消火装置
【課題】天ぷら火災に対する消火薬剤による消火作動を検出して作動検出信号を出力可能とする。
【解決手段】レンジフード消火装置は、ガスレンジのバーナーに相対したレンジフードの位置に装着され、上部に空気層を形成した大気圧状態で消火薬液16を収納した容器本体12と、容器本体12に装着され、所定温度に加熱された際に開放作動して空気を流入しながら消火薬液16を自然流下させる感熱ノズル14Aと、容器本体12に設けられ、感熱ノズル14Aの作動に伴って作動検出信号を外部に出力する警報スイッチ機構40Aとを備える。警報スイッチ機構40Aは液面11に応じたフロート52の動きをダイヤフラム50に支持したシャフト54を介してリミットスイッチ56に伝えてオン、オフする。
【解決手段】レンジフード消火装置は、ガスレンジのバーナーに相対したレンジフードの位置に装着され、上部に空気層を形成した大気圧状態で消火薬液16を収納した容器本体12と、容器本体12に装着され、所定温度に加熱された際に開放作動して空気を流入しながら消火薬液16を自然流下させる感熱ノズル14Aと、容器本体12に設けられ、感熱ノズル14Aの作動に伴って作動検出信号を外部に出力する警報スイッチ機構40Aとを備える。警報スイッチ機構40Aは液面11に応じたフロート52の動きをダイヤフラム50に支持したシャフト54を介してリミットスイッチ56に伝えてオン、オフする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消火薬液が充填した容器をレンジフードなど上方に配置して消火薬液を下方に放出して火災を消火する消火装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅用のレンジフード消火装置としては、蓄圧型と加圧型が主流である。蓄圧型のレンジフード消火装置は、容器内に消火薬剤と共に窒素等の不活性ガスを予め充填し、一定の圧力に加圧しておき、火災感知部の作動によってノズルから消火薬剤を加圧放出する。また加圧型のレンジフード消火装置は、小型の圧力容器(ボンベ)に窒素ガス等の不活性ガスを充填し、火災感知部の作動によって圧力容器の封板が破れ、別の容器内に無加圧で充填されていた消火薬剤を加圧して放出する。
【0003】
これらのレンジフード消火装置は、いずれも圧力により消火薬剤を放出しているため、作動した際に、ノズルから天ぷら鍋を含む広範囲に勢いよく噴霧状態で消火薬剤が放出される。
【0004】
一方、消火剤を収納した容器の両端をワイヤによりレンジフードの下部に吊るしておき、天ぷら火災による熱もしくは炎によって容器自体を溶融させ、これにより容器内の消火薬剤を天ぷら鍋に流下させて消火するようにしている。
【特許文献1】特開平5−337212号
【特許文献2】特開平10―127803号
【特許文献3】特開2002−306624号
【特許文献4】特許第3127411号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来のレンジフード消火装置にあっては、次の問題がある。まず従来の圧力により消火薬剤を放出するレンジフード消火装置にあっては、
第一に、消火薬剤が広範囲に放出され、台所を汚し、後始末が大変となること、
第二に、高温の油が飛び散るため、近くに人がいた場合に危険であること、
第三に、充填した消火薬剤は鍋以外にも放出されるため、天ぷら火災を消火するのに必要な量に、安全率を掛けた量を保持することが必要となること、
第四に、消火薬剤の量が多くなるために容器が大きくなること、
第五に、内部圧力がかかるため、所定の耐圧性能を有する容器を使用する必要があること、
などの問題があった。
【0006】
また容器自体が溶解して内部の消火薬剤を放出するレンジフード消火装置は、紐で吊るした容器が炎の熱により溶解することで消火剤を流下させているため、容器の溶解する位置は構造上限定されず、天ぷら鍋の中に確実に消火薬剤が注入される保証がない。また容器が熱で溶ける際に一度に大量の消火薬剤が天ぷら鍋に流下するために、高温の油が周辺に大きく飛び散り、近傍の人に対する安全上の問題がある。更に高温で燃焼している天ぷら油の中に消火薬剤を投入した場合に、炎が大きくなり、爆燃の状態を起こす可能性もある。
【0007】
更に、この種のレンジフード消火装置にあっては、装置の作動を検出して警報表示や移報表示を行う必要があり、天ぷら火災による火災温度を検知する方法よりは、天ぷら火災による炎を受けてレンジフード装置が実際に消火作動を行なったことを検出するような作動検出機構が望まれる。
【0008】
本発明は、天ぷら火災に対し周囲に油を飛散させることなく少ない量の消火薬剤で確実に消火できると共に、消火薬剤による消火作動を検出して作動検出信号を出力可能な消火装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するため本発明は次のように構成する。
(常時大気圧/作動時大気自由流下方式)
本発明の消火装置は、
消火対象物の上方に装着され、上部に空気層を形成した大気圧状態で消火薬液を収納した容器本体と、
容器本体に装着され、所定温度に加熱された際に開放作動して空気を流入しながら記消火薬液を自然流下させる感熱ノズルと、
容器本体に設けられ、感熱ノズルの作動に伴って作動検出信号を外部に出力する警報スイッチ機構と、
を備えたことを特徴とする。
【0010】
ここで、警報スイッチ機構は、
容器本体内の消火薬液の収納部に配置された液面に応じて上下するフロート部材と、
フロート部材の一端に固定されたシャフト部材と、
容器本体の端部側に配置されて消火薬液の収納部を仕切ると共に、シャフト部材を貫通支持したダイヤフラム部材と、
ダイヤフラム部材を貫通して突出したシャフト部材にスイッチ作動部位を当接配置したスイッチと、
を備え、収納した消火薬剤によるフロート部材の浮上によりシャフト部材を押下げてスイッチを非作動位置に切替え、感熱ノズルの開放作動による消火薬液の液面の低下に伴うフロート部材の下降でスイッチを作動位置に切替えて作動検出信号を出力させる。
【0011】
(常時負圧方式)
本発明の消火装置の別の形態にあっては、
消火対象物の上方に装着され、消火薬液を収納した容器本体と、
容器本体に設けられ、消火薬液の収納状態を負圧状態とする負圧発生機構と、
容器本体に装着され、所定温度に加熱された際に開放作動して消火薬液を自然流下させる感熱ノズルと、
容器本体に設けられ、感熱ノズルの開放作動に伴って作動検出信号を外部に出力する警報スイッチ機構と、
を備えたことを特徴とする。
【0012】
ここで負圧発生機構は、
容器本体の端部をシリンダ部として摺動自在に装着されたピストン部材と、
消火薬液を収納した状態で前記ピストン部材を収納容積を拡大する方向に付勢して消火薬剤の収納状態を負圧状態に維持するスプリングと、
感熱ノズルの開放作動に伴う負圧状態を大気圧に開放した際のスプリングによるビストン部材の移動で開口して容器内に空気を導入する容器本体に設けた吸気口と、
を備える。
【0013】
この負圧機構に対応した警報スイッチ機構は、ピストン部材の軸方向に相対した外側位置に、ピストン部材の負圧保持状態で非作動位置に切り替わり、感熱ノズルの開放作動に伴うピストン部材の移動で作動位置に切り替わって作動検出信号を出力するスイッチを設ける。
【0014】
(常時微加圧方式)
本発明による消火装置の別の形態にあっては、
消火対象物の上方に装着され、消火薬液を収納した容器本体と、
容器本体に装着され、所定温度に加熱された際に開放作動して消火薬液を流下させる感熱ノズルと、
感熱ノズルの開放作動に伴い容器本体内に空気を流入して記消火薬液を自然流下させる空気導入機構と、
容器本体に設けられ、感熱ノズルの開放作動に伴って作動検出信号を外部に出力する警報スイッチ機構と、
を備えたことを特徴とする。
【0015】
ここで、警報スイッチ機構は、
容器本体の端部側に配置されて記消火薬液の収納部を仕切るダイヤフラム部材と、
ダイヤフラム部材の外側な支持したシャフト部材と、
容器本体の大気圧状態でシャフト部材を介してダイヤフラム部材を初期位置に付勢するスプリングと、
ダイヤフラム部材に支持した前記シャフト部材の先端部にスイッチ作動部位を当接配置したスイッチと、
を備え、容器本体に収納した消火薬液の加圧保持状態によるダイヤフラム部材の変形によるシャフト部材の移動でスイッチを非作動位置に切り替え、感熱ノズルの開放作動に伴うダイヤフラム部材の初期位置への移動でスイッチを作動位置に切り替えて作動検出信号を出力する。
【0016】
この警報スイッチ機構においては、ダイヤフラム部材を下部に連結口を開口した隔壁で仕切られた隔室に収納し、収納容器の上部の空気層とダイヤフラム部材との連通を抑制する。
【0017】
警報スイッチ機構の別の形態にあっては、
容器本体の端部側に配置されて消火薬液の収納部を仕切る伸縮自在なベローズ部材と、
ベローズ部材に外端部側にスイッチ作動部位を当接配置したスイッチと、
を備え、容器本体に収納した消火薬液の加圧保持状態によるベローズ部材の伸展によりスイッチを非作動位置に切り替え、感熱ノズルの開放作動に伴うベローズ部材の縮小でスイッチを作動位置に切り替えて作動検出信号を出力する。
【0018】
空気導入機構は、
容器本体の端部側に配置されて消火薬液の収納部を仕切ると共に、弁穴を開口したダイヤフラム部材と、
前記ダイヤフラム部材の弁穴を開閉する弁部を備えたパイロット弁部材と、
容器本体内の大気圧状態で、パイロット弁部材をストッパで決まるダイヤフラム側の初期位置に付勢支持する第1スプリングと、
容器本体内の大気圧状態で、ダイヤフラム部材の弁穴をパイロット弁部材から離れて開放した初期位置に付勢支持する第2スプリングと、
を備え、容器本体内に加圧充填した消火薬液によりダイヤフラム部材を外側に押圧変形して弁穴をパイロット部材の弁部に嵌合して閉鎖した状態で第1スプリング及び第2スプリングを圧縮して加圧状態を維持し、感熱ノズルの開放作動による容器本体内の加圧状態から大気圧状態への変化に応じ、第1スプリング及び第2スプリングによりダイヤフラム弁体の弁穴及びパイロット弁部材を初期位置に復帰させて、ダイヤフラム部材の開放状態にある弁穴を通って空気を容器本体に導入して開放した感熱ノズルから消火薬液を自然流下させる。
【0019】
この空気導入機構に対応した警報スイッチ機構は、パイロット弁部材の軸方向に相対した外側位置にスイッチを設け、容器本体に収納した消火薬液の加圧保持状態によるパイロット弁部材の移動でスイッチを非作動位置に切り替え、感熱ノズルの開放作動に伴うパイロット弁部材の初期位置への移動でスイッチを作動位置に切り替えて作動検出信号を出力させる。
【0020】
空気導入機構の別の形態にあっては、
容器本体の端部側をシリンダ部として摺動自在に装着され、消火薬剤の収納部を仕切るピストン部材と、
ピストン部材を貫通する軸穴の消火薬剤収納部側の開口部に形成された弁座と、
ピストン部材の軸穴に遊嵌され、弁座に当接して軸穴を開閉する逆止弁部材と、
容器本体内の大気圧状態で、逆止弁部材を第1ストッパで決まる消火薬剤収納部側の初期位置に付勢支持する第1スプリングと、
容器本体内の大気圧状態で、ピストン部材を第2ストッパで決まる逆止弁部材を弁座から離して開放した初期位置に付勢支持する第2スプリングと、
を備え、容器本体内に加圧充填した消火薬液により逆止弁部材を弁座に押圧して軸穴を閉鎖した状態でピストン部材を外側に移動し、第1スプリング及び第2スプリングを圧縮して加圧状態を維持し、感熱ノズルの開放作動による容器本体内の加圧状態から大気圧状態への変化に応じ、第1スプリング及び第2スプリングによりピストン弁体及び逆止弁部材を初期位置に復帰させて、ピストン部材の開放状態にある軸穴を通って空気を容器本体に導入して開放した感熱ノズルから消火薬液を自然流下させる。
【0021】
この空気導入機構に対応した警報スイッチ機構は、ピストン部材の軸方向に相対した外側位置にスイッチを設け、容器本体に収納した消火薬液の加圧保持状態によるピストン部材の移動でスイッチを非作動位置に切り替え、感熱ノズルの開放作動に伴うピストン部材の初期位置への移動でスイッチを作動位置に切り替えて作動検出信号を出力させる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、消火薬液を収納した容器本体の常時大気圧方式、常時負圧方式および常時微加圧方式のいずれの機構についても、簡単で且つコンパクトな機構構造により、感熱ノズルの開放作動に伴う消火薬液の空気導入による大気圧状態での自由流下による流出作動を検出して作動検出信号を確実に出力して警報表示や移報表示などを行うことができる。
【0023】
また本発明によれば、消火薬液を火災の際に自由流下により消火対象物に垂らすことにより、天ぷら油の火災では油が大きく飛び散ることを防止し、また油や消火薬液の人への危険性も確実に回避できる。
【0024】
また直上からの自然流出による消火薬液の放出となるため、消火薬液は100パーセント天ぷら鍋に投入され、このため消火薬剤の飛散による損失を考慮する必要がなく、消火薬液の貯蔵量を減らすことができ、容器の軽量化と小型化が可能となる。
【0025】
また消火薬液は、静かにしかも少量ずつ投入されるため、爆燃現象や炎の瞬間的な燃え上がりが防止できる。
【0026】
また定常時負圧方式または定常時微加圧方式であっても、収納容器内の圧力の有無に関係なく感熱ノズルの開放作動で消火薬液を自然流下できる機構であるから、ガス圧力のチェックが不要で圧力計も不要であり、更に定期点検やメンテナンスも不要になり、常に安定した消火性能を維持した装置を供給できる。
【0027】
更に容器本体内への空気の導入は、感熱ノズルが開放作動したときに行なわれるため、定常時は容器本体内の消火薬液が外気と触れることがなく、消火薬液の劣化を防止すると共に、消火薬液の漏洩を確実に防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
図1は常時大気圧方式をとる本発明によるレンジフード消火装置の実施形態を示した説明図である。図1において、本発明のレンジフード消火装置10Aは、容器本体12と、容器本体12の下部の2箇所に分けて設置した感熱ノズル14Aで構成される。容器本体12は両端を閉鎖した円筒状の部材であり、内部に消火薬液16を収納し、左端のプラグ18で密封している。
【0029】
レンジフード消火装置10Aは感熱ノズル14Aがレンジ直上近傍となるようにレンジフード内に設置する。本実施形態にあってはレンジに2口コンロが設けられている場合を対象としており、コンロの間隔に合わせて2つの感熱ノズル14Aを設けている。
