説明

液体サンプル中の被分析物の濃度を測定するテストストリップ及びシステム

液体サンプル中の被分析物の濃度を測定するテストストリップ(10)は、液体サンプルを受け入れるように構成されるサンプル室(88)と、液体サンプル中の被分析物の濃度に関連する少なくとも1つの電流測定値を生成するように構成される複数の電極(22,24,28,30)と、テストストリップに固有な少なくとも1つのテストストリップ較正パラメータを表す固有電気特性を有する少なくとも1つの情報提供コネクタ(48)と、を含む。液体サンプル中の被分析物の濃度を測定するシステム(200)は、上記テストストリップと、プロセッサにより制御されるデータ収集システムと、を含む。データ収集システムは、情報提供コネクタの固有電気特性を測定し、この後、固有電気特性に基づいて、メモリ内の少なくとも1つの所定ロケーションから、テストストリップに対応する少なくとも1つのテストストリップ較正パラメータを取得するように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
【0002】
本出願は、2007年10月31日出願の米国特許出願第11/930,906号に基づく優先権を主張する。米国特許出願第11/930,906号は、2006年11月1日出願で係属中の米国特許出願第11/590,854号の一部継続出願であり、かつ、それに基づく優先権を主張している。米国特許出願第11/590,854号は、2003年11月12日出願の米国特許出願第10/706,458号の継続出願であった。米国特許出願第10/706,458号は、2002年11月1日出願の米国特許出願第10/286,648号の分割出願であった。米国特許出願第10/286,648号は、2002年4月25日出願の米国仮出願第60/375,017号、2002年4月25日出願の米国仮出願第60/375,019号、2002年4月25日出願の米国仮出願第60/375,020号、及び、2002年4月25日出願の米国仮出願第60/375,054号を基礎とし、かつ、これらに基づく優先権が主張され、そして、米国特許第6,743,635号として発行された。上述の全ての非仮出願及び仮出願は、その全内容が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0003】
本発明は、電気化学センサに関し、より詳しくは、液体サンプル中の被分析物の濃度を電気化学的に測定するテストストリップ及び方法に関する。
【背景技術】
【0004】
糖尿病患者等の多くの人々は、自分の血中グルコース濃度(blood glucose level)を日常的に監視する必要がある。また、自分の血中グルコース濃度を簡易に監視できるシステムとして、数多くのシステムが利用可能である。これらのシステムは、一般に、使用者が血液サンプルを塗布するテストストリップと、血液サンプル中のグルコース濃度を測定するためにテストストリップを「読み取る」測定器と、を有する。
【0005】
血中グルコース濃度の測定に利用可能な様々な技術の中では、測定に必要な血液サンプルがごく少量で済む電気化学技術が特に望ましい。電気化学ベースのシステムにおいて、テストストリップは、一般に、グルコースオキシダーゼ及びメディエータ(mediator)等の試薬と、電極と、を収容するサンプル室を有する。使用者が血液サンプルをサンプル室に塗布すると、試薬がグルコースと反応し、そして、測定器が電極に電圧を印加することにより、酸化還元反応(レドックス反応)が 引き起こされる。測定器は、発生電流(resulting current)を測定し、この電流に基づいてグルコース濃度を算出する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
血中グルコース濃度の正確な測定は、数多くの使用者の長期的な健康にとって重要であり、重要視されなければならない。この結果として、血中グルコース濃度の測定に使用される測定器及びテストストリップには、高水準の信頼性が要求される。しかしながら、サンプル量がより少量になれば、テストストリップのサンプル室及び電極の大きさ(寸法)も更に小さくなる。これは、言い換えると、テストストリップを、より細かな製造欠陥や後処理による損傷に対して、より敏感にさせる可能性がある。
【0007】
従って、グルコース等の被分析物用の、便利かつ確実な測定システムを提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の主要な態様において、本発明は、液体サンプル中の被分析物の濃度を測定するテストストリップを提供する。このテストストリップは、液体サンプルを受け入れるように構成されるサンプル室と、液体サンプル中の被分析物の濃度に関連する少なくとも1つの電流測定値を生成するように構成される複数の電極と、テストストリップに固有な少なくとも1つのテストストリップ較正パラメータを表す固有電気特性を有する少なくとも1つの情報提供コネクタと、を含んで構成される。
【0009】
第2の主要な態様において、本発明は、液体サンプル中の被分析物の濃度を測定するシステムを提供する。このシステムは、(1)テストストリップと、(2)測定器と、を含んで構成される。(1)テストストリップは、液体サンプルを受け入れるように構成されるサンプル室と、液体サンプル中の被分析物の濃度に関連する1つ以上の電流の測定値を生成するように構成される複数の電極と、テストストリップに固有な少なくとも1つのテストストリップ較正パラメータを表す固有電気特性を有する少なくとも1つの情報エンコードコネクタと、を含む。(2)測定器は、テストストリップを受け入れるストリップコネクタと、プロセッサと、各ロケーションが少なくとも1つのテストストリップ較正パラメータを記憶可能なように構成される複数のロケーションを有するメモリと、プロセッサによって制御されるデータ収集システムと、を含む。また、データ収集システムは、少なくとも1つの情報エンコードコネクタの固有電気特性を測定し、少なくとも1つの情報エンコードコネクタの固有電気特性に基づいて、メモリ内の少なくとも1つの所定ロケーションから、テストストリップに対応する少なくとも1つのテストストリップ較正パラメータを取得し、複数の電極のうち少なくとも1つに対して少なくとも1つの電圧を印加し、そして、被分析物の濃度に関連する1つ以上の電流を測定する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の好ましい実施形態に従う、テストストリップの平面図である。
【図2】本発明の好ましい実施形態に従う、図1に示すテストストリップの平面図であり、カバーと接着層と試薬層とが取り除かれた状態を示す。
【図3】本発明の好ましい実施形態に従う、図1の線3−3に沿ったテストストリップの横断面図である。
【図4】本発明の好ましい実施形態に従う、測定器の斜視図である。
【図5】本発明の好ましい実施形態に従う、図4に示す測定器の斜視図であり、リムーバブルデータストレージデバイスが挿入された状態を示す。
【図6】本発明の好ましい実施形態に従う、図4に示す測定器のストリップコネクタの斜視図である。
【図7】本発明の好ましい実施形態に従う、図4に示す測定器の電子回路の簡易回路図である。
【図8】本発明の好ましい実施形態に従う、図1に示すテストストリップの電極と図4に示す測定器との間の電気接続を示す簡易回路図である。
【図9】本発明の好ましい実施形態に従う、図1に示すテストストリップの情報提供コネクタと図4に示す測定器との間の電気接続を示す簡易回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
好ましい実施形態において、血液サンプル中のグルコース濃度を測定するシステムは、テストストリップ及び測定器を有する。また、このシステムは、測定器が適切に機能しているか否かを確認するために使用者が測定器に挿入し得るチェックストリップを有してもよい。
【0012】
テストストリップは、血液サンプルを受け入れるサンプル室を備える。サンプル室は、テストストリップの近端部(proximal end)に位置する第1開口部と、サンプル室を通気する第2開口部と、を有する。サンプル室は、毛管作用(capillary action)により、血液サンプルを第1開口部を介して引き込み可能なように、かつ、血液サンプルをサンプル室内にて保持可能なように、その大きさ(寸法)が決定される。使用者が、第1開口部の位置をより容易に見つけられるように、そして、血液サンプルを塗布できるように、テストストリップは、近端部において最も狭いテーパ部を備えてもよい。
【0013】
作用電極、対電極、充填−検出アノード、及び充填−検出カソードが、サンプル室内に配置される。試薬層は、サンプル室内に配置され、好ましくは、少なくとも作用電極を覆う。試薬層は、グルコースオキシダーゼ等の酵素、及び、フェリシアン化カリウム等のメディエータを含み得る。テストストリップは、その遠端部(distal end)の近傍に、導電性トレースを介して電極に電気接続される複数の電気接点を備える。また、テストストリップは、その遠端部の近傍に、少なくとも1つの情報提供コネクタ又は情報エンコードコネクタ(information-providing or information-encoding connector)を備える。このコネクタは、電極から電気的に絶縁され得、また、テストストリップに固有な少なくとも1つのテストストリップ較正パラメータを表す少なくとも1つの固有電気特性(intrinsic electrical property)を有する。
