説明

液体吐出ヘッドの製造方法

【課題】 ヘッド構造、製造に与える制約が少なく、フォトリソグラフィーの工程で膨張する内気を効率よく排出して高精度に形成された吐出口部材を備えた液体吐出ヘッドを歩留まりよく製造する。
【解決手段】 流路壁部材となる流路壁部材5が設けられた基板1を用意する工程と、感光性樹脂からなり吐出口部材となる樹脂層6aと、流路壁部材5と、を流路8となる空間を内側に包むように接合する工程と、空間と外気とが連通するように、樹脂層に貫通孔7を設ける工程と、樹脂層6aを部分的に露光する工程と、露光が行われた樹脂層6aを加熱する工程と、加熱が行われた樹脂層6aから露光が行われなかった部分を除去して吐出口7を樹脂層に形成して吐出口部材を形成する工程と、を有することを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体を吐出する液体吐出ヘッドの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液体を吐出する液体吐出ヘッドの代表例としては、インクを被記録媒体に吐出して記録を行うインクジェット記録方式に適用されるインクジェット記録ヘッドを挙げることができる。このインクジェット記録ヘッドは、一般に、インク流路と、その流路の一部に設けられた吐出エネルギー発生部と、そこで発生するエネルギーによってインクを吐出するための微細なインク吐出口と、を備えている。
【0003】
インクジェット記録ヘッドに適用可能な液体吐出ヘッドを製造するための方法が、特許文献1に開示されている。この方法では、複数の吐出エネルギー発生部を有する基板上に、基板の外周付近で外部と連通し、そこから流路内に液体の供給が可能なように液体の流路の側壁を形成する。そして、その上に流路の天井部を形成するフォトレジストをラミネートし、流路となる空間上でフォトレジストを露光した後に加熱して露光部を硬化させ、未露光部を除去してフォトレジストに吐出口を形成している。
【0004】
特許文献2には以下の方法が開示されている。これは、予め基板の表面から裏面までの間を貫通する液体の供給口が設けられた基板の表面上で、光硬化性フォトレジストの加工を行って流路の側壁を形成し、その上にフォトレジストをラミネートし、流路となる空間上でそのフォトレジストに吐出口を形成する方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公平2−24220号公報
【特許文献2】米国特許出願公開2007/0070122号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された方法では、フォトレジストに吐出口を形成する際に、露光後の加熱に伴って流路となる空間内の気体も加熱されて膨張するが、基板外周部で流路が外気と連通しているため、そこから気体を排出することが可能である。また、特許文献2では、供給口を通じてシリコン基板裏面側へ、膨張した気体を排出することが可能である。気体の排出が効率よく行えれば、気体の膨張によってフォトレジストが変形することを免れることができる。
【0007】
しかし、特許文献1の液体吐出ヘッドの構造では、基板の側端部に供給口が設けられているので、液体吐出ヘッドが長尺化した場合、供給口から吐出口までの距離に応じて液体のリフィルがばらつくことが懸念される。
【0008】
一方、特許文献2に記載の方法では、開口が設けられた基板は剛性が乏しく、その上にレジストを積層形成する過程で応力等により基板が変形してしまうことが懸念される。また、開口が設けられた基板表面上に平坦に層形成を行うことは困難であり、特殊な平坦化工程を要することが想定される。
上述したように、従来技術ではフォトリソ過程で膨張した気体を供給口から排出することはできても、ヘッドの吐出特性、製造過程が制約を受けていた。
【0009】
そこで本発明は、ヘッド構造、製造が受ける制約が少なく、フォトリソグラフィーの工程で膨張する内気を効率よく排出して高精度に形成された吐出口部材を備えた液体吐出ヘッドを歩留まりよく製造することが可能な方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、液体を吐出する吐出口が設けられた吐出口部材と、該吐出口に液体を供給するための液体の流路の内壁を備えた流路壁部材と、を有する液体吐出ヘッドの製造方法において、前記流路壁部材が設けられた基板を用意する工程と、光硬化性樹脂からなり前記吐出口部材となる樹脂層と、前記流路壁部材と、を前記流路となる空間を内側に包むように接合する工程と、前