説明

液体から磁性粒子または磁化可能な粒子を除去する装置および方法

磁場を用いて磁性粒子または磁化可能な粒子を液体から除去する装置(10)が開示される。該装置(10)は、固定的または直脱可能にそれに連結された、1つまたはいくつかの磁化可能な棒材(4)を包囲するトップピース(3)と、該トップピース(3)に対する相対位置を,それ自体の所定の運動によるか、または/およびトップピースの所定の運動によって変更することのできる、1つまたはいくつかの永久磁石(1)とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1つまたは2つ以上の永久磁石によって生成される磁場を用いて、液体から磁性粒子または磁化可能な粒子を分離して再懸濁させる装置に関する。
【0002】
本発明は、さらに、1つまたは2つ以上の永久磁石を用いて生成される磁場を用いて、磁性粒子または磁化可能な粒子を液体から分離する方法、および磁性粒子または磁化可能な粒子を液体中に混合および再懸濁させることに関する。本装置および方法は、例えば、薬物開発、生物化学、分子遺伝学、微生物学、医療診断および法医学における用途に使用することができる。
【背景技術】
【0003】
特異的に結合する磁気的に吸引可能な粒子を使用する磁気分離に基づく方法、または磁性粒子もしくは磁化可能な粒子を溶液中で混合することを可能にする方法は、診断試験または分析試験のサンプル調製の分野、あるいは診断試験または分析試験の実施分野において、益々重要性が増している。このことは、それによって多数のサンプルを短時間で調製または分析して、労力を要する遠心分離ステップを省くことが可能になることから、特に自動化工程において当てはまる。これによって、大サンプル処理量での効率的で低コストのスクリーニングに必要な条件がもたらされ、このようなスクリーニングは、例えば、非常に多数のサンプルを手操作だけで行うことや、その費用を支払うことが実際的に不可能であることから、分子遺伝学研究または医療診断の分野における応用にとって極めて重要である。さらに重要な応用分野は、潜在的な薬学的活性物質を識別するための、薬学的スクリーニング方法に関する。
【0004】
複合混合物から物質を磁気分離する基本原理は、磁性粒子(磁化可能または磁気的に吸引可能な粒子)を、意図する分離工程に固有の方法で官能基化する工程、すなわち、化学処理によって、分離しようとする標的物質に対する特異的な結合特性を、磁性粒子に付与することに基づくものである。磁性粒子の大きさは、典型的には約0.05〜500μmの範囲である。
【0005】
ある物質に対して特異的な結合特性を有し、これらの物質を複合混合物から除去するのに使用することのできる磁性粒子は、例えば、DE19528029A1に記載されており、また市販もされている(例えば、Chemagen Biopolymer-Technologie AG製、DE-52499 Baesweiler)。
【0006】
既知の分離方法においては、第1のステップ(「結合ステップ」)において、標的物質分子の磁性粒子への結合を促進する液体(結合緩衝液)内に標的物質(複数を含む)を含む、浄化しようとする混合物に、官能基化された磁性粒子が添加される。これによって、混合物中に存在する標的物質(複数を含む)の磁性粒子への選択的な結合が発生する。それに続いて、これらの磁性粒子は、磁力、すなわち、例えば永久磁石による磁場を用いて、反応容器の内壁の部位に(「ペレット」として)固定される。その後に、例えば吸込みまたは傾寫(decanting)によって、液体上澄みが分離されて、廃棄される。磁性粒子は上述のようにして固定されているので、これらの粒子が上澄みと共に除去されることは概ね防止される。
【0007】
続いて、再び、固定された磁性粒子が再懸濁される。この目的で、標的物質(複数を含む)と磁性粒子の間の結合を破壊するのに好適な、溶離液または溶離緩衝液が使用され、その結果として、磁場の作用によって磁性粒子が固定されている間に、磁性粒子から標的物質分子を放出させて、溶離液と共に取り除くことができる。溶離ステップの前に、一回または二回以上の洗浄ステップを実施してもよい。
【0008】
磁性粒子は、適切に官能基化されている場合には、診断試験または分析試験に直接的に使用することもできる。この場合には、官能基化によって、例えば、病原性物質の特異的結合が可能になる。しかしながら、例えば病原性物質に関してできる限り明確な記述を可能にするためには、適当な溶液からすべての不純物を除去しなくてはならない。この目的で、分析物を付着させる粒子は、できる限り効率的に混合(洗浄)しなくてはならない。本発明によって、特に、同時に処理すべき多数のサンプルがある場合、または微小量(384または1536フォーマット)を処理しなくてはならない場合に、そのような工程が容易になる。
【0009】
磁性粒子を用いる分離工程を実施するための、様々な種類の装置が記載されている。DE29614623U1には、可動永久磁石を備える磁気分離器が開示されている。代替態様として、機械式駆動手段によって、磁性粒子を収納する反応容器を固定装着された永久磁石に対して動かすことが提案されている。DE29614623U1に記載された装置は、サンプル液体中に浸漬される磁化可能な棒材(bar)を備えるのではなく、永久磁石が個々の反応溶器に隣接して配置されている。
【0010】
DE10063984A1に記載された装置は、磁石ホルダと可動反応容器ホルダとを備え、やはり同様の原理によって機能し、磁石を反応容器の横方向に配置することができる。
【0011】
上記の装置を使用することによって、磁性粒子を反応容器の内壁または底に、「ペレット」として固定化または蓄積させることができる。しかしながら、これらの装置は、磁性粒子を反応容器から除去するには適してない。その結果として、磁性粒子から液体を分離するために、吸込みによって各個別反応容器から液体を排出する必要がある。このことは、大量の材料(使い捨てピペットチップ)消費を伴うので、不利である。さらに、個々の磁性粒子も吸い出されて、高い誤差率が生じることが避けられない。液体が滴り落ちることによってその他の誤りが生じて、相互汚染につながる可能性もある。
【0012】
DE10057396C1では、電磁励起コイルによって磁化させることのできる複数の回転可能な棒材を備える磁気分離器が提案されている。磁性粒子を含有する液体中にこの棒材を浸漬し、磁化状態において棒材を引き出すことによって、磁性粒子を液体から除去することが可能であり、必要であれば、別の反応容器に移送して、そこで励起コイルを停止することによって、それらを液体、例えば洗浄液または溶離液中に再放出することができる。
