説明

液体の急速加熱装置および方法

本発明に係る液体加熱装置はタンク、電極及び導電液体を含む。タンクに導電液体と電極が入っていて、電極は導電液体に電流が流れるように連結される。また、この装置は電解質を入れておく電解質供給容器を含む。電解質供給容器はタンクに電解質を供給するようにスイッチング可能に連結される。また、この装置は導電液体において消費される電気エネルギーの変数を決定するための電気変数検知スイッチおよび電気変数検知スイッチが設定値とは異なる電気変数を検知する時に導電液体に電解質を自動で添加するように連結されたコントローラを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連文献と優先権)
本出願は2008年8月13日に提出された米国仮出願第61/088,720号「オーム液体加熱(Ohmic Liquid Heating)」を参照し組み込み、その恩恵を主張する。また本出願は2009年5月16日に提出された米国仮出願第61/178,970号「連続的なオーム給湯機能を備えた食品スチーマー容器(Food Steamer Containers with Sequential Ohmic Water Heating)」を参照し組み込み、その恩恵を主張する。本出願は、2009年8月13日に提出された米国出願第__号、代理人整理番号221−003号「連続的なオーム給湯機能を備えた食品スチーマー容器(Food Steamer Containers with Sequential Ohmic Water Heating)」(「221−003号出願」)と関連し、参照し組み込む。
【0002】
本発明は液体の加熱に関し、具体的には、液体に電流を流して液体を加熱するシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
標準電気抵抗を利用して液体を加熱する場合、抵抗要素に電流が流れ、電気エネルギーが熱に変わる。熱い電気抵抗要素から液体に熱が伝達されて液体が加熱される。この方式は、家庭用−商業用温水装置(例;食器洗い機)は勿論、工業用処理過程にも広く適用される。水を加熱する時には、電気抵抗要素の表面温度が加熱される液体より遥かに高いために問題が生じる。このように表面温度が高いほど、液体内の化学物質と不純物が反応をして、沈殿し、熱い電気抵抗要素の表面に付着され、石灰層を形成する。時間が経つほど、この石灰層が厚くなって断熱層として作用する。このように断熱された電気抵抗要素は益々熱くなってエネルギーを浪費するようになる。表面温度がさらに高くなれば、電気抵抗要素が燃える場合もある。また、電気抵抗要素によって液体を加熱する場合、先ず、抵抗要素で消費される電気エネルギーが電気抵抗要素を加熱した後、表面の石灰層を加熱してから液体を加熱するため、液体を加熱するのに時間がかかる。
【0004】
この問題を解決するためには、電気抵抗要素の石灰層を周期的に除去すると、電気抵抗要素が燃えることを防止し、頻繁な取り替えも防止することができる。しかし、石灰層を除去するのには時間と費用が追加されることは勿論、環境に悪い有毒性化学物質も使わなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来のこのような問題点を解決するために導き出されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る液体加熱装置はタンク、電極及び導電液体を含む。タンクに導電液体と電極が入っていて、電極は導電液体に電流が流れるように連結される。また、この装置は電解質を入れておく電解質供給容器を含む。電解質供給容器はタンクに電解質を供給するようにスイッチング可能に連結される。また、この装置は導電液体において消費される電気エネルギーの変数を決定するための電気変数検知スイッチおよび電気変数検知スイッチが設定値とは異なる電気変数を検知する時に導電液体に電解質を自動で添加するように連結されたコントローラを含む。
本発明は液体加熱方法も提供する。この方法は電極が入っているタンクを提供するステップ;電極の間に導電液体を流動させるステップ;導電液体の導電率を調節するシステムを提供するステップ;電極の間の導電液体に電流を流すステップ;電流を検出するステップ;および導電液体の導電率を自動で調節して所望の電流を得るステップ;を含む。
また、本発明は複数のタンク区間、入口、出口、電極および隔壁を有する液体加熱装置も提供する。液体と電極がタンク区間に入っていて、液体は電極の間で電流を通過させる導電率を有し、隔壁はタンク区間の間にある。
