説明

液体収容容器、及び、液体噴射装置

【課題】液体収容容器が液体噴射装置に装着された場合に、液体収容容器の端子群と液体噴射装置の相対的な動きを抑制する技術を提供することを目的とする。
【解決手段】液体噴射装置に着脱可能な液体収容容器であって、底面となる第1の壁面部と、第1の壁面部に接続された第2の壁面部と、第1の壁面部に接続され、かつ、第2の壁面部と対向する第3の壁面部と、を有する容器本体と、液体供給口と、複数の端子を有する端子群と、第2の壁面部のうち端子群が設けられた位置よりも第1の壁面部に近い位置に設けられた第1の規制部であって、液体噴射装置が備える第1の装置側規制部と協働して少なくとも液体収容容器の幅方向の動きを規制する第1の規制部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体収容容器、及び、液体収容容器を備えた液体噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体噴射装置の一例であるプリンターは、印刷ヘッドからインクを記録対象物(例えば、印刷用紙)に吐出し印刷を行う。印刷ヘッドへのインクの供給技術として、インクを内部に収容したインクカートリッジを利用する技術が知られている(例えば、特許文献1)。具体的には、印刷ヘッドが設けられたホルダーにインクカートリッジを装着することで、インクカートリッジから印刷ヘッドに対しインクの供給が可能となる。
【0003】
インクカートリッジ内のインクが少なくなった時点で、利用者がインクカートリッジを交換できるようにするために、インクカートリッジはプリンターのホルダーに対して着脱可能に構成されている。
【0004】
特許文献1に開示するように、インクカートリッジには、プリンターと電気的に接続する端子群を有する回路基板が取り付けられている場合がある。この回路基板は、インクカートリッジに関する情報(例えば、インク色情報)を記憶した記憶部を有し、プリンターとの間で各種情報の伝達が行われる。回路基板はインクの付着による誤動作を発生させないように、インク供給口が設けられた底面とは異なる側面に取り付けられている。
【0005】
また、ホルダーに対するインクカートリッジの位置決めを精度良く行い、端子群とプリンターとの電気的接続を良好に行うために、インクカートリッジの底面にはホルダーに設けられた凸部と係合する凹部が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−23458号公報
【特許文献2】特開2006−142483号公報
【特許文献3】特開2007−230248号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、インクカートリッジの底面に凹部を設けた構成では、端子群とプリンターとの電気的接続が良好に維持できない場合があった。例えば、インクカートリッジを装着したホルダーが主走査方向に移動して印刷が行われる場合(オンキャリッジタイプのプリンターで印刷が行なわれる場合)、ホルダーの移動等によりインクカートリッジに外力が加わる場合がある。また、例えば印刷ヘッドとは別の位置でインクカートリッジがホルダーに装着されている場合(オフキャリッジタイプのプリンターで印刷が行なわれる場合)、印刷ヘッドの動き等によってインクカートリッジにも振動(外力)が加わる場合がある。上記のように、インクカートリッジに外力が加わると、インクカートリッジとホルダーの相対的な位置がずれ、電気的接続が遮断される場合がある。このような問題は、インクカートリッジに限らず、液体噴射装置に着脱可能に搭載される液体収容容器であって、液体噴射装置と電気的に接続される端子群を備える液体収容容器に共通する問題であった。
【0008】
また、インクカートリッジの底面に凹部が設けられた構成では、液体収容容器の液体噴射装置への挿入角度によっては、インクカートリッジの底面に設けられた凹部の外縁(壁)がホルダーの凸部と干渉してしまう可能性があった。このような問題は、インクカートリッジに限らず、液体噴射装置に着脱可能に搭載される液体収容容器であって、液体収容容器の動きを規制する機構を備える技術に共通する問題であった。
【0009】
従って、本発明は、液体収容容器の端子群と、液体収容容器が装着されるホルダーとの相対的な動きを抑制する技術を提供することを目的とする。また、液体収容容器が液体噴射装置に装着される場合に、液体収容容器の液体噴射装置への挿入角度の自由度を確保する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することができる。
【0011】
[適用例1]液体噴射装置に着脱可能な液体収容容器であって、
内部に液体を収容するための液体収容室を形成する容器本体であって、前記液体噴射装置に装着された際の装着姿勢において、底面となる第1の壁面部と、前記第1の壁面部に接続された第2の壁面部と、前記第1の壁面部に接続され、かつ、前記第2の壁面部と対向する第3の壁面部と、を有する容器本体と、
前記第1の壁面部の部分のうち、前記第2の壁面部よりも前記第3の壁面部に近い部分に設けられた液体供給口であって、前記液体収容室の前記液体を外部へ向かって流通させる液体供給口と、
前記第2の壁面部に設けられた端子群であって、前記液体噴射装置と電気的に接続するために用いられる複数の端子を有する端子群と、
前記第2の壁面部のうち前記端子群が設けられた位置よりも前記第1の壁面部に近い位置に設けられた第1の規制部であって、前記液体噴射装置が備える第1の装置側規制部と協働して少なくとも前記液体収容容器の幅方向の動きを規制する第1の規制部と、を備える液体収容容器。
【0012】
適用例1に記載の液体収容容器によれば、第1の規制部が、第3の壁面部よりも液体供給口から離れた第2の壁面部であって端子群が取り付けられた第2の壁面部に設けられている。よって、底面となる第1の壁面部に第1の規制部が設けられている場合に比べ、端子群が設けられた第2の壁面部の幅方向の動きを抑制することができる。
【0013】
[適用例2]適用例1に記載の液体収容容器であって、
前記液体噴射装置が備える前記第1の装置側規制部は、突起状であり、
前記第1の規制部は、前記第1の装置側規制部を挿入可能な切り欠きである、液体収容容器。
適用例2に記載の液体収容容器によれば、第1の規制部が切り欠きであることから、液体収容容器を液体噴射装置に装着する際に、第1の規制部が液体噴射装置に干渉する可能性を低減できる。これにより、液体収容容器や液体噴射装置が破損する等の不具合の発生を抑制することができる。
【0014】
[適用例3]適用例2に記載の液体収容容器であって、
前記第1の規制部は、少なくとも、前記液体収容容器が液体噴射装置に装着される際の方向である第1の方向と、前記第1の方向と直交し、かつ、前記第3の壁面部から前記第2の壁面部に向かう方向である第2の方向に向かって開口している、液体収容容器。
適用例3に記載の液体収容容器によれば、第1の規制部は、少なくとも2方向に向かって開口していることから、1方向のみで開口している場合よりも、第1の規制部を規定する壁が第1の装置側規制部と干渉する可能性を低減できる。これにより、液体収容容器を液体噴射装置に装着する際の液体収容容器の挿入角度の自由度を高めることができる。
【0015】
[適用例4]適用例2又は適用例3に記載の液体収容容器であって、
前記第2と第3の壁面部が対向する方向である長さ方向について、前記切り欠きは、前記端子群の一部と重なるように前記第2の壁面部に設けられている、液体収容容器。
適用例4に記載の液体収容容器によれば、長さ方向について、第1の規制部である切り欠きと、端子群とが重なる位置関係にあることから、端子群の液体噴射装置に対する幅方向の動きをより一層抑制できる。なお、上記適用例4において、液体収容容器はさらに、前記第2の壁面部に設けられた容器側係合部であって、前記液体噴射装置が備える装置側係合部と係合することで前記第1の壁面部に垂直な方向である前記液体収容容器の高さ方向の動きを規制する容器側係合部と、前記第3の壁面部の外面に設けられた突起部であって、前記液体噴射装置が備える孔部に挿入されることで、前記高さ方向及び前記幅方向の動きを規制する突起部と、を備えても良い。容器側係合部と突起部とを備えることで、液体収容容器の液体噴射装置に対する動きを抑制できる。
【0016】
[適用例5]適用例1乃至適用例4のいずれか1つに記載の液体収容容器であって、
前記端子群の前記複数の端子は、複数個の列を形成するように配置され、
前記第1の規制部に近い位置にある第1の列は、前記第1の列に比べ前記第1の規制部から離れた位置にある第2の列よりも多くの端子を含む、液体収容容器。
第1の規制部に近い程、幅方向の動きは抑制できる。適用例5に記載の液体収容容器によれば、より多くの端子を含む第1の列が第2の列よりも第1の規制部に近い位置にあるため、第1と第2の列の各端子と液体噴射装置の接触を良好に維持することができる。
【0017】
[適用例6]適用例5に記載の液体収容容器であって、
前記第1と第2の列を含む前記複数個の列は、前記第1の規制部に近い位置にある列ほどより多くの前記端子を含む、液体収容容器。
適用例6に記載の液体収容容器によれば、第1の規制部に近い程、幅方向の動きを抑制できるため、第1の規制部に近い列ほど多くの端子が含まれることで、各端子と液体噴射装置の接触を良好に維持することができる。
【0018】
[適用例7]適用例1乃至適用例6のいずれか1つに記載の液体収容容器であって、さらに、
前記液体供給口と前記第2の壁面部の間に位置し、前記第1の壁面部から前記液体収容室内に延びるプリズムであって、前記液体収容室の前記液体の量を光学的に検出するために利用されるプリズムを備え、
前記プリズムは、外部に設けられた光学式検出装置から照射された照射光を前記光学式検出装置に向けて反射可能な反射面であって、前記反射面に接する流体の屈折率に応じて反射状態が変化する反射面を有する、液体収容容器。
適用例7に記載の液体収容容器によれば、プリズムを利用して液体残量を検出することができる。また、第2の壁面部に設けられた第1の規制部よって、液体収容容器の幅方向の動きが規制されているため、液体噴射装置に対するプリズムの動き(ずれ)を抑制することができる。よって、液体残量の検出を精度良く行うことができる。
【0019】
[適用例8]適用例7に記載の液体収容容器であって、
前記プリズムは、前記第2の壁面部の内面と接して配置されている、液体収容容器。
適用例8に記載の液体収容容器によれば、第1の規制部が設けられた第2の壁面部に接してプリズムが設けられていることから、第2の壁面部から離れてプリズムが設けられている場合に比べ、プリズムの液体噴射装置に対する幅方向の動き(ずれ)を抑制することができる。また、プリズムが第2の壁面部の内面と接していることから、液体収容室内の液体がプリズムにより堰きとめられ、液体供給口に到達できない可能性を低減できる。すなわち、適用例7に記載の液体収容容器によれば、プリズムを用いた液体残量の検出をより精度良く行えると共に、液体収容室に滞留する液体の量をより低減できる。
