説明

液体供給システム及び液体カートリッジ

【課題】カートリッジ装着部への液体カートリッジの装着時に、液体カートリッジ及びカートリッジ装着部に設けられた接点が損傷するのを防止する。
【解決手段】インクカートリッジ20を、その基端部に設けられた被押圧部56を押圧して、カートリッジ装着部5に形成された挿入空間30押し込むと、インクカートリッジ20は、カートリッジ装着部5への装着が完了するまでの途中の状態で、その先端部における下端部が、カートリッジ装着部5に設けられたバネ34によって基端部側に付勢される。これにより、インクカートリッジ20は、被押圧部56を押圧する力と、バネ34の付勢力とによって生じるモーメントによって回動して、先端側の部分ほど下方にくるように傾き、インクカートリッジ20の先端部の上面に設けられたCOB54の第2接点54aが、カートリッジ装着部5の上側壁部31bに設けられたコネクタ35の第1接点35aから離隔する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体が貯留された液体カートリッジと、この液体カートリッジが取り外し可能に装着されるカートリッジ装着部を有する液体供給装置とを備えた液体供給システム、及び、液体が貯留された液体カートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のプリンタには、インクカートリッジを装着するためのカートリッジ装着部が設けられており、カートリッジ装着部に一方向からインクカートリッジを挿入することによって、カートリッジ装着部にインクカートリッジを装着することができるようになっている。また、インクカートリッジの側壁には、センサと接続された端子(接点)が設けられているとともに、カートリッジ装着部には、インクカートリッジの上記側面と対向する壁面に、サブ制御部と接続された端子(接点)が設けられており、インクカートリッジをカートリッジ装着部に装着したときに、インクカートリッジに設けられた端子と、カートリッジ装着部に設けられた端子とが互いに接触して導通する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−120562号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、カートリッジ装着部に一方向からインクカートリッジを挿入することによって、カートリッジ装着部にインクカートリッジを装着しているので、インクカートリッジの装着時に、インクカートリッジに設けられた端子と、カートリッジ装着部に設けられた端子とが擦れて損傷してしまう虞がある。
【0005】
本発明の目的は、カートリッジ装着部への液体カートリッジの装着時における、液体カートリッジ及びカートリッジ装着部に設けられた接点の損傷を防止することが可能な液体供給システム、及び、液体カートリッジを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明に係る液体供給システムは、液体を貯留する液体カートリッジと、この液体カートリッジが取り外し可能に装着されるカートリッジ装着部を有する液体供給装置とを備えた、液体供給システムであって、前記カートリッジ装着部は、前記液体カートリッジが挿入される挿入空間を形成する壁部と、前記壁部のうちの前記液体カートリッジの挿入方向に沿った側壁部に設けられた第1接点を有し、前記液体カートリッジは、前記挿入方向に沿った一側面に設けられ、前記カートリッジ装着部への装着完了状態で前記第1接点と接触して導通する第2接点を有し、前記液体カートリッジと、前記カートリッジ装着部の前記挿入空間を形成する壁部の、何れか一方に、前記液体カートリッジを前記挿入空間内で付勢する弾性体が設けられ、前記挿入空間内において、前記液体カートリッジは、前記装着完了状態における第1姿勢と、前記装着完了状態に至るまでの装着途中状態において、前記弾性体の付勢力によって前記第1姿勢に対して傾いた第2姿勢と、を取り得るように構成されており、前記第2接点は、前記液体カートリッジが前記第2姿勢にあるときに、前記第1姿勢にあるときと比べて前記側壁部から離れる位置に設けられていることを特徴とする。
【0007】
本発明によると、装着途中状態では、第2接点がカートリッジ装着部の第1接点が設けられた側壁部から離れるように傾いた第2姿勢を取り、装着完了状態となったときに、第2接点が装着部の側壁部に設けられた第1接点と接触することから、カートリッジ装着部への液体カートリッジの装着時に第1接点と第2接点とが擦れて損傷することが防止される。
【0008】
第2の発明に係る液体供給システムは、第1の発明に係る液体供給システムにおいて、前記液体カートリッジの、前記挿入方向における先端側部分の一側面に前記第2接点が設けられ、前記液体カートリッジが前記装着途中状態にあるときに、前記挿入方向における先端部の、前記一側面と反対側の位置に、前記弾性体の付勢力により前記液体カートリッジに前記挿入方向とは反対の方向への付勢力が作用することを特徴とする。
【0009】
第8の発明に係る液体カートリッジは、第1の発明に係る液体供給システムの液体カートリッジであって、前記カートリッジ装着部の前記挿入空間を形成する壁部に前記弾性体が設けられており、前記挿入方向における先端側部分の一側面に前記第2接点が設けられ、前記装着途中状態にあるときに、前記挿入方向における先端部の、前記一側面と反対側の位置に、前記弾性体により前記挿入方向とは反対の方向への付勢力が作用することを特徴とする。
【0010】
第9の発明に係る液体カートリッジは、第1の発明に係る液体供給システムの液体カートリッジであって、前記挿入方向における先端側部分の一側面に前記第2接点が設けられ、前記挿入方向における先端部の、前記一側面と反対側の位置に弾性体が設けられ、前記装着途中状態にあるときに、前記弾性体の付勢力によって前記挿入方向とは反対の方向に付勢されることを特徴とする。
