説明

消臭洗浄スプレー

【課題】この発明は、面倒なく容易に犬が排泄した尿を浄化効果、および消臭効果のある洗浄液で洗浄することを目的とする。
【解決手段】タンク部3と、該タンク部3に封入した内容物を勢いよく噴射するノズル7とを備え、前記タンク部3に、洗浄液と、LPG10dとを封入し、前記洗浄液を、酸化チタン粉末10cと、貝殻焼成カルシウム粉末10bと、該貝殻焼成カルシウム粉末10bの除菌効果等に比べて早期に消毒効果を発揮するエチルアルコール10aとを混合して形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば屋外でペットが便を排泄した後に使用するような消臭洗浄スプレーに関する。
【背景技術】
【0002】
近年のペットブームのなか、多くの人が自己の健康維持を兼ねてペットの散歩をしている。そのようなペットのうち特に犬は、電柱や、他人の家屋の門柱等に尿を排泄することで、自分の縄張りであることを示すマーキングをする習性がある。このため、犬は一回の散歩で複数回の尿を排泄することが多い。
【0003】
飼い主のモラルの向上に伴い、飼い主は、散歩中に犬が排泄した大便については、持参した袋等に入れて持ち帰るが、尿については、排尿を行った箇所がたとえ他人の家屋の門柱であっても、そのまま何もしないことが多い。
【0004】
放置された尿はアンモニアやばい菌等を含んでいることから悪臭の原因となり、また、ばい菌の繁殖、浮遊、あるいは拡散の原因となる。
また、例えば、レプトスピラ症等の病気に感染した犬が排泄した尿である場合には、尿に含まれた病原菌も拡散され、犬だけでなく人間にも感染する惧れがある。
【0005】
特に、風通りの悪い路地等では、悪臭や浮遊したばい菌、病原菌は、拡散されにくく、長期間残留することとなり、近づいた人に大きな影響を与える。また、大人と比べて抵抗力の弱い幼児は、大人よりも路面近くで呼吸しているため、路面近くに濃密に存在するばい菌、病原菌の影響を大きく受けることとなる。
【0006】
そこで、消臭、除菌効果のある粉末を、散歩に使用する分だけ前もってペットボトル等に入れて水で溶解し、それを持参して、犬が尿を排泄した箇所に掛けるペットの散歩用洗浄セットが提案されている(特許文献1参照)。
【0007】
しかし、前もって粉末を水に溶解しなければならない散歩用洗浄セットを、散歩する際に持参することは面倒であった。また、一般的に尿は大便ほどの悪臭、ばい菌がないとのイメージが強いため、このような面倒なことは行わない飼い主が多く、上記ペットの散歩用洗浄セットは普及するに至らなかった。
【0008】
【特許文献1】特開2002−223657号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この発明は、面倒なく容易に散歩中の犬が排泄した尿を浄化効果、および消臭効果のある洗浄液で洗浄することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、封入部と、該封入部に封入した内容物を勢いよく噴射する噴射口とを備え、前記封入部に、消臭成分と浄化成分とを有する洗浄液と、噴射剤とを封入し、前記浄化成分を、消毒成分、除菌成分、または抗菌成分の少なくとも1つを含む成分とで構成とした消臭洗浄スプレーであることを特徴とする。
【0011】
前記封入部は、アルミ、スチール等の金属によって形成されていることを含み、円筒形等のスプレー缶で形成することを含む。
前記スプレーは、正立噴射、あるいは倒立噴射可能なエアゾールスプレーであることを含む。
【0012】
前記消毒成分は、ばい菌等の微生物を死滅させる成分、または目的の微生物のみを死滅させる成分であることを含む。また、前記除菌成分は、ばい菌等の微生物を取り除く成分であることを含む。さらに、前記抗菌成分は、ばい菌等の微生物を死滅させるとともに、微生物の増殖を阻止する成分であることを含む。なお、前記消毒成分、前記除菌成分、および前記抗菌成分のいずれもが、経口摂取した場合であっても無害な成分で形成されていることがより望ましい。
【0013】
