説明

液体吐出装置及び液体吐出装置の製造方法

【課題】液体吐出装置において、ヘッドホルダに取り付けられた、液体吐出面を保護するための保護枠を、ヘッドホルダから外れにくくする。
【解決手段】ノズルガイド40は、保護枠41の走査方向に関する両端部にそれぞれ連なる固定部42を有している。固定部42は、鉛直方向に延びたヘッドホルダ26の側面32に沿って延びており、その上端部が、側面32と、連結部34によって側面32と連結されたかしめ部33との間に位置している。固定部42の上端部のかしめ部33側の面には、突起45が形成されている。かしめ部33は、熱かしめにより溶けて、突起45の上方及び下方に回り込むように延びており、これにより、固定部42が、かしめ部33と連結されたヘッドホルダ26の側面32に固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズルから液体を吐出する液体吐出装置、及び、液体吐出装置の製造方法に関する。
【0002】
ノズルから液体を吐出する液体吐出装置として、特許文献1には、搬送ローラにより搬送される記録用紙に、インクジェットヘッドのノズルからインクを吐出することによって、記録用紙に画像の記録を行う画像記録装置が記載されている。特許文献1に記載の画像記録装置においては、ノズルが開口したノズル面(液体吐出面)を保護するためのノズルガイド(保護枠)が、接着剤によって、インクジェットヘッドを保持するキャリッジ(ヘッドホルダ)の下側に取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−119652号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、一般に、搬送機構によって搬送される記録用紙にインクを吐出して画像の記録を行う画像記録装置においては、記録用紙が正常に搬送されずに紙詰まりが生じることがある。特許文献1に記載の画像記録装置では、紙詰まりが生じたときに、記録用紙がノズルガイドとキャリッジとの間にくることがあり得る。一方、特許文献1に記載されているように、ノズルガイドが接着剤によってキャリッジの下側に取り付けられている場合、どうしても接着剤の塗布にむらが生じる。そのため、特許文献1に記載の画像記録装置では、紙詰まりが生じて記録用紙がノズルガイドとキャリッジとの間にくると、記録用紙によって、ノズルガイドがキャリッジとの接着力の弱い部分から剥がされ、ノズルガイドがキャリッジから外れてしまう虞がある。
【0005】
本発明の目的は、保護枠がヘッドホルダから外れにくい液体吐出装置及び液体吐出装置の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明に係る液体吐出装置は、ノズルが開口し、被吐出媒体と対向する液体吐出面を備えた液体吐出ヘッドと、前記液体吐出面を露出させた状態で前記液体吐出ヘッドを保持するヘッドホルダと、前記液体吐出面と直交する第1方向から見て前記液体吐出面を取り囲むように配置されているとともに、前記第1方向に関して前記液体吐出面よりも前記被吐出媒体側に突出した保護枠と、を備え、前記ヘッドホルダは、前記第1方向に沿って延びた壁面と、前記壁面と対向するように配置されたかしめ部と、前記壁面と前記かしめ部とを連結する連結部と、を備え、前記保護枠には、その外周端に連なっているとともに前記壁面と前記かしめ部との間に位置するように延びた、前記保護枠を前記ヘッドホルダに固定するための固定部が設けられ、前記固定部の前記かしめ部側の面には、突起が形成されており、前記かしめ部は、前記第1方向に関する長さが、前記突起の前記第1方向に関する長さよりも長くなっており、熱かしめによって前記突起の周囲に回り込むことで、前記固定部を前記壁面に固定していることを特徴とする。
【0007】
本発明によると、突起を覆うように配置されたかしめ部が、熱かしめによって固定部の突起の周囲に回り込むことによって、保護枠がヘッドホルダの壁面に固定されるため、保護枠がヘッドホルダから外れてしまうことを防止することができる。
【0008】
第2の発明に係る液体吐出装置は、第1の発明に係る液体吐出装置において、前記固定部は、その先端部に切り欠きが形成されていることにより、先端部において2つの部分に分かれており、これら2つの部分の前記かしめ部側の面に、それぞれ、前記突起が形成されており、前記かしめ部は、前記固定部の前記2つの部分に形成された突起にまたがって延びており、前記連結部が、前記切り欠きを通って、前記固定部の前記壁面と反対側まで延びて前記かしめ部に接続されていることを特徴とする。
【0009】
本発明によると、ヘッドホルダの壁面とかしめ部とを連結させる連結部を、固定部の外側から回り込ませることなく、固定部のヘッドホルダと反対側まで延ばすことができる。
【0010】
第3の発明に係る液体吐出装置は、第2の発明に係る液体吐出装置において、前記かしめ部と前記連結部とは、前記ヘッドホルダと同じ材料からなり、前記第1方向に関する長さが同じになっていることを特徴とする。
