説明

液体吐出ヘッドの製造方法

【課題】 封止不良の発生を抑えることができる液体吐出ヘッドとその製造方法を提供する。
【解決手段】 液体吐出ヘッドの製造方法であって、
電気接続部が所定方向に複数配列された、記録素子基板の吐出口が形成された面よりも配線部材が高い位置にある液体吐出ヘッドを用意する工程と、
封止材を滴下するための導出部材から、電気配線部材上と開口内とに封止材を滴下させながら、配列された電気接続部の一端側まで導出部材を相対移動させる工程と、
導出部材から封止材を滴下させながら、配列された電気接続部の一端側から他端側まで導出部材を相対移動させて、電気接続部を封止することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インク等の液体を吐出して記録動作を行う液体吐出ヘッドの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
インク等の液体を吐出する液体吐出ヘッドは、液体を吐出する吐出口、吐出口へ液体を供給する流路、及び液体を吐出するために利用されるエネルギーを発生するエネルギー発生素子を備える記録素子基板と電気配線テープとから構成される。
【0003】
このような液体吐出ヘッドでは、図7(a)に示すように、記録素子基板201と電気配線テープ210とが電気的に結合する接合部204は、記録素子基板201の両端部側に設けられている。そして、接合部204をインク等の液体から保護するために、図7(b)に示すように、接続部204を封止材231で被覆している。しかし、この時、図7(c)に示すように、封止材231の一部分に封止材の被覆量が少なくなる部位232(くびれ232と称す)を生じることがある。図8、図9を用いて、くびれが発生する様子を具体的に説明する。図8は、図7(a)のA―A´断面を示す模式図である。図8に示すように電気配線テープ10は記録素子基板1よりも高い位置に設けられる。このような状態で封止材を塗布するためのニードル20を走査して、電気的な接続部に封止材31を塗布する。ニードル20から封止材を塗布しながら、ニードルを経時的に201、202、203と移動させる。201の位置では、電気配線テープ10上に封止材が塗布されており、203の位置では、記録素子基板1上に封止材が塗布されている。それに対し、電気配線テープ10と記録素子基板1との段差にあたる202の位置では、ニードルから封止材は吐出されているが、記録素子基板1に届いていない。このような箇所では、封止材が遅れて記録素子基板に付着するので、その部分における封止材が不足してしまい、くびれ232となる。同様に図9(a)、(b)、(c)には、電気配線テープ10と記録素子基板1との段差にくびれが発生する様子を斜視図で示している。
【0004】
このようなくびれの課題に対し、特許文献1では、図10に示すように記録素子基板1と記録素子基板に対向する電気配線テープ10の間隔Lを広くすることで解決している。このように間隔Lを広くすることで、記録素子基板1の側端部に封止材を付着させることで、記録素子基板1上に封止材が不足することがないように封止材を塗布している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−296574号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、間隔Lを広くすることで、封止材を塗布する範囲も長くなってしまい、封止材の塗布量も増加してしまう。また封止材の塗布範囲が増大することで液体吐出ヘッドも大型化してしまう。
【0007】
そこで本発明は、記録素子基板と電気配線テープとの段差が存在しても、両者の間隔を過大に大きくすることなく、くびれの発生を抑制した封止材の塗布を行う液体吐出ヘッドの製造方法の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そのために本発明では、液体を吐出する吐出口と液体を吐出するために利用されるエネルギーを発生するエネルギー発生素子とを備える記録素子基板と、該記録素子基板を露出するための開口を備える電気配線部材と、前記記録素子基板と前記電気配線部材とを電気的に接続する電気接続部と、を備える液体吐出ヘッドの製造方法であって、前記電気接続部が所定方向に複数配列された、前記記録素子基板の前記吐出口が形成された面よりも前記配線部材が高い位置にある液体吐出ヘッドを用意する工程と、封止材を滴下するための導出部材から、前記電気配線部材上と前記開口内とに封止材を滴下させながら、前記配列された電気接続部の一端側まで前記導出部材を相対移動させる工程と、前記導出部材から封止材を滴下させながら、前記配列された電気接続部の一端側から他端側まで前記導出部材を相対移動させて、前記電気接続部を封止することを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法。
