説明

液体収容体および液体収容体の製造方法

【課題】センサー部を備える液体収容体において、液体収容部の液体を液体噴射装置に効率良く供給することができる技術を提供することを第1の目的とする。センサー部を備える液体収容体に液体を効率良く注入することができる技術を提供することを第2の目的とする。
【解決手段】液体噴射装置に液体を供給する液体収容体10であって、液体収容体10は、圧縮コイルばね36の圧縮の程度が小さく、液体供給流路37の流路抵抗が液体検出用流路46の流路抵抗よりも小さい第1の状態と、圧縮コイルばね36の圧縮の程度が第1の状態よりも大きく、液体供給流路37の流路抵抗が液体検出用流路46の流路抵抗よりも大きい第2の状態と、を有し、液体収容体10が液体噴射装置に装着された場合には、液体収容体10は第1の状態にある、液体収容体10。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体噴射装置に液体を供給する液体収容体、および、液体収容体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット式記録装置やインクジェット捺染装置、マイクロディスペンサ等の液体噴射装置は、液体収容体からインク等の液体の供給を受けてその噴射を行う。液体収容体は、液体を収容する液体収容部と、液体噴射装置に供給する液体が流れる液体供給流路(「液体導出部」ともいう。)とを備える。また、従来、液体供給流路の途中には液体収容部の液体の量を検出するために用いるセンサー部(「液体検出装置」ともいう。)が配置されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−37016号公報
【特許文献2】特開2005−219257号公報
【特許文献3】特開平9−174875号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、センサー部が液体供給流路の途中に配置されていると、センサー部により液体供給流路の流路抵抗が高くなり、液体供給流路を介して液体収容部の液体を液体噴射装置に効率良く供給できないといった問題があった。また、液体収容体の製造時において、液体供給流路の流路抵抗が高いために、液体収容体に液体を効率良く注入することができないといった問題があった。
【0005】
従って、本発明は、センサー部を備える液体収容体において、液体収容部の液体を液体噴射装置に効率良く供給することができる技術を提供することを第1の目的とする。また、センサー部を備える液体収容体に液体を効率良く注入することができる技術を提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することができる。
【0007】
[適用例1]液体噴射装置に液体を供給する液体収容体であって、液体を収容可能な液体収容部と、前記液体収容部から前記液体噴射装置に供給する液体を流通させる液体供給部と、前記液体収容部の液体の量を検出するために用いる液体検出ユニットと、を備え、
前記液体供給部は、一端に前記液体収容部の液体が流入する流入孔が形成され、他端に当該液体収容体の外部へ向かって開口している開放孔が形成された液体供給流路と、一端が前記液体収容部に接続され、他端が前記流入孔を介して前記液体供給流路と接続されている連通流路と、を有し、
前記液体検出ユニットは、一端が前記液体収容部又は前記連通流路に接続され、他端が前記液体供給流路に接続されている液体検出用流路と、前記液体検出用流路内の途中に配置され、前記液体収容部に収容されている液体の量を検出するために用いるセンサー部と、を有し、
前記液体供給流路内には、前記液体噴射装置に備えられた前記液体供給針の外周面に密着するシール部材と、前記シール部材と当接することで前記液体供給流路を閉塞可能な弁部材と、前記弁部材を前記シール部材が位置する方向へと付勢すると共に、前記弁部材の位置が変位することで圧縮の程度が変化する圧縮コイルばねと、が配置され、
当該液体収容体は、前記圧縮コイルばねの圧縮の程度が小さく、前記液体供給流路の流路抵抗が前記液体検出用流路の流路抵抗よりも小さい第1の状態と、前記圧縮コイルばねの圧縮の程度が前記第1の状態よりも大きく、前記液体供給流路の流路抵抗が前記液体検出用流路の流路抵抗よりも大きい第2の状態と、を有し、
当該液体収容体が前記液体噴射装置に装着された場合には、当該液体収容体は第1の状態にある、液体収容体。
【0008】
適用例1の液体収容体によれば、液体供給流路とは別に液体検出用流路を設け、センサー部を液体検出用流路内に配置させることで、液体供給流路内にセンサー部が配置されている場合に比べ、液体供給流路の流路抵抗を低減することができる。また、液体噴射装置に液体収容体が装着されている場合には、液体供給流路の流路抵抗が液体検出用流路の流路抵抗よりも小さい。このため、センサー部を備えていても、流路抵抗のより小さい液体供給流路を介して液体収容部の液体を効率良く液体噴射装置に供給することができる。さらに、例えば、流路抵抗を変更するための機構を別途設けることなく、圧縮コイルばねの圧縮の程度によって、液体供給流路の流路抵抗と液体検出用流路の流路抵抗の大小関係を変更できる。これにより、液体注入時において、液体検出用流路に液体を充填する場合は、圧縮コイルばねの圧縮の程度を第1の状態よりも大きくし、液体収容体を第2の状態とすることで、液体検出用流路に液体を効率よく充填することができる。
【0009】
[適用例2]適用例1に記載の液体収容体であって、前記圧縮コイルばねの内側の空間部と前記連通流路は、前記流入孔の少なくとも一部によって連通している、液体収容体。