【0013】
この装置の欠点は、励起コイルが比較的大きなスペースを必要とし、このことが設計および構築上の制約となることである。
さらに、棒材の配置およびその数は、電磁石の幾何学的形状によって左右され、これが、サンプルの処理における制約につながる可能性がある。しかしながら、電磁石の幾何学形状を任意に変更することは、磁場の不均一性を受容しなくてはならなくなることを意味するので、それを行うことはできない。
【0014】
既知の装置は、とりわけ、大量処理用途(例えば、364または1536ウエルを備えるマイクロタイター)に要求されるような、より多数のサンプルを処理するのには適していない。構築における労力と費用は膨大であり、それに加えて、使用する機械設備の大幅に高い故障発生率を甘受しなくてはならなくなる。
【0015】
さらに、既知の装置は、個々のサンプル容器に対してのみ、または特定の変更不可能な事前設定されたサンプル容器の配設、例えば96ウエルのマイクロタイタープレートの形態にのみ適していることから不利である。しかしながら、実際的な目的に対しては、そのような磁気分離装置は、異なる種類のサンプル容器、またはサンプル容器の異なる配設(例えば、96364または1536ウエルを備えるマイクロタイタープレート)に対して適しているか、またはそれに対して変更可能であることが望ましい。
【0016】
したがって、本発明の目的は、上記の欠点を回避しながら、磁性粒子を液体から分離すること、および磁性粒子を1つの液体から別の液体へと移送することを可能にする装置及び方法を提供することである。より具体的には、本装置および方法は、大処理量工程に使用するのに適する。本装置は、汎用用途、特に、異なる種類の反応容器に適するものである。
【0017】
これらおよびその他の目的は、驚くべきことに、独立請求項によって定義される装置および方法、ならびに従属請求項に記載される実施例によって達成される。
すなわち、磁性粒子または磁化可能な粒子を液体から分離する、本発明の装置は、以下の機能を特徴とする:
1つまたは2つ以上の磁化可能な棒材を備えるヘッドピースであって、棒材(複数を含む)が、固定的または着脱可能にそれに連結されている前記ヘッドピース;
前記ヘッドピースに対する相対位置を、磁石(複数を含む)の事前設定可能な運動、または/およびヘッドピースの事前設定可能な運動によって変更することのできる、1つまたは2つ以上の永久磁石。
【0018】
本装置の動作モードは、ヘッドピース上方に永久磁石を(それに取り付けた棒材と共に)配置することが可能であることに基づいている。棒材(複数を含む)はそれによって磁化される。装置のこの状態を、「起動時」と呼ぶ。磁化可能な棒材が、その下端または下部を、磁性粒子を含有するサンプル液体中に浸漬されると、磁力によって、磁性粒子が棒材の下端に付着することになる。これらの棒材を、次いで、それに付着する磁性粒子といっしょに、別の液体(例えば、試薬溶液または洗浄溶液)中に浸漬することができる。
【0019】
永久磁石(複数を含む)がヘッドピースの上方にある位置から取り除かれると、それによって棒材の磁化は消滅し、その結果として磁性粒子が棒材から落下するか、または動揺動作(shaking motion)によって取り外すことができる。この装置の状態を、「停止中(deactivated)」と呼ぶ。磁石(複数を含む)の動きによって、磁気分離器を起動状態と停止状態の間で迅速に変更することが可能になる。
【0020】
本発明によれば、永久磁石はヘッドピースと相対的に可動式に配設され、その結果として、磁石(複数を含む)を動かすことによって、ヘッドピースに取り付けられた磁化可能な棒材の磁化を、交互に起動、停止することができる。この目的で、磁石(複数を含む)は、それぞれ、ヘッドピースの上方、およびヘッドピースから離れる方向に動かされる。
【0021】
代替案として、磁化および消磁は、ヘッドピースを、それぞれ、磁石(複数を含む)の下方、および磁石から離れる方向に動かすことによっても達成可能であり、この場合には、好ましくは磁石(複数を含む)は固定して配設する。
(それに取り付けた磁化可能な棒材といっしょに)ヘッドピースを動かすことによって、ヘッドピースを、永久磁石(複数を含む)の領域の下になる第1の位置(起動状態)、またはそれが前記領域の外側になる第2の位置(停止状態)に動かすことができる。
【0022】
棒材を一時的に磁化することができるので、この装置を使用して、磁化可能な棒材によって第1の液体から磁性粒子を取り除き、粒子をその中に放出させるために、それらを第2またはさらに別の液体中に移送することができる。
【0023】
複数の個別磁石から構成することもできる、永久磁石を配置することによって、実質的に均質な磁場が生成される。このようにして、それぞれの棒材において磁場がほぼ同じ大きさになるように、より多数の棒材を、例えば数列に配置することが可能であり、これは、大量処理工程の再現性に関して、特に有利である。本発明による装置のさらなる利点は、―磁化状態の―磁性粒子が、棒材の先端において実質的に蓄積されること、およびそれによって、それに付着する、分離しようとする物質を比較的少ない溶出体積において受容することができることである。これによって、分離しようとする物質の高い濃度が保証され、このことは、診断試験または分析試験において本質的に重要である。
【0024】
基本的に、当業者に知られている任意の硬質磁気材料、特にフェライト、Al−Ni−Co合金および希土類磁石(好ましくはNdFeB)を使用して、永久磁石を製作することができ、そのような磁性材料および磁石は、様々な製造企業によって市販されている。
【0025】
ヘッドピースに取り付ける磁化可能な棒材の数は、同時に処理すべき最大サンプル数、すなわち液体コンテナにおける凹部(「ウエル(well)」)の最大数によって決まる。コンテナとしては、好ましくはマイクロタイタープレート、特に96384または1536ウエルを含むものが使用され、この場合に、対応する数の磁化可能な棒材が設けられる。さらに、やはりコンテナとして適するのは、例えば、0.015〜100mlの体積のサンプルチューブまたは反応容器であり、これらは、それぞれの場合にそれに適合された磁化可能な棒材と組み合わせて、個々にまたは群として処理することができる。
【0026】
