説明

液体供給装置

【課題】液体カートリッジを装着部から取り外す際に、液体カートリッジの液体供給口や装着部の液体供給筒から落下する液体を受ける突出部が形成された液体カートリッジを備える液体供給装置において、脱出向きへ移動する液体カートリッジの突出部から落下した液体で装着ケースの内部及び該装着ケースに装着された他の液体カートリッジが汚染されることを防止する。
【解決手段】装着部99に、装着位置K1とここから脱出向きに隔てられた解除位置K2との間を往復移動可能であって液体カートリッジ10に形成された突出部52との当接面841を有するスライダ84と、スライダ84を脱出向きへ付勢する付勢体85と、解除位置K2のスライダ84の当接面841よりも脱出向き側において底面に形成された底部開口93と、この底部開口93の下方に設けられた液体保持体94とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液滴を吐出して記録媒体に画像等を形成する記録装置などにおいて、吐出される液体を供給するための液体供給装置に関する。詳細には、液体を内部に貯溜した液体カートリッジとこの液体カートリッジを着脱可能に装着できる装着ケースとを備えた液体供給装置において、液体カートリッジ着脱時に装着ケースが液体で汚染されることを防止するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、記録ヘッドから液滴を吐出して記録用紙等の記録媒体に画像等を形成する記録装置の一つとして、インクジェット記録装置が広く知られている。このインクジェット記録装置は、インクが収容されたインクカートリッジを装着可能に備え、このインクカートリッジから供給されたインクを記録ヘッドから吐出するように構成されている。インクカートリッジは、インクの残量が少なくなった場合に記録装置本体から取り外されて、インクが充填された新たなインクカートリッジと交換できるようになっている。
【0003】
上記のようなインクジェット記録装置において、インクカートリッジを取り外す際に、インクカートリッジが装置本体側から外部へ飛び出すように構成されたものが知られている。例えば、特許文献1に記載されたカートリッジ装着部には、弾発手段によりインクカートリッジが取り出される向きへ付勢されたスライダー部材が備えられており、この弾発手段とスライダー部材とによってインクカートリッジが取り出される向きへ押し出されるように構成されている。
【0004】
また、上記のようにインクカートリッジを着脱可能に備えたインクジェット記録装置は、一般に、インクカートリッジを記録装置本体へ装着する際にインクカートリッジ内のインク貯溜室と記録装置本体のインク通路とが連通されるように構成されている。例えば、特許文献2に記載のインクジェットプリンタでは、本体ケースのインクカートリッジの支持部材には中空状の針部材が設けられており、インクカートリッジを本体ケースに装着する際にこの針部材がインクカートリッジのインク供給口に挿入されることによって、インクカートリッジ内のインク貯溜室と記録装置本体のインク通路とが連通されるようになっている。
【0005】
ところが、記録装置本体からインクカートリッジを取り外す際に、インクが針部材やインクカートリッジのインク供給口から垂れることがあり、このインクが記録装置内や他のインクカートリッジを汚染することがある。特に、記録ヘッドとインクカートリッジのインク供給口との間に高低差がある場合にはこれらの水頭圧によって針部材からインクが漏れ出すことがあり、インクによる記録装置内の汚染防止は重要な課題の一つとなっている。
【0006】
この課題を解決するために、特許文献3に記載のインクカートリッジは、インク供給部と、インクカートリッジが記録装置に装着された姿勢においてインク供給部の下方に設けられてインク供給部よりも外方へ突出した突出部とを有し、インクカートリッジが記録装置から取り外される際にインクニードルもしくはインク供給部から垂れたインクを、突出部が捕集するように構成されている(特許文献3の図45、参照)。
【0007】
また、特許文献2に記載のインクジェットプリンタは、針部材の鉛直下方となる位置に上方が開放した凹状のインク排出口を有し、このインク排出口の底面にインク吸収体を備えている。これによって、インクカートリッジを本体ケースから取り外すときに針部材か
ら垂れたインクは、インク排出口を通じてインク吸収体に落下して吸収されるようになっている(特許文献1の図7、参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−288866号公報
【特許文献2】特開2004−237495号公報
【特許文献3】特開2007−196648号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
発明者らは、特許文献3に記載されているように装着部に装着された姿勢において液体供給口の下方に位置する突出部を有する液体カートリッジと、この液体カートリッジが装着ケースに挿入されることにより液体カートリッジが装着される装着部とを液体供給装置に備え、この装着部に特許文献1に記載されているように液体カートリッジに当接して該液体カートリッジを取り出す向きに付勢するスライダと液体供給口に連結される液体供給筒とを設けたものを考案した。この液体供給装置では、液体供給口よりも突出している突出部にスライダが当接する構成が採用されている。なお、この液体供給装置は、液体を吐出して記録媒体に画像等を形成する記録装置などにおいて、液体カートリッジ内の液体を液体供給筒と該液体供給筒に接続されたチューブ等を介して記録装置本体に供給するようにして用いられるものである。
