説明

液体収容容器、及び園芸用植木鉢

【課題】内部に貯められた液体の容量を外部から容易に確認できる液体収容容器と、これを用いた水遣り管理の容易な園芸用植木鉢を提供する。
【解決手段】液体収容容器1は、底面2と壁面3で上方開口に形成され、壁面2には上下方向に複数の透視窓4a、4b、4cが形成されており、複数の透視窓は容器1の底面からの高さH1,H2,H3が異なっている。園芸用植木鉢10は、液体収容容器1を用いており、液体収容容器1の内部に嵌合され植物15を植込む植込み材16を収容する内鉢11と、内鉢11から下方に延出し植込み材16と接触する給水材12とを備え、さらに内鉢11に連結され、液体収容容器1の外部に突出し内鉢11を外部に引出すラベル13(引出し材)を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を収容する容器と、この容器を用いた園芸用植木鉢に係り、特に、容器内に収容されている液体の容量を確認することができる容器と、植物への給水状態が容易に確認できる園芸用の植木鉢に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の園芸用の植木鉢としては、ヨーロッパ規格のプラスチック製の中鉢に、通水性のない素材を採用した外鉢を組み合わせた二重構造の園芸鑑賞鉢で、プラスチック製の中鉢の底穴に吸水ひもを取り付けた中鉢を外鉢に差し込んで構成され、外鉢と中鉢との間に水を貯め、吸水ひもで水を吸い上げて植物の根に吸水するように構成される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3085908号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記構造の園芸鑑賞鉢は、外鉢と中鉢との間に水を貯め、この水を吸水ひもで吸い上げて養土に植え込まれた植物に水分を供給するように構成されているが、貯められた水は、気温や湿度によって消費される分量が異なるため、水が完全に無くなってしまうことがあった。このため、外鉢内部に貯められた水の量が外部から確認できることが望まれていた。
【0005】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、内部に貯められた液体の容量を外部から容易に確認できる液体収容容器と、この液体収容容器を用いて植え込まれた植物へ供給する水の量を外部から容易に確認できる、水遣り管理の容易な園芸用植木鉢を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成すべく、本発明に係る液体収容容器は、液体を収容する容器であって、該容器は底面と壁面で上方開口に形成され、前記壁面には上下方向に複数の透視窓が形成されており、該複数の透視窓は前記容器の底面からの高さが異なっていることを特徴としている。
【0007】
前記のごとく構成された本発明の液体収容容器は、壁面に上下方向に複数個形成された透視窓を通して、内部の液体の有無を外部から容易に確認することができると共に、その内部に収容された液体の容量も側面から容易に確認することができる。
【0008】
また、本発明に係る液体収容容器の好ましい具体的な態様としては、前記液体収容容器は、逆円錐台形状であり、前記複数の透視窓は前記容器底面に近接して並べて形成されていることを特徴としている。このように構成された液体収容容器では、複数の透視窓が容器内の底面に近接して並べられているため、容器内の液体の容量が少なくなったとき、容易に確認することができる。
【0009】
さらに、本発明に係る液体収容容器の好ましい具体的な他の態様としては、前記液体収容容器は、不透明材で形成され、前記複数の透視窓は透明材で形成されていることを特徴としている。また、前記液体収容容器は、透明材で形成され、前記複数の透視窓以外の壁面は不透明に形成されているものも好ましい。このように構成された液体収容容器では、不透明な容器の透明な窓を通して、内部の液体の有無や、その容量を外部から容易に確認することができる。
【0010】
前記液体収容容器は、前記複数の透視窓を複数セット有することが好ましい。特に、壁面の対向する位置に複数セットの、複数の透視窓を形成すると好適である。液体収容容器の壁面に複数セットの、複数の透視窓を形成すると、液体の有無や水量を確認するとき、他のセットの複数の透視窓から光が容器内に入るため容器内部が明るくなり、内部の状態を容易に確認することが可能となる。
