を介して第2二次圧力室135に流下する。受圧体116は、第1および第2二次圧力室134,135の圧縮空気の圧力を受圧する。第1および第2ばね部材120,121は、この受圧する圧力に対向する弾発力を受圧体116に付勢するように配設されている。受圧体116は、それが受圧する圧力、すなわち二次側の圧縮空気の圧力に応じて、筐体部分114を摺動変位し、オリフィス129の開度を調整する。これによって、圧縮空気を減圧し、一定の圧力に保持して、二次側ポート136に排出する。
【0055】
安全弁部112は、軸線L5を有し、筐体部分140、ばね保持部材141と、安全弁体142と、安全弁ばね部材143とを含む。筐体部分140は、軸線L5周りに弁孔144および安全弁収容孔145が形成される。弁孔144は、二次側ポート136および安全弁収容孔145に連なり、安全弁収容孔145より小径に形成されている。筐体部分140には、弁孔144の安全弁収容孔145に臨む開口を外囲する円環状の安全弁座146が形成されている。筐体部分140は、軸線方向一方側、具体的には二次側ポートと反対側の部分が開口し、この開口する部分にばね保持部材141が螺着されている。また安全弁収容孔145には、安全弁体142が軸線L5に平行な方向に摺動変位可能に収容されている。安全弁体142は、摺動変位することによって、安全弁座146に着座し、安全弁座146から離反する。安全弁ばね部材143は、安全弁体142と安全弁ばね部材143との間に介在し、安全弁体142に、これを着座させる方向の弾発力を付勢する。筐体部分140には、安全弁収容孔145を大気開放する大気開放孔147が形成されている。安全弁部112は、二次側ポート136内の圧力が予め定められる圧力以上になると、安全弁座146から離反し、圧縮空気を大気開放し減圧する。
【0056】
減圧弁6は、圧源流体用導管5に介在し、圧縮空気導通路148および二次側ポート136が圧源流体流路30に連なり、圧縮空気導通路148から二次側ポート136に向かって圧縮空気が流下するように配設されている。
【0057】
図6は、放出手段7を示す正面図である。図7は、図6を紙面左側から見た放出手段7を示す左側面図である。図8は、図6を紙面右側から見た放出手段7を示す右側面図である。図9は、図6を紙面上側から見た平面図である。図10は、図6を紙面下側から見た放出手段7を示す底面図である。図11は、図6を紙面裏側から見た放出手段7を示す背面図である。図12は、図7の切断線B−Bで切断して見た放出手段7を示す正面断面図である。図13は、図6の切断線E−Eで切断して見た放出手段7の端面図である。図14は、図6の切断線F−Fで切断して見た放出手段7の端面図である。図15は、図6の切断線G−Gで切断して見た放出手段7の端面図である。図16は、図7の切断線B−Bで切断して見た放出手段筐体25を示す断面図である。図12は、説明の便宜上、図6に示す放出手段7の断面と異なっている。図1および図2を参照しつつ説明すると、放出手段7は、いわゆるハンドガンであり、消火剤用容器3,4に貯留される消火剤を放出可能に構成される。
【0058】
消火剤用導管8は、たとえばNBR系合成ゴムから成り、2つの消火剤用容器3,4と放出手段7とに接続され、2つの消火剤用容器3,4に貯留される消火剤を放出手段7に導くように構成される。ただし前記材料から成ることに限定されない。消火剤用導管8には、第1消火剤用導管部8aと第2消火剤用導管部8bとが含まれる。第1消火剤用導管部8aは、その一端部が一方の消火剤用容器3に接続され、他端が他方の消火剤用容器4に接続されている。第2消火剤用導管部8bは、その一端部が放出手段7に接続され、他端部が第1消火剤用導管部8aの中間部に接続されている。
【0059】
図17は、集合配管21を示す図である。図18は、図17の紙面下側から見た集合配管21を示す底面図である。図19は、図17の紙面上側から見た集合配管21を示す平面図である。2つの消火剤用容器3,4の軸線方向他端の開口部には、集合配管21が設けられ、この集合配管21には、圧源流体用導管5および消火剤用導管8の一部が形成されている。集合配管21には、消火剤用導管8の一部によって、消火剤用容器3,4から放出手段7に流下する消火剤の流量を確保するために、複数の流路、本実施の形態では2つの流路21a,21bが形成されている。消火剤用導管8の残余部では、1つの流路で消火剤の流量が確保されている。このように1つの集合配管21に圧源流体用導管5および消火剤用導管8の一部を形成することによって、圧源流体用導管5または消火剤用導管8を接続するために、消火剤用容器3,4に新たに加工をする必要がなく、構成が簡単になる。
【0060】
第2圧源流体用導管5の一端部および他端部には、消火剤用容器3,4の他端部から一端部近傍まで、前記消火剤用容器3,4の軸線方向に延びる有底円筒状のサイフォン管22が設けられている。サイフォン管22は、その軸線方向一端部が開口して第2圧源流体用導管5に接続され、軸線方向他端部に半径方向内外方向に貫通する連通孔23が形成されている。消火剤用容器3,4が立位する状態で、このサイフォン管22の連通孔23が消火剤の水位より高い位置に配置される量の消火剤が、消火剤用容器3,4に貯留されている。換言すると、連通孔23は、消火剤用容器3,4が立位する状態で、貯留される消火剤が連通孔23に入り込まないように配置されている。
【0061】
放出手段7は、放出手段筐体25と、開閉弁部26と、供給管27と、レバー28と、噴射ノズル29とが含まれる。放出手段筐体25は、たとえば黒に塗装され、アルミニウムから成る。ただし黒に限定されるものでなく、赤、青、黄および緑であってもよく、材料もアルミニウムに限定されるものでなく、樹脂であってもよい。放出手段筐体25は、筐体本体25aと把持部25bとを有する。筐体本体25aは、大略的に長尺の長方形状に形成され、その長手方向一端部が長手方向に開口する円筒状に形成される。以下では、長手方向一端部の円筒部分の軸線を、筐体本体25aの軸線と称する場合がある。
【0062】
筐体本体25aの内方には、その長手方向一端部から他端部近傍にわたって空間が形成されている。筐体本体25aの一表面部は、その長手方向他端部近傍が開口している。また筐体本体25aの長手方向他端部近傍には、開口が形成される一表面部に隣接する2つの表面部に、突起部159が形成される。突起部159は、その表面部から離反する方向に突起している。この突起部159は、放出手段7のこれを除く残余部と、色彩が異なる。たとえば赤、青、黄および緑などの塗装が施される。ただし色彩が異なるものに限定されず、同一色であってもよい。把持部25bは、大略的にU字状に形成され、その一端部160aが筐体本体25aの長手方向他端部に、他端部160bが筐体本体25aの長手方向中間部に一体形成され、把持可能に形成されている。
【0063】
開閉弁部26は、大略的に円筒状に形成される弁通路形成部26aと、弁体26bとを有する。弁通路形成部26aは、その軸線が筐体本体25aの軸線と一致するように筐体本体25a内の長手方向一端部側に配設されている。弁通路形成部26aは、その軸線方向一端部の開口が、筐体本体25aの長手方向一端部の開口に連通するように配設され、その内方に弁通路26cが形成される。弁体26bは、棒状に形成され、弁通路形成部26aの軸線方向他端部にシールを達成する状態で挿通されている。弁体26bは、弁通路形成部26aを軸線方向に摺動可能に構成され、軸線方向に摺動変位することによって、弁通路26cを開閉可能に構成される。弁通路形成部26aは、供給管27が接続可能に形成され、接続される供給管27内と弁通路26cとが連なるように形成されている。
【0064】
供給管27は、その一端部が消火剤用導管8に接続され、その他端が弁通路形成部26aに接続されている。供給管27は、消火剤用導管8を流下する消火剤を弁通路26cに導くことができるように構成される。供給管27は、把持部25bに嵌合して設けられる。レバー28は、その一部が筐体本体25aの軸線方向他端部近傍の内方に配設され、残余部が筐体本体25aの開口から突出している。レバー28は、この残余部が把持部25bとともに把持可能に形成され、把持される状態で変位可能、具体的には、角変位可能に配設されている。弁体26bは、レバー28に係止され、レバー28の変位に連動して、筐体本体25aの軸線方向に摺動可能に構成される。つまりレバー28を角変位させることによって、弁体26bを、弁通路形成部26aの軸線方向、つまり筐体本体25aの長手方向に摺動させ、弁通路26cの開閉可能に構成される。
【0065】
図20は、噴射ノズル29を拡大して示す図である。筐体本体25aの軸線方向一端部には、噴射ノズル29が形成されている。噴射ノズル29は、消火剤を拡散可能に構成されている。さらに詳細に説明すると、噴射ノズル29は、ノズル筐体部70と、ノズル軸体71とを有する。ノズル筐体部70は、円筒状に形成され、その軸線方向中間部の内周部に、周方向全周にわたって、内方に突出する内向きフランジ部72が形成される。内向きフランジ部72の内周部は、その一部がノズル筐体部70の軸線方向他端部から一端部に向かって縮径するテーパ状に形成される。ノズル筐体部70は、その軸線方向一端部が放出手段7の筐体本体25aの軸線方向一端部に軸線方向に変位可能に装着され、他端部の内周部が軸線方向他端部から一端部に向かって縮径するテーパ状に形成されている。ノズル筐体部70は、筐体本体25aに螺着され、軸線方向に変位可能に装着されている。ノズル筐体部70および筐体本体25aの軸線は、一致している。
【0066】
ノズル軸体71は、軸基体部73と、軸棒部74と、導流部75を有する。軸基体部73は、円盤状に形成されている。軸基体部73は、その軸線まわりに等間隔をあけて、その軸線方向に貫通する複数の流下孔76が形成される。軸棒部74は、大略的に円柱状に形成され、その軸線方向一端部が軸基体部73に一体的に設けられる。軸棒部74の軸線方向他端部は、導流部75が一体的に設けられる。導流部75は、円柱状に形成される第1導流部分75aと半球状に形成される第2導流部分75bと、第1導流部分75aと第2導流部分75bとを連ねる第3導流部分75cとを有する。第1導流部分75aは、第2導流部分75bより小径であって、軸棒部74より大径に形成されている。また第1導流部分75aは、内向きフランジ部72の内周部より小径に形成されている。第3導流部分75cは、第2導流部分75bから第1導流部分75aに向かって縮径するテーパ状に形成されている。第1〜3導流部分75a〜75cの軸線は、一致しており、軸基体部73、軸棒部74および導流部75の軸線が一致するように形成される。
【0067】
ノズル軸体71は、軸棒部74が内向きフランジ部72を挿通するように配設される。軸棒部74は、内向きフランジ部72に対して半径方向に間隔をあけて挿通されている。筐体本体25aの軸線方向一端部の内周部には、周方向全周にわたって内方に突出するフランジ部分77が形成されている。ノズル軸体71の軸基体部73は、このフランジ部分77に当接する状態で、筐体本体25a内に配設されている。軸基体部73の軸線と、放出手段7の筐体部分25aの軸線とは、一致している。
【0068】
図21は、開閉弁9を示す平面図である。図22は、図21の切断線C−Cで切断して見た開閉弁9を示す図である。図23は、図21の切断線D−Dで切断して見た開閉弁9を示す図である。開閉弁9は、第1圧源流体用導管部5aが接続され、圧源流体用容器2の開口部に設けられている。開閉弁9は、圧源流体流路30と圧源流体用容器2の内方とに連なる流路が形成され、この流路を開閉可能に構成される。開閉弁9は、基本的には、ハンドル31と開閉弁体32とを含み、ハンドル31を操作することによって、開閉弁体32が前記流路を開閉するように構成されている。
【0069】
