説明

液体吐出ヘッド及び画像形成装置

【課題】ノズル板のノズルとなる孔をプレス加工で形成するときにノズル板が塑性変形して接合品質や信頼性が低下する。
【解決手段】ノズル板1は、プレス加工により形成された複数のノズル11が配列された複数のノズル列12Aないし12Dを有する金属板(ノズル基材)301で形成され、金属板301の両面には、ノズル板301に対し圧縮応力を有する膜360、361が形成され、膜360、361の厚さは、流路板2と接合される液室面側の膜361の方が液体吐出面側の膜360よりも厚く形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は特にプレス加工されたノズル板を備える液体吐出ヘッド及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ、これらの複合機等の画像形成装置として、例えばインク液滴を吐出する液体吐出ヘッド(液滴吐出ヘッド)からなる記録ヘッドを用いた液体吐出記録方式の画像形成装置(インクジェット記録装置)が知られている。この液体吐出記録方式の画像形成装置は、記録ヘッドからインク滴を、搬送される用紙(紙に限定するものではなく、OHPなどを含み、インク滴、その他の液体などが付着可能なものの意味であり、被記録媒体あるいは記録媒体、記録紙、記録用紙などとも称される。)に対して吐出して、画像形成(記録、印字、印写、印刷も同義語で使用する。)を行なうものであり、記録ヘッドが主走査方向に移動しながら液滴を吐出して画像を形成するシリアル型画像形成装置と、記録ヘッドが移動しない状態で液滴を吐出して画像を形成するライン型ヘッドを用いるライン型画像形成装置がある。
【0003】
なお、本願において、液体吐出記録方式の「画像形成装置」は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体に液体を吐出して画像形成を行う装置を意味し、また、「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与すること(単に液滴を媒体に着弾させること)をも意味する。また、「インク」とは、インクと称されるものに限らず、記録液、定着処理液、液体などと称されるものなど、画像形成を行うことができるすべての液体の総称として用い、例えば、DNA試料、レジスト、パターン材料、樹脂なども含まれる。また、「画像」とは平面的なものに限らず、立体的に形成されたものに付与された画像、また立体自体を三次元的に造形して形成された像も含まれる。
【0004】
液体吐出ヘッドとしては、液滴を吐出するノズルが連通する液室内の液体であるインクを加圧し圧力を発生するための圧力発生手段としての圧電素子を用いる圧電型ヘッド、発熱抵抗体を用いるサーマル型ヘッド、振動板と電極を用いる静電型ヘッドなどが知られている。
【0005】
このような画像形成装置において、高画質化に対応するために液滴の小滴化やノズルの高密度化を図り、高速化に対応するため駆動周波数の高周波化や1ヘッド当たりのノズル数の増加によるライン型ヘッドに代表されるヘッドの長尺化などが行なわれている。
【0006】
ところで、液体吐出ヘッドを構成する液滴を吐出するノズル(ノズル孔)を形成するノズル板(ノズル形成部材、ノズルプレート)として、SUSなどの金属板にプレス加工でノズル孔を形成するものが知られている。
【0007】
例えば、金型に備えられたパンチで金属プレートの第1の表面を押圧することによって、第1の表面に対向する金属プレートの第2の表面よりも第1の表面から離れた領域を有する凹部の先端近傍を取り囲むように第2の表面から隆起した隆起部を金属プレートに形成する隆起部形成工程と、第2の表面よりも第1の表面から離れた位置に開口を有するノズル孔が形成されるように、隆起部を第2の表面と平行に機械加工することによって隆起部の一部を除去する機械加工工程とを行なう製造方法が知られている(特許文献1)。
【0008】
なお、ノズル板の表面処理に関して、従来から、ノズル板の液体吐出面及び液体吐出面と反対側の面(液室側面)に酸化膜を形成し、ノズル孔を形成したノズル基材と撥水膜との密着性、ノズル基材と液室を形成する流路部材との密着性を向上すること(特許文献2)、ノズル板の液体吐出面及び液室側面に形成する酸化膜の膜厚を異ならせること(特許文献3)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2006−224619号公報
【特許文献2】特開2006−044226号公報
【特許文献3】特開2009−012202号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上述したようにプレス加工でノズルを形成すると、ノズル基材(ノズル孔を形成する部材)が塑性変形してノズル板の平坦度が低下する。ノズル板が変形して平坦度が低下すると、ノズル板はノズルが連通する液室(個別流路)などを形成する流路部材に接合するため、流路部材との接合不良や接合に接着剤を多量に塗布することによる液室への接着剤のはみ出し(滴吐出特性のバラツキなどにつながる)が発生する。
【0011】
上述した特許文献2に開示されているノズル基材の両面に酸化膜を形成するものは、撥水膜や流路部材との密着性向上を目的としてなされているもので、ノズル基材に発生した塑性変形を低減するものではなく、ただ両面に形成しただけでは塑性変形を低減することはできない。
【0012】
また、特許文献3に開示されているノズル基材の両面に膜厚の異なる酸化膜を形成するものも、ノズル基材にプレス加工による塑性変形がないため、むしろ膜厚差による膜応力差により、却ってノズル基材の反りが大きくなってしまう。
【0013】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、プレス加工で形成するノズル板の平坦度のバラツキを低減して接合品質、接合信頼性を向上し、滴吐出特性を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題を解決するため、本発明に係る液体吐出ヘッドは、
プレス加工により形成された複数のノズルが配列されたノズル列を複数列有するノズル板と、前記ノズルが連通する液室が形成され、前記ノズル板の液体吐出面とは反対側の面に接合された流路部材とを有する液体吐出ヘッドにおいて、
前記ノズル板は金属板で形成され、
前記金属板の両面には、前記金属板に対し圧縮応力を有する膜が形成され、
前記膜の厚さは、前記流路部材と接合される面側の方が液体吐出面側よりも厚く形成されている
構成とした。
【0015】
ここで、前記膜はSiOからなる膜である構成とできる。
【0016】
本発明に係る液体吐出ヘッドは、
プレス加工により形成された複数のノズルが配列されたノズル列を複数列有するノズル板と、前記ノズルが連通する液室が形成され、前記ノズル板の液体吐出面とは反対側の面に接合された流路部材とを有する液体吐出ヘッドにおいて、
前記ノズル板は金属板で形成され、
前記金属板の両面には、前記金属板に対し引っ張り応力を有する膜が形成され、
前記膜の厚さは、液体吐出面側の方が前記流路部材と接合される液体吐出面側よりも厚く形成されている
構成とした。
【0017】
これらの本発明に係る液体吐出ヘッドにおいて、前記膜はノズル列間部にのみ形成されている構成とできる。
【0018】