【0011】
本発明に係る園芸用植木鉢は、前記したいずれかに記載の液体収容容器を園芸用植木鉢に用いたものである。この園芸用植木鉢は、植木鉢の内部に嵌合され植物を植込む植込み材を収容する内鉢と、内鉢から下方に延出し植込み材と接触する給水材とを備えることを特徴としている。このように構成された園芸用植木鉢は、外鉢としての容器と内鉢との間に貯められた水の有無を外部から容易に確認できるため、植込まれた植物への給水が不完全となることを防止できる。また、複数の透視窓が目盛の機能を有するため、内部の液量を容易に確認できる。このため、店舗等での展示販売時における吸水管理が容易となる。
【0012】
この園芸用植木鉢では、内鉢には、園芸用植木鉢から内鉢を外部に引出す引出し材をさらに備えていることが好ましい。そして、引出し材は、園芸用植木鉢から外部に突出する部位を有し、この部位はラベル、レッテル等の多機能部位として用いられ、ブランド名、植物の品種等の説明が付されていると好ましい。この構成によれば、説明が付された引出し材を用いて内鉢を園芸用植木鉢から容易に取り出すことができる。また、園芸用植木鉢は、内鉢を容器内部に位置決めする位置決め手段を有することが好ましい。この構成により、容器内の所定位置に内鉢を固定することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の液体収容容器は、内部に収容された液体の有無を外部側面から容易に確認することができる。また、透視窓が上下方向に並べて形成されているため、液体の水量を正確に確認することができる。本発明の園芸用植木鉢は、植木鉢に植込まれた植物に給水するための水量を外部から容易に確認できるため、植物の給水管理が容易に行なえる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る液体収容容器の一実施形態の斜視図。
【図2】図1のA−A線に沿う要部拡大断面図と、透視窓を構成する透明部材の正面図及び側面図。
【図3】透視窓を構成する透明部材の変更例を示す要部拡大断面図と、その透視窓を構成する透明部材の正面図及び側面図。
【図4】本発明に係る園芸用植木鉢の一実施形態の斜視図。
【図5】(a)は図4の中央縦断面図、(b)はラベルの正面図、(c)はラベルの変更例の要部正面図。
【図6】図4,5の内鉢の斜視図、及び平面図。
【図7】本発明に係る園芸用植木鉢の一実施形態に液体を貯め植物を植え込んだ状態の斜視図。
【図8】本発明に係る園芸用植木鉢の他の実施形態の断面図。
【図9】本発明に係る園芸用植木鉢のさらに他の実施形態の断面図。
【図10】本発明に係る園芸用植木鉢のさらに他の実施形態の要部断面図。
【図11】図10の位置決め手段の変更例を示す要部断面図。
【図12】本発明に係る園芸用植木鉢のさらに他の実施形態の要部断面図。
【図13】本発明に係る液体収容容器の他の実施形態を示す斜視図と、その容器に収容される内鉢の斜視図。
【図14】本発明に係る液体収容容器の他の実施形態の斜視図。
【図15】本発明に係る液体収容容器のさらに他の実施形態の要部断面図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明に係る液体収容容器、及び園芸用植木鉢の一実施形態を図面に基づき詳細に説明する。先ず、液体収容容器について、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る液体収容容器の斜視図であり、内部に液体を収容していない状態を示しており、図2は、図1のA−A線に沿う要部拡大断面図と、透視窓を構成する透明部材の正面図及び側面図である。
【0016】
図1,2において、液体収容容器1は不透明のプラスチックで逆円錐台状に形成されており、底面2と壁面3とから構成され、上方が開口となっている。すなわち、液体収容容器1は上方に広がった逆円錐台に形成され、上部の開口から液体等を注入して収容することができるものである。また、この収容容器1は、後述する園芸用の植木鉢に用いることができると共に、上部開口から植物を植込んだ内鉢を収容することができ、液体収容容器1と後述の内鉢により二重構造の植木鉢を構成するものである。
【0017】