さらに詳細に説明すると、開閉弁9には、第1流路形成部91と、開閉弁部92と、第2流路形成部93とが含まれ、これらが一体的に形成される。第1流路形成部91には、圧縮流体が流下可能な第1流路94が形成されている。第1流路形成部91は、圧源流体用容器2の開口部に接続されている。第1流路形成部91は、軸線L1を有し、この軸線周りに第1流路94が形成される。第1流路94は、圧源流体用容器2に貯留される圧縮空気が流下するように形成されている。開閉弁部92は、筐体部分95と、ハンドル31と、開閉弁体32と、ステム97と、ばね部材98と、ばね押さえ部材99とが含まれる。
【0070】
筐体部分95は、軸線L2を有し、この軸線L2周りに開閉弁一次側ポート100および開閉弁体収容孔101が形成されている。筐体部分95は、その軸線方向一端側に開閉弁一次側ポート100が形成され、他端側に開閉弁体収容孔101が形成され、これらが互いに連なっている。筐体部分95は、開閉弁一次側ポート100が第1流路94に連なり、その軸線方向他端部が前記軸線方向に開口している。開閉弁一次側ポート100は、開閉弁体収容孔101より小径に形成されている。筐体部分95には、開閉弁一次側ポート100が開閉弁体収容孔101に臨む開口を外囲するように円環状の開閉弁座102が形成される。
【0071】
開閉弁体32は、円柱状に形成され、その外周部にその軸線方向一端から他端にわたって開閉弁溝103が形成されている。開閉弁体32は、開閉弁体収容孔101に収納され、軸線L2に平行な方向に摺動変位可能に筐体部分95に設けられている。開閉弁体32は、開閉弁座102に着座可能に設けられる。具体的には、開閉弁体32は、軸線L2に平行な方向に変位することによって、着座および離反するように構成されている。
【0072】
ステム97は、大略的に円柱状に形成され、その軸線方向一端部が開閉弁部102に当接可能状態で、軸線L2に平行な方向に摺動変位可能に開閉弁体収容孔102に収納されている。ステム97の軸線方向一端部は、筐体部分95にシールを達成した状態で、軸線L2に平行な方向に摺動変位可能に設けられている。ステム97は、その軸線方向他端部が筐体部分95の開口から軸線L2に平行な方向に突出している。開閉弁体32およびステム97の軸線は、軸線L2に一致している。
【0073】
ハンドル31は、大略的に切頭円錐状に形成され、ステム97が、軸線L2に平行な方向に変位可能であって、軸線L2まわりの回動が阻止されて挿通されている。ハンドル31は、筐体部分95の軸線方向他端部を覆うように配設されている。ステム97の軸線方向他端部には、ばね押さえ部材99が螺着されている。ハンドル31は、その挿通されるステム97の軸線方向他端部の周りに、円環状のばね部材収容空間104が形成されている。このばね部材収容空間104には、圧縮コイルばねであるばね部材98が収容され、その軸線方向一端部がばね押さえ部材99に当接され、他端部がハンドル31に当接している。ハンドル31およびばね部材98の軸線は、軸線L2に一致している。このように配設されると、ばね部材98によって、ハンドル31には、軸線L2に平行で、かつ筐体部分95に向かう方向の弾発力が付勢される。
【0074】
第2流路形成部93は、軸線L3を有し、軸線L3周りに第2流路105が形成される。第2流路形成部93は、圧源流体用導管5が接続されている。第2流路形成部部93は、圧源流体用導管5が接続されている状態で、第2流路105を流下する圧縮流体を圧源流体用導管5に導くように形成されている。開閉弁部92と第2流路形成部93とにわたって、開閉弁体収容孔101と第2流路105とを連通する連通路106が形成されている。連通路106は、開閉弁体32が開閉弁座102から離反すると、開閉弁一次側ポート100を流下し開閉溝103を通過して導かれる圧縮空気を第2流路105に導くように形成される。
【0075】
図24は、呼吸器10を示す斜視図である。図25は、呼吸器10の断面を示す断面図である。図26は、呼吸器10に含まれる肺力弁35および呼気弁36の一部を破断して示す斜視図である。給気手段である呼吸器10は、減圧弁6で減圧された圧縮空気を給気可能に構成される。呼吸器10には、面体37と、給気導管38と、肺力弁35と、呼気弁36とが含まれる。面体37は、装着者の顔に装着可能に構成され、装着される状態で、装着者の目、鼻および口を覆うように形成される。給気導管38は、面体37と減圧弁6とを接続している。肺力弁35は、給気導管38に介在し、給気導管38内に形成される給気通路39の開度を調整可能に構成されている。肺力弁35は、面体37内の空気の圧力に基づいて、給気通路39の開度を調整するように構成されている。具体的には、面体37内の空気の圧力が、予め定められる圧力である陽圧未満になると、給気通路39を開き、陽圧以上になると、給気通路39を閉じる。呼気弁36は、面体37内の空気の圧力に基づいて、面体37に形成される呼気通路40の開度を調整するように構成される。具体的には、面体37内の空気の圧力が陽圧を超えると、呼気通路40を開き、面体37内の空気の圧力が陽圧以下であると、呼気通路40を閉じる。
【0076】
図27は、逆止弁11を概略示す断面図である。逆流防止手段である逆止弁11は、圧源流体用導管5に介在し、消火剤が消火剤用容器3,4から圧源流体用容器2に向かって圧源流体用導管5を逆流することを阻止するように構成される。逆止弁11は、減圧弁6よりA1方向下流側に設けられる。逆止弁11は、逆止弁体41と逆止弁ばね部材42とが含まれる。逆止弁体41は、圧源流体用導管5に配設され、圧源流体流路30を開閉可能に構成されている。逆止弁ばね部材42は、逆止弁体41にA1方向上流側に向かう弾発力を付勢し、逆止弁体41が圧源流体流路30を閉じる方向に変位させるように配設される。さらに逆止弁体41は、圧源流体用導管5を流下する圧縮空気の圧力および逆流する消火剤の圧力を受圧するように配置される。このように構成することによって、逆止弁体41に対してA1方向下流側および上流側が同一圧力となっても、逆止弁体41が圧源流体流路30を閉じた状態に維持する。これによって少なくとも消火剤から受ける圧力より圧縮空気から受ける圧力が高い状態に維持することができ、逆流を防止する機能が高い。
【0077】
図28は、流下防止弁12を概略示す断面図である。流下防止手段である流下防止弁12は、圧縮空気が消火剤用導管8を流下することを阻止するように構成される。流下防止弁12は、第1消火剤用導管部8aの一端および他端部に設けられ、消火剤用容器3,4に貯留される消火剤の量に基づいて、第1消火剤用導管部8aの一端及び他端部の開口を開閉するように構成される。本実施の形態では、消火剤用容器3,4に貯留される消火剤がなくなると、消火剤より密度が小さい浮子43が第1消火剤用導管部8aの一端及び他端部の開口を閉じて(図28の2点鎖線で示す浮子43)、圧縮空気が消火剤用導管8を流下することを阻止する。
【0078】
図29は、カバー体46,47が開いた状態の容器保持具13を示す正面図である。図30は、図29の紙面左側から見た容器保持具13を示す左側面図である。図31は、図29の紙面上側から見た容器保持具13を示す平面図である。図32は、図29の紙面下側から見た容器保持具13を示す底面図である。図33は、図29の紙面裏側から見た容器保持具13を示す背面図である。図34は、カバー体46,47の断面を示す図である。図35は、カバー体46,47が閉じた状態の容器保持具13を示す正面図である。図36は、図35の紙面左側から見た容器保持具13を示す左側面図である。図37は、図35の紙面上側から見た容器保持具13を示す平面図である。図38は、図34の紙面下側から見た容器保持具13を示す底面図である。図39は、図34の紙面裏側から見た容器保持具13を示す背面図である。図40は、容器保持具13に圧源流体用容器2および消火剤用容器3,4が装着された状態を示す正面図である。容器保持具13は、図29および図35の紙面において左右対称構造であるので、図29および図35の紙面右側から見た容器保持具13は、図29および図35の紙面左側から見た容器保持具13に対して対称である。
【0079】
容器保持具13は、枠体45と2つのカバー体46,47とバックプレート150とを含む。枠体45は、圧源流体用容器2および2つの消火剤用容器3,4を立位状態で配設可能に構成される。具体的には、枠体45に配設された状態で、2つの消火剤用容器3,4は、間隔をあけて配置され、その軸線が平行になるように並設される。圧源流体用容器2は、2つの消火剤用容器3,4の間に配設され、その軸線が2つの消火剤用容器3,4の軸線に平行に配設される。圧源流体用容器2および2つの消火剤用容器3,4は、これらの軸線が二等辺三角形の頂点に位置するように配設される(図37の一点鎖線で示す)。このような位置で圧源流体用容器2および2つの消火剤用容器3,4を配設可能に枠体45が構成される。したがって図40において、圧源流体用容器2の軸線L7に関して、左右対称に2つの消火剤用容器3,4が配設される。
【0080】
枠体45は、たとえばステンレス鋼から成り、圧源流体用容器2および2つの消火剤用容器3,4を着脱可能に形成されている。ただし枠体45は、ステンレス鋼から成るものに限定されない。枠体45は、圧源流体用容器2および2つの消火剤用容器3,4が立位状態で保持可能に構成されている。換言すると、圧源流体用容器2および2つの消火剤用容器3,4が立位する状態で、枠体45が自立可能に構成されている。容器保持具13が自立した状態では、圧源流体用容器2および各消火剤用容器3,4の軸線は、鉛直に延びる。
【0081】
枠体45は、立位する状態で、床などの水平面に当接する脚部分45aと、脚部分45aに連なり各容器2,3,4を着脱可能に保持するための胴部分45bとを含んで構成される。各容器2,3,4が胴部分45bに装着された状態では、枠体45の脚部分45aと、各容器2,3,4とは、間隔をあけて配置され、立位する状態では、各容器2,3,4は、脚部分45aに対して間隔をあけて上方に配置される。
【0082】
立位する状態では、開閉弁9および減圧弁6は、圧源流体用容器2の下方でかつ、枠体45の脚部分45aの上方に配置される。また各圧源流体用および消火剤用導管5,8、減圧弁6、開閉弁9ならびに逆止弁11についても、脚部分45aよりも上方に配置される。これによって各容器2,3,4、圧源流体用導管5、消火剤用導管8、減圧弁6、開閉弁9ならびに逆止弁11が、床に直接接触することが防がれ、それらの損傷を防ぐことができる。
【0083】
また枠体45は、圧源流体用導管5と、減圧弁6と、消火剤用導管8と、開閉弁9と、逆止弁11とを直接または間接的に支持する。本実施の形態では、バックプレート150を介して、それらの各構成5,6,8,9,11を支持する。バックプレート150は、板状に形成され、使用者が消火装置1を装着した状態で、使用者の背中に対向する。具体的には、バックプレート150は、消火剤用容器3,4の2つの軸線を含む仮想平面に対して、圧源流体用容器2の軸線とは反対側に配置され、前記仮想平面に平行に延びる。バックプレート150は、立位する状態の枠体45の上端部および下端部で装着されることで、枠体45に安定的に固定される。
【0084】
枠体45には、消火装置1を使用者が背負うための肩ベルト48が設けられている。2つの消火剤用容器3,4は、使用者が消火装置1を背負っている状態で、消火装置1の横幅が肩幅より狭くなるように配設されている。ここで横幅とは、消火剤用容器3,4が互いに間隔をあけている方向であり、軸線に垂直な方向で、前記3つの容器2〜4の軸線を結んだ二等辺三角形の底辺が延びる方向である。
【0085】
