液体収納容器及びこれを用いた画像形成装置
【課題】液体中に分散された微粒子の凝集等による濃度ムラが発生しても濃度差の少ない液体を供給する。
【解決手段】液体を蓄える液体収納容器であって、その上部に形成され、外部から前記液体を充填する充填口と、前記液体を外部に供給する供給口と、略垂直方向に複数の階層をなし、各階層は前記液体を重力方向に所定の傾斜を有するとともに、各階層は隣りの階層と少なくとも一部で連通するように形成された液体流路と、を備えたことを特徴とする液体収納容器を提供することにより前記課題を解決する。
【解決手段】液体を蓄える液体収納容器であって、その上部に形成され、外部から前記液体を充填する充填口と、前記液体を外部に供給する供給口と、略垂直方向に複数の階層をなし、各階層は前記液体を重力方向に所定の傾斜を有するとともに、各階層は隣りの階層と少なくとも一部で連通するように形成された液体流路と、を備えたことを特徴とする液体収納容器を提供することにより前記課題を解決する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体収納容器及びこれを用いた画像形成装置に係り、特に、顔料や樹脂等の微粒子を分散させたいわゆる機能性液体を吐出する装置において、微粒子の沈降が発生しても吐出される液体に濃度ムラが生じないように工夫した液体収納容器及びこれを用いた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、画像形成装置として、多数のノズル(液体吐出口)を配列させたインクジェットヘッド(液体吐出ヘッド)を有し、このインクジェットヘッドと記録媒体とを相対的に移動させながら、ノズルから記録媒体に向けてインクを液滴として吐出することにより、記録媒体上に画像やパターンを記録するインクジェットプリンタ(インクジェット記録装置)が知られている。
【0003】
このような、インクジェットプリンタのインクジェットヘッドは、例えば、インクタンクからインク供給路を介してインクが供給される圧力室と、画像データに応じた電気信号によって駆動される圧電素子と、圧電素子の駆動によって変形する圧力室の一部を構成する振動板と、振動板の変形によって圧力室の容積が減少することにより圧力室内のインクが液滴として吐出される圧力室に連通するノズルを含む多数の圧力室ユニットによって構成されており、各圧力室ユニットのノズルから吐出されたインクによって形成されるドットを組み合わせることによって記録媒体上に画像やパターンが形成される。
【0004】
インクジェット記録装置を印刷や捺染等の産業用目的で使用する場合、インクの消費量が多く、カートリッジ交換方式を用いてインクを補充していたのでは、作業が煩雑であり、また、カートリッジを交換する間は装置の動作を停止させなければならず生産性が悪くなる。そこで、容量の大きな液体収納室(液体タンク)を設け、チューブまたはパイプ等によってサブタンクに液体を供給し、さらにサブタンクから液体吐出ヘッドに液体を供給する形態が知られている。
【0005】
また一方において、近年このようなインクジェット記録装置を用いてインク等の液体を記録媒体に吐出して画像を形成するばかりでなく、微粒子を分散させた機能性液体を吐出してパターン等を形成することが行われている。ここで用いられる微粒子としては、例えば顔料、高分子樹脂、金属、ガラス及びそれらの酸化物や化合物などが考えられる。
【0006】
これらの原材料を微粒子して、分散剤で溶媒液体中へ分散、乳化した機能性液体を吐出に用いる場合、長期間に渡って液体収納室(液体タンク)に機能性液体を収納していると、経時的に液体収納室内部で液体中の微粒子がしだいに凝集、沈降するようになる。その結果、液体収納室内のインクが重力方向(上下方向)に濃度の違う層ができ、下の層程濃度が濃く、上の方へ行くほど濃度が薄い層が形成される。
【0007】
このように凝集、沈降した液体をそのまま吐出すると、液体収納室の使用初期と使用後期とでは吐出される液体の濃度が異なり、吐出結果の濃度ムラや歪み、色再現性の悪化、微粒子密度の不均一などが発生し、目視され得る程度の色差が生じてしまい、画像品質を高く維持できないという問題があった。
【0008】
これに対し、例えば、白色用インクタンク内のインクの攪拌を行う攪拌機構を設け、白色用インクタンクから白色インクを供給する前に攪拌機構を動作させることにより、白色インクの沈殿を防止するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1等参照)。
【0009】
また、例えば、インクタンク内と連通する2つ以上の連通口の相互間を循環するポンプなどを設けることにより、その動作によってインクタンク内インク流を生成攪拌することにより、顔料の沈降現象による濃度ムラを解消しようとしたものが知られている(例えば、特許文献2等参照)。
【0010】
また、例えば、液体収納容器の鉛直下側に設けられた供給口とその一方端が接続するとともにその他方端にフロートが設けられた中空の管状部材のフロート近傍と供給口近傍にそれぞれ管状部材内部に液体を取り入れる液体供給穴を設け、液体の液位の変化に応じてフロートの浮き位置が変化するのに伴って管状部材が変形するようにし、管状部材に設けられた液体供給穴が常に液体の特定濃度層に位置するようにして、濃度バラツキのない液体を他の装置に供給するようにしたものが知られている(例えば、特許文献3等参照)。
【特許文献1】特開2005−138488号公報
【特許文献2】特開2004−351865号公報
【特許文献3】特開2004−174944号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記特許文献1に記載されたものでは、インクタンクに攪拌専用の機構を備える必要があり、コスト的に問題がある。また、沈降状態でインクを供給しようとするとインクタンク内の場所によってインクの濃度が異なるため、そのままインクを供給すると濃度ムラが発生してしまうため、インクを供給する前には必ずインクタンク内を攪拌しなければならない。その結果、インク供給にあたり攪拌時間が必要となるため処理時間が掛かるという問題がある。
【0012】
また、上記特許文献2に記載されたものでは、液体をインクタンク内に循環供給することによりインク流を生成させることでインクタンク内のインクを攪拌するようにしているが、容量の大きなインクタンクの場合には、攪拌が十分にできないという問題がある。また、上記特許文献1に記載のものと同様に、沈降状態でのインク供給はできないという制約があり、インク供給にあたって攪拌時間を必要とし、処理時間が掛かるという問題がある。
【0013】
さらに、上記特許文献3に記載されたものでは、管状部材のフロート近傍と供給口近傍にそれぞれ設けられた液体供給穴からそれぞれ濃度の異なる液体を取り入れるようにしているが、濃度の異なる液体をどのような割合で取り入れるかという液体供給穴の最適化が必要であり、かつ液位の変化に伴って管状部材が任意の形状となるため安定性に欠け、所望の特定濃度層に各液体供給穴が位置しないという問題がある。
【0014】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、液体中に分散された微粒子の凝集、沈降による濃度ムラや密度ムラが発生しても濃度差の少ない液体を供給することのできる液体収納容器、及びこれを用いて均一な濃度の液体を安定的に吐出し、記録媒体に記録された画像において目視され得る程度の濃度差が生じないようにした画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、液体を蓄える液体収納容器であって、その上部に形成され、外部から前記液体を充填する充填口と、前記液体を外部に供給する供給口と、略垂直方向に複数の階層をなし、各階層は前記液体を重力方向に所定の傾斜を有するとともに、各階層は隣りの階層と少なくとも一部で連通するように形成された液体流路と、を備えたことを特徴とする液体収納容器を提供する。
【0016】
これにより、微粒子を分散させた機能性インクを用いる場合に、微粒子が沈降する空間を小さくして濃度変化の状態を少なくすることにより濃度ムラの発生を抑制することが可能となる。
【0017】
なお、このように各階層は液体を重力方向に少しずつ移動させるために所定の傾斜を有しているが、この所定の傾斜は、5°以上、30°以下が好ましい。ここで5°以上の傾斜というのは、液体が停留せずに液体流路の傾斜に沿って流れる(移動する)ために最低限必要な条件であり、また30°以下の傾斜というのは、貯蔵された液体内の微粒子が傾斜に沿って移動し液体収納容器全体の最下面まで沈降してしまうことなく、各階層で沈降し、分布を形成するために最低限必要な条件である。また、さらに望ましくは5°以上20°以下の傾斜が良い。20°以下の傾斜というのは、各階層での沈降分布形成が安定するためにさらに良い条件だからである。
【0018】
また、請求項2に示すように、前記液体流路は、上部から下部まで連続的に傾斜した螺旋状の部材によって形成されたことを特徴とする。また、請求項3に示すように、前記液体流路は、上部から下部まで続く螺旋階段状の部材によって形成されたことを特徴とする。このように液体流路を具体的に構成することで、微粒子の沈降の空間を小さくして濃度変化の状態を少なくすることが可能となる。
【0019】
また、請求項4に示すように、前記液体流路は、略円筒形の管を上部から下部まで螺旋状に巻き回して形成されたことを特徴とする。
【0020】
このように液体流路の断面形状が略円形状となるようにすることで、液体の淀み部が低減し、液体の攪拌性能が向上する。
【0021】
また、請求項5に示すように、前記液体流路は、先端部が下がるように傾斜した板状部材を異なる方向から互い違いに形成することによって形成されたことを特徴とする。
【0022】
このように、液体流路の形状は必ずしも螺旋状でなくともよい。
【0023】
また、請求項6に示すように、請求項1〜5のいずれかに記載の液体収納容器であって、その上部に前記供給口が形成され、さらに、該容器底面付近に前記液体を取り入れる供給孔を有するとともに上部が前記供給口と連通するように、該容器中央に略垂直に立ち上がるように形成された供給管を備えたことを特徴とする。
【0024】
これにより、常に容器底部から液体を取り入れることができ、安定した液体供給が可能となるとともに、容器の取り付けが容易となる。
【0025】
また、請求項7に示すように、前記螺旋状の部材あるいは前記螺旋階段状の部材を、該螺旋の中心軸の廻りに回転可能に形成したことを特徴とする。
【0026】
これにより、液体の攪拌性能が向上する。
【0027】
また、同様に前記目的を達成するために、請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれかに記載の液体収納容器を備えたことを特徴とする画像形成装置を提供する。
【0028】
これにより、記録媒体において、目視され得る程度の濃度差を生じることがなく、画像品質の高い画像記録が可能となる。
【発明の効果】
【0029】
以上説明したように、本発明によれば、微粒子を分散させた機能性インクを用いる場合に、微粒子が沈降する空間を小さくして濃度変化の状態を少なくすることにより濃度ムラの発生を抑制することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る液体収納容器及びこれを用いた画像形成装置について詳細に説明する。
【0031】
図1は、本発明に係る液体収納容器を備えた画像形成装置としてのインクジェット記録装置の一実施形態の概略を示す全体構成図である。
【0032】
図1に示すように、このインクジェット記録装置10は、インクの色毎に設けられた複数の印字ヘッド(液体吐出ヘッド)12K、12C、12M、12Yを有する印字部12と、各印字ヘッド12K、12C、12M、12Yに供給するインクを貯蔵しておくインク貯蔵/装填部14と、記録紙16を供給する給紙部18と、記録紙16のカールを除去するデカール処理部20と、前記印字部12のノズル面(インク吐出面)に対向して配置され、記録紙16の平面性を保持しながら記録紙16を搬送する吸着ベルト搬送部22と、印字部12による印字結果を読み取る印字検出部24と、印画済みの記録紙(プリント物)を外部に排紙する排紙部26とを備えている。
【0033】
図1では、給紙部18の一例としてロール紙(連続用紙)のマガジンが示されているが、紙幅や紙質等が異なる複数のマガジンを併設してもよい。また、ロール紙のマガジンに代えて、又はこれと併用して、カット紙が積層装填されたカセットによって用紙を供給してもよい。
【0034】
ロール紙を使用する装置構成の場合、図1のように、裁断用のカッター28が設けられており、該カッター28によってロール紙は所望のサイズにカットされる。カッター28は、記録紙16の搬送路幅以上の長さを有する固定刃28Aと、該固定刃28Aに沿って移動する丸刃28Bとから構成されており、印字裏面側に固定刃28Aが設けられ、搬送路を挟んで印字面側に丸刃28Bが配置されている。なお、カット紙を使用する場合には、カッター28は不要である。
【0035】
複数種類の記録紙を利用可能な構成にした場合、紙の種類情報を記録したバーコードあるいは無線タグ等の情報記録体をマガジンに取り付け、その情報記録体の情報を所定の読取装置によって読み取ることで、使用される用紙の種類を自動的に判別し、用紙の種類に応じて適切なインク吐出を実現するようにインク吐出制御を行うことが好ましい。
【0036】
給紙部18から送り出される記録紙16はマガジンに装填されていたことによる巻き癖が残り、カールする。このカールを除去するために、デカール処理部20においてマガジンの巻き癖方向と逆方向に加熱ドラム30で記録紙16に熱を与える。このとき、多少印字面が外側に弱いカールとなるように加熱温度を制御するとより好ましい。
【0037】
デカール処理後、カットされた記録紙16は、吸着ベルト搬送部22へと送られる。吸着ベルト搬送部22は、ローラー31、32間に無端状のベルト33が巻き掛けられた構造を有し、少なくとも印字部12のノズル面及び印字検出部24のセンサ面に対向する部分が平面(フラット面)をなすように構成されている。
【0038】
ベルト33は、記録紙16幅よりも広い幅寸法を有しており、ベルト面には多数の吸引孔(図示省略)が形成されている。図1に示したとおり、ローラー31、32間に掛け渡されたベルト33の内側において印字部12のノズル面及び印字検出部24のセンサ面に対向する位置には吸着チャンバー34が設けられており、この吸着チャンバー34をファン35で吸引して負圧にすることによってベルト33上の記録紙16が吸着保持される。
【0039】
ベルト33が巻かれているローラー31、32の少なくとも一方にモータ(図示省略)の動力が伝達されることにより、ベルト33は図1において、時計回り方向に駆動され、ベルト33上に保持された記録紙16は、図1の左から右へと搬送される。
【0040】
