説明

液体吐出ヘッド及び画像形成装置

【課題】カバー部材は隣り合うヘッド部間部分の幅が狭くなって、剛性が不足し、ワイピングに伴う負荷、あるいは、用紙ジャムなどによって変形するおそれがある。
【解決手段】液滴を吐出する複数のノズル4が形成されたノズル板51と、各ノズル4が通じる複数の個別流路6を形成する流路板52及び振動板部材53とを有する複数のヘッド部1A〜1Dと、ヘッド部1A〜1Dの個別流路6に液体を供給する共通流路10を形成するフレーム部材55とを備え、フレーム部材55には複数のヘッド部1A〜1Dがノズル配列方向と直交する方向に配列されて保持され、複数のヘッド部1A〜1Dのノズル板51を覆うカバー部材56を有し、カバー部材56は、隣り合うヘッド部1A〜1D間でフレーム部材55に接合されたノズル板51又はフレーム部材55に接合されて、フレーム部材55で保持されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体吐出ヘッド及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ、これらの複合機等の画像形成装置として、例えばインク液滴を吐出する液体吐出ヘッド(液滴吐出ヘッド)からなる記録ヘッドを用いた液体吐出記録方式の画像形成装置として例えばインクジェット記録装置などが知られている。
【0003】
液体吐出ヘッドとしては、複数のヘッド部を共通の部材にノズル配列方向と直交する方向に並べて配列した多列型液体吐出ヘッドが知られている(特許文献1、2)。
【0004】
また、ヘッドのノズル面を覆うノズルカバーを備えることも知られている(特許文献3、4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004―082650号公報
【特許文献2】特開2008−068555号公報
【特許文献3】特開2006−256013号公報
【特許文献4】特許第3731487号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したような多列型液体吐出ヘッドにあっては、ノズル板は歩留まりを考慮すると、各ヘッド部毎に別部材とすることが好ましい。この場合、カバー部材は、各ヘッド部のノズル板のエッジを保護する必要がある。そして、カバー部材のヘッド間部分は、ヘッドサイズを小さくするために、できるだけ幅の狭い方が好ましい。
【0007】
ところが、カバー部材のヘッド間部分の幅を狭くすることは、剛性が不足し、ワイピングに伴う負荷、あるいは、用紙ジャムなどによって変形するおそれがある。一方、カバー部材のヘッド間部分の剛性を高めるために幅を広くすると、ヘッドの小型化を図れない。
【0008】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、多列型ヘッドの小型化を図りつつ、カバー部材の変形を防ぐことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明に係る液体吐出ヘッドは、
少なくとも、液滴を吐出する複数のノズルが形成されたノズル板と、各ノズルが通じる複数の個別流路を形成する流路部材と、を有するヘッド部と、
前記ヘッド部の前記個別流路に液体を供給する共通流路を形成する共通流路部材と、を備え、
前記共通流路部材には複数の前記ヘッド部がノズル配列方向と直交する方向に配列されて保持され、
複数の前記ヘッド部のノズル板を覆うカバー部材を有し、
前記カバー部材は、隣り合うヘッド部間の部分が、前記共通液室部材に接合された前記ノズル部材又は前記共通流路部材に接合されて、前記共通液室部材で保持されている
構成とした。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る液体吐出ヘッドによれば、共通流路部材には複数のヘッド部がノズル配列方向と直交する方向に配列されて保持され、複数のヘッド部のノズル板を覆うカバー部材を有し、カバー部材は、隣り合うヘッド部間の部分が、共通液室部材に接合されたノズル部材又は共通流路部材に接合されて、共通液室部材で保持されている構成としたので、多列型ヘッドの小型化を図りつつ、カバー部材の変形を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1実施形態に係る液体吐出ヘッドのノズル配列方向と直交する方向(液室長手方向)に沿う断面説明図である。
【図2】図1の要部拡大断面説明図である。