【0011】
本発明によると、かしめ部及び連結部を容易に作製することができる。
【0012】
第4の発明に係る液体吐出装置は、第1〜第3のいずれかの発明に係る液体吐出装置において、前記かしめ部は、前記第1方向と直交し且つ前記壁面と平行な第2方向に関する長さが、前記固定部よりも長くなっていることにより、前記突起の全体を覆っていることを特徴とする。
【0013】
本発明によると、固定部の突起がかしめ部により完全に覆われるため、固定部を確実に壁面に固定することができる。
【0014】
第5の発明に係る液体吐出装置は、第1〜第4のいずれかの発明に係る液体吐出装置において、前記液体吐出面に接触した状態で、前記液体吐出面に沿った拭き取り方向に前記液体吐出ヘッドと相対移動することによって、前記液体吐出面に付着した液体を拭き取るワイパをさらに備え、前記保護枠は、前記固定部を複数有しており、前記複数の固定部が、前記保護枠の前記拭き取り方向に関する両端部にそれぞれ連なっており、前記保護枠の被吐出媒体と対向する面と、この面に連なる前記固定部の前記かしめ部側の面とが、滑らかにつながっていることを特徴とする。
【0015】
ワイパと液体吐出ヘッドとを拭き取り方向に相対移動させて液体吐出面の拭き取りを行う際に、ワイパが、固定部及び保護枠の滑らかにつながった面を順に案内されつつ移動して液体吐出面と接触する位置に到達し、保護枠及び固定部の滑らかにつながった面を順に案内されつつ移動して液体吐出面から離れるため、ワイパが急激に変形してワイパに付着した液体が飛び散ってしまうのを防止することができる。
【0016】
第6の発明に係る液体吐出装置は、第1〜第5のいずれかの発明に係る液体吐出装置において、前記液体吐出面と対向する位置において、前記被吐出媒体を、前記第1方向及び前記第2方向と直交する第3方向に搬送する搬送機構と、前記第3方向に関して前記ノズルよりも上流側に配置されており、前記液体吐出面側への前記被吐出媒体の浮き上がりを押さえる押さえ部材と、をさらに備え、前記保護枠が、前記第1方向から見て、前記第3方向に延びた第1対向辺、及び、前記第2方向に延びた第2対向辺とによって構成される矩形の枠であり、前記保護枠は、成形によって作製されたものであって、被吐出媒体との対向面と反対側の面のうち、前記第2対向辺のうち少なくとも前記第3方向に関する上流側の辺となる部分に、前記被吐出媒体と反対側に突出しているとともに、その全長にわたって連続的に延びたリブが形成されており、前記固定部は、前記保護枠の前記第1対向辺となる部分に連なっていることを特徴とする。
【0017】
被吐出媒体を押さえる押さえ部材は、被吐出媒体から押し返されて、液体吐出面側に変位することがある。しかしながら、本発明では、保護枠が、第3方向に延びた第1対向辺、及び、第2方向に延びた第2対向辺からなる矩形の枠であり、被吐出媒体との対向面と反対側の面のうち、第2対向辺の第3方向に関する上流側の辺となる部分に、被吐出媒体と反対側に突出しているとともに、当該辺に沿って連続的に延びたリブが設けられたものである。また、保護枠が、成形によって作製されたものである。したがって、保護枠は、ヘッドホルダに取り付ける前の状態では、第2対向辺の長さ方向に沿って、対向面と反対側に凹むように湾曲しており、熱かしめによってかしめ部を突起の周囲に回り込ませることで、固定部を壁面に固定すると、固定部に、かしめ部から第2方向に関する内向きの力が加わり、この力によって、湾曲していた保護枠が平坦になる。したがって、保護枠が被吐出媒体側に浮き上がらず、押さえ部材が、被吐出媒体から押し返されて、前記液体吐出面側に変位したときに、押さえ部材が保護枠に接触してしまうのを防止することができる。
【0018】
第7の発明に係る液体吐出装置の製造方法は、第1〜第6のいずれかの発明に係る液体吐出装置の製造方法であって、前記かしめ部を熱かしめによって前記突起の周囲に回り込ませることで、前記固定部を前記壁面に固定して、前記保護枠を前記ヘッドホルダに取り付ける取り付け工程を備えていることを特徴とする。
【0019】
本発明によると、突起を覆うように配置されたかしめ部が熱かしめによって固定部の突起の周囲に回り込むことで、保護枠がヘッドホルダの壁面に固定されるため、保護枠がヘッドホルダから外れてしまうことを防止することができる。
【0020】
第8の発明に係る液体吐出装置の製造方法は、第7の発明に係る液体吐出装置の製造方法において、前記液体吐出装置が、前記液体吐出面と対向する位置において、前記被吐出媒体を、前記第1方向及び前記第1方向と直交し且つ前記壁面と平行な第2方向と直交する第3方向に搬送する搬送機構をさらに備え、前記保護枠は、前記固定部を複数有しており、前記複数の固定部が、前記保護枠の前記第2方向に関する両端部に連なるものであって、前記取り付け工程において、前記固定部を前記第2方向に押し広げた状態で、前記かしめ部を熱かしめによって前記突起の周囲に回り込ませることで、前記固定部を前記壁面に固定することを特徴とする。
