説明

液体ポンプの収納ケース

【課題】液体の汲替えを終了した後、液体ポンプを、これに付着した液体で手を汚すことなく収納することを可能とする。
【解決手段】液体の汲替えに際して液体タンクに挿入される吸入管21aを有するポンプ本体21と、吸入管21aを介して吸い出された液体を移送するための吐出ホース22と、を備える液体ポンプ2の収納ケース1である。収納ケース1は、吸入管21aが収納される空間を形成する第1の収納部11と、吐出ホース22のうち、少なくともその先端部22aを包囲して、吐出ホース22が収納される空間を形成する第2の収納部12とを有し、第2の収納部12において、吐出ホース22が収納される空間は、吸入管21aが収納される空間に対して隔てられて形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体ポンプの収納ケースに関し、詳細には、液体タンクに貯蔵されている液体を液体ポンプにより汲み替える作業を終了した後、この液体ポンプを、これに付着した液体で手を汚すことなく収納することのできる収納ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
液体タンクからの液体の汲替えに使用される液体ポンプとして、手動又は自動による、携行型の各種の液体ポンプが市販されている。これらの液体タンクは、いずれも、液体の汲替えに際して液体タンクに挿入される吸入管と、この吸入管を介して液体タンクから吸い出された液体を、これとは異なる液体タンクに移送するための吐出ホースとを備えるものとして構成されるのが一般的である。特に、自動型の液体ポンプでは、吸入管の先端部に電動モータが内蔵されており、この電動モータにより液体が吸い出され、吸入管及び吐出ホースを介して液体が移送される。液体ポンプの適用例として一般的に知られるものに、石油ストーブの燃料として用いられる灯油の汲替えがあるが、液体ポンプの適用は、これに限られるものではない。
【0003】
近年における環境保護の要請を背景に、内燃機関からの窒素酸化物(以下「NOx」という。)の排出量の削減を目的として、尿素SCR(Selective Catalytic Reduction)法による排気浄化装置の開発が進められており、ディーゼルエンジンの排気浄化装置として、既に実用化されている。この尿素SCR法による排気浄化装置は、排気通路に備えられた還元触媒を有し、この還元触媒の上流で排気中に尿素水を噴射することで、NOxの還元剤であるアンモニアを生じさせ、このアンモニアと排気中のNOxとを還元触媒上で反応させて、排気を浄化するものである。このような排気浄化装置において、排気中に噴射される尿素水は、車上に搭載された液体タンクに貯蔵される(特許文献1)。尿素水の累積噴射量が増大するに従って液体タンクに貯蔵されている尿素水が不足するため、液体タンクに対し、尿素水を定期的に補給する必要がある。現状において、補給用の尿素水は、携行用の液体タンクにより持ち運ぶこととしており、尿素水の補給は、注水用のノズル等を補給先の液体タンクの注入口に差し込み、使用者が携行用の液体タンクをこの注入口よりも高く持ち上げることで、重力の作用を利用して注ぎ込むことにより行われている(特許文献2)。このような方法による補給は、使用者にとって大きな負担を伴う作業である。無論、尿素水の汲替えを液体ポンプにより自動的に行うことができれば、液体タンクを持ち上げることが不要となるから、作業の負担は、大幅に軽減されるものと考えられる。汲替えに使用された液体ポンプは、これに付着した尿素水が周囲に撒き散らされることを防止し、及び液体ポンプに埃等が付着し、これが尿素水の供給系内に混入することを防止するため、専用の収納ケースに納めて保管されることが望ましい(灯油ポンプに関するものであるが、特許文献3)。
【特許文献1】特開2006−342771号公報(段落番号0002)
【特許文献2】特開2006−347605号公報(段落番号0014)