【0030】
レンジフード消火装置10Aをレンジフード内に設置した状態で万一天ぷら火災が発生すると、感熱ノズル14Aの可溶部が一定温度に達したときに溶融して開放作動し、容器本体12に収納している消火薬液16を自然流下により天ぷら火災を起こしている鍋の中に流出させる。なお、空気層15は必ず必要というわけではない。
【0031】
図2は図1の感熱ノズル14Aを取り出して説明した断面図である。図2(A)は定常設置状態であり、感熱ノズル14Aは容器本体12の下部に設けた取付部21に下方によりノズル本体20をねじ込み固定しており、ノズル本体20の上部は容器本体12の内部を通って上部の空気層15の位置に上端を開口している。容器本体12内には上部に空気層15を若干残して液面11が上部に位置するように消火薬液16が収納されている。なお、空気層15は必ず必要というわけではない。
【0032】
ノズル本体20の容器本体12の底部側の周囲には本実施形態にあっては4箇所に分けて流出口22が開口している。ノズル本体20の内部にはエアー導入管24が配置されている。エアー導入管24の上端にはカラー25が装着され、ノズル本体20内を上下方向に移動自在に設けている。
【0033】
エアー導入管24の下端にはスカート状に広げたフレア部24aが形成されている。エアー導入管24は内部を空気を導入する通路とし、エアー導入管24の外側とノズル本体20の内側との間の隙間を消火薬液16を流出させるための流出隙間26としている。
【0034】
ノズル本体20の下部にはOリング32を装着したストッパ30が配置される。ストッパ30はエアー導入管24の下端およびその外側の流出隙間26を閉鎖している。ストッパ30はノズル本体20の下部に装着したサポータ34に対する集熱板36の可溶部35によるハンダ付け固定で図示の閉鎖位置に保持されている。またノズル本体20の下部内側にスプリング28が組み込まれ、ストッパ30を開放方向(下方)に付勢している。
【0035】
図2(B)は感熱ノズル14Aの開放作動を示している。万一天ぷら火災が発生し、感熱ノズル14Aの可溶部35が一定温度に達して溶解すると、スプリング28の力によりストッパ30及び集熱板36が落下し、感熱ノズル14Aが開放作動する。
【0036】
ストッパ30及び集熱板36が落下するとスプリング28によりエアー導入管24が押し下げられて下端のフレア部24aを突出する。このとき温度上昇によって容器本体12の内部の空気層15の圧力は若干上昇しているが、この上昇した圧力は開放されたエアー導入管24を通って放出され、その後エアー導入管24からの空気の流用により空気層15は大気圧状態となる。
【0037】
容器本体12の消火薬液16は容器本体12の流出口22よりエアー導入管24との間の流出隙間26に流れ込み、エアー導入管24の外側を通り、下端のフレア部24aから火災を起こしている天ぷら鍋に向けて自然流下し、空気の流入と連動して消火薬液16の自然流下が継続的に行われる。
【0038】
ここでエアー導入管24の下端部はスカート状に広がったフレア部24aを形成しており、フレア部24aによって外側を通って自然流下する消火薬液16の表面張力によって空気導入口を塞いで空気が流入できなくなる現象を防止している。
【0039】
この空気導入口を消火薬液の表面張力により塞がないようにするエアー導入管24の内径とフレア部24aの下端部の径を実験的に求めたところ、エアー導入管24の内径を5mmとした場合、フレア部24aの下端部の径は10mm以上とすれば消火薬液16の表面張力によるエアー導入口の閉鎖を防止することができることが確認された。
【0040】
図3は図1のレンジード消火装置に組み込まれたスイッチ機構の断面図である。図3において、容器本体12の右端にはスイッチ機構40Aが組み込まれている。スイッチ機構40Aは消火薬液16の液面11の変化をフロート52を使用して検出してリミットスイッチ56を作動する。
【0041】
円筒形の容器本体12内に収納した消火薬液16の液面11をフロートより検出する場合、容器本体12が小型化されているためフロートを大きくすることができず、このためフロートの上下移動を検知してリミットスイッチを作動させる場合、フロートに比重の極力小さな材質を使用すると共にリミットスイッチによる力の伝達ロスを少なくする機構が必要であり、更に消火薬液16が外部に漏れないようにシールドする機構が求められる。
【0042】
このような要求を満足するスイッチ機構40Aとして、本実施形態にあってはフロートとダイヤフラムを組み合わせた機構を特徴としている。
【0043】
図3において、スイッチ機構40Aは容器本体12内にホルダ44を配置してビス48により支持固定し、その内側にOリング43を外周に備えたホルダ42により間にダイヤフラム50を挟みこみ固定している。ダイヤフラム50の中心にはシャフト54が貫通状態で支持固定され、シャフト54の後方に消火薬液16の液面11の変化に応じて上下するフロート52を装着している。
【0044】
フロート52としては例えば合成樹脂製の中空体や表面をコーティング処理した発砲スチロールなどを使用すればよい。フロート52を装着したシャフト54はダイヤフラム50の連結部分を支点にフロート52の液面11の上下に応じて先端側を逆方向に上下する。
【0045】
ホルダ44の外側にはホルダー46によりリミットスイッチ56が配置されている。リミットスイッチ56はスイッチレバー56aを備えており、定常時における消火薬液16の液面11によりフロート52が浮上することによるシャフト54の右下りの傾き方向に対し、リミットスイッチ56を逆の左下りの傾き方向をもって対向配置している。
【0046】
定常時における消火薬液16の液面11によるフロート52の浮上により、シャフト54はリミットスイッチ56のスイッチレバー56aを押し下げ、リミットスイッチ56をオフ状態としている。
【0047】
図4は図3のスイッチ機構40Aの動作説明図である。図4(A)は定常監視状態であり、容器本体12内に収納した消火薬液16は液面11のように上部にわずかに空気層15を残した収納状態にある。このためフロート52が浮上しシャフト54によるダイヤフラム50の連結部分を支点にフロート52側が上がり、シャフト54の先端側が下がる液面検出状態となり、シャフト54の先端でリミットスイッチ56のスイッチレバーを押してスイッチオフとしている。
【0048】
図4(B)は天ぷら火災による熱を受けて感熱ノズル14Aが開放作動した状態の動作説明図である。感熱ノズル14Aが天ぷら火災による熱を受けて開放作動すると、集熱板36及びストッパ30が落下し、図2(B)に示した様にして空気を導入すると同時に消火薬液を自然流下させる。
【0049】
このため容器本体12内の消火薬液16の液面11が低下し、フロート52は液面11の低下に応じて下がり、ダイヤフラム50の支持部を支点にシャフト54の先端が上がり、スイッチレバー56aが所定位置に上がるとリミットスイッチ56がそれまでのスイッチオフの状態からスイッチオンとなり、外部に作動検出信号を出力する。
【0050】
このように図3、図4のスイッチ機構40Aにあっては、小型化された容器本体12内における感熱ノズル14Aの開放作動に伴う消火薬液16の液面11の変化をフロート52によるわずかな上下運動をダイヤフラム50を支点に支持したシャフト54の動きに変換し、十分な駆動力と変位をもってリミットスイッチ56のスイッチレバー56aを作動して作動検出信号を出力させることができ、同時にダイヤフラム50によって消火薬液16が漏れないようにシールしている。
【0051】
なお、ダイヤフラム50は容器本体12の温度の上下による内部圧力の上昇下降に応じて軸方向に若干ストロークし、シャフト54を動かすようになるが、ダイヤフラム50の材質として硬質のものを使用することで温度変化によるストロークを一定値以内に抑えることができる。またダイヤフラム50の近傍に軸方向の動きを制限する制限プレートをいれてもよい。
【0052】
なお、本消火装置は、レンジフードに取付けられるために感熱ノズルを小型化して目立たないようにしているが、サイズを大きくしてエアー導入管24の径を太くできるのなら、フレア部24aを形成しなくても良い。また、エアー導入管24の火災時の下降の程度は,感熱ノズル14Aの下端放出部までであっても良い。またエアー導入管24は必ずしも最初は上方に位置する必要はなく、空気の導入と消火薬液の放出が正しく行なわれ、通常時、ストッパ30で消火薬液を封止する構造であれば、感熱ノズル14Aの下方に最初からあっても良い。
【0053】
図5は図1のレンジフード消火装置10Aに設ける感熱ノズルの他の実施形態を示した断面図である。
【0054】
図5(A)は定常開始状態における他の実施形態としての感熱ノズル14Bであり、容器本体12の下部に対しノズル本体58をねじ込み固定し、ノズル本体58の内部にエアー導入管60をガイド61により起立状態に支持している。
【0055】
エアー導入管60は中空のパイプ部材であり、上端を消火薬液16の液面11より上の空気層15に位置し、この空気層15の部分に縮めた状態で蛇腹管62を配置している。蛇腹管62はエアー導入管60が感熱ノズル14Bの開放作動で落下した際にエアー導入管60の上部を空気層15の位置に保つ機能をはたす。
【0056】
同時に蛇腹管62はエアー導入管60を開放方向(下方)に付勢するスプリングとしての機能を持つ。蛇腹管62の内部にスプリングを内蔵しても良い。またエアー導入管60の下端は図2の感熱ノズル14Aと同様スカート状に広げたフレア部を形成しており、このフレア部に対しガイド61との間にスプリング45を組み込んでいる。
【0057】
ノズル本体58の下部にはOリング66を装着したストッパ64が配置され、ストッパ64はノズル本体58の下端に対する集熱板68の可溶部70のハンダ付け固定で閉鎖状態に組み込み固定されている。
【0058】
図5(B)は感熱ノズル14Bの動作状態の説明図である。図5(B)において、天ぷら火災による熱を受けて可溶部70の温度が一定温度に達して溶解すると、集熱板68及びストッパ64が落下し、蛇腹管62及びスプリング45の復元力でエアー導入管60が落下し、ストッパ64がガイド61に当たる位置で停止する。
【0059】
このときエアー導入管60の上端は消火薬液16の液面11より下がるが、上部に装着している蛇腹管62が伸びることでエアー導入管60の空気流入口を液面11より上の空気層15に残すことができる。
【0060】
これによってエアー導入管60及び蛇腹管62を通って容器本体12の空気層15に外気が導入され、これに伴い消火薬液16がエアー導入管60とノズル本体58の隙間を通って自然流下して火災を起こしている天ぷら鍋に流れ落ちるようになる。
【0061】
図6は常時負圧方式をとる本発明によるレンジフード消火装置の実施形態を示した説明図である。図6において、常時負圧方式をとるレンジフード消火装置10Bは、容器本体12内に消火薬液16を収納しており、容器本体12の右側に組み込んだ負圧発生機構71の作動により消火薬液16の収納状態を負圧状態としている。
【0062】
容器本体12の下部にはレンジの2口コンロに対応して2つの感熱ノズル14Cが装着されている。また容器本体12の左端には消火薬液16を収納するため使用するプラグ18が装着されている。更に負圧発生機構71の右側には作動検出信号を出力するリミットスイッチ74が設けられている。
【0063】
図7は図6の感熱ノズル14Cと負圧発生機構71を取り出して説明した断面図である。図7において、感熱ノズル14Cは、容器本体12の下部の取付け部21にノズル本体58をねじ込み固定しており、ノズル本体58は軸方向に流出穴76を貫通し、下部に集熱板78を装着するとともに流出穴76の下端部を可溶部80のハンダ付けで閉鎖している。
【0064】
本実施形態の感熱ノズル14Cは図2の感熱ノズル14Aのような空気導入機構は持たず、可溶部80が一定温度に上昇して溶解すると流出穴76を開放して消火薬液16を流出させる。
【0065】
負圧発生機構71は容器本体12に収納した消火薬液16を常時負圧状態とし、感熱ノズル14Cの開放作動時には容器本体12内に空気を導入し、容器本体12内を大気圧状態とすることで開放した感熱ノズル14Cから消火薬液16を自然流下させる。
【0066】
負圧発生機構71は容器本体12の右側をシリンダ部として摺動自在にOリング85を備えたピストン84を組み込んでいる。ピストン84はガイド90により軸方向に案内されてストロークし、ガイド90とピストン84の外端部にボルト87で固定したディスク86との間にスプリング88を組み込み、ピストン84を外側方向すなわち容器本体12の収納容積を増加させる方向に付勢している。
【0067】
容器本体12のピストン84を配置したガイド90の左側の所定位置には吸気口82が開口しており、図7は通常監視状態であることから、この状態では吸気口82はピストン84に設けたOリング85によるシール位置の外側にあり、消火薬液16を収納した容器内部を大気圧から切離した状態としている。
【0068】
図8は図7の感熱ノズル14Cと負圧発生機構71の動作説明図である。
【0069】
図8(A)は容器本体12に消火薬液を収納する前の初期状態であり、図6に示したプラグ18を外すことで容器本体12内は大気圧状態にあり、このためピストン84はスプリング88により押されて外側にストロークし、ディスク88のボルト87でリミットスイッチ74のスイッチノブを押し込み状態としている。
【0070】
このような初期状態で消火薬液を充填する際には、図6(B)のようにカバー75をはずし、ディスク86を手で押し込んでスプリング88を圧縮した状態とし、この状態で容器本体12内に消火薬液16を空気層を残さないように収納する。
【0071】
消火薬液16の収納が済んだならば図6のプラグ18(図1参照)を装着して密閉する。消火薬液16の収納と密閉が済んだならばディスク86の押圧を解除する。これによりピストン84はスプリング88の力により消火薬液16の収納部の容積を拡大する方向、すなわち外側方向に付勢され、容器本体12内の消火薬液16の収納状態を負圧状態としている。
【0072】
このような負圧状態の設定ができたならば、図8(C)のようにカバー75を装着し、レンジフードに取り付けて使用する。
【0073】