適用例2の液体収容体によれば、流入孔から液体供給流路に流入する液体の少なくとも一部は、圧縮コイルばねの内側の空間部を通ることから、圧縮コイルばねの圧縮の程度を変えることで、液体供給流路の流路抵抗を容易に変更することができる。
【0010】
[適用例3]適用例1又は適用例2に記載の液体収容体であって、前記センサー部は、前記液体検出用流路の一部を構成するセンサー室と、前記センサー室内の圧力に応じた波形信号を出力する圧電振動素子と、を有する、液体収容体。
適用例3に記載の液体収容体によれば、さらに、圧電振動素子から出力される信号を解析することで液体収容部の液体の残留状態を精度良く検出することができる。
【0011】
[適用例4]液体を収容した液体収容体の製造方法であって、(a)適用例1乃至適用例3のいずれか1つに記載の液体収容体を第1の状態として、液体を外部から前記液体供給流路を介して前記液体収容部に注入する工程と、(b)前記工程(a)の後に、前記液体収容体を第2の状態として、前記液体収容部に収容されている液体を前記液体検出用流路に導入することで前記液体検出用流路に液体を充填する工程と、を備える、製造方法。
適用例4に記載の製造方法によれば、圧縮コイルばねの圧縮の程度によって、2つの流路抵抗の大小関係を変えて、液体を液体収容体に注入していることから、液体収容部と液体検出用流路を含む液体収容体に効率良く液体を注入することができる。また、液体収容部から液体検出用流路内に液体を導入することによって、液体収容部に残存していた気体又は気泡と、液体検出用流路内に存在する気体又は気泡を、液体供給流路を介して液体収容体の外部へと排出することができる。これにより、液体収容体10に気体又は気泡が残存することを低減することができる。
【0012】
[適用例5]液体を収容した液体収容体の製造方法であって、(a)適用例1乃至適用例3のいずれか1項に記載の液体収容体を第2の状態として、液体を外部から前記液体供給流路を介して前記液体検出用流路に充填する工程と、(b)前記工程(a)の後に、前記液体収容体を第1の状態として、液体を外部から前記液体供給流路を介して前記液体収容部に注入する工程と、を備える、製造方法。
適用例5に記載の製造方法によれば、圧縮コイルばねの圧縮の程度によって、2つの流路抵抗の大小関係を変えて、液体を液体収容体に注入していることから、液体収容部と液体検出用流路を含む液体収容体に効率良く液体を注入することができる。
【0013】
なお、本発明は、種々の形態で実現することが可能であり、上述した液体収容体、液体収容体の製造方法としての構成のほか、上述したいずれかの構成の液体収容体を備えた液体噴射装置や、液体収容体への液体注入方法等の態様で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1実施例に係る液体収容体の概略構成を示した図である。
【図2】液体供給部及び液体検出ユニットを説明するための図である。
【図3】インク供給時のインクの流れを説明するための図である。
【図4】液体収容体の第2の状態を説明するための図である。
【図5】センサー部を説明するための図である。
【図6】インクの注入方法を説明するためのフローチャートである。
【図7】インクの注入方法を説明するための図である。
【図8】インクの注入方法を説明するためのフローチャートである。
【図9】インクの注入方法を説明するための図である。
【図10】液体収容体を装着したプリンターを説明するための図である。
【図11】第2実施例に係る液体収容体の概略構成を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の実施の形態を以下の順序で説明する。
A.第1実施例:
B.第2実施例:
C.変形例:
【0016】
A.第1実施例:
A−1.液体収容体の構成:
図1は、第1実施例に係る液体収容体の概略構成を示した図である。液体収容体10は、液体収容部(「インクパック」ともいう。)11と液体供給部31と液体検出ユニット43とを備える。インクパック11は袋体であって、内部にインクを収容することができる。インクパック11は、樹脂フィルム層の上にアルミニウム層が積層形成されたアルミラミネート複層フィルムにより形成されており、可撓性を有する。液体供給部31は、液体収容体10を後述するプリンターに接続した際に、インクパック11からプリンターに供給するインクを流通させる。液体供給部31(詳細には後述する液体供給流路)の一端には、外部へ向かって開口している開放孔35が形成されている。液体検出ユニット43は、インクパック11のインクの量を検出するために用いる。
【0017】
液体供給部31の液体供給流路内には、開放孔35から近い順に、シール部材32と、弁部材34と、圧縮コイルばね36とが配置されている。フィルム33は、開放孔35の周縁に溶着され、開放孔35を封止する。各部材32,34,36の詳細については後述する。
【0018】
図2は、液体供給部及び液体検出ユニットを説明するための図である。図2(A)は、図1のA−A断面の部分断面図である。また、図2(B)は、液体供給流路の流路断面を示す図である。図2(C)は、圧縮コイルばねの一端部の配置位置を説明するための図であり、圧縮コイルばねの一端部が当接している液体供給流路の一端面を示している。図2(D)は圧縮コイルばねを説明するための図である。図2(A)は、説明の便宜上、インクが液体収容体10内に収容されている状態を示しており、インクをドットにより表している。
【0019】