磁化可能な棒材、任意選択でヘッドピースも、好ましくは軟質磁性材料、例えば軟鉄(特に、Fe−Ni合金)または磁化可能な鋼で製作される。その長さおよび断面積は、意図する応用目的、特にコンテナの寸法および液体の体積によって決まり、それに応じて変えることができる。複数(例えば、96384個または1536個)の棒材の群を使用する場合に、これらの棒材は、それぞれ同じ長さ、厚さ、および材料特性のものである。棒材は、任意選択で内部を中空とし、すなわち管として形成してもよく、好ましくは下端を閉止する。より具体的には、棒材は、以下にさらに詳細に述べるようにシェルとして形成してもよい。
【0027】
一般的に、磁石棒材は、実質的に垂直で互いに平行になるように、配向されており、群または配設内の個々の棒材は、好ましくは、それぞれの隣接棒材まで同一距離に配置される。従来型マイクロタイタープレートのウエルの配設に対応する、棒材の格子状配設は、特に好ましい。
【0028】
したがって、本発明は、複数の磁化可能な棒材(4)がベースプレート(9)に取り付けられ、前記棒材が、実質的に互いに平行に、好ましくは、1列または2列以上に配向される、磁化可能な棒材の配設も包含する。
【0029】
ヘッドピースに永久的または着脱可能に連結された磁化可能な棒材は、好ましくは、厚さが0.5mm〜10mm、特に1〜5mmである。棒材の長さは、好ましくは1〜20cm、特に5〜10cmである。棒材と(上記の)ヘッドピースを永久的に連結するには、当該技術において従来から使用される手段(例えば、接着剤接合、ネジ込み結合、溶接)を利用してもよい。
別の態様によれば、ヘッドピース(棒材なし)は、全体的または部分的に非磁性材料または磁化不能材料で製作してもよい。
【0030】
磁化可能な棒材を着脱可能に取り付けるために、棒材は、好ましくは、締め付け結合によってヘッドプレートに連結する。例えば、ヘッドピースにはその底側に、棒材をその中に挿入することのできる、対応する凹部または穴を設けてもよい。代替的に、管状の棒材、または少なくともその上端に凹部を有し、ヘッドピースの底側に設けた対応するピンまたは突起に被せることのできる棒材を使用してもよい。
【0031】
好ましくは、ヘッドピースには、棒材とヘッドピースの間の締め付け結合を開放し、それによって棒材を使用後に未使用の棒材と交換すべきときに、棒材を押し出すか、または廃棄する機構を設ける。これは、好ましくは電動駆動によるか、または空気圧式、電磁気式または液圧式の手段によるか、あるいはそれらの組合せによって達成してもよい。
【0032】
好ましい一態様によれば、磁化可能な棒材は、ベースプレート上に配設されて、それとともにユニットを形成する。この場合に、ベースプレートは、ヘッドピースと着脱可能に連結できることが好ましい。任意選択で、ベースプレートおよびその上に位置する棒材は、一体に製作してもよい。
【0033】
棒材がそれに取り付けられたベースプレートは、既知の材料を用いて、成型品の製造方法、例えば深絞り法、押出し法、溶接、接着接合、などによって製造することができる。好ましくは、ベースプレートおよびそれに連結された棒材からなるユニットは、使い捨て品として製造かつ使用される。
【0034】
別の好ましい態様によれば、ベースプレートには複数の磁化可能な棒材が設けられ、この磁化可能な棒材は、1列または2列以上に配置され、各列が複数の列を含む。棒材は、好ましくは、例えばマイクロタイタープレート(特に96384または1536ウエルを有するマイクロタイタープレート)の凹部の配設に一致する、正方マトリックスに配置される。ベースプレートは、一般に、長方形または正方形の水平投影を有する。
【0035】
着脱可能に取り付けた(その上に棒材を配置した)ベースプレートを使用することによって、装置を簡単に変換して、例えば、異なる種類のマイクロタイタープレートに適するようにすることができる。
上記ベースプレートとヘッドピースの着脱可能な連結は、当業者に知られた方法、例えば把持装置、チャッキング装置または締め付け装置、レバー類、ばね類、その他によって達成することができる。
【0036】
特に有利な態様によれば、本装置には、棒材、または棒材を取り付けたベースプレートを、ヘッドピースと着脱可能に連結し、かつ/またはヘッドピースから取り外す手段が設けられる。前記手段は、好ましくは、電動駆動によるか、または空気圧式、電磁気式もしくは液圧式の手段によって、あるいはそれらの組合せによって作動される。このようにして、ベースプレートの受入れ、取付け、廃棄を、自力作動式(self-actuated)または自動式に行うことができ、これらの動作は、例えば、プログラムによって制御することができる。
【0037】
本発明の別の、特に好ましい態様においては、前記棒材(複数を含む)は、それらが永久的または着脱可能に、あるいはベースプレート有りまたは無しで、ヘッドペースに連結されているかに関わらず、それぞれに、はぎ取り可能(strippable)で、交換可能なシェルが設けられている。その利点は、このシェルは、個々の動作サイクル間で交換および更新が可能であり、その結果として異なるサンプル間の相互汚染およびサンプル材料の持ち越し(carry-over)を防止することができることである。
【0038】
好ましくは、シェルは、棒材の寸法に応じて、それらが締め付け結合によって棒材に取り付けられるように、寸法決めされる。棒材上でのシェルのすべりを容易にするために、シェル群を、分配装置(dispensing device)上に設けて、分配装置上のシェルの配置は、それぞれの棒材の配置(例えば、マイクロタイターにおける個々の凹部間の距離に対応する配置)に対応させるのが好ましい。
【0039】
複数のシェルが互いに連結されて、共通ユニットを形成すれば、特に有利である。このようにすると、シェルを交換することが、かなり容易になる。好ましくは、そのようなユニット上のシェルの数と配置は、それぞれ磁化可能な棒材の数と配置に対応する。
【0040】
本発明はまた、本発明による装置のいずれかに使用するのに適する、シェルの配設、特に、前記装置の磁化可能な棒材の上に被せることが可能であり、実質的に互いに平行に配置される、複数のシェル(8)を有する配設も包含する。好ましくは、シェルは、1列または2列以上に配置され、各列は2列以上の磁化可能な棒材を含む。
【0041】
上記のシェルは、既知の材料、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、テフロン(登録商標)、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、塩化ポリビニルなどのプラスチック、またはステンレス鋼、ブリキ板(tinplate)、アルミニウム箔などの金属材料、あるいはそのような材料の組合せから、当業者に知られている方法(より具体的には、射出成型または深絞りによって)で製造することができる。
