液体収容容器、液体収容容器の再生方法、再生液体収容容器の使用方法及び液体収容容器におけるシール方法
【課題】液体収容容器の外郭形状及び内部に収容した液体の組成に変化を及ぼすことなく信頼性の高いシール性を確保して再生可能とされた液体収容容器、そうした液体収容容器の再生方法、そのように再生された再生液体収容容器の使用方法、及び、液体収容容器におけるシール方法提供する。
【解決手段】使用済みのインクカートリッジ11のインク注入孔及びインク供給孔23を被覆するように容器本体12に接合されているフィルムであって且つ各孔に連通する穴41が開けられたカバーフィルム32の上に穴を塞ぐように積層フィルム60を接合して孔を封止するにあたり、積層フィルムをカバーフィルムの上にインクカートリッジに対するカバーフィルムの接合強度よりも弱い接合強度であって且つ積層フィルムが剥離操作されたときには積層フィルムをカバーフィルム上から剥離可能とする接合強度で接合し、プリンタへの装着時には剥離するようにした。
【解決手段】使用済みのインクカートリッジ11のインク注入孔及びインク供給孔23を被覆するように容器本体12に接合されているフィルムであって且つ各孔に連通する穴41が開けられたカバーフィルム32の上に穴を塞ぐように積層フィルム60を接合して孔を封止するにあたり、積層フィルムをカバーフィルムの上にインクカートリッジに対するカバーフィルムの接合強度よりも弱い接合強度であって且つ積層フィルムが剥離操作されたときには積層フィルムをカバーフィルム上から剥離可能とする接合強度で接合し、プリンタへの装着時には剥離するようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を収容した液体収容容器、使用済み液体収容容器を液体の再充填により再生する液体収容容器の再生方法、そのように再生された再生液体収容容器の使用方法、及び液体収容容器におけるシール方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の液体収容容器として、例えば液体噴射装置の一種であるインクジェット式プリンタ(以下、「プリンタ」という。)に着脱可能に装着されるインクカートリッジが知られている。このインクカートリッジは、略扁平箱状をなす容器本体を有しており、その容器本体内には、インク(液体)を収容可能なインク収容室が区画形成されている。また、容器本体の下面には、インク収容室にインクを初期充填するときに使用されるインク注入孔と、インクカートリッジがプリンタに装着された場合にインク導入用の中空針が挿入されるインク供給孔が開口形成されている。そして、それらのインク注入孔及びインク供給孔は容器本体の下面に溶着により接合されたフィルムによってインクの漏出を抑制すべく封止されている。
【0003】
こうしたインクカートリッジにあっては、プリンタに装着された後において、プリンタでの印刷等によってインクが消費されると、インク収容室内のインク残量が少なくなり、最後には使用済みのインクカートリッジとなって新しいインクカートリッジと交換されることになる。このような交換によりプリンタから取り外された使用済みのインクカートリッジについては、その容器本体も複数回の使用に応えることができるものであるため、近時においては、インクを再充填することにより再使用可能なインクカートリッジとして再生し、もって資源の有効利用、環境保全などに資することが提案されている(例えば、特許文献1)。
【0004】
この特許文献1では、使用済みインクカートリッジにインクを再充填する際、その再充填に先立ち、穴開け用の治具を使用してインク注入孔を被覆しているフィルムに穴を開けるようにしている。そして、かかるフィルムに開けられた穴から例えばシリンジをインク注入孔内へ進入させることによりインクを再充填した後、その穴開きフィルムの上に別の封止フィルムを載せて加熱し、その加熱により封止フィルムの下面側が溶融して穴開きフィルムに溶着することにより上記穴からのインクの漏出を抑制するようにしている。
【0005】
また、新品出荷段階でインク供給孔を被覆していたフィルムについては、新品使用段階におけるプリンタへの装着時に中空針に突き破られて穴が開いているため、使用済みインクカートリッジとして回収された時点では穴開きフィルムとなっており、その穴開きフィルムにおける穴周りの切片には古いインクが付着している。そのため、インクの再充填後に再生インクカートリッジとして再出荷する場合には、そのインク供給孔を被覆している穴開きフィルムの上に穴を塞ぐように封止フィルムを溶着により接合してインク供給孔を封止するようにしている。そして、再生されたインクカートリッジをプリンタに装着して再使用する場合には、プリンタへの装着時に封止フィルムが中空針に突き破られて穴を開けられ、そのように封止フィルムを突き破ってインク供給孔に挿入された中空針を介して再生インクカートリッジからプリンタへのインク供給が可能となるようにしていた。
【特許文献1】実用新案登録第3118670号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、このように使用済みインクカートリッジを回収してインクを再充填することにより再生インクカートリッジとして再出荷することを何度も繰り返した場合には、その再生の都度、インク供給孔及びインク注入孔に対してフィルムが次々と積み重なるように接合されることになる。そのため、こうした再生インクカートリッジにあっては、再生を繰り返す毎に積層された各フィルムの厚さ合計分だけ外郭形状が局所的に変化してしまい例えば液体噴射装置に対してインクカートリッジを適正な位置態様で装着できなくなる等の不具合を生じるおそれがあった。
【0007】
また、こうした再生インクカートリッジにあっては、その再生にあたって穴開きフィルムにおける穴周りの切片に付着している古いインクを洗浄して除去するようにしている。しかしながら、複数の穴開きフィルムが積層された状態の使用済みインクカートリッジを回収した場合には、各穴開きフィルムの切片同士の間に古いインクが入り込んで付着していることがあり、そうした切片間に入り込んで付着している古いインクは洗浄によっても容易に除去できないことがあった。そのため、回収された使用済みインクカートリッジがインクを再充填されると共に更に新たな封止フィルムを接合されて再生された場合には、除去できなかった古いインクと再充填された新しいインクが混じり合ってしまい、インクの組成に変化を及ぼしてしまうおそれもあった。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものである。その目的は、液体収容容器の外郭形状及び内部に収容した液体の組成に変化を及ぼすことなく信頼性の高いシール性を確保して再生可能とされた液体収容容器、そうした液体収容容器の再生方法、そのように再生された再生液体収容容器の使用方法、及び、液体収容容器におけるシール方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、液体収容容器のシール方法に係る本発明は、液体収容容器に形成された孔を被覆するように前記液体収容容器に接合されているフィルムであって且つ前記孔に連通する穴が開けられた穴開きフィルムの上に前記穴を塞ぐように封止フィルムを接合して前記孔を封止するにあたり、前記封止フィルムを前記穴開きフィルムの上に前記液体収容容器に対する前記穴開きフィルムの接合強度よりも弱い接合強度であって且つ前記封止フィルムが剥離操作されたときには該封止フィルムを前記穴開きフィルム上から剥離可能とする接合強度で接合した。
【0010】
この発明によれば、封止フィルムにより液体収容容器のシール性を確保できると共に、その封止フィルムについては必要に応じて剥離することも可能とされる。そのため、液体収容容器を使用済みの液体収容容器として回収した後に液体を再充填することにより再生する場合にも、それ以前の段階で封止フィルムを剥離しておけば、複数のフィルムが次々と積み重なるように接合されることもなく、液体収容容器の外郭形状が局所的に変化してしまうことを回避できる。また、使用済みの液体収容容器の再生にあたり穴開きフィルムに古い液体が付着していたとしても、そうした古い液体は洗浄により穴開きフィルムから容易に除去することができるので、再充填された液体の組成に変化を及ぼすことも回避できる。
【0011】
また、本発明の液体収容容器のシール方法において、前記穴開きフィルムは、前記液体収容容器における前記孔が形成された面に溶着により接合される接合層フィルムと該接合層フィルムが前記液体収容容器に接合された状態において表面側に露出する表層フィルムとを含む複数のフィルムが積層されてなると共に、前記封止フィルムは、前記穴開きフィルムの表層フィルムに溶着により接合される第1フィルムと該第1フィルムが前記穴開きフィルムの表層フィルムに接合された状態において表面側に露出する第2フィルムとを含む複数のフィルムが積層されてなり、前記穴開きフィルムの接合層フィルムと前記液体収
容容器における前記孔が形成された面とは互いに同系の樹脂材料で構成される一方、前記穴開きフィルムの表層フィルムと前記封止フィルムの第1フィルムとは互いに異系の樹脂材料で構成されている。
【0012】
この発明によれば、穴開きフィルムと封止フィルムは、穴開きフィルムと液体収容容器が同系の樹脂材料同士の溶着であるのに対して、異系の樹脂材料同士の溶着であるので、その溶着によりシール性を確保しつつも、液体収容容器に対する穴開きフィルムの接合強度よりは弱い接合強度での接合状態となる。したがって、封止フィルムを剥離操作した場合には、液体収容容器に対する穴開きフィルムの接合状態は維持したままで、穴開きフィルム上から封止フィルムだけを容易に剥離することができる。
【0013】
また、本発明の液体収容容器のシール方法において、前記穴開きフィルムは、前記液体収容容器における前記孔が形成された面に溶着により接合される接合層フィルムと該接合層フィルムが前記液体収容容器に接合された状態において表面側に露出する表層フィルムとを含む複数のフィルムが積層されてなると共に、前記封止フィルムは、前記穴開きフィルムの表層フィルムに溶着により接合される第1フィルムと該第1フィルムが前記穴開きフィルムの表層フィルムに接合された状態において表面側に露出する第2フィルムとを含む複数のフィルムが積層されてなり、前記穴開きフィルムの表層フィルム及び前記封止フィルムの第2フィルムは、前記封止フィルムの第1フィルムよりも溶融温度が高く且つ該第1フィルムよりも耐熱性の強いフィルムである。
【0014】
この発明によれば、穴開きフィルムの上に封止フィルムを溶着により接合させた場合、封止フィルムの第1フィルムは溶融しても穴開きフィルムの表層フィルムは溶融しないので、穴開きフィルムに対して封止フィルムを剥離可能な接合強度にて接合できる。また、その場合において封止フィルムの第2フィルムは強い耐熱性を有しているので、シール性を良好に確保することができる。
【0015】
また、本発明の液体収容容器のシール方法において、前記封止フィルムは、前記穴開きフィルムからの剥離操作を可能とするイージーピール機能を有したフィルムである。
この発明によれば、必要に応じて封止フィルムを簡単に剥離操作により剥離することができる。
【0016】
また、本発明の液体収容容器のシール方法において、前記封止フィルムには、該封止フィルムを剥離操作する際に把持可能な把持部が設けられている。
この発明によれば、封止フィルムの把持部を把持することにより封止フィルムを容易に剥離することができる。
【0017】
また、本発明の液体収容容器のシール方法において、前記孔は、前記液体収容容器が液体噴射装置に装着された場合に該液体噴射装置に設けられた液体導入用の中空針が挿入される液体供給孔であって、前記穴開きフィルムは、前記液体供給孔を被覆するように前記液体収容容器に接合されているフィルムが前記液体収容容器を前記液体噴射装置に装着したときに前記中空針により突き破られて穴が開けられたフィルムである。
【0018】
この発明によれば、液体収容容器における液体供給孔からの液体の漏出を抑制できると共に、その液体収容容器の再生に伴い液体供給孔の部分において局所的に液体収容容器の外郭形状が変化することを回避でき、更には液体供給孔から中空針を介して液体噴射装置に供給される液体の組成が変化することを回避できる。
【0019】
また、本発明の液体収容容器のシール方法において、前記孔は、前記液体収容容器内に液体を注入するために形成された液体注入孔であって、前記穴開きフィルムは、前記液体
注入孔を被覆するように前記液体収容容器に接合されているフィルムが前記液体収容容器内に前記液体注入孔から液体を再充填するために穴を開けられたフィルムである。
【0020】
この発明によれば、液体収容容器における液体注入孔からの液体の漏出を抑制できると共に、その液体収容容器の再生に伴い液体注入孔の部分において局所的に液体収容容器の外郭形状が変化することを回避でき、更には液体注入孔から液体収容容器内に再充填した液体の組成が変化することを回避できる。
【0021】
次に、本発明の液体収容容器の再生方法は、使用済みの液体収容容器内に液体を再充填した後、その液体収容容器に形成された孔を被覆すると共に該孔に連通する穴が開けられた穴開きフィルムの上に前記穴を塞ぐように封止フィルムを接合することにより前記孔を封止して液体収容容器を再生するにあたり、前記封止フィルムを前記穴開きフィルムの上に接合する際には、上記の液体収容容器におけるシール方法を用いた。
【0022】
この発明によれば、良好なシール性を確保しつつ、局所的な外郭形状の変化及び液体の組成の変化がない液体収容容器を再生することができる。
次に、本発明の再生液体収容容器の使用方法は、上記の液体収容容器の再生方法により再生された再生液体収容容器を液体噴射装置に装着して再使用するにあたり、前記再生液体収容容器を、該液体収容容器が液体噴射装置に装着された場合に該液体噴射装置に設けられた液体導入用の中空針が挿入される液体供給孔を封止している封止フィルムを剥離してから、前記液体噴射装置に装着する構成とした。
【0023】