縁無しプリント等を印字するとベルト33上にもインクが付着するので、ベルト33の外側の所定位置(印字領域以外の適当な位置)にベルト清掃部36が設けられている。ベルト清掃部36の構成について詳細は図示しないが、例えば、ブラシ・ロール、吸水ロール等をニップする方式、清浄エアーを吹き掛けるエアーブロー方式、あるいはこれらの組み合わせなどがある。清掃用ロールをニップする方式の場合、ベルト線速度とローラー線速度を変えると清掃効果が大きい。
【0041】
なお、吸着ベルト搬送部22に代えて、ローラー・ニップ搬送機構を用いる態様も考えられるが、印字領域をローラー・ニップ搬送すると、印字直後に用紙の印字面にローラーが接触するので、画像が滲み易いという問題がある。したがって、本例のように、印字領域では画像面と接触させない吸着ベルト搬送が好ましい。
【0042】
吸着ベルト搬送部22により形成される用紙搬送路上において印字部12の上流側には、加熱ファン40が設けられている。加熱ファン40は、印字前の記録紙16に加熱空気を吹きつけ、記録紙16を加熱する。印字直前に記録紙16を加熱しておくことにより、インクが着弾後乾き易くなる。
【0043】
印字部12は、最大紙幅に対応する長さを有するライン型ヘッドを紙搬送方向(副走査方向)と直交する方向(主走査方向)に配置した、いわゆるフルライン型のヘッドとなっている(図2参照)。
【0044】
図2に示すように、各印字ヘッド12K、12C、12M、12Yは、本インクジェット記録装置10が対象とする最大サイズの記録紙16の少なくとも一辺を超える長さにわたってインク吐出口(ノズル)が複数配列されたライン型ヘッドで構成されている。
【0045】
記録紙16の搬送方向(紙搬送方向)に沿って上流側(図1の左側)から黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の順に各色インクに対応した印字ヘッド12K、12C、12M、12Yが配置されている。記録紙16を搬送しつつ各印字ヘッド12K、12C、12M、12Yからそれぞれ色インクを吐出することにより記録紙16上にカラー画像を形成し得る。
【0046】
このように、紙幅の全域をカバーするフルラインヘッドがインク色毎に設けられてなる印字部12によれば、紙搬送方向(副走査方向)について記録紙16と印字部12を相対的に移動させる動作を一回行うだけで(すなわち、一回の副走査で)記録紙16の全面に画像を記録することができる。これにより、印字ヘッドが紙搬送方向と直交する方向(主走査方向)に往復動作するシャトル型ヘッドに比べて高速印字が可能であり、生産性を向上させることができる。
【0047】
なお、本実施形態は、微粒子を分散させた機能性インクを吐出するものであり、本実施形態では、水に対して不溶性あるいは難溶性の色材を分散したインクが適している。色材としては、分散染料、金属錯塩染料、顔料などが挙げられる。さらに、インクの溶媒に色材を分散させる化合物としては、いわゆる分散剤、界面活性剤、樹脂等を用いることができ、分散剤または界面活性剤としては、アニオン系、ノニオン系等が挙げられ、樹脂分散剤としては、スチレン及び誘電体、ビニルナフタレン及びその誘電体、ビニルナフタレン及びその誘電体、アクリル酸及びその誘電体等が挙げられ、これらの樹脂は、塩基を溶解させた水溶液に可溶なアルカリ可溶型樹脂であることが望ましい。また、顔料としては、無機顔料または有機顔料があるがこれらに限定されるものではない。顔料インクは耐光性、耐水性に優れているが、染料系インクに比べて沈降し易い傾向にある。
【0048】
また、このような機能性インクを用いる場合であっても、シャトル型ヘッドの場合には、記録媒体を副走査方向に搬送しながら、ヘッド自体が主走査方向に往復動作しているため、ヘッド内の機能性インクが常に攪拌される状態にあり、機能性インク内の微粒子の沈降は問題とはならない。これに対して、本実施形態のようなライン型ヘッドの場合には、通常、記録媒体を搬送し、ヘッド自体は固定され動かないため、機能性インク中の微粒子の沈降が問題となる。
【0049】
なお、ここで主走査方向及び副走査方向とは、次に言うような意味で用いている。すなわち、記録紙の全幅に対応したノズル列を有するフルラインヘッドで、ノズルを駆動する時、(1)全ノズルを同時に駆動するか、(2)ノズルを片方から他方に向かって順次駆動するか、(3)ノズルをブロックに分割して、ブロックごとに片方から他方に向かって順次駆動するか、等のいずれかのノズルの駆動が行われ、用紙の幅方向(記録紙の搬送方向と直交する方向)に1ライン(1列のドットによるライン又は複数列のドットから成るライン)の印字をするようなノズルの駆動を主走査と定義する。そして、この主走査によって記録される1ライン(帯状領域の長手方向)の示す方向を主走査方向という。
【0050】
一方、上述したフルラインヘッドと記録紙とを相対移動することによって、上述した主走査で形成された1ライン(1列のドットによるライン又は複数列のドットから成るライン)の印字を繰り返し行うことを副走査と定義する。そして、副走査を行う方向を副走査方向という。結局、記録紙の搬送方向が副走査方向であり、それに直交する方向が主走査方向ということになる。
【0051】
また本例では、KCMYの標準色(4色)の構成を例示したが、インク色や色数の組み合わせについては本実施形態には限定されず、必要に応じて淡インク、濃インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタ等のライト系インクを吐出する印字ヘッドを追加する構成も可能である。
【0052】
図1に示したように、インク貯蔵/装填部14は、各印字ヘッド12K、12C、12M、12Yに対応する色のインクを貯蔵するタンクを有し、各タンクは図示を省略した管路を介して各印字ヘッド12K、12C、12M、12Yと連通されている。また、インク貯蔵/装填部14は、インク残量が少なくなるとその旨を報知する報知手段(表示手段、警告音発生手段等)を備えるとともに、色間の誤装填を防止するための機構を有している。
【0053】
なお、本発明の特徴の一つは、微粒子を分散させた機能性インクを用いた場合に微粒子の沈降が発生しても、濃度ムラ、密度ムラのないインクを供給可能なようにインクタンク(液体収納容器)を工夫するものである。これについて、詳しくは後述する。
【0054】
印字検出部24は、印字部12の打滴結果を撮像するためのイメージセンサ(ラインセンサ等)を含み、該イメージセンサによって読み取った打滴画像からノズルの目詰まりその他の吐出不良をチェックする手段として機能する。
【0055】
本例の印字検出部24は、少なくとも各印字ヘッド12K、12C、12M、12Yによるインク吐出幅(画像記録幅)よりも幅の広い受光素子列を有するラインセンサで構成される。このラインセンサは、赤(R)の色フィルタが設けられた光電変換素子(画素)がライン状に配列されたRセンサ列と、緑(G)の色フィルタが設けられたGセンサ列と、青(B)の色フィルタが設けられたBセンサ列とからなる色分解ラインCCDセンサで構成されている。なお、ラインセンサに代えて、受光素子が二次元配列されて成るエリアセンサを用いることも可能である。
【0056】
印字検出部24は、各色の印字ヘッド12K、12C、12M、12Yにより印字されたテストパターンを読み取り、各ヘッドの吐出検出を行う。吐出判定は、吐出の有無、ドットサイズの測定、ドット着弾位置の測定等で構成される。
【0057】
印字検出部24の後段には、後乾燥部42が設けられている。後乾燥部42は、印字された画像面を乾燥させる手段であり、例えば、加熱ファンが用いられる。印字後のインクが乾燥するまでは印字面と接触することは避けたほうが好ましいので、熱風を吹きつける方式が好ましい。
【0058】
多孔質のペーパに染料系インクで印字した場合などでは、加圧によりペーパの孔を塞ぐことでオゾンなど、染料分子を壊す原因となるものと接触することを防ぐことで画像の耐候性がアップする効果がある。
【0059】
後乾燥部42の後段には、加熱・加圧部44が設けられている。加熱・加圧部44は、画像表面の光沢度を制御するための手段であり、画像面を加熱しながら所定の表面凹凸形状を有する加圧ローラー45で加圧し、画像面に凹凸形状を転写する。
【0060】
このようにして生成されたプリント物は、排紙部26から排出される。本来プリントすべき本画像(目的の画像を印刷したもの)とテスト印字とは分けて排出することが好ましい。このインクジェット記録装置10では、本画像のプリント物と、テスト印字のプリント物とを選別してそれぞれの排出部26A、26Bへと送るために排紙経路を切り換える選別手段(図示省略)が設けられている。なお、大きめの用紙に本画像とテスト印字とを同時に並列に形成する場合は、カッター(第2のカッター)48によってテスト印字の部分を切り離す。カッター48は、排紙部26の直前に設けられており、画像余白部にテスト印字を行った場合に、本画像とテスト印字部を切断するためのものである。カッター48の構造は前述した第1のカッター28と同様であり、固定刃48Aと丸刃48Bとから構成されている。
【0061】
また、図示を省略したが、本画像の排出部26Aには、オーダー別に画像を集積するソーターが設けられている。
【0062】
次に、印字ヘッド(液体吐出ヘッド)のノズル(液体吐出口)の配置について説明する。インク色毎に設けられている各印字ヘッド12K、12C、12M、12Yの構造は共通しているので、以下、これらを代表して符号50によって印字ヘッドを表すものとし、図3に印字ヘッド50の平面透視図を示す。
【0063】
図3に示すように、本実施形態の印字ヘッド50は、インクを液滴として吐出するノズル51、インクを吐出する際インクに圧力を付与する圧力室52、図3では図示を省略した共通流路から圧力室52にインクを供給するインク供給口53を含んで構成される圧力室ユニット54が千鳥状の2次元マトリクス状に配列され、ノズル51の高密度化が図られている。
【0064】
図3に示す例においては、各圧力室52を上方から見た場合に、その平面形状は略正方形状をしているが、圧力室52の平面形状はこのような正方形に限定されるものではない。圧力室52には、図3に示すように、その対角線の一方の端にノズル51が形成され、他方の端の側にインク供給口53が設けられている。
【0065】
また、図3中の4A−4B線に沿った断面図を図4に示す。
【0066】
図4に示すように、圧力室ユニット54は、インクを吐出するノズル51と連通する圧力室52によって形成され、圧力室52には、供給口53を介してインクを供給する共通流路55が連通するとともに、圧力室52の一面(図では天面)は振動板56で構成され、その上部には、振動板56に圧力を付与して振動板56を変形させる圧電素子58が接合され、圧電素子58の上面には個別電極57が形成されている。また、振動板56は共通電極を兼ねている。
【0067】
圧電素子58は、共通電極(振動板56)と個別電極57によって挟まれており、これら2つの電極56、57に駆動電圧を印加することによって変形する。圧電素子58の変形によって振動板56が押され、圧力室52の容積が縮小されてノズル51からインクが吐出されるようになっている。2つの電極56、57間への電圧印加が解除されると圧電素子58がもとに戻り、圧力室52の容積が元の大きさに回復し、共通流路55から供給口53を通って新しいインクが圧力室52に供給されるようになっている。
【0068】
図5はインクジェット記録装置10におけるインク供給系の構成を示した概要図である。インクタンク60は印字ヘッド50にインクを供給するための基タンクであり、図1で説明したインク貯蔵/装填部14に設置される。すなわち。図5のインクタンク60は、先に記載した図1のインク貯蔵/装填部14と等価のものである。
【0069】
なお、インクタンク60は、印字ヘッド50に供給するインクを蓄えるものであり、上述したように本実施形態では、インク中に微粒子を分散させた機能性インクを使用しているため、インクタンク60が単にその内部が1つの部屋からなる容器である場合には、機能性インク中の微粒子が沈降し、重力方向下層側のインクは濃度が濃く、上層側のインクは濃度が薄くなり、インクタンク60内の場所によってインクの濃度(密度)が異なり、このインクをそのまま印字ヘッド50に供給すると濃度ムラが発生してしまう。
【0070】
そこで、本実施形態では、たとえ沈降が起こっても、印字ヘッド50に供給するインクに、なるべく濃度ムラが発生しないように、インクタンク60の構造を工夫しているが、これについては後で詳しく述べる。
【0071】
図5に示すように、メインタンク60と印字ヘッド50との間に、サブタンク62が設けられている。サブタンク62は、メインタンク60から供給されたインクを、印字ヘッド50に送る前に一旦貯留するものであり、ヘッドの内圧変動を防止するダンパー効果及びリフィルを改善する機能を有している。
【0072】
メインタンク60からサブタンク62へ至る流路(第1インク供給流路)610が、メインタンク60の側面に接続するように形成されている。そして第1インク供給流路610の途中には、ポンプ(インク供給ポンプ)64が設けられている。このインク供給ポンプ64を駆動することにより、第1インク供給流路610中を図中矢印で示す方向にインクが流れ、メインタンク60からサブタンク62にインクが供給されるようになっている。また、第1インク供給流路610のメインタンク60とインク供給ポンプ64との間には、異物や気泡を除去するためのフィルタ66が設けられている。
【0073】
また、サブタンク62と印字ヘッド50とを連通し、サブタンク62から印字ヘッド50にインクを供給するための流路(第2インク供給流路)620が設けられている。この第2インク供給流路620は、第1インク供給流路610のサブタンク62との接続点よりも低い位置でサブタンク62の側面に接続している。
【0074】
また、サブタンク62の底面においてサブタンク62に接続し、メインタンク60と連通する流路(第1インク回収流路)630、及びサブタンク62の側面においてサブタンク62に接続し、メインタンク60と連通する流路(第2インク回収流路)640が設けられている。
【0075】
図5に示すように、第2インク供給流路620及び第2インク回収流路640とメインタンク60の側面の接続部は、第2インク回収流路640とサブタンク62の側面の接続部の最下端が第2インク供給流路620とサブタンク62の側面の接続部の最上端と一致するように形成されている。
【0076】
第1インク回収流路630と第2インク回収流路640は、メインタンク60の手前で合流し、一つのインク回収流路650となる。このインク回収流路650は、メインタンク60と連通するとともに、その一方の端部はインク供給ピット68に接続している。インク供給ピット68は、ここからメインタンク60にインクを供給するためのものであり、内部に気泡や塵埃を除去するためのフィルタ70を備えている。
【0077】
なお、本実施形態では、メインタンク60は画像形成装置内に据え置き構造とし、メインタンク60へのインク供給は、この供給ピット68を介してハンドリングが容易なタンクにより人的に供給する方法によってなされる。
【0078】
