液位検出装置
【課題】本発明は、複雑な機構を用いることなく、液面を検出するための電極をタンクの深さ方向の変形に追従させることができる液位検出装置の提供。
【解決手段】燃料タンク(10)の下壁から上壁に向かって立設された中心電極(15)と、中心電極(15)の長手方向に対して直交する方向に対向するように、タンクの下壁から上壁に向かって立設されている外周電極(14)と、燃料タンク(10)の上壁から下壁に向かって延在するとともに、外周電極(13)の少なくとも一部と重なり合った状態で外周電極(14)と摺動して外周電極(14)を燃料タンク(10)の深さ方向にガイドする外周電極(13)と、を備える液位検出装置。
【解決手段】燃料タンク(10)の下壁から上壁に向かって立設された中心電極(15)と、中心電極(15)の長手方向に対して直交する方向に対向するように、タンクの下壁から上壁に向かって立設されている外周電極(14)と、燃料タンク(10)の上壁から下壁に向かって延在するとともに、外周電極(13)の少なくとも一部と重なり合った状態で外周電極(14)と摺動して外周電極(14)を燃料タンク(10)の深さ方向にガイドする外周電極(13)と、を備える液位検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液位検出装置にかかり、特に、静電容量の変化からタンクの液位を検出する液位検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等のタンクの液位を検出する液位検出装置には種々の形態があり、そのうちの1つに静電容量の変化を利用して液面検出を行うものがある。
【0003】
このような液位検出装置において、タンクの深さ方向の寸法に変動を生じた場合においても正確な液面レベルを測定できるようにしたものとして、静電容量によりタンク中の液体の液面レベルを検出するためのセンサ部と、該センサ部に発振器を介して接続した液面検出部とよりなる静電容量式液面レベル検出装置において、上記センサ部が、液面レベルを検出するための測定電極と、誘電率補正用の補正電極と、共通アース電極とを有するとともに、測定電極と補正電極とがその上端が同じ高さにあり、一方、補正電極の下端は測定電極の下端よりも高い位置にあり、かつ上記測定電極、補正電極、および共通アース電極の各電極面と上記発振器とがフラットワイヤのリード線により接続されているものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−223624号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記液面レベル検出装置においては、測定電極と補正電極と共通アース電極とをセンサ部取付台に取り付け、センサ取付台の下端に位置する下部保持台においてセンサ部取付台がタンクの底面に当接するようにするとともに、コイルばねの付勢力によって前記下部保持代をタンクの底面に押圧し、これによって測定電極と補正電極と共通アース電極とをタンクの深さ方向の変形に追従させている。
【0006】
したがって、測定電極と補正電極と共通アース電極とがタンクの深さ方向の変形に追従させるための機構が複雑になるという問題がある。
【0007】
本発明は、上記問題を解決すべく成されたものであり、複雑な機構を用いることなく、液面を検出するための電極をタンクの深さ方向の変形に追従させることができる液位検出装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、液位検出装置に関し、タンクの下壁から上壁に向かって立設された第1電極と、前記第1電極に対して、前記第1電極の長手方向に対して直交する方向に対向するように、タンクの下壁から上壁に向かって立設されている第2電極と、前記タンクの上壁から下壁に向かって延在するとともに、前記第2電極の少なくとも一部と重なり合った状態で前記第2電極と摺動して前記第2電極を前記タンクの深さ方向にガイドする電極ガイド部材と、を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項1に記載の液位検出装置においては、タンクが深さ方向に変形すると、前記第2電極は、前記電極ガイド部に沿って摺動することにより、前記タンクの深さ方向に沿って案内される。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の液位検出装置において、前記電極ガイド部材が導電性を有し、前記第2電極と電気的に接触した状態で前記第2電極をガイドすることを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の液位検出装置においては、前記電極ガイド部材は導電性であって、前記第2電極を電気的に接触した状態でガイドするから、前記電極ガイド部材は前記第2電極と一体の電極としても機能する。したがって、前記タンク中の燃料が前記電極ガイド部材と前記第2電極とからなる電極に接触する面積である液体接触面積は、タンクが深さ方向に変形してもほとんど変化しない。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の液位検出装置において、前記第2電極および前記電極ガイド部材は何れも円筒状であって、前記第2電極と前記電極ガイド部材とのいずれか一方が他方の内側に挿通されているとともに、前記第1電極は、前記第2電極の軸線に沿って配設された円筒状または円柱状の電極であることを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の液位検出装置においては、第2電極は電極ガイド部材の内側に挿通され、または電極ガイド部材の外側に嵌装された状態で電極ガイド部材の長手方向に沿ってガイドされることにより、前記タンクの深さ方向に沿って案内される。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項2または3に記載の液位検出装置において、前記第2電極の下端から前記電極ガイド部材の上端までの抵抗値を検出する抵抗値検出手段を備えることを特徴とする。
【0015】
請求項4に記載の液位検出装置においては、前記抵抗手段によって前記第2電極の下端から前記電極ガイド部材の上端までの抵抗値の変化を検出することによってタンクの深さ方向の変形量を測定できる。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の液位検出装置において、前記電極ガイド部材は前記タンクの上壁と一体的に形成されていることを特徴とする。