続いて図8(D)のように天ぷら火災による熱を受けて感熱ノズル14Cの可溶部80が一定温度に達して溶解すると、流出穴76が開いて容器内を外気に繋げ、容器本体12内は負圧状態から大気圧状態に変化する。
【0074】
このためピストン84がスプリング88の力で右側にストロークし、ディスク86のボルト87をリミットスイッチ74のスイッチノブに当接して押し込み、これによってリミットスイッチ74はスイッチオフからスイッチオンとなり外部に作動検出信号を出力することができる。
【0075】
またピストン84が右側にストロークすると容器本体12の上部に設けている吸気口82がピストン84のOリング85の左側に位置し、消火薬液16の収納部分に外気を導入し、これによって開放状態にある感熱ノズル14Cから消火薬液16を自然流下させることができる。
【0076】
なお、図6の常時負圧方式をとるレンジフード消火装置10Bの実施形態にあっては、感熱ノズルとして開放作動に伴う空気導入機構を持たない感熱ノズル14Cを使用しているが、図2、図5に示した空気導入機構を備えた感熱ノズル14A,14Bを使用することもできる。この場合には感熱ノズルと負圧発生機構71の両方で感熱ノズルの開放作動時に容器内に空気を導入することになる。吸入口82を設けず感熱ノズル14A,14Bのみで空気を導入して消火薬液16を自然流下するようにしても良い。
【0077】
また本実施形態における常時負圧方式の利点は、レンジフードに装着した使用状態で容器本体12に収納した消火薬液16の収納状態が常時負圧状態になっているため、容器から消火薬液が漏れ出すことはなく、また天ぷら火災による熱を受けて感熱ノズル14Cの可溶部80が溶けた際に消火薬液が内部圧力の上昇などにより噴出すことがなく、逆に可溶部80の溶解部分は負圧状態となった容器内部に吸い込まれる形で流出穴76を開放し、その後の空気導入により最初から自然流下で静かに消火薬液16を天ぷら鍋に流出させることができる。
【0078】
図9は常時微加圧方式をとる本発明によるレンジフード消火装置の実施形態を示した説明図である。図9において、常時微加圧方式をとるレンジフード消火装置10Cにあっては、容器本体12の下部に図2に示した空気導入機構を備えた感熱ノズル14Aを装着しており、更に容器本体12の右端にスイッチ機構40Bを組み込んでいる。
【0079】
感熱ノズル14Aは図2に示した構造及び動作と同じである。スイッチ機構40Bは、Oリング43を装着したホルダー42と、ビス48により固定したホルダー44の間にダイヤフラム92を配置して、収納容器12に収納している消火薬液16の収納部を仕切っている。
【0080】
ダイヤフラム92の中心部にはシャフト94の端部が固定され、シャフト94の先端を外側に取り出し、ここにホルダー46内に設けたリミットスイッチ56を配置している。
【0081】
ホルダー44におけるシャフト94の通し部分にはプレート47を配置し、プレート47とダイヤフラム92の固定部との間にスプリング45を配置し、ダイヤフラム92を内部に収納した消火薬液16の加圧方向に付勢している。
【0082】
容器本体12に収納した消火薬液16は、上部に空気層15を僅かに残した液面11を持っており、収納時に若干の圧力を加えることで微加圧状態としている。消火薬液16の収納状態における微加圧としては、例えば0.1パスカル程度の僅かな圧力を掛ける。
【0083】
消火薬液16を充填した際の微加圧による加圧を受けて、ダイヤフラム92は外側にスプリング45に抗して変形し、シャフト94を押し出すことでリミットスイッチ56のスイッチレバー56aを押し込み、スイッチオフ状態としている。
【0084】
図10は図9の感熱ノズル14Aとスイッチ機構40Bの動作説明図である。図10(A)は定常監視状態であり、常時微加圧方式をとることから、容器本体12内に収納した消火薬液16は僅かに加圧された状態にあり、スイッチ機構40Bのダイヤフラム92は外側に押圧変形され、シャフト94の移動でリミットスイッチ56をスイッチオフ状態としている。
【0085】
この状態で万一、天ぷら火災が発生すると、図10(B)のように感熱ノズル14Aの可溶部が溶け、集熱板36及びストッパ30が落下することで開放作動する。感熱ノズル14Aが開放作動すると、空気が容器本体12内に導入されると同時に消火薬剤が自然流下されて、火災を起こしている天ぷら鍋に流し込まれる。
【0086】
また感熱ノズル14Aの開放作動により容器本体12内が大気圧に下がることで、スイッチ機構40Bのダイヤフラム92がスプリング45(図9参照)に押されて左側に変位し、シャフト94を引き込む。これによりリミットスイッチ56のスイッチレバー56aが作動してスイッチオン状態となり、作動検出信号を外部に出力する。
【0087】
ここで図9,図10における常時微加圧方式をとるレンジフード消火装置10Cにあっては、設置状態における温度上昇による内部圧力の上昇を低減させるために空気層15を僅かに設けているが、ダイヤフラム92としてゴムを使用した場合、ダイヤフラム92の部分に空気層15が接することで、ゴム製のダイヤフラム92のガス交換によって微加圧状態にある空気層15の雰囲気が抜け、大気圧まで低下する可能性がある。
【0088】
このダイヤフラム92のガス交換による圧力低下に対しては、ダイヤフラムの空気層の接触面積を小さくし、ダイヤフラムを常に消火薬液16に浸されている状態を作るか、あるいはテフロン(R)などのシートを表面に貼ればよい。
【0089】
図11は常時微加圧方式をとるレンジフード消火装置10Cにおけるスイッチ機構40Bのダイヤフラムに対する空気層接触面積を最小限とする他の実施形態の説明図である。
【0090】
図11の実施形態にあっては、スイッチ機構40Bのダイヤフラム92を収納するホルダー42の消火薬液16の収納側に隔壁42aを形成し、隔壁42aの下側に連結穴49を設け、容器本体12が空気層15を隔壁42aによってダイヤフラム92の収納部分から切り離している。
【0091】
このためダイヤフラム92は、隔壁42aで仕切られた内側の部分に僅かにある空気溜まりについて外部とのガス交換が行われるだけであり、隔壁42aで仕切られた容器本体12内の空気層15はダイヤフラム92に接触せず、ガス交換による圧力低下を確実に防止できる。なお他の構成及び動作は図9の実施形態と同じである。
【0092】
図12は常時微加圧方式をとる本発明によるレンジフード消火装置10Cの他の実施形態を示した説明図であり、この実施形態にあっては図9の実施形態に使用しているダイヤフラムの代わりに金属製のベローズを使用するようにしたことを特徴とする。
【0093】
図12において、容器本体12の下部には感熱ノズル14Aが設けられ、これは図9の実施形態と同じであるが、容器本体12の右側のスイッチ機構40Cとして、Oリング95を備えたホルダー96によりベローズ98を装着している。
【0094】
ベローズ98は金属製であり、容器本体12内の圧力に応じて軸方向に伸縮する。ベローズ98の外端側には、ホルダー46に収納してリミットスイッチ56が配置されている。
【0095】
図13は図12の感熱ノズル14Aとスイッチ機構40Cの動作説明図である。図13(A)は常時加圧方式による定常監視状態であり、容器本体12内に収納した消火薬液16は収納時の微加圧により加圧され、このため、ベローズ98は微加圧状態による加圧を受けて伸展し、リミットスイッチ56のスイッチレバーを押し込んでスイッチオフ状態としている。
【0096】
この状態で万一、天ぷら火災が発生すると、図13(B)のように感熱ノズル14Aが開放作動し、空気を導入すると同時に消火薬液を自然流下させ、このため容器本体12の内部は微加圧状態から大気圧状態となる。
【0097】
この容器内部の大気圧状態への変化により、ベローズ98は縮んでスイッチレバー56aを作動させ、リミットスイッチ56がスイッチオンし、作動検出信号を外部に出力することができる。
【0098】
ベローズ98を使用した本実施形態にあっては、ベローズ98は例えば金属製であることから、ゴムのダイヤフラムを使用した場合のような外部との間のガス交換はなく、容器本体12内の微加圧状態を確実に維持することができる。
【0099】
図14は常時微加圧方式をとる本発明によるレンジフード消火装置10Cの他の実施形態を示した説明図である。図14において、常時微加圧方式をとるレンジフード消火装置10Cは、容器本体12の下部に空気導入機構を持たない単純な構造の感熱ノズル14Cを装着し、これに伴い容器本体12の右側に空気導入機構72Aを設けている。
【0100】
空気導入機構72Aは、容器本体12の端部にOリング101を装着したホルダー100をビスにより固定し、その外側にダイヤフラム104をホルダー102の装着で配置し、容器本体12の内部に収納した消火薬液16をシールしている。
【0101】
ダイヤフラム104は中心部に弁穴106を形成しており、弁穴106にはパイロット弁体108の先端の弁部110が常時微加圧状態で位置して閉鎖している。
【0102】
パイロット弁体108は、ホルダー102と同軸に組み付けたホルダー115に摺動自在に設けられ、外部側にストッパ112を固定し、端部をカバーにより支持したリミットスイッチ74のスイッチノブ74aを押圧し、この状態でリミットスイッチ74をスイッチオフとしている。
【0103】
ホルダー115とパイロット弁体108の間には第1スプリング114が組み込まれ、パイロット弁体108をダイヤフラム104側に付勢している。またホルダー115とダイヤフラム104との間には第2スプリング116が第1スプリング114と同軸に配置され、ダイヤフラム104を容器本体12側に付勢している。更にダイヤフラム104の外側となるホルダー102の部分は吸気口105により外部に連通している。
【0104】
更に本実施形態にあっては、ダイヤフラム104に対し空気層15の接触によるガス交換を回避するため、ダイヤフラム104を支持している左側のホルダー100につき、円錐状の絞込み部100aを形成し、空気層15のダイヤフラム104に対する接触、ガス交換を抑止している。
【0105】
図15は図14の感熱ノズル14Cと空気導入機構72Aの動作説明図である。
【0106】
図15(A)は容器本体12内に消火薬液16を収納する前の初期状態であり、容器本体12の内部は大気圧状態となっている。この初期状態にあっては、ダイヤフラム104は第2スプリング116により押されて、容器本体12側に位置した初期位置にある。
【0107】
またパイロット弁体108は第1スプリング114に押され、ストッパ112がホルダー115に当接した位置にあり、先端の弁部110はダイヤフラム104の弁穴106から外れた手前の弁穴開放位置にあり、これを初期位置としている。
【0108】
図15(B)は消火薬液16を微加圧状態で収納した状態であり、消火薬液16の微加圧状態の収納に伴う加圧でダイヤフラム104が外側に押され、図14に示したと同じ常時微加圧方式による監視状態となっている。
【0109】
この状態で万一、天ぷら火災が発生したとすると、図14(C)のように感熱ノズル14Cの可溶部80が一定温度に達して溶け、微加圧状態による内部圧力を受けて噴き出し開放され、容器本体12が微加圧状態から大気圧状態に変化する。
【0110】
このためダイヤフラム104は第2スプリング116に押されて初期位置に向かって戻り、同時にパイロット弁体108も第1スプリング114に押されて初期位置に戻り、ストッパ112により停止した位置となる。
【0111】
このストッパ112によりパイロット弁体108が停止した位置では、弁部110がダイヤフラム104の弁穴106に入っていて閉鎖状態にあるが、ダイヤフラム104は図15(D)に示すように、第2スプリング116により更に押されて消火薬液16の収納側に移動し、これによってパイロット弁体108の弁部110から弁穴106が外れて開放し、ホルダー102の吸気口105から空気が容器本体12内に弁穴106を通って導入される。
【0112】
この空気の容器本体12内への導入に連動し、消火薬液16は、開放状態にある感熱ノズル14Cの流出穴76から天ぷら鍋に向かって自然流下により流出される。
【0113】
図16は常時微加圧方式をとる本発明によるレンジフード消火装置10Cの他の実施形態を示した説明図である。図16において、常時微加圧方式をとるレンジフード消火装置10Cは、容器本体12の下部にエアー導入機能を持たない単純な感熱ノズル14Cを装着しており、容器本体12の右側に空気導入機構72Bを設けている。
【0114】
空気導入機構72Bは、図14の空気導入機構72Aがダイヤフラムを使用していたのに対し、本実施形態にあってはピストン構造を使用したことを特徴とする。
【0115】
空気導入機構72Bは、容器本体12の右端をシリンダ部として、Oリング121を装着したピストン120を摺動自在に組み込んでおり、ピストン120の外側には一体にピストンロッド部122が設けられている。
【0116】
ピストン120には中心部分に軸穴124が設けられ、この軸穴124の中に、先端に逆止弁体128を形成したロッド部128aを、軸穴124との間に空気を導入する隙間を形成するように遊び状態で嵌め込んでいる。
【0117】
軸穴124のピストン120における開口部には円錐状の弁座126が形成され、弁座126に対応してOリング129を備えた逆止弁体128が図示の常時微加圧状態で当接して閉鎖状態としている。
【0118】
逆止弁体128の後部のロッド部128aは第1ストッパ130に連結されている。またピストン120の外部のピストンロッド部122の端部には、ディスク135の支持により第2ストッパ132が装着されている。
【0119】
逆止弁体128の後部の第1ストッパ130とピストン120のピストンロッド部122側との間には第1スプリング134が組み込まれ、逆止弁体128を開放方向に付勢している。
【0120】
また、容器本体12にビス止め固定したピストンロッド部122を支持するホルダー125の左側とピストン120との間には第2スプリング136が組み込まれ、ピストン120を消火薬液16の収納側に付勢している。
【0121】
更に容器本体12の端部には、カバーによりリミットスイッチ74が配置され、図示の常時微加圧状態によるピストン120の外側へのストロークでスイッチノブ74aを押し込んで、スイッチオフ状態としている。
【0122】
図17は図16の感熱ノズル14Cと空気導入機構72Bの動作説明図であり、これに続く動作説明図を図18に示している。
【0123】