【0011】
これらの発明によると、挿入方向における先端部の、第2接点が設けられた一側面と反対側の位置に、弾性体の付勢力が作用することから、ユーザーによって液体カートリッジの基端部に挿入方向への力が加えられたときに、液体カートリッジに、当該力と弾性体の付勢力とによって、第2接点が壁部から離れるようにモーメントが発生し、カートリッジが第2姿勢を取る。
【0012】
第3の発明に係る液体供給システムは、第2の発明に係る液体供給システムにおいて、前記液体カートリッジの、前記挿入方向における基端部の前記一側面側の位置に、前記装着方向に沿って前記液体カートリッジを前記挿入空間内に押し込むための被操作部が設けられていることを特徴とする。
【0013】
第10の発明に係る液体カートリッジは、第8又は第9の発明に係る液体カートリッジにおいて、前記挿入方向における基端部の、前記一側面側の位置に、前記装着方向に沿って前記液体カートリッジを前記カートリッジ装着部の前記挿入空間に押し込むための被操作部が設けられていることを特徴とする。
【0014】
第11の発明に係る液体カートリッジは、液体を貯留する液体カートリッジであって、所定方向における一端側部分の一側面に設けられた接点と、前記所定方向における一端部の、前記一側面と反対側の位置に設けられた弾性体と、前記所定方向における他端部の、前記一側面側の位置に設けられた被操作部と、を備えていることを特徴とする。
【0015】
これらの発明によると、挿入方向先端部の、接点が設けられた一側面と反対側に位置する弾性体の付勢力の作用点と、挿入方向基端部の、前記一側面側に位置する被操作部とが対角の位置にあり、且つ、それぞれの作用点に作用する力の方向が逆である。したがって、液体カートリッジの装着途中には、被操作部に作用するユーザー等による操作力と、弾性体の付勢力によって、第2接点が壁部から離れるようなモーメントが確実に発生する。
【0016】
第4の発明に係る液体供給システムは、第3の発明に係る液体供給システムにおいて、前記液体カートリッジの前記基端部の前記一側面側の部分が、前記一側面側と反対側の部分よりも、前記挿入方向とは反対方向に突出しており、この突出部が前記被操作部であることを特徴とする。
【0017】
本発明によると、ユーザーは、突出した被操作部に力を加えるため、被操作部に作用する操作力と、弾性体の付勢力によって、第2接点が壁部から離れるようなモーメントが確実に発生する。
【0018】
第5の発明に係る液体供給システムは、第2〜第4の何れかの発明に係る液体供給システムにおいて、前記カートリッジ装着部には、前記装着完了状態の前記液体カートリッジの移動を規制する規制部材が設けられ、前記規制部材による前記液体カートリッジの移動規制が解除されたときに、前記弾性体の付勢力により前記液体カートリッジが前記挿入空間から前記装着完了状態よりも外側へ押し出されることを特徴とする。
【0019】
本発明によると、規制部材による規制を解除したときに、弾性体の付勢力によってカートリッジがカートリッジ装着部から押し出されるため、液体カートリッジの取り外しが容易である。
【0020】
第6の発明に係る液体供給システムは、第5の発明に係る液体供給システムにおいて、前記カートリッジ装着部には、前記挿入空間の前記液体カートリッジの挿入口を開放する開放位置と、前記挿入口を塞ぐ閉塞位置との間で移動することによって、前記挿入口の開閉を行う開閉部材が設けられ、前記開閉部材は、前記開放位置から前記閉塞位置に移動させたときに、前記装着途中状態の前記液体カートリッジの、前記挿入方向における基端部の前記一側面側の部分を押圧して、前記液体カートリッジを前記挿入空間に押し込むように構成されているとともに、前記閉塞位置に位置させた状態で、前記装着完了状態の前記液体カートリッジの前記挿入方向における基端部に当接することで前記液体カートリッジの移動を規制する前記規制部材となっていることを特徴とする。
【0021】
本発明によると、挿入空間に液体カートリッジを配置した状態で、開閉部材を開放位置から閉塞位置に移動させたときに、液体カートリッジの基端部の一側面側の部分が開閉部材に押圧されるため、したがって、装着途中状態において、開閉部材による押圧力と弾性体の付勢力とによって、第2接点が第1接点から離れるようなモーメントが確実に発生する。
【0022】
さらに、装着完了状態においては、液体カートリッジの基端部に当接した開閉部材によって、液体カートリッジの移動を規制することができる。
【0023】
第7の発明に係る液体供給システムは、第1〜第6の何れかの発明に係る液体供給システムにおいて、前記液体カートリッジの前記一側面に回路基板が取り付けられ、前記第2接点は前記回路基板に設けられていることを特徴とする。
【0024】
本発明によると、回路基板に記憶された情報等を、供給装置側で読み取ることなどが可能になる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、カートリッジ装着部への液体カートリッジの装着時に、カートリッジ装着部に設けられた第1接点と、液体カートリッジに設けられた第2接点とが擦れて損傷することが防止される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施の形態に係るプリンタの概略構成図である。
【図2】(a)が図1のII−II線断面図であり、(b)が(a)のうちインクカートリッジのみを示した図、(c)が(a)のうちカートリッジ装着部のみを示した図である。
【図3】(a)がインクカートリッジのカートリッジ装着部への装着途中の状態を示す図であり、(b)が(a)の第1、第2接点近傍の部分拡大図である。
【図4】カートリッジ装着部からインクカートリッジを取り外す動作を示す図である。
