説明

液体を微粒子に噴射する方法とノズル

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は液体を微粒子に噴射する方法とノズルに関し、とくに、液体を極めて小さい微粒子に噴射できる方法とノズルに関する。
【0002】
【従来の技術】液体を超微粒子にするノズルは種々の用途に使用されている。たとえば、薬液を空気中に噴霧して超微粒子とする用途に使用すると、人体に吸収されやすい薬剤を製造できる。
【0003】液体を超微粒子に噴霧するノズルとして、図1と図2に示すものが開発されている。図1に示すノズルは、液体を加圧して円筒状の空気路1に供給し、空気路1で空気と混合して先端から噴射して一次ミスト2とする。噴射された一次ミスト2は、互いに衝突されて二次ミスト3となり、さらに微細な粒子となる。この構造のノズルは、液体を10μm以下の微細な粒子に噴射できる。
【0004】図2に示すノズルは、二重管をしており、中心孔4から液体を、液体の周囲から加圧空気を噴射する。この構造のノズルは、中心から噴射された液体が周囲の空気に削られて小さい液滴となる。空気による削りは次第に液の中心部分に進んでいくが、このとき空気のスピードは徐々に低下して液滴が大きくなる。中央部に噴射される液体は、周囲の液滴が邪魔をして空気との混合が悪くなり、液滴が大きくなってしまう。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】図1と図2に示すノズルは、加圧空気で噴霧される液体を微細な液滴にできる特長がある。しかしながら、図1に示すノズルは、水のように付着性のない液体には使用できるが、付着性のある液体には使用できない。それは、数分も使用すると、ノズルの先端に噴霧された液滴が付着して乾燥し、しかもこれが次第に堆積して詰まってしまう欠点があった。このため、図1に示すノズルは、噴射する液体が特定され、種々の液体を微細な粒子で噴霧できない欠点がある。
【0006】図2に示すノズルは、液滴を微細な粒子とするために、中心孔4を極めて小さくして、液体を非常に細く噴射する必要がある。中心孔を太くすると、噴射される液滴が大きくなってしまうからである。このため、この構造のノズルは、液滴を小さくするためには、時間当りの噴霧量を極めて小さくする必要があり、処理量と液滴の微細化とは互いに相反する特性となり、両特性を満足できない欠点がある。ちなみに、粒子径を10μm以下とするノズルは、中心孔の内径を0.2mm以下とする必要がある。この内径のノズルの噴霧量は、乾燥重量で1時間に15gにすぎない。このように小さいノズルは極めて詰まりやすい欠点もある。
【0007】さらに、図1と図2に示すノズルは、いずれも、噴射される液滴がフルコーンで噴霧され、ホロコーンでは噴射できない。ホロコーンとは、液滴を筒状に噴射する状態であって、内部全体が液滴で充満されない状態である。これに対して、フルコーンは、筒状に噴射される液滴が内部まで充満される状態である。液体を微細な液滴に噴射するノズルは、空気中に噴射された液滴を急速乾燥し、あるいは空気中に気化させる用途に多く使用される。この用途に使用されるノズルは、液体をホロコーンで噴射するのがよい。フルコーンの液滴は、内部全体が液滴で満たされるので、中心部分の液滴を速やかに乾燥できず、あるいは、空気中に気化できないからである。
【0008】本発明は、従来のこれ等の欠点を解決することを目的に開発されたもので、本発明の重要な目的は、液体を極めて小さい微粒子に噴射できると共に、種々の液体を詰まらない状態で使用できる液体を微粒子に噴射する方法とノズルを提供することにある。
【0009】さらに、本発明の他の重要な目的は、単位時間当りの噴射量を多くして、しかも微細な液滴に噴射できる液体を微粒子に噴射する方法とノズルを提供することにある。
【0010】さらにまた、本発明の他の重要な目的は、必要ならば液体をホロコーンに噴射することも可能で、ホロコーンに噴射すると液体を、能率よく乾燥し、あるいは気化できる液体を微粒子に噴射する方法とノズルを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者は前記の目的を達成するために、図3に示す構造のノズルを試作した。この図のノズルは、中心から液体を噴射するのではなく、液体をリング状に噴射するために三重管構造としている。中心と外周から空気を噴射し、中間の供給口5からリング状に液体を噴射する。この構造のノズルを使用して、中心からは6.5kg/cm2のアトマイズエアーを、外周からは1kg/cm2のスプレッディングエアーを噴射して、粒子径を5μmとする微粒子を得ることに成功した。しかしながら、この構造のノズルは、液体を噴射する供給口5の調整が極めて難しく、調整がずれると微粒子の粒子径は20〜30μm以上に急激に大きくなった。供給口5は、内側リングと中間リングの相対位置で調整される。
【0012】本発明者はさらにこの欠点を解消するために、図4に示す構造のノズルを開発した。この図のノズルは、アトマイズエアーとスプレッディングエアーとを鋭角に衝突させて、微細な液滴を得ようして開発した。この構造のノズルは、アトマイズエアーとスプレッディングエアーの衝突角を25度に設計すると、10μm以下の微粒子が得られる。しかしながら、このことを実現するために、供給口5を構成するふたつのリング6の先端が極めて先鋭な角度となり、製作が極めて難しくなった。
【0013】本発明者は、微粒子を得るためには、二重管のノズルのように、液体を細い尖状に噴射するか、あるいは薄い膜状に噴射して、これを空気で微粒子とすることが必須の構成要件と考えていた。たしかに、この構造によって、液体を微細な液滴に噴霧できる。ただ、この構造を実現するためには、液体を噴射する供給口を極めて細くし、あるいはスリットを著しく狭くする必要があって、詰まりやすくて、時間当りの噴射能力が小さくなる欠点がある。