本発明に係る液体吐出ヘッドの製造方法は、
金属板の一面から複数のノズル列を構成するノズルとなる凹部をプレス加工で形成する工程と、
前記金属板の凹部を形成した面と反対の面に生じた凸部を研磨して前記ノズルを開口する工程と、
前記金属板の前記研磨面側に圧縮応力を有する膜を形成する工程と、
前記金属板の凹部を形成した面側に前記研磨面側の圧縮応力を有する膜と同材料であり、より厚さの厚い圧縮応力を有する膜を形成する工程と、
を行なってノズル板を形成し、
前記ノズル板と前記ノズルが連通する液室を形成する流路部材とを接合する
構成とした。
【0019】
本発明に係る液体吐出ヘッドの製造方法は、
金属板の一面から複数のノズル列を構成するノズルとなる凹部をプレス加工で形成する工程と、
前記金属板の凹部を形成した面と反対の面に生じた凸部を研磨して前記ノズルを開口する工程と、
前記金属板の両面に第1の圧縮応力を有する膜を形成する工程と、
前記凹部を形成した面に第2の圧縮応力を有する膜を形成する工程と、
を行なってノズル板を形成し、
前記ノズル板と前記ノズルが連通する液室を形成する流路部材とを接合する
構成とした。
【0020】
本発明に係る液体吐出ヘッドの製造方法は、
金属板の一面から複数のノズル列を構成するノズルとなる凹部をプレス加工で形成する工程と、
前記金属板の凹部を形成した面と反対の面に生じた凸部を研磨して前記ノズルを開口する工程と、
前記金属板の前記研磨面側に引っ張り応力を有する膜を形成する工程と、
前記金属板の凹部を形成した面側に前記研磨面側の引っ張り応力を有する膜と同材料であり、より厚さの薄い引っ張り応力を有する膜を形成する工程と、
を行なってノズル板を形成し、
前記ノズル板と前記ノズルが連通する液室を形成する流路部材とを接合する
構成とした。
【0021】
本発明に係る液体吐出ヘッドの製造方法は、
金属板の一面から複数のノズル列を構成するノズルとなる凹部をプレス加工で形成する工程と、
前記金属板の凹部を形成した面と反対の面に生じた凸部を研磨して前記ノズルを開口する工程と、
前記金属板の両面に第1の引っ張り応力を有する膜を形成する工程と、
前記研磨した面側に第2の引っ張り応力を有する膜を形成する工程と、
を行なってノズル板を形成し、
前記ノズル板と前記ノズルが連通する液室を形成する流路部材とを接合する
構成とした。
【0022】
本発明に係る画像形成装置は、本発明に係る液体吐出ヘッドを備えているものである。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る液体吐出ヘッドによれば、プレス加工により形成された複数のノズルが配列されたノズル列を複数列有するノズル板と、ノズルが連通する液室が形成され、ノズル板の液体吐出面とは反対側の面に接合された流路部材とを有し、ノズル板は金属板で形成され、金属板の両面には、金属板に対し圧縮応力を有する膜が形成され、膜の厚さは、流路部材と接合される面側の方が液体吐出面側よりも厚く形成されている構成としたので、プレス加工で形成するノズル板の平坦度のバラツキが低減して接合品質、接合信頼性が向上し、滴吐出特性が向上する。
【0024】
本発明に係る液体吐出ヘッドによれば、プレス加工により形成された複数のノズルが配列されたノズル列を複数列有するノズル板と、ノズルが連通する液室が形成され、ノズル板の液体吐出面とは反対側の面に接合された流路部材とを有し、ノズル板は金属板で形成され、金属板の両面には、金属板に対し引っ張り応力を有する膜が形成され、膜の厚さは、流路部材と接合される液体吐出面側の方が液体吐出面側よりも厚く形成されている構成としたので、プレス加工で形成するノズル板の平坦度のバラツキが低減して接合品質、接合信頼性が向上し、滴吐出特性が向上する。
【0025】
本発明に係る液体吐出ヘッドの製造方法によれば、金属板の一面から複数のノズル列を構成するノズルとなる凹部をプレス加工で形成する工程と、金属板の凹部を形成した面と反対の面に生じた凸部を研磨してノズルを開口する工程と、金属板の研磨面側に圧縮応力を有する膜を形成する工程と、金属板の凹部を形成した面側に研磨面側の圧縮応力を有する膜と同材料であり、より厚さの厚い圧縮応力を有する膜を形成する工程と、を行なってノズル板を形成し、ノズル板とノズルが連通する液室を形成する流路部材とを接合する構成としたので、プレス加工で形成するノズル板の平坦度のバラツキが低減して接合品質、接合信頼性が向上し、滴吐出特性が向上する。
【0026】
本発明に係る液体吐出ヘッドの製造方法によれば、金属板の一面から複数のノズル列を構成するノズルとなる凹部をプレス加工で形成する工程と、金属板の凹部を形成した面と反対の面に生じた凸部を研磨してノズルを開口する工程と、金属板の両面に第1の圧縮応力を有する膜を形成する工程と、凹部を形成した面に第2の圧縮応力を有する膜を形成する工程と、を行なってノズル板を形成し、ノズル板とノズルが連通する液室を形成する流路部材とを接合する構成としたので、プレス加工で形成するノズル板の平坦度のバラツキが低減して接合品質、接合信頼性が向上し、滴吐出特性が向上する。
【0027】
本発明に係る液体吐出ヘッドの製造方法によれば、金属板の一面から複数のノズル列を構成するノズルとなる凹部をプレス加工で形成する工程と、金属板の凹部を形成した面と反対の面に生じた凸部を研磨してノズルを開口する工程と、金属板の研磨面側に引っ張り応力を有する膜を形成する工程と、金属板の凹部を形成した面側に研磨面側の引っ張り応力を有する膜と同材料であり、より厚さの薄い引っ張り応力を有する膜を形成する工程と、を行なってノズル板を形成し、ノズル板とノズルが連通する液室を形成する流路部材とを接合する構成としたので、プレス加工で形成するノズル板の平坦度のバラツキが低減して接合品質、接合信頼性が向上し、滴吐出特性が向上する。
【0028】
本発明に係る液体吐出ヘッドの製造方法によれば、金属板の一面から複数のノズル列を構成するノズルとなる凹部をプレス加工で形成する工程と、金属板の凹部を形成した面と反対の面に生じた凸部を研磨してノズルを開口する工程と、金属板の両面に第1の引っ張り応力を有する膜を形成する工程と、研磨した面側に第2の引っ張り応力を有する膜を形成する工程と、を行なってノズル板を形成し、ノズル板とノズルが連通する液室を形成する流路部材とを接合する構成としたので、プレス加工で形成するノズル板の平坦度のバラツキが低減して接合品質、接合信頼性が向上し、滴吐出特性が向上する。
【0029】
本発明に係る画像形成装置によれば、本発明に係る液体吐出ヘッドを備えているので、高品質画像を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係るノズル板を備える本発明に係る液体吐出ヘッドの実施形態の一例を示す概略分解斜視説明図である。
【図2】同ヘッドの液室長手方向に沿う断面説明図である。
【図3】同ヘッドの圧電アクチュエータの斜視説明図である。
【図4】同アクチュエータの断面説明図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る液体吐出ヘッドのノズル板を液室側から見た平面説明図である。
【図6】図5のA−A線に相当する流路ユニットの部分断面説明図である。
【図7】本発明の第1実施形態に係る液体吐出ヘッドのノズル板の製造工程の説明に供する図5のA−A線に沿う断面説明図である。