【特許文献3】特開2001−031099号公報(図7)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、尿素水の汲替えに液体ポンプを使用する場合においては、使用後の液体ポンプを収納ケースに納めようとする際に、液体ポンプに付着した尿素水により手が汚れてしまうという問題がある。慎重な作業により収納時には手が汚れなかったとしても、尿素水が付着した吸入管と、吐出ホースとが保管中に収納ケース内で接触して、尿素水が吐出ホースに付着すれば、次の使用に際して吐出ホースを介して手が汚れてしまう。尿素水は、本来無臭の液体であるが、これを付着したまま放置しておくと、時間の経過に伴ってアンモニア臭が発生し、使用者に不快感を与えることになる。即座の洗浄等により臭いの発生を回避し得るとしても、作業の都度洗浄することは面倒であるし、必ずしも常に洗浄が可能な状況にあるとは限らない。商用トラックのエンジンにおける排気浄化等、長距離移動を前提とする場合においては、なおさらである。また、臭いに限らず、尿素水が付着して、手がべとつくことで、使用者に不快感を与えることも考えられる。
【0005】
以上から、使用後の液体ポンプを、これに付着した尿素水により手を汚すことなく収納ケースに納めることができれば、使用者に対して尿素水の付着に起因する不快感を与えずに済み、液体ポンプの使用がより便利なものとなる。
なお、液体が手に付着することは、尿素水に限らず、灯油等の尿素水以外の液体についても回避されることが望ましい。
【0006】
本発明は、以上の問題を考慮した液体ポンプの収納ケースを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る収納ケースは、液体タンクからの液体の汲替えに際してこの液体タンクに挿入される吸入管を有するポンプ本体と、前記吸入管を介して吸い出された液体を移送するための吐出ホースと、を含んで構成される液体ポンプの収納ケースである。本発明に係る収納ケースは、前記吸入管が収納される空間を形成する第1の収納部と、前記吐出ホースのうち、少なくともその先端部を包囲して、前記吐出ホースが収納される空間を形成する第2の収納部と、を含んで構成され、前記第2の収納部において、前記吐出ホースが収納される空間は、前記吸入管が収納される空間に対して隔てられて形成される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、液体ポンプのうち、吸入管が収納される空間と、吐出ホースが収納される空間とを個別に、かつ互いに隔てられるように形成するとともに、吐出ホースが収納される空間を形成する第2の収納部を、吐出ホースのうち、少なくともその先端部を包囲するものとして形成したので、液体が付着した吸入管と、吐出ホース(特に、その先端部)とが収納ケース内で接触するのを回避し、吸入管以外の部分に液体が付着するのを防止することができる。このため、使用後の液体ポンプを、これに付着した液体により手を汚すことなく収納することが可能となるとともに、それ以降の使用に際し、吐出ホースを介して液体が手に付着するのを回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る液体ポンプの収納ケース1の構成を示す透視図である。
図2は、本実施形態に係る収納ケース1に納められる液体ポンプ2の構成を示す正面図である。
【0010】
図2を適宜に参照しながら、図1により、本実施形態に係る収納ケース1の構成について説明する。
本実施形態において、液体ポンプ2は、電動型の液体ポンプであり、液体タンクに貯蔵されている液体としての尿素水を、これとは異なる液体タンクに汲み替える際に使用されるものである。尿素水は、たとえば、内燃機関(以下「エンジン」という。)から排出されるNOxを、尿素SCR法により浄化するのに使用される。この場合において、液体ポンプ2により尿素水が汲み替えられる汲替先の液体タンク(以下、特に「貯蔵タンク」という。)は、エンジンの排気浄化装置の構成部品として、このエンジンを駆動源とする車両に搭載される。他方、液体ポンプ2による汲替元の液体タンクは、比較的に小さな容量の補給タンクとして、携行可能に構成される。以下、尿素水の補給タンクとして構成される液体タンクを、特に「携行タンク」という。
【0011】
図2に示すように、液体ポンプ2は、大別して、ポンプ本体21と、吐出ホース22とから構成されている。ポンプ本体21は、長尺に形成された吸入管21aを備えている。この吸入管21aは、尿素水の補給に際して携行タンクに挿入されるものであり、その先端の膨大部には、電動モータ211が内蔵されている。この電動モータ211がポンプ本体21の基部21bに内蔵されたバッテリー212を電源として駆動することで、携行タンク内の尿素水が吸い出され、次に述べる吐出ホース22を介して貯蔵タンクに移送される。吐出ホース22は、ポンプ本体21から分岐させて形成されるとともに、補給に際して貯蔵タンクの補給口に挿入される先端部22a以外の部分22bにおいて、蛇腹に形成されている。この吐出ホース22の先端部22aには、吐出ホース22の貯蔵タンクに対する接続を容易なものとするための接続具23が取り付けられている。液体ポンプ2は、使用後の保管、及び未使用の段階における使用者への提供に際し、収納ケース1に納められる。