【0014】本発明の液体を微粒子に噴射する方法とノズルは、従来のこのような原理とは異なる新しい方法で液体を微粒子にして噴射することに成功したものである。本発明の液体を微粒子に噴射する方法は、この好ましい実施例を示す図5のように、供給口5から液体を傾斜面7に供給する。傾斜面7に供給された液体は、傾斜面7に沿って高速流動させる空気流で薄く引き伸ばされて薄膜流8となる。薄膜流8は空気流に加速されて傾斜面7の先端から気体中に噴射されて微粒子の液滴9となる。
【0015】さらに、本発明の請求項3に記載される液体を微粒子に噴射する方法は、その好ましい実施例を示す図6のように、尖鋭なエッジ7Aを境界としてその両面に設けられたふたつの傾斜面7の途中に液体を供給し、傾斜面7に供給された液体を、傾斜面7に沿って高速流動させる空気流で薄く引き伸ばして薄膜流8とし、さらにこの薄膜流8を傾斜面7の先端のエッジから気体中に噴射して、微粒子としている。
【0016】さらに、本発明の請求項4に記載される液体を微粒子に噴射するノズルは、下記の構成を備えている。このノズルは、液体を流動させて薄膜流とする傾斜面7を有し、この傾斜面7を流動する液体の薄膜流を空気中に微粒子として噴射するノズルを改良したものである。このノズルは、傾斜面7を液体の流動方向に平滑な面とすると共に、この傾斜面7に加圧空気を噴射して、傾斜面7に接触しながら、しかも、傾斜面7と平行に一定の方向に高速流動する空気流をつくる空気口10と、空気流を高速流動させている傾斜面7の途中に、空気流の流動方向に交差するように液体を供給する供給口5とを備える。供給口5から傾斜面7に供給された液体は、高速流動する空気流で平滑面に押し付けられて薄く引き伸ばされた薄膜流となり、薄膜流を空気流で空気中に微粒子として噴射することを特徴としている。
【0017】さらにまた、本発明の請求項5に記載される液体を微粒子に噴射するノズルは、以下の構成を備える。
(a) ノズルは、液体をリング状に噴射する供給口5と、この供給口5から噴射される液体を流動させる傾斜面7と、この傾斜面7に加圧空気を噴射する空気口10とを備える。
(b) 供給口5は所定幅のスリット状に形成されている。
(c) 供給口5は、リング状に形成されている。
(d) 供給口5は傾斜面7の途中に開口されている。
(e) 供給口5の傾斜面7に対する角度αは鈍角に設計されている。
(f) 傾斜面7は液体の流動方向に平滑面となっている。
(g) 空気口10は傾斜面7の途中に開口された供給口5に向かって開口されている。
(h) 傾斜面7の先端に尖鋭なエッジ7Aが設けられている。
(i) 空気口10がエッジ7Aの両面に開口されており、エッジ7Aの両面に加圧空気が噴射されるように構成されている。
【0018】さらにまた、本発明の請求項6に記載されるノズルは、空気路1にヘリカルリブ22を配設している。ヘリカルリブ22は、空気口10から噴射される空気をスパイラル状に回転して、均一に噴射させる。
【0019】さらに、本発明の請求項7のノズルは、エッジ7Aの両面に開口された空気口10に連通する空気路1に、軸方向に流動する空気をスパイラルに回転させるヘリカルリブ22を配設している。ヘリカルリブ22は、エッジ7A両面の空気口10から噴射される空気を互いに反対方向に回転するように設けている。
【0020】
【作用】本発明は、独特の状態で液体を微粒子にして噴射する。すなわち、本発明の液体を微粒子に噴射する方法は、図5に示すように、傾斜面7に沿って高速流動する空気流で、傾斜面7に送り出された液体を薄く引き伸ばして薄膜流8とする。傾斜面7に沿って流動する薄膜流8は、傾斜面7を離れるときに薄すぎて膜状態ではいられなくなり、表面張力で粉々にちぎれて微粒子の液滴9となる。本発明は、空気流で液体を薄膜流8として微粒子の液体にして噴射する。このため、従来のように、液体を薄膜状態で噴射することなく、液体を超微粒子にできる特長がある。このことは、液体の供給口5の詰まりを有効に防止でき、さらに、供給口5の加工を簡単にする。
【0021】さらに、図5に示すように、傾斜面7の先端に尖鋭なエッジ7Aを設け、このエッジ7Aでアトマイズエアーとスプレッディングエアーとを衝突させると、空気を激しく振動できる。空気振動は液体をさらに微粒子にする作用がある。
【0022】さらに、本発明のノズルは、傾斜面7の先端にリング状のエッジ7Aを設け、このエッジ7Aから液体を噴射させる構造として、ホロコーン状態で液滴を微粒子に噴射できる。ホロコーンで噴射される液滴は、効率よく乾燥、あるいは気化できる。
【0023】請求項6のノズルは、空気口10から均一に空気を噴射する。それは、空気路1に設けたヘリカルリブ22が、軸方向に流動する空気にスピンをかけるからである。スピンのかかった空気は、遠心力で管壁に押し付けられて、円周上に拡がる。そして、リング状スリットの空気口10に均一に流れ込み、均一に安定して噴射される。
【0024】さらに、請求項7のノズルは、請求項5のノズルを改良したもので、エッジ7Aの両面に開口された空気口10に連通する空気路1に、軸方向に流動する空気にスピンをかけるヘリカルリブ22を配設している。エッジ7A両面の空気口10から噴射される空気は互いに逆スピンとなって、エッジ7A先端でのミスト形成時、両空気のひねり作用が加わって、微粒子粉砕効果が上がり、より小さい微粒子を作る事ができる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための液体を微粒子に噴射する方法とノズルを例示するものであって、本発明は液体を微粒子に噴射する方法とノズルを下記のものに特定しない。
【0026】さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解し易いように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲の欄」、「作用の欄」、および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