液体収容容器1は、その壁面3に複数の透視窓4が形成されている。本実施の形態では、3個の透視窓4が上下方向に等間隔に並んで形成されている。3つの透視窓4は、底面2からの高さが異なっており、一番上の透視窓4aの高さはH3に設定され、中間の透視窓4bの高さはH2に設定され、一番下の透視窓4cの高さはH1に設定され、同じピッチpで形成されている。
【0018】
透視窓4は液体収容容器1の内部に収容されている液体の状態を覗いて見ることができる。透視窓4は直径が8mm程度の円形に形成され、並べるピッチが9〜10mm程度に設定されており、3つの透視窓4が接触することなく、1〜2mm程度の隙間を有して並設されている。このため、内部に収容された液体の水平面が透視窓のどの位置にあるかを見ることで、その内容量を側面から確認することができる構成となっている。この透視窓4は液体収容容器1の壁面3に、底面2に近接して形成された3つの貫通孔を透明プラスチックからなる透明部材5で塞いで、液体が漏れない状態で接合されている。
【0019】
本実施の形態では、3つの透視窓4a、4b、4cに対応して、容器1の壁面3に3つの円形の貫通孔が形成され、この貫通孔に嵌合する3つの透明円板部5aが、透明な基板部5bより突設された透明部材5を、透視窓4a、4b、4cに嵌め込んで、漏水しないように接着されている。なお、接着剤を使用せずに、溶剤を用いて液体収容容器1と透明部材5との接触面を溶融させて、水密状態に溶着するようにしてもよい。また、液体収容容器1の壁面に貫通して形成された3つの孔を塞ぐ透明部材として、薄板の透明板を壁面3の内面に接着等で固定することで水密状態に接合してもよい。このように、液体収容容器1は不透明材で容器本体が形成され、複数の透視窓4は透明材で形成されている。
【0020】
本実施形態の液体収容容器1は、底面2の近傍の壁面3に等間隔で形成された3つの貫通孔に、同様に等間隔の3つの透明円板部5aを突出して形成した透明部材5を嵌合させ、接着剤で漏水しないように接着して構成されるが、透明部材5を容器1に接着する代わりに、液体収容容器1を形成する金型に透明部材5を装着して、二色成型により形成することもできる。また、図3に示される液体収容容器1Aの透明部材5Aのように、3つの透明円板部5cが、透明な傾斜した基板部5dより突設され、基板部の下端に水平部5eが形成されたものを用いてもよい。
【0021】
このように構成された液体収容容器1は、内部に液体を注入したとき、壁面3に縦方向に等間隔で並んで形成した透視窓4a、4b、4cを通して、液体の存在を確認することができる。本実施の形態のように、底面2の近傍に3つの透視窓が形成されている例では、1番上の透視窓4aまで液体があるときにはまだ残量に余裕があることを確認でき、中間の透視窓4bまで液体があるときには余裕が少ないことを確認でき、1番下の透視窓4cまで液体が下がったときには残量が少なく余裕のないことが分かる。
【0022】
つぎに、本発明に係る園芸用植木鉢10について、図4〜7を参照して詳細に説明する。図4は植木鉢の斜視図であり、液体を注入せず、植木を植込まない状態を示している。図5(a)は図4の断面図であり、(b)はラベルの正面図、(c)はラベルの変更例の要部正面図である。図6(a)は植物を植込むための内鉢の斜視図、(b)は平面図である。図7は園芸用植木鉢に植物を植込んだ状態を示す斜視図である。園芸用植木鉢10は、前記のように構成された液体収容容器1を用いて構成される。すなわち、園芸用植木鉢10は、液体収容容器1の内部に嵌合される内鉢11と、この内鉢11の底面に連結固定される給水材12とを備えて構成される。また、本実施形態では、園芸用植木鉢10は内鉢11に連結され、液体収容容器1の上部から突出するラベル13を備えている。また、液体収容容器1を植木鉢として、そのまま使用することもできる。
【0023】
園芸用植木鉢10の内鉢11内には、植物15を植込むための植込み材16が収容され、給水材12は植込み材16に接触するように構成される。内鉢11は、プラスチックで上方が開口する逆円錐台状に形成され、外周面には多数のスリット11aが上下方向に沿って形成されている。また、内鉢11の上端円周部には外周側に延出するつば部11bが形成され、底面には多数の貫通孔11cが形成されている。底面の多数の貫通孔11cの形状は、本実施形態では小円形の孔であるが、形状はどのような形状でもよく、四角形、三角形、扇形等、適宜の形状を用いることができる。
【0024】