ここで、液体供給孔から封止フィルムを剥離せずに液体収容容器を液体噴射装置に装着する場合には、中空針に封止フィルムを突き破らせ得るだけの装着負荷が必要になると共に、中空針が封止フィルムを突き破った時点で液体供給孔内の圧縮された空気が中空針を介して液体噴射装置側に気泡となって液体と共に入り込む不具合が生じる。これに対し、本発明では、液体噴射装置に対する液体収容容器の装着時において中空針は封止フィルムが剥離された後に穴開きフィルムの穴を通して液体供給孔に挿入されることになる。そのため、本発明によれば、液体収容容器の液体噴射装置への装着時の負荷低減を図ることができると共に、液体噴射装置に対して気泡混じりの液体が供給されることを回避することができる。
【0024】
次に、本発明の液体収容容器は、上記の液体収容容器の再生方法により再生される。
この発明によれば、良好なシール性を確保しつつ、局所的な外郭形状の変化及び液体の組成の変化がない液体収容容器を得ることができる。
【0025】
また、本発明の液体収容容器において、前記液体収容容器は袋体に収容されている。
この発明によれば、液体収容容器の出荷後における保護を袋体にて図ることができる。
また、本発明の液体収容容器において、前記液体収容容器は、可撓性を有する袋体に収容されると共に、その袋体内は真空引きされている。
【0026】
この発明によれば、袋体内が真空引きされていることにより、液体収容容器が収容している液体の脱気度を良好に維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明を液体噴射装置の一種であるインクジェット式プリンタ(以下、「プリンタ」と略称する。)に着脱可能に装着されるインクカートリッジ及びその使用済みインクカートリッジの再生方法などに具体化した一実施形態について図1〜図11を参照しながら説明する。なお、本明細書中の以下の説明において、「前後方向」、「左右方向」、「上下方向」をいう場合は、図1〜図4等において矢印で示す前後方向、左右方向、上下方
向をそれぞれ示すものとする。
【0028】
図1〜図4は、新品段階での液体収容容器としてのインクカートリッジ11を示すものであり、同図に示すように、インクカートリッジ11は、例えばポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン(PO)系の樹脂材料からなる前面側が開口した扁平略矩形箱形状の容器本体12を有している。容器本体12の前面には、その開口部12a(図4参照)の略全面を覆うように熱溶着可能な材料からなるフィルム部材(図示略)が貼着されると共に、そのフィルム部材の外側(前面側)から開口部12aを隠蔽するように蓋体13が着脱可能に取着されている。また、容器本体12の後面には、その後面の略全体を覆うように熱溶着可能な材料からなるフィルム部材14が貼着されると共に、容器本体12の上面には、そのインクカートリッジ11内に収容された液体としてのインクの色の種類等を示す帯状の識別ラベル15が貼着されている。
【0029】
図2〜図4に示すように、容器本体12の左側面の下部には、このインクカートリッジ11がプリンタに設けられたカートリッジホルダ(図示略)に対して装着される場合に、カートリッジホルダ側に設けられたガイド凹条(図示略)内に挿入されて装着方向をガイドされるガイド凸条16が上下方向に沿って延びるように形成されている。
【0030】
また、図1〜図4に示すように、同じく容器本体12の左側面においてガイド凸条16よりも上方となる位置からは弾性変形可能に形成された係合レバー17が左斜め上方に向けて延設され、その係合レバー17の表面となる左側面の略中央部には係止爪17aが水平方向に沿うように突設されている。したがって、インクカートリッジ11は、プリンタのカートリッジホルダに装着された場合、係合レバー17が弾性変形すると共に、その係止爪17aがカートリッジホルダ側の一部に係止することにより、カートリッジホルダに対して位置決め状態で装着されるようになっている。
【0031】
一方、図1に示すように、容器本体12の右側面の下部には、基板ユニット18が取り付けられ、その基板ユニット18の表面側には半導体記憶素子を実装した回路基板19が設けられている。なお、回路基板19の半導体記憶素子にはインクカートリッジ11に関する各種情報(例えば、インク色情報、インク残量情報など)が記憶されている。そして、回路基板19は、インクカートリッジ11がプリンタのカートリッジホルダに装着された際に、回路基板19の表面に露出した端子19aがカートリッジホルダ側に設けられた接続端子と接触することにより、プリンタ側の制御装置(図示略)との間で各種情報を受け渡しするようになっている。
【0032】
また、図3及び図4に示すように、容器本体12の下面には、その右端側から左端側へ順に、矩形状をなす開口部20、円形状をなす第1インク注入孔21、同じく円形状をなす第2インク注入孔22、及び左右両側に略コ字状の一対のガイド壁23aを有してなる円形状のインク供給孔23が形成されている。開口部20の内部は、大気連通路の一部を構成する大気連通室24となっており、この大気連通室24は図示しない大気開放口を介して容器本体12の外部(すなわち、大気)に連通している。そして、この大気連通室24内には、その内奥から順に、コイルばね25、弁体26及び弁支持部材27が収容されている。
【0033】
液体注入孔としての第1インク注入孔21は、容器本体12内にリブ28により区画形成された液体収容室としての上部インク収容室29及び下部インク収容室30に細い流路21a及び狭い流入口21bを介して連通している。また、同じく液体注入孔としての第2インク注入孔22は、そのまま下部インク収容室30に連通している。これらの両インク注入孔21,22は、各インク収容室29,30にインクを初期充填する際に使用されるものであり、その初期充填が終了した後は、図2〜図4に示すように、容器本体12の
下面(すなわち、孔が形成された面)に溶着により接合されたカバーフィルム31により開口部20と共にシールされている。
【0034】
因みに、このカバーフィルム31は、図6及び図7に示すように、容器本体12の下面に溶着される接合層フィルム31aと、その接合層フィルム31aが容器本体12の下面に溶着された状態ではカバーフィルム31の表面側に露出する表層フィルム31bとが積層された構成をしている。ここで、接合層フィルム31aは、所定の加熱温度で溶融して溶着機能を良好に発揮するポリオレフィン(PO)系のフィルム、すなわちインクカートリッジ11の容器本体12を構成する樹脂材料と同系の樹脂材料からなるフィルムで構成されている。なお、インクカートリッジ11の容器本体12がエステル系の樹脂材料にて構成されている場合には、カバーフィルム31の接合層フィルム31aについても同系のエステル系の樹脂材料からなるフィルムで構成されることになる。
【0035】
その一方、表層フィルム31bは、接合層フィルム31aの溶融温度では溶融することなく且つ接合層フィルム31aよりも耐熱性に優れたポリエチレンテレフタレート(PET)系のフィルム又はナイロン(NY)系のフィルムにより構成されている。すなわち、カバーフィルム31の表層フィルム31bは、インクカートリッジ11の容器本体12及びカバーフィルム31の接合層フィルム31aを構成する樹脂材料とは異系の樹脂材料からなるフィルムで構成されている。
【0036】
また、液体供給孔としてのインク供給孔23は、インクカートリッジ11がプリンタのカートリッジホルダに装着された際に、そのカートリッジホルダに設けられた中空針構造のインク供給針39(図11参照)が挿入される孔であり、図2及び図3に示すように、プリンタのカートリッジホルダに装着される前の新品状態ではカバーフィルム32により封止されている。因みに、このカバーフィルム32は、インク注入孔21等をシールするために容器本体12の下面に接合されるカバーフィルム31と同様に、ポリオレフィン(PO)系のフィルムからなる接合層フィルムとポリエチレンテレフタレート(PET)系のフィルム又はナイロン(NY)系のフィルムからなる表層フィルムとが積層されたフィルム構成をしている。そして、このカバーフィルム32は、インクカートリッジ11がプリンタのカートリッジホルダに装着されたときに、そのカートリッジホルダに設けられているインク供給針39に突き破られて穴41(図5(b)参照)が開けられることになる。
【0037】
図3及び図4に示すように、インク供給孔23内には、カートリッジホルダ側のインク供給針39のインク供給孔23内への挿入を許容するエラストマ等からなる環状のシール部材33と、このシール部材33に着座する供給弁34と、この供給弁34をシール部材33に向けて付勢するコイルばね35とが収容されている。すなわち、インク供給孔23は、コイルばね35に付勢された供給弁34がシール部材33に圧接することにより、常には容器本体12外へのインクの流出が規制された閉塞状態となる。その一方、カートリッジホルダ側のインク供給針39がインク供給孔23内に挿入されたときには、そのインク供給針39に押されて供給弁34がコイルばね35の付勢力に抗してインク供給孔23の内奥へ移動し、シール部材33から離間することにより、インク供給孔23は、容器本体12外へのインクの流出(つまり、インク供給)が許容された開放状態となる。
【0038】
上記のように構成されたインクカートリッジ11は、プリンタのカートリッジホルダに装着された状態でインクが消費され、そのインク残量がなくなると使用済みのインクカートリッジとなり、カートリッジホルダから取り外されて新しいインクカートリッジと着脱交換されることになる。こうして取り外された使用済みのインクカートリッジは、それを廃棄処分にすることなく、近時は、資源の有効利用及び環境保全の見地からインクを再充填することにより再使用可能なインクカートリッジとして再生するのが一般的である。
【0039】
そこで次に、こうした使用済みのインクカートリッジ11を再生する方法について図面を参照しながら説明する。
さて、図5(a)に示すように、未だプリンタのカートリッジホルダに装着されたことのないインクカートリッジ11は、その容器本体12の下面に接合されている各カバーフィルム31,32によりシール機能が付与された新品状態にある。一方、カートリッジホルダから取り外されて新しいインクカートリッジと交換される使用済みのインクカートリッジ11は、図5(b)に示すように、インク供給孔23を被覆していたカバーフィルム32における孔被覆領域40の中央部分がプリンタに設けられたインク供給針39により突き破られて穴41が開けられている。すなわち、この時点でカバーフィルム32は、その孔被覆領域40にインク供給孔23に連通する穴41が開けられた穴開きフィルムとなる。但し、両インク注入孔21,22を被覆するカバーフィルム31については、未だそれらの孔被覆領域42,43に穴は開けられていない。すなわち、使用済みのインクカートリッジ11は図5(b)に示す状態で回収される。
【0040】
そして、回収された使用済みのインクカートリッジ11を再生する場合には、まず図6に示すように、そのインクカートリッジ11が容器本体12の下面を上方に向けるように逆さまに配置される。そして次には、カバーフィルム31における第1インク注入孔21の孔被覆領域42にインク再充填用の穴を開けるために穴開け用刃体46が先端部に形成した刃部47を第1インク注入孔21の孔被覆領域42と上下方向で対応させるように配置される。因みに、この穴開け用刃体46は、軸方向の先端部側から見た場合に、その軸中心を通る一点から放射方向へ延びる4つの刃部47が等角度間隔(この場合は、90度間隔)おきとなるように形成されている。そして、その配置状態から、図6に示すように、穴開け用刃体46が容器本体12の下面に接近する方向へ移動させられると、各刃部47がカバーフィルム31における第1インク注入孔21の孔被覆領域42に突き入れられることになる。
【0041】
すると、カバーフィルム31の孔被覆領域42には穴開け用刃体46の刃部47により第1インク注入孔21の中心と対応する一点から放射方向へ延びる4つの切り込みが十字状に形成される。そして、その十字状の切り込み形成によりできた4つの切片48が第1インク注入孔21内へ放射方向に離間するように分散して垂れ下がることにより、カバーフィルム31における第1インク注入孔21の孔被覆領域42にはインクの再充填を可能とする穴49が形成される。すなわち、この時点でカバーフィルム31は、その孔被覆領域42に第1インク注入孔21に連通した穴49が開けられた穴開きフィルムとなる。そして、このようにカバーフィルム31における第1インク注入孔21の孔被覆領域42に穴49が形成されると、続けてカバーフィルム31における第2インク注入孔22の孔被覆領域43にも第2インク注入孔22に連通した穴49が同様に形成される。
【0042】
以上の穴開け工程が終了すると、次には図示しないインク注入用ノズルが各穴49を介して各インク注入孔21,22内に挿入され、各インク注入孔21,22が連通するインク収容室29,30内へインクが再充填される。そして、インクの再充填が終了すると、その再充填時にカバーフィルム31に開けられた各穴49及びインク供給孔23におけるカバーフィルム32に既に開けられている穴41が封止され、再使用可能なインクカートリッジ11として再生される。
【0043】
そこで次に、各カバーフィルム31,32に開けられた各穴49,41を封止フィルムにより封止して再びインクカートリッジ11にシール機能を付与するシール方法について図面を参照しながら説明する。なお、図7(a)(b)は容器本体12における第1インク注入孔21及び第2インク注入孔22が形成された部分を破断して示したものである。
【0044】
さて、図7(a)に示すように、まずカバーフィルム31の穴49をシールする際には2層構造の積層フィルム(封止フィルム)50がカバーフィルム31の上に載置される。この積層フィルム50は、所定の加熱温度で溶融する第1フィルム51と、この第1フィルム51の溶融温度では溶融することなく且つ第1フィルム51よりも耐熱性の強い第2フィルム52とが積層された構成をしている。すなわち、封止フィルムとしての積層フィルム50は、両フィルム51,52の積層方向の一方側では第1フィルム51が最外層を構成すると共に他方側では第2フィルム52が最外層を構成している。