また、第1インク回収流路630には、この第1インク回収流路630を開閉する第1電磁弁71が設けられている。同様に、第2インク回収流路640にも、この第2インク回収流路640を開閉する第2電磁弁72が設けられている。また、第2インク供給流路620には、この第2インク供給流路620を開閉する第3電磁弁73が設けられている。
【0079】
サブタンク62の天面には、大気と連通する開口部(大気連通孔)76が形成されている。大気連通孔96はフィルタを備えており、このフィルタを介して大気がサブタンク62に出入りすることにより、サブタンク62内の気圧が大気圧に保たれるようになっている。
【0080】
インク供給ポンプ64を駆動することによりメインタンク60からサブタンク62にインクが供給される。そして、サブタンク62内に供給されたのインクの液面と、印字ヘッド50のノズル面50Aとの高低差(水頭差)により、印字ヘッド50の内圧が所定の負圧に調整されるようになっている。ここで、所定の負圧とは、大気圧よりも低い圧力であって、インクの吐出に備えてノズル51内のインク液面(メニスカス)をノズル面50Aの近傍に設定する圧力である。
【0081】
また、図5に示すように、印字ヘッド50からサブタンク62にインクを還流させる流路(循環流路)660が設けられている。循環流路660の途中には、循環流路660を開閉する第4電磁弁74と、印字ヘッド50からサブタンク62へインクを還流させるポンプ(インク還流ポンプ)78が設けられている。
【0082】
画像を形成する際には、第1電磁弁71を閉じ、かつ第2電磁弁72を開いた状態で、印字ヘッド50から吐出を開始する所定時間前からインク供給ポンプ64を正回転してメインタンク60からサブタンク62にインクを供給する。これによりサブタンク62から第2インク供給流路620を介して印字ヘッド50にインクが供給される。このとき、第2電磁弁72が開いているので、サブタンク62内の余分なインクはサブタンク62の側壁に接続された第2インク回収流路640を通ってメインタンク60に戻るようになっている。
【0083】
このような構成により、メインタンク60からサブタンク62へのインクの供給が安定し、サブタンク62のインク液面は一定の高さに保たれる。このようにして一定に保たれたサブタンク62のインク液面と印字ヘッド50のノズル面50Aとの高低差により、印字ヘッド50内の圧力が所定の負圧に一定に設定され、ノズル51内のメニスカス位置が設定される。また、吐出動作終了時から所定時間経過したら、インク供給ポンプ64の回転を停止する。
【0084】
また、第1電磁弁71及び第2電磁弁72を両方とも開いた状態では、印字ヘッド50内のインク、サブタンク62から印字ヘッド50に至る第2インク供給流路620内のインク、サブタンク62内のインク、及びサブタンク62からメインタンク60に至る第1インク回収流路630及び第2インク回収流路640内のインクが全てメインタンク60内に回収される。さらに、インク供給ポンプ64の逆回転により、メインタンク60からサブタンク62に至る第1インク供給流路610内のインクもメインタンク60に回収される。
【0085】
また、印字ヘッド50のノズル51内のメニスカス位置は、ノズル面50A近傍から圧力室52側へ後退自在である。具体的には、所定時間だけ第4電磁弁74を開状態に設定するとともに、インク還流ポンプ78を駆動して、メニスカスの後退量に対応する所定量のインクだけを印字ヘッド50から循環流路660を介してサブタンク62に戻すことにより、メニスカス位置を後退させる。
【0086】
あるいは、第1電磁弁71を所定時間だけ開状態に設定して、メニスカスの後退量に対応する所定量のインクだけを印字ヘッド50から第2インク供給流路620を介してサブタンク62に戻すことによりメニスカス位置を後退させるようにしても良い。
【0087】
また、図5に示すように、印字ヘッド50に対して、ノズルの乾燥防止又はノズル近傍のインク粘度上昇を防止するための手段としてキャップ80と、図示は省略するがノズル面50Aの清掃手段としてのクリーニングブレードが設けられている。
【0088】
これらキャップ80及び図示を省略したクリーニングブレードを含んで構成されるメンテナンスユニットは、図示を省略した移動機構によって印字ヘッド50に対して相対移動可能であり、必要に応じて所定の退避位置から印字ヘッド50下方のメンテナンス位置に移動される。
【0089】
キャップ80は、凹形状に形成され、図示しない昇降機構によって印字ヘッド50に対して相対的に昇降変位される。昇降機構は、電源OFF時や印刷待機時にキャップ80を所定の上昇位置まで上昇させ、印字ヘッド50に密着させることにより、ノズル面50Aのノズル領域をキャップ80の凹形状で覆うようになっている。
【0090】
印字中又は待機中において、特定のノズル51の使用頻度が低くなり、そのノズル51近傍のインク粘度が上昇した場合、粘度が上昇して劣化したインクを排除すべく、キャップ80に向かって予備吐出が行われる。
【0091】
また、印字ヘッド50内のインク(圧力室52内のインク)に気泡が混入した場合、印字ヘッド50にキャップ80を当て、吸引ポンプ82で圧力室52内のインク(気泡が混入したインク)を吸引により除去し、吸引除去したインクを回収タンク84に送液する。この吸引動作は、初期のインクのヘッドへの装填時、あるいは長時間の停止後の使用開始時にも行われ、粘度が上昇して固化した劣化インクが吸い出され除去される。
【0092】
すなわち、印字ヘッド50は、ある時間以上吐出しない状態が続くと、ノズル近傍のインク溶媒が蒸発してノズル近傍のインクの粘度が高くなってしまい、吐出駆動用のアクチュエータが動作してもノズル51からインクが吐出しなくなる。従って、このような状態になる手前で(吐出用のアクチュエータの動作によってインク吐出が可能な粘度の範囲内で)、インク受けに向かって吐出駆動用アクチュエータを動作させ、粘度が上昇したノズル近傍のインクを吐出させる「予備吐出」が行われる。また、ノズル面50Aの清掃手段として設けられているクリーニングブレード等のワイパーによってノズル面50Aの汚れを清掃した後に、このワイパー摺擦動作によってノズル51内に異物が混入するのを防止するためにも予備吐出が行われる。なお、予備吐出は、「空吐出」、「パージ」、「唾はき」などと呼ばれる場合もある。
【0093】
また、ノズル51や圧力室52内に気泡が混入したり、ノズル51内のインクの粘度上昇があるレベルを超えたりすると、上記予備吐出ではインクを吐出できなくなるため、上述したような吸引動作を行う。
【0094】
すなわち、ノズル51や圧力室52のインク内に気泡が混入した場合、あるいはノズル51内のインク粘度があるレベル以上に上昇した場合には、吐出駆動用アクチュエータを動作させてもノズル51からインクを吐出できなくなる。このような場合、印字ヘッド50のノズル面50Aに、キャップ80を当てて圧力室52内の気泡が混入したインク又は増粘インクを吸引ポンプ82で吸引する動作が行われる。
【0095】
ただし、上記吸引動作は、圧力室52内のインク全体に対して行われるため、インク消費量が大きいので、粘度上昇が少ない場合には、吸引動作ではなく、なるべく予備吐出を行うことが好ましい。なお、図5で説明したキャップ80は、吸引手段として機能するとともに、予備吐出のインク受けとしても機能し得る。また、さらに、キャップ80の内側が仕切り壁によってノズル列に対応した複数のエリアに分割され、これら仕切られた各エリアをセレクタ等によって選択的に吸引できる構成とすることがより好ましい。
【0096】
以下、本発明の特徴である、機能性インク内で微粒子の沈降による濃度ムラが発生しても濃度差の少ないインクを供給できるように工夫したメインタンク60の構造について説明する。
【0097】
図6に、本発明に係るメインタンク60の一例を斜視透視図で示す。
【0098】
図6に示すメインタンク60の例においては、メインタンク60は円筒形状の密閉された容器である。メインタンク60の上面の中心部には、前述した第1インク供給流路610が接続する供給口60aが形成されている。またメインタンク60の上面には、第1インク回収流路630と第2インク回収流路640が合流したインク回収流路650が接続する充填口60bが形成されている。第1インク供給流路610はサブタンク62に連通しており、またインク回収流路650は、一端がサブタンク62に連通するとともに、他端が供給ピット68に連通している。
【0099】
第1インク供給流路610は、供給口60aでメインタンク60の上面に接続し、供給口60aを介して、メインタンク60の中心部を底面まで略垂直に延びて形成された供給管612に繋がっている。供給管612のメインタンク60底面付近にはインクを取り入れる供給孔612aが形成されている。
【0100】
また、供給管612の周りにはメインタンク60の上面付近から底面付近まで所定の傾斜を有する滑らかなスロープが連続するように形成された螺旋状の羽根614が形成されている。
【0101】
インク回収流路650は、メインタンク60の上面で充填口60bを介してメインタンク60に接続しており、インク回収流路650の一端はサブタンク62に連通し、他端は供給ピット68に連通しており、供給ピット68から供給されたインクやサブタンク62から回収されたインクが、充填口60bを介してメインタンク60の上部から充填されるようになっている。
【0102】
充填口60bから充填されたインクは、螺旋状の羽根614の最上部に供給され、その後、螺旋状の羽根614の所定の傾斜を有するスロープに沿ってゆっくり底面に向かって流れて行く。この傾斜は、5°以上30°以下が望ましく、さらには、5°以上20°以下がより望ましい。これは前述したように、この範囲の傾斜を有していれば、液体が停留せずに液体流路の傾斜に沿って流れ、かつ、貯蔵された液体内の微粒子が傾斜に沿って液体収納容器全体の最下面まで沈降してしまうことなく各階層で沈降し分布を形成するようになるからである。この傾斜の条件は、この後説明する他の例においても同様である。
【0103】
図7に、インクが略満タン状態になっているメインタンク60の断面図を示す。
【0104】
図7に示すように、断面で見るとメインタンク60の内部は螺旋状の羽根614によって上面から底面まで複数の層に分けられている。また、中心部に設けられた供給管612は、底面付近にインクの取り入れ口である供給孔612aを有している。
【0105】
また、第1インク供給流路610がメインタンク60に接続する供給口60aの内部には、供給管612との接続部のインク液密性を確保するためのゴムパッキン60cが設けられている。同様に、インク回収流路650がメインタンク60と接続する充填口60bの内部にも、充填口60bにおけるメインタンク60との接続部のインク液密性を確保するためにゴムパッキン60dが設けられている。
【0106】
本実施形態では、インク中に微粒子を分散させた機能性インクを用いているため、経時的にインク中の微粒子が沈降を起こす。このとき、従来のメインタンク60では、タンク内が単に一つの容器であったため、図6の供給管612の内部のように、下から高濃度層90a、中濃度層90b、低濃度層90cと下から上まで全体が3層に分離する。
【0107】
しかし、本実施形態においては、メインタンク60内を螺旋状の羽根614によってメインタンク60内を上から下までを所定の傾斜を有する複数の層に分割したので、それぞれの層の中が高濃度層90a、中濃度層90b、低濃度層90cと3層に分離される。従って、このように仮に沈降が発生しても螺旋状の羽根614で上下に区切られた各層の中がそれぞれ高濃度層90a、中濃度層90b、低濃度層90cと全ての濃度の層を有しているため、これら3層を含んだインクが供給孔612aから供給管612の中に取り入れられてサブタンク62に供給されることになる。その結果、サブタンク62に供給されるインクは、全ての濃度のインクが混ざっており、濃度ムラの発生を低く抑えることができる。
【0108】
このように、本実施形態では機能性インク内の微粒子が沈降する空間を小さくして、濃度変化の状態を少なくすることが可能となる。また、循環するインクが螺旋状の羽根614を流れてメインタンク60内のインクを混合させることで攪拌効果が向上する。さらに、循環するインクがインクの液面に対して垂直に混合されることがないため、気泡(空気)の巻き込みが低減される。
【0109】
また本実施形態において、例えば供給管612の下部の供給孔612aが形成された部分を残して、供給管612に対し螺旋状の羽根614が形成された部分を回転可能にして、羽根614を回転させるようにしてもよい。羽根614を回転可能にする構成は特に限定はされず、どのような方法でもよい。例えば、供給管612の供給孔612aが形成された部分とそれより上部とを別部材にして、上部を回転可能にしてもよいし、供給管612を二重の円筒にしてその外側に螺旋状の羽根614を形成し、外側の管を回転可能にしてもよい。このように、羽根614をメインタンク60内で回転させることにより、メインタンク60内のインクがかき混ぜられて濃度ムラをさらに解消することができる。
【0110】
図8に、螺旋状の羽根614を回転可能に構成したメインタンク60の例を斜視透視図で示す。
【0111】
図8において、螺旋状の羽根614は供給管612の周りに回転可能に形成されている。また、供給管612と第1インク供給流路610との接続部である供給口60aでは、羽根614が形成された供給管612の回転可能部分と一体となって液密性を保ちつつ回転するように、供給口60aに歯車92aを形成する。また、供給口60aの歯車92aと契合する歯車92bを取り付け、この歯車92bを回転させるモータ94を設置する。
【0112】
モータ94で歯車92bを回転させると、歯車92aが回転し、これにより供給管612の回転可能部分が回転し、これに形成された螺旋状の羽根614が回転し、メインタンク60内のインクが攪拌され、濃度ムラが解消される。
【0113】
これにより、よく混ざり合ったインクが供給管612下部の供給孔612aから供給管612の内部に取り入れられて、供給管612の内部を上方に運ばれ、第1インク供給流路610を介してサブタンク62に供給される。
【0114】
また図9に、メインタンク60の他の例を斜視透視図で示す。
【0115】
図9に示す例は、図6に示した供給管612の周りに形成される螺旋状の羽根614を連続的なスロープ状ではなく、螺旋階段状にしたものである。
【0116】
すなわち、図9に示すように、供給管612の周りに、メインタンク60内を上面から底面まで供給管612の周りを廻りながら所定の傾斜を有して次第に下へ下がっていく螺旋階段615が形成されている。これは、図6に示した例と、なだらかなスロープか階段状かが違うだけで作用は同じである。
【0117】
なお、図9に示す螺旋階段も図8に示した例と同じように、供給管612の周りを回転可能に構成してもよい。
【0118】
図10に、メインタンク60のさらに他の例を示す。
【0119】
これも基本的に、メインタンク60内において、インクが上面側から螺旋状にメインタンク60内を廻りながら所定の傾斜を有して次第に底面側に降りて行き、底面側から供給管612内を上方に引き上げられて第1インク供給流路610に流れて行く、インクの流れを作り出す点において、今までの例と同様である。