【0021】
保護枠とヘッドホルダとの間に隙間があると、この隙間に被吐出媒体が入り込んでしまう虞がある。しかしながら、本発明によると、固定部を、第2方向に押し広げると、保護枠は、被吐出媒体との対向面と反対側に凹むように湾曲し、この状態で、かしめ部を熱かしめによって突起の周囲に回り込ませることで、固定部を壁面に固定すると、固定部に、かしめ部から第2方向に関する内向きの力が加わり、この力により、湾曲していた保護枠が平坦になる。その結果、保護枠とヘッドホルダとの間に隙間ができず、保護枠とヘッドホルダとの間にシート状の被吐出媒体が入り込んでしまうのを防止することができる。
【0022】
第9の発明に係る液体吐出装置の製造方法は、第7の発明に係る液体吐出装置の製造方法において、前記液体吐出装置が、前記液体吐出面と対向する位置において、前記被吐出媒体を、前記第1方向及び前記第1方向と直交し且つ前記壁面と平行な第2方向と直交する第3方向に搬送する搬送機構をさらに備え、前記保護枠が、前記第1方向から見て、前記第3方向に延びた第1対向辺、及び、前記第2方向に延びた第2対向辺とによって構成される矩形の枠であり、前記固定部が、前記保護枠の前記第1対向辺となる部分に連なっているとともに、前記保護枠に連なる部分から、前記保護枠の前記被記録媒体との対向面と反対側に延びたものであって、前記保護枠の前記第2対向辺となる部分が、その長さ方向に沿って、その長さ方向に沿って、前記対向面となる面と反対側に凹むように湾曲した前記保護枠を作製する保護枠作製工程、をさらに備え、前記取り付け工程において、前記保護枠作製工程において作製した保護枠を前記ヘッドホルダに取り付けることを特徴とする。
【0023】
保護枠とヘッドホルダとの間に隙間があると、この隙間に被吐出媒体が入り込んでしまう虞がある。しかしながら、本発明によると、保護枠が、液体吐出面と直交する方向から見て第3方向に延びた第1対向辺、及び、第2方向に延びた第2対向辺によって構成される矩形の枠であり、固定部が第1対向辺となる部分に連なっているとともに、ヘッドホルダに取り付けられる前の状態で、第2対向辺の長さ方向に沿って対向面と反対側に凹むように湾曲しているため、熱かしめによりかしめ部を突起の周囲に回り込ませて固定部を壁面に固定すると、固定部に、かしめ部から第2方向に関する内向きの力が加わり、この力により、湾曲していた保護枠が平坦になる。その結果、保護枠とヘッドホルダとの間に隙間ができず、保護枠とヘッドホルダとの間にシート状の被吐出媒体が入り込んでしまうのを防止することができる。
【0024】
第10の発明に係る液体吐出装置の製造方法は、第9の発明に係る液体吐出装置の製造方法において、前記保護枠の前記対向面と反対側の面のうち、前記第2対向辺のうち少なくとも前記第3方向に関する上流側の辺となる部分に、前記被吐出媒体と反対側に突出しているとともに、その全長にわたって連続的に延びたリブが形成されたものであって、
前記保護枠作製工程において、成形によって前記保護枠に前記リブが形成された前記保護枠を作製することを特徴とする。
【0025】
本発明によると、第2対向辺の対向面と反対側の面に、被吐出媒体と反対側に突出しており、第2対向辺のうち少なくとも第3方向に関する上流側の辺に沿って連続的に延びたリブが設けられたものである場合、成形により保護枠を作製することにより、第2対向辺の長さ方向に沿って対向面と反対側に凹むように湾曲した保護枠を作製することができる。
【0026】
第11の発明に係る液体吐出装置の製造方法は、第8〜第10の発明に係る液体吐出装置の製造方法において、前記液体吐出装置が、前記第3方向に関して前記ノズルよりも上流側に配置されており、前記液体吐出面側への前記被吐出媒体の浮き上がりを押さえる押さえ部材をさらに備えたものであることを特徴とする。
【0027】
本発明によると、ヘッドホルダに固定された保護枠の、第2対向辺のうち少なくとも第3方向に関する上流側の辺となる部分が平坦となるため、被吐出媒体を押さえる押さえ部材が、被吐出媒体から押し返されて、前記液体吐出面側に変位したときに、押さえ部材が保護枠に接触してしまうのを防止することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、突起を覆うように配置されたかしめ部が、熱かしめによって固定部の突起の周囲に回り込むことによって、保護枠がヘッドホルダの壁面に固定されるため、保護枠がヘッドホルダから外れてしまうことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施の形態に係るプリンタの概略構成図である。
【図2】図1を矢印IIの方向から見た図である。
【図3】(a)が図2を矢印IIIの方向から見た図であり、(b)が(a)のワイパによる拭き取り時の状態を示す図である。
【図4】図2を矢印IVの方向から見た図である。