【0045】
そして、積層フィルム50は、カバーフィルム31上に載置される場合、第1フィルム51が容器本体12側に位置してカバーフィルム31の表層フィルム31bと接するようにして、容器本体12上に各インク注入孔21,22と各々対応する両穴49を被覆する態様で載置される。ここで、第1フィルム51を容器本体12側にしてカバーフィルム31に接触させるのは、シール時の加熱で第1フィルム51を溶融させて溶着機能を発揮させるためであり、第2フィルム52を外面側に位置させるのは耐熱性に優れた第2フィルム52でシール機能を維持させるためである。
【0046】
ここで、第1フィルム51は、所定の加熱温度で溶融して溶着機能を良好に発揮するポリオレフィン(PO)系のフィルム、すなわちインクカートリッジ11の容器本体12及びカバーフィルム31の接合層フィルム31aを構成する樹脂材料と同系の樹脂材料からなるフィルムであって且つカバーフィルム31の表層フィルム31bとは異系の樹脂材料からなるフィルムで構成されている。なお、インクカートリッジ11の容器本体12及びカバーフィルム31の接合層フィルム31aを構成する樹脂材料がエステル系の樹脂材料からなるフィルムである場合は、第1フィルム51としてエステル系のフィルムを採用することも可能である。
【0047】
また、第1フィルム51には、イージーピールオープン(EPO)機能を持ったフィルムも採用可能である。すなわち、一層構造のフィルムで異種の樹脂材料がランダムに混合されてなる凝集剥離タイプ、複数層のフィルム構造でサポート層となるフィルム層とシール層となるフィルム層の接合強度を低くしておく層間剥離タイプ、一層構造のフィルムで異種の樹脂材料同士の混合比率を調節することで接合強度及び剥離強度を調節する界面剥離タイプのうち、いずれかのタイプのEPO機能を持ったフィルムで第1フィルム51を構成してもよい。
【0048】
そして、第1フィルム51がEPO機能を持ったフィルムで構成された場合は、その溶着機能により積層フィルム50をカバーフィルム31上に接合した後において、必要時にはカバーフィルム31上から封止フィルムとしての積層フィルム50を容易に剥がして再び穴49を露出させる(イージーピールオープンさせる)ことができるようになる。
【0049】
一方、第2フィルム52は、上記のポリオレフィン(PO)系のフィルム等が溶融する加熱温度では溶融することがなく、且つ、ポリオレフィン(PO)系のフィルム等よりは耐熱性に優れたポリエチレンテレフタレート(PET)系、ナイロン(NY)系等のフィルムで構成されている。すなわち、第2フィルム52は、カバーフィルム31の表層フィルム31bと同系の樹脂材料からなるフィルムであって且つ積層フィルム50の第1フィルム51とは異系の樹脂材料からなるフィルムで構成されている。
【0050】
また、この第2フィルム52と積層状態となる上記の第1フィルム51は、その厚さが、20〜60μの範囲内の25μに設定されている。第1フィルム51の厚さを20μ以上とするのは、第2フィルム52の第1フィルム51との接合面に凹凸があっても、その凹凸を溶融した場合に対処できるようにするためであり、その厚さを60μ以下とするのは不必要に厚くなるとコスト高になるばかりか加熱時の熱伝導も悪くなるからである。
【0051】
そして、カバーフィルム31上に積層フィルム50が載置されると、次には図7(b)に示すように、その積層フィルム50上から加熱手段となるヒータ53が積層フィルム50に向けて下降される。このヒータ53は、積層フィルム50の第1フィルム51は溶融するが第2フィルム52は溶融しない程度の所定温度に加熱されるものであり、その形状は積層フィルム50の表面(第2フィルム52の表面)に面接触可能な平面状の押圧面を有するブロック体で構成されている。
【0052】
そのため、図7(b)に示すように、ヒータ53が積層フィルム50の表面に面接触して積層フィルム50を加熱した場合には、積層フィルム50におけるカバーフィルム31の穴49の周縁に沿う環状領域のみならず、その内側領域となる穴49の被覆領域の部分も加熱される。そのため、穴49の周縁に沿う環状領域が加熱により確実に溶融して溶着すると共に、その環状領域の内側となる穴49の被覆領域も同様に加熱されるので、積層フィルム50における特に第1フィルム51の加熱による強度変化も各領域間で同様にでき領域間での強度差の発生が抑制される。
【0053】
そして、ヒータ53の加熱により積層フィルム50における第1フィルム51が溶融することにより、その溶融した第1フィルム51が冷却した場合には、封止フィルムとしての積層フィルム50が穴開きフィルムとしてのカバーフィルム31の上に各インク注入孔21,22を封止可能な溶着態様で接合される。すなわち、穴49の開いたカバーフィルム31上に穴49を塞ぐように積層フィルム50が溶着により接合されることで、インク注入孔21,22が封止される。
【0054】
ここで、カバーフィルム31の接合層フィルム31aとインクカートリッジ11の容器本体12とは同系の樹脂材料同士の溶着であるので相溶性が良く両者の接合強度は強い。これに対し、カバーフィルム31の表層フィルム31bと積層フィルム50の第1フィルム51とは、異系の樹脂材料同士の溶着となるので同系の樹脂材料同士の溶着に比べると相溶性の点で劣ることになる。そのため、カバーフィルム31に対する積層フィルム50の接合強度はインクカートリッジ11の容器本体12に対するカバーフィルム31の接合強度よりは弱いものとなる。但し、積層フィルム50はカバーフィルム31に対して溶着により接合されていることから、カバーフィルム31に開けられている穴49を被覆した状態となってシール機能を良好に発揮するようになる。その後、ヒータ53が図7(b)に示す接触位置から図7(a)に示す待機位置へと上昇する。
【0055】
そして、以上のように穴開きフィルムとしてのカバーフィルム31上に封止フィルムとしての積層フィルム50が溶着により接合されると、次には、図8に示すように、インク供給孔23を被覆している穴開きフィルムとしてのカバーフィルム32上にも積層フィルム50と同様の樹脂材料からなる第1フィルム及び第2フィルムが積層されてなる封止フィルムとしての積層フィルム60が溶着により接合される。なお、図9に示すように、インク供給孔23を封止可能にカバーフィルム32上に接合された積層フィルム60は、その一端がインクカートリッジ11の容器本体12の側方(図9では前方)へ延びるように突出する把持部60aとして長く形成されている。そのため、この把持部60aを把持することにより積層フィルム60は容易に剥離可能とされる。
【0056】
以上のシール工程が終了すると、図5(b)に示すようにカバーフィルム32に穴41が開けられた状態で回収された使用済みのインクカートリッジ11は、良好なシール機能を付与された再使用可能な再生インクカートリッジ11として再生される。そして、その出荷段階では、図10に示すように、可撓性を有する透明な樹脂材料(例えばビニールなど)からなる袋体70内に収容された梱包状態で再生出荷される。なお、図10に示すように、この再生出荷段階においてインクカートリッジ11を収容した袋体70内は真空引
きがされており、インクカートリッジ11は真空パック状態で出荷される。そのため、インクカートリッジ11内に充填されているインクが脱気されている場合、その脱気度が低下することが抑制される。
【0057】
次に、こうして再生出荷された再生インクカートリッジ11をプリンタに装着して再使用する場合について説明する。
すなわち、図11(a)に示すように、再生インクカートリッジ11を再使用する場合には、インク供給孔23を封止するように穴開きのカバーフィルム32に接合されていた封止フィルムとしての積層フィルム60が剥離される。すなわち、積層フィルム60は、把持部60aが把持されての剥離操作により、インクカートリッジ11から剥離される。このとき、カバーフィルム32は、インクカートリッジ11の容器本体12に対する接合強度がカバーフィルム32に対する積層フィルム60の接合強度よりも強いため、インク供給孔23から一緒に剥離されることはない。
【0058】
なお、この場合において、もし仮にシール部材33と供給弁34との隙間からインクがインク供給孔23の開口側に漏れ出ていると、封止フィルムとしての積層フィルム60を剥離したときに、そのインクがインク供給孔23から外部に飛散する可能性がある。しかし、本実施形態の場合には、そうしたインクは穴開きフィルムとしてインク供給孔23を被覆するように接合された状態に維持されるカバーフィルム32により外部への飛散が抑制されることになる。
【0059】
そして、図11(a)に示す状態から、インクカートリッジ11をプリンタのカートリッジホルダに装着するようにすれば、インク供給針39がカバーフィルム32に既に開けられている穴41を通じてインク供給孔23内に挿入される。そして、インク供給針39の先端部外周面に形成されたインク導入孔39aを介してインクカートリッジ11側からプリンタ側へインクが供給されるようになる。
【0060】
ここで、図11(b)に示す比較例のように再生インクカートリッジ11がプリンタのカートリッジホルダに装着されるときに封止フィルムとしての積層フィルム60,61が剥離されない場合について説明する。なお、この図11(b)の比較例は、二回目の再生がなされて出荷された再生インクカートリッジの場合を示しており、積層フィルム60は一回目の再生時に接合され且つ一回目の再使用時に穴が開けられた穴開きフィルムとしての封止フィルムである。また、積層フィルム61は二回目の再生時に接合された封止機能を保持した封止フィルムである。
【0061】
この比較例の場合は、再生インクカートリッジ11をプリンタのカートリッジホルダに装着したときに、最外層の積層フィルム61がインク供給針39により突き破られて穴が開けられることになる。その際、可撓性を有する積層フィルム61はインク供給針39に押圧されてインク供給孔23の内側へ撓み変形した後に突き破られて穴を開けられることになる。そのため、この比較例の場合は、プリンタのカートリッジホルダに対してインクカートリッジ11を装着するときに、インクカートリッジ11を装着方向へ押す押圧力が装着負荷として必要になる。
【0062】
また、この比較例の場合は、インク供給針39からの押圧力で積層フィルム61が内側に撓み変形するためにインク供給孔23内の空気が圧縮され、その圧縮した空気が積層フィルム61に穴が開けられた瞬間にインク供給針39のインク導入孔39aからインク供給針39内に入り込み、気泡となってプリンタ側に供給されてしまうこともあり得る。さらに、インク供給針39に突き破られる積層フィルム61の内側に何枚もの穴開きフィルム(この場合は、いずれも穴開きのカバーフィルム32と積層フィルム60)が各切片を有した状態で存在すると、それらの切片のうち一部がインク供給針39とシール部材33
との間に巻き込まれてシール機能を阻害してしまうおそれもあり得る。
【0063】
こうした図11(b)の比較例とは異なり、図11(a)に示す本実施形態の場合は、穴の開いていない封止フィルムとしての積層フィルム60がプリンタへの装着前に確実に剥離される。したがって、インクカートリッジ11をプリンタに装着する場合において、インクカートリッジ11の装着負荷が低減されると共に、インク供給針39内への気泡の入り込みも抑制され、さらにはフィルムの切片がシール部材33とインク供給針39との間に巻き込まれてシール機能を阻害するおそれも低減される。
【0064】
さらに、この再生インクカートリッジ11のインクが消費されて使用済みインクカートリッジとして回収された場合は、再び図7〜図9に示す再生工程を経た後、図10に示す梱包態様で出荷され、図11(a)に示す使用態様でプリンタに装着されて再使用されることになる。なお、この場合の再生時には、図6に示す穴開け工程は不要となる。そして回収された使用済みインクカートリッジへのインクの再充填に際しては、封止フィルムとしての積層フィルム50がカバーフィルム31上から剥離操作により剥離され、その剥離に伴い露出した穴49を介してインクの再充填が行われた後、新たな積層フィルム50が封止フィルムとして接合されることになる。
【0065】
したがって、本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)インクの再充填により再生されたインクカートリッジ11は、封止フィルムとしての積層フィルム50,60が溶着により穴開きフィルムとしてのカバーフィルム31,32上に接合されてインク注入孔21,22及びインク供給孔23が封止されるので、良好なシール機能を有して再生される。そして、封止フィルムとしての積層フィルム50,60については、必要に応じて適宜に剥離されるため、再生の度に積み重なるように次々に接合されることはない。したがって、インクカートリッジ11の外郭形状を局所的に変化させることもないので、プリンタのカートリッジホルダに対して新品時と同様に適正な位置合せ状態で装着することができる。また、使用済みで回収されたインクカートリッジ11において既に穴41,49が開いているカバーフィルム31,32の穴周りの切片48等に古いインクが付着していても、積層状態にない切片の場合は付着しているインクを洗浄により容易に除去できるので、再充填した新しいインクに古いインクが混じり合ってインクの組成に変化を及ぼすことも抑制できる。
【0066】
(2)封止フィルムとしての積層フィルム50,60の各第1フィルム51は、それぞれが接合される相手方(カバーフィルム31,32の各表層フィルム31b)とは異系の樹脂材料からなるために、カバーフィルム31,32の接合層フィルム31aが各々の相手方(同系の樹脂材料からなる容器本体12)に対して有する接合強度よりも接合強度が弱い。そのため、積層フィルム50,60を剥離操作した場合には、各カバーフィルム31,32の接合層フィルム31aの相手方に対する接合状態は維持したままで積層フィルム50,60だけを容易に剥離することができる。