【0014】
測定器は、電池式であり得、また、使用されていない場合には、節電のために低電力のスリープモードを継続し得る。テストストリップが測定器に挿入されると、テストストリップ上の電気接点は、測定器内の対応する電気接点と接触する。加えて、情報提供コネクタは、測定器内の1対の電気接点をブリッジし、これにより、電流が情報提供コネクタを通って流れる。情報提供コネクタを流れる電流により、測定器が起動(wake up)され、そして、アクティブモードに入る。測定器は、電流が流れている間に情報提供コネクタの固有電気特性も測定し、そして、測定された固有電気特性に基づいて、テストストリップに固有な少なくとも1つのテストストリップ較正パラメータを決定する。測定器がチェックストリップを検出すると、測定器はチェックストリップシーケンスを実行する。測定器がテストストリップを検出すると、測定器はテストストリップシーケンスを実行する。
【0015】
テストストリップシーケンスでは、測定器が、作用電極、対電極、及び充填−検出電極のいずれの間にも低インピーダンス経路がないことを確認することによって、これらの電極の動作確認を行う。電極の動作が正常であれば、測定器は、テストストリップにサンプルを塗布可能であることを、使用者に対して表示する。測定器は、次に、作用電極と対電極との間に滴下−検出電圧を印加し、そして、作用電極と対電極との間の電流流れ(すなわち、血液サンプルが作用電極と対電極とをブリッジしたときに血液サンプルを流れる電流)を検出することによって、血液サンプルを検出する。サンプル室内に十分な量のサンプルがあること、及び、血液サンプルが試薬層を移動して試薬層内の化学成分と混合したこと、を検出するために、測定器は、充填−検出電極間に充填−検出電圧を印加して、充填−検出電極間の発生電流のあらゆる流れを測定する。この発生電流が所定期間内に十分なレベルに達すると、測定器は、十分な量のサンプルが存在すること、及び、試薬層と混合されたことを、使用者に対して表示する。
【0016】
測定器は、血液サンプルを初めて検出した後に、血液サンプルが試薬層と反応できるように、インキュベーション(incubation)期間の間、待機する。次に、測定期間中に、測定器は、作用電極と対電極との間に分析電圧(assay voltage)を印加して、作用電極と対極との間を流れる発生電流の測定を1回以上行う。分析電圧は、試薬層内の化学物質の酸化還元電位(レドックスポテンシャル)に近く、また、発生電流は、血液サンプル中のグルコース濃度に関連する。測定器は、測定された電流と、少なくとも1つの情報提供コネクタを表す固有電気特性から得られる較正データと、に基づいて、グルコース濃度を算出する。そして、測定器は、算出したグルコース濃度を、使用者に対して表示する。
【0017】
図面を参照すると、図1、図2、及び図3は、本発明の好ましい実施形態に従うテストストリップ10を示している。テストストリップ10は、好ましくは、近端部12から遠端部14まで延びる一般的なフラットストリップ形状である。好ましくは、テストストリップ10は、容易にハンドリングできるサイズに設定される。例えば、テストストリップ10は、その長さ(すなわち、近端部12から遠端部14まで)が約1 3/8インチ(約35mm)であり、また、幅が約5/16インチ(約8mm)である。しかしながら、遠端部14よりも近端部12を狭くしてもよい。従って、テストストリップ10は、その全幅が近端部12に向けて先細になるテーパ部16を含むことができ、これにより、遠端部14よりも狭い近端部12を形成することができる。後に詳述するように、使用者は、テストストリップ10の近端部12の開口部に血液サンプルを塗布する。従って、テストストリップ10にテーパ部16を設けて、遠端部14よりも狭い近端部12を形成することにより、血液サンプルが塗布される開口部を使用者が見つけやすくなり、また、使用者にとっては、血液サンプルをテストストリップ10に失敗なく塗布することが、より容易になる。
【0018】
図3に最もよく示されているように、テストストリップ10は、一般的な層状構造を有し得る。最下層から上方への機構において、テストストリップ10は、その全長にわたって延びるベース層18を備え得る。ベース層18は、好ましくは、電気絶縁材料により構成され、また、テストストリップ10に構造上の支持を提供するための十分な厚さを有する。例えば、ベース層18は、厚さが約0.014インチ(0.36mm)のポリエステルである。
【0019】
ベース層18上には、導電性パターン20が配置されている。導電性パターン20は、近端部12の近傍のベース層18上に配置される複数の電極と、遠端部14の近傍のベース層18上に配置される複数の電気接点と、複数の電極を複数の電気接点に電気接続させる複数の導電性トレースと、を含む。好ましい実施形態では、複数の電極は、作用電極22と、第1セクション25及び第2セクション26を含み得る対電極24と、充填−検出アノード28と、充填−検出カソード30と、を含む。これに対応して、複数の電気接点は、作用電極接点32と、対電極接点34と、充填−検出アノード接点36と、充填−検出カソード接点38と、を含み得る。導電性トレースは、作用電極22を作用電極接点32に電気接続させる作用電極トレース40と、対電極24を対電極接点34に電気接続させる対電極トレース42と、充填−検出アノード28を充填−検出アノード接点36に電気接続させる充填−検出アノードトレース44と、充填−検出カソード30を充填−検出カソード接点38に電気接続させる充填−検出カソードトレース46と、を含み得る。好ましい実施形態では、導電性パターン20は、遠端部14の近傍のベース層18上に配置される情報提供コネクタ又は情報エンコードコネクタ48も含む。
【0020】
導電性パターン20の一部を覆うために、誘電層50も、ベース層18上に配置され得る。好ましくは、誘電層50は、薄層(例えば、厚さが約0.0005インチ(約0.013mm))であり、また、電気絶縁材料(例えば、シリコーン、アクリル樹脂、又は、これらの混合物)により構成される。誘電層50は、作用電極22、対電極24、充填−検出アノード28、充填−検出カソード30、及び、導電性トレース40〜46、の一部を覆い得るが、しかしながら、好ましくは、電気接点32〜38か、又は、情報提供コネクタ48を覆わない。例えば、誘電層50は、近端部12から延びるスロット52を除き、接点32及び接点34の間近のラインから近端部12に至るまで、ベース層18の実質的全部と、このベース層18上の導電性パターン20の一部と、を覆うことができる。このようにして、スロット52は、作用電極22の露出部54と、対電極24のセクション25,26の露出部56,58と、充填−検出アノード28の露出部60と、充填−検出カソード30の露出部62と、を画定することができる。図2に示すように、スロット52は、異なる部分にて異なる幅を有してもよく、例えば、充填−検出電極28,30の露出部60,62は、作用電極22及び対電極のセクション25,26の露出部54,56,58よりも幅広に形成され得る。
【0021】
テストストリップ10における次の層は、誘電層50上に配置される誘電スペーサ層64であり得る。誘電スペーサ層64は、電気絶縁材料(例えば、ポリエステル)により構成される。誘電スペーサ層64は、誘電層50と同様の長さ及び幅を有し得る。加えて、スペーサ64は、スロット52にほぼ位置合わせされるスロット66を含み得る。従って、作用電極22、対電極24、充填−検出アノード28、及び、充填−検出カソード30、の露出部54〜62が、スロット66内に位置するように、スロット66は、近端部12に位置合わせされて、近端部68から遠端部70へと延びることができる。
【0022】
カバー72は、近端部74及び遠端部76を有しており、接着層78を介して誘電スペーサ層64に取り付けられ得る。カバー72は、電気絶縁材料(例えば、ポリエステル)により構成され、また、約0.004インチ(約0.10mm)の厚さを有し得る。好ましくは、カバー72は、透明である。
【0023】
接着層78は、ポリアクリル酸か、又は、他の接着剤を含み得、また、約0.0005インチ(約0.013mm)の厚さを有し得る。接着層78は、スロット66の両側のスペーサ64上に配置される第1セクション80及び第2セクション82により構成され得る。セクション80とセクション82との間の接着層78における開路(break)84は、スロット66の遠端部70から開口部86まで延びている。カバー72は、その近端部74が近端部12に並び、かつ、遠端部76が開口部86に並ぶように、接着層78上に配置され得る。このようにして、カバー72は、スロット66及び開路84を覆う。
【0024】