【図5】ノズルガイドの詳細な構成を示す斜視図であり、(a)がヘッドホルダに取り付けられる向きに配置された状態、(b)が(a)とは上下を逆にした状態を示している。
【図6】ノズルガイドの固定部がヘッドホルダに固定された状態を示す図である。
【図7】(a)が図6を矢印VIIの方向から見た図であり、(b)が(a)を矢印Bの方向から見た図であり、(c)が(a)を矢印Cの方向から見た図である。
【図8】(a)が成形によって作製された、ヘッドホルダに取り付ける前のノズルガイドの構成を示す図であり、(b)がノズルガイドをヘッドホルダに固定する直前の状態を示す図である。
【図9】(a)がノズルガイドの固定部を、ヘッドホルダの鉛直面とかしめ部との間に配置させる直前の状態を示す図であり、(b)が固定部をヘッドホルダの鉛直面とかしめ部との間に配置した状態を示す図である。
【図10】一変形例におけるノズルガイドとヘッドホルダを示す図であり、(a)がノズルガイドをヘッドホルダに取り付ける前の状態、(b)が熱かしめの直前の状態、(c)が熱かしめ後の状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0031】
図1、図2に示すように、本実施の形態に係るプリンタ1(液体吐出装置)は、キャリッジ2、インクジェットヘッド3(液体吐出ヘッド)、用紙搬送ローラ4(搬送機構)、プラテン5、コルゲート6(押さえ部材)、ワイパ7などを備えている。
【0032】
キャリッジ2は、2本のガイドレール11に沿って走査方向(図1の左右方向、第2方向)に往復移動する。インクジェットヘッド3は、キャリッジ2に搭載されており、その下面である水平に延びたインク吐出面3a(液体吐出面、図3参照)に開口した複数のノズル15からインクを吐出する。ここで、インクジェットヘッド3は、4本のチューブ12を介して、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタのインクがそれぞれ充填され4つのインクカートリッジ13と接続されており、インクジェットヘッド3は、複数のノズル15から、これら4色のインクを吐出する。
【0033】
用紙搬送ローラ4は、インク吐出面3aと対向する位置において、記録用紙P(被吐出媒体)を走査方向と直交する搬送方向(図1の下方、第3方向)に搬送する。プラテン5は、インクジェットヘッド3の下方にインク吐出面3aと対向するように配置されており、用紙搬送ローラ4によって搬送される記録用紙Pを下方から支持する。コルゲート6は、プラテン5の上面の、ノズル15よりも搬送方向に関する上流側に位置する部分と対向するように配置された板状の部材であり、用紙搬送ローラ4によって搬送される記録用紙Pが上方(インク吐出面3a側)に浮き上がらないように、記録用紙Pを上方から押さえている。
【0034】
そして、プリンタ1においては、用紙搬送ローラ4によって搬送方向に搬送される記録用紙Pに、キャリッジ2とともに走査方向に往復移動するインクジェットヘッド3から、インクを吐出することによって、記録用紙Pに印刷を行う。
【0035】
ワイパ7は、記録用紙Pが用紙搬送ローラ4に搬送される領域よりも図1の左側に配置されており、インクジェットヘッド3がワイパ7と対向する位置までキャリッジ2を移動させると、ワイパ7の先端部がインク吐出面3aに接触する。この状態で、キャリッジ2を走査方向に移動させると、ワイパ7がインク吐出面3aに対して走査方向(拭き取り方向)に相対移動し、これにより、インク吐出面3aに付着したインクなどがワイパ7によって拭き取られる。なお、このときのワイパ7の動きについては、後程詳細に説明する。
【0036】
次に、インクジェットヘッド3及びその周辺の構成について説明する。インクジェットヘッド3は、流路ユニット21とFE(Front End)ユニット22とを備えている。流路ユニット21は、インク流路となる貫通孔や凹部が形成された略矩形のプレートが上下に複数枚積層されることによって形成されており、内部にノズル15などのインク流路が形成されている。
【0037】
FEユニット22は、インク流路内のインクに吐出エネルギーを付与するための図示しないアクチュエータ、アクチュエータを駆動するためのICが実装された図示しないCOF(Chip On Film)、インクカートリッジ13から供給されたインクを貯留する図示しないサブタンク、このサブタンクと流路ユニット21を連結するためのFEプレートなどを備えている。FEユニット22のうちアクチュエータとFEプレートは、流路ユニット21の上面に接合されており、さらに、FEプレートは、走査方向及び搬送方向に関する両側に、それぞれ、流路ユニット21よりも外側まで延びている。
【0038】
インクジェットヘッド3は、キャリッジ2に設けられたヘッドホルダ26に取り付けられている。ヘッドホルダ26は、合成樹脂材料からなり、走査方向及び搬送方向に関して、インクジェットヘッド3よりも外側まで延びている。インクジェットヘッド3は、ヘッドホルダ26の下端部に取り付けられることによってヘッドホルダ26に保持されており、ヘッドホルダ26に保持されたインクジェットヘッド3は、インク吐出面3aが下方に露出している。