【0067】
(3)各カバーフィルム31,32の上に各積層フィルム50,60を溶着により接合させた場合、積層フィルム50,60の第1フィルム51は溶融しても各カバーフィルム31,32の表層フィルム31bは溶融しないので、この点で、接合強度を剥離操作により容易に剥離可能な程度の接合強度にすることができる。また、そのようにして接合された封止フィルムとしての積層フィルム50,60は、表面側となる第2フィルム52が耐熱性に優れているのでシール性を良好に維持することができる。
【0068】
(4)また、封止フィルムとしての積層フィルム50,60を剥離する場合、その積層フィルム50,60における第1フィルム51をイージーピールオープン(EPO)機能を有したフィルムで構成しておけば、必要に応じて簡単に剥離操作により剥離することが
できる。
【0069】
(5)さらに、その剥離操作に際しては、積層フィルム60に延設された把持部60aを把持するようにすれば、簡単に剥離することができる。
(6)そして、再生したインクカートリッジ11をプリンタに装着して再使用する場合には、インク供給孔23を封止するように接合されている積層フィルム60が事前に剥離される。そのため、図11(b)に示す比較例との対比において、装着負荷の低減を図ることができると共に、気泡混じりのインクがプリンタ側に供給されることを回避できる。さらには、インク供給針39とシール部材33との間のシール機能が低下することを抑制できる。
【0070】
(7)また、再生したインクカートリッジ11を出荷する段階では、袋体70内にインクカートリッジ11を収容した梱包状態で出荷するため、インクカートリッジ11の保護を図ることができる。
【0071】
(8)しかも、その袋体70内を真空引きしてインクカートリッジ11を真空パック状態で出荷するようにしているので、インクカートリッジ11内のインクの脱気度が低下することを抑制できる。
【0072】
なお、上記実施形態は以下のような別の実施形態に変更してもよい。
・ 図12に示すように、穴開きフィルムとしてのカバーフィルム31上に穴49を塞ぐように接合される封止フィルムとしての積層フィルム50にも把持部50aを延設してもよい。この場合は、回収した使用済みのインクカートリッジ11にインクを再充填するときに、把持部50aを把持することにより積層フィルム50を容易に剥離でき、インク再充填に使用する穴49を簡単に露出させることができるので、インクカートリッジ11の再生作業を迅速に行うことができる。
【0073】
・ 図13に示すように、再生したインクカートリッジ11を袋体70に収容した梱包状態で出荷するとき、袋体70内は真空引きされていない梱包状態であってもよい。この場合でも、袋体70によりインクカートリッジ11の保護を図ることはできる。
【0074】
・ 再生したインクカートリッジ11は、袋体70内に収容することなく、図9に示す未梱包の状態で出荷するようにしてもよい。この場合でも、封止フィルムとしての各積層フィルム50,60が良好なシール機能を付与しているので、インクカートリッジ11のインク注入孔21,22やインク供給孔23からインクが漏出することを抑制できる。
【0075】
・ 積層フィルム50,60における把持部50a,60aは必ずしも設けられていなくてよい。この場合でも、積層フィルム50,60の第1フィルム51は接合強度が剥離可能な弱い接合強度であるので、容易に剥離できる。
【0076】
・ インクカートリッジ11の容器本体12、カバーフィルム31,32の接合層フィルム31a、及び積層フィルム50,60の第1フィルム51を同系の樹脂材料で構成する場合においてポリオレフィン(PO)系の樹脂材料としては、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリブデン(PB)等を採用可能である。また、同系の樹脂材料としてエステル系の樹脂材料を採用する場合は、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフタレート等を採用可能である。
【0077】
・ インクカートリッジ11の容器本体12、カバーフィルム31,32の接合層フィルム31a、及び積層フィルム50,60の第1フィルム51は、必ずしも同系の樹脂材料で構成していなくてもよい。すなわち、それらの溶融温度よりも高い溶融温度で溶融す
る樹脂材料で相手方のフィルムが構成されているならば、接合強度を剥離操作により剥離し得る程度の弱い接合強度にできる。
【0078】
・ 封止フィルムとしての積層フィルム50,60は、必ずしも溶着による接合に限定されない。すなわち、穴開きフィルムとしてのカバーフィルム31,32の容器本体12に対する接合強度よりも弱い接合強度であって剥離操作にて剥離できる接合強度でシール性を確保できるものならば、接着による接合であってもよい。
【0079】
・ インク注入孔21,22を封止可能に穴開きのカバーフィルム31上に接合される封止フィルムとしての積層フィルム50及びインク供給孔23を封止可能に穴開きのカバーフィルム32上に接合される封止フィルムとしての積層フィルム60のうち一方の積層フィルム50,60だけが容器本体12に対するカバーフィルム31,32の接合強度よりも弱い接合強度で剥離操作可能に接合された構成であってもよい。
【0080】
・ インクカートリッジ11の容器本体12はカバーフィルム31,32が溶着により接合される下面が第1フィルム51の溶融温度で同様に溶融可能な材質(例えばポリプロピレンなどの合成樹脂)であれば、その他の部位は第1フィルム51の溶融温度では溶融することのない耐熱性の強い合成樹脂や金属材料で構成されていてもよい。
【0081】
・ 積層フィルム50,60の第1フィルム51は、ヒータ53による加熱時に溶融するものであれば、例えばウレタン系のフィルムであってもよい。
・ 積層フィルム50,60は、第1フィルム51と第2フィルム52との間に他のフィルムが挟まれた3層以上の構成であってもよい。要するに、カバーフィルム31,32に接触する側の最外層が第1フィルム51であると共にその反対側の最外層が第2フィルム52であればよい。
【0082】
・ インクカートリッジ11は、容器本体12の内部にインク(液体)を吸収保持可能なスポンジや不織布等の多孔質材がインク吸収材(液体吸収材)として収容された形態のインクカートリッジであって、そのインク吸収材が吸収保持しているインクを容器本体に形成されたインク供給孔からインク供給針を介して供給するものであってもよい。
【0083】
・ また、使用済みのインクカートリッジ11を再生するために該インクカートリッジ11内にインクを再充填する場合は、インク注入孔21,22からではなくインク供給孔23からインクを再充填するようにしてもよい。すなわち、インク供給孔23内において供給弁34をコイルばね35の付勢力に抗してシール部材33から離座した状態に保持すれば、インク供給孔23からインクを再充填することも可能である。
【0084】
・ 上記実施形態では、液体収容容器をインクカートリッジに具体化したが、インク以外の他の液体(機能材料の粒子が液体に分散又は混合されてなる液状体、ゲルのような流状体を含む)を内部に収容する液体収容容器に具体化することもできる。そして、本明細書における「液体」には、例えば、無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)等を含むほか、液状体、流状体などが含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】新品段階のインクカートリッジの前面側斜視図。
【図2】同インクカートリッジの後面側斜視図。
【図3】同インクカートリッジの後面側一部分解斜視図。
【図4】同インクカートリッジの一部破断正面(前面)図。
【図5】(a)はプリンタに未装着の新品段階のインクカートリッジの底面図、(b)はプリンタから取り外された使用済みインクカートリッジの底面図。
【図6】穴開け工程の穴開け完了時を示す説明図。
【図7】(a)はシール工程の加熱シール開始直前状態を示す説明図、(b)はシール工程の加熱シール完了状態を示す説明図。
【図8】再生された再生インクカートリッジの一部破断面図。
【図9】再生インクカートリッジの後面側斜視図。
【図10】再生インクカートリッジの出荷時の梱包態様を示す斜視図。
【図11】(a)は再生インクカートリッジをプリンタに装着しての使用状態を示す部分断面図、(b)は比較例の再生インクカートリッジの場合を示す部分断面図。
【図12】別の実施形態の再生インクカートリッジの後面側斜視図。
【図13】再生インクカートリッジの出荷時の梱包態様を別の実施形態で示す斜視図。
【符号の説明】
【0086】
11…液体収容容器としてのインクカートリッジ、21,22…孔及び液体注入孔としてのインク注入孔、23…孔及び液体供給孔としてのインク供給孔、31,32…穴開きフィルムとしてのカバーフィルム、31a…接合層フィルム、31b…表層フィルム、39…中空針としてのインク供給針、41,49…穴、50,60,61…封止フィルムとしての積層フィルム、50a,60a…把持部、51…第1フィルム、52…第2フィルム、70…袋体。
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を収容した液体収容容器、使用済み液体収容容器を液体の再充填により再生する液体収容容器の再生方法、そのように再生された再生液体収容容器の使用方法、及び液体収容容器におけるシール方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の液体収容容器として、例えば液体噴射装置の一種であるインクジェット式プリンタ(以下、「プリンタ」という。)に着脱可能に装着されるインクカートリッジが知られている。このインクカートリッジは、略扁平箱状をなす容器本体を有しており、その容器本体内には、インク(液体)を収容可能なインク収容室が区画形成されている。また、容器本体の下面には、インク収容室にインクを初期充填するときに使用されるインク注入孔と、インクカートリッジがプリンタに装着された場合にインク導入用の中空針が挿入されるインク供給孔が開口形成されている。そして、それらのインク注入孔及びインク供給孔は容器本体の下面に溶着により接合されたフィルムによってインクの漏出を抑制すべく封止されている。
【0003】
こうしたインクカートリッジにあっては、プリンタに装着された後において、プリンタでの印刷等によってインクが消費されると、インク収容室内のインク残量が少なくなり、最後には使用済みのインクカートリッジとなって新しいインクカートリッジと交換されることになる。このような交換によりプリンタから取り外された使用済みのインクカートリッジについては、その容器本体も複数回の使用に応えることができるものであるため、近時においては、インクを再充填することにより再使用可能なインクカートリッジとして再生し、もって資源の有効利用、環境保全などに資することが提案されている(例えば、特許文献1)。
【0004】
この特許文献1では、使用済みインクカートリッジにインクを再充填する際、その再充填に先立ち、穴開け用の治具を使用してインク注入孔を被覆しているフィルムに穴を開けるようにしている。そして、かかるフィルムに開けられた穴から例えばシリンジをインク注入孔内へ進入させることによりインクを再充填した後、その穴開きフィルムの上に別の封止フィルムを載せて加熱し、その加熱により封止フィルムの下面側が溶融して穴開きフィルムに溶着することにより上記穴からのインクの漏出を抑制するようにしている。
【0005】
また、新品出荷段階でインク供給孔を被覆していたフィルムについては、新品使用段階におけるプリンタへの装着時に中空針に突き破られて穴が開いているため、使用済みインクカートリッジとして回収された時点では穴開きフィルムとなっており、その穴開きフィルムにおける穴周りの切片には古いインクが付着している。そのため、インクの再充填後に再生インクカートリッジとして再出荷する場合には、そのインク供給孔を被覆している穴開きフィルムの上に穴を塞ぐように封止フィルムを溶着により接合してインク供給孔を封止するようにしている。そして、再生されたインクカートリッジをプリンタに装着して再使用する場合には、プリンタへの装着時に封止フィルムが中空針に突き破られて穴を開けられ、そのように封止フィルムを突き破ってインク供給孔に挿入された中空針を介して再生インクカートリッジからプリンタへのインク供給が可能となるようにしていた。
【特許文献1】実用新案登録第3118670号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、このように使用済みインクカートリッジを回収してインクを再充填することにより再生インクカートリッジとして再出荷することを何度も繰り返した場合には、その再生の都度、インク供給孔及びインク注入孔に対してフィルムが次々と積み重なるように接合されることになる。そのため、こうした再生インクカートリッジにあっては、再生を繰り返す毎に積層された各フィルムの厚さ合計分だけ外郭形状が局所的に変化してしまい例えば液体噴射装置に対してインクカートリッジを適正な位置態様で装着できなくなる等の不具合を生じるおそれがあった。
【0007】