本発明の他の液体加熱方法は電極が入っているタンクと液体を提供するステップ;電極の間に液体を流動させるステップ;電極の間に電圧を供給し、電極の間の液体に電流を流すステップ;および電圧変化なしで電流だけを調節して設定電流を提供するステップ;を含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
上記の説明は、明確にするため原寸大ではない添付の図面に描かれているように、以下の詳細な説明から明らかになる。
【図1a】複数組の電極を有するタンク区画、電極間にある圧力のかかった導電液体、電解質供給源、および導電液体の導電性を高めるための電解質を提供するコントロールシステムを含む、本発明に係る液体加熱装置の一例の断面図である。
【図1b】他の実施態様による、図1aの液体加熱装置のタンク内の液体が大気圧状態にある時のタンクの斜視図である。
【図2a】図1aの液体加熱装置の展開図である。
【図2b】図1aの液体加熱装置の組み立て状態の斜視図である。
【図2c】図1aの液体加熱装置中の隔壁と電極と電線を示す斜視図である。
【図3】図1aの液体加熱装置の電気回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1a〜bに示すように、加熱流入液体(19)を含む本発明に係る液体加熱装置(18、18’)のタンク(20、20’)の第1区間と第2区間(20a、20c)に各々3相電極(22、23)が配置される。一例として、3相電極22は電極板(22a−22a’、22b−22b’、22c−22c’)で構成され、3相電極23は電極板(23a−23a’、23b−23b’、23c−23c’)で構成される(図2a〜c参照)。タンク(20、20’)に入っている導電液体(24)はタンク(20、20’)の外面とは電気的に絶縁される。このような液体加熱装置(18、18’)は、冷たい流入液体24を加熱したり、予熱された液体の温度を高めたり、液体の温度を維持したりするのに使われる。
【0009】
タンク(20、20’)はスチール(steel)のような金属で製作され、内側面はフッ素重合体、ガラス、ポーセリン(porcelain)のような誘電体25でコーティングされる。タン(20、20’)は、絶縁されるか、ボックスやコンテナ(図示せず)の中に包装されてもよく、或いは、絶縁されたまま、コンテナの中に包装されてもよい。タンク(20、20’)が低圧用である場合、プラスチックのような誘電体で作ることもできる。
【0010】
一実施形態では、液体加熱装置(18、18’)は、タンク20に入る水のような流入液体19の温度を高めるのに使われる。流入液体19は、供給源から直接供給されるか、他の液体加熱装置によって予熱されるか前処理された後に供給されることができる。例えば、温度150Fの流入液体19が液体加熱装置(18、18’)によって200Fに加熱されることができる。
【0011】
流入液体19としては、水ベースのものまたは多量の水を含む、例えば、海水、廃水、牛乳、血液、体液、前処理された食べ物のスラリー、有機廃処理混合液、洗浄液、ビール、ワインなどは勿論、エタノールやグリコールのようなアルコールや熱伝達液のようなパラフィン系物質を含むことができる。流入液体19が水ベースのもの以外であれば、電解質26はその液体に合うように導電溶質を含有する。電極(22、23)の間には、流入液体19が流れるのではなく、流入液体19に電解質26が混合された導電液体24が流れ、これにより、より多くの電流が流れる。電流が流れる導電液体24はタンク(20、20’)内に残留する間に熱を発生させる。
【0012】
流入液体19に電解質26を添加した導電液体24は流入液体19と比べ導電率が上昇する。電解質26は固体や液体であってもよい。一例として、電解質26そのものが電解質物質を含有した溶液、具体的には、塩化ナトリウム、塩化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、クエン酸三ナトリウム(trisodium citrate)、水酸化ナトリウム、塩酸、硝酸アンモニウム、硝酸、酢酸のような電解質を含有した水溶液であってもよい。洗浄剤、リンス、金属保護剤またはこれらの混合物も電解質26と共に添加されてもよい。
【0013】