図34は、カバー体46,47の軸線に垂直な仮想平面で切断して見た断面である。2つのカバー体46,47は、半円筒状に形成され、枠体45に回動可能に設けられる。半円筒状とは、円筒をその軸線を含む仮想平面で切断したものと同義である。カバー体46,47は、たとえばFRPから成り、赤、灰または黒などによってその表面が塗装されている。ただしカバー体46,47は、このような材料および色彩から成るものに限定されない。たとえば、カバー体46,47は、材料自体が赤または黒などの色彩を有するアクリル変性高衝撃塩化ビニルによって形成されてもよい。2つのカバー体46,47は、枠体45に装着される2つの消火剤用容器3,4をそれぞれ被覆可能に構成される。一方のカバー体46を回動させることによって、一方の消火剤用容器3の被覆および露出を切換えることができ、他方のカバー体47を回動させることによって、他方の消火剤用容器4の被覆および露出を切換ることができる。具体的には、カバー体46,47は、大略的に半円筒状に形成されている。カバー体46,47は、消火剤用容器3,4より大径に形成され、その周方向一端部が枠体45の胴部分45bに回動可能に設けられている。具体的には、消火剤用容器3,4の軸線に平行な軸線まわりに回動可能に設けられている。カバー体46,47は、これらをそれぞれ回動させることによって、消火剤用容器3,4を被覆および露出させることができる。
【0086】
報知器190は、開閉弁9と減圧弁6との間に介在する圧源流体用導管5から分岐して設けられる。報知器190は、開閉弁9から減圧弁6に流下する圧縮空気の圧力が、予め定められる圧力以下になると、装着者に報知するように構成されている。報知器190は、たとえば警笛などによって装着者に報知する。これによって装着者は、圧源流体用容器2内の圧縮空気の圧力、すなわち残量を知ることができる。したがって使用中に、装着者が呼吸困難に陥ることを抑制できる。
【0087】
圧力指示計191は、開閉弁9と減圧弁6との間に介在する圧源流体用導管5から分岐して設けられる。圧力指示計191は、開閉弁9から減圧弁6に流下する圧縮空気の圧力を計測し、その圧力を表示可能に構成される。これによって装着者は、圧源流体用容器2内の圧縮空気の圧力、すなわち残量を知ることができ、消火剤を放出可能な残り時間および呼吸可能な時間を知ることができる。
【0088】
以下では、このように構成される消火装置1の動作について説明する。開閉弁9のハンドル31を操作することによって、開閉弁9内の流路が開き、圧縮空気が圧源流体流路30を流れる。具体的には、ハンドル31を回動させると、ステム97が変位し、開閉弁体32が開閉弁座102から離反する。これによって第1流路94と第2流路105とが連通し、圧源流体用容器2内の圧縮空気が開閉弁9を介して、圧源流体流路30に流れる。圧縮空気は、圧源流体用導管5を流下し、その圧力が減圧弁6で減圧される。減圧後、圧縮空気は、圧源流体用導管5を通って、サイフォン管22を介して、消火剤用容器3,4に導かれる。消火剤用容器3,4に貯留される消火剤は、導かれる圧縮空気から圧力を受け、消火剤用容器3,4から消火剤用導管8に吐出される。吐出される消火剤は、消火剤用導管8を通って、放出手段7に導かれる。装着者は、放出手段7を用いてこの導かれる消火剤を放出させ、消火する。
【0089】
開閉弁9は、ハンドル31を軸線L2まわり一方に回転させると、ステム97が連動して回転し、軸線L2に平行であって、開閉弁体32を弁座102から離反させる方向に変位する。これによって開閉弁一次側ポート100と第2流路105とが連通し、圧縮空気が流下する。ハンドル31を軸線L2まわり他方に回動させると、ステム97が連動して回動し、軸線L2に平行であって、開閉弁体32が開閉弁座102着座する方向に変位する。このように変位させて、開閉弁体32を開閉弁座102に着座させると、開閉弁一次側ポート100と第2流路105とが遮断され、圧縮空気の供給が停止する。
【0090】
減圧弁6によって、その圧力が一定に保持された圧源流体を消火剤用容器に導くことができる。これによって消火剤用容器3,4から消火剤用導管8に吐出される消火剤の吐出量を、圧縮空気の残量に拘わらず一定にし、放出手段7から放出される消火剤の放出量を一定にすることができる。具体的には、圧力制御弁部111で減圧が行われる。受圧体116が二次側の圧縮空気の圧力を受圧し、この圧力に基づいて、オリフィス129の開度を調整し、二次側の圧力を一定の圧力に保持する。このようにして減圧される。
【0091】
少なくとも酸素を含む混合気体である圧縮気体を減圧弁6で減圧して、給気導管38を介して面体37に給気することができる。装着者は、この面体37を装着することによって、給気される予め定められる圧力(陽圧)空気を吸気することができる。これによって装着者は、呼吸することができる。
【0092】
逆止弁11によって、消火剤用容器3,4から圧源流体用容器2に向かう消火剤の逆流を、減圧手段よりA1方向下流側の位置で阻止することができる。換言すると、消火剤が消火剤用容器3,4から圧源流体用容器2に向かって逆流すると、逆止弁が圧源流体流路30を閉じ、消火剤の逆流を阻止する。これによって消火剤が逆流して、減圧弁6に達することを阻止できる。
【0093】
流下防止弁12によって、圧縮空気が消火剤用導管8を流下することを阻止し、放出手段7に導かれて放出されることを阻止できる。具体的には、消火剤用容器3,4に貯留される消火剤がなくなると、流下防止弁12によって、消火剤用導管8の一端部および他端部の開口を塞ぎ、圧縮空気が消火剤用導管8を流下することを阻止する。これによって圧縮空気が放出手段7から放出されることを阻止できる。
【0094】
消火装置1では、消火剤として、温度上昇にともない粘度が高くなる樹脂が溶解する水溶液が用いられる。これによって消火剤を火に向かって放出すると、放出される消火剤は、その温度が上昇して粘度が高くなる。粘度が高くなった消火剤は、水に比べて流動しにくく、消火対象物に付着している消火剤が流れるなどして広がることを抑制できる。また消火剤用導管を流下する場合、放出後よりも消火剤の温度が低いので、その粘度が低く、消火剤を消火剤用導管8を通って放出手段7まで圧送するために必要な圧力が低くなる。
【0095】
圧源流体用容器2および消火剤用容器3,4が配設される枠体45によって、圧源流体用容器および消火剤用容器を立位状態に保持することができる。また枠体45に設けられるカバー体46,47を回動させることによって、消火剤用容器3,4を被覆し保護する状態と、消火剤用容器3,4を露出させて離脱可能な状態とを切換えることができる。
【0096】
図41は、ノズル筐体70を放出手段7の筐体本体25aに対して変位させた状態を示す図である。放出手段7は、レバー28を角変位させると、弁体26bが軸線方向に変位し、弁通路26cを開く。開閉弁9のハンドル31が操作されて圧源流体流路30に圧縮空気が導かれる状態で、このような動作を行うと、消火剤用導管8および供給管27を介して、弁通路26cに導かれる消火剤が、弁通路26cを通って噴射ノズル29に達し、拡散して噴射される。具体的には、図20のように筐体本体25aの軸線方向一端部と内向きフランジ部72とが当接している状態では、消火剤は、流下孔76および内向きフランジ部72を通過し、第1導流部分75aの一端部に当たって、拡散されて外方に放出される。また図41のようにノズル筐体70を変位させて、第1導流部分75aが内向きフランジ部72に挿通されると、消火剤は、第3導流部分75cによって半径方向外方に緩やかに拡散される。このようにノズル筐体70を変位させることによって、消火剤を拡散させる範囲を変えることができる。
【0097】
図42は、消火剤を消火剤用容器3,4に給液する手順を示すフローチャートである。消火剤用容器3,4の蓋体20を開けると、給液処理が開始し、ステップs1へ移行する。ステップs1では、消火剤用容器3,4に消火剤の濃縮液を供給する。供給が終了すると、ステップs2へ移行する。ステップs2では、水を供給し、消火剤の濃縮液を希釈する。水の供給は、たとえばホースを用いて行う。水を供給する際、ホースの供給口部を消火剤の濃縮液に潜らせ、気泡が消火剤の濃縮液に介在しないように供給する。消火剤の濃縮液を希釈すると、ステップs2からステップs3へ移行する。ステップs3では、消火剤用容器3,4を蓋体20によって封止する。封止されると、給液処理が終了する。
【0098】
以下では、このようにして構成される消火装置1が奏する効果について説明する。本実施の形態の消火装置1によれば、圧縮空気によって、消火剤用容器3,4に貯留される消火剤を吐出させることができるので、従来の第2の技術の二流体消火装置のように、水を噴霧するために大量の空気を使用することなく、少量の圧縮空気によって消火剤を放出することができる。これによって圧源流体用容器2に貯留すべき圧縮空気の容量を従来の技術の二流体消火装置より低減でき、圧源流体用容器2の重量を低減することができる。また同容量の圧縮空気が貯留される圧源流体用容器2の場合、その圧縮空気の圧力を低減することができ、圧源流体用容器2の耐圧性能を高める必要がなく、従来の第2の技術の二流体消火装置より圧源流体用容器を薄肉にすることができる。これによって圧源流体用容器2の重量を低減することができる。このように圧源流体用容器2の重量を低減することによって、消火装置1の重量を低減することができる。
【0099】
さらに消火装置1では、圧縮空気の圧力を減圧弁6によって減圧して、この減圧されている圧縮空気が圧源流体用導管5を通って消火剤用容器3,4に導かれる。これによって消火剤用容器3,4に導かれる圧縮空気の圧力の変動を抑制でき、放出手段7から放出される消火剤の放出量が変動することを抑制できる。このように圧縮空気を、その圧力を減圧して消火剤用容器3,4に導くことによって、消火剤の放出量の変動を抑制し、放出時間に依存しない安定して消火剤の放出を実現できる。圧縮空気の圧力を減圧して導くことによって、消火剤用容器3,4の耐圧性能を高める必要がなく、消火剤用容器3,4の従来の第1および第2の技術の消火装置より薄肉化を図ることができる。これによって消火装置1の重量を低減することができる。
【0100】
また本実施の形態の消火装置1によれば、減圧弁6によって、消火剤用容器3,4から消火剤用導管8に吐出される消火剤の流量を、圧縮空気の残量に拘わらず、一定にすることができる。これによって消火剤用導管8を通って、放出手段7から放出される消火剤の放出量を一定にすることができる。従来の第1および第2の技術の消火装置では、消火剤用容器3,4の内圧に基づいて放出されるので、放出量が消火剤の貯留量に依存する、換言すると放出時間に依存する。本発明では、一定の圧力に保持される圧縮空気によって、消火剤が吐出されるので、放出時間に依存することなく、消火剤を一定の放出量で放出することができる。このように消火剤の放出量を一定にすることによって、消火剤の放出量が放出時間に依存しない、安定した消火能力を有する消火装置1を実現できる。
【0101】
また本実施の形態の消火装置1によれば、呼吸器10によって、圧源流体用容器2に貯留される圧縮空気を、予め定められる圧力(陽圧)に減圧されている空気を面体37に給気し、面体37を装着している装着者が吸気することができる。これによって装着者は、給気された空気によって呼吸することができる。このように消火剤を消火剤用容器3,4から吐出させるための圧縮空気を、装着者への給気に用いることによって、前記給気のためだけに新たに圧縮空気を貯留するための容器を設ける必要がない。これによって消火および給気を可能にするとともに、重量の低減を図ることが可能な消火装置1を実現することができる。
【0102】
また本発明は、圧縮空気を減圧して圧源流体用容器2から消火剤用容器3,4に導くので、従来の第1の技術の消火装置に比べて、圧源流体用容器2から消火剤用容器3,4に導かれる圧縮空気が少量である。したがって従来の第1の技術の消火装置1より多くの圧縮空気を、呼吸器10によって、装着者に給気することができる。これによって装着者は、酸素欠乏を気にすることなく、従来の第1の技術のものより長く火災現場などに滞在し、消火活動をすることができる。
【0103】
また本実施の形態の消火装置1によれば、逆止弁11によって、消火剤が逆流して、減圧弁6に達することを阻止できる。これによって消火剤が呼吸器に導かれ、肺力弁35を通って面体37に吐出されることを防げる。これによって装着者が呼吸器10を用いて安心して吸気することができる。このように圧源流体用容器2に貯留される圧縮空気によって、装着者が安心して吸気可能な空気を給気できるとともに、放出手段7から消火剤を放出させることができる消火装置1を実現できる。