【0042】
さらに、シェル、または共通ユニットを形成するように連結されたシェルを、(上述のような)磁化可能な材料から製造することが可能である。この場合には、磁化可能なシェル、またはユニットを形成するように連結された磁化可能なシェルが、上記の磁化可能な棒材、またはベースプレートに連結された磁化可能な棒材の機能を果たす。好ましくは、シェルの群から構成されるユニットは、使い捨て可能なものとして製造かつ使用することにより、汚染を排除する。
【0043】
別の好ましい態様によれば、本発明による装置は、交換可能なシェル、または共通ユニットを形成するシェルを、棒材または装置のヘッドピースの位置で受けて収納する手段、および/または(それぞれヘッドピースから)棒材から取り外すか、または廃棄することのできる手段を備える。前記手段は、好ましくは、電動駆動によるか、または空気圧式、電磁式、もしくは液圧式の手段によるか、あるいはそれらの組合せによって動作される。このようにすると、シェルの受け入れ、取り付けおよび廃棄を、機械的または自動的に、特にプログラム制御による方法で行うことができる。
【0044】
さらにこの装置には、個々のシェル、シェルの配設、または互いに連結されたシェルを自動的またはプログラム制御式に(例えば、ラックまたは分配装置に)供給し、それらを棒材またはヘッドピースによって受けることができるようにする、装置類を設けてもよい。
【0045】
シェル、または共通ユニットを形成するシェルの交換を可能にするために、シェルは、(前述のように)締め付けによって棒材に取り付けてもよく、それに対して代替的または追加的に、例えば、当業者には知られている方法、例えば掴み装置、チャッキング装置または締め付け装置、レバー類、ばね類、その他によって、棒材または/およびヘッドプレート、あるいは装置のその他の部分に、シェルを取り付けてもよい。
【0046】
さらに好ましい態様によれば、装置のヘッドピースを可動式に配設して、駆動装置によって推進できるようにされる。駆動装置として好適なのは、特に、電動式、空気圧式、電磁式もしくは液圧式の駆動手段、またはそれらの組合せである。
【0047】
好ましくは、以下に示す1つまたは2つ以上の種類の動きを行うことができるように、ヘッドピースの配設が可動にされる:
・水平面内の並進運動(translatory movement)、
・いずれの場合も水平面内の円経路、楕円経路または不規則経路に沿った運動、
・垂直方向での運動。
前記垂直方向は、実質的に垂直に配向された磁化可能な棒材の、縦方向に実質的に対応する。
【0048】
垂直方向の運動は、特に、棒材をサンプル液体中に浸漬するとともに、棒材を液体から引き出す働きをする。水平方向の運動は、特に、動揺運動および振動運動(例えば、円形動作または軌道シェーカー(orbital shaker)により行われる種類の運動)を行うのに使用することができる。上記の種類の動きを達成するのに好適な機構は、当業者には知られている。
【0049】
磁性粒子を分離するには、そのような粒子を含有する液体を磁化可能な棒材の下方に導入する。この目的で、冒頭で述べた種類のコンテナを使用することができる。好ましくは、この目的で、棒材の下方に配置することのできる、少なくとも1つの保持装置を設け、その結果として、棒材は容器の開口部に向かって配向されている。この保持装置は、例えば、ホルダプレート(holder plate)の形態に構成してもよい。
【0050】
保持装置は、好ましくは、可動式に配設されて、駆動装置によって推進することができ、それによってサンプル容器を、棒材の下に位置する領域と該領域の外側の位置に交互に配置することができる。
【0051】
本発明は、特に、保持装置が本質的に水平面において1つまたは2つ以上の方向で可動であり、その代わりに、またはそれに加えて、保持装置は垂直方向に可運にしてもよい。
好ましくは、保持装置は、以下に示す1つまたは2つ以上の種類の動きを行うことのできるように、可動式に配設される:
・水平面内の並進運動;
・それぞれ水平面内の、円経路、楕円経路または不規則閉止経路に沿った運動;
・垂直方向における運動。
前記垂直方向は、磁化可能な棒材(4)の縦方向に実質的に対応する。
【0052】
保持装置の駆動装置として、電動式、空気圧式、電磁式もしくは液圧式の駆動手段、またはそれらの組合せを使用するのが好ましい。
特に、保持装置およびその駆動装置は、動揺動作または振動動作を実行するのに使用できるように構成してもよい。それに必要な構築方法は、基本的に当業者には知られている。
【0053】
さらに別の態様によれば、ヘッドピースと保持装置を可動式とし、特に動揺動作を行えるようにされる。それによって、棒材がその中に浸漬されるときに、サンプル液体の特に効率的な混合を達成することができる。
本発明の別の態様によれば、装置は可動保持装置を備え、ヘッドピースは固定式に配設される。
【0054】
本発明のさらに別の特に有利な態様によれば、保持装置は、プログラム制御式実験室ロボットシステムの構成要素である。好ましくは、前記コンテナまたはそのようなコンテナの群、特にマイクロタイタープレートの内の、複数の個別コンテナが、前記棒材の下方の位置に移動し、続いて事前設定可能な時間間隔後に、再び棒材の下方にある領域外の位置へと交互に移動する。それによって、高いサンプル処理量を達成することができる。
【0055】
前述の態様に関係して、さらに好ましくは、開ループ制御または閉ループ制御用の装置を設け、それを用いて、保持装置(複数を含む)の上方への運動によって、液体で充填されているコンテナ中に棒材が浸漬されるように、保持装置(複数を含む)の垂直方向の運動を調節または制御することができる。
冒頭で述べたように、好ましい一態様による装置の動作モードは、永久磁石(複数を含む)をヘッドピースの上方に配置するとともに、その後にその位置からそれを引っ込めることが可能であることに基づいている。
【0056】
磁場を起動または停止するために、永久磁石(複数を含む)の運動を可能にするために、この目的で設けられる装置内に、磁石またはいくつかの磁石の群を、交換可能、回転可能または傾動可能に配設してもよい。変位、回転または傾動させることによって、磁石の極、したがってその磁場が磁気回路の方向を指す(起動状態、棒材の位置において最大磁場強度)位置へと磁石を動かすか、または、そこから発生する磁場がヘッドピースの棒材を磁化しない(停止状態)、別の位置にそれを動かすことができる。磁石(複数を含む)はまた、中間位置まで変位、回転、傾動させて、最大値より低い、磁化可能な棒材における磁場強度を達成してもよい。