【0017】
請求項5に記載の液位検出装置においても、タンクが深さ方向に変形すると、前記第2電極は、前記電極ガイド部に沿って摺動することにより、前記タンクの深さ方向に沿って案内される。
【発明の効果】
【0018】
請求項1の発明によれば、タンクの上壁から下壁に向かって延在する電極ガイド部材によって、第2電極が前記タンクの深さ方向にガイドされるから、前記第2電極を前記タンクの深さ方向にガイドするための複雑な機構が不要な液位検出装置が提供される。
【0019】
請求項2に記載の発明によれば、タンクが深さ方向に変形しても液体接触面積がほとんど変化しないから、正確な液位を検出できる液位検出装置が提供される。
【0020】
請求項3に記載の発明によれば、第2電極は電極ガイド部材の内側に挿通され、または電極ガイド部材の外側に嵌装された状態で電極ガイド部材の長手方向に沿ってガイドされるから、衝突時の衝撃で第2電極が折れたり変形したりすることの少ない、換言すれば第2電極の支柱強度が高い液位検出装置が提供される。
【0021】
請求項4に記載の発明によれば、前記抵抗手段と前記第2電極と前記電極ガイド部材とがタンクの深さ方向の変形量を検出する変形量検出手段も兼ねているから、タンクが深さ方向に変形した場合においても、前記変形量検出手段によって検出された深さ方向の変形量を加味することによって、前記変形量検出手段を有しない液位検出装置と比較してより高い精度で燃料残量を求めることのできる液位検出装置が提供される。
【0022】
請求項5に記載の発明によれば、前記電極ガイド部材が前記タンクの上壁と一体的に形成されているから、前記電極ガイド部材が前記上壁と別部材として形成されている液位検出装置と比較して構成が簡略化でき、また、より安定に第2電極をガイドできる液位検出装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、実施形態1に係る燃料タンクの全体的な構成を示す断面図である。
【図2】図2は、図1に示す燃料タンクにおけるサブタンクおよびその近傍の構成を示す拡大図である。
【図3】図3は、図2に示すサブタンクにおける液位検出センサが固定されている部分を水平面に沿って切断した断面図である。
【図4】図4(A)は、図2に示すサブタンクにおける液位検出センサが固定されている部分の別の例について水平面に沿って切断した断面図であり、図4(B)は、前記部分を斜め上方から見た斜視図である。
【図5】図5は、実施形態1に係る燃料タンクの別の例について全体的な構成を示す断面図である。
【図6】図6は、図1に示す燃料タンクの外部に設けられたコンピュータに記憶された液位とタンク変形量と燃料残量との関係に関するマップを示す説明図である。
【図7】図7(A)は、変形前の燃料タンクを、図7(B)は、前記燃料タンクが深さ方向に変形したところを示す断面図である。
【図8】図8は、実施形態2に係る液位検出センサを備える燃料タンクの一例について全体的な構成を示す断面図である。
【図9】図9は、図8に示す燃料タンクにおけるサブタンクおよびその近傍の構成を示す拡大図である。
【図10】図10は、実施形態3に係る液位検出センサを備える燃料タンクの一例について全体的な構成を示す断面図である。
【図11】図11は、図10に示す燃料タンクにおけるサブタンクおよびその近傍の構成を示す拡大図である。
【図12】図12は、図11に示すサブタンクにおける液位検出センサが固定されている部分を水平面に沿って切断した断面図である。
【図13】図13(A)は、図11に示すサブタンクにおける液位検出センサが固定されている部分の別の例について水平面に沿って切断した断面図であり、図13(B)は、前記部分を斜め上方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
1.実施形態1
以下、本発明の液位測定装置を備えるタンクの一例について図面を用いて説明する。図1以下において矢印UPは車体上方を示す。
【0025】
燃料タンク10は、図1に示すように略箱形形状とされた容器であり、設置される車体などの形状や部品配置によってその形状が決定される。また燃料タンク10は燃料(ガソリンなど)による腐食への耐性、機械的強度、耐衝撃性や衝突の際の安全性などを考慮して素材が選定される。
【0026】
燃料タンク10の車体上方の面である天井面30にはポンプモジュール等の取付口22が設けられており、取付口22を外側から閉塞する蓋部28で、内部の燃料が外へ漏れ出さないように密閉される。車両上方に筒状に突出した取付口22は蓋部28で密閉される。なお、蓋部28は、取付口22を密閉した状態において、天井面30とともに燃料タンク10の上壁を構成する。
【0027】
このとき、取付口22が箱状の燃料タンク10から突出していると、車体に組み付ける際にスペース効率が低下する虞があるので、取付口22を燃料タンク10の内側に沈めるように設ける方が望ましい。この場合、取付口22および蓋部28をクリアできる空間を燃料タンク10の内部に設ける必要がある。
【0028】
これにより燃料タンク10の車体上方面は外面が凹んだ凹部24が形成されており、天井面30における凹部24の内側の部分は燃料タンク10内部の車体下側に向けて突出した凸部26として形成されている。このため燃料タンク10の内部に燃料を充填していくと液面Fは凸部26の高さを超え、凸部26は燃料に浸漬する。
【0029】
燃料タンク10は一般的に鋼板または樹脂で形成され、図1に示すように車体上方面に凹凸を設けるなどの方法でベーパー層を確保している。すなわち、揮発性を備えた燃料は外気温やエンジンなどの熱により蒸発し、燃料タンク10内の空隙に揮発ガス(ベーパー)となって充満する。このとき燃料をタンク全体に満たしてしまった場合、発生した燃料の揮発ガスは逃げ場を失い、燃料タンク10内が加圧される。これを防ぐため、ある程度の空隙(ベーパー層)を燃料タンク10内の上部に設定することで、揮発ガスの圧力の逃げ場を確保している。
【0030】
また、上記のようにベーパー層を確保している燃料タンク10では、燃料温度の上下(気温、路面や排気管などからの熱の影響)と燃料消費により、加圧と減圧が絶えず繰り返され、機械的ストレスが印加され続ける。このため、燃料タンク10の上面を複雑な凹凸形状にする事は燃料タンク10自体の機械的強度を増し、内部圧力の変化に対する対策とする意味も備わっている。