【図3】ヘッドのカバー部材側から見た平面説明図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る液体吐出ヘッドヘッドをカバー部材側から見た平面説明図である。
【図5】本発明の第3実施形態に係る液体吐出ヘッドのノズル配列方向と直交する方向(液室長手方向)に沿う断面説明図である。
【図6】本発明の第4実施形態に係る液体吐出ヘッドのフレーム部材とカバー部材との接合部分の説明に供する説明図である。
【図7】本発明の第5実施形態に係る液体吐出ヘッドのフレーム部材とカバー部材との接合部分の拡大説明図である。
【図8】本発明の第6実施形態に係る液体吐出ヘッドのフレーム部材とカバー部材との接合部分の拡大説明図である。
【図9】本発明の第7実施形態に係る液体吐出ヘッドのフレーム部材とカバー部材との接合部分の拡大説明図である。
【図10】本発明の第8実施形態に係る液体吐出ヘッドのフレーム部材とカバー部材との接合部分の拡大説明図である。
【図11】本発明の第9実施形態に係る液体吐出ヘッドのフレーム部材とカバー部材との接合部分の拡大説明図である。
【図12】本発明の第10実施形態に係る液体吐出ヘッドのフレーム部材とカバー部材との接合部分の拡大説明図である。
【図13】本発明の第11実施形態に係る液体吐出ヘッドのフレーム部材とカバー部材との接合部分の拡大説明図である。
【図14】本発明に係る画像形成装置の一例の機構部の側面説明図である。
【図15】同じく要部平面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。まず、本発明の第1実施形態に係る液体吐出ヘッドについて図1ないし図3を参照して説明する。なお、図1は同ヘッドのノズル配列方向と直交する方向(液室長手方向)に沿う断面説明図、図2は図1の要部拡大断面説明図、図3は同ヘッドをカバー部材側から見た平面説明図である。
【0013】
この液体吐出ヘッドは、複数のヘッド部1A〜1D(区別しないときは「ヘッド部1」という。)をノズル配列方向と直交する方向に並べて配列している。各ヘッド部1は、ノズル板51と、流路板52及び振動板部材53(両者を併せて「流路部材」という。)と、各ヘッド部1毎に設けられる圧電アクチュエータ54と、各ヘッド部1A〜1Dに共通の部材であり、各ヘッド部1の共通流路である共通液室10を形成する共通流路部材であるフレーム部材55と、カバー部材56を備えている。
【0014】
ノズル板51には、液滴を吐出する複数のノズル4が形成されている。流路板52にはノズル4が通じる個別流路(以下、「液室」という。)6が形成され、振動板部材53は液室6の一部の壁面を形成している。振動板部材53はフレーム部材55に接着剤で接合されている。
【0015】
流路板52の液室6は、流路板52の端面52aで開口する開口部9、フレーム部材55とカバー部材56と振動板部材53で形成されている液体導入部20、振動板部材53に形成した孔部21を介して共通液室10に通じている。
【0016】
また、振動板部材53の液室6と反対側には圧電アクチュエータ54を構成する柱状の圧電部材12が接合され、圧電部材12はベース部材13に固定されて、駆動信号を印加するためのFPCなどの配線部材15が接続されている。
【0017】
また、フレーム部材55には、各ヘッド部間に隔壁部61が設けられている。
【0018】
カバー部材56は、4つのヘッド部1に対応する開口部56Bが形成され、隣り合う開口部56B、56Bの間をフレーム部材55に保持されるヘッド部間部分56Aとしている。
【0019】
このカバー部材56の開口部56B端部はノズル板51と接合され、ヘッド部間部分56Aは、フレーム部材55の隔壁部61に接着剤70で接合されている。これにより、カバー部材56のヘッド部間部分56Aはフレーム部材55の隔壁部61に保持され、液体導入部20がノズル板51、カバー部材56、フレーム部材55により外部から封止されて形成される。
【0020】
本実施形態では、図3に示すように、カバー部材56のヘッド部間部分56Aは、ノズル4の配列方向の全領域でフレーム部材55の隔壁部61に接着剤70で接合している。
【0021】
このように、カバー部材56のヘッド部間部分56Aがフレーム部材55の隔壁部61に接着剤70で接合されて保持されていることで、ワイピングによる負荷や用紙ジャムによる負荷を受けたときでも、強度が確保されて変形が防止される。
【0022】
これにより、カバー部材56のヘッド部間部分56Aを細長い(幅の狭い)形状とすることができ、多列ヘッドの小型化を図ることができる。