図17(A)は容器本体12内に消火薬液を微加圧状態で収納する前の初期状態であり、容器本体12内は大気圧状態となっている。この容器本体12の内部が大気圧にある初期状態にあっては、ピストン120は第2スプリング136により押され、第2ストッパ132がホルダー125により動作する初期位置に移動している。
【0124】
また逆止弁体128は、ピストン120内に摺動自在に組み込まれた第1ストッパ130の第1スプリング134の押圧で停止する初期位置にあり、この初期位置において逆止弁体128は、ピストン120の軸穴開口部に設けた弁座126から離れた開放位置に置かれている。またリミットスイッチ74のスイッチノブ74aは突出した状態にあり、この状態でリミットスイッチ74はスイッチオン状態となっている。
【0125】
図17(B)は容器本体12内に消火薬液16を微加圧状態で収納した図16と同じ定常監視状態を示す。消火薬剤の微加圧状態となる収納作業は、図17(A)の初期状態で、例えば容器本体12を垂直に立てて消火薬液16を必要量収納し、この状態で加圧してプラグで密閉すると、まず開放状態にある逆止弁体128が加圧を受けて第1スプリング134に抗してストロークし、弁座126に当接して空気導入路を閉鎖し、この状態でピストン120が加圧を受けて逆止弁体128と一体にストロークし、図17(B)のような常時微加圧状態での定常監視状態がセットできる。
【0126】
続いて図18(D)に示すように、万一、天ぷら火災が発生し、感熱ノズル14Cの可溶部80が一定温度に達して溶解すると、容器本体12内の微加圧により溶解した可溶部80が噴き出して流出穴76を開放し、容器本体12内が微加圧状態から大気圧状態に変化する。
【0127】
このため、図18(C)に示すように、第2スプリング136に押されてピストン120が逆止弁体128の閉鎖状態を維持したままストロークする。続いて、図18(D)のように、第2ストッパ132の当接でピストン120のストロークが停止すると、第1スプリング134に押されて逆止弁体128がストロークし、第1ストッパ130による停止位置で弁座126から離れた開放状態となる。
【0128】
この逆止弁体128の開放により、吸気口127から軸穴124を通って容器本体12内に空気が導入され、空気の外部からの導入に連動して消火薬液16が開放状態にある感熱ノズル14Cから自然流下されて、火災を起こしている天ぷら鍋に継続的に注入されるようになる。
【0129】
なお図14,図16の常時微加圧方式をとるレンジフード消火装置の実施形態にあっては、感熱ノズルとして空気導入機構を持たない単純な感熱ノズル14Cを使用しているが、これに代えて、図2、図3に示した空気導入機構を備えた感熱ノズル14Aを使用するようにしてもよい。
【0130】
感熱ノズル14Aを使用した場合には、その開放作動時に感熱ノズル14Aと空気導入機構72A,72Bの両方の作動により容器本体12内に空気を導入して、消火薬液を開放状態にある感熱ノズルから自然流下させることになる。
【0131】
また本発明は上記の実施形態に限定されず、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含む。更に本発明は上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【0132】
本実施形態においては、レンジフードに取り付けてレンジでの火災を消火する消火装置であったが、これに限らず、消火薬液を充填した容器を天井等の上方に配置して、その直下にある消火対象物に自然流下して消火する消火装置に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0133】
【図1】常時大気圧方式をとる本発明によるレンジフード消火装置の実施形態を示した説明図
【図2】図1の感熱ノズルを取出して示した断面図
【図3】図1に設けたフロートを用いたスイッチ機構を示した断面図
【図4】図3のスイッチ機構の動作説明図
【図5】図1のレンジフード消火装置に設ける感熱ノズルの他の実施形態を示した断面図
【図6】常時負圧方式をとる本発明によるレンジフード消火装置の実施形態を示した説明図
【図7】図6の感熱ノズルと空気導入機構を取出して示した断面図
【図8】図7の感熱ノズルと空気導入機構の動作説明図
【図9】常時微加圧方式をとる本発明によるレンジフード消火装置の実施形態を示した説明図
【図10】図9の感熱ノズルとスイッチ機構の動作説明図
【図11】ダイヤフラムのガス交換による圧力低下を抑止するスイッチ機構の実施形態を示した説明図
【図12】常時微加圧方式をとる本発明によるレンジフード消火装置の他の実施形態を示した説明図
【図13】図12の感熱ノズルとスイッチ機構の動作説明図
【図14】常時微加圧方式をとる本発明によるレンジフード消火装置の他の実施形態を示した説明図
【図15】図14の感熱ノズルと空気導入機構の動作説明図
【図16】常時微加圧方式をとる本発明によるレンジフード消火装置の他の実施形態を示した説明図
【図17】図16の感熱ノズルと空気導入機構の動作説明図
【図18】図17に続く感熱ノズルと空気導入機構の動作説明図
【符号の説明】
【0134】
10A,10B,10C:レンジフード消火装置
11:液面
12:容器本体
14A,14B,14C:感熱ノズル
15:空気層
16:消火薬液
18:プラグ
20,58:ノズル本体
21:取付部
22:流出口
24,60:エアー導入管
25:カラー
26:流出隙間
28,45,88:スプリング
30,64,112:ストッパ
32,66,85,95,101,21:Oリング
34:サポータ
42,44,48,96,100,102,115,125:ホルダー
35,70,80:可溶部
36,68,78:集熱板
40A,40B,40C:スイッチ機構
47:プレート
48:ビス
50,92,104:ダイヤフラム
52:フロート
54,94:シャフト
56,74:リミットスイッチ
56a:スイッチレバー
62:蛇腹管
71:負圧発生機構
72A,72B:空気導入機構
74a:スイッチノブ
75:カバー
76:流出穴
82:吸気口
84,120:ピストン
86,135:ディスク
87:ボルト
90:ガイド
98:ベローズ
106:弁穴
108:パイロット弁体
110:弁部
114,134:第1スプリング
116,136:第2スプリング
122:ピストンロッド部
124:軸穴
126:弁座
128:逆止弁体
128a:ロッド部
130:第1ストッパ
132:第2ストッパ
【技術分野】
【0001】
本発明は、消火薬液が充填した容器をレンジフードなど上方に配置して消火薬液を下方に放出して火災を消火する消火装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅用のレンジフード消火装置としては、蓄圧型と加圧型が主流である。蓄圧型のレンジフード消火装置は、容器内に消火薬剤と共に窒素等の不活性ガスを予め充填し、一定の圧力に加圧しておき、火災感知部の作動によってノズルから消火薬剤を加圧放出する。また加圧型のレンジフード消火装置は、小型の圧力容器(ボンベ)に窒素ガス等の不活性ガスを充填し、火災感知部の作動によって圧力容器の封板が破れ、別の容器内に無加圧で充填されていた消火薬剤を加圧して放出する。
【0003】
これらのレンジフード消火装置は、いずれも圧力により消火薬剤を放出しているため、作動した際に、ノズルから天ぷら鍋を含む広範囲に勢いよく噴霧状態で消火薬剤が放出される。
【0004】
一方、消火剤を収納した容器の両端をワイヤによりレンジフードの下部に吊るしておき、天ぷら火災による熱もしくは炎によって容器自体を溶融させ、これにより容器内の消火薬剤を天ぷら鍋に流下させて消火するようにしている。
【特許文献1】特開平5−337212号
【特許文献2】特開平10―127803号
【特許文献3】特開2002−306624号
【特許文献4】特許第3127411号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来のレンジフード消火装置にあっては、次の問題がある。まず従来の圧力により消火薬剤を放出するレンジフード消火装置にあっては、
第一に、消火薬剤が広範囲に放出され、台所を汚し、後始末が大変となること、
第二に、高温の油が飛び散るため、近くに人がいた場合に危険であること、
第三に、充填した消火薬剤は鍋以外にも放出されるため、天ぷら火災を消火するのに必要な量に、安全率を掛けた量を保持することが必要となること、
第四に、消火薬剤の量が多くなるために容器が大きくなること、
第五に、内部圧力がかかるため、所定の耐圧性能を有する容器を使用する必要があること、
などの問題があった。
【0006】
また容器自体が溶解して内部の消火薬剤を放出するレンジフード消火装置は、紐で吊るした容器が炎の熱により溶解することで消火剤を流下させているため、容器の溶解する位置は構造上限定されず、天ぷら鍋の中に確実に消火薬剤が注入される保証がない。また容器が熱で溶ける際に一度に大量の消火薬剤が天ぷら鍋に流下するために、高温の油が周辺に大きく飛び散り、近傍の人に対する安全上の問題がある。更に高温で燃焼している天ぷら油の中に消火薬剤を投入した場合に、炎が大きくなり、爆燃の状態を起こす可能性もある。
【0007】
更に、この種のレンジフード消火装置にあっては、装置の作動を検出して警報表示や移報表示を行う必要があり、天ぷら火災による火災温度を検知する方法よりは、天ぷら火災による炎を受けてレンジフード装置が実際に消火作動を行なったことを検出するような作動検出機構が望まれる。
【0008】
本発明は、天ぷら火災に対し周囲に油を飛散させることなく少ない量の消火薬剤で確実に消火できると共に、消火薬剤による消火作動を検出して作動検出信号を出力可能な消火装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するため本発明は次のように構成する。
(常時大気圧/作動時大気自由流下方式)
本発明の消火装置は、
消火対象物の上方に装着され、上部に空気層を形成した大気圧状態で消火薬液を収納した容器本体と、
容器本体に装着され、所定温度に加熱された際に開放作動して空気を流入しながら記消火薬液を自然流下させる感熱ノズルと、
容器本体に設けられ、感熱ノズルの作動に伴って作動検出信号を外部に出力する警報スイッチ機構と、
を備えたことを特徴とする。
【0010】
ここで、警報スイッチ機構は、
容器本体内の消火薬液の収納部に配置された液面に応じて上下するフロート部材と、
フロート部材の一端に固定されたシャフト部材と、
容器本体の端部側に配置されて消火薬液の収納部を仕切ると共に、シャフト部材を貫通支持したダイヤフラム部材と、
ダイヤフラム部材を貫通して突出したシャフト部材にスイッチ作動部位を当接配置したスイッチと、
を備え、収納した消火薬剤によるフロート部材の浮上によりシャフト部材を押下げてスイッチを非作動位置に切替え、感熱ノズルの開放作動による消火薬液の液面の低下に伴うフロート部材の下降でスイッチを作動位置に切替えて作動検出信号を出力させる。
【0011】
(常時負圧方式)
本発明の消火装置の別の形態にあっては、
消火対象物の上方に装着され、消火薬液を収納した容器本体と、
容器本体に設けられ、消火薬液の収納状態を負圧状態とする負圧発生機構と、
容器本体に装着され、所定温度に加熱された際に開放作動して消火薬液を自然流下させる感熱ノズルと、
容器本体に設けられ、感熱ノズルの開放作動に伴って作動検出信号を外部に出力する警報スイッチ機構と、
を備えたことを特徴とする。
【0012】
ここで負圧発生機構は、
容器本体の端部をシリンダ部として摺動自在に装着されたピストン部材と、
消火薬液を収納した状態で前記ピストン部材を収納容積を拡大する方向に付勢して消火薬剤の収納状態を負圧状態に維持するスプリングと、
感熱ノズルの開放作動に伴う負圧状態を大気圧に開放した際のスプリングによるビストン部材の移動で開口して容器内に空気を導入する容器本体に設けた吸気口と、
を備える。
【0013】
この負圧機構に対応した警報スイッチ機構は、ピストン部材の軸方向に相対した外側位置に、ピストン部材の負圧保持状態で非作動位置に切り替わり、感熱ノズルの開放作動に伴うピストン部材の移動で作動位置に切り替わって作動検出信号を出力するスイッチを設ける。
【0014】
(常時微加圧方式)
本発明による消火装置の別の形態にあっては、
消火対象物の上方に装着され、消火薬液を収納した容器本体と、
容器本体に装着され、所定温度に加熱された際に開放作動して消火薬液を流下させる感熱ノズルと、
感熱ノズルの開放作動に伴い容器本体内に空気を流入して記消火薬液を自然流下させる空気導入機構と、
容器本体に設けられ、感熱ノズルの開放作動に伴って作動検出信号を外部に出力する警報スイッチ機構と、
を備えたことを特徴とする。
【0015】
ここで、警報スイッチ機構は、
容器本体の端部側に配置されて記消火薬液の収納部を仕切るダイヤフラム部材と、
ダイヤフラム部材の外側な支持したシャフト部材と、
容器本体の大気圧状態でシャフト部材を介してダイヤフラム部材を初期位置に付勢するスプリングと、
ダイヤフラム部材に支持した前記シャフト部材の先端部にスイッチ作動部位を当接配置したスイッチと、
を備え、容器本体に収納した消火薬液の加圧保持状態によるダイヤフラム部材の変形によるシャフト部材の移動でスイッチを非作動位置に切り替え、感熱ノズルの開放作動に伴うダイヤフラム部材の初期位置への移動でスイッチを作動位置に切り替えて作動検出信号を出力する。
【0016】
この警報スイッチ機構においては、ダイヤフラム部材を下部に連結口を開口した隔壁で仕切られた隔室に収納し、収納容器の上部の空気層とダイヤフラム部材との連通を抑制する。
【0017】
警報スイッチ機構の別の形態にあっては、
容器本体の端部側に配置されて消火薬液の収納部を仕切る伸縮自在なベローズ部材と、
ベローズ部材に外端部側にスイッチ作動部位を当接配置したスイッチと、
を備え、容器本体に収納した消火薬液の加圧保持状態によるベローズ部材の伸展によりスイッチを非作動位置に切り替え、感熱ノズルの開放作動に伴うベローズ部材の縮小でスイッチを作動位置に切り替えて作動検出信号を出力する。
【0018】
空気導入機構は、
容器本体の端部側に配置されて消火薬液の収納部を仕切ると共に、弁穴を開口したダイヤフラム部材と、
前記ダイヤフラム部材の弁穴を開閉する弁部を備えたパイロット弁部材と、
容器本体内の大気圧状態で、パイロット弁部材をストッパで決まるダイヤフラム側の初期位置に付勢支持する第1スプリングと、