【0039】
また、ヘッドホルダ26の走査方向に関する両側の側面32(壁面)は、それぞれ、インク吐出面3aと直交する上下方向(第1方向)に延びている。また、ヘッドホルダ26は、4つのかしめ部33を備えている。4つのかしめ部33は、その2つずつが、搬送方向に間隔をあけて、各側面32と対向するように配置されている。また、各かしめ部33は、搬送方向(第3方向)に延びており、連結部34により側面32と連結されている。
【0040】
連結部34は、走査方向に延びており、その両端部が、それぞれ、ヘッドホルダ26の側面32、及び、かしめ部33の搬送方向に関する略中央部に接続されている。これにより、かしめ部33は、連結部34と接続された部分から、搬送方向の両側に延びている。また、かしめ部33は、後述するように熱かしめされる前の状態で、その上下方向に関する長さH1(図9(a)参照)が、連結部34の上下方向に関する長さH2(図9(a)参照)とほぼ同じとなっている。
【0041】
また、かしめ部33や連結部34などを備えたヘッドホルダ26は、例えば成形によって作製されたものであり、かしめ部33や連結部34は、ヘッドホルダ26と同じ材料からなる。
【0042】
また、本実施の形態では、インクジェットヘッド3に対して、インク吐出面3aを保護するためのノズルガイド40が設けられている。ノズルガイド40は、合成樹脂材料からなり、保護枠41と4つの固定部42とを備えている。
【0043】
保護枠41は、図3〜図5に示すように、平面視で(第1方向から見て)、略矩形の枠であり、搬送方向と平行な2本の対向辺(第1対向辺)となる2つの第1対向部51aと、走査方向と平行な2本の対向辺(第2対向辺)となる2つの第2対向部51bとによって構成されている。保護枠41は、平面視でインク吐出面3aを取り囲むように配置されているとともに、インク吐出面3aよりも下側(記録用紙P側)に突出するように配置されており、その下面51a1、51b1(対向面)が、それぞれ、記録用紙Pと対向している。そして、保護枠41が設けられていることにより、記録用紙Pが上方に浮き上がっても、記録用紙Pはインク吐出面3aよりも下側に突出した保護枠41に接触し、インク吐出面3aには接触しない。これにより、インク吐出面3aが保護枠41によって保護されている。
【0044】
また、第1対向部51a及び第2対向部51bの上面(ヘッドホルダ26側の面)には、それぞれ、その外周に沿って、上方(記録用紙Pと反対側)に突出した補強のためのリブ52a、52bが形成されている。ただし、走査方向に延びた第2対向部51bの上面(下面51b1と反対側の面)に形成されたリブ52bは、第2対向部51bの全長にわたって連続的に延びているのに対して、搬送方向に延びた第1対向部51aの上面に形成されたリブ52aは、途中の複数個所において途切れている。
【0045】
4つの固定部42は、保護枠41の2つの搬送方向に延びた第1対向部51aに、それぞれ、その2つずつが設けられており、部分51の外周端に連なっているとともに、上方に折れ曲がって側面32に沿って延びており(下面51b1と反対側に延びており)、その上端部が側面32とかしめ部33との間に位置している。
【0046】
ここで、固定部42は、上記のとおり上方に折れ曲がっているが、図3(a)に示すように、第1対向部51aの下面51a1と、下面51a1と連続する固定部42の面42aとは滑らかにつながっている。これにより、キャリッジ2を走査方向の一方向(例えば図3の左方)に移動させて、インク吐出面3aのインクなどをワイパ7により拭き取る際に、ワイパ7は、図3(b)に示すように、滑らかにつながった固定部42の面42a及び第1対向部51aの下面51a1に沿って案内されつつ移動して、インク吐出面3aと接触する位置に到達する。また、インク吐出面3aの拭き取りが完了したワイパ7は、滑らかにつながった第1対向部51aの下面51a1及び固定部42の面42aに案内されつつ移動してインク吐出面3aから離れる。
【0047】
また、固定部42の上端部には、搬送方向に関する略中央部に、先端が開口した切り欠き43が形成されており、これにより、固定部42の上端部は、切り欠き43を挟んで搬送方向に並んだ2つの部分44に分かれている。そして、側面32と対向する固定部42の上端部は、連結部34が切り欠き43内にくるように配置されている。連結部34は、側面32との接続部分から切り欠き43を通って、固定部42を挟んだ側面32と反対側まで延びている。また、固定部42がこのように配置されることにより、上記2つの部分44は、側面32とかしめ部33との間に位置している。
【0048】