植物15を植込む植込み材16としては、培養土、オアシス、セラミス、ハイドロコーン、ポリマー、スポンジ、水苔、パーライト、ゼオライト、ピートモス、ココヤシ、パーミキュライト等、適宜のものを用いることができる。また、給水材12は、内部に収容された植込み材16に液体を供給する機能を有し、吸水ひも、合成繊維、スポンジ、不織布、マジックインキ(登録商標)の芯を構成する繊維束、フェルト、等、毛細管現象で液体を吸い上げる機能を有する適宜のものを用いることができる。給水材12は内鉢11の底面に形成された貫通孔に圧入され、その上に植込み材16が詰め込まれると植込み材の底面と給水材12が接触する構成となっている。
【0025】
液体収容容器1に収容される内鉢11の高さは、液体収容容器の高さの半分程度に設定され、内鉢11は液体収容容器1の上部に、下部に空間を有するように位置決めされる。すなわち、内鉢11の上部外周に突出するつば部11bが、上方に向けて広がる液体収容容器1の内周面と接触して位置決めされ、内鉢11が下方に下がることができない状態となる。この状態では、下方に空間が形成され、この空間に植物15を育てるための水や培養液等の液体を収容することができる。この実施形態では、内鉢11の外周のつば部11bが内鉢の位置決め手段を構成する。
【0026】
内鉢11には、この内鉢を外部に引出すための引出し材として、ラベル13が連結固定されている。ラベル13は合成紙等の水に強い素材や、プラスチックの薄板で形成され、上部の幅広の表示部13aと、中間の幅狭の延長部13bと、下部の幅広の係合部13cとを有している。表示部13aは、ラベル、レッテル等の多機能部位として用いられ、この部位には、商品名、ブランド名、植込む植物の品種や、管理方法等の説明文、バーコード等が記載される。係合部13cは、内鉢11の壁面に形成されたスリット11aに差し込まれ、内鉢11を上方に移動させるべく係合している。中間部13bは表示部13aと係合部13cとを繋ぐもので、係合部13cを内鉢11のスリットに差し込んで内鉢を液体収容容器1に収容したとき、容器1の上部から表示部13aが露出するような長さに設定されている。
【0027】
前記の如く構成された本実施形態の液体収容容器1を用いた園芸用植木鉢10では、植物15を育てるときに液体収容容器1内に貯められた水の量を容易に外部から確認することができる。この園芸用植木鉢10で植物15を育てるときは、外側の鉢である液体収容容器1に水等の液体を所定の量だけ注入する。所定の量とは、液体収容容器1の内部に内鉢11を収容したときに内鉢の底面が接触しない水量であることが好ましい。
【0028】
内鉢11内の底面に形成した貫通孔に給水材として給水スポンジ12を挿通させ、給水スポンジの上部を内鉢11内に突出させ、給水スポンジの下部を垂らしておく。そして、内鉢11のスリットにラベル13の係合部13cを差し込んで固定する。内鉢11内に植込み材16を収容すると、収容された植込み材16と内鉢11の底面に固定された給水スポンジ12とが接触する。収容された植込み材16に植物15を植込んで、内鉢11を完成させる。ラベル13は内鉢11に係合していて抜け落ちることがないため、ラベルの紛失を防ぐことができる。
【0029】
このように植物15が植込まれた内鉢11を液体収容容器1の上部の開口に挿入すると、内鉢11の外周のつば部11bが容器1の壁面2の内周面に接触して下方に移動することができなくなり、その位置に固定される。この位置決めされた状態では、内鉢11の底面から突出した給水スポンジ12は容器内に収容された水や液体に浸漬され、毛細管現象により水や液体を吸い上げることができる。そして、吸い上げられた水や液体が植込み材16にしみ込み、植物15に供給される。
【0030】
収容された水や培養液が消費され減量すると、液体収容容器1の壁面3に形成された複数の透視窓4を通して内部の液体Wの水平面Sから残量を確認することができる。この透視窓4は複数個が所定の間隔で一列に並んで形成されているため目盛として機能し、液体Wの残量を容器1の側面から正確に確認することができると共に、あと何日ぐらい補給しなくてもよいか等を外部から容易に知ることができるため、店頭等で陳列されている多数の植物を点検する場合等は、管理が容易となる。
【0031】
液体収容容器1の内部に嵌合された内鉢11の下部を点検する場合、あるいは収容された液体が少量になり補給する場合には、ラベル13を使用して内鉢11を液体収容容器1から取外す。すなわち、液体収容容器1の上部に突出しているラベル13の幅広の表示部13aをつまんで上方に引き上げると、植物15の植込まれた内鉢11は係合部13cが内鉢の壁面に形成されたスリット11aに係合しているため持ち上げられ、液体収容容器1から内鉢11を取外すことができる。内鉢11の取外しは、ラベル13を持ち上げて行うため手を汚すことがない。
