涙管インプラント及び関連する方法
疾病又は疾患を治療するための涙管インプラントが開示される。より具体的には、涙管インプラント、そのようなインプラントを製作する方法、及びそのようなインプラントを使用して眼球、呼吸器、内耳、又は他の疾病若しくは疾患を治療する方法が開示される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権主張
参照により本明細書に組み込まれる、2007年9月7日に出願した米国仮特許出願番号第60/970,696号、2007年9月7日に出願した米国仮特許出願番号第60/970,720号、2007年9月21日に出願した米国仮特許出願番号第60/974,367号、2008年3月3日に出願した米国仮特許出願番号第61/033,211号、2008年3月14日に出願した米国仮特許出願番号第61/036,816号、2008年4月30日に出願した米国仮特許出願番号第61/049,360号、2008年5月12日に出願した米国仮特許出願番号第61/052,595号、及び2008年6月24日に出願した米国仮特許出願番号第61/075,309号の優先権の利益が本明細書により主張される。
【0002】
本特許文書は、一般的に眼科デバイスに関するものであり、具体的には人工眼に関するものである。より具体的には、限定はしないが、本特許文書は、涙管インプラント、そのようなインプラントを製作する方法、及びそのようなインプラントを使用して眼球、呼吸器、内耳、又は他の疾病若しくは疾患(例えば、肺疾患若しくは免疫疾患)を治療する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
乾性角結膜炎を含む、ドライアイは、治療を必要とする場合がある一般的な眼症状である。ドライアイは、広範な年齢層の人々が経験しており、また高齢者によく見られる。様々な現行治療法がドライアイにかかわる生理学的状態をターゲットとしており、これは正常な涙液の増大、涙液膜成分産生の強化、及び目から出て涙小管内に入り通過する涙液の流れをブロックするなどの涙の滞留時間を延ばす方法を含む。
【0004】
多くの現行の涙液流ブロック技術には、性質上不可逆であることを含む、短所がある。例えば、いくつかの涙液流ブロック技術は、涙点開口部を縫って閉じるか、又は電気若しくはレーザー焼灼を使用して涙点開口部を封止することによって涙小管導管を閉じることを伴う。このような処理では、涙液流をブロックしてドライアイを治療する所望の結果が得られるけれども、残念なことに再建外科手術を行わないと症状を改善することはできない。
【0005】
ドライアイ症状緩和に加えて、目、鼻道、又は内耳への適切な薬物又は他の治療薬送達を含む、眼球、呼吸器、及び内耳の疾病若しくは疾患の管理の分野において、患者も医者も様々な難題に直面する。例えば、眼球管理では、多数の現行の眼ドラッグデリバリー(眼用薬物送達)システムは、手作業による反復投与を必要とし、患者の薬剤服用順守(患者コンプライアンス)が欠如していたり、又は眼球に到達する薬物濃度が不適切であったりして効果がない場合が多い。
【0006】
眼感染症、目の炎症、緑内障、及び他の眼疾病又は疾患を治療するために、多くの場合、薬物若しくは他の治療薬を目に投与する必要がある。薬物送達の従来の方法は、目の表面への局所的液滴塗布によるものである。局所的点眼薬は、効果はあるが、不効率である場合がある。一例として、点眼薬を目にさすと、結膜嚢(つまり、目と眼瞼との間のポケット)をいっぱいにしすぎて眼瞼縁からあふれ出て頬へとこぼれるため液滴のかなりの部分が失われることが多い。それに加えて、眼球表面に残っている液滴の大部分は、涙小管内に入り通過して洗い流されてしまい、目を吸収治療する前に薬物の濃度が希釈されうる。さらに、多くの場合において、局所的適用薬物は、薬物適用後約2時間の間に眼球内効果がピークに達し、その後、所望の薬物治療的有用性を維持するためにさらに薬物を投与すべきであるが、たいていは投与されない。
【0007】
眼球管理をなおいっそう困難にするのは、患者が処方通りに点眼薬を使用しないことが多いという点である。このような服薬不順守は、例えば、点眼薬が引き起こす刺すような、又は焼けるような感覚、及び患者の景観によるものと考えられる。点眼薬を自分の目にさすことが難しいのは、一部は、目を保護する正常反射のせいだと言える。したがって、1つ又は複数の液滴が目に入らないことがある。老齢の患者にとっては、関節炎、非安定性、及び視力低下のせいで液滴をさすことがさらに問題となることがある。小児科及び精神科の集団でも同様に問題となる。
【0008】
眼球管理と異なる分野では、呼吸器関連(例えば、アレルギー)及び内耳疾病又は疾患の制御は、多くの場合、医薬品(例えば、薬物又は他の治療薬)の手作業による反復消化又は摂取を必要とし、そのようなものとして、患者の薬剤服用順守又は非局所薬物送達の欠如により効果がないことがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の発明者は、目における涙の滞留時間及び目、鼻道、内耳、又は他の系への薬物若しくは治療薬の送達を高める様々な有望な技術のあることを認識している。これらの技術は、取外し可能な、また適宜薬物放出する、涙管インプラントを涙点内に通し、関連する涙小管内に留置することを含みうる。鼻涙ドレナージ系の特徴を利用する涙管インプラントを設計することによって患者の安心及び眼球解剖構造内のインプラント保持が満足されうる。この方法では、本発明の涙管インプラントは、性質上不可逆であることなどの現在のドライアイ緩和、及び患者の薬剤服用不順守、無駄、適切でないタイミングでの適用、又は非局所送達などの眼球薬物投与(例えば、手作業による液滴滴下又は消化)に付随する欠点の一部を解消することができる。
【0010】
さらにそれでも、本発明の発明者は、涙管インプラントには、涙点又は関連する涙小管に大きなバイアスをかけずに容易に埋設及び除去を行えること、適宜特定の涙点又は涙小管に合わせて事前にサイズを決めなくても、埋設後に涙小管内に安全に保持可能であるようにできること、涙液、薬物、又は他の薬剤を鼻涙系内に流し込めるようにできること、及び薬物送達システムとして製作され使用される場合に、長期間にわたって所望の治療レベルで1つ又は複数の薬物又は他の治療薬の局所的持続放出を行わせることができること、のうちの1つ又は複数の利点があることを認識している。
【0011】
疾病又は疾患を治療するための涙管インプラントが開示される。より具体的には、涙管インプラント、そのようなインプラントを製作する方法、及びそのようなインプラントを使用して眼球、呼吸器、内耳、肺、又は免疫系の疾病若しくは疾患を治療する方法を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本明細書で説明されている発明対象をさらにわかりやすくするために、例示的な態様及び実施形態の限定しない一覧を以下に示す。
1.涙小管内に挿入可能な涙管インプラントであって、
第1及び第2の部分を含み、第1の部分の近位端部から第2の部分の遠位端部へ延在する、インプラント本体を備え、
第1の部分の近位端部は長手方向近位軸を画定し、第2の部分の遠位端部は長手方向遠位軸を画定し、
インプラント本体は、涙小管内に埋設されたときに近位軸と遠位軸との間にある角度をなす交差部分が存在し、インプラント本体の少なくとも一部にバイアスがかかって小管湾曲部のところに、又は小管湾曲部により遠位に配置される涙小管の少なくとも一部に当たるように構成され、
インプラント本体の第2の部分はインプラント本体の第1の部分の長手方向長さの4倍未満の大きさを有する長手方向長さを含む、涙管インプラント。
2.態様1による涙管インプラントであって、インプラント本体は涙小管内に埋設される前に近位軸と遠位軸との間にある角度をなす交差部分が存在するように構成される、涙管インプラント。
3.態様1又は2のいずれかによる涙管インプラントであって、インプラント本体は涙小管内に入り通過する流体流を部分的に又は完全に抑制するように構成される、涙管インプラント。
4.態様1〜3のいずれかによる涙管インプラントであって、第1の部分の遠位端部は第2の部分の近位端部のところで、又は近位端部の近くで第2の部分と一体になっている、涙管インプラント。
5.態様1〜4のいずれかによる涙管インプラントであって、第1の部分又は第2の部分の一方又は両方は拡張するように構成された流体膨張可能保持要素を備える、涙管インプラント。
6.態様5による涙管インプラントであって、第2の部分は流体膨張可能保持要素を備え、流体膨張可能保持要素はインプラント本体が埋設されたときに第1の部分の近位軸に関して横方向に拡張するように構成される、涙管インプラント。
7.態様5又は6のいずれかによる涙管インプラントであって、流体膨張可能保持要素はインプラント本体が埋設されたときに涙小管膨大部から離れる方向で横方向に拡張するように構成される部分を備える、涙管インプラント。
8.態様5〜7のいずれかによる涙管インプラントであって、流体膨張可能保持要素はインプラント本体が埋設されたときに涙小管膨大部に向かう方向で横方向に拡張するように構成される部分を備える、涙管インプラント。
9.態様1〜8のいずれかによる涙管インプラントであって、第2の部分はコイル、組紐、ステント、メッシュ・チューブ、縫合糸、熱硬化性ポリマー、熱可塑性物質、熱活性化可能材料、又は形状記憶材料のうちの少なくとも1つを含む拡張可能保持要素を備え、拡張可能保持要素はインプラント本体が埋設されたときに横方向に拡張してある角度をなす交差部分を形成する、涙管インプラント。
10.態様1〜9のいずれかによる涙管インプラントであって、第2の部分にバイアスをかけて拡張時に涙小管の壁から離すように構成されている、第2の部分の一部の周りに配置された拡張可能保持要素を備える、涙管インプラント。
11.態様1〜10のいずれかによる涙管インプラントであって、第2の部分は第1の構成形状と第2の構成形状との間で移動可能なアーム部材を備え、第1の構成形状内でアーム部材は涙小管内に挿入するためにインプラント本体に沿って配置可能であり、第2の構成形状内でインプラント本体の片側から横方向に拡張可能である、涙管インプラント。
12.態様1〜11のいずれかによる涙管インプラントであって、第2の部分は一体型拡張器を備え、一体型拡張器は第2の部分の近位端部の近くの場所から第2の部分の遠位端部へ一般的に狭まってゆき、これによりインプラント本体を涙小管内に埋設しやすくする、涙管インプラント。
13.態様12による涙管インプラントであって、一体型拡張器先端部の直径は約0.2ミリメートルから約0.5ミリメートルまでの範囲である、涙管インプラント。
14.態様12又は13のいずれかによる涙管インプラントであって、一体型拡張器の外面勾配は、第2の部分の近位端部の近くの場所から第2の部分の遠位端部まで測定したときに、遠位軸に関して約1度から約10度までの範囲である、涙管インプラント。
15.態様1〜14のいずれかによる涙管インプラントであって、第2の部分は少なくとも1つの起伏部を備える、涙管インプラント。
16.態様1〜15のいずれかによる涙管インプラントであって、第1の部分又は第2の部分の少なくとも一方は少なくとも1つの中間に配置されている環状、半環状、柱状、又は樽型の突起部を備え、中間に配置されている突起部は隣接するインプラント本体部分より大きい断面サイズを有する、涙管インプラント。
17.態様1〜16のいずれかによる涙管インプラントであって、第1の部分の近位端部から少なくとも部分的に延在している把持可能突起部を備え、把持可能突起部はインプラント本体が埋設されたときに涙点に当たるか、又は涙点の近くに配置されるように構成される、涙管インプラント。
18.態様17による涙管インプラントであって、第2の部分はインプラント本体が埋設されたときに涙小管膨大部内に横方向に延在するか、又は拡張する要素を備える、涙管インプラント。
19.態様17又は18のいずれかによる涙管インプラントであって、把持可能突起部はインプラント本体が埋設されたときに目と平行な方向、又は目から離れる方向で第1の部分の近位端部から横方向に延在する、涙管インプラント。
20.態様1〜19のいずれかによる涙管インプラントであって、近位軸及び遠位軸のある角度をなす埋設された交差部分は少なくとも約45度である、涙管インプラント。
21.態様1〜20のいずれかによる涙管インプラントであって、治療薬を備える、涙管インプラント。
22.態様21による涙管インプラントであって、薬物コアを含む少なくとも1つの薬物挿入物を備え、薬物コアは治療薬を収納する、涙管インプラント。
23.態様22による涙管インプラントであって、薬物コアは持続放出するための少なくとも1つの露出表面を備える、涙管インプラント。
24.態様1〜23のいずれかによる涙管インプラント、及び涙管インプラントを使用して眼疾患を治療するための指示書を備えるキット。
25.態様1〜23のいずれかによる涙管インプラント、及び涙管インプラントを使用して呼吸器関連疾患を治療するための指示書を備えるキット。
26.態様1〜23のいずれかによる涙管インプラント、及び涙管インプラントを使用して内耳疾患を治療するための指示書を備えるキット。
27.涙小管内に挿入するための涙管インプラントであって、
涙小管の垂直セクション内に位置決め可能な近位端部分から涙小管の水平セクション内に位置決め可能な遠位端部分まで非直線的に延在し、それらの間に中間部分を有するインプラント本体を備え、
中間部分は、涙小管内に埋設されたときにインプラント本体が小管湾曲部のところに、又は小管湾曲部により遠位に配置されている涙小管の少なくとも一部に対し横方向に方向的バイアスをかけるように、近位端部分に向かう第1の方向に部分的に延在するとともに遠位端部分に向かう第2の方向に部分的に延在し、
インプラント本体は涙小管内に入り通過する流体流を抑制する、涙管インプラント。
28.態様27による涙管インプラントであって、涙小管の垂直セクション内で位置決め可能なインプラント本体の長手方向長さは涙小管の水平セクション内で位置決め可能なインプラント本体の長手方向長さの4倍未満である、涙管インプラント。
29.態様27又は28のいずれかによる涙管インプラントであって、中間部分の第1の方向延在部は中間部分の第2の方向延在部に関して約45度から約135度の範囲の角度をなす、涙管インプラント。
30.態様27〜29のいずれかによる涙管インプラントであって、中間部分はインプラント本体が埋設されたときに涙小管膨大部の方へ第2の部分と実質的に反対方向である第3の方向に部分的に延在する、涙管インプラント。
31.態様27〜30のいずれかによる涙管インプラントであって、第2の方向延在部は第1の方向延在部に関して一般的に凹型の形状を有する長手方向拡張器を備え、一般的に凹型の形状の半径は小管湾曲部の半径より小さい、涙管インプラント。
32.態様27〜31のいずれかによる涙管インプラントであって、第2の方向延在部は第1の方向延在部に関して一般的に凸型の形状を有する長手方向拡張器を備える、涙管インプラント。
33.態様27〜32のいずれかによる涙管インプラントであって、第2の方向延在部は第1の方向延在部の軸に実質的に垂直な軸を有する長手方向拡張器を備える、涙管インプラント。
34.態様27〜33のいずれかによる涙管インプラントであって、近位端部分又は遠位端部分の少なくとも一方は少なくとも1つの中間に配置されている環状、半環状、柱状、又は樽型の突起部を備え、中間に配置されている突起部は隣接するインプラント本体部分より大きい断面サイズを有する、涙管インプラント。
35.態様27〜34のいずれかによる涙管インプラントであって、近位端部分から横方向に延在している把持可能突起部を備える、涙管インプラント。
36.態様27〜35のいずれかによる涙管インプラントであって、インプラント本体の外面部分上に配置されている流体膨張可能材料を備え、流体膨張可能材料は埋設されたときにインプラント本体の外面直径部分を拡張するように構成されている、涙管インプラント。
37.態様27〜36のいずれかによる涙管インプラントであって、近位端部分内に配置された第1の薬物挿入物又は遠位端部分内に配置された第2の薬物挿入物のうちの少なくとも一方を備え、第1又は第2の薬物挿入物の一方又は両方はインプラント本体を通過する流体流を抑制し、持続放出を行うように構成されている少なくとも1つの露出表面を備える、涙管インプラント。
38.態様37による涙管インプラントであって、近位端部分内にキャビティを備え、キャビティは薬物コアの形態で第1の薬物挿入物を収納するように構成され、薬物コアは目を治療するように構成されている第1の薬剤を備える、涙管インプラント。
39.態様37又は38のいずれかによる涙管インプラントであって、遠位端部分内にキャビティを備え、キャビティは薬物コアの形態で第2の薬物挿入物を収納するように構成され、薬物コアは鼻道に収容されるように構成されている第2の薬剤を備える、涙管インプラント。
40.涙小管内に挿入可能な涙管インプラントを製造する方法であって、
第1の本体部分の近位端部から第2の本体部分の遠位端部へ延在するインプラント本体を形成することを含み、形成することは、
第2の本体部分を第1の本体部分の長手方向長さの4倍未満である長手方向長さまで伸ばすことと、
涙小管内に埋設されたときにインプラント本体が小管湾曲部のところに、又は小管湾曲部により遠位に配置されている涙小管の少なくとも一部に対し横方向に方向的バイアスをかけるように構成されるある角度で交わる長手方向近位軸及び長手方向遠位軸をそれぞれ画定するように近位端部及び遠位端部を構成することとを含む、方法。
41.態様40による方法であって、第1の本体部分又は第2の本体部分の一方又は両方を形成することは少なくとも1つの中間に配置されている環状、半環状、柱状、又は樽型の突起部を形成することを含み、中間に配置されている突起部は隣接するインプラント本体部分より大きい断面サイズを有する、方法。
42.態様40又は41のいずれかによる方法であって、第2の本体部分を形成することは第2の本体部分の近位端部の近くの場所から第2の本体部分の遠位端部へ一般的に狭まってゆく拡張器を形成することを含む、方法。
43.態様40〜42のいずれかによる方法であって、拡張器を形成することは第2の本体部分の近位端部の近くの場所から第2の本体部分の遠位端部まで測定したときに長手方向遠位軸に関して約1度から約10度までの範囲のインプラント本体の外面勾配を形成することを含む、方法。
44.態様40〜43のいずれかによる方法であって、第2の部分を形成することは第1の本体部分の遠位端部の近くに流体膨張可能保持要素を配置することを含み、さらにこのことは、インプラント本体が埋設されたときに近位軸に関する横方向拡張が涙小管の少なくとも一部又は涙小管膨大部解剖学的構造に対してバイアスをかける構成となるように流体膨張可能保持要素を配置することを含む、方法。
45.態様40〜44のいずれかによる方法であって、インプラント本体の外面部分を流体膨張可能材料でコーティングすることを含む、方法。
46.態様40〜45のいずれかによる方法であって、第1の薬物挿入物を第1の本体部分内に配置すること、又は第2の薬物挿入物を第2の本体部分内に配置することのうちの少なくとも一方を含み、さらにこのことは、それぞれ第1の薬剤又は第2の薬剤の持続放出を行うように近位端部に隣接する第1の薬物挿入物の露出表面又は遠位端部に隣接する第2の薬部物挿入物の露出表面の少なくとも一方を位置決めすることを含む、方法。
47.眼疾患、呼吸器関連疾患、肺疾患、免疫系疾患、又は内耳疾患のうちの少なくとも1つを患っている患者を治療する方法であって、
患者の少なくとも1つの涙小管内に涙管インプラントを挿入することを含み、涙管インプラントは、
第1及び第2の部分を含み、第1の部分の近位端部から第2の部分の遠位端部へ延在し、近位端部は長手方向近位軸を画定し遠位軸は長手方向遠位軸を画定する、インプラント本体であって、
インプラント本体は、涙小管内に埋設されたときに近位軸と遠位軸との間にある角度をなす交差部分が存在し、インプラント本体の少なくとも一部にバイアスがかかって小管湾曲部のところに、又は小管湾曲部により遠位に配置される涙小管の少なくとも一部に当たるように構成されるインプラント本体と、
第1の部分内に配置された第1の薬物挿入物又は第2の部分内に配置された第2の薬物挿入物のうちの少なくとも一方とを備え、第1の薬物挿入物及び第2の薬物挿入物はそれぞれ第1の薬剤又は第2の薬剤の持続放出を行うように構成される、方法。
48.態様47による方法であって、涙管インプラントを挿入することは、第2の部分の遠位端部が涙小管内に移動されるときに、インプラント本体の一体型拡張器を使用して、涙小管を同時に拡張することを含む、方法。
49.態様47又は48のいずれかによる方法であって、挿入されているインプラント本体を涙小管から取り出すことを含む、方法。
50.態様47〜49のいずれかによる方法であって、一定時間間隔の後に挿入済みの涙管インプラントを同じ第1又は第2の薬剤のうちの少なくとも一方を含む第2の涙管インプラントで交換することを含む、方法。
【0013】
本発明の涙管インプラント及び方法のこれら及び他の実施形態、利点、及び態様は、以下の「発明を実施するための形態」において一部述べられている。この「発明の概要」は、本特許出願の発明対象の概要を述べることを意図している。本発明の排他的又は網羅的な説明を行うことは意図されていない。「発明を実施するための形態」は、本特許出願に関するさらなる情報を提供するために含まれている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図面中、類似番号は、いくつかの図面全体を通して類似のコンポーネントを記述するために使用されうる。異なる英字添え字を持つ類似の番号は、類似しているコンポーネントの異なる形態を表すために使用されうる。これらの図面は、一般に、例えば、限定はしないが、本明細書で説明されている様々な実施形態を例示している。
【図1】涙管インプラントを使用できる好適な環境をもたらす、目に関連する解剖学的組織構造の概略を示す図例である。
【図2】涙管インプラントを使用できる好適な環境をもたらす、目に関連する解剖学的組織構造の概略を示す図例である。
【図3A】涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、第1のインプラント本体部分と第2のインプラント本体部分との間に実質的に垂直な角度をなす交差部分を備える、涙管インプラントの等角図例である。
【図3B】直線3B−3Bなどのインプラントの長手方向軸に平行な直線に沿って切り取った涙管インプラントの断面、及びインプラント収容解剖学的組織構造の拡張を示す図例である。
【図4】涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、一体型拡張器を備える、涙管インプラントの側面図例である。
【図5】涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、少なくとも1つの薬物挿入物を備える、涙管インプラントの概略図例である。
【図6A】涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、涙小管膨大部内に配置可能な部分を備える、涙管インプラントの等角図例である。
【図6B】直線6B−6Bなどのインプラントの長手方向軸に平行な直線に沿って切り取った涙管インプラントの断面を示す図例である。
【図7A】涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、環状把持可能突起部を備える、涙管インプラントの等角図例である。
【図7B】直線7B−7Bなどのインプラントの長手方向軸に平行な直線に沿って切り取った涙管インプラントの断面を示す図例である。
【図8A】涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、涙小管膨大部内に配置可能な部分を備え、挿入しやすくする陥凹部を備える、涙管インプラントの等角図例である。
【図8B】直線8B−8Bなどのインプラントの長手方向軸に平行な直線に沿って切り取った涙管インプラントの断面を示す図例である。
【図9】涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、挿入をしやすくする陥凹部を備える、涙管インプラントの側面図例である。
【図10A】涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、涙小管膨大部内に配置可能な部分を備える、涙管インプラントの等角図例である。
【図10B】直線10B−10Bなどのインプラントの長手方向軸に平行な直線に沿って切り取った涙管インプラントの断面を示す図例である。
【図11】涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、少なくとも1つの中間配置保持突起部を備える、涙管インプラントの側面図例である。
【図12】涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、少なくとも1つの中間配置保持突起部を備える、涙管インプラントの側面図例である。
【図13】涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、少なくとも1つの中間配置保持突起部を備える、涙管インプラントの側面図例である。
【図14】涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、少なくとも1つの中間配置保持突起部を備える、涙管インプラントの等角図例である。
【図15】涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、少なくとも1つの中間配置保持突起部を備える、涙管インプラントの等角図例である。
【図16】涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、少なくとも1つの中間配置保持突起部を備える、涙管インプラントの等角図例である。
【図17】涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、少なくとも1つの中間配置保持突起部を備える、涙管インプラントの等角図例である。
【図18】涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、第1のインプラント本体と第2のインプラント本体との間に垂直でない角度をなす交差部分を備える、涙管インプラントの側面図例である。
【図19】涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、第1のインプラント本体と第2のインプラント本体との間に垂直でない角度をなす交差部分を備える、涙管インプラントの側面図例である。
【図20】涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、1つ又は複数の材料切欠部を備える、涙管インプラントの等角図例である。
【図21A】涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、1つ又は複数の横方向延在可能アームを備える、涙管インプラントの側面図例である。
【図2B】涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、1つ又は複数の横方向延在可能アームを備える、涙管インプラントの側面図例である。
【図22A】涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、1つ又は複数の横方向延在可能アームを備える、涙管インプラントの側面図例である。
【図22B】涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、1つ又は複数の横方向延在可能アームを備える、涙管インプラントの側面図例である。
【図23A】涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、インプラント本体の一部の周りに配置されている拡張可能保持要素を備える、涙管インプラントの側面図例である。
【図23B】涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、インプラント本体の一部の周りに配置されている拡張可能保持要素を備える、涙管インプラントの側面図例である。
【図24】涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている涙管インプラントの概略図例である。
【図25A】涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、一般的に凹型の形状を有するインプラント本体部分を備える、涙管インプラントの等角図例である。
【図25B】涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、一般的に凹型の形状を有するインプラント本体部分を備える、涙管インプラントの等角図例である。
【図26】涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、一般的に凸状を形状を有するインプラント本体部分を備える、涙管インプラントの等角図例である。
【図27】涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、起伏のある形状を有するインプラント本体部分を備える、涙管インプラントの側面図例である。
【図28】涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、少なくとも1つの中間配置保持突起部を備える、涙管インプラントの側面図例である。
【図29】涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、流体膨張可能保持要素を備える、涙管インプラントの側面図例である。
【図30】涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、流体膨張可能保持要素を備える、涙管インプラントの側面図例である。
【図31】涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、流体膨張可能保持要素を備える、涙管インプラントの側面図例である。
【図32】涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、流体膨張可能保持要素を備える、涙管インプラントの側面図例である。
【図33】涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、拡張可能保持要素を備える、涙管インプラントの側面図例である。
【図34A】涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、方向付けられた把持可能突起部を備える、涙管インプラントの概略図例である。
【図34B】涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、方向付けられた把持可能突起部を備える、涙管インプラントの概略図例である。
【図35】把持可能突起部又は空隙を含む近位端部分を備える、涙管インプラント近位端部分の等角図例である。
【図36】把持可能突起部又は空隙を含む近位端部分を備える、涙管インプラント近位端部分の等角図例である。
【図37】把持可能突起部又は空隙を含む近位端部分を備える、涙管インプラント近位端部分の等角図例である。
【図38】把持可能突起部又は空隙を含む近位端部分を備える、涙管インプラント近位端部分の等角図例である。
【図39A】薬物挿入物及び取り外しやすくするフィラメントの等角図例である。
【図39B】薬物挿入物及び取り外しやすくするフィラメントの等角図例である。
【図40】涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている涙管インプラントを製造する方法を示す図例である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本特許文書では、目の涙点及び関連小管内で安全でくさび留め可能な保持を行う涙管インプラント及び関係する方法が説明される。涙管インプラントは、少なくとも部分的に涙点を通して、関連する小管内に挿入するように構成されているインプラント本体を備えることができる。インプラント本体は、第1及び第2の部分を含み、長手方向近位軸を画定する第1の部分の近位端部から長手方向遠位軸を画定する第2の部分の遠位端部へ延在するものとすることができる。インプラント本体は、一体型拡張器を使用して埋設されたときに少なくとも45度の角度をなす交差部が、例えば、近位軸と遠位軸との間に存在するように構成されうる。この方法で、インプラント本体の少なくとも一部分にバイアスをかけて、小管湾曲部のところに、又は小管湾曲部により遠位に配置されている涙小管の少なくとも一部に当たるようにし、これにより、解剖学的構造物を使用して涙管インプラントの埋設位置を保持することができる。様々な実施例において、涙管インプラントは、インプラント本体の第1の部分又は第2の部分のうちの少なくとも一方の中に配置される薬物挿入物を含む薬物挿入物を備え、これにより、薬物又は他の治療薬の眼球、鼻道、又は内耳系のうちの1つ又は複数への持続放出を行うことができる。
【0016】
図1〜2は、目100に付随する解剖学的組織構造の概略図例である。図に示されている解剖学的組織構造は、本明細書で説明されている様々な涙管インプラント及び方法を使用する治療に好適である。図に示されているように、目100は、外側の強膜102、中間の脈絡膜層104、及び内側の網膜106の3つの層を有する壁を備える球体構造である。強膜102は、内層を保護する強靱な繊維質の被覆を備える。これは、前面の透明領域を除き大部分白色であり、一般に角膜108と称され、光を目100に入れることができる。
【0017】
強膜102の内側に位置する脈絡膜層104は多数の血管を含んでおり、色素虹彩110として目100の前で修正される。瞳孔のちょうど背後に両凸レンズである水晶体112が位置する。水晶体112の背後にある眼房114は、ゼラチン状物質である硝子体液で満たされている。前眼房及び後眼房116は、それぞれ角膜108と虹彩110との間に位置し、房水で満たされている。目100の後ろに、光を検出する網膜106がある。
【0018】
角膜108は、像を目100の後ろに伝える光学的に透明な組織である。これは、涙液と房水とによる水浴を介して、さらには角膜108と強膜102との間の接合部の内側を覆っている血管から栄養素と酸素が供給される無血管組織を含む。角膜108は、目100の中に薬物を浸透させるための経路を含む。
【0019】
次に図2を参照すると、分泌系230、分配系、及び排泄系を含む、涙ドレナージ系を含む目100に付随する他の解剖学的組織構造が示されている。分泌系230は、涙液の蒸発によるまばたき及び温度変化の刺激を受ける分泌線及び遠心性副交感神経分布を有し、物理的な、又は感情的な刺激に対する応答として涙を分泌する反射分泌腺を備える。分配系は、眼瞼202と開いている目の眼瞼縁の周りの涙液メニスカスを含み、これにより、まばたきで眼表面上に涙液が拡散し、乾燥領域の発生を低減する。
【0020】
涙ドレナージ系の排泄部は、流体排出のため、涙点、涙小管、涙嚢204、及び涙管206を備える。涙管206から、涙及び他の流動性物質が鼻涙系の流路内に排出される。涙小管は、上部(上)涙小管208及び下部(下)涙小管210を備え、それぞれ上涙点212及び下涙点214で終端する。上涙点212及び下涙点214は、結膜嚢218の近くのまつげ部分と涙器部分との接合点216の眼瞼縁の内側端に小隆起する。上涙点212及び下涙点214は、一般的に、組織の結合リングによって囲まれている円形の、又はわずかに卵形の開口部である。涙点212、214はそれぞれ、各涙小管の垂直部分220、222内に至り、その後、小管湾曲部250で水平方向に近づくように回転して涙嚢204の入口部で互いに接合する。涙小管208、210は、一般的にチューブ状の形状を有し、涙小管を拡張させる弾性組織で囲まれた層状扁平上皮で裏打ちされている。図に示されているように、涙小管膨大部252は、それぞれの小管湾曲部250の外縁の近くに存在する。
【0021】