【発明の効果】
【0009】
以上の構成によれば、記録素子基板と電気配線テープとの段差が存在しても、両者の間隔を過大に大きくすることなく、くびれの発生を抑制した封止材の塗布を行う液体吐出ヘッドの製造方法の提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明を適用可能な液体吐出ヘッドの外観斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態における封止材を塗布する前及び後の液体吐出ヘッドの電気配線部を示す平面図である。
【図3】(a)は電気配線部の一部拡大した平面図、(b)は電気配線部の断面図である。
【図4】封止材を塗布するニードルの軌跡を説明する平面図である。
【図5】封止材の塗布状況を説明する図である。
【図6】封止材の塗布状況を段階的に説明する斜視図である。
【図7】従来の液体吐出ヘッドの電気配線部の概略説明図である。
【図8】従来の液体吐出ヘッドの封止材の塗布状況を説明する図である。
【図9】従来の液体吐出ヘッドの封止材の塗布状況を段階的に説明する斜視図である。
【図10】従来の液体吐出ヘッドの封止材の塗布状況を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を用いて本発明に係る実施形態を説明する。図1は、本発明を適用可能な液体吐出ヘッドの外観斜視図である。本発明に係る実施形態の液体吐出ヘッド100は、インクタンク部と記録ヘッド部とが一体構成の形態のものである。液体吐出ヘッド100は、インクジェット記録装置本体のヘッド搭載部材であるキャリッジに対して着脱可能となっている。
【0012】
次に、これら液体吐出ヘッドに関して、構成要素毎に説明する。記録素子基板1は、互いに対向する2辺と、その2辺に挟まれた辺に沿って、エネルギー発生手段に電力を供給するために配された電極部2(図3参照)と、を備えている。また、記録素子基板1は、液体であるインクが吐出される吐出口3と、液体を吐出するために利用されるエネルギーを発生するエネルギー発生素子である電気熱変換体と、その電気熱変換体へ電気信号や発熱用の電力を送るための配線と、を備えている。電気熱変換体と吐出口3とは、互いに対向するように配置されている。
【0013】
また、電気配線部材としての電気配線テープ10は、インクジェット記録装置から記録素子基板1の電極部2に対して液体を吐出するための電力や電気信号を供給する電気経路(配線)を形成するものである。また、電気配線テープ10には、記録素子基板1を組み込み、露出させるための開口部11が形成されている。この開口部11の縁部には、記録素子基板1の電極部2に接続されるリード状の電気配線12が形成され、開口内に延出している。さらに電気配線テープ10には、不図示の本体装置からの電気信号を受け取るための外部配線部である外部信号入力端子13が形成されている。電気配線12と外部信号入力端子13とは、連続した銅箔の配線パターンでつながれている。本実施形態における電気配線テープ10は、TAB(Tape Automated Bonding)方式によるものである。
【0014】
電気配線テープ10と記録素子基板1との電気的な接続は、例えば、記録素子基板1の電極部2(図3(a)参照)に形成されたバンプと、電気配線テープ10のインナーリードである電気配線12と、を熱超音波圧着法による電気接合で行なわれる。あるいは、生産効率向上のため、記録素子基板1の電極部2をメッキし、電気配線テープ10のリード状の電気配線12を熱と圧力により一括で接合するギャングボンディング方式により電気接合してもよい。
【0015】
図2(a)は、封止材を塗布する前の状態の液体吐出ヘッドの電気配線部を示す平面図である。また、図3(a)には、図2(a)の電気配線部の一部を拡大した平面図を、図3(b)には、図3(a)のA−A位置における断面図を示す。
【0016】