【0031】
燃料タンク10の内部には、上面が開口した有底容器であるサブタンク31が設けられ、サブタンク31にはポンプユニット32が収容されている。燃料タンク10内部の燃料は、ポンプユニット32でくみ出され、燃料ホース(図示せず。)で外部へ送り出す構成とされている。
【0032】
図1および図2に示すように、蓋部28の下面から燃料タンク10の底面20に向かってガイド柱34が延在している。ガイド柱34は、サブタンク31に設けられた円筒状のガイド筒36に挿通されている。サブタンク31は、ガイド柱34とガイド筒36とによって燃料タンク10の上下方向、言い換えれば車両上下方向に沿って案内される。なお、サブタンク31は、ガイド柱34に挿通されたコイルばね38によって底面20に向かう方向、言い換えれば車両下方に向かって付勢され、これにより、サブタンク31の底面は燃料タンク10の底面20に向かって押圧されている。なお、燃料タンク10の底面20およびサブタンク31の底面33は燃料タンク10の下壁を構成する。
【0033】
以下、燃料タンク10の備える液位検出装置1の構成について説明する。図1および図2に示すように、液位検出装置1は、蓋部28の上面に固定されているとともに、燃料タンク10外部のコンピュータ(図示せず。)に接続されたセンサ回路11と、センサ回路11に接続されているとともに、蓋部28の下面からサブタンク31の底面に向かって延在する液位検出センサ12と、を備える。センサ回路11には、高周波発振回路およびインピーダンス測定回路と、抵抗測定回路とが設けられている。
【0034】
図1〜図3に示すように、液位検出センサ12は、蓋部28の下側の面から燃料タンク10の下壁に向かって延在する、後述する外周電極14を燃料タンク10の深さ方向、言い換えれば車両上下方向に案内する電極ガイド部材の一例としての円筒状の外周電極13と、外周電極13に挿入され、外周電極13の内面上を外周電極13の長手方向に沿って摺動可能とされている円筒状の外周電極14と、外周電極14の軸線に沿って設けられた棒状の中心電極15と、を備える。中心電極15は本発明の第1電極の一例であり、外周電極14は本発明の第2電極の一例である。なお、中心電極15は本実施形態では棒状であるが円筒状であってもよい。
【0035】
図1および図2に示すように、中心電極15および外周電極14は、サブタンク31の底面33に固定された基台16から燃料タンク10の上壁に向かって立設されている。そして、外周電極13および14は、図3に示すようにバンド19によってサブタンク31の側壁35に固定されている。なお、サブタンク31の内部に燃料汲み上げジェットポンプを設ける場合には、サブタンク31内が前記燃料汲み上げジェットポンプによってくみ上げられた燃料によって満杯状態に保持されるために、サブタンク31の内側の液位は、サブタンク31の外側の液位とは等しくならない。したがって、図4(A)および図4(B)に示すように、外部電極13および14はサブタンク31の外側に設けることが好ましい。この場合、サブタンク31の側壁35に外部電極13および14を収容するための凹陥部35Aを設けるとともに、凹陥部35Aの上方に外部電極13および14を固定するための外周電極固定部35Bを設けることが好ましい。
【0036】
外周電極14は下端においてハーネス17でセンサ回路11の高周波発振回路、インピーダンス測定回路、および抵抗測定回路に接続され、中心電極15はハーネス18でセンサ回路11の高周波発振回路およびインピーダンス測定回路に接続されている。一方、外周電極13の上端は導体21によってセンサ回路11の抵抗測定回路に接続されている。なお、外周電極14は外周電極13と電気的に接触しているから、外周電極13および14の電気抵抗を測定しない場合には、図5に示すように、外周電極14をセンサ回路11に接続するハーネス17を省略してもよい。
【0037】
以下、液位検出装置1において燃料タンク10の液位を求める手順について説明する。外周電極14は、外周電極13の内側に嵌装された状態で外周電極13の内周面上を摺動するから、外周電極14と電気的に導通した状態にある。
【0038】
センサ回路11の高周波発振回路で発生した高周波電流は、ハーネス17を通して外周電極13および14に、ハーネス18を通じて中心電極15に入力され、センサ回路11のインピーダンス測定回路において外周電極13および14と中心電極15との間のインピーダンスが測定される。測定されたインピーダンスはセンサ回路11から前記コンピュータに入力され、外周電極13および14と中心電極15との間の静電容量が求められる。
【0039】
ここで、燃料タンク10の燃料が消費されると、外周電極13および14と中心電極15との間の空間は、それまで燃料によって占められていたものが空気によって占められるようになるため、静電容量は減少する。従って、静電容量の減少を検出することにより、燃料の液位を検出できる。
【0040】
一方、センサ回路11の抵抗測定回路において外周電極13の上端から外周電極14の下端までの電気抵抗が測定される。
【0041】
コンピュータは、外周電極13および14と中心電極15との間の静電容量に基づいて燃料タンク10の液位を計算するとともに、外周電極13の上端から外周電極14の下端までの電気抵抗から燃料タンク10の深さ方向、換言すれば車両上下方向の変形量を求める。更に、前記コンピュータには、液位とタンク変形量と燃料残量との関係に関する図6に示すマップが記憶されており、コンピュータは前記液位のデータとこのマップとを用いて燃料タンク10内の燃料残量を求める。
【0042】
図6のマップは、種々の変形量ΔL(たとえばΔL=−10mm、−5mm、0mm、5mm、10mm)に対応する燃料の液位と燃料残量との関係に関するタンク容量特性を示すタンク容量特性曲線である。
【0043】
コンピュータは、図6の関係曲線から、外周電極13の上端から外周電極14の下端までの電気抵抗から求められた燃料タンク10の変形量ΔLに対応するタンク容量特性曲線を読み出し、入力されたタンク容量特性曲線に、外周電極13および14と中心電極15との間の静電容量に基づいて求められた液位Aを当てはめて前記液位に対応する燃料残量を求める。たとえば、変形量ΔLが5mmであったときは、コンピュータは図6においてΔL=5mmに対応するタンク容量特性曲線を選択する。そして、選択されたタンク容量特性曲線上において液位Aに対応する燃料残量を読み取り、この燃料残量を真の燃料残量として燃料計(図示せず。)に表示する。