【0020】
[適用例9]適用例7に記載の液体収容容器であって、
2以上の前記プリズムを備え、
前記第1の規制部に近い前記プリズムほど、前記反射面と前記光学式検出装置との距離が長くなるように、前記第1の壁面部と前記反射面との距離が長い、液体収容容器。
適用例8に記載の液体収容容器によれば、第1の壁面部と反射面との距離が異なる複数のプリズムを用いることで、液体残量の状態をより詳細に検出できる。また、反射面と光学式検出装置の距離が長いプリズムほど第1の規制部に近い位置に配置されているため、各プリズムを用いた液体残量の検出精度のばらつきを低減できる。
【0021】
[適用例10]適用例7乃至適用例9のいずれか1つに記載の液体収容容器であって、
前記プリズムの部分のうち、反射面を含む部分は直角二等辺三角柱形状である、液体収容容器。
一般に、プリズムの反射面を直角二等辺三角形とすることで、反射面と接する流体の屈折率が異なれば反射面に照射された照射光の反射状態が明確に異なる傾向にある。よって、適用例10に記載の液体収容容器によれば、プリズムを用いた液体残量の検出精度をより一層向上できる。
【0022】
[適用例11]適用例1乃至適用例10のいずれか1つに記載の液体収容容器であって、
前記装着姿勢において、
前記第2の壁面部の内面は、上端から下端に向かうに従って前記液体供給口に近づく方向に傾斜する傾斜面を有する、液体収容容器。
適用例11に記載の液体収容容器によれば、傾斜面によって第2の壁面部近傍の液体を液体供給口に向かって良好に流動させることができる。これにより、液体収容室内に滞留する液体の量を低減できる。
【0023】
[適用例12]適用例1乃至適用例12のいずれか1つに記載の液体収容容器を備えた液体噴射装置。
適用例12に記載の液体噴射装置によれば、少なくとも端子群と液体噴射装置との電気的接続が遮断される可能性を低減した液体噴射装置を提供できる。
【0024】
なお、本発明は、種々の形態で実現することが可能であり、上述した液体収容容器、及び、液体収容容器を備えた液体噴射装置としての構成のほか、上述したいずれかの構成を備えた液体収容容器の製造方法等の態様で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】液体噴射装置1の概略構成を示す図である。
【図2】カートリッジ10が装着されたホルダー20の外観斜視図である。
【図3】カートリッジ10を説明するための第1の図である。
【図4】カートリッジ10を説明するための第2の図である。
【図5】回路基板130について説明するための図である。
【図6】ホルダー20を説明するための図である。
【図7】装置側対向壁面部の詳細構成を説明するための図である。
【図8】図6(A)のC−C断面図である。
【図9】カートリッジ10を取り付ける様子を説明するための図である。
【図10】カートリッジ10を取り付ける様子を説明するための第2の図である。
【図11】装着後の状態を説明するための図である。
【図12】カートリッジ10を取り外す様子を説明するための図である。
【図13】カートリッジ10を取り外す様子を説明するための第2の図である。
【図14】別方法の装着方法について説明するための図である。
【図15】別方法の装着方法について説明するための図である。
【図16】第2実施例のカートリッジ10aを説明するための図である。
【図17】第1変形例の変形態様を説明するための図である。
【図18】第12変形例のカートリッジ10dを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に、本発明の実施の形態を以下の順序で説明する。
A.第1実施例:
B.第2実施例
C.変形例:
【0027】
A.第1実施例:
A−1.液体噴射装置の構成:
図1は、本発明の第1実施例としての液体収容容器10と、ホルダー20とを備えた液体噴射装置1の概略構成を示す図である。液体噴射装置1は印刷用紙PAにインクを吐出し印刷を行うインクジェットプリンター1(以下、単に「プリンター1」ともいう。)である。プリンター1は、液体収容容器としてのインクカートリッジ10と、ホルダー20と、第1のモーター52と、第2のモーター50と、制御ユニット60と、操作部70と、所定のインターフェース72と、光学式検出装置90と、を備えている。なお、以下では、インクカートリッジ10を単に「カートリッジ10」とも呼ぶ。
【0028】
ホルダー20は印刷用紙PAと対向する側にインクを吐出する印刷ヘッド(図示せず)を備える。また、ホルダー20は、カートリッジ10を着脱可能に搭載している。各カートリッジ10には、シアン、マゼンダ、イエロー等のインクがそれぞれ収容されている。カートリッジ10に収容されているインクがホルダー20の印刷ヘッドに供給され、印刷用紙PAにインクが吐出される。
【0029】
第1のモーター52は、ホルダー20を主走査方向に駆動させる。第2のモーター50は、印刷用紙PAを副走査方向に搬送させる。制御ユニット60はプリンター1の動作全般を制御する。
【0030】
光学式検出装置90は、所定の位置に固定されている。ホルダー20が所定の位置に移動した際に、インク残量を検出するために光学式検出装置90は、カートリッジ10に向けて光を照射する。なお、この詳細は後述する。
【0031】
制御ユニット60は、所定のインターフェース72を介して接続されたコンピューター80等から受信した印刷データに基づいて、第1のモーター52、第2のモーター50、印刷ヘッドを制御して印刷を行わせる。制御ユニット60には、操作部70が接続されており、利用者からの種々の操作を受け付ける。
【0032】
図2は、カートリッジ10が装着されたホルダー20の外観斜視図である。図2は説明の容易のために、ホルダー20に1つのカートリッジ10が装着されている様子を示している。なお、図2には方向を特定するために互いに直交するXYZ軸を付している。これ以降に示す図についても必要に応じて互いに直交するXYZ軸を付している。
【0033】
ホルダー20は、4つのカートリッジ10を装着可能な構成である。ホルダー20とカートリッジ10とはユニット5を構成している。なお、ホルダー20が装着可能なカートリッジ10の個数は4つに限定されるものではなく、装着を要求されるカートリッジ10の個数に応じてホルダー20の構成を変更すれば良い。プリンター1の使用姿勢においては、Z軸方向が鉛直方向となり、Z軸負方向が鉛直下方向となる。また、プリンター1の主走査方向はY軸方向となる。なお、プリンター1の使用姿勢とは、水平な面にプリンター1が設置された状態でのプリンター1の姿勢をいう。本実施例では、水平な面はX軸とY軸で規定される面である。この使用姿勢において、カートリッジ10がホルダー20に装着された姿勢(状態)を装着姿勢(装着状態)と呼ぶ。
【0034】
ホルダー20は液体供給管240を有する。液体供給管240は、カートリッジ10とホルダー20の印刷ヘッドを連通させる。カートリッジ10内部のインクは液体供給管240を介して印刷ヘッドに流通する。また、液体供給管240の周囲には外部にインクが漏れ出さないようにするための弾性部材242が設けられている。カートリッジ10は、弾性変形する弾性部(着脱機構)としてのレバー120を有する。利用者は弾性部120を操作することでホルダー20からカートリッジ10を取り外すことができる。なお、ホルダー20へのカートリッジ10の着脱操作の詳細は後述する。
【0035】
A−2.カートリッジの構成:
次に、図3及び図4を用いてカートリッジ10の構成について説明する。図3は、カートリッジ10を説明するための第1の図である。図3(A)は、カートリッジ10の側面図である。図3(B)は、カートリッジ10の正面図である。図3(C)は、カートリッジ10の背面図である。図3(D)は、カートリッジ10の底面図である。図4は、カートリッジ10を説明するための第2の図である。図4(A)は、図3(B)のA−A断面図である。図4(B)及び(C)は、インク残量の検出方法について説明するための図である。図4(B)及び図4(C)には、図4(A)のB−B断面のカートリッジ10が図示されている。
【0036】
図3(A),(B),(D)に示すように、カートリッジ10は、容器本体100と、レバー120と、液体供給口110と、回路基板130と、プリズムユニット170tと、を備える。容器本体100とレバー120と液体供給口110は、ポリプロピレン等の合成樹脂により成形されている。
【0037】
図3(A)〜(D)に示すように、容器本体100は、第1の壁面部(「底面部」ともいう。)100aと、第2の壁面部(「正面部」ともいう。)100bと、第3の壁面部(「背面部」ともいう。)100cと、第4の壁面部(「上面部」ともいう。)100dと、第5の壁面部(「左側面部」ともいう。)100eと、第6の壁面部(「右側面部」ともいう。)100fと、を有する。容器本体100は、第1〜第6の壁面部100a〜100fによって形成された内部にインクを収容するための液体収容室180を有する(図3(A))。
【0038】
第1の壁面部100aは、液体収容室180に対してZ軸負方向側の壁面部である。第2の壁面部100bは、液体収容室180に対してX軸正方向側の壁面部である。第3の壁面部100cは、液体収容室180に対してX軸負方向側の壁面部である。第4の壁面部100dは、液体収容室180に対してZ軸正方向側の壁面部である。第5の壁面部100eは、液体収容室180に対してY軸正方向側の壁面部である。第6の壁面部100fは、液体収容室180に対してY軸負方向側の壁面部である。なお、カートリッジ10について、第1の壁面部100aと第4の壁面部100dとが対向する方向(Z軸方向)を高さ方向とする。また、第2の壁面部100bと第3の壁面部100cとが対向する方向(X軸方向)を長さ方向とする。また、第5の壁面部100eと第6の壁面部100fとが対向する方向(Y軸方向)を幅方向とする。ここで、「壁面部」は所定の厚みを有する概念として用いている。
【0039】
第1の壁面部100aは、ホルダー20に装着された装着姿勢において、内面及び外面ともに略長方形状の底面を構成する。第4の壁面部100dは、第1の壁面部100aに対向する壁面部であり、装着姿勢において、内面及び外面ともに略長方形状の上面を構成する。第1と第4の壁面部100a,dの外面は、装着姿勢において水平面となる。
【0040】
図3(A)〜図3(D)に示すように、第2,3,5,6壁面部100b,c,e,fは、第1と第4の壁面部100a,dの各辺(4辺)にそれぞれ接続されている。言い換えれば、第2,3,5,6壁面部100b,c,e,fは、第1の壁面部100aから立設している。このうち、第3,5,6壁面部100c,e,fは、第1と第4の壁面部100a,dと垂直に交差している。すなわち、各壁面部100c,e,fの外面は、装着姿勢において水平面と垂直な関係にある。第2の壁面部100bと第3の壁面部100cとは互いに対向している。また、第5の壁面部100eと第6の壁面部100fとは互いに対向している。