まず、図2(a)を用いて、電気配線テープ10の開口部11の形状と、その中に配される記録素子基板1との関係について詳述する。電気配線テープ10の開口部11を囲む縁は、対向する2つの辺11aと、2つの辺11aを結ぶ方向に沿った対向する2つの辺11bと、を有する。辺11aに沿った記録素子基板1の端部には、それぞれ複数の電気配線12からなる電気接続部12aが所定方向に複数配列されている。なお、電気接続部12aは2つの辺11aの少なくとも1箇所に対応した記録素子基板1の端部であってもよい。電気配線12は、リード状の電気配線12が電気配線テープ10の開口部端の辺11aに沿って列状に複数突出している。このうち、電気接続部12aは、列状に並んだ複数の電気配線12と記録素子基板1の複数の電極部2との接合部であり、辺11aに対向する記録素子基板1の端部に沿って帯状に延在している。
【0017】
辺11bは、記録素子基板1を挟むようにして配置されており、一方端側の辺11bを辺11bとし、他方端側の辺11bを辺11bとする。つまり、開口部11を囲む電気配線テープ10の縁は、対向する2つの辺11aを結ぶ方向に沿った第1の辺11bと、記録素子基板1をはさんで第1の辺11bとは反対側に配置される。さらに、対向する2つの辺11aを結ぶ方向に沿った第2の辺11bと、を有することとなる。そして、第1の辺11bと第2の辺11bとは、開口部11の角部近傍に対角線上に配置されていることとなる。
また、図3(a)に示すように、辺11bと記録素子基板1との間には、間隙Lが存在する。本実施形態において、Lは、0.1mmより広いことが望ましい。これより狭いと電気配線テープの電気配線と記録素子基板の電極部とを接続する際に使用する圧着装置のホーンが干渉してしまう可能性があるからである。一方、間隙Lの上限については特に制限するものではないが、過剰に隙間が大きいと封止材を塗布する領域が長くなるので、省エネ、生産スピード向上を考慮すると2mm以内が好ましい。
【0018】
続いて、図3(b)を用いて、電気配線テープ10と記録素子基板1との高さ方向の関係について説明する。吐出口3が形成された記録素子基板1の表面(主面1a)は、開口部11が形成された電気配線テープ10の主面10aよりも高さが低くなるように配置されている。これにより、記録素子基板1の主面1aと電気配線テープ10の主面10aとの間には段差dが形成されていることとなる。この段差dは、記録媒体との衝突等によって吐出口3にキズなどがつくことを防止するためのものである。
【0019】
本実施形態において、段差dは0.05mm以上0.5mm以下の範囲にあることが望ましい。その理由として、0.05mmより小さいと段差の効果が薄まり、上記の記録素子基板1の保護目的を果たせなくなるからである。一方、段差が大きすぎると、吐出口と記録媒体の距離が遠くなることで、吐出した液体が記録メディアへの狙い通り着弾せずに、精細な画像を描写できなくなる可能性が生じるため0.5mm以下であることが望ましい。
【0020】
次に、液体吐出ヘッドの製造方法における封止材の塗布について説明する。封止材は、様々な硬化方式の封止材を使用することができる。流動性や形状安定性の観点から、封止材の25℃のときの粘度は、150Pa・s以上350Pa・s以下、より好ましくは200Pa・s以上300Pa・s以下のものが望ましい。また、電気配線12の下側の封止については、より低粘度の封止材で前もって封止しておくこともできる。
【0021】
図2(b)は、本実施形態における封止材を塗布した後の状態の液体吐出ヘッドの電気配線部を示す平面図である。封止材31は、電気接続部12aを封止する目的で、図4、図5に示すように、封止材の導出部材であるニードル20により塗布される。ニードル20は、封止材を滴下しながら矢印の移動方向に動き封止を行う。つまりニードルは電気接続部の一端側まで封止材を滴下しながら移動し、そのまま一端側から他端側に移動を続けて封止を行う。尚、ここではニードルを移動させているが、ニードルを固定してヘッド側を移動させてもよいし、双方を相対移動させてもよい。すなわち、辺11b側の電気配線テープ10の上面(主面10a)部分から封止材の塗布を開始し、段差dや間隔Lの上方、および、電気接続部12aの上方を経由して、対向する辺11b側の電気配線テープ10の上面(主面10a)まで封止材の塗布を行う。次いで、同様にして、対向する他方の辺11a側に設けられた他の電気接続部12aへの封止材31を塗布がなされる。
【0022】