容器本体内の大気圧状態で、ダイヤフラム部材の弁穴をパイロット弁部材から離れて開放した初期位置に付勢支持する第2スプリングと、
を備え、容器本体内に加圧充填した消火薬液によりダイヤフラム部材を外側に押圧変形して弁穴をパイロット部材の弁部に嵌合して閉鎖した状態で第1スプリング及び第2スプリングを圧縮して加圧状態を維持し、感熱ノズルの開放作動による容器本体内の加圧状態から大気圧状態への変化に応じ、第1スプリング及び第2スプリングによりダイヤフラム弁体の弁穴及びパイロット弁部材を初期位置に復帰させて、ダイヤフラム部材の開放状態にある弁穴を通って空気を容器本体に導入して開放した感熱ノズルから消火薬液を自然流下させる。
【0019】
この空気導入機構に対応した警報スイッチ機構は、パイロット弁部材の軸方向に相対した外側位置にスイッチを設け、容器本体に収納した消火薬液の加圧保持状態によるパイロット弁部材の移動でスイッチを非作動位置に切り替え、感熱ノズルの開放作動に伴うパイロット弁部材の初期位置への移動でスイッチを作動位置に切り替えて作動検出信号を出力させる。
【0020】
空気導入機構の別の形態にあっては、
容器本体の端部側をシリンダ部として摺動自在に装着され、消火薬剤の収納部を仕切るピストン部材と、
ピストン部材を貫通する軸穴の消火薬剤収納部側の開口部に形成された弁座と、
ピストン部材の軸穴に遊嵌され、弁座に当接して軸穴を開閉する逆止弁部材と、
容器本体内の大気圧状態で、逆止弁部材を第1ストッパで決まる消火薬剤収納部側の初期位置に付勢支持する第1スプリングと、
容器本体内の大気圧状態で、ピストン部材を第2ストッパで決まる逆止弁部材を弁座から離して開放した初期位置に付勢支持する第2スプリングと、
を備え、容器本体内に加圧充填した消火薬液により逆止弁部材を弁座に押圧して軸穴を閉鎖した状態でピストン部材を外側に移動し、第1スプリング及び第2スプリングを圧縮して加圧状態を維持し、感熱ノズルの開放作動による容器本体内の加圧状態から大気圧状態への変化に応じ、第1スプリング及び第2スプリングによりピストン弁体及び逆止弁部材を初期位置に復帰させて、ピストン部材の開放状態にある軸穴を通って空気を容器本体に導入して開放した感熱ノズルから消火薬液を自然流下させる。
【0021】
この空気導入機構に対応した警報スイッチ機構は、ピストン部材の軸方向に相対した外側位置にスイッチを設け、容器本体に収納した消火薬液の加圧保持状態によるピストン部材の移動でスイッチを非作動位置に切り替え、感熱ノズルの開放作動に伴うピストン部材の初期位置への移動でスイッチを作動位置に切り替えて作動検出信号を出力させる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、消火薬液を収納した容器本体の常時大気圧方式、常時負圧方式および常時微加圧方式のいずれの機構についても、簡単で且つコンパクトな機構構造により、感熱ノズルの開放作動に伴う消火薬液の空気導入による大気圧状態での自由流下による流出作動を検出して作動検出信号を確実に出力して警報表示や移報表示などを行うことができる。
【0023】
また本発明によれば、消火薬液を火災の際に自由流下により消火対象物に垂らすことにより、天ぷら油の火災では油が大きく飛び散ることを防止し、また油や消火薬液の人への危険性も確実に回避できる。
【0024】
また直上からの自然流出による消火薬液の放出となるため、消火薬液は100パーセント天ぷら鍋に投入され、このため消火薬剤の飛散による損失を考慮する必要がなく、消火薬液の貯蔵量を減らすことができ、容器の軽量化と小型化が可能となる。
【0025】
また消火薬液は、静かにしかも少量ずつ投入されるため、爆燃現象や炎の瞬間的な燃え上がりが防止できる。
【0026】
また定常時負圧方式または定常時微加圧方式であっても、収納容器内の圧力の有無に関係なく感熱ノズルの開放作動で消火薬液を自然流下できる機構であるから、ガス圧力のチェックが不要で圧力計も不要であり、更に定期点検やメンテナンスも不要になり、常に安定した消火性能を維持した装置を供給できる。
【0027】
更に容器本体内への空気の導入は、感熱ノズルが開放作動したときに行なわれるため、定常時は容器本体内の消火薬液が外気と触れることがなく、消火薬液の劣化を防止すると共に、消火薬液の漏洩を確実に防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
図1は常時大気圧方式をとる本発明によるレンジフード消火装置の実施形態を示した説明図である。図1において、本発明のレンジフード消火装置10Aは、容器本体12と、容器本体12の下部の2箇所に分けて設置した感熱ノズル14Aで構成される。容器本体12は両端を閉鎖した円筒状の部材であり、内部に消火薬液16を収納し、左端のプラグ18で密封している。
【0029】
レンジフード消火装置10Aは感熱ノズル14Aがレンジ直上近傍となるようにレンジフード内に設置する。本実施形態にあってはレンジに2口コンロが設けられている場合を対象としており、コンロの間隔に合わせて2つの感熱ノズル14Aを設けている。
【0030】
レンジフード消火装置10Aをレンジフード内に設置した状態で万一天ぷら火災が発生すると、感熱ノズル14Aの可溶部が一定温度に達したときに溶融して開放作動し、容器本体12に収納している消火薬液16を自然流下により天ぷら火災を起こしている鍋の中に流出させる。なお、空気層15は必ず必要というわけではない。
【0031】
図2は図1の感熱ノズル14Aを取り出して説明した断面図である。図2(A)は定常設置状態であり、感熱ノズル14Aは容器本体12の下部に設けた取付部21に下方によりノズル本体20をねじ込み固定しており、ノズル本体20の上部は容器本体12の内部を通って上部の空気層15の位置に上端を開口している。容器本体12内には上部に空気層15を若干残して液面11が上部に位置するように消火薬液16が収納されている。なお、空気層15は必ず必要というわけではない。
【0032】
ノズル本体20の容器本体12の底部側の周囲には本実施形態にあっては4箇所に分けて流出口22が開口している。ノズル本体20の内部にはエアー導入管24が配置されている。エアー導入管24の上端にはカラー25が装着され、ノズル本体20内を上下方向に移動自在に設けている。
【0033】
エアー導入管24の下端にはスカート状に広げたフレア部24aが形成されている。エアー導入管24は内部を空気を導入する通路とし、エアー導入管24の外側とノズル本体20の内側との間の隙間を消火薬液16を流出させるための流出隙間26としている。
【0034】
ノズル本体20の下部にはOリング32を装着したストッパ30が配置される。ストッパ30はエアー導入管24の下端およびその外側の流出隙間26を閉鎖している。ストッパ30はノズル本体20の下部に装着したサポータ34に対する集熱板36の可溶部35によるハンダ付け固定で図示の閉鎖位置に保持されている。またノズル本体20の下部内側にスプリング28が組み込まれ、ストッパ30を開放方向(下方)に付勢している。
【0035】
図2(B)は感熱ノズル14Aの開放作動を示している。万一天ぷら火災が発生し、感熱ノズル14Aの可溶部35が一定温度に達して溶解すると、スプリング28の力によりストッパ30及び集熱板36が落下し、感熱ノズル14Aが開放作動する。
【0036】
ストッパ30及び集熱板36が落下するとスプリング28によりエアー導入管24が押し下げられて下端のフレア部24aを突出する。このとき温度上昇によって容器本体12の内部の空気層15の圧力は若干上昇しているが、この上昇した圧力は開放されたエアー導入管24を通って放出され、その後エアー導入管24からの空気の流用により空気層15は大気圧状態となる。
【0037】
容器本体12の消火薬液16は容器本体12の流出口22よりエアー導入管24との間の流出隙間26に流れ込み、エアー導入管24の外側を通り、下端のフレア部24aから火災を起こしている天ぷら鍋に向けて自然流下し、空気の流入と連動して消火薬液16の自然流下が継続的に行われる。
【0038】
ここでエアー導入管24の下端部はスカート状に広がったフレア部24aを形成しており、フレア部24aによって外側を通って自然流下する消火薬液16の表面張力によって空気導入口を塞いで空気が流入できなくなる現象を防止している。
【0039】
この空気導入口を消火薬液の表面張力により塞がないようにするエアー導入管24の内径とフレア部24aの下端部の径を実験的に求めたところ、エアー導入管24の内径を5mmとした場合、フレア部24aの下端部の径は10mm以上とすれば消火薬液16の表面張力によるエアー導入口の閉鎖を防止することができることが確認された。
【0040】
図3は図1のレンジード消火装置に組み込まれたスイッチ機構の断面図である。図3において、容器本体12の右端にはスイッチ機構40Aが組み込まれている。スイッチ機構40Aは消火薬液16の液面11の変化をフロート52を使用して検出してリミットスイッチ56を作動する。
【0041】
円筒形の容器本体12内に収納した消火薬液16の液面11をフロートより検出する場合、容器本体12が小型化されているためフロートを大きくすることができず、このためフロートの上下移動を検知してリミットスイッチを作動させる場合、フロートに比重の極力小さな材質を使用すると共にリミットスイッチによる力の伝達ロスを少なくする機構が必要であり、更に消火薬液16が外部に漏れないようにシールドする機構が求められる。
【0042】
このような要求を満足するスイッチ機構40Aとして、本実施形態にあってはフロートとダイヤフラムを組み合わせた機構を特徴としている。
【0043】
図3において、スイッチ機構40Aは容器本体12内にホルダ44を配置してビス48により支持固定し、その内側にOリング43を外周に備えたホルダ42により間にダイヤフラム50を挟みこみ固定している。ダイヤフラム50の中心にはシャフト54が貫通状態で支持固定され、シャフト54の後方に消火薬液16の液面11の変化に応じて上下するフロート52を装着している。
【0044】
フロート52としては例えば合成樹脂製の中空体や表面をコーティング処理した発砲スチロールなどを使用すればよい。フロート52を装着したシャフト54はダイヤフラム50の連結部分を支点にフロート52の液面11の上下に応じて先端側を逆方向に上下する。
【0045】
ホルダ44の外側にはホルダー46によりリミットスイッチ56が配置されている。リミットスイッチ56はスイッチレバー56aを備えており、定常時における消火薬液16の液面11によりフロート52が浮上することによるシャフト54の右下りの傾き方向に対し、リミットスイッチ56を逆の左下りの傾き方向をもって対向配置している。
【0046】
定常時における消火薬液16の液面11によるフロート52の浮上により、シャフト54はリミットスイッチ56のスイッチレバー56aを押し下げ、リミットスイッチ56をオフ状態としている。
【0047】
図4は図3のスイッチ機構40Aの動作説明図である。図4(A)は定常監視状態であり、容器本体12内に収納した消火薬液16は液面11のように上部にわずかに空気層15を残した収納状態にある。このためフロート52が浮上しシャフト54によるダイヤフラム50の連結部分を支点にフロート52側が上がり、シャフト54の先端側が下がる液面検出状態となり、シャフト54の先端でリミットスイッチ56のスイッチレバーを押してスイッチオフとしている。
【0048】
図4(B)は天ぷら火災による熱を受けて感熱ノズル14Aが開放作動した状態の動作説明図である。感熱ノズル14Aが天ぷら火災による熱を受けて開放作動すると、集熱板36及びストッパ30が落下し、図2(B)に示した様にして空気を導入すると同時に消火薬液を自然流下させる。
【0049】
このため容器本体12内の消火薬液16の液面11が低下し、フロート52は液面11の低下に応じて下がり、ダイヤフラム50の支持部を支点にシャフト54の先端が上がり、スイッチレバー56aが所定位置に上がるとリミットスイッチ56がそれまでのスイッチオフの状態からスイッチオンとなり、外部に作動検出信号を出力する。
【0050】
このように図3、図4のスイッチ機構40Aにあっては、小型化された容器本体12内における感熱ノズル14Aの開放作動に伴う消火薬液16の液面11の変化をフロート52によるわずかな上下運動をダイヤフラム50を支点に支持したシャフト54の動きに変換し、十分な駆動力と変位をもってリミットスイッチ56のスイッチレバー56aを作動して作動検出信号を出力させることができ、同時にダイヤフラム50によって消火薬液16が漏れないようにシールしている。
【0051】
なお、ダイヤフラム50は容器本体12の温度の上下による内部圧力の上昇下降に応じて軸方向に若干ストロークし、シャフト54を動かすようになるが、ダイヤフラム50の材質として硬質のものを使用することで温度変化によるストロークを一定値以内に抑えることができる。またダイヤフラム50の近傍に軸方向の動きを制限する制限プレートをいれてもよい。
【0052】
なお、本消火装置は、レンジフードに取付けられるために感熱ノズルを小型化して目立たないようにしているが、サイズを大きくしてエアー導入管24の径を太くできるのなら、フレア部24aを形成しなくても良い。また、エアー導入管24の火災時の下降の程度は,感熱ノズル14Aの下端放出部までであっても良い。またエアー導入管24は必ずしも最初は上方に位置する必要はなく、空気の導入と消火薬液の放出が正しく行なわれ、通常時、ストッパ30で消火薬液を封止する構造であれば、感熱ノズル14Aの下方に最初からあっても良い。
【0053】
図5は図1のレンジフード消火装置10Aに設ける感熱ノズルの他の実施形態を示した断面図である。
【0054】
図5(A)は定常開始状態における他の実施形態としての感熱ノズル14Bであり、容器本体12の下部に対しノズル本体58をねじ込み固定し、ノズル本体58の内部にエアー導入管60をガイド61により起立状態に支持している。
【0055】
エアー導入管60は中空のパイプ部材であり、上端を消火薬液16の液面11より上の空気層15に位置し、この空気層15の部分に縮めた状態で蛇腹管62を配置している。蛇腹管62はエアー導入管60が感熱ノズル14Bの開放作動で落下した際にエアー導入管60の上部を空気層15の位置に保つ機能をはたす。
【0056】
