説明

液体カートリッジ

【課題】液体カートリッジ全体に対する液体の収容比の低減を抑えるようにする。
【解決手段】容器本体2の前面には、燃料排出口7、酸素導入口9及び酸素排出口10が形成されている。容器本体2内には追従仕切板19があり、その追従仕切板19が容器本体2の前面に平行な状態で移動可能となっている。追従仕切板19によって容器本体2の内部空間が2つに仕切られ、燃料排出口7側の領域に液体燃料18が充填されている。また、容器本体2内には間仕切16が配設され、間仕切16によって酸素導入口9及び酸素排出口10が覆われている。酸素導入口9はエアフィルタ15によって閉塞されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を収容した液体カートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、携帯電話機、ノート型パーソナルコンピュータ、デジタルカメラ、腕時計、PDA(Personal Digital Assistance)、電子手帳等といった小型電子機器がめざましい進歩・発展を遂げている。電子機器の電源として、アルカリ乾電池、マンガン乾電池といった一次電池又はニッケル−カドミウム蓄電池、ニッケル−水素蓄電池、リチウムイオン電池といった二次電池が用いられている。ところが、一次電池及び二次電池は、エネルギの利用効率の観点から検証すると、必ずしもエネルギの有効利用が図られているとは言えない。そのため、今日では、一次電池及び二次電池の代替えのために、高いエネルギ利用効率を実現できる燃料電池についての研究・開発も盛んにおこなわれている(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)。
【0003】
燃料電池は、電解質板が燃料極と酸素極との間に挟持されてなる燃料電池本体と、メタノール等の液体燃料と水の混合液を収容するとともに燃料電池本体に接続された液体カートリッジと、から構成されている。液体カートリッジが空になれば、新しい液体カートリッジに交換すれば良い。また、液体カートリッジには様々な種類のものがあり、特許文献2に記載されているように、残量測定機能を有した液体カートリッジもある。
【特許文献1】特開2001−93551号公報
【特許文献2】特開2004−142831号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような液体カートリッジは、全容積に対して内部に収容されている液体の容積比が大きいことが好ましいが、液体カートリッジに新しい機能を付加する場合、新しい構成を追加しなければならず、その分、収容される液体の量が少なくなってしまうといった問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、液体カートリッジ全体に対する液体の収容比の低減を抑えることがないようにすることを目的とする。
を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するために、請求項1に係る発明は、
複数の面からなり、液体を収容する容器本体と、
前記容器本体の複数の面のうち、一方の面に設けられた酸素排出口と、
前記容器本体の複数の面のうち、前記酸素排出口が形成された面から最も遠い面以外の面に設けられた酸素導入口と、
を備えることを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明では、前記酸素導入口と前記酸素排出口との間の酸素流動空間には、取り込まれる空気に含まれている塵埃を捕捉するエアフィルタが設けられていることを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明では、前記酸素導入口は、前記酸素排出口が設けられている面に設けられていることを特徴とする。
【0009】
請求項4に係る発明では、前記容器本体内に収容された前記液体は液体燃料であり、
前記酸素排出口が設けられている面には、前記容器本体内の前記液体燃料を排出する燃料排出口が設けられていることを特徴とする。
【0010】
請求項5に係る発明では、前記容器本体内に収容された前記液体は水であり、
前記酸素排出口が設けられている面には、前記容器本体内の前記水を排出する水排出口が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、液体カートリッジ全体に対する液体の収容比を損ねることがないようにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0013】