また、こうした再生インクカートリッジにあっては、その再生にあたって穴開きフィルムにおける穴周りの切片に付着している古いインクを洗浄して除去するようにしている。しかしながら、複数の穴開きフィルムが積層された状態の使用済みインクカートリッジを回収した場合には、各穴開きフィルムの切片同士の間に古いインクが入り込んで付着していることがあり、そうした切片間に入り込んで付着している古いインクは洗浄によっても容易に除去できないことがあった。そのため、回収された使用済みインクカートリッジがインクを再充填されると共に更に新たな封止フィルムを接合されて再生された場合には、除去できなかった古いインクと再充填された新しいインクが混じり合ってしまい、インクの組成に変化を及ぼしてしまうおそれもあった。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものである。その目的は、液体収容容器の外郭形状及び内部に収容した液体の組成に変化を及ぼすことなく信頼性の高いシール性を確保して再生可能とされた液体収容容器、そうした液体収容容器の再生方法、そのように再生された再生液体収容容器の使用方法、及び、液体収容容器におけるシール方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、液体収容容器のシール方法に係る本発明は、液体収容容器に形成された孔を被覆するように前記液体収容容器に接合されているフィルムであって且つ前記孔に連通する穴が開けられた穴開きフィルムの上に前記穴を塞ぐように封止フィルムを接合して前記孔を封止するにあたり、前記封止フィルムを前記穴開きフィルムの上に前記液体収容容器に対する前記穴開きフィルムの接合強度よりも弱い接合強度であって且つ前記封止フィルムが剥離操作されたときには該封止フィルムを前記穴開きフィルム上から剥離可能とする接合強度で接合した。
【0010】
この発明によれば、封止フィルムにより液体収容容器のシール性を確保できると共に、その封止フィルムについては必要に応じて剥離することも可能とされる。そのため、液体収容容器を使用済みの液体収容容器として回収した後に液体を再充填することにより再生する場合にも、それ以前の段階で封止フィルムを剥離しておけば、複数のフィルムが次々と積み重なるように接合されることもなく、液体収容容器の外郭形状が局所的に変化してしまうことを回避できる。また、使用済みの液体収容容器の再生にあたり穴開きフィルムに古い液体が付着していたとしても、そうした古い液体は洗浄により穴開きフィルムから容易に除去することができるので、再充填された液体の組成に変化を及ぼすことも回避できる。
【0011】
また、本発明の液体収容容器のシール方法において、前記穴開きフィルムは、前記液体収容容器における前記孔が形成された面に溶着により接合される接合層フィルムと該接合層フィルムが前記液体収容容器に接合された状態において表面側に露出する表層フィルムとを含む複数のフィルムが積層されてなると共に、前記封止フィルムは、前記穴開きフィルムの表層フィルムに溶着により接合される第1フィルムと該第1フィルムが前記穴開きフィルムの表層フィルムに接合された状態において表面側に露出する第2フィルムとを含む複数のフィルムが積層されてなり、前記穴開きフィルムの接合層フィルムと前記液体収
容容器における前記孔が形成された面とは互いに同系の樹脂材料で構成される一方、前記穴開きフィルムの表層フィルムと前記封止フィルムの第1フィルムとは互いに異系の樹脂材料で構成されている。
【0012】
この発明によれば、穴開きフィルムと封止フィルムは、穴開きフィルムと液体収容容器が同系の樹脂材料同士の溶着であるのに対して、異系の樹脂材料同士の溶着であるので、その溶着によりシール性を確保しつつも、液体収容容器に対する穴開きフィルムの接合強度よりは弱い接合強度での接合状態となる。したがって、封止フィルムを剥離操作した場合には、液体収容容器に対する穴開きフィルムの接合状態は維持したままで、穴開きフィルム上から封止フィルムだけを容易に剥離することができる。
【0013】
また、本発明の液体収容容器のシール方法において、前記穴開きフィルムは、前記液体収容容器における前記孔が形成された面に溶着により接合される接合層フィルムと該接合層フィルムが前記液体収容容器に接合された状態において表面側に露出する表層フィルムとを含む複数のフィルムが積層されてなると共に、前記封止フィルムは、前記穴開きフィルムの表層フィルムに溶着により接合される第1フィルムと該第1フィルムが前記穴開きフィルムの表層フィルムに接合された状態において表面側に露出する第2フィルムとを含む複数のフィルムが積層されてなり、前記穴開きフィルムの表層フィルム及び前記封止フィルムの第2フィルムは、前記封止フィルムの第1フィルムよりも溶融温度が高く且つ該第1フィルムよりも耐熱性の強いフィルムである。
【0014】
この発明によれば、穴開きフィルムの上に封止フィルムを溶着により接合させた場合、封止フィルムの第1フィルムは溶融しても穴開きフィルムの表層フィルムは溶融しないので、穴開きフィルムに対して封止フィルムを剥離可能な接合強度にて接合できる。また、その場合において封止フィルムの第2フィルムは強い耐熱性を有しているので、シール性を良好に確保することができる。
【0015】
また、本発明の液体収容容器のシール方法において、前記封止フィルムは、前記穴開きフィルムからの剥離操作を可能とするイージーピール機能を有したフィルムである。
この発明によれば、必要に応じて封止フィルムを簡単に剥離操作により剥離することができる。
【0016】
また、本発明の液体収容容器のシール方法において、前記封止フィルムには、該封止フィルムを剥離操作する際に把持可能な把持部が設けられている。
この発明によれば、封止フィルムの把持部を把持することにより封止フィルムを容易に剥離することができる。
【0017】
また、本発明の液体収容容器のシール方法において、前記孔は、前記液体収容容器が液体噴射装置に装着された場合に該液体噴射装置に設けられた液体導入用の中空針が挿入される液体供給孔であって、前記穴開きフィルムは、前記液体供給孔を被覆するように前記液体収容容器に接合されているフィルムが前記液体収容容器を前記液体噴射装置に装着したときに前記中空針により突き破られて穴が開けられたフィルムである。
【0018】
この発明によれば、液体収容容器における液体供給孔からの液体の漏出を抑制できると共に、その液体収容容器の再生に伴い液体供給孔の部分において局所的に液体収容容器の外郭形状が変化することを回避でき、更には液体供給孔から中空針を介して液体噴射装置に供給される液体の組成が変化することを回避できる。
【0019】
また、本発明の液体収容容器のシール方法において、前記孔は、前記液体収容容器内に液体を注入するために形成された液体注入孔であって、前記穴開きフィルムは、前記液体
注入孔を被覆するように前記液体収容容器に接合されているフィルムが前記液体収容容器内に前記液体注入孔から液体を再充填するために穴を開けられたフィルムである。
【0020】
この発明によれば、液体収容容器における液体注入孔からの液体の漏出を抑制できると共に、その液体収容容器の再生に伴い液体注入孔の部分において局所的に液体収容容器の外郭形状が変化することを回避でき、更には液体注入孔から液体収容容器内に再充填した液体の組成が変化することを回避できる。
【0021】
次に、本発明の液体収容容器の再生方法は、使用済みの液体収容容器内に液体を再充填した後、その液体収容容器に形成された孔を被覆すると共に該孔に連通する穴が開けられた穴開きフィルムの上に前記穴を塞ぐように封止フィルムを接合することにより前記孔を封止して液体収容容器を再生するにあたり、前記封止フィルムを前記穴開きフィルムの上に接合する際には、上記の液体収容容器におけるシール方法を用いた。
【0022】
この発明によれば、良好なシール性を確保しつつ、局所的な外郭形状の変化及び液体の組成の変化がない液体収容容器を再生することができる。
次に、本発明の再生液体収容容器の使用方法は、上記の液体収容容器の再生方法により再生された再生液体収容容器を液体噴射装置に装着して再使用するにあたり、前記再生液体収容容器を、該液体収容容器が液体噴射装置に装着された場合に該液体噴射装置に設けられた液体導入用の中空針が挿入される液体供給孔を封止している封止フィルムを剥離してから、前記液体噴射装置に装着する構成とした。
【0023】
ここで、液体供給孔から封止フィルムを剥離せずに液体収容容器を液体噴射装置に装着する場合には、中空針に封止フィルムを突き破らせ得るだけの装着負荷が必要になると共に、中空針が封止フィルムを突き破った時点で液体供給孔内の圧縮された空気が中空針を介して液体噴射装置側に気泡となって液体と共に入り込む不具合が生じる。これに対し、本発明では、液体噴射装置に対する液体収容容器の装着時において中空針は封止フィルムが剥離された後に穴開きフィルムの穴を通して液体供給孔に挿入されることになる。そのため、本発明によれば、液体収容容器の液体噴射装置への装着時の負荷低減を図ることができると共に、液体噴射装置に対して気泡混じりの液体が供給されることを回避することができる。
【0024】
次に、本発明の液体収容容器は、上記の液体収容容器の再生方法により再生される。
この発明によれば、良好なシール性を確保しつつ、局所的な外郭形状の変化及び液体の組成の変化がない液体収容容器を得ることができる。
【0025】
また、本発明の液体収容容器において、前記液体収容容器は袋体に収容されている。
この発明によれば、液体収容容器の出荷後における保護を袋体にて図ることができる。
また、本発明の液体収容容器において、前記液体収容容器は、可撓性を有する袋体に収容されると共に、その袋体内は真空引きされている。
【0026】
この発明によれば、袋体内が真空引きされていることにより、液体収容容器が収容している液体の脱気度を良好に維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明を液体噴射装置の一種であるインクジェット式プリンタ(以下、「プリンタ」と略称する。)に着脱可能に装着されるインクカートリッジ及びその使用済みインクカートリッジの再生方法などに具体化した一実施形態について図1〜図11を参照しながら説明する。なお、本明細書中の以下の説明において、「前後方向」、「左右方向」、「上下方向」をいう場合は、図1〜図4等において矢印で示す前後方向、左右方向、上下方
向をそれぞれ示すものとする。
【0028】
図1〜図4は、新品段階での液体収容容器としてのインクカートリッジ11を示すものであり、同図に示すように、インクカートリッジ11は、例えばポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン(PO)系の樹脂材料からなる前面側が開口した扁平略矩形箱形状の容器本体12を有している。容器本体12の前面には、その開口部12a(図4参照)の略全面を覆うように熱溶着可能な材料からなるフィルム部材(図示略)が貼着されると共に、そのフィルム部材の外側(前面側)から開口部12aを隠蔽するように蓋体13が着脱可能に取着されている。また、容器本体12の後面には、その後面の略全体を覆うように熱溶着可能な材料からなるフィルム部材14が貼着されると共に、容器本体12の上面には、そのインクカートリッジ11内に収容された液体としてのインクの色の種類等を示す帯状の識別ラベル15が貼着されている。
【0029】
図2〜図4に示すように、容器本体12の左側面の下部には、このインクカートリッジ11がプリンタに設けられたカートリッジホルダ(図示略)に対して装着される場合に、カートリッジホルダ側に設けられたガイド凹条(図示略)内に挿入されて装着方向をガイドされるガイド凸条16が上下方向に沿って延びるように形成されている。
【0030】
また、図1〜図4に示すように、同じく容器本体12の左側面においてガイド凸条16よりも上方となる位置からは弾性変形可能に形成された係合レバー17が左斜め上方に向けて延設され、その係合レバー17の表面となる左側面の略中央部には係止爪17aが水平方向に沿うように突設されている。したがって、インクカートリッジ11は、プリンタのカートリッジホルダに装着された場合、係合レバー17が弾性変形すると共に、その係止爪17aがカートリッジホルダ側の一部に係止することにより、カートリッジホルダに対して位置決め状態で装着されるようになっている。
【0031】
一方、図1に示すように、容器本体12の右側面の下部には、基板ユニット18が取り付けられ、その基板ユニット18の表面側には半導体記憶素子を実装した回路基板19が設けられている。なお、回路基板19の半導体記憶素子にはインクカートリッジ11に関する各種情報(例えば、インク色情報、インク残量情報など)が記憶されている。そして、回路基板19は、インクカートリッジ11がプリンタのカートリッジホルダに装着された際に、回路基板19の表面に露出した端子19aがカートリッジホルダ側に設けられた接続端子と接触することにより、プリンタ側の制御装置(図示略)との間で各種情報を受け渡しするようになっている。
【0032】
また、図3及び図4に示すように、容器本体12の下面には、その右端側から左端側へ順に、矩形状をなす開口部20、円形状をなす第1インク注入孔21、同じく円形状をなす第2インク注入孔22、及び左右両側に略コ字状の一対のガイド壁23aを有してなる円形状のインク供給孔23が形成されている。開口部20の内部は、大気連通路の一部を構成する大気連通室24となっており、この大気連通室24は図示しない大気開放口を介して容器本体12の外部(すなわち、大気)に連通している。そして、この大気連通室24内には、その内奥から順に、コイルばね25、弁体26及び弁支持部材27が収容されている。
【0033】
液体注入孔としての第1インク注入孔21は、容器本体12内にリブ28により区画形成された液体収容室としての上部インク収容室29及び下部インク収容室30に細い流路21a及び狭い流入口21bを介して連通している。また、同じく液体注入孔としての第2インク注入孔22は、そのまま下部インク収容室30に連通している。これらの両インク注入孔21,22は、各インク収容室29,30にインクを初期充填する際に使用されるものであり、その初期充填が終了した後は、図2〜図4に示すように、容器本体12の
下面(すなわち、孔が形成された面)に溶着により接合されたカバーフィルム31により開口部20と共にシールされている。
【0034】