【0027】図5に示す液体を微粒子に噴射するノズルは、液体をリング状に噴射する供給口5と、この供給口5から噴射される液体を流動させる傾斜面7と、この傾斜面7に加圧空気を噴射する空気口10とを備えている。
【0028】この図に示すノズルは、内側リング11と、中間リング12と、外側リング13を備える。内側リング11と中間リング12の間に供給口5を設け、内側リング11の中心にアトマイズエアーの空気路14を設け、中間リング12と外側リング13の間にスプレッディングエアーの供給路15を設けている。
【0029】内側リング11は外形を円柱状とし、中間リング12は内形を円柱状に加工し、内側リング11と中間リング12の間に、所定の幅のスリット状の供給口5を設けている。供給口5は、リング状に形成されており、スリット幅は、液体が詰まらない幅に設計される。本発明のノズルは、供給口5から液体を薄膜にして送り出す必要がない。液体は傾斜面7で薄く引き伸ばされて微粒子となって噴射されるからである。したがって、供給口5のスリット幅は、送り出される液体の流量、傾斜面7の長さ、傾斜面7に噴射されるアトマイズエアーの流速、供給口5の内径等を考慮して最適値に設計される。たとえば、供給口5のスリット幅は、0.2〜1.5mm、好ましくは0.4〜1mm、最適には約0.8mmに設計される。
【0030】供給口5の直径は、噴射する液体の流量、スリット幅の寸法等を考慮して最適値に設計される。供給口5の直径は、たとえば、1000g/分の液体を噴射するノズルにおいて、約50mmφに設計される。流量が大きくなると、供給口5は直径を大きく、流量が少なくなると直径を小さく設計する。
【0031】内側リング11の外周部と、中間リング12の先端面は、テーパー状に切削加工されて、傾斜面7となっている。内側リング11と中間リング12の傾斜面7は、内側リング11の傾斜面7に沿って噴射される流動する空気が、内側リング11と中間リング12の境界で乱流とならないように、同一平面に形成されている。内側リング11と中間リング12の傾斜面7が同一平面となるとは、内側リング11と中間リング12の傾斜面7に段差ができず、内側リング11の傾斜面7から中間リング12の傾斜面7に直線的に空気が流動される状態を意味する。このように、内側リング11と中間リング12の傾斜面7を同一平面のテーパー状に加工するには、内側リング11と中間リング12を連結してテーパー加工すればよい。さらに、傾斜面7は、ここに沿って流動する液体が乱流とならないように、液体の流動方向に沿って平滑面となっている。図に示すノズルの傾斜面7は、円錐状で全体を平滑面に仕上げている。
【0032】内側リング11と中間リング12に傾斜面7を設けることによって、傾斜面7の中間に供給口5が開口される。内側リング11と中間リング12に設けられる傾斜面7の傾斜角αは、供給口5の傾斜面7に対する角度が鈍角となるように、たとえば、100〜170度、好ましくは120〜160度、さらに好ましくは130〜160度、最適には約150度に設計される。傾斜角αは大きい方が液の流出が安定する。しかしスリット幅により傾斜角αは最適値が変わる。傾斜角αは、好ましくは、傾斜面7における供給口5の開口幅が2mmを越えないように設計される。
【0033】内側リング11の先端には中心リング16が配設され、この中心リング16と内側リング11との間に空気口10が開口されている。中心リング16は、図示しないが内側リング11に固定して所定の位置に配設されている。中心リング16は、外周面を内側リング11の傾斜面7に沿うテーパー状に加工している。中心リング16と内側リング11の間に形成される空気口10はスリット状で、ここから加圧空気を層流状態に噴射して、傾斜面7に沿って高速流動させる。
【0034】内側リング11の空気路14は加圧空気源Fに連結されている。空気口10は傾斜面7に沿って流動するアトマイズエアーを噴射する。空気源Fは、たとえば3〜20kg/cm2、好ましくは4〜15kg/cm2、さらに好ましくは4〜10kg/cm2、最適には約6.5kg/cm2の空気を空気口10に供給する。アトマイズエアーの空気圧を高くすると、傾斜面7に沿って高速流動する空気の流速が速くなって、液体をより効果的に薄く引き伸ばして液体を小さい微粒子の液滴9にできる。ただ、空気圧を高くすると特殊なコンプレッサーを必要とし、さらに消費エネルギーも大きくなるので、要求される液滴の粒子径と、消費エネルギーとを考慮して最適値に設計される。
【0035】さらに、図5に示すノズルは、アトマイズエアーに加えて、傾斜面7の外周にスプレッディングエアーを噴射している。ただ、スプレッディングエアーは必ずしも噴射する必要はない。スプレッディングエアーを噴射しないで、アトマイズエアーで液体を微粒子の液滴にして噴射できるからである。アトマイズエアーとスプレッディングエアーを噴射するノズルは、アトマイズエアーとスプレッディングエアーとを傾斜面7のエッジ7Aで衝突させて、液滴9をより小さい微粒子の液体にできる特長がある。さらに、スプレッディングエアーでもってホロコーンの角度を調整することもできる。また液体の性質によっては、エッジ7Aでの離れが悪く、スプレッディングエアー側に液逆流を起こす場合があり、スプレッディングエアーでもってこれを防ぐこともできる。
【0036】スプレッディングエアーは、中間リング12と外側リング13の間に設けられるスプレッディングエアー噴射口17から噴射される。スプレッディングエアーはアトマイズエアーに比較して低圧空気である。たとえば、アトマイズエアーを約6.5kg/cm2とするとき、スプレッディングエアーは約1kg/cm2とすることができる。スプレッディングエアーは、アトマイズエアーのように液体を強制的に薄く引き伸ばす必要がないので、たとえば、0.5〜3kg/cm2の範囲に設定できる。