図1は液体燃料カートリッジ1の上面、背面及び左側面を示した斜視図であり、図2は図1と同一方向から見た場合の分解斜視図であり、図3は上面、正面及び左側面を示した分解斜視図であり、図4は酸素導入口9を通った縦断面を左から見て示した端面図である。
【0014】
図1〜図4に示すように、液体燃料カートリッジ1の容器本体2は、前面、後面、上面、下面、右側面及び左側面からなる直方体状の箱体であり、容器本体2の内部空間も直方体状に形成されている。容器本体2は、前面が開口した直方体箱状のパッケージ3と、後面が開口した直方体箱状の蓋材4とを有する。そして、パッケージ3の前面開口部が蓋材4の後面開口部に向き合って、蓋材4がパッケージ3に接合されることによって、容器本体2が組み立てられている。
【0015】
容器本体2の後面23を貫通する圧力調整穴5,6が形成され、これら圧力調整穴5,6によって容器本体2の外と内が通じている。一方、容器本体2の前面には燃料排出口7、水排出口8、酸素導入口9及び酸素排出口10が形成され、容器本体2の前面においては燃料排出口7と酸素排出口10の周囲が突起している。燃料排出口7は圧力調整穴5に向き合った位置に形成され、水排出口8は圧力調整穴6に向き合った位置に形成され、酸素導入口9が酸素排出口10の上に形成されている。
【0016】
酸素導入口9は、酸化剤としての酸素を含む気体を導入する口であって、酸素単体のみならず空気等の酸素を含む気体を導入してもよい。また酸素導入口9はエアフィルタ15によって内側から閉塞されている。このエアフィルタ15によって、酸素導入口9を通過する空気(酸素)に含まれる塵埃が捕捉される。なお、エアフィルタ15が外側に設けられ、酸素導入口9がエアフィルタ15によって外側から閉塞されても良い。酸素排出口10は、エアフィルタ15を介して酸素導入口9から導入された酸素を含む気体を排出する口であって、酸素単体のみならず空気等の酸素を含む気体を排出してもよい。
【0017】
燃料排出口7には、逆止弁17が嵌め込まれている。この逆止弁17は可撓性・弾性を有する材料(例えば、エラストマー)をダックビル状に形成したダックビル弁であり、逆止弁17はそのダックビル状の先端を容器本体2内部に向けた状態で酸素導入口9に嵌め込まれている。この逆止弁17によって、容器本体2内から外へ向かった流体の流れが阻止される。
【0018】
また、容器本体2内には水収容管11が配設されている。この水収容管11は、圧力調整穴6及び水排出口8に嵌入されることによって支持されている。これにより水収容管11が容器本体2の前面と後面との間に架設され、水収容管11が容器本体2の上面、下面、左側面及び右側面と平行に設けられている。水収容管11の後端は容器本体2の後面と面一とされ、水収容管11の前端部分は容器本体2の前面よりも外に突出している。
【0019】
水収容管11の前端には、逆止弁12が嵌め込まれている。この逆止弁12は可撓性・弾性を有する材料(例えば、エラストマー)をダックビル状に形成したダックビル弁であり、逆止弁12はそのダックビル状の先端を水収容管11の後端に向けた状態で水収容管11に嵌め込まれている。この逆止弁12によって、水収容管11内から外へ向かった流体の流れが阻止される。
【0020】
水収容管11の前端と後端の間の中途部には追従体14が収容され、この追従体14によって水収容管11の内部空間が後端側の領域と前端側の領域とに仕切られている。追従体14によって仕切られた2つの領域のうち前端側の領域には、液体状の水13が充填されている。追従体14は水13に対して親和性の低い液体、ゾル、ゲル等であり、更に望ましくは水13よりも粘性の高く且つ水13に対して不溶性の高粘性液体である。更に、好ましくは、追従体14は、ずれ速度が増大すると見かけの粘度が減少する性質を有している構造粘性流体(異常粘性流体)が良い。具体的にはポリブテン、流動パラフィン、スピンドル油、その他の鉱油類、ジメチルシリコン油、メチルフェニルシリコン油、その他のシリコン油類、これらの組み合わせを追従体14として用いることができる。
【0021】
また、容器本体2内には間仕切16が配設されている。この間仕切16は前面で開口した直方体箱状に形成されている。間仕切16の前面開口が容器本体2の前面の裏面に向き合って、間仕切16によって酸素導入口9及び酸素排出口10が覆われ、間仕切16が容器本体2の前面の裏面に接合されている。この間仕切16によって容器本体2内の空間が、間仕切16と蓋材4に囲まれた酸素流動空間20と、間仕切16とパッケージ3と蓋材4に囲まれた液体燃料収容空間21とに仕切られている。間仕切16によって酸素導入口9及び酸素排出口10が覆われているので、酸素導入口9及び酸素排出口10によって容器本体2の外と酸素流動空間20が通じている。
【0022】