【0041】
図3(A)に示すように、第2の壁面部100bは、第1の垂直壁部100b1と、傾斜壁部100b2と、第2の垂直壁部100b3とを有する。装着姿勢において、第1の垂直壁部100b1は、第2の壁面部100bの部分のうち最も鉛直下方に位置し、第1の壁面部100aから鉛直上方に立ち上がっている。第2の垂直壁部100b3は、第2の壁面部100bの部分のうち最も鉛直上方に位置し、第4の壁面部100dと垂直な関係にある。傾斜壁部100b2は、一端部が第1の垂直壁部100b1に接続され、他端部が第2の垂直壁部100b3に接続されている。傾斜壁部100b2は、液体収容室180の第2の壁面部100b近傍のインクを液体供給口110に向かって流動させるように傾斜している。すなわち、傾斜壁部100b2は、上端である他端部から下端である一端部に向かって液体供給口110に近づく方向に傾斜する内面100b2aを有する。なお、傾斜壁部100b2の外面も内面100b2aと同様に傾斜している。
【0042】
図3(A)に示すように、第1の壁面部100aには、液体収容室180のインクを外部へ向かって流通させる液体供給口110が設けられている。液体供給口110は、第1の壁面部100aの部分のうち、第2の壁面部100bよりも第3の壁面部100cに近い部分に設けられている。ここで、「近い部分」とは、カートリッジ10の長さ方向(X軸方向)について、第2と第3の壁面部100b,100cのそれぞれの外面からの液体供給口までの長さを比べることで評価できる。液体供給口110は、第1の壁面部100aに形成された流通流路114と連通し、液体収容室180内部のインクを外部(本実施例では、印刷ヘッド)に向かって流通させる。図3(D)及び図4(A)に示すように、液体供給口110内にはスポンジ状のフォーム112が配置され、液体供給口110からインクが漏れ出すことを防止している。
【0043】
図3(A),(D)及び図4(A)に示すように、第1の壁面部100aには、さらに、プリズムユニット170tが配置されている。プリズムユニット170tは、ポリプロピレンによって透明状に形成されている。図4(A)〜(C)に示すように、プリズムユニット170tは、インク残量検出に利用するためのプリズム170を有する。プリズム170は、直角二等辺三角柱形状であり、液体収容室180内に反射面170f(図4(B),(C))が位置するように配置されている。また、図4(A)に示すように、プリズム170は、第2の壁面部100b(詳細には、第1の垂直壁部100b1)の内面に接して配置されている。このように配置することで、第2の壁面部100bから液体供給口110に向かうインクが、プリズム170によって堰き止められることを防止できる。これにより、液体収容室180に滞留するインク残量を低減でき、効率良くインクを消費できる。
【0044】
プリズム170は、反射面170fと接する流体の屈折率に応じて光の反射状態が異なる。図4(B)に示すように、反射面170fがエアに接触する程度にインク残量が少なくなった場合には、プリズム170とエアとの屈折率の違いにより、発光素子92から照射された光はプリズム170の反射面170fで反射し、受光素子94に入射する。一方、図4(C)に示すように、反射面170fがインクIKと接触する程度にインクが液体収容室180内に存在する場合には、プリズム170とインクとの屈折率が同程度であるため、発光素子92から照射された光は、図4(C)に示すように反射面170fで少し屈折してインクIK内を進む。すなわち、受光素子94に入射した光を測定することで、インク残量を検出することができる。
【0045】
図3(A),(B)及び図4(A)に示すように、第2の壁面部100bの第1の垂直壁部100b1には、切り欠き(溝)140が設けられている。切り欠き140は、端子群130tが設けられた位置よりも、第1の壁面部100aに近い位置に設けられている。詳細には、高さ方向(Z軸方向)について、切り欠き140は端子群130tが設けられた位置よりも、第1の壁面部100aに近い位置に設けられている。本実施例では、切り欠き140は、装着姿勢において、第2の壁面部100bの底部となる部分に設けられている。また、図3(B)に示すように、切り欠き140は、第1の垂直壁部100b1の幅方向の略中央に設けられている。上記のように、切り欠き140は、第2の壁面部100bのうち第1の壁面部100a側の角部に設けられている。詳細には、切り欠き140は、第2の壁面部100bのうち第1の壁面部100a側の角部において、底面と側面(外面)の2面に跨って形成されている。すなわち、切り欠き140は、第2の壁面部100bのうち第1の壁面部100a側の角部において、第2の壁面部100bの外面に溝状(凹状)に形成されている。さらに詳細には、切り欠き140は、少なくともZ軸負方向(第1の方向)とZ軸負方向と直交するX軸正方向(第2の方向)の2方向に向かって開口している。ここで、Z軸負方向は、カートリッジ10をプリンター1の構成部材であるホルダー20に装着する際のカートリッジ10の進行方向であり、X軸正方向は進行方向と直交する方向である。X軸正方向は、言い換えれば、第3の壁面部100cから第2の壁面部100bに向かう方向である。切り欠き140は、少なくとも立設状態にある第1の装置側規制部270を受け入れるために形成された開口(Z軸負方向側の開口)と、第2の壁面部100bの外面に形成された開口(X軸正方向側の開口)と、を備える。また切り欠き140は、カートリッジ10の幅方向(Y軸方向)の両側に第2の壁面部100bにより構成される壁を備える。
【0046】
図3(A),図4(A)に示すように、端子群130t(詳細は後述)を備える回路基板130は、第2の壁面部100bの傾斜壁部100b2に設けられている。図3(A)に示すように、長さ方向(X軸方向)について、切り欠き140は、回路基板130と一部が重なるように設けられている。すなわち、カートリッジ10がホルダー20に装着された装着状態(装着姿勢)において、切り欠き140の鉛直上方には回路基板130が位置している。さらに言い換えれば、カートリッジ10を鉛直方向(Z軸方向)に垂直投影した場合に、切り欠き140は、回路基板130と一部が重なるように設けられている。なお、長さ方向(X軸方向)について、切り欠き140は、回路基板130が備える端子群130tの一部と重なるように設けられることがより好ましい。ここで、「切り欠き140は、回路基板130が備える端子群130tの一部と重なる」とは、「端子群130tを包含する最小の多角形(詳細には、全ての内角の大きさが全て180度未満の凸多角形)により囲まれた包含領域800と、切り欠き140とが少なくとも一部において重なる」ことをいう。回路基板130は、ホルダー20に装着されるとプリンター1の制御ユニット60(図1)と電気的に接続され、種々の情報(信号)がプリンター1との間で伝達される。なお、回路基板130の詳細については後述する。
【0047】
図3(A),図4(A)に示すように、レバー120は、第2の壁面部100bに設けられている。具体的には、レバー120の下端面が傾斜壁部100b2に取り付けられている。また、レバー120は下端面から上向に向かって延びる。レバー120は弾性を有し、外力により長さ方向(X軸方向)に弾性変形する。レバー120は、容器側係合部124と、係合解除部122とを有する。容器側係合部124は、後述するホルダー20と係合し、カートリッジ10の高さ方向の動きを規制する。詳細には、容器側係合部124は、第2の壁面部100b側の高さ方向の動きを規制する。係合解除部122は、利用者によって外力が加えられる部分であって、ホルダー20と容器側係合部124との係合を解除するために用いられる。係合解除部122は、第2の壁面部100bと対向する第1の側面122tと、第1の側面122tとは反対側の第2の側面122uとを有する。第1の側面122tが第2の壁面部100bに当接した場合に、第2の側面122uは、上端から下端に向かうに従い、後述する回転支点166wに近づくように傾斜している。第2の側面122uのこのような向きの傾斜を以下では「下方傾斜」ともいう。
【0048】
図3(A),(C)及び図4(A)に示すように、第3の壁面部100cの部分のうち、高さ方向で半分以下の高さを占める部分には突起部160が設けられている。この突起部160は、ホルダー20にカートリッジ10が装着された後の、カートリッジ10の動きを規制するために用いられる。具体的には、突起部160は、カートリッジ10の第3の壁面部100c側の幅方向と高さ方向の動きを規制する。突起部160は、幅Wtを有する(図3(C))。この詳細は後述する。
【0049】
また、図3(A),(C)に示すように、第3の壁面部100cは、ホルダー20からカートリッジ10を回転動作により取り外す際に、ホルダー20と接触し回転の支点となる回転支点166wを有する。この回転支点166wは、高さ方向について、容器側係合部124とホルダー20が係合する係合点よりも下方に位置する。言い換えれば、回転支点166wは、高さ方向について、係合解除部122よりも下方に位置する。また、第3の壁面部100cには、液体収容室180のインクの消費に従い、内部に空気を導入するための大気開放孔(図示せず)が形成されている。
【0050】
図5は、回路基板130について説明するための図である。図5(A)は、回路基板130の表面の構成を示している。図5(B)は、回路基板130を側面から見た図を示している。回路基板130の表面は、カートリッジ10に取り付けられたときに、外側に露出している面である。なお、図5(A)に示す矢印Ztは、ホルダー20へのカートリッジ10の挿入方向を示している。
【0051】
図5(A)に示すように、回路基板130の上端部には、ボス溝131が形成され、回路基板130の下端部には、ボス穴132が形成されている。ボス溝131とボス穴132は回路基板130を容器本体100に取り付けるために用いられる。
【0052】
回路基板130は、表面に配置された9つの端子130a〜130iからなる端子群130tと、記憶部133とを備える。裏面に配置された記憶部133は、カートリッジ10のインクに関する情報(例えば、インク残量やインク色)を格納する。端子130a〜130iは、略矩形状に形成され、挿入方向Ztと略垂直な列を2列形成するように配置されている。2つの列のうち、挿入方向Ztの奥側、すなわち、図5(A)における下側に位置する列を下側列(第1の列)と呼び、挿入方向Ztの手前側、すなわち、図5(A)における上側に位置する列を上側列(第2の列)と呼ぶ。なお、上述のごとく、端子群130tを包含する最小の凸多角形により囲まれた包含領域800の外形を点線で図示する。本実施例では包含領域800は6角形である。