【0010】
この液体供給装置では、液体カートリッジが装着部に装着された姿勢において液体供給口の下方に位置する突出部を有しているので、特許文献3に記載されているように、液体カートリッジが装着部から取り外される際に液体供給筒もしくは液体供給部から垂れたインクを突出部が捕集する。したがって、装着ケースの底面に液体が垂れ落ちることがなく、よって、特許文献2に記載されているような、液体供給筒の鉛直下方の底面に形成された液体排出口および液体吸収体は不要であると考えられる。
【0011】
しかしながら、この液体供給装置では、スライダに付勢されることにより加速度が加わりつつ液体カートリッジが取り出される向きへ移動する間に、液体カートリッジの突出部に捕集された液体が慣性により移動してスライダに付着することが本願発明者らにより確認された。液体カートリッジが取り出される向きへさらに移動し、突出部がスライダから離れ、スライダが停止すると、スライダに付着している液体がスライダから離れて液体カートリッジが取り出される向きに飛散する可能性がある。この場合、装着ケース内が液体で汚染されてしまうこととなる。
【0012】
そこで本発明では、上記の液体供給装置において、スライダから飛散した液体で装着ケースの内部及び該装着ケースに装着される液体カートリッジが汚染されることを防止できる構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る液体供給装置は、挿脱開口と、該挿脱開口から水平方向と略平行な挿入向きに隔てられた奥部壁面と、前記挿脱開口から前記奥部壁面に向かって前記挿入向きに延びる底面を有する装着ケースを有する装着部と、液体収容室、該液体収容室から液体を外部へ供給する液体供給口、及び該液体供給口よりも突出向きに突出する突出部を有し、該突出部が前記液体供給口の下方に位置する姿勢であって、かつ、前記突出向きが前記挿入向きと平行となる姿勢にて、前記挿脱開口から前記奥部壁面に向かって前記底面上を摺動しつつ前記装着ケース内へ前記挿入向きに挿入されることにより前記装着部に装着される液体カートリッジとを備え、前記装着部は、前記液体カートリッジの前記液体供給口へ挿
入可能であって、前記奥部壁面から前記挿入向きと対向する脱出向きへ延びる中空状の液体供給筒と、装着位置と該装着位置から前記脱出向きに隔てられた解除位置との間を往復移動可能であって、前記液体カートリッジの前記突出部の前記突出向きの先端に当接する当接面を前記脱出向きの先端に有するスライダと、前記スライダを前記脱出向きへ付勢する付勢体と、前記装着位置の前記スライダと該スライダに当接している前記液体カートリッジとの前記脱出向きへの移動を規制及び規制解除できる規制体と、前記解除位置の前記スライダの前記当接面よりも前記脱出向き側において前記底面に形成された底部開口と、前記底部開口の下方に設けられた液体保持体とを、備えているものである。
【0014】
上記構成の液体供給装置によれば、前記スライダと該スライダに当接している液体カートリッジとの移動の規制を解除すれば、付勢体の付勢力によりスライダと液体カートリッジは共に脱出向きへ移動する。このとき、液体カートリッジの液体供給口から液体供給筒が抜き出されるので液体供給口と液体供給筒から液体が滴下することがあるが、この液体は液体カートリッジの突出部で受け止められる。そして、加速度が加えられつつ液体カートリッジが脱出向きへさらに移動すると突出部で受け止められた液体は慣性により挿入向きへ流れ、スライダの当接面に付着する。さらに、スライダが解除位置まで脱出向きへ移動して、液体カートリッジからスライダが離れると、スライダの当接面に付着している液体は、脱出向きおよび下向きに飛散する。飛散した液体は、解除位置のスライダの当接面よりも脱出向き側に設けられた底部開口を通じて液体保持体に落下する。このようにして、装着ケースの底面が液体で汚染されることがない。さらに、装着ケースに次に挿入される液体カートリッジが汚れたりこの挿入によって汚れが拡大されたりすることもなく、液体カートリッジの着脱作業を行うユーザの手が汚れない。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、液体カートリッジが装着ケースから取り外される際に、脱出向きに移動する液体カートリッジの突出部に落下した液体は、スライダに付着する。液体カートリッジが脱出向きへ更に移動してスライダから離れると、スライダに付着している液体は、装着部の底部開口を通じて、液体保持体へ落下して保持される。これにより、液体カートリッジが装着ケースから取り外される際に、液体供給筒や液体供給口から滴下した液体により装着ケースの底面が汚れない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態に係る液体供給装置を備えた記録装置の概略構成を示す斜視図である。
【図2】記録装置が備えるプリンタ部の構成を示す模式的断面図である。
【図3】液体供給装置を前後方向に切断した断面図である。
【図4】液体カートリッジの斜視図である。
【図5】液体カートリッジの構成を示す図であり(a)は側面図、(b)は側面断面図である。
【図6】装着ケースの前方斜視図である。
【図7】装着ケースを前後方向に切断した断面図である。
【図8】スライダとスライダフレームの前方斜視図である。
【図9】スライダとスライダフレームの構成を示す底面図である。