図2(A)に示すように、液体供給部31は、液体供給流路37と連通流路42とを有する。液体供給流路37は、一端にインクパック11からのインクが流入する流入孔37aが形成され、他端には開放孔35が形成されている。また、液体供給流路37は、図2(B)に示すように、流路断面が略円形状の第1の流路38と、第1の流路38の周縁に形成された流路断面が略矩形の2つの第2の流路39とを有する。すなわち、第1の流路38は略円柱形状の流路であり、第2の流路39は溝形状の流路である。さらに、図2(A)に示すように、液体供給流路37は、他端側に略円柱形状の開口部40を有する。液体供給流路37及び連通流路42は、例えばポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)等の合成樹脂により形成された部材の内部に形成さている。
【0020】
連通流路42は、一端がインクパック11に接続され、他端が流入孔37aを介して液体供給流路37に接続されている。すなわち、インクパック11と液体供給流路37は、連通流路42によって連通している。なお、連通流路42は略円柱形状の流路である。
【0021】
シール部材32は、ゴムやエラストマー等の弾性体からなる環状の部材であって、液体供給流路37の開口部40に取り付けられている。具体的には、開口部40の内壁面に沿ってシール部材32は取り付けられている。液体収容体10がプリンターに装着された場合に、シール部材32の内周面は、プリンターの液体供給針70の外周面と密着する。すなわち、シール部材32は、液体収容体10がプリンターに装着された場合に、液体供給流路37の内周面と液体供給針70の外周面との間からインクが漏れ出さないようにシールしている。なお、液体供給針70はフィルム33を突き破って液体供給流路37内に挿入される。
【0022】
弁部材34は、液体収容体10がプリンターに装着されていない場合(すなわち、液体供給針70が液体供給流路37に挿入されていない場合)に、圧縮コイルばね36により付勢されてシール部材32と当接する。これにより、弁部材34は、液体供給流路37を閉塞させる。具体的には、弁部材34の一端面(シール部材32と対向する面)の外周側がシール部材32と当接することで、弁部材34の一端面が環状のシール部材32の開口を塞ぐ。
【0023】
圧縮コイルばね36は、液体供給流路37の第1の流路38内に配置さている。圧縮コイルばね36の一端部は、流入孔37aが形成された液体供給流路37の一端の壁面に当接し、他端部は、弁部材34と当接している。これにより、圧縮コイルばね36は、弁部材34をシール部材32が位置する方向へと付勢している。
【0024】
上記のように、シール部材32,弁部材34,圧縮コイルばね36は、液体供給流路37から外部へインクが漏れ出さないようにするためのシール機構としての機能を有する。
【0025】
図2(D)のクロスハッチングで示すように、圧縮コイルばね36は、圧縮コイルばね36を構成する各コイルによって、圧縮コイルばね36の内側に空間部36aを形成している。空間部36aと連通流路42は、流入孔37aによって連通している。すなわち、図2(C)に示すように、液体供給流路37の一端面(流入孔37aが形成された面)において、空間部36aの内側に流入孔37aが位置するように、圧縮コイルばね36の一端部が液体供給流路37の一端面に当接している。
【0026】
圧縮コイルばね36は、弁部材34の位置を変位させることで、圧縮の程度を変えることができる。言い換えれば、弁部材34の位置を変位させることで、圧縮コイルばね36のピッチL(図2(D))の長さを変えることができる。
【0027】
圧縮コイルばね36の内側の空間部36aと連通流路42は、流入孔37aによって連通している。これにより、プリンターにインクを供給する際には、流入孔37aを通ったインクは全て空間部36aに流入する。そして、空間部36aに流入したインクは、圧縮コイルばね36の各コイルの隙間を通って、液体供給流路37のうち空間部36aよりも外側の部分(例えば、第2の流路39)に流出する。また、インクを液体供給流路37から液体収容体10に注入する際には、液体供給流路37のうち、空間部36aよりも外側の部分に注入されたインクが、圧縮コイルばね36の各コイルの隙間を通って、流入孔37aから連通流路42に流入する。よって、圧縮コイルばね36の圧縮の程度を大きくすれば(言い換えれば、ピッチLを小さくすれば)、液体供給流路37の流路抵抗はより大きくなり、圧縮コイルばね36の圧縮の程度を小さくすれば(言い換えれば、ピッチLを大きくすれば)、液体供給流路37の流路抵抗はより小さくなる。
【0028】
上記のように、液体供給流路37内に、流入孔37aと弁部材34と圧縮コイルばね36を配置することで、流路抵抗を変更するためのバルブ等の特別な機構を別途用いることなく、液体供給流路37の流路抵抗を変更できる。
【0029】
図2(A)に示すように、液体検出ユニット43は、液体検出用流路46と、センサー部44とを有する。液体検出用流路46は、一端が連通流路42に接続され、他端が液体供給流路37に接続されている。センサー部44は、液体検出用流路46の途中に配置され、インクパック11に収容されているインクの量を検出するために用いられる。液体検出用流路46は、連通流路42とセンサー部44を連通させる連通流路側流路47と、液体供給流路37とセンサー部44を連通させる供給流路側流路48と、後述するセンサー部44のセンサー室により構成されている。なお、液体検出用流路46及びセンサー部44は、例えばポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)等の合成樹脂により形成された部材の内部に形成されている。
【0030】