液体加熱装置(18、18’)の電解質供給容器28は供給パイプ30aを介してタンク区間20aに連結される。電解質の供給は、ポンプによるか、重力による。引き込みパイプ30bにおいて電解質26が添加された流入液体19はタンク区間20aに入る(図1a参照)。一方、図1bに示すように、流入液体19は引き込みパイプ30dを介してタンクに入り、これとは別に電解質26は引き込みパイプ30cを介してタンク区間20aに入ることもできる。
【0014】
一方、電解質供給容器28が液体加熱装置(18、18’)から離れていてもよく、例えば、電解質塩を含有した水溶液を供給する軟水器を電解質供給容器として使うこともできる。
【0015】
プロトタイプにおいては、電解質26は塩化ナトリウム濃度30、000ppmを含む塩化ナトリウム水溶液である。この電解質26は水7ガロンに塩小さじ1/4を混ぜたものである。米国バーモント州のウィヌースキ(Winooski)市の生活用水を用いる場合、本来の生活用水中の塩化ナトリウムの濃度は90ppmであったが、これに電解質26を添加して塩化ナトリウムの濃度を数百ppmにした。
【0016】
液体加熱装置(18、18’)は、電極(22、23)に流れる電流を検知する電流検知スイッチ36と、タンク区間20aに入る電解質26の量を自動で調節するために電流検知スイッチ36の情報を利用するコントローラ38とを含むことができる。
【0017】
流入液体19が生活用水であり、電解質26が30、000ppmの塩化ナトリウム水溶液である上記のプロトタイプにおいて、電流検知スイッチは電流を検知し、電解液を調節するのに使われる。本発明においては、32アンペアの電流が流れる電極(22、23)の電極板対の間に208Vがかかるようにする導電率を有する生活用水を供給するのに十分な量の電解質26を提供するために電流検知スイッチを利用した。32アンペアは、電力供給用壁面コンセントから得ることができる最大50アンペアの60%より大きい値である。電流設定値を壁面コンセントの定格電流の70%や80%まで高めることもできる。電極(22、23)の電極板の間の導電液体24に電流が流れれば、導電液体の温度がタンク(20、20’)入口39の150Fからタンク出口40の200Fに上昇する。このように加熱された温水は市販の食器洗い機の殺菌洗浄に用いられる。時間当たり293ガロンの洗浄水を供給しようとするのであれば、タンク(20、20’)に生活用水が入る時、小型ポンプを使って30、000ppmの塩化ナトリウム溶液を混ぜた後、導電液体24が電極の間にある間に十分な電流を流して温度を50F上げる。タンク(20、20’)から流れ出る導電液体24の塩化ナトリウム濃度を測定したところ、450ppmであった。
【0018】
液体加熱装置(18、18’)は家庭用暖房にも使うことができる。この目的として用いられる流入液体19は放熱器と液体加熱装置(18、18’)との間を循環する水である。一方、温水を受ける装置が温水水道蛇口、シャワーヘッド、温水供給タンク、洗車機、プールヒーター(pool heater)、その他の温水を用いる工業用処理機であってもよい。この場合、タンク(20、20’)の入口39の生活用水の温度は室温以下である。出口40から温水を供給する液体加熱装置(18、18’)は予め温水の温度に設定されている。入口39に到着する水は軟水器から電解質を受けて導電性を有することもできるが、この水が本来に電解質を含有した循環水である場合にも導電性を有する。
【0019】
タンク(20、20’)に流れる導電液体24の電解質濃度を上げるか下げて所望の電流が流れるようにすることができる。電解質濃度を上げようとするのであれば電解質26をさらに注入する。一例として、生活用水がタンク(20、20’)に入る間に電解質26をより長くポンピングすればよい。電解質濃度を下げようとするのであれば、生活用水がタンク(20、20’)に入る間に電解質26をより短くポンピングすればよい。すなわち、液体24内の電解質の濃度をいずれの方向にも変えることができる。
【0020】
導電液体24に溶解している電解質の濃度を上げると導電液体24の導電率が高くなって、与えられた電圧においてより多い電流が流れる。電流の増加に比例して発熱量も増加し、これは、発熱量が電流と電圧の積であるためである。同じく、電解質の濃度が減少すれば発熱量も減少する。
【0021】
電解質供給容器28から引き込みパイプ30を介してタンク(20、20’)に電解質26を供給するためにポンプ41を連結するが、このようなポンプの一例としては、米国フロリダ州のケープコーラル市所在のGreylor Companyで販売するモデルナンバーPQM−1/230のギアーポンプが好適であるが、Pulsafeeder社のMec−o−maticシリーズのモデルナンバーVSP20のポンプとIdex社のポンプも使うことができる。