同時に蛇腹管62はエアー導入管60を開放方向(下方)に付勢するスプリングとしての機能を持つ。蛇腹管62の内部にスプリングを内蔵しても良い。またエアー導入管60の下端は図2の感熱ノズル14Aと同様スカート状に広げたフレア部を形成しており、このフレア部に対しガイド61との間にスプリング45を組み込んでいる。
【0057】
ノズル本体58の下部にはOリング66を装着したストッパ64が配置され、ストッパ64はノズル本体58の下端に対する集熱板68の可溶部70のハンダ付け固定で閉鎖状態に組み込み固定されている。
【0058】
図5(B)は感熱ノズル14Bの動作状態の説明図である。図5(B)において、天ぷら火災による熱を受けて可溶部70の温度が一定温度に達して溶解すると、集熱板68及びストッパ64が落下し、蛇腹管62及びスプリング45の復元力でエアー導入管60が落下し、ストッパ64がガイド61に当たる位置で停止する。
【0059】
このときエアー導入管60の上端は消火薬液16の液面11より下がるが、上部に装着している蛇腹管62が伸びることでエアー導入管60の空気流入口を液面11より上の空気層15に残すことができる。
【0060】
これによってエアー導入管60及び蛇腹管62を通って容器本体12の空気層15に外気が導入され、これに伴い消火薬液16がエアー導入管60とノズル本体58の隙間を通って自然流下して火災を起こしている天ぷら鍋に流れ落ちるようになる。
【0061】
図6は常時負圧方式をとる本発明によるレンジフード消火装置の実施形態を示した説明図である。図6において、常時負圧方式をとるレンジフード消火装置10Bは、容器本体12内に消火薬液16を収納しており、容器本体12の右側に組み込んだ負圧発生機構71の作動により消火薬液16の収納状態を負圧状態としている。
【0062】
容器本体12の下部にはレンジの2口コンロに対応して2つの感熱ノズル14Cが装着されている。また容器本体12の左端には消火薬液16を収納するため使用するプラグ18が装着されている。更に負圧発生機構71の右側には作動検出信号を出力するリミットスイッチ74が設けられている。
【0063】
図7は図6の感熱ノズル14Cと負圧発生機構71を取り出して説明した断面図である。図7において、感熱ノズル14Cは、容器本体12の下部の取付け部21にノズル本体58をねじ込み固定しており、ノズル本体58は軸方向に流出穴76を貫通し、下部に集熱板78を装着するとともに流出穴76の下端部を可溶部80のハンダ付けで閉鎖している。
【0064】
本実施形態の感熱ノズル14Cは図2の感熱ノズル14Aのような空気導入機構は持たず、可溶部80が一定温度に上昇して溶解すると流出穴76を開放して消火薬液16を流出させる。
【0065】
負圧発生機構71は容器本体12に収納した消火薬液16を常時負圧状態とし、感熱ノズル14Cの開放作動時には容器本体12内に空気を導入し、容器本体12内を大気圧状態とすることで開放した感熱ノズル14Cから消火薬液16を自然流下させる。
【0066】
負圧発生機構71は容器本体12の右側をシリンダ部として摺動自在にOリング85を備えたピストン84を組み込んでいる。ピストン84はガイド90により軸方向に案内されてストロークし、ガイド90とピストン84の外端部にボルト87で固定したディスク86との間にスプリング88を組み込み、ピストン84を外側方向すなわち容器本体12の収納容積を増加させる方向に付勢している。
【0067】
容器本体12のピストン84を配置したガイド90の左側の所定位置には吸気口82が開口しており、図7は通常監視状態であることから、この状態では吸気口82はピストン84に設けたOリング85によるシール位置の外側にあり、消火薬液16を収納した容器内部を大気圧から切離した状態としている。
【0068】
図8は図7の感熱ノズル14Cと負圧発生機構71の動作説明図である。
【0069】
図8(A)は容器本体12に消火薬液を収納する前の初期状態であり、図6に示したプラグ18を外すことで容器本体12内は大気圧状態にあり、このためピストン84はスプリング88により押されて外側にストロークし、ディスク88のボルト87でリミットスイッチ74のスイッチノブを押し込み状態としている。
【0070】
このような初期状態で消火薬液を充填する際には、図6(B)のようにカバー75をはずし、ディスク86を手で押し込んでスプリング88を圧縮した状態とし、この状態で容器本体12内に消火薬液16を空気層を残さないように収納する。
【0071】
消火薬液16の収納が済んだならば図6のプラグ18(図1参照)を装着して密閉する。消火薬液16の収納と密閉が済んだならばディスク86の押圧を解除する。これによりピストン84はスプリング88の力により消火薬液16の収納部の容積を拡大する方向、すなわち外側方向に付勢され、容器本体12内の消火薬液16の収納状態を負圧状態としている。
【0072】
このような負圧状態の設定ができたならば、図8(C)のようにカバー75を装着し、レンジフードに取り付けて使用する。
【0073】
続いて図8(D)のように天ぷら火災による熱を受けて感熱ノズル14Cの可溶部80が一定温度に達して溶解すると、流出穴76が開いて容器内を外気に繋げ、容器本体12内は負圧状態から大気圧状態に変化する。
【0074】
このためピストン84がスプリング88の力で右側にストロークし、ディスク86のボルト87をリミットスイッチ74のスイッチノブに当接して押し込み、これによってリミットスイッチ74はスイッチオフからスイッチオンとなり外部に作動検出信号を出力することができる。
【0075】
またピストン84が右側にストロークすると容器本体12の上部に設けている吸気口82がピストン84のOリング85の左側に位置し、消火薬液16の収納部分に外気を導入し、これによって開放状態にある感熱ノズル14Cから消火薬液16を自然流下させることができる。
【0076】
なお、図6の常時負圧方式をとるレンジフード消火装置10Bの実施形態にあっては、感熱ノズルとして開放作動に伴う空気導入機構を持たない感熱ノズル14Cを使用しているが、図2、図5に示した空気導入機構を備えた感熱ノズル14A,14Bを使用することもできる。この場合には感熱ノズルと負圧発生機構71の両方で感熱ノズルの開放作動時に容器内に空気を導入することになる。吸入口82を設けず感熱ノズル14A,14Bのみで空気を導入して消火薬液16を自然流下するようにしても良い。
【0077】
また本実施形態における常時負圧方式の利点は、レンジフードに装着した使用状態で容器本体12に収納した消火薬液16の収納状態が常時負圧状態になっているため、容器から消火薬液が漏れ出すことはなく、また天ぷら火災による熱を受けて感熱ノズル14Cの可溶部80が溶けた際に消火薬液が内部圧力の上昇などにより噴出すことがなく、逆に可溶部80の溶解部分は負圧状態となった容器内部に吸い込まれる形で流出穴76を開放し、その後の空気導入により最初から自然流下で静かに消火薬液16を天ぷら鍋に流出させることができる。
【0078】
図9は常時微加圧方式をとる本発明によるレンジフード消火装置の実施形態を示した説明図である。図9において、常時微加圧方式をとるレンジフード消火装置10Cにあっては、容器本体12の下部に図2に示した空気導入機構を備えた感熱ノズル14Aを装着しており、更に容器本体12の右端にスイッチ機構40Bを組み込んでいる。
【0079】
感熱ノズル14Aは図2に示した構造及び動作と同じである。スイッチ機構40Bは、Oリング43を装着したホルダー42と、ビス48により固定したホルダー44の間にダイヤフラム92を配置して、収納容器12に収納している消火薬液16の収納部を仕切っている。
【0080】
ダイヤフラム92の中心部にはシャフト94の端部が固定され、シャフト94の先端を外側に取り出し、ここにホルダー46内に設けたリミットスイッチ56を配置している。
【0081】
ホルダー44におけるシャフト94の通し部分にはプレート47を配置し、プレート47とダイヤフラム92の固定部との間にスプリング45を配置し、ダイヤフラム92を内部に収納した消火薬液16の加圧方向に付勢している。
【0082】
容器本体12に収納した消火薬液16は、上部に空気層15を僅かに残した液面11を持っており、収納時に若干の圧力を加えることで微加圧状態としている。消火薬液16の収納状態における微加圧としては、例えば0.1パスカル程度の僅かな圧力を掛ける。
【0083】
消火薬液16を充填した際の微加圧による加圧を受けて、ダイヤフラム92は外側にスプリング45に抗して変形し、シャフト94を押し出すことでリミットスイッチ56のスイッチレバー56aを押し込み、スイッチオフ状態としている。
【0084】
図10は図9の感熱ノズル14Aとスイッチ機構40Bの動作説明図である。図10(A)は定常監視状態であり、常時微加圧方式をとることから、容器本体12内に収納した消火薬液16は僅かに加圧された状態にあり、スイッチ機構40Bのダイヤフラム92は外側に押圧変形され、シャフト94の移動でリミットスイッチ56をスイッチオフ状態としている。
【0085】
この状態で万一、天ぷら火災が発生すると、図10(B)のように感熱ノズル14Aの可溶部が溶け、集熱板36及びストッパ30が落下することで開放作動する。感熱ノズル14Aが開放作動すると、空気が容器本体12内に導入されると同時に消火薬剤が自然流下されて、火災を起こしている天ぷら鍋に流し込まれる。
【0086】
また感熱ノズル14Aの開放作動により容器本体12内が大気圧に下がることで、スイッチ機構40Bのダイヤフラム92がスプリング45(図9参照)に押されて左側に変位し、シャフト94を引き込む。これによりリミットスイッチ56のスイッチレバー56aが作動してスイッチオン状態となり、作動検出信号を外部に出力する。
【0087】
ここで図9,図10における常時微加圧方式をとるレンジフード消火装置10Cにあっては、設置状態における温度上昇による内部圧力の上昇を低減させるために空気層15を僅かに設けているが、ダイヤフラム92としてゴムを使用した場合、ダイヤフラム92の部分に空気層15が接することで、ゴム製のダイヤフラム92のガス交換によって微加圧状態にある空気層15の雰囲気が抜け、大気圧まで低下する可能性がある。
【0088】
このダイヤフラム92のガス交換による圧力低下に対しては、ダイヤフラムの空気層の接触面積を小さくし、ダイヤフラムを常に消火薬液16に浸されている状態を作るか、あるいはテフロン(R)などのシートを表面に貼ればよい。
【0089】
図11は常時微加圧方式をとるレンジフード消火装置10Cにおけるスイッチ機構40Bのダイヤフラムに対する空気層接触面積を最小限とする他の実施形態の説明図である。
【0090】
図11の実施形態にあっては、スイッチ機構40Bのダイヤフラム92を収納するホルダー42の消火薬液16の収納側に隔壁42aを形成し、隔壁42aの下側に連結穴49を設け、容器本体12が空気層15を隔壁42aによってダイヤフラム92の収納部分から切り離している。
【0091】
このためダイヤフラム92は、隔壁42aで仕切られた内側の部分に僅かにある空気溜まりについて外部とのガス交換が行われるだけであり、隔壁42aで仕切られた容器本体12内の空気層15はダイヤフラム92に接触せず、ガス交換による圧力低下を確実に防止できる。なお他の構成及び動作は図9の実施形態と同じである。
【0092】
図12は常時微加圧方式をとる本発明によるレンジフード消火装置10Cの他の実施形態を示した説明図であり、この実施形態にあっては図9の実施形態に使用しているダイヤフラムの代わりに金属製のベローズを使用するようにしたことを特徴とする。
【0093】
図12において、容器本体12の下部には感熱ノズル14Aが設けられ、これは図9の実施形態と同じであるが、容器本体12の右側のスイッチ機構40Cとして、Oリング95を備えたホルダー96によりベローズ98を装着している。
【0094】
ベローズ98は金属製であり、容器本体12内の圧力に応じて軸方向に伸縮する。ベローズ98の外端側には、ホルダー46に収納してリミットスイッチ56が配置されている。
【0095】
図13は図12の感熱ノズル14Aとスイッチ機構40Cの動作説明図である。図13(A)は常時加圧方式による定常監視状態であり、容器本体12内に収納した消火薬液16は収納時の微加圧により加圧され、このため、ベローズ98は微加圧状態による加圧を受けて伸展し、リミットスイッチ56のスイッチレバーを押し込んでスイッチオフ状態としている。
【0096】
この状態で万一、天ぷら火災が発生すると、図13(B)のように感熱ノズル14Aが開放作動し、空気を導入すると同時に消火薬液を自然流下させ、このため容器本体12の内部は微加圧状態から大気圧状態となる。
【0097】
この容器内部の大気圧状態への変化により、ベローズ98は縮んでスイッチレバー56aを作動させ、リミットスイッチ56がスイッチオンし、作動検出信号を外部に出力することができる。
【0098】
ベローズ98を使用した本実施形態にあっては、ベローズ98は例えば金属製であることから、ゴムのダイヤフラムを使用した場合のような外部との間のガス交換はなく、容器本体12内の微加圧状態を確実に維持することができる。
【0099】
図14は常時微加圧方式をとる本発明によるレンジフード消火装置10Cの他の実施形態を示した説明図である。図14において、常時微加圧方式をとるレンジフード消火装置10Cは、容器本体12の下部に空気導入機構を持たない単純な構造の感熱ノズル14Cを装着し、これに伴い容器本体12の右側に空気導入機構72Aを設けている。
【0100】
空気導入機構72Aは、容器本体12の端部にOリング101を装着したホルダー100をビスにより固定し、その外側にダイヤフラム104をホルダー102の装着で配置し、容器本体12の内部に収納した消火薬液16をシールしている。
【0101】
ダイヤフラム104は中心部に弁穴106を形成しており、弁穴106にはパイロット弁体108の先端の弁部110が常時微加圧状態で位置して閉鎖している。
【0102】
パイロット弁体108は、ホルダー102と同軸に組み付けたホルダー115に摺動自在に設けられ、外部側にストッパ112を固定し、端部をカバーにより支持したリミットスイッチ74のスイッチノブ74aを押圧し、この状態でリミットスイッチ74をスイッチオフとしている。
【0103】
ホルダー115とパイロット弁体108の間には第1スプリング114が組み込まれ、パイロット弁体108をダイヤフラム104側に付勢している。またホルダー115とダイヤフラム104との間には第2スプリング116が第1スプリング114と同軸に配置され、ダイヤフラム104を容器本体12側に付勢している。更にダイヤフラム104の外側となるホルダー102の部分は吸気口105により外部に連通している。