【0053】
各端子130a〜130iの中央部には、ホルダー20に取り付けられた装置側端子のうちの対応する端子と接触する接触部cpを含んでいる。上側列を形成する端子130a〜130dの各接触部cpと、下側列を形成する端子130e〜130iの各接触部cpとは、互い違いに配置され、いわゆる千鳥状の配置を構成している。また、上側列を形成する端子130a〜130dと、下側列を形成する端子130e〜130iも、互いの端子中心が挿入方向Ztに並ばないように、互い違いに配置され、千鳥状の配置を構成している。また、回路基板130は、カートリッジ10の切り欠き140に近い列ほど多くの端子を含むようにカートリッジ10に取り付けられる。すなわち、下側列(第1の列)が上側列(第2の列)よりも、カートリッジ10の高さ方向について低い位置になるように回路基板130はカートリッジ10に取り付けられる。
【0054】
上側列を形成する端子130a〜130dと、下側列を形成する端子130e〜130iは、それぞれ以下の機能(用途)を有する。
<上側列>
(1)装着検出端子130a
(2)リセット端子130b
(3)クロック端子130c
(4)装着検出端子130d
<下側列>
(5)装着検出端子130e
(6)電源端子130f
(7)接地端子130g
(8)データ端子130h
(9)装着検出端子130i
【0055】
4つの装着検出端子130a,130d,130e,130iは、装置側端子との電気接触の良否を検出するために使用されるものであり、「接触検出端子」と呼ぶことも可能である。他の5つの端子130b,130c,130f,130g,130hは、記憶部133用の端子である。
【0056】
A−3.ホルダー構成:
次に、図6〜図8を用いてホルダー20の詳細構成を説明する。図6は、ホルダー20を説明するための図である。図6(A)は、ホルダー20の第1の外観斜視図であり、図6(B)はホルダー20の第2の外観斜視図である。なお、第2の外観斜視図は、説明の容易のためにホルダー20を形成する外周壁の図示は一部省略している。図7は、装置側対向壁面部25cの詳細構成を説明するための図である。図7(A)は、装置側対向壁面部25cをX軸正方向側から見た図である。図7(B)は、図7(A)の部分拡大図である。図8は、図6(A)のC−C断面図である。なお、図8の断面図は、説明の容易のために液体供給管240近傍を簡略化している。
【0057】
図6(A)に示すように、ホルダー20は、カートリッジ10を着脱可能とするために一部が開口した凹状形状である。ホルダー20は、装置側底壁面部(「底面部」ともいう。)25aと、装置側側壁面部(「正面部」)25bと、装置側対向壁面部(「背面部」ともいう。)25cと、第1の装置側側壁面部(「左側面部」ともいう。)25eと、第2の装置側側壁面部(「右側面部」ともいう。)25fと、を有する。これらの壁面部25a,b,c,e,fによって、カートリッジ10を収容する容器収容部としてのカートリッジ収容室220を形成している。各壁面部25a,b,c,e,fは、ポリプロピレン等の合成樹脂により形成される。
【0058】
装置側底壁面部25aは、プリンター1の使用姿勢において底面を構成する。装置側対向壁面部25c、装置側係合壁面部25b、第1の装置側側壁面部25e、第2の装置側側壁面部25fは、装置側底壁面部25aから立設している。装置側対向壁面部25cと装置側係合壁面部25bは対向する関係にあり、第1の装置側側壁面部25eと第2の装置側側壁面部25fは対向する関係にある。
【0059】
装置側底壁面部25aには、液体供給管240とシール部材242とが取り付けられている。液体供給管240の一端側は、装置側底壁面部25aの背面(Z軸負方向側の面)に取り付けられている印刷ヘッド21(図8)に接続されている。また、ホルダー20にカートリッジ10が装着された場合に、液体供給管240の他端側は、カートリッジ10の液体供給口110(図3(A))に接続される。シール部材242は、合成ゴムなどの弾性を有する部材である。シール部材242は液体供給管240の周囲に配置され、カートリッジ10がホルダー20に装着された際に、インクが外部に漏れ出すことを防止する。また、図8に示すように、液体供給管240の他端側には、液体供給口110内のフォーム112(図4(A))に一部が接触する多孔質の金属製フィルター240tが設けられている。このフィルター240tとしては、例えば、ステンレスメッシュやステンレス不織布を用いることができる。なお、このフィルター240tは省略可能である。
【0060】
図6(B)に示すように、装置側底壁面部25aには、装着されるカートリッジ10の個数(4つ)に対応させて、4つの貫通孔290(図では3つのみ図示)と、4つの第1の装置側規制部270(図では3つのみ図示)が設けられている。さらに、装置側底壁面部25aには、装着されるカートリッジ10の個数に対応させて4つの接点機構280(図では3つのみ図示)が配置されている。
【0061】
貫通孔290は、ホルダー20のZ軸負方向側に設けられた光学式検出装置90を用いたカートリッジ10内部のインク残量検出に利用される。具体的には、光学式検出装置90から出射された光を透過させると共に、カートリッジ10から反射した光を透過させる。
【0062】
第1の装置側規制部270の形状は突起状である。また、第1の装置側規制部270は上方に向かうに従って尖った形状をしている。第1の装置側規制部270は、カートリッジ10が備える第1の規制部としての切り欠き140が挿入され、カートリッジ10の幅方向(Y軸方向)の動きを規制する。なお、第1の装置側規制部270は規制ピン270ともいう。規制ピン270は、本実施例のようにホルダー20と一体成形されても良いし、別体の部材として装置側底壁面部25aに取り付けても良い。
【0063】
接点機構280は、カートリッジ10の回路基板130とプリンター1の制御ユニット60とを電気的に接続するために用いられる。接点機構280は、回路基板130の端子130a〜130iと接触するための複数の電気的接触部材(「端子」ともいう。)280a〜280iを有する。電気的接触部材280a〜280iの個数は、回路基板130の端子130a〜i(図5(A))の個数に対応しており、本実施例では9つある。なお、接点機構280は制御ユニット60と電気的に接続されている。
【0064】
装置側係合壁面部25bは、プリンター1の使用姿勢において水平方向に延びる装置側係合部260を有する。装置側係合部260は平板状であり、装置側底壁面部25aから所定の高さ位置に保持されている。装置側係合部260は、カートリッジ10の容器側係合部124(図3(A))と係合することで、カートリッジ10が装着された後のカートリッジ10の高さ方向の動きを規制する。
【0065】
図7(A)に示すように、装置側対向壁面部25cは、立設壁部216と、ガイド溝200tと、立設壁部216に形成された孔部202と、を備える。使用姿勢において、立設壁部216は装置側底壁面部25aから上方(Z軸正方向)に延びる。立設壁部216は、下方から順に、対向面216uと、延伸面216tと、上部面216sとを有する。使用姿勢において、対向面216uは、装置側底壁面部25aから鉛直上方向に延びる。言い換えれば、対向面216uは、カートリッジ10がホルダー20に装着された装着状態において、カートリッジ10の第3の壁面部100c(図3(A))の外面と略平行な面を形成する。理解の容易のために、対向面216uにはシングルハッチングを付している。
【0066】
延伸面216tは、対向面216uの上端からホルダー20の外側(外方)に向かって延びる。言い換えれば、装着状態において、延伸面216tはカートリッジ10の第3の壁面部100c(図3(A))の外面から離れる方向に延びる。本実施例では、延伸面216tは鉛直方向に対して傾斜する傾斜面を構成する。また、装置側対向壁面部25cは、カートリッジ10の回転支点166wに対応した回転支点216wを有する。回転支点216wは、対向面216uと延伸面216tとの境界により規定される。言い換えれば、回転支点216wは、対向面216uの上端とも言える。
【0067】
上部面216sは、プリンター1の使用姿勢において、延伸面216tの下端から上方に延びる。上部面216sも延伸面216tと同様に、鉛直方向に対して傾斜している。
【0068】
図8に示すように、対向面216u、延伸面216t、上部面216sを形成することで、カートリッジ10を回転させながら取り外す際にカートリッジ10の一部分を受入れ可能な空間部216spが形成される。
【0069】
図7に戻って説明を続ける。略矩形状の孔部202には、カートリッジ10の突起部160(図3(A))が挿入される。これにより、装着状態において、カートリッジ10の幅方向(Y軸方向)、及び、高さ方向(Z軸方向)の動きが所定範囲内に規制される。なお、孔部202の幅Wbは、カートリッジ10の突起部160の幅Wtと略同一である。また、後述する回転動作によりカートリッジ10のホルダー20への脱着動作が行われるため、装着状態において、ホルダー20の孔部202とカートリッジ10の突起部160(図3(C))の高さ方向の隙間は、幅方向の隙間よりも大きい。
【0070】
ガイド溝200tは、カートリッジ10がホルダー20に装着される際に、カートリッジ10の幅方向の動きを規制しながら突起部160を孔部202まで導く。図7(B)に示すように、ガイド溝200tは、装置側対向壁面部25cの上端から孔部202に亘って形成されている。なお、理解の容易のために、図7(B)において、孔部202にはシングルハッチングを付している。ガイド溝200tを設けることで、仕切り壁のようなカートリッジ10の位置決めを行うための他の部材をホルダー20に設ける必要がないため、ホルダー20を小型化できる。なお、ガイド溝200tの上端は、装置側対向壁面部25cの上端に位置する必要はなく、高さ方向について装置側対向壁面部25cの途中の部分に位置していても良い。
【0071】
ガイド溝200tの上端200taの幅Waは、下端200tbの幅Wbよりも大きい。また、下端200tbは、孔部202と同一の幅を有する。また、上端200taの幅Waは、カートリッジ10の突起部160の幅Wt(図3(c))よりも大きい。また、ガイド溝200tの幅は、上端200taから下端200tb(すなわち、孔部202)に近づくに従って単調減少している。ここで、「単調減少」とは、上端200taから下端200tbに近づくに従って、幅が増加する部分を含んでいなければ、幅が一定の部分を含んでいても良い。より具体的には、ガイド溝200tは、孔部202に近づくに従って幅が次第に小さくなるテーパ形状の下部ガイド溝200tuを有する。なお、下部ガイド溝200tuとその他の部分の境界には破線を付している。