記空間と外気とが連通するように、前記樹脂層に貫通孔を設ける工程と、前記樹脂層を部分的に露光する工程と、前記露光が行われた前記樹脂層を加熱する工程と、前記加熱が行われた前記樹脂層から前記露光が行われなかった部分を除去して前記吐出口を形成して前記吐出口部材を形成する工程と、をこの順に有することを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、吐出口形成工程で、吐出口部材に形成した貫通孔から内気を効率よく排出することで、変形が抑制されて高精度に形成された吐出口部材を備えた液体吐出ヘッドを、構造、製造工程に自由度を持たせて歩留まりよく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態の記録ヘッドの製造方法における製造工程中の状態を示す模式的断面図である。
【図2】本発明の実施形態の記録ヘッドの製造方法における製造工程中の状態を示す模式的断面図である。
【図3】本発明の実施例の記録ヘッドの製造方法における製造工程中の状態を示す模式図である。
【図4】本発明の実施形態のインクジェット記録ヘッドを示す模式的斜視図である。
【図5】本発明の実施形態の記録ヘッドの製造方法における製造工程中の状態を示す模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明を説明する。
なお、液体吐出ヘッドは、プリンタ、複写機、通信システムを有するファクシミリ、プリンタ部を有するワードプロセッサなどの装置に記録用インクを吐出するインクジェット記録ヘッドとして搭載可能である。さらには各種処理装置と複合的に組み合わせた産業記録装置にも搭載可能である。また、液体吐出ヘッドをバイオッチップ作成や電子回路印刷、薬物を噴霧状に吐出することなどの用途に使用することができる。
【0014】
(第1の実施形態)
以下に本発明の係る液体吐出ヘッドの製造方法の一例として、吐出用の液体としてインクを使用し、被記録媒体に記録画像の形成を行うインクジェット記録ヘッド(記録ヘッド)の製造方法を説明する。なお、以下の説明では,同一の機能を有する構成には図面中同一の番号を付与し、その説明を省略する場合がある。
【0015】
図4は、第1の本実施形態の記録ヘッドの一例を示す一部透しの模式的斜視図であり、記録ヘッドの一部を破断した状態の図である。図4に示すように、記録ヘッドは、インクを吐出するために利用されるエネルギーを発生するエネルギー発生素子2が所定のピッチで列状に並んで配置されているシリコンの基板1を有する。基板1上には、密着層としてポリエーテルアミド層(不図示)が形成されている。更に、基板1上には、エネルギー発生素子2の上方に位置する吐出口11を備える吐出口部材6がインクの流路8の壁を備えた流路壁部材と一体的に形成されている。また、基板1には、基板1を貫通するインクの供給口13が、エネルギー発生素子2の列の間に形成されている。さらに、供給口13は流路8を介して各吐出口11に連通し、供給口13からインク流路内に充填されたインクに、エネルギー発生素子2によって圧力が加えられると、吐出口11からインク滴が吐出する。このインク液滴を記録媒体に付着することによって、記録を行う。吐出口部材6の吐出口の列の端部には、記録画像の形成に関与しない吐出口7が配置されている。この吐出口7は記録ヘッドの回復用に使用される。
【0016】
図1を用いて、第1の実施形態の記録ヘッドの製造方法を説明する。図1(A)〜(C)、図2(A)〜(E)は、図4のB−B’を通り、基板1に垂直に基板を切断した場合の各工程での切断面を表わす模式的切断面図である。また、図2(A1)、〜(E1)は、図4のA−A’を通り、基板1に垂直に基板を切断した場合の各工程での切断面を表わす模式的切断面図であり、それぞれ図2(A)〜(F)で表される各工程に対応する図である。
【0017】
図1(A)に示されるように、基板1の表面には、エネルギー発生素子2が複数個配置され、その上からシリコン化合物等の絶縁保護膜4が成膜されている。また、基板1の裏面には、インク供給口を形成するためのマスクとなるマスク材10が成膜される。そして電気的な接続を行う電気パッドは、めっきや成膜により形成される。電気パッド、配線、駆動素子は不図示である。
【0018】
そして、図1(B)に示されるように、図1(A)で示した基板1上に光硬化性樹脂である流路壁部材用層をスピンコート法などにより成膜し、その後フォトリソ工程によりパターニングして流路の内壁を有する流路壁部材5を形成する。この流路壁部材を形成する前に、密着向上層としてポリエーテルアミド系の樹脂を下引き形成してもかまわない。