消臭成分とは、脱臭および/または消臭可能な成分であり、例えば銀イオンやフラボノイド等の消臭効果のある物質で構成することを含む。なお、消臭成分は経口摂取した場合であっても無害な成分で形成されていることがより望ましい。
前記噴射剤は、液化石油ガス、ジメチルエーテル、または不活性ガスであることを含む。
【0014】
上記構成により、消臭成分と浄化成分とを有する洗浄液を噴射容器から噴射させることができ、利用者は、散歩中の犬が排泄した尿に洗浄液を噴射させるだけで、尿を洗浄するとともに、消臭効果ならびに浄化効果を得ることができる。
【0015】
また、浄化効果を得ることのできる浄化成分は消毒成分、除菌成分、または抗菌成分の少なくとも1つを含むため、散歩中の犬が排泄した尿に洗浄液を噴射させることによって、犬が排泄した尿に含まれるばい菌や病原菌等の微生物を死滅させたり、取り除いたり、死滅させたうえで上記微生物の増殖を阻止することができる。
【0016】
したがって、尿に含まれるばい菌が繁殖し、そのばい菌が浮遊して拡散されることを防止することができ、例えば、レプトスピラ症等の病気に感染した犬が排泄した尿の場合であっても、尿に含まれた病原菌の拡散を防止でき、犬だけでなく人間への感染を防止することができる。
【0017】
また、上記浄化効果によって尿に含まれる菌を死滅させたり、取り除いたりできるため、尿に含まれる菌によって尿が分解されて発生する悪臭(アンモニア臭)の発生を防止することができる。
さらに、尿に含有する菌の数によって臭いの発生量が多くなるが、尿に含まれる菌を死滅させたうえで増殖を阻止することができるため、臭いの発生量の増加を防止できる。
【0018】
また、犬が排泄した尿に洗浄液を噴射することによって、上記浄化成分によって浄化された尿を洗い流すことができるため、尿が乾燥して発生する硫黄含有化合物による不快臭の発生を防止できる。
【0019】
また、粉末を水に溶解させてペットボトルに入れるといった面倒な作業をせずとも、除菌消臭洗浄剤噴射装置のみを持参するだけで、容易に消臭効果ならびに除菌効果のある洗浄を行うことができるため、利用者の満足度を向上させることができる。
したがって、多くの飼い主に普及させることができるため、衛生環境の向上、または飼い主モラルの向上を図ることができる。
【0020】
この発明は、封入部と、該封入部に封入した内容物を勢いよく噴射する噴射口とを備え、前記封入部に、洗浄液と、噴射剤とを封入し、前記洗浄液を、酸化チタンと、消石灰と、該消石灰の除菌効果等に比べて早期に消毒効果を発揮する即効性消毒液とを混合して形成した消臭洗浄スプレーであることを特徴とする。
【0021】
前記酸化チタンは、二酸化チタン(TiO)粉末からなる酸化チタン光触媒であることを指す。
洗浄液に、酸化チタンを混入したことで、紫外線照射された酸化チタンの強い光酸化力によって、酸化チタンに接触する悪臭等の成分である有機物(微生物等)を酸化して、消臭・脱臭効果、および抗菌、殺菌効果を得ることができる。
【0022】
なお、酸化チタンは光触媒であり、有機物の酸化を促進するが酸化チタン自体は変化しないため、紫外線の照射によって、継続的に消臭・脱臭効果、および抗菌、殺菌効果を得ることができる。
また、酸化チタンは経口摂取した場合であっても無害である。
【0023】
前記消石灰(Ca(OH))は、生石灰に水を加えて生成した液状あるいは粉末状の消石灰、または貝殻表層部を研磨洗浄し、焼成加工した粉末状の貝殻焼成カルシウムであることを含む。
洗浄液に、前記消石灰を混入したことで、脱臭効果、および除菌、抗菌効果を得ることができる。
【0024】
前記即効性消毒液は、アルコール類、イソプロパノール、クロルヘキシジン、またはポビドンヨード、あるいはこれらの混合等の生体への刺激性が少なく、上記消石灰の除菌、抗菌効果より早く消毒効果を発揮する消毒液である。
上記消毒液は液状であるため、噴射剤の圧力によってスプレーから噴出されると、消毒液によって消毒された犬の尿を洗い流すことができるとともに、洗い流された排尿箇所を消毒することができる。
【0025】