スロット66は、ベース層18及びカバー72と共に、測定用の血液サンプルを受け入れるテストストリップ10のサンプル室88を画定する。スロット66の近端部68は、サンプル室88の第1開口部を画定し、この第1開口部を介して、血液サンプルがサンプル室88内に案内される。スロット66の遠端部70にて、開路84は、サンプル室88の第2開口部を画定する。これは、サンプルがサンプル室88に入り込む際に、サンプル室88を通気するためである。血液サンプルが入り込む際に、開路84が開口部86を介してサンプル室88を通気する状態で、スロット66の近端部68に塗布される血液サンプルが、毛管作用によって、サンプル室88内に引き込まれ、かつ、保持されるように、スロット66の大きさ(寸法)が設定される。更に、毛管作用によってサンプル室88に入り込む血液サンプルが、約1マイクロリットル以下となるように、スロット66の大きさが設定される。例えば、スロット66は、約0.140インチ(約3.6mm)の長さ(すなわち、近端部68から遠端部70まで)、約0.060インチ(約1.5mm)の幅、及び、約0.005インチ(約0.13mm)の高さ(これは、誘電スペーサ層64の厚さによって実質的に定められる)を有する。しかしながら、他の寸法を用いることも可能である。
【0025】
サンプル室88には、試薬層90が配置されている。好ましくは、試薬層90は、少なくとも、作用電極22の露出部54を覆う。また、更に好ましくは、試薬層90は、対電極24の露出部56,58に少なくとも接触している。試薬層90は、血液サンプル中のグルコース濃度を電気化学的に測定できるようにする化学成分を含有する。従って、試薬層90は、グルコースに対して特異的な酵素(例えば、グルコースオキシダーゼ)と、メディエータ(例えば、フェリシアン化カリウム)と、を含有し得る。また、試薬層90は、他の成分も含有し得る。ここで、他の成分としては、例えば、緩衝物質(例えば、リン酸カリウム)、高分子バインダー(例えば、ヒドロキシプロピル−メチル−セルロース、アルギン酸ナトリウム、微結晶性セルロース、ポリエチレンオキシド、ヒドロキシエチルセルロース、及び/又は、ポリビニルアルコール)、及び、界面活性剤(例えば、Triton X-100、又は、Surfynol 485)を挙げることができる。
【0026】
これらの化学成分と共に、試薬層90は、血液サンプル中のグルコースと以下の方法で反応する。グルコースオキシダーゼは、グルコースをグルコン酸に酸化し、かつ、フェリシアン化物をフェロシアン化物に還元する反応を始める。対電極24に関連して、適切な電圧が作用電極22に印加されると、フェロシアン化物がフェリシアン化物に酸化され、これによって、血液サンプル中のグルコース濃度に関連する電流が生じる。
【0027】
図3に最もよく示されているように、テストストリップ10における様々な層の配列によって、テストストリップ10は、異なるセクションにて、異なる厚さを有することができる。特に、ベース層18上の複数の層において、テストストリップ10の厚さの大半は、スペーサ64の厚さによってもたらされる。従って、遠端部14に最も近いスペーサ64の端を、テストストリップ10の肩部92として定めることができる。肩部92は、肩部92と遠端部14との間にて延びるテストストリップ10の薄部94と、肩部92と近端部12との間にて延びる厚部96と、を画定する。測定器との電気接続に用いられるテストストリップ10の要素(すなわち、電気接点32〜38及び情報提供コンダクタ48)は、それらの全てが薄部94に配置され得る。従って、測定器のコネクタは、薄部94を受け入れる一方、厚部96を受け入れないように、そのサイズが設定されており、この詳細については、後述する。これは、使用者によって、正しい端部(すなわち、薄部94の遠端部14)が測定器に挿入されるように指示を与え、また、使用者によって、間違った端部(すなわち、厚部96の近端部12)が測定器に挿入されることを防止する。
【0028】
図1〜図3は、テストストリップ10の好ましい構成を示しているが、他の構成を用いることも可能である。例えば、図1〜図3に示す構成では、対電極24は、作用電極22の近端側に位置する第1セクション25と、作用電極22の遠端側に位置する第2セクション26と、を含む2つのセクションによって構成されている。更に、対電極24の露出部56,58を組み合わせた領域は、作用電極22の露出部54の領域よりも大きいことが好ましい。この構成において、対電極24は、作用電極22を事実上包囲し、これにより、作用電極22が、良好に電気的にシールドされる。他の構成では、対電極24は、1つのセクションのみ(例えば、第1セクション25のみ)を有するようにしてもよい。
【0029】
充填−検出電極28,30の異なる配置を用いることも可能である。図1〜図3に示す構成では、充填−検出電極28,30が、互いに隣り合う配置になっている。あるいは、充填−検出電極28,30を、順次的な配置とすることができ、この場合には、サンプルがサンプル室88を通って遠端部70へ流れる際に、サンプルは、まず、一方の充填−検出電極(アノードか、又は、カソード)と接触し、この後に、他方の充填−検出電極と接触する。加えて、図2に示す実施形態では、充填−検出電極28,30の露出部60,62は、作用電極22及び対電極のセクション25,26の露出部54,56,58よりも広い幅を有しているが、他の実施形態では、これらが、同じ幅か、又は、より狭い幅を有していてもよい。
【0030】
これらは、各々と関連して配置されるが、充填−検出電極28,30は、試薬層90の遠位側に配置されることが好ましい。この場合には、サンプルがサンプル室88を通って遠端部70へ流れる際に、サンプルが充填−検出電極28,30に到達するまでの間、サンプルが試薬層90を移動する。この配置は、充填−検出電極28,30が、サンプル室88内に十分な量の血液サンプルが存在するか否かを検出できるようにするのみならず、血液サンプルが試薬層90の化学成分と十分に混合されているか否かを検出できるようにするという点で有益である。従って、試薬層90が作用電極22を覆う場合には、好ましくは、図1〜図3に示す構成のように、充填−検出電極28,30を、作用電極22の遠位側に配置させるとよい。しかしながら、他の構成が用いられてもよい。
【0031】
血液サンプル中のグルコース濃度を測定するために、テストストリップ10は、図4に示す測定器200にて用いられることが好ましい。測定器200は、使用者がグルコース測定を実行する間に、使用者が片手で持ちやすいサイズ及び形状を有することが好ましい。測定器200は、正面202、背面204、左側面206、右側面208、上面210、及び底面212を含み得る。正面202は、ディスプレイ214(例えば、液晶ディスプレイ(LCD))を含み得る。底面212は、測定を行うためにテストストリップ10が挿入されるストリップコネクタ216を含み得る。
【0032】
図5にも示されているが、測定器200の左側面206は、リムーバブルデータストレージデバイス220が挿入されるデータコネクタ218を含み得、この詳細については、後述する。上面210は、使用者が測定器200を操作する1つ以上の使用者操作部222(例えば、ボタン)を含み得る。右側面208は、シリアルコネクタ(図示せず)を含み得る。
【0033】
図6は、好ましい実施形態におけるストリップコネクタ216の詳細を示している。ストリップコネクタ216は、テストストリップ10を受け入れるフレア開口部231を有する通路230を含む。タブ232,234は、それぞれ、所定の高さで通路230の左右の側から内側に向かって突出している。この所定の高さは、(厚部96の)近端部12ではなく(薄部94の)遠端部14をストリップコネクタ216に挿入可能なように設定される。このようにして、使用者がテストストリップ10をストリップコネクタ216に不適切に挿入することを防止することができる。
【0034】
電気接点236,238は、タブ232,234の後方の通路230に配置されており、また、電気接点240〜246は、電気接点236,238の後方の通路230に配置されている。テストストリップ10の遠端部14がストリップコネクタ216に適切に挿入されると、電気接点236〜246は、電気接点32〜38及び情報提供コネクタ48に接触し、これにより、テストストリップ10が測定器200に電気接続される。具体的には、電気接点236,238が、それぞれ、電気接点32,34に接触し、これにより、作用電極22及び対電極24が、測定器200に電気接続される。また、電気接点240,242が、それぞれ、電気接点36,38に接触し、これにより、充填−検出電極28,30が、測定器200に電気接続される。そして、電気接点244,246によって、情報提供コネクタ48が測定器200に電気接続される。
【0035】