【図8】本実施形態の作用効果の説明に供する要部拡大断面説明図である。
【図9】比較例の説明に供する要部拡大断面説明図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係る液体吐出ヘッドのノズル板を液室側から見た平面説明図である。
【図11】図10のB−B線に相当する流路ユニットの部分断面説明図である。
【図12】本発明の第2実施形態に係る液体吐出ヘッドのノズル板の製造工程の説明に供する図10のB−Bに相当する部分の断面説明図である。
【図13】図12に続く工程を説明する同様な断面説明図である。
【図14】同実施形態の作用効果の説明に供する模式的説明図である。
【図15】本発明の第3実施形態に係る液体吐出ヘッドの図6のB−B線に相当する流路ユニットの部分断面説明図である。
【図16】本発明の第3実施形態に係る液体吐出ヘッドのノズル板の製造方法の説明に供する図6のB−B線に相当する部分の断面説明図である。
【図17】本発明に係る画像形成装置の一例の機構部の全体構成を説明する概略構成図である。
【図18】同機構部の要部平面説明図である。
【図19】本発明に係る画像形成装置の他の例を示す全体構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。本発明に係る液体吐出ヘッドの一実施形態について図1ないし図4を参照して説明する。なお、図1は同ヘッドの概略分解斜視説明図、図2は同ヘッドの液室長手方向に沿う断面説明図、図3は圧電アクチュエータの斜視説明図、図4は同圧電アクチュエータの断面説明図である。
【0032】
この液体吐出ヘッドは、本発明に係るノズル板1と、流路板(流路部材)2と、振動板部材3と、圧電アクチュエータ4と、フレーム部材5とで構成され、ノズル板1、流路板2及び振動板部材3によって液室(流路)ユニット6が構成される。
ている。
【0033】
ノズル板1には、液滴を吐出する複数のノズル11が例えば600dpiピッチで形成されている。複数のノズル11の列(これを「ノズル列」という。)は4列配置している。また、ノズル板1の液滴吐出側の面には図示しないがフッ素系の撥水処理膜が形成されている。このノズル板1は、SUSなどの金属板(部材)で形成されている。なお、ノズル板1は1枚構成としないで複数枚を並べて配置した構成とすることもできる。
【0034】
流路部材である流路板2には、ノズル11が連通する液室22などが形成されている。液室22は、各ノズル11に対応し、各ノズル列に対応して4列配置している。この流路板2は、SUSなどの金属板をプレス加工して形成している。
【0035】
振動板部材3には、各液室22に対応し、かつ各液室22の一面を形成するダイヤフラム状の振動領域(ダイヤフラム部)31が形成され、この振動領域31には凸部32が形成されている。この振動板部材3は、例えば複層構造のNi電鋳部材、あるいは樹脂部材と金属部材の積層部材などで形成されている。
【0036】
圧電アクチュエータ4は、1つのベース部材41上に、各液室22に対応する複数の圧電素子柱42aを形成した4個の積層型圧電部材42A〜42D(以下、区別しないときは「圧電部材42)という。)を配置して、圧電素子柱42aの列を4列配置し、各圧電部材42の圧電素子柱42aの端面電極に圧電素子柱42aに対して駆動信号を伝達する信号伝達ケーブルとしてのFPCケーブル43A〜43D(以下、区別しないときは「FPCケーブル43」という。)を半田接合している。
【0037】
ここで、圧電部材42は、圧電層と内部電極とを交互に積層して内部電極を交互に異なる端面に引き出して端面電極に接続した部材に対し、ハーフカットダイシングを施して溝を形成することで、複数の圧電素子柱42aを一体的に分割形成したものである。
【0038】
なお、圧電部材42の両端面の端面電極のうち共通電極となる側はカットされない内部電極を通じて個別電極側の端面電極と同じ端面に引き回されているので、圧電部材42の一方の端面側にFPCケーブル43を半田接合することができる。また、ここではハーフカットダイシングによって複数の圧電素子柱42aが一体的な圧電部材を用いているが、個々の圧電素子柱に完全に分割した構成とすることもできる。また、圧電素子柱42aは、1本おきに、駆動信号を印加する駆動圧電素子柱と、液室間隔壁を支持する支持部材となる非駆動圧電素子柱とするバイピッチ構成、各圧電素子柱42aをすべて駆動信号を印加する駆動圧電素子柱とするノーマルピッチ構成のいずれの構成とすることもできる。
【0039】
ベース部材41の圧電部材42を接合する側は、圧電素子柱42aの並び方向(圧電素子の列に沿う方向)と直交する方向の断面形状が凹凸形状になるように形成され、それぞれの凸部41aの最上面に圧電部材42が接合配置されている。ここでは、圧電素子柱42aの列が4つであり、各凸部41aに2列ずつ配置できるので、ベース部材41の断面形状は凹形状としている。なお、圧電素子柱の列数は4列に限るものではなく、1列以上であればよい。
【0040】
また、ベース部材41には圧電部材42Bと42Cとの間に貫通穴44を形成し、ベース部材41の端部に位置しない圧電部材42Bに接続したFPCケーブル43Bと圧電素子部材42Cに接続したFPCケーブル43Cとは、この貫通穴44を通じてベース部材41の背面側(圧電部材42を接合する側と反対側)に引き出している。なお、ベース部材41の端部に位置する圧電部材42Aに接続したFPCケーブル43Aと圧電部材42Dに接続したFPCケーブル43Dとは、そのまま、ベース部材41の側面に沿って引き出されている。
【0041】
ベース部材41は、例えば樹脂などでも可能であるが、金属材料であることが好ましい。剛性の高い金属材料を採用することで、圧電素子柱42aの振動が本体に伝達することを抑制することができる。また、金属材料でベース部材41を形成することで、ベース部材41の加工方法の選択範囲が広がり、例えばメタルインジェクションや引き抜き加工を採用することによってベース部材の材料、加工コストを低減することができるようになる。
【0042】
フレーム部材5は、振動板部材3の供給口33を介して各液室22にインクを供給する共通液室51A、51B、51C、51Dを形成している。各共通液室51A、51B、51C、52Dには外部から図示しない供給路を介してインクが供給される。また、フレーム部材5にはベース部材41を収納する収納部52A、52Bを形成し、これらの収納部52A,52B間の共通液室51B、51Cを形成する中央部分53は、ベース部材41の貫通穴44を貫通している。このフレーム部材5は例えば樹脂部材で形成している。なお、フレーム部材5は複数の部材に分割することもできる。
【0043】
このように構成した液体吐出ヘッドにおいては、例えば圧電素子柱42aに印加する電圧を基準電位から下げることによって圧電素子柱42aが収縮し、振動板部材3の振動領域31が下降して液室22の容積が膨張することで、液室22内にインクが流入し、その後圧電素子柱42aに印加する電圧を上げて圧電素子柱42aを伸長させ、振動領域31をノズル11方向に変形させて液室22の容積を収縮させることにより、液室22内のインクが加圧され、ノズル11からインクの滴が吐出(噴射)される。
【0044】
そして、圧電素子柱42aに印加する電圧を基準電位に戻すことによって振動領域31が初期位置に復元し、液室22が膨張して負圧が発生するので、このとき、共通液室51から液室22内にインクが充填される。そこで、ノズル11のメニスカス面の振動が減衰して安定した後、次の液滴吐出のための動作に移行する。