上記構成により、即効性消毒液と酸化チタンと消石灰とを混合して形成した洗浄液を、噴射剤の圧力を利用して噴射容器から噴射させることができ、利用者は、散歩中の犬が排泄した尿に洗浄液を噴射させるだけで、排尿を洗浄するとともに、消臭効果ならびに浄化効果を得ることができる。
【0026】
詳述すると、液体状の即効性消毒薬によって、消毒された犬の尿を洗い流すことができるとともに、洗い流された排尿箇所を消毒することができる。また、噴射箇所等に尿成分が残留している場合であっても、即効性消毒液が乾燥するまでは、即効性消毒液の消毒効果によって、残留尿成分を消毒することができる。
【0027】
また、即効性消毒液の乾燥後は、洗浄液に混入した消石灰によって、脱臭効果、および除菌、抗菌効果を得ることができるとともに、紫外線が照射されれば酸化チタンの強い光酸化力によって、酸化チタンに接触する悪臭等の成分である有機物(微生物)を酸化して、消臭・脱臭効果、および抗菌、殺菌効果を得ることができる。
【0028】
なお、酸化チタンは光触媒であるため、それ自体が変化してなくなることがなく、酸化チタン粉末がその場に残留している間は、消臭・脱臭効果、および抗菌、殺菌効果を得ることができる。
したがって、仮に、洗浄液の噴射量が少なく、消毒効果が不十分で尿成分が残留していた場合であっても、その尿に含まれる病原菌やばい菌等の微生物によって分解されて発生する悪臭(アンモニア臭)や、病原菌やばい菌等の微生物の繁殖を防止することができる。また、このような場合に、尿が乾燥して発生する硫黄含有化合物による不快臭の発生を防止できる。
なお、酸化チタン粉末による継続的な消臭・脱臭効果、および抗菌、殺菌効果は尿に限定されないため、散歩中の犬が排尿する前より衛生的な環境を得ることができる
【0029】
また、粉末を水に溶解させてペットボトルに入れるといった面倒な作業をせずとも、除菌消臭洗浄剤噴射装置のみを持参するだけで、容易に消臭効果ならびに除菌効果等のある洗浄を行うことができるため、利用者の満足度を向上させることができる。
したがって、多くの飼い主に普及させることができるため、衛生環境の向上、または飼い主モラルの向上を図ることができる。
【0030】
この発明の態様として、前記即効性消毒液として、エチルアルコールを用いることができる。
これにより、各種細菌を含む微生物に対して即効性の消毒効果を有するとともに、入手が容易であるため、生産コストの低減を図ることができる。
【0031】
また、エチルアルコールは、略100%濃度(いわゆる無水アルコール)より低い濃度(およそ80%程度)のほうが消毒効果が高いため、噴射された略100%濃度のエチルアルコールが、外気と接触することによって吸水や揮発してエチルアルコールの濃度は低下し、より高い消毒効果を得ることができる。
【0032】
さらに、誤飲した場合であっても、エチルアルコールが無害であるため、安全性を確保することができる。
また、エチルアルコールの臭気や揮発性によって、利用者が洗浄液の消毒・除菌効果が発揮されていることをイメージしやすくなり、利用者の満足度を向上させることができる。
【0033】
また、この発明の態様として、前記消石灰として、貝殻焼成カルシウム粉末を用いることができる。
上記貝殻焼成カルシウム粉末は、ほっき貝の貝殻を焼成加工した焼成ほっき貝(サーフクラムカルシウム)、牡蠣殻を焼成加工した焼成牡蠣殻(オイスターカルシウム)等の粉末であることを含む。
【0034】
消石灰として貝殻焼成カルシウム粉末を用い、洗浄液に混入したことにより、犬が排泄した尿に含まれるO−157等の大腸菌、レジオネラ菌、緑膿菌、および黄色ブドウ球菌等のばい菌をより効果的に除菌、抗菌することができる。
したがって、乾燥した尿から上記病原菌等の微生物が浮遊することを防止することができ、ばい菌、病原菌等の微生物が高密度で浮遊しやすい路面近くで呼吸している抵抗力の弱い幼児が、それらの病原菌等の微生物によって感染することを防止できる。
【0035】
また、この発明の態様として、前記洗浄液と前記噴射剤との質量配合比を、
前記洗浄液に対して、前記噴射剤が40%以上となるように構成することができる。
これにより、封入部に洗浄液が残存することなく、最後まで使い切ることができる。
【0036】