測定器200にて測定される血液サンプル中のグルコース濃度を算出するために、測定器200は、リムーバブルデータストレージデバイス220からのデータを使用することができる。特に、データストレージデバイス220は、テストストリップのロット(テストストリップロット)に関連しており、測定器200は、そのロットに対して使用可能な1つ以上のパラメータを記憶することができる。例えば、データストレージデバイス220は、測定器200が電流測定値の平均値からグルコース濃度を算出するために使用可能な1つ以上の較正パラメータを記憶することができる。較正パラメータは、温度補正を含み得る。また、データストレージデバイス220は、テストストリップのロットや測定器に関連する他の情報(例えば、テストストリップのブランドを特定するコード、使用される測定器の型(モデル)を特定するコード、及び、テストストリップのロットに対応する使用期限(expiration date))も記憶することができる。また、データストレージデバイス220は、測定器200が使用する他の情報(例えば、充填タイマー及びインキュベーションタイマーの継続時間、「滴下レベル(Drop Level)1」電圧と「充填(Fill)」電圧と「分析励起レベル(Assay Excitation Level)2」電圧とに対して用いられる電圧、電流測定の測定回数に関する1つ以上のパラメータ、及び、測定器がいかにして電流測定値を平均化するのかを特定する1つ以上のパラメータ)も蓄積することができ、この詳細については、後述する。データストレージデバイス220は、記憶データの全部又は一部についての1つ以上のチェックサムも記憶することができる。
【0036】
好ましい方法では、所定ロットのテストストリップが測定器200で使用される前に、所定ロットに関連付けられたリムーバブルデータストレージデバイス220が、まず、データコネクタ218に挿入される。次に、テストストリップがストリップコネクタ216に挿入されると、測定器200は、関連データをデータストレージデバイス220から内部メモリに読み込む。この内部メモリにて関連データが記憶されるので、測定器200は、所定ロットのテストストリップを使用している間に、グルコース濃度を測定するためには、データストレージデバイス220をもはや必要としない。従って、リムーバブルデータストレージデバイス220は、測定器200から取り外し可能であり、また、他の測定器のコード化に使用可能である。データストレージデバイス220が測定器200に保持されている場合には、測定器200はデータストレージデバイスにアクセスせず、代わりに、測定器の内部メモリに記憶されたデータを使用することができる。
【0037】
好ましい実施形態では、情報提供コネクタ48の固有電気特性に応じてインデックス付けされたストリップ較正パラメータのマスターデータベースを、測定器の内部メモリにて保持することによって、データストレージデバイス220の必要性が全て除去される。固有電気特性は、ストリップの情報提供コネクタ48が測定器200の接点244,246をブリッジするときの、情報提供コネクタ48の抵抗値か、この抵抗値に起因する電圧降下値か、又は、不連続もしくは連続した範囲内で変化可能なあらゆる他の測定可能な電気特性とすることができる。少なくとも1つのテストストリップ較正パラメータは、例えば、1つ以上の温度補正と、テストストリップを用いて測定を行う測定器によって用いられる電圧パラメータと、テストストリップを用いて測定を行う測定器によって何回の測定が行われるのかに関する情報と、テストストリップが属するテストストリップのロットを特定する識別子と、テストストリップのブランドを特定するコードと、テストストリップを用いる測定器の型を特定するコードと、テストストリップの使用期限と、を含むことができる。
【0038】
上述のように、測定器200がテストストリップを検出すると、次に、測定器200は、テストストリップシーケンスを実行する。テストストリップシーケンスの第1段階として、測定器200は、作用電極、対電極、及び充填−検出電極の間のインピーダンスが十分に高いか否かを判定することによって、これらの電極の動作確認を行う。電極の動作が確認されると、次に、測定器200は、使用者がいつ血液サンプルを塗布したのかを検出する。このために、測定器200は、作用電極22と対電極24との間に「滴下レベル1」電圧を印加し、これらの電極間に流れるあらゆる発生電流を測定する。使用者が、近端部12におけるサンプル室88の開口部に血液サンプルを塗布すると、血液サンプルが、作用電極22と対電極24とを最終的にブリッジし、これにより、これらの電極間に導電性経路が形成される。測定器200は、発生電流が所定の閾値に到達するか、又は、全体的に正の変化量を有する一連の閾値に到達すると、血液サンプルがサンプル室88内に存在すると判定する。このようにして測定器200が血液サンプルを検出すると、測定器200は、作用電極22と対電極24との接続を切断し、これらの電極を充填−検出電極28,30に対して高インピーダンス状態にし、そして、充填タイマー及びインキュベーションタイマーを開始させる。測定器200が作用電極22と対電極24とを高インピーダンス状態にする前に、測定器200は、まず、これらを接地させて、蓄積電荷を放電させる。
【0039】
充填タイマーは、血液サンプルが試薬層90を移動して充填−検出電極28,30に到達するまでのタイムリミットを設定する。インキュベーションタイマーは、血液サンプルが試薬層90と反応可能な遅延期間を設定する。測定器200が充填タイマーの実行を開始すると、直ちに、測定器200は、充填−検出電極28,30間に電圧(「充填」電圧)を印加して、これらの電極間を流れる発生電流を測定する。測定器200は、充填タイマーが経過する前に、発生電流が所定の閾値に到達しているか否か、又は、全体的に正の変化量を有する一連の閾値に到達しているか否かを確認する。好ましくは、電流閾値は、十分な量のサンプルが充填−検出電極28,30に到達したか否かと、サンプルが試薬層90内の化学成分と混合されたか否かと、を測定器200が判定可能なように設定される。
【0040】
電流が要求値に到達しない場合には、テストストリップ10に何らかの問題が生じている可能性がある。例えば、サンプル室88内に妨害物が存在している可能性がある。サンプルの量が不十分である可能性もある。また、試薬層が存在しないか、又は、試薬層の化学成分が血液サンプルと混合できていない可能性もある。これらの問題のいずれによっても、グルコース測定の信頼性が低下する。従って、充填−検出電極28,30を十分な電流が流れていない状態で充填タイマーが経過すると、測定器200は、故障ステータスを表示する。測定器200は、ディスプレイ214にエラーメッセージ又はアイコンを表示することによって、及び/又は、使用者が識別可能ないくつかの他の表示を提供することによって、故障ステータスを表示することができる。充填タイマーの継続時間は、例えば、1秒間〜6秒間の範囲内であるとよい。
【0041】
一方、充填タイマーが経過する前に、充填−検出電極28,30を十分な電流が流れていることを測定器200が検出すると、測定器200は、グルコース測定プロセスを開始する。測定器200は、試薬層90の化学成分と混合された十分な量のサンプルを検出したことの表示を使用者に提供する。例えば、測定器200は、ビープ音を鳴らすか、ディスプレイ214にメッセージ又はアイコンを表示するか、又は、使用者が識別可能ないくつかの他の表示を提供する。好ましくは、測定器200は、充填−検出電極28,30間の接続も切断して、これらの電極を作用電極22及び対電極24に対して高インピーダンス状態にする。測定器200、充填−検出電極28,30を高インピーダンス状態にする前に、これらの電極を接地させて、蓄積電荷を放電させる。次に、測定器200は、インキュベーションタイマーが経過するのを待ち、これにより、血液サンプルと試薬層90との反応に十分な時間が与えられる。インキュベーションタイマーは、実施に応じて、例えば、経過するまで約2秒〜約10秒かかるように設定される。好ましい実施形態では、インキュベーションタイマーは、約5秒間、継続される。
【0042】
インキュベーションタイマーが経過すると、測定器200は、作用電極22と対電極24との間に「分析励起レベル2」電圧を印加して、これらの電極間を流れる発生電流を測定する。好ましくは、測定器200は、測定期間にわたって固定のサンプリングレートで発生電流を測定して、複数の電流測定値を得る。測定期間は、実施に応じて、約4秒間〜約15秒間、継続され得る。好ましい実施形態では、測定期間は、約5秒間、継続される。
【0043】
次に、測定器200は、血液サンプル中のグルコース濃度を電流測定値から決定する。好ましい方法では、測定器200は、測定期間における所定の時点での平均電流値を得るために、複数の電流測定値を平均化する。次に、測定器200は、リムーバブルデータストレージデバイス220から得られ、かつ、内部メモリに記憶されている較正データを使用するか、又は、テストストリップ用の適切な較正データ群を決定するための固有電気特性に対応する内部メモリのロケーションにアクセスして、平均電流値からグルコース濃度を算出する。また、測定器200は、温度も測定可能であり、この温度測定値を用いて、温度依存性のあるグルコース濃度測定値を補正することができる。加えて、電流測定値は、時間の経過と共に低下することが予想されるので、測定器200は、この点を確認することによって、電流測定値の妥当性を確認することができる。
【0044】