【0022】
図4a、4bのように、プロトタイプにおいて、本発明者らは、平常時に開放された電流検知スイッチ36と平常時に閉じられた電流検知スイッチ42でコントローラ38を実現した。このような電流検知スイッチとしては、米国オハイオ州クリーブランド市のEaton社のECSNOASPとECSNCASPを使うことができる。電流が32アンペア以下に落ちれば、通常開いている電流検知スイッチ36が閉じられてポンプ41が作動し、バルブ110が開かれる。電流が38アンペアに達すれば、通常閉じている電流検知スイッチ42が開かれる。
通常閉じている電流検知スイッチ42は過電流安全装置のように動作して電流検知スイッチ36と直列連結され、過電流に対する安全措置をする。電流が設定値、例えば38アンペアを超過すれば、電流検知スイッチ42が開かれてポンプ41が止まり、タンク(20、20’)への電解質26の流入も止まる。電流が38アンペア以下に落ちれば、通常閉じている電流検知スイッチ42が閉じられ、32アンペア以下に落ちれば、スイッチ(42、36)が2つとも閉じられ、ポンプ41がポンピングを再開して電解質26がタンク22aに流入され、電流を再度32アンペアの範囲に高める。
【0023】
本実施例において、ポンプ41とバルブ110が同時に作動すれば、ポンプ41が停止した時の電解質供給容器28への配管圧力の逆流が防止される。
【0024】
場合によっては、電解質26が重力の作用によって供給されたりもする。電流検知スイッチ36が、電流が32アンペアより低いことを検知すれば、スイッチ36が閉じられ、ソレノイドバルブ110が開かれる。ソレノイドバルブ110が開かれれば、電解質26が重力によってタンク(20、20’)に入る。いずれの場合にも、電解質26がタンク(20、20’)に自動で添加されれば、電流および電圧が所望の熱量を出すことができる。
【0025】
その逆に、電解質26の添加なしでタンクに液体19だけが入れば、タンク(20、20’)内部の導電液体24内の電解質の濃度が低くなって、液体に流れる電流が弱くなる。したがって、加熱された導電液体24がタンク(20、20’)から出て行き、新しい流入液体19がタンクに入り、タンク(20、20’)内部の導電液体24の導電率を調整しながら所望の電流を流れるようにすることができる。
【0026】
入口39と出口40を各々誘電体スペーサ(51、53)を利用して金属パイプ(30、54)において絶縁すれば、漏れ電流が金属パイプ(30、54)に流れることを防止することができる。誘電体スペーサ(51、53)を接地ケーブルに連結し、導電液体24を漏電遮断機に連結することができる。漏電遮断機があるため、接地電流が閾値を越える場合、タンク(20、20’)に流れる全ての電流が遮断される。タンク(20、20’)がそのもので接地されることもできる。
【0027】
タンクの出口40は、食器洗浄用温水56を用いる家庭用や業務用に用いられる食器洗い機のような装置(図示せず)に連結される。
【0028】
図1bのタンク(20、20’)は高圧ではない大気圧状態にあり、タンク(20、20’)内部の水位検知浮遊スイッチ(図示せず)がタンクの入口39に連結されたソレノイドバルブの動作を制御する。浮遊スイッチとしてはMadison社のM8700を使うことができる。
【0029】
タンク(20、20’)は隔壁によって区切られた3個の区間(20a〜c)に分けることができ、予熱された生活用水は第1区間20aの底部62にある入口39に入る(図1a〜b参照)。塩水の電解質26は第1区間20aに添加され、導電液体24を提供する。
【0030】
導電液体24は、第1区間20aにおいて、第1電極22の電極板(22a−22a’、22b−22b’、22c−22c’)の間で電気によって加熱される。加熱された液体24は第1区間20aの上端68まで上昇した後、第1隔壁78の上端76の孔74を通過して中間区間20bに入り、次に、第2隔壁90の底部88の孔86を通して第3区間20cに入った後、ここで第2電極23の電極板(23a−23a’、23b−23b’、23c−23c’)の間で電気によって加熱される。このように加熱された導電液体は第3区間20cの上端102まで上昇した後に出口40を通して排出される。
【0031】