【0012】
図1に示すように、収納ケース1は、液体ポンプ2の異なる部分を包囲する2つの収納部11,12から構成されており、それぞれの収納部11,12において、液体ポンプ2の各部分が収納される空間は、互いに隔てられて形成されている。第1の収納部11は、ポンプ本体21が収納される空間を形成するものであり、本実施形態では、柔軟性を有するシート材(以下「柔軟性シート」という。)を折り重ね、上端を除く所要の箇所で縫合したバッグの形態で形成されている。第1の収納部11は、吸入管21aを含め、ポンプ本体21をその全長に亘って包囲可能な長さを持たせて縦長に形成されており、ポンプ本体21のうち、吸入管21a以外の部分(すなわち、基部21b)を包囲する上部(以下「ケース本体上部」という。)11aに開口Aが設けられ、このケース本体上部11aにおいて、前面及び後面の間で開閉可能に構成されている。ケース本体上部11aには、フック及びループからなる面ファスナー等、仮止めのための手段111が設けられており、この手段111により、開口Aが閉ざされる。他方、第2の収納部12は、吐出ホース22が収納される空間を形成するものであり、本実施形態では、第1の収納部11と同一の素材である柔軟性シートにより、第1の収納部11と一体に形成されている。第2の収納部12は、第1の収納部11のうち、開口Aが設けられるケース本体上部11aを除く部位(以下「ケース本体下部」という。)11bの前面に設けられ、ケース本体上部11aに向けて開放されている。ケース本体下部11bは、吐出ホース22(図2)のうち、先端部22aを収納するための比較的に容積の小さな部分12aと、先端部22a以外の部分22bを収納するための、部分12aよりも容積の大きな部分12bとに分割して形成されている。本実施形態において、第1の収納部11が形成する、ポンプ本体21(特に、吸入管21a)が収納される空間と、第2の収納部12が形成する、吐出ホース22が収納される空間とは、第1の収納部11の前面を形成する柔軟性シートにより、互いに隔てられている。なお、本実施形態では、第2の収納部12の各部分12a,12bも、柔軟性シートにより互いに隔てられた関係にある。
【0013】
図3は、本実施形態に係る収納ケース1に液体ポンプ2を実際に納めた状態を示す説明図である。同図において、液体ポンプ2を実線により、収納ケース1を二点鎖線により示している。
液体ポンプ2のポンプ本体21は、収納ケース1において、第1の収納部11が形成する空間に納められる。ポンプ本体21の収納は、開口Aを広げることにより、収納ケース1の上端の開口、及び開口Aを介して行うことが可能である。他方、吐出ホース22は、第2の収納部12において、第1の収納部11が形成する空間に対して隔てられた空間に納められる。第1の収納部11において、ポンプ本体21の基部21bを包囲するケース本体上部11aに開口Aが形成されていることから、この開口Aを介して吐出ホース22を引き出し、第1の収納部11外の第2の収納部12に案内することが可能である。
【0014】
尿素水を貯蔵タンクに補給する際に、液体ポンプ2を収納ケース1から取り出す作業、及び補給後、液体ポンプ2を再び収納ケース1に納める作業は、夫々次のような手順による。
まず、尿素水の補給に際し、液体ポンプ2のポンプ本体21が第1の収納部11に納められた状態で、吐出ホース22の先端部22aを第2の収納部12(具体的には、容積の小さな部分12a)から抜き出し、貯蔵タンクの補給口に挿入する。このときの貯蔵タンクに対する吐出ホース22の接続及び固定は、先端部22aに設けられた接続具23により行われる。接続後、ポンプ本体21を、その基部21bを把持することにより第1の収納部11から取り出し、吸入管21aを携行タンクに挿入する。挿入後、液体ポンプ2を作動させて、携行タンク内の尿素水を貯蔵タンクに汲み替える。次に、補給後の液体ポンプ2の収納に際し、ポンプ本体21の吸入管21aを携行タンクに挿入したままの状態で吐出ホース22の先端部22aを貯蔵タンクの補給口から抜き出し、これを第2の収納部12の部分12aに納める。ポンプ本体21の基部21bを把持して、吸入管21aに付着した尿素水を振るい落とした後、ポンプ本体21を第1の収納部11に納めて、収納を完了する。ポンプ本体21の脱落を防止するため、収納ケース1の上端の開口を閉ざすことができるように、第1の収納部11にひも13等が設けられるとよい。