図3Aは、涙点212、214を通して関連する小管208、210(図2)内に挿入可能な涙管インプラント300の一実施例を示している。涙点212、214を通して関連する小管208、210内に涙管インプラント300を挿入することで、中を通る涙液流の抑制又はブロック(例えば、ドライアイを治療するため)、あるいは薬物又は他の治療薬を目(例えば、感染、炎症、緑内障、又は他の眼疾病若しくは疾患を治療するため)、鼻道(例えば、洞若しくはアレルギー疾患を治療するため)、又は内耳系(例えば、目まい若しくは片頭痛を治療するため)に持続送達することのうちの1つ又は複数を行うことができる。
【0022】
この実施例で示されているように、涙管インプラント300は、第1の部分304及び第2の部分306を含むインプラント本体302を備えることができ、また第1の部分304の近位端部308から第2の部分306の遠位端部310に延在するようにできる。様々な実施例では、近位端部308は、長手方向近位軸312を画定することができ、遠位端部310は、長手方向遠位軸314を画定することができる。インプラント本体300は、涙点及び関連する小管内に埋設されたときに近位軸312と遠位軸314との間に少なくとも45度の角度をなす交差部分316が存在し、インプラント本体302の少なくとも一部にバイアスがかかって小管湾曲部250(図2)のところに、又は小管湾曲部250(図2)により遠位に配置される涙小管208、210(図2)の少なくとも一部に当たるように構成されうる。いくつかの実施例では、インプラント本体302は、交差部分316のなす角度が約45度から約135度までの範囲であるように構成されうる。この実施例では、インプラント本体302は、交差部分316のなす角度が約90度であるように構成される(つまり、交差部316はほぼ垂直である)。様々な実施例において、第1の部分304の遠位端部326は、第2の部分306と第2の部分306の近位端部328のところで又は近位端部328の近くで一体となるようにできる。
【0023】
いくつかの実施例では、インプラント本体302は、近位端部308の近くに配置されている第1のキャビティ318又は遠位端部310の近くに配置されている第2のキャビティ320のうちの一方又は両方を含むある角度で配置されている円筒状構造を備えることができる。この実施例では、第1のキャビティ318は第1の部分304の近位端部308から内向きに延在しており、第2のキャビティ320は第2の部分306の遠位端部310から内向きに延在している。第1の薬物放出若しくは他の薬剤放出挿入物(例えば、薬物コア)322を第1のキャビティ318内に配置して、目への薬物又は他の治療薬の持続放出を行い、その一方で、第2の薬物放出若しくは他の薬剤放出挿入物(例えば、薬物コア)324を第2のキャビティ320内に配置して、例えば鼻道又は内耳への薬物又は他の治療薬の持続放出を行うことができる。インプラント本体の隔壁330は、第1のキャビティ318と第2のキャビティ320との間に位置決めされ、また第1の薬物挿入物322と第2の薬物挿入物324との間の材料(例えば、薬剤)の連通を抑制又は防止するために使用されうる。いくつかの実施例では、インプラント本体302は中身が詰まっており、1つ又は複数のキャビティ若しくは他の空隙を含まない。
【0024】
いくつかの実施例では、薬物又は他の治療薬放出は、少なくとも一部は、薬物挿入物322、324の露出している、シースで覆われていない表面を介して生じうる。いくつかの実施例では、露出表面の幾何学的形状を制御することによって、所定の薬物又は薬剤放出速度を達成することができる。例えば、露出表面は、外来患者来診の間の、急性又は慢性などに基づく、目100上への薬物又は他の治療薬の放出速度を制御するのに適している特定の幾何学的形状又は他の技術を用いて構成することができる。薬物挿入物322、324からの1つ又は複数の薬物若しくは他の治療薬の有効放出速度に関するさらなる詳細は、共通出願のDeJuanらの「NASOLACRIMAL DRAINAGE SYSTEM IMPLANTS FOR DRUG THERAPY」という表題の米国特許出願番号第11/695,545号に見られる。
【0025】
図3Bに示されているようないくつかの実施例では、薬物挿入物322、324の露出表面は、それぞれ第1の部分304の近位端部308又は第2の部分306の遠位端部310と同一平面上にあるか、又はそれよりわずかに低い位置にあるものとしてよく、薬物挿入物はインプラント本体302の外に突き出ることはない。図4に示されているようないくつかの実施例では、第1の薬物挿入物322の露出表面は、例えば、第1の薬物挿入物322がインプラント本体302の外に少なくとも部分的に突き出るように、近位端部308の上に位置決めすることもできる。
【0026】
インプラント本体302は、第1のインプラント本体部分304の近位端部308から、又は近位端部308の周りに横方向に少なくとも部分的に延在する1つ又は複数の突起部などの、把持可能な又は他の突起部332を備えることができる。いくつかの実施例では、把持可能な又は他の突起部332は、涙管インプラント300を埋設位置内に挿入するか、又は埋設位置から涙管インプラント300を取り外す際に使用する一組のウィングを備えることができる。インプラント本体302が非直線的構成であるため、小管湾曲部250及び適宜、涙小管膨大部252(図2)のサイズ又は形状をとることによってインプラント300の移動を防ぐことができるので、一組のウィング又は他の突起部332を、移動を念頭に置かずに構成することができる。いくつかの実施例では、把持可能又は他の突起部332は、涙管インプラント300が涙小管208、210内を完全に通るのを抑制又は防止するか、あるいは例えば、インプラントが完全に埋設されたかどうかを示す触覚的な、又は視覚的なフィードバック情報をインプラントを埋設しているユーザに送るなどのために、涙点開口部212、214に当たる形で、又はその近くに位置するように構成されうる。
【0027】
図34A〜34Bに示されているように、また以下で説明されるように、把持可能又は他の突起部332は、埋設されたときに目100と平行な方向で、又は目100から離れる方向で横方向に伸びうる。これにより、突起部の一部が目100に向かって延在する場合と比較して目100に対する炎症を軽減することができる。それに加えて、近位端部308からの突起部332の横方向延在方向は、例えば、図3A〜3Bに示されているように、第1の胃プラント本体部分304の遠位端部326に関して第2のインプラント本体部分306の横方向延在方向と実質的に同じであるものとすることができる。これは、目に向かう延在を回避することもできる。第1の薬物挿入物322は、第1の薬物又は他の治療薬を目に持続放出するなどのために、突起部332の領域を部分的に通って延在することができる。
【0028】
様々な実施例において、インプラント本体302は、シリコーン、ポリウレタン、又は他のウレタン・ベースのポリマー若しくは共重合体、NuSil(例えば、2%の6−4800を含むNuSil 4840)又は非生体分解性、部分的生体分解性、又は生体分解性のアクリル(つまり、体内で腐食可能)などの弾性材料を使用して成形することができ、これにより、涙小管208、210内に埋設されたときに近位軸312と遠位軸314との間にある角度をなす交差部が存在するように構成されたインプラント本体302を形成することができる。いくつかの実施例では、生体分解性弾性材料は、ポリ(ビニル・アルコール)などの、架橋重合体を含むことができる。いくつかの実施例では、インプラント本体302は、シリコーン/ポリウレタン共重合体を含みうる。インプラント本体302を形成するために使用されうる他の共重合体として、限定はしないが、シリコーン/ウレタン、シリコーン/ポリ(エチレン・グリコール)(PEG)、及びシリコーン/2ヒドロキシエチル・メタクリレート(HEMA)が挙げられる。同日付で出願された共通出願のUtkhedeらの「DRUG CORES FOR SUSTAINED RELEASE OF THERAPEUTIC AGENTS」という表題の米国特許出願番号第______号(整理番号2755.045US1)において説明されているように、ウレタン・ベースのポリマー及び共重合体材料を使用することで、様々な処理方法を利用することが可能になり、またこれらの材料は互いによく結合する。
【0029】
図3Bは、図3Aの直線3B−3Bなどのインプラントの長手方向軸に平行な直線に沿って切り取った涙管インプラント300の断面を示す図例である。図3Bに示されているように、涙管インプラント300は、第1の部分304及び第2の部分306を含むインプラント本体302を備えることができ、また第1の部分304の近位端部308から第2の部分306の遠位端部310に延在するようにできる。様々な実施例では、近位端部308は、長手方向近位軸312を画定することができ、遠位端部310は、長手方向遠位軸314を画定することができる。インプラント本体300は、埋設されたときに近位軸312と遠位軸314との間に少なくとも45度の角度をなす交差部分316が存在し、インプラント本体302の少なくとも一部にバイアスがかかって小管湾曲部250(図2)のところに、又は小管湾曲部250(図2)により遠位に配置される涙小管208、210(図2)の少なくとも一部に当たるように構成されうる。この実施例では、インプラント本体300は、交差部分316のなす角度が約90度であるように構成される。
【0030】
様々な実施例において、第1の部分304の遠位端部326は、第2の部分306と第2の部分306の近位端部328のところで又は近位端部328の近くで一体となるようにできる。いくつかの実施例では、第2の部分306は、第1の部分304の長さの4倍未満の大きさを有する長さ部分を含むことができる。一実施例では、第2の部分306は、約10ミリメートル未満の長さ部分を含むことができ、図3Bに示されているのと似た構成を有することができる。他の実施例では、第2の部分306は、約2ミリメートル未満の長さ部分を含むことができ、図24に示されているのと似た構成を有することができる。
【0031】
様々な実施例において、第2の部分306は、涙点212、214(図2)又は関連する小管208、210の一方又は両方などの解剖学的組織構造352を涙管インプラント300が埋設されているときに十分な直径となるように拡張するための一体型拡張器350を備えることができる。このようにして、涙管インプラント300は、別の引き伸ばし工具を介して事前拡張を行わなくても様々なサイズの眼球解剖学的構造内に埋設することができる。拡張器350は、涙点212、214及び小管208、210の内層に外傷をもたらさないように形成できる。いくつかの実施例において、インプラント本体302の外面上に配置されている、又は含浸されている潤滑コーティングは、涙管インプラント300を解剖学的組織352内に挿入するさらなる補助手段として使用できる。一実施例では、潤滑コーティングは、シリコーン潤滑剤を含むことができる。
【0032】
図に示されているように、拡張器350は、約0.6ミリメートルの直径から約0.2ミリメートルの直径までなど、第2の部分306の近位端部328の近くの場所から第2の部分306の遠位端部310へ一般的に狭まるものとすることができる。いくつかの実施例では、拡張器350の外面勾配は、第2の部分306の近位端部328の近くの場所から第2の部分306の遠位端部310まで測定したときに、長手方向遠位軸314に関して約1度から約10度までの範囲(例えば、2度、3度、4度、又は5度)であるものとしてよい。いくつかの実施例では、拡張器350の勾配は、長手方向遠位軸314に関して45度未満とすることができる。とりわけ、与えられたインプラント配置に対する望ましい拡張器350の決定は、埋設後に柔らかい、柔軟な、また適合するインプラント本体を備える(例えば、涙小管解剖学的構造に適合する)ことを望んでいる場合に埋設に望ましいインプラント本体302の強度のバランスをとることによって行える。いくつかの実施例では、拡張器先端部354の直径は、約0.2ミリメートルから約0.5ミリメートルまでの範囲とすることができる。
【0033】
いくつかの実施例では、第2のインプラント本体部分306の近位端部328は、埋設されたときに涙小管膨大部252(図2)の少なくとも一部に対しバイアスがかかるように構成された保持要素356を備えることができる。この実施例では、保持要素356は、拡張器350の延在するのと反対の方向などの方向で、第1のインプラント本体部分304と第2のインプラント本体部分306との間の交差部分から近位に突き出る。膨大部252中に存在し、埋設されたときに、保持要素356は、涙点開口部212、214に当てて把持可能又は他の突起部332の設置位置を固定するのを補助することができる。
【0034】
いくつかの実施例では、インプラント本体302は、近位端部308の近くに配置されている第1のキャビティ318を備える。この実施例では、第1のキャビティ318は、近位端部308から約2ミリメートル以下の長さだけ内向きに延在し、第1の薬物放出又は他の薬剤放出薬物挿入物322を収納し、目への薬物又は他の薬剤の持続放出を行う。いくつかの実施例では、薬物挿入物322は、マトリクス362内に分散されうる、複数の治療薬包含物360を含むことができる。いくつかの実施例では、包含物360は、治療薬の濃縮(例えば、結晶)形態を含みうる。いくつかの実施例では、マトリクス362は、シリコーン・マトリクス又は同様の物質を含むことができ、マトリクス内の包含物360の分布は実質的に均質又は不均質とすることができる。いくつかの実施例では、薬剤360は、ラタノプロスト油などの油滴を含みうる。さらに他の実施例では、薬剤包含物360は、結晶形態のビマトプロスト粒子などの固形粒子を含みうる。いくつかの実施例では、薬物挿入物322は、目又は周辺組織中に送達可能な治療薬包含物を含むウレタン・ベース(例えば、ポリウレタン)のポリマー又は共重合体を含む。包含物は、多くのサイズ及び形状をとりうる。例えば、包含物は、約1マイクロメートルから約100マイクロメートルまでのオーダーの寸法を有する微小粒子を含みうる。薬物放出又は他の薬剤放出薬物挿入物のさらなる説明は、同日付に出願された共通出願のUtkhedeらの「DRUG CORES FOR SUSTAINED RELEASE OF THERAPEUTIC AGENTS」という表題の米国特許出願番号第______号(整理番号2755.045US1)に見られる。
【0035】
様々な実施例において、薬物挿入物322は、少なくとも1つの挿入物露出表面368を画定する挿入物の少なくとも一部の上に配置されたシース本体366を含みうる。露出表面368は、例えば、インプラント本体302の近位端部308のところに、又は近位端部308の近くに配置することができ、これにより、涙管インプラント300が涙点212、214を通して関連する小管208、210内に挿入されたときに長時間にわたって薬物挿入物322から薬物又は他の治療薬を涙液又は涙液膜流体に直接接触させ、放出することが可能である。
【0036】
図4は、涙管インプラント400のインプラント本体402の第2の部分406の他の一体型拡張器450の側面図例である。この実施例では、拡張器450は、第2の部分406の遠位端部410の近くで急に狭まる。図に示されているように、インプラント本体の第1の部分404は、近位端部408の近くに配置されている第1のキャビティ418を備える。この実施例では、第1のキャビティ418は、近位端部408から内向きに延在し、第1の薬物放出又は他の薬剤放出薬物挿入物422を収納し、例えば、目に薬物又は他の治療薬の持続放出を行う。いくつかの実施例では、薬物又は他の治療薬は、薬物挿入物422の露出している、シースで覆われていない表面468を介して目に放出されうる。この実施例では、薬物挿入物422の露出表面468は、薬物挿入物422がインプラント本体402の外に少なくとも部分的に突き出るように、近位端部408の上に位置決めされる。
【0037】
様々な実施例において、インプラント本体402の外面482は、細菌が涙管インプラント400に付着してインキュベートするのを阻害するために一般的に滑らかになるように形成されるか、又は表面処理されうる。一般的に滑らかな外面482は、埋設時に、涙点212、214(図2)又は関連する小管208、210(図2)などの収容解剖学的組織の内層に損傷が生じるのを防ぐこともできる。さらに同日付で出願された共通出願のRapackiらの「SURFACE TREATMENT OF IMPLANTS AND RELATED METHODS」という表題の米国特許出願番号第______号(整理番号2755.036US1)において説明されているように、インプラント本体402の外面482は、研磨プロセスを用いて一般的に滑らかになるように表面処理することができる。研磨プロセスは、本体402が拡大膨張状態にある現在進行している期間中に成形インプラント本体402に研磨媒体を当てて衝撃を与えることを含むことができる。これで、インプラント本体402の1つ又は複数の表面又は縁を滑らかにすることができる。様々な実施例では、研磨媒体は、約3ミリメートルを超える直径を有する少なくともいくつかの顆粒を含むことができる。
【0038】
様々な実施例において、抗菌コーティング484を外面482の少なくとも一部の上に配置するか、又は含浸することで、インプラント本体402上の細菌増殖をさらに防止することができる。いくつかの実施例では、抗菌コーティング484は、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、5−ブロモ−5−ニトロ−1,3−ジオキサン、7−エチル・ビシクロオキサゾリジン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、安息香酸、ベンジル・アルコール、ホウ酸、ブロノポール、塩化セチルピリジニウム、ジグルコン酸クロルヘキシジン、クロロアセトアミド、クロロブタノール、クロロメチル・イソチアゾリノン及びメチル・イソチアゾリン、ジメトキサン、ジメチル・オキサゾリジン、ジメチル・ヒドロキシメチル・ピラゾール、クロロキシレノール、デヒドロ酢酸、ジアゾリジニル尿素、ジクロロベンジル・アルコール、DMDMヒダントイン、エチル・アルコール、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、ヘキサクロロフェン、ヘキセチジン、ヘキサメチレンテトラミン、イミダゾリジニル尿素、ブチルカルバミン酸ヨードプロピニル、イソチアゾリノン、メテンアンモニウム・クロリド、メチルジブロモ・グルタロニトリル、MDMヒダントイン、ミノサイクリン、オルト・フェニルフェノール、p−クロロ−m−クレゾール、パラベン(ブチルパラベン、エチルパラベン、メチルパラベン)、フェネチル・アルコール、フェノキシエタノール、ピロクトン・オラミン、ポリアミノプロピル・ビグアニド、ポリメトキシ双環状オキサゾリジン、ポリオキシメチレン、ポリクオタニウム−42、安息香酸カリウム、ソルビン酸カリウム、プロピオン酸、クオタニウム−15、リファンピン、サリチル酸、二硫化セレン、ホウ酸ナトリウム、よう化ナトリウム、ヒドロキシメチルグリシン酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、ピリチオン・ナトリウム、ソルビン酸、チメロサール、トリクロサン、トリクロカルバン、ウンデシレン酸、フェノールスルホン酸亜鉛、及び亜鉛ピリチオンからなる群から選択された薬剤を含むことができる。いくつかの実施例では、抗菌コーティング484は、乳酸銀、リン酸銀、クエン酸銀、酢酸銀、安息香酸銀、塩化銀、ヨウ化銀、ヨウ素酸銀、硝酸銀、スルファジアジン銀、パルミチン酸銀、あるいはこれらの1つ又は複数の混合物からなる群から選択された材料を含むことができる。いくつかの実施例では、抗菌コーティング484は、抗生物質又は防腐薬のうちの少なくとも一方を含むことができる。例えば、抗菌コーティング484は、平均して数時間から1日程度は持続する一時麻酔剤を含むことができる。さらに他の実施例では、抗菌コーティング484は、即効性を求めて、ボーラスなどの、基礎疾患を治療するために使用される薬剤又は他の治療薬を含むことができる。
【0039】
図5は、下部涙点214及び関連する小管210内に埋設される、図3に示されている涙管インプラントの概略図例である。いくつかの実施例では、涙管インプラント300は、上部涙点212及び小管208内に埋設されうる。上述のように、涙管インプラント300は、第1の部分304及び第2の部分306を含むインプラント本体302を備えることができる。様々な実施例において、インプラント本体302は、埋設されたときにインプラント本体302の少なくとも一部分にバイアスをかけて小管湾曲部250のところに、又は小管湾曲部250により遠位に配置されている涙小管210の少なくとも一部に当たるようにし、インプラント300の埋設位置を確実に保持するように構成されうる。図に示されているように、第1の部分304は、涙点214を通して関連する小管210内に挿入され、涙点開口部と涙小管膨大部252との間に静止するように構成され、その一方で、第2の部分306は、涙点214を通して小管210内に挿入され、涙小管膨大部252と涙嚢204との間に静止するように構成されうる。いくつかの実施例では、第2の部分306の近位端部から突き出ている保持要素356は、バイアスがかけられ埋設されたときに涙小管膨大部252の少なくとも一部の中に入り、また当たるように構成されうる。様々な実施例において、第1の部分304及び第2の部分306は、眼球解剖学的構造を過度に引き伸ばすことなく適切な解剖学的埋設嵌め込みを維持するため望み通りに曲げ、引き伸ばし、又は潰しが施されるように構成できる。
【0040】
いくつかの実施例では、インプラント300を涙点214及び小管210内にさらに固定するために、又はインプラント本体302のサイズを調節できるようにするために、インプラント本体302の外面部分にヒドロゲル又は他の流体膨張可能材料を配置(例えば、コーティング)することができる。流体膨張可能材料は、埋設されたときにインプラント本体302の外面直径部分を効果的に拡張することができる。いくつかの実施例では、インプラント本体302の外面は、インプラント本体302の周りを流体が流れるように長手方向チャネル若しくは溝又はウィッキング材料のコーティングを備えることができる。これらの技術の1つ又は組合せを使用することで、中に埋設されたときに涙小管208、210を完全に閉塞するか、又は一部のみ閉塞するように涙管インプラント300を構成することができる。例えば、インプラント本体302の第1の部分304又は第2の部分306の一方又は両方で長手方向チャネル又は溝を使用することにより、量を減らすか、又は涙液排出を行わせることができ、薬物挿入物からの薬物又は他の治療薬の放出を潜在的に促進することができる。
【0041】
涙点212、214を通して関連する小管208、210内に涙管インプラント300を埋設するために鉗子又は他の挿入工具が使用できる。いくつかの実施例では、同日付に出願された共通出願のDe Juanらの「INSERTION AND EXTRACTION TOOLS FOR LACRIMAL IMPLANTS」という表題の米国特許出願番号第______号(整理番号2755.018US1)で説明されているような挿入工具が、涙管インプラント300を埋設するために使用されうる。様々な実施例において、インプラント本体302の第2の部分306を、把持可能又は他の突起部332が存在している場合に涙点開口部212に当たるまで挿入器工具を操作して涙小管208、210の深さまで送り込むことができる。涙管インプラント300を取り外したい場合には、例えば鉗子で突起部332を把持し、涙点開口部212、214から抜き出すことができる。
【0042】
いくつかの実施例では、インプラント本体302は、近位端部308の近くに配置されている第1のキャビティ318又は遠位端部310の近くに配置されている第2のキャビティ320のうちの一方又は両方を備えることができる。この実施例では、第1のキャビティ318は第1の部分304の近位端部308から内向きに延在しており、第2のキャビティ320は第2の部分306の遠位端部310から内向きに延在している。第1の薬物放出若しくは他の薬剤放出薬物挿入物322を第1のキャビティ318内に配置して、目への薬物又は他の治療薬の持続放出を行い(例えば、感染、炎症、緑内障、又は他の眼疾病若しくは疾患を治療するため)、その一方で、第2の薬物放出若しくは他の薬剤放出薬物挿入物324を第2のキャビティ320内に配置して、例えば鼻道(例えば、洞若しくはアレルギー疾患を治療するため)又は内耳系(例えば、目まい若しくは片頭痛を治療するため)への薬物又は他の治療薬の持続放出を行うことができる。
【0043】
図6A〜6Bは、涙点212、214を通して関連する小管208、210(図2)内に挿入可能な他の涙管インプラント600の一実施例を示している。この実施例では、涙管インプラント600は、第1の部分604及び第2の部分606を含むインプラント本体602を備えることができ、また第1の部分604の近位端部608から第2の部分606の遠位端部610に延在するようにできる。近位端部608は、長手方向近位軸612を画定することができ、遠位端部610は、長手方向遠位軸614を画定することができる。インプラント本体600は、埋設されたときに近位軸612と遠位軸614との間に約90度の角度をなす交差部分が存在し、インプラント本体の少なくとも一部にバイアスがかかって小管湾曲部250(図2)のところに、又は小管湾曲部250(図2)により遠位に配置される涙小管208、210(図2)の少なくとも一部に当たるように構成されうる。
【0044】
この実施例では、第2のインプラント本体部分606の近位端部628は、埋設されたときに涙小管膨大部252(図2)の少なくとも一部に対しバイアスがかかるように構成された保持要素656を備えることができる。この実施例では、インプラント本体602は、第1のインプラント本体部分604の近位端部608の近くに配置されている、第1の薬物放出又は他の薬剤放出薬物挿入物を収容するように構成されている、第1のキャビティ618を備える。またこの実施例において、インプラント本体602は、例えば約1ミリメートルの組み合わせた長さを有し、近位端部308から横方向に延在する一組のウィングなどの把持可能又は他の突起部632を備えることができる。
【0045】
図6Bは、図6Aの直線6B−6Bなどのインプラントの長手方向軸に平行な直線に沿って切り取った涙管インプラント600の断面を示す図例である。図6Bに示されているように、第1の部分604の遠位端部626は、第2の部分606と第2の部分606の近位端部628のところで又は近位端部628の近くで一体となるようにできる。様々な実施例において、第2の部分606は、近位端部608から遠位軸614まで測定された第1の部分604の長手方向長さの4倍未満である大きさを有する、近位軸612から遠位端部610まで測定された長手方向長さ部分を含みうる。いくつかの実施例では、第1の部分は、約1.54ミリメートルの長手方向長さ部分を含むことができ、第2の部分は、約4.5ミリメートルから約5.42ミリメートルまでの範囲の長手方向長さ部分を含むことができる。
【0046】
様々な実施例において、第2の部分606は、涙点212、214(図2)又は関連する小管208、210の一方又は両方などの解剖学的組織構造を涙管インプラント600が埋設されているときに十分な直径となるように拡張するための一体型拡張器650を備えることができる。いくつかの実施例では、第2の部分606は、約0.50ミリメートルから約0.75ミリメートルまでの範囲の近位端部の直径部分から約0.36ミリメートルの拡張器先端部654の直径部分へ先細りになっている。
【0047】
図7A〜7Bは、涙点212、214を通して関連する小管208、210(図2)内に挿入可能な他の涙管インプラント700の一実施例を示している。この実施例では、涙管インプラント700は、第1の部分704及び第2の部分706を含むインプラント本体702を備えることができ、また第1の部分704の近位端部708から第2の部分706の遠位端部710に延在するようにできる。近位端部708は、長手方向近位軸712を画定することができ、遠位端部710は、長手方向遠位軸714を画定することができる。インプラント本体700は、埋設されたときに近位軸712と遠位軸714との間に約90度の角度をなす交差部分が存在し、インプラント本体の少なくとも一部にバイアスがかかって小管湾曲部250(図2)のところに、又は小管湾曲部250(図2)により遠位に配置される涙小管208、210(図2)の少なくとも一部に当たるように構成されうる。図7Aの実施例に示されているように、第1の部分704と第2の部分706との間に滑らかな遷移が存在しうる。
【0048】
この実施例では、インプラント本体702は、第1のインプラント本体部分704の近位端部708の近くに配置されている、第1の薬物放出又は他の薬剤放出薬物挿入物を収容するように構成されている、第1のキャビティ718を備える。またこの実施例では、インプラント本体702は、近位端部708から横方向に延在し、また近位端部708の周りに完全に広がる環状突起部などの把持可能又は他の突起部732を備えることができる。いくつかの実施例では、把持可能又は他の突起部732は、約0.75ミリメートルのトリムされた幅を有し、近位端部708の周りに様々な量だけ広がる部分的にトリムされた突起部を備える。
【0049】
図7Bは、図7Aの直線7B−7Bなどのインプラントの長手方向軸に平行な直線に沿って切り取った涙管インプラント700の断面を示す図例である。図7Bに示されているように、第1の部分704の遠位端部726は、第2の部分706と第2の部分706の近位端部728のところで又は近位端部728の近くで一体となるようにできる。様々な実施例において、第2の部分706は、近位端部708から遠位軸714まで測定された第1の部分704の長手方向長さの4倍未満である大きさを有する、近位軸712から遠位端部710まで測定された長手方向長さ部分を含みうる。いくつかの実施例では、第1の部分は、約1.5ミリメートルの長手方向長さ部分を含むことができ、第2の部分は、約5ミリメートルの長手方向長さ部分を含むことができる。
【0050】
様々な実施例において、第2の部分706は、涙点212、214(図2)又は関連する小管208、210の一方又は両方などの解剖学的組織構造を涙管インプラント700が埋設されているときに十分な直径となるように拡張するための一体型拡張器750を備えることができる。いくつかの実施例では、第2の部分706は、約0.46ミリメートルの近位端部の直径部分から約0.36ミリメートルの拡張器先端部754の直径部分へ先細りになっている。
【0051】
図8A〜8Bは、涙点212、214を通して関連する小管208、210(図2)内に挿入可能な他の涙管インプラント800の一実施例を示している。この実施例では、涙管インプラント800は、第1の部分804及び第2の部分806を含むインプラント本体802を備えることができ、また第1の部分804の近位端部808から第2の部分806の遠位端部810に延在するようにできる。近位端部808は、長手方向近位軸812を画定することができ、遠位端部810は、長手方向遠位軸814を画定することができる。インプラント本体800は、埋設されたときに近位軸812と遠位軸814との間に約90度の角度をなす交差部分が存在し、インプラント本体の少なくとも一部にバイアスがかかって小管湾曲部250(図2)のところに、又は小管湾曲部250(図2)により遠位に配置される涙小管208、210(図2)の少なくとも一部に当たるように構成されうる。
【0052】
この実施例では、第2のインプラント本体部分806の近位端部828は、埋設されたときに涙小管膨大部252(図2)の少なくとも一部に対しバイアスがかかるように構成された保持要素856を備えることができる。保持要素856は、インプラントの挿入又は取外しの一方又は両方を補助するために、挿入しやすくする陥凹部875又は他の把持手段を備えることができる。この実施例では、インプラント本体802は、第1のインプラント本体部分804の近位端部808の近くに配置されている、第1の薬物放出又は他の薬剤放出薬物挿入物を収容するように構成されている、第1のキャビティ818を備える。またこの実施例では、インプラント本体802は、近位端部808から横方向に延在し、また近位端部808の周りに完全に広がる環状突起部などの把持可能又は他の突起部832を備えることができる。いくつかの実施例では、把持可能又は他の突起部832は、近位端部808の周りに様々な量だけ広がる部分的にトリムされた突起部を備える。
【0053】
図8Bは、図8Aの直線8B−8Bなどのインプラントの長手方向軸に平行な直線に沿って切り取った涙管インプラント800の断面を示す図例である。図8Bに示されているように、第1の部分804の遠位端部826は、第2の部分806と第2の部分806の近位端部828のところで又は近位端部828の近くで一体となるようにできる。様々な実施例において、第2の部分806は、近位端部808から遠位軸814まで測定された第1の部分804の長手方向長さの4倍未満である大きさを有する、近位軸812から遠位端部810まで測定された長手方向長さ部分を含みうる。いくつかの実施例では、第1の部分は、約1.725ミリメートルから約1.77ミリメートルまでの範囲の長手方向長さ部分を含むことができ、第2の部分は、約4.77ミリメートルから約5ミリメートルまでの範囲の長手方向長さ部分を含むことができる。
【0054】
様々な実施例において、第2の部分806は、涙点212、214(図2)又は関連する小管208、210の一方又は両方などの解剖学的組織構造を涙管インプラント800が埋設されているときに十分な直径となるように拡張するための一体型拡張器850を備えることができる。いくつかの実施例では、第2の部分806は、約0.46ミリメートルの近位端部828の直径部分から約0.36ミリメートルの拡張器先端部854の直径部分へ先細りになっている。
【0055】
図9は、涙点212、214を通して関連する小管208、210(図2)内に挿入可能な他の涙管インプラント900の一実施例を示している。この実施例では、涙管インプラント900は、第1の部分904及び第2の部分906を含むインプラント本体902を備えることができ、また第1の部分904の近位端部908から第2の部分906の遠位端部910に延在するようにできる。近位端部908は、長手方向近位軸912を画定することができ、遠位端部910は、長手方向遠位軸914を画定することができる。インプラント本体900は、埋設されたときに近位軸912と遠位軸914との間に約90度の角度をなす交差部分が存在し、インプラント本体の少なくとも一部にバイアスがかかって小管湾曲部250(図2)のところに、又は小管湾曲部250(図2)により遠位に配置される涙小管208、210(図2)の少なくとも一部に当たるように構成されうる。
【0056】
図に示されているように、第1の部分904と第2の部分906との間に滑らかな遷移が存在しうる。この実施例では、滑らかな遷移は、インプラントの挿入又は取外しの一方又は両方を補助するために、挿入しやすくする陥凹部975又は他の把持手段を備えることができる。またこの実施例では、インプラント本体902は、近位端部908から横方向に延在し、また近位端部908の周りに完全に広がる環状突起部などの把持可能又は他の突起部932を備えることができる。いくつかの実施例では、把持可能又は他の突起部932は、近位端部908の周りに様々な量だけ広がる部分的にトリムされた突起部を備える。
【0057】
図10A〜10Bは、涙点212、214を通して関連する小管208、210(図2)内に挿入可能な他の涙管インプラント1000の一実施例を示している。この実施例では、涙管インプラント1000は、第1の部分1004及び第2の部分1006を含むインプラント本体1002を備えることができ、また第1の部分1004の近位端部1008から第2の部分1006の遠位端部1010に延在するようにできる。近位端部1008は、長手方向近位軸1012を画定することができ、遠位端部1010は、長手方向遠位軸1014を画定することができる。インプラント本体1000は、埋設されたときに近位軸1012と遠位軸1014との間に約90度の角度をなす交差部分が存在し、インプラント本体の少なくとも一部にバイアスがかかって小管湾曲部250(図2)のところに、又は小管湾曲部250(図2)により遠位に配置される涙小管208、210(図2)の少なくとも一部に当たるように構成されうる。
【0058】