【0072】
図7(A)、図8に示すように、装置側対向壁面部25cは、さらに、ガイド溝200tの深さ方向(X軸方向、装置側係合部260と装置側対向壁面部25cが対向する方向)に弾性変形可能な変形部212を有する。言い換えれば、変形部212はカートリッジ10を収容するカートリッジ収容室220の外側(外方、X軸負方向)に向かって弾性変形可能なように構成されている。変形部212は、ガイド溝200tの底面を構成する溝底壁面部213の両端(両側)に切り欠き214を施すことで形成される。切り欠き214は、溝底壁面部213を貫通している。変形部212は、溝底壁面部213の部分のうち、孔部202に接する部分から、所定の高さ以上の高さまで伸びている。所定の高さとは、カートリッジ10を所定の方法で装着する場合の突起部160(図4(A))が回転する軌跡と、溝底壁面部213とが交差する交差地点よりも高い位置にある部分を指す。なお、この詳細は後述する。
【0073】
A−4.カートリッジの取り付け
図9は、カートリッジ10をホルダー20に取り付ける様子を説明するための図である。図9(A)は、取り付ける様子を示した第1の図であり、図9(B)は取り付ける様子を示した第2の図である。図9は、図3(B)のカートリッジ10のG−G断面と、G−G断面に対応するホルダー20の断面を示した図である。以下では、利用者がカートリッジ10をホルダー20に装着する際に、通常採用する装着方法(正常装着方法)について説明する。
【0074】
正常装着方法では、図9(A)に示すように、第3の壁面部100cの突起部160が装置側対向壁面部25cに接するようにカートリッジ10を傾けて、ホルダー20への装着が行われる。具体的には、突起部160をガイド溝200tに挿入させながら、矢印Zwに示す鉛直下方にカートリッジ10を移動させる。この時、ガイド溝200tの上端の幅Waは、カートリッジ10の突起部160の幅Wtよりも大きいことから、容易に突起部160をガイド溝200tに挿入することができる。
【0075】
図9(B)に示すように、カートリッジ10の突起部160が変形部212に接する位置まで移動し、突起部160によって外力が加えられた場合、変形部212は外側(X軸負方向)に向かって弾性変形する。このように、変形部212が弾性変形することでカートリッジ10をスムーズにホルダー20に装着させることができる。
【0076】
図10は、カートリッジをホルダーに取り付ける様子を説明するための第2の図である。図10(A)は、図9と同様に、図3(B)のカートリッジ10のG−G断面と、G−G断面に対応するホルダー20の断面を示した図である。また、図10(B)は、図10(A)の規制ピン270近傍の斜視図である。
【0077】
図10(A)に示すように、カートリッジ10がさらに鉛直下方に移動すると、ガイド溝200tにガイドされ、容易に突起部160が孔部202に挿入される。この状態では、カートリッジ10の容器側係合部124は、ホルダー20の装置側係合部260と係合していない。
【0078】
突起部160が孔部202に挿入されると、図10(B)に示すように、ホルダー20の規制ピン270がカートリッジ10の切り欠き140に挿入される。この状態で、第2の壁面部100b側を鉛直下方に押し込むことで、容器側係合部124が装置側係合部260と係合する。この押し込み動作の際には、回路基板130が取り付けられた第2の壁面部100b側の幅方向の動きは規制されているため、ホルダー20に対するカートリッジ10の位置決めを精度良く行うことができる。すなわち、装着後にカートリッジ10の回路基板130の各端子130a〜130i(図5)と、接点機構280の装置側端子280t(9つ端子があるが、まとめて装置側端子280tと呼ぶ)とが非接触状態になる可能性を低減できる。また、切り欠き140は回路基板130よりも第1の壁面部100aに近い位置に設けられているので、カートリッジ10をホルダー20に装着する際に回路基板130の各端子130a〜130iが接点機構280の装置側端子280tと接触するよりも先に規制ピン270がカートリッジ10の切り欠き140に挿入される。すなわち、規制ピン270が切り欠き140に挿入されカートリッジ10の幅方向(Y軸方向)の動きがある程度規制された状態で回路基板130の各端子130a〜130iを接点機構280に接触させることができる。よって、カートリッジ10をホルダー20に装着する際により確実に各端子130a〜130iを接点機構280に接触させることができる。
【0079】
上記のように、装置側対向壁面部25cにガイド溝200tが形成されていることから、突起部160を孔部202まで容易に導くことができる。特に、ガイド溝200tが下部ガイド溝200tuを有することから、突起部160をよりスムーズに孔部202まで導くことができる。
【0080】
図11は、装着後の状態を説明するための図である。図11(A)は、図9と同様に、図3(B)のカートリッジ10のG−G断面と、G−G断面に対応するホルダー20の断面を示した図である。図11(B)は、装着状態(装着姿勢)の斜視図である。図11(A)には液体収容室180に収容されているインクをドットで表している。
【0081】
図11(A)に示すように、装着状態では、容器側係合部124が装置側係合部260と係合することで、カートリッジ10の高さ方向の動きが規制される。ここで、ホルダー20(プリンター1)の使用姿勢における鉛直方向(Z軸方向)について、回転支点216wは係合点124tよりも下方に位置する。装着状態では、レバー120は無負荷状態よりも第2の壁面部100bに近づいた状態で装置側係合部260と係合している。よって、レバー120が容器本体100を装置側対向壁面部25c側に押し付けることで、カートリッジ10の長さ方向(X軸方向)の動きが規制される。また、装着状態では、液体供給管240が液体供給口110と接続される。また、回路基板130の各端子が接点機構280の対応する各電気的接触部材280a〜280iと接触し、カートリッジ10とプリンター1の制御ユニット60(図1)との間で、インク色やインク残量情報等の各種情報の伝達が行われる。さらに、所定のタイミングで光学式検出装置90を用いたインク残量の検出が行われる。また、装着状態では、印刷ヘッド21からの吸引によって液体供給口110、液体供給管240を介してインクが印刷ヘッド21に供給される。
【0082】
装着状態において、規制ピン270と切り欠き140とが協働して第2の壁面部100b側の幅方向の動きを規制している。さらに、孔部202と突起部160が協働して第3の壁面部100c側の幅方向(Y軸方向)と高さ方向(Z軸方向)の動きを規制している。さらに、装置側係合部260と容器側係合部124とが協働して第2の壁面部100b側の高さ方向の動きを規制している。なお、規制ピン270と切り欠き140との協働による第2の壁面部100b側の幅方向の動きの規制は他の規制を前提としているものではない。
【0083】
ここで、印刷等を行う際にはホルダー20及びカートリッジ10は主走査方向(Y軸方向、カートリッジ10の幅方向)に移動する。すなわち、カートリッジ10は、幅方向の外力(慣性力)を受けることになる。カートリッジ10が外力を受けることで、図11(B)に示すように、カートリッジ10は液体供給口110(図11(A))を中心に幅方向成分を含む回転方向に回転する。具体的には、第2の壁面部100b側部分は矢印YR1の向きに回転し、第3の壁面部100c側部分は矢印YR2の向きに回転する。また、カートリッジ10は外力を受けることで、矢印YR3の向きに回転する可能性もある。矢印YR1及び矢印YR2の向きは、Z軸を中心としたY方向(幅方向)を含む回転方向である。また、矢印YR3はX軸を中心としたY方向(幅方向)を含む回転方向である。ここで、回路基板130は、第2の壁面部100bに設けられている。よって、幅方向の動きを規制するための切り欠き140を第2の壁面部100bに設けることで、切り欠き140を第1の壁面部100aに設けるよりも回路基板130のホルダー20に対する動き(ずれ)を抑制することができる。これにより、装着後の回路基板130(詳細には、端子群130t)とプリンター1との電気的接続を良好に維持することができる。特に、本実施例では、上述のように回路基板130は、長さ方向について切り欠き140と一部が重なるように配置されている(図3(A))。よって、回路基板130(詳細には端子群130t)のホルダー20に対する動き(ずれ)を最小限に抑制することができる。なお、更に上述のように、長さ方向(X軸方向)について、切り欠き140は、回路基板130が備える端子群130tの一部と重なるように設けられることがより好ましい。こうすることで、端子群130tのホルダー20に対する動き(ずれ)をより一層最小限に抑制することができる。
【0084】
ここで、カートリッジ10が受ける幅方向の外力として主走査方向への移動に伴う慣性力を挙げたが、カートリッジ10が受ける外力はこれに限られない。例えば、印刷ヘッドのみが主走査方向に移動し、カートリッジ10が主走査方向に移動しないオフキャリッジプリンタと呼ばれるタイプでもカートリッジ10は幅方向に外力を受ける場合がある。具体的には、オフキャリッジタイプのプリンターにおいて、印刷ヘッドが主走査方向に移動すること等より生じる振動などを受けてカートリッジ10の幅方向に外力(慣性力)が作用するような場合がある。
【0085】
また、第1の壁面部100a(底面)に幅方向の動きを規制するための溝を設ける場合、溝を形成(規定)するための部材が周囲に必要となる。本実施例では、第2の壁面部100bに幅方向の動きを規制する切り欠き140を設けていることから、カートリッジ10の長さ方向(X軸方向)の大きさを小さくできる。また、切り欠き140は、第2の壁部100bのうち第1の壁面部100b側の角部に設けられ、Z軸負方向(第1の方向)と、Z軸負方向と直交するX軸正方向(第2の方向)に向かって開口している(図3)。よって、ホルダー20の第1の装置側規制部270を受け入れるための開口のみが形成されている場合よりも、切り欠き140を規定する壁の数を低減できる。よって、カートリッジ10をホルダー20に装着する際に、切り欠き140を規定する壁が第1の装置側規制部270に干渉(衝突)する可能性を低減できる。これにより、カートリッジ10をホルダー20に装着する際のカートリッジのホルダー20への挿入角度の自由度を高めることができ、取り付け時の利用者の操作性を向上できる。
【0086】
また、切り欠き140は規制ピン270と協働することでプリズム170の幅方向の動きを抑制できる。特に、本実施例では、プリズム170は、切り欠き140が形成された第2の壁面部100bの内面に接して配置されている(図4(A))。これにより、プリズム170の幅方向の動き(ずれ)を最小限に抑制し、精度良くインク残量検出を行うことができる。さらに、プリズム170によってインクの液体供給口110に向かう流れが堰き止められる可能性を低減できる。これにより、液体収容室180内部のインクを効率良く消費し、インク残量を低減できる。