【0015】
以下、吐出ホース22の先端部22aに設けられる接続具23の構成について説明する。
図4は、吐出ホース22の先端部22aの構成を示す拡大図である。
本実施形態において、吐出ホース22は、充分な可撓性が得られるように、先端部22aを除く部分で蛇腹に形成されている。接続具23は、吐出ホース22とは別体の部材として構成され、先端部22aに対し、吐出ホース22の中心軸Lhと同心に取り付けられている。
【0016】
図5は、接続具23の構成を示しており、図3Aは、正面図であり、図3B,3Cは、夫々側面図及び底面図である。
本実施形態において、接続具23は、樹脂等の可撓性を有する素材により単一の部品として構成されており、円環状の基部231と、基部231から貯蔵タンクに対する吐出ホース22の挿入方向(以下、単に「挿入方向」という。)Diに延設された2つの係止部232,233とを備えている。基部231は、吐出ホース22に対するこの接続具23の取付強度を付与するものである。基部231は、円環状であり、吐出ホース22の先端部22aを挿入可能な内径と、貯蔵タンクの補給口H(図7)と略同径の外径とを有している。基部231には、内周から半径方向内向きに突出する複数の爪部231aが形成されており、吐出ホース22の蛇腹の窪みにこの爪部231aが噛み合うことで、吐出ホース22に対する接続具23の回転可能な取付けが達成される。一方の係止部232(「第1の係止部」に相当する。)は、貯蔵タンクに対する吐出ホース22の挿入を制限するためのものであり、基部231から挿入方向Diに延伸させて設けられている。第1の係止部232には、基部231から所定の間隔s1の位置に、中心軸Lhに対して外向きに延伸させて外方突部232aが形成されている。第1の係止部232全体としての長さは、間隔s1よりも大きく、外方突部232aよりも更に先端に、幅を縮小させて形成した舌部232bが設けられている。舌部232bは、貯蔵タンクに吐出ホース22を接続した状態で接続具23の軸周りの回転を防止するためのものである。他方の係止部233(「第2の係止部」に相当する。)は、貯蔵タンクからの吐出ホース22の抜けを防止するためのものであり、基部231から挿入方向Diに間隔s1よりも大きな値の長さに亘って延伸させて設けられている。第2の係止部233の先端には、中心軸Lhに対して外向きに湾曲する略L字状の鉤部233aが形成されている。すなわち、鉤部233aは、第1の係止部232の外方突部232aから挿入方向Diにずらして形成されており、外方突部232aと鉤部233aとにより、接続時において、補給口Hの周壁31a(図6)が上下から挟まれることになる。
【0017】
図6は、本実施形態に係る液体ポンプ2が適用される貯蔵タンクのホース挿入部31の構成を示す斜視図である。
本実施形態において、ホース挿入部31は、貯蔵タンクの天蓋に設けられており、上方に向けて開口する孔(すなわち、補給口)Hが設けられている。補給口Hは、接続具23の基部231と略同径である。補給口Hを形成するホース挿入部31の壁部(すなわち、周壁)31aには、第1の係止部232の舌部232bの幅と略一致させた幅で切欠きCが形成されている。貯蔵タンクに吐出ホース22を接続した状態において、切欠きCに舌部232bが受け入れられて、ホース挿入部31に対する接続具23の回転が防止される。なお、舌部232bは、周壁31aに切欠きCが設けられなくとも、挿入時における案内として機能するとともに、接続後における吐出ホース22及び接続具23の中心位置を定める位置決め手段として機能し得るものである。
【0018】
図7は、貯蔵タンクに吐出ホース22を接続した状態を示す断面図である。
図7に示すように、吐出ホース22は、貯蔵タンクに接続した状態で、第1の係止部232の外方突部232aがホース挿入部31の周壁31aに当接する。これにより、吐出ホース22の挿入長さが定められ、貯蔵タンクへの吐出ホース22の必要以上の挿入が阻止されるとともに、補給時にその先端部22aが貯蔵タンク内の尿素水に浸かることが防止される。また、第2の係止部233に略L字状の鉤部233aが設けられているので、吐出ホース22が挿入された状態から不慮に引き抜かれようとしても、鉤部233aが周壁31aにかかり、その抜けが防止される。接続具23がその全体で樹脂製とされているので、第2の係止部233が充分な可撓性を有しており、貯蔵タンクに吐出ホース22を接続する際に第2の係止部233を容易に撓ませて、接続具23をホース挿入部31に簡単に取り付けることができる。また、補給後、第2の係止部233を撓ませて、ホース挿入部31から接続具23を容易に取り外すことができる。