【図10】装着ケースから液体カートリッジを取り出す態様を説明する図であり(a)は液体カートリッジの装着時の液体供給装置の断面図、(b)は液体カートリッジの装着解除時の液体供給装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。本実施の形態に係る液体供給装置は記録装置に搭載されており、この記録装置はプリンタ機
能、スキャナ機能、コピー機能、及びファクシミリ機能等を備える所謂複合機として構成されている。液体供給装置は、液体カートリッジとして液体状のインクを収容したインクカートリッジを備え、このインクカートリッジから記録装置に設けられたプリンタ機能部へインクを供給するように構成されている。但し、本発明に係る液体供給装置の適用形態はこのような複合機に限定されない。
【0018】
[記録装置全体の概要]
まず、記録装置の全体の概要から説明する。図1に示すように、記録装置1は、略直方体形状の筐体1aの下部にインクジェット方式によって画像等を記録するプリンタ部2を備え、この筐体1aの上部にスキャナ部3を備えている。
【0019】
プリンタ部2は、筐体1aの正面(前側)に開口4を有し、この開口4の内側に、下側に被記録体として複数枚の記録用紙を収容できる給紙トレイ5を、上側に画像が記録された記録用紙を複数枚収容できる排紙トレイ6をそれぞれ備えている。プリンタ部2の正面の右下部分には扉7が開閉自在に設けられ、該扉7の内方には液体供給装置8(図2、参照)が設けられている。従って、扉7が開くと液体供給装置8が正面側に露出し、インクカートリッジ10(図2、参照)が略水平方向に着脱可能になっている。液体供給装置8には、使用されるインク色に対応したインクカートリッジ10の装着ケース9(図2、参照)が備えられている。本プリンタ部2では、例えば4色のカラーインクが使用され、液体供給装置8には内部が4つに区分けされた装着ケース9が設けられており、区分けされた各スペースに、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)ブラック(Bk)の各色インクを貯留するインクカートリッジ10が装着されている。
【0020】
スキャナ部3は、所謂フラットベッドスキャナとして構成されている。即ち、記録装置1の上面には、記録装置1の天板として開閉自在に設けられた原稿カバー1bが備えられている。そして、原稿カバー1bの下側に、原稿が載置されるプラテンガラスや原稿の画像を読み取るイメージセンサなどが配設されている。
【0021】
記録装置1の正面上部には、プリンタ部2やスキャナ部3を操作するための操作パネル11が設けられ、同じく正面左上部分には記憶媒体である各種小型メモリカードが装填可能なスロット部12が設けられている。操作パネル11は、各種操作ボタンや情報を出力する出力部としての液晶ディスプレイ11a等から構成されており、記録装置1は、オペレータによる操作パネル11の操作の結果、該操作パネル11から出力される指示に基づいて動作できる。また、記録装置1が外部のコンピュータに接続されている場合には、該コンピュータからプリンタドライバ又はスキャナドライバを介して送信される指示に基づいても記録装置1は動作できる。
【0022】
図2に示すように、記録装置1の底部近傍には設けられた給紙トレイ5の上方には、図1の左右方向に長寸を成す平坦な板状のプラテン14が設けられている。このプラテン14の更に上方には画像記録ユニット17が設けられており、この画像記録ユニット17は、図示しないノズル孔からインクを吐出するヘッドユニット15a、該ヘッドユニット15aへインクを供給するサブタンク15b、及びヘッドユニット15aと電気的に接続されたアクチュエータへ駆動信号を出力するヘッド制御基板15c等から構成されている。この画像記録ユニット17が有するサブタンク15bは、記録装置1の液体供給装置8へ装着されたインクカートリッジ10との間で、可撓性のチューブ22を介して連通されており、インクカートリッジ10から供給されたインクを一時的に貯留し、更にこれをヘッドユニット15aへと供給する。
【0023】
画像記録ユニット17は、図1の左右方向(プラテン14の長手方向)へ延びる図示しないガイドロッドにより、図1の左右方向へのスライド移動可能なように支持されており
、更に画像記録ユニット17は、プーリ及びベルト等から成る図示しないヘッド駆動機構に連結されている。従って、該ヘッド駆動機構が駆動することにより、前記ガイドロッドに沿って図1の左右方向へ所定範囲内で走査可能になっている。
【0024】
また、給紙トレイ5の後方には、給紙トレイ5の後方から上方へ向かい更に前方へ向かうように湾曲した湾曲パス18aと、湾曲パス18aの終点から更に前方へ延びるストレートパス18bとから成る用紙搬送路18が設けられている。給紙トレイ5の直上には、該給紙トレイ5内の記録用紙を用紙搬送路18へ供給する給紙ローラ19が設けられている。そして、用紙搬送路18には、搬送ローラ及びピンチローラから成る一対の搬送ローラ対20と、排紙ローラ及びピンチローラから成る一対の排紙ローラ対21とが、それぞれ2つのローラによって搬送される記録用紙を上下から挟むようにして設けられている。
【0025】
このようなプリンタ部2によれば、給紙トレイ5内の記録用紙が、給紙ローラ19によって用紙搬送路18へ供給され、続いて搬送ローラ対20によって用紙搬送路18上を湾曲パス18aからストレートパス18bへと搬送される。ストレートパス18bに到達した記録用紙は、ここで対向配置された画像記録ユニット17が有するヘッドユニット15aから吐出されるインクにより画像が記録され、記録が完了すると排紙ローラ対21によってストレートパス18bから排出されて排紙トレイ6へ収容される。