【0120】
図10に示す例が今までの例と異なるのは、インクが、インク回収流路650から充填口60bを介してメインタンク60に入り、メインタンク60内を螺旋状に廻りながら下降し、供給管612、さらに供給口60aを介して第1インク供給流路610に至る流れを1本のチューブ(略円筒形の管)616で作り出すようにしたことである。
【0121】
すなわち、図10に示すように、メインタンク60の上面に形成された充填口60bを介してインク回収流路650はチューブ616に繋がり、チューブ616は、螺旋状に巻き回されて円筒形のメインタンク60の内壁に沿って廻りながらメインタンク60の底面に向かって下降して行き、底面において今度はメインタンク60の中心部を上方に略垂直に立ち上がる供給管612へと繋がり、供給管612はメインタンク60上面に形成された供給口60aを介して第1インク供給流路610へと繋がっている。
【0122】
図11に、図10に示したメインタンク60の断面図を示す。
【0123】
図11に示すように、メインタンク60内はメインタンク60の内壁に沿って螺旋状に巻き回されたチューブ616によって、上から下へ複数の層をなすように形成されている。そして、各層を形成するチューブ616の各断面内において、図11では図示を省略するが、図7と同様に機能性インクが高濃度、中濃度、低濃度の3層に分離するようになっている。また、この場合にも、図7と同様に、供給口60a及び充填口60bには、それぞれ液密性確保のためのゴムパッキン60c及び60dが設けられている。
【0124】
なお、チューブ(略円筒管)616は、シリコンなどの柔軟部材や形状が安定する樹脂あるいは金属で形成するのが望ましい。また、チューブ616は、相当量のインクを保持可能なように長く装置内部を引き回されていればよく、全体の形状は特に限定されない。このようにチューブ616によっても、微粒子の沈降の空間を小さくして、濃度変化の状態を少なくすることが可能となり、濃度ムラの発生を防止することが可能となる。また、循環するインクが螺旋状のチューブ616内を流れて残留インクと混合されることで攪拌効果が向上する。さらにチューブ616は略円筒状の管であるため、インクの淀み部が低減し、長時間メインタンク60とサブタンク62間を循環動作させることでメインタンク60及びサブタンク62内のインクが循環攪拌される。
【0125】
また本例において、チューブ616は、所定の傾斜を有して螺旋状に下降しているが、チューブ616内におけるインク90に液面が形成される場合には、図12に示すように、水平面として形成されるように、チューブ616の内径はある程度以上太くすることが望ましい。
【0126】
これは、チューブ616の径があまり細いと、図13(a)に示すように、インク90の液面がチューブ616の長手方向に略垂直な方向に形成されてしまい、図13(b)に示すように、これに次のインク90’が上から入ってくると気泡が出来てしまうからである。
【0127】
図10に示す例では、メインタンク60内にチューブ616を螺旋状に一重に巻き回したが、チューブ616の巻き方はこれに限定されるものではない。
【0128】
例えば、図14に示すように、インク回収流路650から接続したチューブ616をメインタンク60内に二重の螺旋状に巻き回すようにしてもよい。この二重の螺旋状とは、メインタンク60内の同じ高さにおいて、内側と外側の2回巻いたら1段下へ降りて、また内側に1回、外側に1回巻く、というのを下まで繰り返すことをいう。
【0129】
図15に、図14のメインタンク60内の様子を断面図で示す。図15に示すように、メインタンク60中心部の供給管612の両側にそれぞれ2つずつチューブ616の円形の断面が並んでいる。
【0130】
このように、チューブ616を二重の螺旋状にすることで、メインタンク60内をより多くの小さな層に分けることができ、高濃度、中濃度、低濃度の3層をより細かく形成させることができ、濃度ムラをより防止しやすくなる。
【0131】
また、以上図10から図15に示した例では、メインタンク60内にチューブ616を螺旋状に配置したが、これを推し進めると、究極的には、円筒状のメインタンク60の外壁(外枠)は必要ではなく、単にチューブ616を螺旋状に巻き回しただけのものでメインタンク60の働きをさせるようにしてもよい。
【0132】
すなわち、図16に示すように、インク回収流路650に続いて延びるチューブ616をぐるぐる螺旋状に巻き回して、最下端から上方へ向けて略垂直に立ち上げ、供給管612とし、その先を第1インク供給流路610へと繋げるようにしてもよい。
【0133】
この場合、チューブ616がぐるぐる螺旋状に巻き回された部分がメインタンク60に相当する。なお、チューブ616の巻き方も、必ずしも図10などに示したように円く巻かなくともよく、図16に示す例では、チューブ616を多少方形に巻いている。
【0134】
このように、単にチューブ(略円筒管)616を這わせただけのものの場合には、タンク形状の自由度が向上することで、装置全体を小型化することが可能となる。
【0135】
図17に、メインタンク60の他の例を示す。図17に示すメインタンク60は、今までの例のように円筒形ではなく直方体をしている。そして、その上面には、第1インク供給流路610に接続する供給口60a、及びインク回収流路650に接続する充填口60bが設けられている。
【0136】
供給口60aの下には、メインタンク60の底面に向かって略垂直に供給管612が設けられ、供給管612の最下端には供給管612内にインクを取り入れるための供給孔612aが形成されている。
【0137】
直方体状のメインタンク60は、上述した例と同様に、高濃度、中濃度、低濃度の3層を細かく分断し、上から下へ向かって、上の層から下の層へ少しずつゆっくりインクが流れて行くように、メインタンク60内部は、階層状に形成される。
【0138】
すなわち、図17に示すように、直方体状のメインタンク60の向かい合う側壁61a、61bからそれぞれ対向する側壁に向かって少し下方へ傾斜した板状部材(流路板)617a、617bを配置する。なお、前述した供給管612は、各流路板617a、617bを貫通するように形成されている。
【0139】
また、図18に、図17のメインタンク60の断面図を示す。
【0140】
図18に示すように、メインタンク60の一つの側壁61aから対向する側壁61bに向かってその先端部に向かって少し下がるように傾斜した流路板617aが形成され、一方、側壁61aに対向する側壁61bから側壁61aに向かって同様の流路板617bが流路板617aと互い違いになるように形成される。
【0141】
そして、インク回収流路650から充填口60bを介してメインタンク60内に流れ込んだインクは、流路板617a及び流路板617bの傾斜に沿って図中矢印で示したように、下方へ向かってゆっくり流れて行く。なお、流路板617a、617bの傾斜はインクがゆっくり流れるように調整される。
【0142】
メインタンク60の底面まで流れ落ちたインクは、供給孔612aから供給管612内に取り込まれ供給口60aを介して第1インク供給流路610から外部に供給される。
【0143】
なお、図17あるいは図18においては、図を簡単にするために流路板の数を少なめに表現しているが、実際にはもっとたくさんの流路板をメインタンク60内に形成するようにしてもよい。
【0144】
この例のように、対向する面から所定の傾斜を有する板を互い違いに形成するようにしてメインタンク60内を複数の層に分けるようにしても、前述した各例と同様の効果を得ることができ、濃度ムラを抑制することが可能となる。
【0145】
また、このようにメインタンク60を直方体状に形成した場合に、メインタンク60内を複数の層に分割する方法は、流路板を2方向から互い違いに形成するものだけには限定されず、例えば、直方体状のメインタンク60の各4つの面から、先端部に向かって少し下方に傾斜した流路板を、それぞれ少しずつ設置位置を下方にずらしながら形成し、インクが螺旋状に流れるようにしてもよい。
【0146】
このような流路板の例を図19に示す。
【0147】
図19に示すように、直方体状のメインタンク60の一つの側面から先端部に向かって下がるように傾斜した流路板618aが対向する側面との間を少し開けるように形成され、その隣の側面から先程の流路板618aより少し下側に同様に傾斜した流路板618bが形成される。さらにまたその隣の側面から同様に流路板618bより少し下側に流路板618cが形成され、その隣の側面からも同様の流路板618dが形成される。図では、4枚しか流路板を図示していないが、実際には、メインタンク60の上から下までもっとたくさんの流路板が形成され、これらの流路板に沿ってインクが下方に螺旋状に流れて行くようになっている。
【0148】
そしてメインタンク60の底面付近まで流れたインクは、供給管612の底部に形成された供給孔612aから供給管612内に取り込まれ、供給管612から供給口60aを介して第1インク供給流路610に供給されるようになっている。
【0149】
なお、以上説明したメインタンク60の例では、いずれも、供給口60aはメインタンク60の上部に設けられていたが、メインタンク60の下部、底面あるいは下部側面などに供給口を設けてそこから第1インク供給流路610にインクを供給するようにしてもよい。
【0150】
以上説明したように、本実施形態によれば、例えば螺旋状に形成されたタンク内流路を持つなどにより、機能性インク内の微粒子が沈降する空間を小さくして濃度変化の状態を少なくすることにより、濃度ムラの発生を防止することができる。
【0151】
また、上で取り上げた例では、円筒形状や直方体状のメインタンクについてそれぞれの態様を説明したが、上で説明したものに限定されるものではなく、上記例を適宜組み合わせた態様によっても同様の効果を得ることが可能である。
【0152】
なお、上で説明した例では、液体収納容器としてインクを収納するタンクを用いた形態を示したが、本発明はインクタンクにのみ限定されるものではなく、例えば基板に導電配線を形成する装置や色フィルターの製造装置などに適用することも可能である。
【0153】
以上、本発明の液体収納容器及びこれを用いた画像形成装置について詳細に説明したが、本発明は、以上の例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいのはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0154】
【図1】本発明に係る液体収納容器を備えた画像形成装置としてのインクジェット記録装置の一実施形態の概略を示す全体構成図である。
【図2】図1に示したインクジェット記録装置の印字部周辺の要部平面図である。
【図3】印字ヘッドの構造例を示す平面透視図である。
【図4】図3中の4A−4B線に沿って切断した一つの圧力室ユニットの断面図である。
【図5】本実施形態のインクジェット記録装置のインク供給系の構成を示した概略図である。
【図6】本実施形態におけるメインタンクの一例を示す斜視透視図である。
【図7】図に示すメインタンクの断面図である。
【図8】他のメインタンクの例を示す斜視透視図である。
【図9】他のメインタンクの例を示す斜視透視図である。
【図10】他のメインタンクの例を示す斜視透視図である。
【図11】図10のメインタンクの断面図である。
【図12】図10のメインタンクに用いられるチューブ内のインク液面の様子を示す一部断面図である。
【図13】(a)、(b)は、チューブの径が細い場合の欠点を示すための説明図である。
【図14】他のメインタンクの例を示す斜視透視図である。
【図15】図14のメインタンクの一部の断面図である。
【図16】他のメインタンクの例を示す斜視図である。
【図17】直方体状のメインタンクの例を示す斜視透視図である。
【図18】図17のメインタンクの断面図である。
【図19】直方体状のメインタンクの他の例を示す斜視透視図である。
【符号の説明】
【0155】
10…インクジェット記録装置、12…印字部、14…インク貯蔵/装填部、16…記録紙、18…給紙部、20…デカール処理部、22…吸着ベルト搬送部、24…印字検出部、26…排紙部、28…カッター、30…加熱ドラム、31、32…ローラー、33…ベルト、34…吸着チャンバー、35…ファン、36…ベルト清掃部、40…加熱ファン、42…後乾燥部、44…加熱・加圧部、45…加圧ローラー、48…カッター、50…印字ヘッド、50A…ノズル面、51…ノズル、52…圧力室、53…インク供給口、54…圧力室ユニット、55…共通液室、56…振動板(共通電極)、57…個別電極、58…圧電素子、60…インクタンク、60a…供給口、60b…充填口、62…サブタンク、64…インク供給ポンプ、66…フィルタ、68…供給ピット、70…フィルタ、71…第1電磁弁、72…第2電磁弁、73…第3電磁弁、74…第4電磁弁、76…大気連通孔、78…インク還流ポンプ、80…キャップ、82…吸引ポンプ、84…回収タンク、610…第1インク供給流路、612…供給管、612a…供給孔、614…螺旋状の羽根、615…螺旋階段、616…チューブ(円筒管)、620…第2インク供給流路、630…第1インク回収流路、640…第2インク回収流路、650…インク回収流路、660…循環流路、617a、617b、618a、618b…流路板
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体収納容器及びこれを用いた画像形成装置に係り、特に、顔料や樹脂等の微粒子を分散させたいわゆる機能性液体を吐出する装置において、微粒子の沈降が発生しても吐出される液体に濃度ムラが生じないように工夫した液体収納容器及びこれを用いた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、画像形成装置として、多数のノズル(液体吐出口)を配列させたインクジェットヘッド(液体吐出ヘッド)を有し、このインクジェットヘッドと記録媒体とを相対的に移動させながら、ノズルから記録媒体に向けてインクを液滴として吐出することにより、記録媒体上に画像やパターンを記録するインクジェットプリンタ(インクジェット記録装置)が知られている。
【0003】
このような、インクジェットプリンタのインクジェットヘッドは、例えば、インクタンクからインク供給路を介してインクが供給される圧力室と、画像データに応じた電気信号によって駆動される圧電素子と、圧電素子の駆動によって変形する圧力室の一部を構成する振動板と、振動板の変形によって圧力室の容積が減少することにより圧力室内のインクが液滴として吐出される圧力室に連通するノズルを含む多数の圧力室ユニットによって構成されており、各圧力室ユニットのノズルから吐出されたインクによって形成されるドットを組み合わせることによって記録媒体上に画像やパターンが形成される。
【0004】