生活用水に溶解された固体は水に沈殿されずに電極板(22a−22a’、22b−22b’、22c−22c’、23a−23a’、23b−23b’、23c−23c’)に付着される石灰層を形成しないことが明らかになっており、これは、一般的な電気抵抗式ヒーターとは正反対の現象である。液体内にある電極(22、23)が液体と同じ温度にない時に石灰沈殿物が生じるが、本発明の液体加熱装置は、一般的に、これより遥かに高い温度において動作する。したがって、本発明の装置は、一般の電気抵抗ヒーターのような故障修理や沈殿物除去作業が軽減または不必要である。
【0032】
タンク中間の第2区間20bは、電極がなく、温度に応じた水の成層化(stratification)を防止して装置の作動を改善する役割をする。また、タンクの区間ごとに水がとどまる時間を最大化することができる。すなわち、タンク(20、20’)が初めに空いていれば、第1区間20aに水が完全に満たされた後に隔壁78上端の孔76を通して第2区間20bに水が入るようにして、第1区間20aに水がとどまる時間を最大にすることができる。このように加熱された水は、第2隔壁90底部の孔86を通して第3区間20cの底部から満たされて区間を満たした後に、第3区間上端の出口40を通して出るため、第3区間20cに水がとどまる時間も最大となる。
【0033】
大気圧状態において、導電液体24が食器洗い機によってタンクの第3区間20cから出れば、浮遊スイッチ55によってソレノイドバルブ110が作動し、150Fに予熱された生活用水がタンクの第1区間20aに入る。浮遊スイッチはコネチカット州ブランフォードのMadison社のM8700である。第1区間20aに入った150Fに予熱された生活用水は、この区間の導電液体24の電解質濃度と導電率を下げ、その結果、第1区間20a内部の第1電極板(22a、22b、22c)の間を流れる電流を下げる。設定点より下がった電流を検知した電流検知スイッチ36は、ポンプ41を作動させ、第1区間20aに電解質26をさらに供給する。このようになれば、導電液体24の導電率が上昇し、電極(22、23)の電極板の間に流れる電流量を高め、その結果、タンク区間(20a、20c)の熱量を高める。ポンプ41が持続的に作動して電流量が32アンペアの設定点に達すれば、電流検知スイッチ36によってポンプ41が停止し、タンク区間20aに対する電解質26の供給が中断される一方、電流は電極22,23の間を流れ続ける。ポンプ41が動作と停止を繰り返し、電流量を32アンペアに維持しつつ、出口40に達する水の温度を設定温度に達するようにすることができる。
【0034】
図1aの高圧状態においては、浮遊スイッチ55が不必要であり、タンクの3区間(20a〜c)は配管圧力によって充填状態を維持し続ける。
【0035】
図1a〜bと図3に示すように、タンクの第1区間20aと第3区間20cにおいて液体24の温度を測定するが、使われた温度センサ(112、113)はK型サーモカップルである。温度センサ(112、113)に連結された温度調節器114は、温度が設定点(プロトタイプにおいては200F)に達した時、電極(22、23)に流れる電流を遮断する種類を使う。そうすれば、導電液体24の過熱が防止され、最小の電気を使って所望の温度を得ることができる。サーミスタ(thermister)のような他種類の温度センサも使うことができる。プロトタイプにおいては1つの電源から両側電極に電気を供給し、温度調節器114としてはAthena Control社のECM−40モデルを使った。
【0036】
図3の回路図によれば、端子130を介して供給された3相交流電力がリレーセット(138、140)を通して電極(22、23)に供給される。リレーセット138は3個の固体状態リレー(138a〜c)を備え、リレーセット140は3個の固体状態リレー(140a〜c)を備え、固体状態リレーがそれぞれの位相を担当する。リレーセット138の負荷側は電極22の各個電極板(22a〜c)に連結され、リレーセット140の負荷側は電極23の各個電極板(23a〜c)に連結される。リレーセット138の負荷側は電極22の各個電極板(22a’〜c’)に連結され、リレーセット140の負荷側は電極23の各個電極板(23a’〜c’)に連結される。これらのリレーセット(138、140)としては、サンディエゴのCrydom社のCWD2450モデルを使うことができる。
【0037】