【0045】
なお、このヘッドの駆動方法については上記の例(引き−押し打ち)に限るものではなく、駆動波形の与えた方によって引き打ちや押し打ちなどを行うこともできる。
【0046】
次に、本発明の第1実施形態に係る液体吐出ヘッドについて図5及び図6を参照して説明する。なお、図5は同ヘッドのノズル板を液室側から見た平面説明図、図6は図5のA−A線に相当する流路ユニットの部分断面説明図である。
【0047】
この液体吐出ヘッドは、前述したように、液滴を吐出するノズル11が形成されたノズル板1と、ノズル11が連通する液室22が形成され、ノズル板1の液体吐出面とは反対側の面(液室面という。)に接合された流路板2と、流路板2の液室22の壁面の一部を形成する振動板部材3とを有している。
【0048】
ここで、ノズル板1は、プレス加工により形成された複数のノズル11が配列された複数(ここでは4列とする)のノズル列12Aないし12Dを有する金属板(ノズル基材)301で形成されている。
【0049】
そして、金属板301の両面には、ノズル板301に対し圧縮応力を有する膜360、361が形成され、膜360、361の厚さは、流路板(流路部材)2と接合される液室面側の膜361の方が液体吐出面側の膜360よりも厚く形成されている。
【0050】
このように構成することで、ノズル板1を金属板のプレス加工で形成しても、ノズル板1の平坦度のバラツキが低減して、流路板2との接合品質、接合信頼性が向上し、またノズル11の傾斜も低減して滴吐出特性が向上する。
【0051】
次に、本発明の第1実施形態に係る液体吐出ヘッドの製造方法について図7を参照して説明する。なお、図7は同ヘッドのノズル板の製造工程の説明に供する図5のA−A線に沿う断面説明図である。
まず、図7(a)に示すように、ノズル板1となる厚さ50μmのSUS基材(金属板、ノズル基材)301を準備する。
【0052】
そして、図7(b)に示すように、液室面側がポンチ302を打ち込む面となるように基材301をダイ312にセットし、基材301にポンチ302をノズル列方向に必要数打ち込むことで、図7(c)に示すように基材301にはノズル列12Aのノズル11となる部分にパンチ302に対応する凹部303が形成されるとともに、反対側の面に凸部307が形成される。同様にして、ポンチ302を移動させながら(図中丸付き数字1〜4)、ノズル列12B、12C、12Dのノズル11となる部分に打ち込むことで、それぞれポンチ302に対応する凹部304〜306が形成されるとともに反対側の面に凸部308〜310が形成される。
【0053】
このとき、ポンチ302の打ち込みにより発生した残留応力により、図7(c)に示すように、基材301にはエッジ部において平坦度h1(変形量h1)、またノズル列12Bと12Cの間の部分では、その変形方向が基材11内においてランダムである変形量H1(平坦度H1)の塑性変形が発生する。すなわち、基材11内において、ある部位では液体吐出面側に凸となる部位14Aと、ある部位では液室面側に凸となる部位14Bが現れる。
【0054】
なお、ノズル列12Aと12Bの間、及びノズル列12Cと12Dの間は、本実施形態では列間距離が小さいため、ポンチ加工による変形量が小さく、従って図示においては平坦に示してあるが、詳細には部位14A、14Bで示すと同様の凹凸状態にあり、また列間距離が長くなれば部位14A、14Bで示すと同様の凹凸の状態がより明確に現れる。
【0055】
次に、図7(d)に示すように、テープ研磨装置315を用いて、基材301の凸部307〜310を研磨し、凹部303〜306を貫通させることで、図7(e)に示すように、基材301にはノズル11となるノズル孔321〜324の列が形成される。なお、研磨面は液体吐出面351、その反対側の面は液室形成面350となる。
【0056】
ただし、この研磨工程後においても残留応力は緩和されていないため、塑性変形量H1及びh1は図7(c)と同じ状態に維持されている。
【0057】
次に、図7(f)に示すように、液体吐出面(研磨面)351に基材301に対して圧縮応力を有する膜としてSiO膜360を、液室面350に同じくSiO膜361を形成する。このとき、膜厚は、液体吐出面<液室面、即ち、SiO膜360の膜厚<SiO膜361としている。
【0058】
なお、基材301に対して圧縮応力を有する膜としては、NSG膜、PSG膜、BPSG膜、TEOS膜などCVDで形成された酸化膜を用いることもできる。また、圧縮応力を有する膜の形成順序は、液体吐出面及び液室面のいずれを先に形成してもよい。
【0059】
SiO膜360、361は、例えばCVD法や熱酸化で形成することができる。ここでは、CVD法によってSiO膜360、361を形成している。具体的な成膜条件としては、マテリアルリサーチコーポレーション社製のスパッタ装置を用いて真空度1×10−5Torr、RFパワー1.8KW、ガス圧15mTorr、O分圧10%、スキャンスピード10cm/minで、液滴吐出面350側のSiO膜360は膜厚0.1μm、液室面351側のSiO膜は0.2μmとした。
【0060】
このとき、SiO膜360、361は圧縮応力を持つので、膜厚差による膜応力によりノズル列12Bと12Cの間で液体吐出面側に凸となっている部位14Aは液室面側に凸となる。
【0061】
これにより、ノズル列12Bと12Cの間の部分は、ノズル板1内のいずれの位置においても、部位14Bと同様に液室側面に凸である均一な形状となり、且つノズル孔近傍の平坦度が改善(H2<H1)される。
【0062】
また、前述したノズル列12Aと12Bの間及びノズル列12Cと12Dの間も部位14Bと同様に液室面側に凸となる。
【0063】
そこで、ノズル板1と流路板2とを接合し、流路板2と振動板部材3とを接合し、アクチュエータ部と接合してヘッドを完成する。
【0064】
次に、本発明の作用効果について図8及び図9を参照して説明する。なお、図8は本実施形態の説明に供する要部拡大断面説明図、図9は比較例の説明に供する要部拡大断面説明図である。
まず、前述したようにプレス加工により金属板にノズル(ノズル孔)を形成した場合、図9(a)に示すように、基材301(ノズル板1)はノズル孔形成過程で塑性変形が生じ、この塑性変形の方向は、液室面へ凸となる部位14B又は液体吐出面へ凸となる部位14Aがランダムに発生して、凸となる方向が一定ではない。
【0065】
したがって、結果として、ノズル孔11周辺の形状に差異が発生する(平坦度にバラツキが発生する。)ことになり、基材301をそのままノズル板1として流路板2に接着剤61で接合するとき、接合前の状態では、凸方向が液体吐出面方向の部位14Aでは間隔a、凸方向が液室面方向の部位14Bでは間隔b(a>b)の隙間がある状態となる。
【0066】
そのため、図9(b)に示すように、ノズル板1と流路板2との接合を行ったときに、接合状態でバラツキが生じて、安定した接合品質を得ることができない。また、このような形状不均一な状態で接合を行うことよって、ノズル孔11の傾斜が発生して、滴吐出曲がりが発生する。つまり、ノズル孔11は液体吐出面に垂直な線500に対して傾斜角θの傾きが発生する。
【0067】