本実施例の液体収容体10は、圧縮コイルばね36の圧縮の程度が小さく、液体供給流路37の流路抵抗が液体検出用流路46の流路抵抗より小さい第1の状態と、圧縮コイルばね36の圧縮の程度が第1の状態よりも大きく、液体供給流路37の流路抵抗が、液体検出用流路46の流路抵抗よりも大きい第2の状態とを有する。なお、プリンターに液体収容体10が装着される前の状態(弁部材34がシール部材32に当接している状態)において、第1の状態になるように液体収容体10は設定されている。
【0031】
図3は、インク供給時のインクの流れを説明するための図である。液体収容体10がプリンターに接続された場合、液体供給針70によって弁部材34がシール部材32と離れる方向に押され、弁部材34とシール部材32は離間する。弁部材34がシール部材32から遠ざかる方向に変位することで、圧縮コイルばね36は液体収容体10のプリンターへの装着前の状態に比べ圧縮される。しかしながら、液体収容体10がプリンターに接続された状態においても、第1の状態になるように液体収容体10は設定されている。なお、液体収容体10がプリンターに接続された状態を、「液体収容体10の通常使用状態」ともいう。
【0032】
液体収容体10がプリンターに接続された状態で、インクパック11が加圧されると、加圧されたインクパック11内のインクは、矢印で示すように、連通流路42、液体供給流路37を流れ、液体供給針70を介してプリンター側へと供給される。
【0033】
上記のように、液体供給流路37とは別に液体検出用流路46を設け、センサー部44を液体検出用流路46の途中に配置させることで、液体供給流路37の途中にセンサー部44が配置されている場合に比べ、液体供給流路37の流路抵抗を低減することができる。また、プリンターに液体収容体10が装着されている場合には、液体収容体10は第1の状態にあり、液体供給流路37の流路抵抗は十分に小さいため、インクパック11のインクは主に液体供給流路37を介してプリンター側へと供給される。このため、センサー部44を備えていても、主に流路抵抗のより小さい液体供給流路37を介してインクパック11の液体(インク)を効率良く液体噴射装置(プリンター)に供給することができる。なお、この場合(第1の状態)において、インクパック11のインクの一部は、液体検出用流路46を介してもプリンター側へと供給される。よって、センサー部44を備えていても液体供給流路37と液体検出用流路46の双方を介してインクパック11のインクを効率良くプリンターに供給することができる。
【0034】
図4は、液体収容体の第2の状態を説明するための図である。なお、図4はインクが充填されてない液体収容体10を示している。外力Fが弁部材34に加わることで、弁部材34はプリンターに装着された状態よりもさらにシール部材32から離れた位置(流入孔37aにより近い位置)に変位する。弁部材34がシール部材からより離れた位置に変位すると、圧縮コイルばね36はさらに圧縮する。圧縮コイルばね36がさらに圧縮することで、液体供給流路37の流路抵抗はさらに大きくなり、液体検出用流路46の流路抵抗よりも大きくなる。これにより、液体収容体10は第2の状態となる。
【0035】
上記のように、シール機構の構成部材である圧縮コイルばね36の圧縮の程度によって、液体供給流路37の流路抵抗を変更できる。これにより、液体収容体10は、液体供給流路37と液体検出用流路46の流路抵抗を変更させる機構を別途設けることなく、第1の状態と第2の状態の2つの状態を有することができる。
【0036】
図5は、センサー部44を説明するための図である。図5は、図2のB−B断面におけるセンサー部44を図示している。また、図5に記載のドットはインクを示している。
【0037】
センサー部44は、空間部45を有し、空間部45内にはセンサー室55が形成されている。空間部45は大気と連通する大気開放口51によって大気と連通している。センサー室55は、凹空間を形成する検出部ケース64と、凹空間の開口を封止する可撓性のフィルム52とにより形成されている。凹空間の底部には、センサー室55内のインクの圧力を検出するための圧力検出機構57が設けられている。フィルム52の中央部には、圧力検出機構57と対向するように受圧板54が固着されている。受圧板54およびフィルム52は、圧力調整ばね50によってセンサー室55の容積が縮小する方向に付勢されている。
【0038】
検出部ケース64の側壁には2つの貫通口67,68が形成されている。センサー室55と供給流路側流路48とは貫通口67によって連通し、センサー室55と連通流路側流路47とは貫通口68によって連通している。
【0039】
圧力検出機構57は、センサー室55内の圧力が所定値以下となった場合に受圧板54が当接可能な底板62と、底板62を貫通しU字形状の流路である液体誘導路58と、圧電振動素子60とから構成される。圧電振動素子60は振動板を有し、圧電振動素子60の振動板は液体誘導路58内のインクと接している。なお、液体収容体10がプリンターに接続される前の状態であって、かつ、インクパック11が加圧されていない状態では、受圧板54と底板62は当接している。
【0040】