この実施例では、第2のインプラント本体部分1006の近位端部1028は、埋設されたときに涙小管膨大部252(図2)の少なくとも一部に対しバイアスがかかるように構成された保持要素1056を備えることができる。保持要素1056は、インプラントの挿入又は取外しの一方又は両方を補助するために、挿入しやすくする陥凹部1075又は他の把持手段を備えることができる。この実施例では、インプラント本体1002は、第1のインプラント本体部分1004の近位端部1008の近くに配置されている、第1の薬物放出又は他の薬剤放出薬物挿入物を収容するように構成されている、第1のキャビティ1018を備える。またこの実施例では、インプラント本体1002は、近位端部1008から横方向に延在し、また近位端部908の周りに完全に広がる約1.3ミリメートルの直径を有する環状突起部などの把持可能又は他の突起部1032を備えることができる。いくつかの実施例では、把持可能又は他の突起部1032は、近位端部1008の周りに様々な量だけ広がる部分的にトリムされた突起部を備える。
【0059】
図10Bは、図10Aの直線10B−10Bなどのインプラントの長手方向軸に平行な直線に沿って切り取った涙管インプラント1000の断面を示す図例である。図10Bに示されているように、第1の部分1004の遠位端部1026は、第2の部分1006と第2の部分1006の近位端部1028のところで又は近位端部1028の近くで一体となるようにできる。様々な実施例において、第2の部分1006は、近位端部1008から遠位軸1014まで測定された第1の部分1004の長手方向長さの4倍未満である大きさを有する、近位軸1012から遠位端部1010まで測定された長手方向長さ部分を含みうる。いくつかの実施例では、第1の部分は、約1.5ミリメートルの長手方向長さ部分を含むことができ、第2の部分は、約5ミリメートルの長手方向長さ部分を含むことができる。
【0060】
様々な実施例において、第2の部分1006は、涙点212、214(図2)又は関連する小管208、210の一方又は両方などの解剖学的組織構造を涙管インプラント1000が埋設されているときに十分な直径となるように拡張するための一体型拡張器1050を備えることができる。いくつかの実施例では、第2の部分1006は、約0.46ミリメートルの近位端部1028の直径部分から約0.36ミリメートルの拡張器先端部1054の直径部分へ先細りになっている。
【0061】
図11〜17は、涙点212、214を通して関連する小管208、210(図2)内に挿入可能な他の涙管インプラント1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700の実施例を示している。これらの実施例において、それぞれの涙管インプラント1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700は、第1の部分1104、1204、1304、1404、1504、1604、1704及び第2の部分1106、1206、1306、1406、1506、1606、1706を含むインプラント本体1102、1202、1302、1402、1502、1602、1702を備えることができ、第1の部分1104、1204、1304、1404、1504、1604、1704の近位端部1108、1208、1308、1408、1508、1608、1708から第2の部分1106、1206、1306、1406、1506、1606、1706の遠位端部1110、1210、1310、1410、1510、1610、1710に伸びうる。それぞれのインプラント本体1102、1202、1302、1402、1502、1602、1702は、涙管インプラントの埋設位置を潜在的にさらに固定するため少なくとも1つの中間配置保持突起部1192、1292、1392、1492、1592、1692、1792を備えることができる。中間配置保持突起部1192、1292、1392、1492、1592、1692、1792は、第1のインプラント本体部分1104、1204、1304、1404、1504、1604、1704又は第2のインプラント本体部分1106、1206、1306、1406、1506、1606、1706のうちの一方又は両方の中に位置決めされ、環状、半環状、柱状、又は樽型の突起部の形態をとりうる。中間配置保持突起部1192、1292、1392、1492、1592、1692、1792は、隣接するインプラント本体部分よりも大きいサイズを有する断面を備えることができ、また固定具合を高めるために小管壁の一部を少し変形させることもできる。
【0062】
例えば涙管インプラントによる下部涙小管210の閉塞は、小管210内の逆圧増大を引き起こし、これにより、インプラントを埋設位置から追い出すことができる。この逆圧は、例えば、まばたき(涙液がポンプで涙ドレナージ系の下で目の前面から汲み上げられる)又はくしゃみ(圧力が肺系統から発生し上昇する)の際に発生する可能性がある。したがって、少なくとも1つの中間配置保持突起部1192、1292、1392、1492、1592、1692、1792の形態でここで示されている追加の保持特徴のうちの1つ又は複数を使用して、インプラント移動を防ぎ、埋設された涙管インプラント位置をさらに固定することができる。これらの追加の保持特徴は、インプラント埋設の困難を増大させずに近位方向への移動を防ぐように設計されうる。
【0063】
図18〜19は、涙点212、214を通して関連する小管208、210(図2)内に挿入可能な他の涙管インプラント1800、1900の実施例を示している。これらの実施例では、それぞれの涙管インプラント1800、1900は、第1の部分1804、1904及び第2の部分1806、1906を含むインプラント本体1802、1902を備えることができ、また第1の部分1804、1904の近位端部1808、1908から第2の部分1806、1906の遠位端部1810、1910に延在するようにできる。図に示されているように、それぞれのインプラント本体1802、1902の中間部分1896、1996は、第1のインプラント本体部分1804、1904又は第2のインプラント本体部分1806、1906の一方又は両方に関してある角度をなし、これにより、涙管インプラントの埋設位置を潜在的にさらに固定することができる。
【0064】
中間部分1896、1996に角度を付けると、涙点212、214及び小管208、210の解剖学的構造を捕捉し、角度を付けて涙小管に当たるようにすることによって印加される指向性の力などを介して、涙管インプラント1800、1900を埋設位置に保持しやすくなると考えられる。この指向性の力は、涙点212、214と同一平面上でフィードバック又は他の突起部1832、1932を連続的に押しやるように設計されうる。
【0065】
図20は、涙点212、214を通して関連する小管208、210(図2)内に挿入可能な他の涙管インプラント2000の一実施例を示している。この実施例では、涙管インプラント2000は、第1の部分2004及び第2の部分2006を含むインプラント本体2002を備えることができ、また第1の部分2004の近位端部2008から第2の部分2006の遠位端部2010に延在するようにできる。近位端部2008は、長手方向近位軸2012を画定することができ、遠位端部2010は、長手方向遠位軸2014を画定することができる。インプラント本体2000は、埋設されたときに近位軸2012と遠位軸2014との間に約90度の角度をなす交差部分が存在し、インプラント本体の少なくとも一部にバイアスがかかって小管湾曲部250(図2)のところに、又は小管湾曲部250(図2)により遠位に配置される涙小管208、210(図2)の少なくとも一部に当たるように構成されうる。様々な実施例において、第1の部分2004の遠位端部2026は、第2の部分2006と第2の部分2006の近位端部2028のところで又は近位端部2028の近くで一体となるようにできる。
【0066】
この実施例では、1つ又は複数の材料切り欠き2080は、インプラント本体2002の外面に形成される。その結果、近位軸2012と遠位軸2014との間のある角度をなす交差部は、想像線で示されているように、埋設時に、より直線的に揃えられるため、涙点212、214を通して関連する小管208、210内に挿入しやすくすることができる。
【0067】
図21A〜21B及び22A〜22Bは、涙点212、214を通して関連する小管208、210(図2)内に挿入可能な他の涙管インプラント2100、2200の側面図例である。これらの実施例では、それぞれの涙管インプラント2100、2200は、第1の部分2104、2204及び第2の部分2106、2206を含むインプラント本体2102、2202を備えることができ、また第1の部分2104、2204の近位端部2108、2208から第2の部分2106、2206の遠位端部2110、2210に延在するようにできる。それぞれの第2の部分2106、2206は、1つ又は複数のアーム部材2170、2270がインプラント本体に隣接する第1の構成と1つ又は複数のアーム部材2170、2270がインプラント本体の側面から横方向に延在する第2の構成との間で移動可能な1つ又は複数のアーム部材2170、2270を備えることができる。第1の構成では、1つ又は複数のアーム部材2170、2270は、狭いプロファイルを形成することによって涙点212、214を通して関連する小管208、210内に挿入しやすくする。第2の構成では、1つ又は複数のアーム部材2170、2270は、横方向に延在して、埋設されたときに涙小管膨大部252(図2)又は小管208、210のうちの少なくとも一方を満たす。適宜、1つ又は複数のアーム部材2170、2270は、ヒドロゲルなどの流体膨張可能材料を備え、水和したときに涙小管膨大部252又は小管208、210内の埋設涙管インプラントをさらに固定することができる。
【0068】
いくつかの実施例では、1つ又は複数のアーム部材2170、2270は、インプラント本体2102、2202を形成するためにも使用される鋳型の中に組み込むことができる。1つ又は複数のアーム部材2170、2270は、その代わりに、既存のインプラント本体2102、2202上に成形するか、又は接着剤で接着することによって取り付けられうる。1つ又は複数のアーム部材2170、2270に対し異なる厚さ及び形状を用いて、異なる剛性及び固定/取外し特性を持たせることができる。ヒドロゲルだけでなく、1つ又は複数のアーム部材2170、2270は、眼球内レンズなどのハプティクスに使用される材料などの他の材料で作ることもできる。
【0069】
図23A〜23Bは、涙点212、214を通して関連する小管208、210(図2)内に挿入可能な他の涙管インプラント2300の側面図例である。この実施例では、涙管インプラント2300は、第1の部分2304及び第2の部分2306を含むインプラント本体2302を備えることができ、また第1の部分2304の近位端部2308から第2の部分2306の遠位端部2310に延在するようにできる。第2の部分2306は、少なくとも一部は、拡張すると第2の部分2306がバイアスをかけられて涙小管壁から離れるように構成されている拡張可能保持要素(例えば、膨張可能バルーン)2372によって囲むことができる。
【0070】
いくつかの実施例では、拡張可能保持要素2372は、目又は鼻涙系の組織に送達すべき薬剤を含むか、又は薬剤によって膨らませることができる。いくつかの実施例では、膨張可能保持要素2372は、薬物挿入物又は他の薬剤保持構造物から分離している1つ又は複数のバルーンを使用することができる。これら1つ又は複数のバルーンは、適宜、バルーン・カテーテルで使用されるバルーンに類似するものとしてよく、バルーンを制御しつつ膨張させられるように膨張内腔又は同様のものがインプラント挿入工具内に適宜備えられている。このような実施例では、涙管インプラント2300は、図23Aに示されているように、萎ませたバルーンとともに挿入することができる。涙管インプラント2300が適所に置かれた後、次いで、バルーンを膨らませて、図23Bに示されているように、インプラントの埋設位置を固定することができる。
【0071】
バルーンを萎ませて、涙管インプラント2300の取外しをしやすくすることもできる。バルーンは、小管208、210のサイズ及び形状の変化に適宜部分的に又は実質的に適合するようにできる。バルーンの代替実施例は、バルーンの穿孔又は開口部を通して水を吸収することによるヒドロゲルの膨張など、バルーン内に配置されている材料の膨張によって膨らませることができる。1つ又は複数のバルーンは、支持インプラント本体の周りに配置されている環状構造物とすることができるか、又はインプラント本体の軸を中心として偏心配置することができる。図23Bに示されているように、バルーンは、涙液排出管の水平部分内に留置されるか、又は涙液排出管の水平部分に隣接して留置されるか、又は涙ドレナージ系の涙管膨大部内に留置されるか、又は涙ドレナージ系の涙管膨大部に隣接して留置されるか、また同様の形で配置されるように十分遠位に配置できる。代替実施例は、より近位にある1つ又は複数のバルーンを備えることができる。
【0072】
図24は、下部涙点214及び関連する小管210を通じて埋設された他の涙管インプラント2400の概略図例である。涙管インプラント2400は、第1の部分2404及び第2の部分2406を含むインプラント本体2402を備えることができる。様々な実施例において、インプラント本体2402は、埋設されたときにインプラント本体2402の少なくとも一部分にバイアスをかけて小管湾曲部250のところに、又は小管湾曲部250により遠位に配置されている涙小管210の少なくとも一部に当たるようにし、インプラント2400の埋設位置を確実に保持するように構成されうる。この実施例では、第2の部分2406は、第1の部分2404の直径より大きく2ミリメートル未満であるサイズなどの、約2ミリメートル未満の長手方向長さ部分を含む。またこの実施例では、インプラント本体2402は、第1のインプラント本体部分2404の近位端部の周りに横方向に少なくとも部分的に延在するような、把持可能な又は他の突起部2432を備えることができる。
【0073】
図25A〜25Bは、涙点212、214を通して関連する小管208、210(図2)内に挿入可能な他の涙管インプラント2500の一実施例を示している。これらの実施例では、涙管インプラント2500は、第1の部分2504及び第2の部分2506を含むインプラント本体2502を備えることができ、また第1の部分2504の近位端部2508から第2の部分2506の遠位端部2510に延在するようにできる。インプラント本体は、例えば患者が快適に、また安全に保持できるように小管208、210の解剖学的特徴と一般的に一致しうる一般的な形状を備えることができる。近位端部2508は、長手方向近位軸2512を画定することができ、遠位端部2510は、長手方向遠位軸2514を画定することができる。インプラント本体2502は、埋設されたときに近位軸2512と遠位軸2514との間に45〜90度の角度をなす交差部分が存在し、例えばインプラント本体2502の少なくとも一部にバイアスがかかって小管湾曲部250(図2)のところに、又は小管湾曲部250(図2)により遠位に配置される涙小管208、210(図2)の少なくとも一部に当たるように構成されうる。
【0074】
図25A〜25Bの実施例では、インプラント本体2502は、近位端部2508の近くに配置されている第1のキャビティ2518又は遠位端部2510の近くに配置されている第2のキャビティ2520のうちの両方を備えることができる。第1のキャビティ2518は第1の部分2504の近位端部2508から内向きに延在しており、第2のキャビティ2520は第2の部分2506の遠位端部2510から内向きに延在している。第1の薬物放出若しくは他の薬剤放出薬物挿入物を第1のキャビティ2518内に配置して、目への薬物又は他の治療薬の持続放出を行い、その一方で、第2の薬物放出若しくは他の薬剤放出薬物挿入物を第2のキャビティ2520内に配置して、例えば鼻道又は内耳系への薬物又は他の治療薬の持続放出を行うことができる。いくつかの実施例では、図26に示されているように、第1のキャビティ2518は、第1の部分2504の近位端部2508から第2の部分2506の遠位端部2510の近くの位置まで内向きに延在することができ、第1の薬物放出又は他の薬剤放出薬物挿入物で満たされる。いくつかの実施例では、第2のキャビティ2520は、第2の部分2506の遠位端部2510から第1の部分2504の近位端部2508の近くの位置まで内向きに延在することができ、第2の薬物放出又は他の薬剤放出薬物挿入物で満たされる。
【0075】
いくつかの実施例において、第2の部分2506は、涙点212、214又は小管208、210の一方又は両方などの解剖学的組織構造を涙管インプラント2500が埋設されているときに十分な直径となるように拡張するための一体型拡張器2550を備える。このようにして、涙管インプラント2500は、別の引き伸ばし工具を介して事前拡張を行わなくても様々なサイズの眼球解剖学的構造内に埋設することができる。これらの実施例では、一体型拡張器2550は、第1の部分2504に関係する一般的に凹型の形状を有する。いくつかの実施例では、凹型の形状は、小管湾曲部250の半径より小さい半径を有する。いくつかの実施例では、凹型の形状は、小管湾曲部250の半径と実質的に同じ半径を有する。図25Bの実施例に示されているように、第1の部分2504と第2の部分2506との間に滑らかな遷移が存在しうる。
【0076】
いくつかの実施例では、第2のインプラント本体部分2506の近位端部2528は、埋設されたときに涙小管膨大部252(図2)の少なくとも一部に対しバイアスがかかるように構成された保持要素2556を備えることができる。図25Aの実施例において、保持要素2556は、第1のインプラント本体部分2504と第2のインプラント本体部分2506との間から近位に突き出る。
【0077】
図26は、涙点212、214を通して関連する小管208、210(図2)内に挿入可能な他の涙管インプラント2600の一実施例を示している。この実施例では、涙管インプラント2600は、第1の部分2604及び第2の部分2606を含むインプラント本体2602を備え、また第1の部分2604の近位端部2608から第2の部分2606の遠位端部2610に延在する。近位端部2608は、長手方向近位軸2612を画定することができ、遠位端部2610は、長手方向遠位軸2614を画定することができる。インプラント本体2600は、埋設されたときに近位軸2612と遠位軸2614との間に90〜135度の角度をなす交差部分が存在し、インプラント本体の少なくとも一部にバイアスがかかって小管湾曲部250のところに、又は小管湾曲部250(図2)により遠位に配置される涙小管208、210(図2)の少なくとも一部に当たるように構成されうる。
【0078】
いくつかの実施例では、インプラント本体2602は、近位端部2608の近くに配置されている第1のキャビティ2618を備えることができる。この実施例では、第1のキャビティ2618は第1の部分2604の近位端部2608から第2の部分2606の遠位端部2610の近くの位置へ内向きに延在している。約0.2立方センチメートルから約0.25立方センチメートルまでの範囲の体積を有する第1の薬物放出又は他の薬剤放出薬物挿入物を、例えば、第1のキャビティ2618内に配置して、目に長期間にわたって薬物又は他の治療薬の持続放出を行うようにすることができる。
【0079】
いくつかの実施例において、第2の部分2606は、涙点212、214又は小管208、210の一方又は両方などの解剖学的組織構造を涙管インプラント2600が埋設されているときに十分な直径となるように拡張するための一体型拡張器2650を備える。このようにして、涙管インプラント2600は、別の引き伸ばし工具を介して事前拡張を行わなくても様々なサイズの眼球解剖学的構造内に埋設することができる。この実施例では、拡張器2650は、第1の部分2604に関して一般的に凸型の形状を有する。いくつかの実施例では、凸型の形状は、小管湾曲部250の半径より小さい半径を有する。いくつかの実施例では、凸型の形状は、小管湾曲部250の半径と実質的に同じ半径を有する。
【0080】
いくつかの実施例では、第2のインプラント本体部分2606の近位端部2628は、埋設されたときに涙小管膨大部252(図2)の少なくとも一部に対しバイアスがかかるように構成された保持要素2656を備えることができる。この実施例において、保持要素2656は、第1のインプラント本体部分2604と第2のインプラント本体部分2606との間から近位に突き出る。図29〜30に示されているようないくつかの実施例では、第2のインプラント本体部分2606の近位端部2628は、インプラント本体2602が埋設されるときに涙小管膨大部252内に広がるように構成されている、ヒドロゲル保持要素を含む保持要素2656を備えることができる。
【0081】
図27は、涙点212、214を通して関連する小管208、210(図2)内に挿入可能な他の涙管インプラント2700の側面図例である。この実施例では、涙管インプラント2700は、埋設する前に互いに対して直線的である、第1の部分及び第2の部分を含むインプラント本体2702を備える。インプラント本体2702は、第1の部分の近位端部2708から第2の部分の遠位端部2710へ延在する。近位端部2708は、長手方向近位軸2712を画定することができ、遠位端部2710は、長手方向遠位軸2714を画定することができる。インプラント本体2702は、埋設されたときに近位軸2712と遠位軸2714との間に約45〜135度の角度をなす交差部分が存在し、例えばインプラント本体2702の少なくとも一部にバイアスがかかって小管湾曲部250(図2)のところに、又は小管湾曲部250(図2)により遠位に配置される涙小管208、210(図2)の少なくとも一部に当たるように構成されうる。この実施例では、インプラント本体2702の第2の部分は、インプラント本体2702にバイアスをかけて涙小管208、210の一部分に当たりやすくする少なくとも1つの起伏部2790を備える。
【0082】
図28は、涙点212、214を通して関連する小管208、210(図2)内に挿入可能な他の涙管インプラント2800の側面図例である。この実施例では、涙管インプラント2800は、埋設する前に互いに対して直線的である、第1の部分及び第2の部分を含むインプラント本体2802を備える。インプラント本体2802は、第1の部分の近位端部2808から第2の部分の遠位端部2810へ延在する。近位端部2808は、長手方向近位軸2812を画定することができ、遠位端部2810は、長手方向遠位軸2814を画定することができる。インプラント本体2802は、埋設されたときに近位軸2812と遠位軸2814との間に約45〜135度の角度をなす交差部分が存在し、インプラント本体2802の少なくとも一部にバイアスがかかって小管湾曲部250(図2)のところに、又は小管湾曲部250(図2)により遠位に配置される涙小管208、210(図2)の少なくとも一部に当たるように構成されうる。この実施例では、インプラント本体2802の第2の部分は、肋骨のような環状突起部などの少なくとも1つの中間配置保持突起部2892を備える。保持突起部2892は、隣接するインプラント本体部分より大きな断面サイズを有し、インプラント本体2802の埋設位置の固定をしやすくすることができ、隣接するより細いインプラント本体部分は、インプラント本体2802にバイアスをかけて涙小管208、210の一部分に当てやすくすることができる。
【0083】
図29〜32は、涙点212、214を通して関連する小管208、210(図2)内に挿入可能な他の涙管インプラント2900、3000、3100、3200の側面図例である。これらの実施例では、それぞれの涙管インプラント2900、3000、3100、3200は、第1の部分2904、3004、3104、3204及び第2の部分2906、3006、3106、3206を含むインプラント本体2902、3002、3102、3202を備えることができ、また第1の部分2904、3004、3104、3204の近位端部2908、3008、3108、3208から第2の部分2906、3006、3106、3206の遠位端部2910、3010、3110、3210に延在するようにできる。近位端部2908、3008、3108、3208は、長手方向近位軸2912、3012、3112、3212を画定することができる。
【0084】
第2の部分2906、3006、3106、3206は、インプラント本体2902、3002、3102、3202が埋設されたときに近位軸2912、3012、3112、3212に関して、横方向に拡大するように構成された流体膨張可能保持要素2994、3094、3194、3294を備えることができる。様々な実施例において、流体膨張可能保持要素2994、3094、3194、3294は、拡大方向又は拡張量のうちの一方又は両方が制御できるように形成されうる。例えば、流体膨張可能保持要素2994、3094、3194、3294は、涙管インプラントを確実に固定するために他方の平面に比べて一方の平面内でより拡大するようにできる。いくつかの実施例において、流体膨張保持要素2994、3094、3194、3294は、インプラント本体が埋設されたときに涙小管膨大部252(図2)から離れる方向で、近位軸2912、3012、3112、3212に関して、横方向に拡大するように構成された部分を備える。図29〜30に示されているようないくつかの実施例において、流体膨張保持要素2994、3094、3194、3294は、インプラント本体が埋設されたときに涙小管膨大部252(図2)に向かう方向で、近位軸2912、3012、3112、3212に関して、横方向に拡大するように構成された部分を備える。
【0085】
いくつかの実施例では、流体膨張保持要素2994、3094、3194、3294は、涙点212、214を通して細いプロファイルの関連する小管208、210内に挿入可能である、ヒドロゲルを含むことができる。挿入した後、ヒドロゲル又は他の流体膨張保持要素は、水和して、幅広の構成形状になるまで拡大しうる。少なくとも1つの中間配置保持突起部2992、3092、3192、3292などの突起部は、ヒドロゲル又は他の膨張可能要素が拡大している間に涙管インプラントの埋設位置を保持するために使用されうる。
【0086】
図33は、涙点212、214を通して関連する小管208、210(図2)内に挿入可能な他の涙管インプラント3300の側面図例である。これらの実施例では、涙管インプラント3300は、第1の部分3304及び第2の部分3306を含むインプラント本体3302を備えることができ、また第1の部分3304の近位端部3308から第2の部分3306の遠位端部3310に延在するようにできる。図に示されているように、第2の部分3306は、コイル、組紐、ステント、メッシュ・チューブ、縫合糸、熱硬化性ポリマー、熱可塑性物質、熱活性化可能材料、又は形状記憶材料のうちの少なくとも1つを含む拡張可能保持要素3393を備えることができる。拡張可能保持要素3393は、インプラント本体が埋設されたときに、第1の部分3304によって定められた近位軸3312に関して、横方向に拡大するように構成できる。少なくとも1つの中間配置保持突起部3392などの突起部は、涙管インプラントの埋設位置を潜在的にさらに固定するために使用できる。
【0087】
図34A〜34Bは、他の涙管インプラント3400及びインプラント環境の概略図例である。様々な実施例において、インプラント本体3402は、第1のインプラント本体部分の近位端部3408から、又は近位端部3408の周りに横方向に少なくとも部分的に延在する1つ又は複数の突起部などの、把持可能な又は他の突起部3432を備えることができる。図34Bに示されているようないくつかの実施例では、突起部3432は、涙管インプラント3400を埋設位置内に挿入するか、又は埋設位置から涙管インプラント3400を取り外す際に使用する一組のウィングを備えることができる。埋設されたインプラント本体3402が非直線的構成であるため、小管湾曲部250及び適宜、涙小管膨大部252のサイズ又は形状をとることによって移動を防ぐことができるので、一組のウィングを、移動を念頭に置かずに構成することができる。
【0088】
図34A〜34Bの実施例において、1つ又は複数の突起部3432は、埋設されたときに目100と平行な方向で、又は目100から離れる方向で横方向に延在する。このようにして、突起部3432は、そのまま、把持可能又はフィードバック特徴として働くことができるが、涙管インプラント3400が埋設されるときの患者の不快感を制限することができる。それに加えて、突起部3432は、目100から離すことにより、組織に埋没することがなく、患者又は医師が簡単に認識することができる。これにより、目100の周囲の軟組織を掘り起こして調べなくても涙管インプラント3400が適切な場所に留置されているかどうかの判定を素早く下すことができる。いくつかの場合において、下眼瞼をただ単に引っ張るだけで、目100から離れる方向を指している突起部3432を露出させることができる。図34Bの実施例では、近位端部3408からの少なくとも1つの突起部3432の横方向延在は、第1のインプラント本体部分の遠位端部に関する第2のインプラント本体部分の横方向延在方向と実質的に同じである。
【0089】
図35〜38は、涙管インプラント3500、3600、3700、3800の近位端部から延在している様々な把持可能突起部又は他の把持手段3532、3632、3732、3832の等角図例である。把持可能又は他の突起部3532、3632、3732、3832は、インプラント挿入又は取外し時にユーザが把持できる構造物を備えて、関連する涙管インプラントが涙点212、214及び関連する涙小管208、210(図2)内を完全に通るのを抑制又は防止することを含む様々な機能に対し、あるいは例えば、インプラントが完全に埋設されたかどうかを示す触覚的な、又は視覚的なフィードバック情報をユーザに送るために、使用できる。
【0090】
図35に示されているようないくつかの実施例では、把持可能突起部3532は、涙点の外側に配置されるサイズを有する2つ又はそれ以上の拡張可能アーム部材を備えることができる。アーム部材は、例えば、成形、接着、又は溶接を用いて、インプラント本体3502に取り付けることができる。拡張可能アーム部材は、涙点212、214を通して関連する小管208、210内に入る涙管インプラント3500の貫通を制限するために拡張するようにできる。2つのアーム部材が示されているが、4つのアーム部材など、2つよりも多いアーム部材を備えるものもある。拡張可能アーム部材は、インプラント本体の直径の約2倍に対応する拡張プロファイル分離距離3505をとり、これにより近位にある拡張可能アーム部材の近位端部は、涙点の外側に留まる。拡張可能アーム部材は、細いプロファイル構成から拡張プロファイル構成へ様々な方法で拡張することができ、また、コイル、組紐、縫合糸、熱硬化性ポリマー、熱可塑性物質、熱活性化可能材料、Nitinol、形状記憶材料、ポリマー、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン、天然繊維、ステンレス鋼、ポリメチルメタクリレート、又はポリイミドのうちの少なくとも1つを含むことができる。いくつかの実施例では、拡張可能アーム部材は、小管内腔208、210内に涙管インプラントが位置決めされた後に、例えば、医師が手作業で拡張させることができる。
【0091】
図36に示されているようないくつかの実施例では、把持可能突起部3632は、ループへの近位張力を用いて、例えば、鉗子を使ってインプラントを取り外せるように涙管インプラント3600の近位端部内に埋め込まれたフィラメントのループを備えることができる。いくつかの実施例では、フィラメントのループは、涙管インプラントを容易に取り外せるようにループとともに涙管インプラントから延在しているハンドバックのハンドルに似た形状をとる。フィラメントは、熱活性化可能材料、Nitinol、形状記憶材料、ポリマー、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン、天然繊維、ステンレス鋼、ポリメチルメタクリレート、又はポリイミドのうちの少なくとも1つを含むことができる。いくつかの実施形態では、フィラメントは、吸収性熱可塑性ポリマー、例えば、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、又はポリ乳酸−グリコール酸共重合体(PLGA)のうちの少なくとも1つを含むことができる。フィラメントを涙管インプラントに固定するために、フィラメントの遠位端部をインプラント本体3602内に埋め込むか、又は成形するか、又は他の方法で貼り付けることができる。
【0092】
図37に示されているように、いくつかの実施例において、把持可能突起部3732は、涙小管208、210の一番外側部分にバイアスをかけるように構成されている、インプラント本体3702と結合された少なくとも1つの軸方向に延在する突起部を備えることができる。小管の外向きのバイアスに対する自然な収縮により、軸方向に延在する突起部と小管との間の相互作用が関連する涙管インプラント3700の過剰挿入を抑制する。
【0093】
図38に示されているように、いくつかの実施例では、インプラント本体3802内の長手方向凹み、チャネル、又は他の陥凹部3832を把持可能突起部の代わりに使用して、涙管インプラント3800の挿入又は取外しを行うことができる。凹み、チャネル、又は他の陥凹部3832は、インプラント本体の一部にのみ沿って軸方向に、関連する涙管インプラントの取外しを行いやすくするのに十分な距離だけ延在するものとしてよい。他の実施例では、涙管インプラントは、インプラント本体内に成形され、涙点からインプラントを取り外せるように近位に延在するフィラメントを備えることができる。
【0094】
図39A〜39Bは、薬物挿入物322及び取り外しやすくするフィラメント3999の等角図例である。図39Aに示されているように、いくつかの実施例では、フィラメント3999は、薬物挿入物322から延在するものとしてよく、取外しのために中に成形される。とりわけ、フィラメント3999は、縫合糸、熱硬化性ポリマー、又は形状記憶合金を含むものとしてよい。図39Bに示されているように、いくつかの実施例では、フィラメント3999は、インプラント本体3902に隣接する薬物挿入物322に沿って延在し、また取外しのために挿入物の遠位端部に接着される。フィラメントは、シアノアクリレート、アクリル、エポキシ、ウレタン、又はホット・メルト接着剤などの接着剤で薬物コア挿入物の遠位端部に接着することができる。
【0095】
図40は、涙点を通し関連する小管内に少なくとも部分的に挿入可能であるように構成されている涙管インプラントを製造する方法4000の一実施例を示すブロック図である。4002で、第1の本体部分の近位端部から第2の本体部分の遠位端部へ延在するインプラント本体を形成する。いくつかの実施例では、患者の様々な解剖学的構造に適合するように様々なサイズのインプラント本体が形成される。様々な実施例において、近位端部は、長手方向近位軸を画定するように形成され、また遠位端部は、長手方向遠位軸を画定するように形成される。インプラント本体の形成は、埋設されたときに近位軸と遠位軸は少なくとも45度の角度で交差し、これによりインプラント本体の少なくとも一部に横方向バイアスがかかって小管湾曲部のところに、又は小管湾曲部により遠位に配置される涙小管の少なくとも一部に当たるように構成されうる。
【0096】
いくつかの実施例では、第2の本体部分は、第2の本体部分の近位端部の近くの場所から第2の本体部分の遠位端部へ一般的に狭まってゆく拡張器を備えるように形成される。いくつかの実施例では、拡張器は、インプラント本体の第2の部分の外面を長手方向遠位軸に関して約1度から約10度までの角度で傾斜させることによって形成される。いくつかの実施例では、第2のインプラント本体部分の外面は、約0.2ミリメートルから約0.5ミリメートルまでの範囲の拡張器先端部へと傾斜している。
【0097】
いくつかの実施例では、インプラント本体は、第1の本体部分の近位端部から横方向に延在する把持可能又は他の突起部を備えるように形成される。いくつかの実施例では、突起部は、第1の本体部分に関して第2の本体部分の横方向延在方向と実質的に揃うように形成される。いくつかの実施例では、突起部は、埋設されたときに目と平行な方向又は目から離れる方向で第1の本体部分の近位端部から横方向に延在するように形成される。
【0098】
4004で、第1の本体部分又は第2の本体部分のうちの少なくとも一方の中に薬物挿入物を配置する。様々な実施例において、薬物挿入物は、露出した薬物挿入物表面が例えば目、鼻道、又は内耳に薬物又は他の治療薬を持続放出するために近位端部又は遠位端部のうちの少なくとも一方に隣接して留置されるように位置決めされる。いくつかの実施例では、第1の薬物挿入物は、第1の本体部分内に配置され、第2の薬物挿入物は、第2の本体部分内に配置される。様々な実施例において、1つ又は複数の薬物挿入物は、薬物又は他の治療薬を含む薬物コアを備える。