【0032】
このようにして、外側の液体収容容器1から内鉢11を外すと、液体収容容器1は上方が開口するため、この開口から内部の状態を確認できる。例えば、液体収容容器1の内部が汚れている場合は清掃することができる。また、内部に貯められた水等の容量が少ない場合は、上部の開口から水等を補給する。このように、本実施形態の園芸用植木鉢10は、給水管理が楽に行なえ、液体が減量した場合でも容易に補給することができる。
【0033】
本発明の他の実施形態を図8に基づき詳細に説明する。図8は本発明に係る液体収容容器と、この容器を用いた園芸用植木鉢の他の実施形態の断面図である。なお、この実施形態は前記した実施形態に対し、液体収容容器1に内鉢11を位置決めする位置決め手段が異なるものである。すなわち、前記の実施形態では、内鉢11はその上部の外周つば部11bが液体収容容器1の内周面に接触して、内鉢11が下方に下がるのを防止しているのに対し、この実施形態では容器底面から立ち上げた複数の柱により、内鉢の低下を防止するものである。
【0034】
図8において、液体収容容器1Bは、その底面2から上方に向けて内鉢11Aを容器1内で位置決めするための位置決め手段として、複数本の柱6が突出形成されている。複数本の柱6は、その上端が内鉢11Aの底面に接触したとき、液体収容容器1内の最適な位置に位置決めできるように、その高さが設定されている。内鉢11Aは複数の柱6に突き当たることで下方への移動が阻止されるため、前記の実施形態の内鉢11のように、上部縁部につば部が形成されておらず、内鉢の上部と容器1の内周面とは接触していない。この実施形態の位置決め手段では、複数の柱6は容器の成型と同時に一体的に形成できるため、製造が容易となる特長がある。
【0035】
図9は、位置決め手段の変更例を示す断面図である。図9に示す内鉢の位置決め手段は、液体収容容器1Cの底部内周面に複数のリブ7が上下方向に形成されている。図示の例では、外周の6個所にリブが形成されており、リブの上端の水平面に内鉢11Aが当接して位置決めするように構成されている。この実施形態では、つば部のない内鉢11Aが液体収容容器1Cに挿入されると、容器1の底面が複数のリブ7の上端面と接触して、それ以上の下降を防ぐことができ、内鉢の位置決めがなされる。この実施形態のリブ7は液体収容容器11Cを成形するときに同時にリブ7を形成できるため、製造が容易となる特長がある。
【0036】
図10は、位置決め手段の他の変更例を示す要部断面図である。図10に示す内鉢の位置決め手段は、液体収容容器1Dの上部内周面に水平状に形成された複数の突起8である。この突起8は容器から内周側へ突出しており、上部は平坦面となっている。突起8の上部平坦面には内鉢11のつば部11bが接触することができ、容器1D内に内鉢11を挿入すると、つば部11bが複数の突起8に突き当たり、それ以上の下降が阻止され、位置決めがなされる。また、図11に示す位置決め手段は、液体収容容器1Eの内周面の上部に、周回状に形成されたリング状部9であり、このリング状部9と内鉢11のつば部11bが接触することで、内鉢の容器内での位置決めが行われる。
【0037】
図12は、位置決め手段のさらに他の変更例を示す要部断面図である。図12に示す内鉢の位置決め手段は、内鉢に連結固定されたラベルで構成される。ラベル18はプラスチックの薄板で形成され、上部の幅広の表示部18aと、中間の幅狭の延長部18bと、下部の幅広の係合部18cとを有している。表示部18aは液体収容容器1の上端面に引っ掛かるように延長部18bの長さが設定されている。すなわち、係合部18cをスリット11aに係合させ、内鉢11Aを位置決めする位置に合わせて延長部18bの長さが決められる。この変更例では、ラベル18の表示部18aの横方向に突出した部分を容器1の外周側へ折り曲げ、折り曲げられた表示部が容器1の上縁に引っ掛かることで、内鉢11Aの位置決めがなされる。この変更例では、液体収容容器を変更する必要がなく、ラベル18の長さを設定することで内鉢を容器内で最適な位置に位置決めすることができる、という特長がある。
【0038】