【図5】変形例1の図3(a)相当の図である。
【図6】(a)が変形例2の図3(a)相当の図であり、(b)が(a)を矢印Bの方向から見た図である。
【図7】変形例3におけるカートリッジ装着部及びインクカートリッジの構造、並びに、カートリッジ装着部へのインクカートリッジの装着動作を示す図である。
【図8】変形例4の図2相当の図である。
【図9】変形例5の図3(a)相当の図である。
【図10】変形例6の図3(a)相当の図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0028】
図1に示すように、本実施の形態に係るプリンタ1は、キャリッジ2、サブタンク3、インクジェットヘッド4、カートリッジ装着部5などを備えている。
【0029】
キャリッジ2は、走査方向(図1の左右方向)に平行に延びた2本のガイドレール11に取り付けられており、図示しないモータやベルトなどにより、ガイドレール11に沿って走査方向に移動させることができるようになっている。サブタンク3は、キャリッジ2に設けられているとともに、4本のチューブ12を介して4つのカートリッジ装着部5と接続されている。サブタンク3には、4つのカートリッジ装着部5にそれぞれ装着されたインクカートリッジ20からチューブ12を介してブラック、イエロー、シアン、マゼンタの4色のインクが供給されるとともに、供給された上記4色のインクが一時的に貯留される。
【0030】
インクジェットヘッド4は、サブタンク3に取り付けられており、サブタンク3から上記4色のインクが供給されるとともに、その下面に形成された複数のノズル15から上記4色のインクを吐出する。
【0031】
なお、本実施の形態では、インクジェットヘッド4にインクを供給するための、カートリッジ装着部5、チューブ12及びサブタンク3が、本発明に係る液体供給装置に相当し、この液体供給装置にインクカートリッジ20が装着されたものが、本発明に係る液体供給システムに相当する。
【0032】
そして、プリンタ1においては、図示しない用紙搬送機構により紙送り方向に搬送される記録用紙Pに、キャリッジ2とともに走査方向に往復移動するインクジェットヘッド4からインクを吐出することによって、記録用紙Pに印刷を行う。
【0033】
次に、カートリッジ装着部5と、カートリッジ装着部5に装着されるインクカートリッジ20について説明する。
【0034】
カートリッジ装着部5は、壁部31、インク供給流路32、大気連通流路33、バネ34、コネクタ35、基板36、規制部材37などを備えている。壁部31は、インクカートリッジ20が挿入される挿入空間30を形成するものである。挿入空間30は、紙送り方向に関する一端(図2の右端)が開口しており、この開口が、インクカートリッジ20を挿入するための挿入口30aとなっている。
【0035】
壁部31は、挿入空間30の挿入口30aと反対側(図2の左側、以下、奥側とする)の端を画定する奥壁部31a、挿入空間30の上端を画定する上側壁部31b、挿入空間30の下端を画定する下側壁部31c、挿入空間30の図1における右端を画定する右側壁部31d、及び、挿入空間30の図1における左端を画定する左側壁部31eとによって構成されている。なお、本実施の形態では、上側壁部31b、下側壁部31c、右側壁部31d及び左側壁部31eをあわせたものが、本発明に係る、インクカートリッジ20の挿入方向に沿った側壁部に相当する。
【0036】
インク供給流路32は、奥壁部31aの下端部に設けられている。インク供給流路22は、紙送り方向(図2の左右方向)に奥壁部31aを貫通しており、その一端(図2における右端)において挿入空間30に連通しているとともに、他端(図2における左端)において、チューブ12と接続されている。
【0037】
大気連通流路33は、奥壁部31aの上端部に設けられている。大気連通流路33は、紙送り方向(図2の左右方向)に奥壁部31aを貫通しており、その一端(図2における右端)において挿入空間30に開口しているとともに、他端(図2における左端)において大気連通している。
【0038】
バネ34(弾性体)は、奥壁部31aのインク供給流路32よりもさらに下方に設けられたバネ取り付け部41に取り付けられており、後述するように、挿入空間30内に配置されたインクカートリッジ20を挿入口30a側(図2の右方)に付勢する。
【0039】
コネクタ35は、上側壁部31bの奥側の端部に設けられており、上側壁部31bを上下に貫通しているとともに、その下端に、挿入空間30に露出した第1接点35aが設けられている。
【0040】
基板36は、上側壁部31bの上面に配置されており、コネクタ35と接続されている。基板36は、インクカートリッジ20の後述するCOB(Chip On Board)54(回路基板)から読み取った情報を、プリンタ1の制御装置などに送るためのものである。
【0041】
規制部材37は、上側壁部31bの挿入口30a側の端部において、走査方向に延びた軸42に揺動自在に支持されているとともに、図示しないバネなどによって、図2の反時計回り方向に付勢されている。また、上側壁部31bには、ストッパー43が設けられており、規制部材37は、ストッパー43と接触することでその揺動が規制されて、図2(b)に実線で示す位置と、一点鎖線で示す位置との間の範囲でのみ揺動可能となっている。
【0042】
インクカートリッジ20は、略直方体形状を有しており、インク貯留室51、インク供給部52、大気連通部53、COB54、バネ接触部55、被押圧部56、係合溝57などが設けられている。
【0043】
ここで、本実施の形態では、インクカートリッジ20は、図2(b)に示す向きでカートリッジ装着部5に装着され、インクカートリッジ20をこの向きにした状態での、インクカートリッジ20の左端が本発明に係る「挿入方向の先端」に相当し、右端が本発明に係る「挿入方向の基端」に相当する。なお、以下では、「挿入方向の先端」、及び、「挿入方向の基端」を、それぞれ、単に「先端」及び「基端」として説明を行う。