【0104】
また本実施の形態の消火装置1によれば、流下防止弁12によって、消火剤用容器3,4から吐出可能な消火剤がなくなった場合、消火剤用容器3,4に導かれる圧縮空気が消火剤用導管8を流下して、放出手段7から放出されることを防げる。消火剤がなくなった後、圧縮空気が放出され続けることによって、圧源流体用容器2内の圧縮空気が浪費される。流下防止弁12を用いて、圧縮空気の放出を防ぐことによって、このような圧縮空気の浪費を抑制することができる。
【0105】
呼吸器10を有する場合、消火剤がなくなった後、圧縮空気の浪費を抑制することによって、流下防止弁12が設けられない場合に比べて、給気手段から空気を給気可能な時間を延ばすことができる。これによって流下防止弁が設けられない場合に比べて、長い時間火災現場に滞在することができる。火災現場では、呼吸器10を用いて呼吸しながら消火対象物を捜索し、消火活動を行う場合がある。したがって消火対象物を捜索しながら消火が行われるので、空気を給気可能な時間が延ばすことができることは、給気機能を有する消火装置にとって重要である。
【0106】
また本実施の形態の消火装置1によれば、消火剤として温度上昇にともない粘度が高くなる樹脂が溶解する水溶液が用いられることによって、消火対象物に付着している消火剤が流れるなどして広がることを抑制でき、水より多くの量の消火剤を消火対象物付近に停留させることができる。多量の消火剤が停留することによって、熱を吸収量が増加し、消火対象物に対する冷却効果を高めることができる。これによって従来の第1および第2の技術の消火装置より消火性能を向上させることができる。消火性能の向上に伴い、少量の消火剤で消火が可能になり、消火剤用容器3,4に貯留すべき消火剤の容量を少なくすることができる。これによって消火剤用容器3,4の重量を低減でき、消火装置1の重量を低減することができる。また消火剤用導管8を流下する際、消火剤の粘度が小さいので、消火剤を吐出させるために必要な圧力を小さくでき、消火剤用容器3,4に導くべき圧縮空気の圧力を低減を図ることができる。これによって消火剤用容器3,4の耐圧性能を高める必要がなく、薄肉化を図ることができる。
【0107】
また本実施の形態の消火装置1によれば、枠体45によって、圧源流体用容器2および消火剤用容器3,4を立位状態で保持することができる。これによって圧源流体用容器2および消火剤用容器3.4が地面に寝かされるなどして、その表面が損傷することを抑制できる。このような損傷を防ぐことによって、前記容器2〜4が破裂などすることを抑制できる。
【0108】
また本実施の形態の消火装置1によれば、サイフォン管22の連通孔23は、消火剤用容器3,4が立位する状態で、消火剤の水位より高い位置に配設される。これによって圧縮空気が、消火剤をくぐることを抑制できる。圧縮空気が消火剤をくぐることによって、消火剤用導管8を流下する消火剤に気泡が介在し、消火剤を放出しにくくなる。圧縮空気が消火剤をくぐることを抑制することによって、このような問題を克服し、安定した消火剤の放出を実現している。またこのように連通孔23が形成されることによって、消火剤がサイフォン管22に入り込んで、圧源流体用導管5に導かれることを抑制できる。
【0109】
また本実施の形態の消火装置1によれば、このように配設される圧源流体用容器2および2つの消火剤用容器3,4は、圧源流体用容器2の軸線を含み横幅方向に垂直な仮想平面に対して対象に配設されている。したがって装着者が消火装置1を背負うことによって、左右の一方側に重心が傾くことを抑制できる。これによって消火活動時の疲れなどを抑制することができる。また3つの容器2〜4の軸線を結んだ二等辺三角形の底辺を、他の2つの辺より長尺になるように配設することによって、装着者が背負う際、重心が後方側に移ることを防ぎ、消火活動時の疲れなどを抑制することができる。
【0110】
また本実施の形態の消火装置1によれば、消火剤として温度上昇にともない粘度が高くなる樹脂が溶解する水溶液の消火剤を消火対象物に噴射し、粘度が高くなってゲル化している消火剤によって消火対象物を覆うことができる。このように消火対象物を覆うことによって、この消火対象物付近の酸素濃度および温度を低下させ、消火することができる。
【0111】
また本実施の形態の消火装置1によれば、消火剤を消火剤用容器3,4に封入する際、気泡が介在しないように行われる。これによって消火剤が気泡が介在して、消火効率が低下することを抑制できる。
【0112】
また本実施の形態の消火装置1によれば、消火剤用容器3,4がカバー体46,47によって被覆され、圧源流体用容器2が露出している。このように圧源流体用容器2が露出することによって、圧源流体用容器2を注意深く扱うべきことを喚起させることができる。
【0113】
また減圧弁6によれば、2つのばね部材122,121が受圧体116に弾発力を付勢している。これによって受圧体116に安定した弾発力を付勢することができ、受圧体116の突発的な変動を抑制できる。
【0114】
また噴射ノズル29によれば、円環状に消火剤を噴霧し、消火対象物に広範囲に消火剤を散布することができる。さらに噴射ノズル29をその軸線に平行な方向に変位させることによって、消火剤が噴霧される軸線に対する角度を可変可能であり、消火対象物に適した噴射角度で消火剤を噴射することができる。
【0115】
本実施の形態の消火装置1を用いることによって、水の確保が困難な場所において、少量の消火剤および圧縮空気で、効果的な初期消火活動を行うことができる。たとえば高速道路での車両火災、山林火災、車両の進入困難な密集民家での火災、大規模災害地域での火災、道路が寸断されている地域での火災、ならびに工場およびビルでの火災に対する消火に、特に有効である。
【0116】
本実施の形態では、前述のような消火剤を用いることで、消火対象物に付着して、再燃防止効果を発揮させることができ、優れた消火能力を発揮することができる。また本実施の形態では、圧縮空気を圧源流体用容器2内に溜めて、消火活動時には、消火剤用導管8に消火剤のみが流れるようにすることで、不所望に圧縮空気が浪費することを防いで、装着者が吸引可能な圧源流体用容器2内の空気残量を可及的に増やすことができる。また減圧弁6によって減圧した圧縮空気を用いて、前記消火剤を噴射させることで、放射時の反動力が小さく、片手で放出手段7であるハンドガンを把持した状態での消火活動が可能となる。また消火剤の噴流による消火対象物の飛散を少なくすることができる。
【0117】
また前述のような消火剤を用いることで、少ない液量であっても消火効率を高めることができ、消火装置1を背負うことが可能な重量で、かつ消火能力を向上することができる。さらに消火活動時には、消火剤用導管8に消火剤のみが流れるようにすることで、自給式呼吸装置と圧源流体用容器2を兼用したとしても、大容量化を防いで、可搬性を高めることができる。また減圧弁6を用いることで、消火剤用容器3,4は、圧力容器を使用しなくてもよく、軽量化を図ることができる。
【0118】
図43は、本発明の実施の第2形態の消火装置が備える流下防止手段12Aを概略的に示す断面図である。本実施の形態の消火装置は、前述の第1形態の消火装置1に類似する。本実施の形態の消火装置では、前述の流下防止弁12に代えて、以下のような流下防止弁12Aが用いられる。
【0119】
流下防止弁12Aは、第2消火剤用導管部8bに介在している。流下防止弁12Aは、2つの消火剤用容器3,4から流下する圧縮空気が放出手段7まで流下し放出されることを防止できる。
【0120】
さらに詳細に説明すると、流下防止弁12Aは、浮子43と第2消火剤用導管部8bに形成されるフランジ部51とを含んで構成される。浮子43は、消火剤用導管8内に設けられる。フランジ部51は、第2消火剤用導管8bの内周面部の全周にわたって内方に向かって突出して形成される。このようにして形成されるフランジ部51の内周部は、第2消火剤用導管部8bの内周部より小径に形成される。浮子43は、たとえば球状に形成され、消火剤より密度が小さい材料から成る。浮子43は、フランジ部51の内径より大径に形成され、消火剤用導管部8の内径より小径に形成されている。
【0121】
浮子43は、貯留される消火剤がなくなると、圧縮空気によってフランジ部51に向かって、消火剤用導管8内を移動する。フランジ部51に到達すると、浮子43は、フランジ部51に着座し、消火剤用導管8に形成される流路を閉じて(図43の2点鎖線の浮子)、圧縮空気が第2消火剤用導管部8bを流下することを阻止する。
【0122】
本実施の形態の消火装置によれば、流下防止弁12Aを各消火剤用容器3,4に設ける必要がなく、消火装置の構成を簡単化することができる。また圧源流体用導管部5が分岐する分岐点よりも、A1方向上流側に流下防止弁12Aが設けられることで、消火剤用容器3,4に圧縮空気が導かれることを一度に阻止することができ、これによって左右の重量バランスを維持した状態に保つことができる。
【0123】
図44は、本発明の実施の第3形態の消火装置1Cの構成を概略的に示す系統図である。図45は、消火装置1Cの構成を示すブロック図である。本実施の形態の消火装置1Cは、前述の第1形態の消火装置1に類似する。本実施の形態の消火装置1Cでは、前述の流下防止弁12に代えて、以下のような過流防止手段201が用いられ、また前述の逆止弁11に代えて、以下のような逆止弁11Aが用いられる。
【0124】
過流防止手段201は、第1圧源流体用導管部5aに介在する。過流防止手段201は、減圧弁6よりA1方向下流側、かつ、逆止弁11AよりA1方向上流側に、設けられる。このような過流防止手段201は、第1圧源流体用導管部5aを流下する圧縮空気の流量が予め定める設定流量以上になると、圧縮空気が第1圧源流体用導管部5aを流下することを阻止する。
【0125】
図46は、逆止弁11Aと過流防止手段201とを示す断面図である。本実施の形態では、逆止弁11Aと過流防止手段201とは、1つの弁複合体202に組み込まれる。この弁複合体202は、圧源流体用導管5のうち減圧弁6よりA1方向下流側の部分に介在される。弁複合体202は、入口ポート203と出口ポート204とが形成され、筐体部分205がバックプレート150に固定される。圧源流体用導管5は、減圧弁6によって減圧される圧縮空気を、弁複合体202の入口ポート203に導くとともに、弁複合体202の出口ポート204から吐出される圧縮空気を各消火剤用容器3,4に導く。
【0126】
過流防止手段201は、流下開始時における圧縮空気の流下速度を抑制する抑制構造206と、圧縮空気の流下速度が過剰となると導管を塞ぐ過流防止構造207とを含んで構成される。抑制構造206は、入口ポート形成部211と、抑制体212と、第1収容空間形成部213と、抑制用ばね部材214と、第1収容空間閉塞部215とを含んで構成される。抑制構造206は、弁複合体202の一部に形成され、第1軸線L11が設定される。
【0127】
入口ポート形成部211は、圧源流体用導管5から圧縮空気が導かれる空間である入口ポート203を形成する。第1収容空間形成部213は、入口ポート203に連なり、第1軸線L11を中心軸線とし、段付きの円柱状の第1収容空間を形成する。第1収容空間は、第1軸線方向一方側領域の直径が第1軸線方向他方側領域よりも小さく形成される。また第1収容空間形成部213の第1軸線方向一方端部は、第1軸線方向一方に進むにつれて縮径する円錐面が形成される。第1収容空間形成部213の第1軸線方向他端部は、第1収容空間を第1軸線方向他方に開放する開口を形成する。第1収容空間には、抑制体212と、抑制用ばね部材214とが収容され、その開口が第1収容空間閉塞部215によって閉塞される。
【0128】