2つの部分44には、それぞれ、面42aの一部であるかしめ部33側の面に、突起45が形成されている。突起45は、搬送方向に関して部分44の全長にわたって延びているが、上下方向に関する長さH3は、後述する熱かしめ前における、かしめ部33の上下方向に関する長さH1(図9参照)よりも短くなっている。また、かしめ部33は、固定部42の2つの部分44にまたがって延びているとともに、搬送方向に関する長さW1(図7(a)参照)が、固定部42の搬送方向に関する長さW2(図7(a)参照)よりも長くなっていることにより、搬送方向に関して固定部42よりも外側まで延びている。これにより、突起45は、側面32と直交する方向から見て、完全にかしめ部33に覆われている。
【0049】
そして、かしめ部33は、熱かしめによって溶けて、その上端部及び下端部が、それぞれ、突起45の上方及び下方(突起45の周囲)に回り込むように延びており、これにより、固定部42が、連結部34を介してかしめ部33と連結された側面32に固定される。なお、かしめ部33は、熱かしめにより突起45の上方及び下方に回り込むことにより、熱かしめ前よりも上下方向に関する長さが短くなるが、突起45の上方及び下方に回り込んでいることからわかるように、この状態でも、かしめ部33の上下方向に関する長さは、突起45の上下方向に関する長さH3(図9(a)参照)よりも長くなっている。
【0050】
次に、ノズルガイド40の作製、及び、ヘッドホルダ26へのノズルガイド40の取り付けの手順について説明する。
【0051】
本実施の形態では、成形によって上述したような構造のノズルガイド40を作製する(保護枠作製工程)。このとき、ノズルガイド40は、保護枠41の第2対向辺となる第2対向部51bの上面にその全長にわたって連続的に延びたリブ52bが形成されたものであるが、成形によってこのようなリブ52bを有するノズルガイド40を作製すると、リブ52bに熱がこもることが知られている。そのため、冷却時に、部分51bは、リブ52b側がリブ52bと反対側に比べて冷えにくく、部分51bには、リブ52b側とリブ52bと反対側とで、収縮量に差が生じる。そして、この収縮量の差により、作製されたノズルガイド40は、図8(a)に示すように、保護枠41が、第2対向部51bの長さ方向に沿って上側(記録用紙Pとの対向面となる下面51b1と反対側)に凹むように湾曲したものとなる。また、このとき、保護枠41の第1対向辺となる第1対向部51aの上面にもリブ52aが形成されており、成形によりノズルガイド40を作製したときには、リブ52aにも熱がこもる。しかしながら、リブ52aは途中で途切れているため、第1対向部51aのリブ52a側とリブ52aと反対側との収縮量の差は、第2対向部52bのリブ52b側とリブ52bと反対側との収縮量の差に比べて小さく、保護枠41は、第1対向部51aに沿っては湾曲しない。
【0052】
次に、図8(b)に示すように、作製したノズルガイド40を、インクジェットヘッド3を取り付けたヘッドホルダ26の下方に配置する。このとき、上述したように保護枠41が、上側に凹むように湾曲しているため、固定部42の上端部は、側面32やかしめ部33よりも走査方向に関する外側に位置している。
【0053】
次に、図9(a)に示すように、ノズルガイド40に力を加えて変形させて、固定部42の上端部が走査方向に関して側面32とかしめ部33との間にくるようにしつつ、ノズルガイド40を矢印Yで示すように上方に移動させることにより、図9(b)に示すように、固定部42を側面32とかしめ部33との間に位置させ、側面32と直交する方向から見て、突起45がかしめ部33に完全に覆われた状態にする。
【0054】
そして、この状態で、ヘッドホルダ26の走査方向に関する外側から熱かしめを行うことにより、かしめ部33が溶けて、図3、図4、図6、図7に示すように、突起45の上方及び下方(突起45の周囲)に回り込み、固定部42がヘッドホルダ26の側面32に固定され、これにより、ノズルガイド40がヘッドホルダ26に取り付けられる。なお、本実施の形態では、以上に説明した、作製したノズルガイド40をヘッドホルダ26に取り付ける一連の工程が、本発明に係る取り付け工程に相当する。
【0055】
このとき、熱かしめにより固定部42をヘッドホルダ26に固定すると、図3(a)に示すように、固定部42はかしめ部33から走査方向に関する内向きの力Fを受け、この力により、上側に凹むように湾曲していた保護枠41が変形して平坦となる。また、本実施の形態では、固定部42を側面32とかしめ部33との間に配置させる際に、ノズルガイド40に加える力によっても、上側に凹むように湾曲していた保護枠41が変形して平坦となる。
【0056】
以上に説明した実施の形態によると、固定部42を挟んで側面32と反対側に配置されているとともに、連結部34によりヘッドホルダ26の側面32に連結されたかしめ部33が、熱かしめによって固定部42の突起45の上方及び下方に回り込むことで、固定部42が、ヘッドホルダ26の側面32に固定されている。したがって、例えば、記録用紙Pが正常に搬送されずに紙詰まりが生じ、記録用紙Pがノズルガイド40に接触した場合などでも、ノズルガイド40がヘッドホルダ26から外れてしまうことがない。