インクジェット記録装置を印刷や捺染等の産業用目的で使用する場合、インクの消費量が多く、カートリッジ交換方式を用いてインクを補充していたのでは、作業が煩雑であり、また、カートリッジを交換する間は装置の動作を停止させなければならず生産性が悪くなる。そこで、容量の大きな液体収納室(液体タンク)を設け、チューブまたはパイプ等によってサブタンクに液体を供給し、さらにサブタンクから液体吐出ヘッドに液体を供給する形態が知られている。
【0005】
また一方において、近年このようなインクジェット記録装置を用いてインク等の液体を記録媒体に吐出して画像を形成するばかりでなく、微粒子を分散させた機能性液体を吐出してパターン等を形成することが行われている。ここで用いられる微粒子としては、例えば顔料、高分子樹脂、金属、ガラス及びそれらの酸化物や化合物などが考えられる。
【0006】
これらの原材料を微粒子して、分散剤で溶媒液体中へ分散、乳化した機能性液体を吐出に用いる場合、長期間に渡って液体収納室(液体タンク)に機能性液体を収納していると、経時的に液体収納室内部で液体中の微粒子がしだいに凝集、沈降するようになる。その結果、液体収納室内のインクが重力方向(上下方向)に濃度の違う層ができ、下の層程濃度が濃く、上の方へ行くほど濃度が薄い層が形成される。
【0007】
このように凝集、沈降した液体をそのまま吐出すると、液体収納室の使用初期と使用後期とでは吐出される液体の濃度が異なり、吐出結果の濃度ムラや歪み、色再現性の悪化、微粒子密度の不均一などが発生し、目視され得る程度の色差が生じてしまい、画像品質を高く維持できないという問題があった。
【0008】
これに対し、例えば、白色用インクタンク内のインクの攪拌を行う攪拌機構を設け、白色用インクタンクから白色インクを供給する前に攪拌機構を動作させることにより、白色インクの沈殿を防止するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1等参照)。
【0009】
また、例えば、インクタンク内と連通する2つ以上の連通口の相互間を循環するポンプなどを設けることにより、その動作によってインクタンク内インク流を生成攪拌することにより、顔料の沈降現象による濃度ムラを解消しようとしたものが知られている(例えば、特許文献2等参照)。
【0010】
また、例えば、液体収納容器の鉛直下側に設けられた供給口とその一方端が接続するとともにその他方端にフロートが設けられた中空の管状部材のフロート近傍と供給口近傍にそれぞれ管状部材内部に液体を取り入れる液体供給穴を設け、液体の液位の変化に応じてフロートの浮き位置が変化するのに伴って管状部材が変形するようにし、管状部材に設けられた液体供給穴が常に液体の特定濃度層に位置するようにして、濃度バラツキのない液体を他の装置に供給するようにしたものが知られている(例えば、特許文献3等参照)。
【特許文献1】特開2005−138488号公報
【特許文献2】特開2004−351865号公報
【特許文献3】特開2004−174944号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記特許文献1に記載されたものでは、インクタンクに攪拌専用の機構を備える必要があり、コスト的に問題がある。また、沈降状態でインクを供給しようとするとインクタンク内の場所によってインクの濃度が異なるため、そのままインクを供給すると濃度ムラが発生してしまうため、インクを供給する前には必ずインクタンク内を攪拌しなければならない。その結果、インク供給にあたり攪拌時間が必要となるため処理時間が掛かるという問題がある。
【0012】
また、上記特許文献2に記載されたものでは、液体をインクタンク内に循環供給することによりインク流を生成させることでインクタンク内のインクを攪拌するようにしているが、容量の大きなインクタンクの場合には、攪拌が十分にできないという問題がある。また、上記特許文献1に記載のものと同様に、沈降状態でのインク供給はできないという制約があり、インク供給にあたって攪拌時間を必要とし、処理時間が掛かるという問題がある。
【0013】
さらに、上記特許文献3に記載されたものでは、管状部材のフロート近傍と供給口近傍にそれぞれ設けられた液体供給穴からそれぞれ濃度の異なる液体を取り入れるようにしているが、濃度の異なる液体をどのような割合で取り入れるかという液体供給穴の最適化が必要であり、かつ液位の変化に伴って管状部材が任意の形状となるため安定性に欠け、所望の特定濃度層に各液体供給穴が位置しないという問題がある。
【0014】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、液体中に分散された微粒子の凝集、沈降による濃度ムラや密度ムラが発生しても濃度差の少ない液体を供給することのできる液体収納容器、及びこれを用いて均一な濃度の液体を安定的に吐出し、記録媒体に記録された画像において目視され得る程度の濃度差が生じないようにした画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、液体を蓄える液体収納容器であって、その上部に形成され、外部から前記液体を充填する充填口と、前記液体を外部に供給する供給口と、略垂直方向に複数の階層をなし、各階層は前記液体を重力方向に所定の傾斜を有するとともに、各階層は隣りの階層と少なくとも一部で連通するように形成された液体流路と、を備えたことを特徴とする液体収納容器を提供する。
【0016】
これにより、微粒子を分散させた機能性インクを用いる場合に、微粒子が沈降する空間を小さくして濃度変化の状態を少なくすることにより濃度ムラの発生を抑制することが可能となる。
【0017】
なお、このように各階層は液体を重力方向に少しずつ移動させるために所定の傾斜を有しているが、この所定の傾斜は、5°以上、30°以下が好ましい。ここで5°以上の傾斜というのは、液体が停留せずに液体流路の傾斜に沿って流れる(移動する)ために最低限必要な条件であり、また30°以下の傾斜というのは、貯蔵された液体内の微粒子が傾斜に沿って移動し液体収納容器全体の最下面まで沈降してしまうことなく、各階層で沈降し、分布を形成するために最低限必要な条件である。また、さらに望ましくは5°以上20°以下の傾斜が良い。20°以下の傾斜というのは、各階層での沈降分布形成が安定するためにさらに良い条件だからである。
【0018】
また、請求項2に示すように、前記液体流路は、上部から下部まで連続的に傾斜した螺旋状の部材によって形成されたことを特徴とする。また、請求項3に示すように、前記液体流路は、上部から下部まで続く螺旋階段状の部材によって形成されたことを特徴とする。このように液体流路を具体的に構成することで、微粒子の沈降の空間を小さくして濃度変化の状態を少なくすることが可能となる。
【0019】
また、請求項4に示すように、前記液体流路は、略円筒形の管を上部から下部まで螺旋状に巻き回して形成されたことを特徴とする。
【0020】
このように液体流路の断面形状が略円形状となるようにすることで、液体の淀み部が低減し、液体の攪拌性能が向上する。
【0021】
また、請求項5に示すように、前記液体流路は、先端部が下がるように傾斜した板状部材を異なる方向から互い違いに形成することによって形成されたことを特徴とする。
【0022】
このように、液体流路の形状は必ずしも螺旋状でなくともよい。
【0023】
また、請求項6に示すように、請求項1〜5のいずれかに記載の液体収納容器であって、その上部に前記供給口が形成され、さらに、該容器底面付近に前記液体を取り入れる供給孔を有するとともに上部が前記供給口と連通するように、該容器中央に略垂直に立ち上がるように形成された供給管を備えたことを特徴とする。
【0024】
これにより、常に容器底部から液体を取り入れることができ、安定した液体供給が可能となるとともに、容器の取り付けが容易となる。
【0025】
また、請求項7に示すように、前記螺旋状の部材あるいは前記螺旋階段状の部材を、該螺旋の中心軸の廻りに回転可能に形成したことを特徴とする。
【0026】
これにより、液体の攪拌性能が向上する。
【0027】
また、同様に前記目的を達成するために、請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれかに記載の液体収納容器を備えたことを特徴とする画像形成装置を提供する。
【0028】
これにより、記録媒体において、目視され得る程度の濃度差を生じることがなく、画像品質の高い画像記録が可能となる。
【発明の効果】
【0029】
以上説明したように、本発明によれば、微粒子を分散させた機能性インクを用いる場合に、微粒子が沈降する空間を小さくして濃度変化の状態を少なくすることにより濃度ムラの発生を抑制することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る液体収納容器及びこれを用いた画像形成装置について詳細に説明する。
【0031】
図1は、本発明に係る液体収納容器を備えた画像形成装置としてのインクジェット記録装置の一実施形態の概略を示す全体構成図である。
【0032】
図1に示すように、このインクジェット記録装置10は、インクの色毎に設けられた複数の印字ヘッド(液体吐出ヘッド)12K、12C、12M、12Yを有する印字部12と、各印字ヘッド12K、12C、12M、12Yに供給するインクを貯蔵しておくインク貯蔵/装填部14と、記録紙16を供給する給紙部18と、記録紙16のカールを除去するデカール処理部20と、前記印字部12のノズル面(インク吐出面)に対向して配置され、記録紙16の平面性を保持しながら記録紙16を搬送する吸着ベルト搬送部22と、印字部12による印字結果を読み取る印字検出部24と、印画済みの記録紙(プリント物)を外部に排紙する排紙部26とを備えている。
【0033】
図1では、給紙部18の一例としてロール紙(連続用紙)のマガジンが示されているが、紙幅や紙質等が異なる複数のマガジンを併設してもよい。また、ロール紙のマガジンに代えて、又はこれと併用して、カット紙が積層装填されたカセットによって用紙を供給してもよい。
【0034】
ロール紙を使用する装置構成の場合、図1のように、裁断用のカッター28が設けられており、該カッター28によってロール紙は所望のサイズにカットされる。カッター28は、記録紙16の搬送路幅以上の長さを有する固定刃28Aと、該固定刃28Aに沿って移動する丸刃28Bとから構成されており、印字裏面側に固定刃28Aが設けられ、搬送路を挟んで印字面側に丸刃28Bが配置されている。なお、カット紙を使用する場合には、カッター28は不要である。
【0035】
複数種類の記録紙を利用可能な構成にした場合、紙の種類情報を記録したバーコードあるいは無線タグ等の情報記録体をマガジンに取り付け、その情報記録体の情報を所定の読取装置によって読み取ることで、使用される用紙の種類を自動的に判別し、用紙の種類に応じて適切なインク吐出を実現するようにインク吐出制御を行うことが好ましい。
【0036】
給紙部18から送り出される記録紙16はマガジンに装填されていたことによる巻き癖が残り、カールする。このカールを除去するために、デカール処理部20においてマガジンの巻き癖方向と逆方向に加熱ドラム30で記録紙16に熱を与える。このとき、多少印字面が外側に弱いカールとなるように加熱温度を制御するとより好ましい。
【0037】
デカール処理後、カットされた記録紙16は、吸着ベルト搬送部22へと送られる。吸着ベルト搬送部22は、ローラー31、32間に無端状のベルト33が巻き掛けられた構造を有し、少なくとも印字部12のノズル面及び印字検出部24のセンサ面に対向する部分が平面(フラット面)をなすように構成されている。
【0038】
ベルト33は、記録紙16幅よりも広い幅寸法を有しており、ベルト面には多数の吸引孔(図示省略)が形成されている。図1に示したとおり、ローラー31、32間に掛け渡されたベルト33の内側において印字部12のノズル面及び印字検出部24のセンサ面に対向する位置には吸着チャンバー34が設けられており、この吸着チャンバー34をファン35で吸引して負圧にすることによってベルト33上の記録紙16が吸着保持される。
【0039】
ベルト33が巻かれているローラー31、32の少なくとも一方にモータ(図示省略)の動力が伝達されることにより、ベルト33は図1において、時計回り方向に駆動され、ベルト33上に保持された記録紙16は、図1の左から右へと搬送される。
【0040】
縁無しプリント等を印字するとベルト33上にもインクが付着するので、ベルト33の外側の所定位置(印字領域以外の適当な位置)にベルト清掃部36が設けられている。ベルト清掃部36の構成について詳細は図示しないが、例えば、ブラシ・ロール、吸水ロール等をニップする方式、清浄エアーを吹き掛けるエアーブロー方式、あるいはこれらの組み合わせなどがある。清掃用ロールをニップする方式の場合、ベルト線速度とローラー線速度を変えると清掃効果が大きい。
【0041】
なお、吸着ベルト搬送部22に代えて、ローラー・ニップ搬送機構を用いる態様も考えられるが、印字領域をローラー・ニップ搬送すると、印字直後に用紙の印字面にローラーが接触するので、画像が滲み易いという問題がある。したがって、本例のように、印字領域では画像面と接触させない吸着ベルト搬送が好ましい。
【0042】
吸着ベルト搬送部22により形成される用紙搬送路上において印字部12の上流側には、加熱ファン40が設けられている。加熱ファン40は、印字前の記録紙16に加熱空気を吹きつけ、記録紙16を加熱する。印字直前に記録紙16を加熱しておくことにより、インクが着弾後乾き易くなる。
【0043】
印字部12は、最大紙幅に対応する長さを有するライン型ヘッドを紙搬送方向(副走査方向)と直交する方向(主走査方向)に配置した、いわゆるフルライン型のヘッドとなっている(図2参照)。
【0044】
図2に示すように、各印字ヘッド12K、12C、12M、12Yは、本インクジェット記録装置10が対象とする最大サイズの記録紙16の少なくとも一辺を超える長さにわたってインク吐出口(ノズル)が複数配列されたライン型ヘッドで構成されている。
【0045】
記録紙16の搬送方向(紙搬送方向)に沿って上流側(図1の左側)から黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の順に各色インクに対応した印字ヘッド12K、12C、12M、12Yが配置されている。記録紙16を搬送しつつ各印字ヘッド12K、12C、12M、12Yからそれぞれ色インクを吐出することにより記録紙16上にカラー画像を形成し得る。
【0046】
このように、紙幅の全域をカバーするフルラインヘッドがインク色毎に設けられてなる印字部12によれば、紙搬送方向(副走査方向)について記録紙16と印字部12を相対的に移動させる動作を一回行うだけで(すなわち、一回の副走査で)記録紙16の全面に画像を記録することができる。これにより、印字ヘッドが紙搬送方向と直交する方向(主走査方向)に往復動作するシャトル型ヘッドに比べて高速印字が可能であり、生産性を向上させることができる。
【0047】