【0019】
本実施形態によれば、次のような効果を得ることができる。
すなわち、本実施形態では、収納ケース1において、液体ポンプ2の吸入管21aが収納される空間と、吐出ホース22が収納される空間とを個別に、かつ互いに隔てられるように形成したので、尿素水が付着した吸入管21aと、吐出ホース22とを接触させることなく保管することができる。このため、携行タンクに挿入される吸入管21a以外の部分(特に、吐出ホース22)に尿素水が付着するのを回避することができ、使用後の液体ポンプ2の収納に際しては、液体ポンプ2に付着した尿素水により手を汚すことがなく、それ以降の使用に際しては、吐出ホース22を介して尿素水が手に付着するのを回避することができる。
【0020】
また、本実施形態では、吐出ホース22が収納される空間を形成する第2の収納部12を、吐出ホース22の先端部22aを収納するための部分12aと、先端部22a以外の部分22bを収納するための部分12bとに分割して形成したので、吐出ホース22の各部分を収納ケース1に整然と納めることができる。また、使用後の収納に際し、ポンプ本体21を携行タンクから抜き出すよりも前に吐出ホース22の先端部22aを専用の収納部12aに納めることができるので、ポンプ本体21の収納に際し、吐出ホース22内に残存する尿素水が周囲に撒き散らされるのを防止することができる。
【0021】
更に、本実施形態では、吐出ホース22の先端部22aに接続具23を設けたので、吐出ホース22の貯蔵タンクに対する接続を煩雑なものとすることなく、貯蔵タンクからの吐出ホース22の抜けを確実に防止することができる。
以上では、接続具23を吐出ホース22とは別体の部材として構成する場合について説明したが、これに限らず、接続具23を吐出ホース22の一部として、先端部22aと一体に形成してもよい。すなわち、吐出ホース22の先端部22aは、接続具23を備える単一の部材として形成することができる。
【0022】
また、液体ポンプ2により汲み替えられる液体は、尿素水に限らず、たとえば、エンジンの燃料として用いられるガソリン及び軽油や、NOxの浄化に用いられる各種の液体還元剤等であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態に係る収納ケースの構成を示す透視図
【図2】同上収納ケースに納められる液体ポンプの構成を示す正面図
【図3】同上収納ケースに液体ポンプを納めた状態を示す説明図
【図4】同上液体ポンプの、吐出ホースの先端部の構成を示す拡大図
【図5】同上液体ポンプに設けられる接続具の構成を示す正面図(A)、側面図(B)及び底面図(C)
【図6】同上液体ポンプが接続される液体タンクのホース挿入部の構成を示す拡大斜視図
【図7】同上接続具により液体ポンプを接続した状態を示す部分断面図
【符号の説明】
【0024】
1…収納ケース、11…第1の収納部、11a…ケース本体上部、11b…ケース本体下部、12(12a,12b)…第2の収納部、2…液体ポンプ、21…ポンプ本体、21a…吸入管、21b…ポンプ本体の基部、22…吐出ホース、22a…吐出ホースの先端部、23…接続具、231…接続具の基部、231a…爪部、232…第1の係止部、232a…外方突部、232b…舌部、233…第2の係止部、233a…鉤部、31…貯蔵タンクのホース挿入部、31a…周壁、A…開口、C…切欠き。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体タンクからの液体の汲替えに際してこの液体タンクに挿入される吸入管を有するポンプ本体と、
前記吸入管を介して吸い出された液体を移送するための吐出ホースと、を含んで構成される液体ポンプの収納ケースであって、
前記吸入管が収納される空間を形成する第1の収納部と、
前記吐出ホースのうち、少なくともその先端部を包囲して、前記吐出ホースが収納される空間を形成する第2の収納部と、を含んで構成され、
前記第2の収納部において、前記吐出ホースが収納される空間は、前記吸入管が収納される空間に対して隔てられて形成された収納ケース。