【0023】
次に、本発明の第2実施形態に係る液体吐出ヘッドについて図4を参照して説明する。なお、図4はヘッドのカバー部材側から見た平面説明図である。
【0024】
本実施形態では、カバー部材56のヘッド部間部分56Aは、ノズル4の配列方向の部分的な領域でフレーム部材55の隔壁部61に接着剤70で接合している。この場合は、カバー部材56のヘッド部間部分56Aを挟んだ液体導入部20同士は連通することになるため、カバー部材56のヘッド部間部分56Aを挟んだ2つのノズル列は同じ(同色の)液体を吐出する構成となる。
【0025】
このように構成しても、前記第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0026】
次に、本発明の第3実施形態に係る液体吐出ヘッドについて図5を参照して説明する。なお、図5は同ヘッドのノズル配列方向と直交する方向(液室長手方向)に沿う断面説明図である。
【0027】
本実施形態では、各ヘッド部1のノズル板51のノズル配列方向と直交する方向の端部をフレーム部材55の隔壁部61及び外周壁部62に接着剤で接合している。そして、カバー部材56のヘッド部間部分56Aをヘッド部間でノズル板51,51に接着剤70で接合している。これにより、カバー部材56のヘッド部間部分56Aはフレーム部材55の隔壁部61に保持される。
【0028】
このように構成しても、前記第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。またこのような構成とすることで、フレーム部材55の隔壁部61とカバー部材56とノズル板51を同一箇所で接合することができ、接合信頼性を高く、製造工程も簡略化することができる。
【0029】
次に、本発明の第4実施形態に係る液体吐出ヘッドについて図6を参照して説明する。なお、図6は同ヘッドのフレーム部材とカバー部材との接合部分の拡大説明図である。
【0030】
本実施形態では、前記第1実施形態において、フレーム部材55の隔壁部61の接合面に凹部81を形成している。この凹部81は、フレーム部材55の隔壁部61とカバー部材56のヘッド部間部分56Aとを接合する接着剤70の溜まり部となる。なお、凹部81に代えて凸部を形成することもできる。
【0031】
これにより、余剰の接着剤が不要なところに流れ出すことが防止でき、接着品質(接合品質)のばらつきを小さくすることができる。また、余剰接着剤のノズル面への流れ出しを防止することができる。
【0032】
次に、本発明の第5実施形態に係る液体吐出ヘッドについて図7を参照して説明する。なお、図7は同ヘッドのフレーム部材とカバー部材との接合部分の拡大説明図である。
【0033】
本実施形態では、前記第1実施形態において、カバー部材56のヘッド部間部分56Aを外方に突出変形させて凹部82を形成している。この凹部82は、フレーム部材55の隔壁部61とカバー部材56のヘッド部間部分56Aとを接合する接着剤70の溜まり部となる。
【0034】
これにより、余剰の接着剤が不要なところに流れ出すことが防止でき、接着品質(接合品質)のばらつきを小さくすることができる。また、余剰接着剤のノズル面への流れ出しを防止することができる。
【0035】
なお、カバー部材に凹凸を設ける構成としても、同様の作用効果を得ることができ、また複数の凹凸を設けることで接合力を向上することも可能となる。
【0036】
次に、本発明の第6実施形態に係る液体吐出ヘッドについて図8を参照して説明する。なお、図8は同ヘッドのフレーム部材とカバー部材との接合部分の拡大説明図である。
【0037】
本実施形態では、前記第3実施形態において、隣り合うヘッド部1のノズル板51の端部を、フレーム部材55の隔壁部61とカバー部材56のヘッド部間部分56Aとの間に挟み、隣り合うヘッド部1のノズル板51、51間を含めて接着剤70を充填して接合している。
【0038】
このように、ヘッド部1のノズル板51の端部をフレーム部材55とカバー部材56との間に挟みこむことによって、カバー部材56はもちろん、ノズル板51の固定力も向上させることができる。特に、ノズル板51は、表面が撥水膜に覆われているため、接着剤が濡れにくいため、別部材で挟みこむ構造はシール性の向上に有効である。
【0039】
次に、本発明の第7実施形態に係る液体吐出ヘッドについて図9を参照して説明する。なお、図9は同ヘッドのフレーム部材とカバー部材との接合部分の拡大説明図である。