図13を参照して、液体収容容器の他の実施形態について説明する。この液体収容容器は、全体形状が異なると共に、容器の壁面に形成した透視窓の形状が異なることを特徴とする。そして、他の実質的に同等の構成については同じ符号を付して詳細な説明は省略する。なお、この実施形態の液体収容容器も、前記した実施形態と同様に、液体収容容器の内部に内鉢を挿入することで二重構造の園芸用植木鉢として使用することができるものである。
【0039】
図13において、液体収容容器1Fは、全体形状が六角柱の形状をしており、壁面の1つの下部に3つの透視窓4d、4e、4fが形成されている。3つの透視窓は四角形に形成され、内部には「H」、「M」、「L」の記載が付されており、液面の高さが高い「H」、中位「M」、低い「L」を示している。この例でも、透視窓の透明面を通して液面の高さを知ることができる。
【0040】
このため、この容器1Fを園芸用植木鉢に利用すると、植物へ供給する水等の液体の容量を壁面から確認できるため、植物の水遣りが容易となり、管理が容易に行える。図13では、液体Wの水面Sは上の透視窓4d内にあり、植木鉢として利用したときには水分はまだ余裕のある状態であることを示している。この液体収容容器1Fには、六角柱の形状の内鉢11Bが内部に嵌合され、内鉢11Bの下方には給水材12が延出して固定されている。内鉢11B内に植込み材を収容し、植込み材に植物を植込んで液体収容容器1F内に収容することで、水遣り管理の容易な園芸用植木鉢とすることができる。
【0041】
図14に示す液体収容容器1Gは、複数の透視窓からなるセットを2セット有している。容器1Gの壁面には第1のセットの透視窓4a,4b,4cが形成され、壁面の対向する位置には、第2のセットの透視窓4Aが形成されている。この実施形態では、容器1G内部の液体の状態を透視窓4で確認するときに、反対側の透視窓4Aから光が容器内に入射し、内部が明るくなるため透視窓4での液体の有無や水量を容易に確認することができる。なお、2セットに限らす、3セット以上の複数セットとすることができる。
【0042】
また、本発明の液体収容容器のさらに他の実施形態は、透明材で形成され、前記複数の透視窓以外の壁面は不透明に形成されている。具体的には、この液体収容容器1Hは図15に示されるように、例えば透明のプラスチックでコップ状に形成され、少なくとも壁面3の外周は塗装面T等により不透明に形成されている。そして、壁面3の底面2近傍には、塗装面の無い状態の透視窓4a,4b,4cが複数、底面からの高さが異なるように形成され、透明部材5で封着されている。塗装面の無い状態は、例えばマスキングして塗装し、その後マスキング部分を外すことで形成することができる。また、壁面の外周を不透明のテープ等で覆い、透視窓部分を貫通孔で形成して、内部の状態を確認できるように構成してもよい。
【0043】
本発明の液体収容容器は、その外形形状は前記した実施形態に限られるものでなく、壁面と底面を有し、上方が開口しており、内部に液体や固体を収容できるものであれば、いかなる形状でもよい。また、収容された液体の状態を見るための透視窓の形状も前記した実施形態に限られるものでなく、三角形、星型、ハート形、菱形等の形状の他に、数字やローマ字を抜き取った形状、電柱形の形状等、適宜の形状を選択することができる。
【0044】
前記した各実施形態では、内鉢には培養土等で植込んだ植物の例を示したが、セラミスや、本発明はハイドロコーン等の水耕栽培にも適用することができる。また、前記した実施形態では液体の状態を確認する透視窓は透明の窓で構成される例を示したが、水等の液体と触れると色が変わる樹脂を使用して、窓の色の変化で液体の状態を確認することも可能である。
【0045】
また、本発明に係る液体収容容器は、透明材で形成され、前記複数の透視窓以外の壁面は不透明に形成されているものでもよい。すなわち、容器本体を例えば透明の合成樹脂で形成し、液体を透視する窓以外の部分を不透明としてもよい。不透明部としては、黒色や茶色等の暗色で塗装して窓部分のみを透明とし、この透明の窓から内部の液体の状態を確認するように構成することができる。また、不透明部として、シール材やテープ等を粘着し、窓に相当する部分を貫通孔として内部の液体の状態を確認することもできる。
【0046】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。例えば、液体収容容器の壁面に形成した複数の透視窓は、底面近傍の壁面に形成した例を示したが、より上方まで形成してもよいことは勿論である。すなわち、実施の形態では、液体収容容器の上部には植物を植込む中鉢が収容されるため、透視窓は下方のみに形成したが、中鉢を収容しない場合は透視窓を上部まで形成することができる。