抑制体212は、円柱状の基部220と、基部220から周方向全周にわたって半径方向に突出する第1〜第3突出部221,222,223とが形成される。第1突出部221は、基部220の軸線方向一端部に連なり、外形形状が略円錐状に形成される。第2突出部222は、基部220の軸線方向中間部に連なり、外形形状が略円柱状に形成される。第3突出部223は、基部220の軸線方向他端部に連なり、外形形状が略円柱状に形成される。第1突出部221と第2突出部222とは、基部220の軸線方向に間隔をあけて配置される。また第2突出部222と第3突出部223とは、基部220の軸線方向に間隔をあけて配置される。第3突出部223は、第2突出部222よりも大きい直径を有する。
【0129】
抑制体212は、第1収容空間に収容された状態で、第1収容空間と同軸に配置され、第1軸線方向に変位可能に構成される。また第1突出部221および第2突出部222が、第1収容空間の第1軸線方向一方側領域に配置され、第3突出部223が第1収容空間の第1軸線方向他方側領域に配置される。第2突出部222および第3突出部223の外周面には、第1収容空間形成部213の内周面の全周にわたって、弾発的に接触するシール部材222a,223aが設けられる。これによって第1収容空間内のうちで各突出部222,223で仕切られた空間での圧縮空気のシールを実現することができる。また抑制体212の基部220には、軸線方向一端面から、第2突出部222よりも軸線方向一方の領域まで、中心軸線に沿って挿通する挿通孔224と、挿通孔224に連なって、第1突出部221と第2突出部222との間の領域を、半径方向に貫通する貫通孔225とが形成される。挿通孔224および貫通孔225は、第1収容空間の直径に比べて十分小さい細孔に形成される。
【0130】
また第1突出部221の円錐面には、第1収容空間形成部213の第1軸線方向一方側端面の全周にわたって、弾発的に接触可能なシール部材221aが設けられる。抑制体212が第1軸線方向一方に押圧されることによって、第1収容空間形成部213の円錐面と、抑制体212の第1突出部221のシール部材221aとが当接することで、第1収容空間形成部213の円錐面と、抑制体212の第1突出部221との間を圧縮空気が通過することが阻止される。このとき入口ポート203内の圧縮空気は、基部220の挿通孔224および貫通孔225を通る第1経路を通過して、第1突出部221と第2突出部222との間の空間に移動する。
【0131】
また抑制体212が第1軸線方向他方に移動することで、第1収容空間形成部213の円錐面と、抑制体212の第1突出部221シール部材221aとが離間することで、第1収容空間形成部213の円錐面と、抑制体212の第1突出部221との間を圧縮空気が通過することが許容される。このとき入口ポート203内の圧縮空気は、基部220の挿通孔224および貫通孔225を通る第1経路を通過するとともに、第1収容空間形成部213の円錐面と、抑制体212の第1突出部221との間を通る第2経路を通過して、第1突出部221と第2突出部222との間の空間に移動する。第2経路は、第1経路に比べて、流路断面積が大きく、大部分の圧縮空気が第2経路を通過する。
【0132】
抑制用ばね部材214は、圧縮コイルばねであって、第1収容空間に収容された状態で、第1収容空間と同軸に配置され、第1収容空間閉塞部215に支持される。抑制用ばね部材214は、第1収容空間の第1軸線方向他方側領域に配置され、第1軸線方向一端部が抑制体212に接触し、第1軸線方向他端部が第1収容空間閉塞部215に接触する。抑制用ばね部材214は、抑制体212を第1軸線方向一方に向かって弾発的に押圧する。第1収容空間が、抑制体212の第3突出部223によって仕切られることで、第3突出部223の軸線方向一方と他方とで、シールが実現された状態となる。本実施の形態では、第3突出部223よりも第1軸線方向他方であって、抑制用ばね部材214が配置される空間は大気圧に保たれる。抑制体212は、第3突出部223よりも第1軸線方向一方の空間の圧力が予め定められる第1設定値を超えると、第3突出部223の両側の圧力差によって発生する力によって、抑制用ばね部材214のばね力に抗して第1軸線方向他方に変位する。
【0133】
過流防止構造207は、第2収容空間形成部231と、過流防止弁体232と、過流防止用ばね部材233と、第2収容空間閉塞部234と、導入空間形成部235とを含んで構成される。過流防止構造207は、弁複合体202の一部に形成され、第2軸線L12が設定される。
【0134】
第2収容空間形成部231は、第2軸線L12を中心軸線とし、第1収容空間に連なり、段付きの円柱状の第2収容空間を形成する。第2収容空間は、第1収容空間のうちで、抑制体212の第1突出部221と第2突出部222とに挟まれた空間に連なる。また第2収容空間は、第2軸線方向一方側領域の直径が第2軸線方向中間領域よりも大きく形成される。また第2収容空間形成部231の軸線方向他端部は、第2収容空間を軸線方向他方に開放する開口を形成する。第2収容空間には、過流防止弁体232と、過流防止用ばね部材233とが収容され、その開口が第2収容空間閉塞部234によって閉塞される。
【0135】
過流防止弁体232は、弁本体241と、位置決め片242と、ばね支持片243とを含んで構成される。弁本体241は、円板状に形成される。また位置決め片242は、弁本体241を位置決めするために設けられ、弁本体241から厚み方向一方に突出する。またばね支持片243は、過流防止用ばね部材233を支持するために設けられ、弁本体241から厚み方向他方に突出する。
【0136】
弁本体241は、第2収容空間に収容された状態で、第2軸線L12と同軸に配置され、第2軸線方向に変位可能に構成される。また弁本体241は、第2収容空間のうち第2軸線方向一方側領域に配置され、第2収容空間の第2方向中間領域の断面積よりも大きく形成される。位置決め片242は、第2収容空間形成部231の第2軸線方向一方端面に当接することで、弁本体241と、第2収容空間形成部231の端面および内周面との間に隙間を形成する。この状態では、弁本体241と、第2収容空間形成部231の内周面との間の隙間は、第2収容空間の断面積に比べて十分小さく形成される。
【0137】
過流防止用ばね部材233は、圧縮コイルばねであって、第2収容空間に収容された状態で、第2収容空間と同軸に配置され、第2収容空間形成部231に支持される。過流防止用ばね部材233は、第2収容空間の第2軸線方向他方側領域に配置され、第2軸線方向一端部が抑制体212に接触し、第2軸線方向他端部が第2収容空間形成部231に接触する。過流防止用ばね部材233は、過流防止弁体232を第2軸線方向一方に向かって弾発的に押圧する。このとき、過流防止弁体232の位置決め片242が、第2収容空間形成部231の端面に当接することで、弁本体241は、第2収容空間形成部231の端面および内周面との間に隙間を形成した状態を維持する。これによって第1収容空間から、第2収容空間の中間領域への圧縮空気の通過が許容される。
【0138】
また弁本体241は、第2収容空間の軸線方向一方側領域よりも中間領域の圧力が予め定められる第2設定値未満になると、弁体本体の両側の圧力差によって発生する力によって、過流防止用ばね部材233のばね力に抗して第2軸線方向他方に変位する。そして第2空間形成部の段つき部分に形成される弁座に、弁本体241が着座する。これによって弁本体241が、第2収容空間の軸線方向一方側領域と、中間領域との間を封鎖し、第2収容空間を圧縮空気が流れることが阻止される。
【0139】
また第2収容空間の中間領域は、第2収容空間の第2軸線方向他方の領域に連なる。第2収容空間の中間領域を通過した圧縮空気は、フィルタ部材245を通過して、第2収容空間の第2軸線方向他方の領域に移動する。また導入空間形成部235は、導入空間を形成する。導入空間は、第2収容空間の第2軸線方向他方の領域と、第1収容空間のうちで、抑制体212の第2突出部222と第3突出部223とに挟まれた空間に連なる。
【0140】
逆止弁11Aは、消火剤が消火剤用容器3,4から圧源流体用容器2に向かって逆流することを防止するために逆止弁構造301によって実現される。逆止弁構造301は、逆止弁体302と、第3収容空間形成部303と、逆止弁ばね部材304と、出口ポート形成部305とを含んで構成される。抑制構造206は、弁複合体202の一部に形成され、第3軸線L13が設定される。
【0141】
第3収容空間形成部303は、導入空間に連なり、第3軸線L13を中心軸線とする第3収容空間を形成する。また出口ポート形成部305は、第3収容空間に連なり、圧源流体用導管5に圧縮空気を導く空間である出口ポート204を形成する。逆止弁体302は、第3収容空間に収容され、導入空間と第3収容空間との連通路を開閉可能に構成されている。逆止弁ばね部材304は、逆止弁体302によって連通路を塞ぐ方向に逆止弁体302を弾発的に押圧する。また逆止弁体302は、第3収容空間の圧力を受圧する。このように構成することによって、導入空間と第3収容空間との圧力が同一圧力となっても、逆止弁体302が連通路を閉じた状態に維持する。また導入空間の圧力が、第3収容空間の圧力よりも、予め定められる圧力分高くなると、圧力差によって、逆止弁ばね力のばね力に抗して変位し、連通路を開いた状態とする。
【0142】
圧縮空気が入口ポート203から供給されていない供給前状態では、第1〜第3収容空間および各ポート203,204の圧力は、大気圧となる。この場合、図46に示すように、抑制構造206において、基部220の第1突出部221が、第1収容空間形成部213の第1軸線方向一方端部に当接する。また過流防止構造207において、弁本体241と、第2収容空間形成部231の端面および内周面との間に隙間を形成する。また逆流防止構造において、逆止弁体302が、連通路を閉鎖する。
【0143】
この状態から、圧縮空気が入口ポート203に供給されると、圧縮空気は、基部220の挿通孔224および貫通孔225を通過することで、流下速度が弱められ、第1突出部221と第2突出部222との間の空間の圧力が緩やかに増大する。これによって過流防止構造207における弁本体241の両側の圧力差が急激に変化することが防がれる。弁本体241と第2収容空間形成部231との間に形成される隙間が維持され、圧縮空気は、第2収容空間を通過して導入空間に流れる。
【0144】
導入空間に圧縮空気が流れることで、導入空間の圧力が増加する。これによって、逆止弁が連通路を開いて、圧縮空気が第3収容空間を介して出口ポート204に流れる。また導入空間に圧縮空気が流れることで、第1収容空間における第2突出部222分と第3突出部223分にも圧縮空気が流れる。この場合、第3突出部223分の両側の空間で圧力差が生じ、抑制体212が第1軸線方向他方に移動する。これによって圧縮空気は、基部220の挿通孔224および貫通孔225を通る第1経路のほかに、第1収容空間形成部213の円錐面と抑制体212の第1突出部221との間を通る第2経路を通過して、入口ポート203から第2収容空間に移動可能となる。
【0145】
このように圧縮空気の供給直後は、圧縮空気は第1経路を通過する。また導入空間の圧力が十分高くなると、圧縮空気は、第1経路および第2経路を通過する。第1経路だけを通過する場合、圧縮空気が急速に第2収容空間に流れ込むことが妨げられ、圧縮空気の供給直後に、過流防止構造207の弁本体241による第2収納空間の閉鎖を防ぐことができる。
【0146】
また圧縮空気が安定的に供給される供給状態では、圧縮空気は、第1経路および第2経路を通過する。この状態で、消火剤の残量がゼロになって圧縮空気が放射ノズルから噴出すると、過流防止構造207の弁本体241よりも下流側の圧力が急激に減少して、圧力差によって弁体が第2収容空間を塞ぐ。これによって放射ノズルから圧縮空気が噴射することを防いで、圧縮空気の浪費を防ぐことができる。また本実施形態の弁構造体は、圧縮空気の供給を解除して、入口ポート203と出口ポート内を大気圧とすることで、特別な操作を行う必要がなく、初期状態に切換えることができる。
【0147】