【0044】
実施形態1の液位検出装置1においては、外周電極14が外周電極13の外周にオーバーラップするように配設されている。したがって、外周電極13と外周電極14とは、燃料タンク10の上壁と下壁とに亘って設けられた1本の円筒状電極として機能するから、車両衝突時の支柱強度が確保できる。
【0045】
また、図7の(A)に示す変形前の燃料タンク10が、図7(B)に示すように深さ方向、即ち車両上下方向に変形した場合においても、燃料タンク10の底面20が一様に変形したときは外周電極13および外周電極14全体としては燃料に接触する面積にほとんど変化がないので、燃料タンク10が深さ方向に変形した場合においても正確な液位検出が可能である。
【0046】
更に、外周電極13と外周電極14とは電気的にも接触しているから、導体21を介して外周電極13に高周波電流を入力することにより、外周電極14に高周波電流を印加するためのハーネス17を省略することができる。
【0047】
加えて、外周電極13の上端と外周電極14の下端との間の抵抗値を測定することにより、燃料タンク10の変形量を求めることができる故に、燃料タンク10が深さ方向に変形した場合において燃料タンク10の底面20および天井面30が外側に向かって膨張する方向に変形したり、内側に向かって収縮する方向に変形したりしたときにおいても、液位とタンク変形量と燃料残量との関係に関する図6に示すマップを用いることにより、正確な燃料残量を求めることができる。
【0048】
2.実施形態2
以下、実施形態1の燃料タンクが備える液位検出装置に使用される液位検出センサの別の例について図面を用いて説明する。図1〜図7と同一の符号は特に説明がない限り、これらの符号が図1〜図7において示すのと同一の構成要素を示す。
【0049】
実施形態2に係る液位検出センサ112においては、図8および図9に示すように、蓋部28の下面に燃料タンク10の下壁に向かって立設された外周電極13が、サブタンク31の底面から燃料タンク10の上壁に向かって立設された外周電極14の内側に装入された状態で外周電極14に対して摺動可能とされている。
【0050】
実施形態2の液位検出センサ112は、前記の点を除いては実施形態1の液位検出センサ12と同一の構成を有している。
【0051】
実施形態2の液位検出センサ112は、実施形態1の液位検出センサ12と同様の作用、効果を備える。
【0052】
3.実施形態3
以下、実施形態1の燃料タンクが備える液位検出装置に使用される液位検出センサの更に別の例について図面を用いて説明する。図1〜図7と同一の符号は特に説明がない限り、これらの符号が図1〜図7において示すのと同一の構成要素を示す。
【0053】
実施形態3に係る液位検出センサ212は、図10〜図12に示すように、サブタンク31の底面33に固定された基台16から燃料タンク10の上壁に向かって立設されている中心電極15および外周電極14と、蓋部28から燃料タンク10の下壁に向かって立設された円筒状の電極ガイド筒23と、を備える。電極ガイド筒23は、本発明における電極ガイド部材の他の一例である。電極ガイド筒23は、図12に示すようにバンド19によってサブタンク31の側壁35に固定されている。なお、サブタンク31の内部に燃料汲み上げジェットポンプを設ける場合には、図13(A)および図13(B)に示すように、電極ガイド筒23はサブタンク31の外側に設けることが好ましい。この場合、サブタンク31の側壁35に電極ガイド筒23および外周電極14を収容するための凹陥部35Aを設けるとともに、凹陥部35Aの上方に外部電極13および14を固定するための外周電極固定部35Bを設けることが好ましい。
【0054】
電極ガイド筒23は、蓋部28の下面に一体的に形成され、即ち樹脂製とされている。また、電極ガイド筒23の内側に外周電極14が挿通されている。
【0055】
外周電極14および中心電極15については実施形態1のところで述べた通りである。
【0056】
実施形態3に係る液位検出センサ212は、これらの点を除いて実施形態1の液位検出センサ12と同様である。
【0057】
実施形態3の液位検出センサ212においては、電極ガイド筒23は蓋部28と一体的に形成されているから、電極ガイド筒23を蓋部28に固定するための台座等は不要である。したがって、実施形態1および2の液位検出センサと比較して構成が簡略化できる。
【0058】
また、外周電極14をより確実にガイドできる。
【0059】
以上、本発明の液位検出装置を車両用の燃料タンクに適用した例について説明したが、本発明の液位検出装置が適用されるタンクは車両用の燃料タンクには限定されず、例えば、水タンクや石油タンク、薬品タンクなどの各種タンクや、発酵槽や鍍金槽など液面を検出する必要のある各種槽類にも適用可能である。
【符号の説明】
【0060】
1 液位検出装置
10 燃料タンク(タンク)
11 センサ回路(抵抗値検出手段)
12 液位検出センサ
13 外周電極(電極ガイド部材)
14 外周電極(第2電極)
15 中心電極(第1電極)
20 底面(下壁)
23 電極ガイド筒(電極ガイド部材)
28 蓋部(上壁)
30 天井面(上壁)
33 底面(下壁)
【技術分野】
【0001】
本発明は、液位検出装置にかかり、特に、静電容量の変化からタンクの液位を検出する液位検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等のタンクの液位を検出する液位検出装置には種々の形態があり、そのうちの1つに静電容量の変化を利用して液面検出を行うものがある。
【0003】