【0104】
更に本実施形態にあっては、ダイヤフラム104に対し空気層15の接触によるガス交換を回避するため、ダイヤフラム104を支持している左側のホルダー100につき、円錐状の絞込み部100aを形成し、空気層15のダイヤフラム104に対する接触、ガス交換を抑止している。
【0105】
図15は図14の感熱ノズル14Cと空気導入機構72Aの動作説明図である。
【0106】
図15(A)は容器本体12内に消火薬液16を収納する前の初期状態であり、容器本体12の内部は大気圧状態となっている。この初期状態にあっては、ダイヤフラム104は第2スプリング116により押されて、容器本体12側に位置した初期位置にある。
【0107】
またパイロット弁体108は第1スプリング114に押され、ストッパ112がホルダー115に当接した位置にあり、先端の弁部110はダイヤフラム104の弁穴106から外れた手前の弁穴開放位置にあり、これを初期位置としている。
【0108】
図15(B)は消火薬液16を微加圧状態で収納した状態であり、消火薬液16の微加圧状態の収納に伴う加圧でダイヤフラム104が外側に押され、図14に示したと同じ常時微加圧方式による監視状態となっている。
【0109】
この状態で万一、天ぷら火災が発生したとすると、図14(C)のように感熱ノズル14Cの可溶部80が一定温度に達して溶け、微加圧状態による内部圧力を受けて噴き出し開放され、容器本体12が微加圧状態から大気圧状態に変化する。
【0110】
このためダイヤフラム104は第2スプリング116に押されて初期位置に向かって戻り、同時にパイロット弁体108も第1スプリング114に押されて初期位置に戻り、ストッパ112により停止した位置となる。
【0111】
このストッパ112によりパイロット弁体108が停止した位置では、弁部110がダイヤフラム104の弁穴106に入っていて閉鎖状態にあるが、ダイヤフラム104は図15(D)に示すように、第2スプリング116により更に押されて消火薬液16の収納側に移動し、これによってパイロット弁体108の弁部110から弁穴106が外れて開放し、ホルダー102の吸気口105から空気が容器本体12内に弁穴106を通って導入される。
【0112】
この空気の容器本体12内への導入に連動し、消火薬液16は、開放状態にある感熱ノズル14Cの流出穴76から天ぷら鍋に向かって自然流下により流出される。
【0113】
図16は常時微加圧方式をとる本発明によるレンジフード消火装置10Cの他の実施形態を示した説明図である。図16において、常時微加圧方式をとるレンジフード消火装置10Cは、容器本体12の下部にエアー導入機能を持たない単純な感熱ノズル14Cを装着しており、容器本体12の右側に空気導入機構72Bを設けている。
【0114】
空気導入機構72Bは、図14の空気導入機構72Aがダイヤフラムを使用していたのに対し、本実施形態にあってはピストン構造を使用したことを特徴とする。
【0115】
空気導入機構72Bは、容器本体12の右端をシリンダ部として、Oリング121を装着したピストン120を摺動自在に組み込んでおり、ピストン120の外側には一体にピストンロッド部122が設けられている。
【0116】
ピストン120には中心部分に軸穴124が設けられ、この軸穴124の中に、先端に逆止弁体128を形成したロッド部128aを、軸穴124との間に空気を導入する隙間を形成するように遊び状態で嵌め込んでいる。
【0117】
軸穴124のピストン120における開口部には円錐状の弁座126が形成され、弁座126に対応してOリング129を備えた逆止弁体128が図示の常時微加圧状態で当接して閉鎖状態としている。
【0118】
逆止弁体128の後部のロッド部128aは第1ストッパ130に連結されている。またピストン120の外部のピストンロッド部122の端部には、ディスク135の支持により第2ストッパ132が装着されている。
【0119】
逆止弁体128の後部の第1ストッパ130とピストン120のピストンロッド部122側との間には第1スプリング134が組み込まれ、逆止弁体128を開放方向に付勢している。
【0120】
また、容器本体12にビス止め固定したピストンロッド部122を支持するホルダー125の左側とピストン120との間には第2スプリング136が組み込まれ、ピストン120を消火薬液16の収納側に付勢している。
【0121】
更に容器本体12の端部には、カバーによりリミットスイッチ74が配置され、図示の常時微加圧状態によるピストン120の外側へのストロークでスイッチノブ74aを押し込んで、スイッチオフ状態としている。
【0122】
図17は図16の感熱ノズル14Cと空気導入機構72Bの動作説明図であり、これに続く動作説明図を図18に示している。
【0123】
図17(A)は容器本体12内に消火薬液を微加圧状態で収納する前の初期状態であり、容器本体12内は大気圧状態となっている。この容器本体12の内部が大気圧にある初期状態にあっては、ピストン120は第2スプリング136により押され、第2ストッパ132がホルダー125により動作する初期位置に移動している。
【0124】
また逆止弁体128は、ピストン120内に摺動自在に組み込まれた第1ストッパ130の第1スプリング134の押圧で停止する初期位置にあり、この初期位置において逆止弁体128は、ピストン120の軸穴開口部に設けた弁座126から離れた開放位置に置かれている。またリミットスイッチ74のスイッチノブ74aは突出した状態にあり、この状態でリミットスイッチ74はスイッチオン状態となっている。
【0125】
図17(B)は容器本体12内に消火薬液16を微加圧状態で収納した図16と同じ定常監視状態を示す。消火薬剤の微加圧状態となる収納作業は、図17(A)の初期状態で、例えば容器本体12を垂直に立てて消火薬液16を必要量収納し、この状態で加圧してプラグで密閉すると、まず開放状態にある逆止弁体128が加圧を受けて第1スプリング134に抗してストロークし、弁座126に当接して空気導入路を閉鎖し、この状態でピストン120が加圧を受けて逆止弁体128と一体にストロークし、図17(B)のような常時微加圧状態での定常監視状態がセットできる。
【0126】
続いて図18(D)に示すように、万一、天ぷら火災が発生し、感熱ノズル14Cの可溶部80が一定温度に達して溶解すると、容器本体12内の微加圧により溶解した可溶部80が噴き出して流出穴76を開放し、容器本体12内が微加圧状態から大気圧状態に変化する。
【0127】
このため、図18(C)に示すように、第2スプリング136に押されてピストン120が逆止弁体128の閉鎖状態を維持したままストロークする。続いて、図18(D)のように、第2ストッパ132の当接でピストン120のストロークが停止すると、第1スプリング134に押されて逆止弁体128がストロークし、第1ストッパ130による停止位置で弁座126から離れた開放状態となる。
【0128】
この逆止弁体128の開放により、吸気口127から軸穴124を通って容器本体12内に空気が導入され、空気の外部からの導入に連動して消火薬液16が開放状態にある感熱ノズル14Cから自然流下されて、火災を起こしている天ぷら鍋に継続的に注入されるようになる。
【0129】
なお図14,図16の常時微加圧方式をとるレンジフード消火装置の実施形態にあっては、感熱ノズルとして空気導入機構を持たない単純な感熱ノズル14Cを使用しているが、これに代えて、図2、図3に示した空気導入機構を備えた感熱ノズル14Aを使用するようにしてもよい。
【0130】
感熱ノズル14Aを使用した場合には、その開放作動時に感熱ノズル14Aと空気導入機構72A,72Bの両方の作動により容器本体12内に空気を導入して、消火薬液を開放状態にある感熱ノズルから自然流下させることになる。
【0131】
また本発明は上記の実施形態に限定されず、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含む。更に本発明は上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【0132】
本実施形態においては、レンジフードに取り付けてレンジでの火災を消火する消火装置であったが、これに限らず、消火薬液を充填した容器を天井等の上方に配置して、その直下にある消火対象物に自然流下して消火する消火装置に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0133】
【図1】常時大気圧方式をとる本発明によるレンジフード消火装置の実施形態を示した説明図
【図2】図1の感熱ノズルを取出して示した断面図
【図3】図1に設けたフロートを用いたスイッチ機構を示した断面図
【図4】図3のスイッチ機構の動作説明図
【図5】図1のレンジフード消火装置に設ける感熱ノズルの他の実施形態を示した断面図
【図6】常時負圧方式をとる本発明によるレンジフード消火装置の実施形態を示した説明図
【図7】図6の感熱ノズルと空気導入機構を取出して示した断面図
【図8】図7の感熱ノズルと空気導入機構の動作説明図
【図9】常時微加圧方式をとる本発明によるレンジフード消火装置の実施形態を示した説明図
【図10】図9の感熱ノズルとスイッチ機構の動作説明図
【図11】ダイヤフラムのガス交換による圧力低下を抑止するスイッチ機構の実施形態を示した説明図
【図12】常時微加圧方式をとる本発明によるレンジフード消火装置の他の実施形態を示した説明図
【図13】図12の感熱ノズルとスイッチ機構の動作説明図
【図14】常時微加圧方式をとる本発明によるレンジフード消火装置の他の実施形態を示した説明図
【図15】図14の感熱ノズルと空気導入機構の動作説明図
【図16】常時微加圧方式をとる本発明によるレンジフード消火装置の他の実施形態を示した説明図
【図17】図16の感熱ノズルと空気導入機構の動作説明図
【図18】図17に続く感熱ノズルと空気導入機構の動作説明図
【符号の説明】
【0134】
10A,10B,10C:レンジフード消火装置
11:液面
12:容器本体
14A,14B,14C:感熱ノズル
15:空気層
16:消火薬液
18:プラグ
20,58:ノズル本体
21:取付部
22:流出口
24,60:エアー導入管
25:カラー
26:流出隙間
28,45,88:スプリング
30,64,112:ストッパ
32,66,85,95,101,21:Oリング
34:サポータ
42,44,48,96,100,102,115,125:ホルダー
35,70,80:可溶部
36,68,78:集熱板
40A,40B,40C:スイッチ機構
47:プレート
48:ビス
50,92,104:ダイヤフラム
52:フロート
54,94:シャフト
56,74:リミットスイッチ
56a:スイッチレバー
62:蛇腹管
71:負圧発生機構
72A,72B:空気導入機構
74a:スイッチノブ
75:カバー
76:流出穴
82:吸気口
84,120:ピストン
86,135:ディスク
87:ボルト
90:ガイド
98:ベローズ
106:弁穴
108:パイロット弁体
110:弁部
114,134:第1スプリング
116,136:第2スプリング
122:ピストンロッド部
124:軸穴
126:弁座
128:逆止弁体
128a:ロッド部
130:第1ストッパ
132:第2ストッパ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
消火対象物の上方に装着され、大気圧状態で消火薬液を収納した容器本体と、
前記容器本体に装着され、所定温度に加熱された際に開放作動して空気を流入しながら前記消火薬液を自然流下させる感熱ノズルと、
前記容器本体に設けられ、前記感熱ノズルの開放作動に伴って作動検出信号を外部に出力する警報スイッチ機構と、
を備えたことを特徴とする消火装置。
【請求項2】
請求項1記載の消火装置に於いて、前記警報スイッチ機構は、
前記容器本体内の消火薬液の収納部に配置された液面に応じて上下するフロート部材と、
前記フロート部材の一端に固定されたシャフト部材と、
前記容器本体の端部側に配置されて記消火薬液の収納部を仕切ると共に、前記シャフト部材を貫通支持したダイヤフラム部材と、
前記ダイヤフラム部材を貫通して突出した前記シャフト部材にスイッチ作動部位を当接配置したスイッチと、
を備え、収納した消火薬剤による前記フロート部材の浮上により前記シャフト部材を押下げて前記スイッチを非作動位置に切替え、前記感熱ノズルの開放作動による消火薬液の液面の低下に伴う前記フロート部材の下降で前記スイッチを作動位置に切替えて作動検出信号を出力させることを特徴とする消火装置。
【請求項3】
消火対象物の上方に装着され、消火薬液を収納した容器本体と、
前記容器本体に設けられ、前記消火薬液の収納状態を負圧状態とする負圧発生機構と、
前記容器本体に装着され、所定温度に加熱された際に開放作動して消火薬液を自然流下させる感熱ノズルと、
前記容器本体に設けられ、前記感熱ノズルの開放作動に伴って作動検出信号を外部に出力する警報スイッチ機構と、
を備えたことを特徴とする消火装置。
【請求項4】
請求項3記載の消火装置に於いて、前記負圧発生機構は、
前記容器本体の端部をシリンダ部として摺動自在に装着されたピストン部材と、
前記消火薬液を収納した状態で前記ピストン部材を収納容積を拡大する方向に付勢して消火薬剤の収納状態を負圧状態に維持するスプリングと、
前記感熱ノズルの開放作動に伴う負圧状態を大気圧に開放した際の前記スプリングによるビストンの移動で開口して容器内に空気を導入する前記容器本体に設けた吸気口と、
を備えたことを特徴とする消火装置。
【請求項5】
請求項4記載の消火装置に於いて、前記警報スイッチ機構は、前記ピストン部材の軸方向に相対した外側位置に、前記ピストン部材の負圧保持状態で非作動位置に切り替わり、前記感熱ノズルの開放作動に伴う前記ピストン部材の移動で作動位置に切り替わって作動検出信号を出力するスイッチを設けたことを特徴とする消火装置。
【請求項6】
消火対象物の上方に装着され、消火薬液を収納した容器本体と、
前記容器本体に装着され、所定温度に加熱された際に開放作動して前記消火薬液を流下させる感熱ノズルと、
前記感熱ノズルの開放作動に伴い前記容器本体内に空気を流入して前記消火薬液を自然流下させる空気導入機構と、