【0026】
[液体供給装置の構成]
次に、液体供給装置8について詳細に説明する。図3に示すように、液体供給装置8は、インクカートリッジ10と、このインクカートリッジ10を着脱可能に装着できる装着ケース9を有する装着部99とを備えている。以降の説明では、図3における紙面左側を前部または前方とし、紙面右側を後部または後方として説明する。
【0027】
先ず、インクカートリッジ10の構成から説明する。図4及び図5(a)(b)にも示すように、インクカートリッジ10は扁平形状の略六面体に構成されており、図4に図示された起立姿勢で幅方向の寸法が小さく、高さ方向及び奥行き方向の各寸法が幅方向の寸法よりも大きい直方体形状である。インクカートリッジ10は、図4に図示された起立姿勢において、装着ケース9内に挿入される。このインクカートリッジ10は、ケース本体31と、このケース本体31の後部を覆う後部カバー32と、ケース本体31の前部を覆う前部カバー33とで構成されている。ケース本体31は、インクを収容できるインク収容室51(液体収容室)を内部に備え、このインク収容室51からインクを外部へ供給するインク供給部60と、インク収容室51を外部と大気連通させる大気連通部70とをいずれも後面に備えている。後部カバー32は、ケース本体31の後部を覆うように形成されており、大気連通部70を露出させるための上部開口32aと、インクカートリッジ10が装着ケース9内に挿入されるときの姿勢において上部開口32aよりも下方に位置する、インク供給部60を挿通させるための下部開口32bと、インクカートリッジ10が装着ケース9内に挿入されるときの姿勢において下部開口32bよりも下方に位置し、水平方向と略平行に後方へ突出する突出部52とをいずれも後面に備えている。このようなインクカートリッジ10の後面においては、大気連通部70が後部カバー32の上部開口32aよりもインクカートリッジ10の内方に位置し、インク供給部60が後部カバー32の下部開口32bから後向きに突き抜けており、突出部52がインク供給部60の下方において該インク供給部60よりもさらに後向きに突出している。
【0028】
大気連通部70には、大気連通バルブ71が設けられている。大気連通バルブ71は、図5(b)に示すようにケース本体31の後上部に形成された第一バルブ収容室72に収容されている。第一バルブ収容室72は、開口73を介してケース本体31の外部に開口している。第一バルブ収容室72は、開口73とは反対側の端部において不図示の通路を介してインク収容室51に連通している。
【0029】
大気連通バルブ71は、バルブ本体74、バネ75、シール部材76、及びキャップ77等の部材で構成されている。シール部材76及びキャップ77は共に円筒形状を成し、開口73を塞ぐように開口73に挿入されたシール部材76にキャップ77が外嵌されている。シール部材76は、シール部材76を前後方向に貫通するように形成された大気連通口79を有する。バルブ本体74は軸形状を成し、前後方向へ往復移動可能に第一バルブ収容室72に収容されている。このバルブ本体74の前部は第一バルブ収容室72内に収容されているが、その後部はシール部材76の大気連通口79を挿通して大気連通口79から後向きに突出している。さらに、バネ75は第一バルブ収容室72内に配設されて、バルブ本体74を後向きに付勢している。
【0030】
このような大気連通バルブ71において、バネ75により後向きに付勢されたバルブ本体74がシール部材76と圧接することによって、大気連通口79が閉止され、大気連通バルブ71が閉じられる。そして、装着ケース9にインクカートリッジ10が装着されているときは、後述するバルブ操作ピン82により押圧されたバルブ本体74がバネ75の付勢力に抗して前向きに移動し、大気連通バルブ71が開放されてシール部材76の大気連通口79を画定している内周とバルブ本体74との隙間において大気連通口79が開口され、インク収容室51はこの大気連通口79を介して大気に開放される。
【0031】
一方、インク供給部60には、インク供給バルブ61が設けられている。図5(b)に示すように、インク供給バルブ61は、ケース本体31の後下部に形成された第二バルブ収容室62に収容されている。第二バルブ収容室62は、開口63を介してケース本体31の外部に開口している。第二バルブ収容室62は、開口63とは反対側の端部において不図示の通路を介してインク収容室51に連通している。
【0032】
インク供給バルブ61は、バルブ本体64、バネ65、シール部材66、キャップ67等の部材で構成されている。バルブ本体64は、軸芯を前後方向へ向け後部にフランジを有する軸形状を成している。シール部材66及びキャップ67は共に前後方向への貫通孔を有する略円筒形状を成し、シール部材66にキャップ67が外嵌した状態で、該シール部材が開口63を塞ぐように開口63に挿入されている。このシール部材66の貫通孔とキャップ67の貫通孔とによって、インク供給口69(液体供給口)が形成されている。バルブ本体64は、第二バルブ収容室62内であってシール部材66よりもインクカートリッジ10の内方、すなわち、インク収容室51側において、前後方向へ往復移動可能に設けられている。さらに、バネ65は第二バルブ収容室62内に配設されて、バルブ本体64を後向きに付勢している。
【0033】