【0057】
好ましい態様によれば、永久磁石(複数を含む)の運動は、永久磁石(複数を含む)を変位可能に配設し、それが変位(または引張り力)によって、外部からヘッドピースの上方に位置する領域中に移動し、次いで再び前記領域外に移動することができるようにすることによって可能になる。変位を可能にするために、永久磁石を、例えばレール、ローラーまたはギアラック上に支持してもよい。
【0058】
さらに別の好ましい態様によれば、永久磁石(複数を含む)の運動は、永久磁石(複数を含む)がそれによってヘッドピースの上方に動き、次いでそこから離れることのできる、回転可能または傾動可能な装置上に、永久磁石(複数を含む)(1)を配設することによって可能になる。
【0059】
永久磁石の運動(例えば、傾動、回転、変位)は、直接または間接的に、あるいは手操作によるか、または好ましくは電動式、空圧式、電磁気式、液圧式の駆動手段、またはそれらの組合せを備える、駆動装置によって達成することができる。これらの駆動手段は、一般に当業者に知られており、やはり駆動装置に必要とされる、別の構成要素(例えば、ギアユニット、リンク機構)も同様に知られている。
さらに、好ましい一態様では、永久磁石(複数を含む)の運動の範囲(例えば、回転角度または傾動角度、変位距離)が、好ましくは事前設定可能であるように装備される。
【0060】
本発明の別の好ましい態様によれば、プログラム制御されたプロセッサが、装置に関連して、それに接続される。前記プログラム制御式プロセッサは、以下に示す装置の機能の少なくとも1つを開ループ制御または閉ループ制御すること、あるいは以下に示す機能の少なくとも2つを協調または同期させることを可能にする。
【0061】
永久磁石(複数を含む)の運動、特に、永久磁石(複数を含む)が磁化可能な棒材の上方に位置している時間間隔;
水平方向または/および垂直方向におけるヘッドピースの運動、特に動揺動作または振動動作の持続時間、周波数および振幅;
ヘッドピースへベースプレートを着脱可能に取り付ける手段、およびヘッドピースからベースプレートを取り外す手段の作動;
【0062】
シェルを棒材の位置に保留する手段、および棒材からシェルを取り外す手段の作動;
コンテナまたはコンテナの群を、棒材の下方に交互に配置するとともに、その後にその位置から取り外すための保持装置の運動、特に運動の速度および周波数、ならびに棒材の下方での保持装置の滞留時間;
【0063】
棒材/複数棒材をコンテナ(複数を含む)の液体中に浸漬するとともに、それをそこから取り外すための、保持装置の垂直運動、特に浸漬深さ、持続時間および周波数;
それが設けられる場合には、保持装置の回転動作、動揺動作または振動動作、特に回転速度、回転振幅、および個々の動作段階間の間隔。
【0064】
本発明による装置は、サンプル材料を自動処理するための他の装置と有利に組み合わせることができる。さらに、本発明による装置の2つ以上を並べて配置して、互いに組み合わせてもよい。
【0065】
したがって、本発明は、下記の手段の1つまたは2つ以上が、それに関連付けされいる、上記の種類の装置も包含し、前記手段の機能は、好ましくは、前記装置の機能と共通制御(common control)によって調和されている:
1つまたは2つ以上のサーモスタット温度調節可能な加熱手段または冷却手段;
液体、特に試薬を計量添加するための、1つまたは2つ以上のピペットステーション;
コンテナから液体を排出するための、1つまたは2つ以上の吸込み手段;
コンテナに収納された液体を動揺または相互混合する1つまたは2つ以上の手段;
特に、測光計測またはルミネセンス検出のための分析装置。
【0066】
本発明は、磁場を使用して、磁性粒子または磁化可能な粒子を液体から分離する方法をさらに含み、この方法は、上述した装置の1つを使用して実行することができる。これらの本発明の方法は、好ましい態様によれば、次のステップを含む:
a)粒子を含有する液体中に、装置の少なくとも1つの磁化可能な棒材を浸漬するステップ、
b)磁化可能な棒材に対して永久磁石の位置を変えることによって磁場を起動し、それによって棒材が磁化されて、粒子が実質的に棒材の下端に蓄積されるステップ、
c)液体から、付着する粒子といっしょに、棒材を取り外すステップ。
【0067】
本発明による装置および方法は、標的物質を、物質の液体混合物または溶液から分離するため、および/またはその中に混合するために、有利に使用することができる。この目的で、磁化可能な棒材は、粒子に特異的しかし可逆的に結合した標的物質を含有する液体中に浸漬される。標的物質としては、例えば、抗体類、酵素類、レセプター類、配位子類、薬学的に活性な物質類および核酸類がある。これらは、また、他の物質との複雑な混合物の形態で存在することもあり、この場合には、標的物質は、後者の結合特性に応じて、磁化可能な粒子に特異的に結合される。
【0068】
さらなる動作ステップにおいて、磁石粒子を、付着している標的物質といっしょに適当な洗浄溶液中で洗浄するのが好都合であることがある。例えば、そのような洗浄過程は以下のように行われる。
d)所定の量の洗浄液中に、それに付着する粒子とともに、棒材を浸漬するステップ;
e)永久磁石の位置を反対側に変更することによって磁場を停止させ、それによって粒子が液体中に放出されるステップ;
f)混合するステップ;
g)永久磁石(複数を含む)の位置を変化させることによって棒材を磁化させ、それによって粒子が実質的に棒材の下端に蓄積されるステップ;
h)洗浄液から棒材を引き上げるステップ。
【0069】
多くの場合に、磁性粒子に結合させた後、かつ後者を分離した後に、標的物質を磁性粒子から溶離させるのが望ましい。したがって、本発明のさらに別の態様によれば、この方法に、下記の追加のステップが含まれる。
i)粒子から標的物質を溶離させる所定量の溶離液中に、それに付着する粒子といっしょに、棒材を浸漬するステップ、
k)溶離液から棒材を引き出し、その工程の間、粒子が棒材に付着したままになっており、それによって液体から分離されるステップ。
【0070】