前記容器本体に設けられ、前記感熱ノズルの開放作動に伴って作動検出信号を外部に出力する警報スイッチ機構と、
を備えたことを特徴とする消火装置。
【請求項7】
請求項6記載の消火装置に於いて、前記警報スイッチ機構は、
前記容器本体の端部側に配置されて記消火薬液の収納部を仕切るダイヤフラム部材と、
前記ダイヤフラム部材の外側な支持したシャフト部材と、
前記容器本体の大気圧状態で前記シャフト部材を介して前記ダイヤフラム部材を初期位置に付勢するスプリングと、
前記ダイヤフラム部材に支持した前記シャフト部材の先端部にスイッチ作動部位を当接配置したスイッチと、
を備え、前記容器本体に収納した消火薬液の加圧保持状態による前記ダイヤフラム部材の変形による前記シャフト部材の移動で前記スイッチを非作動位置に切り替え、前記感熱ノズルの開放作動に伴う前記ダイヤフラム部材の初期位置への移動で前記スイッチを作動位置に切り替えて作動検出信号を出力することを特徴とする消火装置。
【請求項8】
請求項7記載の消火装置に於いて、前記警報スイッチ機構は、前記ダイヤフラム部材を下部に連結口を開口した隔壁で仕切られた隔室に収納し、前記収納容器の上部の空気層と前記ダイヤフラムとの連通を抑制したことを特徴とする消火装置。
【請求項9】
請求項6記載の消火装置に於いて、前記警報スイッチ機構は、
前記容器本体の端部側に配置されて記消火薬液の収納部を仕切る伸縮自在なベローズ部材と、
前記ベローズ部材に外端部側にスイッチ作動部位を当接配置したスイッチと、
を備え、前記容器本体に収納した消火薬液の加圧保持状態による前記ベローズ部材の伸展により前記スイッチを非作動位置に切り替え、前記感熱ノズルの開放作動に伴う前記ベローズ部材の縮小で前記スイッチを作動位置に切り替えて作動検出信号を出力することを特徴とする消火装置。
【請求項10】
請求項6記載の消火装置に於いて、前記空気導入機構は、
前記容器本体の端部側に配置されて前記消火薬液の収納部を仕切ると共に、弁穴を開口したダイヤフラム部材と、
前記ダイヤフラム部材の弁穴を開閉する弁部を備えたパイロット弁部材と、
前記容器本体内の大気圧状態で、前記パイロット弁部材をストッパで決まる前記ダイヤフラム側の初期位置に付勢支持する第1スプリングと、
前記容器本体内の大気圧状態で、前記ダイヤフラム部材の弁穴を前記パイロット弁部材から離れて開放した初期位置に付勢支持する第2スプリングと、
を備え、前記容器本体内に加圧充填した消火薬液により前記ダイヤフラム部材を外側に押圧変形して前記弁穴を前記パイロット部材の弁部に嵌合して閉鎖した状態で前記第1スプリング及び第2スプリングを圧縮して加圧状態を維持し、前記感熱ノズルの開放作動による容器本体内の加圧状態から大気圧状態への変化に応じ、前記第1スプリング及び第2スプリングにより前記ダイヤフラム弁体の弁穴及び前記パイロット弁部材を初期位置に復帰させて、前記ダイヤフラム部材の開放状態にある弁穴を通って空気を前記容器本体に導入して開放した前記感熱ノズルから消火薬液を自然流下させることを特徴とする消火装置。
【請求項11】
請求項10記載の消火装置に於いて、前記警報スイッチ機構は、前記パイロット弁部材の軸方向に相対した外側位置にスイッチを設け、前記容器本体に収納した消火薬液の加圧保持状態による前記パイロット弁部材の移動で前記スイッチを非作動位置に切り替え、前記感熱ノズルの開放作動に伴う前記パイロット弁部材の初期位置への移動で前記スイッチを作動位置に切り替えて作動検出信号を出力させることを特徴とする消火装置。
【請求項12】
請求項6記載の消火装置に於いて、前記空気導入機構は、
前記容器本体の端部側をシリンダ部として摺動自在に装着され、消火薬剤の収納部を仕切るピストン部材と、
前記ピストン部材を貫通する軸穴の消火薬剤収納部側の開口部に形成された弁座と、
前記ピストン部材の軸穴に遊嵌され、前記弁座に当接して前記軸穴を開閉する逆止弁部材と、
前記容器本体内の大気圧状態で、前記逆止弁部材を第1ストッパで決まる前記消火薬剤収納部側の初期位置に付勢支持する第1スプリングと、
前記容器本体内の大気圧状態で、前記ピストン部材を第2ストッパで決まる前記逆止弁部材を前記弁座から離して開放した初期位置に付勢支持する第2スプリングと、
を備え、前記容器本体内に加圧充填した消火薬液により前記逆止弁部材を弁座に押圧して軸穴を閉鎖した状態で前記ピストン部材を外側に移動し、前記第1スプリング及び第2スプリングを圧縮して加圧状態を維持し、前記感熱ノズルの開放作動による容器本体内の加圧状態から大気圧状態への変化に応じ、前記第1スプリング及び第2スプリングにより前記ピストン弁体及び前記逆止弁部材を初期位置に復帰させて、前記ピストン部材の開放状態にある軸穴を通って空気を前記容器本体に導入して開放した前記感熱ノズルから消火薬液を自然流下させることを特徴とする消火装置。
【請求項13】
請求項12記載の消火装置に於いて、前記警報スイッチ機構は、前記ピストン部材の軸方向に相対した外側位置にスイッチを設け、前記容器本体に収納した消火薬液の加圧保持状態による前記ピストン部材の移動で前記スイッチを非作動位置に切り替え、前記感熱ノズルの開放作動に伴う前記ピストン部材の初期位置への移動で前記スイッチを作動位置に切り替えて作動検出信号を出力させることを特徴とする消火装置。
【請求項1】
消火対象物の上方に装着され、大気圧状態で消火薬液を収納した容器本体と、
前記容器本体に装着され、所定温度に加熱された際に開放作動して空気を流入しながら前記消火薬液を自然流下させる感熱ノズルと、
前記容器本体に設けられ、前記感熱ノズルの開放作動に伴って作動検出信号を外部に出力する警報スイッチ機構と、
を備えたことを特徴とする消火装置。
【請求項2】
請求項1記載の消火装置に於いて、前記警報スイッチ機構は、
前記容器本体内の消火薬液の収納部に配置された液面に応じて上下するフロート部材と、
前記フロート部材の一端に固定されたシャフト部材と、
前記容器本体の端部側に配置されて記消火薬液の収納部を仕切ると共に、前記シャフト部材を貫通支持したダイヤフラム部材と、
前記ダイヤフラム部材を貫通して突出した前記シャフト部材にスイッチ作動部位を当接配置したスイッチと、
を備え、収納した消火薬剤による前記フロート部材の浮上により前記シャフト部材を押下げて前記スイッチを非作動位置に切替え、前記感熱ノズルの開放作動による消火薬液の液面の低下に伴う前記フロート部材の下降で前記スイッチを作動位置に切替えて作動検出信号を出力させることを特徴とする消火装置。
【請求項3】
消火対象物の上方に装着され、消火薬液を収納した容器本体と、
前記容器本体に設けられ、前記消火薬液の収納状態を負圧状態とする負圧発生機構と、
前記容器本体に装着され、所定温度に加熱された際に開放作動して消火薬液を自然流下させる感熱ノズルと、
前記容器本体に設けられ、前記感熱ノズルの開放作動に伴って作動検出信号を外部に出力する警報スイッチ機構と、
を備えたことを特徴とする消火装置。
【請求項4】
請求項3記載の消火装置に於いて、前記負圧発生機構は、
前記容器本体の端部をシリンダ部として摺動自在に装着されたピストン部材と、
前記消火薬液を収納した状態で前記ピストン部材を収納容積を拡大する方向に付勢して消火薬剤の収納状態を負圧状態に維持するスプリングと、
前記感熱ノズルの開放作動に伴う負圧状態を大気圧に開放した際の前記スプリングによるビストンの移動で開口して容器内に空気を導入する前記容器本体に設けた吸気口と、
を備えたことを特徴とする消火装置。
【請求項5】
請求項4記載の消火装置に於いて、前記警報スイッチ機構は、前記ピストン部材の軸方向に相対した外側位置に、前記ピストン部材の負圧保持状態で非作動位置に切り替わり、前記感熱ノズルの開放作動に伴う前記ピストン部材の移動で作動位置に切り替わって作動検出信号を出力するスイッチを設けたことを特徴とする消火装置。
【請求項6】
消火対象物の上方に装着され、消火薬液を収納した容器本体と、
前記容器本体に装着され、所定温度に加熱された際に開放作動して前記消火薬液を流下させる感熱ノズルと、
前記感熱ノズルの開放作動に伴い前記容器本体内に空気を流入して前記消火薬液を自然流下させる空気導入機構と、
前記容器本体に設けられ、前記感熱ノズルの開放作動に伴って作動検出信号を外部に出力する警報スイッチ機構と、
を備えたことを特徴とする消火装置。
【請求項7】
請求項6記載の消火装置に於いて、前記警報スイッチ機構は、
前記容器本体の端部側に配置されて記消火薬液の収納部を仕切るダイヤフラム部材と、
前記ダイヤフラム部材の外側な支持したシャフト部材と、
前記容器本体の大気圧状態で前記シャフト部材を介して前記ダイヤフラム部材を初期位置に付勢するスプリングと、
前記ダイヤフラム部材に支持した前記シャフト部材の先端部にスイッチ作動部位を当接配置したスイッチと、
を備え、前記容器本体に収納した消火薬液の加圧保持状態による前記ダイヤフラム部材の変形による前記シャフト部材の移動で前記スイッチを非作動位置に切り替え、前記感熱ノズルの開放作動に伴う前記ダイヤフラム部材の初期位置への移動で前記スイッチを作動位置に切り替えて作動検出信号を出力することを特徴とする消火装置。
【請求項8】
請求項7記載の消火装置に於いて、前記警報スイッチ機構は、前記ダイヤフラム部材を下部に連結口を開口した隔壁で仕切られた隔室に収納し、前記収納容器の上部の空気層と前記ダイヤフラムとの連通を抑制したことを特徴とする消火装置。
【請求項9】
請求項6記載の消火装置に於いて、前記警報スイッチ機構は、
前記容器本体の端部側に配置されて記消火薬液の収納部を仕切る伸縮自在なベローズ部材と、
前記ベローズ部材に外端部側にスイッチ作動部位を当接配置したスイッチと、
を備え、前記容器本体に収納した消火薬液の加圧保持状態による前記ベローズ部材の伸展により前記スイッチを非作動位置に切り替え、前記感熱ノズルの開放作動に伴う前記ベローズ部材の縮小で前記スイッチを作動位置に切り替えて作動検出信号を出力することを特徴とする消火装置。
【請求項10】
請求項6記載の消火装置に於いて、前記空気導入機構は、
前記容器本体の端部側に配置されて前記消火薬液の収納部を仕切ると共に、弁穴を開口したダイヤフラム部材と、
前記ダイヤフラム部材の弁穴を開閉する弁部を備えたパイロット弁部材と、
前記容器本体内の大気圧状態で、前記パイロット弁部材をストッパで決まる前記ダイヤフラム側の初期位置に付勢支持する第1スプリングと、
前記容器本体内の大気圧状態で、前記ダイヤフラム部材の弁穴を前記パイロット弁部材から離れて開放した初期位置に付勢支持する第2スプリングと、
を備え、前記容器本体内に加圧充填した消火薬液により前記ダイヤフラム部材を外側に押圧変形して前記弁穴を前記パイロット部材の弁部に嵌合して閉鎖した状態で前記第1スプリング及び第2スプリングを圧縮して加圧状態を維持し、前記感熱ノズルの開放作動による容器本体内の加圧状態から大気圧状態への変化に応じ、前記第1スプリング及び第2スプリングにより前記ダイヤフラム弁体の弁穴及び前記パイロット弁部材を初期位置に復帰させて、前記ダイヤフラム部材の開放状態にある弁穴を通って空気を前記容器本体に導入して開放した前記感熱ノズルから消火薬液を自然流下させることを特徴とする消火装置。
【請求項11】
請求項10記載の消火装置に於いて、前記警報スイッチ機構は、前記パイロット弁部材の軸方向に相対した外側位置にスイッチを設け、前記容器本体に収納した消火薬液の加圧保持状態による前記パイロット弁部材の移動で前記スイッチを非作動位置に切り替え、前記感熱ノズルの開放作動に伴う前記パイロット弁部材の初期位置への移動で前記スイッチを作動位置に切り替えて作動検出信号を出力させることを特徴とする消火装置。
【請求項12】
請求項6記載の消火装置に於いて、前記空気導入機構は、
前記容器本体の端部側をシリンダ部として摺動自在に装着され、消火薬剤の収納部を仕切るピストン部材と、
前記ピストン部材を貫通する軸穴の消火薬剤収納部側の開口部に形成された弁座と、
前記ピストン部材の軸穴に遊嵌され、前記弁座に当接して前記軸穴を開閉する逆止弁部材と、
前記容器本体内の大気圧状態で、前記逆止弁部材を第1ストッパで決まる前記消火薬剤収納部側の初期位置に付勢支持する第1スプリングと、
前記容器本体内の大気圧状態で、前記ピストン部材を第2ストッパで決まる前記逆止弁部材を前記弁座から離して開放した初期位置に付勢支持する第2スプリングと、
を備え、前記容器本体内に加圧充填した消火薬液により前記逆止弁部材を弁座に押圧して軸穴を閉鎖した状態で前記ピストン部材を外側に移動し、前記第1スプリング及び第2スプリングを圧縮して加圧状態を維持し、前記感熱ノズルの開放作動による容器本体内の加圧状態から大気圧状態への変化に応じ、前記第1スプリング及び第2スプリングにより前記ピストン弁体及び前記逆止弁部材を初期位置に復帰させて、前記ピストン部材の開放状態にある軸穴を通って空気を前記容器本体に導入して開放した前記感熱ノズルから消火薬液を自然流下させることを特徴とする消火装置。
【請求項13】
請求項12記載の消火装置に於いて、前記警報スイッチ機構は、前記ピストン部材の軸方向に相対した外側位置にスイッチを設け、前記容器本体に収納した消火薬液の加圧保持状態による前記ピストン部材の移動で前記スイッチを非作動位置に切り替え、前記感熱ノズルの開放作動に伴う前記ピストン部材の初期位置への移動で前記スイッチを作動位置に切り替えて作動検出信号を出力させることを特徴とする消火装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2007−159917(P2007−159917A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−361973(P2005−361973)
【出願日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【出願人】(000192073)株式会社モリタ (80)
【出願人】(301065744)株式会社モリタユージー (5)
【出願人】(000003403)ホーチキ株式会社 (792)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【出願人】(000192073)株式会社モリタ (80)
【出願人】(301065744)株式会社モリタユージー (5)
【出願人】(000003403)ホーチキ株式会社 (792)
【Fターム(参考)】
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