【0099】
4006で、インプラント本体の外面部分を流体膨張材料、潤滑コーティング、又は抗菌コーティングのうちの少なくとも1つでコーティングする。様々な実施例において、インプラント本体の外面部分は、研磨プロセスを使用して研磨される。
【0100】
シース本体の例:
様々な方法により、シース本体は、薬物挿入物から出る薬物又は他の治療薬の移動を制御するのに適した形状を有し、そのような材料を含むことができる。いくつかの実施例では、シース本体は、涙点又は関連する小管の解剖学的構造などの、インプラント解剖学的構造に適合できるように構成される。説明されているように、いくつかの実施例では、シース本体は、薬物挿入物を少なくとも部分的に覆うか、又は囲み、マトリクス/薬剤混合物の外面に対しぴったりフィットするようにできる。シース本体は、薬物又は薬剤の移動速度がシース本体によって覆われていない薬物挿入物の露出した表面領域によって大部分が制御されるように薬物又は他の治療薬に対し実質的に不浸透性の材料から形成することができる。多くの実施例では、シース本体を通しての薬剤の移動は、薬物挿入物の露出表面を通しての薬剤の移動の約1/10以下としてよい。好適なシース本体材料として、とりわけ、ポリイミド、ポリエチレン・テレフタレート(PET)が挙げられる。シース本体は、外側マトリクス/薬剤混合物の表面に隣接するシース表面から、外面から離れる方向に対向するシース表面まで定められた、約0.00025インチから0.0015インチまでの厚さを有することができる。薬物挿入物上に延在するシースの全直径は、約0.2ミリメートルから約1.2ミリメートルまでの範囲である。薬物挿入物は、シース本体中でマトリクスを浸漬被覆することによって形成されうる。いくつかの実施例では、シース本体は、マトリクス/薬剤混合物が導入されるチューブを備えることができる。シース本体は、マトリクス/薬剤混合物の周りに浸漬被覆する、例えば事前形成マトリクス/薬剤コアの周りに浸漬被覆することもできる。
【0101】
シース本体は、本明細書で説明されている涙管インプラントを臨床で使用しやすくするなどのために1つ又は複数の追加の特徴を備えることができる。例えば、シースは、インプラント本体が患者体内に埋設されている間、又はその取外し後に、その場で交換可能な薬物挿入物を収容することができる。いくつかの実施例では、シース本体は、シース本体からマトリクス/薬剤混合物を排出させる、シース本体に力を印加する1つ又は複数の外部突起部を備えることができる。次いで、交換用薬物挿入物をシース本体に位置決めすることができる。
【0102】
治療薬の例:
治療薬(又は単に「薬剤」)としては、とりわけ、抗緑内障薬(例えば、アドレナリン作動薬、アドレナリン拮抗薬(βブロッカー)、炭酸脱水酵素阻害薬(CAI、全身及び局所)、副交感神経興奮薬、プロスタグランジン及び降下圧脂質、及びこれらの組合せ)、抗菌薬(例えば、抗生物質、抗ウイルス剤、駆虫剤、抗真菌剤など)、コルチコステロイド又は他の抗炎症薬(例えば、NSAID若しくは他の鎮痛剤及び疼痛管理化合物)、充血除去剤(例えば、血管収縮薬)、アレルギー反応を修正するのを抑制する薬剤(例えば、抗ヒスタミン剤、サイトカイン阻害薬、ロイコトリエン阻害薬、IgE阻害薬、免疫調節剤)、マスト細胞安定化剤、毛様体筋麻痺薬、散瞳薬、又は同様の薬品、又はその同等物質、誘導体、若しくは類似体の1つ又は組合せから調製された薬物が挙げられる。
【0103】
例示的な利用可能な薬剤として、限定はしないが、トロンビン阻害剤、抗血栓症薬、血小板溶解薬、線維素溶解薬、血管攣縮阻害薬、血管拡張薬、降圧薬、抗生物質(テトラサイクリン、クロルテトラサイクリン、バシトラシン、ネオマイシン、ポリミキシン、グラミシジン、セファレキシン、オキシテトラサイクリン、クロラムフェニコール、リファンピシン、シプロフロキサシン、トブラマイシン、ゲンタマイシン、エリスロマイシン、ペニシリン、スルホンアミド、スルファジアジン、スルファセタミド、スルファメチゾール、スルフイソキサゾール、ニトロフラゾン、プロピオン酸ナトリウムなど)、抗真菌剤(アムホテリシン B及びミコナゾールなど)、及び抗ウイルス薬(イドクスウリジン・トリフルオロチミジン、アシクロビル、ガンシクロビル、インターフェロン)などの抗菌薬、表面糖タンパク質受容体の阻害薬、抗血小板薬、抗有糸分裂薬、微小管阻害剤、抗分泌薬、活性阻害剤、リモデリング抑制剤、アンチセンス・ヌクレオチド、代謝拮抗物質、抗増殖剤(抗血管形成薬を含む)、抗癌化学療法薬、抗炎症薬(ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、デキサメタゾン21−リン酸塩、フルオシノロン、メドリゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン21−リン酸塩、酢酸プレドニゾロン、フロオロメタロン、ベータメタゾン、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニドなど)、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)(サリチル酸塩、インドメタシン、イブプロフェン、ジクロフェナク、フルルビプロフェン、ピロキシカム・インドメタシン、イブプロフェン、ナキソプレン、ピロキシカム、及びナブメトンなど)が挙げられる。本発明の涙管インプラントとともに使用することについて考えられているこのような消炎ステロイド剤の例として、トリアムシノロンアセトニド(呼称)及び例えば、トリアムシノロン、デキサメタゾン、フルオシノロン、コルチゾン、プレドニゾロン、フルメトロン、及びこれらの誘導体を含むコルチコステロイド、抗アレルギー薬(クロモグリク酸ナトリウム、アンタゾリン、メタピリレン、クロルフェニラミン、セチリジン、ピリラミン、プロフェンピリダミンなど)、抗増殖剤(1,3−cis−レチノイン酸、5−フルオロウラシル、タクソール、ラパマイシン、マイトマイシンC、及びシスプラチンなど)、充血除去剤(フェニレフリン、ナファゾリン、テトラヒドラゾリンなど)、縮瞳薬及び抗コリンエステラーゼ(ピロカルピン、サリチル酸塩、カルバコール、塩化アセチルコリン、フィゾスチグミン、エゼリン、ジイソプロピル・フルオロホスホネート、ホスホリン・ヨード、臭化デメカリウムなど)、抗新生物薬(カルムスチン、シスプラチン、フルオロウラシル3など、免疫薬(ワクチン及び免疫刺激剤など)、ホルモン剤(エストロゲン、−−エストラジオール、黄体ホルモン薬、プロゲステロン、インスリン、カルシトニン、副甲状腺ホルモン、ペプチド、及びバソプレッシン視床下部放出因子など)、免疫抑制剤、成長ホルモン拮抗薬、増殖因子(上皮細胞増殖因子、線維芽細胞増殖因子、血小板由来増殖因子、形質転換増殖因子β、スマトトラピン、フィブロネクチンなど)、血管形成阻害薬(アンギオスタチン、酢酸アネコルタブ、トロンボスポンジン、抗VEGF抗体など)、ドパミン作動薬、放射線治療薬、ペプチド、タンパク質、酵素、細胞外マトリクス、成分、ACE阻害薬、フリー・ラジカル・スカベンジャー、キレート剤、抗酸化薬、抗ポリメラーゼ、光線力学療薬、遺伝子療薬、及びチモロール、ベタキソロール、レボブノロール、アテノロール、及びビマトプロスト、トラボプロスト、ラタノプロストなどのプロスタグランジン類似体などのβブロッカーを含む抗緑内障薬を含む、プロスタグランジン、抗プロスタグランジン、プロスタグランジン前駆体などの他の治療薬、アセタゾラミド、ドルゾラミド、ブリンゾールアミド、メタゾラミド、ジクロルフェナミド、ダイアモックスなどの炭酸脱水酵素阻害薬、ルベゾール、ニモジピン、及び関連する化合物などの神経保護薬、及びピロカルピン、カルバコール、フィゾスチグミン、及び同様の物質などの副交感神経刺激薬が挙げられる。
【0104】
本発明の涙管インプラントと併用できる追加の薬剤として、限定はしないが、米国連邦食品医薬品化粧品法の第505条又は公衆衛生法に従って認定されている薬物が挙げられ、その一部は米国食品医薬品局(FDA)のウェブサイトhttp://www.accessdata.fda.gov/scripts/cder/drugsatfda/indexに載っている。本発明の涙管インプラントは、紙形態の、又は電子的形態のオレンジブックに一覧として記載されている薬物とともに使用することもでき、これは、FDAオレンジブック・ウェブサイト(http://www.fda.gov/cder/ob/)に載っており、本特許文書の出願日と同じ日付、又は早い日付、又はそれよりも後の日付を有するか、又は記録している。例えば、これらの薬物は、とりわけ、ドルゾラミド、オロパタジン、トラボプロスト、ビマトプロスト、シクロスポリン、ブリモニジン、モキシフロキサシン、トブラマイシン、ブリンゾラミド、アシクロビル・マレイン酸チモロール、ケトロラク・トロメタミン、酢酸プレドニゾロン、ヒアルロン酸ナトリウム、ネパフェナク、ブロンフェナク、ジクロフェナク、フルルビプロフェン、スプロフェナク、ビノキサン、パタノール、デキサメタゾン/トブラマイシン併用、モキシフロキサシン、又はアシクロビルが挙げられる。
【0105】
上記の薬剤で治療できる疾病又は疾患の例として、限定はしないが、緑内障、外科手術前及び手術後眼球治療、ドライアイ、抗眼アレルギー、抗感染、外科手術後炎症又は疼痛、アレルギーなどの呼吸器関連疾患、目まい若しくは片頭痛などの内耳疾患、高血圧症、コレステロール管理、肺疾患、又は免疫不全などの他の全身性疾患が挙げられる。いくつかの実施例では、治療薬は、潤滑剤又は界面活性剤、例えばドライアイを治療するための潤滑剤を含むことができる。他の実施例では、治療薬は、目から涙を吸収することができる吸収剤を含むことができる。
【0106】
薬物挿入物の例:
薬物挿入物は、1つ又は複数の薬物又は他の治療薬、及びいくつかの実施例では、薬物又は他の治療薬を持続放出するための1つ又は複数のマトリクス材を含むことができる。1つ又は複数の薬物又は他の治療薬は、少なくとも一部はマトリクス内の薬物又は薬剤の溶解度に基づき、薬物挿入物の露出表面からターゲットの組織(例えば、目の毛様体筋)に移動できる。露出表面からの薬物又は薬剤の移動速度は、マトリクス内に溶解している薬物又は薬剤の濃度にも関係しうる。いくつかの実施例では、薬物挿入物中に溶解されている薬物又は薬剤の濃度は、薬物又は薬剤の放出速度が所望の放出速度となるように制御されうる。それに加えて、又は組み合わせて、露出表面からの薬物又は薬剤の移動速度は、シリコーン・マトリクス製剤の特性など、薬物又は薬剤が溶解するマトリクスの1つ又は複数の特性に関係しうる。いくつかの実施例では、薬物挿入物に含まれる薬物又は薬剤は、液体、固体、固体ゲル、結晶質固体、非晶質固体、固体粒子、又は溶解形態を含みうる。このような一実施例では、液体であるラタノプロスト液滴又は固体であるビマトプロスト粒子がシリコーン・マトリクス内に分散される。
【0107】
薬物挿入物は、1つ又は複数の薬物又は薬剤を持続放出することができる1つ又は複数の生体適合性材料を含むことができる。薬物挿入物は、薬物又は薬剤の溶解可能な包含物が中に配置されている実質的に非生体分解性のシリコーン・マトリクスを含むマトリクスを含む実施例に関して主として上記で説明されているが、薬物挿入物は、薬物又は薬剤、例えば生体分解性マトリクス、多孔質薬物挿入物、液体薬物挿入物、又は固体薬物挿入物を持続放出する他の構造物を備えることができる。薬物又は薬剤を含むマトリクスは、生体分解性又は非生体分解性のポリマーから形成されうる。いくつかの実施例では、非生体分解性薬物挿入物としては、シリコーン、アクリレート、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリウレタン、ヒドロゲル、ポリエステル(例えば、デラウェア州ウィルミントン所在のE.I.Du Pont de Nemours and Company社のDACRON.RTM.)、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、延伸PTFE(ePTFE)、ポリエーテル・エーテル・ケトン(PEEK)、ナイロン、押し出し成形コラーゲン、ポリマー発泡体、シリコーン・ゴム、ポリエチレン・テレフタレート、超高分子量ポリエチレン、ポリカーボネート・ウレタン、ポリウレタン、ポリイミド、ステンレス鋼、ニッケル−チタン合金(例えば、Nitinol)、チタン、ステンレス鋼、コバルト−クロム合金(例えば、イリノイ州エルジン所在のElgin Specialty Metals社のELGILOY.RTM.、ペンシルバニア州ワイオミッシング所在のCarpenter Metals Corp.社のCONICHROME.RTM.)が挙げられる。いくつかの実施例では、生体分解性薬物挿入物は、タンパク質、ヒドロゲル、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリ(L−乳酸)(PLLA)、ポリ(L−グリコール酸)(PLGA)、ポリグリコリド、ポリ−L−ラクチド、ポリ−D−ラクチド、ポリ(アミノ酸)、ポリジオキサノン、ポリカプロラクトン、ポリグリコン酸塩、ポリ乳酸−ポリエチレン・オキシド共重合体、変性セルロース、コラーゲン、ポリオルトエステル、ポリヒドロキシブチレート、ポリアンハイドライド、ポリホスホエステル、ポリ(αヒドロキシ酸)、及びこれらの組合せなどの1つ又は複数の生体分解性ポリマーを含むことができる。いくつかの実施例では、薬物挿入物は、ヒドロゲル・ポリマーを含みうる。
【0108】
結論:
とりわけ、本明細書では目の涙点及び涙小管内で確実な保持を行う涙管インプラント及び関係する方法が説明されている。涙管インプラントは、少なくとも部分的に涙点を通して、小管内に挿入するように構成されているインプラント本体を備えることができる。インプラント本体は、第1及び第2の部分を含み、長手方向近位軸を画定する第1の部分の近位端部から長手方向遠位軸を画定する第2の部分の遠位端部へ延在するものとすることができる。インプラント本体は、一体型拡張器を使用して埋設されたときに少なくとも45度の角度をなす交差部が近位軸と遠位軸との間に存在するように構成されうる。この方法で、インプラント本体の少なくとも一部分にバイアスをかけて、小管湾曲部のところに、又は小管湾曲部により遠位に配置されている涙小管の少なくとも一部に当たるようにし、これにより、解剖学的構造物を使用して涙管インプラントの埋設位置を保持することができる。様々な実施例において、涙管インプラントは、インプラント本体の第1の部分又は第2の部分のうちの少なくとも一方の中に配置される薬物挿入物を備え、これにより、例えば、薬物又は他の治療薬の眼球、鼻道、又は内耳系への持続放出を行うことができる。
【0109】
有利には、いくつかの実施例において、本発明の涙管インプラントを使用することで、首尾よく、数日から数カ月、数年といった様々な期間にわたって涙液の流れをブロックしたり、又は目、鼻道、又は内耳に薬物又は他の治療薬を持続送達することができる。それに加えて、第1及び第2のインプラント本体のキャビティを備えることによって、薬物又は他の治療薬の二重放出プロファイルが可能になるものとしてよい。例えば、2つの別々の薬物を2つの異なるインプラント位置から放出することができる。さらに、本発明のインプラント本体の小管湾曲部保持構成により、涙点及び涙小管の過剰な引き伸ばし、並びにインプラントの不注意による脱落を低減することができる。さらに、本発明の涙管インプラントは、1つのサイズですべてに(又は多くに)フィットする様式を提供するように実装できるが、それは、インプラント本体、例えばインプラント本体の外面部分に拡張可能コーティング又は他の拡張可能保持部材を施し、様々なサイズの中空組織構造にフィットするようにできるからである。本発明の涙管インプラントは、例えばインプラント本体の近位端部に配置されている把持可能又は他の突起部の配向のおかげで、患者が耐えやすいものにもできる。
【0110】
上記の「発明を実施するための形態」は、「発明を実施するための形態」の一部をなす、付属の図面への参照を含む。図面は、実例として、本発明を実施できる特定の実施形態を示している。これらの実施形態は、本明細書では「実施例」とも称される。本明細書で参照されるすべての刊行物、特許、及び特許文書は、参照により個別に組み込まれるとしても、参照により全体として本明細書に組み込まれる。本明細書と参照によりこうして組み込まれたこれらの文書とで用語の使い方が食い違っている場合、組み込まれている参照文献の用語の使い方は、本明細書の用語の使い方を補足するものとみなすべきであり、相容れない食い違いについては、本明細書の用語の使い方が優先する。
【0111】
本明細書において、「1つの(「a」又は「an」)」という言い方は、特許文書においてよくあるように、「少なくとも1つ」又は「1つ又は複数」の他の任意の場合又は使用とは無関係に、1つ又は複数であることを含むものとして使用される。本明細書では、「又は[あるいは、若しくは]」という語句は、断りのない限り、非排他的であることを指し、したがって「A又は[あるいは、若しくは]B」は、「AであるがBでなく」、及び「BであるがAでなく」、及び「AかつB」を含む。本明細書では、「約(「about」)」は、述べられている量に近似的に等しい、ほぼ等しい、ほとんど等しい、等しい量に近い量を指すために使用される。
【0112】
本明細書では、「近位」という用語は、涙管インプラントを患者に埋設する医師の手に比較的近い位置を指し、「遠位」という用語は、特にインプラントを患者に埋設している最中に、医師の手から比較的遠い位置を指す。
【0113】
本明細書において、「ヒドロゲル」という用語は、例えば超吸収性ポリマー、親水コロイド、及び水吸収性親水性ポリマーなどの、吸収あるいは保持する材料(例えば、吸着材料)を指すために使用される。いくつかの実施例において、「ヒドロゲル」という用語は、「乾燥」状態における超吸収性ポリマー粒子、より具体的には無水から約5重量%未満の水など、粒子の重量より少ない量までの水を含む粒子を指す。いくつかの実施例において、「ヒドロゲル」という用語は、ヒドロゲルが拡張可能でない場合に「乾燥」状態の超吸収性ポリマーを指し、また水和若しくは拡張状態、より具体的には、水の重量の数倍など、少なくともその重量分の水を吸収したヒドロゲルを指す。ヒドロゲル材料が、流体を吸収すると、そのサイズが増大(膨張)し、またその形状が変化して、例えば、涙小管膨大部又は涙小管壁の少なくとも一部に対し当たるようにバイアスがかかりうる。
【0114】
付属の請求項における英文中の「including(含む、備える)」及び「in which」という言葉は、「comprising(含む、備える)」及び「wherein」のそれぞれの言葉と等価であるものとして使用される。また、請求項では、「including(含む、備える)」及び「comprising(備える、含む)」という言葉は、制約がない、つまり、請求項中のそのような言葉の後に列挙されているものに加えて複数の要素を含むシステム、アセンブリ、デバイス、物品、又はプロセスは、その請求項の範囲内にあるとみなされる。さらに、請求項では、「first(第1の)」、「second(第2の)」、及び「third(第3の)」などの言葉は、単に、ラベルとして使用され、その対象に対する数値的要件を課すことを意図していない。
【0115】
上記の説明は、例示的でありことを意図しており、制限するものではない。例えば、上述の実施例(あるいは1つ又は複数のその特徴)は、互いに組み合わせて使用することができる。上記の説明を検討した後、当業者であれば他の実施形態も利用できる。また、上記の「発明を実施するための形態」では、開示を合理化するため様々な特徴をグループにまとめることができる。これは、未請求の開示されている特徴が請求項にとって本質的であるという意図であると解釈されるべきでない。むしろ、発明の主題は、特定の開示されている実施形態のすべてに満たない数の特徴にあると言える。したがって、以下の請求項は、これにより「発明を実施するための形態」に組み込まれ、それぞれの請求項は独立の実施形態として自立している。本発明の範囲は、付属の請求項の対象である等価物の全範囲とともに、付属の請求項を参照しつつ、決定されるべきである。
【0116】
読者が技術的開示の性質を素早く確認できるように要約をまとめてある。これは請求項の範囲又は意味を解釈又は制限するために使用されないことを了解したうえで提出される。
【技術分野】
【0001】
優先権主張
参照により本明細書に組み込まれる、2007年9月7日に出願した米国仮特許出願番号第60/970,696号、2007年9月7日に出願した米国仮特許出願番号第60/970,720号、2007年9月21日に出願した米国仮特許出願番号第60/974,367号、2008年3月3日に出願した米国仮特許出願番号第61/033,211号、2008年3月14日に出願した米国仮特許出願番号第61/036,816号、2008年4月30日に出願した米国仮特許出願番号第61/049,360号、2008年5月12日に出願した米国仮特許出願番号第61/052,595号、及び2008年6月24日に出願した米国仮特許出願番号第61/075,309号の優先権の利益が本明細書により主張される。
【0002】
本特許文書は、一般的に眼科デバイスに関するものであり、具体的には人工眼に関するものである。より具体的には、限定はしないが、本特許文書は、涙管インプラント、そのようなインプラントを製作する方法、及びそのようなインプラントを使用して眼球、呼吸器、内耳、又は他の疾病若しくは疾患(例えば、肺疾患若しくは免疫疾患)を治療する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
乾性角結膜炎を含む、ドライアイは、治療を必要とする場合がある一般的な眼症状である。ドライアイは、広範な年齢層の人々が経験しており、また高齢者によく見られる。様々な現行治療法がドライアイにかかわる生理学的状態をターゲットとしており、これは正常な涙液の増大、涙液膜成分産生の強化、及び目から出て涙小管内に入り通過する涙液の流れをブロックするなどの涙の滞留時間を延ばす方法を含む。
【0004】
多くの現行の涙液流ブロック技術には、性質上不可逆であることを含む、短所がある。例えば、いくつかの涙液流ブロック技術は、涙点開口部を縫って閉じるか、又は電気若しくはレーザー焼灼を使用して涙点開口部を封止することによって涙小管導管を閉じることを伴う。このような処理では、涙液流をブロックしてドライアイを治療する所望の結果が得られるけれども、残念なことに再建外科手術を行わないと症状を改善することはできない。
【0005】
ドライアイ症状緩和に加えて、目、鼻道、又は内耳への適切な薬物又は他の治療薬送達を含む、眼球、呼吸器、及び内耳の疾病若しくは疾患の管理の分野において、患者も医者も様々な難題に直面する。例えば、眼球管理では、多数の現行の眼ドラッグデリバリー(眼用薬物送達)システムは、手作業による反復投与を必要とし、患者の薬剤服用順守(患者コンプライアンス)が欠如していたり、又は眼球に到達する薬物濃度が不適切であったりして効果がない場合が多い。
【0006】
眼感染症、目の炎症、緑内障、及び他の眼疾病又は疾患を治療するために、多くの場合、薬物若しくは他の治療薬を目に投与する必要がある。薬物送達の従来の方法は、目の表面への局所的液滴塗布によるものである。局所的点眼薬は、効果はあるが、不効率である場合がある。一例として、点眼薬を目にさすと、結膜嚢(つまり、目と眼瞼との間のポケット)をいっぱいにしすぎて眼瞼縁からあふれ出て頬へとこぼれるため液滴のかなりの部分が失われることが多い。それに加えて、眼球表面に残っている液滴の大部分は、涙小管内に入り通過して洗い流されてしまい、目を吸収治療する前に薬物の濃度が希釈されうる。さらに、多くの場合において、局所的適用薬物は、薬物適用後約2時間の間に眼球内効果がピークに達し、その後、所望の薬物治療的有用性を維持するためにさらに薬物を投与すべきであるが、たいていは投与されない。
【0007】
眼球管理をなおいっそう困難にするのは、患者が処方通りに点眼薬を使用しないことが多いという点である。このような服薬不順守は、例えば、点眼薬が引き起こす刺すような、又は焼けるような感覚、及び患者の景観によるものと考えられる。点眼薬を自分の目にさすことが難しいのは、一部は、目を保護する正常反射のせいだと言える。したがって、1つ又は複数の液滴が目に入らないことがある。老齢の患者にとっては、関節炎、非安定性、及び視力低下のせいで液滴をさすことがさらに問題となることがある。小児科及び精神科の集団でも同様に問題となる。
【0008】
眼球管理と異なる分野では、呼吸器関連(例えば、アレルギー)及び内耳疾病又は疾患の制御は、多くの場合、医薬品(例えば、薬物又は他の治療薬)の手作業による反復消化又は摂取を必要とし、そのようなものとして、患者の薬剤服用順守又は非局所薬物送達の欠如により効果がないことがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の発明者は、目における涙の滞留時間及び目、鼻道、内耳、又は他の系への薬物若しくは治療薬の送達を高める様々な有望な技術のあることを認識している。これらの技術は、取外し可能な、また適宜薬物放出する、涙管インプラントを涙点内に通し、関連する涙小管内に留置することを含みうる。鼻涙ドレナージ系の特徴を利用する涙管インプラントを設計することによって患者の安心及び眼球解剖構造内のインプラント保持が満足されうる。この方法では、本発明の涙管インプラントは、性質上不可逆であることなどの現在のドライアイ緩和、及び患者の薬剤服用不順守、無駄、適切でないタイミングでの適用、又は非局所送達などの眼球薬物投与(例えば、手作業による液滴滴下又は消化)に付随する欠点の一部を解消することができる。
【0010】
さらにそれでも、本発明の発明者は、涙管インプラントには、涙点又は関連する涙小管に大きなバイアスをかけずに容易に埋設及び除去を行えること、適宜特定の涙点又は涙小管に合わせて事前にサイズを決めなくても、埋設後に涙小管内に安全に保持可能であるようにできること、涙液、薬物、又は他の薬剤を鼻涙系内に流し込めるようにできること、及び薬物送達システムとして製作され使用される場合に、長期間にわたって所望の治療レベルで1つ又は複数の薬物又は他の治療薬の局所的持続放出を行わせることができること、のうちの1つ又は複数の利点があることを認識している。
【0011】
疾病又は疾患を治療するための涙管インプラントが開示される。より具体的には、涙管インプラント、そのようなインプラントを製作する方法、及びそのようなインプラントを使用して眼球、呼吸器、内耳、肺、又は免疫系の疾病若しくは疾患を治療する方法を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本明細書で説明されている発明対象をさらにわかりやすくするために、例示的な態様及び実施形態の限定しない一覧を以下に示す。
1.涙小管内に挿入可能な涙管インプラントであって、
第1及び第2の部分を含み、第1の部分の近位端部から第2の部分の遠位端部へ延在する、インプラント本体を備え、
第1の部分の近位端部は長手方向近位軸を画定し、第2の部分の遠位端部は長手方向遠位軸を画定し、
インプラント本体は、涙小管内に埋設されたときに近位軸と遠位軸との間にある角度をなす交差部分が存在し、インプラント本体の少なくとも一部にバイアスがかかって小管湾曲部のところに、又は小管湾曲部により遠位に配置される涙小管の少なくとも一部に当たるように構成され、
インプラント本体の第2の部分はインプラント本体の第1の部分の長手方向長さの4倍未満の大きさを有する長手方向長さを含む、涙管インプラント。
2.態様1による涙管インプラントであって、インプラント本体は涙小管内に埋設される前に近位軸と遠位軸との間にある角度をなす交差部分が存在するように構成される、涙管インプラント。
3.態様1又は2のいずれかによる涙管インプラントであって、インプラント本体は涙小管内に入り通過する流体流を部分的に又は完全に抑制するように構成される、涙管インプラント。
4.態様1〜3のいずれかによる涙管インプラントであって、第1の部分の遠位端部は第2の部分の近位端部のところで、又は近位端部の近くで第2の部分と一体になっている、涙管インプラント。
5.態様1〜4のいずれかによる涙管インプラントであって、第1の部分又は第2の部分の一方又は両方は拡張するように構成された流体膨張可能保持要素を備える、涙管インプラント。
6.態様5による涙管インプラントであって、第2の部分は流体膨張可能保持要素を備え、流体膨張可能保持要素はインプラント本体が埋設されたときに第1の部分の近位軸に関して横方向に拡張するように構成される、涙管インプラント。
7.態様5又は6のいずれかによる涙管インプラントであって、流体膨張可能保持要素はインプラント本体が埋設されたときに涙小管膨大部から離れる方向で横方向に拡張するように構成される部分を備える、涙管インプラント。
8.態様5〜7のいずれかによる涙管インプラントであって、流体膨張可能保持要素はインプラント本体が埋設されたときに涙小管膨大部に向かう方向で横方向に拡張するように構成される部分を備える、涙管インプラント。
9.態様1〜8のいずれかによる涙管インプラントであって、第2の部分はコイル、組紐、ステント、メッシュ・チューブ、縫合糸、熱硬化性ポリマー、熱可塑性物質、熱活性化可能材料、又は形状記憶材料のうちの少なくとも1つを含む拡張可能保持要素を備え、拡張可能保持要素はインプラント本体が埋設されたときに横方向に拡張してある角度をなす交差部分を形成する、涙管インプラント。
10.態様1〜9のいずれかによる涙管インプラントであって、第2の部分にバイアスをかけて拡張時に涙小管の壁から離すように構成されている、第2の部分の一部の周りに配置された拡張可能保持要素を備える、涙管インプラント。
11.態様1〜10のいずれかによる涙管インプラントであって、第2の部分は第1の構成形状と第2の構成形状との間で移動可能なアーム部材を備え、第1の構成形状内でアーム部材は涙小管内に挿入するためにインプラント本体に沿って配置可能であり、第2の構成形状内でインプラント本体の片側から横方向に拡張可能である、涙管インプラント。
12.態様1〜11のいずれかによる涙管インプラントであって、第2の部分は一体型拡張器を備え、一体型拡張器は第2の部分の近位端部の近くの場所から第2の部分の遠位端部へ一般的に狭まってゆき、これによりインプラント本体を涙小管内に埋設しやすくする、涙管インプラント。
13.態様12による涙管インプラントであって、一体型拡張器先端部の直径は約0.2ミリメートルから約0.5ミリメートルまでの範囲である、涙管インプラント。
14.態様12又は13のいずれかによる涙管インプラントであって、一体型拡張器の外面勾配は、第2の部分の近位端部の近くの場所から第2の部分の遠位端部まで測定したときに、遠位軸に関して約1度から約10度までの範囲である、涙管インプラント。
15.態様1〜14のいずれかによる涙管インプラントであって、第2の部分は少なくとも1つの起伏部を備える、涙管インプラント。
16.態様1〜15のいずれかによる涙管インプラントであって、第1の部分又は第2の部分の少なくとも一方は少なくとも1つの中間に配置されている環状、半環状、柱状、又は樽型の突起部を備え、中間に配置されている突起部は隣接するインプラント本体部分より大きい断面サイズを有する、涙管インプラント。
17.態様1〜16のいずれかによる涙管インプラントであって、第1の部分の近位端部から少なくとも部分的に延在している把持可能突起部を備え、把持可能突起部はインプラント本体が埋設されたときに涙点に当たるか、又は涙点の近くに配置されるように構成される、涙管インプラント。
18.態様17による涙管インプラントであって、第2の部分はインプラント本体が埋設されたときに涙小管膨大部内に横方向に延在するか、又は拡張する要素を備える、涙管インプラント。
19.態様17又は18のいずれかによる涙管インプラントであって、把持可能突起部はインプラント本体が埋設されたときに目と平行な方向、又は目から離れる方向で第1の部分の近位端部から横方向に延在する、涙管インプラント。
20.態様1〜19のいずれかによる涙管インプラントであって、近位軸及び遠位軸のある角度をなす埋設された交差部分は少なくとも約45度である、涙管インプラント。
21.態様1〜20のいずれかによる涙管インプラントであって、治療薬を備える、涙管インプラント。
22.態様21による涙管インプラントであって、薬物コアを含む少なくとも1つの薬物挿入物を備え、薬物コアは治療薬を収納する、涙管インプラント。
23.態様22による涙管インプラントであって、薬物コアは持続放出するための少なくとも1つの露出表面を備える、涙管インプラント。
24.態様1〜23のいずれかによる涙管インプラント、及び涙管インプラントを使用して眼疾患を治療するための指示書を備えるキット。
25.態様1〜23のいずれかによる涙管インプラント、及び涙管インプラントを使用して呼吸器関連疾患を治療するための指示書を備えるキット。
26.態様1〜23のいずれかによる涙管インプラント、及び涙管インプラントを使用して内耳疾患を治療するための指示書を備えるキット。
27.涙小管内に挿入するための涙管インプラントであって、
涙小管の垂直セクション内に位置決め可能な近位端部分から涙小管の水平セクション内に位置決め可能な遠位端部分まで非直線的に延在し、それらの間に中間部分を有するインプラント本体を備え、
中間部分は、涙小管内に埋設されたときにインプラント本体が小管湾曲部のところに、又は小管湾曲部により遠位に配置されている涙小管の少なくとも一部に対し横方向に方向的バイアスをかけるように、近位端部分に向かう第1の方向に部分的に延在するとともに遠位端部分に向かう第2の方向に部分的に延在し、
インプラント本体は涙小管内に入り通過する流体流を抑制する、涙管インプラント。
28.態様27による涙管インプラントであって、涙小管の垂直セクション内で位置決め可能なインプラント本体の長手方向長さは涙小管の水平セクション内で位置決め可能なインプラント本体の長手方向長さの4倍未満である、涙管インプラント。
29.態様27又は28のいずれかによる涙管インプラントであって、中間部分の第1の方向延在部は中間部分の第2の方向延在部に関して約45度から約135度の範囲の角度をなす、涙管インプラント。
30.態様27〜29のいずれかによる涙管インプラントであって、中間部分はインプラント本体が埋設されたときに涙小管膨大部の方へ第2の部分と実質的に反対方向である第3の方向に部分的に延在する、涙管インプラント。
31.態様27〜30のいずれかによる涙管インプラントであって、第2の方向延在部は第1の方向延在部に関して一般的に凹型の形状を有する長手方向拡張器を備え、一般的に凹型の形状の半径は小管湾曲部の半径より小さい、涙管インプラント。
32.態様27〜31のいずれかによる涙管インプラントであって、第2の方向延在部は第1の方向延在部に関して一般的に凸型の形状を有する長手方向拡張器を備える、涙管インプラント。
33.態様27〜32のいずれかによる涙管インプラントであって、第2の方向延在部は第1の方向延在部の軸に実質的に垂直な軸を有する長手方向拡張器を備える、涙管インプラント。
34.態様27〜33のいずれかによる涙管インプラントであって、近位端部分又は遠位端部分の少なくとも一方は少なくとも1つの中間に配置されている環状、半環状、柱状、又は樽型の突起部を備え、中間に配置されている突起部は隣接するインプラント本体部分より大きい断面サイズを有する、涙管インプラント。
35.態様27〜34のいずれかによる涙管インプラントであって、近位端部分から横方向に延在している把持可能突起部を備える、涙管インプラント。
36.態様27〜35のいずれかによる涙管インプラントであって、インプラント本体の外面部分上に配置されている流体膨張可能材料を備え、流体膨張可能材料は埋設されたときにインプラント本体の外面直径部分を拡張するように構成されている、涙管インプラント。
37.態様27〜36のいずれかによる涙管インプラントであって、近位端部分内に配置された第1の薬物挿入物又は遠位端部分内に配置された第2の薬物挿入物のうちの少なくとも一方を備え、第1又は第2の薬物挿入物の一方又は両方はインプラント本体を通過する流体流を抑制し、持続放出を行うように構成されている少なくとも1つの露出表面を備える、涙管インプラント。
38.態様37による涙管インプラントであって、近位端部分内にキャビティを備え、キャビティは薬物コアの形態で第1の薬物挿入物を収納するように構成され、薬物コアは目を治療するように構成されている第1の薬剤を備える、涙管インプラント。
39.態様37又は38のいずれかによる涙管インプラントであって、遠位端部分内にキャビティを備え、キャビティは薬物コアの形態で第2の薬物挿入物を収納するように構成され、薬物コアは鼻道に収容されるように構成されている第2の薬剤を備える、涙管インプラント。