純度および収量を向上させるために、ステップb)またはd)の後に、磁場を停止させることによって、粒子を液体中に放出し、その後に、磁場を起動することによって、棒材上に粒子を再蓄積させるのが有利である。混合は、例えば、保持装置または/およびヘッドピースを動揺させることによって、達成することができる。
【0071】
本発明による上記の装置の1つを使用することによって、上記の方法を特に簡便かつ迅速に実行することが可能である。本発明による装置および方法は、冒頭に述べた応用分野において、特に大量処理方法に対して特に有利に使用することができる。
【0072】
さらに好ましい一態様によれば、本発明による方法において、例えば、相互汚染を回避するために、磁化可能な棒材は、2つの作業サイクル間または2つの処理ステップ間で交換かつ更新するようにされる。したがって、そのような方法は、下記のステップの少なくとも1つを追加で含む。
1)第1の群の磁化可能な棒材、または連結されて共通ユニットを形成する複数の棒材を、1つまたは2つ以上の配列された永久磁石を含む装置に、着脱可能に取り付けるステップであって、磁化可能な棒材に対する前記永久磁石の相対位置が変更可能である前記ステップ、
m)第1の群の磁化可能な棒材を、装置から分離するか、またはそこから廃棄するとともに、装置に着脱可能に取り付けられる第2の群の磁化可能な棒材で置き換えるステップ。
【0073】
この対策に対して代替的にまたはそれに追加して、本発明の方法のさらに別の態様によれば、磁化可能な棒材にシェルが装着され、このシェルは、試薬または相互汚染の持ち越しを回避するために、作業サイクル間、または2つの処理ステップ間において交換し、更新される。
【0074】
したがって、そのような方法は、下記のステップの少なくとも1つを追加で含む。
n)第1の群のシェル、または連結されて共通ユニットを形成するシェルを、請求項1に記載の装置の磁化可能な棒材の上に被せるステップ、
o)第1の群のシェルを、装置の磁化可能な棒材から剥ぎ取るか、またはそれから廃棄するとともに、棒材上に被せられる第2の群のシェルで置き換えるステップ。
【0075】
次に、添付の概略図を参照して、本発明を例を挙げて説明する。特に断らない限り、参照番号は、全図面において同じ意味を持つ。図面は、単に概略表現のために過ぎないので、実際の寸法比はそれと変わってもよい。
【0076】
図1Aおよび1Bは、本発明による装置(10)の一態様を側面図で示し、図1Aは起動状態、図1Bは停止状態を示している。装置(10)は、レール(2)上に変位可能に配置され、水平面内を矢印(a)の方向に動かすことのできる永久磁石(1)を有する。装置の静止フレーム(図示せず)は、磁化可能なロッドまたは棒材(4)がそれに取り付けられている、ヘッドピース(3)を支持する。ロッドの下には、垂直に変位可能な保持装置(6)がある。保持装置上には、液体のサンプルを受け入れるための複数の凹部を有するサンプルコンテナ(7)が配置され、前記コンテナナは、例えば、保持装置(6)に着脱可能に固定してもよい。
【0077】
ヘッドピース(3)は、駆動ユニット(5)と連結されており、それによって、ヘッドピースを、それに取り付けられたロッドといっしょに動かすこと、好ましくは矢印(b)で示すように、水平面内での動揺動作を行わせることができる。
保持装置(6)は、保持装置の上下方向の運動(矢印c)を可能にする駆動ユニット(図示せず)を備える。シェル(8)は、棒材(4)の上に被せるか、またはそれに締め付け留めされる。
棒材は、ヘッドピースと永久的に連結されるか、あるいは、着脱可能にヘッドピースに連結される。
【0078】
図でわかるように、図1Aにおける磁石(1)は、本質的にヘッドピースおよび磁化可能な棒材の上方の位置にあり、その結果として、棒材を磁石によって磁化させることができる。それによって、棒材(7)の両端部で磁場が生成され、これを使用して磁気粒子を吸引することができる。図1B(停止状態)において、磁石は、この位置から移動しており、棒材(4)上方には位置しない。
図1Cは、図1Aおよび1Bに示す装置の修正形態を示し、シェル(8’)は、その上端において互いに連結されて共同でユニットを形成している。
【0079】
図2A〜2Cは、装置(10)の別の態様を示し、この場合には、複数の棒材(4)が、規則配列で、ベースプレート(9)と連結されて、それとともにユニットを形成している。好ましくは、プレート(9)は、ヘッドピース(3)に着脱可能取り付けられ、この場合に、ヘッドピースは、好ましくは、ヘッドピースによるプレートの自動保持および自動排出を可能にする、保持・排出装置(図示せず)を装備する。図2Aは起動状態を、図2Bは停止状態を示す。
【0080】
図2Cは、本発明のさらに別の有利な態様(起動状態)を示し、ヘッドピースおよび磁石を含むユニット全体を、好ましくは、上述の種類の駆動手段によって上下方向に動かすことができる。この場合には、保持装置(6)の垂直方向の可動性は省くことができる。
【0081】
図2Dは、本発明のさらに別の有利な態様を示し、この場合には、棒材(4)をそれに取り付けたベースプレート(9)の代わりに、互いに連結されてユニットを形成する一群のシェルまたは中空棒材(8’’)が使用されており、この場合に、シェルは磁化可能な材料でできている。
図3は、本発明の装置の、別の態様を示しており、サンプル容器を保持する保持装置(6)を、駆動ユニット(5’)によって水平方向(矢印d)に動かすことができる。
【0082】
図4は、本発明のさらに別の態様を示し、それぞれがヘッドピース(3)、磁化可能な棒材(4)、および保持装置(6)を有する2つのユニットを互いに組み合わせて、磁石(1)を、レール(2)を介して、一方または他方のヘッドピース(3)の上方に交互に配置することができる。
上記の装置および方法は、冒頭に述べた方法および技法において有利に使用することができるとともに、それらを異なる要件に簡単に適合させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1A】本発明による装置(10)の一態様の起動状態を示す側面図である。
【図1B】本発明による装置(10)の一態様の停止状態を示す側面図である。
【図1C】図1Aおよび図1Bに示す装置の修正形態を示す側面図である。
【図2A】本発明による装置の別の態様を示す図である。
【図2B】本発明による装置の別の態様を示す図である。
【図2C】本発明による装置の別の態様を示す図である。
【図2D】本発明による装置の別の態様を示す図である。
【図3】本発明による装置の別の態様を示す図である。