【0040】
本実施形態では、前記第6実施形態において、隣り合うヘッド部1のノズル板51、51間に接着剤70を充填しない領域を設けている。つまり、隣り合うヘッド部1のノズル板51の端部とフレーム部材55の隔壁部61とを接着剤70で接合し、また、隣り合うヘッド部1のノズル板51の端部とカバー部材56のヘッド部間部分56Aとを接着剤70で接合している。
【0041】
このように構成しても、前記第6実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0042】
次に、本発明の第8実施形態に係る液体吐出ヘッドについて図10を参照して説明する。なお、図10は同ヘッドのフレーム部材とカバー部材との接合部分の拡大説明図である。
【0043】
本実施形態は、前記第6実施形態において、前記第4実施形態と同様に、フレーム部材55の隔壁部61に凹部81を形成したものである。
【0044】
次に、本発明の第9実施形態に係る液体吐出ヘッドについて図11を参照して説明する。なお、図11は同ヘッドのフレーム部材とカバー部材との接合部分の拡大説明図である。
【0045】
本実施形態は、前記第7実施形態において、フレーム部材55の隔壁部61及びカバー部材56のヘッド部間部分56Aのうちの、ノズル板51と接合しない領域には接着剤70を塗布しないようにしている。
【0046】
次に、本発明の第10実施形態に係る液体吐出ヘッドについて図12を参照して説明する。なお、図12は同ヘッドのフレーム部材とカバー部材との接合部分の拡大説明図である。
【0047】
本実施形態では、フレーム部材55の隔壁部61とカバー部材56のヘッド部間部分56Aを接合するための接着剤70を、カバー部材56とノズル板51の隙間から入り込ませ、ノズル板51のノズル面までせり出させている(はみ出させている)。この場合、せり出し量(はみ出し量)をコントロールするためには、接着剤70をせり出させる(はみ出させる)領域のみを親水性(親液性)にしておくことで達成できる。
【0048】
このように、カバー部材56からノズル板51に向けて接着剤70をせり出させる、つまり、ヘッド部間部分56Aのノズル配列方向と直交する方向の幅よりも接着剤70をはみ出させることによって、カバー部材56とノズル板51の隙間への液体の侵入を防ぐことができ、信頼性が向上する。また、カバー部材56とノズル板51との急な段差を接着剤70によって低減してなだらかにできるため、液体が溜まりにくくなり、ノズル面の清浄度を維持しやすくなる。
【0049】
次に、本発明の第11実施形態に係る液体吐出ヘッドについて図13を参照して説明する。なお、図13は同ヘッドのフレーム部材とカバー部材との接合部分の拡大説明図である。
本実施形態は、前記第6実施形態に前記第11実施形態を適用して、ノズル板51の端部がフレーム部材55とカバー部材56に挟まれている構成において、接着剤70がフレーム部材55とカバー部材56の幅方向端部からはみ出している構造としたものである。
【0050】
このように構成しても前記第6実施形態と第11実施形態を併せた作用効果が得られる。
【0051】
次に、本発明に係る液体吐出ヘッドを備える本発明に係る画像形成装置の一例について図14及び図15を参照して説明する。なお、図14は同装置の機構部の側面説明図、図15は同じく要部平面説明図である。
この画像形成装置はシリアル型画像形成装置であり、左右の側板221A、221Bに横架したガイド部材である主従のガイドロッド231、232でキャリッジ233を主走査方向に摺動自在に保持し、図示しない主走査モータによってタイミングベルトを介して矢示方向(キャリッジ主走査方向)に移動走査する。
【0052】
このキャリッジ233には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色のインク滴を吐出するための本発明に係る液体吐出ヘッドからなる記録ヘッド234を欠くヘッド部1A〜1Dの複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。記録ヘッド234は、各ヘッド部1A〜1Dからイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の液滴をそれぞれ吐出する。
【0053】
また、キャリッジ233には、記録ヘッド234の各ヘッド部1A〜1Dに各色のインクを供給するための各色のヘッドタンク235を搭載している。各ヘッドタンク235には各色の供給チューブ236を介して、供給ユニット224によって各色のインクカートリッジ210から各色のインクが補充供給される。