このようなインク供給バルブ61は、バネ65により付勢されたバルブ本体64のフランジがシール部材66に圧接されることによって、シール部材66の貫通孔とキャップ67の貫通孔とからなるインク供給口69が閉止され、インク供給バルブ61が閉じられている。そして、装着ケース9にインクカートリッジ10が装着されているときは、後述するインク供給筒81でバルブ本体64が後方へ押し動かされて、バルブ本体64がバネ65の付勢力に抗して後方へ移動してシール部材66から離れ、インク供給バルブ61が開放される。その結果、インク収容室51は液体供給装置8に接続されたチューブ22とインク供給口69に挿入されたインク供給筒81を介して連通し、インク収容室51内のインクがチューブ22を通じて装置本体側のサブタンク15b(図2、参照)へ供給される。
【0034】
そして、インク供給部60の下方には、後向きに突出する突出部52が設けられている。以下では、インクカートリッジ10において、突出部52が突出している向き(ここでは、後向き)を「突出向き」ともいう。突出部52の突出向きの先端(後端)は、インク
カートリッジ10全体で最も後方に位置しており、インクカートリッジ10を装着ケース9へ装着する過程及び装着されている状態で、装着ケース9の奥部に設けられた後述するスライダ84の当接面841に当接する部分となる。突出部52の突出向きの先端(後端)は、インクカートリッジ10全体で最も後方に位置しているので、突出部52は、インク供給部60よりも突出向きに突出している。
【0035】
突出部52の上面には、突出向きに延びる溝52aが形成されており、この溝52aの底面には、同じく突出向きに延びる複数の突条52b,52bが並設されている。この突出部52の溝52aはインク供給口69の下方に位置しており、インク供給部60や後述するインク供給筒81から滴下したインクを溝52aで受けとめることができる。そして、溝52aへ捕集されたインクには、突条52b,52bに沿う突出向きへの流れが形成される。
【0036】
次に、装着部99について説明する。図6及び図7にも示すように、装着部99は装着ケース9を有しており、装着ケース9内には、略直方体形状の装着空間90が形成されている。この装着ケース9は、前向きに開放された挿脱開口91を有している。装着空間90は、この挿脱開口91を介して装着ケース9の外部に露出している。装着ケース9は、挿脱開口91から水平方向と略平行な後向きに隔てられた奥部に閉塞された奥部壁面を有し、また、挿脱開口91から奥部壁面に向かって後向きに延びる底面を有している。この装着ケース9に対して、インクカートリッジ10を挿脱開口91から水平方向と略平行に後向きに挿入して装着し、装着されたインクカートリッジ10を水平方向と略平行に前向きに移動させて取り出すことができる。以下では、装着ケース9において、インクカートリッジ10が挿入される水平方向と略平行な後向きを「挿入向き」ともいい、この挿入向きと対向する向きを「脱出向き」ともいい、挿入向きと脱出向きとを「挿脱方向」ともいう。
【0037】
装着ケース9には、装着されるインクカートリッジ10の数に合わせて4つに区画された装着空間90が形成されている。装着部99は、各装着空間90毎に、装着ケース9の奥部に設けられたインク供給筒81(液体供給筒)、バルブ操作ピン82、スライダ84、及び付勢体85と、装着ケース9の底面に設けられたガイド溝92、及び底部開口93と、底部開口93の下方に設けられた液体保持体94と、装着ケース9の上部に設けられたロックレバー87とを、備えている。
【0038】
装着ケース9の奥部壁面から中空針状のインク供給筒81が脱出向きに延びている。インク供給筒81は、装着ケース9の奥部壁面に貫設されており、このインク供給筒81の後端には、装置本体側のサブタンク15bに一端が接続されたチューブ22の他端が接続されている。このインク供給筒81は、装着されたインクカートリッジ10のインク供給口69にその先端から挿入できるように位置決めされており、該インク供給筒81が装着空間90内に装着されたインクカートリッジ10のインク供給口69に挿入されると、インクカートリッジ10のインク収容室51とサブタンク15bとがチューブ22及びインク供給筒81を介して連通される。
【0039】
また、インク供給筒81を囲むように、インク供給筒81と同心で円筒状のガイド筒83が装着ケース9の奥部壁面から脱出向きに延びている。このガイド筒83の内周はインクカートリッジ10のインク供給部60の挿入部であって、ガイド筒83はインク供給部60のキャップ67の外周が摺動できる内径を有している。そして、装着空間90内にインクカートリッジ10を装着する際には、ガイド筒83はインク供給筒81のインク供給口69への挿入を案内することができ、また、装着空間90内にインクカートリッジ10が装着されると、ガイド筒83はインク供給部60とインク供給筒81との間にねじれが生じたりしないようにこれらを保持することができる。
【0040】
さらに、インク供給筒81の上方には、装着ケース9の奥部壁面から脱出向きに突出するバルブ操作ピン82が設けられている。このバルブ操作ピン82は、装着されたインクカートリッジ10の大気連通口79から突出している大気連通バルブ71に当接するように配置されており、インクカートリッジ10が装着空間90内に装着されている間、大気連通口79を開放するように大気連通バルブ71を操作することができる。
【0041】