この場合、ノズル孔11の傾斜角θが均一であれば印字補正技術(ソフト対応)で補正することもできるが、上述したように、塑性変形の方向がランダムであるために傾斜角θもばらつくことから、印字補正技術のみでの対応が困難となり、安定した印字品質が得られなくなる。
【0068】
これに対して、上記実施形態では、図8(a)に示すように、基材301の塑性変形の方向は液室面側に揃う(一定となる)ため、ノズル孔11近傍の形状が均一である(間隔a、bが略同じ(同じを含む。)になる)。したがって、図8(b)に示すように、ノズル板1の平坦度のバラツキが小さくなって安定した接合品質が得られ、また、これによりノズル孔11の傾斜も低減して、良好な滴吐出特性が得られて印写品質が向上する。
【0069】
なお、ノズル基材にシリコン基板を用いて上記実施形態のように膜厚差のある圧縮応力膜を両面に形成すると、平坦なノズル基材に反りが発生することになり、本発明はノズル基材が塑性変形を有する場合(金属板等)に限って適用できるものである。
【0070】
このように、プレス加工により形成された複数のノズルが配列されたノズル列を複数列有するノズル板と、ノズルが連通する液室が形成され、ノズル板の液体吐出面とは反対側の面に接合された流路部材とを有し、ノズル板は金属板で形成され、金属板の両面には、金属板に対し圧縮応力を有する膜が形成され、膜の厚さは、流路部材と接合される面側の方が液体吐出面側よりも厚く形成されている構成とすることで、プレス加工で形成するノズル板の平坦度のバラツキが低減して接合品質、接合信頼性が向上し、滴吐出特性が向上する。
【0071】
なお、上記実施形態においては、ノズル基材の全面に圧縮応力を生じる膜を形成しているが、部分的に、例えば、上述したノズル列12Bと12Cとの間のみに部分的に圧縮応力を生じる膜を形成することもできる。
【0072】
また、金属板の一面から複数のノズル列を構成するノズルとなる凹部をプレス加工で形成する工程と、金属板の凹部を形成した面と反対の面に生じた凸部を研磨してノズルを開口する工程と、金属板の研磨面側に圧縮応力を有する膜を形成する工程と、金属板の凹部を形成した面側に研磨面側の圧縮応力を有する膜と同材料であり、より厚さの厚い圧縮応力を有する膜を形成する工程と、を行なってノズル板を形成し、ノズル板とノズルが連通する液室を形成する流路部材とを接合する工程とを有することで、プレス加工で形成するノズル板の平坦度のバラツキが低減して接合品質、接合信頼性が向上し、滴吐出特性が向上する。
【0073】
なお、圧縮応力を有する膜の形成については、第1の圧縮応力を有する膜(第1の圧縮応力膜)をノズル基材の液体吐出面及び液室面に一括形成し、膜厚を厚くする液室面に第2の圧縮応力を有する膜(第2の圧縮応力膜を第1の圧縮応力膜上に積層形成して、液室面側の膜厚を所要の膜厚に形成することもできる。
【0074】
このようにすれば、膜の形成工程時間を短縮することが可能になる。また、第2の圧縮応力膜を第1の圧縮応力膜と異なる材料で形成することができる。例えば、第2の圧縮応力膜を接合改善膜等の機能膜とすることもできる。
【0075】
つまり、金属板の一面から複数のノズル列を構成するノズルとなる凹部をプレス加工で形成する工程と、金属板の凹部を形成した面と反対の面に生じた凸部を研磨してノズルを開口する工程と、金属板の両面に第1の圧縮応力を有する膜を形成する工程と、凹部を形成した面に第2の圧縮応力を有する膜を形成する工程と、を行なってノズル板を形成し、ノズル板とノズルが連通する液室を形成する流路部材とを接合する工程とを有することで、プレス加工で形成するノズル板の平坦度のバラツキが低減して接合品質、接合信頼性が向上し、滴吐出特性が向上する。
【0076】
次に、本発明の第2実施形態に係る液体吐出ヘッドについて図10及び図11を参照して説明する。なお、図10は同ヘッドのノズル板を液室側から見た平面説明図、図11は図10のB−B線に相当する流路ユニットの部分断面説明図である。
ここでは、ノズル板1には、前述したように複数のノズル11を配列した4列のノズル列12A〜12Dが形成されている。そして、これら4列のノズル列12A〜12Dと平行に並んだ複数の凹部13が配列された2つの凹部列13A、13Bが、4つのノズル列12A〜12D全体の中心軸bに対して反対側に配置されている。
【0077】
この場合、凹部列13A、13Bはノズル配列方向と直交する方向で最も外側のノズル列12A、12Dの外側に配置される。また、ノズル列12が複数列でノズルが千鳥状に配置されている場合には、液室間隔壁に対応する部位に凹部13を形成すると中心軸bに対して非対称配置となる。なお、ノズル板1のノズル11及び凹部13はプレス加工で形成している。
【0078】
このように構成することで、ノズル板1をプレス加工で形成しても、プレス加工による変形が抑えられるので、流路板2との接合品質、接合信頼性が向上する。
【0079】
なお、ノズル列12A、12Bを1つのノズル群として、このノズル群12A、12Bの両側に凹部列13A、13Bを配置し、同様に、ノズル列12C、12Dも1つのノズル群として同様に凹部列13A、13Bを配置することもできる。
【0080】
次に、本発明の第2実施形態に係る液体吐出ヘッドの製造方法について図12及び図13を参照して説明する。なお、図12は同ヘッドのノズル板の製造工程の説明に供する図10のB−Bに相当する部分の断面説明図、図13は図12に続く工程を説明する同様な断面説明図である。
まず、図12(a)ないし(e)までの工程は前記第1実施形態の図7(a)ないし(e)と同様であるので、説明を省略する。
【0081】
そして、図13(a)に示すように、押圧部材335間に基材301を挟み込み、ノズル列12A、12Dに対応するノズル孔321、324の列の外側にパンチ330、331をノズル列12A、12Dに対応するノズル孔321、324の列と平行に打ち込む。
【0082】
これにより、図13(b)に示すように、液室面側には複数の凹部13が配列された凹部列13A、13Bが形成される。この凹部13(凹部列13A、13B)の形成時に、ノズル板301には前記した塑性変形を打ち消す方向に応力が発生するため、結果としてノズル板1のチップエッジ部の平坦度はh2となり、初期変形による平坦度h1より小さくなり(h2<h1)基板平坦度が向上する。
【0083】
なお、凹部列13A、13Bの形成の順序については、パンチ330、331の打ち込みの間に時間的な差があってもよいが、同時に打ち込むことで平坦度をより向上することができる。
【0084】
そして、図13(c)に示すように、前記第1実施形態と同様に、液体吐出面(研磨面)351に基材301に対して圧縮応力を有する膜としてSiO膜360を、液室面350に同じくSiO膜361を形成する。このとき、膜厚は、液体吐出面<液室面、即ち、SiO膜360の膜厚<SiO膜361とする。
【0085】
このとき、SiO膜360、361は圧縮応力を持つので、膜厚差による膜応力によりノズル列12Bと12Cの間で液体吐出面側に凸となっている部位14Aは液室面側に凸となる。
【0086】
これにより、ノズル列12Bと12Cの間の部分は、ノズル板1内のいずれの位置においても、部位14Bと同様に液室側面に凸である均一な形状となり、且つノズル孔近傍の平坦度が改善(H2<H1)される。
【0087】
また、前述したノズル列12Aと12Bの間及びノズル列12Cと12Dの間も部位14Bと同様に液室面側に凸となる。
【0088】