【0087】
また、第1の規制部を切り欠き140としたことで、第1の規制部を突起状にした場合(この場合、第1の装置側規制部270は凹状となる)に比べ、カートリッジ10をホルダー20に脱着する際に、第1の規制部(切り欠き140)がホルダー20に干渉する可能性を低減できる。これにより、カートリッジ10やホルダー20が破損する等の不具合の発生を抑制することができる。
【0088】
このように、カートリッジ10は回路基板130が取り付けられた第2の壁面部100bに幅方向の動きを規制するための切り欠き140を有するため、回路基板130のホルダー20に対するずれを抑制できる。よって、回路基板130とプリンター1との電気的な接続が遮断される可能性を低減できる。また、回路基板130のホルダー20に対するずれを抑制できることから、回路基板130により多くの端子を設けることができる。これにより、回路基板130とプリンター1との間でのより多くの情報の伝達を行うことが可能となる。
【0089】
A−5.カートリッジの取り外し
図12は、カートリッジ10をホルダー20から取り外す様子を説明するための図である。図12(A)は、取り外す様子を示した第1の図であり、図12(B)は、本実施例の効果の1つを説明するための図である。なお、図12(A)は、図3(B)のカートリッジ10のG−G断面と、G−G断面に対応するホルダー20の断面を示した図である。
【0090】
図12(A)に示すように、カートリッジ10をホルダー20から取り外す際には、係合解除部122を容器本体100(詳細には、第2の壁面部100b)に近づける(押し付ける)方向(X軸負方向、係合が解除される方向)に弾性変形させる。そうすると、装置側係合部260と容器側係合部124の係合が解除される。言い換えれば、係合解除部122に対し装置側係合壁面部25bから装置側対向壁面部25cに向かう方向(X軸負方向)に外力を加えることで係合が解除される。係合解除部122は、第1の側面122tが第2の壁面部100bに当接した場合に、第2の側面122uが鉛直方向から所定角度θ傾斜するように形成される。このように係合解除部122が形成されることで、係合解除部122に対してX軸負方向に外力Fを加えると、係合が解除されると共に、カートリッジ10をホルダー20から効率良く取り外すことができる。この理由について、図12(B)を用いて説明する。
【0091】
図12(B)に示すように、係合を解除するために係合解除部122を容器本体100(詳細には、第2の壁面部100b)に近づける方向(X軸負方向)に、係合解除部122に対して外力Fが加えられる場合を考える。外力Fは、回転支点216wを中心とする円周の接線方向成分の力F1と、半径方向成分F2に分解できる。第2の側面122uが上端から下端に向かうに従い回転支点216wに近づくように傾斜(下方傾斜)していると、接線方向成分の力F1を係合解除部122に効率良く伝達できる。よって、容器側係合部124と装置側係合部260の係合を解除する方向(X軸負方向)に係合解除部122に対して外力を加えた場合、係合が解除されると共に、カートリッジ10が取り外される方向(矢印Rd)にカートリッジ10を容易に回転させることができる。
【0092】
図13は、カートリッジ10をホルダー20から取り外す様子を説明するための第2の図である。図13(A)は、カートリッジ10が回転支点216wを支点に回転する様子を示す図である。図13(B)は、カートリッジ10が回転支点216wを支点に回転する様子を示す第2の図である。なお、図13は、図3(B)のカートリッジ10のG−G断面と、G−G断面に対応するホルダー20の断面を示した図である。
【0093】
図13(A)に示すように、係合解除部122に所定方向成分(X軸負方向成分)の外力Fが加えられると、回転支点216wを支点として矢印Rd方向にカートリッジ10が回転運動する。矢印Rd方向は、上方向成分を含む。また、回転支点216wの上方には空間部216spが位置するため、ホルダー20によってカートリッジ10の所定方向への回転運動が阻害されることはない。
【0094】
図13(B)に示すように、所定方向の回転運動が進行すると、カートリッジ10の第3の壁面部100cが上部面216sに当接する。この状態になると、所定方向の回転運動は上部面216sが障壁となり阻害される。しかしながら、この状態では、カートリッジ10の第2の壁面部100b側を利用者が容易に掴んで取り上げられる程度に、第2の壁面部100b側がホルダー20に対して鉛直上方に持ち上げられている。
【0095】
上記のように、カートリッジ10は、回転支点166wが係合点124tよりも下方に位置し、係合点124tよりも上方に係合解除部122が位置するように構成されている(図11(A))。よって、図12(A)に示すように、係合解除部122に所定方向(X軸負方向)に外力を加えることで、回転支点216wを支点としてカートリッジ10をホルダー20から容易に取り外すことができる。すなわち、容器側係合部124と装置側係合部260の係合を解除する動作と、カートリッジ10をホルダー20から取り外す動作を一連の動作によって行うことができる(図12,13)。よって、利用者に対し、取り外しの操作性を向上させたホルダー20及びインクカートリッジ10を提供することができる。また、ホルダー20の回転支点216wは装置側対向壁面部25cの対向面216uと延伸面216tによって容易に規定することができる。
【0096】
A−6.カートリッジの別方法での取り付け
図14は、別方法の装着方法について説明するための図である。図14(A)〜(C)の順で時系列に図示している。また、図14(A)〜(C)は、図3(B)のカートリッジ10のG−G断面と、G−G断面に対応するホルダー20の断面を示した図である。図14(A)〜(C)を用いて、第2の壁面部100bが第3の壁面部100cよりも鉛直下方になるようにカートリッジ10を傾斜させてホルダー20に挿入させる装着方法(係合装着方法)について説明する。
【0097】
図14(A)に示すように、係合装着方法では、突起部160が孔部202に挿入される前に、容器側係合部124が装置側係合部260に係合する。この場合、係合点124tを回転支点としてカートリッジ10を回転させることで、ホルダー20にカートリッジ10が装着される。この時、突起部160は回転軌跡Rmを描く。この回転軌跡Rmは変形部212と交差する。すなわち、回転軌跡Rmがホルダー20と交差する地点には変形部212が位置する。言い換えれば、使用姿勢において、変形部212は溝底壁面部213のうち、回転軌跡Rmと溝底壁面部213とが交差する交差地点Rxよりも高い位置にまで達するように形成されている。図14(A)に示すように、突起部160が溝底壁面部213に当接した直後の状態では、突起部160は変形部212と接する。
【0098】
図14(B)に示すように、第3の壁面部100c側を鉛直下方向に押し進めると、突起部160により変形部212がホルダー20の外側方向(X軸負方向)に押されて弾性変形する。変形部212が弾性変形することで、カートリッジ10の動きが制限されることなく、第3の壁面部100c側を鉛直下方向に押し進めることができる。これにより、図14(C)に示すように、カートリッジ10をホルダー20に装着させることができる。
【0099】
図15は、別方法の装着方法について説明するための図である。図15(A)は、ホルダー20への装着方法を説明するための第1の図である。図15(B)は、ホルダー20への装着方法を説明するための第2の図である。図15(A),(B)は、図3(B)のカートリッジ10のG−G断面と、G−G断面に対応するホルダー20の断面を示した図である。
【0100】
図15(A)は、カートリッジ10を傾斜させずに、ホルダー20の真上からカートリッジ10をホルダー20に装着させる装着方法(上方アクセス装着方法)を示している。このような装着方法においても、変形部212が弾性変形可能であるため、カートリッジ10の動きが制限されることなく、ホルダー20にカートリッジ10を装着することができる。
【0101】
図15(B)は、突起部160をガイド溝200tに挿入することなく、カートリッジ10をホルダー20に装着させる装着方法(前面アクセス装着方法)を示している。本実施例では、ホルダー20は変形部212を有するため、カートリッジ10の動きが制限されてホルダー20に装着できない可能性を低減できる。よって、特定の装着方法(動きが制限されるような装着方法)での装着を防止するための部材をホルダー20の開口に設ける必要がない。よって、前面アクセス装着方法によってカートリッジ10をホルダー20に装着させることも可能となる。
【0102】
上記のように、ホルダー20は変形部212を有することから、カートリッジ10がホルダー20に装着される前に、ホルダー20内でカートリッジ10の動きが制限される可能性を低減できる。これにより、特定の装着方法を禁止する機構をホルダー20の開口に設ける必要がないため、ホルダー20の部品点数の低減を図りつつ、カートリッジ10をホルダー20に取り付ける際の操作性を向上できる。すなわち利用者は装着方法を制限されることなく、種々の装着方法を用いてカートリッジ10をホルダー20に装着することができる。
【0103】
B.第2実施例:
図16は、第2実施例のカートリッジ10aを説明するための図である。図16(A)は、カートリッジ10cの断面図であり、図3(B)のA−A断面に相当する。また、図16(B)は、カートリッジ10aのプリズム170a〜170cを説明するための図である。なお、第1実施例との違いは、プリズム170a〜170cの構成であり、その他の構成については第1実施例と同一の構成であるため、同一の構成については同一符号を付すと共に説明を省略する。また、カートリッジ10aが装着されるホルダー20の構成及びプリンター1の構成は第1実施例と同一である。
【0104】
図16(A)に示すように、第1の壁面部100aには第1〜第3のプリズム170a〜170cが設けられている。図16(B)に示すように、各プリズム170a〜170cは、反射面170fを含む直角二等辺三角柱形状の部分を含む。また、各プリズム170a〜170cの反射面と、第1の壁面部100aとの距離はそれぞれ異なるように配置されている。具体的には、切り欠き140に近いプリズム程、第1の壁面部100aとの距離が長くなるように配置されている。すなわち、各プリズム170a〜170cの中で最も高さのある第1のプリズム170aは、切り欠き140が設けられている第2の壁面部100bの内面に接して配置されている。また、プリズムの高さが低くなるに従い、第2の壁面部100bから離れた位置に配置されている。このように第1〜第3のプリズム170a〜170cを配置することで、切り欠き140の近くに配置されているプリズム程、反射面170fとZ軸負方向側に配置された光学式検出装置(図示せず)との距離が長くなる。なお、光学式検出装置は、プリズムの数に対応させてプリンター1に配置して残量検出を行っても良いし、1つの光学式検出装置を各プリズム170a〜170cの真下に移動させて残量検出を行っても良い。