また、前記洗浄液と前記噴射剤との質量配合比を調整することによって、洗浄液の噴射圧力や、噴射量を調整することができるが、前記洗浄液に対して、前記噴射剤が40%以上となるように構成することによって、尿を洗い流すのに十分の噴射圧力、および噴射量を確保できるとともに、エタノール等の揮発性の消毒液が乾燥するまでの間に排尿を十分に消毒することができる噴射量を得ることができる。
【0037】
また、この発明の態様として、前記洗浄液に、忌避成分を追加することができる。
前記忌避成分は、動物、虫が嫌がる成分によって近寄らせない効果を有する成分を指し、ナフタリン、または樹液成分を含む。
【0038】
これによって、犬が再度その場所に排尿することを防止できる。
また、飼い主に限らず、例えば、よく犬に排尿されて困惑している家主であっても、忌避成分を追加した洗浄液を当該箇所に噴射させるだけで、野良犬や野良猫等の排尿を防止することができる。
【発明の効果】
【0039】
この発明によれば、面倒なく容易に犬が排泄した尿に噴射するだけで、浄化効果および消臭効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
消臭洗浄スプレー1の側面図を示す図1、消臭洗浄スプレー1の正面図を示す図2、成立状態の消臭洗浄スプレー1の側方断面図を示す図3、倒立状態の消臭洗浄スプレー1の側方断面図を示す図4とともに消臭洗浄スプレー1について説明する。
【0041】
消臭洗浄スプレー1は、スプレー容器2に混合洗浄液10を封入して構成している。詳述すると、スプレー容器2は、適宜の内容量(例えば200ml)を封入できるサイズ(例えば直径5cm、高さ19cm程度)の円筒形のタンク部3と、タンク部3の上部に備えた封入キャップ4と、封入キャップ4に接続したスプレー部5とで構成している。
【0042】
なお、タンク部3のサイズは、これに限定されず、大型犬の排尿量にあわせた適宜のサイズ(例えば直径6cm、高さ25cm程度)に形成する、あるいは携帯性を高めた適宜のサイズ(例えば直径4cm、高さ15.5cm程度)に形成するなど、所望のサイズに形成すればよい。
【0043】
また、タンク部3は、タンク部3内に封入したエチルアルコール10a、貝殻焼成カルシウム粉末10b、酸化チタン粉末10c、およびLPG10dとの混合洗浄液10の封入圧力に対して十分な耐久力を有する適宜の肉厚を有するアルミ部材で形成し、底面を一体に形成した円筒形の上方の1/5程度を、上面に円形開口部(図示省略)を有する上突な半球状に形成している。
【0044】
また、封入キャップ4は平面視円形であり、中心付近に上下方向(タンク部3軸線方向)に可動であり、上方向(カバー6側)への反発力を有する噴出口9を備え、封入キャップ4の周縁部をタンク部3の前記上面(カバー6側)に嵌着することで、タンク部3内に適宜の圧力で混合洗浄液10を封入している。
【0045】
なお、上端位置(カバー6側)にある噴出口9は混合洗浄液10の噴出を、図示省略したステムによって、遮断する閉状態であり、下方(タンク部3側)に移動することで、上記ステムが下方(タンク部3側)に移動して上記ステムに設けたステム孔(図示省略)が開いて混合洗浄液10の噴出を許容する開状態となる、いわゆるプッシュダウン式バルブである。
また、噴出口9の移動量によって、上記ステム孔の開度を調整することができ、混合洗浄液10の噴出量を容易に調整することができる。
【0046】
また、タンク部3内部の噴出口9下端と、タンク部3内部下方の混合洗浄液10の通過を許容する可撓性のディップチューブ13との間に、上下移動可能なボール12aを格納したボールハウジング12を備えている。これにより、図1に示すような正立状態での噴射はもちろん、図4に示すように、消臭洗浄スプレー1の倒立状態(上下逆さまの状態)であっても、ボール12aが噴出口9側に移動してボールハウジング12内部の混合洗浄液10の通過量を制限するため、ディップチューブ13内部の混合洗浄液10が重力によって過大量噴射されることを防止し、適量の噴射をすることができる。
【0047】
また、スプレー部5はカバー6と、カバー6内部に備えたノズル7と、トリガ8とで構成している。