液体燃料収容空間21には追従仕切板19が収容されている。追従仕切板19の中央部を通し孔が貫通し、その通し孔に水収容管11が挿入され、追従仕切板19が容器本体2の前面と後面に平行な状態を保って水収容管11に沿って移動可能とされている。この追従仕切板19によって液体燃料収容空間21が燃料排出口7側の領域と圧力調整穴5側の領域とに仕切られている。そして、追従仕切板19によって仕切られた2つの領域のうち燃料排出口7側の領域には、液体燃料18が充填されている。液体燃料18は、例えば、メタノール、エタノール若しくはジメチルエーテル又はこれらの混合液である。
【0023】
また、追従仕切板19は、容器本体2の後面23と対向する面側には追従体24が塗布されており、その追従体24が追従仕切板19と容器本体2との間の僅かな隙間や追従仕切板19と水収容管11との間の僅かな隙間に注入され、その追従体24が潤滑剤として機能する。このような状態は、追従仕切板19が水収容管11に沿って移動しても維持されるように、追従体24及び追従仕切板19はともに移動することになる。追従仕切板19に塗布された追従体24は液体燃料18に対して親和性の低い液体、ゾル、ゲル等であり、更に望ましくは液体燃料18よりも粘性の高く且つ液体燃料18に対して不溶性の高粘性液体である。更に、好ましくは、追従体24は、ずれ応力(又は、ずれ速度)が増大すると見かけの応力が減少する構造粘性流体(異常粘性流体)の性質を有していると良い。具体的にはポリブテン、流動パラフィン、スピンドル油、その他の鉱油類、ジメチルシリコン油、メチルフェニルシリコン油、その他のシリコン油類、これらの組み合わせを用いることができる。
【0024】
この液体燃料カートリッジ1が機器に接続されることで、水13や液体燃料18が機器に供給される。液体燃料カートリッジ1が機器に接続された場合に機器の容器本体2前面に対向する部分には3つの嵌合部が形成され、燃料排出口7の周囲の突起、水排出口8の周囲の突起及び水収容管11の前端部がこれら嵌合部にそれぞれ嵌め込まれる。
【0025】
また、燃料排出口7に嵌合する嵌合部には管が設けられ、燃料排出口7の周囲の突起がその嵌合部に嵌め込まれると、その管が逆止弁17に挿入され、その管によって逆止弁17が開いた状態にされる。その管に接続された送液ポンプが機器に設けられ、容器本体2内の液体燃料18がその送液ポンプによって吸引されて、機器内に送液される。容器本体2から液体燃料18が排出されると、容器本体2内の液体燃料18の容積は減少し、この減少に伴って液体燃料18の末端界面の位置が徐々に燃料排出口7側に近づくように移動する。そして、液体燃料18の末端界面に位置する追従体24及び追従仕切板19が液体燃料18の末端界面の位置に合わせて容器本体2の前面へ向かって移動し、液体燃料18が追従仕切板19に接して液体燃料18が密閉された状態が保たれる。
【0026】
また、水排出口8の周囲の突起に嵌合する嵌合部には管が設けられ、水排出口8の周囲の突起がその嵌合部に嵌め込まれると、その管が逆止弁12に挿入され、その管によって逆止弁12が開いた状態にされる。その管に接続された送液ポンプが機器に設けられ、水収容管11内の水13がその送液ポンプによって吸引されて、機器内に送液される。水13の減少に伴って追従体14が追従体24の移動と同様に水収容管11の前端に向かって移動し、水13が追従体14に接して液体燃料18が密閉された状態が保たれる。
【0027】
液体燃料カートリッジ1が機器に接続された場合に機器の容器本体2前面に対向する部分には酸素口が形成され、酸素口が酸素導入口9に接続される。その酸素口に接続されたエアポンプ(ファン)が機器に設けられ、そのエアポンプによって外部の空気(酸素)が吸引され、吸引された空気が酸素口を介して酸素導入口9へ送られる。酸素導入口9に送られた空気はエアフィルタ15を通過し、空気内の塵埃がエアフィルタ15に捕捉され、空気が洗浄される。エアフィルタ15によって洗浄された空気は、酸素流動空間20を流動し、酸素排出口10を通って機器内に送られる。
【0028】
以上の液体燃料カートリッジ1を使用していくと、エアフィルタ15を通過した空気の総量が増え、エアフィルタ15が塵埃によって目詰まりしていく。液体燃料カートリッジ1にエアフィルタ15が取り付けられているから、液体燃料カートリッジ1の交換によってエアフィルタ15も一緒に安全且つ容易に交換することができる。そのため、ユーザがエアフィルタの交換時期を判断したり、交換時期を覚える必要もないので、エアフィルタ15の交換時期をユーザに意識させず、ユーザの負担を軽減することができる。
【0029】