メイン電力スイッチ132、高温安全スイッチ134および208V−18V変圧器136を通して温度調節器114に電力が供給される。温度調節器114は、2個の温度センサ(112、113)の温度値を利用して、タンク区間20aやタンク区間20cの温度をより上げる必要があるか否かを決定する。一方や両側区間をさらに加熱する必要があれば、温度調節器114がリレーセット(138または140)のコイルに電圧出力信号を送り、各区間の電極の間に電流が流れるようにリレーを閉じる。一方、タンク区間(20a、20c)の各々に温度調節器があってもよい。温度調節器114としてはAntunes Control社のDCHコントローラを使うことができる。
【0038】
高温安全スイッチ134は、過熱を防止して、オペレーターや液体加熱装置(18、18’)が損傷されることを防止するためのものである。安全スイッチ134はバイメタル型スイッチであって、タンク(20、20’)の外部に設置され、表面温度を監視する。表面温度が安全スイッチ134の設定温度以上に上昇すれば、安全スイッチが開かれ、電極22,23に電流が流れず、導電液体24の加熱も中断される。温度が下限値以下に落ちれば、安全スイッチ134は自動で閉じられた状態にリセットされる。水を200Fまで加熱するシステムの場合、安全スイッチ134は上限温度250Fと下限温度220Fに設定することができる。
【0039】
電極(22a〜c、22a’〜c’)は黒鉛板で製作される(図2〜3参照)。黒鉛板は4”x9”の大きさを有し、1.688インチの間隔をおいて設置される。図2a〜bに示すように、それぞれの黒鉛板は、直径0.125”のチタニウム棒からなる電線120に連結されたチタニウム板のブラケット121に設置され、チタニウム棒はタンクカバー122の絶縁ブッシングを貫通する。黒鉛電極は電気抵抗液体加熱装置より寿命が長いということが明らかになった。
【0040】
一方、タンク(20、20’)が1個の区間だけを有してもよい。1つのタンク区間に1個、2個またはそれ以上の電極を使うことができる。勿論、2個区間を使うこともできる。2個区間の場合、隔壁の上端に孔が配置される。タンク20の区間が4個以上であってもよい。高い流量で流れる導電液体24を加熱するために、より多い電極を追加タンクに設置することができる。
【0041】
今までは3相交流電圧源を例に挙げて説明したが、単相システムも利用することができる。例示した実施例では208Vシステムを使ったが、480V、240V、120Vなどのいずれの電圧も使うことができる。定電圧源を備えた制御システムについて説明したが、定電流源を備えるか、液体の導電率に応じて変わる電圧源を備えた制御システムを用いることもできる。
【0042】
一例として、図3のように、1つの電源を両側タンク区間(20a、20c)の電極(22、23)に並列に連結する。どのタンク区間(20a、20c)に導電液体24があっても、瞬間導電率の最も高いところに最も多い電流が流れ、最も多い熱量が出る。導電液体24が流れると、区間20cの電流と区間20aの電流が等しくなるが、導電液体24が区間20aから区間20cに流れる間に若干の時間がかかる。一方、電極ごとに自体に電源があってもよいが、この場合、2個の電源が位相と電圧を同一に供給するか、位相や電圧を異にして供給することができる。
【0043】
標準3相208V電圧源のような交流電源46から電極22に電流が供給されることもできるが、1対の電極を備えた単相電源を使うこともできる。
【0044】
1つの電源が温度調節器114に連結された場合、それぞれの電極(22、23)に電流が独立に流れて全波電流を形成することができる。温度調節器114は、ここで組み込み参照している221−003号特許出願に記述されているようにパルス幅変調機能によってそれぞれの電極(22、23)に供給された電流を変調する。このような方式で設定温度に達する時までそれぞれの電極(22、23)に全波電流や半波電流を供給する。温度調節器114はそれぞれの電極(22、23)に方形波電流を供給し、2個電極のデューティサイクルを制御することもできる。スイッチをオン/オフしてそれぞれの電極にエネルギーの一部分を伝達する。
【0045】