【0057】
また、このとき、かしめ部33の搬送方向に関する長さW1が、固定部42の搬送方向に関する長さW2よりも長くなっていることにより、突起45がかしめ部33により完全に覆われているため、固定部42を確実に側面32に固定することができる。
【0058】
また、本実施の形態では、固定部42の上端部の搬送方向に関する略中央部に切り欠き43が形成されていることにより、固定部42の上端部が2つの部分44に分かれており、連結部34は、切り欠き43を通って固定部42を挟んで側面32と反対側まで延びている。したがって、連結部34を固定部42の外側から回り込ませることなく、連結部34を、固定部42を挟んで側面32と反対側まで延ばすことができる。
【0059】
また、本実施の形態では、ヘッドホルダ26、かしめ部33及び連結部34が全て同じ合成樹脂材料によって構成されているとともに、熱かしめ前の状態におけるかしめ部33の上下方向に関する長さH1と、連結部34の上下方向に関する長さH2とがほぼ同じとなっているため、成形などによってかしめ部33及び連結部34が設けられたヘッドホルダ26を容易に作製することができる。
【0060】
また、本実施の形態では、ワイパ7は、上述したように、滑らかにつながった固定部42の面42a及び第1対向部51aの下面51a1に沿って案内されつつ移動してインク吐出面3aに到達する。また、滑らかにつながった第1対向部51aの下面51a1及び固定部42の面42aに案内されつつ移動してインク吐出面3aから離れる。したがって、ワイパ7がインク吐出面3aに接触するとき、及び、ワイパ7がインク吐出面3aから離れるときに、ワイパ7が急激に変形することがなく、ワイパ7に付着したインクが飛び散ってしまうのを防止することができる。
【0061】
また、本実施の形態では、上述したように、略矩形の枠である保護枠41が、走査方向に延びた第2対向部51bの長さ方向に沿って上側に凹むように湾曲したノズルガイド40を作製したが、これとは異なり、保護枠41が平坦なノズルガイド40を作製し、作製したノズルガイド40をヘッドホルダ26に取り付けることも考えられる。
【0062】
しかしながら、この場合には、製造誤差により、ノズルガイド40の走査方向に関するサイズが大きくなってしまったときに、固定部42を熱かしめにより側面32に固定すると、上述した力Fにより、平坦であった保護枠41が、走査方向に関する略中央部がインク吐出面3aから離れるように浮き上がってしまう。そのため、ノズルガイド40とヘッドホルダ26との間に隙間ができてしまい、紙詰まりが生じたときなどに記録用紙Pがこの隙間に入り込んでしまう虞がある。
【0063】
これに対して、本実施の形態では、略矩形の枠である保護枠41が、走査方向に延びた第2対向部51bの長さ方向に沿って上側に凹むように湾曲したノズルガイド40を作製し、このように保護枠41が湾曲したノズルガイド40の固定部42を熱かしめによってヘッドホルダ26の側面32に固定することによって、保護枠41を平坦となるように変形させているため、保護枠41が記録用紙P側に浮き上がることがない。したがって、ヘッドホルダ26aと保護枠41との間に隙間ができず、ヘッドホルダ26aと保護枠41との間に記録用紙Pが入り込んでしまうのを防止することができる。
【0064】
さらに、本実施の形態では、搬送方向に関するノズル15よりも上流側の位置に、記録用紙Pの浮き上がりを防止するための板状のコルゲート6が配置されているが、コルゲート6は、記録用紙Pが厚みの大きいものである場合などに、記録用紙Pに押し返されて上方(インク吐出面3a側)に変位することがある。しかしながら、本実施の形態では、上述したように、保護枠41が記録用紙P側に浮き上がることがないため、インク吐出面3a側に変位したコルゲート6が保護枠41に接触してしまうのを防止することができる。
【0065】
また、本実施の形態では、保護枠41が、第1対向部51aの上面にその全長にわたって連続的にリブ52bが形成されたものであるため、成形によりノズルガイド40を作製することにより、保護枠41が第1対向部51aの長さ方向に沿って上側に凹むように湾曲したノズルガイド40を容易に作製することができる。
【0066】
次に、本実施の形態に種々の変更を加えた変形例について説明する。ただし、本実施の形態と同様の構成を有するものについては、適宜その説明を省略する。
【0067】
上述の実施の形態では、保護枠41の2つの第2対向部51bの両方にリブ52bが形成されていたが、2つの第2対向部51bのうち、搬送方向に関する上流側の第2対向部51bにのみリブ52bが形成されていてもよい。この場合でも、固定部42を側面32に固定したときに、保護枠41の搬送方向に関する上流側の第2対向部51bは平坦となるため、当該上流側の第2対向部51bとヘッドホルダ26との間に隙間ができない。したがって、搬送方向の上流側から搬送されてくる記録用紙Pがノズルガイド40とヘッドホルダ26との間に入り込んでしまうのを防止することができる。また、搬送方向に関してノズル15よりも上流側に配置されたコルゲート6が記録用紙Pに押し上げられたときに、コルゲート6がノズルガイド40に接触してしまうのを防止することができる。