封止材の塗布には、辺11bの長さよりも大きい直径のニードルを使用することが望ましい。そうすることで、図4のように辺11b上をニードル20が通過する際に、ニードル20が辺11bを覆い、さらに、辺11bと直交する辺11aからニードルの一部がはみ出した状態になる。斜視図6で説明すると、ニードルの一部が辺11aからはみ出した状態で封止材を吐出することで、辺11aを境に、電気配線部材上(主面)と電気配線テープの下方との双方に封止材を塗布することが可能となる。つまりニードルから導出された封止材の一部が、電気配線テープの端面(11a)から垂れた状態でニードルを移動させている。図5に示すように辺11aの端面から電気配線テープの下方へ塗布された封止材31は、ニードルの移動とともに、記録素子基板1の側面に当接するとともに記録素子基板の主面へ配される。これにより記録素子基板1の主面上へのくびれの発生を抑制できる。
【0023】
辺11bの長さY1ついては、特に制限はない。しかしながら、長すぎると、図6(c)の要領で、記録素子基板1の側面から主面へ配された封止材が、記録素子基板1上の吐出ノズル3を被覆してしまい、液体の吐出を阻害する可能性があるため、ノズルより手前になる長さであることが望ましい。逆に、Y1=0の時、すなわち11aと11aが同一線になるような場合について述べる。この時、電気配線テープの辺11aの端面から配線テープの下方へ垂れ下がった封止材に引き寄せられて、電気配線12を被覆していた封止材が、滑落して形状が不安定になる可能性があるので、Y1は0より長いことが望ましい。図3に示すように電気配線テープの辺11aの延長線が電極部上を通る位置に11aを配することが好ましい。また電気配線テープの辺11aの延長線が電極部2より記録素子基板の中央側を通る位置に11aを配することが好ましい。
【0024】
本発明にとって、必須の形態ではないが、電気配線12を被覆する封止材の形状を安定化する別の手段として、ダミー配線14を設ける方法もある。ダミー配線14は、複数の電気配線12の両方の外側に配置され、電気配線12を封止材で被覆する際に封止材の滑落予防の土台となり形状を安定させることができる。辺11b上、ダミー配線上、電気配線上と連続的に封止材が繋がり、安定した形状を構築することができるため、辺11bの長さY1が、ダミー配線と同等以上の長さであることがより望ましい。
【0025】
辺11bと対向する辺11bの長さY2について、特に制限はないが、移動してきたニードルが電気配線テープの辺11aからはみ出さない状態の位置に来るような長さであることがより望ましい。ニードルが電気配線テープの辺11aからはみ出すような状態の位置に来るような長さであると、辺11b側でも電気配線テープの辺11aの端面から電気配線テープの下方への封止材の垂れ下がりが発生する。この時、12a部を被覆していた記録素子基板1の主面上の封止材が、電気配線テープの下方へ垂れ下がった封止材に引き寄せられて、記録素子基板1の側面から下へ封止材が滑落して、形状が不安定になる可能性がある。よって、ニードルが電気配線テープの辺11aからはみ出さない状態の位置に来るような長さであることがより望ましい。また、辺11aからはみ出す位置になったとしても、辺11bの長さY1よりも辺11bの長さY2を長くすることで、より滑落量を軽減することができる。
【0026】
以上説明した本発明の構成とは別に、このくびれ232の発生を抑制するために、ニードルからの封止材231の塗布量を多くすることが考えられる。しかしながらこの場合、塗布された封止材231の高さがより一層高くなるため、吐出口203と記録媒体との接触を避けるために両者の距離を大きくしなければならない。このことは、吐出されたインク滴の記録媒体への着弾精度の低下につながり、画像品位の低下を招くので好ましくない。
【0027】
また、封止材231の粘度を大きく下げる方法も考えられるが、この場合には塗布領域(封止領域)が広がってしまい、封止材231が吐出口203まで流れ込んで、吐出口を塞いでしまうおそれがある。
【0028】
また、粘度を下げると、封止材231の厚さが薄くなることにより封止性能の低下を招来し、電気接続部への液体の侵入による電気配線212の腐食等が発生するおそれがある。
【0029】
(実施例)
以下具体的な実施例について説明する。まず、辺11bの長さY1が0.4mm、辺11bの長さY2が0.8mmの電気配線テープを用いた液体吐出ヘッドを用意した。この時、記録素子基板1の主面1aと電気配線テープ10の主面10aとの間の段差d、および、辺11bと記録素子基板との間の間隙Lを夫々、d=0.2mm、L=0.2mmとした。この液体吐出ヘッドに238Pa・sの封止材を使用して、塗布を行った。塗布は、ニードルが、電気配線テープから一部はみ出した状態の位置になるように設定した。これにより電気配線テープ上面と電気配線テープ下方との双方に封止材を吐出しながら、辺11b側から、段差dや間隔Lの上方、および、電気接続部12aの上方を経由して、対向する辺11b側に向かって行った。