【0019】
次に、図1(C)に示されるように、図1(B)で説明した流路壁部材5の上に、吐出口部材となるフィルム状のネガ型感光性の樹脂層6aをベースフィルムに支持された状態で載置し、ベースフィルム(ここでは不図示)を剥離する。光硬化性樹脂はエポキシ樹脂をベース樹脂とし、光カチオン重合開始剤を含んだネガ型感光性樹脂を使用すると、硬化速度、硬化後の強度の観点から好適である。樹脂層と流路壁部材とが流路となる空間8aを内包し、密閉するようにして接合される。フィルム状のネガ型感光性樹脂として市販されているものとしては、TMMF(商品名、東京応化工業製)、XP SU−8 3000(商品名、化薬マイクロケム製)等が挙げられる。樹脂層6aと流路壁部材5の材料とが同じ組成であると、接合強度が高くなるため面で好適である。
【0020】
次いで、図2(A1)に示されるように、流路壁部材5と樹脂層6aに囲まれた内側の空間8aが外気と連通するように、レーザー光等で樹脂層6aに貫通孔7を形成する。貫通孔7は後の加熱工程での気体の抜け穴となることを考慮して、樹脂層6a内に複数個、分散させて形成するのがよい。貫通孔形成に使用可能なレーザー光としては、クリプトンとフッ素ガスとを使用したエキシマレーザー光やYAGレーザーの光等が使用可能であり、樹脂層6aの材料に合わせて選択すればよい。ここで、絶縁保護膜4上には、銅、金、タンタルなどの金属あるいはそれらの合金からなる、樹脂加工用のレーザー光を吸収するレーザーストップ層3が成膜されている。レーザーストップ層3を設けておけば、樹脂層6aを透過、あるいは貫通したレーザー光はレーザーストップ層3で吸収されるため、基板側に与えるダメージを大きく低減することができる。また、CO2レーザー(波長10600nm)レーザー光を使用すれば、シリコンの基板1に与えるダメージが少ないので、レーザーストップ層を設けなくてもよい。他にドライエッチング法や、ドリル掘削等の機械的加工を行うこともできる。上述した方法の他にも、樹脂層6aが実質的な変形をしてしまうほど空間8a内の気体が膨張しないように、低温で穴空け加工を行うことができる方法であれば使用可能である。一方、図2(A)に示されるように、この時点では画像形成に関与する吐出口は形成されていない。
【0021】
次に、図2(B)、(B1)に示されるように吐出口部材を形成するために、マスク20を使用して吐出口となる部分を遮光して樹脂層6aに部分的に露光を行う。このとき、樹脂層6aの流路壁部材5の外側にせり出した部分を除去するために、この部分を遮光部としてもよい。また、吐出口はエネルギー発生素子2と対向する位置に形成することができるが、この位置に限定されない。
【0022】
次いで、図2(C)、(C1)に示されるように、樹脂層6aを加熱することによって、露光が行われた部分を硬化させる。オーブン等を使用してチャンバー内で基板表面側から、あるいはホットプレート等によって基板裏面側から樹脂層を加熱することができる。加熱温度は光硬化性樹脂の性質に応じて適宜設定することができる。このとき、流路となる空間8a内の気体(空気、置換ガス等)は膨張するが、貫通孔7から排出されるため樹脂層6aは実質的に変形しない。このため、本来行われるべき程度よりも加熱を抑制することなく、樹脂層6aの露光部の硬化を十分に促進して、高い解像性で吐出口を形成するとともに、吐出口部材の機械的強度を高めることができる。
【0023】
次いで、図2(D)、(D1)に示されるように、露光が行われなかったため未硬化の部分を樹脂層6aから除去して流路8と連通する吐出口11を樹脂層6aに形成して吐出口部材6を形成する。この吐出口11は記録画像の形成に使用される吐出口である。一方貫通孔7は、記録画像の形成に関与しない吐出口として使用可能である。しかし貫通孔7とエネルギー発生素子2とを対応させて画像形成用の吐出口として使用する形態とすることもできる。
【0024】
次に、図2(E)、(E1)に示されるように、基板1のインク供給口13形成部位のマスク材10をフォトリソ法によりパターニングする。その後、ウエット、ドライエッチング等のエッチング技術を使用して、シリコン基板1の一部を除去し、供給口形成部位を覆う絶縁保護膜4を除去して、基板を貫通して流路8と連通する貫通口であるインク供給口を形成する。
【0025】
そして、この基板をダイシングソータ等によって切断分離してチップ化し、各チップにエネルギー発生素子2を駆動させる電気配線の接合を行った後、インク供給用のチップタンク部材を接合する。これにより、記録装置に搭載可能な記録ヘッドが完成する。