【0054】
一方、給紙トレイ202の用紙積載部(圧板)241上に積載した用紙242を給紙するための給紙部として、用紙積載部241から用紙242を1枚ずつ分離給送する半月コロ(給紙コロ)243及び給紙コロ243に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド244を備え、この分離パッド244は給紙コロ243側に付勢されている。
【0055】
そして、この給紙部から給紙された用紙242を記録ヘッド234の下方側に送り込むために、用紙242を案内するガイド部材245と、カウンタローラ246と、搬送ガイド部材247と、先端加圧コロ249を有する押さえ部材248とを備えるとともに、給送された用紙242を静電吸着して記録ヘッド234に対向する位置で搬送するための搬送手段である搬送ベルト251を備えている。
【0056】
この搬送ベルト251は、無端状ベルトであり、搬送ローラ252とテンションローラ253との間に掛け渡されて、ベルト搬送方向(副走査方向)に周回するように構成している。また、この搬送ベルト251の表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ256を備えている。この帯電ローラ256は、搬送ベルト251の表層に接触し、搬送ベルト251の回動に従動して回転するように配置されている。この搬送ベルト251は、図示しない副走査モータによってタイミングを介して搬送ローラ252が回転駆動されることによってベルト搬送方向に周回移動する。
【0057】
さらに、記録ヘッド234で記録された用紙242を排紙するための排紙部として、搬送ベルト251から用紙242を分離するための分離爪261と、排紙ローラ262及び排紙コロ263とを備え、排紙ローラ262の下方に排紙トレイ203を備えている。
【0058】
また、装置本体の背面部には両面ユニット271が着脱自在に装着されている。この両面ユニット271は搬送ベルト251の逆方向回転で戻される用紙242を取り込んで反転させて再度カウンタローラ246と搬送ベルト251との間に給紙する。また、この両面ユニット271の上面は手差しトレイ272としている。
【0059】
さらに、キャリッジ233の走査方向一方側の非印字領域には、記録ヘッド234のノズルの状態を維持し、回復するための維持回復機構281を配置している。この維持回復機構281には、記録ヘッド234の各ノズル面をキャピングするための各キャップ部材(以下「キャップ」という。)282a、282b(区別しないときは「キャップ282」という。)と、ノズル面をワイピングするためのブレード部材であるワイパーブレード283と、増粘したインクを排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け284などを備えている。
【0060】
また、キャリッジ233の走査方向他方側の非印字領域には、記録中などに増粘したインクを排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け288を配置し、この空吐出受け288には記録ヘッド234のノズル列方向に沿った開口部289などを備えている。
【0061】
このように構成したこの画像形成装置においては、給紙トレイ202から用紙242が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙242はガイド部材245で案内され、搬送ベルト251とカウンタローラ246との間に挟まれて搬送され、更に先端を搬送ガイド部材247で案内されて先端加圧コロ249で搬送ベルト251に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。
【0062】
このとき、帯電ローラ256に対してプラス出力とマイナス出力とが交互に繰り返すように、つまり交番する電圧が印加され、搬送ベルト251が交番する帯電電圧パターン、すなわち、周回方向である副走査方向に、プラスとマイナスが所定の幅で帯状に交互に帯電されたものとなる。このプラス、マイナス交互に帯電した搬送ベルト251上に用紙242が給送されると、用紙242が搬送ベルト251に吸着され、搬送ベルト251の周回移動によって用紙242が副走査方向に搬送される。
【0063】