なお、本実施形態は、微粒子を分散させた機能性インクを吐出するものであり、本実施形態では、水に対して不溶性あるいは難溶性の色材を分散したインクが適している。色材としては、分散染料、金属錯塩染料、顔料などが挙げられる。さらに、インクの溶媒に色材を分散させる化合物としては、いわゆる分散剤、界面活性剤、樹脂等を用いることができ、分散剤または界面活性剤としては、アニオン系、ノニオン系等が挙げられ、樹脂分散剤としては、スチレン及び誘電体、ビニルナフタレン及びその誘電体、ビニルナフタレン及びその誘電体、アクリル酸及びその誘電体等が挙げられ、これらの樹脂は、塩基を溶解させた水溶液に可溶なアルカリ可溶型樹脂であることが望ましい。また、顔料としては、無機顔料または有機顔料があるがこれらに限定されるものではない。顔料インクは耐光性、耐水性に優れているが、染料系インクに比べて沈降し易い傾向にある。
【0048】
また、このような機能性インクを用いる場合であっても、シャトル型ヘッドの場合には、記録媒体を副走査方向に搬送しながら、ヘッド自体が主走査方向に往復動作しているため、ヘッド内の機能性インクが常に攪拌される状態にあり、機能性インク内の微粒子の沈降は問題とはならない。これに対して、本実施形態のようなライン型ヘッドの場合には、通常、記録媒体を搬送し、ヘッド自体は固定され動かないため、機能性インク中の微粒子の沈降が問題となる。
【0049】
なお、ここで主走査方向及び副走査方向とは、次に言うような意味で用いている。すなわち、記録紙の全幅に対応したノズル列を有するフルラインヘッドで、ノズルを駆動する時、(1)全ノズルを同時に駆動するか、(2)ノズルを片方から他方に向かって順次駆動するか、(3)ノズルをブロックに分割して、ブロックごとに片方から他方に向かって順次駆動するか、等のいずれかのノズルの駆動が行われ、用紙の幅方向(記録紙の搬送方向と直交する方向)に1ライン(1列のドットによるライン又は複数列のドットから成るライン)の印字をするようなノズルの駆動を主走査と定義する。そして、この主走査によって記録される1ライン(帯状領域の長手方向)の示す方向を主走査方向という。
【0050】
一方、上述したフルラインヘッドと記録紙とを相対移動することによって、上述した主走査で形成された1ライン(1列のドットによるライン又は複数列のドットから成るライン)の印字を繰り返し行うことを副走査と定義する。そして、副走査を行う方向を副走査方向という。結局、記録紙の搬送方向が副走査方向であり、それに直交する方向が主走査方向ということになる。
【0051】
また本例では、KCMYの標準色(4色)の構成を例示したが、インク色や色数の組み合わせについては本実施形態には限定されず、必要に応じて淡インク、濃インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタ等のライト系インクを吐出する印字ヘッドを追加する構成も可能である。
【0052】
図1に示したように、インク貯蔵/装填部14は、各印字ヘッド12K、12C、12M、12Yに対応する色のインクを貯蔵するタンクを有し、各タンクは図示を省略した管路を介して各印字ヘッド12K、12C、12M、12Yと連通されている。また、インク貯蔵/装填部14は、インク残量が少なくなるとその旨を報知する報知手段(表示手段、警告音発生手段等)を備えるとともに、色間の誤装填を防止するための機構を有している。
【0053】
なお、本発明の特徴の一つは、微粒子を分散させた機能性インクを用いた場合に微粒子の沈降が発生しても、濃度ムラ、密度ムラのないインクを供給可能なようにインクタンク(液体収納容器)を工夫するものである。これについて、詳しくは後述する。
【0054】
印字検出部24は、印字部12の打滴結果を撮像するためのイメージセンサ(ラインセンサ等)を含み、該イメージセンサによって読み取った打滴画像からノズルの目詰まりその他の吐出不良をチェックする手段として機能する。
【0055】
本例の印字検出部24は、少なくとも各印字ヘッド12K、12C、12M、12Yによるインク吐出幅(画像記録幅)よりも幅の広い受光素子列を有するラインセンサで構成される。このラインセンサは、赤(R)の色フィルタが設けられた光電変換素子(画素)がライン状に配列されたRセンサ列と、緑(G)の色フィルタが設けられたGセンサ列と、青(B)の色フィルタが設けられたBセンサ列とからなる色分解ラインCCDセンサで構成されている。なお、ラインセンサに代えて、受光素子が二次元配列されて成るエリアセンサを用いることも可能である。
【0056】
印字検出部24は、各色の印字ヘッド12K、12C、12M、12Yにより印字されたテストパターンを読み取り、各ヘッドの吐出検出を行う。吐出判定は、吐出の有無、ドットサイズの測定、ドット着弾位置の測定等で構成される。
【0057】
印字検出部24の後段には、後乾燥部42が設けられている。後乾燥部42は、印字された画像面を乾燥させる手段であり、例えば、加熱ファンが用いられる。印字後のインクが乾燥するまでは印字面と接触することは避けたほうが好ましいので、熱風を吹きつける方式が好ましい。
【0058】
多孔質のペーパに染料系インクで印字した場合などでは、加圧によりペーパの孔を塞ぐことでオゾンなど、染料分子を壊す原因となるものと接触することを防ぐことで画像の耐候性がアップする効果がある。
【0059】
後乾燥部42の後段には、加熱・加圧部44が設けられている。加熱・加圧部44は、画像表面の光沢度を制御するための手段であり、画像面を加熱しながら所定の表面凹凸形状を有する加圧ローラー45で加圧し、画像面に凹凸形状を転写する。
【0060】
このようにして生成されたプリント物は、排紙部26から排出される。本来プリントすべき本画像(目的の画像を印刷したもの)とテスト印字とは分けて排出することが好ましい。このインクジェット記録装置10では、本画像のプリント物と、テスト印字のプリント物とを選別してそれぞれの排出部26A、26Bへと送るために排紙経路を切り換える選別手段(図示省略)が設けられている。なお、大きめの用紙に本画像とテスト印字とを同時に並列に形成する場合は、カッター(第2のカッター)48によってテスト印字の部分を切り離す。カッター48は、排紙部26の直前に設けられており、画像余白部にテスト印字を行った場合に、本画像とテスト印字部を切断するためのものである。カッター48の構造は前述した第1のカッター28と同様であり、固定刃48Aと丸刃48Bとから構成されている。
【0061】
また、図示を省略したが、本画像の排出部26Aには、オーダー別に画像を集積するソーターが設けられている。
【0062】
次に、印字ヘッド(液体吐出ヘッド)のノズル(液体吐出口)の配置について説明する。インク色毎に設けられている各印字ヘッド12K、12C、12M、12Yの構造は共通しているので、以下、これらを代表して符号50によって印字ヘッドを表すものとし、図3に印字ヘッド50の平面透視図を示す。
【0063】
図3に示すように、本実施形態の印字ヘッド50は、インクを液滴として吐出するノズル51、インクを吐出する際インクに圧力を付与する圧力室52、図3では図示を省略した共通流路から圧力室52にインクを供給するインク供給口53を含んで構成される圧力室ユニット54が千鳥状の2次元マトリクス状に配列され、ノズル51の高密度化が図られている。
【0064】
図3に示す例においては、各圧力室52を上方から見た場合に、その平面形状は略正方形状をしているが、圧力室52の平面形状はこのような正方形に限定されるものではない。圧力室52には、図3に示すように、その対角線の一方の端にノズル51が形成され、他方の端の側にインク供給口53が設けられている。
【0065】
また、図3中の4A−4B線に沿った断面図を図4に示す。
【0066】
図4に示すように、圧力室ユニット54は、インクを吐出するノズル51と連通する圧力室52によって形成され、圧力室52には、供給口53を介してインクを供給する共通流路55が連通するとともに、圧力室52の一面(図では天面)は振動板56で構成され、その上部には、振動板56に圧力を付与して振動板56を変形させる圧電素子58が接合され、圧電素子58の上面には個別電極57が形成されている。また、振動板56は共通電極を兼ねている。
【0067】
圧電素子58は、共通電極(振動板56)と個別電極57によって挟まれており、これら2つの電極56、57に駆動電圧を印加することによって変形する。圧電素子58の変形によって振動板56が押され、圧力室52の容積が縮小されてノズル51からインクが吐出されるようになっている。2つの電極56、57間への電圧印加が解除されると圧電素子58がもとに戻り、圧力室52の容積が元の大きさに回復し、共通流路55から供給口53を通って新しいインクが圧力室52に供給されるようになっている。
【0068】
図5はインクジェット記録装置10におけるインク供給系の構成を示した概要図である。インクタンク60は印字ヘッド50にインクを供給するための基タンクであり、図1で説明したインク貯蔵/装填部14に設置される。すなわち。図5のインクタンク60は、先に記載した図1のインク貯蔵/装填部14と等価のものである。
【0069】
なお、インクタンク60は、印字ヘッド50に供給するインクを蓄えるものであり、上述したように本実施形態では、インク中に微粒子を分散させた機能性インクを使用しているため、インクタンク60が単にその内部が1つの部屋からなる容器である場合には、機能性インク中の微粒子が沈降し、重力方向下層側のインクは濃度が濃く、上層側のインクは濃度が薄くなり、インクタンク60内の場所によってインクの濃度(密度)が異なり、このインクをそのまま印字ヘッド50に供給すると濃度ムラが発生してしまう。
【0070】
そこで、本実施形態では、たとえ沈降が起こっても、印字ヘッド50に供給するインクに、なるべく濃度ムラが発生しないように、インクタンク60の構造を工夫しているが、これについては後で詳しく述べる。
【0071】
図5に示すように、メインタンク60と印字ヘッド50との間に、サブタンク62が設けられている。サブタンク62は、メインタンク60から供給されたインクを、印字ヘッド50に送る前に一旦貯留するものであり、ヘッドの内圧変動を防止するダンパー効果及びリフィルを改善する機能を有している。
【0072】
メインタンク60からサブタンク62へ至る流路(第1インク供給流路)610が、メインタンク60の側面に接続するように形成されている。そして第1インク供給流路610の途中には、ポンプ(インク供給ポンプ)64が設けられている。このインク供給ポンプ64を駆動することにより、第1インク供給流路610中を図中矢印で示す方向にインクが流れ、メインタンク60からサブタンク62にインクが供給されるようになっている。また、第1インク供給流路610のメインタンク60とインク供給ポンプ64との間には、異物や気泡を除去するためのフィルタ66が設けられている。
【0073】
また、サブタンク62と印字ヘッド50とを連通し、サブタンク62から印字ヘッド50にインクを供給するための流路(第2インク供給流路)620が設けられている。この第2インク供給流路620は、第1インク供給流路610のサブタンク62との接続点よりも低い位置でサブタンク62の側面に接続している。
【0074】
また、サブタンク62の底面においてサブタンク62に接続し、メインタンク60と連通する流路(第1インク回収流路)630、及びサブタンク62の側面においてサブタンク62に接続し、メインタンク60と連通する流路(第2インク回収流路)640が設けられている。
【0075】
図5に示すように、第2インク供給流路620及び第2インク回収流路640とメインタンク60の側面の接続部は、第2インク回収流路640とサブタンク62の側面の接続部の最下端が第2インク供給流路620とサブタンク62の側面の接続部の最上端と一致するように形成されている。
【0076】
第1インク回収流路630と第2インク回収流路640は、メインタンク60の手前で合流し、一つのインク回収流路650となる。このインク回収流路650は、メインタンク60と連通するとともに、その一方の端部はインク供給ピット68に接続している。インク供給ピット68は、ここからメインタンク60にインクを供給するためのものであり、内部に気泡や塵埃を除去するためのフィルタ70を備えている。
【0077】
なお、本実施形態では、メインタンク60は画像形成装置内に据え置き構造とし、メインタンク60へのインク供給は、この供給ピット68を介してハンドリングが容易なタンクにより人的に供給する方法によってなされる。
【0078】
また、第1インク回収流路630には、この第1インク回収流路630を開閉する第1電磁弁71が設けられている。同様に、第2インク回収流路640にも、この第2インク回収流路640を開閉する第2電磁弁72が設けられている。また、第2インク供給流路620には、この第2インク供給流路620を開閉する第3電磁弁73が設けられている。
【0079】
サブタンク62の天面には、大気と連通する開口部(大気連通孔)76が形成されている。大気連通孔96はフィルタを備えており、このフィルタを介して大気がサブタンク62に出入りすることにより、サブタンク62内の気圧が大気圧に保たれるようになっている。
【0080】
インク供給ポンプ64を駆動することによりメインタンク60からサブタンク62にインクが供給される。そして、サブタンク62内に供給されたのインクの液面と、印字ヘッド50のノズル面50Aとの高低差(水頭差)により、印字ヘッド50の内圧が所定の負圧に調整されるようになっている。ここで、所定の負圧とは、大気圧よりも低い圧力であって、インクの吐出に備えてノズル51内のインク液面(メニスカス)をノズル面50Aの近傍に設定する圧力である。
【0081】
また、図5に示すように、印字ヘッド50からサブタンク62にインクを還流させる流路(循環流路)660が設けられている。循環流路660の途中には、循環流路660を開閉する第4電磁弁74と、印字ヘッド50からサブタンク62へインクを還流させるポンプ(インク還流ポンプ)78が設けられている。
【0082】
画像を形成する際には、第1電磁弁71を閉じ、かつ第2電磁弁72を開いた状態で、印字ヘッド50から吐出を開始する所定時間前からインク供給ポンプ64を正回転してメインタンク60からサブタンク62にインクを供給する。これによりサブタンク62から第2インク供給流路620を介して印字ヘッド50にインクが供給される。このとき、第2電磁弁72が開いているので、サブタンク62内の余分なインクはサブタンク62の側壁に接続された第2インク回収流路640を通ってメインタンク60に戻るようになっている。
【0083】
このような構成により、メインタンク60からサブタンク62へのインクの供給が安定し、サブタンク62のインク液面は一定の高さに保たれる。このようにして一定に保たれたサブタンク62のインク液面と印字ヘッド50のノズル面50Aとの高低差により、印字ヘッド50内の圧力が所定の負圧に一定に設定され、ノズル51内のメニスカス位置が設定される。また、吐出動作終了時から所定時間経過したら、インク供給ポンプ64の回転を停止する。
【0084】
また、第1電磁弁71及び第2電磁弁72を両方とも開いた状態では、印字ヘッド50内のインク、サブタンク62から印字ヘッド50に至る第2インク供給流路620内のインク、サブタンク62内のインク、及びサブタンク62からメインタンク60に至る第1インク回収流路630及び第2インク回収流路640内のインクが全てメインタンク60内に回収される。さらに、インク供給ポンプ64の逆回転により、メインタンク60からサブタンク62に至る第1インク供給流路610内のインクもメインタンク60に回収される。