【0030】
以上のようにして封止材を配した結果、表1に示すように、くびれの発生はなく良好な封止が行えた。
【0031】
(比較例)
辺11bの長さY1が0.8mm、辺11bの長さY2が0.8mmの電気配テープを用いたヘッドを用意した。この時、記録素子基板1の主面1aと電気配線テープ10の主面10aとの間の段差d、および、辺11bと記録素子基板との間の間隙Lを、d=0.2mm、L=0.2mmとした。この液体吐出ヘッドに238Pa・sの封止材を使用して、塗布を行った。塗布は、ニードルが、電気配線テープからはみ出さないようにした状態の位置になるように設定した。電気配線テープ下方には封止材を吐出させずに、電気配線テープ上を、辺11b側から、段差dや間隔Lの上方、および、電気接続部12aの上方を経由して、対向する辺11b側に向かって塗布を行った。
以上のようにして封止材を配した結果、表1に示すようにくびれが発生した。
【0032】
【表1】

【0033】
<判定>
○ 記録素子基板上にくびれの発生なし。
△ 記録素子基板上にくびれの発生あり。
【符号の説明】
【0034】
1 記録素子基板
1a 記録素子基板の主面
2 電極部
3 吐出口
10 電気配線テープ
10a 電気配線テープの主面
11 電気配線テープの開口部
12 電気配線
12a 電気接続部
13 外部入力端子
20 ニードル
31 封止材
100 液体吐出ヘッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出する吐出口と液体を吐出するために利用されるエネルギーを発生するエネルギー発生素子とを備える記録素子基板と、該記録素子基板を露出するための開口を備える電気配線部材と、前記記録素子基板と前記電気配線部材とを電気的に接続する電気接続部と、を備える液体吐出ヘッドの製造方法であって、
前記電気接続部が所定方向に複数配列された、前記記録素子基板の前記吐出口が形成された面よりも前記配線部材が高い位置にある液体吐出ヘッドを用意する工程と、
封止材を滴下するための導出部材から、前記電気配線部材上と前記開口内とに封止材を滴下させながら、前記配列された電気接続部の一端側まで前記導出部材を相対移動させる工程と、
前記導出部材から封止材を滴下させながら、前記配列された電気接続部の一端側から他端側まで前記導出部材を相対移動させて、前記電気接続部を封止することを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法。
【請求項2】
前記電気接続部は、前記記録素子基板に形成される電極部と、前記電気配線部材から前記開口内に延出する電気配線とが接続される部分であることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
【請求項3】
前記電極部を挟んで対向する、前記開口部を形成する対向する2つの辺のうち、前記一端側の辺の長さが前記他端側の辺の長さよりも短いことを特徴とする請求項1または2に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
【請求項4】
前記導出部材が前記一端側に向かって移動し、前記開口内に滴下された封止材が前記記録素子基板の前記一端側の側面に当接することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
【請求項5】
前記対向する辺に対して連続し、前記導出部材の移動方向に沿って形成される辺のうち、前記一端側に形成される辺の延長線は前記電極部上を通ることを特徴とする請求項3に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
【請求項6】
前記対向する辺に対して連続し、前記導出部材の移動方向に沿って形成される辺のうち、前記他端側に形成される辺の延長線は前記電極部より前記記録素子基板の中央側を通ることを特徴とする請求項3に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−250496(P2012−250496A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−126280(P2011−126280)
【出願日】平成23年6月6日(2011.6.6)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】