40.涙小管内に挿入可能な涙管インプラントを製造する方法であって、
第1の本体部分の近位端部から第2の本体部分の遠位端部へ延在するインプラント本体を形成することを含み、形成することは、
第2の本体部分を第1の本体部分の長手方向長さの4倍未満である長手方向長さまで伸ばすことと、
涙小管内に埋設されたときにインプラント本体が小管湾曲部のところに、又は小管湾曲部により遠位に配置されている涙小管の少なくとも一部に対し横方向に方向的バイアスをかけるように構成されるある角度で交わる長手方向近位軸及び長手方向遠位軸をそれぞれ画定するように近位端部及び遠位端部を構成することとを含む、方法。
41.態様40による方法であって、第1の本体部分又は第2の本体部分の一方又は両方を形成することは少なくとも1つの中間に配置されている環状、半環状、柱状、又は樽型の突起部を形成することを含み、中間に配置されている突起部は隣接するインプラント本体部分より大きい断面サイズを有する、方法。
42.態様40又は41のいずれかによる方法であって、第2の本体部分を形成することは第2の本体部分の近位端部の近くの場所から第2の本体部分の遠位端部へ一般的に狭まってゆく拡張器を形成することを含む、方法。
43.態様40〜42のいずれかによる方法であって、拡張器を形成することは第2の本体部分の近位端部の近くの場所から第2の本体部分の遠位端部まで測定したときに長手方向遠位軸に関して約1度から約10度までの範囲のインプラント本体の外面勾配を形成することを含む、方法。
44.態様40〜43のいずれかによる方法であって、第2の部分を形成することは第1の本体部分の遠位端部の近くに流体膨張可能保持要素を配置することを含み、さらにこのことは、インプラント本体が埋設されたときに近位軸に関する横方向拡張が涙小管の少なくとも一部又は涙小管膨大部解剖学的構造に対してバイアスをかける構成となるように流体膨張可能保持要素を配置することを含む、方法。
45.態様40〜44のいずれかによる方法であって、インプラント本体の外面部分を流体膨張可能材料でコーティングすることを含む、方法。
46.態様40〜45のいずれかによる方法であって、第1の薬物挿入物を第1の本体部分内に配置すること、又は第2の薬物挿入物を第2の本体部分内に配置することのうちの少なくとも一方を含み、さらにこのことは、それぞれ第1の薬剤又は第2の薬剤の持続放出を行うように近位端部に隣接する第1の薬物挿入物の露出表面又は遠位端部に隣接する第2の薬部物挿入物の露出表面の少なくとも一方を位置決めすることを含む、方法。
47.眼疾患、呼吸器関連疾患、肺疾患、免疫系疾患、又は内耳疾患のうちの少なくとも1つを患っている患者を治療する方法であって、
患者の少なくとも1つの涙小管内に涙管インプラントを挿入することを含み、涙管インプラントは、
第1及び第2の部分を含み、第1の部分の近位端部から第2の部分の遠位端部へ延在し、近位端部は長手方向近位軸を画定し遠位軸は長手方向遠位軸を画定する、インプラント本体であって、
インプラント本体は、涙小管内に埋設されたときに近位軸と遠位軸との間にある角度をなす交差部分が存在し、インプラント本体の少なくとも一部にバイアスがかかって小管湾曲部のところに、又は小管湾曲部により遠位に配置される涙小管の少なくとも一部に当たるように構成されるインプラント本体と、
第1の部分内に配置された第1の薬物挿入物又は第2の部分内に配置された第2の薬物挿入物のうちの少なくとも一方とを備え、第1の薬物挿入物及び第2の薬物挿入物はそれぞれ第1の薬剤又は第2の薬剤の持続放出を行うように構成される、方法。
48.態様47による方法であって、涙管インプラントを挿入することは、第2の部分の遠位端部が涙小管内に移動されるときに、インプラント本体の一体型拡張器を使用して、涙小管を同時に拡張することを含む、方法。
49.態様47又は48のいずれかによる方法であって、挿入されているインプラント本体を涙小管から取り出すことを含む、方法。
50.態様47〜49のいずれかによる方法であって、一定時間間隔の後に挿入済みの涙管インプラントを同じ第1又は第2の薬剤のうちの少なくとも一方を含む第2の涙管インプラントで交換することを含む、方法。
【0013】
本発明の涙管インプラント及び方法のこれら及び他の実施形態、利点、及び態様は、以下の「発明を実施するための形態」において一部述べられている。この「発明の概要」は、本特許出願の発明対象の概要を述べることを意図している。本発明の排他的又は網羅的な説明を行うことは意図されていない。「発明を実施するための形態」は、本特許出願に関するさらなる情報を提供するために含まれている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図面中、類似番号は、いくつかの図面全体を通して類似のコンポーネントを記述するために使用されうる。異なる英字添え字を持つ類似の番号は、類似しているコンポーネントの異なる形態を表すために使用されうる。これらの図面は、一般に、例えば、限定はしないが、本明細書で説明されている様々な実施形態を例示している。
【図1】涙管インプラントを使用できる好適な環境をもたらす、目に関連する解剖学的組織構造の概略を示す図例である。
【図2】涙管インプラントを使用できる好適な環境をもたらす、目に関連する解剖学的組織構造の概略を示す図例である。
【図3A】涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、第1のインプラント本体部分と第2のインプラント本体部分との間に実質的に垂直な角度をなす交差部分を備える、涙管インプラントの等角図例である。
【図3B】直線3B−3Bなどのインプラントの長手方向軸に平行な直線に沿って切り取った涙管インプラントの断面、及びインプラント収容解剖学的組織構造の拡張を示す図例である。
【図4】涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、一体型拡張器を備える、涙管インプラントの側面図例である。
【図5】涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、少なくとも1つの薬物挿入物を備える、涙管インプラントの概略図例である。
【図6A】涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、涙小管膨大部内に配置可能な部分を備える、涙管インプラントの等角図例である。
【図6B】直線6B−6Bなどのインプラントの長手方向軸に平行な直線に沿って切り取った涙管インプラントの断面を示す図例である。
【図7A】涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、環状把持可能突起部を備える、涙管インプラントの等角図例である。
【図7B】直線7B−7Bなどのインプラントの長手方向軸に平行な直線に沿って切り取った涙管インプラントの断面を示す図例である。
【図8A】涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、涙小管膨大部内に配置可能な部分を備え、挿入しやすくする陥凹部を備える、涙管インプラントの等角図例である。
【図8B】直線8B−8Bなどのインプラントの長手方向軸に平行な直線に沿って切り取った涙管インプラントの断面を示す図例である。
【図9】涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、挿入をしやすくする陥凹部を備える、涙管インプラントの側面図例である。
【図10A】涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、涙小管膨大部内に配置可能な部分を備える、涙管インプラントの等角図例である。
【図10B】直線10B−10Bなどのインプラントの長手方向軸に平行な直線に沿って切り取った涙管インプラントの断面を示す図例である。
【図11】涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、少なくとも1つの中間配置保持突起部を備える、涙管インプラントの側面図例である。
【図12】涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、少なくとも1つの中間配置保持突起部を備える、涙管インプラントの側面図例である。
【図13】涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、少なくとも1つの中間配置保持突起部を備える、涙管インプラントの側面図例である。
【図14】涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、少なくとも1つの中間配置保持突起部を備える、涙管インプラントの等角図例である。
【図15】涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、少なくとも1つの中間配置保持突起部を備える、涙管インプラントの等角図例である。
【図16】涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、少なくとも1つの中間配置保持突起部を備える、涙管インプラントの等角図例である。
【図17】涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、少なくとも1つの中間配置保持突起部を備える、涙管インプラントの等角図例である。
【図18】涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、第1のインプラント本体と第2のインプラント本体との間に垂直でない角度をなす交差部分を備える、涙管インプラントの側面図例である。
【図19】涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、第1のインプラント本体と第2のインプラント本体との間に垂直でない角度をなす交差部分を備える、涙管インプラントの側面図例である。
【図20】涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、1つ又は複数の材料切欠部を備える、涙管インプラントの等角図例である。
【図21A】涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、1つ又は複数の横方向延在可能アームを備える、涙管インプラントの側面図例である。
【図2B】涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、1つ又は複数の横方向延在可能アームを備える、涙管インプラントの側面図例である。
【図22A】涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、1つ又は複数の横方向延在可能アームを備える、涙管インプラントの側面図例である。
【図22B】涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、1つ又は複数の横方向延在可能アームを備える、涙管インプラントの側面図例である。
【図23A】涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、インプラント本体の一部の周りに配置されている拡張可能保持要素を備える、涙管インプラントの側面図例である。
【図23B】涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、インプラント本体の一部の周りに配置されている拡張可能保持要素を備える、涙管インプラントの側面図例である。
【図24】涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている涙管インプラントの概略図例である。
【図25A】涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、一般的に凹型の形状を有するインプラント本体部分を備える、涙管インプラントの等角図例である。
【図25B】涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、一般的に凹型の形状を有するインプラント本体部分を備える、涙管インプラントの等角図例である。
【図26】涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、一般的に凸状を形状を有するインプラント本体部分を備える、涙管インプラントの等角図例である。
【図27】涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、起伏のある形状を有するインプラント本体部分を備える、涙管インプラントの側面図例である。
【図28】涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、少なくとも1つの中間配置保持突起部を備える、涙管インプラントの側面図例である。
【図29】涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、流体膨張可能保持要素を備える、涙管インプラントの側面図例である。
【図30】涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、流体膨張可能保持要素を備える、涙管インプラントの側面図例である。
【図31】涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、流体膨張可能保持要素を備える、涙管インプラントの側面図例である。
【図32】涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、流体膨張可能保持要素を備える、涙管インプラントの側面図例である。
【図33】涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、拡張可能保持要素を備える、涙管インプラントの側面図例である。
【図34A】涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、方向付けられた把持可能突起部を備える、涙管インプラントの概略図例である。
【図34B】涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている、方向付けられた把持可能突起部を備える、涙管インプラントの概略図例である。
【図35】把持可能突起部又は空隙を含む近位端部分を備える、涙管インプラント近位端部分の等角図例である。
【図36】把持可能突起部又は空隙を含む近位端部分を備える、涙管インプラント近位端部分の等角図例である。
【図37】把持可能突起部又は空隙を含む近位端部分を備える、涙管インプラント近位端部分の等角図例である。
【図38】把持可能突起部又は空隙を含む近位端部分を備える、涙管インプラント近位端部分の等角図例である。
【図39A】薬物挿入物及び取り外しやすくするフィラメントの等角図例である。
【図39B】薬物挿入物及び取り外しやすくするフィラメントの等角図例である。
【図40】涙点及び関連する小管解剖学的構造内に保持されるように構成されている涙管インプラントを製造する方法を示す図例である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本特許文書では、目の涙点及び関連小管内で安全でくさび留め可能な保持を行う涙管インプラント及び関係する方法が説明される。涙管インプラントは、少なくとも部分的に涙点を通して、関連する小管内に挿入するように構成されているインプラント本体を備えることができる。インプラント本体は、第1及び第2の部分を含み、長手方向近位軸を画定する第1の部分の近位端部から長手方向遠位軸を画定する第2の部分の遠位端部へ延在するものとすることができる。インプラント本体は、一体型拡張器を使用して埋設されたときに少なくとも45度の角度をなす交差部が、例えば、近位軸と遠位軸との間に存在するように構成されうる。この方法で、インプラント本体の少なくとも一部分にバイアスをかけて、小管湾曲部のところに、又は小管湾曲部により遠位に配置されている涙小管の少なくとも一部に当たるようにし、これにより、解剖学的構造物を使用して涙管インプラントの埋設位置を保持することができる。様々な実施例において、涙管インプラントは、インプラント本体の第1の部分又は第2の部分のうちの少なくとも一方の中に配置される薬物挿入物を含む薬物挿入物を備え、これにより、薬物又は他の治療薬の眼球、鼻道、又は内耳系のうちの1つ又は複数への持続放出を行うことができる。
【0016】
図1〜2は、目100に付随する解剖学的組織構造の概略図例である。図に示されている解剖学的組織構造は、本明細書で説明されている様々な涙管インプラント及び方法を使用する治療に好適である。図に示されているように、目100は、外側の強膜102、中間の脈絡膜層104、及び内側の網膜106の3つの層を有する壁を備える球体構造である。強膜102は、内層を保護する強靱な繊維質の被覆を備える。これは、前面の透明領域を除き大部分白色であり、一般に角膜108と称され、光を目100に入れることができる。
【0017】
強膜102の内側に位置する脈絡膜層104は多数の血管を含んでおり、色素虹彩110として目100の前で修正される。瞳孔のちょうど背後に両凸レンズである水晶体112が位置する。水晶体112の背後にある眼房114は、ゼラチン状物質である硝子体液で満たされている。前眼房及び後眼房116は、それぞれ角膜108と虹彩110との間に位置し、房水で満たされている。目100の後ろに、光を検出する網膜106がある。
【0018】
角膜108は、像を目100の後ろに伝える光学的に透明な組織である。これは、涙液と房水とによる水浴を介して、さらには角膜108と強膜102との間の接合部の内側を覆っている血管から栄養素と酸素が供給される無血管組織を含む。角膜108は、目100の中に薬物を浸透させるための経路を含む。
【0019】
次に図2を参照すると、分泌系230、分配系、及び排泄系を含む、涙ドレナージ系を含む目100に付随する他の解剖学的組織構造が示されている。分泌系230は、涙液の蒸発によるまばたき及び温度変化の刺激を受ける分泌線及び遠心性副交感神経分布を有し、物理的な、又は感情的な刺激に対する応答として涙を分泌する反射分泌腺を備える。分配系は、眼瞼202と開いている目の眼瞼縁の周りの涙液メニスカスを含み、これにより、まばたきで眼表面上に涙液が拡散し、乾燥領域の発生を低減する。
【0020】
涙ドレナージ系の排泄部は、流体排出のため、涙点、涙小管、涙嚢204、及び涙管206を備える。涙管206から、涙及び他の流動性物質が鼻涙系の流路内に排出される。涙小管は、上部(上)涙小管208及び下部(下)涙小管210を備え、それぞれ上涙点212及び下涙点214で終端する。上涙点212及び下涙点214は、結膜嚢218の近くのまつげ部分と涙器部分との接合点216の眼瞼縁の内側端に小隆起する。上涙点212及び下涙点214は、一般的に、組織の結合リングによって囲まれている円形の、又はわずかに卵形の開口部である。涙点212、214はそれぞれ、各涙小管の垂直部分220、222内に至り、その後、小管湾曲部250で水平方向に近づくように回転して涙嚢204の入口部で互いに接合する。涙小管208、210は、一般的にチューブ状の形状を有し、涙小管を拡張させる弾性組織で囲まれた層状扁平上皮で裏打ちされている。図に示されているように、涙小管膨大部252は、それぞれの小管湾曲部250の外縁の近くに存在する。
【0021】
図3Aは、涙点212、214を通して関連する小管208、210(図2)内に挿入可能な涙管インプラント300の一実施例を示している。涙点212、214を通して関連する小管208、210内に涙管インプラント300を挿入することで、中を通る涙液流の抑制又はブロック(例えば、ドライアイを治療するため)、あるいは薬物又は他の治療薬を目(例えば、感染、炎症、緑内障、又は他の眼疾病若しくは疾患を治療するため)、鼻道(例えば、洞若しくはアレルギー疾患を治療するため)、又は内耳系(例えば、目まい若しくは片頭痛を治療するため)に持続送達することのうちの1つ又は複数を行うことができる。
【0022】
この実施例で示されているように、涙管インプラント300は、第1の部分304及び第2の部分306を含むインプラント本体302を備えることができ、また第1の部分304の近位端部308から第2の部分306の遠位端部310に延在するようにできる。様々な実施例では、近位端部308は、長手方向近位軸312を画定することができ、遠位端部310は、長手方向遠位軸314を画定することができる。インプラント本体300は、涙点及び関連する小管内に埋設されたときに近位軸312と遠位軸314との間に少なくとも45度の角度をなす交差部分316が存在し、インプラント本体302の少なくとも一部にバイアスがかかって小管湾曲部250(図2)のところに、又は小管湾曲部250(図2)により遠位に配置される涙小管208、210(図2)の少なくとも一部に当たるように構成されうる。いくつかの実施例では、インプラント本体302は、交差部分316のなす角度が約45度から約135度までの範囲であるように構成されうる。この実施例では、インプラント本体302は、交差部分316のなす角度が約90度であるように構成される(つまり、交差部316はほぼ垂直である)。様々な実施例において、第1の部分304の遠位端部326は、第2の部分306と第2の部分306の近位端部328のところで又は近位端部328の近くで一体となるようにできる。
【0023】
いくつかの実施例では、インプラント本体302は、近位端部308の近くに配置されている第1のキャビティ318又は遠位端部310の近くに配置されている第2のキャビティ320のうちの一方又は両方を含むある角度で配置されている円筒状構造を備えることができる。この実施例では、第1のキャビティ318は第1の部分304の近位端部308から内向きに延在しており、第2のキャビティ320は第2の部分306の遠位端部310から内向きに延在している。第1の薬物放出若しくは他の薬剤放出挿入物(例えば、薬物コア)322を第1のキャビティ318内に配置して、目への薬物又は他の治療薬の持続放出を行い、その一方で、第2の薬物放出若しくは他の薬剤放出挿入物(例えば、薬物コア)324を第2のキャビティ320内に配置して、例えば鼻道又は内耳への薬物又は他の治療薬の持続放出を行うことができる。インプラント本体の隔壁330は、第1のキャビティ318と第2のキャビティ320との間に位置決めされ、また第1の薬物挿入物322と第2の薬物挿入物324との間の材料(例えば、薬剤)の連通を抑制又は防止するために使用されうる。いくつかの実施例では、インプラント本体302は中身が詰まっており、1つ又は複数のキャビティ若しくは他の空隙を含まない。
【0024】
いくつかの実施例では、薬物又は他の治療薬放出は、少なくとも一部は、薬物挿入物322、324の露出している、シースで覆われていない表面を介して生じうる。いくつかの実施例では、露出表面の幾何学的形状を制御することによって、所定の薬物又は薬剤放出速度を達成することができる。例えば、露出表面は、外来患者来診の間の、急性又は慢性などに基づく、目100上への薬物又は他の治療薬の放出速度を制御するのに適している特定の幾何学的形状又は他の技術を用いて構成することができる。薬物挿入物322、324からの1つ又は複数の薬物若しくは他の治療薬の有効放出速度に関するさらなる詳細は、共通出願のDeJuanらの「NASOLACRIMAL DRAINAGE SYSTEM IMPLANTS FOR DRUG THERAPY」という表題の米国特許出願番号第11/695,545号に見られる。
【0025】
図3Bに示されているようないくつかの実施例では、薬物挿入物322、324の露出表面は、それぞれ第1の部分304の近位端部308又は第2の部分306の遠位端部310と同一平面上にあるか、又はそれよりわずかに低い位置にあるものとしてよく、薬物挿入物はインプラント本体302の外に突き出ることはない。図4に示されているようないくつかの実施例では、第1の薬物挿入物322の露出表面は、例えば、第1の薬物挿入物322がインプラント本体302の外に少なくとも部分的に突き出るように、近位端部308の上に位置決めすることもできる。
【0026】
インプラント本体302は、第1のインプラント本体部分304の近位端部308から、又は近位端部308の周りに横方向に少なくとも部分的に延在する1つ又は複数の突起部などの、把持可能な又は他の突起部332を備えることができる。いくつかの実施例では、把持可能な又は他の突起部332は、涙管インプラント300を埋設位置内に挿入するか、又は埋設位置から涙管インプラント300を取り外す際に使用する一組のウィングを備えることができる。インプラント本体302が非直線的構成であるため、小管湾曲部250及び適宜、涙小管膨大部252(図2)のサイズ又は形状をとることによってインプラント300の移動を防ぐことができるので、一組のウィング又は他の突起部332を、移動を念頭に置かずに構成することができる。いくつかの実施例では、把持可能又は他の突起部332は、涙管インプラント300が涙小管208、210内を完全に通るのを抑制又は防止するか、あるいは例えば、インプラントが完全に埋設されたかどうかを示す触覚的な、又は視覚的なフィードバック情報をインプラントを埋設しているユーザに送るなどのために、涙点開口部212、214に当たる形で、又はその近くに位置するように構成されうる。
【0027】
図34A〜34Bに示されているように、また以下で説明されるように、把持可能又は他の突起部332は、埋設されたときに目100と平行な方向で、又は目100から離れる方向で横方向に伸びうる。これにより、突起部の一部が目100に向かって延在する場合と比較して目100に対する炎症を軽減することができる。それに加えて、近位端部308からの突起部332の横方向延在方向は、例えば、図3A〜3Bに示されているように、第1の胃プラント本体部分304の遠位端部326に関して第2のインプラント本体部分306の横方向延在方向と実質的に同じであるものとすることができる。これは、目に向かう延在を回避することもできる。第1の薬物挿入物322は、第1の薬物又は他の治療薬を目に持続放出するなどのために、突起部332の領域を部分的に通って延在することができる。
【0028】
様々な実施例において、インプラント本体302は、シリコーン、ポリウレタン、又は他のウレタン・ベースのポリマー若しくは共重合体、NuSil(例えば、2%の6−4800を含むNuSil 4840)又は非生体分解性、部分的生体分解性、又は生体分解性のアクリル(つまり、体内で腐食可能)などの弾性材料を使用して成形することができ、これにより、涙小管208、210内に埋設されたときに近位軸312と遠位軸314との間にある角度をなす交差部が存在するように構成されたインプラント本体302を形成することができる。いくつかの実施例では、生体分解性弾性材料は、ポリ(ビニル・アルコール)などの、架橋重合体を含むことができる。いくつかの実施例では、インプラント本体302は、シリコーン/ポリウレタン共重合体を含みうる。インプラント本体302を形成するために使用されうる他の共重合体として、限定はしないが、シリコーン/ウレタン、シリコーン/ポリ(エチレン・グリコール)(PEG)、及びシリコーン/2ヒドロキシエチル・メタクリレート(HEMA)が挙げられる。同日付で出願された共通出願のUtkhedeらの「DRUG CORES FOR SUSTAINED RELEASE OF THERAPEUTIC AGENTS」という表題の米国特許出願番号第______号(整理番号2755.045US1)において説明されているように、ウレタン・ベースのポリマー及び共重合体材料を使用することで、様々な処理方法を利用することが可能になり、またこれらの材料は互いによく結合する。
【0029】
図3Bは、図3Aの直線3B−3Bなどのインプラントの長手方向軸に平行な直線に沿って切り取った涙管インプラント300の断面を示す図例である。図3Bに示されているように、涙管インプラント300は、第1の部分304及び第2の部分306を含むインプラント本体302を備えることができ、また第1の部分304の近位端部308から第2の部分306の遠位端部310に延在するようにできる。様々な実施例では、近位端部308は、長手方向近位軸312を画定することができ、遠位端部310は、長手方向遠位軸314を画定することができる。インプラント本体300は、埋設されたときに近位軸312と遠位軸314との間に少なくとも45度の角度をなす交差部分316が存在し、インプラント本体302の少なくとも一部にバイアスがかかって小管湾曲部250(図2)のところに、又は小管湾曲部250(図2)により遠位に配置される涙小管208、210(図2)の少なくとも一部に当たるように構成されうる。この実施例では、インプラント本体300は、交差部分316のなす角度が約90度であるように構成される。
【0030】
様々な実施例において、第1の部分304の遠位端部326は、第2の部分306と第2の部分306の近位端部328のところで又は近位端部328の近くで一体となるようにできる。いくつかの実施例では、第2の部分306は、第1の部分304の長さの4倍未満の大きさを有する長さ部分を含むことができる。一実施例では、第2の部分306は、約10ミリメートル未満の長さ部分を含むことができ、図3Bに示されているのと似た構成を有することができる。他の実施例では、第2の部分306は、約2ミリメートル未満の長さ部分を含むことができ、図24に示されているのと似た構成を有することができる。
【0031】
様々な実施例において、第2の部分306は、涙点212、214(図2)又は関連する小管208、210の一方又は両方などの解剖学的組織構造352を涙管インプラント300が埋設されているときに十分な直径となるように拡張するための一体型拡張器350を備えることができる。このようにして、涙管インプラント300は、別の引き伸ばし工具を介して事前拡張を行わなくても様々なサイズの眼球解剖学的構造内に埋設することができる。拡張器350は、涙点212、214及び小管208、210の内層に外傷をもたらさないように形成できる。いくつかの実施例において、インプラント本体302の外面上に配置されている、又は含浸されている潤滑コーティングは、涙管インプラント300を解剖学的組織352内に挿入するさらなる補助手段として使用できる。一実施例では、潤滑コーティングは、シリコーン潤滑剤を含むことができる。
【0032】
図に示されているように、拡張器350は、約0.6ミリメートルの直径から約0.2ミリメートルの直径までなど、第2の部分306の近位端部328の近くの場所から第2の部分306の遠位端部310へ一般的に狭まるものとすることができる。いくつかの実施例では、拡張器350の外面勾配は、第2の部分306の近位端部328の近くの場所から第2の部分306の遠位端部310まで測定したときに、長手方向遠位軸314に関して約1度から約10度までの範囲(例えば、2度、3度、4度、又は5度)であるものとしてよい。いくつかの実施例では、拡張器350の勾配は、長手方向遠位軸314に関して45度未満とすることができる。とりわけ、与えられたインプラント配置に対する望ましい拡張器350の決定は、埋設後に柔らかい、柔軟な、また適合するインプラント本体を備える(例えば、涙小管解剖学的構造に適合する)ことを望んでいる場合に埋設に望ましいインプラント本体302の強度のバランスをとることによって行える。いくつかの実施例では、拡張器先端部354の直径は、約0.2ミリメートルから約0.5ミリメートルまでの範囲とすることができる。
【0033】
いくつかの実施例では、第2のインプラント本体部分306の近位端部328は、埋設されたときに涙小管膨大部252(図2)の少なくとも一部に対しバイアスがかかるように構成された保持要素356を備えることができる。この実施例では、保持要素356は、拡張器350の延在するのと反対の方向などの方向で、第1のインプラント本体部分304と第2のインプラント本体部分306との間の交差部分から近位に突き出る。膨大部252中に存在し、埋設されたときに、保持要素356は、涙点開口部212、214に当てて把持可能又は他の突起部332の設置位置を固定するのを補助することができる。
【0034】
いくつかの実施例では、インプラント本体302は、近位端部308の近くに配置されている第1のキャビティ318を備える。この実施例では、第1のキャビティ318は、近位端部308から約2ミリメートル以下の長さだけ内向きに延在し、第1の薬物放出又は他の薬剤放出薬物挿入物322を収納し、目への薬物又は他の薬剤の持続放出を行う。いくつかの実施例では、薬物挿入物322は、マトリクス362内に分散されうる、複数の治療薬包含物360を含むことができる。いくつかの実施例では、包含物360は、治療薬の濃縮(例えば、結晶)形態を含みうる。いくつかの実施例では、マトリクス362は、シリコーン・マトリクス又は同様の物質を含むことができ、マトリクス内の包含物360の分布は実質的に均質又は不均質とすることができる。いくつかの実施例では、薬剤360は、ラタノプロスト油などの油滴を含みうる。さらに他の実施例では、薬剤包含物360は、結晶形態のビマトプロスト粒子などの固形粒子を含みうる。いくつかの実施例では、薬物挿入物322は、目又は周辺組織中に送達可能な治療薬包含物を含むウレタン・ベース(例えば、ポリウレタン)のポリマー又は共重合体を含む。包含物は、多くのサイズ及び形状をとりうる。例えば、包含物は、約1マイクロメートルから約100マイクロメートルまでのオーダーの寸法を有する微小粒子を含みうる。薬物放出又は他の薬剤放出薬物挿入物のさらなる説明は、同日付に出願された共通出願のUtkhedeらの「DRUG CORES FOR SUSTAINED RELEASE OF THERAPEUTIC AGENTS」という表題の米国特許出願番号第______号(整理番号2755.045US1)に見られる。
【0035】
様々な実施例において、薬物挿入物322は、少なくとも1つの挿入物露出表面368を画定する挿入物の少なくとも一部の上に配置されたシース本体366を含みうる。露出表面368は、例えば、インプラント本体302の近位端部308のところに、又は近位端部308の近くに配置することができ、これにより、涙管インプラント300が涙点212、214を通して関連する小管208、210内に挿入されたときに長時間にわたって薬物挿入物322から薬物又は他の治療薬を涙液又は涙液膜流体に直接接触させ、放出することが可能である。
【0036】
図4は、涙管インプラント400のインプラント本体402の第2の部分406の他の一体型拡張器450の側面図例である。この実施例では、拡張器450は、第2の部分406の遠位端部410の近くで急に狭まる。図に示されているように、インプラント本体の第1の部分404は、近位端部408の近くに配置されている第1のキャビティ418を備える。この実施例では、第1のキャビティ418は、近位端部408から内向きに延在し、第1の薬物放出又は他の薬剤放出薬物挿入物422を収納し、例えば、目に薬物又は他の治療薬の持続放出を行う。いくつかの実施例では、薬物又は他の治療薬は、薬物挿入物422の露出している、シースで覆われていない表面468を介して目に放出されうる。この実施例では、薬物挿入物422の露出表面468は、薬物挿入物422がインプラント本体402の外に少なくとも部分的に突き出るように、近位端部408の上に位置決めされる。
【0037】
様々な実施例において、インプラント本体402の外面482は、細菌が涙管インプラント400に付着してインキュベートするのを阻害するために一般的に滑らかになるように形成されるか、又は表面処理されうる。一般的に滑らかな外面482は、埋設時に、涙点212、214(図2)又は関連する小管208、210(図2)などの収容解剖学的組織の内層に損傷が生じるのを防ぐこともできる。さらに同日付で出願された共通出願のRapackiらの「SURFACE TREATMENT OF IMPLANTS AND RELATED METHODS」という表題の米国特許出願番号第______号(整理番号2755.036US1)において説明されているように、インプラント本体402の外面482は、研磨プロセスを用いて一般的に滑らかになるように表面処理することができる。研磨プロセスは、本体402が拡大膨張状態にある現在進行している期間中に成形インプラント本体402に研磨媒体を当てて衝撃を与えることを含むことができる。これで、インプラント本体402の1つ又は複数の表面又は縁を滑らかにすることができる。様々な実施例では、研磨媒体は、約3ミリメートルを超える直径を有する少なくともいくつかの顆粒を含むことができる。