【0044】
インク貯留室51は、インクカートリッジ20の内部に形成されている。インク貯留室51には、図1における左側のカートリッジ装着部5に装着されるものから順に、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタのインクが貯留されている。
【0045】
インク供給部52は、インクカートリッジ20の先端部(図2(c)における左端部)の、カートリッジ装着部5への装着が完了した状態(図2(c)の状態、装着完了状態)において、インク供給流路32と対向する部分に設けられている。インク供給部52は図示しないバルブなどを備えており、カートリッジ装着部5へのインクカートリッジ20の装着が完了したときに、このバルブが開くなどして、インク貯留室51とインク供給流路32とが連通する。これにより、インク貯留室51に貯留されたインクが、インク供給部52から、インク供給流路32、チューブ12及びサブタンク3を経てインクジェットヘッド4に供給される。
【0046】
大気連通部53は、インクカートリッジ20の先端部(図2(c)における左端部)における、上記装着完了状態で大気連通流路33と対向する部分に設けられている。大気連通部53は図示しないバルブなどを備えており、カートリッジ21にインクカートリッジ20が装着されると、このバルブが開くなどして、インク貯留室51が、大気連通流路42を介して大気に連通する。これにより、インクジェットヘッド4にインクが供給されてインク貯留室51内のインクの量が減ったときには、インクが減った分だけ、大気連通部53からインク貯留室51内に空気が流れ込む。
【0047】
COB54は、インクカートリッジ20の先端部の上面(挿入方向に沿った一側面)に配置されており、上記装着完了状態において、その表面に形成された第2接点54aが、コネクタ35の第1接点35aと接触しており、第1接点35aと第2接点54aとが導通している。COB54には、インク貯留室51に貯留されたインクの色の情報など、インクカートリッジ20に関する情報が記録された図示しないICが実装されており、第1接点35aと第2接点54aとが接触して導通すると、COB54のICに記録された情報が、基板36において読み取られる。
【0048】
なお、本実施の形態では、上記装着完了状態でのインクカートリッジ20の姿勢、すなわち、第2接点54aが第1接点35aに接触した状態でのインクカートリッジ20の姿勢が、本発明に係る第1姿勢に相当する。
【0049】
バネ接触部55は、インクカートリッジ20の下端部(一側面と反対側の位置)に設けられており、挿入空間30内に配置されたインクカートリッジ20は、バネ接触部55において、バネ34により挿入口30aに向けて(図2の右方に)付勢される(挿入方向とは反対の方向に付勢力が作用する)。
【0050】
被押圧部56(被操作部)は、インクカートリッジ20の基端部(図2における右端部)のうち、バネ接触部55よりも上方に位置する部分(一側面側の部分)に設けられており、インクカートリッジ20の基端部のうち当該部分の下方に位置する部分(一側面側と反対側の部分)よりも挿入口30a側(図2の右側、挿入方向と反対方向)に突出している。
【0051】
係合溝57は、インクカートリッジ20上面のCOB54よりも基端側の部分に形成されており、上記装着完了状態において、係合溝57には、規制部材37の図2における左端部が係合している。これにより、装着完了状態のインクカートリッジ20は、規制部材37によってその挿入口30a側への移動が規制される。
【0052】
次に、カートリッジ装着部5へのインクカートリッジ20の装着動作、及び、カートリッジ装着部5からのインクカートリッジ20の取り外し動作について説明する。カートリッジ装着部5にインクカートリッジ20を装着するためには、インクカートリッジ20を、その先端部がカートリッジ装着部5の奥側にくるような向きにして、被押圧部56を図2の左方(挿入方向)に押圧することによって、挿入口30aから挿入空間30に押し込む。
【0053】
そして、バネ34がバネ接触部55と接触する位置までインクカートリッジ20を挿入空間30に押し込むと、バネ接触部55がバネ34により図3(a)の右方に付勢される。このとき、ユーザーが被押圧部56を押圧する押圧力F1(操作力)の作用点と、バネ34がバネ接触部55を付勢する付勢力F2の作用点とは、図3の方向から見て、インクカートリッジ20の対角に位置しているとともに、押圧力F1の向き(図3の左向き)と、付勢力F2の向き(図3の右向き)とが逆になっているので、インクカートリッジ20には、図3(a)の反時計回り方向のモーメントが生じる。
【0054】
これにより、インクカートリッジ20は、図3(a)の反時計回り方向に回動して、先端部側の部分ほど下方にくるように傾いた姿勢(第2姿勢)となる。このとき、図3(b)に示すように、インクカートリッジ20の先端部の上面に設けられたCOB54の第2接点54aが、コネクタ35の第1接点35aから下方に離隔する。すなわち、第2接点54aは、第2姿勢にあるときに、第1姿勢にあるときに比べて、第1接点35aが設けられた上側壁部31bから離れるような位置に設けられている。
【0055】
インクカートリッジ20をさらに押し込むと、大気連通部53及びインク供給部52が、順に奥壁部31aに接触し、奥壁部31aから押圧されることによって、傾いていた姿勢が元に戻り(第1姿勢になり)、第2接点54aが第1接点35aに接触して、第1接点35aと第2接点54aとが導通する。
【0056】
そして、インク供給部52及び大気連通部53が、それぞれ、インク供給流路32及び大気連通流路33に接続されるとともに、規制部材37が係合溝57に係合するまで、インクカートリッジ20が挿入されたときに、カートリッジ装着部5へのインクカートリッジ20の装着が完了する。