【0105】
このように、反射面170fの高さが異なる複数のプリズム170a〜170cを配置することで、カートリッジ10aのインク残量をより詳細に検出できる。また、光学式検出装置と反射面170fとの距離が長くなる程、反射面170fと光学式検出装置との相対的な位置のずれが生じ、インク残量の検出精度が低下する傾向にある。しかしながら、本実施例では光学式検出装置と反射面170fとの距離が長いプリズム170aほど、ホルダー20に対するズレをより抑制できるように、切り欠き140のより近くに配置している。よって、各プリズム170a〜170cを用いたインク残量の検出精度のばらつきを低減できる。また、第2実施例のカートリッジ10aは、第1実施例と同様に、切り欠き140を有するため、ホルダー20の規制ピン270と協働して幅方向(Y軸方向)の動きを規制できる。よって、回路基板130(詳細には端子群130t)とプリンター1との電気的接続を良好に維持することができる。
【0106】
C.変形例:
なお、上記実施例における構成要素の中の、特許請求の範囲の独立項に記載した要素以外の要素は、付加的な要素であり、適宜省略可能である。また、本発明の上記実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0107】
C−1.第1変形例:
上記実施例では、プリズム170,170aは、第2の壁面部100bの内面に接して配置されていたが(図4(A),図16(A))、これに限定されるものではなく、第2の壁面部100bと離間して配置されても良い。このようにしても、回路基板130のホルダー20に対する動き(ずれ)は抑制できる。この場合、以下のような変形態様を採用することが好ましい。図17は第1変形例の変形態様を説明するための図である。図17(A)〜(E)はプリズム170近傍を示した図である。第1実施例との違いは、プリズム170が第1の垂直壁部100b1の内面と離間して配置されている点と、プリズム170と第1の垂直壁部100b1との間に突起状部材175a〜175eが設けられている点である。その他の構成については第1実施例と同一であるため、同一の構成については同一符号を付すと共に説明を省略する。
【0108】
突起状部材175a〜175eは、第1の壁面部100aから液体収容室180内に向かって延びる突起である。形状は、直方体形状(図17(A)、符号175a)や三角柱形状(図17(B)〜(E)、符号175b〜175e)等を採用可能である。また、突起状部材175a,b,eは、プリズム170と第1の垂直壁部100b1の両方に接するように配置されている。このように、突起状部材175a〜175eを有することで、インクがプリズム170によって堰き止められることを抑制でき、第1の垂直壁部100b1側のインクを液体供給口110(図4(A))まで導くことができる。よって、液体収容室180(図4(A))内のインクを効率良く消費できる。
【0109】
C−2.第2変形例:
上記実施例では、カートリッジ10,10aはインク残量の検出のために利用されるプリズム170,170a〜170cを有していたが(図4(A)、図16(A))、省略可能である。また、光学的なインク残量検出方法に利用されるプリズムに代えて、インク残量検出のために、圧電素子を用いたセンサーや、電極を用いたセンサーを採用しても良い。このようにしても、上記実施例と同様に、カートリッジ10,10aの切り欠き140とホルダー20の規制ピン270とが協働することで、回路基板130のホルダー20に対する動き(ずれ)を抑制できる。また、上記実施例と同様に、回転支点166w、216wや、ホルダー20の変形部212により、カートリッジ10,10aのホルダー20に対する着脱時の操作性を向上できる。
【0110】
C−3.第3変形例:
上記実施例では、カートリッジ10,10aの第1の規制部として切り欠き140を用いたが、形状はこれに限定されるものではない。例えば、第2の壁面部100bに第1の規制部として突起を設けても良い。この場合、ホルダー20には規制ピン270に代えて突起が挿入される凹部を設ける。このようにしても、装着後におけるカートリッジ10,10aの幅方向の動きが抑制されるため、回路基板130とプリンター1の電気的接続が良好に維持される。また、切り欠き140は、第1の垂直壁部100b1の幅方向の略中央に設けられていたが(図3(B))、これに限定されるものではない。例えば、切り欠き140が第1の垂直壁部100b1の幅方向の一方の端に形成されていても良い。すなわち、上記実施例の切り欠き140は、幅方向の両側が第1の垂直壁部100b1により形成されていたが、片側のみが第1の垂直壁部100b1により形成され、もう片側が開放されていても良い。すなわち、切り欠きは3方向に向かって開口していても良い。このようにしても、装着状態において、カートリッジ10,10aの幅方向の動き(幅方向のどちらか一方の動き)を規制し、回路基板130のホルダー20に対するずれを抑制できる。また、上記実施例と同様に、回転支点166w、216wや、ホルダー20の変形部212により、カートリッジ10,10aのホルダー20に対する着脱時の操作性を向上できる。
【0111】
C−4.第4変形例:
上記実施例では、カートリッジ10,10aは、第2の壁面部100bが、第1の垂直壁部100b1、傾斜壁部100b2、第2の垂直壁部100b3を有する形状をしていたが、カートリッジ10の形状は任意の形状を採用可能である。例えば、傾斜壁部100b2を有さない略直方体形状や、第2の壁面部100bが一様に傾斜する形状としても良い。また、各壁面部100a〜100fを任意の角度に傾斜させて良いし、各壁面部100a〜100fが交差する角度を90度以外の角度にしても良い。すなわち、内部にインクが収容可能な液体収容室180を形成できれば、インクカートリッジ10,10aは任意の形状を採用可能である。
【0112】
C−5.第5変形例:
上記実施例において、カートリッジ10,10aの第3の壁面部100cの外面は回転支点166wを有していたが(図3(A))、例えば、第3の壁面部100cに突起を設け、突起を回転支点166wとしても良い。このようにしても、回転支点166wによって、カートリッジ10,10aを回転させることでホルダー20から容易にカートリッジ10を取り外すことができる。
【0113】
C−6.第6変形例:
上記実施例では、カートリッジ10,10aは突起部160を有していたが、省略可能である。また、これに対応させてホルダー20において、ガイド溝200tや孔部202(図7)も省略可能である。このようにしても、上記実施例と同様に、回転支点166w、216wや、ホルダー20の変形部212により、カートリッジ10,10aのホルダー20に対する着脱時の操作性を向上できる。
【0114】
C−7.第7変形例:
上記実施例では、ホルダー20のガイド溝200tはテーパ形状の下部ガイド溝200tuを有していたが、これに限定されるものではない。例えば、ガイド溝200tの幅を略一定にしても良い。このようにしても、ガイド溝200tによって突起部160をホルダー20の孔部202まで容易に導くことができる。
【0115】
C−8.第8変形例:
上記実施例では、回路基板130の端子は2列により構成されていたが、1列により構成されていても良いし、3列以上により構成されていても良い。なお、3列以上で構成されている場合は、第1の規制部(切り欠き)140に最も近い第1の列は、第1の規制部(切り欠き)140から最も離れた第2の列よりも多くの端子を含むことが好ましい。こうすることで、第1と第2の列に含まれる各端子とプリンター1との電気的接続を良好に維持することができる。また、3列以上で端子が構成されている場合は、第1の規制部(切り欠き)140に近い位置にある列ほどより多くの端子を含むことがより好ましい。こうすることで、回路基板130の各端子とプリンター1との電気的接続を良好に維持することができる。
【0116】
C−9.第9変形例
上記第1実施例では、弾性部(レバー)120をカートリッジ10の第2の壁面部100bに設けるようにしたが、容器側係合部124をカートリッジ10の第2の壁面部100bに形成しつつ、係合解除部122をホルダー20側に設けるようにしてもよい。このようにしても、係合解除部122に利用者によって外力が加えられることで、ホルダー20と容器側係合部124との係合を解除することができる。
【0117】
C−10.第10変形例
上記実施例では、表面に配置された9つの端子130a〜130iからなる端子群130tと、記憶部133とを備える回路基板130(図5)を容器本体100に取り付ける構成としたが、端子群130tを容器本体100に直接設ける構成としてもよい。このような構成においても、端子群130tの液体噴射装置(プリンター1)に対する幅方向の動き(ずれ)を抑制し、端子群130tと液体噴射装置(プリンター1)との接触を良好に維持することができる。この場合、長さ方向(X軸方向)について、切り欠き140は、端子群130tの一部と重なるように容器本体100に設けられることがより好ましい。こうすることで、端子群130tの液体噴射装置(プリンター1)に対する幅方向の動き(ずれ)をより一層抑制することができる。
【0118】
C−11.第11変形例:
上記実施例では、ホルダー20の装置側対向壁面部25cは変形部212を有していたが(図8)、変形部212を有さなくても良い。このようにしても、回転支点166w,216wを有することで、カートリッジ10,10aのホルダー20に対する着脱時の操作性を向上できる。
【0119】
C−12.第12変形例:
カートリッジ10,10aの形状は上記実施例に限定されるものではなく、種々の形状を採用できる。図29は、第12変形例のカートリッジ10dを説明するための図である。図29(A)は、カートリッジ10dの側面図であり、第5の壁面部100e側からカートリッジ10dを見た図である。図29(B)は、カートリッジ10dの壁面部について説明するための図である。図29(A)に示すようにカートリッジ10dのカートリッジ本体100dfは、側面が楕円形又は長円形である。また、液体収容室180fも側面が楕円形又は長円形である。また、カートリッジ本体(容器本体)100dfは、正面側にレバー120と、回路基板130が設置されている。また、カートリッジ10dの底面側には、液体供給口110が形成されており、背面側には突起部160が形成されている。なお、このカートリッジ10dを正面側(レバー120が設けられた面の側)から見ると、図3(B)と同様に一定の幅を有している。さらに、液体収容室180fも一定の幅を有している。