インクパック11が外部から加圧されると、加圧されたインクパック11内のインクが連通流路42を介して液体供給流路37に流入する。センサー室55を含む液体検出用流路46(図2)は,連通流路42及び液体供給流路37と連通しているため、液体検出用流路46内のインクの圧力もインクパック11の加圧により上昇する。すると、センサー室55を含む液体検出用流路46内のインクの圧力の上昇によって、フィルム52はセンサー室55の容積を増大させる方向に変形する。このフィルム52の変形により、受圧板54と底板62が離間する。受圧板54と底板62が離間すると、液体誘導路58とセンサー室55が連通する。この状態で、圧電振動素子60に所定の駆動信号を印加すると、圧電振動素子60がアクチュエーターとして所定時間励起された後に、圧電振動素子60の振動板が自由振動を開始する。この振動板の自由振動によって圧電振動素子60には逆起電力が発生し、この逆起電力を表す波形が出力信号として出力される。この出力信号をプリンターの制御部等により解析することで、インクパック11のインクの残量を推定することができる。
【0041】
一方、インクパック11内に残存するインクの量が少なくなると、インクパック11が加圧されてもインクに該加圧が伝わらず、インクが液体供給流路37へと流入しなくなる。そうすると、液体供給流路37のインクの圧力は低下する。これにより、センサー室55を含む液体検出用流路46内のインクの圧力も低下する。すると、圧力調整ばね50の付勢力によって、受圧板54が底板62に当接し、液体誘導路58が閉塞される。このような状況において、圧電振動素子60に所定の駆動信号を印加しても、液体誘導路58内のインクは殆ど振動せず、圧電振動素子60からの出力信号は変動波形のない直線状の信号となる。つまり、出力信号として変動のない直線状の波形が出力された場合には、インクパック11にインクが殆ど残っていない状態であると推定することができる。
【0042】
このように、液体収容体10が、センサー室55内の圧力に応じた波形信号を出力する圧電振動素子60を備え、圧電振動素子60が出力する波形信号を解析することで、インクパック11のインクの残留状態を精度良く検出することができる。
【0043】
A−2.液体収容体の第1の製造方法:
図6及び図7を用いてインクが収容された液体収容体10の第1の製造方法について説明する。図6は、インクの注入方法を説明するためのフローチャートである。図7は、インクの注入方法を説明するための図である。図7(A)は、後述する図6のステップS30,S40を説明するための図であり、図7(B)は、後述する図6のステップS50,S60を説明するための図である。また、図7に示したドットはインクを示している。なお、以下では、液体収容体10の初期の製造時において、インクを初めて液体収容体10に注入する場合を例に説明する。
【0044】
まず、インクが収容されていない液体収容体10を準備し、インクパック11内の空気を抜き出す(ステップS10)。空気の抜き出しは、例えば、インクパック11を外部から押圧することや、開放孔35から空気を吸引することで行う。なお、準備する液体収容体10には予めシール部材32、弁部材34、圧縮コイルばね36が液体供給流路37内に配置されている。
【0045】
次に、開放孔35から液体注入管72を液体供給流路37内へと挿入し、シール部材32と弁部材34とを離間させる(ステップS20)。液体注入管72は、内部が中空であって、また、先端が開口している(図7)。次に、弁部材34により圧縮コイルばね36をさらに押すことで、圧縮コイルばね36の圧縮の程度を第1の状態よりも大きくし、液体供給流路37の流路抵抗を液体検出用流路46の流路抵抗よりも大きい状態(第2の状態)とする(ステップS30)。本実施例の場合、図7(A)に示すように、圧縮コイルばね36を構成するコイル同士が密着するまで圧縮コイルばね36を圧縮することで、液体供給流路37の流路抵抗を大きくし、液体収容体10を第2の状態としている。
【0046】
ステップS30の後に、図7(A)に記載の矢印で示すように、液体注入管72の先端開口からインクを導出し、液体検出用流路46にインクを充填する(ステップS40)。
【0047】
次に、圧縮コイルばね36の圧縮の程度を第2の状態よりも小さくし、液体供給流路37の流路抵抗を液体検出用流路46の流路抵抗よりも小さい状態(第1の状態)とする(ステップS50)。ステップS50の後に、図7(B)に記載の矢印で示すように、液体注入管72の先端開口からインクを導出し、液体供給流路37と連通流路42を介してインクパック11内に所定量のインクを注入する(ステップS60)。なお、ステップS50の工程は、液体注入管72の先端開口からインクを導出した状態で行っても良いし、インクの導出を止めてから行っても良い。
【0048】
ステップS60の後に、液体注入管72を液体供給流路37から抜き出し、開放孔35にフィルム33(図1)を貼る(ステップS70)。これにより、インクが収容された液体収容体10を製造することができる。
【0049】
第1の製造方法によれば、流路抵抗の大小関係の変更を、シール機構の構成部材である圧縮コイルばね36の圧縮の程度によって行っている。これにより、例えば、流路抵抗の大小関係を変更するための機構を別途設けることなく、容易に流路抵抗の大小関係を変更することができる。これにより、インクパック11だけでなく、液体収容体10の通常使用状態(液体収容体10をプリンターに装着した状態)において流路抵抗が液体供給流路37の流路抵抗よりも大きい液体検出用流路46内にも、インクを効率良く充填することができる。
【0050】
A−3.液体収容体の第2の製造方法:
図8及び図9を用いてインクが収容された液体収容体10の第2の製造方法について説明する。図8は、インクの注入方法を説明するためのフローチャートである。図9は、インクの注入方法を説明するための図である。図9(A)は、後述する図8のステップS30a,S40aを説明するための図であり、図9(B)は、後述する図8のステップS50a,S60aを説明するための図である。また、図9に示したドットはインクを示している。なお、図8に示すステップS10,S20,S70は、第1の製造方法と同一の工程であるため、同一符号を付すと共に説明は省略する。以下ではステップS30の工程から説明する。