【0057】
一方、インクカートリッジ20の交換時など、カートリッジ装着部5からインクカートリッジ20を取り外す際には、図4に示すように、規制部材37の係合溝57に係合しているのと反対側の端部(図4における右端部)を下方に押圧する。すると、規制部材37が係合溝57から外れることによって、規制部材37によるインクカートリッジ20の移動規制が解除され、インクカートリッジ20は、バネ34の付勢力F2によって挿入口30a側に押し出される。バネ34はインクカートリッジ20の下端部のバネ接触部55を押し出すため、インクカートリッジ20が押し出される際にも、カートリッジ20は第2姿勢をとる。
【0058】
このとき、インクカートリッジ20が、バネ34の付勢力によって挿入口30aから完全に飛び出すようになっていてもよいし、インクカートリッジ20の一部のみがバネ34の付勢力によって挿入口30aから飛び出すようになっていてもよい。
【0059】
以上に説明した本実施の形態によると、カートリッジ装着部5にインクカートリッジ20を装着する途中の状態で、インクカートリッジ20が、ユーザーが被押圧部56を押圧する押圧力F1と、バネ34がバネ接触部55を付勢する付勢力F2とによって、その先端側の部分ほど下方にくるように傾き、インクカートリッジ20先端部の上面に設けられたCOB54の第2接点54aが、コネクタ35の第1接点35aから離隔する。したがって、カートリッジ装着部5にインクカートリッジ20を装着する際に、第1接点35aと第2接点54aとが擦れて、第1接点35a及び第2接点54aの何れかが損傷してしまうのを防止することができる。
【0060】
このとき、インクカートリッジ20は、その下端部に設けられたバネ接触部55が、バネ34によって図3の右方に付勢されているとともに、基端部のバネ接触部55よりも上方に位置する被押圧部56がユーザーによって図3の左方に押圧されるため、上述したように、インクカートリッジ20には、対角の位置に、互いに反対向きの力が作用し、インクカートリッジ20が確実に傾く。さらに、このとき、被押圧部56が挿入口30a側に突出しているため、確実に、インクカートリッジ20の基端部のうち、バネ接触部55よりも上方に位置する被押圧部56が、ユーザーによって押圧される。
【0061】
また、本実施の形態では、規制部材37の係合溝57への係合を解除すると、インクカートリッジ20が、バネ34の付勢力によって挿入口30a側に押し出されるため、インクカートリッジ20の取り外しが容易になる。このインクカートリッジ20の取り外しの際にも、バネ34がインクカートリッジ20下端部のバネ接触部55を押し出すため、その先端側の部分ほど下方にくるように傾き、インクカートリッジ20先端部の上面に設けられたCOB54の第2接点54aが、コネクタ35の第1接点35aから離隔する。したがって、カートリッジ装着部5からインクカートリッジ20を取り外す際にも、第1接点35aと第2接点54aとが擦れて、第1接点35a及び第2接点54aの何れかが損傷してしまうのを防止することができる。
【0062】
次に、本実施の形態に種々の変更を加えた変形例について説明する。ただし、本実施の形態と同様の構成を有するものについては、適宜その説明を省略する。
【0063】
上述の実施の形態では、インクカートリッジ20の基端部のうち、バネ接触部55よりも上方の部分に設けられた被押圧部56が、部分的に挿入口30a側に突出していることによって、カートリッジ装着部5にインクカートリッジ20を装着する際に、ユーザーがインクカートリッジ20の被押圧部56を押圧して、インクカートリッジ20を挿入空間30に押し込むようになっていたが、これには限られない。
【0064】
一変形例(変形例1)では、図5に示すように、インクカートリッジ20の基端側の端面が、下側の部分ほど先端側にくるように傾斜した傾斜面61となっており、これにより、インクカートリッジ20の基端部は、上側の部分ほど挿入口30a側に突出している(一側面側の部分が、一側面と反対側の部分よりも、挿入方向と反対方向に突出している)。
【0065】
この場合でも、ユーザーは、カートリッジ装着部5にインクカートリッジ20を装着する際に、インクカートリッジ20の基端部のうち、下端部よりも突出した上端部を押圧して、インクカートリッジ20を挿入空間30に押し込むため、上述の実施の形態と同様、インクカートリッジ20を確実に傾けることができる。なお、変形例1においても、カートリッジ装着部5の基端部のうち、バネ接触部55よりも上方に位置する部分(一側面側の部分)が、本発明に係る被操作部に相当する。
【0066】
また、インクカートリッジ20の基端部を、バネ接触部55よりも上方に位置する部分が、これよりも下方に位置する部分よりも突出した形状とは異なる形状とすることによって、カートリッジ装着部5へのインクカートリッジ20の装着時に、インクカートリッジ20の基端部の、バネ接触部55よりも上方に位置する部分が押圧されるようにしてもよい。
【0067】
さらには、インクカートリッジ20の基端部が、カートリッジ装着部5へのインクカートリッジ20の装着の際に、バネ接触部55よりも上方に位置する部分が押圧されるような形状になっていることにも限られない。別の一変形例(変形例2)では、図6に示すように、インクカートリッジ20の基端部のバネ接触部55よりも上方に位置する部分に、ユーザーが押圧すべき位置を示すラベル66が貼付されている。なお、変形例2では、インクカートリッジ20の基端部のうち、ラベル66が貼付された部分が、本発明に係る被操作部に相当する。
【0068】