そして、本実施形態では、前記第1実施形態の場合より、ノズル板1のエッジ部の平坦度も改善されるので、前記第1実施形態よりも高品位なノズル板を得ることができる。
【0089】
つまり、前述したようにプレス加工によってノズル(ノズル孔)を形成した場合、基材301(ノズル板1)はノズル孔形成過程で塑性変形が生じ、この塑性変形の程度は必ずしも一定ではなく、結果として平坦度にバラツキが発生する。ここで、図14(a)に示す凹部列13A、13Bを設けない前記第1実施形態の構成と、図14(b)に示す凹部列13A、13Bを設ける第1実施形態の構成とを比較した場合、相対的に後者の方が平坦度のバラツキも小さくなる。なお、図14では図示の簡略化のためにノズル列12Bと12C間は凸の向きが一方向である例で示している。
【0090】
次に、本発明の第3実施形態に係る液体吐出ヘッド及びその製造方法について図15及び図16を参照して説明する。なお、図15は同ヘッドの図6のB−B線に相当する流路ユニットの部分断面説明図、図16は同ヘッドのノズル板の製造工程の説明に供する図6のB−B線に相当する部分の断面説明図である。
【0091】
本実施形態では、ノズル板1を構成する金属板301の両面には、ノズル板301に対し引っ張り応力を有する膜560、561が形成され、膜560、561の厚さは、液体吐出面側の膜560の方が液室面側の膜561よりも厚く形成されている。
【0092】
引っ張り応力を有する膜としては、例えばLPCVDで形成された窒化膜、ベーク処理を行ったSOG膜等を用いることができる。
【0093】
したがって、液体吐出面側の膜560と液室面側の膜561との膜厚差による膜応力によって、前記第1、第2実施形態と同様に、ノズル列12Bと12Cの間で液体吐出面側に凸となっている部位14Aは液室面側に凸となり(図16参照)、平坦度のバラツキが低減する。
【0094】
なお、本実施形態の液体吐出ヘッドの製造方法におけるノズル板の製造工程は、前述した図7(a)ないし(e)の工程を行った後、図16に示すように、ノズル基材301の液体吐出面側に膜560を、液室面側に膜561を形成する。なお、膜560、561の形成順序は、いずれの面が先でもよい。
【0095】
このように、プレス加工により形成された複数のノズルが配列されたノズル列を複数列有するノズル板と、ノズルが連通する液室が形成され、ノズル板の液体吐出面とは反対側の面に接合された流路部材とを有し、ノズル板は金属板で形成され、金属板の両面には、金属板に対し引っ張り応力を有する膜が形成され、膜の厚さは、液体吐出面側の方が液体吐出面側よりも厚く形成されている構成とすることで、プレス加工で形成するノズル板の平坦度のバラツキが低減して接合品質、接合信頼性が向上し、滴吐出特性が向上する。
【0096】
また、金属板の一面から複数のノズル列を構成するノズルとなる凹部をプレス加工で形成する工程と、金属板の凹部を形成した面と反対の面に生じた凸部を研磨してノズルを開口する工程と、金属板の研磨面側に引っ張り応力を有する膜を形成する工程と、金属板の凹部を形成した面側に研磨面側の引っ張り応力を有する膜と同材料であり、より厚さの薄い引っ張り応力を有する膜を形成する工程と、を行なってノズル板を形成し、ノズル板とノズルが連通する液室を形成する流路部材とを接合する工程とを有することで、プレス加工で形成するノズル板の平坦度のバラツキが低減して接合品質、接合信頼性が向上し、滴吐出特性が向上する。
【0097】
なお、引っ張り応力を有する膜の形成については、第1の引っ張り応力を有する膜(第1の引っ張り応力膜)をノズル基材の液体吐出面及び液室面に一括形成し、膜厚を厚くする液体吐出面に第2の引っ張り応力を有する膜(第2の引っ張り応力膜)を第1の引っ張り応力膜上に積層形成して、液体吐出面側の膜厚を所要の膜厚に形成することもできる。
【0098】
このようにすれば、膜の形成工程時間を短縮することが可能になる。また、第2の引っ張り応力膜を第1の引っ張り応力膜と異なる材料で形成することができる。例えば、第2の引っ張り応力膜を接合改善膜等の機能膜とすることもできる。
【0099】
上述した液体吐出ヘッドとこの液体吐出ヘッドに液体を供給するタンクを一体化することでヘッド一体型液体カートリッジ(カートリッジ一体型ヘッド)を得ることができる。
【0100】
次に、本発明に係る液体吐出ヘッドを備える本発明に係る画像形成装置の一例について図17及び図18を参照して説明する。なお、図17は同装置の機構部の全体構成を説明する概略構成図、図18は同機構部の要部平面説明図である。
この画像形成装置はシリアル型画像形成装置であり、左右の側板221A、221Bに横架したガイド部材である主従のガイドロッド231、232でキャリッジ233を主走査方向に摺動自在に保持し、図示しない主走査モータによってタイミングベルトを介して矢示方向(キャリッジ主走査方向)に移動走査する。
【0101】
このキャリッジ233には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色のインク滴を吐出するための本発明に係る液体吐出ヘッドユニットからなる記録ヘッド234を複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
【0102】
記録ヘッド234は、それぞれ2つのノズル列を有する液体吐出ヘッド234a、234bを1つのベース部材に取り付けて構成したもので、一方のヘッド234aの一方のノズル列はブラック(K)の液滴を、他方のノズル列はシアン(C)の液滴を、他方のヘッド234bの一方のノズル列はマゼンタ(M)の液滴を、他方のノズル列はイエロー(Y)の液滴を、それぞれ吐出する。なお、ここでは2ヘッド構成で4色の液滴を吐出する構成としているが、各色毎の液体吐出ヘッドを備えることもできる。
【0103】
また、キャリッジ233には、記録ヘッド234のノズル列に対応して各色のインクを供給するためのサブタンク235a、235b(区別しないときは「サブタンク235」という。)を搭載している。このサブタンク235には各色の供給チューブ236を介して、供給ユニット224によって各色のインクカートリッジ210から各色のインクが補充供給される。
【0104】
一方、給紙トレイ202の用紙積載部(圧板)241上に積載した用紙242を給紙するための給紙部として、用紙積載部241から用紙242を1枚ずつ分離給送する半月コロ(給紙コロ)243及び給紙コロ243に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド244を備え、この分離パッド244は給紙コロ243側に付勢されている。
【0105】
そして、この給紙部から給紙された用紙242を記録ヘッド234の下方側に送り込むために、用紙242を案内するガイド部材245と、カウンタローラ246と、搬送ガイド部材247と、先端加圧コロ249を有する押さえ部材248とを備えるとともに、給送された用紙242を静電吸着して記録ヘッド234に対向する位置で搬送するための搬送手段である搬送ベルト251を備えている。
【0106】