また、後述する式(3)や式(5)のように、CO除去器や燃料電池で利用される酸素量は、液体燃料18等の量に対して化学量論的であり、システムの設計によって概ね算出できる。そして空気中の酸素の存在比から酸素導入口9から取り込まれる空気の量が設定できる。このため、1つの液体燃料カートリッジ1に充填されている液体燃料18の量からエアフィルタ15を通過する空気の量が推定でき、エアフィルタ15は、この空気量に応じた集塵能力があればよく、過剰な集塵能力を必要としない。そのため、エアフィルタ15を小型化することができる。このように液体燃料カートリッジ1に備え付けられたエアフィルタ15は液体燃料カートリッジ1内の液体燃料18が消費され尽くすまでに使用される空気に対して集塵すればよいため長期間にわたって高い集塵能力が要求されないので、エアフィルタ15の目を粗くすることができ、エアポンプに過大な負荷を掛けることなく効率的に空気を送ることができる。
【0030】
また、仮に、容器本体2の前面にあたる蓋材4に酸素排出口10を配置し、蓋材4に対向する容器本体2の後面23にエアフィルタ15を配置した場合、蓋材4と後面23との間に容積の大きい酸素流動空間20が形成されることになり、液体燃料18の収容量が小さくなってしまうが、本実施形態の液体燃料カートリッジ1では、酸素導入口9及び酸素排出口10が容器本体2の同じ前面に形成されているので、酸素導入口9と酸素排出口10を互いに近い位置に形成することができ、間仕切16の大きさを小さくすることができ、更に酸素流動空間20の容量を最小限に抑えることができ、容器本体2に対して液体燃料収容空間21の占める割合を大きくすることができる。そのため、液体燃料18の収容量を大きくとることができる。このような効果は、エアフィルタ15が酸素排出口10から最も遠い位置、つまり後面23以外の位置、例えば、パッケージ3の側面のような位置に配置されれば得ることができる。
【0031】
なお、エアフィルタ15は、酸素流動空間20を酸素導入口9側と酸素排出口10側とに仕切るように設けられていれば、酸素流動空間20内のポンプでの吸引力を著しく損なうな書でなければどこに設けられていても良い。また、酸素排出口10がエアフィルタ15によって内側から閉塞されても良いし、酸素排出口10がエアフィルタ15によって外側から閉塞されても良い。
【0032】
図5は、液体燃料カートリッジ1に接続される機器の一例を示したブロック図である。図5に示すように、この機器70は、エアポンプ71、送液ポンプ72、送液ポンプ73、気化器74、改質器75、一酸化炭素除去器76、燃料電池77、燃焼器81を備える。
【0033】
発電動作の開始直前に、水収容管11内の水13は電解質膜79内を移動するイオンのキャリアとなるように送液ポンプ73によって燃料電池77の電解質膜79に送られる。また図示しない二次電池が電熱材に電圧を印加して加熱される電熱材の熱が気化器74、改質器75、一酸化炭素除去器76に伝搬され、それぞれ所定の温度に加熱される。発電動作が開始されると、容器本体2内の液体燃料18は送液ポンプ72によって気化器74に送られる。また、水収容管11内の水13は送液ポンプ73によって気化器74に送られる。気化器74内において水と液体燃料が混合され、その混合液が気化器74によって蒸発される。気化器74によって気化した燃料と水の混合気は改質器75に送られる。改質器75では、気化器74から供給された混合気から水素及び二酸化炭素が触媒により生成される。改質器75で生成された混合気は一酸化炭素除去器76に供給される。なお、容器本体2内の液体燃料18がメタノールの場合には、化学反応式(1)、(2)のような触媒反応が改質器75で起こる。
CH3OH+H2O→3H2+CO2 … (1)
+CO→H2O+CO … (2)
改質器75で生成された混合気は一酸化炭素除去器76に供給される。
【0034】
一酸化炭素除去器76には、改質器75から混合気が供給される。一方、エアポンプ71によって空気が液体燃料カートリッジ1の酸素導入口9、エアフィルタ15、酸素排出口10を順に通過し、そして一酸化炭素除去器76に供給される。一酸化炭素除去器76では、改質器75から送られた混合気とエアポンプ71で塵が除かれた空気(酸素)が混合される。そして、一酸化炭素除去器76では、混合気中の一酸化炭素ガスが化学反応式(3)に示すように触媒により優先的に酸化(燃焼)されて、一酸化炭素が除去される。一酸化炭素が除去された状態の混合気には水素ガスが含まれ、その混合気が燃料電池77の燃料極78に供給される。
2CO+O2→2CO2 … (3)
【0035】
燃料電池77は、燃料極78と、酸素極80と、燃料極78と酸素極80の間に挟持された電解質膜79とを備える。燃料極78では、電気化学反応式(4)に示すように、一酸化炭素除去器76から供給された混合気のうち水素ガスが、燃料極78の触媒の作用を受けて水素イオンと電子とに分離する。水素イオンは電解質膜79を通じて酸素極80に伝導し、電子は燃料極78により取り出される。酸素極80には、酸素排出口10からエアポンプ71で塵が除かれた空気(酸素)が送り込まれる。そして、電気化学反応式(5)に示すように、空気中の酸素と、電解質膜79を通過した水素イオンと、電子とが反応して水が生成される。