このような液位検出装置において、タンクの深さ方向の寸法に変動を生じた場合においても正確な液面レベルを測定できるようにしたものとして、静電容量によりタンク中の液体の液面レベルを検出するためのセンサ部と、該センサ部に発振器を介して接続した液面検出部とよりなる静電容量式液面レベル検出装置において、上記センサ部が、液面レベルを検出するための測定電極と、誘電率補正用の補正電極と、共通アース電極とを有するとともに、測定電極と補正電極とがその上端が同じ高さにあり、一方、補正電極の下端は測定電極の下端よりも高い位置にあり、かつ上記測定電極、補正電極、および共通アース電極の各電極面と上記発振器とがフラットワイヤのリード線により接続されているものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−223624号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記液面レベル検出装置においては、測定電極と補正電極と共通アース電極とをセンサ部取付台に取り付け、センサ取付台の下端に位置する下部保持台においてセンサ部取付台がタンクの底面に当接するようにするとともに、コイルばねの付勢力によって前記下部保持代をタンクの底面に押圧し、これによって測定電極と補正電極と共通アース電極とをタンクの深さ方向の変形に追従させている。
【0006】
したがって、測定電極と補正電極と共通アース電極とがタンクの深さ方向の変形に追従させるための機構が複雑になるという問題がある。
【0007】
本発明は、上記問題を解決すべく成されたものであり、複雑な機構を用いることなく、液面を検出するための電極をタンクの深さ方向の変形に追従させることができる液位検出装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、液位検出装置に関し、タンクの下壁から上壁に向かって立設された第1電極と、前記第1電極に対して、前記第1電極の長手方向に対して直交する方向に対向するように、タンクの下壁から上壁に向かって立設されている第2電極と、前記タンクの上壁から下壁に向かって延在するとともに、前記第2電極の少なくとも一部と重なり合った状態で前記第2電極と摺動して前記第2電極を前記タンクの深さ方向にガイドする電極ガイド部材と、を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項1に記載の液位検出装置においては、タンクが深さ方向に変形すると、前記第2電極は、前記電極ガイド部に沿って摺動することにより、前記タンクの深さ方向に沿って案内される。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の液位検出装置において、前記電極ガイド部材が導電性を有し、前記第2電極と電気的に接触した状態で前記第2電極をガイドすることを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の液位検出装置においては、前記電極ガイド部材は導電性であって、前記第2電極を電気的に接触した状態でガイドするから、前記電極ガイド部材は前記第2電極と一体の電極としても機能する。したがって、前記タンク中の燃料が前記電極ガイド部材と前記第2電極とからなる電極に接触する面積である液体接触面積は、タンクが深さ方向に変形してもほとんど変化しない。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の液位検出装置において、前記第2電極および前記電極ガイド部材は何れも円筒状であって、前記第2電極と前記電極ガイド部材とのいずれか一方が他方の内側に挿通されているとともに、前記第1電極は、前記第2電極の軸線に沿って配設された円筒状または円柱状の電極であることを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の液位検出装置においては、第2電極は電極ガイド部材の内側に挿通され、または電極ガイド部材の外側に嵌装された状態で電極ガイド部材の長手方向に沿ってガイドされることにより、前記タンクの深さ方向に沿って案内される。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項2または3に記載の液位検出装置において、前記第2電極の下端から前記電極ガイド部材の上端までの抵抗値を検出する抵抗値検出手段を備えることを特徴とする。
【0015】
請求項4に記載の液位検出装置においては、前記抵抗手段によって前記第2電極の下端から前記電極ガイド部材の上端までの抵抗値の変化を検出することによってタンクの深さ方向の変形量を測定できる。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の液位検出装置において、前記電極ガイド部材は前記タンクの上壁と一体的に形成されていることを特徴とする。
【0017】
請求項5に記載の液位検出装置においても、タンクが深さ方向に変形すると、前記第2電極は、前記電極ガイド部に沿って摺動することにより、前記タンクの深さ方向に沿って案内される。
【発明の効果】
【0018】
請求項1の発明によれば、タンクの上壁から下壁に向かって延在する電極ガイド部材によって、第2電極が前記タンクの深さ方向にガイドされるから、前記第2電極を前記タンクの深さ方向にガイドするための複雑な機構が不要な液位検出装置が提供される。
【0019】
請求項2に記載の発明によれば、タンクが深さ方向に変形しても液体接触面積がほとんど変化しないから、正確な液位を検出できる液位検出装置が提供される。
【0020】
請求項3に記載の発明によれば、第2電極は電極ガイド部材の内側に挿通され、または電極ガイド部材の外側に嵌装された状態で電極ガイド部材の長手方向に沿ってガイドされるから、衝突時の衝撃で第2電極が折れたり変形したりすることの少ない、換言すれば第2電極の支柱強度が高い液位検出装置が提供される。
【0021】
請求項4に記載の発明によれば、前記抵抗手段と前記第2電極と前記電極ガイド部材とがタンクの深さ方向の変形量を検出する変形量検出手段も兼ねているから、タンクが深さ方向に変形した場合においても、前記変形量検出手段によって検出された深さ方向の変形量を加味することによって、前記変形量検出手段を有しない液位検出装置と比較してより高い精度で燃料残量を求めることのできる液位検出装置が提供される。
【0022】
請求項5に記載の発明によれば、前記電極ガイド部材が前記タンクの上壁と一体的に形成されているから、前記電極ガイド部材が前記上壁と別部材として形成されている液位検出装置と比較して構成が簡略化でき、また、より安定に第2電極をガイドできる液位検出装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、実施形態1に係る燃料タンクの全体的な構成を示す断面図である。
【図2】図2は、図1に示す燃料タンクにおけるサブタンクおよびその近傍の構成を示す拡大図である。