因みに、このカバーフィルム31は、図6及び図7に示すように、容器本体12の下面に溶着される接合層フィルム31aと、その接合層フィルム31aが容器本体12の下面に溶着された状態ではカバーフィルム31の表面側に露出する表層フィルム31bとが積層された構成をしている。ここで、接合層フィルム31aは、所定の加熱温度で溶融して溶着機能を良好に発揮するポリオレフィン(PO)系のフィルム、すなわちインクカートリッジ11の容器本体12を構成する樹脂材料と同系の樹脂材料からなるフィルムで構成されている。なお、インクカートリッジ11の容器本体12がエステル系の樹脂材料にて構成されている場合には、カバーフィルム31の接合層フィルム31aについても同系のエステル系の樹脂材料からなるフィルムで構成されることになる。
【0035】
その一方、表層フィルム31bは、接合層フィルム31aの溶融温度では溶融することなく且つ接合層フィルム31aよりも耐熱性に優れたポリエチレンテレフタレート(PET)系のフィルム又はナイロン(NY)系のフィルムにより構成されている。すなわち、カバーフィルム31の表層フィルム31bは、インクカートリッジ11の容器本体12及びカバーフィルム31の接合層フィルム31aを構成する樹脂材料とは異系の樹脂材料からなるフィルムで構成されている。
【0036】
また、液体供給孔としてのインク供給孔23は、インクカートリッジ11がプリンタのカートリッジホルダに装着された際に、そのカートリッジホルダに設けられた中空針構造のインク供給針39(図11参照)が挿入される孔であり、図2及び図3に示すように、プリンタのカートリッジホルダに装着される前の新品状態ではカバーフィルム32により封止されている。因みに、このカバーフィルム32は、インク注入孔21等をシールするために容器本体12の下面に接合されるカバーフィルム31と同様に、ポリオレフィン(PO)系のフィルムからなる接合層フィルムとポリエチレンテレフタレート(PET)系のフィルム又はナイロン(NY)系のフィルムからなる表層フィルムとが積層されたフィルム構成をしている。そして、このカバーフィルム32は、インクカートリッジ11がプリンタのカートリッジホルダに装着されたときに、そのカートリッジホルダに設けられているインク供給針39に突き破られて穴41(図5(b)参照)が開けられることになる。
【0037】
図3及び図4に示すように、インク供給孔23内には、カートリッジホルダ側のインク供給針39のインク供給孔23内への挿入を許容するエラストマ等からなる環状のシール部材33と、このシール部材33に着座する供給弁34と、この供給弁34をシール部材33に向けて付勢するコイルばね35とが収容されている。すなわち、インク供給孔23は、コイルばね35に付勢された供給弁34がシール部材33に圧接することにより、常には容器本体12外へのインクの流出が規制された閉塞状態となる。その一方、カートリッジホルダ側のインク供給針39がインク供給孔23内に挿入されたときには、そのインク供給針39に押されて供給弁34がコイルばね35の付勢力に抗してインク供給孔23の内奥へ移動し、シール部材33から離間することにより、インク供給孔23は、容器本体12外へのインクの流出(つまり、インク供給)が許容された開放状態となる。
【0038】
上記のように構成されたインクカートリッジ11は、プリンタのカートリッジホルダに装着された状態でインクが消費され、そのインク残量がなくなると使用済みのインクカートリッジとなり、カートリッジホルダから取り外されて新しいインクカートリッジと着脱交換されることになる。こうして取り外された使用済みのインクカートリッジは、それを廃棄処分にすることなく、近時は、資源の有効利用及び環境保全の見地からインクを再充填することにより再使用可能なインクカートリッジとして再生するのが一般的である。
【0039】
そこで次に、こうした使用済みのインクカートリッジ11を再生する方法について図面を参照しながら説明する。
さて、図5(a)に示すように、未だプリンタのカートリッジホルダに装着されたことのないインクカートリッジ11は、その容器本体12の下面に接合されている各カバーフィルム31,32によりシール機能が付与された新品状態にある。一方、カートリッジホルダから取り外されて新しいインクカートリッジと交換される使用済みのインクカートリッジ11は、図5(b)に示すように、インク供給孔23を被覆していたカバーフィルム32における孔被覆領域40の中央部分がプリンタに設けられたインク供給針39により突き破られて穴41が開けられている。すなわち、この時点でカバーフィルム32は、その孔被覆領域40にインク供給孔23に連通する穴41が開けられた穴開きフィルムとなる。但し、両インク注入孔21,22を被覆するカバーフィルム31については、未だそれらの孔被覆領域42,43に穴は開けられていない。すなわち、使用済みのインクカートリッジ11は図5(b)に示す状態で回収される。
【0040】
そして、回収された使用済みのインクカートリッジ11を再生する場合には、まず図6に示すように、そのインクカートリッジ11が容器本体12の下面を上方に向けるように逆さまに配置される。そして次には、カバーフィルム31における第1インク注入孔21の孔被覆領域42にインク再充填用の穴を開けるために穴開け用刃体46が先端部に形成した刃部47を第1インク注入孔21の孔被覆領域42と上下方向で対応させるように配置される。因みに、この穴開け用刃体46は、軸方向の先端部側から見た場合に、その軸中心を通る一点から放射方向へ延びる4つの刃部47が等角度間隔(この場合は、90度間隔)おきとなるように形成されている。そして、その配置状態から、図6に示すように、穴開け用刃体46が容器本体12の下面に接近する方向へ移動させられると、各刃部47がカバーフィルム31における第1インク注入孔21の孔被覆領域42に突き入れられることになる。
【0041】
すると、カバーフィルム31の孔被覆領域42には穴開け用刃体46の刃部47により第1インク注入孔21の中心と対応する一点から放射方向へ延びる4つの切り込みが十字状に形成される。そして、その十字状の切り込み形成によりできた4つの切片48が第1インク注入孔21内へ放射方向に離間するように分散して垂れ下がることにより、カバーフィルム31における第1インク注入孔21の孔被覆領域42にはインクの再充填を可能とする穴49が形成される。すなわち、この時点でカバーフィルム31は、その孔被覆領域42に第1インク注入孔21に連通した穴49が開けられた穴開きフィルムとなる。そして、このようにカバーフィルム31における第1インク注入孔21の孔被覆領域42に穴49が形成されると、続けてカバーフィルム31における第2インク注入孔22の孔被覆領域43にも第2インク注入孔22に連通した穴49が同様に形成される。
【0042】
以上の穴開け工程が終了すると、次には図示しないインク注入用ノズルが各穴49を介して各インク注入孔21,22内に挿入され、各インク注入孔21,22が連通するインク収容室29,30内へインクが再充填される。そして、インクの再充填が終了すると、その再充填時にカバーフィルム31に開けられた各穴49及びインク供給孔23におけるカバーフィルム32に既に開けられている穴41が封止され、再使用可能なインクカートリッジ11として再生される。
【0043】
そこで次に、各カバーフィルム31,32に開けられた各穴49,41を封止フィルムにより封止して再びインクカートリッジ11にシール機能を付与するシール方法について図面を参照しながら説明する。なお、図7(a)(b)は容器本体12における第1インク注入孔21及び第2インク注入孔22が形成された部分を破断して示したものである。
【0044】
さて、図7(a)に示すように、まずカバーフィルム31の穴49をシールする際には2層構造の積層フィルム(封止フィルム)50がカバーフィルム31の上に載置される。この積層フィルム50は、所定の加熱温度で溶融する第1フィルム51と、この第1フィルム51の溶融温度では溶融することなく且つ第1フィルム51よりも耐熱性の強い第2フィルム52とが積層された構成をしている。すなわち、封止フィルムとしての積層フィルム50は、両フィルム51,52の積層方向の一方側では第1フィルム51が最外層を構成すると共に他方側では第2フィルム52が最外層を構成している。
【0045】
そして、積層フィルム50は、カバーフィルム31上に載置される場合、第1フィルム51が容器本体12側に位置してカバーフィルム31の表層フィルム31bと接するようにして、容器本体12上に各インク注入孔21,22と各々対応する両穴49を被覆する態様で載置される。ここで、第1フィルム51を容器本体12側にしてカバーフィルム31に接触させるのは、シール時の加熱で第1フィルム51を溶融させて溶着機能を発揮させるためであり、第2フィルム52を外面側に位置させるのは耐熱性に優れた第2フィルム52でシール機能を維持させるためである。
【0046】
ここで、第1フィルム51は、所定の加熱温度で溶融して溶着機能を良好に発揮するポリオレフィン(PO)系のフィルム、すなわちインクカートリッジ11の容器本体12及びカバーフィルム31の接合層フィルム31aを構成する樹脂材料と同系の樹脂材料からなるフィルムであって且つカバーフィルム31の表層フィルム31bとは異系の樹脂材料からなるフィルムで構成されている。なお、インクカートリッジ11の容器本体12及びカバーフィルム31の接合層フィルム31aを構成する樹脂材料がエステル系の樹脂材料からなるフィルムである場合は、第1フィルム51としてエステル系のフィルムを採用することも可能である。
【0047】
また、第1フィルム51には、イージーピールオープン(EPO)機能を持ったフィルムも採用可能である。すなわち、一層構造のフィルムで異種の樹脂材料がランダムに混合されてなる凝集剥離タイプ、複数層のフィルム構造でサポート層となるフィルム層とシール層となるフィルム層の接合強度を低くしておく層間剥離タイプ、一層構造のフィルムで異種の樹脂材料同士の混合比率を調節することで接合強度及び剥離強度を調節する界面剥離タイプのうち、いずれかのタイプのEPO機能を持ったフィルムで第1フィルム51を構成してもよい。
【0048】
そして、第1フィルム51がEPO機能を持ったフィルムで構成された場合は、その溶着機能により積層フィルム50をカバーフィルム31上に接合した後において、必要時にはカバーフィルム31上から封止フィルムとしての積層フィルム50を容易に剥がして再び穴49を露出させる(イージーピールオープンさせる)ことができるようになる。
【0049】
一方、第2フィルム52は、上記のポリオレフィン(PO)系のフィルム等が溶融する加熱温度では溶融することがなく、且つ、ポリオレフィン(PO)系のフィルム等よりは耐熱性に優れたポリエチレンテレフタレート(PET)系、ナイロン(NY)系等のフィルムで構成されている。すなわち、第2フィルム52は、カバーフィルム31の表層フィルム31bと同系の樹脂材料からなるフィルムであって且つ積層フィルム50の第1フィルム51とは異系の樹脂材料からなるフィルムで構成されている。
【0050】
また、この第2フィルム52と積層状態となる上記の第1フィルム51は、その厚さが、20〜60μの範囲内の25μに設定されている。第1フィルム51の厚さを20μ以上とするのは、第2フィルム52の第1フィルム51との接合面に凹凸があっても、その凹凸を溶融した場合に対処できるようにするためであり、その厚さを60μ以下とするのは不必要に厚くなるとコスト高になるばかりか加熱時の熱伝導も悪くなるからである。
【0051】
そして、カバーフィルム31上に積層フィルム50が載置されると、次には図7(b)に示すように、その積層フィルム50上から加熱手段となるヒータ53が積層フィルム50に向けて下降される。このヒータ53は、積層フィルム50の第1フィルム51は溶融するが第2フィルム52は溶融しない程度の所定温度に加熱されるものであり、その形状は積層フィルム50の表面(第2フィルム52の表面)に面接触可能な平面状の押圧面を有するブロック体で構成されている。
【0052】
そのため、図7(b)に示すように、ヒータ53が積層フィルム50の表面に面接触して積層フィルム50を加熱した場合には、積層フィルム50におけるカバーフィルム31の穴49の周縁に沿う環状領域のみならず、その内側領域となる穴49の被覆領域の部分も加熱される。そのため、穴49の周縁に沿う環状領域が加熱により確実に溶融して溶着すると共に、その環状領域の内側となる穴49の被覆領域も同様に加熱されるので、積層フィルム50における特に第1フィルム51の加熱による強度変化も各領域間で同様にでき領域間での強度差の発生が抑制される。
【0053】
そして、ヒータ53の加熱により積層フィルム50における第1フィルム51が溶融することにより、その溶融した第1フィルム51が冷却した場合には、封止フィルムとしての積層フィルム50が穴開きフィルムとしてのカバーフィルム31の上に各インク注入孔21,22を封止可能な溶着態様で接合される。すなわち、穴49の開いたカバーフィルム31上に穴49を塞ぐように積層フィルム50が溶着により接合されることで、インク注入孔21,22が封止される。
【0054】
ここで、カバーフィルム31の接合層フィルム31aとインクカートリッジ11の容器本体12とは同系の樹脂材料同士の溶着であるので相溶性が良く両者の接合強度は強い。これに対し、カバーフィルム31の表層フィルム31bと積層フィルム50の第1フィルム51とは、異系の樹脂材料同士の溶着となるので同系の樹脂材料同士の溶着に比べると相溶性の点で劣ることになる。そのため、カバーフィルム31に対する積層フィルム50の接合強度はインクカートリッジ11の容器本体12に対するカバーフィルム31の接合強度よりは弱いものとなる。但し、積層フィルム50はカバーフィルム31に対して溶着により接合されていることから、カバーフィルム31に開けられている穴49を被覆した状態となってシール機能を良好に発揮するようになる。その後、ヒータ53が図7(b)に示す接触位置から図7(a)に示す待機位置へと上昇する。
【0055】
そして、以上のように穴開きフィルムとしてのカバーフィルム31上に封止フィルムとしての積層フィルム50が溶着により接合されると、次には、図8に示すように、インク供給孔23を被覆している穴開きフィルムとしてのカバーフィルム32上にも積層フィルム50と同様の樹脂材料からなる第1フィルム及び第2フィルムが積層されてなる封止フィルムとしての積層フィルム60が溶着により接合される。なお、図9に示すように、インク供給孔23を封止可能にカバーフィルム32上に接合された積層フィルム60は、その一端がインクカートリッジ11の容器本体12の側方(図9では前方)へ延びるように突出する把持部60aとして長く形成されている。そのため、この把持部60aを把持することにより積層フィルム60は容易に剥離可能とされる。