また、装着ケース9の奥部であってインク供給筒81の下方には、インクカートリッジ10の突出部52と当接して該インクカートリッジ10を脱出向きに付勢できるスライダ84が設けられている。装着ケース9の奥部壁面の下部分には挿脱方向に貫通孔が形成されており、この貫通孔を覆うようにはスライダフレーム45が装着ケース9の後方に接続されている。このスライダフレーム45には、最も後方に位置する基板47を有し、この基板47には、装着空間90に向かって脱出向きに延びるように設けられた複数のレール軸48の基端が固定され、各レール軸48はスライダ84を挿脱方向に貫通する貫通孔847に遊挿されている。このように、スライダ84はレール軸48上を挿脱方向に移動して、装着ケース9の奥部壁面の下部分に形成された貫通孔を介して、装着位置K1と装着位置K1から脱出向きに隔てられた解除位置K2との間を往復移動することができる。なお、図7では、装着位置K1のスライダ84が二点鎖線で示され、解除位置K2のスライダ84が実線で示されている。装着位置K1のスライダ84に当接しているインクカートリッジ10は、即ち装着空間90内に装着された状態にあり、インク供給筒81によりインク供給バルブ61のバルブ本体64が押圧されてインク供給口69が開放され、バルブ操作ピン82により大気連通バルブ71のバルブ本体74が押圧されて大気連通口79が開放されている。一方、解除位置K2のスライダ84に当接しているインクカートリッジ10は、装着部99への装着が解除された状態にあり、インク供給口69及び大気連通口79は閉止されている。
【0042】
上記スライダ84は付勢体85により脱出向きに付勢されている。付勢体85は、レール軸48に外装された圧縮コイルバネであって、レール軸48の基端が固定されているスライダフレーム45とスライダ84との間で圧縮されている。但し、付勢体85は上記形態に限定されるものではなく、付勢体85を脱出向きに付勢することができるものであれば足りるので、スライダ84を脱出向きに引っ張るように設けられた引張コイルバネやスライダ84を脱出向きに押し出すように設けられた弾性発砲体などで構成されていてもよい。
【0043】
このスライダ84の脱出向きの先端には、インクカートリッジ10の突出部52の突出向きの先端に当接できる当接面841が形成されている。インクカートリッジ10の突出部52に当接した当接面841は、溝52aに落ちたインクを該溝52aから流れ出ないように受け止めることができる。このように機能する当接面841は、その上端位置がインクカートリッジ10の突出部52の溝52aの底面よりも(より望ましくは突出部52の上端よりも)高い位置となるように形成されている。さらに、図8にも示すように、当接面841の水平方向両端にはリブ842,842が形成され、これらのリブ842,842の間に撥液部843が形成されている。この撥液部843は、撥液性を有する例えば合成樹脂などの素材により構成されており液体(インク)が濡れない性質を有している。このような当接面841の形状により、インクカートリッジ10の突出部52に落下したインクを当接面841で効果的に受け止めて溝52a内に留めることができる。さらに、突出部52から当接面841が離れたあとは、インクは当接面841に残ることなく離れ落ちる。なお、撥液部843は、平面状であっても良いが、ここに複数の溝を平行に設けることによってインクを確実に保持できると共に撥液性を高めるようにしてもよい。
【0044】
解除位置K2のスライダ84の当接面841は、インク供給筒81の先端(脱出向きの
端)のほぼ真下に位置している。図9に示すように、スライダ84の下面には複数の係止爪844が設けられており、スライダフレーム45に形成されたガイドバー49の下面にはこの係止爪844を係止可能なストッパ49bが設けられている。なお、ガイドバー49は、スライダフレーム45の基板47から脱出向きに延びる形状を有しており、スライダフレーム45に備えられた各スライダ84の間にそれぞれ設けられてスライダ84の挿脱方向の移動を案内することができる。そして、脱出向きへ移動するスライダ84が解除位置K2に至ると、この係止爪844とストッパ49bとが係合して、解除位置K2のスライダ84はそれ以上脱出向きへの移動が規制されることとなる。
【0045】
装着ケース9の上部には、装着位置K1のスライダ84と当接しているインクカートリッジ10の脱出向きの移動を規制したり、この規制を解除したりするためのロックレバー87が設けられている。付勢体85により付勢されているスライダ84と当接しているインクカートリッジ10は、スライダ84によって脱出向きに押圧されるので規制が無ければ脱出向きへ移動する。そこで、規制体であるロックレバー87は、装着位置K1のスライダ84に当接しているインクカートリッジ10の脱出向きへの移動を規制して、インクカートリッジ10を装着ケース9内に保持できるようにしている。
【0046】
ロックレバー87は、装着ケース9の挿脱開口91の近傍に設けられた支軸89に支承されている。ロックレバー87の支軸89を介して挿入向き側は装着ケース9内に配置された作用部87aであり、支軸89を介して脱出向き側は装着ケース9の挿脱開口91よりも外側に配置された操作部87bであり、それぞれ下上又は上下に揺動可能である。ロックレバー87と装着ケース9との間には引張コイルバネである付勢部材88が設けられて、作用部87aは下向きに付勢され、操作部87bは上向きに付勢されている。ロックレバー87の作用部87aは、インクカートリッジ10の上面に形成された係止溝53(図5(b)参照)に嵌ってインクカートリッジ10の脱出向きへの動きを規制することができる。
【0047】