【0038】
様々な実施例において、抗菌コーティング484を外面482の少なくとも一部の上に配置するか、又は含浸することで、インプラント本体402上の細菌増殖をさらに防止することができる。いくつかの実施例では、抗菌コーティング484は、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、5−ブロモ−5−ニトロ−1,3−ジオキサン、7−エチル・ビシクロオキサゾリジン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、安息香酸、ベンジル・アルコール、ホウ酸、ブロノポール、塩化セチルピリジニウム、ジグルコン酸クロルヘキシジン、クロロアセトアミド、クロロブタノール、クロロメチル・イソチアゾリノン及びメチル・イソチアゾリン、ジメトキサン、ジメチル・オキサゾリジン、ジメチル・ヒドロキシメチル・ピラゾール、クロロキシレノール、デヒドロ酢酸、ジアゾリジニル尿素、ジクロロベンジル・アルコール、DMDMヒダントイン、エチル・アルコール、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、ヘキサクロロフェン、ヘキセチジン、ヘキサメチレンテトラミン、イミダゾリジニル尿素、ブチルカルバミン酸ヨードプロピニル、イソチアゾリノン、メテンアンモニウム・クロリド、メチルジブロモ・グルタロニトリル、MDMヒダントイン、ミノサイクリン、オルト・フェニルフェノール、p−クロロ−m−クレゾール、パラベン(ブチルパラベン、エチルパラベン、メチルパラベン)、フェネチル・アルコール、フェノキシエタノール、ピロクトン・オラミン、ポリアミノプロピル・ビグアニド、ポリメトキシ双環状オキサゾリジン、ポリオキシメチレン、ポリクオタニウム−42、安息香酸カリウム、ソルビン酸カリウム、プロピオン酸、クオタニウム−15、リファンピン、サリチル酸、二硫化セレン、ホウ酸ナトリウム、よう化ナトリウム、ヒドロキシメチルグリシン酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、ピリチオン・ナトリウム、ソルビン酸、チメロサール、トリクロサン、トリクロカルバン、ウンデシレン酸、フェノールスルホン酸亜鉛、及び亜鉛ピリチオンからなる群から選択された薬剤を含むことができる。いくつかの実施例では、抗菌コーティング484は、乳酸銀、リン酸銀、クエン酸銀、酢酸銀、安息香酸銀、塩化銀、ヨウ化銀、ヨウ素酸銀、硝酸銀、スルファジアジン銀、パルミチン酸銀、あるいはこれらの1つ又は複数の混合物からなる群から選択された材料を含むことができる。いくつかの実施例では、抗菌コーティング484は、抗生物質又は防腐薬のうちの少なくとも一方を含むことができる。例えば、抗菌コーティング484は、平均して数時間から1日程度は持続する一時麻酔剤を含むことができる。さらに他の実施例では、抗菌コーティング484は、即効性を求めて、ボーラスなどの、基礎疾患を治療するために使用される薬剤又は他の治療薬を含むことができる。
【0039】
図5は、下部涙点214及び関連する小管210内に埋設される、図3に示されている涙管インプラントの概略図例である。いくつかの実施例では、涙管インプラント300は、上部涙点212及び小管208内に埋設されうる。上述のように、涙管インプラント300は、第1の部分304及び第2の部分306を含むインプラント本体302を備えることができる。様々な実施例において、インプラント本体302は、埋設されたときにインプラント本体302の少なくとも一部分にバイアスをかけて小管湾曲部250のところに、又は小管湾曲部250により遠位に配置されている涙小管210の少なくとも一部に当たるようにし、インプラント300の埋設位置を確実に保持するように構成されうる。図に示されているように、第1の部分304は、涙点214を通して関連する小管210内に挿入され、涙点開口部と涙小管膨大部252との間に静止するように構成され、その一方で、第2の部分306は、涙点214を通して小管210内に挿入され、涙小管膨大部252と涙嚢204との間に静止するように構成されうる。いくつかの実施例では、第2の部分306の近位端部から突き出ている保持要素356は、バイアスがかけられ埋設されたときに涙小管膨大部252の少なくとも一部の中に入り、また当たるように構成されうる。様々な実施例において、第1の部分304及び第2の部分306は、眼球解剖学的構造を過度に引き伸ばすことなく適切な解剖学的埋設嵌め込みを維持するため望み通りに曲げ、引き伸ばし、又は潰しが施されるように構成できる。
【0040】
いくつかの実施例では、インプラント300を涙点214及び小管210内にさらに固定するために、又はインプラント本体302のサイズを調節できるようにするために、インプラント本体302の外面部分にヒドロゲル又は他の流体膨張可能材料を配置(例えば、コーティング)することができる。流体膨張可能材料は、埋設されたときにインプラント本体302の外面直径部分を効果的に拡張することができる。いくつかの実施例では、インプラント本体302の外面は、インプラント本体302の周りを流体が流れるように長手方向チャネル若しくは溝又はウィッキング材料のコーティングを備えることができる。これらの技術の1つ又は組合せを使用することで、中に埋設されたときに涙小管208、210を完全に閉塞するか、又は一部のみ閉塞するように涙管インプラント300を構成することができる。例えば、インプラント本体302の第1の部分304又は第2の部分306の一方又は両方で長手方向チャネル又は溝を使用することにより、量を減らすか、又は涙液排出を行わせることができ、薬物挿入物からの薬物又は他の治療薬の放出を潜在的に促進することができる。
【0041】
涙点212、214を通して関連する小管208、210内に涙管インプラント300を埋設するために鉗子又は他の挿入工具が使用できる。いくつかの実施例では、同日付に出願された共通出願のDe Juanらの「INSERTION AND EXTRACTION TOOLS FOR LACRIMAL IMPLANTS」という表題の米国特許出願番号第______号(整理番号2755.018US1)で説明されているような挿入工具が、涙管インプラント300を埋設するために使用されうる。様々な実施例において、インプラント本体302の第2の部分306を、把持可能又は他の突起部332が存在している場合に涙点開口部212に当たるまで挿入器工具を操作して涙小管208、210の深さまで送り込むことができる。涙管インプラント300を取り外したい場合には、例えば鉗子で突起部332を把持し、涙点開口部212、214から抜き出すことができる。
【0042】
いくつかの実施例では、インプラント本体302は、近位端部308の近くに配置されている第1のキャビティ318又は遠位端部310の近くに配置されている第2のキャビティ320のうちの一方又は両方を備えることができる。この実施例では、第1のキャビティ318は第1の部分304の近位端部308から内向きに延在しており、第2のキャビティ320は第2の部分306の遠位端部310から内向きに延在している。第1の薬物放出若しくは他の薬剤放出薬物挿入物322を第1のキャビティ318内に配置して、目への薬物又は他の治療薬の持続放出を行い(例えば、感染、炎症、緑内障、又は他の眼疾病若しくは疾患を治療するため)、その一方で、第2の薬物放出若しくは他の薬剤放出薬物挿入物324を第2のキャビティ320内に配置して、例えば鼻道(例えば、洞若しくはアレルギー疾患を治療するため)又は内耳系(例えば、目まい若しくは片頭痛を治療するため)への薬物又は他の治療薬の持続放出を行うことができる。
【0043】
図6A〜6Bは、涙点212、214を通して関連する小管208、210(図2)内に挿入可能な他の涙管インプラント600の一実施例を示している。この実施例では、涙管インプラント600は、第1の部分604及び第2の部分606を含むインプラント本体602を備えることができ、また第1の部分604の近位端部608から第2の部分606の遠位端部610に延在するようにできる。近位端部608は、長手方向近位軸612を画定することができ、遠位端部610は、長手方向遠位軸614を画定することができる。インプラント本体600は、埋設されたときに近位軸612と遠位軸614との間に約90度の角度をなす交差部分が存在し、インプラント本体の少なくとも一部にバイアスがかかって小管湾曲部250(図2)のところに、又は小管湾曲部250(図2)により遠位に配置される涙小管208、210(図2)の少なくとも一部に当たるように構成されうる。
【0044】
この実施例では、第2のインプラント本体部分606の近位端部628は、埋設されたときに涙小管膨大部252(図2)の少なくとも一部に対しバイアスがかかるように構成された保持要素656を備えることができる。この実施例では、インプラント本体602は、第1のインプラント本体部分604の近位端部608の近くに配置されている、第1の薬物放出又は他の薬剤放出薬物挿入物を収容するように構成されている、第1のキャビティ618を備える。またこの実施例において、インプラント本体602は、例えば約1ミリメートルの組み合わせた長さを有し、近位端部308から横方向に延在する一組のウィングなどの把持可能又は他の突起部632を備えることができる。
【0045】
図6Bは、図6Aの直線6B−6Bなどのインプラントの長手方向軸に平行な直線に沿って切り取った涙管インプラント600の断面を示す図例である。図6Bに示されているように、第1の部分604の遠位端部626は、第2の部分606と第2の部分606の近位端部628のところで又は近位端部628の近くで一体となるようにできる。様々な実施例において、第2の部分606は、近位端部608から遠位軸614まで測定された第1の部分604の長手方向長さの4倍未満である大きさを有する、近位軸612から遠位端部610まで測定された長手方向長さ部分を含みうる。いくつかの実施例では、第1の部分は、約1.54ミリメートルの長手方向長さ部分を含むことができ、第2の部分は、約4.5ミリメートルから約5.42ミリメートルまでの範囲の長手方向長さ部分を含むことができる。
【0046】
様々な実施例において、第2の部分606は、涙点212、214(図2)又は関連する小管208、210の一方又は両方などの解剖学的組織構造を涙管インプラント600が埋設されているときに十分な直径となるように拡張するための一体型拡張器650を備えることができる。いくつかの実施例では、第2の部分606は、約0.50ミリメートルから約0.75ミリメートルまでの範囲の近位端部の直径部分から約0.36ミリメートルの拡張器先端部654の直径部分へ先細りになっている。
【0047】
図7A〜7Bは、涙点212、214を通して関連する小管208、210(図2)内に挿入可能な他の涙管インプラント700の一実施例を示している。この実施例では、涙管インプラント700は、第1の部分704及び第2の部分706を含むインプラント本体702を備えることができ、また第1の部分704の近位端部708から第2の部分706の遠位端部710に延在するようにできる。近位端部708は、長手方向近位軸712を画定することができ、遠位端部710は、長手方向遠位軸714を画定することができる。インプラント本体700は、埋設されたときに近位軸712と遠位軸714との間に約90度の角度をなす交差部分が存在し、インプラント本体の少なくとも一部にバイアスがかかって小管湾曲部250(図2)のところに、又は小管湾曲部250(図2)により遠位に配置される涙小管208、210(図2)の少なくとも一部に当たるように構成されうる。図7Aの実施例に示されているように、第1の部分704と第2の部分706との間に滑らかな遷移が存在しうる。
【0048】
この実施例では、インプラント本体702は、第1のインプラント本体部分704の近位端部708の近くに配置されている、第1の薬物放出又は他の薬剤放出薬物挿入物を収容するように構成されている、第1のキャビティ718を備える。またこの実施例では、インプラント本体702は、近位端部708から横方向に延在し、また近位端部708の周りに完全に広がる環状突起部などの把持可能又は他の突起部732を備えることができる。いくつかの実施例では、把持可能又は他の突起部732は、約0.75ミリメートルのトリムされた幅を有し、近位端部708の周りに様々な量だけ広がる部分的にトリムされた突起部を備える。
【0049】
図7Bは、図7Aの直線7B−7Bなどのインプラントの長手方向軸に平行な直線に沿って切り取った涙管インプラント700の断面を示す図例である。図7Bに示されているように、第1の部分704の遠位端部726は、第2の部分706と第2の部分706の近位端部728のところで又は近位端部728の近くで一体となるようにできる。様々な実施例において、第2の部分706は、近位端部708から遠位軸714まで測定された第1の部分704の長手方向長さの4倍未満である大きさを有する、近位軸712から遠位端部710まで測定された長手方向長さ部分を含みうる。いくつかの実施例では、第1の部分は、約1.5ミリメートルの長手方向長さ部分を含むことができ、第2の部分は、約5ミリメートルの長手方向長さ部分を含むことができる。
【0050】
様々な実施例において、第2の部分706は、涙点212、214(図2)又は関連する小管208、210の一方又は両方などの解剖学的組織構造を涙管インプラント700が埋設されているときに十分な直径となるように拡張するための一体型拡張器750を備えることができる。いくつかの実施例では、第2の部分706は、約0.46ミリメートルの近位端部の直径部分から約0.36ミリメートルの拡張器先端部754の直径部分へ先細りになっている。
【0051】
図8A〜8Bは、涙点212、214を通して関連する小管208、210(図2)内に挿入可能な他の涙管インプラント800の一実施例を示している。この実施例では、涙管インプラント800は、第1の部分804及び第2の部分806を含むインプラント本体802を備えることができ、また第1の部分804の近位端部808から第2の部分806の遠位端部810に延在するようにできる。近位端部808は、長手方向近位軸812を画定することができ、遠位端部810は、長手方向遠位軸814を画定することができる。インプラント本体800は、埋設されたときに近位軸812と遠位軸814との間に約90度の角度をなす交差部分が存在し、インプラント本体の少なくとも一部にバイアスがかかって小管湾曲部250(図2)のところに、又は小管湾曲部250(図2)により遠位に配置される涙小管208、210(図2)の少なくとも一部に当たるように構成されうる。
【0052】
この実施例では、第2のインプラント本体部分806の近位端部828は、埋設されたときに涙小管膨大部252(図2)の少なくとも一部に対しバイアスがかかるように構成された保持要素856を備えることができる。保持要素856は、インプラントの挿入又は取外しの一方又は両方を補助するために、挿入しやすくする陥凹部875又は他の把持手段を備えることができる。この実施例では、インプラント本体802は、第1のインプラント本体部分804の近位端部808の近くに配置されている、第1の薬物放出又は他の薬剤放出薬物挿入物を収容するように構成されている、第1のキャビティ818を備える。またこの実施例では、インプラント本体802は、近位端部808から横方向に延在し、また近位端部808の周りに完全に広がる環状突起部などの把持可能又は他の突起部832を備えることができる。いくつかの実施例では、把持可能又は他の突起部832は、近位端部808の周りに様々な量だけ広がる部分的にトリムされた突起部を備える。
【0053】
図8Bは、図8Aの直線8B−8Bなどのインプラントの長手方向軸に平行な直線に沿って切り取った涙管インプラント800の断面を示す図例である。図8Bに示されているように、第1の部分804の遠位端部826は、第2の部分806と第2の部分806の近位端部828のところで又は近位端部828の近くで一体となるようにできる。様々な実施例において、第2の部分806は、近位端部808から遠位軸814まで測定された第1の部分804の長手方向長さの4倍未満である大きさを有する、近位軸812から遠位端部810まで測定された長手方向長さ部分を含みうる。いくつかの実施例では、第1の部分は、約1.725ミリメートルから約1.77ミリメートルまでの範囲の長手方向長さ部分を含むことができ、第2の部分は、約4.77ミリメートルから約5ミリメートルまでの範囲の長手方向長さ部分を含むことができる。
【0054】
様々な実施例において、第2の部分806は、涙点212、214(図2)又は関連する小管208、210の一方又は両方などの解剖学的組織構造を涙管インプラント800が埋設されているときに十分な直径となるように拡張するための一体型拡張器850を備えることができる。いくつかの実施例では、第2の部分806は、約0.46ミリメートルの近位端部828の直径部分から約0.36ミリメートルの拡張器先端部854の直径部分へ先細りになっている。
【0055】
図9は、涙点212、214を通して関連する小管208、210(図2)内に挿入可能な他の涙管インプラント900の一実施例を示している。この実施例では、涙管インプラント900は、第1の部分904及び第2の部分906を含むインプラント本体902を備えることができ、また第1の部分904の近位端部908から第2の部分906の遠位端部910に延在するようにできる。近位端部908は、長手方向近位軸912を画定することができ、遠位端部910は、長手方向遠位軸914を画定することができる。インプラント本体900は、埋設されたときに近位軸912と遠位軸914との間に約90度の角度をなす交差部分が存在し、インプラント本体の少なくとも一部にバイアスがかかって小管湾曲部250(図2)のところに、又は小管湾曲部250(図2)により遠位に配置される涙小管208、210(図2)の少なくとも一部に当たるように構成されうる。
【0056】
図に示されているように、第1の部分904と第2の部分906との間に滑らかな遷移が存在しうる。この実施例では、滑らかな遷移は、インプラントの挿入又は取外しの一方又は両方を補助するために、挿入しやすくする陥凹部975又は他の把持手段を備えることができる。またこの実施例では、インプラント本体902は、近位端部908から横方向に延在し、また近位端部908の周りに完全に広がる環状突起部などの把持可能又は他の突起部932を備えることができる。いくつかの実施例では、把持可能又は他の突起部932は、近位端部908の周りに様々な量だけ広がる部分的にトリムされた突起部を備える。
【0057】
図10A〜10Bは、涙点212、214を通して関連する小管208、210(図2)内に挿入可能な他の涙管インプラント1000の一実施例を示している。この実施例では、涙管インプラント1000は、第1の部分1004及び第2の部分1006を含むインプラント本体1002を備えることができ、また第1の部分1004の近位端部1008から第2の部分1006の遠位端部1010に延在するようにできる。近位端部1008は、長手方向近位軸1012を画定することができ、遠位端部1010は、長手方向遠位軸1014を画定することができる。インプラント本体1000は、埋設されたときに近位軸1012と遠位軸1014との間に約90度の角度をなす交差部分が存在し、インプラント本体の少なくとも一部にバイアスがかかって小管湾曲部250(図2)のところに、又は小管湾曲部250(図2)により遠位に配置される涙小管208、210(図2)の少なくとも一部に当たるように構成されうる。
【0058】
この実施例では、第2のインプラント本体部分1006の近位端部1028は、埋設されたときに涙小管膨大部252(図2)の少なくとも一部に対しバイアスがかかるように構成された保持要素1056を備えることができる。保持要素1056は、インプラントの挿入又は取外しの一方又は両方を補助するために、挿入しやすくする陥凹部1075又は他の把持手段を備えることができる。この実施例では、インプラント本体1002は、第1のインプラント本体部分1004の近位端部1008の近くに配置されている、第1の薬物放出又は他の薬剤放出薬物挿入物を収容するように構成されている、第1のキャビティ1018を備える。またこの実施例では、インプラント本体1002は、近位端部1008から横方向に延在し、また近位端部908の周りに完全に広がる約1.3ミリメートルの直径を有する環状突起部などの把持可能又は他の突起部1032を備えることができる。いくつかの実施例では、把持可能又は他の突起部1032は、近位端部1008の周りに様々な量だけ広がる部分的にトリムされた突起部を備える。
【0059】
図10Bは、図10Aの直線10B−10Bなどのインプラントの長手方向軸に平行な直線に沿って切り取った涙管インプラント1000の断面を示す図例である。図10Bに示されているように、第1の部分1004の遠位端部1026は、第2の部分1006と第2の部分1006の近位端部1028のところで又は近位端部1028の近くで一体となるようにできる。様々な実施例において、第2の部分1006は、近位端部1008から遠位軸1014まで測定された第1の部分1004の長手方向長さの4倍未満である大きさを有する、近位軸1012から遠位端部1010まで測定された長手方向長さ部分を含みうる。いくつかの実施例では、第1の部分は、約1.5ミリメートルの長手方向長さ部分を含むことができ、第2の部分は、約5ミリメートルの長手方向長さ部分を含むことができる。
【0060】
様々な実施例において、第2の部分1006は、涙点212、214(図2)又は関連する小管208、210の一方又は両方などの解剖学的組織構造を涙管インプラント1000が埋設されているときに十分な直径となるように拡張するための一体型拡張器1050を備えることができる。いくつかの実施例では、第2の部分1006は、約0.46ミリメートルの近位端部1028の直径部分から約0.36ミリメートルの拡張器先端部1054の直径部分へ先細りになっている。
【0061】
図11〜17は、涙点212、214を通して関連する小管208、210(図2)内に挿入可能な他の涙管インプラント1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700の実施例を示している。これらの実施例において、それぞれの涙管インプラント1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700は、第1の部分1104、1204、1304、1404、1504、1604、1704及び第2の部分1106、1206、1306、1406、1506、1606、1706を含むインプラント本体1102、1202、1302、1402、1502、1602、1702を備えることができ、第1の部分1104、1204、1304、1404、1504、1604、1704の近位端部1108、1208、1308、1408、1508、1608、1708から第2の部分1106、1206、1306、1406、1506、1606、1706の遠位端部1110、1210、1310、1410、1510、1610、1710に伸びうる。それぞれのインプラント本体1102、1202、1302、1402、1502、1602、1702は、涙管インプラントの埋設位置を潜在的にさらに固定するため少なくとも1つの中間配置保持突起部1192、1292、1392、1492、1592、1692、1792を備えることができる。中間配置保持突起部1192、1292、1392、1492、1592、1692、1792は、第1のインプラント本体部分1104、1204、1304、1404、1504、1604、1704又は第2のインプラント本体部分1106、1206、1306、1406、1506、1606、1706のうちの一方又は両方の中に位置決めされ、環状、半環状、柱状、又は樽型の突起部の形態をとりうる。中間配置保持突起部1192、1292、1392、1492、1592、1692、1792は、隣接するインプラント本体部分よりも大きいサイズを有する断面を備えることができ、また固定具合を高めるために小管壁の一部を少し変形させることもできる。
【0062】
例えば涙管インプラントによる下部涙小管210の閉塞は、小管210内の逆圧増大を引き起こし、これにより、インプラントを埋設位置から追い出すことができる。この逆圧は、例えば、まばたき(涙液がポンプで涙ドレナージ系の下で目の前面から汲み上げられる)又はくしゃみ(圧力が肺系統から発生し上昇する)の際に発生する可能性がある。したがって、少なくとも1つの中間配置保持突起部1192、1292、1392、1492、1592、1692、1792の形態でここで示されている追加の保持特徴のうちの1つ又は複数を使用して、インプラント移動を防ぎ、埋設された涙管インプラント位置をさらに固定することができる。これらの追加の保持特徴は、インプラント埋設の困難を増大させずに近位方向への移動を防ぐように設計されうる。
【0063】
図18〜19は、涙点212、214を通して関連する小管208、210(図2)内に挿入可能な他の涙管インプラント1800、1900の実施例を示している。これらの実施例では、それぞれの涙管インプラント1800、1900は、第1の部分1804、1904及び第2の部分1806、1906を含むインプラント本体1802、1902を備えることができ、また第1の部分1804、1904の近位端部1808、1908から第2の部分1806、1906の遠位端部1810、1910に延在するようにできる。図に示されているように、それぞれのインプラント本体1802、1902の中間部分1896、1996は、第1のインプラント本体部分1804、1904又は第2のインプラント本体部分1806、1906の一方又は両方に関してある角度をなし、これにより、涙管インプラントの埋設位置を潜在的にさらに固定することができる。
【0064】
中間部分1896、1996に角度を付けると、涙点212、214及び小管208、210の解剖学的構造を捕捉し、角度を付けて涙小管に当たるようにすることによって印加される指向性の力などを介して、涙管インプラント1800、1900を埋設位置に保持しやすくなると考えられる。この指向性の力は、涙点212、214と同一平面上でフィードバック又は他の突起部1832、1932を連続的に押しやるように設計されうる。
【0065】
図20は、涙点212、214を通して関連する小管208、210(図2)内に挿入可能な他の涙管インプラント2000の一実施例を示している。この実施例では、涙管インプラント2000は、第1の部分2004及び第2の部分2006を含むインプラント本体2002を備えることができ、また第1の部分2004の近位端部2008から第2の部分2006の遠位端部2010に延在するようにできる。近位端部2008は、長手方向近位軸2012を画定することができ、遠位端部2010は、長手方向遠位軸2014を画定することができる。インプラント本体2000は、埋設されたときに近位軸2012と遠位軸2014との間に約90度の角度をなす交差部分が存在し、インプラント本体の少なくとも一部にバイアスがかかって小管湾曲部250(図2)のところに、又は小管湾曲部250(図2)により遠位に配置される涙小管208、210(図2)の少なくとも一部に当たるように構成されうる。様々な実施例において、第1の部分2004の遠位端部2026は、第2の部分2006と第2の部分2006の近位端部2028のところで又は近位端部2028の近くで一体となるようにできる。
【0066】
この実施例では、1つ又は複数の材料切り欠き2080は、インプラント本体2002の外面に形成される。その結果、近位軸2012と遠位軸2014との間のある角度をなす交差部は、想像線で示されているように、埋設時に、より直線的に揃えられるため、涙点212、214を通して関連する小管208、210内に挿入しやすくすることができる。
【0067】
図21A〜21B及び22A〜22Bは、涙点212、214を通して関連する小管208、210(図2)内に挿入可能な他の涙管インプラント2100、2200の側面図例である。これらの実施例では、それぞれの涙管インプラント2100、2200は、第1の部分2104、2204及び第2の部分2106、2206を含むインプラント本体2102、2202を備えることができ、また第1の部分2104、2204の近位端部2108、2208から第2の部分2106、2206の遠位端部2110、2210に延在するようにできる。それぞれの第2の部分2106、2206は、1つ又は複数のアーム部材2170、2270がインプラント本体に隣接する第1の構成と1つ又は複数のアーム部材2170、2270がインプラント本体の側面から横方向に延在する第2の構成との間で移動可能な1つ又は複数のアーム部材2170、2270を備えることができる。第1の構成では、1つ又は複数のアーム部材2170、2270は、狭いプロファイルを形成することによって涙点212、214を通して関連する小管208、210内に挿入しやすくする。第2の構成では、1つ又は複数のアーム部材2170、2270は、横方向に延在して、埋設されたときに涙小管膨大部252(図2)又は小管208、210のうちの少なくとも一方を満たす。適宜、1つ又は複数のアーム部材2170、2270は、ヒドロゲルなどの流体膨張可能材料を備え、水和したときに涙小管膨大部252又は小管208、210内の埋設涙管インプラントをさらに固定することができる。
【0068】
いくつかの実施例では、1つ又は複数のアーム部材2170、2270は、インプラント本体2102、2202を形成するためにも使用される鋳型の中に組み込むことができる。1つ又は複数のアーム部材2170、2270は、その代わりに、既存のインプラント本体2102、2202上に成形するか、又は接着剤で接着することによって取り付けられうる。1つ又は複数のアーム部材2170、2270に対し異なる厚さ及び形状を用いて、異なる剛性及び固定/取外し特性を持たせることができる。ヒドロゲルだけでなく、1つ又は複数のアーム部材2170、2270は、眼球内レンズなどのハプティクスに使用される材料などの他の材料で作ることもできる。
【0069】
図23A〜23Bは、涙点212、214を通して関連する小管208、210(図2)内に挿入可能な他の涙管インプラント2300の側面図例である。この実施例では、涙管インプラント2300は、第1の部分2304及び第2の部分2306を含むインプラント本体2302を備えることができ、また第1の部分2304の近位端部2308から第2の部分2306の遠位端部2310に延在するようにできる。第2の部分2306は、少なくとも一部は、拡張すると第2の部分2306がバイアスをかけられて涙小管壁から離れるように構成されている拡張可能保持要素(例えば、膨張可能バルーン)2372によって囲むことができる。
【0070】
いくつかの実施例では、拡張可能保持要素2372は、目又は鼻涙系の組織に送達すべき薬剤を含むか、又は薬剤によって膨らませることができる。いくつかの実施例では、膨張可能保持要素2372は、薬物挿入物又は他の薬剤保持構造物から分離している1つ又は複数のバルーンを使用することができる。これら1つ又は複数のバルーンは、適宜、バルーン・カテーテルで使用されるバルーンに類似するものとしてよく、バルーンを制御しつつ膨張させられるように膨張内腔又は同様のものがインプラント挿入工具内に適宜備えられている。このような実施例では、涙管インプラント2300は、図23Aに示されているように、萎ませたバルーンとともに挿入することができる。涙管インプラント2300が適所に置かれた後、次いで、バルーンを膨らませて、図23Bに示されているように、インプラントの埋設位置を固定することができる。
【0071】
バルーンを萎ませて、涙管インプラント2300の取外しをしやすくすることもできる。バルーンは、小管208、210のサイズ及び形状の変化に適宜部分的に又は実質的に適合するようにできる。バルーンの代替実施例は、バルーンの穿孔又は開口部を通して水を吸収することによるヒドロゲルの膨張など、バルーン内に配置されている材料の膨張によって膨らませることができる。1つ又は複数のバルーンは、支持インプラント本体の周りに配置されている環状構造物とすることができるか、又はインプラント本体の軸を中心として偏心配置することができる。図23Bに示されているように、バルーンは、涙液排出管の水平部分内に留置されるか、又は涙液排出管の水平部分に隣接して留置されるか、又は涙ドレナージ系の涙管膨大部内に留置されるか、又は涙ドレナージ系の涙管膨大部に隣接して留置されるか、また同様の形で配置されるように十分遠位に配置できる。代替実施例は、より近位にある1つ又は複数のバルーンを備えることができる。
【0072】
図24は、下部涙点214及び関連する小管210を通じて埋設された他の涙管インプラント2400の概略図例である。涙管インプラント2400は、第1の部分2404及び第2の部分2406を含むインプラント本体2402を備えることができる。様々な実施例において、インプラント本体2402は、埋設されたときにインプラント本体2402の少なくとも一部分にバイアスをかけて小管湾曲部250のところに、又は小管湾曲部250により遠位に配置されている涙小管210の少なくとも一部に当たるようにし、インプラント2400の埋設位置を確実に保持するように構成されうる。この実施例では、第2の部分2406は、第1の部分2404の直径より大きく2ミリメートル未満であるサイズなどの、約2ミリメートル未満の長手方向長さ部分を含む。またこの実施例では、インプラント本体2402は、第1のインプラント本体部分2404の近位端部の周りに横方向に少なくとも部分的に延在するような、把持可能な又は他の突起部2432を備えることができる。
【0073】
図25A〜25Bは、涙点212、214を通して関連する小管208、210(図2)内に挿入可能な他の涙管インプラント2500の一実施例を示している。これらの実施例では、涙管インプラント2500は、第1の部分2504及び第2の部分2506を含むインプラント本体2502を備えることができ、また第1の部分2504の近位端部2508から第2の部分2506の遠位端部2510に延在するようにできる。インプラント本体は、例えば患者が快適に、また安全に保持できるように小管208、210の解剖学的特徴と一般的に一致しうる一般的な形状を備えることができる。近位端部2508は、長手方向近位軸2512を画定することができ、遠位端部2510は、長手方向遠位軸2514を画定することができる。インプラント本体2502は、埋設されたときに近位軸2512と遠位軸2514との間に45〜90度の角度をなす交差部分が存在し、例えばインプラント本体2502の少なくとも一部にバイアスがかかって小管湾曲部250(図2)のところに、又は小管湾曲部250(図2)により遠位に配置される涙小管208、210(図2)の少なくとも一部に当たるように構成されうる。
【0074】
図25A〜25Bの実施例では、インプラント本体2502は、近位端部2508の近くに配置されている第1のキャビティ2518又は遠位端部2510の近くに配置されている第2のキャビティ2520のうちの両方を備えることができる。第1のキャビティ2518は第1の部分2504の近位端部2508から内向きに延在しており、第2のキャビティ2520は第2の部分2506の遠位端部2510から内向きに延在している。第1の薬物放出若しくは他の薬剤放出薬物挿入物を第1のキャビティ2518内に配置して、目への薬物又は他の治療薬の持続放出を行い、その一方で、第2の薬物放出若しくは他の薬剤放出薬物挿入物を第2のキャビティ2520内に配置して、例えば鼻道又は内耳系への薬物又は他の治療薬の持続放出を行うことができる。いくつかの実施例では、図26に示されているように、第1のキャビティ2518は、第1の部分2504の近位端部2508から第2の部分2506の遠位端部2510の近くの位置まで内向きに延在することができ、第1の薬物放出又は他の薬剤放出薬物挿入物で満たされる。いくつかの実施例では、第2のキャビティ2520は、第2の部分2506の遠位端部2510から第1の部分2504の近位端部2508の近くの位置まで内向きに延在することができ、第2の薬物放出又は他の薬剤放出薬物挿入物で満たされる。
【0075】
いくつかの実施例において、第2の部分2506は、涙点212、214又は小管208、210の一方又は両方などの解剖学的組織構造を涙管インプラント2500が埋設されているときに十分な直径となるように拡張するための一体型拡張器2550を備える。このようにして、涙管インプラント2500は、別の引き伸ばし工具を介して事前拡張を行わなくても様々なサイズの眼球解剖学的構造内に埋設することができる。これらの実施例では、一体型拡張器2550は、第1の部分2504に関係する一般的に凹型の形状を有する。いくつかの実施例では、凹型の形状は、小管湾曲部250の半径より小さい半径を有する。いくつかの実施例では、凹型の形状は、小管湾曲部250の半径と実質的に同じ半径を有する。図25Bの実施例に示されているように、第1の部分2504と第2の部分2506との間に滑らかな遷移が存在しうる。