【0037】アトマイズエアーとスプレッディングエアーの両方を噴射するノズルは、傾斜面7の先端を尖鋭なエッジ7Aとしている。中間リング12は先端面に傾斜面7を設け、先端の外周を円筒状に加工して、傾斜面7の先端にエッジ7Aを設けている。この形状の中間リング12は、傾斜面7の先端に(180度−傾斜角α)の尖鋭なエッジ7Aを形成できる。ただ、ノズルは、図示しないが、中間リング12の外周をテーパー状に加工して、エッジ7Aの角度を調整することもできる。
【0038】図5に示すノズルは、下記の状態で液体を微粒子の液体にして噴射する。
■ 内側リング11の中心に設けた空気路14に加圧したアトマイズエアーを供給し、中間リング12と外側リング13の間のスプレッディングエアー噴射口17にスプレッディングエアーを供給して、供給口5から液体を傾斜面7に送り出す。
■ 傾斜面7に供給された液体は、傾斜面7に沿って高速流動するアトマイズエアーで薄く引き伸ばされて薄膜流8となる。たとえば、傾斜面7に沿ってアトマイズエアーをマッハ1.5の流速で流動させて供給口5に液体を送り出し、薄膜流8の先端部での流速をアトマイズエアーの1/20とすれば、25.5m/sとなる。傾斜面7の先端に設けたエッジ7Aの直径を50mmとすれば、液体を1リットル/分で供給して薄膜流8の膜圧は4μmとなる。
【0039】■ 4μmの薄膜流8は、傾斜面7のエッジ7Aを過ぎると薄すぎて膜状態でいられなくなり、表面張力で粉々にちぎられて微粒子の液滴9となる。
【0040】■ 微粒子の液滴9は、エッジ7Aでアトマイズエアーとスプレッディングエアーが衝突し、摩擦して振動して液滴9をさらに小さい微粒子とする。
【0041】■ 微粒子の液滴9は、アトマイズエアーとスプレッディングエアーによって放射状に運ばれる。この状態をホロコーンという。ホロコーンのコーン角度は傾斜面7の角度で決定されるが、アトマイズエアーとスプレッディングエアーの噴射圧でも調整できる。
【0042】ホロコーンの状態で噴射された液滴9は、乾燥されて微粒子の微粉末となり、あるいは、空気中に気化される。液滴を微粉末にするか、あるいは気化させるかは、噴射する液体の種類で特定する。たとえば、液体に乾燥させると固体になる薬液を使用すると、微粒子の粉末となる。液体に水のように気化させると気体になるものを使用すると、噴霧された液体は気化される。
【0043】図6は、A液とB液を混合して微粒子の微粉末とするノズルを示す。この図に示すノズルは、図5に示すノズルの中間リング12を、内側中間リング12Aと外側中間リング12Bの二重管構造としている。内側中間リング12Aと外側中間リング12Bの間にB液の供給口5を設けている。リング状の内側中間リング12Aは、内側面と外側面にテーパー状の傾斜面7を設けてその先端を尖鋭なエッジ7Aとしている。外側中間リング12Bの先端面もテーパー状に加工して傾斜面7としている。外側中間リング12Bの傾斜面7は、内側中間リング12Aの傾斜面7と同一平面に連結している。
【0044】図6に示すノズルは、内側中間リング12Aの内側面と外側面に傾斜面7を有し、内側に設けられた傾斜面7にA液の供給口5を、外側の傾斜面7にB液の供給口5を設けている。A液とB液の両方を、アトマイズエアーで傾斜面7に薄く引き延ばしできるように、内側リング11の空気口10と、外側中間リング12B及び外側リング13の間のスプレッディングエアー噴射口17の両方から高圧のアトマイズエアーを噴射する。
【0045】この構造のノズルは、液体の状態では混合されないA液とB液とを噴射して、A液とB液を均一に分散させることができる。たとえば、A液には水に溶けない塩化メチレンベースの液体を、B液には水ベースの結合液を噴射することができる。ただ、この構造のノズルは、同じ液体を分岐してふたつの供給口から噴射することもできる。同じ液体をふたつに分岐して噴射すると、片方の供給口から噴射する液体の流量を半分にできる。このため、傾斜面の液体をより薄い薄膜流として微細な微粒子とすることができる。
【0046】この図のノズルから、互いに混合しないA液とB液を同時に噴射すると、図7に示すようになる。
■ A液は水ベースのB液とは溶け合わない。したがって、A液とB液の両方の液滴9が同時にできる。
■ 液滴9を60℃の熱風中に噴霧すると、A液の塩化メチレンが蒸発してA液の液滴9は乾燥して微粉末になる。
■ A液の液滴9が乾燥する状態になっても、B液の液滴9はまだ乾燥しない。B液は、水の一部が気化して濃度の高い液滴9の状態にある。そして、A液とB液の微粒子は互いに均一に分散している。
■ その後、B液の液滴9がA液の微粉末に付着し、あるものはA液の微粉末表面を覆い、またあるものはA液の微粉末を結合させる。
■ B液にコーティングされたA液の微粉末は互いに結合されてさらに大きな粒子に成長して造粒される。このように使用すると、図6に示すノズルは液体のスプレードライと、造粒とを同時にできる。しかも、A液とB液とを均一に分散して造粒できる特長がある。
【0047】また、以下のようにして、薬品Aと薬品Bの固体分散体を作ることができる。固体分散体とは、一次粒子を構成する成分が2種以上の物でこの成分である分子が混じり合って、固体を形成している物である。
【0048】薬品Aと薬品Bを混合した固体分散体を作る通常の方法は、薬品Aと薬品Bを、溶媒Cと溶媒Dの混液に溶解した溶液をスプレードライして得られる。しかし、薬品Aは溶媒Dによってゆっくりではあるが、分解を起こす性質があり、また薬品Bは、溶媒Cと溶媒Dの混液でないと溶解できないとする。そこで、薬品Aの分解を無くするために薬品Aを溶媒Cで溶かしてA液とし、薬品Bを溶媒Cと溶媒Dの混液で溶かしてB液とし、A液とB液を前記のノズルで噴霧する。エッジ7Aの両側に供給されたA液とB液は、エッジ7Aで混合されてミストとなって飛んでいく、そしてこのミストは、熱風中に噴霧されると、加熱されて沸騰蒸発を起こす。この時沸騰振動で2液は完全に混合され、そして乾燥し超微粉の固体分散体が得られる。この場合薬品Aが溶媒Dに出会うのは、ミスト状態でいる一瞬であるから分解は起こらず、品質の良い薬品Aと薬品Bの固体分散体が得られる。