この場合でも、カートリッジ装着部5にインクカートリッジ20を装着する際に、ユーザーが、ラベル66の表示にしたがって、インクカートリッジ20の基端部のラベル66が貼付された部分を押圧して、インクカートリッジ20を挿入空間30に押し込めば、上述の実施の形態と同様、インクカートリッジ20を確実に傾けることができる。
【0069】
また、上述の実施の形態や変形例1、2では、ユーザーが、インクカートリッジ20を直接押圧して挿入空間30に押し込むようになっていたため、インクカートリッジ20を、ユーザーがインクカートリッジ20の基端部のうち、バネ接触部55よりも上方に位置する部分が押圧されるような形状としたり、インクカートリッジ20の基端部に、押圧すべき位置を示すラベルを貼付したりしていたが、これには限られない。
【0070】
別の一変形例(変形例3)では、インクカートリッジ20の基端部に、バネ接触部55よりも上方に位置する部分が必然的に押圧されるようにするための被押圧部56、傾斜面61、ラベル66などは設けられておらず、図7に示すように、カートリッジ装着部5に、挿入口30aの開閉を行うためのカバー部材71(開閉部材)が設けられている。
【0071】
カバー部材71は、下側壁部31cの挿入口30aのすぐ下方に位置する部分に、走査方向(図7の紙面垂直方向)に延びた軸72を中心に揺動自在に支持されており、軸72を中心に揺動して、図7(a)に示す、挿入口30aを開放する開放位置と、図7(c)に示す挿入口30aを塞ぐ閉塞位置との間で移動することによって、挿入口30aの開閉を行う。
【0072】
また、カバー部材71には、上記閉塞位置において、挿入空間30の内側にくる面に押圧部73が設けられており、押圧部73は、挿入空間30内に配置されたインクカートリッジ20の基端部の、バネ接触部55よりも上方に位置する部分と対向している。
【0073】
また、カバー部材71の先端部には係合部74が形成されており、これに対応して、カートリッジ装着部5の上側壁部31bには、上記閉塞状態にあるカバー部材71の係合部74と係合する係合溝75が形成されている。
【0074】
この場合には、カートリッジ装着部5にインクカートリッジ20を装着するためには、図7(a)に示すように、カバー部材71を上記開放位置に移動させることによって挿入口30aを開き、インクカートリッジ20を挿入口30aから挿入空間30に挿入した後、カバー部材71を、閉塞位置に向けて図7の反時計回り方向に揺動させる。
【0075】
すると、インクカートリッジ20は、図7(b)に示すように、カバー部材71の押圧部73によって、その基端部のバネ接触部55よりも上方に位置する部分が図中左方に押圧されるとともに、上述の実施の形態と同様、バネ34によってバネ接触部55が図中右方に押圧される。したがって、上述の実施の形態と同様、カートリッジ装着部5にインクカートリッジ20が装着される途中の状態において、インクカートリッジ20が傾いて、第2接点54aが第1接点35aから離隔する。
【0076】
そして、図7(c)に示すように、カートリッジ装着部5へのインクカートリッジ20の装着が完了したときには、上述したように、カバー部材71の係合部74が、係合溝75に係合し、これにより、インクカートリッジ20が、バネ34の付勢力によって図中右方に移動してしまうのが規制される。すなわち、変形例3では、カバー部材71が、装着完了状態のインクカートリッジ20の移動を規制する規制部材となっている。
【0077】
また、この場合には、係合部74と係合溝75との係合を外して、閉塞位置にあるカバー部材71を、図7の時計回り方向に開放位置まで揺動させることにより、挿入口30aを開放させると、バネ34の付勢力によってインクカートリッジ20が挿入口30a側に押し出される。
【0078】
このとき、カバー部材71の押圧部73がインクカートリッジ20と当接し、装着時と同様、図7(b)に示すような状態となり、第2接点54aが第1接点35aから離隔するため、インクカートリッジ20の取り外し時に、第1接点35aと第2接点54aとが擦れて損傷してしまうのを確実に防止することができる。
【0079】
また、上述の実施の形態や変形例1〜3では、インクカートリッジ20の基端部の形状や、ラベル66や、カバー部材71によって、カートリッジ装着部5にインクカートリッジ20を装着する際に、必然的にインクカートリッジ20のバネ接触部55よりも上方の部分が押圧されるようにしていたが、これには限られない。例えば、変形例3のインクカートリッジ20の基端部をユーザーが直接押圧することによって、カートリッジ装着部5にインクカートリッジ20を装着するようになっていてもよい。
【0080】
この場合でも、インクカートリッジ20の基端部のうち、バネ接触部55と同じ高さにある下端部よりも上方に位置する部分が、ユーザーにより押圧されれば、上述したのと同様、インクカートリッジ20が、カートリッジ装着部5への装着途中に傾いて、第2接点54aが第1接点35aから離れる。
【0081】
また、上述の実施の形態では、カートリッジ装着部5に設けられたバネ34によってインクカートリッジ20を付勢するようになっていたが、これには限られない。別の一変形例(変形例4)では、図8(a)に示すように、カートリッジ装着部5にはバネが設けられておらず、図8(b)に示すように、インクカートリッジ20の先端部(所定方向における一端部)における下端部(一側面と反対側)にバネ81が設けられている。また、図8(a)に示すように、カートリッジ装着部5には、奥壁部31aの下端部にバネ81と接触するバネ接触部82が設けられている。なお、この場合には、インクカートリッジ20の被押圧部56が設けられた部分が、本発明に係る「挿入方向の基端部」及び「所定方向における他端部」に相当する。
【0082】
この場合でも、図8(c)に示すように、インクカートリッジ20をカートリッジ装着部5に装着する途中の状態で、インクカートリッジ20が、バネ81の付勢力F1(バネ81がバネ接触部82を押圧したときに、バネ接触部82がバネ81を押し返す力)とインクカートリッジ20を押圧する押圧力F2により生じるモーメントによって傾いて、第2接点54aが第1接点35aから離隔する。