例えば、好ましい実施形態では、測定器200は、0.1秒間隔で、所定回数の電流測定を行って、電流測定値(m1・・・mM)を取得する。所定回数Mは、例えば、50回〜150回の範囲内であり、また、所定回数Mは、リムーバブルデータストレージデバイス220にて特定されるパラメータであり得る。次に、測定器は、n回分の電流測定値を平均化して、複数のデータポイント(d1・・・dN)を提供する。従って、n=3であれば、測定器は、m1,m2,m3を平均化することによってd1を算出し、また、m2,m3,m4を平均化することによってd2を算出する。平均化パラメータnは、リムーバブルデータストレージデバイス220にて特定されるパラメータであり得る。次に、1つのデータポイントが、別の平均値に対するセンターポイントとして選択され、そして、測定器は、センターポイント及びその周辺のデータポイントを一緒に平均化して、測定指示値Xを提供する。従って、センターポイントとしてd2が選択されると、次に、測定器は、d1,d2,d3を一緒に平均化して、測定指示値Xを算出する。リムーバブルデータストレージデバイス220は、測定指示値Xを算出するためにどのデータポイントをセンターポイントとして用いるのかを特定するパラメータを記憶し得る。次に、測定器200は、測定指示値Xと、リムーバブルデータストレージデバイス220にて特定される1つ以上の較正パラメータと、に基づいて、グルコース濃度Yを算出する。例えば、好ましい実施形態では、測定器200は、3つの較正パラメータa,b,cを用いて、式a+bX+c/XからYを算出する。
【0045】
しかしながら、算出されたグルコース濃度Yは、温度補正がされていない。温度補正をするために、測定器200は、1つ以上の温度補正パラメータを適用することができる。この温度補正パラメータは、リムーバブルデータストレージデバイス220にて特定されるか、又は、測定器の内部メモリのうち固有電気特性に対応するロケーションにて特定される。例えば、好ましい実施形態では、温度補正されたグルコース濃度は、式A+BT+CYT+DYから算出される。ここで、A,B,C,Dは温度補正パラメータであり、また、Tは温度測定値である。較正パラメータA,B,C,Dは、リムーバブルデータストレージデバイス220にて特定され得る。他の実施形態では、温度補正は、単一のパラメータSのみを用いており、このパラメータは、リムーバブルデータストレージデバイス220にて特定され得る。例えば、温度補正されたグルコース濃度は、式Y/[(1+S(T−21)]から算出される。
【0046】
電流測定値が妥当であれば、測定器200は、次に、グルコース濃度(通常、数値として)をディスプレイ214に表示する。また、測定器200は、その内部メモリに、タイムスタンプと共に、測定したグルコース濃度を記憶することもできる。
【0047】
図7は、好ましい実施形態に従う測定器200の電子コンポーネントを、単純化した形で示している。測定器200は、プログラミングに従って測定器200の動作を制御するマイクロコントローラ400を含む。ここで、このプログラミングは、ソフトウェア、及び/又は、ファームウェアとして提供され得る。マイクロコントローラ400は、プロセッサ402、メモリ404、ディスプレイコントローラ406、及び、1つ以上の入出力(I/O)ポート408を含む。ここで、メモリ404は、リードオンリーメモリ(ROM)、及び/又は、ランダムアクセスメモリ(RAM)を含み得る。メモリ404は、測定器200の動作を制御するためのプログラミングを含んで構成される複数の機械語命令を記憶し得る。また、メモリ404は、測定される固有電気特性に対応する値によってインデックス付けされる較正データ群配列を含むデータも記憶し得る。更に、メモリ404は、1つ以上の電気特性の値と、関連するメモリロケーションを示す数値と、の間の相関関係を含むテーブルも記憶し得る。各メモリロケーションは、それぞれ、多数の較正データを格納することができる。プロセッサ402は、メモリ404か、又は、他のコンポーネントに記憶された機械語命令を実行することにより、マイクロコントローラ400を制御し、ひいては、測定器200を制御する。
【0048】
また、マイクロコントローラ400は、プロセッサ402により制御される他のコンポーネントを含むことも可能である。例えば、マイクロコントローラ400は、プロセッサ402によるディスプレイ214の制御を補助するディスプレイコントローラ406を含み得る。好ましい実施形態では、ディスプレイ214はLCDであり、また、ディスプレイコントローラ406はLCDドライバ/コントローラである。また、マイクロコントローラは、I/Oポート408を含むことも可能であり、これにより、マイクロコントローラ400の外部にあるコンポーネントとプロセッサ402とが通信可能になる。また、マイクロコントローラ400は、1つ以上のタイマー410を含むことも可能である。プロセッサ402は、上述の充填期間、インキュベーション期間、及び、他の期間を測定するタイマー410を用いることが可能である。マイクロコントローラ400は、集積回路(例えば、日立から入手可能なHD64F38024H)として備えられ得る。
【0049】
マイクロコントローラ400は、好ましくは、ユーザーインターフェースを提供するコンポーネントと接続される。測定器200のユーザーインターフェースを構成するコンポーネントには、ディスプレイ214と、ビーパー412と、使用者操作部222と、が含まれる。マイクロコントローラ400は、ディスプレイ214上にテキスト及び/又はグラフィックを表示させることができる。例えば、上述のように、(試薬層90の化学成分と混合された)十分な量のサンプルが充填−検出電極28,30に到達したことを示すために、マイクロコントローラは、ビーパー412から信号音を出力させることができる。また、マイクロコントローラ400は、他のコンポーネント(例えば、1つ以上の発光ダイオード(LED))に接続されることも可能であり、これにより、使用者が、見て分かるか、聴いて分かるか、又は、触れて分かる表示(すなわち、使用者が識別可能な表示)を提供することができる。マイクロコントローラ400は、使用者入力を、使用者操作部222から受信する。好ましい実施形態では、使用者操作部222は、複数の個別スイッチを含んで構成される。しかしながら、使用者操作部222は、使用者が測定器200に入力を送信できるタッチスクリーンか、又は、他のコンポーネントを含むことも可能である。
【0050】
マイクロコントローラ400は、1つ以上の外部メモリ(例えば、EEPROM414)にアクセス可能である。好ましい実施形態では、マイクロコントローラ400は、測定されたグルコース濃度と、グルコース測定が行われた日時とを、EEPROM414に記憶する。使用者操作部222を用いることにより、使用者は、EEPROM414に記憶された1つ以上のグルコース測定値を、ディスプレイ214に表示させるように、マイクロコントローラ400に命令することができる。また、マイクロコントローラ400は、シリアルポート416に接続されており、これを介して、使用者は、EEPROM414に記憶されたグルコース測定値にアクセスすることができる。マイクロコントローラ400は、シリアルポート416へ信号を送信するための送信ライン「TX」と、シリアルポート416から信号を受信するための受信ライン「RX」と、を用いることができる。
【0051】
また、EEPROM414は、リムーバブルデータストレージデバイス220からのデータを記憶することもできる。この点に関して、図7は、データコネクタ218の電気接点272〜278が測定器200の内部とどのように接続されているのかを示している。接点272は、マイクロコントローラ400を介して電源に接続されている。これにより、マイクロコントローラ400は、必要な場合のみに(例えば、リムーバブルデータストレージデバイス220からデータをダウンロードする場合のみに)、接点272を介して、リムーバブルデータストレージデバイス220に電力を供給する「パワーマネージメント」を行うことができる。接点274は、接地されている。接点276,278は、それぞれ、マイクロコントローラ400におけるデータ入出力とクロック出力とに接続されている。これにより、データストレージデバイス220がデータコネクタ218に接続されると、マイクロコントローラ400は、データストレージデバイス220からデータをダウンロードすることができ、そして、そのデータをEEPROM414に記憶させることができる。
【0052】
好ましい実施形態では、測定器200は、マイクロコントローラ400とデジタルインタフェースされるデータ収集システム(DAS)420も含む。DAS420は、集積回路(例えば、カリフォルニア州のサニーベールにあるMaxim Integrated Productsから入手可能なMAX1414)として備えられ得る。
【0053】
DAS420は、マイクロコントローラ400からのデジタルデータに応じてアナログ電圧を発生させる1つ以上のデジタルアナログコンバータ(DAC)を含む。特に、DAS420は、「Vout1」端子と「FB1」端子とを含み、テストストリップ10がストリップコネクタ216に挿入されると、DAS420は、第1DACが発生させたアナログ電圧を、これらの端子を用いて、作用電極22に印加する。同様に、DAS420は、「Vout2」端子と「FB2」端子とを含み、テストストリップ10がストリップコネクタ216に挿入されると、DAS420は、第2DACが発生させたアナログ電圧を、これらの端子を用いて、充填−検出アノード28に印加する。DAS420内の1つ以上のDACは、マイクロコントローラ400によって提供されるデジタル信号に基づいて、アナログ電圧を発生させる。このようにして、1つ以上のDACが発生させる電圧は、プロセッサ402によって選択可能となる。