【0049】図6に示すノズルは、内側中間リング12Aの内側と外側の両面に傾斜面7を設け、内側と外側の傾斜面7に2種の異なる液体を供給している。図8に示すノズルは、傾斜面7の途中に複数の供給口5を設けている。この構造のノズルは、複数の供給口5から数種の異質の液体を供給して、同時に噴霧することができる。供給口5に供給する液体の組合せによって、新しい特性をもった多機能複合粒子の製造が可能である。たとえば、あらかじめ加熱溶融した数種の液体を冷風中に同時噴霧したり、数種の溶け合う溶媒、または溶け合わない溶媒を用いて作った数種の溶液を熱風中に同時に噴霧する。このように、溶質、溶媒の選択、乾燥空気の温度設定により、目的にあった多機能複合粒子が製造できる。
【0050】さらに、図9と図10は、より微細な微粒子にできるノズルを示す。これ等の図に示すノズルは、図6に示すノズルと同じように、中間リング12を、内側中間リング12Aと外側中間リング12Bの二重管構造としている。内側中間リング12Aと外側中間リング12Bの間にB液の供給口5を設けている。リング状の内側中間リング12Aは、内側面と外側面の両面にテーパー状の傾斜面7を設けてその先端を尖鋭なエッジ7Aとしている。外側中間リング12Bの先端面もテーパー状に加工して傾斜面7としている。
【0051】傾斜面の拡大図を図11に示す。この図に示すように、内側中間リング12Aの傾斜面7は、供給口5の近傍において、その両側に位置する外側中間リング12Bと内側リング11の傾斜面7の延長線に対して多少段差を設けて低く設計している。この形状の傾斜面を有するノズルは、矢印で示すように傾斜面7に沿って流動する高速空気流が、供給口5から液体をスムーズに排出する特長がある。それは、内側中間リング12Aの傾斜面7が、両側の傾斜面7から突出しないからである。図示しないが、内側中間リング12Aの傾斜面7が、両側に位置する傾斜面7の延長線から突出すると、突出部に空気が衝突してスムーズに液体を排出できなくなる。
【0052】さらに、図11の拡大図に示すノズルは、内側中間リング12Aの傾斜面7を湾曲させて、先端部分を、隣接する傾斜面7の延長線から突出するように形成している。この形状をしている内側中間リング12Aの傾斜面7は、傾斜面7に沿って矢印の方向に高速流動する空気流が、先端部分で傾斜面7に強く押し付けられて、傾斜面7を流動する液体の薄膜流をより薄く引き延ばしできる。このため、この構造のノズルは、液体を極めて微細な、たとえば1〜5μmの微粒子として噴射できる特長がある。
【0053】この図に示すノズルは、外側中間リング12Bと、内側中間リング12Aと、内側リング11先端の角度を図に示すように設計すると、液体をホロコーンで噴射できる。
【0054】図5、図6及び図9に示すノズルは、スプレッディングエアー噴射口17と、空気口10を構成する中心リング16及び外側リング13の先端部分を通気性部材18で構成している。通気性部材18は、空気口10に圧入される空気を貫通して表面から噴射させる通気性を有する。通気性部材18は、たとえば、平均粒子径が約1μmであるステンレス製の焼結金属である。通気性部材18は、空気口10から噴射する空気の一部を表面から噴射して、中心リング16と外側リング13先端部分の表面にミストが付着するのを防止する効果がある。
【0055】さらに、図12は、ホロコーンとフルコーンの両方に微粒子を噴射できるノズルを示す。この図のノズルの先端部の要部拡大図を図13に示す。このノズルも、図6に示すノズルと同じように、中間リング12を、内側中間リング12Aと外側中間リング12Bの二重管構造としている。内側中間リング12Aと外側中間リング12Bの間にB液の供給口5を設けている。リング状の内側中間リング12Aは、内側面と外側面の両面にテーパー状の傾斜面7を設けてその先端を尖鋭なエッジ7Aとしている。外側中間リング12Bの先端面はストレートな傾斜面7としている。
【0056】内側中間リング12Aに設けた傾斜面7の拡大図を図14に示す。この図に示すノズルも、図11に示すノズルと同じように、内側中間リング12Aの傾斜面7を、供給口5の近傍において、その両側に位置する外側中間リング12Bと内側リング11の傾斜面7の延長線に対して多少段差を設けて低く設計している。この形状の傾斜面7を有するノズルも、矢印で示すように傾斜面7に沿って流動する高速空気流が、供給口5から液体をスムーズに排出する。
【0057】さらに、図14に示すノズルは、内側中間リング12Aの傾斜面7の傾斜角を途中で変更して、先端部分を、隣接する傾斜面7の延長線から突出するように形成している。この形状をしている内側中間リング12Aの傾斜面7は、傾斜面7に沿って矢印の方向に高速流動する空気流が、先端部分で傾斜面7に強く押し付けられて、傾斜面7を流動する液体の薄膜流を薄く引き延ばしできる。このため、この構造のノズルは、液体をより微細な微粒子として噴射できる特長がある。
【0058】さらに、この図に示すノズルは、外側リング13と、外側中間リング12Bと、内側中間リング12Aと、内側リング11先端の角度を図に示すように設計して、液体をホロコーンとフルコーンの両方で噴射できる。液体をホロコーンに噴射させるには、中心リング16と内側リング11の間の空気口10から噴射されるアトマイズエアーの噴射圧を、外側中間リング12Bと外側リング13との間の空気口10から噴射するアトマイズエアーの噴射圧よりも強くする。反対に、外側中間リング12Bと外側リング13との間の空気口10から噴射するアトマイズエアーの噴射圧を、中心リング16と内側リング11の間の空気口10から噴射されるアトマイズエアーの噴射圧よりも強くすると、液体をフルコーン状態に噴射できる。
【0059】図12に示すノズルも、図9に示すノズルと同様に、空気口10を構成する中心リング16と外側リング13の先端部分を通気性部材18として、中心リング16と外側リング13の表面にミストが付着するのを防止している。