【図3】図3は、図2に示すサブタンクにおける液位検出センサが固定されている部分を水平面に沿って切断した断面図である。
【図4】図4(A)は、図2に示すサブタンクにおける液位検出センサが固定されている部分の別の例について水平面に沿って切断した断面図であり、図4(B)は、前記部分を斜め上方から見た斜視図である。
【図5】図5は、実施形態1に係る燃料タンクの別の例について全体的な構成を示す断面図である。
【図6】図6は、図1に示す燃料タンクの外部に設けられたコンピュータに記憶された液位とタンク変形量と燃料残量との関係に関するマップを示す説明図である。
【図7】図7(A)は、変形前の燃料タンクを、図7(B)は、前記燃料タンクが深さ方向に変形したところを示す断面図である。
【図8】図8は、実施形態2に係る液位検出センサを備える燃料タンクの一例について全体的な構成を示す断面図である。
【図9】図9は、図8に示す燃料タンクにおけるサブタンクおよびその近傍の構成を示す拡大図である。
【図10】図10は、実施形態3に係る液位検出センサを備える燃料タンクの一例について全体的な構成を示す断面図である。
【図11】図11は、図10に示す燃料タンクにおけるサブタンクおよびその近傍の構成を示す拡大図である。
【図12】図12は、図11に示すサブタンクにおける液位検出センサが固定されている部分を水平面に沿って切断した断面図である。
【図13】図13(A)は、図11に示すサブタンクにおける液位検出センサが固定されている部分の別の例について水平面に沿って切断した断面図であり、図13(B)は、前記部分を斜め上方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
1.実施形態1
以下、本発明の液位測定装置を備えるタンクの一例について図面を用いて説明する。図1以下において矢印UPは車体上方を示す。
【0025】
燃料タンク10は、図1に示すように略箱形形状とされた容器であり、設置される車体などの形状や部品配置によってその形状が決定される。また燃料タンク10は燃料(ガソリンなど)による腐食への耐性、機械的強度、耐衝撃性や衝突の際の安全性などを考慮して素材が選定される。
【0026】
燃料タンク10の車体上方の面である天井面30にはポンプモジュール等の取付口22が設けられており、取付口22を外側から閉塞する蓋部28で、内部の燃料が外へ漏れ出さないように密閉される。車両上方に筒状に突出した取付口22は蓋部28で密閉される。なお、蓋部28は、取付口22を密閉した状態において、天井面30とともに燃料タンク10の上壁を構成する。
【0027】
このとき、取付口22が箱状の燃料タンク10から突出していると、車体に組み付ける際にスペース効率が低下する虞があるので、取付口22を燃料タンク10の内側に沈めるように設ける方が望ましい。この場合、取付口22および蓋部28をクリアできる空間を燃料タンク10の内部に設ける必要がある。
【0028】
これにより燃料タンク10の車体上方面は外面が凹んだ凹部24が形成されており、天井面30における凹部24の内側の部分は燃料タンク10内部の車体下側に向けて突出した凸部26として形成されている。このため燃料タンク10の内部に燃料を充填していくと液面Fは凸部26の高さを超え、凸部26は燃料に浸漬する。
【0029】
燃料タンク10は一般的に鋼板または樹脂で形成され、図1に示すように車体上方面に凹凸を設けるなどの方法でベーパー層を確保している。すなわち、揮発性を備えた燃料は外気温やエンジンなどの熱により蒸発し、燃料タンク10内の空隙に揮発ガス(ベーパー)となって充満する。このとき燃料をタンク全体に満たしてしまった場合、発生した燃料の揮発ガスは逃げ場を失い、燃料タンク10内が加圧される。これを防ぐため、ある程度の空隙(ベーパー層)を燃料タンク10内の上部に設定することで、揮発ガスの圧力の逃げ場を確保している。
【0030】
また、上記のようにベーパー層を確保している燃料タンク10では、燃料温度の上下(気温、路面や排気管などからの熱の影響)と燃料消費により、加圧と減圧が絶えず繰り返され、機械的ストレスが印加され続ける。このため、燃料タンク10の上面を複雑な凹凸形状にする事は燃料タンク10自体の機械的強度を増し、内部圧力の変化に対する対策とする意味も備わっている。
【0031】
燃料タンク10の内部には、上面が開口した有底容器であるサブタンク31が設けられ、サブタンク31にはポンプユニット32が収容されている。燃料タンク10内部の燃料は、ポンプユニット32でくみ出され、燃料ホース(図示せず。)で外部へ送り出す構成とされている。
【0032】
図1および図2に示すように、蓋部28の下面から燃料タンク10の底面20に向かってガイド柱34が延在している。ガイド柱34は、サブタンク31に設けられた円筒状のガイド筒36に挿通されている。サブタンク31は、ガイド柱34とガイド筒36とによって燃料タンク10の上下方向、言い換えれば車両上下方向に沿って案内される。なお、サブタンク31は、ガイド柱34に挿通されたコイルばね38によって底面20に向かう方向、言い換えれば車両下方に向かって付勢され、これにより、サブタンク31の底面は燃料タンク10の底面20に向かって押圧されている。なお、燃料タンク10の底面20およびサブタンク31の底面33は燃料タンク10の下壁を構成する。
【0033】
以下、燃料タンク10の備える液位検出装置1の構成について説明する。図1および図2に示すように、液位検出装置1は、蓋部28の上面に固定されているとともに、燃料タンク10外部のコンピュータ(図示せず。)に接続されたセンサ回路11と、センサ回路11に接続されているとともに、蓋部28の下面からサブタンク31の底面に向かって延在する液位検出センサ12と、を備える。センサ回路11には、高周波発振回路およびインピーダンス測定回路と、抵抗測定回路とが設けられている。
【0034】
図1〜図3に示すように、液位検出センサ12は、蓋部28の下側の面から燃料タンク10の下壁に向かって延在する、後述する外周電極14を燃料タンク10の深さ方向、言い換えれば車両上下方向に案内する電極ガイド部材の一例としての円筒状の外周電極13と、外周電極13に挿入され、外周電極13の内面上を外周電極13の長手方向に沿って摺動可能とされている円筒状の外周電極14と、外周電極14の軸線に沿って設けられた棒状の中心電極15と、を備える。中心電極15は本発明の第1電極の一例であり、外周電極14は本発明の第2電極の一例である。なお、中心電極15は本実施形態では棒状であるが円筒状であってもよい。