【0051】
ステップS20の後に、圧縮コイルばね36の圧縮の程度を調整し、液体供給流路37の流路抵抗を液体検出用流路46の流路抵抗よりも小さい第1の状態とする(ステップS30a)。
【0052】
ステップS30aの後に、図9(A)に記載の矢印で示すように、液体注入管72の先端開口からインク導出し、液体供給流路37と連通流路42を介してインクパック11内に所定量のインクを注入する(ステップS40a)。
【0053】
次に、圧縮コイルばね36の圧縮の程度を第1の状態よりも大きくし、液体供給流路37の流路抵抗が液体検出用流路46の流路抵抗よりも大きい第2の状態とする(ステップS50a)。ステップS50aは第1の製造方法のステップS50と同様、圧縮コイルばね36を構成するコイル同士を密着させることで第2の状態としている(図9(B))。
【0054】
ステップS50aの後に、図9(B)に示すように、液体注入管72によってインクパック11内のインクを吸引することで、インクパック11内のインクを液体検出用流路46に充填する(ステップS60a)。なお、ステップS60aは、液体注入管72による吸引に代えて、インクパック11を外部から加圧することで、インクパック11内のインクを液体検出用流路46に充填することもできる。
【0055】
ステップS60aの後に、第1の製造方法と同様、ステップS70を行うことで、インクが収容された液体収容体10を製造することができる。
【0056】
第2の製造方法によれば、インクパック11にインクを注入し、次にインクパック11内のインクを液体検出用流路46に導入することで、液体検出用流路46をインクで充填している。これにより、インクパック11内に残存していた気体又は気泡と、液体検出用流路46に存在する気体又は気泡を、液体供給流路37を介して液体収容体10の外部へと排出することができる。よって、第1の製造方法に比べ液体収容体10に気体又は気泡が残存することを低減することができる。また、充填するインクにより高い脱気度が要求される場合にも、初期的な脱気度の低下を低減できる。言い換えれば、図8のステップS60aの直後における液体収容体10内のインクの脱気度の低下を低減できる。これにより、プリンターにインクを供給する際に、プリンター側へと気泡が流入することを低減できる。さらに、第2の製造方法によれば、第1の製造方法と同様の効果を奏する。
【0057】
A−4.第1実施例に係る液体収容体の使用例:
図10は、液体収容体を装着したプリンターを説明するための図である。液体噴射装置の一例であるプリンター100は、印刷用紙Pに対してインク滴を噴射して文字や図形を記録するインクジェット式プリンターである。プリンター100は、給紙トレイ24と、排紙トレイ26と、筺体28と、を備える。プリンター100は、給紙トレイ24から筺体28の内部に印刷用紙Pを導入し、筺体28の内部にある印刷機構部20でインク滴を噴射し、排紙トレイ26から文字や図形が記録された印刷用紙Pを筺体28の外部に排出する。
【0058】
筺体28は、蓋部と本体部とから構成され、内部に本実施例に係る液体収容体10(図1)が収容されたインクカートリッジ15と、インク室17と、供給チューブ18と、印刷機構部20と、制御部22と、を格納している。
【0059】
インクカートリッジ15は、格納容器16と格納容器16に格納された液体収容体10(図1)からなる。格納容器16は略直方体形状であり、開口部(図示せず)を有している。該開口部から液体供給部31の開放孔35(図1)が突出するように、液体収容体10は格納容器16に格納されている。格納容器16はポリスチレンなどの熱可塑性樹脂により形成される。
【0060】
インク室17には、インクカートリッジ15と供給チューブ18が接続されている。インク室17は外部へ向かって突出している液体供給針70(図2)を備えており、液体供給針70が液体収容体10の液体供給流路37内に挿入されることで、インク室17はインクカートリッジ15からインクの供給を受ける(図3)。
【0061】
印刷機構部20は、図示しない噴射ヘッドを搭載し、供給チューブ12に接続された図示しないキャリッジを備える。キャリッジは図示しないモータにより移動し、噴射ヘッドから印刷用紙Pに対してインク滴の噴射をおこなう。
【0062】
制御部22は、プリンター100の各部を制御する。制御部22には、プリンター100の各種機能を実現させるソフトウェアがインストールされている。また、インクの残量についての情報を液体収容体10から受け取り、該情報を解析することで液体収容体10のインク残量を推定する。
【0063】
B.第2実施例:
図11は、第2実施例に係る液体収容体の概略構成を示した図である。第1実施例の液体収容体10との違いは、連通流路の流路断面の形状と、液体検出用流路の接続態様である。その他の構成については第1実施例と同様の構成であるため、第1実施例と同様の構成については同一符号を付すと共に説明を省略する。また、液体収容体の製造方法についても第1実施例の第1又は第2の製造方法と同様の工程であるため説明は省略する。さらに、第2実施例に係る液体収容体10aについても、第1実施例と同様のプリンター100に使用することができる。
【0064】
図11(A)は、図1のA−A断面に相当する部分断面図である。また、図11(B)は、連通流路42aの流路断面を示す図である。図11(C)は、圧縮コイルばね36の一端部の配置位置を説明するための図であり、圧縮コイルばね36の一端部が当接している液体供給流路37の一端面を示している。
【0065】