【0060】さらに、図15に示すノズルは、通気性部材を使用しないで、ミストの付着を防止する独特の構造をしている。この図のノズルは、中心リング16の先端面に空気剥離凹部19を設けて、供給口5の内側であってノズルの先端面に空気剥離凹部19を設けている。空気剥離凹部19は、中心リング16に設けた貫通孔20を介して、内側リング11と中心リング16との間の空気路1に連結されている。貫通孔20は、図16に示すように、噴射される空気を空気剥離凹部19で回転させる方向、すなわち、半径方向から接線方向に傾斜して開口されている。空気剥離凹部19の表面は、空気を乱すことなく層流状態で流動できる平滑面としている。さらに、空気剥離凹部19の外周部分は、飛行機の翼と同じような流線形となって、空気口10に向かって滑らかに湾曲している。
【0061】この構造のノズルは、加圧された空気を、貫通孔20から接線方向に空気剥離凹部19に噴射すると、空気は、テーパー状の空気剥離凹部19の内面に衝突し、薄く拡がりながら旋回流となる。この時、空気剥離凹部19のテーパー角度(θ)により、空気剥離凹部19の出口方向(図において上方)に向かう気流の割合を変えることができる。テーパー角度(θ)を、図に示すように15度とすると、出口方向に向かう旋回気流は、70%であり、残り30%は空気剥離凹部19の底方向に向かう旋回気流となり、底に達した後に風速を弱めて、出口方向へ向かう。そして、前述の70%高速旋回気流に巻き込まれて、空気剥離凹部19から排出される。
【0062】空気剥離凹部19の内面にそって流動する空気の高速旋回気流は、テーパー面と翼型の流線形部分の斜面を登り、先端に達した所で、翼型表面に沿って流動して、内側リング11と中心リング16の間に設けた空気路1から噴射されるアトマイズエアーに引き込まれる。流線形の翼型部分は、空気口10に向かって滑らかに湾曲しているので、空気が表面に沿って流動し、中心リング16の前面に流動する空気層を作る。
【0063】中心リング16の前面の全てを、この流動する空気層で覆うので、供給口5から噴射されるミストが付着することはない。貫通孔20は、空気剥離凹部19から均一に空気を噴射できるように、好ましくは6個程度とするのがよい。ただ、貫通孔をさらに多くすることもできる。さらに、貫通孔の形状をスリット状にして横幅を広くすると、5個よりも少ない貫通孔で空気剥離凹部から均一に空気を吹き出すことができる。
【0064】この構造ノズルは、ノズルの前面が空気層で覆われているので、飛来したミストが表面に付着することなく、流動する空気層である流線気流によって吹き飛ばされる。また、この構造のノズルは、前記の通気性部材18によるエアレイションで粉付着を防止する方法よりも、少ないエアー量で、同等の効果を得る事ができる。
【0065】さらに、図17に示すノズルは、空気口10と供給口5から、空気と液体を均一に噴射するノズルを示す。この図のノズルは、空気路1と液体路21にヘリカルリブ22を配設している。空気路1や液体路21には、各リングを組み立てる時の芯出のため、すなわち、全てのリングの中心を正確に一致させるために、各リングの間にリブを設けている。リブの先端を接触させることにより、各リングは芯出しして正確に組み立られる。
【0066】リブは、図18に示すように、リングの間に均等に設けられる。この図のノズルは、4個のリブを設けているが、リブはリング間隔の全周を均等にするためのものであるから、少なくとも三つ設けられる。この図に示すように、リブを流体の流動方向に延長したストレートリブ23にすると、流体は直進して、リブの間を通過する。ストレートリブ23を通過した流体は、粗、密のむらができる。ストレートリブ23の部分は粗、ストレートリブ23の間は密になる。
【0067】この現象を解消するために、図19に示すように、ストレートリブを螺旋状に変形するヘリカルリブ22にすると、ヘリカルリブ22の間を通過する流体はスピンがかかり、スピンのかかった流体は遠心力で管壁に押し付けられて、円周上に拡がって均一になる。図1919において、空気路1に設けられるヘリカルリブ22の傾斜角αは、好ましくは約30度とする。傾斜角αはヘリカルリブ22の中心線に対する角度である。空気は流速が速いので傾斜角αを小さくして十分にスピンをかけることができる。傾斜角αを大きくすると、スピンはよくかかるが、空気の通過抵抗が増加する。ヘリカルリブ22の傾斜角αは、空気のスピンと通過抵抗とを考慮して、たとえば、10〜45度、好ましくは15〜40度、さらに好ましくは20〜35度とする。
【0068】図17のノズルは、エッジ7Aの両面に開口された空気口10に連通する空気路1に、軸方向に流動する空気にスピンをかけてスパイラルに回転させるヘリカルリブ22を配設している。エッジ7A両面の空気口10から噴射される空気は互いに反対方向に回転しながらエッジ7Aに向かって噴射される。この構造のノズルは、エッジ7Aの両面に流動されるアトマイズエアーを互いに逆スピンとし、エッジ7A先端でのミスト形成時に、両エアーのひねり作用が加わって、ミスト粉砕効果が上がり、より小さいミストを作る事ができる。
【0069】ただ、本発明のノズルは、必ずしも、エッジの両面に流動するアトマイズエアーを逆スピンとする必要はなく、エッジ両面のアトマイズエアーを同じ方向にスピンをかけることもできる。さらに、複数の空気口を有するノズルにおいては、すべての空気口から噴射される空気にスピンをかける必要もない。したがって、特定の空気路にのみヘリカルリブを設けることもできる。
【0070】さらに、図17に示すノズルは、液体路21にもヘリカルリブ22を配設している。液体は空気に比較して流速が遅いので、ヘリカルリブ22の傾斜角αを約60度と大きくしている。傾斜角αは、たとえば、30〜70度、好ましくは45〜65度の範囲とすることができる。液体路21のヘリカルリブ22の傾斜角αも、空気路1のヘリカルリブ22と同じように、大きくすると液体のスピンを強くできるが、液体の流動抵抗が大きくなる。このため、ヘリカルリブ22の傾斜角αは、液体の流動抵抗とスピンとを考慮して最適値に設計される。
【0071】