3H2→6H++6e- … (4)
6H+3/2O+6e→3HO … (5)
【0036】
以上のように、燃料電池77で上記(4)、(5)に示す電気化学反応が起こることにより電気エネルギが生成される。燃料極78から排出される生成物には気体状の水が含まれており、その水が分離器によって他の生成物から分離され、その水が送液ポンプ72に送られ、液体燃料と水が混合される。酸素極80から排出される水の量が所定値より多くなって十分になったら送液ポンプ73が停止する。つまり、送液ポンプ72、送液ポンプ73が起動し始めた起動時には酸素極80では水が生成されないので、必要な水は水収容管11から供給される。起動後、システム全体が安定してきたら、酸素極80では水が十分に生成されるので、その水が液体燃料と混合され、気化器74に供給されることになる。燃料極78から排出される生成物にも水が含まれているので、その水を送液ポンプ72によって気化器74に供給するようにしても良い。
【0037】
図5に示した機器70では、燃料電池77が水素と酸素によって電気エネルギを生成するものであったが、燃料電池77が燃料と酸素によって電気エネルギを生成する直接メタノール方式の燃料電池でも良い。この場合、改質器75、一酸化炭素除去器76が不要であり、気化器74で気化した水と燃料の混合気は燃料電池77の酸素極80に供給される。
【0038】
なお、液体燃料カートリッジ1を別の用途として用いる場合、液体燃料18の代わりに別の液体(例えば、インク)が充填されていても良いし、水13の代わりに別の液体(例えば、インク)が充填されていても良い。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】液体燃料カートリッジの斜視図である。
【図2】図1と同一方向から見た場合の分解斜視図である。
【図3】図2とは別の方向から見た場合の分解斜視図である。
【図4】酸素導入口の中心線に沿った縦断面の端面図である。
【図5】図1の液体燃料カートリッジに接続される機器の一例を示したブロック図である。
【符号の説明】
【0040】
1 液体燃料カートリッジ
2 容器本体
3 パッケージ
4 蓋材
7 燃料排出口
9 酸素導入口
10 酸素排出口
15 エアフィルタ
16 間仕切
19 追従仕切板
20 酸素流動空間
21 液体燃料収容空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の面からなり、液体を収容する容器本体と、
前記容器本体の複数の面のうち、一方の面に設けられた酸素排出口と、
前記容器本体の複数の面のうち、前記酸素排出口が形成された面から最も遠い面以外の面に設けられた酸素導入口と、
を備えることを特徴とする液体カートリッジ。
【請求項2】
前記酸素導入口と前記酸素排出口との間の酸素流動空間には、取り込まれる空気に含まれている塵埃を捕捉するエアフィルタが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の液体カートリッジ。
【請求項3】
前記酸素導入口は、前記酸素排出口が設けられている面に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の液体カートリッジ。
【請求項4】
前記容器本体内に収容された前記液体は液体燃料であり、
前記酸素排出口が設けられている面には、前記容器本体内の前記液体燃料を排出する燃料排出口が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の液体カートリッジ。
【請求項5】
前記容器本体内に収容された前記液体は水であり、
前記酸素排出口が設けられている面には、前記容器本体内の前記水を排出する水排出口が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の液体カートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−257873(P2007−257873A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−77145(P2006−77145)
【出願日】平成18年3月20日(2006.3.20)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【出願人】(000005957)三菱鉛筆株式会社 (692)
【Fターム(参考)】