【0054】
DAS420は、1つ以上のアナログデジタルコンバータ(ADC)も含み、これらを用いて、DAS420は、アナログ信号を測定することができる。詳細については後述するが、テストストリップ10がストリップコネクタ216に挿入されると、DAS420は、「Vout1」端子及び「Vout2」端子に接続された1つ以上のADCを用いて、作用電極22及び対電極24からの電流を、各別に、測定することができる。また、DAS420は、1つ以上の他の端子(例えば、図7に示す「Analog In1」端子及び「Analog In2」端子)も含み、これらの端子を介して、ADCは、アナログ信号を測定する。DAS420は、ストリップコネクタ216に接続されたテストストリップ又はチェックストリップのオートオンコンダクタにおける電圧を、「Analog In1」端子を用いて測定することができる。「Analog In2」端子は、サーミスタRT1に接続可能であり、これにより、DAS420は、温度を測定することができる。特に、DAS420は、サーミスタRT1及び別の抵抗器Rdを含む分圧器を介して、基準電圧Vrefを供給することが可能である。DAS420は、「Analog In2」端子を用いて、サーミスタRT1における電圧を測定することができる。DAS420は、1つ以上のADCから得られるデジタル値を、これらのコンポーネント間のデジタルインタフェースを介して、マイクロコントローラ400に転送する。
【0055】
好ましくは、DAS420は、「スリープ」又は低電力モードと、「アクティブ」又は実行モードと、の少なくとも2つの動作モードを有する。アクティブモードでは、DAS420は、最大限の機能性を有する。スリープモードでは、DAS420は、その機能性が低下するが、非常に小さな電流を引き込む。例えば、DAS420は、アクティブモード時には、1mA以上の電流を引き込む一方、スリープモード時には、マイクロアンペア程度の電流のみを引き込む。図7に示すように、DAS420は、「Wake-up1」入力と、「Wake-up2」入力と、「Wake-up3」入力と、を含み得る。適切な信号が、これらの「Wake-up」端子のいずれかにアサートされると、DAS420は、スリープモードから起動(wake up)して、アクティブモードに入り、そして、測定器200の残部を起動させる。この詳細については、後述する。好ましい実施形態では、「Wake-up」入力は、内部でプルアップされて供給電圧VCCとなるアクティブ・ロー入力(active-low inputs)である。詳細については後述するが、テストストリップ又はチェックストリップのオートオンコンダクタをストリップコネクタ216に挿入すると、「Wake-up1」入力がローとなり、これによって、DAS420は、アクティブモードに入ることができる。加えて、「Wake-up2」入力は、1つ以上の使用者操作部222に接続され得る。それゆえ、使用者が少なくとも一定数の使用者操作部222を作動させることにより、DAS420は、アクティブモードに入ることができる。また、「Wake-up3」入力は、例えば、受信ライン「RX」を介して、シリアルポート416に接続され得る。それゆえ、データ転送のためにシリアルポート416を使用する際には、DAS420が起動され、そして、測定器200が起動される。
【0056】
図7に示すように、DAS420は、マイクロコントローラ400に接続される複数の端子を含む。DAS420は、1つ以上の「Data I/O」端子を含み、この端子を介して、マイクロコントローラ400は、デジタルデータをDAS420に書き込むことができると共に、デジタルデータをDAS420から読み取ることができる。また、DAS420は、「Data I/O」端子へのデータ転送と、「Data I/O」端子からのデータ転送と、を調整するためにマイクロコントローラ400からクロック信号を受信する「Clock In」端子も含む。また、DAS420は、「Clock Out」端子も含み、この端子を介して、DAS420は、マイクロコントローラ400を駆動するクロック信号を供給する。DAS420は、クリスタル422を用いてクロック信号を生成することが可能である。また、DAS420は、クリスタル422を用いてリアルタイムクロック(RTC)を生成することも可能である。
【0057】
また、DAS420は、他の端子も含み、この端子を介して、他のタイプのデジタル信号をマイクロコントローラ400に出力することができる。例えば、例示のDAS420は、「Reset」端子を含み、この端子を介して、DAS420は、マイクロコントローラ400をリセットするための信号を出力することができる。また、DAS420は、マイクロコントローラ400への割込み信号の供給に使用可能な1つ以上の「Interrupt Out」端子も含む。また、DAS420は、1つ以上の「Data Ready」入力も含み、DAS420は、マイクロコントローラ400への転送準備が完了したデータ(例えば、アナログデジタル変換からのデータ)をDAS420が得たことを、「Data Ready」入力を用いて、マイクロコントローラ400に信号で伝達する。
【0058】
図7に示すように、測定器200は、電源(例えば、1つ以上の電池424)を含み得る。電圧レギュレータ426は、電池424により供給される電圧を安定化して、安定化供給電圧VCCを提供する。そして、供給電圧VCCは、測定器200の他のコンポーネントに電力を供給する。好ましい実施形態では、電圧レギュレータ426は、昇圧用DC/DC電圧コンバータである。電圧レギュレータ426は、集積回路、及び、他のコンポーネント(例えば、インダクタ、コンデンサ、及び、抵抗器)として提供され得る。集積回路は、例えば、カリフォルニア州のサニーベールにあるMaxim Integrated Productsから入手可能なMAX1724であり得る。
【0059】
好ましくは、電圧レギュレータ426は、安定化されていない出力電圧のみを供給するシャットダウンモードを有する。DAS420は、「Shutdown」端子を含み、この端子を介して、DAS420は、電圧レギュレータ426を制御することができる。具体的には、DAS420がスリープモードに入ると、DAS420は、その「Shutdown」端子にて低レベル信号をアサートし、これにより、電圧レギュレータ426は、シャットダウンモードに入る。DAS420がアクティブモードに入ると、DAS420は、その「Shutdown」端子にて高レベル信号をアサートし、これにより、電圧レギュレータ426は、通常作動が可能となる。
【0060】
また、図7は、ストリップコネクタ216の電気接点236〜246がどのように測定器200に接続されるのかを示している。テストストリップ10がストリップコネクタ216に挿入されると、接点236,238は、それぞれ、作用電極22及び対電極24と電気接続されるが、これらの接点236,238は、それぞれ、以下のように接続される。作用電極22に対応する接点236は、DAS420の「FB1」端子に接続され、かつ、抵抗器RF1を介して、DAS420の「Vout1」端子に接続される。対電極24に対応する接点238は、スイッチ428に接続される。スイッチ428は、接点238(及び、後段の対電極24)を接地させるか、又は、高インピーダンス状態のままにさせる。図7に示すように、スイッチ428は、マイクロコントローラ400によってデジタル制御され得る。対電極24が接地された状態にて、DAS420は、「Vout1」端子及び「FB1」端子を用いて(対電極24に関連して)作用電極22に電圧を印加し、そして、作用電極22を流れる電流を測定する。
【0061】
テストストリップ10がストリップコネクタ216に挿入されると、接点240,242は、それぞれ、充填−検出アノード28及び充填−検出カソード30と電気接続されるが、これらの接点240,242は、それぞれ、以下のように接続される。充填−検出アノード28に対応する接点240は、DAS420の「FB2」端子に接続され、かつ、抵抗器RF2を介して、DAS420の「Vout2」端子に接続される。充填−検出カソード30に対応する接点242は、スイッチ430に接続される。スイッチ430は、接点242(及び、後段の充填−検出カソード30)を接地させるか、又は、高インピーダンス状態のままにさせる。図7に示すように、スイッチ430は、マイクロコントローラ400によってデジタル制御され得る。充填−検出カソード30が接地された状態にて、DAS420は、「Vout2」端子及び「FB2」端子を用いて(充填−検出カソード30に関連して)充填−検出アノード28に電圧を印加し、そして、充填−検出アノード28を流れる電流を測定する。
【0062】
スイッチ428,430は、単極/単投(SPST)スイッチであり得、また、これらのスイッチは、集積回路(例えば、カリフォルニア州のサニーベールにあるMaxim Integrated Productsから入手可能なMAX4641)として提供され得る。しかしながら、スイッチ428,430として、他の構成を用いることもできる。
【0063】