なお、トリガ8はカバー6に対して、上部を軸として前後方向(タンク部3軸線直角方向)に往復回動可能に構成されるとともに、トリガ8の往復回動に連動して噴出口9が上下に従動する構成となっている。
【0048】
詳述すると、通常状態(保管状態)では、トリガ8は前方位置にあるとともに、噴出口も上端位置にあるが、利用者がトリガ8を押圧して後方位置(図3中A方向)に回動すると、トリガ8の回動に連動して、噴射口9は下方(図3中B方向)に移動し、ディップチューブ13およびボールハウジング12を通過した混合洗浄液10を噴出口9から噴出することができる。
【0049】
逆に利用者がトリガ8を開放すると、上方への反発力によって噴出口9が上端位置に戻り、噴出口9からの混合洗浄液10の噴出を停止するとともに、トリガ8は前方位置に戻る。
【0050】
また、正面視中央に円形のノズル口7aを備えたノズル7はカバー6内部で噴出口9に接続されている。
なお、ノズル口7aの形状及び構成によって内容物の噴射状態を変更することができる。
【0051】
上記構成により、混合洗浄液10を、噴出口9から噴出させ、ノズル7のノズル口7aを通過して外部に噴射させることができる。
したがって、利用者はタンク部3を握持しながら、トリガ8を人差し指等で後方に引くことによって、ノズル口7aから混合洗浄液10を勢いよく噴射させることができる。また、噴射する箇所に応じて、消臭洗浄スプレー1を正立状態、または倒立状態だけでなく、消臭洗浄スプレー1を傾けた状態であっても噴射することができる。
【0052】
次に、タンク部3内部に封入する混合洗浄液10について説明する。混合洗浄液10は、酸化チタン粉末10cと貝殻焼成カルシウム粉末10bとを混入したエチルアルコール10a(以下において、粉末混入エチルアルコール10eとする)と、液化石油ガス(LPG10d)とを、50:50〜60:40の比率で混合している。
【0053】
LPG10dを上記配合比率の範囲を超えて50%以上で配合すると、混合洗浄液10の噴射圧力は上昇するものの、粉末混入エチルアルコール10eの配合比率が少ないため、粉末混入エチルアルコール10eがLPG10dと比べて先になくなり、タンク部3内部にLPG10dだけが残るという状態が生じる惧れがあり、その場合、LPG10dを有効に活用することができない。
【0054】
逆に、粉末混入エチルアルコール10eを上記配合比率の範囲を超えて60%以上で配合すると、粉末混入エチルアルコール10eの噴射量が、粉末混入エチルアルコール10eの浄化効果、および消臭効果を得るための所定量に対して多くなる惧れがある。また、LPG10dの配合比率が少ないため、LPG10dが粉末混入エチルアルコール10eと比べて先になくなり、タンク部3内部に粉末混入エチルアルコール10eだけが残るという状態を生じる惧れがあり、その場合、粉末混入エチルアルコール10eを有効に活用することができない。
【0055】
なお、LPG10dは、液体状で粉末混入エチルアルコール10eと上記比率で混合してタンク部3内部に封入しているが、噴出口9の開放によるタンク部3内部の圧力低下により気化すると体積がおおよそ250倍となり、粉末混入エチルアルコール10eを勢いよく噴出することができる。
なお、本実施例においてLPG10dを噴射剤として用いているが、ジメチルエーテル(DME)や不活性ガスを用いてもよい。
【0056】
また、エチルアルコール10aは、経口摂取した場合であっても無害なアルコールであり、100%に近い高純度の無水アルコールを用いている。
なお、エチルアルコール10aは、無水状態の高純度よりも、蒸留水等を加えて80%程度の希釈された希釈アルコールの方が除菌効果が高く、80%以下の純度の希釈アルコールは、80%希釈アルコールより除菌効果の即効性は低減するものの、一定時間の経過によって同様の除菌効果を有する。
【0057】
また、貝殻焼成カルシウム粉末10bは、ほっき貝等の天然の貝殻の貝殻表層部を研磨洗浄し、1000℃以上の高温で焼成加工したものであり、主成分はCa(OH)で形成されている。