【請求項2】
前記第2の収納部において、前記吐出ホースが収納される空間は、前記吐出ホースの先端部が収納される空間と、この先端部以外の部分が収納される空間とに分割して形成された請求項1に記載の収納ケース。
【請求項3】
前記第1の収納部は、柔軟性シートにより形成された、前面及び後面を有するケース本体として構成され、
前記第2の収納部は、前記第1の収納部と同一の素材である柔軟性シートにより、前記第1の収納部と一体に形成された請求項1又は2に記載の収納ケース。
【請求項4】
前記第2の収納部は、前記第1の収納部の前面又は後面に設けられ、
前記吐出ホースが収納される空間は、前記吸入管が収納される空間に対し、前記第1の収納部の前面又は後面を形成する柔軟性シートにより隔てられる請求項3に記載の収納ケース。
【請求項5】
前記第1の収納部は、前記吸入管を含め、前記ポンプ本体をその全長に亘って包囲可能な長さを有するとともに、前記ポンプ本体のうち、前記吸入管以外の部分を包囲する上部において、前面及び後面の間で開閉可能に構成された請求項4に記載の収納ケース。
【請求項6】
前記第2の収納部は、前記第1の収納部の前面又は後面において、前記開閉可能に構成された上部よりも前記吸入管が収納される空間に近い部位に設けられた請求項5に記載の収納ケース。
【請求項7】
尿素水の汲替えに使用される液体ポンプの収納に用いられる請求項1〜6のいずれかに記載の収納ケース。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の収納ケースと、
前記収納ケースに収納された液体ポンプと、を含んで構成され、
前記液体ポンプは、
液体の汲替えに際して液体タンクに挿入されて、液体タンクに貯蔵されている液体を吸い出すための輸送路を形成する吸入管を有するポンプ本体と、
前記吸入管を介して吸い出された液体を移送するための、前記ポンプ本体から分岐させて形成された吐出ホースと、を含んで構成される収納ケース付きの液体ポンプ。
【請求項9】
前記液体ポンプは、前記吐出ホースの先端部に、前記吐出ホースを前記液体タンクとは異なる液体タンクに着脱可能に接続するための接続具を有し、
前記接続具は、
前記吐出ホースの先端部に設けられた円環状の基部と、
前記基部から前記異なる液体タンクに対する前記吐出ホースの挿入方向に延設され、前記基部から所定の間隔の位置に、前記基部の中心軸に対して外向きに延伸させて外方突部が形成された第1の係止部と、
前記基部から前記吐出ホースの挿入方向に前記所定の間隔よりも大きな値の長さに亘って延設され、先端に略L字状の鉤部が形成された可撓性の第2の係止部と、を含んで構成される請求項8に記載の収納ケース付きの液体ポンプ。
【請求項10】
液体の汲替えに際して液体タンクに挿入されて、液体タンクに貯蔵されている液体を吸い出すための輸送路を形成する吸入管を有するポンプ本体と、
前記吸入管を介して吸い出された液体を前記液体タンクとは異なる液体タンクに移送するための、前記ポンプ本体から分岐させて形成された吐出ホースと、を含んで構成され、
前記吐出ホースは、その先端部に、これを前記液体タンクとは異なる液体タンクに着脱可能に接続するための接続具を有し、
前記接続具は、
前記吐出ホースの先端部に設けられた円環状の基部と、
前記基部から前記異なる液体タンクに対する前記吐出ホースの挿入方向に延設され、前記基部から所定の間隔の位置に、前記基部の中心軸に対して外向きに延伸させて外方突部が形成された第1の係止部と、
前記基部から前記吐出ホースの挿入方向に前記所定の間隔よりも大きな値の長さに亘って延設され、先端に略L字状の鉤部が形成された可撓性の第2の係止部と、を含んで構成される液体ポンプ。
【請求項11】
前記第1の係止部は、前記所定の間隔よりも大きな値の長さに亘り延設され、その先端において、前記異なる液体タンクに設けられるホース挿入部の切欠きに受け入れられる舌部を有する請求項10に記載の液体ポンプ。
【請求項12】
前記吐出ホースが蛇腹に形成されるとともに、
前記接続具が前記吐出ホースとは別体の部材として設けられ、
前記接続具において、前記基部は、前記吐出ホースの先端を挿入可能な径を有するとともに、前記蛇腹の窪みに係合する爪部を有する請求項10又は11に記載の液体ポンプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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