図11(A)に示すように、液体検出用流路46aは、一端がインクパック11に接続され、他端が液体供給流路37に接続されている。このようにすることで、連通流路側流路47aの一端を連通流路42aに接続させる必要がないため、第1実施例に比べ連通流路側流路47aを容易に形成することができる。
【0066】
図11(B)に示すように、連通流路42aは、流路断面が略円形状の第1の連通流路42bと、第1の連通流路42bの周縁に形成された流路断面が略矩形状の2つの第2の連通流路42cとを有する。すなわち、第1の連通流路42bは略円柱形状の流路であり、第2の連通流路42cは溝形状の流路である。第2実施例の連通流路42aは、第2の連通流路42cを有する分、第1実施例の連通流路42よりも流路断面積が大きい。なお、第2実施例の連通流路42aの流路長さは、第1実施例の連通流路42の流路長さと同一である。
【0067】
連通流路42aの一部と、圧縮コイルばね36の内側の空間部36aは、流入孔37bによって連通している。すなわち、図11(C)に示すように、液体供給流路37の一端面において、圧縮コイルばね36の空間部36aの内側に流入孔37bの一部が位置するように、圧縮コイルばね36の一端部が液体供給流路37の一端面に当接している。
【0068】
このようにすることで、連通流路42aの流路断面積が、第1実施例の連通流路42の流路断面積よりも大きいことから、第1実施例よりも効率良く液体供給流路37と連通流路42aを介してインクパック11にインクを注入することができる。また、第2実施例の液体収容体10aは、第1実施例の液体収容体10と同様の効果を奏する。
【0069】
C.変形例:
なお、上記実施例における構成要素の中の、特許請求の範囲の独立項に記載した要素以外の要素は、付加的な要素であり、適宜省略可能である。また、本発明の上記実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0070】
C−1.第1変形例:
上記実施例では液体供給流路37は、第1の流路38と第2の流路39とを有していたが、第2の流路39は設けなくても良い。このようにしても、上記実施例と同様の効果を奏する。また、このようにしても、インクパック11内のインクは、弁部材34と第1の流路38の隙間を通って、液体供給針70内に供給される。
また、第1の流路38と第2の流路39の流路の形状は、上記実施例に限定されるものではない。例えば、第1の流路38は、圧縮コイルばね36と弁部材34が、安定して保持できる程度の形状であれば良い。第2の流路39は、液体供給流路37内のインクが流路方向に沿ってスムーズに流れる程度の形状であれば良い。
【0071】
C−2.第2変形例:
液体収容体10,10aの第1の製造方法におけるステップS30(図6)、及び、液体収容体10,10aの第2の製造方法におけるステップS60a(図8)では、圧縮コイルばね36を構成するコイル同士を密着させることで、液体収容体10,10aを第2の状態としていたが、これに限定されるものではない。液体検出用流路46の流路抵抗よりも液体供給流路37の流路抵抗が大きくなるように、圧縮コイルばね36の圧縮の程度を大きくすれば良い。
【0072】
C−3.第3変形例:
上記実施例の液体収容体10,10aの第1と第2の製造方法では、インクを初めて液体収容体10,10aに注入する場合について説明を行ったが、液体収容体10,10aにインクを再注入する際にも第1と第2の製造方法を適用することができる。
【0073】
C−4.第4変形例:
上記実施例の第2の製造方法において、ステップS60a(図8)では、インクパック11内のインクを液体注入管72により吸引することで液体検出用流路46にインクを充填していたが、これに代えて液体注入管72からインクを導出させ、インクを液体検出用流路46に充填しても良い。このようにしても、液体検出用流路46内に、インクを効率良く充填することができる。
【0074】
C−5.第5変形例:
センサー部は、上記実施例に記載のセンサー部44に限られるものではなく、液体収容部に収容されている液体の量を検出するために用いる種々のセンサーを適用可能である。また、上記実施例の、圧電振動素子60を用いたセンサー部44(図5)は、プリンター100へのインクの供給方式によって、その機能を実現できるよう変更可能である。例えば、インクパック11の加圧によるインクの供給に代えて、プリンター100による吸引によってインクをプリンター100に供給する場合は、センサー部の構成を以下のように変更すれば良い。
上記実施例の圧力調整ばね50(図5)に代えて、センサー室55(図5)の容積を増大させる方向に付勢する圧力調整ばねを設ける。具体的には、例えば、圧縮コイルばね50を、一端が受圧板54に当接し、他端が底板62に当接するように、センサー室55内に配置すれば良い。インクパック11の液体の量が少なくなり、インクパック11の負圧が大きくなると、圧力調整ばねの付勢力よりも負圧の絶対値が大きくなり、受圧板54が底板62と当接し液体誘導路58が閉塞される。これにより、圧電振動素子60から変動のない直線上の波形が出力され、インクパック11にインクが殆ど残っていない状態であることが推定できる。
【0075】
C−6.第6変形例:
上記実施例では、液体収容体10,10aと液体収容体10,10aの使用例としてプリンター100を例に説明を行ったが、これに限定されるものではなく、各種の液体噴射装置に本発明の液体収容体は使用可能である。