温度調節器114は、第1周期の間に電極23ではない電極22にだけ電流を供給する回路を有する。この回路は、第1周期が終わり、第2周期には電極22ではない電極23にだけ電流を供給する。このようなサイクルが繰り返され、電流が電極22と電極23に順に供給される。一例として、周期を1/4秒にすれば、一方の電極は1/8秒の間隔をおいて、1/8秒の間にフル(full)電力を受けるが、この間、一方の電極はまったく電力を受け取らず、他方の電極はその逆にフル電力を受ける。このような方式で、2個のタンク区間において、両側区間の水が電流の供給を受け交代で加熱されるが、この電流は壁コンセントから供給可能な振る電圧と同じまたは近い電圧で壁コンセントから安全に供給される。50%のデューティサイクルで、それぞれの区間が壁面のソケットからほぼ最大の電流を受け、両側区間に供給された電力は標準直並列回路から得られるものより高い。並列連結の場合、タンク区間の間に電流を分け、タンクに相当低い電圧を要求して、統合電流が電源から得ることができる最大電流を超えないようにする。直列連結の場合、タンク区間の間に電圧を分け、各区間に供給される電力を下げる。このように伝導液体の伝導率を所望の値に維持しつつ電極に交代で電流を供給する本発明固有の並列構成においては、一方の電極をより長く停止させておいたまま、他方の電極は電源から得ることができる最大値付近の電流とフルライン(full line)電圧で使い続けることができるが、このような特徴は電極の直列構成からは得ることができないものである。
【0046】
加熱される液体の導電率を可変的にして、配線限界に近い所望の電流を供給しつつ最大電圧を持続的に供給すれば、最大電力が供給され、最大の熱量を得ることができる。デューティサイクルを調節すれば、所望する以上に温度が上昇することを防止することができる。デューティサイクルは正弦波をパルス波に変調すれば調節され、例えば、液体24の導電率が高すぎる時は正弦波を半波に変調する。電流を調節して液体24の導電率を変えることもできる。また、液体24の導電率は維持しつつ、電極(22、23)に連結された電源を選択的にオン/オフすることもできる。
【0047】
水の導電率を調節し、水に電流を直接流して水を加熱することが、電気抵抗液体加熱装置を使うことより遥かに迅速に加熱されるということが明らかになった。水そのものを加熱要素として用いれば、遅延なしで電気エネルギーを熱エネルギーに変えることができる。石灰沈殿がなければ、より迅速で効率的に加熱がなされる。
【0048】
このように水を直接加熱すれば、電気抵抗液体加熱装置の特有の熱伝達遅延による過熱問題が解決される。電気抵抗液体加熱装置において、熱伝達が遅れるということは、所望の温度を得た後にも電気エネルギーが持続的に供給され、エネルギーを浪費するというを意味する。
【0049】
本発明の液体加熱装置(18、18’)は、所望の結果を得るために予測できない状態においてもそのものの調節が可能である。時間当たり293ガロンの流量である場合、入口39から150Fの温度で供給される水に対して200Fの温度が必要であるが、供給水の温度が90Fの温度に降下すれば、液体加熱装置(18’)は電極(22、23)に電気が供給される時間を増やして水の温度が200Fになるように調節される。すなわち、供給水の低い温度を補充するのに必要な熱をさらに供給する。
【0050】
流入液体19に添加された塩は食器に残留物として全く残らない。本発明の装置は温水を食器洗い機に供給する瞬間湯沸かし器として有用である。このような瞬間湯沸かし器は食器洗い機に内蔵されることもできる。または、家庭用や営業用や工場用として冷水を1次加熱する用途に用いることもできる。
添付の図面と関連して、本開示の方法および装置が説明されたが、多用な変更が添付の特許範囲の請求に定義されるような本発明の精神および範囲を逸脱することなく可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電液体と電極が入っていて、前記電極は前記導電液体に電流を供給するように連結されたタンク;
前記タンクに電解質を供給するようにスイッチング可能に連結された電解質供給源;
前記導電液体において消費される電気エネルギーの変数を決定するための電気変数検知スイッチ;および
前記電気変数検知スイッチが設定値とは異なる電気変数を検知する時に前記導電液体に電解質を自動で添加するように連結されたコントローラ;を含むことを特徴とする液体加熱装置。
【請求項2】
前記変数が電流であり、前記電気変数検知スイッチが電流を検知し、前記電気変数検知スイッチが、前記電流が設定値未満であることを検知すれば、前記コントローラが前記導電液体に前記電解質を自動で添加することを特徴とする、請求項1に記載の液体加熱装置。
【請求項3】
前記電流を供給するための電源をさらに含むことを特徴とする、請求項2に記載の液体加熱装置。
【請求項4】
前記電解質を前記タンクに供給するための機構をさらに含み、前記コントローラは前記電解質を前記導電液体に自動で添加するように前記機構に連結されることを特徴とする、請求項1に記載の液体加熱装置。
【請求項5】
前記コントローラが前記機構の動作を制御することを特徴とする、請求項4に記載の液体加熱装置。