装着ケース9の底面には、挿脱開口91から挿入向きに延びるガイド溝92が設けられている。このガイド溝92の挿入向きの端よりも更に挿入向き側であって、解除位置K2のスライダ84の当接面841よりも脱出向き側の底面に底部開口93が開口している。この底部開口93の下方には液体保持体94が設けられている。この液体保持体94は底部開口93を通って落下してきたインクを受けるため容器又は吸収体であり、底部開口93の挿入向きの端の直下である後端位置から、底部開口93の脱出向きの端の真下よりもさらに脱出向き側へ延長された前端位置までの範囲をカバーできる大きさを有している。
【0048】
続いて、上記構成の液体供給装置8において、装着ケース9の装着空間90内へインクカートリッジ10を挿脱する態様について説明する。インクカートリッジ10は、図4に示すように突出部52がインク供給口69の下方に位置する起立姿勢で、且つ、インクカートリッジ10の突出部52の突出向きが装着ケース9の挿入向きと平行となる姿勢で、装着ケース9の挿脱開口91から奥部壁面に向かって装着空間90内へ挿入される。装着空間90内に挿入されたインクカートリッジ10を挿入向きへ押圧すると、インクカートリッジ10は装着ケース9の底面に形成されたガイド溝92の底面上を摺動しながら挿入向きへ移動する。この間、ロックレバー87の作用部87aの下端はインクカートリッジ10の上面に当接して押し上げられる。
【0049】
インクカートリッジ10が装着空間90内を挿入向きへ移動するうちに、インクカートリッジ10の突出部52の突出向きの先端が、解除位置K2のスライダ84の当接面841と当接する。ここから付勢体85の付勢力に抗してさらにインクカートリッジ10を挿入向きへ押圧すると、インクカートリッジ10とスライダ84は一体となって挿入向きへ移動し、やがて、スライダ84が装着位置K1に到達する。
【0050】
インクカートリッジ10に押圧されたスライダ84が解除位置K2から装着位置K1まで移動する間に、インク供給筒81がインクカートリッジ10のインク供給口69に挿入される。インク供給口69に挿入されたインク供給筒81は、バルブ本体64をインクカートリッジ10の内側へ押し込み、第二バルブ収容室62内に進入する。このとき、シール部材66は、弾性変形しつつ、インク供給筒81の外周面に密着する。これにより、第二バルブ収容室62内とインク供給筒81の内孔とが連通し、インク収容室51内のインクがインク供給筒81及びチューブ22を通じてサブタンク15bへ供給できるようになる。また、同時に、バルブ操作ピン82によりインクカートリッジ10の大気連通バルブ71のバルブ本体74がインクカートリッジ10の内側へ押し込まれて、大気連通口79が開放されて、インク収容室51内が大気と連通して外部から供給される気体によりインクの減少分が補間できるようになる。
【0051】
そして、スライダ84が装着位置K1まで移動すると、このスライダ84に当接しているインクカートリッジ10の上面に形成された係止溝53にロックレバー87の作用部87aが嵌り込む。係止溝53内に嵌り込んだロックレバー87の作用部87aは、係止溝53内の後壁に当接し、これによって、インクカートリッジ10はこれ以上脱出向きに移動できないように規制される。このようにインクカートリッジ10は、ロックレバー87により脱出向きへの移動が規制されるとともに、スライダ84により脱出向きへ押圧されることによって挿入向きへの移動が規制されて、装着空間90内に保持される。以上のようにして、図10(a)に示すように、装着部99における装着ケース9の装着空間90内にインクカートリッジ10が装着される。
【0052】
一方、インクカートリッジ10が装着空間90から取り出されるときには、先ず、ロックレバー87の操作部87bが押し下げられる。すると、インクカートリッジ10の係止溝53に嵌り込んでいたロックレバー87の作用部87aが上方へ移動して係止溝53から抜け出し、インクカートリッジ10の脱出向きへの移動の規制が解除される。インクカートリッジ10はスライダ84により脱出向きへ押圧されているので、脱出向きへの移動の規制が解除されると脱出向きへ移動を始める。
【0053】
スライダ84が装着位置K1から解除位置K2まで移動する間は、スライダ84とこれに当接しているインクカートリッジ10とは一体となって脱出向きへ移動する。この間、インク供給筒81がインク供給バルブ61のバルブ本体64から離れてインク供給口69が閉じられ、インク供給筒81はインク供給口69から抜き出される。また、バルブ操作ピン82が大気連通バルブ71のバルブ本体74から離れて大気連通口79が閉じられる。この過程で、インク供給筒81やインク供給口69から垂れたインクは、インクカートリッジ10の突出部52に落下する。インクカートリッジ10は、加速度が加えられつつ脱出向きへ移動しているので、その慣性により突出部52に落下したインクは挿入向きへ流れ、スライダ84の当接面841に付着する。ここで、スライダ84の当接面841は、その上端位置がインクカートリッジ10の突出部52の溝52aの上端よりも高くなるように形成されているので、突出部52に落下したインクはスライダ84の当接面841で受け止められ、インクがスライダ84を挿入向きに乗り越えることがない。
【0054】
そして、スライダ84が解除位置K2に至ると、スライダ84は脱出向きへの移動を停止するが、インクカートリッジ10はスライダ84から離れて慣性によりそのまま脱出向きへ移動を続ける。インクカートリッジ10からスライダ84が離れると、図10(b)に示すように、スライダ84の当接面841に付着していたインクは脱出向きおよび下向きに飛散し、底部開口93を通じて液体保持体94へ落下する。なお、解除位置K2まで移動したスライダ84は、係止爪844がストッパ49bに衝突することにより、勢いよく停止するので、当接面841で受け止められていたインクは残留することなく慣性によ