液体噴射装置の具体例としては、例えば液晶ディスプレー等の色材噴射ヘッドを備えた装置、有機ELディスプレー、面発光ディスプレー(FED)等の電極形成に用いられる電極材(導電ペースト)噴射ヘッドを備えた装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物噴射ヘッドを備えた装置、精密ピペットとしての試料噴射ヘッドを備えた装置、捺染装置やマイクロディスペンサ等が挙げられる。
上記の各種の液体噴射装置に液体収容体10,10aを使用する際には、各種の液体噴射装置が噴射する液体の種類に応じた液体を、液体収容体10,10aに収容すれば良い。
また、本発明の製造方法は、種々の液体を収容した液体収容体10,10aに適用することができる。種々の液体としては、例えば、上記の各種の液体噴射装置が噴射する液体(色材,導電ペースト,生体有機物等)がある。
【符号の説明】
【0076】
10,10a…液体収容体
11…インクパック(液体収容部)
12…供給チューブ
15…インクカートリッジ
16…格納容器
17…インク室
18…供給チューブ
20…印刷機構部
22…制御部
24…給紙トレイ
26…排紙トレイ
28…筺体
31…液体供給部
32…シール部材
33…フィルム
34…弁部材
35…開放孔
36…圧縮コイルばね
36a…空間部
37…液体供給流路
37a,37b…流入孔
38…第1の流路
39…第2の流路
40…開口部
42,42a…連通流路
42b…第1の連通流路
42c…第2の連通流路
43…液体検出ユニット
44…センサー部
45…空間部
46,46a…液体検出用流路
47…連通流路側流路
48…供給流路側流路
50…圧力調整ばね
51…大気開放口
52…フィルム
54…受圧板
55…センサー室
57…圧力検出機構
58…液体誘導路
60…圧電振動素子
62…底板
64…検出部ケース
67,68…貫通口
70…液体供給針
72…液体注入管
100…プリンター
L…ピッチ
F…外力
P…印刷用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体噴射装置に液体を供給する液体収容体であって、
液体を収容可能な液体収容部と、
前記液体収容部から前記液体噴射装置に供給する液体を流通させる液体供給部と、
前記液体収容部の液体の量を検出するために用いる液体検出ユニットと、を備え、
前記液体供給部は、
一端に前記液体収容部の液体が流入する流入孔が形成され、他端に当該液体収容体の外部へ向かって開口している開放孔が形成された液体供給流路と、
一端が前記液体収容部に接続され、他端が前記流入孔を介して前記液体供給流路と接続されている連通流路と、を有し、
前記液体検出ユニットは、
一端が前記液体収容部又は前記連通流路に接続され、他端が前記液体供給流路に接続されている液体検出用流路と、
前記液体検出用流路内の途中に配置され、前記液体収容部に収容されている液体の量を検出するために用いるセンサー部と、を有し、
前記液体供給流路内には、
前記液体噴射装置に備えられた前記液体供給針の外周面に密着するシール部材と、
前記シール部材と当接することで前記液体供給流路を閉塞可能な弁部材と、
前記弁部材を前記シール部材が位置する方向へと付勢すると共に、前記弁部材の位置が変位することで圧縮の程度が変化する圧縮コイルばねと、が配置され、
当該液体収容体は、
前記圧縮コイルばねの圧縮の程度が小さく、前記液体供給流路の流路抵抗が前記液体検出用流路の流路抵抗よりも小さい第1の状態と、
前記圧縮コイルばねの圧縮の程度が前記第1の状態よりも大きく、前記液体供給流路の流路抵抗が前記液体検出用流路の流路抵抗よりも大きい第2の状態と、を有し、
当該液体収容体が前記液体噴射装置に装着された場合には、当該液体収容体は第1の状態にある、液体収容体。
【請求項2】
請求項1に記載の液体収容体であって、
前記圧縮コイルばねの内側の空間部と前記連通流路は、前記流入孔の少なくとも一部によって連通している、液体収容体。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の液体収容体であって、
前記センサー部は、前記液体検出用流路の一部を構成するセンサー室と、前記センサー室内の圧力に応じた波形信号を出力する圧電振動素子と、を有する、液体収容体。
【請求項4】
液体を収容した液体収容体の製造方法であって、
(a)請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の液体収容体を第1の状態として、液体を外部から前記液体供給流路を介して前記液体収容部に注入する工程と、
(b)前記工程(a)の後に、前記液体収容体を第2の状態として、前記液体収容部に収容されている液体を前記液体検出用流路に導入することで前記液体検出用流路に液体を充填する工程と、を備える、製造方法。
【請求項5】
液体を収容した液体収容体の製造方法であって、
(a)請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の液体収容体を第2の状態として、液体を外部から前記液体供給流路を介して前記液体検出用流路に充填する工程と、
(b)前記工程(a)の後に、前記液体収容体を第1の状態として、液体を外部から前記液体供給流路を介して前記液体収容部に注入する工程と、を備える、製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−11507(P2011−11507A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−159429(P2009−159429)
【出願日】平成21年7月6日(2009.7.6)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】