【0056】
以上のシール工程が終了すると、図5(b)に示すようにカバーフィルム32に穴41が開けられた状態で回収された使用済みのインクカートリッジ11は、良好なシール機能を付与された再使用可能な再生インクカートリッジ11として再生される。そして、その出荷段階では、図10に示すように、可撓性を有する透明な樹脂材料(例えばビニールなど)からなる袋体70内に収容された梱包状態で再生出荷される。なお、図10に示すように、この再生出荷段階においてインクカートリッジ11を収容した袋体70内は真空引
きがされており、インクカートリッジ11は真空パック状態で出荷される。そのため、インクカートリッジ11内に充填されているインクが脱気されている場合、その脱気度が低下することが抑制される。
【0057】
次に、こうして再生出荷された再生インクカートリッジ11をプリンタに装着して再使用する場合について説明する。
すなわち、図11(a)に示すように、再生インクカートリッジ11を再使用する場合には、インク供給孔23を封止するように穴開きのカバーフィルム32に接合されていた封止フィルムとしての積層フィルム60が剥離される。すなわち、積層フィルム60は、把持部60aが把持されての剥離操作により、インクカートリッジ11から剥離される。このとき、カバーフィルム32は、インクカートリッジ11の容器本体12に対する接合強度がカバーフィルム32に対する積層フィルム60の接合強度よりも強いため、インク供給孔23から一緒に剥離されることはない。
【0058】
なお、この場合において、もし仮にシール部材33と供給弁34との隙間からインクがインク供給孔23の開口側に漏れ出ていると、封止フィルムとしての積層フィルム60を剥離したときに、そのインクがインク供給孔23から外部に飛散する可能性がある。しかし、本実施形態の場合には、そうしたインクは穴開きフィルムとしてインク供給孔23を被覆するように接合された状態に維持されるカバーフィルム32により外部への飛散が抑制されることになる。
【0059】
そして、図11(a)に示す状態から、インクカートリッジ11をプリンタのカートリッジホルダに装着するようにすれば、インク供給針39がカバーフィルム32に既に開けられている穴41を通じてインク供給孔23内に挿入される。そして、インク供給針39の先端部外周面に形成されたインク導入孔39aを介してインクカートリッジ11側からプリンタ側へインクが供給されるようになる。
【0060】
ここで、図11(b)に示す比較例のように再生インクカートリッジ11がプリンタのカートリッジホルダに装着されるときに封止フィルムとしての積層フィルム60,61が剥離されない場合について説明する。なお、この図11(b)の比較例は、二回目の再生がなされて出荷された再生インクカートリッジの場合を示しており、積層フィルム60は一回目の再生時に接合され且つ一回目の再使用時に穴が開けられた穴開きフィルムとしての封止フィルムである。また、積層フィルム61は二回目の再生時に接合された封止機能を保持した封止フィルムである。
【0061】
この比較例の場合は、再生インクカートリッジ11をプリンタのカートリッジホルダに装着したときに、最外層の積層フィルム61がインク供給針39により突き破られて穴が開けられることになる。その際、可撓性を有する積層フィルム61はインク供給針39に押圧されてインク供給孔23の内側へ撓み変形した後に突き破られて穴を開けられることになる。そのため、この比較例の場合は、プリンタのカートリッジホルダに対してインクカートリッジ11を装着するときに、インクカートリッジ11を装着方向へ押す押圧力が装着負荷として必要になる。
【0062】
また、この比較例の場合は、インク供給針39からの押圧力で積層フィルム61が内側に撓み変形するためにインク供給孔23内の空気が圧縮され、その圧縮した空気が積層フィルム61に穴が開けられた瞬間にインク供給針39のインク導入孔39aからインク供給針39内に入り込み、気泡となってプリンタ側に供給されてしまうこともあり得る。さらに、インク供給針39に突き破られる積層フィルム61の内側に何枚もの穴開きフィルム(この場合は、いずれも穴開きのカバーフィルム32と積層フィルム60)が各切片を有した状態で存在すると、それらの切片のうち一部がインク供給針39とシール部材33
との間に巻き込まれてシール機能を阻害してしまうおそれもあり得る。
【0063】
こうした図11(b)の比較例とは異なり、図11(a)に示す本実施形態の場合は、穴の開いていない封止フィルムとしての積層フィルム60がプリンタへの装着前に確実に剥離される。したがって、インクカートリッジ11をプリンタに装着する場合において、インクカートリッジ11の装着負荷が低減されると共に、インク供給針39内への気泡の入り込みも抑制され、さらにはフィルムの切片がシール部材33とインク供給針39との間に巻き込まれてシール機能を阻害するおそれも低減される。
【0064】
さらに、この再生インクカートリッジ11のインクが消費されて使用済みインクカートリッジとして回収された場合は、再び図7〜図9に示す再生工程を経た後、図10に示す梱包態様で出荷され、図11(a)に示す使用態様でプリンタに装着されて再使用されることになる。なお、この場合の再生時には、図6に示す穴開け工程は不要となる。そして回収された使用済みインクカートリッジへのインクの再充填に際しては、封止フィルムとしての積層フィルム50がカバーフィルム31上から剥離操作により剥離され、その剥離に伴い露出した穴49を介してインクの再充填が行われた後、新たな積層フィルム50が封止フィルムとして接合されることになる。
【0065】
したがって、本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)インクの再充填により再生されたインクカートリッジ11は、封止フィルムとしての積層フィルム50,60が溶着により穴開きフィルムとしてのカバーフィルム31,32上に接合されてインク注入孔21,22及びインク供給孔23が封止されるので、良好なシール機能を有して再生される。そして、封止フィルムとしての積層フィルム50,60については、必要に応じて適宜に剥離されるため、再生の度に積み重なるように次々に接合されることはない。したがって、インクカートリッジ11の外郭形状を局所的に変化させることもないので、プリンタのカートリッジホルダに対して新品時と同様に適正な位置合せ状態で装着することができる。また、使用済みで回収されたインクカートリッジ11において既に穴41,49が開いているカバーフィルム31,32の穴周りの切片48等に古いインクが付着していても、積層状態にない切片の場合は付着しているインクを洗浄により容易に除去できるので、再充填した新しいインクに古いインクが混じり合ってインクの組成に変化を及ぼすことも抑制できる。
【0066】
(2)封止フィルムとしての積層フィルム50,60の各第1フィルム51は、それぞれが接合される相手方(カバーフィルム31,32の各表層フィルム31b)とは異系の樹脂材料からなるために、カバーフィルム31,32の接合層フィルム31aが各々の相手方(同系の樹脂材料からなる容器本体12)に対して有する接合強度よりも接合強度が弱い。そのため、積層フィルム50,60を剥離操作した場合には、各カバーフィルム31,32の接合層フィルム31aの相手方に対する接合状態は維持したままで積層フィルム50,60だけを容易に剥離することができる。
【0067】
(3)各カバーフィルム31,32の上に各積層フィルム50,60を溶着により接合させた場合、積層フィルム50,60の第1フィルム51は溶融しても各カバーフィルム31,32の表層フィルム31bは溶融しないので、この点で、接合強度を剥離操作により容易に剥離可能な程度の接合強度にすることができる。また、そのようにして接合された封止フィルムとしての積層フィルム50,60は、表面側となる第2フィルム52が耐熱性に優れているのでシール性を良好に維持することができる。
【0068】
(4)また、封止フィルムとしての積層フィルム50,60を剥離する場合、その積層フィルム50,60における第1フィルム51をイージーピールオープン(EPO)機能を有したフィルムで構成しておけば、必要に応じて簡単に剥離操作により剥離することが
できる。
【0069】
(5)さらに、その剥離操作に際しては、積層フィルム60に延設された把持部60aを把持するようにすれば、簡単に剥離することができる。
(6)そして、再生したインクカートリッジ11をプリンタに装着して再使用する場合には、インク供給孔23を封止するように接合されている積層フィルム60が事前に剥離される。そのため、図11(b)に示す比較例との対比において、装着負荷の低減を図ることができると共に、気泡混じりのインクがプリンタ側に供給されることを回避できる。さらには、インク供給針39とシール部材33との間のシール機能が低下することを抑制できる。
【0070】
(7)また、再生したインクカートリッジ11を出荷する段階では、袋体70内にインクカートリッジ11を収容した梱包状態で出荷するため、インクカートリッジ11の保護を図ることができる。
【0071】
(8)しかも、その袋体70内を真空引きしてインクカートリッジ11を真空パック状態で出荷するようにしているので、インクカートリッジ11内のインクの脱気度が低下することを抑制できる。
【0072】
なお、上記実施形態は以下のような別の実施形態に変更してもよい。
・ 図12に示すように、穴開きフィルムとしてのカバーフィルム31上に穴49を塞ぐように接合される封止フィルムとしての積層フィルム50にも把持部50aを延設してもよい。この場合は、回収した使用済みのインクカートリッジ11にインクを再充填するときに、把持部50aを把持することにより積層フィルム50を容易に剥離でき、インク再充填に使用する穴49を簡単に露出させることができるので、インクカートリッジ11の再生作業を迅速に行うことができる。
【0073】
・ 図13に示すように、再生したインクカートリッジ11を袋体70に収容した梱包状態で出荷するとき、袋体70内は真空引きされていない梱包状態であってもよい。この場合でも、袋体70によりインクカートリッジ11の保護を図ることはできる。
【0074】
・ 再生したインクカートリッジ11は、袋体70内に収容することなく、図9に示す未梱包の状態で出荷するようにしてもよい。この場合でも、封止フィルムとしての各積層フィルム50,60が良好なシール機能を付与しているので、インクカートリッジ11のインク注入孔21,22やインク供給孔23からインクが漏出することを抑制できる。
【0075】
・ 積層フィルム50,60における把持部50a,60aは必ずしも設けられていなくてよい。この場合でも、積層フィルム50,60の第1フィルム51は接合強度が剥離可能な弱い接合強度であるので、容易に剥離できる。
【0076】
・ インクカートリッジ11の容器本体12、カバーフィルム31,32の接合層フィルム31a、及び積層フィルム50,60の第1フィルム51を同系の樹脂材料で構成する場合においてポリオレフィン(PO)系の樹脂材料としては、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリブデン(PB)等を採用可能である。また、同系の樹脂材料としてエステル系の樹脂材料を採用する場合は、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフタレート等を採用可能である。
【0077】
・ インクカートリッジ11の容器本体12、カバーフィルム31,32の接合層フィルム31a、及び積層フィルム50,60の第1フィルム51は、必ずしも同系の樹脂材料で構成していなくてもよい。すなわち、それらの溶融温度よりも高い溶融温度で溶融す
る樹脂材料で相手方のフィルムが構成されているならば、接合強度を剥離操作により剥離し得る程度の弱い接合強度にできる。
【0078】
・ 封止フィルムとしての積層フィルム50,60は、必ずしも溶着による接合に限定されない。すなわち、穴開きフィルムとしてのカバーフィルム31,32の容器本体12に対する接合強度よりも弱い接合強度であって剥離操作にて剥離できる接合強度でシール性を確保できるものならば、接着による接合であってもよい。
【0079】
・ インク注入孔21,22を封止可能に穴開きのカバーフィルム31上に接合される封止フィルムとしての積層フィルム50及びインク供給孔23を封止可能に穴開きのカバーフィルム32上に接合される封止フィルムとしての積層フィルム60のうち一方の積層フィルム50,60だけが容器本体12に対するカバーフィルム31,32の接合強度よりも弱い接合強度で剥離操作可能に接合された構成であってもよい。
【0080】
・ インクカートリッジ11の容器本体12はカバーフィルム31,32が溶着により接合される下面が第1フィルム51の溶融温度で同様に溶融可能な材質(例えばポリプロピレンなどの合成樹脂)であれば、その他の部位は第1フィルム51の溶融温度では溶融することのない耐熱性の強い合成樹脂や金属材料で構成されていてもよい。
【0081】
・ 積層フィルム50,60の第1フィルム51は、ヒータ53による加熱時に溶融するものであれば、例えばウレタン系のフィルムであってもよい。
・ 積層フィルム50,60は、第1フィルム51と第2フィルム52との間に他のフィルムが挟まれた3層以上の構成であってもよい。要するに、カバーフィルム31,32に接触する側の最外層が第1フィルム51であると共にその反対側の最外層が第2フィルム52であればよい。
【0082】