テストストリップ又はチェックストリップがストリップコネクタ216に挿入されると、接点244,246は、情報提供コンダクタと電気接続されるが、これらの接点244,246は、以下のように接続される。接点246は、接地されるか、又は、他の基準電位に接続される。接点244は、DAS420の「Analog In1」端子及び「Wake-up1」端子と、マイクロコントローラ400と、に接続される。詳細については後述するが、情報エンコードコンダクタの存在によって、「Wake-up1」端子が低電位(ロー)となり、これによって、DAS420が起動されて、アクティブモードに入る。DAS420は、「Analog In1」端子を用いて、情報エンコードコンダクタにおける電圧を測定することができる。この接点244との接続によって、マイクロコントローラ400は、情報エンコードコンダクタが存在するか否かを判定することができ、ひいては、テストストリップとチェックストリップとのどちらがストリップコネクタ216に接続されているのかを判定することができる。
【0064】
図8は、テストストリップ10がストリップコネクタ216に挿入された場合における、測定器200と電極22,24,28,30との間の接続の機能的特徴を、更に詳細に示している。図8に示すように、DAS420は、作用電極22に対応する増幅器440と、充填−検出アノード28に対応する増幅器442と、を機能的に含む。より詳しくは、増幅器440の出力は、「Vout1」端子と抵抗器RF1とを介して、作用電極22に接続され、また、増幅器440の反転入力は、「FB1」端子を介して、作用電極22に接続される。同様に、増幅器442の出力は、「Vout2」端子と抵抗器RF2とを介して、充填−検出アノード28に接続され、また、増幅器442の反転入力は、「FB2」端子を介して、充填−検出アノード28に接続される。
【0065】
作用電極22と充填−検出電極28とに印加する、選択されたアナログ電圧を発生させるために、DAS420は、第1DAC444と第2DAC446とを、それぞれ含む。DAC444は、増幅器440の非反転入力に接続される一方、DAC446は、増幅器442の非反転入力に接続される。そして、増幅器440の反転入力で検出される作用電極22の電圧が、DAC444の発生電圧と本質的に等しくなるように、増幅器440は「Vout1」端子に電圧を印加する。同様に、増幅器442の反転入力で検出される充填−検出電極28の電圧が、DAC446の発生電圧と本質的に等しくなるように、増幅器442は「Vout2」端子に電圧を印加する。
【0066】
作用電極22及び充填−検出アノード28を流れる電流を測定するために、DAS420は、ADC448と、マルチプレクサ(MUX)450,452と、を含む。MUX450,452は、「Vout1」端子、「FB1」端子、「Vout2」端子、及び、「FB2」端子、の中からADC448の入力を選択することができる。また、DAS420は、ADC448と、MUX450,452と、の間に、1つ以上のバッファ及び/又は増幅器(図示せず)も含み得る。作用電極22を流れる電流を測定するために、MUX450,452は、ADC448を、「Vout1」端子及び「FB1」端子に接続させ、これにより、抵抗器RF1における電圧が測定される。ここで、抵抗器RF1における電圧は、作用電極22を流れる電流に比例する。充填−検出電極28を流れる電流を測定するために、MUX450,452は、ADC448を、「Vout2」端子及び「FB2」端子に接続させ、これにより、抵抗器RF2における電圧が測定される。ここで、抵抗器RF2における電圧は、充填−検出アノード28を流れる電流に比例する。
【0067】
上述のように、測定器200は、好ましくは、スイッチ428,430を含み、これらのスイッチを用いて、対電極24と充填−検出カソード30とを、それぞれ、高インピーダンス状態にすることが可能である。また、測定器200は、好ましくは、作用電極22と充填−検出アノード28とを、高インピーダンス状態にすることも可能である。好ましい実施形態では、これは、「Vout1」端子、「FB1」端子、「Vout2」端子、及び、「FB2」端子、を高インピーダンス状態にすることが可能なDAS420によって、達成され得る。従って、図8に示すように、DAS420は、スイッチ454,456,458,460を実質的に含み得る。図8に示すように、スイッチ428,430,454〜460は、SPSTスイッチであってもよいが、他のタイプのスイッチ(例えば、単極双投(SPDT)スイッチ)を用いることができる。また、一方の電極対(作用電極と対電極との対、又は、充填−検出電極対)を選択し、かつ、他方の電極対を高インピーダンス状態にする機能を有する測定器200を提供するために、これらのスイッチは、他の配置とされてもよい。例えば、1対のSPDTスイッチを用いることができ、この場合に、一方のSPDTスイッチは、作用電極22と充填−検出電極28とのいずれをDAS420に接続するかを選択し、他方のSPDTスイッチは、対電極24と充填−検出カソードとのいずれを接地させるかを選択する。他の例では、測定器200は、全ての電極を高インピーダンス状態にするようには構成されない。例えば、ある実施形態では、測定器200はスイッチ428を含まず、この結果、テストストリップ10がストリップコネクタ216に挿入されると、対電極24は、常時接地される。
【0068】
図9は、テストストリップか、又は、チェックストリップが、ストリップコネクタ216に挿入された場合における、測定器200と情報エンコードコネクタとの間の接続の機能的特徴を、更に詳細に示している。図9に示すように、情報エンコードコネクタは、ストリップコネクタ216の接点244,246間に実効抵抗Rautoを提供する。測定器200内にて、接点244は、実効抵抗RSを介して、電源電圧Vccに接続される。例えば、接点244と接続されるDAS420の「Wake-up1」端子は、実効抵抗RSを介して、内部でプルアップされてVccとなる。従って、テストストリップか、又は、チェックストリップが、ストリップコネクタ216に挿入されると、情報エンコードコネクタが接点244,246をブリッジし、情報エンコードコネクタに電流が流れ、そして、接点244,246間に電圧降下が生じる。この情報エンコードコネクタにおける電圧降下量は、RautoとRSとの抵抗比に依存する。好ましくは、情報エンコードコネクタにおける電圧が、測定器200にて用いられるロジック低電圧(これは、約0.8ボルトであり得る)未満となるように、RSと比較して十分に小さい値のRautoが、テストストリップ及びチェックストリップに対して選択される。また、測定器200が、情報エンコードコネクタの電圧降下値に基づいて、ストリップのタイプを判定できるように、Rautoは、テストストリップとチェックストリップとで大幅に異なっていることが好ましい。例えば、RSが約500kΩである場合に、Rautoは、テストストリップでは約20Ωよりも小さく、また、チェックストリップでは約20kΩである。このようにして、マイクロコントローラ400は、接点244のロジック低電圧を検出することによって、テストストリップとチェックストリップとのいずれがストリップコネクタ216に挿入されたかを判定することができる。Rautoの実測値、又は、あらゆる他の測定可能なパラメータは、測定器内のメモリロケーションを参照するために用いられ得る。測定器が、測定値を、測定器のメモリロケーションを示す数値にマッピングできるならば、あらゆる範囲の抵抗値を用いることができる。これは、測定器のメモリに記憶された対応テーブルを用いて容易に実現され、測定器は、抵抗間隔(又は、電圧、もしくは、あらゆる他の特性)を、メモリロケーションにマッピングする。更に、Rautoの実測値を用いてエンコードされるか、又は、あらゆる他の測定可能なパラメータを用いてエンコードされる情報の密度については、テストストリップ上に追加の情報エンコードコネクタを組み込むことによって、その密度を大幅に増大させることができる。この追加の情報エンコードコネクタは、別個の情報チャンネルとなることができ、また、検証(照合)目的で、別個の信号や冗長信号を伝達させるために用いられ得る。
【0069】
また、DAS420は、情報提供コンダクタの電圧降下を検出し、そして、これを用いて、測定器200を起動させて、ストリップのタイプを判定する(すなわち、テストストリップとチェックストリップとのいずれがストリップコネクタ216に挿入されたのかを判定する)。テストストリップの場合には、DAS420は、テストストリップがストリップコネクタ216に適切に挿入されたか否かも確認し得る。
【0070】
DAS420は、起動ロジック(wake-up logic)462を含み、この起動ロジック462は、1つ以上のバッファ及び/又は増幅器(例えば、バッファ464)を介して、「Wake-up1」端子の電圧を検出する。また、DAS420は、ADC448も含み、このADC448は、1つ以上のバッファ及び/又は増幅器(例えば、バッファ466)を介して、「Analog In1」端子の電圧を測定することができる。図9には示されていないが、MUX450,452が、バッファ466とADC448との間に接続され得る。
【0071】