【0076】
いくつかの実施例では、第2のインプラント本体部分2506の近位端部2528は、埋設されたときに涙小管膨大部252(図2)の少なくとも一部に対しバイアスがかかるように構成された保持要素2556を備えることができる。図25Aの実施例において、保持要素2556は、第1のインプラント本体部分2504と第2のインプラント本体部分2506との間から近位に突き出る。
【0077】
図26は、涙点212、214を通して関連する小管208、210(図2)内に挿入可能な他の涙管インプラント2600の一実施例を示している。この実施例では、涙管インプラント2600は、第1の部分2604及び第2の部分2606を含むインプラント本体2602を備え、また第1の部分2604の近位端部2608から第2の部分2606の遠位端部2610に延在する。近位端部2608は、長手方向近位軸2612を画定することができ、遠位端部2610は、長手方向遠位軸2614を画定することができる。インプラント本体2600は、埋設されたときに近位軸2612と遠位軸2614との間に90〜135度の角度をなす交差部分が存在し、インプラント本体の少なくとも一部にバイアスがかかって小管湾曲部250のところに、又は小管湾曲部250(図2)により遠位に配置される涙小管208、210(図2)の少なくとも一部に当たるように構成されうる。
【0078】
いくつかの実施例では、インプラント本体2602は、近位端部2608の近くに配置されている第1のキャビティ2618を備えることができる。この実施例では、第1のキャビティ2618は第1の部分2604の近位端部2608から第2の部分2606の遠位端部2610の近くの位置へ内向きに延在している。約0.2立方センチメートルから約0.25立方センチメートルまでの範囲の体積を有する第1の薬物放出又は他の薬剤放出薬物挿入物を、例えば、第1のキャビティ2618内に配置して、目に長期間にわたって薬物又は他の治療薬の持続放出を行うようにすることができる。
【0079】
いくつかの実施例において、第2の部分2606は、涙点212、214又は小管208、210の一方又は両方などの解剖学的組織構造を涙管インプラント2600が埋設されているときに十分な直径となるように拡張するための一体型拡張器2650を備える。このようにして、涙管インプラント2600は、別の引き伸ばし工具を介して事前拡張を行わなくても様々なサイズの眼球解剖学的構造内に埋設することができる。この実施例では、拡張器2650は、第1の部分2604に関して一般的に凸型の形状を有する。いくつかの実施例では、凸型の形状は、小管湾曲部250の半径より小さい半径を有する。いくつかの実施例では、凸型の形状は、小管湾曲部250の半径と実質的に同じ半径を有する。
【0080】
いくつかの実施例では、第2のインプラント本体部分2606の近位端部2628は、埋設されたときに涙小管膨大部252(図2)の少なくとも一部に対しバイアスがかかるように構成された保持要素2656を備えることができる。この実施例において、保持要素2656は、第1のインプラント本体部分2604と第2のインプラント本体部分2606との間から近位に突き出る。図29〜30に示されているようないくつかの実施例では、第2のインプラント本体部分2606の近位端部2628は、インプラント本体2602が埋設されるときに涙小管膨大部252内に広がるように構成されている、ヒドロゲル保持要素を含む保持要素2656を備えることができる。
【0081】
図27は、涙点212、214を通して関連する小管208、210(図2)内に挿入可能な他の涙管インプラント2700の側面図例である。この実施例では、涙管インプラント2700は、埋設する前に互いに対して直線的である、第1の部分及び第2の部分を含むインプラント本体2702を備える。インプラント本体2702は、第1の部分の近位端部2708から第2の部分の遠位端部2710へ延在する。近位端部2708は、長手方向近位軸2712を画定することができ、遠位端部2710は、長手方向遠位軸2714を画定することができる。インプラント本体2702は、埋設されたときに近位軸2712と遠位軸2714との間に約45〜135度の角度をなす交差部分が存在し、例えばインプラント本体2702の少なくとも一部にバイアスがかかって小管湾曲部250(図2)のところに、又は小管湾曲部250(図2)により遠位に配置される涙小管208、210(図2)の少なくとも一部に当たるように構成されうる。この実施例では、インプラント本体2702の第2の部分は、インプラント本体2702にバイアスをかけて涙小管208、210の一部分に当たりやすくする少なくとも1つの起伏部2790を備える。
【0082】
図28は、涙点212、214を通して関連する小管208、210(図2)内に挿入可能な他の涙管インプラント2800の側面図例である。この実施例では、涙管インプラント2800は、埋設する前に互いに対して直線的である、第1の部分及び第2の部分を含むインプラント本体2802を備える。インプラント本体2802は、第1の部分の近位端部2808から第2の部分の遠位端部2810へ延在する。近位端部2808は、長手方向近位軸2812を画定することができ、遠位端部2810は、長手方向遠位軸2814を画定することができる。インプラント本体2802は、埋設されたときに近位軸2812と遠位軸2814との間に約45〜135度の角度をなす交差部分が存在し、インプラント本体2802の少なくとも一部にバイアスがかかって小管湾曲部250(図2)のところに、又は小管湾曲部250(図2)により遠位に配置される涙小管208、210(図2)の少なくとも一部に当たるように構成されうる。この実施例では、インプラント本体2802の第2の部分は、肋骨のような環状突起部などの少なくとも1つの中間配置保持突起部2892を備える。保持突起部2892は、隣接するインプラント本体部分より大きな断面サイズを有し、インプラント本体2802の埋設位置の固定をしやすくすることができ、隣接するより細いインプラント本体部分は、インプラント本体2802にバイアスをかけて涙小管208、210の一部分に当てやすくすることができる。
【0083】
図29〜32は、涙点212、214を通して関連する小管208、210(図2)内に挿入可能な他の涙管インプラント2900、3000、3100、3200の側面図例である。これらの実施例では、それぞれの涙管インプラント2900、3000、3100、3200は、第1の部分2904、3004、3104、3204及び第2の部分2906、3006、3106、3206を含むインプラント本体2902、3002、3102、3202を備えることができ、また第1の部分2904、3004、3104、3204の近位端部2908、3008、3108、3208から第2の部分2906、3006、3106、3206の遠位端部2910、3010、3110、3210に延在するようにできる。近位端部2908、3008、3108、3208は、長手方向近位軸2912、3012、3112、3212を画定することができる。
【0084】
第2の部分2906、3006、3106、3206は、インプラント本体2902、3002、3102、3202が埋設されたときに近位軸2912、3012、3112、3212に関して、横方向に拡大するように構成された流体膨張可能保持要素2994、3094、3194、3294を備えることができる。様々な実施例において、流体膨張可能保持要素2994、3094、3194、3294は、拡大方向又は拡張量のうちの一方又は両方が制御できるように形成されうる。例えば、流体膨張可能保持要素2994、3094、3194、3294は、涙管インプラントを確実に固定するために他方の平面に比べて一方の平面内でより拡大するようにできる。いくつかの実施例において、流体膨張保持要素2994、3094、3194、3294は、インプラント本体が埋設されたときに涙小管膨大部252(図2)から離れる方向で、近位軸2912、3012、3112、3212に関して、横方向に拡大するように構成された部分を備える。図29〜30に示されているようないくつかの実施例において、流体膨張保持要素2994、3094、3194、3294は、インプラント本体が埋設されたときに涙小管膨大部252(図2)に向かう方向で、近位軸2912、3012、3112、3212に関して、横方向に拡大するように構成された部分を備える。
【0085】
いくつかの実施例では、流体膨張保持要素2994、3094、3194、3294は、涙点212、214を通して細いプロファイルの関連する小管208、210内に挿入可能である、ヒドロゲルを含むことができる。挿入した後、ヒドロゲル又は他の流体膨張保持要素は、水和して、幅広の構成形状になるまで拡大しうる。少なくとも1つの中間配置保持突起部2992、3092、3192、3292などの突起部は、ヒドロゲル又は他の膨張可能要素が拡大している間に涙管インプラントの埋設位置を保持するために使用されうる。
【0086】
図33は、涙点212、214を通して関連する小管208、210(図2)内に挿入可能な他の涙管インプラント3300の側面図例である。これらの実施例では、涙管インプラント3300は、第1の部分3304及び第2の部分3306を含むインプラント本体3302を備えることができ、また第1の部分3304の近位端部3308から第2の部分3306の遠位端部3310に延在するようにできる。図に示されているように、第2の部分3306は、コイル、組紐、ステント、メッシュ・チューブ、縫合糸、熱硬化性ポリマー、熱可塑性物質、熱活性化可能材料、又は形状記憶材料のうちの少なくとも1つを含む拡張可能保持要素3393を備えることができる。拡張可能保持要素3393は、インプラント本体が埋設されたときに、第1の部分3304によって定められた近位軸3312に関して、横方向に拡大するように構成できる。少なくとも1つの中間配置保持突起部3392などの突起部は、涙管インプラントの埋設位置を潜在的にさらに固定するために使用できる。
【0087】
図34A〜34Bは、他の涙管インプラント3400及びインプラント環境の概略図例である。様々な実施例において、インプラント本体3402は、第1のインプラント本体部分の近位端部3408から、又は近位端部3408の周りに横方向に少なくとも部分的に延在する1つ又は複数の突起部などの、把持可能な又は他の突起部3432を備えることができる。図34Bに示されているようないくつかの実施例では、突起部3432は、涙管インプラント3400を埋設位置内に挿入するか、又は埋設位置から涙管インプラント3400を取り外す際に使用する一組のウィングを備えることができる。埋設されたインプラント本体3402が非直線的構成であるため、小管湾曲部250及び適宜、涙小管膨大部252のサイズ又は形状をとることによって移動を防ぐことができるので、一組のウィングを、移動を念頭に置かずに構成することができる。
【0088】
図34A〜34Bの実施例において、1つ又は複数の突起部3432は、埋設されたときに目100と平行な方向で、又は目100から離れる方向で横方向に延在する。このようにして、突起部3432は、そのまま、把持可能又はフィードバック特徴として働くことができるが、涙管インプラント3400が埋設されるときの患者の不快感を制限することができる。それに加えて、突起部3432は、目100から離すことにより、組織に埋没することがなく、患者又は医師が簡単に認識することができる。これにより、目100の周囲の軟組織を掘り起こして調べなくても涙管インプラント3400が適切な場所に留置されているかどうかの判定を素早く下すことができる。いくつかの場合において、下眼瞼をただ単に引っ張るだけで、目100から離れる方向を指している突起部3432を露出させることができる。図34Bの実施例では、近位端部3408からの少なくとも1つの突起部3432の横方向延在は、第1のインプラント本体部分の遠位端部に関する第2のインプラント本体部分の横方向延在方向と実質的に同じである。
【0089】
図35〜38は、涙管インプラント3500、3600、3700、3800の近位端部から延在している様々な把持可能突起部又は他の把持手段3532、3632、3732、3832の等角図例である。把持可能又は他の突起部3532、3632、3732、3832は、インプラント挿入又は取外し時にユーザが把持できる構造物を備えて、関連する涙管インプラントが涙点212、214及び関連する涙小管208、210(図2)内を完全に通るのを抑制又は防止することを含む様々な機能に対し、あるいは例えば、インプラントが完全に埋設されたかどうかを示す触覚的な、又は視覚的なフィードバック情報をユーザに送るために、使用できる。
【0090】
図35に示されているようないくつかの実施例では、把持可能突起部3532は、涙点の外側に配置されるサイズを有する2つ又はそれ以上の拡張可能アーム部材を備えることができる。アーム部材は、例えば、成形、接着、又は溶接を用いて、インプラント本体3502に取り付けることができる。拡張可能アーム部材は、涙点212、214を通して関連する小管208、210内に入る涙管インプラント3500の貫通を制限するために拡張するようにできる。2つのアーム部材が示されているが、4つのアーム部材など、2つよりも多いアーム部材を備えるものもある。拡張可能アーム部材は、インプラント本体の直径の約2倍に対応する拡張プロファイル分離距離3505をとり、これにより近位にある拡張可能アーム部材の近位端部は、涙点の外側に留まる。拡張可能アーム部材は、細いプロファイル構成から拡張プロファイル構成へ様々な方法で拡張することができ、また、コイル、組紐、縫合糸、熱硬化性ポリマー、熱可塑性物質、熱活性化可能材料、Nitinol、形状記憶材料、ポリマー、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン、天然繊維、ステンレス鋼、ポリメチルメタクリレート、又はポリイミドのうちの少なくとも1つを含むことができる。いくつかの実施例では、拡張可能アーム部材は、小管内腔208、210内に涙管インプラントが位置決めされた後に、例えば、医師が手作業で拡張させることができる。
【0091】
図36に示されているようないくつかの実施例では、把持可能突起部3632は、ループへの近位張力を用いて、例えば、鉗子を使ってインプラントを取り外せるように涙管インプラント3600の近位端部内に埋め込まれたフィラメントのループを備えることができる。いくつかの実施例では、フィラメントのループは、涙管インプラントを容易に取り外せるようにループとともに涙管インプラントから延在しているハンドバックのハンドルに似た形状をとる。フィラメントは、熱活性化可能材料、Nitinol、形状記憶材料、ポリマー、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン、天然繊維、ステンレス鋼、ポリメチルメタクリレート、又はポリイミドのうちの少なくとも1つを含むことができる。いくつかの実施形態では、フィラメントは、吸収性熱可塑性ポリマー、例えば、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、又はポリ乳酸−グリコール酸共重合体(PLGA)のうちの少なくとも1つを含むことができる。フィラメントを涙管インプラントに固定するために、フィラメントの遠位端部をインプラント本体3602内に埋め込むか、又は成形するか、又は他の方法で貼り付けることができる。
【0092】
図37に示されているように、いくつかの実施例において、把持可能突起部3732は、涙小管208、210の一番外側部分にバイアスをかけるように構成されている、インプラント本体3702と結合された少なくとも1つの軸方向に延在する突起部を備えることができる。小管の外向きのバイアスに対する自然な収縮により、軸方向に延在する突起部と小管との間の相互作用が関連する涙管インプラント3700の過剰挿入を抑制する。
【0093】
図38に示されているように、いくつかの実施例では、インプラント本体3802内の長手方向凹み、チャネル、又は他の陥凹部3832を把持可能突起部の代わりに使用して、涙管インプラント3800の挿入又は取外しを行うことができる。凹み、チャネル、又は他の陥凹部3832は、インプラント本体の一部にのみ沿って軸方向に、関連する涙管インプラントの取外しを行いやすくするのに十分な距離だけ延在するものとしてよい。他の実施例では、涙管インプラントは、インプラント本体内に成形され、涙点からインプラントを取り外せるように近位に延在するフィラメントを備えることができる。
【0094】
図39A〜39Bは、薬物挿入物322及び取り外しやすくするフィラメント3999の等角図例である。図39Aに示されているように、いくつかの実施例では、フィラメント3999は、薬物挿入物322から延在するものとしてよく、取外しのために中に成形される。とりわけ、フィラメント3999は、縫合糸、熱硬化性ポリマー、又は形状記憶合金を含むものとしてよい。図39Bに示されているように、いくつかの実施例では、フィラメント3999は、インプラント本体3902に隣接する薬物挿入物322に沿って延在し、また取外しのために挿入物の遠位端部に接着される。フィラメントは、シアノアクリレート、アクリル、エポキシ、ウレタン、又はホット・メルト接着剤などの接着剤で薬物コア挿入物の遠位端部に接着することができる。
【0095】
図40は、涙点を通し関連する小管内に少なくとも部分的に挿入可能であるように構成されている涙管インプラントを製造する方法4000の一実施例を示すブロック図である。4002で、第1の本体部分の近位端部から第2の本体部分の遠位端部へ延在するインプラント本体を形成する。いくつかの実施例では、患者の様々な解剖学的構造に適合するように様々なサイズのインプラント本体が形成される。様々な実施例において、近位端部は、長手方向近位軸を画定するように形成され、また遠位端部は、長手方向遠位軸を画定するように形成される。インプラント本体の形成は、埋設されたときに近位軸と遠位軸は少なくとも45度の角度で交差し、これによりインプラント本体の少なくとも一部に横方向バイアスがかかって小管湾曲部のところに、又は小管湾曲部により遠位に配置される涙小管の少なくとも一部に当たるように構成されうる。
【0096】
いくつかの実施例では、第2の本体部分は、第2の本体部分の近位端部の近くの場所から第2の本体部分の遠位端部へ一般的に狭まってゆく拡張器を備えるように形成される。いくつかの実施例では、拡張器は、インプラント本体の第2の部分の外面を長手方向遠位軸に関して約1度から約10度までの角度で傾斜させることによって形成される。いくつかの実施例では、第2のインプラント本体部分の外面は、約0.2ミリメートルから約0.5ミリメートルまでの範囲の拡張器先端部へと傾斜している。
【0097】
いくつかの実施例では、インプラント本体は、第1の本体部分の近位端部から横方向に延在する把持可能又は他の突起部を備えるように形成される。いくつかの実施例では、突起部は、第1の本体部分に関して第2の本体部分の横方向延在方向と実質的に揃うように形成される。いくつかの実施例では、突起部は、埋設されたときに目と平行な方向又は目から離れる方向で第1の本体部分の近位端部から横方向に延在するように形成される。
【0098】
4004で、第1の本体部分又は第2の本体部分のうちの少なくとも一方の中に薬物挿入物を配置する。様々な実施例において、薬物挿入物は、露出した薬物挿入物表面が例えば目、鼻道、又は内耳に薬物又は他の治療薬を持続放出するために近位端部又は遠位端部のうちの少なくとも一方に隣接して留置されるように位置決めされる。いくつかの実施例では、第1の薬物挿入物は、第1の本体部分内に配置され、第2の薬物挿入物は、第2の本体部分内に配置される。様々な実施例において、1つ又は複数の薬物挿入物は、薬物又は他の治療薬を含む薬物コアを備える。
【0099】
4006で、インプラント本体の外面部分を流体膨張材料、潤滑コーティング、又は抗菌コーティングのうちの少なくとも1つでコーティングする。様々な実施例において、インプラント本体の外面部分は、研磨プロセスを使用して研磨される。
【0100】
シース本体の例:
様々な方法により、シース本体は、薬物挿入物から出る薬物又は他の治療薬の移動を制御するのに適した形状を有し、そのような材料を含むことができる。いくつかの実施例では、シース本体は、涙点又は関連する小管の解剖学的構造などの、インプラント解剖学的構造に適合できるように構成される。説明されているように、いくつかの実施例では、シース本体は、薬物挿入物を少なくとも部分的に覆うか、又は囲み、マトリクス/薬剤混合物の外面に対しぴったりフィットするようにできる。シース本体は、薬物又は薬剤の移動速度がシース本体によって覆われていない薬物挿入物の露出した表面領域によって大部分が制御されるように薬物又は他の治療薬に対し実質的に不浸透性の材料から形成することができる。多くの実施例では、シース本体を通しての薬剤の移動は、薬物挿入物の露出表面を通しての薬剤の移動の約1/10以下としてよい。好適なシース本体材料として、とりわけ、ポリイミド、ポリエチレン・テレフタレート(PET)が挙げられる。シース本体は、外側マトリクス/薬剤混合物の表面に隣接するシース表面から、外面から離れる方向に対向するシース表面まで定められた、約0.00025インチから0.0015インチまでの厚さを有することができる。薬物挿入物上に延在するシースの全直径は、約0.2ミリメートルから約1.2ミリメートルまでの範囲である。薬物挿入物は、シース本体中でマトリクスを浸漬被覆することによって形成されうる。いくつかの実施例では、シース本体は、マトリクス/薬剤混合物が導入されるチューブを備えることができる。シース本体は、マトリクス/薬剤混合物の周りに浸漬被覆する、例えば事前形成マトリクス/薬剤コアの周りに浸漬被覆することもできる。
【0101】
シース本体は、本明細書で説明されている涙管インプラントを臨床で使用しやすくするなどのために1つ又は複数の追加の特徴を備えることができる。例えば、シースは、インプラント本体が患者体内に埋設されている間、又はその取外し後に、その場で交換可能な薬物挿入物を収容することができる。いくつかの実施例では、シース本体は、シース本体からマトリクス/薬剤混合物を排出させる、シース本体に力を印加する1つ又は複数の外部突起部を備えることができる。次いで、交換用薬物挿入物をシース本体に位置決めすることができる。
【0102】
治療薬の例:
治療薬(又は単に「薬剤」)としては、とりわけ、抗緑内障薬(例えば、アドレナリン作動薬、アドレナリン拮抗薬(βブロッカー)、炭酸脱水酵素阻害薬(CAI、全身及び局所)、副交感神経興奮薬、プロスタグランジン及び降下圧脂質、及びこれらの組合せ)、抗菌薬(例えば、抗生物質、抗ウイルス剤、駆虫剤、抗真菌剤など)、コルチコステロイド又は他の抗炎症薬(例えば、NSAID若しくは他の鎮痛剤及び疼痛管理化合物)、充血除去剤(例えば、血管収縮薬)、アレルギー反応を修正するのを抑制する薬剤(例えば、抗ヒスタミン剤、サイトカイン阻害薬、ロイコトリエン阻害薬、IgE阻害薬、免疫調節剤)、マスト細胞安定化剤、毛様体筋麻痺薬、散瞳薬、又は同様の薬品、又はその同等物質、誘導体、若しくは類似体の1つ又は組合せから調製された薬物が挙げられる。
【0103】
例示的な利用可能な薬剤として、限定はしないが、トロンビン阻害剤、抗血栓症薬、血小板溶解薬、線維素溶解薬、血管攣縮阻害薬、血管拡張薬、降圧薬、抗生物質(テトラサイクリン、クロルテトラサイクリン、バシトラシン、ネオマイシン、ポリミキシン、グラミシジン、セファレキシン、オキシテトラサイクリン、クロラムフェニコール、リファンピシン、シプロフロキサシン、トブラマイシン、ゲンタマイシン、エリスロマイシン、ペニシリン、スルホンアミド、スルファジアジン、スルファセタミド、スルファメチゾール、スルフイソキサゾール、ニトロフラゾン、プロピオン酸ナトリウムなど)、抗真菌剤(アムホテリシン B及びミコナゾールなど)、及び抗ウイルス薬(イドクスウリジン・トリフルオロチミジン、アシクロビル、ガンシクロビル、インターフェロン)などの抗菌薬、表面糖タンパク質受容体の阻害薬、抗血小板薬、抗有糸分裂薬、微小管阻害剤、抗分泌薬、活性阻害剤、リモデリング抑制剤、アンチセンス・ヌクレオチド、代謝拮抗物質、抗増殖剤(抗血管形成薬を含む)、抗癌化学療法薬、抗炎症薬(ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、デキサメタゾン21−リン酸塩、フルオシノロン、メドリゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン21−リン酸塩、酢酸プレドニゾロン、フロオロメタロン、ベータメタゾン、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニドなど)、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)(サリチル酸塩、インドメタシン、イブプロフェン、ジクロフェナク、フルルビプロフェン、ピロキシカム・インドメタシン、イブプロフェン、ナキソプレン、ピロキシカム、及びナブメトンなど)が挙げられる。本発明の涙管インプラントとともに使用することについて考えられているこのような消炎ステロイド剤の例として、トリアムシノロンアセトニド(呼称)及び例えば、トリアムシノロン、デキサメタゾン、フルオシノロン、コルチゾン、プレドニゾロン、フルメトロン、及びこれらの誘導体を含むコルチコステロイド、抗アレルギー薬(クロモグリク酸ナトリウム、アンタゾリン、メタピリレン、クロルフェニラミン、セチリジン、ピリラミン、プロフェンピリダミンなど)、抗増殖剤(1,3−cis−レチノイン酸、5−フルオロウラシル、タクソール、ラパマイシン、マイトマイシンC、及びシスプラチンなど)、充血除去剤(フェニレフリン、ナファゾリン、テトラヒドラゾリンなど)、縮瞳薬及び抗コリンエステラーゼ(ピロカルピン、サリチル酸塩、カルバコール、塩化アセチルコリン、フィゾスチグミン、エゼリン、ジイソプロピル・フルオロホスホネート、ホスホリン・ヨード、臭化デメカリウムなど)、抗新生物薬(カルムスチン、シスプラチン、フルオロウラシル3など、免疫薬(ワクチン及び免疫刺激剤など)、ホルモン剤(エストロゲン、−−エストラジオール、黄体ホルモン薬、プロゲステロン、インスリン、カルシトニン、副甲状腺ホルモン、ペプチド、及びバソプレッシン視床下部放出因子など)、免疫抑制剤、成長ホルモン拮抗薬、増殖因子(上皮細胞増殖因子、線維芽細胞増殖因子、血小板由来増殖因子、形質転換増殖因子β、スマトトラピン、フィブロネクチンなど)、血管形成阻害薬(アンギオスタチン、酢酸アネコルタブ、トロンボスポンジン、抗VEGF抗体など)、ドパミン作動薬、放射線治療薬、ペプチド、タンパク質、酵素、細胞外マトリクス、成分、ACE阻害薬、フリー・ラジカル・スカベンジャー、キレート剤、抗酸化薬、抗ポリメラーゼ、光線力学療薬、遺伝子療薬、及びチモロール、ベタキソロール、レボブノロール、アテノロール、及びビマトプロスト、トラボプロスト、ラタノプロストなどのプロスタグランジン類似体などのβブロッカーを含む抗緑内障薬を含む、プロスタグランジン、抗プロスタグランジン、プロスタグランジン前駆体などの他の治療薬、アセタゾラミド、ドルゾラミド、ブリンゾールアミド、メタゾラミド、ジクロルフェナミド、ダイアモックスなどの炭酸脱水酵素阻害薬、ルベゾール、ニモジピン、及び関連する化合物などの神経保護薬、及びピロカルピン、カルバコール、フィゾスチグミン、及び同様の物質などの副交感神経刺激薬が挙げられる。
【0104】
本発明の涙管インプラントと併用できる追加の薬剤として、限定はしないが、米国連邦食品医薬品化粧品法の第505条又は公衆衛生法に従って認定されている薬物が挙げられ、その一部は米国食品医薬品局(FDA)のウェブサイトhttp://www.accessdata.fda.gov/scripts/cder/drugsatfda/indexに載っている。本発明の涙管インプラントは、紙形態の、又は電子的形態のオレンジブックに一覧として記載されている薬物とともに使用することもでき、これは、FDAオレンジブック・ウェブサイト(http://www.fda.gov/cder/ob/)に載っており、本特許文書の出願日と同じ日付、又は早い日付、又はそれよりも後の日付を有するか、又は記録している。例えば、これらの薬物は、とりわけ、ドルゾラミド、オロパタジン、トラボプロスト、ビマトプロスト、シクロスポリン、ブリモニジン、モキシフロキサシン、トブラマイシン、ブリンゾラミド、アシクロビル・マレイン酸チモロール、ケトロラク・トロメタミン、酢酸プレドニゾロン、ヒアルロン酸ナトリウム、ネパフェナク、ブロンフェナク、ジクロフェナク、フルルビプロフェン、スプロフェナク、ビノキサン、パタノール、デキサメタゾン/トブラマイシン併用、モキシフロキサシン、又はアシクロビルが挙げられる。
【0105】
上記の薬剤で治療できる疾病又は疾患の例として、限定はしないが、緑内障、外科手術前及び手術後眼球治療、ドライアイ、抗眼アレルギー、抗感染、外科手術後炎症又は疼痛、アレルギーなどの呼吸器関連疾患、目まい若しくは片頭痛などの内耳疾患、高血圧症、コレステロール管理、肺疾患、又は免疫不全などの他の全身性疾患が挙げられる。いくつかの実施例では、治療薬は、潤滑剤又は界面活性剤、例えばドライアイを治療するための潤滑剤を含むことができる。他の実施例では、治療薬は、目から涙を吸収することができる吸収剤を含むことができる。
【0106】
薬物挿入物の例:
薬物挿入物は、1つ又は複数の薬物又は他の治療薬、及びいくつかの実施例では、薬物又は他の治療薬を持続放出するための1つ又は複数のマトリクス材を含むことができる。1つ又は複数の薬物又は他の治療薬は、少なくとも一部はマトリクス内の薬物又は薬剤の溶解度に基づき、薬物挿入物の露出表面からターゲットの組織(例えば、目の毛様体筋)に移動できる。露出表面からの薬物又は薬剤の移動速度は、マトリクス内に溶解している薬物又は薬剤の濃度にも関係しうる。いくつかの実施例では、薬物挿入物中に溶解されている薬物又は薬剤の濃度は、薬物又は薬剤の放出速度が所望の放出速度となるように制御されうる。それに加えて、又は組み合わせて、露出表面からの薬物又は薬剤の移動速度は、シリコーン・マトリクス製剤の特性など、薬物又は薬剤が溶解するマトリクスの1つ又は複数の特性に関係しうる。いくつかの実施例では、薬物挿入物に含まれる薬物又は薬剤は、液体、固体、固体ゲル、結晶質固体、非晶質固体、固体粒子、又は溶解形態を含みうる。このような一実施例では、液体であるラタノプロスト液滴又は固体であるビマトプロスト粒子がシリコーン・マトリクス内に分散される。
【0107】
薬物挿入物は、1つ又は複数の薬物又は薬剤を持続放出することができる1つ又は複数の生体適合性材料を含むことができる。薬物挿入物は、薬物又は薬剤の溶解可能な包含物が中に配置されている実質的に非生体分解性のシリコーン・マトリクスを含むマトリクスを含む実施例に関して主として上記で説明されているが、薬物挿入物は、薬物又は薬剤、例えば生体分解性マトリクス、多孔質薬物挿入物、液体薬物挿入物、又は固体薬物挿入物を持続放出する他の構造物を備えることができる。薬物又は薬剤を含むマトリクスは、生体分解性又は非生体分解性のポリマーから形成されうる。いくつかの実施例では、非生体分解性薬物挿入物としては、シリコーン、アクリレート、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリウレタン、ヒドロゲル、ポリエステル(例えば、デラウェア州ウィルミントン所在のE.I.Du Pont de Nemours and Company社のDACRON.RTM.)、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、延伸PTFE(ePTFE)、ポリエーテル・エーテル・ケトン(PEEK)、ナイロン、押し出し成形コラーゲン、ポリマー発泡体、シリコーン・ゴム、ポリエチレン・テレフタレート、超高分子量ポリエチレン、ポリカーボネート・ウレタン、ポリウレタン、ポリイミド、ステンレス鋼、ニッケル−チタン合金(例えば、Nitinol)、チタン、ステンレス鋼、コバルト−クロム合金(例えば、イリノイ州エルジン所在のElgin Specialty Metals社のELGILOY.RTM.、ペンシルバニア州ワイオミッシング所在のCarpenter Metals Corp.社のCONICHROME.RTM.)が挙げられる。いくつかの実施例では、生体分解性薬物挿入物は、タンパク質、ヒドロゲル、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリ(L−乳酸)(PLLA)、ポリ(L−グリコール酸)(PLGA)、ポリグリコリド、ポリ−L−ラクチド、ポリ−D−ラクチド、ポリ(アミノ酸)、ポリジオキサノン、ポリカプロラクトン、ポリグリコン酸塩、ポリ乳酸−ポリエチレン・オキシド共重合体、変性セルロース、コラーゲン、ポリオルトエステル、ポリヒドロキシブチレート、ポリアンハイドライド、ポリホスホエステル、ポリ(αヒドロキシ酸)、及びこれらの組合せなどの1つ又は複数の生体分解性ポリマーを含むことができる。いくつかの実施例では、薬物挿入物は、ヒドロゲル・ポリマーを含みうる。
【0108】
結論:
とりわけ、本明細書では目の涙点及び涙小管内で確実な保持を行う涙管インプラント及び関係する方法が説明されている。涙管インプラントは、少なくとも部分的に涙点を通して、小管内に挿入するように構成されているインプラント本体を備えることができる。インプラント本体は、第1及び第2の部分を含み、長手方向近位軸を画定する第1の部分の近位端部から長手方向遠位軸を画定する第2の部分の遠位端部へ延在するものとすることができる。インプラント本体は、一体型拡張器を使用して埋設されたときに少なくとも45度の角度をなす交差部が近位軸と遠位軸との間に存在するように構成されうる。この方法で、インプラント本体の少なくとも一部分にバイアスをかけて、小管湾曲部のところに、又は小管湾曲部により遠位に配置されている涙小管の少なくとも一部に当たるようにし、これにより、解剖学的構造物を使用して涙管インプラントの埋設位置を保持することができる。様々な実施例において、涙管インプラントは、インプラント本体の第1の部分又は第2の部分のうちの少なくとも一方の中に配置される薬物挿入物を備え、これにより、例えば、薬物又は他の治療薬の眼球、鼻道、又は内耳系への持続放出を行うことができる。
【0109】
有利には、いくつかの実施例において、本発明の涙管インプラントを使用することで、首尾よく、数日から数カ月、数年といった様々な期間にわたって涙液の流れをブロックしたり、又は目、鼻道、又は内耳に薬物又は他の治療薬を持続送達することができる。それに加えて、第1及び第2のインプラント本体のキャビティを備えることによって、薬物又は他の治療薬の二重放出プロファイルが可能になるものとしてよい。例えば、2つの別々の薬物を2つの異なるインプラント位置から放出することができる。さらに、本発明のインプラント本体の小管湾曲部保持構成により、涙点及び涙小管の過剰な引き伸ばし、並びにインプラントの不注意による脱落を低減することができる。さらに、本発明の涙管インプラントは、1つのサイズですべてに(又は多くに)フィットする様式を提供するように実装できるが、それは、インプラント本体、例えばインプラント本体の外面部分に拡張可能コーティング又は他の拡張可能保持部材を施し、様々なサイズの中空組織構造にフィットするようにできるからである。本発明の涙管インプラントは、例えばインプラント本体の近位端部に配置されている把持可能又は他の突起部の配向のおかげで、患者が耐えやすいものにもできる。
【0110】
上記の「発明を実施するための形態」は、「発明を実施するための形態」の一部をなす、付属の図面への参照を含む。図面は、実例として、本発明を実施できる特定の実施形態を示している。これらの実施形態は、本明細書では「実施例」とも称される。本明細書で参照されるすべての刊行物、特許、及び特許文書は、参照により個別に組み込まれるとしても、参照により全体として本明細書に組み込まれる。本明細書と参照によりこうして組み込まれたこれらの文書とで用語の使い方が食い違っている場合、組み込まれている参照文献の用語の使い方は、本明細書の用語の使い方を補足するものとみなすべきであり、相容れない食い違いについては、本明細書の用語の使い方が優先する。
【0111】