そこで、キャリッジ233を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド234を駆動することにより、停止している用紙242にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙242を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号又は用紙242の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙242を排紙トレイ203に排紙する。
【0064】
このように、この画像形成装置では本発明に係る液体吐出ヘッドを記録ヘッドとして備えているので、装置の小型化を図れ、高速で高画質画像を形成することができる。
【0065】
なお、本願において、「用紙」とは材質を紙に限定するものではなく、OHP、布、ガラス、基板などを含み、インク滴、その他の液体などが付着可能なものの意味であり、被記録媒体、記録媒体、記録紙、記録用紙などと称されるものを含む。また、画像形成、記録、印字、印写、印刷はいずれも同義語とする。
【0066】
また、「画像形成装置」は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体に液体を吐出して画像形成を行う装置を意味し、また、「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与すること(単に液滴を媒体に着弾させること)をも意味する。
【0067】
また、「インク」とは、特に限定しない限り、インクと称されるものに限らず、記録液、定着処理液、液体などと称されるものなど、画像形成を行うことができるすべての液体の総称として用い、例えば、DNA試料、レジスト、パターン材料、樹脂なども含まれる。
【0068】
また、「画像」とは平面的なものに限らず、立体的に形成されたものに付与された画像、また立体自体を三次元的に造形して形成された像も含まれる。
【0069】
また、画像形成装置には、特に限定しない限り、シリアル型画像形成装置及びライン型画像形成装置のいずれも含まれる。
【符号の説明】
【0070】
1、1A〜1D ヘッド部
4 ノズル
6 個別流路
9 開口部
10 共通液室
51 ノズル板
52 流路板
53 振動板部材
54 圧電アクチュエータ
55 フレーム部材(共通流路部材)
56 カバー部材
61 隔壁部
70 接着剤
233…キャリッジ
234…記録ヘッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、液滴を吐出する複数のノズルが形成されたノズル板と、各ノズルが通じる複数の個別流路を形成する流路部材と、を有するヘッド部と、
前記ヘッド部の前記個別流路に液体を供給する共通流路を形成する共通流路部材と、を備え、
前記共通流路部材には複数の前記ヘッド部がノズル配列方向と直交する方向に配列されて保持され、
複数の前記ヘッド部のノズル板を覆うカバー部材を有し、
前記カバー部材は、隣り合うヘッド部間の部分が、前記共通液室部材に接合された前記ノズル部材又は前記共通流路部材に接合されて、前記共通液室部材で保持されている
ことを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項2】
前記共通流路部材及び前記カバー部材の少なくともいずれかの接合面には凹部及び凸部の少なくともいずれかが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項3】
前記共通流路部材と前記カバー部材との間に前記ノズル板が挟まれて接合されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項4】
前記共通流路部材と前記カバー部材とを接合する接着剤が前記カバー部材からはみ出して前記ノズル板の吐出面側との段差を埋めていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の液体吐出ヘッドを備えていることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−59933(P2013−59933A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−200289(P2011−200289)
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】