ストリップがストリップコネクタ216内に存在しない場合には、接点244(ひいては、「Wake-up1」端子)は、VCCか、又は、VCCに近い高電圧となる。しかしながら、テストストリップか、又は、チェックストリップが、ストリップコネクタ216に挿入されると、上述のように、情報エンコードコネクタによって、「Wake-up1」端子が低電位(ロー)となる。起動ロジック462は、「Wake-up1」端子における電圧降下を検出すると、これに応答して、DAS420をアクティブモードにする起動シーケンスを開始する。この起動シーケンスの一部として、起動ロジック462によって、DAS420が、その「Shutdown」端子にて信号をアサートし、これにより、電圧レギュレータ426が作動する。また、起動ロジック462によって、DAS420は、マイクロコントローラ400を起動させるための信号も、生成し得る。例えば、起動ロジック462によって、DAS420は、その「Clock Out」端子を介してクロック信号をアサートし、「Reset」端子を介してリセット信号をアサートし、そして、「Interrupt Out」端子を介して割込み信号をアサートして、マイクロコントローラ400を起動させる。
【0072】
図9には示されていないが、起動ロジック462は、「Wake-up1」端子の電圧と、「Wake-up2」端子の電圧と、を検出し、そして、これらの端子の一方における電圧降下に応じて、上述と同様に、起動シーケンスを開始する。
【0073】
DAS420がアクティブモードに入ると、DAS420は、ストリップコネクタ216に挿入されたストリップのタイプも判定する。具体的には、ADC448が、「Analog In1」端子の電圧を測定する。次に、DAS420が、電圧測定値を、マイクロコントローラ400に報告する。そして、この情報に基づいて、マイクロコントローラ400が、テストストリップシーケンスか、又は、チェックストリップシーケンスを開始する。いずれかのシーケンスを実行している間に、マイクロコントローラ400は、ストリップがストリップコネクタ216に依然として挿入されていることを確認するために、接点244の電圧を定期的に確認し得る。あるいは、ストリップの取り外しによる接点244の電圧上昇を、割込み信号が、マイクロコントローラ400に、報告し得る。
【0074】
このようにして、情報提供コネクタにわたって生じる情報提供コネクタの電圧降下は、測定器200にて、いくつかの機能を実行する。第1に、情報エンコードコネクタの電圧は、測定器200を、スリープモードからアクティブモードへと起動させることができる。第2に、測定器200は、ストリップのタイプを、情報エンコードコネクタの電圧の大きさ(振幅)から判定することができる。第3に、測定器200が、テストストリップシーケンスか、又は、チェックストリップシーケンスを実行している間に、情報エンコードコネクタの電圧は、ストリップがストリップコネクタ216に依然として挿入されていることを、測定器200に、知らせることができる。最後に、情報提供コネクタの固有電気特性のあらゆる測定値を用いて、テストストリップに固有な1つ以上の較正パラメータを含有する測定器内のメモリロケーションを、参照することができる。
【0075】
本発明の好ましい実施形態を上述した。しかしながら、当業者であれば、特許請求の範囲により規定される本発明の真の範囲及び精神から逸脱することなく、上記実施形態に対して種々の変更や修正を加えることが可能であることを理解するであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体サンプル中の被分析物の濃度を測定するテストストリップであって、
前記液体サンプルを受け入れるように構成されるサンプル室と、
前記液体サンプル中の前記被分析物の濃度に関連する少なくとも1つの電流測定値を生成するように構成される複数の電極と、
前記テストストリップに固有な少なくとも1つのテストストリップ較正パラメータを表す固有電気特性を有する少なくとも1つの情報提供コネクタと、
を含んで構成されるテストストリップ。
【請求項2】
前記液体サンプルは、血液サンプルであり、前記被分析物は、血液グルコースである請求項1に記載のテストストリップ。
【請求項3】
前記少なくとも1つのテストストリップ較正パラメータは、温度補正を含む請求項1に記載のテストストリップ。
【請求項4】
前記少なくとも1つのテストストリップ較正パラメータは、前記テストストリップを用いて測定を行う測定器によって用いられる電圧パラメータを含む請求項1に記載のテストストリップ。
【請求項5】
前記少なくとも1つのテストストリップ較正パラメータは、前記テストストリップを用いて測定を行う測定器の測定回数に関する情報を含む請求項1に記載のテストストリップ。
【請求項6】
前記少なくとも1つのテストストリップ較正パラメータは、前記テストストリップが属するテストストリップロットを特定する識別子を含む請求項1に記載のテストストリップ。
【請求項7】
前記少なくとも1つのテストストリップ較正パラメータは、前記テストストリップのブランドを特定するコードを含む請求項1に記載のテストストリップ。
【請求項8】
前記少なくとも1つのテストストリップ較正パラメータは、前記テストストリップを用いる測定器の型を特定するコードを含む請求項1に記載のテストストリップ。
【請求項9】
前記少なくとも1つのテストストリップ較正パラメータは、前記テストストリップの使用期限を含む請求項1に記載のテストストリップ。
【請求項10】
前記固有電気特性は、電気抵抗である請求項1に記載のテストストリップ。
【請求項11】
液体サンプル中の被分析物の濃度を測定するシステムであって、
テストストリップと、
測定器と、
を含んで構成され、
前記テストストリップは、
前記液体サンプルを受け入れるように構成されるサンプル室と、
前記液体サンプル中の前記被分析物の濃度に関連する1つ以上の電流の測定値を生成するように構成される複数の電極と、
前記テストストリップに固有な少なくとも1つのテストストリップ較正パラメータを表す固有電気特性を有する少なくとも1つの情報エンコードコネクタと、
を含み、
前記測定器は、
前記テストストリップを受け入れるストリップコネクタと、
プロセッサと、
各ロケーションが前記少なくとも1つのテストストリップ較正パラメータを記憶可能なように構成される複数のロケーションを有するメモリと、
前記プロセッサによって制御されるデータ収集システムと、
を含み、
前記データ収集システムは、
前記少なくとも1つの情報エンコードコネクタの前記固有電気特性を測定し、
前記少なくとも1つの情報エンコードコネクタの前記固有電気特性に基づいて、前記メモリ内の少なくとも1つの所定ロケーションから、前記テストストリップに対応する前記少なくとも1つのテストストリップ較正パラメータを取得し、
前記複数の電極のうち少なくとも1つに対して少なくとも1つの電圧を印加し、かつ、
前記被分析物の濃度に関連する前記1つ以上の電流を測定する、
システム。
【請求項12】
前記液体サンプルは、血液サンプルであり、前記被分析物は、血液グルコースである請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記少なくとも1つのテストストリップ較正パラメータは、温度補正を含む請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記少なくとも1つのテストストリップ較正パラメータは、前記テストストリップを用いて測定を行う前記測定器によって用いられる電圧パラメータを含む請求項11に記載のシステム。
【請求項15】
前記少なくとも1つのテストストリップ較正パラメータは、前記テストストリップを用いて測定を行う前記測定器の測定回数に関する情報を含む請求項11に記載のシステム。
【請求項16】
前記少なくとも1つのテストストリップ較正パラメータは、前記テストストリップが属するテストストリップロットを特定する識別子を含む請求項11に記載のシステム。
【請求項17】
前記少なくとも1つのテストストリップ較正パラメータは、前記テストストリップのブランドを特定するコードを含む請求項11に記載のシステム。
【請求項18】
前記少なくとも1つのテストストリップ較正パラメータは、前記テストストリップを用いる前記測定器の型を特定するコードを含む請求項11に記載のシステム。
【請求項19】
前記少なくとも1つのテストストリップ較正パラメータは、前記テストストリップの使用期限を含む請求項11に記載のシステム。
【請求項20】
前記固有電気特性は、電気抵抗である請求項11に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2011−502263(P2011−502263A)
【公表日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−532196(P2010−532196)
【出願日】平成20年10月29日(2008.10.29)
【国際出願番号】PCT/US2008/081533
【国際公開番号】WO2009/058824
【国際公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【出願人】(504144529)ニプロ ダイアグナスティックス,インコーポレーテッド (28)
【Fターム(参考)】