たとえば、消火剤が噴射される場合において、圧縮空気が導通通路を流れる流量は、0.06m3/分(約60リットル/分)であるのに対して、消火剤の残量がゼロとなり、圧縮空気が噴射される場合において、圧縮空気が導通通路を流れる流量は、0.2m3/分(約200リットル/分)である。このように、消火剤と圧縮空気とで、約3倍以上の流量差が発生するので、流量差が大きい場合に、導通路を塞ぐ弁を設けることで、圧縮空気の浪費を防ぐことができる。また本実施形態では、消火剤と圧縮空気とでの圧縮空気の流量差に起因する圧力差に基づいて、過流防止を行ったが、他の構成によって過流防止を行ってもよい。
【0148】
また弁複合体202として、過流防止構造207と、抑制構造206と、逆止弁構造301とを一体と構成することで、圧源流体用導管5との接続部品を減らして、小形化および軽量化を図ることができる。
【0149】
また変形例として、過流防止構造207と、抑制構造206と、逆止弁構造301とがそれぞれ、別体に形成されてもよい。また過流防止手段は、過流防止弁以外で実現されてもよい。たとえば流量検出手段と、開閉弁と、制御手段とを組合せたものであってもよく、流量検出手段によって検出される圧縮空気の流量が、予め定められる設定値を超えたことを制御手段が判断すると、制御手段は、圧源流体用導管5を閉じるように開閉弁に制御指令を与える。これによっても、過流防止弁と同様の効果を得ることができる。また本実施形態では、抑制構造を有したが、圧縮空気の供給開始直後において、開閉弁9によって圧縮空気をゆっくり流下させることができるならならば、抑制構造を有しなくてもよい。
【0150】
また圧源流体用導管5の分岐前に過流防止構造を形成することで、過流防止構造を2つ設ける必要がなく、構造を簡単化することができる。また圧縮空気の浪費を確実に防ぐことができ、安全性を向上することができる。また、他の実施形態として、圧源流体用導管5の分岐後に過流防止構造をそれぞれ形成してもよい。この場合、一方の消火剤用容器3の消火剤がなくなっても、他方の消火剤用容器4から消火剤を噴射させることができる。
【0151】
本実施の形態では、過流防止手段201が用いられるけれども、過流防止手段201に代えて、他の開閉弁246が用いられてもよい。この場合、装着者は、消火剤用容器3,4内の消火剤がなくなったと判断すると、他の開閉弁246を開状態から閉状態に切換える。これによって圧縮空気の浪費を抑制することができる。
【0152】
図47は、本発明の実施の第4形態の消火装置1Dの構成を概略的に示す系統図である。本実施の形態の消火装置1Dは、前述の第1形態の消火装置1に類似する。本実施の形態の消火装置1Dでは、前述の流下防止弁12に代えて、以下のような過流防止弁250が用いられる。
【0153】
過流防止手段である過流防止弁250は、第1圧源流体用導管部5aに介在する。過流防止弁250は、減圧弁6よりA1方向下流側、かつ、逆止弁11よりA1方向上流側に、設けられる。過流防止弁250は、前述の第3形態の過流防止構造207と同様の構成によって実現される。このような過流防止弁250は、第1圧源流体用導管部5aを流下する圧縮空気の流量が予め定める設定流量以上になると、圧縮空気が第1圧源流体用導管部5aを流下することを阻止する。
【0154】
本実施の形態の消火装置1Dは、過流防止弁250を迂回する迂回導管251と、迂回導管251に介在し、開状態と閉状態とに切換え可能に構成される迂回導管開閉弁252とをさらに備える。迂回導管251は、第1圧源流体用導管部5aのうち減圧弁6と過流防止弁250との間の部分から分岐し、第1圧源流体用導管部5aのうち過流防止弁250と逆止弁11との間の部分に合流する。
【0155】
圧源流体用容器2から消火剤用容器3,4に圧縮空気が導かれる前、消火剤用容器3,4内の圧力は大気圧である。消火剤用容器3,4内の圧力が大気圧である場合、消火剤用容器3,4に消火剤があるにも拘わらず、開閉弁9を閉状態から開状態に切換えたときに、第1圧源流体用導管部5aに、予め定める設定流量以上の圧縮空気が流下することがある。この点を考慮して、迂回導管251および迂回導管開閉弁252が設けられる。
【0156】
開閉弁9を閉状態から開状態にするにあたっては、まず、迂回導管開閉弁252を開状態にする。この状態で、開閉弁9を閉状態から開状態に切換える。このとき圧縮空気の大部分は、迂回導管251を通って、消火剤用容器3,4に導かれる。したがって過流防止弁250が不所望に作動してしまうことを防ぐことができる。消火剤用容器3,4内の圧力が上昇した後、迂回導管開閉弁252を開状態から閉状態に切換える。
【0157】
図48は、本発明の実施の第5形態の消火装置が備える容器保持具13Aを示す正面図であり、この図48は、カバー体46,47が開いた状態の容器保持具13Aを示す。図49は、図48の紙面左側から見た容器保持具13Aを示す左側面図である。図50は、図48の紙面上側から見た容器保持具13Aを示す平面図である。図51は、図48の紙面下側から見た容器保持具13Aを示す底面図である。図52は、図48の紙面裏側から見た容器保持具13Aを示す背面図である。図53は、カバー体46,47が閉じた状態の容器保持具13Aを示す正面図である。図54は、図53の紙面左側から見た容器保持具13Aを示す左側面図である。図55は、図53の紙面上側から見た容器保持具13Aを示す平面図である。図56は、図53の紙面下側から見た容器保持具13Aを示す底面図である。図57は、図53の紙面裏側から見た容器保持具13Aを示す背面図である。図58は、容器保持具13Aに圧源流体用容器2および消火剤用容器3,4が装着された状態を示す正面図である。容器保持具13Aは、図48および図53の紙面において左右対称構造であるので、図48および図53の紙面右側から見た容器保持具13Aは、図48および図53の紙面左側から見た容器保持具13Aに対して対称である。
【0158】
本実施の形態の消火装置は、前述の第1形態の消火装置1に類似する。本実施の形態では、前述の容器保持具13に代えて、以下のような容器保持具13Aが用いられる。本実施の形態で用いられる容器保持具13Aは、前述の容器保持具13に類似するので、異なる点についてだけ説明する。
【0159】
枠体45の脚部分45aは、使用者が消火装置を装着した状態で使用者を中心とする円弧に沿うように形成される。これによって使用者が消火装置を装着した状態で移動する際に、枠体45の脚部分45aと他の物体との干渉を防ぐことができる。
【0160】
枠体45の胴部分45bには、この胴部分45bに圧源流体用容器2が装着された状態で前記圧源流体用容器2の上部よりも上方に突出し、使用者が把持可能に構成される取手部256が形成される。このように取手部256が形成されるので、使用者は、取手部256を把持して消火装置を容易に持ち上げることができる。
【0161】
取手部256には、グリップ部材が設けられてもよい。グリップ部材は、取手部256を覆うように設けられる。この場合、使用者は、グリップ部材を把持することになる。グリップ部材を把持する場合、グリップ部材と使用者の手との接触面積が大きくなり、これによって取手部256から使用者の手に作用する力を分散させることができ、したがって把持し易くなる。
【0162】
図59は、本発明の実施の第6形態の消火装置が備える容器保持具13Bを示す正面図である。図60は、図59の紙面左側から見た容器保持具13Bを示す左側面図である。図61は、図59の紙面下側から見た容器保持具13Bを示す底面図である。図62は、図59の切断線T−Tから見た断面図である。本実施の形態の消火装置は、前述の第5形態の消火装置に類似する。本実施の形態では、前述の容器保持具13Aに代えて、以下のような容器保持具13Bが用いられる。本実施の形態で用いられる容器保持具13Bは、前述の容器保持具13Aに類似する。
【0163】
具体的には、枠体45の脚部分45aは、使用者が消火装置を装着した状態で使用者を中心とする円弧に沿うように形成され、また枠体45の胴部分45bには、この胴部分45bに圧源流体用容器2が装着された状態で前記圧源流体用容器2の上部よりも上方に突出し、使用者が把持可能に構成される取手部260が形成される。取手部260には、グリップ部材が設けられてもよい。このような本実施の形態では、前述の第5形態と同様の効果を達成することができる。
【0164】
図63は、本発明の実施の第7形態の消火装置1Bを示す図である。本実施の形態の消火装置1Bは、前述の第1形態の消火装置1に類似する。本実施の形態の消火装置1Bは、二輪車52に積載される。具体的には、二輪車52の後部座席に圧源流体用容器2が積載され、後部座席の両側に消火剤用容器3,4がそれぞれ配設されている。二輪車52には、巻取手段53が設けられ、消火剤用導管8を巻取および巻き戻し可能に構成されている。消火剤用導管8は、巻取手段53に巻取られて収納され、使用時に巻き戻される。
【0165】
本実施の形態では、消火装置1Bは、二輪車52に積載されているけれども、二輪車52に限定されない。たとえば消防車、台車およびリヤカーなどの四輪車、三輪車またはヘリコプターおよび飛行機などの飛行体であってもよく、積載して移動可能な移動体であればよい。
【0166】
図64は、本発明の実施の第8形態の消火装置が備える放出手段7の噴射ノズル29Cを拡大して示す図である。本実施の形態の噴射ノズル29Cは、前述の第1形態の噴射ノズル29に類似する。放出手段7の筐体本体25aは、そのフランジ部分77が軸線方向一端部より軸線方向他端部側に形成され、軸線方向一端部とフランジ部分77との間に、半径方向に貫通する吸い込み口81が形成されている。ノズル筐体70Cは、円筒状に形成され、その軸線方向に伸びる長尺に形成される。
【0167】
このように構成される噴射ノズル29Cによれば、消火剤がフランジ部分77の内方を通過し、噴射ノズル29Cを流下する。このとき消火剤が流下することによって、噴射ノズル29Cの内圧力が低下し、吸い込み口81から外方の空気が吸い込まれる。吸い込まれる空気と消火剤とが混合し、消火剤が発泡して放出される(図64の二点鎖線)。
【0168】
図65は、本発明の実施の第9形態の消火装置が備える放出手段7Dを示す正面図である。図66は、図65を紙面左側から見た放出手段7Dを示す左側面図である。図67は、図65を紙面右側から見た放出手段7Dを示す右側面図である。図68は、図65を紙面上側から見た平面図である。図69は、図65を紙面下側から見た放出手段7Dを示す底面図である。図70は、図65を紙面裏側から見た放出手段7Dを示す背面図である。
図71は、図65の切断線H−Hで切断して見た放出手段7Dの端面図である。図72は、図65の切断線J−Jで切断して見た放出手段7Dの端面図である。図73は、図65の切断線K−Kで切断して見た放出手段7Dの端面図である。図74は、図66の切断線M−Mで切断して見た放出手段筐体170を示す断面図である。本実施の形態の放出手段7Dは、前述の第1形態の放出手段7に類似し、放出手段筐体170の外形だけが放出手段筐体25と異なる。放出手段筐体170の外形の詳細な説明については、図71から図74を参照し、省略する。その他の同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0169】
放出手段7Dは、放出手段筐体170と、開閉弁部26と、供給管27と、レバー28と、噴射ノズル29とが含まれる。放出手段筐体170は、筐体本体170aと把持部170bとを含む。筐体本体170aは、筐体本体25aと構成が類似し、具体的には、突起部159が形成されていない。把持部170は、大略的にU字状に形成され、その一端部171aが筐体本体170aの長手方向他端部に、他端部171bが筐体本体25aの長手方向中間部に一体形成され、把持可能に形成されている。
【0170】