なお、貝殻焼成カルシウム粉末10bはエチルアルコール10aに溶解しないため、貝殻焼成カルシウム粉末10bの粒径を、図2に示す噴出口9やノズル口7aの通過を許容するサイズに形成する必要がある。また、酸化チタン粉末10cも、貝殻焼成カルシウム粉末10bと同様に、エチルアルコール10aに溶解しないため、噴出口9やノズル口7aの通過を許容するサイズであることが必要がある。
【0058】
したがって、図3に示すように、エチルアルコール10aに溶解しない酸化チタン粉末10c、および貝殻焼成カルシウム10bは、保管状態の消臭洗浄スプレー1のタンク部3内部においては、酸化チタン粉末10cと貝殻焼成カルシウム10bとが混ざって沈降している。
【0059】
以上の構成により、消臭効果および浄化効果を有する混合洗浄液10を得ることができる。
詳述すると、エチルアルコール10aによる即効性ある消毒効果効果、貝殻焼成カルシウム粉末10bによるO−157等の大腸菌、レジオネラ菌、緑膿菌、および黄色ブドウ球菌等のばい菌の除菌、および抗菌効果、さらに紫外線照射された酸化チタン粉末10cの強い光酸化力による消臭・脱臭効果、および抗菌、殺菌効果を得ることができる。
なお、酸化チタン粉末10cは光触媒であるため、それ自体が変化してなくなることがないため、半永久的な消臭・脱臭効果、および抗菌、殺菌効果を得ることができる。
【0060】
したがって、散歩中の犬が排泄した尿に混合洗浄液10を噴射することで、エチルアルコール10aが尿の初期消毒、および洗浄を行い、洗い流された排尿箇所や残留尿成分に対して、エチルアルコール10a乾燥後は貝殻焼成カルシウム10bによって除菌、および抗菌を行う。さらに、酸化チタン粉末10cが紫外線照射されることにより、継続的な消臭・脱臭効果、および抗菌、殺菌効果を得ることができる。これにより、乾燥度合いや細菌等の微生物の含有量で発生する悪臭の種類や発生量が異なる尿からの悪臭、不快臭の発生や、病原菌を含む微生物の空気中への拡散を防止できる。
なお、酸化チタン粉末10cへの紫外線照射は、太陽光線に含まれる紫外線に限定されず、蛍光灯の紫外線であってもよい
【0061】
また、粉末混入エチルアルコール10eを、入手が容易なエチルアルコール10aで構成することによって、粉末混入エチルアルコール10eの生産コストを低減できる。
また、噴射された混合洗浄液10のエチルアルコール10aによる臭気及び揮発性によって、利用者は混合洗浄液10の除菌効果をイメージできるため利用者の満足度を向上することができる。
【0062】
また、消毒液として無水状態の高純度よりも80%程度に希釈された希釈アルコールの方が消毒効果が高いエチルアルコール10aを用いたことにより、噴射された混合洗浄液10が外気と接触することで吸水や揮発してエチルアルコール10aの濃度が低下しても、この状態でより高い消毒効果を得ることができる。
【0063】
また、粉末混入エチルアルコール10eとLPG10dとを50:50〜60:40の比率の配合で混合洗浄液10を構成してタンク部3に封入したことによって、混合洗浄液10がなくなるまでノズル7から勢いよく噴射させることができるとともに、尿を洗い流すのに十分の噴射圧力、および噴射量を確保できるとともに、尿を十分に消毒することができる乾燥時間を確保できるエチルアルコール10aの噴射量を得ることができる。
したがって、粉末混入エチルアルコール10e、およびLPG10dがともに、タンク部3内部に残存することなく、最後まで使い切ることができるため、無駄が生じない。
【0064】
また、粉末混入エチルアルコール10eを構成する全ての成分を、経口摂取した場合であっても無害な成分で構成したことで、消臭洗浄スプレー1の使用の安全性を確保することができる。
したがって、尿を洗浄した跡を、犬が臭いを嗅いだり、なめたりした場合であっても犬に害を与えることはなく、利用者は安心して消臭洗浄スプレー1を使用することができる。
【0065】
次に、消臭洗浄スプレー1の使用状態の説明図を示す図5、混合洗浄液10の浄化および消臭状態の説明図を示す図6とともに、消臭洗浄スプレー1の使用方法、浄化および消臭状態について説明する。