この搬送ベルト251は、無端状ベルトであり、搬送ローラ252とテンションローラ253との間に掛け渡されて、ベルト搬送方向(副走査方向)に周回するように構成している。また、この搬送ベルト251の表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ256を備えている。この帯電ローラ256は、搬送ベルト251の表層に接触し、搬送ベルト251の回動に従動して回転するように配置されている。この搬送ベルト251は、図示しない副走査モータによってタイミングを介して搬送ローラ252が回転駆動されることによってベルト搬送方向に周回移動する。
【0107】
さらに、記録ヘッド234で記録された用紙242を排紙するための排紙部として、搬送ベルト251から用紙242を分離するための分離爪261と、排紙ローラ262及び排紙コロ263とを備え、排紙ローラ262の下方に排紙トレイ203を備えている。
【0108】
また、装置本体の背面部には両面ユニット271が着脱自在に装着されている。この両面ユニット271は搬送ベルト251の逆方向回転で戻される用紙242を取り込んで反転させて再度カウンタローラ246と搬送ベルト251との間に給紙する。また、この両面ユニット271の上面は手差しトレイ272としている。
【0109】
さらに、キャリッジ233の走査方向一方側の非印字領域には、記録ヘッド234のノズルの状態を維持し、回復するための維持回復機構281を配置している。この維持回復機構281には、記録ヘッド234の各ノズル面をキャピングするための各キャップ部材(以下「キャップ」という。)282a、282b(区別しないときは「キャップ282」という。)と、ノズル面をワイピングするためのブレード部材であるワイパーブレード283と、増粘したインクを排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け284などを備えている。
【0110】
また、キャリッジ233の走査方向他方側の非印字領域には、記録中などに増粘したインクを排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け288を配置し、この空吐出受け288には記録ヘッド234のノズル列方向に沿った開口部289などを備えている。
【0111】
このように構成したこの画像形成装置においては、給紙トレイ202から用紙242が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙242はガイド245で案内され、搬送ベルト251とカウンタローラ246との間に挟まれて搬送され、更に先端を搬送ガイド237で案内されて先端加圧コロ249で搬送ベルト251に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。
【0112】
このとき、帯電ローラ256に対してプラス出力とマイナス出力とが交互に繰り返すように、つまり交番する電圧が印加され、搬送ベルト251が交番する帯電電圧パターン、すなわち、周回方向である副走査方向に、プラスとマイナスが所定の幅で帯状に交互に帯電されたものとなる。このプラス、マイナス交互に帯電した搬送ベルト251上に用紙242が給送されると、用紙242が搬送ベルト251に吸着され、搬送ベルト251の周回移動によって用紙242が副走査方向に搬送される。
【0113】
そこで、キャリッジ233を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド234を駆動することにより、停止している用紙242にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙242を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号又は用紙242の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙242を排紙トレイ203に排紙する。
【0114】
このように、この画像形成装置では、記録ヘッドとして接合品質が高く信頼性が高い本発明に係る液体吐出ヘッドを備えているので、滴吐出特性のバラツキが少なく、高画質画像を形成することができる。
【0115】
次に、本発明に係る液体吐出ヘッドを備える本発明に係る画像形成装置の他の例について図19を参照して説明する。なお、図19は同装置の機構部全体の概略構成図である。
この画像形成装置は、ライン型画像形成装置であり、装置本体401の内部に画像形成部402等を有し、装置本体401の下方側に多数枚の記録媒体(用紙)403を積載可能な給紙トレイ404を備え、この給紙トレイ404から給紙される用紙403を取り込み、搬送機構405によって用紙403を搬送しながら画像形成部402によって所要の画像を記録した後、装置本体401の側方に装着された排紙トレイ406に用紙403を排紙する。
【0116】
また、装置本体401に対して着脱可能な両面ユニット407を備え、両面印刷を行うときには、一面(表面)印刷終了後、搬送機構405によって用紙403を逆方向に搬送しながら両面ユニット407内に取り込み、反転させて他面(裏面)を印刷可能面として再度搬送機構405に送り込み、他面(裏面)印刷終了後排紙トレイ406に用紙403を排紙する。
【0117】
ここで、画像形成部402は、例えばブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色の液滴を吐出する、フルライン型の4個の本発明に係る液体吐出ヘッドで構成した記録ヘッド411k、411c、411m、411y(色を区別しないときには「記録ヘッド411」という。)を備え、各記録ヘッド411は液滴を吐出するノズルを形成したノズル面を下方に向けてヘッドホルダ413に装着している。
【0118】
また、各記録ヘッド411に対応してヘッドの性能を維持回復するための維持回復機構412k、412c、412m、412y(色を区別しないときには「維持回復機構412」という。)を備え、パージ処理、ワイピング処理などのヘッドの性能維持動作時には、記録ヘッド411と維持回復機構412とを相対的に移動させて、記録ヘッド411のノズル面に維持回復機構412を構成するキャッピング部材などを対向させる。
【0119】
なお、ここでは、記録ヘッド411は、用紙搬送方向上流側から、ブランク、シアン、マゼンタ、イエローの順に各色の液滴を吐出する配置としているが、配置及び色数はこれに限るものではない。また、ライン型ヘッドとしては、各色の液滴を吐出する複数のノズル列を所定間隔で設けた1又は複数のヘッドを用いることもできるし、ヘッドとこのヘッドにインクを供給する液体カートリッジを一体とすることも別体とすることもできる。
【0120】
給紙トレイ404の用紙403は、給紙コロ(半月コロ)421と図示しない分離パッドによって1枚ずつ分離され装置本体401内に給紙され、搬送ガイド部材423のガイド面423aに沿ってレジストローラ425と搬送ベルト433との間に送り込まれ、所定のタイミングでガイド部材426を介して搬送機構405の搬送ベルト433に送り込まれる。
【0121】
また、搬送ガイド部材423には両面ユニット407から送り出される用紙403を案内するガイド面423bも形成されている。更に、両面印刷時に搬送機構405から戻される用紙403を両面ユニット407に案内するガイド部材427も配置している。
【0122】