【発明の効果】本発明の液体を微粒子に噴射する方法とノズルは、下記の優れた特長がある。
■ 液体を極めて小さい微粒子に噴射できると共に、種々の液体を詰まらない状態で長時間連続噴射できる。それは、本発明が液体を、極めて小さい孔や、極めて狭いスリットから噴射して微粒子に噴射するのではなく、平滑面を高速流動する空気流で、液体を薄く引き延ばしてから微粒子にして噴射すると共に、液体が平滑面を絶えず自己洗浄しているからである。本発明は、液体を薄膜流に引き伸ばして微粒子の液滴とするので、平滑面に沿って流動させる空気の流速で、液滴を極めて小さい微粒子として噴射できる特長がある。
【0072】■ 単位時間当りの噴射量を多くして、しかも微細な液滴に噴射できる。ちなみに、本発明者が試作したノズルは、1分間に1000gの液体を噴射して、粒子径を10μm以下の微粒子の液滴を噴射することに成功した。
【0073】■ 本発明の請求項5のノズルは、必要ならば液体をホロコーンに噴射することも可能である。液体をホロコーンに噴射して能率よく乾燥し、あるいは気化できる特長がある。ただ、本発明の液体を微粒子に噴射する方法とノズルは、液体をフルコーンに噴射することもできる。すなわち、用途に最適なように、フルコーンとホロコーンの両方の状態に噴射できる。
【0074】■ 本発明の請求項5のノズルは、エッジの両面に傾斜面を設け、ふたつの傾斜面に異なる液体を供給して、固体分散体の微粒子とすることもできる。
■ また、必要ならばスプレードライと造粒とを同時に行うことも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の液体を微粒子に噴射するノズルの断面図
【図2】従来の他の実施例の液体を微粒子に噴射するノズルの概略断面図
【図3】本発明者が先に開発した液体を微粒子に噴射するノズルの断面図
【図4】本発明者が図3のノズルに続いて開発したノズルの断面図
【図5】本発明の実施例にかかる液体を微粒子に噴射するノズルの断面図
【図6】本発明の他の実施例にかかる液体を微粒子に噴射するノズルの断面図
【図7】図6のノズルから噴射される液滴が乾燥して造粒される状態を示す工程図
【図8】さらに本発明の他の実施例にかかる液体を微粒子に噴射するノズルの断面図
【図9】さらに本発明の他の実施例にかかる液体を微粒子に噴射するノズルの断面図
【図10】図9に示すノズルの要部拡大断面図
【図11】図10に示すノズルの内側中間リング先端部分を示す拡大断面図
【図12】さらに本発明の他の実施例にかかる液体を微粒子に噴射するノズルの断面図
【図13】図12に示すノズルの要部拡大断面図
【図14】図12に示すノズルの内側中間リング先端部分を示す拡大断面図
【図15】さらに本発明の他の実施例にかかる液体を微粒子に噴射するノズルの断面図
【図16】図15に示す空気剥離凹部の平面図
【図17】さらに本発明の他の実施例にかかる液体を微粒子に噴射するノズルの断面図
【図18】従来のリング間に設けるストレートリブの正面図及び平面図
【図19】図17に示すリング間に設けるヘリカルリブの正面図及び平面図
【符号の説明】
1…空気路
2…一次ミスト
3…二次ミスト
4…中心孔
5…供給口
6…リング
7…傾斜面 7A…エッジ
8…薄膜流
9…液滴
10…空気口
11…内側リング
12…中間リング 12A…内側中間リング 12B…外側中間リング
13…外側リング
14…アトマイズエアーの空気路
15…スプレッディングエアーの供給路
16…中心リング
17…スプレッディングエアー噴射口
18…通気性部材
19…空気剥離凹部
20…貫通孔
21…液体路
22…ヘリカルリブ
23…ストレートリブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 液体を薄膜流とし、この薄膜流を気体流で空気中に噴射して、液体を微粒子に噴射する方法において、加圧された空気を、空気口(10)から開放された空間に噴射して高速流動する空気流とすると共に、空気口(10)から噴射される空気を、液体の流動方向に平滑な平滑面に向けて噴射して、この平滑面に接触しながら平滑面と平行に一定の方向に高速流動する空気流とし、空気流を高速流動させている平滑面の途中に、空気流の流動方向に交差するように、しかも、空気流と平滑面との間に液体を供給し、供給された液体を、高速流動する空気流で平滑面に押し付けて薄く引き伸ばして薄膜流とし、この薄膜流を平滑面から離して微粒子として噴射することを特徴とする液体を微粒子に噴射する方法。
【請求項2】 平滑面が傾斜面(7)である請求項1に記載される液体を微粒子に噴射する方法。
【請求項3】 尖鋭なエッジ(7A)を境界としてその両面に設けられたふたつの傾斜面(7)に沿って空気を高速流動させ、エッジ(7A)で両面の傾斜面(7)に沿って流動する空気を衝突させて空気振動を発生させ、さらに、傾斜面(7)の途中に液体を供給し、傾斜面(7)に供給された液体を、傾斜面(7)に沿って高速流動させる空気流で薄く引き伸ばして薄膜流としてエッジ(7A)まで移送し、エッジ(7A)から気体中に噴射される粒子を、エッジ(7A)先端の空気振動で粉砕して液体を微粒子に噴射する方法。
【請求項4】 液体を流動させて薄膜流とする傾斜面(7)を有し、この傾斜面(7)を流動する液体の薄膜流を空気中に微粒子として噴射するノズルにおいて、傾斜面(7)を液体の流動方向に平滑な面とすると共に、この傾斜面(7)に加圧空気を噴射して、傾斜面(7)に接触しながら、しかも、傾斜面(7)と平行に一定の方向に高速流動する空気流をつくる空気口(10)と、空気流を高速流動させている傾斜面(7)の途中に、空気流の流動方向に交差するように液体を供給する供給口(5)とを備え、供給口(5)から傾斜面(7)に供給された液体を、高速流動する空気流で平滑面に押し付けて薄く引き伸ばして薄膜流とし、薄膜流を空気流で空気中に微粒子として噴射することを特徴とする液体を微粒子に噴射するノズル。
【請求項5】 下記の全ての構成を有する液体を微粒子に噴射するノズル。