【0026】
以下に実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明する。
(実施例)
図5は、図4のA−A’を通り、基板1に垂直に基板を切断した場合の各工程での切断面を表わす模式的切断面図である。また、図3は、樹脂層6aの上方から基板に向かう方向に樹脂層を見た場合の、工程の途中での樹脂層6aの状態を模式的に表した図である。
【0027】
以下に実施例1のインクジェット記録ヘッドの製造方法を説明する。
まず、表面に発熱抵抗材料からなるエネルギー発生素子2が設けられ、その上にプラズマCVD法によってSiOとSiNとの2層からなる絶縁保護膜4が成膜された基板1を用意する。このSiO、SiNは、インクから電気配線を守る役割を担っている。基板1の裏面にある、インク供給口を形成するためのマスク材10には酸化膜を用いた。そして電気的な接続を行う電気パッド、レーザーストップ層3はAuを使用し、スパッタ法により形成した。また、レーザーストップ層として、CuやAgを使用しても良い。電気パッド、配線、駆動素子は不図示である。そしてその基板1上に流路側壁を形成するためのネガ型の感光性樹脂をスピンコート法により厚さ18μmで形成した。この材料である組成物1の組成は以下の通りである。
【0028】
(組成物1)
エポキシ樹脂:EHPE3150(商品名、ダイセル化学工業製)100重量%
光カチオン重合開始剤SP−172(商品名、旭電化工業製) 6重量%
キシレン(溶媒) 100重量%
その後、ネガ型感光性樹脂に露光、現像を行って、流路壁部材5を形成した。(図1(B)、図5(A)参照)
次に、ネガ型の感光性樹脂からなるフィルム状の樹脂層6aをベースフィルム12とともに流路壁部材5の上に載置した。(図5(B)参照)。このフィルム状の樹脂層6aは以下の組成物2をポリエチレンテレフタレートからなるベースフィルム上に塗布した後、乾燥させて得たものである。
【0029】
(組成物2)
エポキシ樹脂:EHPE3150(商品名、ダイセル化学工業製)100重量%
光カチオン重合開始剤SP−172(商品名、旭電化工業製) 6重量%
樹脂層6aのフィルムのラミネートはMDF―200C(MCK製)を使用し、ローラー温度35℃、ステージ温度35℃、ローラー速度10mm/sec、ローラー圧力0.2MPaで行い、樹脂層6aをベースフィルム12とともに流路壁部材5上に載置した。
【0030】
次に、流路壁部材5と樹脂層6aに囲まれた密閉部である空間8aが大気と連通するように、樹脂層6aとベースフィルム12とに一括してレーザー光を照射して、直径10μmの貫通孔7を樹脂層6aに複数形成した。(図5(C)参照)。レーザーはYAGレーザーの基本波(波長1064nm)を用い、そのレーザー光の出力及び周波数を適切な値に設定した。レーザー光によりベースフィルム12と樹脂層6aとを貫通するように孔が形成される。樹脂層6aを支持しながら加工を行うため、樹脂層6aがレーザー光により加工される際に生じる加工副産物が吐出口面となる樹脂層6aの上面に付着することを防止できる。
【0031】
次いで、キヤノン製のFPA−3000i5(i線露光機(波長365nm))を使用して、マスク20によって吐出口形成部位を遮光して吐出口部材を形成するための露光を樹脂層6aに行った。(図2(B)参照)。このとき、A−A’断面の位置において、樹脂層6aの貫通孔7を囲む部分が露光されないように、マスク20により遮光した。これにより樹脂層6a中に、露光部6cが形成され、貫通孔7の周囲は遮光されたため未露光部6bとなった。(図5(D)、図3参照)。
【0032】
次いで、樹脂層6aを90℃で4分間加熱して、露光が行われた部分を硬化させた。(図2(C)、図5(E)参照。)加熱により膨張した空間8a内の気体は貫通孔7から排出される。また、貫通孔7の周囲の未露光部6bは硬化しない。
【0033】
次いで、現像を行って吐出口11を形成した。A−A’断面の位置においては、貫通孔7の周囲の未露光部6bが現像により除去され、貫通孔7よりも開口径が広がった直径15μmの画像形成に使用する吐出口11が形成された。(図2(D)、図5(F)参照)。これにより、粗いレーザー加工面であった貫通孔内壁は除去され、吐出口11の滑らかな吐出口内壁面が現れる。このようにすると、貫通孔7を吐出口11と同じ画像形成用の吐出口11に作り変えることができる。こうすると、貫通孔7を吐出口として有効利用でき、貫通孔7を形成するための専用領域が必要なくなるので、記録ヘッドの構成上の制約を減らすことができる。
【0034】