【0035】
図1および図2に示すように、中心電極15および外周電極14は、サブタンク31の底面33に固定された基台16から燃料タンク10の上壁に向かって立設されている。そして、外周電極13および14は、図3に示すようにバンド19によってサブタンク31の側壁35に固定されている。なお、サブタンク31の内部に燃料汲み上げジェットポンプを設ける場合には、サブタンク31内が前記燃料汲み上げジェットポンプによってくみ上げられた燃料によって満杯状態に保持されるために、サブタンク31の内側の液位は、サブタンク31の外側の液位とは等しくならない。したがって、図4(A)および図4(B)に示すように、外部電極13および14はサブタンク31の外側に設けることが好ましい。この場合、サブタンク31の側壁35に外部電極13および14を収容するための凹陥部35Aを設けるとともに、凹陥部35Aの上方に外部電極13および14を固定するための外周電極固定部35Bを設けることが好ましい。
【0036】
外周電極14は下端においてハーネス17でセンサ回路11の高周波発振回路、インピーダンス測定回路、および抵抗測定回路に接続され、中心電極15はハーネス18でセンサ回路11の高周波発振回路およびインピーダンス測定回路に接続されている。一方、外周電極13の上端は導体21によってセンサ回路11の抵抗測定回路に接続されている。なお、外周電極14は外周電極13と電気的に接触しているから、外周電極13および14の電気抵抗を測定しない場合には、図5に示すように、外周電極14をセンサ回路11に接続するハーネス17を省略してもよい。
【0037】
以下、液位検出装置1において燃料タンク10の液位を求める手順について説明する。外周電極14は、外周電極13の内側に嵌装された状態で外周電極13の内周面上を摺動するから、外周電極14と電気的に導通した状態にある。
【0038】
センサ回路11の高周波発振回路で発生した高周波電流は、ハーネス17を通して外周電極13および14に、ハーネス18を通じて中心電極15に入力され、センサ回路11のインピーダンス測定回路において外周電極13および14と中心電極15との間のインピーダンスが測定される。測定されたインピーダンスはセンサ回路11から前記コンピュータに入力され、外周電極13および14と中心電極15との間の静電容量が求められる。
【0039】
ここで、燃料タンク10の燃料が消費されると、外周電極13および14と中心電極15との間の空間は、それまで燃料によって占められていたものが空気によって占められるようになるため、静電容量は減少する。従って、静電容量の減少を検出することにより、燃料の液位を検出できる。
【0040】
一方、センサ回路11の抵抗測定回路において外周電極13の上端から外周電極14の下端までの電気抵抗が測定される。
【0041】
コンピュータは、外周電極13および14と中心電極15との間の静電容量に基づいて燃料タンク10の液位を計算するとともに、外周電極13の上端から外周電極14の下端までの電気抵抗から燃料タンク10の深さ方向、換言すれば車両上下方向の変形量を求める。更に、前記コンピュータには、液位とタンク変形量と燃料残量との関係に関する図6に示すマップが記憶されており、コンピュータは前記液位のデータとこのマップとを用いて燃料タンク10内の燃料残量を求める。
【0042】
図6のマップは、種々の変形量ΔL(たとえばΔL=−10mm、−5mm、0mm、5mm、10mm)に対応する燃料の液位と燃料残量との関係に関するタンク容量特性を示すタンク容量特性曲線である。
【0043】
コンピュータは、図6の関係曲線から、外周電極13の上端から外周電極14の下端までの電気抵抗から求められた燃料タンク10の変形量ΔLに対応するタンク容量特性曲線を読み出し、入力されたタンク容量特性曲線に、外周電極13および14と中心電極15との間の静電容量に基づいて求められた液位Aを当てはめて前記液位に対応する燃料残量を求める。たとえば、変形量ΔLが5mmであったときは、コンピュータは図6においてΔL=5mmに対応するタンク容量特性曲線を選択する。そして、選択されたタンク容量特性曲線上において液位Aに対応する燃料残量を読み取り、この燃料残量を真の燃料残量として燃料計(図示せず。)に表示する。
【0044】
実施形態1の液位検出装置1においては、外周電極14が外周電極13の外周にオーバーラップするように配設されている。したがって、外周電極13と外周電極14とは、燃料タンク10の上壁と下壁とに亘って設けられた1本の円筒状電極として機能するから、車両衝突時の支柱強度が確保できる。
【0045】
また、図7の(A)に示す変形前の燃料タンク10が、図7(B)に示すように深さ方向、即ち車両上下方向に変形した場合においても、燃料タンク10の底面20が一様に変形したときは外周電極13および外周電極14全体としては燃料に接触する面積にほとんど変化がないので、燃料タンク10が深さ方向に変形した場合においても正確な液位検出が可能である。
【0046】
更に、外周電極13と外周電極14とは電気的にも接触しているから、導体21を介して外周電極13に高周波電流を入力することにより、外周電極14に高周波電流を印加するためのハーネス17を省略することができる。
【0047】
加えて、外周電極13の上端と外周電極14の下端との間の抵抗値を測定することにより、燃料タンク10の変形量を求めることができる故に、燃料タンク10が深さ方向に変形した場合において燃料タンク10の底面20および天井面30が外側に向かって膨張する方向に変形したり、内側に向かって収縮する方向に変形したりしたときにおいても、液位とタンク変形量と燃料残量との関係に関する図6に示すマップを用いることにより、正確な燃料残量を求めることができる。
【0048】
2.実施形態2
以下、実施形態1の燃料タンクが備える液位検出装置に使用される液位検出センサの別の例について図面を用いて説明する。図1〜図7と同一の符号は特に説明がない限り、これらの符号が図1〜図7において示すのと同一の構成要素を示す。
【0049】
実施形態2に係る液位検出センサ112においては、図8および図9に示すように、蓋部28の下面に燃料タンク10の下壁に向かって立設された外周電極13が、サブタンク31の底面から燃料タンク10の上壁に向かって立設された外周電極14の内側に装入された状態で外周電極14に対して摺動可能とされている。