【0083】
また、上述の実施の形態では、第1接点35aを有するコネクタ35が、カートリッジ装着部5の上側壁部31bの奥側の端部に設けられているとともに、第2接点54aを有するCOB54が、インクカートリッジ20の先端部の上面に設けられていたが、これには限られない。
【0084】
例えば、COB54は、インクカートリッジ20の先端部よりも少し基端側に位置する、インクカートリッジ20が第2姿勢となった状態で、第1姿勢よりも下方にくる他の部分の上面に設けられていてもよい。すなわち、COB54は、インクカートリッジ20の先端側部分(先端部及びその近傍)のうち何れかの部分の上面に設けられていればよい。
【0085】
また、上述の実施の形態では、COB54が、インクカートリッジ20の上面に設けられているとともに、インクカートリッジ20の下端部に設けられたバネ接触部55がバネ34により付勢されるようになっており、被押圧部56が、インクカートリッジ20の基端部のバネ接触部55よりも上方に位置する部分に設けられていたが、COB54、バネ接触部55、被押圧部56などの上下の位置関係はこれとは逆であってもよい。
【0086】
例えば、別の一変形例(変形例5)では、図9に示すように、カートリッジ装着部5において、下側壁部31cの奥側の端部に、コネクタ35が設けられており、バネ取り付け部41が奥壁部31aの上端部に設けられている。また、基板36は、下側壁部31cの下面に設けられており、規制部材37及びストッパー43が下側壁部に設けられている。
【0087】
一方、インクカートリッジ20において、先端部の下面(挿入方向に沿った一側面)にCOB54が設けられており、上端部にバネ接触部55が設けられており、基端部における、バネ接触部55よりも下方に位置する部分(一側面側の部分)に被押圧部56が設けられている。また、係合溝57は、インクカートリッジ20の下面に形成されている。
【0088】
この場合には、上述の実施の形態とは逆に、ユーザーが被押圧部56を押圧する力F3と、バネ34がインクカートリッジ20を付勢する力F4とによって、インクカートリッジ20には図中時計回り方向のモーメントが発生する。そして、このモーメントにより、インクカートリッジ20は、図中時計回り方向に回動して、第2接点54aが、第1接点35aから離隔する。
【0089】
また、上述の実施形態では、バネ34の付勢力が、インクカートリッジ20の下端部に設けられたバネ接触部55に作用していたが、バネ34の付勢力は、インクカートリッジ20の下端部よりも少し上方の部分など、COB54が設けられたインクカートリッジ20の一表面と反対側の他の位置に作用するようになっていてもよい。
【0090】
さらには、バネ34がインクカートリッジ20を付勢する付勢力は、COB54が設けられたインクカートリッジ20の一表面と反対側の位置に作用することにも限られない。
【0091】
別の一変形例(変形例6)では、図10に示すように、コネクタ35が、カートリッジ装着部5の下側壁部31cにおける挿入口30a側の端部に設けられているとともに、COB54が、インクカートリッジ20の基端部の下面(一側面)に形成されている。すなわち、変形例6では、バネ34がバネ接触部55を付勢する付勢力F2は、COB54が設けられたインクカートリッジの一側面側の位置に作用する。
【0092】
インクカートリッジ20が傾いたときには、インクカートリッジ20の先端側の上面が上側壁部31bから離隔するのと同時に、インクカートリッジ20の基端部の下面が下側壁部31cから離隔するため、この場合でも、第2接点45aが第1接点35aから離隔する。
【0093】
また、以上では、インクカートリッジ20が、カートリッジ装着部5への装着の途中において、走査方向と直交する面内で回動して傾く場合について説明したが、これには限られない。
【0094】
例えば、インクカートリッジ20は、カートリッジ装着部5への装着の途中において、その先端部のうち図1の右側の部分が、バネによって付勢されるとともに、その基端部におけるバネよりも左側に位置する部分がユーザーに押圧されるようになっているなど、水平面内(図1の紙面と平行な面内)で回動して傾くようになっていてもよい。なお、上記の例では、コネクタ35を、左側壁部31eに設けるとともに、COB54を、例えば、インクカートリッジ20の先端部における、図1の左側面に設ければよい。
【0095】
また、以上の例では、インクカートリッジ20に、インクカートリッジ20に関する情報などが記録されたICが実装されたCOB54が設けられており、COB54の第2接点54aが、カートリッジ装着部5の第1接点35aと導通したときに、COB54のICに記録された情報が基板36において読み取られるようになっていたが、これには限られない。例えば、インクカートリッジ20に第2接点だけが設けられており、第1接点と第2接点とが導通しているか否かによって、基板36においてカートリッジ装着部5にインクカートリッジ20が装着されているか否かを検出するようになっているなど、インクカートリッジ20にCOB54が設けられていない構成であってもよい。
【0096】
また、以上では、ノズルからインクを吐出することによって印刷を行うことによって記録用紙に印刷を行うプリンタに本発明を適用した例について説明したが、インク以外の液体が貯留された液体カートリッジと、液体カートリッジが装着されるカートリッジ装着部を有するインク以外の液体を供給する液体供給装置とを備えたプリンタ以外の装置に本発明を適用することも可能である。
【符号の説明】
【0097】
3 サブタンク
5 カートリッジ装着部
10 インクカートリッジ
12 チューブ
30 挿入空間
31 壁部
33 バネ