次に、インク供給口となる部分のマスク材10をパターニングして、インク供給口開口パターンを形成した。その後、開口から水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液を用いて、供給口13を形成した。(図2(E)、(E1)参照)。
【0035】
そして、この基板をダイシングソータ等によって切断分離してチップ化し、各チップにエネルギー発生素子2を駆動させる電気配線の接合を行った後、インク供給用のチップタンク部材を接合して記録ヘッドを得た。記録ヘッドを側面から観察したところ、吐出口面に湾曲等はみられなかった。また、この記録ヘッドで印字を行ったところ、ヨレ等は見られず良好な印字結果が得られた。
【符号の説明】
【0036】
1 基板
2 エネルギー発生素子
4 絶縁保護膜
5 固体部材
6 吐出口部材
6a 樹脂層
7 貫通孔
8 流路
11 吐出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出する吐出口が設けられた吐出口部材と、該吐出口に液体を供給するための液体の流路の内壁を備えた流路壁部材と、を有する液体吐出ヘッドの製造方法において、
前記流路壁部材が設けられた基板を用意する工程と、
光硬化性樹脂からなり前記吐出口部材となる樹脂層と、前記流路壁部材と、を前記流路となる空間を内側にして接合する工程と、
前記空間と外気とが連通するように、前記樹脂層に貫通孔を設ける工程と、
前記樹脂層を部分的に露光する工程と、
前記露光が行われた前記樹脂層を加熱する工程と、
前記加熱が行われた前記樹脂層から前記露光が行われなかった部分を除去して前記吐出口を形成することで、前記吐出口部材を形成する工程と、
をこの順に有することを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法。
【請求項2】
前記貫通口を形成した後に、前記流路と連通する液体の供給口となる貫通口を、前記基板を貫通し前記空間と連通するように前記基板に形成することを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
【請求項3】
前記樹脂層にレーザー光を照射して前記貫通孔を形成することを特徴とする請求項1または2に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
【請求項4】
液体を吐出するために利用されるエネルギーを発生するエネルギー発生素子が前記基板の表面に設けられていて、前記開口と前記貫通孔とを前記樹脂層の前記エネルギー発生素子と対向する部分に形成することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
【請求項5】
前記樹脂層を支持するベースフィルム上で前記樹脂層を支持して前記樹脂層と前記流路壁部材とを接合し、前記ベースフィルムと前記樹脂層とに一括して前記レーザー光を照射して前記貫通孔を前記樹脂層に形成した後、前記ベースフィルムを除去することを特徴とする請求項3に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
【請求項6】
前記貫通孔が形成された前記樹脂層の前記貫通孔を囲む部分が未露光部となるように、前記樹脂層の他の部分を露光することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
【請求項7】
前記基板を用意する工程において、前記流路壁部材となる材料を塗布することにより前記基板上に設ける工程と、前記流路壁部材を前記材料から形成する工程と、を有することを特徴とする請求項2に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
【請求項8】
前記液体吐出ヘッドは、吐出用の液体としてインクを使用して被記録媒体に記録画像の形成を行うインクジェット記録ヘッドであり、前記樹脂層の記録画像の形成に関与しない前記エネルギー発生素子に対向する部分に前記貫通孔を形成することを特徴とする請求項4に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−56178(P2012−56178A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−201064(P2010−201064)
【出願日】平成22年9月8日(2010.9.8)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】