搬送機構405は、駆動ローラである搬送ローラ431と従動ローラ432との間に掛け渡した無端状の搬送ベルト433と、この搬送ベルト433を帯電させるための帯電ローラ434と、画像形成部402に対向する部分で搬送ベルト433の平面性を維持するプラテン部材435と、搬送ベルト433から送り出す用紙403を搬送ローラ431側に押し付ける押さえコロ436と、その他図示しないが、搬送ベルト433に付着したインクを除去するためのクリーニング手段である多孔質体などからなるクリーニングローラなどを有している。
【0123】
この搬送機構405の下流側には、画像が記録された用紙403を排紙トレイ406に送り出すための排紙ローラ438及び拍車439を備えている。
【0124】
このように構成した画像形成装置において、搬送ベルト433は矢示方向に周回移動し、高電位の印加電圧が印加される帯電ローラ434と接触することで帯電され、この高電位に帯電した搬送ベルト433上に用紙403が給送されると、用紙403は搬送ベルト433に静電的に吸着される。このようにして、搬送ベルト433に強力に吸着した用紙403は反りや凹凸が校正され、高度に平らな面が形成される。
【0125】
そして、搬送ベルト433を周回させて用紙403を移動させ、記録ヘッド411から液滴を吐出することで、用紙403上に所要の画像が形成され、画像が記録された用紙403は排紙ローラ438によって排紙トレイ406に排紙される。
【0126】
このように、この画像形成装置においては、記録ヘッドとして接合品質が高く信頼性が高い本発明に係る液体吐出ヘッドを備えているので、滴吐出特性のバラツキが少なく、高速で、高画質画像を形成することができる。
【0127】
なお、上記実施形態では本発明をプリンタ構成の画像形成装置に適用した例で説明したが、これに限るものではなく、例えば、プリンタ/ファックス/コピア複合機などの画像形成装置に適用することができる。また、狭義のインク以外の液体や定着処理液などを用いる画像形成装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【0128】
1 ノズル板
2 流路部材(流路板)
3 振動板部材
4 圧電アクチュエータ
5 フレーム部材
11 ノズル
12、12A〜12D ノズル列
13 凹部
13A、13B 凹部列
22 液室
22 液室間隔壁
31 振動領域
41 ベース部材
42A、42B、42C、42D 圧電部材
42a 圧電素子柱
233 キャリッジ
234a、234b 記録ヘッド
360、361 圧縮応力を有する膜
411k、411c、411m、411y 記録ヘッド
560、561 引っ張り応力を有する膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレス加工により形成された複数のノズルが配列されたノズル列を複数列有するノズル板と、前記ノズルが連通する液室が形成され、前記ノズル板の液体吐出面とは反対側の面に接合された流路部材とを有する液体吐出ヘッドにおいて、
前記ノズル板は金属板で形成され、
前記金属板の両面には、前記金属板に対し圧縮応力を有する膜が形成され、
前記膜の厚さは、前記流路部材と接合される面側の方が液体吐出面側よりも厚く形成されている
ことを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項2】
前記膜はSiOからなる膜であることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項3】
プレス加工により形成された複数のノズルが配列されたノズル列を複数列有するノズル板と、前記ノズルが連通する液室が形成され、前記ノズル板の液体吐出面とは反対側の面に接合された流路部材とを有する液体吐出ヘッドにおいて、
前記ノズル板は金属板で形成され、
前記金属板の両面には、前記金属板に対し引っ張り応力を有する膜が形成され、
前記膜の厚さは、液体吐出面側の方が前記流路部材と接合される液体吐出面側よりも厚く形成されている
ことを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項4】
前記膜はノズル列間部にのみ形成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
【請求項5】
金属板の一面から複数のノズル列を構成するノズルとなる凹部をプレス加工で形成する工程と、
前記金属板の凹部を形成した面と反対の面に生じた凸部を研磨して前記ノズルを開口する工程と、
前記金属板の前記研磨面側に圧縮応力を有する膜を形成する工程と、
前記金属板の凹部を形成した面側に前記研磨面側の圧縮応力を有する膜と同材料であり、より厚さの厚い圧縮応力を有する膜を形成する工程と、
を行なってノズル板を形成し、
前記ノズル板と前記ノズルが連通する液室を形成する流路部材とを接合する
ことを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法。
【請求項6】
金属板の一面から複数のノズル列を構成するノズルとなる凹部をプレス加工で形成する工程と、
前記金属板の凹部を形成した面と反対の面に生じた凸部を研磨して前記ノズルを開口する工程と、
前記金属板の両面に第1の圧縮応力を有する膜を形成する工程と、
前記凹部を形成した面に第2の圧縮応力を有する膜を形成する工程と、
を行なってノズル板を形成し、
前記ノズル板と前記ノズルが連通する液室を形成する流路部材とを接合する
ことを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法。
【請求項7】
金属板の一面から複数のノズル列を構成するノズルとなる凹部をプレス加工で形成する工程と、
前記金属板の凹部を形成した面と反対の面に生じた凸部を研磨して前記ノズルを開口する工程と、
前記金属板の前記研磨面側に引っ張り応力を有する膜を形成する工程と、
前記金属板の凹部を形成した面側に前記研磨面側の引っ張り応力を有する膜と同材料であり、より厚さの薄い引っ張り応力を有する膜を形成する工程と、
を行なってノズル板を形成し、
前記ノズル板と前記ノズルが連通する液室を形成する流路部材とを接合する
ことを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法。
【請求項8】
金属板の一面から複数のノズル列を構成するノズルとなる凹部をプレス加工で形成する工程と、
前記金属板の凹部を形成した面と反対の面に生じた凸部を研磨して前記ノズルを開口する工程と、
前記金属板の両面に第1の引っ張り応力を有する膜を形成する工程と、
前記研磨した面側に第2の引っ張り応力を有する膜を形成する工程と、
を行なってノズル板を形成し、
前記ノズル板と前記ノズルが連通する液室を形成する流路部材とを接合する
ことを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法。
【請求項9】
請求項1ないし4のいずれかに記載の液体吐出ヘッドを備えていることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−56296(P2012−56296A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−204943(P2010−204943)
【出願日】平成22年9月13日(2010.9.13)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】