【0085】
また、印字ヘッド50のノズル51内のメニスカス位置は、ノズル面50A近傍から圧力室52側へ後退自在である。具体的には、所定時間だけ第4電磁弁74を開状態に設定するとともに、インク還流ポンプ78を駆動して、メニスカスの後退量に対応する所定量のインクだけを印字ヘッド50から循環流路660を介してサブタンク62に戻すことにより、メニスカス位置を後退させる。
【0086】
あるいは、第1電磁弁71を所定時間だけ開状態に設定して、メニスカスの後退量に対応する所定量のインクだけを印字ヘッド50から第2インク供給流路620を介してサブタンク62に戻すことによりメニスカス位置を後退させるようにしても良い。
【0087】
また、図5に示すように、印字ヘッド50に対して、ノズルの乾燥防止又はノズル近傍のインク粘度上昇を防止するための手段としてキャップ80と、図示は省略するがノズル面50Aの清掃手段としてのクリーニングブレードが設けられている。
【0088】
これらキャップ80及び図示を省略したクリーニングブレードを含んで構成されるメンテナンスユニットは、図示を省略した移動機構によって印字ヘッド50に対して相対移動可能であり、必要に応じて所定の退避位置から印字ヘッド50下方のメンテナンス位置に移動される。
【0089】
キャップ80は、凹形状に形成され、図示しない昇降機構によって印字ヘッド50に対して相対的に昇降変位される。昇降機構は、電源OFF時や印刷待機時にキャップ80を所定の上昇位置まで上昇させ、印字ヘッド50に密着させることにより、ノズル面50Aのノズル領域をキャップ80の凹形状で覆うようになっている。
【0090】
印字中又は待機中において、特定のノズル51の使用頻度が低くなり、そのノズル51近傍のインク粘度が上昇した場合、粘度が上昇して劣化したインクを排除すべく、キャップ80に向かって予備吐出が行われる。
【0091】
また、印字ヘッド50内のインク(圧力室52内のインク)に気泡が混入した場合、印字ヘッド50にキャップ80を当て、吸引ポンプ82で圧力室52内のインク(気泡が混入したインク)を吸引により除去し、吸引除去したインクを回収タンク84に送液する。この吸引動作は、初期のインクのヘッドへの装填時、あるいは長時間の停止後の使用開始時にも行われ、粘度が上昇して固化した劣化インクが吸い出され除去される。
【0092】
すなわち、印字ヘッド50は、ある時間以上吐出しない状態が続くと、ノズル近傍のインク溶媒が蒸発してノズル近傍のインクの粘度が高くなってしまい、吐出駆動用のアクチュエータが動作してもノズル51からインクが吐出しなくなる。従って、このような状態になる手前で(吐出用のアクチュエータの動作によってインク吐出が可能な粘度の範囲内で)、インク受けに向かって吐出駆動用アクチュエータを動作させ、粘度が上昇したノズル近傍のインクを吐出させる「予備吐出」が行われる。また、ノズル面50Aの清掃手段として設けられているクリーニングブレード等のワイパーによってノズル面50Aの汚れを清掃した後に、このワイパー摺擦動作によってノズル51内に異物が混入するのを防止するためにも予備吐出が行われる。なお、予備吐出は、「空吐出」、「パージ」、「唾はき」などと呼ばれる場合もある。
【0093】
また、ノズル51や圧力室52内に気泡が混入したり、ノズル51内のインクの粘度上昇があるレベルを超えたりすると、上記予備吐出ではインクを吐出できなくなるため、上述したような吸引動作を行う。
【0094】
すなわち、ノズル51や圧力室52のインク内に気泡が混入した場合、あるいはノズル51内のインク粘度があるレベル以上に上昇した場合には、吐出駆動用アクチュエータを動作させてもノズル51からインクを吐出できなくなる。このような場合、印字ヘッド50のノズル面50Aに、キャップ80を当てて圧力室52内の気泡が混入したインク又は増粘インクを吸引ポンプ82で吸引する動作が行われる。
【0095】
ただし、上記吸引動作は、圧力室52内のインク全体に対して行われるため、インク消費量が大きいので、粘度上昇が少ない場合には、吸引動作ではなく、なるべく予備吐出を行うことが好ましい。なお、図5で説明したキャップ80は、吸引手段として機能するとともに、予備吐出のインク受けとしても機能し得る。また、さらに、キャップ80の内側が仕切り壁によってノズル列に対応した複数のエリアに分割され、これら仕切られた各エリアをセレクタ等によって選択的に吸引できる構成とすることがより好ましい。
【0096】
以下、本発明の特徴である、機能性インク内で微粒子の沈降による濃度ムラが発生しても濃度差の少ないインクを供給できるように工夫したメインタンク60の構造について説明する。
【0097】
図6に、本発明に係るメインタンク60の一例を斜視透視図で示す。
【0098】
図6に示すメインタンク60の例においては、メインタンク60は円筒形状の密閉された容器である。メインタンク60の上面の中心部には、前述した第1インク供給流路610が接続する供給口60aが形成されている。またメインタンク60の上面には、第1インク回収流路630と第2インク回収流路640が合流したインク回収流路650が接続する充填口60bが形成されている。第1インク供給流路610はサブタンク62に連通しており、またインク回収流路650は、一端がサブタンク62に連通するとともに、他端が供給ピット68に連通している。
【0099】
第1インク供給流路610は、供給口60aでメインタンク60の上面に接続し、供給口60aを介して、メインタンク60の中心部を底面まで略垂直に延びて形成された供給管612に繋がっている。供給管612のメインタンク60底面付近にはインクを取り入れる供給孔612aが形成されている。
【0100】
また、供給管612の周りにはメインタンク60の上面付近から底面付近まで所定の傾斜を有する滑らかなスロープが連続するように形成された螺旋状の羽根614が形成されている。
【0101】
インク回収流路650は、メインタンク60の上面で充填口60bを介してメインタンク60に接続しており、インク回収流路650の一端はサブタンク62に連通し、他端は供給ピット68に連通しており、供給ピット68から供給されたインクやサブタンク62から回収されたインクが、充填口60bを介してメインタンク60の上部から充填されるようになっている。
【0102】
充填口60bから充填されたインクは、螺旋状の羽根614の最上部に供給され、その後、螺旋状の羽根614の所定の傾斜を有するスロープに沿ってゆっくり底面に向かって流れて行く。この傾斜は、5°以上30°以下が望ましく、さらには、5°以上20°以下がより望ましい。これは前述したように、この範囲の傾斜を有していれば、液体が停留せずに液体流路の傾斜に沿って流れ、かつ、貯蔵された液体内の微粒子が傾斜に沿って液体収納容器全体の最下面まで沈降してしまうことなく各階層で沈降し分布を形成するようになるからである。この傾斜の条件は、この後説明する他の例においても同様である。
【0103】
図7に、インクが略満タン状態になっているメインタンク60の断面図を示す。
【0104】
図7に示すように、断面で見るとメインタンク60の内部は螺旋状の羽根614によって上面から底面まで複数の層に分けられている。また、中心部に設けられた供給管612は、底面付近にインクの取り入れ口である供給孔612aを有している。
【0105】
また、第1インク供給流路610がメインタンク60に接続する供給口60aの内部には、供給管612との接続部のインク液密性を確保するためのゴムパッキン60cが設けられている。同様に、インク回収流路650がメインタンク60と接続する充填口60bの内部にも、充填口60bにおけるメインタンク60との接続部のインク液密性を確保するためにゴムパッキン60dが設けられている。
【0106】
本実施形態では、インク中に微粒子を分散させた機能性インクを用いているため、経時的にインク中の微粒子が沈降を起こす。このとき、従来のメインタンク60では、タンク内が単に一つの容器であったため、図6の供給管612の内部のように、下から高濃度層90a、中濃度層90b、低濃度層90cと下から上まで全体が3層に分離する。
【0107】
しかし、本実施形態においては、メインタンク60内を螺旋状の羽根614によってメインタンク60内を上から下までを所定の傾斜を有する複数の層に分割したので、それぞれの層の中が高濃度層90a、中濃度層90b、低濃度層90cと3層に分離される。従って、このように仮に沈降が発生しても螺旋状の羽根614で上下に区切られた各層の中がそれぞれ高濃度層90a、中濃度層90b、低濃度層90cと全ての濃度の層を有しているため、これら3層を含んだインクが供給孔612aから供給管612の中に取り入れられてサブタンク62に供給されることになる。その結果、サブタンク62に供給されるインクは、全ての濃度のインクが混ざっており、濃度ムラの発生を低く抑えることができる。
【0108】
このように、本実施形態では機能性インク内の微粒子が沈降する空間を小さくして、濃度変化の状態を少なくすることが可能となる。また、循環するインクが螺旋状の羽根614を流れてメインタンク60内のインクを混合させることで攪拌効果が向上する。さらに、循環するインクがインクの液面に対して垂直に混合されることがないため、気泡(空気)の巻き込みが低減される。
【0109】
また本実施形態において、例えば供給管612の下部の供給孔612aが形成された部分を残して、供給管612に対し螺旋状の羽根614が形成された部分を回転可能にして、羽根614を回転させるようにしてもよい。羽根614を回転可能にする構成は特に限定はされず、どのような方法でもよい。例えば、供給管612の供給孔612aが形成された部分とそれより上部とを別部材にして、上部を回転可能にしてもよいし、供給管612を二重の円筒にしてその外側に螺旋状の羽根614を形成し、外側の管を回転可能にしてもよい。このように、羽根614をメインタンク60内で回転させることにより、メインタンク60内のインクがかき混ぜられて濃度ムラをさらに解消することができる。
【0110】
図8に、螺旋状の羽根614を回転可能に構成したメインタンク60の例を斜視透視図で示す。
【0111】
図8において、螺旋状の羽根614は供給管612の周りに回転可能に形成されている。また、供給管612と第1インク供給流路610との接続部である供給口60aでは、羽根614が形成された供給管612の回転可能部分と一体となって液密性を保ちつつ回転するように、供給口60aに歯車92aを形成する。また、供給口60aの歯車92aと契合する歯車92bを取り付け、この歯車92bを回転させるモータ94を設置する。
【0112】
モータ94で歯車92bを回転させると、歯車92aが回転し、これにより供給管612の回転可能部分が回転し、これに形成された螺旋状の羽根614が回転し、メインタンク60内のインクが攪拌され、濃度ムラが解消される。
【0113】
これにより、よく混ざり合ったインクが供給管612下部の供給孔612aから供給管612の内部に取り入れられて、供給管612の内部を上方に運ばれ、第1インク供給流路610を介してサブタンク62に供給される。
【0114】
また図9に、メインタンク60の他の例を斜視透視図で示す。
【0115】
図9に示す例は、図6に示した供給管612の周りに形成される螺旋状の羽根614を連続的なスロープ状ではなく、螺旋階段状にしたものである。
【0116】
すなわち、図9に示すように、供給管612の周りに、メインタンク60内を上面から底面まで供給管612の周りを廻りながら所定の傾斜を有して次第に下へ下がっていく螺旋階段615が形成されている。これは、図6に示した例と、なだらかなスロープか階段状かが違うだけで作用は同じである。
【0117】
なお、図9に示す螺旋階段も図8に示した例と同じように、供給管612の周りを回転可能に構成してもよい。
【0118】
図10に、メインタンク60のさらに他の例を示す。
【0119】
これも基本的に、メインタンク60内において、インクが上面側から螺旋状にメインタンク60内を廻りながら所定の傾斜を有して次第に底面側に降りて行き、底面側から供給管612内を上方に引き上げられて第1インク供給流路610に流れて行く、インクの流れを作り出す点において、今までの例と同様である。
【0120】
図10に示す例が今までの例と異なるのは、インクが、インク回収流路650から充填口60bを介してメインタンク60に入り、メインタンク60内を螺旋状に廻りながら下降し、供給管612、さらに供給口60aを介して第1インク供給流路610に至る流れを1本のチューブ(略円筒形の管)616で作り出すようにしたことである。
【0121】
すなわち、図10に示すように、メインタンク60の上面に形成された充填口60bを介してインク回収流路650はチューブ616に繋がり、チューブ616は、螺旋状に巻き回されて円筒形のメインタンク60の内壁に沿って廻りながらメインタンク60の底面に向かって下降して行き、底面において今度はメインタンク60の中心部を上方に略垂直に立ち上がる供給管612へと繋がり、供給管612はメインタンク60上面に形成された供給口60aを介して第1インク供給流路610へと繋がっている。
【0122】
図11に、図10に示したメインタンク60の断面図を示す。
【0123】
図11に示すように、メインタンク60内はメインタンク60の内壁に沿って螺旋状に巻き回されたチューブ616によって、上から下へ複数の層をなすように形成されている。そして、各層を形成するチューブ616の各断面内において、図11では図示を省略するが、図7と同様に機能性インクが高濃度、中濃度、低濃度の3層に分離するようになっている。また、この場合にも、図7と同様に、供給口60a及び充填口60bには、それぞれ液密性確保のためのゴムパッキン60c及び60dが設けられている。
【0124】
なお、チューブ(略円筒管)616は、シリコンなどの柔軟部材や形状が安定する樹脂あるいは金属で形成するのが望ましい。また、チューブ616は、相当量のインクを保持可能なように長く装置内部を引き回されていればよく、全体の形状は特に限定されない。このようにチューブ616によっても、微粒子の沈降の空間を小さくして、濃度変化の状態を少なくすることが可能となり、濃度ムラの発生を防止することが可能となる。また、循環するインクが螺旋状のチューブ616内を流れて残留インクと混合されることで攪拌効果が向上する。さらにチューブ616は略円筒状の管であるため、インクの淀み部が低減し、長時間メインタンク60とサブタンク62間を循環動作させることでメインタンク60及びサブタンク62内のインクが循環攪拌される。
【0125】
また本例において、チューブ616は、所定の傾斜を有して螺旋状に下降しているが、チューブ616内におけるインク90に液面が形成される場合には、図12に示すように、水平面として形成されるように、チューブ616の内径はある程度以上太くすることが望ましい。
【0126】