【請求項6】
前記機構がポンプまたはバルブであることを特徴とする、請求項4に記載の液体加熱装置。
【請求項7】
液体出口をさらに含み、前記液体出口が加熱された液体の使用箇所に連結されることを特徴とする、請求項1に記載の液体加熱装置。
【請求項8】
前記液体出口が食器洗い機に連結されることを特徴とする、請求項7に記載の液体加熱装置。
【請求項9】
前記タンクが第1区間と第2区間を有し、前記第1区間には第1電極があり、前記第2区間には第2電極があることを特徴とする、請求項1に記載の液体加熱装置。
【請求項10】
前記第1電極と第2電極に電気エネルギーを供給する電源があることを特徴とする、請求項9に記載の液体加熱装置。
【請求項11】
温度センサと温度調節器をさらに含み、前記温度調節器は、温度が設定値以下である時、電極に電気エネルギーを供給するように連結されることを特徴とする、請求項1に記載の液体加熱装置。
【請求項12】
a.電極が入っているタンクを提供するステップ;
b.前記電極の間に導電液体を流動させるステップ;
c.前記導電液体の導電率を調節するシステムを提供するステップ;
d.前記電極の間の前記導電液体に電流を流すステップ;
e.前記電流を検出するステップ;および
f.前記システムを利用し、導電液体の導電率を自動で調節して所望の電流を得るステップ;を含むことを特徴とする液体加熱方法。
【請求項13】
前記fステップにおいて、電解質を添加して導電液体の導電率を自動で調節することを特徴とする、請求項12に記載の液体加熱方法。
【請求項14】
前記導電液体が水を含み、前記電解質が塩を含むことを特徴とする、請求項13に記載の液体加熱方法。
【請求項15】
電解質を添加する時に前記塩を含有した溶液を添加することを特徴とする、請求項14に記載の液体加熱方法。
【請求項16】
前記fステップにおいて、コントローラを利用してポンプやバルブの少なくとも1つの動作を制御することを特徴とする、請求項12に記載の液体加熱方法。
【請求項17】
複数のタンク区間、入口、出口、電極、隔壁、および液体を有する液体加熱装置であって、
前記液体と前記電極が前記タンク区間に入っていて、前記液体前記は電極の間で電流を通過させる導電率を有し、前記隔壁は前記複数のタンク内のタンク区間の間にあることを特徴とする液体加熱装置。
【請求項18】
前記隔壁が上端部を有する第1隔壁を含み、前記第1隔壁の上端部において液体が通過することを特徴とする、請求項17に記載の液体加熱装置。
【請求項19】
前記隔壁が下端部を有する第2隔壁を含み、前記第2隔壁の下端部において液体が通過することを特徴とする、請求項18に記載の液体加熱装置。
【請求項20】
a.電極が入っているタンクと液体を提供するステップ;
b.前記電極の間に前記液体を流動させるステップ;
c.前記電極の間に電圧を供給し、前記電極の間の液体に電流を流すステップ;および
d.前記電圧変化なしで前記電流だけを調節して設定電流を提供するステップ;を含むことを特徴とする液体加熱方法。
【請求項21】
前記液体に電解質を添加して前記液体の導電率を自動で調節して、前記予め設定した電流を提供することをさらに含むことを特徴とする、請求項20に記載の液体加熱方法。
【請求項22】
壁面コンセントライン電圧と壁面コンセント最大電流を有する壁面コンセント回路を介して電力を供給し、前記電圧が前記壁面コンセントライン電圧と等しく、前記電流は前記壁面コンセント最大電流の60%以上であることを特徴とする、請求項20に記載の液体加熱方法。

【図1a】
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【図1b】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−500376(P2012−500376A)
【公表日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−523185(P2011−523185)
【出願日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際出願番号】PCT/US2009/053798
【国際公開番号】WO2010/019833
【国際公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(511096064)ウッド ストーン イデアス エルエルシー (1)
【Fターム(参考)】