【0050】
実施形態2の液位検出センサ112は、前記の点を除いては実施形態1の液位検出センサ12と同一の構成を有している。
【0051】
実施形態2の液位検出センサ112は、実施形態1の液位検出センサ12と同様の作用、効果を備える。
【0052】
3.実施形態3
以下、実施形態1の燃料タンクが備える液位検出装置に使用される液位検出センサの更に別の例について図面を用いて説明する。図1〜図7と同一の符号は特に説明がない限り、これらの符号が図1〜図7において示すのと同一の構成要素を示す。
【0053】
実施形態3に係る液位検出センサ212は、図10〜図12に示すように、サブタンク31の底面33に固定された基台16から燃料タンク10の上壁に向かって立設されている中心電極15および外周電極14と、蓋部28から燃料タンク10の下壁に向かって立設された円筒状の電極ガイド筒23と、を備える。電極ガイド筒23は、本発明における電極ガイド部材の他の一例である。電極ガイド筒23は、図12に示すようにバンド19によってサブタンク31の側壁35に固定されている。なお、サブタンク31の内部に燃料汲み上げジェットポンプを設ける場合には、図13(A)および図13(B)に示すように、電極ガイド筒23はサブタンク31の外側に設けることが好ましい。この場合、サブタンク31の側壁35に電極ガイド筒23および外周電極14を収容するための凹陥部35Aを設けるとともに、凹陥部35Aの上方に外部電極13および14を固定するための外周電極固定部35Bを設けることが好ましい。
【0054】
電極ガイド筒23は、蓋部28の下面に一体的に形成され、即ち樹脂製とされている。また、電極ガイド筒23の内側に外周電極14が挿通されている。
【0055】
外周電極14および中心電極15については実施形態1のところで述べた通りである。
【0056】
実施形態3に係る液位検出センサ212は、これらの点を除いて実施形態1の液位検出センサ12と同様である。
【0057】
実施形態3の液位検出センサ212においては、電極ガイド筒23は蓋部28と一体的に形成されているから、電極ガイド筒23を蓋部28に固定するための台座等は不要である。したがって、実施形態1および2の液位検出センサと比較して構成が簡略化できる。
【0058】
また、外周電極14をより確実にガイドできる。
【0059】
以上、本発明の液位検出装置を車両用の燃料タンクに適用した例について説明したが、本発明の液位検出装置が適用されるタンクは車両用の燃料タンクには限定されず、例えば、水タンクや石油タンク、薬品タンクなどの各種タンクや、発酵槽や鍍金槽など液面を検出する必要のある各種槽類にも適用可能である。
【符号の説明】
【0060】
1 液位検出装置
10 燃料タンク(タンク)
11 センサ回路(抵抗値検出手段)
12 液位検出センサ
13 外周電極(電極ガイド部材)
14 外周電極(第2電極)
15 中心電極(第1電極)
20 底面(下壁)
23 電極ガイド筒(電極ガイド部材)
28 蓋部(上壁)
30 天井面(上壁)
33 底面(下壁)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンクの下壁から上壁に向かって立設された第1電極と、
前記第1電極に対して、前記第1電極の長手方向に対して直交する方向に対向するように、タンクの下壁から上壁に向かって立設されている第2電極と、
前記タンクの上壁から下壁に向かって延在するとともに、前記第2電極の少なくとも一部と重なり合った状態で第2電極と摺動して前記第2電極を前記タンクの深さ方向にガイドする電極ガイド部材と、
を備える液位検出装置。
【請求項2】
前記電極ガイド部材は導電性を有し、前記第2電極と電気的に接触した状態で前記第2電極をガイドする請求項1に記載の液位検出装置。
【請求項3】
前記第2電極および前記電極ガイド部材は何れも円筒状であって、前記第2電極と前記電極ガイド部材とのいずれか一方が他方の内側に挿通されているとともに、前記第1電極は、前記第2電極の軸線に沿って配設された円筒状または円柱状の電極である請求項2に記載の液位検出装置。
【請求項4】
前記第2電極の下端から前記電極ガイド部材の上端までの抵抗値を検出する抵抗値検出手段を備える請求項2または3に記載の液位検出装置。
【請求項5】
前記電極ガイド部材は、前記タンクの上壁と一体的に形成されている請求項1に記載の液位検出装置。
【請求項1】
タンクの下壁から上壁に向かって立設された第1電極と、
前記第1電極に対して、前記第1電極の長手方向に対して直交する方向に対向するように、タンクの下壁から上壁に向かって立設されている第2電極と、
前記タンクの上壁から下壁に向かって延在するとともに、前記第2電極の少なくとも一部と重なり合った状態で第2電極と摺動して前記第2電極を前記タンクの深さ方向にガイドする電極ガイド部材と、
を備える液位検出装置。
【請求項2】
前記電極ガイド部材は導電性を有し、前記第2電極と電気的に接触した状態で前記第2電極をガイドする請求項1に記載の液位検出装置。
【請求項3】
前記第2電極および前記電極ガイド部材は何れも円筒状であって、前記第2電極と前記電極ガイド部材とのいずれか一方が他方の内側に挿通されているとともに、前記第1電極は、前記第2電極の軸線に沿って配設された円筒状または円柱状の電極である請求項2に記載の液位検出装置。
【請求項4】
前記第2電極の下端から前記電極ガイド部材の上端までの抵抗値を検出する抵抗値検出手段を備える請求項2または3に記載の液位検出装置。
【請求項5】
前記電極ガイド部材は、前記タンクの上壁と一体的に形成されている請求項1に記載の液位検出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−225804(P2012−225804A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−94244(P2011−94244)
【出願日】平成23年4月20日(2011.4.20)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月20日(2011.4.20)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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