【図4】本発明による装置の別の態様を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁場を使用して磁性粒子または磁化可能な粒子を液体から分離する装置であって、
固定的または着脱可能にそれに連結された、1つまたは2つ以上の磁化可能な棒材(4)を備えるヘッドピース(3)と、
1つまたは2つ以上の永久磁石(1)であって、前記ヘッドピースに対する該磁石(複数を含む)の相対的位置を、該磁石(複数を含む)の事前設定可能な運動、または/およびヘッドピースの事前設定可能な運動によって変更することのできる、前記1つまたは2つ以上の永久磁石(1)とを含む、前記装置(10)。
【請求項2】
磁化可能な棒材(4)がベースプレート(9)に取り付けられて、それと共にユニットを形成し、前記ベースプレートはヘッドピース(3)と着脱可能に連結されているのが好ましいことを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
それぞれが複数の棒材(4)を含む1つまたは2つ以上の行に配置された、複数の磁化可能な棒材(4)が、プレート(9)に設けられていることを特徴とする、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
棒材(4)を、または該棒材(4)といっしょにそれが取り付けられたベースプレート(9)を、ヘッドピースに着脱可能に連結すること、および/またはそれから取り外すことのできる手段を有し、該手段は、好ましくは電動駆動によるか、または空気圧式、電磁式もしくは液圧式の手段によるか、あるいはそれらの組合せにより作動されることを特徴とする、請求項2または3に記載の装置。
【請求項5】
棒材(複数を含む)(4)に、はぎ取り可能で、交換可能なシェル(8)がそれぞれ設けられていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
共通ユニット(8’)を形成する、複数のシェルを有することを特徴とする、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
交換可能なシェル(8)、または共通ユニットを形成するシェル(8’)を、それによって棒材(4)の位置、またはヘッドピース(3)の位置に保留するか、または前記棒材(4)またはヘッドピース(3)から取り外すことができる手段を有し、該手段は、好ましくは、電動駆動によるか、または空気圧式、電磁式もしくは液圧式の手段によるか、あるいはそれらの組合せにより作動されることを特徴とする、請求項5または6に記載の装置。
【請求項8】
ヘッドピースは、可動式に配設されるとともに、駆動装置によって動かすことができ、該駆動装置は、好ましくは、電動式、空気圧式、電磁式、または液圧式の駆動手段、またはそれらの組合せを含むことを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の装置。
【請求項9】
ヘッドピース(3)が、以下に示す種類の動きの1種または2種以上を実行することのできるように、可動式に配設されていることを特徴とする、請求項8に記載の装置:
水平面内の並進運動;
それぞれ水平面内の、円経路、楕円経路または不規則経路に沿った運動;
磁化可能な棒材(4’)の縦方向に実質的に対応する、垂直方向の運動。
【請求項10】
1つまたは2つ以上のサンプル容器(7)用の保持装置(6)を有することを特徴とする、請求項1から9のいずれかに記載の装置。
【請求項11】
保持装置(6)が可動式に配設されていること、およびサンプル容器(7)を棒材(4)の下方にある領域内、または該領域外に配置できるように、前記保持装置(6)を駆動装置によって推進することができ、前記保持装置(6)の前記駆動装置は、好ましくは、電動式、空気圧式、電磁式、または液圧式の駆動手段、あるいはそれらの組合せを含むことを特徴とする、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
保持装置(6)は、以下に示す動きの1種または2種以上を実行することができるように、可動式に配設されていることを特徴とする、請求項10または11に記載の装置:
水平面内の並進運動;
それぞれ水平面内の、円経路、楕円経路または不規則経路に沿った運動;
実質的に磁化可能な棒材(4’)の縦方向に対応する、垂直方向の運動。
【請求項13】
保持装置(6)は、プログラム制御式実験室ロボットシステムの構成要素であって、コンテナ、またはそのようなコンテナ(7)の群、特にマイクロタイタープレートの内の、複数の個別コンテナが、前記棒材(4)の下方位置へと移動し、続いて事前設定可能な時間間隔後に再び棒材の下方にある領域外の位置へと、交互に移動するように適合されていることを特徴とする、請求項10〜12のいずれかに記載の装置。
【請求項14】
保持装置(6)の垂直運動を、開ループ制御ユニットまたは閉ループ制御ユニットによって調節または制御することによって、保持装置(6)の上方運動によって、液体で充填されたコンテナ(7)中に棒材(4)が浸漬されるようすることができることを特徴とする、請求項10〜13のいずれかに記載の装置。
【請求項15】
ヘッドピースまたは/および保持装置が、動揺運動または振動運動を行うことができることを特徴とする、請求項1〜14に記載の装置。
【請求項16】
ヘッドピースが永久的に取り付けられていることを特徴とする、請求項1〜14のいずれかに記載の装置。
【請求項17】
永久磁石(複数を含む)(1)が変位可能に配設され、それによって、前記磁石が、ヘッドピース(3)の上方に位置する領域の外部から内部へと移動し、次いで再び前記領域から外に移動できることを特徴とする、請求項1〜16のいずれかに記載の装置。
【請求項18】
永久磁石(複数を含む)(1)が、回転可能または傾動可能に配設されていることを特徴とする、請求項1〜17のいずれかに記載の装置。
【請求項19】
永久磁石(複数を含む)の運動が、好ましくは、電動式、空気圧式、電磁式、または液圧式の駆動手段、あるいはそれらの組合せを含む駆動装置によって達成されることを特徴とする、請求項1〜18のいずれかに記載の装置。
【請求項20】
プログラム制御式プロセッサが、装置に関連づけされて、それと接続されており、それによって、該装置の下記の機能の少なくとも1つが、開ループ制御または閉ループ制御可能であるか、あるいはそれによって下記の機能の少なくとも2つを互いに調和させることができることを特徴とする、請求項1〜19のいずれかに記載の装置:
永久磁石(複数を含む)(1)の運動、特に該磁石(複数を含む)が磁化可能な棒材(4)の上方に位置している時間間隔;
水平または/および垂直方向のヘッドピース(3)の運動、特に動揺動作または振動動作の持続時間、周波数および振幅;
ヘッドピース(3)へベースプレート(9)を着脱可能に取り付ける手段、および前記ヘッドピースから前記ベースプレートを取り外す手段の作動;
シェル(8)を棒材(4)の位置に保留する手段、および棒材(4)から前記シェル(8)を取り外す手段の作動;
コンテナ(7)またはコンテナの群を、棒材(4)の下方に交互に配置し、その後にその位置から取り外すための保持装置(6)の運動、特に運動の速度および周波数、ならびに棒材の下方での保持装置の滞留時間;
棒材(単数または複数)(4)をコンテナ(複数を含む)(7)の液体中に浸漬するとともに、それをそこから取り外すための保持装置(6)の垂直運動;特に浸漬深さ、持続時間および周波数;
それが設けられる場合には、保持装置(6)の回転動作、動揺動作または振動動作、特に回転速度、回転振幅および個々の動作段階間の間隔。
【請求項21】
請求項1〜20の一項または二項以上に記載の装置であって、下記の手段の1つまたは2つ以上が該装置に関連付けされており、前記手段の機能が前記装置の機能と共通制御によって調和されていることを特徴とする、前記装置:
1つまたは2つ以上のサーモスタット温度調節可能な加熱手段または冷却手段;
液体、特に試薬を計量添加するための、1つまたは2つ以上のピペットステーション;
液体をコンテナから吸込みによって排出するための、1つまたは2つ以上の吸込み手段;
コンテナに収納された液体を動揺または相互混合する1つまたは2つ以上の手段;
特に測光計測またはルミネセンス検出のための分析装置。
【請求項22】
請求項1〜21のいずれかに記載の、磁性粒子または磁化可能な粒子を分離する装置において使用される、磁化可能な棒材の配設であって、複数の磁化可能な棒材(4)がベースプレート(9)上に配置され、前記棒材(4)は、互いに実質的に平行に配向され、好ましくは、それぞれが2つ以上の棒材を含む、1つまたは2つ以上の行に配置されることを特徴とする、前記配設。
【請求項23】
磁化可能な棒材(4)が、好ましくは、特に深絞りによって一体部品に製作されるベースプレート(9)と共に、ユニットを形成することを特徴とする、請求項22に記載の配設。
【請求項24】
請求項1〜21のいずれかに記載の、液体から磁性粒子または磁化可能な粒子を分離する装置おいて使用するためのシェルの配設であって、前記装置の磁化可能な棒材に被せることのできる複数のシェル(8)が、実質的に互いに平行に、好ましくは、それぞれが2つ以上の棒材を含む、1つまたは2つ以上の行に配置されることを特徴とする、前記配設。
【請求項25】
シェル(8)が、特に深絞りによって好ましくは一体部品に製作された、共通ユニット(8’)を形成するように、連結されていることを特徴とする、請求項24に記載の配設。
【請求項26】
請求項1〜21のいずれかに記載の装置によって実行することのできる、磁場を使用して液体から磁性粒子または磁化可能な粒子を分離する方法であって、下記のステップを含む前記方法:
a)粒子を含有する液体中に、装置の少なくとも1つの磁化可能な棒材を浸漬するステップ;
b)磁化可能な棒材に対する永久磁石の位置を変更することによって磁場を起動し、それによって棒材が磁化されて、粒子が実質的に棒材の下端に蓄積されるステップ;
c)液体から、付着粒子といっしょに、棒材を取り外すステップ。
【請求項27】
ステップ(a)で使用する液体が、粒子に特異的であるが可逆的に結合した標的物質を含有することを特徴とする、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
下記の追加のステップを特徴とする、請求項27に記載の方法:
d)所定の量の洗浄液中に、それに付着する粒子といっしょに、棒材を浸漬するステップ;
e)永久磁石の位置を反対側に変更することによって磁場を停止させ、それによって粒子が液体中に放出されるステップ;
f)混合するステップ;
g)前記永久磁石(複数を含む)の位置を変更することによって前記棒材を磁化させ、それによって粒子が実質的に棒材の下端に蓄積されるステップ;
h)前記洗浄液から棒材を引き上げるステップ。
【請求項29】
下記の追加のステップを特徴とする、請求項27または28に記載の方法:
i)粒子から標的物質を溶離させる所定量の溶離液中に、それに付着する粒子といっしょに、棒材を浸漬するステップ:
k)溶離液から棒材を引き出し、この工程の間、粒子が棒材に付着したままになっており、それによって液体から分離されるステップ。
【請求項30】
下記のステップの少なくとも1つを追加で含む、請求項26〜29のいずれかに記載の方法:
l)第1の群の磁化可能な棒材、または連結されて共通ユニットを形成する複数の棒材を、1つまたは2つ以上の配列された永久磁石(1)含む装置に着脱可能に取り付けるステップであって、前記磁化可能な棒材に対する前記永久磁石の相対位置が変更可能である前記ステップ;
m)前記第1の群の磁化可能な棒材を、前記装置から分離するか、またはそれから廃棄するとともに、前記装置に着脱可能に取り付けられる第2の群の磁化可能な棒材で置き換えるステップ。
【請求項31】
以下に示すステップの少なくとも1つを追加で含む、請求項26から30のいずれかに記載の方法:
n)第1の群のシェル、または連結されて共通ユニットを形成するシェルを、請求項1に記載の装置の磁化可能な棒材の上に被せるステップ;
o)第1の群のシェルを、前記装置の前記磁化可能な棒材からはぎ取るか、または廃棄するとともに、前記棒材の上に被せられる第2の群のシェルで置き換えるステップ。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−529018(P2008−529018A)
【公表日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−553515(P2007−553515)
【出願日】平成18年1月28日(2006.1.28)
【国際出願番号】PCT/EP2006/000747
【国際公開番号】WO2006/081995
【国際公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【出願人】(504191752)ヒェマーゲン ビオポリマー−テヒノロギー アーゲー (2)
【Fターム(参考)】