(a) ノズルは、液体をリング状に噴射する供給口(5)と、この供給口(5)から噴射される液体を流動させる傾斜面(7)と、この傾斜面(7)に加圧空気を噴射する空気口(10)とを備える。
(b) 供給口(5)は所定幅のスリット状に形成されている。
(c) 供給口(5)は、リング状に形成されている。
(d) 供給口(5)は傾斜面(7)の途中に開口されている。
(e) 供給口(5)の傾斜面(7)に対する角度αは鈍角に設計されている。
(f) 傾斜面(7)は液体の流動方向に平滑面となっている。
(g) 空気口(10)は傾斜面(7)の途中に開口された供給口(5)に向かって開口されている。
(h) 傾斜面(7)の先端に尖鋭なエッジ(7A)が設けられている。
(i) 空気口(10)がエッジ(7A)の両面に開口されており、エッジ(7A)の両面に加圧空気が噴射されるように構成されている。
【請求項6】 下記の全ての構成を有する液体を微粒子に噴射するノズル。
(a) ノズルは、液体をリング状に噴射する供給口(5)と、この供給口(5)に液体を供給する筒状の液体路(21)と、供給口(5)から噴射される液体を流動させる傾斜面(7)と、この傾斜面(7)に加圧空気を噴射する空気口(10)と、この空気口(10)に空気を供給する空気路(1)とを備える。
(b) 供給口(5)は所定幅のスリット状に形成されている。
(c) 供給口(5)は、リング状に形成されている。
(d) 供給口(5)は傾斜面(7)の途中に開口されている。
(e) 供給口(5)の傾斜面(7)に対する角度αは鈍角に設計されている。
(f) 傾斜面(7)は液体の流動方向に平滑面となっている。
(g) 空気口(10)は傾斜面(7)の途中に開口された供給口(5)に向かって開口されている。
(h) 空気路(1)に、軸方向に流動する空気をスパイラルに回転させるヘリカルリブ(22)を配設しており、空気口(10)から噴射される空気がスパイラル状に回転しながら傾斜面(7)に沿って噴射されるように構成されている。
【請求項7】 下記の全ての構成を有する液体を微粒子に噴射するノズル。
(a) ノズルは、液体をリング状に噴射する供給口(5)と、この供給口(5)から噴射される液体を流動させる傾斜面(7)と、この傾斜面(7)に加圧空気を噴射する空気口(10)と、この空気口(10)に空気を供給する空気路(1)とを備える。
(b) 供給口(5)は所定幅のスリット状に形成されている。
(c) 供給口(5)は、リング状に形成されている。
(d) 供給口(5)は傾斜面(7)の途中に開口されている。
(e) 供給口(5)の傾斜面(7)に対する角度αは鈍角に設計されている。
(f) 傾斜面(7)は液体の流動方向に平滑面となっている。
(g) 空気口(10)は傾斜面(7)の途中に開口された供給口(5)に向かって開口されている。
(h) 傾斜面(7)の先端に尖鋭なエッジ(7A)が設けられている。
(i) 空気口(10)がエッジ(7A)の両面に開口されており、エッジ(7A)の両面に加圧空気が噴射されるように構成されている。
(j) エッジ(7A)の両面に開口された空気口(10)に連通する空気路(1)に、軸方向に流動する空気をスパイラルに回転させるヘリカルリブ(22)を配設しており、エッジ(7A)両面の空気口(10)から噴射される空気が互いに反対方向に回転しながらエッジ(7A)に向かって噴射されるように構成されている。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図16】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図18】
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【図15】
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【図6】
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【図8】
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【図19】
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【図9】
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【図10】
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【図12】
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【図11】
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【図13】
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【図14】
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【図17】
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【特許番号】第2797080号
【登録日】平成10年(1998)7月3日
【発行日】平成10年(1998)9月17日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平8−54066
【出願日】平成8年(1996)2月16日
【公開番号】特開平8−281155
【公開日】平成8年(1996)10月29日
【審査請求日】平成8年(1996)2月16日
【出願人】(591104295)藤崎電機株式会社 (13)
【参考文献】
【文献】特開 平2−107363(JP,A)
【文献】特公 昭45−41522(JP,B1)
【文献】実公 昭44−46(JP,Y1)