【0120】
以下に、カートリッジ10dの壁面部の規定方法について説明する。図29(B)に示すように、第1の壁面部100aは、液体収容室180fに対してZ軸負方向側の壁面部であり、装着姿勢において底面を構成する。第2の壁面部100bは、液体収容室180fに対してX軸正方向側の壁面部である。また第2の壁面部100bは、第1の壁面部100aに接続され、立設状態となる。第3の壁面部100cは、液体収容室180fに対してX軸負方向側の壁面部である。また第3の壁面部100cは、液体収容室180fを挟んで第2の壁面部100bと対向する。第4の壁面部100dは、液体収容室180fに対してZ軸正方向側の壁面部であり、装着姿勢において上面を構成する。また第4の壁面部100dは、第1の壁面部100aと液体収容室180fを挟んで対向する。第5の壁面部100eは、液体収容室180fに対してY軸正方向側の壁面部である。第6の壁面部100fは、液体収容室180fに対してY軸負方向側の壁面部であり、液体収容室180fを挟んで第5の壁面部100eと対向する。ここで、第2の壁面部100bには、上記実施例と同様に、切り欠き(溝)140が設けられている。また、切り欠き140は、上記実施例と同様に、第2の壁面部100bの外面に形成されている。なお、理解の容易の為に、第1〜第4の壁面部100a〜100dには、それぞれ異なるハッチングを付している。
【0121】
ここで、液体収容室180fの形状やカートリッジ10dの形状が複雑な場合、以下の方法で壁面部を規定できる。すなわち、液体収容室180fに収容される仮想筐体180fgであって、最も容積が大きくなる略直方体の仮想筐体180fgを規定する。仮想筐体180fgを基準にどちら側に位置するかにより各壁面部100a〜100fwは規定できる。なお、カートリッジが液体収容室を複数備える場合は、複数の液体収容室を収容する略直方体の空間部のうち、最小の容積を有する最小空間部を規定する。そして、最小空間部を単一の液体収容室と仮定して、仮想筐体180fgを規定すれば良い。
【0122】
また、カートリッジの形状が略直方体以外の形状の場合でも、図29(A)に点線で示したように、略直方体の6つの面、すなわち、底面(第1面)100fa、正面(第2面)100fb、背面(第3面)100fc、上面(第4面)100fd、左側面(第5面)100fe,右側面(第6面)100ff、を仮想的に考えることが可能である。ここで、各面(第1〜第6面)100fa〜100ffは、それぞれ図3の第1〜第6の壁面部100a〜100fの外面に相当する。略直方体の6つの面100fa〜100ffは、カートリッジ本体100dfを収容する略直方体のうち最小容積の略直方体を形成する面である。本明細書において、「面(プレーン)」は、このような仮想的な面(仮想面、非実在面とも呼ぶ)と、図3に記載したような実在面と、の両方を包含した意味で使用することができる。また、「面」という用語は、平面と曲面の両方を包含した意味で使用される。
【0123】
C−13.第13変形例:
上記実施例及び変形例では、液体収容容器としてプリンター1に用いられるカートリッジ10,10aを例に説明を行ったが、これに限定されるものではなく、例えば液晶ディスプレー等の色材噴射ヘッドを備えた装置、有機ELディスプレー、面発光ディスプレー(FED)等の電極形成に用いられる電極材(導電ペースト)噴射ヘッドを備えた装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物噴射ヘッドを備えた装置、精密ピペットとしての試料噴射ヘッドを備えた装置、捺染装置やマイクロディスペンサ等の液体噴射装置に液体を供給可能な液体収容容器に本発明は適用できる。また、インクカートリッジに限らず、各種液体収容容器を着脱自在に装着可能なホルダーに本発明は適用できる。上記の各種の液体噴射装置に液体収容容器を使用する際には、各種の液体噴射装置が噴射する液体の種類に応じた液体(色材,導電ペースト,生体有機物等)を、液体収容容器内部に収容すれば良い。また、ホルダーを備える各種液体噴射装置と、各種液体噴射装置に対応した液体収容容器とを備える液体噴射システムとしても本発明は適用可能である。
【符号の説明】
【0124】
1…プリンター
5…ユニット
10,10a,10d…カートリッジ
20…ホルダー
21…印刷ヘッド
25a…装置側底壁面部
25b…装置側係合壁面部
25c…装置側対向壁面部
25e…第1の装置側側壁面部
25f…第2の装置側側壁面部
50…第2のモーター
52…第1のモーター
60…制御ユニット
70…操作部
72…インターフェース
80…コンピューター
90…光学式検出装置
92…発光素子
94…受光素子
100,100df…容器本体
100b2a…内面
100a…第1の壁面部
100b…第2の壁面部
100c…第3の壁面部
100d…第4の壁面部
100e…第5の壁面部
100f…第6の壁面部
100b1…第1の垂直壁部
100b2…傾斜壁部
100b3…第2の垂直壁部
100fa…底面(第1面)
100fb…正面(第2面)
100fc…背面(第3面)
100fd…上面(第4面)
100fe…左側面(第5面)
100ff…右側面(第6面)
110…液体供給口
112…フォーム
114…流通流路
120…弾性部(レバー)
122…係合解除部
122t…第1の側面
122u…第2の側面
124…容器側係合部
124t…係合点
130…回路基板
130t…端子群
131…ボス溝
132…ボス穴
133…記憶部
140…切り欠き
160…突起部
166w…回転支点
170…プリズム
170a〜c…プリズム
170f…反射面
170t…プリズムユニット
180,180f…液体収容室
200t…ガイド溝
200ta…上端
200tb…下端
200tu…下部ガイド溝
202…孔部
212…変形部
213…溝底壁面部
216…立設壁部
216s…上部面
216t…延伸面
216u…対向面
216w…回転支点
216sp…空間部
220…カートリッジ収容室
240…液体供給管
240t…フィルター
242…シール部材
260…装置側係合部
270…第1の装置側規制部(規制ピン)
280…接点機構
290…貫通孔
800…包含領域
PA…印刷用紙
IK…インク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体噴射装置に着脱可能な液体収容容器であって、
内部に液体を収容するための液体収容室を形成する容器本体であって、前記液体噴射装置に装着された際の装着姿勢において、底面となる第1の壁面部と、前記第1の壁面部に接続された第2の壁面部と、前記第1の壁面部に接続され、かつ、前記第2の壁面部と対向する第3の壁面部と、を有する容器本体と、
前記第1の壁面部の部分のうち、前記第2の壁面部よりも前記第3の壁面部に近い部分に設けられた液体供給口であって、前記液体収容室の前記液体を外部へ向かって流通させる液体供給口と、
前記第2の壁面部に設けられた端子群であって、前記液体噴射装置と電気的に接続するために用いられる複数の端子を有する端子群と、
前記第2の壁面部のうち前記端子群が設けられた位置よりも前記第1の壁面部に近い位置に設けられた第1の規制部であって、前記液体噴射装置が備える第1の装置側規制部と協働して少なくとも前記液体収容容器の幅方向の動きを規制する第1の規制部と、を備える液体収容容器。
【請求項2】
請求項1に記載の液体収容容器であって、
前記液体噴射装置が備える前記第1の装置側規制部は、突起状であり、
前記第1の規制部は、前記第1の装置側規制部を挿入可能な切り欠きである、液体収容容器。
【請求項3】
請求項2に記載の液体収容容器であって、
前記第1の規制部は、少なくとも、前記液体収容容器が液体噴射装置に装着される際の方向である第1の方向と、前記第1の方向と直交し、かつ、前記第3の壁面部から前記第2の壁面部に向かう方向である第2の方向に向かって開口している、液体収容容器。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の液体収容容器であって、
前記第2と第3の壁面部が対向する方向である長さ方向について、前記切り欠きは、前記端子群の一部と重なるように前記第2の壁面部に設けられている、液体収容容器。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の液体収容容器であって、
前記端子群の前記複数の端子は、複数個の列を形成するように配置され、
前記第1の規制部に近い位置にある第1の列は、前記第1の列に比べ前記第1の規制部から離れた位置にある第2の列よりも多くの端子を含む、液体収容容器。
【請求項6】
請求項5に記載の液体収容容器であって、
前記第1と第2の列を含む前記複数個の列は、前記第1の規制部に近い位置にある列ほどより多くの前記端子を含む、液体収容容器。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の液体収容容器であって、さらに、
前記液体供給口と前記第2の壁面部の間に位置し、前記第1の壁面部から前記液体収容室内に延びるプリズムであって、前記液体収容室の前記液体の量を光学的に検出するために利用されるプリズムを備え、
前記プリズムは、外部に設けられた光学式検出装置から照射された照射光を前記光学式検出装置に向けて反射可能な反射面であって、前記反射面に接する流体の屈折率に応じて反射状態が変化する反射面を有する、液体収容容器。
【請求項8】
請求項7に記載の液体収容容器であって、
前記プリズムは、前記第2の壁面部の内面と接して配置されている、液体収容容器。
【請求項9】
請求項7に記載の液体収容容器であって、
2以上の前記プリズムを備え、
前記第1の規制部に近い前記プリズムほど、前記反射面と前記光学式検出装置との距離が長くなるように、前記第1の壁面部と前記反射面との距離が長い、液体収容容器。
【請求項10】
請求項7乃至請求項9のいずれか1項に記載の液体収容容器であって、
前記プリズムの部分のうち、反射面を含む部分は直角二等辺三角柱形状である、液体収容容器。
【請求項11】
請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の液体収容容器であって、
前記装着姿勢において、
前記第2の壁面部の内面は、上端から下端に向かうに従って前記液体供給口に近づく方向に傾斜する傾斜面を有する、液体収容容器。
【請求項12】
請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載の液体収容容器を備えた液体噴射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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