り脱出向きへ飛び出すが、底部開口93は当接面841よりも脱出向き側に開口しており、液体保持体94は底部開口93の脱出向きの端よりも更に脱出向き側まで延設されているので、当接面841から離れたインクが脱出向きに速度成分を持って放物線を描いて落下しても液体保持体94で確実に受け止めることができる。
【0055】
上記のように装着ケース9からインクカートリッジ10が取り出される際に、装着ケース9の底面がインクで汚染されることはなく、取り出されるインクカートリッジ10も突出部52を除いてインクで汚れない。装着ケース9の底面がインクで汚染されないので、装着ケース9に次に挿入される新たなインクカートリッジ10が汚れたりこの挿入によって汚れが拡大されたりすることもない。このように、本実施の形態に係る液体供給装置8では、ユーザの手を汚すことなくインクカートリッジ10の着脱作業を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、上述した通り液体カートリッジをこれが装着されている装着ケースから取り外すときに、液体カートリッジの液体供給口から落ちてくる液体によって液体カートリッジ及び装着ケースが汚染されることを防止するために有用であり、上記実施の形態に限定されることなく液体カートリッジと装着ケースを備えた液体供給装置に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0057】
1 記録装置
2 プリンタ部
3 スキャナ部
8 液体供給装置
9 装着ケース
10 インクカートリッジ(液体カートリッジ)
22 チューブ
31 ケース本体
32 後部カバー
33 前部カバー
45 スライダフレーム
48 レール軸
49 ガイドバー
51 インク収容室
52 突出部
53 係止溝
60 インク供給部
61 インク供給バルブ
64 バルブ本体
69 インク供給口
70 大気連通部
71 大気連通バルブ
74 バルブ本体
79 大気連通口
81 インク供給筒
82 バルブ操作ピン
84 スライダ
841 当接面
842 リブ
843 撥液部
844 係止爪
85 付勢体
87 ロックレバー
90 装着空間
91 挿脱開口
92 ガイド溝
93 底部開口
94 液体保持体
99 装着部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿脱開口と、該挿脱開口から水平方向と略平行な挿入向きに隔てられた奥部壁面と、前記挿脱開口から前記奥部壁面に向かって前記挿入向きに延びる底面を有する装着ケースを有する装着部と、
液体収容室、該液体収容室から液体を外部へ供給する液体供給口、及び該液体供給口よりも突出向きに突出する突出部を有し、該突出部が前記液体供給口の下方に位置する姿勢であって、かつ、前記突出向きが前記挿入向きと平行となる姿勢にて、前記挿脱開口から前記奥部壁面に向かって前記底面上を摺動しつつ前記装着ケース内へ前記挿入向きに挿入されることにより前記装着部に装着される液体カートリッジとを備え、
前記装着部は、
前記液体カートリッジの前記液体供給口へ挿入可能であって、前記奥部壁面から前記挿入向きと対向する脱出向きへ延びる中空状の液体供給筒と、
装着位置と該装着位置から前記脱出向きに隔てられた解除位置との間を往復移動可能であって、前記液体カートリッジの前記突出部の前記突出向きの先端に当接する当接面を前記脱出向きの先端に有するスライダと、
前記スライダを前記脱出向きへ付勢する付勢体と、
前記装着位置の前記スライダと該スライダに当接している前記液体カートリッジとの前記脱出向きへの移動を規制及び規制解除できる規制体と、
前記解除位置の前記スライダの前記当接面よりも前記脱出向き側において前記底面に形成された底部開口と、
前記底部開口の下方に設けられた液体保持体とを、
備えている液体供給装置。
【請求項2】
前記スライダの前記当接面は、その上端位置が前記液体カートリッジの前記突出部の上端よりも高くなるように形成されている、請求項1に記載の液体供給装置。
【請求項3】
前記液体保持体の前記脱出向きの端は前記底部開口の前記脱出向きの端よりも前記脱出向き側に位置している、請求項1又は請求項2に記載の液体供給装置。
【請求項4】
前記スライダの前記当接面は、その略水平方向の両端に略鉛直方向へ延びるリブが形成され、前記リブの間に撥液部が形成されている、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の液体供給装置。
【請求項5】
前記スライダは、前記解除位置において前記付勢体の付勢力に抗して前記脱出向きへの移動が規制されるように構成されている、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の液体供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−864(P2012−864A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−137837(P2010−137837)
【出願日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】