これは、チューブ616の径があまり細いと、図13(a)に示すように、インク90の液面がチューブ616の長手方向に略垂直な方向に形成されてしまい、図13(b)に示すように、これに次のインク90’が上から入ってくると気泡が出来てしまうからである。
【0127】
図10に示す例では、メインタンク60内にチューブ616を螺旋状に一重に巻き回したが、チューブ616の巻き方はこれに限定されるものではない。
【0128】
例えば、図14に示すように、インク回収流路650から接続したチューブ616をメインタンク60内に二重の螺旋状に巻き回すようにしてもよい。この二重の螺旋状とは、メインタンク60内の同じ高さにおいて、内側と外側の2回巻いたら1段下へ降りて、また内側に1回、外側に1回巻く、というのを下まで繰り返すことをいう。
【0129】
図15に、図14のメインタンク60内の様子を断面図で示す。図15に示すように、メインタンク60中心部の供給管612の両側にそれぞれ2つずつチューブ616の円形の断面が並んでいる。
【0130】
このように、チューブ616を二重の螺旋状にすることで、メインタンク60内をより多くの小さな層に分けることができ、高濃度、中濃度、低濃度の3層をより細かく形成させることができ、濃度ムラをより防止しやすくなる。
【0131】
また、以上図10から図15に示した例では、メインタンク60内にチューブ616を螺旋状に配置したが、これを推し進めると、究極的には、円筒状のメインタンク60の外壁(外枠)は必要ではなく、単にチューブ616を螺旋状に巻き回しただけのものでメインタンク60の働きをさせるようにしてもよい。
【0132】
すなわち、図16に示すように、インク回収流路650に続いて延びるチューブ616をぐるぐる螺旋状に巻き回して、最下端から上方へ向けて略垂直に立ち上げ、供給管612とし、その先を第1インク供給流路610へと繋げるようにしてもよい。
【0133】
この場合、チューブ616がぐるぐる螺旋状に巻き回された部分がメインタンク60に相当する。なお、チューブ616の巻き方も、必ずしも図10などに示したように円く巻かなくともよく、図16に示す例では、チューブ616を多少方形に巻いている。
【0134】
このように、単にチューブ(略円筒管)616を這わせただけのものの場合には、タンク形状の自由度が向上することで、装置全体を小型化することが可能となる。
【0135】
図17に、メインタンク60の他の例を示す。図17に示すメインタンク60は、今までの例のように円筒形ではなく直方体をしている。そして、その上面には、第1インク供給流路610に接続する供給口60a、及びインク回収流路650に接続する充填口60bが設けられている。
【0136】
供給口60aの下には、メインタンク60の底面に向かって略垂直に供給管612が設けられ、供給管612の最下端には供給管612内にインクを取り入れるための供給孔612aが形成されている。
【0137】
直方体状のメインタンク60は、上述した例と同様に、高濃度、中濃度、低濃度の3層を細かく分断し、上から下へ向かって、上の層から下の層へ少しずつゆっくりインクが流れて行くように、メインタンク60内部は、階層状に形成される。
【0138】
すなわち、図17に示すように、直方体状のメインタンク60の向かい合う側壁61a、61bからそれぞれ対向する側壁に向かって少し下方へ傾斜した板状部材(流路板)617a、617bを配置する。なお、前述した供給管612は、各流路板617a、617bを貫通するように形成されている。
【0139】
また、図18に、図17のメインタンク60の断面図を示す。
【0140】
図18に示すように、メインタンク60の一つの側壁61aから対向する側壁61bに向かってその先端部に向かって少し下がるように傾斜した流路板617aが形成され、一方、側壁61aに対向する側壁61bから側壁61aに向かって同様の流路板617bが流路板617aと互い違いになるように形成される。
【0141】
そして、インク回収流路650から充填口60bを介してメインタンク60内に流れ込んだインクは、流路板617a及び流路板617bの傾斜に沿って図中矢印で示したように、下方へ向かってゆっくり流れて行く。なお、流路板617a、617bの傾斜はインクがゆっくり流れるように調整される。
【0142】
メインタンク60の底面まで流れ落ちたインクは、供給孔612aから供給管612内に取り込まれ供給口60aを介して第1インク供給流路610から外部に供給される。
【0143】
なお、図17あるいは図18においては、図を簡単にするために流路板の数を少なめに表現しているが、実際にはもっとたくさんの流路板をメインタンク60内に形成するようにしてもよい。
【0144】
この例のように、対向する面から所定の傾斜を有する板を互い違いに形成するようにしてメインタンク60内を複数の層に分けるようにしても、前述した各例と同様の効果を得ることができ、濃度ムラを抑制することが可能となる。
【0145】
また、このようにメインタンク60を直方体状に形成した場合に、メインタンク60内を複数の層に分割する方法は、流路板を2方向から互い違いに形成するものだけには限定されず、例えば、直方体状のメインタンク60の各4つの面から、先端部に向かって少し下方に傾斜した流路板を、それぞれ少しずつ設置位置を下方にずらしながら形成し、インクが螺旋状に流れるようにしてもよい。
【0146】
このような流路板の例を図19に示す。
【0147】
図19に示すように、直方体状のメインタンク60の一つの側面から先端部に向かって下がるように傾斜した流路板618aが対向する側面との間を少し開けるように形成され、その隣の側面から先程の流路板618aより少し下側に同様に傾斜した流路板618bが形成される。さらにまたその隣の側面から同様に流路板618bより少し下側に流路板618cが形成され、その隣の側面からも同様の流路板618dが形成される。図では、4枚しか流路板を図示していないが、実際には、メインタンク60の上から下までもっとたくさんの流路板が形成され、これらの流路板に沿ってインクが下方に螺旋状に流れて行くようになっている。
【0148】
そしてメインタンク60の底面付近まで流れたインクは、供給管612の底部に形成された供給孔612aから供給管612内に取り込まれ、供給管612から供給口60aを介して第1インク供給流路610に供給されるようになっている。
【0149】
なお、以上説明したメインタンク60の例では、いずれも、供給口60aはメインタンク60の上部に設けられていたが、メインタンク60の下部、底面あるいは下部側面などに供給口を設けてそこから第1インク供給流路610にインクを供給するようにしてもよい。
【0150】
以上説明したように、本実施形態によれば、例えば螺旋状に形成されたタンク内流路を持つなどにより、機能性インク内の微粒子が沈降する空間を小さくして濃度変化の状態を少なくすることにより、濃度ムラの発生を防止することができる。
【0151】
また、上で取り上げた例では、円筒形状や直方体状のメインタンクについてそれぞれの態様を説明したが、上で説明したものに限定されるものではなく、上記例を適宜組み合わせた態様によっても同様の効果を得ることが可能である。
【0152】
なお、上で説明した例では、液体収納容器としてインクを収納するタンクを用いた形態を示したが、本発明はインクタンクにのみ限定されるものではなく、例えば基板に導電配線を形成する装置や色フィルターの製造装置などに適用することも可能である。
【0153】
以上、本発明の液体収納容器及びこれを用いた画像形成装置について詳細に説明したが、本発明は、以上の例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいのはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0154】
【図1】本発明に係る液体収納容器を備えた画像形成装置としてのインクジェット記録装置の一実施形態の概略を示す全体構成図である。
【図2】図1に示したインクジェット記録装置の印字部周辺の要部平面図である。
【図3】印字ヘッドの構造例を示す平面透視図である。
【図4】図3中の4A−4B線に沿って切断した一つの圧力室ユニットの断面図である。
【図5】本実施形態のインクジェット記録装置のインク供給系の構成を示した概略図である。
【図6】本実施形態におけるメインタンクの一例を示す斜視透視図である。
【図7】図に示すメインタンクの断面図である。
【図8】他のメインタンクの例を示す斜視透視図である。
【図9】他のメインタンクの例を示す斜視透視図である。
【図10】他のメインタンクの例を示す斜視透視図である。
【図11】図10のメインタンクの断面図である。
【図12】図10のメインタンクに用いられるチューブ内のインク液面の様子を示す一部断面図である。
【図13】(a)、(b)は、チューブの径が細い場合の欠点を示すための説明図である。
【図14】他のメインタンクの例を示す斜視透視図である。
【図15】図14のメインタンクの一部の断面図である。
【図16】他のメインタンクの例を示す斜視図である。
【図17】直方体状のメインタンクの例を示す斜視透視図である。
【図18】図17のメインタンクの断面図である。
【図19】直方体状のメインタンクの他の例を示す斜視透視図である。
【符号の説明】
【0155】
10…インクジェット記録装置、12…印字部、14…インク貯蔵/装填部、16…記録紙、18…給紙部、20…デカール処理部、22…吸着ベルト搬送部、24…印字検出部、26…排紙部、28…カッター、30…加熱ドラム、31、32…ローラー、33…ベルト、34…吸着チャンバー、35…ファン、36…ベルト清掃部、40…加熱ファン、42…後乾燥部、44…加熱・加圧部、45…加圧ローラー、48…カッター、50…印字ヘッド、50A…ノズル面、51…ノズル、52…圧力室、53…インク供給口、54…圧力室ユニット、55…共通液室、56…振動板(共通電極)、57…個別電極、58…圧電素子、60…インクタンク、60a…供給口、60b…充填口、62…サブタンク、64…インク供給ポンプ、66…フィルタ、68…供給ピット、70…フィルタ、71…第1電磁弁、72…第2電磁弁、73…第3電磁弁、74…第4電磁弁、76…大気連通孔、78…インク還流ポンプ、80…キャップ、82…吸引ポンプ、84…回収タンク、610…第1インク供給流路、612…供給管、612a…供給孔、614…螺旋状の羽根、615…螺旋階段、616…チューブ(円筒管)、620…第2インク供給流路、630…第1インク回収流路、640…第2インク回収流路、650…インク回収流路、660…循環流路、617a、617b、618a、618b…流路板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を蓄える液体収納容器であって、
その上部に形成され、外部から前記液体を充填する充填口と、
前記液体を外部に供給する供給口と、
略垂直方向に複数の階層をなし、各階層は前記液体を重力方向に所定の傾斜を有するとともに、各階層は隣りの階層と少なくとも一部で連通するように形成された液体流路と、
を備えたことを特徴とする液体収納容器。
【請求項2】
前記液体流路は、上部から下部まで連続的に傾斜した螺旋状の部材によって形成されたことを特徴とする請求項1に記載の液体収納容器。
【請求項3】
前記液体流路は、上部から下部まで続く螺旋階段状の部材によって形成されたことを特徴とする請求項1に記載の液体収納容器。
【請求項4】
前記液体流路は、略円筒形の管を上部から下部まで螺旋状に巻き回して形成されたことを特徴とする請求項1に記載の液体収納容器。
【請求項5】
前記液体流路は、先端部が下がるように傾斜した板状部材を異なる方向から互い違いに形成することによって形成されたことを特徴とする請求項1に記載の液体収納容器。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の液体収納容器であって、その上部に前記供給口が形成され、さらに、該容器底面付近に前記液体を取り入れる供給孔を有するとともに上部が前記供給口と連通するように、該容器中央に略垂直に立ち上がるように形成された供給管を備えたことを特徴とする液体収納容器。
【請求項7】
前記螺旋状の部材あるいは前記螺旋階段状の部材を、該螺旋の中心軸の廻りに回転可能に形成したことを特徴とする請求項2または3に記載の液体収納容器。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の液体収納容器を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
液体を蓄える液体収納容器であって、
その上部に形成され、外部から前記液体を充填する充填口と、
前記液体を外部に供給する供給口と、
略垂直方向に複数の階層をなし、各階層は前記液体を重力方向に所定の傾斜を有するとともに、各階層は隣りの階層と少なくとも一部で連通するように形成された液体流路と、
を備えたことを特徴とする液体収納容器。
【請求項2】
前記液体流路は、上部から下部まで連続的に傾斜した螺旋状の部材によって形成されたことを特徴とする請求項1に記載の液体収納容器。
【請求項3】
前記液体流路は、上部から下部まで続く螺旋階段状の部材によって形成されたことを特徴とする請求項1に記載の液体収納容器。
【請求項4】
前記液体流路は、略円筒形の管を上部から下部まで螺旋状に巻き回して形成されたことを特徴とする請求項1に記載の液体収納容器。
【請求項5】
前記液体流路は、先端部が下がるように傾斜した板状部材を異なる方向から互い違いに形成することによって形成されたことを特徴とする請求項1に記載の液体収納容器。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の液体収納容器であって、その上部に前記供給口が形成され、さらに、該容器底面付近に前記液体を取り入れる供給孔を有するとともに上部が前記供給口と連通するように、該容器中央に略垂直に立ち上がるように形成された供給管を備えたことを特徴とする液体収納容器。
【請求項7】
前記螺旋状の部材あるいは前記螺旋階段状の部材を、該螺旋の中心軸の廻りに回転可能に形成したことを特徴とする請求項2または3に記載の液体収納容器。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の液体収納容器を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2007−160749(P2007−160749A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−360963(P2005−360963)
【出願日】平成17年12月14日(2005.12.14)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月14日(2005.12.14)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
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