利用者は、犬の散歩時に消臭洗浄スプレー1を持参し、犬が例えば他人の家屋の門柱20等に排尿した際に、排尿した門柱20から30cm程度離れた位置で、尿21の上方から、あるいは尿21を洗い流したい方向に向けてスプレーする。
【0066】
この際、尿21の排尿量にあわせて、噴射時間は尿21の略全表面に混合洗浄液10を噴射するのに適した噴射時間だけ噴射すればよい。
なお、消臭洗浄スプレー1から噴射される混合洗浄液10は、図5に示すように霧状ではなく、霧粒子より大きく、目視できる程度の粒子で拡散しながら、適宜の速度で前方に噴射される。
【0067】
詳述すると消臭洗浄スプレー1から噴射された混合洗浄液10は、同じ位置から一般的に用いられる噴霧スプレーによって霧状に噴霧された噴霧範囲より、狭い範囲に噴射されるが、霧粒子より大きな粒子状態で勢いよく噴射されるため、ドライな箇所に噴射した際は、均一的にウェットになるような噴射状態である。
【0068】
また、保管状態の消臭洗浄スプレー1のタンク部3内部では、酸化チタン粉末10cおよび貝殻焼成カルシウム10bは混ざって沈降しているため、消臭洗浄スプレー1をよく振ってから噴射することによって、酸化チタン粉末10cおよび貝殻焼成カルシウム10bがエチルアルコール10aと攪拌されて、均一な消臭効果および浄化効果を有する混合洗浄液10を噴射することができる。
【0069】
混合洗浄液10の噴射によって、門柱20にした尿21は洗い流されて、図6(b)に示すように、門柱20付近の排尿箇所は粉末混入エチルアルコール10eによる湿潤状態となり、尿21に含まれた病原菌等の微生物を、粉末混入エチルアルコール10eのうちのエチルアルコール10aが消毒する。これにより、門柱20付近を消毒することができる。
【0070】
また、図6(c)に示すように、エチルアルコール10aの乾燥後、混合洗浄液10の噴射箇所には酸化チタン粉末10cおよび貝殻焼成カルシウム10bが残留する。
これにより、エチルアルコール10aの乾燥後であっても、風等によって酸化チタン粉末10cおよび貝殻焼成カルシウム10bが吹き飛ばされない限り、貝殻焼成カルシウム10bの除菌、および抗菌効果を得ることができるとともに、混合洗浄液10の噴射箇所に紫外線が照射されることにより、継続的な消臭・脱臭効果、および抗菌、殺菌効果を得ることができる。
【0071】
したがって、乾燥度合いや細菌等の微生物の含有量で発生する悪臭の種類や発生量が異なる尿21からの悪臭、不快臭の発生や、病原菌を含む微生物の空気中への拡散を防止できる。
また、風等によって酸化チタン粉末10cおよび貝殻焼成カルシウム10bが吹き飛ばされない限り、貝殻焼成カルシウム10bの除菌、および抗菌効果に、あるいは紫外線照射による継続的な消臭・脱臭効果、および抗菌、殺菌効果を得ることができ、また上記効果は尿にのみ作用するのではないため、散歩中の犬が排尿する前より、混合洗浄液10を噴射した箇所の衛生環境を向上させることができる。
【0072】
これによって、犬を散歩させている飼い主は、犬が他人の門柱20に排尿した場合であっても、排尿後に消臭洗浄スプレー1で尿21を洗浄するとともに、消毒、除菌、殺菌、抗菌等の浄化、および消臭を行うことができる。したがって、他人の住居の門柱等へ犬が排尿している途中に、住人が住居から出てきた場合であっても、気まずい思いをすることがなくなる。
【0073】
また、消臭洗浄スプレー1に混合洗浄液10を封入したことで、消臭洗浄スプレー1の携帯性ならびに利用性が高まる。このため、消臭洗浄スプレー1の使用に対して利用者の手間ならびに面倒が軽減でき、尿21を洗浄するといった習慣を飼い主に広く浸透させることができる。
したがって、地域の衛生環境の向上を図ることができる。
【0074】
また、消臭洗浄スプレー1で一定範囲に噴射することで、消毒・除菌効果等を有する液体を直接かける場合とは異なり、尿21全体に略均一に混合洗浄液10をかけることができる。
したがって、尿21に対する混合洗浄液10のかけ残しが防止でき、また、意図しない混合洗浄液10のかけすぎを防止できる。
【0075】
なお、尿の洗浄だけでなく、消臭洗浄スプレー1は大便を取り去った後の洗浄にも用いてもよい。
これにより、取り去った大便の跡に残存する目に見えないばい菌や病原菌等の微生物の消毒、除菌、殺菌、抗菌、および消臭を容易に行うことができる。