36 回路基板
35a 第1接点
54 COB
54a 第2接点
56 被押圧部
57 規制部材
71 カバー部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を貯留する液体カートリッジと、この液体カートリッジが取り外し可能に装着されるカートリッジ装着部を有する液体供給装置とを備えた、液体供給システムであって、
前記カートリッジ装着部は、前記液体カートリッジが挿入される挿入空間を形成する壁部と、前記壁部のうちの前記液体カートリッジの挿入方向に沿った側壁部に設けられた第1接点を有し、
前記液体カートリッジは、前記挿入方向に沿った一側面に設けられ、前記カートリッジ装着部への装着完了状態で前記第1接点と接触して導通する第2接点を有し、
前記液体カートリッジと、前記カートリッジ装着部の前記挿入空間を形成する壁部の、何れか一方に、前記液体カートリッジを前記挿入空間内で付勢する弾性体が設けられ、
前記挿入空間内において、前記液体カートリッジは、前記装着完了状態における第1姿勢と、前記装着完了状態に至るまでの装着途中状態において、前記弾性体の付勢力によって前記第1姿勢に対して傾いた第2姿勢と、を取り得るように構成されており、
前記第2接点は、前記液体カートリッジが前記第2姿勢にあるときに、前記第1姿勢にあるときと比べて前記側壁部から離れる位置に設けられていることを特徴とする液体供給システム。
【請求項2】
前記液体カートリッジの、前記挿入方向における先端側部分の一側面に前記第2接点が設けられ、
前記液体カートリッジが前記装着途中状態にあるときに、前記挿入方向における先端部の、前記一側面と反対側の位置に、前記弾性体の付勢力により前記液体カートリッジに前記挿入方向とは反対の方向への付勢力が作用することを特徴とする請求項1に記載の液体供給システム。
【請求項3】
前記液体カートリッジの、前記挿入方向における基端部の前記一側面側の位置に、前記装着方向に沿って前記液体カートリッジを前記挿入空間内に押し込むための被操作部が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の液体供給システム。
【請求項4】
前記液体カートリッジの前記基端部の前記一側面側の部分が、前記一側面側と反対側の部分よりも、前記挿入方向とは反対方向に突出しており、この突出部が前記被操作部であることを特徴とする請求項3に記載の液体供給システム。
【請求項5】
前記カートリッジ装着部には、前記装着完了状態の前記液体カートリッジの移動を規制する規制部材が設けられ、
前記規制部材による前記液体カートリッジの移動規制が解除されたときに、前記弾性体の付勢力により前記液体カートリッジが前記挿入空間から前記装着完了状態よりも外側へ押し出されることを特徴とする請求項2〜4の何れかに記載の液体供給システム。
【請求項6】
前記カートリッジ装着部には、前記挿入空間の前記液体カートリッジの挿入口を開放する開放位置と、前記挿入口を塞ぐ閉塞位置との間で移動することによって、前記挿入口の開閉を行う開閉部材が設けられ、
前記開閉部材は、
前記開放位置から前記閉塞位置に移動させたときに、前記装着途中状態の前記液体カートリッジの、前記挿入方向における基端部の前記一側面側の部分を押圧して、前記液体カートリッジを前記挿入空間に押し込むように構成されているとともに、
前記閉塞位置に位置させた状態で、前記装着完了状態の前記液体カートリッジの前記挿入方向における基端部に当接することで前記液体カートリッジの移動を規制する前記規制部材となっていることを特徴とする請求項5に記載の液体供給システム。
【請求項7】
前記液体カートリッジの前記一側面に回路基板が取り付けられ、前記第2接点は前記回路基板に設けられていることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の液体供給システム。
【請求項8】
請求項1に記載の液体供給システムの液体カートリッジであって、
前記カートリッジ装着部の前記挿入空間を形成する壁部に前記弾性体が設けられており、
前記挿入方向における先端側部分の一側面に前記第2接点が設けられ、
前記装着途中状態にあるときに、前記挿入方向における先端部の、前記一側面と反対側の位置に、前記弾性体により前記挿入方向とは反対の方向への付勢力が作用することを特徴とする液体カートリッジ。
【請求項9】
請求項1に記載の液体供給システムの液体カートリッジであって、
前記挿入方向における先端側部分の一側面に前記第2接点が設けられ、
前記挿入方向における先端部の、前記一側面と反対側の位置に弾性体が設けられ、
前記装着途中状態にあるときに、前記弾性体の付勢力によって前記挿入方向とは反対の方向に付勢されることを特徴とする液体カートリッジ。
【請求項10】
前記挿入方向における基端部の、前記一側面側の位置に、前記装着方向に沿って前記液体カートリッジを前記カートリッジ装着部の前記挿入空間に押し込むための被操作部が設けられていることを特徴とする請求項8又は9に記載の液体カートリッジ。
【請求項11】
液体を貯留する液体カートリッジであって、
所定方向における一端側部分の一側面に設けられた接点と、
前記所定方向における一端部の、前記一側面と反対側の位置に設けられた弾性体と、
前記所定方向における他端部の、前記一側面側の位置に設けられた被操作部と、
を備えていることを特徴とする液体カートリッジ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2012−206487(P2012−206487A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−75932(P2011−75932)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】