図75は、本発明の実施の第10形態の消火装置が備える減圧弁6Eを示す平面図である。図76は、図75の切断線N−Nで減圧弁6Eを切断して見た断面図である。図77は、図75の切断線P−Pで減圧弁6Eを切断して見た断面図である。図78は、図77の切断線Q−Qで減圧弁6Eを切断して見た断面図である。図79は、図75の切断線R−Rで減圧弁6Eを切断して見た部分断面図である。本実施の形態の減圧弁6Eと前述の第1形態の減圧弁6とは、外観および各構成の配置が異なるだけで、大略的に構成が同一である。したがって本実施の形態の減圧弁6Eにおいて、前述の第1形態の減圧弁6と同一の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0171】
図80は、本発明の実施の第11形態の消火装置が備える消火剤用容器3,4の蓋体20Aの構成を示す平面図である。図81は、図80の切断線S−Sから見た断面図である。本実施の形態の消火装置は、前述の第1形態の消火装置1に類似する。本実施の形態では、前述の蓋体20に代えて、以下のような蓋体20Aが用いられる。
【0172】
蓋体20Aは、消火剤用容器3,4の軸線方向一端部の開口部に着脱可能に形成され、蓋体20Aが消火剤用容器3,4から取外されることで、消火剤用容器3,4はその開口が開放する。また蓋体20Aが消火剤用容器3,4に装着されることで、消火剤用容器3,4は、その開放が閉塞される。蓋体20Aは、外ねじが形成される円柱状に形成され、消火剤用容器3,4の開口部に形成される内ねじに螺着されることで、消火剤用容器3,4に装着される。蓋体20Aは、略円柱状に形成されて、消火剤用容器3,4に螺合した状態で、軸線方向一端面が消火剤用容器3,4の内部空間に臨み、外周面が消火剤用容器3,4の開口部に臨む。蓋体20Aは、消火剤用容器3,4に螺合した状態で、消火剤用容器3,4と蓋体20Aとの隙間を塞ぐシール部材271が外周部に形成される。
【0173】
蓋体20Aは、消火剤用容器3,4内の圧力を大気圧まで低下させる圧抜き機能を有する圧抜き弁272が形成される。蓋体20Aは、蓋体本体273に形成される連通管274と、蓋体本体273とは別体に形成される圧抜き用弁体275とが形成される。連通管274は、軸線方向一端面から、蓋体20A内部を挿通して、外周面に達する連通孔を形成する。連通管274は、軸線方向一端面から蓋体20Aの中心軸線に沿って延びる縦孔を形成する第1部分276と、第1部分276に連なり圧抜き用弁体275が収容される収容空間を形成する第2部分277と、第2部分277に連なり蓋体20Aの半径方向に延びて蓋体20Aの外周面に開放する横孔を形成する第3部分278とを有する。収容空間の軸線方向断面積は、縦孔に比べて大きく形成される。第1部分276と第2部分277との接続部分には、圧抜き用弁体275が着座する着座面281が形成される。
【0174】
圧抜き用弁体275は、軸線方向に変位可能に形成され、着座面281に当接することによって、第1部分276に形成される縦孔を塞ぐ。これによって消火剤用容器3,4内の圧縮空気が、連通管274内を通過することが阻止される。また圧抜き用弁体275が着座面281から離間することで、連通管274の封止が解除され、消火剤用容器3,4内の圧縮空気が、連通管274内を通過することが許容される。
【0175】
圧抜き用弁体275は、弾発性を有して、着座面281に臨む当接部材282と、当接部材282を保持する保持部材283とによって構成される。保持部材283は、蓋体本体273に形成される内ねじに螺着する。保持部材283が、螺進することで着座面281に近接する方向に当接部材282を移動させ、螺退することによって着座面281から離反させる方向に当接部材282を移動させる。また保持部材283は、蓋体本体273に設けられるピン部材280によって係止されることで、変位範囲が制限される。
【0176】
また消火剤用容器3,4には、圧抜きのための圧抜き空間284が形成される。圧抜き空間284は、環状空間285と、脱出孔286とから成る。環状空間285は、蓋体20Aが螺着された状態で、蓋体20Aに形成される横孔の開口に臨んで、厚み方向に没入して円環状に形成される空間である。脱出孔286は、環状空間285に連なり、消火剤用容器3,4を厚み方向に貫通する空間である。
【0177】
消火剤用容器3,4内の圧縮空気が大気圧よりも高い状態で、保持部材283を螺退させて、当接部材282を着座面281から離間させると、消火剤用容器3,4内の圧縮空気は、大気圧に対する圧力差によって、連通管274内、消火剤用容器3,4の圧抜き空間284を順に通過して、消火剤用容器3,4外方に噴出する。また消火剤用容器3,4内の圧力が大気圧となると、消火剤用容器3,4からの空気の噴出が収まる。また圧抜き用弁体275は、圧縮空気によって蓋体本体273から離脱する方向に圧力を受けても、ピン部材に係止されることによって、圧抜き時に蓋体本体273から抜出ることが防がれる。
【0178】
本実施の形態によれば、圧抜き弁272は、消火剤用容器3,4内の消火剤の一部が消火剤用容器3,4に残留している状態で、消火剤を継ぎ足す場合に用いられる。この場合、開閉弁9によって圧源流体用導管5が閉鎖された状態で、圧抜き弁272によって消火剤用容器3,4内の圧縮空気を消火剤用容器3,4外に放出させる。そして消火剤用容器3,4内の圧力を大気圧まで低下させた後で、蓋体20Aを消火剤用容器3,4から取外して、消火剤を再充填する。次に、蓋体20Aによって消火剤用容器3,4を塞ぐ。これによって残留する消火剤を消火剤用容器3,4から排出させることなく、消火剤を再充填することができ、利便性を向上することができる。
【0179】
図82は、本発明の実施の第12形態の消火装置1Eの構成を概略的に示す系統図である。本実施の形態の消火装置1Eは、前述の第3形態の消火装置1Cに類似する。前述の第3形態では、消火剤用容器3,4の内部空間に配置されるサイフォン管22によって、消火剤用容器3,4の開口部から離れた位置に圧縮空気を供給したけれども、本実施の形態では、消火剤用容器3,4にそれぞれ設けられる接続体321によって、消火剤用容器3,4の内部空間に圧縮空気を導入してもよい。
【0180】
接続体321は、消火剤用容器3,4の蓋体20近傍にそれぞれ配置される。接続体321は、溶接によって消火剤用容器3,4に接続され、消火剤用容器3,4の内部空間と挿通する接続口を形成する。接続体321は、第2圧源流体用導管部5bの端部と着脱可能にそれぞれ接続される。接続体321が第2圧源流体用導管部5bに接続されることで、圧源流体用導管5を流れる圧縮空気は、接続口を介して消火剤用容器3,4内に充填される。これによってサイフォン管22が配置される場合と同様の効果を得ることができる。
【0181】
接続体321は、消火剤用容器3,4の上端部のうちで圧源流体用容器2寄りに配置され、枠体45から水平方向に突出することが防がれる。これによって接続体321が、火災現場などで障害物に衝突することが妨がれ、消火剤用容器3,4から折れることを防ぐことができる。また圧源流体用導管5を、2つの消火剤用容器3,4の間の空間を通過させることができ、圧源流体用導管5が、消火剤用容器3,4よりも外側を延びることを妨いで、障害物に引っかかることが妨げられる。また枠体45の上端部よりも、接続体321の上端部が低く設定されることによっても、接続体321が消火剤用容器3,4から折れることを防ぐことができる。
【0182】
また接続体321を設けることで、消火剤の濃縮液および水をホース等によって消火剤用容器3,4に注入する場合に、障害物をなくすことができ、ホースを容易に消火剤用容器3,4内に進入させることができる。またサイフォン管が存在する場合には、ホースとサイフォン管とが接触して、サイフォン管が破損するおそれがあるが、本実施の形態のようにサイフォン管をなくすることで、サイフォン管の破損による消火装置の損傷を防ぐことができる。
【0183】
またサイフォン管を設ける場合には、消火剤用容器3,4の開口に集合配管21を設ける必要があったが、本実施の形態のように、消火剤用容器3,4に対する圧縮空気の入口を、消火剤用容器3,4の開口とは別体に設けることで、集合配管21を省いて汎用品を用いることができ、製造コストを低減することができる。
【0184】
また接続体321と第2圧源流体用導管部5bとが着脱可能に形成されることで、消火剤の残量がゼロになった消火剤用容器3,4を消火装置から取外して、消火剤が充填された消火剤用容器3,4を新たに装着することができる。これによって火災現場などで消火剤の消火剤用容器3,4への再充填作業を不必要とすることができ、消火作業を短時間で再開することができる。
【0185】
前述の実施の各形態は、本発明の例示に過ぎず、本発明の範囲内において構成を変更することができる。たとえば前述の実施の各形態では、圧源流体として、圧縮空気が用いられているけれども、呼吸器10が設けられていない場合、圧縮空気に限定されない。たとえば窒素などの気体であってもよく、液体であってもよい。また消火剤としては、難燃性を有する液体であればよく、たとえば水が用いられてもよく、あるいは泡消火薬剤および強化液が用いられてもよい。
【0186】
減圧手段として、減圧弁6,6Eが用いられているけれども、このような一定圧力に減圧可能な構成に限定されない。たとえば圧源流体用導管5にオリフィスを形成して、減圧するようにしてもよく、圧縮空気の圧力を減圧可能な手段であればよい。同様に逆止弁11,11A、流下防止弁12,12A、過流防止手段201および開閉弁9も、このような構成に限定されず、それぞれ各機能を果たすことができるような構成であればよい。
【0187】
また放出手段7であるハンドガンは、1箇所以上、本実施形態では、2箇所にリング状に形成される連結部分を有する。これによってハンドガンは、カラビナなどの連結金具を介して、腰バンドに対して着脱可能に形成される。本実施の形態では、各連結部は、噴射ノズルから離反した位置に配置され、ハンドガンを腰バンドに装着した状態で、噴射ノズルが下方に向くように連結部分が配置される。第1連結部分は、噴射方向と反対に噴射ノズルから離反した位置に配置される。また第2連結分は、供給管27よりに配置される。
【0188】
ハンドガンが腰バンドに装着されることで、装着者は、ハンドガンを両手で常時把持する必要がなく、火災現場における作業を円滑に行うことができる。またハンドガンを腰バンドから取外すことで、装着者がハンドガンを両手で支持して、消火対象物に消火剤を噴射させることができる。
【0189】
枠体45には、圧源流体用容器2および消火剤用容器3,4があたるところに緩衝部材が配置されている。これによって搬送時に枠体45に対して、圧源流体用容器2および消火剤用容器3,4が上下動したとしても、装着者に与えられる衝撃を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0190】
【図1】本発明の実施の第1形態の消火装置1の構成を概略的に示す系統図である。
【図2】消火装置1の構成を示すブロック図である。
【図3】消火装置1を示す正面図である。
【図4】減圧弁6を示す平面断面図である。
【図5】図4の切断線A−Aで切断して減圧弁を見た断面図である。
【図6】放出手段7を示す正面図である。
【図7】図6を紙面左側から見た放出手段7を示す左側面図である。
【図8】図6を紙面右側から見た放出手段7を示す右側面図である。
【図9】図6を紙面上側から見た平面図である。
【図10】図6を紙面下側から見た放出手段7を示す底面図である。
【図11】図6を紙面裏側から見た放出手段7を示す背面図である。
【図12】図7の切断線B−Bで切断して見た放出手段7を示す正面断面図である。
【図13】図6の切断線E−Eで切断して見た放出手段7の端面図である。
【図14】図6の切断線F−Fで切断して見た放出手段7の端面図である。
【図15】図6の切断線G−Gで切断して見た放出手段7の端面図である。
【図16】図7の切断線B−Bで切断して見た放出手段筐体25を示す断面図である。
【図17】集合配管21を示す図である。
【図18】図17の紙面下側から見た集合配管21を示す底面図である。
【図19】図17の紙面上側から見た集合配管21を示す平面図である。
【図20】噴射ノズル29を拡大して示す図である。
【0191】