本明細書において、「1つの(「a」又は「an」)」という言い方は、特許文書においてよくあるように、「少なくとも1つ」又は「1つ又は複数」の他の任意の場合又は使用とは無関係に、1つ又は複数であることを含むものとして使用される。本明細書では、「又は[あるいは、若しくは]」という語句は、断りのない限り、非排他的であることを指し、したがって「A又は[あるいは、若しくは]B」は、「AであるがBでなく」、及び「BであるがAでなく」、及び「AかつB」を含む。本明細書では、「約(「about」)」は、述べられている量に近似的に等しい、ほぼ等しい、ほとんど等しい、等しい量に近い量を指すために使用される。
【0112】
本明細書では、「近位」という用語は、涙管インプラントを患者に埋設する医師の手に比較的近い位置を指し、「遠位」という用語は、特にインプラントを患者に埋設している最中に、医師の手から比較的遠い位置を指す。
【0113】
本明細書において、「ヒドロゲル」という用語は、例えば超吸収性ポリマー、親水コロイド、及び水吸収性親水性ポリマーなどの、吸収あるいは保持する材料(例えば、吸着材料)を指すために使用される。いくつかの実施例において、「ヒドロゲル」という用語は、「乾燥」状態における超吸収性ポリマー粒子、より具体的には無水から約5重量%未満の水など、粒子の重量より少ない量までの水を含む粒子を指す。いくつかの実施例において、「ヒドロゲル」という用語は、ヒドロゲルが拡張可能でない場合に「乾燥」状態の超吸収性ポリマーを指し、また水和若しくは拡張状態、より具体的には、水の重量の数倍など、少なくともその重量分の水を吸収したヒドロゲルを指す。ヒドロゲル材料が、流体を吸収すると、そのサイズが増大(膨張)し、またその形状が変化して、例えば、涙小管膨大部又は涙小管壁の少なくとも一部に対し当たるようにバイアスがかかりうる。
【0114】
付属の請求項における英文中の「including(含む、備える)」及び「in which」という言葉は、「comprising(含む、備える)」及び「wherein」のそれぞれの言葉と等価であるものとして使用される。また、請求項では、「including(含む、備える)」及び「comprising(備える、含む)」という言葉は、制約がない、つまり、請求項中のそのような言葉の後に列挙されているものに加えて複数の要素を含むシステム、アセンブリ、デバイス、物品、又はプロセスは、その請求項の範囲内にあるとみなされる。さらに、請求項では、「first(第1の)」、「second(第2の)」、及び「third(第3の)」などの言葉は、単に、ラベルとして使用され、その対象に対する数値的要件を課すことを意図していない。
【0115】
上記の説明は、例示的でありことを意図しており、制限するものではない。例えば、上述の実施例(あるいは1つ又は複数のその特徴)は、互いに組み合わせて使用することができる。上記の説明を検討した後、当業者であれば他の実施形態も利用できる。また、上記の「発明を実施するための形態」では、開示を合理化するため様々な特徴をグループにまとめることができる。これは、未請求の開示されている特徴が請求項にとって本質的であるという意図であると解釈されるべきでない。むしろ、発明の主題は、特定の開示されている実施形態のすべてに満たない数の特徴にあると言える。したがって、以下の請求項は、これにより「発明を実施するための形態」に組み込まれ、それぞれの請求項は独立の実施形態として自立している。本発明の範囲は、付属の請求項の対象である等価物の全範囲とともに、付属の請求項を参照しつつ、決定されるべきである。
【0116】
読者が技術的開示の性質を素早く確認できるように要約をまとめてある。これは請求項の範囲又は意味を解釈又は制限するために使用されないことを了解したうえで提出される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
涙小管内に挿入可能な涙管インプラントであって、
第1及び第2の部分を含み、前記第1の部分の近位端部から前記第2の部分の遠位端部へ延在する、インプラント本体を備え、
前記第1の部分の前記近位端部は長手方向近位軸を画定し、前記第2の部分の前記遠位端部は長手方向遠位軸を画定し、
前記インプラント本体は、前記涙小管内に埋設されたときに前記近位軸と前記遠位軸との間にある角度をなす交差部分が存在し、前記インプラント本体の少なくとも一部にバイアスがかかって小管湾曲部のところに、又は小管湾曲部により遠位に配置される前記涙小管の少なくとも一部に当たるように構成され、
前記インプラント本体の前記第2の部分は前記インプラント本体の前記第1の部分の長手方向長さの4倍未満の大きさを有する長手方向長さを含む涙管インプラント。
【請求項2】
前記インプラント本体は、前記涙小管内に埋設される前に前記近位軸と前記遠位軸との間にある角度をなす交差部分が存在するように構成される請求項1に記載の涙管インプラント。
【請求項3】
前記インプラント本体は、前記涙小管内に入り通過する流体流を部分的に又は完全に抑制するように構成される請求項1又は2のいずれかに記載の涙管インプラント。
【請求項4】
前記第1の部分の遠位端部は、前記第2の部分の近位端部のところで、又は近位端部の近くで前記第2の部分と一体になっている請求項1〜3のいずれか1項に記載の涙管インプラント。
【請求項5】
前記第1の部分又は前記第2の部分の一方又は両方は、拡張するように構成された流体膨張可能保持要素を備える請求項1〜4のいずれか1項に記載の涙管インプラント。
【請求項6】
前記第2の部分は、前記流体膨張可能保持要素を備え、前記流体膨張可能保持要素は前記インプラント本体が埋設されたときに前記第1の部分の前記近位軸に関して横方向に拡張するように構成される請求項5に記載の涙管インプラント。
【請求項7】
前記流体膨張可能保持要素は、前記インプラント本体が埋設されたときに涙小管膨大部から離れる方向で横方向に拡張するように構成される部分を備える請求項6に記載の涙管インプラント。
【請求項8】
前記流体膨張可能保持要素は、前記インプラント本体が埋設されたときに涙小管膨大部に向かう方向で横方向に拡張するように構成される部分を備える請求項6又は7のいずれか1項に記載の涙管インプラント。
【請求項9】
前記第2の部分は、コイル、組紐、ステント、メッシュ・チューブ、縫合糸、熱硬化性ポリマー、熱可塑性物質、熱活性化可能材料、又は形状記憶材料のうちの少なくとも1つを含む拡張可能保持要素を備え、前記拡張可能保持要素は前記インプラント本体が埋設されたときに横方向に拡張してある角度をなす交差部分を形成する請求項1〜8のいずれか1項に記載の涙管インプラント。
【請求項10】
前記第2の部分にバイアスをかけて拡張時に前記涙小管の壁から離すように構成されている、前記第2の部分の一部の周りに配置された拡張可能保持要素を備える請求項1〜9のいずれか1項に記載の涙管インプラント。
【請求項11】
前記第2の部分は、第1の構成形状と第2の構成形状との間で移動可能なアーム部材を備え、
前記第1の構成形状内で前記アーム部材は前記涙小管内に挿入するために前記インプラント本体に沿って配置可能であり、前記第2の構成形状内で前記インプラント本体の片側から横方向に拡張可能である請求項1〜10のいずれか1項に記載の涙管インプラント。
【請求項12】
前記第2の部分は、一体型拡張器を備え、前記一体型拡張器は前記第2の部分の近位端部の近くの場所から前記第2の部分の前記遠位端部へ一般的に狭まってゆき、これにより前記インプラント本体を前記涙小管内に埋設しやすくする請求項1〜11のいずれか1項に記載の涙管インプラント。
【請求項13】
一体型拡張器先端部の直径は、約0.2ミリメートルから約0.5ミリメートルまでの範囲である請求項12に記載の涙管インプラント。
【請求項14】
前記一体型拡張器の外面勾配は、前記第2の部分の前記近位端部の近くの場所から前記第2の部分の前記遠位端部まで測定したときに、前記遠位軸に関して約1度から約10度までの範囲である請求項12又は13のいずれか1項に記載の涙管インプラント。
【請求項15】
前記第2の部分は、少なくとも1つの起伏部を備える請求項1〜14のいずれか1項に記載の涙管インプラント。
【請求項16】
前記第1の部分又は前記第2の部分の少なくとも一方は、少なくとも1つの中間に配置されている環状、半環状、柱状、又は樽型の突起部を備え、前記中間に配置されている突起部は隣接するインプラント本体部分より大きい断面サイズを有する請求項1〜15のいずれか1項に記載の涙管インプラント。
【請求項17】
前記第1の部分の前記近位端部から少なくとも部分的に延在している把持可能突起部を備え、前記把持可能突起部は前記インプラント本体が埋設されたときに涙点に当たるか、又は涙点の近くに配置されるように構成される請求項1〜16のいずれか1項に記載の涙管インプラント。
【請求項18】
前記第2の部分は、前記インプラント本体が埋設されたときに涙小管膨大部内に横方向に延在するか、又は拡張する要素を備える請求項17に記載の涙管インプラント。
【請求項19】
前記把持可能突起部は、前記インプラント本体が埋設されたときに目と平行な方向、又は目から離れる方向で前記第1の部分の前記近位端部から横方向に延在する請求項17又は18のいずれか1項に記載の涙管インプラント。
【請求項20】
前記近位軸及び前記遠位軸のある角度をなす前記埋設された交差部分は、少なくとも約45度である請求項1〜19のいずれか1項に記載の涙管インプラント。
【請求項21】
治療薬を備える請求項1〜20のいずれか1項に記載の涙管インプラント。
【請求項22】
薬物コアを含む少なくとも1つの薬物挿入物を備え、前記薬物コアは前記治療薬を備える請求項21に記載の涙管インプラント。
【請求項23】
前記薬物コアは、持続放出するための少なくとも1つの露出表面を備える請求項22に記載の涙管インプラント。
【請求項24】
請求項1〜23のいずれか1項に記載の涙管インプラント、及び前記涙管インプラントを使用して眼疾患を治療するための指示書を備えるキット。
【請求項25】
請求項1〜23のいずれか1項に記載の涙管インプラント、及び前記涙管インプラントを使用して呼吸器関連疾患を治療するための指示書を備えるキット。
【請求項26】
請求項1〜23のいずれか1項に記載の涙管インプラント、及び前記涙管インプラントを使用して内耳疾患を治療するための指示書を備えるキット。
【請求項27】
涙小管内に挿入するための涙管インプラントであって、
前記涙小管の垂直セクション内に位置決め可能な近位端部分から前記涙小管の水平セクション内に位置決め可能な遠位端部分まで非直線的に延在し、間に中間部分を有するインプラント本体を備え、
前記中間部分は、前記涙小管内に埋設されたときに前記インプラント本体が小管湾曲部のところに、又は小管湾曲部により遠位に配置されている前記涙小管の少なくとも一部に対し横方向に方向的バイアスをかけるように、前記近位端部分に向かう第1の方向に部分的に延在するとともに前記遠位端部分に向かう第2の方向に部分的に延在し、
前記インプラント本体は、前記涙小管内に入り通過する流体流を抑制する涙管インプラント。
【請求項28】
前記涙小管の前記垂直セクション内で位置決め可能な前記インプラント本体の長手方向長さは、前記涙小管の前記水平セクション内で位置決め可能な前記インプラント本体の長手方向長さの4倍未満である請求項27に記載の涙管インプラント。
【請求項29】
前記中間部分の前記第1の方向延在部は、前記中間部分の前記第2の方向延在部に関して約45度から約135度の範囲の角度をなす請求項27又は28のいずれか1項に記載の涙管インプラント。
【請求項30】
前記中間部分は、前記インプラント本体が埋設されたときに涙小管膨大部の方へ前記第2の方向と実質的に反対方向である第3の方向に部分的に延在する請求項27〜29のいずれか1項に記載の涙管インプラント。
【請求項31】
前記第2の方向延在部は、前記第1の方向延在部に関して一般的に凹型の形状を有する長手方向拡張器を備え、前記一般的に凹型の形状の半径は、前記小管湾曲部の半径より小さい請求項27〜30のいずれか1項に記載の涙管インプラント。
【請求項32】
前記第2の方向延在部は、前記第1の方向延在部に関して一般的に凸型の形状を有する長手方向拡張器を備える請求項27〜31のいずれか1項に記載の涙管インプラント。
【請求項33】
前記第2の方向延在部は、前記第1の方向延在部の軸に実質的に垂直な軸を有する長手方向拡張器を備える請求項27〜32のいずれか1項に記載の涙管インプラント。
【請求項34】
前記近位端部分又は前記遠位端部分の少なくとも一方は、少なくとも1つの中間に配置されている環状、半環状、柱状、又は樽型の突起部を備え、前記中間に配置されている突起部は隣接するインプラント本体部分より大きい断面サイズを有する請求項27〜33のいずれか1項に記載の涙管インプラント。
【請求項35】
前記近位端部分から横方向に延在している把持可能突起部を備える請求項27〜34のいずれか1項に記載の涙管インプラント。
【請求項36】
前記インプラント本体の外面部分上に配置されている流体膨張可能材料を備え、前記流体膨張可能材料は埋設されたときに前記インプラント本体の外面直径部分を拡張するように構成されている請求項27〜35のいずれか1項に記載の涙管インプラント。
【請求項37】
前記近位端部分内に配置された第1の薬物挿入物又は前記遠位端部分内に配置された第2の薬物挿入物のうちの少なくとも一方を備え、前記第1又は第2の薬物挿入物の一方又は両方は前記インプラント本体を通過する流体流を抑制し、持続放出を行うように構成されている少なくとも1つの露出表面を備える請求項27〜36のいずれか1項に記載の涙管インプラント。
【請求項38】
前記近位端部分内にキャビティを備え、前記キャビティは薬物コアの形態で前記第1の薬物挿入物を収納するように構成され、前記薬物コアは目を治療するように構成されている第1の薬剤を備える請求項37に記載の涙管インプラント。
【請求項39】
前記遠位端部分内にキャビティを備え、前記キャビティは薬物コアの形態で前記第2の薬物挿入物を収納するように構成され、前記薬物コアは鼻道に収容されるように構成されている第2の薬剤を備える請求項37又は38のいずれか1項に記載の涙管インプラント。
【請求項40】
涙小管内に挿入可能な涙管インプラントを製造する方法であって、
第1の本体部分の近位端部から第2の本体部分の遠位端部へ延在するインプラント本体を形成することを含み、前記形成することは、
前記第2の本体部分を前記第1の本体部分の長手方向長さの4倍未満である長手方向長さまで伸ばすことと、
前記涙小管内に埋設されたときに前記インプラント本体が小管湾曲部のところに、又は小管湾曲部により遠位に配置されている涙小管の少なくとも一部に対し横方向に方向的バイアスをかけるように構成されるある角度で交わる長手方向近位軸及び長手方向遠位軸をそれぞれ画定するように前記近位端部及び前記遠位端部を構成することとを含む方法。
【請求項41】
前記第1の本体部分又は前記第2の本体部分の一方又は両方を形成することは、少なくとも1つの中間に配置されている環状、半環状、柱状、又は樽型の突起部を形成することを含み、前記中間に配置されている突起部は隣接するインプラント本体部分より大きい断面サイズを有する請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記第2の本体部分を形成することは、前記第2の本体部分の近位端部の近くの場所から前記第2の本体部分の前記遠位端部へ一般的に狭まってゆく拡張器を形成することを含む請求項40又は41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
前記拡張器を形成することは、前記第2の本体部分の前記近位端部の近くの場所から前記第2の本体部分の前記遠位端部まで測定したときに前記長手方向遠位軸に関して約1度から約10度までの範囲の前記インプラント本体の外面勾配を形成することを含む請求項40〜42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
前記第2の部分を形成することは、前記第1の本体部分の遠位端部の近くに流体膨張可能保持要素を配置することを含み、さらに、前記インプラント本体が埋設されたときに前記近位軸に関する横方向拡張が前記涙小管の少なくとも一部又は涙小管膨大部の解剖学的構造に対してバイアスをかける構成となるように前記流体膨張可能保持要素を配置することを含む請求項40〜43のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
前記インプラント本体の外面部分を流体膨張可能材料でコーティングすることを含む請求項40〜44のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
第1の薬物挿入物を前記第1の本体部分内に配置すること、又は第2の薬物挿入物を前記第2の本体部分内に配置することのうちの少なくとも一方を含み、さらに、それぞれ第1の薬剤又は第2の薬剤の持続放出を行うように前記近位端部に隣接する前記第1の薬物挿入物の露出表面又は前記遠位端部に隣接する前記第2の薬部物挿入物の露出表面の少なくとも一方を位置決めすることを含む請求項40〜45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
眼疾患、呼吸器関連疾患、肺疾患、免疫系疾患、又は内耳疾患のうちの少なくとも1つを患っている患者を治療する方法であって、
前記患者の少なくとも1つの涙小管内に涙管インプラントを挿入することを含み、前記涙管インプラントは、
第1及び第2の部分を含み、前記第1の部分の近位端部から前記第2の部分の遠位端部へ延在し、前記近位端部は長手方向近位軸を定め前記遠位軸は長手方向遠位軸を画定する、インプラント本体であって、
前記インプラント本体は、涙小管内に埋設されたときに前記近位軸と前記遠位軸との間にある角度をなす交差部分が存在し、前記インプラント本体の少なくとも一部にバイアスがかかって小管湾曲部のところに、又は小管湾曲部により遠位に配置される前記涙小管の少なくとも一部に当たるように構成されるインプラント本体と、
前記第1の部分内に配置された第1の薬物挿入物又は前記第2の部分内に配置された第2の薬物挿入物のうちの少なくとも一方とを備え、前記第1の薬物挿入物及び前記第2の薬物挿入物はそれぞれ第1の薬剤又は第2の薬剤の持続放出を行うように構成される方法。
【請求項48】
前記涙管インプラントを挿入することは、前記第2の部分の前記遠位端部が前記涙小管内に移動されるときに、前記インプラント本体の一体型拡張器を使用して、前記涙小管を同時に拡張することを含む請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記挿入されているインプラント本体を前記涙小管から取り出すことを含む請求項47又は48のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
一定時間間隔の後に挿入済みの前記涙管インプラントを前記同じ第1又は第2の薬剤のうちの少なくとも一方を含む第2の涙管インプラントと交換することを含む請求項47〜49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項1】
涙小管内に挿入可能な涙管インプラントであって、
第1及び第2の部分を含み、前記第1の部分の近位端部から前記第2の部分の遠位端部へ延在する、インプラント本体を備え、
前記第1の部分の前記近位端部は長手方向近位軸を画定し、前記第2の部分の前記遠位端部は長手方向遠位軸を画定し、
前記インプラント本体は、前記涙小管内に埋設されたときに前記近位軸と前記遠位軸との間にある角度をなす交差部分が存在し、前記インプラント本体の少なくとも一部にバイアスがかかって小管湾曲部のところに、又は小管湾曲部により遠位に配置される前記涙小管の少なくとも一部に当たるように構成され、
前記インプラント本体の前記第2の部分は前記インプラント本体の前記第1の部分の長手方向長さの4倍未満の大きさを有する長手方向長さを含む涙管インプラント。
【請求項2】
前記インプラント本体は、前記涙小管内に埋設される前に前記近位軸と前記遠位軸との間にある角度をなす交差部分が存在するように構成される請求項1に記載の涙管インプラント。
【請求項3】
前記インプラント本体は、前記涙小管内に入り通過する流体流を部分的に又は完全に抑制するように構成される請求項1又は2のいずれかに記載の涙管インプラント。
【請求項4】
前記第1の部分の遠位端部は、前記第2の部分の近位端部のところで、又は近位端部の近くで前記第2の部分と一体になっている請求項1〜3のいずれか1項に記載の涙管インプラント。
【請求項5】
前記第1の部分又は前記第2の部分の一方又は両方は、拡張するように構成された流体膨張可能保持要素を備える請求項1〜4のいずれか1項に記載の涙管インプラント。
【請求項6】
前記第2の部分は、前記流体膨張可能保持要素を備え、前記流体膨張可能保持要素は前記インプラント本体が埋設されたときに前記第1の部分の前記近位軸に関して横方向に拡張するように構成される請求項5に記載の涙管インプラント。
【請求項7】
前記流体膨張可能保持要素は、前記インプラント本体が埋設されたときに涙小管膨大部から離れる方向で横方向に拡張するように構成される部分を備える請求項6に記載の涙管インプラント。
【請求項8】
前記流体膨張可能保持要素は、前記インプラント本体が埋設されたときに涙小管膨大部に向かう方向で横方向に拡張するように構成される部分を備える請求項6又は7のいずれか1項に記載の涙管インプラント。
【請求項9】
前記第2の部分は、コイル、組紐、ステント、メッシュ・チューブ、縫合糸、熱硬化性ポリマー、熱可塑性物質、熱活性化可能材料、又は形状記憶材料のうちの少なくとも1つを含む拡張可能保持要素を備え、前記拡張可能保持要素は前記インプラント本体が埋設されたときに横方向に拡張してある角度をなす交差部分を形成する請求項1〜8のいずれか1項に記載の涙管インプラント。
【請求項10】
前記第2の部分にバイアスをかけて拡張時に前記涙小管の壁から離すように構成されている、前記第2の部分の一部の周りに配置された拡張可能保持要素を備える請求項1〜9のいずれか1項に記載の涙管インプラント。
【請求項11】
前記第2の部分は、第1の構成形状と第2の構成形状との間で移動可能なアーム部材を備え、
前記第1の構成形状内で前記アーム部材は前記涙小管内に挿入するために前記インプラント本体に沿って配置可能であり、前記第2の構成形状内で前記インプラント本体の片側から横方向に拡張可能である請求項1〜10のいずれか1項に記載の涙管インプラント。
【請求項12】
前記第2の部分は、一体型拡張器を備え、前記一体型拡張器は前記第2の部分の近位端部の近くの場所から前記第2の部分の前記遠位端部へ一般的に狭まってゆき、これにより前記インプラント本体を前記涙小管内に埋設しやすくする請求項1〜11のいずれか1項に記載の涙管インプラント。
【請求項13】
一体型拡張器先端部の直径は、約0.2ミリメートルから約0.5ミリメートルまでの範囲である請求項12に記載の涙管インプラント。
【請求項14】
前記一体型拡張器の外面勾配は、前記第2の部分の前記近位端部の近くの場所から前記第2の部分の前記遠位端部まで測定したときに、前記遠位軸に関して約1度から約10度までの範囲である請求項12又は13のいずれか1項に記載の涙管インプラント。
【請求項15】
前記第2の部分は、少なくとも1つの起伏部を備える請求項1〜14のいずれか1項に記載の涙管インプラント。
【請求項16】
前記第1の部分又は前記第2の部分の少なくとも一方は、少なくとも1つの中間に配置されている環状、半環状、柱状、又は樽型の突起部を備え、前記中間に配置されている突起部は隣接するインプラント本体部分より大きい断面サイズを有する請求項1〜15のいずれか1項に記載の涙管インプラント。
【請求項17】
前記第1の部分の前記近位端部から少なくとも部分的に延在している把持可能突起部を備え、前記把持可能突起部は前記インプラント本体が埋設されたときに涙点に当たるか、又は涙点の近くに配置されるように構成される請求項1〜16のいずれか1項に記載の涙管インプラント。
【請求項18】
前記第2の部分は、前記インプラント本体が埋設されたときに涙小管膨大部内に横方向に延在するか、又は拡張する要素を備える請求項17に記載の涙管インプラント。
【請求項19】
前記把持可能突起部は、前記インプラント本体が埋設されたときに目と平行な方向、又は目から離れる方向で前記第1の部分の前記近位端部から横方向に延在する請求項17又は18のいずれか1項に記載の涙管インプラント。
【請求項20】
前記近位軸及び前記遠位軸のある角度をなす前記埋設された交差部分は、少なくとも約45度である請求項1〜19のいずれか1項に記載の涙管インプラント。
【請求項21】
治療薬を備える請求項1〜20のいずれか1項に記載の涙管インプラント。
【請求項22】
薬物コアを含む少なくとも1つの薬物挿入物を備え、前記薬物コアは前記治療薬を備える請求項21に記載の涙管インプラント。
【請求項23】
前記薬物コアは、持続放出するための少なくとも1つの露出表面を備える請求項22に記載の涙管インプラント。
【請求項24】
請求項1〜23のいずれか1項に記載の涙管インプラント、及び前記涙管インプラントを使用して眼疾患を治療するための指示書を備えるキット。
【請求項25】
請求項1〜23のいずれか1項に記載の涙管インプラント、及び前記涙管インプラントを使用して呼吸器関連疾患を治療するための指示書を備えるキット。
【請求項26】
請求項1〜23のいずれか1項に記載の涙管インプラント、及び前記涙管インプラントを使用して内耳疾患を治療するための指示書を備えるキット。
【請求項27】
涙小管内に挿入するための涙管インプラントであって、
前記涙小管の垂直セクション内に位置決め可能な近位端部分から前記涙小管の水平セクション内に位置決め可能な遠位端部分まで非直線的に延在し、間に中間部分を有するインプラント本体を備え、
前記中間部分は、前記涙小管内に埋設されたときに前記インプラント本体が小管湾曲部のところに、又は小管湾曲部により遠位に配置されている前記涙小管の少なくとも一部に対し横方向に方向的バイアスをかけるように、前記近位端部分に向かう第1の方向に部分的に延在するとともに前記遠位端部分に向かう第2の方向に部分的に延在し、
前記インプラント本体は、前記涙小管内に入り通過する流体流を抑制する涙管インプラント。
【請求項28】
前記涙小管の前記垂直セクション内で位置決め可能な前記インプラント本体の長手方向長さは、前記涙小管の前記水平セクション内で位置決め可能な前記インプラント本体の長手方向長さの4倍未満である請求項27に記載の涙管インプラント。
【請求項29】
前記中間部分の前記第1の方向延在部は、前記中間部分の前記第2の方向延在部に関して約45度から約135度の範囲の角度をなす請求項27又は28のいずれか1項に記載の涙管インプラント。
【請求項30】
前記中間部分は、前記インプラント本体が埋設されたときに涙小管膨大部の方へ前記第2の方向と実質的に反対方向である第3の方向に部分的に延在する請求項27〜29のいずれか1項に記載の涙管インプラント。
【請求項31】
前記第2の方向延在部は、前記第1の方向延在部に関して一般的に凹型の形状を有する長手方向拡張器を備え、前記一般的に凹型の形状の半径は、前記小管湾曲部の半径より小さい請求項27〜30のいずれか1項に記載の涙管インプラント。
【請求項32】
前記第2の方向延在部は、前記第1の方向延在部に関して一般的に凸型の形状を有する長手方向拡張器を備える請求項27〜31のいずれか1項に記載の涙管インプラント。
【請求項33】
前記第2の方向延在部は、前記第1の方向延在部の軸に実質的に垂直な軸を有する長手方向拡張器を備える請求項27〜32のいずれか1項に記載の涙管インプラント。
【請求項34】
前記近位端部分又は前記遠位端部分の少なくとも一方は、少なくとも1つの中間に配置されている環状、半環状、柱状、又は樽型の突起部を備え、前記中間に配置されている突起部は隣接するインプラント本体部分より大きい断面サイズを有する請求項27〜33のいずれか1項に記載の涙管インプラント。
【請求項35】
前記近位端部分から横方向に延在している把持可能突起部を備える請求項27〜34のいずれか1項に記載の涙管インプラント。
【請求項36】
前記インプラント本体の外面部分上に配置されている流体膨張可能材料を備え、前記流体膨張可能材料は埋設されたときに前記インプラント本体の外面直径部分を拡張するように構成されている請求項27〜35のいずれか1項に記載の涙管インプラント。
【請求項37】
前記近位端部分内に配置された第1の薬物挿入物又は前記遠位端部分内に配置された第2の薬物挿入物のうちの少なくとも一方を備え、前記第1又は第2の薬物挿入物の一方又は両方は前記インプラント本体を通過する流体流を抑制し、持続放出を行うように構成されている少なくとも1つの露出表面を備える請求項27〜36のいずれか1項に記載の涙管インプラント。
【請求項38】
前記近位端部分内にキャビティを備え、前記キャビティは薬物コアの形態で前記第1の薬物挿入物を収納するように構成され、前記薬物コアは目を治療するように構成されている第1の薬剤を備える請求項37に記載の涙管インプラント。
【請求項39】
前記遠位端部分内にキャビティを備え、前記キャビティは薬物コアの形態で前記第2の薬物挿入物を収納するように構成され、前記薬物コアは鼻道に収容されるように構成されている第2の薬剤を備える請求項37又は38のいずれか1項に記載の涙管インプラント。
【請求項40】
涙小管内に挿入可能な涙管インプラントを製造する方法であって、
第1の本体部分の近位端部から第2の本体部分の遠位端部へ延在するインプラント本体を形成することを含み、前記形成することは、
前記第2の本体部分を前記第1の本体部分の長手方向長さの4倍未満である長手方向長さまで伸ばすことと、
前記涙小管内に埋設されたときに前記インプラント本体が小管湾曲部のところに、又は小管湾曲部により遠位に配置されている涙小管の少なくとも一部に対し横方向に方向的バイアスをかけるように構成されるある角度で交わる長手方向近位軸及び長手方向遠位軸をそれぞれ画定するように前記近位端部及び前記遠位端部を構成することとを含む方法。
【請求項41】
前記第1の本体部分又は前記第2の本体部分の一方又は両方を形成することは、少なくとも1つの中間に配置されている環状、半環状、柱状、又は樽型の突起部を形成することを含み、前記中間に配置されている突起部は隣接するインプラント本体部分より大きい断面サイズを有する請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記第2の本体部分を形成することは、前記第2の本体部分の近位端部の近くの場所から前記第2の本体部分の前記遠位端部へ一般的に狭まってゆく拡張器を形成することを含む請求項40又は41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
前記拡張器を形成することは、前記第2の本体部分の前記近位端部の近くの場所から前記第2の本体部分の前記遠位端部まで測定したときに前記長手方向遠位軸に関して約1度から約10度までの範囲の前記インプラント本体の外面勾配を形成することを含む請求項40〜42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
前記第2の部分を形成することは、前記第1の本体部分の遠位端部の近くに流体膨張可能保持要素を配置することを含み、さらに、前記インプラント本体が埋設されたときに前記近位軸に関する横方向拡張が前記涙小管の少なくとも一部又は涙小管膨大部の解剖学的構造に対してバイアスをかける構成となるように前記流体膨張可能保持要素を配置することを含む請求項40〜43のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
前記インプラント本体の外面部分を流体膨張可能材料でコーティングすることを含む請求項40〜44のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
第1の薬物挿入物を前記第1の本体部分内に配置すること、又は第2の薬物挿入物を前記第2の本体部分内に配置することのうちの少なくとも一方を含み、さらに、それぞれ第1の薬剤又は第2の薬剤の持続放出を行うように前記近位端部に隣接する前記第1の薬物挿入物の露出表面又は前記遠位端部に隣接する前記第2の薬部物挿入物の露出表面の少なくとも一方を位置決めすることを含む請求項40〜45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
眼疾患、呼吸器関連疾患、肺疾患、免疫系疾患、又は内耳疾患のうちの少なくとも1つを患っている患者を治療する方法であって、
前記患者の少なくとも1つの涙小管内に涙管インプラントを挿入することを含み、前記涙管インプラントは、
第1及び第2の部分を含み、前記第1の部分の近位端部から前記第2の部分の遠位端部へ延在し、前記近位端部は長手方向近位軸を定め前記遠位軸は長手方向遠位軸を画定する、インプラント本体であって、
前記インプラント本体は、涙小管内に埋設されたときに前記近位軸と前記遠位軸との間にある角度をなす交差部分が存在し、前記インプラント本体の少なくとも一部にバイアスがかかって小管湾曲部のところに、又は小管湾曲部により遠位に配置される前記涙小管の少なくとも一部に当たるように構成されるインプラント本体と、
前記第1の部分内に配置された第1の薬物挿入物又は前記第2の部分内に配置された第2の薬物挿入物のうちの少なくとも一方とを備え、前記第1の薬物挿入物及び前記第2の薬物挿入物はそれぞれ第1の薬剤又は第2の薬剤の持続放出を行うように構成される方法。
【請求項48】
前記涙管インプラントを挿入することは、前記第2の部分の前記遠位端部が前記涙小管内に移動されるときに、前記インプラント本体の一体型拡張器を使用して、前記涙小管を同時に拡張することを含む請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記挿入されているインプラント本体を前記涙小管から取り出すことを含む請求項47又は48のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
一定時間間隔の後に挿入済みの前記涙管インプラントを前記同じ第1又は第2の薬剤のうちの少なくとも一方を含む第2の涙管インプラントと交換することを含む請求項47〜49のいずれか1項に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21A】
【図21B】
【図22A】
【図22B】
【図23A】
【図23B】
【図24】
【図25A】
【図25B】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34A】
【図34B】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39A】
【図39B】
【図40】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21A】
【図21B】
【図22A】
【図22B】
【図23A】
【図23B】
【図24】
【図25A】
【図25B】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34A】
【図34B】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39A】
【図39B】
【図40】
【公表番号】特表2010−537775(P2010−537775A)
【公表日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−524049(P2010−524049)
【出願日】平成20年9月5日(2008.9.5)
【国際出願番号】PCT/US2008/010479
【国際公開番号】WO2009/032328
【国際公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(508291478)キューエルティー プラグ デリバリー,インク. (11)
【氏名又は名称原語表記】QLT PLUG DELIVERY,INC.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月5日(2008.9.5)
【国際出願番号】PCT/US2008/010479
【国際公開番号】WO2009/032328
【国際公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(508291478)キューエルティー プラグ デリバリー,インク. (11)
【氏名又は名称原語表記】QLT PLUG DELIVERY,INC.
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]