【0076】
また、混合洗浄液10に忌避剤を配合してもよい。忌避剤は、木酢液、りんご酸や天然有機酸主成分のリグニン分解物で構成し、それらの臭気によって動物の近寄りを防止するものであり、また忌避剤自体にも消臭効果を有する。
【0077】
上記忌避剤を適宜の比率で混合洗浄液10に配合することによって、混合洗浄液10を噴射したところに犬が再度排尿することを防止できる。
したがって、消臭洗浄スプレー1の利用者は犬を散歩させる飼い主でなくとも、自宅の門柱等によく排尿される住人は当該箇所に忌避剤を配合した混合洗浄液10を噴射しておくだけで、野良犬や野良猫等の排尿を防止することができる。
【0078】
また、消臭剤として、天然の茶葉抽出物であり、タンニンの一種であるとともに、食品添加物にも用いられ、消臭作用、静菌作用、酸素活性阻害作用および抗菌作用を有する高性能の天然抽出物であるフラボノイドを、混合洗浄液10に混入してもよい。
これにより、混合洗浄液10を誤飲した場合であっても、無害である洗浄液を得ることができるとともに、混合洗浄液10に紫外線が照射されない場合であっても、消臭効果を得ることができる。また、フラボノイドの静菌効果によって、フラボノイド成分が残存している間は、細菌の繁殖も防止することもできる。
【0079】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の封入部は、タンク部3に対応し、
以下同様に、
噴射口は、ノズル7に対応し、
洗浄液は、粉末混入エチルアルコール10eに対応し、
即効性消毒液は、エチルアルコール10aに対応するも、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】消臭洗浄スプレーの側面図。
【図2】消臭洗浄スプレーの正面図。
【図3】成立状態の消臭洗浄スプレーの側方断面図。
【図4】倒立状態の消臭洗浄スプレーの側方断面図。
【図5】消臭洗浄スプレーの使用状態の説明図。
【図6】混合洗浄液の浄化および消臭状態の説明図。
【符号の説明】
【0081】
1…消臭洗浄スプレー
3…タンク部
7…ノズル
10…混合洗浄液
10a…エチルアルコール
10b…貝殻焼成カルシウム粉末
10c…酸化チタン粉末
10d…LPG
10e…粉末混入エチルアルコール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
封入部と、該封入部に封入した内容物を勢いよく噴射する噴射口とを備え、
前記封入部に、消臭成分と浄化成分とを有する洗浄液と、噴射剤とを封入し、
前記浄化成分を、消毒成分、除菌成分、または抗菌成分の少なくとも1つを含む成分とで構成とした
消臭洗浄スプレー。
【請求項2】
封入部と、該封入部に封入した内容物を勢いよく噴射する噴射口とを備え、
前記封入部に、洗浄液と、噴射剤とを封入し、
前記洗浄液を、酸化チタンと、消石灰と、該消石灰の除菌効果等に比べて早期に消毒効果を発揮する即効性消毒液とを混合して形成した
消臭洗浄スプレー。
【請求項3】
前記即効性消毒液として、エチルアルコールを用いた
請求項2に記載の消臭洗浄スプレー。
【請求項4】
前記消石灰として、貝殻焼成カルシウム粉末を用いた
請求項2、または3に記載の消臭洗浄スプレー。
【請求項5】
前記洗浄液と前記噴射剤との質量配合比を、
前記洗浄液に対して、前記噴射剤が40%以上となるように構成した
請求項1から4のうちいずれか1つに記載の消臭洗浄スプレー。
【請求項6】
前記洗浄液に、忌避成分を追加した
請求項1から5のうちいずれか1つに記載の消臭洗浄スプレー。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−105085(P2007−105085A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−296131(P2005−296131)
【出願日】平成17年10月11日(2005.10.11)
【出願人】(000139609)株式会社旭東 (5)
【Fターム(参考)】