【図21】開閉弁9を示す平面図である。
【図22】図21の切断線C−Cで切断して見た開閉弁9を示す図である。
【図23】図21の切断線D−Dで切断して見た開閉弁9を示す図である。
【図24】呼吸器10を示す斜視図である。
【図25】呼吸器10の断面を示す断面図である。
【図26】呼吸器10に含まれる肺力弁35および呼気弁36の一部を破断して示す斜視図である。
【図27】逆止弁11を概略示す断面図である。
【図28】流下防止弁12を概略示す断面図である。
【図29】カバー体が開いた状態の容器保持具13を示す正面図である。
【図30】図29の紙面左側から見た容器保持具13を示す左側面図である。
【図31】図29の紙面上側から見た容器保持具13を示す平面図である。
【図32】図29の紙面下側から見た容器保持具13を示す底面図である。
【図33】図29の紙面裏側から見た容器保持具13を示す背面図である。
【図34】カバー体46,47の断面を示す図である。
【図35】カバー体が閉じた状態の容器保持具13を示す正面図である。
【図36】図35の紙面左側から見た容器保持具13を示す左側面図である。
【図37】図35の紙面上側から見た容器保持具13を示す平面図である。
【図38】図35の紙面下側から見た容器保持具13を示す底面図である。
【図39】図35の紙面裏側から見た容器保持具13を示す背面図である。
【図40】容器保持具13に圧源流体用容器2および消火剤用容器3,4が装着された状態を示す正面図である。
【0192】
【図41】ノズル筐体70を放出手段7の筐体本体25aに対して変位させた状態を示す図である。
【図42】消火剤を消火剤用容器3,4に給液する手順を示すフローチャートである。
【図43】本発明の実施の第2形態の消火装置が備える過流防止弁12Aを概略的に示す断面図である。
【図44】本発明の実施の第3形態の消火装置1Cの構成を概略的に示す系統図である。
【図45】消火装置1Cの構成を示すブロック図である。
【図46】逆止弁11Aと過流防止手段201とを示す断面図である。
【図47】本発明の実施の第4形態の消火装置1Dの構成を概略的に示す系統図である。
【図48】本発明の実施の第5形態の消火装置が備える容器保持具13Aを示す正面図である。
【図49】図48の紙面左側から見た容器保持具13Aを示す左側面図である。
【図50】図48の紙面上側から見た容器保持具13Aを示す平面図である。
【図51】図48の紙面下側から見た容器保持具13Aを示す底面図である。
【図52】図48の紙面裏側から見た容器保持具13Aを示す背面図である。
【図53】カバー体46,47が閉じた状態の容器保持具13Aを示す正面図である。
【図54】図53の紙面左側から見た容器保持具13Aを示す左側面図である。
【図55】図53の紙面上側から見た容器保持具13Aを示す平面図である。
【図56】図53の紙面下側から見た容器保持具13Aを示す底面図である。
【図57】図53の紙面裏側から見た容器保持具13Aを示す背面図である。
【図58】容器保持具13Aに圧源流体用容器2および消火剤用容器3,4が装着された状態を示す正面図である。
【図59】本発明の実施の第6形態の消火装置が備える容器保持具13Bを示す正面図である。
【図60】図59の紙面左側から見た容器保持具13Bを示す左側面図である。
【0193】
【図61】図59の紙面下側から見た容器保持具13Bを示す底面図である。
【図62】図59の切断線T−Tから見た断面図である。
【図63】本発明の実施の第7形態の消火装置1Bを示す図である。
【図64】本発明の実施の第8形態の消火装置が備える放出手段7の噴射ノズル29Cを拡大して示す図である。
【図65】本発明の実施の第9形態の消火装置が備える放出手段7Dを示す正面図である。
【図66】図65を紙面左側から見た放出手段7Dを示す左側面図である。
【図67】図65を紙面右側から見た放出手段7Dを示す右側面図である。
【図68】図65を紙面上側から見た平面図である。
【図69】図65を紙面下側から見た放出手段7Dを示す底面図である。
【図70】図65を紙面裏側から見た放出手段7Dを示す背面図である。
【図71】図65の切断線H−Hで切断して見た放出手段7Dの端面図である。
【図72】図65の切断線J−Jで切断して見た放出手段7Dの端面図である。
【図73】図65の切断線K−Kで切断して見た放出手段7Dの端面図である。
【図74】図66の切断線M−Mで切断して見た放出手段筐体170を示す断面図である。
【図75】本発明の実施の第10形態の消火装置が備える減圧弁6Eを示す平面図である。
【図76】図75の切断線N−Nで減圧弁6Eを切断して見た断面図である。
【図77】図75の切断線P−Pで減圧弁6Eを切断して見た断面図である。
【図78】図77の切断線Q−Qで減圧弁6Eを切断して見た断面図である。
【図79】図75の切断線R−Rで減圧弁6Eを切断して見た部分断面図である。
【図80】本発明の実施の第11形態の消火装置が備える消火剤用容器3,4の蓋体20Aの構成を示す平面図である。
【0194】
【図81】図80の切断線S−Sから見た断面図である。
【図82】本発明の実施の第12形態の消火装置1Eの構成を概略的に示す系統図である。
【符号の説明】
【0195】
1 消火装置
2 圧源流体用容器
3,4 消火剤用容器
5 圧源流体用導管
6 減圧弁
7 放出手段
8 消火剤用導管
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮される圧源流体を貯留可能な圧源流体用容器と、
消火剤を貯留可能な消火剤用容器と、
圧源流体用容器と消火剤用容器とに接続され、圧源流体用容器に貯留される圧源流体を消火剤用容器に導く圧源流体用導管と、
圧源流体用導管に介在し、圧源流体用導管を流下する圧源流体の圧力を減圧する減圧手段と、
消火剤用容器に貯留される消火剤を放出可能な放出手段と、
消火剤用容器と放出手段とに接続され、消火剤用容器に貯留される消火剤を放出手段に導く消火剤用導管とを備えることを特徴とする消火装置。
【請求項2】
減圧手段は、圧源流体の圧力を減圧し一定に保持する圧力制御弁であることを特徴とする請求項1に記載の消火装置。
【請求項3】
減圧手段に接続され、減圧手段で減圧された圧源流体を給気可能な給気手段をさらに含み、
圧源流体用容器に貯留される圧源流体は、少なくとも酸素を含む混合気体であることを特徴とする請求項1または2に記載の消火装置。
【請求項4】
圧源流体用導管に介在し、消火剤が圧源流体用導管を消火剤用容器から圧源流体用容器に向かって逆流することを阻止する逆流防止手段が、減圧手段より圧源流体の流下方向下流側に設けられることを特徴とする請求項3に記載の消火装置。
【請求項5】
消火剤用導管に介在し、圧源流体が消火剤用導管を流下することを阻止する流下防止手段をさらに有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の消火装置。
【請求項6】
圧源流体用導管に介在し、圧源流体用導管を流下する圧源流体の流量が予め定める設定流量以上になると、圧源流体が圧源流体用導管を流下することを阻止する過流防止手段をさらに備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の消火装置。
【請求項7】
消火剤は、難燃性を有し、温度上昇にともなって粘度が高くなる樹脂が溶解する水溶液であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の消火装置。
【請求項8】
圧源流体用容器および消火剤用容器を配設するための枠体をさらに含み、
枠体は、圧源流体用容器および消火剤用容器が立位する状態で保持可能に構成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の消火装置。
【請求項1】
圧縮される圧源流体を貯留可能な圧源流体用容器と、
消火剤を貯留可能な消火剤用容器と、
圧源流体用容器と消火剤用容器とに接続され、圧源流体用容器に貯留される圧源流体を消火剤用容器に導く圧源流体用導管と、
圧源流体用導管に介在し、圧源流体用導管を流下する圧源流体の圧力を減圧する減圧手段と、
消火剤用容器に貯留される消火剤を放出可能な放出手段と、
消火剤用容器と放出手段とに接続され、消火剤用容器に貯留される消火剤を放出手段に導く消火剤用導管とを備えることを特徴とする消火装置。
【請求項2】
減圧手段は、圧源流体の圧力を減圧し一定に保持する圧力制御弁であることを特徴とする請求項1に記載の消火装置。
【請求項3】
減圧手段に接続され、減圧手段で減圧された圧源流体を給気可能な給気手段をさらに含み、
圧源流体用容器に貯留される圧源流体は、少なくとも酸素を含む混合気体であることを特徴とする請求項1または2に記載の消火装置。
【請求項4】
圧源流体用導管に介在し、消火剤が圧源流体用導管を消火剤用容器から圧源流体用容器に向かって逆流することを阻止する逆流防止手段が、減圧手段より圧源流体の流下方向下流側に設けられることを特徴とする請求項3に記載の消火装置。
【請求項5】
消火剤用導管に介在し、圧源流体が消火剤用導管を流下することを阻止する流下防止手段をさらに有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の消火装置。
【請求項6】
圧源流体用導管に介在し、圧源流体用導管を流下する圧源流体の流量が予め定める設定流量以上になると、圧源流体が圧源流体用導管を流下することを阻止する過流防止手段をさらに備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の消火装置。
【請求項7】
消火剤は、難燃性を有し、温度上昇にともなって粘度が高くなる樹脂が溶解する水溶液であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の消火装置。
【請求項8】
圧源流体用容器および消火剤用容器を配設するための枠体をさらに含み、
枠体は、圧源流体用容器および消火剤用容器が立位する状態で保持可能に構成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の消火装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【図54】
【図55】
【図56】
【図57】
【図58】
【図59】
【図60】
【図61】
【図62】
【図63】
【図64】
【図65】
【図66】
【図67】
【図68】
【図69】
【図70】
【図71】
【図72】
【図73】
【図74】
【図75】
【図76】
【図77】
【図78】
【図79】
【図80】
【図81】
【図82】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【図54】
【図55】
【図56】
【図57】
【図58】
【図59】
【図60】
【図61】
【図62】
【図63】
【図64】
【図65】
【図66】
【図67】
【図68】
【図69】
【図70】
【図71】
【図72】
【図73】
【図74】
【図75】
【図76】
【図77】
【図78】
【図79】
【図80】
【図81】
【図82】
【公開番号】特開2007−130456(P2007−130456A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−280788(P2006−280788)
【出願日】平成18年10月13日(2006.10.13)
【出願人】(390010342)エア・ウォーター防災株式会社 (56)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年10月13日(2006.10.13)
【出願人】(390010342)エア・ウォーター防災株式会社 (56)
【Fターム(参考)】
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