【0047】
また、液体収容容器の形状として、円錐台状の容器の例を示したが、これに限られるものでなく、例えば円筒状の容器等、適宜の形状で形成してもよい。さらに、容器の壁面に形成された複数の透視窓の数は2つでも、4つ以上でもよい。複数の透視窓の底面からの高さは等間隔でなくてもよく、上部の間隔を広く、下部の間隔を狭くする等、適宜設定することができる。
【0048】
さらに、液体収容容器として合成樹脂製の容器の例を示したが、金属製や、陶器製等の他の素材を用いてもよいことは勿論である。また、透視窓として透明の合成樹脂製の窓の例を示したが、透明ガラス等の他の素材を用いることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明の活用例として、この液体収容容器を用いて内部に収容されている液体の容量を知ることができ、植木鉢以外の用途にも適用できる。
【符号の説明】
【0050】
1,1A,1B,1C,1D,1E,1F,1G,1H:液体収容容器、2:底面、3:壁面、4:透視窓、5:透明部材、6:柱(位置決め手段)、7:リブ(位置決め手段)、8:突起(位置決め手段)、9:リング状部(位置決め手段)10:園芸用植木鉢、11:内鉢、11a:スリット、11b:つば部(位置決め手段)、12:給水スポンジ(給水材)、13:ラベル(引出し材)、13a:表示部、13c:係合部、15:植物、16:植込み材、18:ラベル(位置決め手段)、W:水(液体)、S:水平面、T:塗装面(不透明面)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を収容する容器であって、該容器は底面と壁面で上方開口に形成され、前記壁面には上下方向に複数の透視窓が形成されており、該複数の透視窓は前記容器の底面からの高さが異なっていることを特徴とする液体収容容器。
【請求項2】
前記液体収容容器は、逆円錐台形状であり、前記複数の透視窓は前記容器底面に近接して並べて形成されていることを特徴とする請求項1に記載の液体収容容器。
【請求項3】
前記液体収容容器は、不透明材で形成され、前記複数の透視窓は透明材で形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の液体収容容器。
【請求項4】
前記液体収容容器は、透明材で形成され、前記複数の透視窓以外の壁面は不透明に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の液体収容容器。
【請求項5】
前記液体収容容器は、前記複数の透視窓を複数セット有することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の液体収容容器。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の液体収容容器を園芸用に用いたことを特徴とする園芸用植木鉢。
【請求項7】
前記園芸用植木鉢の内部に嵌合され植物を植込む植込み材を収容する内鉢と、前記内鉢から下方に延出し前記植込み材と接触する給水材とを備えることを特徴とする請求項6に記載の園芸用植木鉢。
【請求項8】
前記内鉢は、前記園芸用植木鉢から該内鉢を外部に引出す引出し材を備えることを特徴とする請求項7に記載の園芸用植木鉢。
【請求項9】
前記引出し材は、前記園芸用植木鉢から外部に突出する部位を有し、該部位はラベル、レッテル等の多機能部位として用いられることを特徴とする請求項8に記載の園芸用植木鉢。
【請求項10】
前記園芸用植木鉢は、前記内鉢を該容器内部に位置決めする位置決め手段を有することを特徴とする請求項7から9のいずれかに記載の園芸用植木鉢。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−182727(P2011−182727A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−52661(P2010−52661)
【出願日】平成22年3月10日(2010.3.10)
【出願人】(597078363)株式会社ドリーム・ワールド (1)
【出願人】(507418876)有限会社ナカハシ (1)
【Fターム(参考)】