・ インクカートリッジ11は、容器本体12の内部にインク(液体)を吸収保持可能なスポンジや不織布等の多孔質材がインク吸収材(液体吸収材)として収容された形態のインクカートリッジであって、そのインク吸収材が吸収保持しているインクを容器本体に形成されたインク供給孔からインク供給針を介して供給するものであってもよい。
【0083】
・ また、使用済みのインクカートリッジ11を再生するために該インクカートリッジ11内にインクを再充填する場合は、インク注入孔21,22からではなくインク供給孔23からインクを再充填するようにしてもよい。すなわち、インク供給孔23内において供給弁34をコイルばね35の付勢力に抗してシール部材33から離座した状態に保持すれば、インク供給孔23からインクを再充填することも可能である。
【0084】
・ 上記実施形態では、液体収容容器をインクカートリッジに具体化したが、インク以外の他の液体(機能材料の粒子が液体に分散又は混合されてなる液状体、ゲルのような流状体を含む)を内部に収容する液体収容容器に具体化することもできる。そして、本明細書における「液体」には、例えば、無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)等を含むほか、液状体、流状体などが含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】新品段階のインクカートリッジの前面側斜視図。
【図2】同インクカートリッジの後面側斜視図。
【図3】同インクカートリッジの後面側一部分解斜視図。
【図4】同インクカートリッジの一部破断正面(前面)図。
【図5】(a)はプリンタに未装着の新品段階のインクカートリッジの底面図、(b)はプリンタから取り外された使用済みインクカートリッジの底面図。
【図6】穴開け工程の穴開け完了時を示す説明図。
【図7】(a)はシール工程の加熱シール開始直前状態を示す説明図、(b)はシール工程の加熱シール完了状態を示す説明図。
【図8】再生された再生インクカートリッジの一部破断面図。
【図9】再生インクカートリッジの後面側斜視図。
【図10】再生インクカートリッジの出荷時の梱包態様を示す斜視図。
【図11】(a)は再生インクカートリッジをプリンタに装着しての使用状態を示す部分断面図、(b)は比較例の再生インクカートリッジの場合を示す部分断面図。
【図12】別の実施形態の再生インクカートリッジの後面側斜視図。
【図13】再生インクカートリッジの出荷時の梱包態様を別の実施形態で示す斜視図。
【符号の説明】
【0086】
11…液体収容容器としてのインクカートリッジ、21,22…孔及び液体注入孔としてのインク注入孔、23…孔及び液体供給孔としてのインク供給孔、31,32…穴開きフィルムとしてのカバーフィルム、31a…接合層フィルム、31b…表層フィルム、39…中空針としてのインク供給針、41,49…穴、50,60,61…封止フィルムとしての積層フィルム、50a,60a…把持部、51…第1フィルム、52…第2フィルム、70…袋体。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体収容容器に形成された孔を被覆するように前記液体収容容器に接合されているフィルムであって且つ前記孔に連通する穴が開けられた穴開きフィルムの上に前記穴を塞ぐように封止フィルムを接合して前記孔を封止するにあたり、
前記封止フィルムを前記穴開きフィルムの上に前記液体収容容器に対する前記穴開きフィルムの接合強度よりも弱い接合強度であって且つ前記封止フィルムが剥離操作されたときには該封止フィルムを前記穴開きフィルム上から剥離可能とする接合強度で接合したことを特徴とする液体収容容器におけるシール方法。
【請求項2】
前記穴開きフィルムは、前記液体収容容器における前記孔が形成された面に溶着により接合される接合層フィルムと該接合層フィルムが前記液体収容容器に接合された状態において表面側に露出する表層フィルムとを含む複数のフィルムが積層されてなると共に、
前記封止フィルムは、前記穴開きフィルムの表層フィルムに溶着により接合される第1フィルムと該第1フィルムが前記穴開きフィルムの表層フィルムに接合された状態において表面側に露出する第2フィルムとを含む複数のフィルムが積層されてなり、
前記穴開きフィルムの接合層フィルムと前記液体収容容器における前記孔が形成された面とは互いに同系の樹脂材料で構成される一方、
前記穴開きフィルムの表層フィルムと前記封止フィルムの第1フィルムとは互いに異系の樹脂材料で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の液体収容容器におけるシール方法。
【請求項3】
前記穴開きフィルムは、前記液体収容容器における前記孔が形成された面に溶着により接合される接合層フィルムと該接合層フィルムが前記液体収容容器に接合された状態において表面側に露出する表層フィルムとを含む複数のフィルムが積層されてなると共に、
前記封止フィルムは、前記穴開きフィルムの表層フィルムに溶着により接合される第1フィルムと該第1フィルムが前記穴開きフィルムの表層フィルムに接合された状態において表面側に露出する第2フィルムとを含む複数のフィルムが積層されてなり、
前記穴開きフィルムの表層フィルム及び前記封止フィルムの第2フィルムは、前記封止フィルムの第1フィルムよりも溶融温度が高く且つ該第1フィルムよりも耐熱性の強いフィルムであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の液体収容容器におけるシール方法。
【請求項4】
前記封止フィルムは、前記穴開きフィルムからの剥離操作を可能とするイージーピール機能を有したフィルムであることを特徴とする請求項1〜請求項3のうち何れか一項に記載の液体収容容器におけるシール方法。
【請求項5】
前記封止フィルムには、該封止フィルムを剥離操作する際に把持可能な把持部が設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項4のうち何れか一項に記載の液体収容容器におけるシール方法。
【請求項6】
前記孔は、前記液体収容容器が液体噴射装置に装着された場合に該液体噴射装置に設けられた液体導入用の中空針が挿入される液体供給孔であって、前記穴開きフィルムは、前記液体供給孔を被覆するように前記液体収容容器に接合されているフィルムが前記液体収容容器を前記液体噴射装置に装着したときに前記中空針により突き破られて穴が開けられたフィルムであることを特徴とする請求項1〜請求項5のうち何れか一項に記載の液体収容容器におけるシール方法。
【請求項7】
前記孔は、前記液体収容容器内に液体を注入するために形成された液体注入孔であって、前記穴開きフィルムは、前記液体注入孔を被覆するように前記液体収容容器に接合されているフィルムが前記液体収容容器内に前記液体注入孔から液体を再充填するために穴を開けられたフィルムであることを特徴とする請求項1〜請求項5のうち何れか一項に記載の液体収容容器におけるシール方法。
【請求項8】
使用済みの液体収容容器内に液体を再充填した後、その液体収容容器に形成された孔を被覆すると共に該孔に連通する穴が開けられた穴開きフィルムの上に前記
穴を塞ぐように封止フィルムを接合することにより前記孔を封止して液体収容容器を再生するにあたり、
前記封止フィルムを前記穴開きフィルムの上に接合する際には、請求項1〜請求項7のうち何れか一項に記載の液体収容容器におけるシール方法を用いたことを特徴とする液体収容容器の再生方法。
【請求項9】
請求項8に記載の液体収容容器の再生方法により再生された再生液体収容容器を液体噴射装置に装着して再使用するにあたり、
前記再生液体収容容器を、該液体収容容器が液体噴射装置に装着された場合に該液体噴射装置に設けられた液体導入用の中空針が挿入される液体供給孔を封止している封止フィルムを剥離してから、前記液体噴射装置に装着することを特徴とする再生液体収容容器の使用方法。
【請求項10】
請求項8に記載の液体収容容器の再生方法により再生されたことを特徴とする液体収容容器。
【請求項11】
前記液体収容容器は袋体に収容されていることを特徴とする請求項10に記載の液体収容容器。
【請求項12】
前記液体収容容器は、可撓性を有する袋体に収容されると共に、その袋体内は真空引きされていることを特徴とする請求項10に記載の液体収容容器。
【請求項1】
液体収容容器に形成された孔を被覆するように前記液体収容容器に接合されているフィルムであって且つ前記孔に連通する穴が開けられた穴開きフィルムの上に前記穴を塞ぐように封止フィルムを接合して前記孔を封止するにあたり、
前記封止フィルムを前記穴開きフィルムの上に前記液体収容容器に対する前記穴開きフィルムの接合強度よりも弱い接合強度であって且つ前記封止フィルムが剥離操作されたときには該封止フィルムを前記穴開きフィルム上から剥離可能とする接合強度で接合したことを特徴とする液体収容容器におけるシール方法。
【請求項2】
前記穴開きフィルムは、前記液体収容容器における前記孔が形成された面に溶着により接合される接合層フィルムと該接合層フィルムが前記液体収容容器に接合された状態において表面側に露出する表層フィルムとを含む複数のフィルムが積層されてなると共に、
前記封止フィルムは、前記穴開きフィルムの表層フィルムに溶着により接合される第1フィルムと該第1フィルムが前記穴開きフィルムの表層フィルムに接合された状態において表面側に露出する第2フィルムとを含む複数のフィルムが積層されてなり、
前記穴開きフィルムの接合層フィルムと前記液体収容容器における前記孔が形成された面とは互いに同系の樹脂材料で構成される一方、
前記穴開きフィルムの表層フィルムと前記封止フィルムの第1フィルムとは互いに異系の樹脂材料で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の液体収容容器におけるシール方法。
【請求項3】
前記穴開きフィルムは、前記液体収容容器における前記孔が形成された面に溶着により接合される接合層フィルムと該接合層フィルムが前記液体収容容器に接合された状態において表面側に露出する表層フィルムとを含む複数のフィルムが積層されてなると共に、
前記封止フィルムは、前記穴開きフィルムの表層フィルムに溶着により接合される第1フィルムと該第1フィルムが前記穴開きフィルムの表層フィルムに接合された状態において表面側に露出する第2フィルムとを含む複数のフィルムが積層されてなり、
前記穴開きフィルムの表層フィルム及び前記封止フィルムの第2フィルムは、前記封止フィルムの第1フィルムよりも溶融温度が高く且つ該第1フィルムよりも耐熱性の強いフィルムであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の液体収容容器におけるシール方法。
【請求項4】
前記封止フィルムは、前記穴開きフィルムからの剥離操作を可能とするイージーピール機能を有したフィルムであることを特徴とする請求項1〜請求項3のうち何れか一項に記載の液体収容容器におけるシール方法。
【請求項5】
前記封止フィルムには、該封止フィルムを剥離操作する際に把持可能な把持部が設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項4のうち何れか一項に記載の液体収容容器におけるシール方法。
【請求項6】
前記孔は、前記液体収容容器が液体噴射装置に装着された場合に該液体噴射装置に設けられた液体導入用の中空針が挿入される液体供給孔であって、前記穴開きフィルムは、前記液体供給孔を被覆するように前記液体収容容器に接合されているフィルムが前記液体収容容器を前記液体噴射装置に装着したときに前記中空針により突き破られて穴が開けられたフィルムであることを特徴とする請求項1〜請求項5のうち何れか一項に記載の液体収容容器におけるシール方法。
【請求項7】
前記孔は、前記液体収容容器内に液体を注入するために形成された液体注入孔であって、前記穴開きフィルムは、前記液体注入孔を被覆するように前記液体収容容器に接合されているフィルムが前記液体収容容器内に前記液体注入孔から液体を再充填するために穴を開けられたフィルムであることを特徴とする請求項1〜請求項5のうち何れか一項に記載の液体収容容器におけるシール方法。
【請求項8】
使用済みの液体収容容器内に液体を再充填した後、その液体収容容器に形成された孔を被覆すると共に該孔に連通する穴が開けられた穴開きフィルムの上に前記
穴を塞ぐように封止フィルムを接合することにより前記孔を封止して液体収容容器を再生するにあたり、
前記封止フィルムを前記穴開きフィルムの上に接合する際には、請求項1〜請求項7のうち何れか一項に記載の液体収容容器におけるシール方法を用いたことを特徴とする液体収容容器の再生方法。
【請求項9】
請求項8に記載の液体収容容器の再生方法により再生された再生液体収容容器を液体噴射装置に装着して再使用するにあたり、
前記再生液体収容容器を、該液体収容容器が液体噴射装置に装着された場合に該液体噴射装置に設けられた液体導入用の中空針が挿入される液体供給孔を封止している封止フィルムを剥離してから、前記液体噴射装置に装着することを特徴とする再生液体収容容器の使用方法。
【請求項10】
請求項8に記載の液体収容容器の再生方法により再生されたことを特徴とする液体収容容器。
【請求項11】
前記液体収容容器は袋体に収容されていることを特徴とする請求項10に記載の液体収容容器。
【請求項12】
前記液体収容容器は、可撓性を有する袋体に収容されると共に、その袋体内は真空引きされていることを特徴とする請求項10に記載の液体収容容器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2008−273114(P2008−273114A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−121712(P2007−121712)
【出願日】平成19年5月2日(2007.5.2)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年5月2日(2007.5.2)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]