【0068】
また、上述の実施の形態では、走査方向と平行な第1対向辺となる第2対向部51bにその全長にわたって連続的に延びたリブ52bが形成された略矩形の保護枠41を有するノズルガイド40を、成形によって作製することで、保護枠41の第2対向部51bがその長さ方向に沿って上側に凹むように湾曲したノズルガイド40を作製したが、保護枠41がこのように湾曲したノズルガイド40を作製する方法はこれには限られない。
【0069】
例えば、保護枠41の第2対向部51bに対応する部分が湾曲した成形型を用いてノズルガイド40を作製することによって、保護枠41の第2対向部51bがその長さ方向に沿って上側に凹むように湾曲したノズルガイド40を作製してもよい。
【0070】
また、上述の実施の形態では、保護枠41が第2対向部51bの長さ方向に沿って上側に凹むように湾曲したノズルガイド40を作製したがこれには限られない。
【0071】
例えば、一変形例では、図10(a)に示すように、作製されたノズルガイド40は、ヘッドホルダ26に取り付けられる前の状態において、保護枠41が湾曲しておらず平坦になっており、走査方向に関して、ヘッドホルダ26が配置されている範囲内に収まるようなサイズとなっている。
【0072】
この場合には、ノズルガイド40をヘッドホルダ26に取り付ける際に、固定部42の上端部を側面32とかしめ部33との間に配置させるために、図10(b)に示すように、固定部42の上端部を走査方向にヘッドホルダ26よりも外側まで押し広げることとなる。このとき、固定部42を走査方向に押し広げたことにより、保護枠41が、第2対向部51bの長さ方向に沿って上側に凹むように湾曲する。
【0073】
そして、この状態で、上述の実施の形態と同様、固定部42を、側面32とかしめ部33との間に位置させ、側面32と直交する方向から見て、突起45がかしめ部33に完全に覆われた状態にしてから、ヘッドホルダ26の走査方向に関する外側から熱かしめを行うことにより、図10(c)に示すように、突起45を上方及び下方に回り込ませて、固定部42をヘッドホルダ26の側面32に固定する。
【0074】
したがって、この場合でも、上述の実施の形態と同様、熱かしめの際に、固定部42はかしめ部33から走査方向内向きの力Fを受け、固定部42に加えられる力Fによって、上側に凹むように湾曲していた保護枠41が変形して平坦となる。
【0075】
また、上記変形例では、ノズルガイド40は、ヘッドホルダ26に取り付けられる前の状態において、走査方向に関して、ヘッドホルダ26が配置されている範囲内に収まるようなサイズとなっていたため、ノズルガイド40をヘッドホルダ26に取り付ける際に、固定部42を側面32とかしめ部33との間に配置させるために、固定部42の上端部を押し広げて、保護枠41が第2対向部51bの長さ方向に沿って上側に凹むように変形させたが、これには限られない。すなわち、ノズルガイド40は、ヘッドホルダ26に取り付けられる前の状態において、走査方向に関して、ヘッドホルダ26が配置されている範囲からはみ出すようなサイズである場合であっても、ノズルガイド40をヘッドホルダ26に取り付ける際に、固定部42の上端部を走査方向に関する外側に押し広げることによって、保護枠41を第2対向部51bの長さ方向に沿って上側に凹むように変形させてもよい。
【0076】
また、以上の例では、保護枠41が第2対向部51bの長さ方向に沿って上側に凹むように湾曲したノズルガイド40の固定部42を熱かしめによってヘッドホルダ26の側面32に固定し、この際に固定部42に加わる力により湾曲していた保護枠41を変形させて平坦にしていたが、これには限られない。例えば、保護枠41が平坦なノズルガイドを作製し、作製したノズルガイド40を熱かしめによってヘッドホルダ26の側面32に固定してもよい。ノズルガイド40及びヘッドホルダ26を作製することができる場合には、走査方向に向かい合う固定部42の間隔と、2つの側面32の長さとがほぼ同じとなるようにノズルガイド40及びヘッドホルダ26を作製すれば、保護枠41が平坦なノズルガイド40をヘッドホルダ26に取り付けても、上述の力Fによって保護枠41が記録用紙P側に浮き上がることはない。したがって、ノズルガイド40とヘッドホルダ26との間にそれほど大きな隙間ができることもない。
【0077】
また、上述の実施の形態では、熱かしめ前の状態におけるかしめ部33の上下方向に関する長さH1と、連結部34の上下方向に関する長さH2とがほぼ同じとなっていたが、これには限られない。例えば、連結部34が、かしめ部33の上下方向に関する長さよりも短い直径の略円柱形状となっているなど、連結部34の上下方向に関する長さが、熱かしめ前の状態におけるかしめ部33の上下方向に関する長さよりも短くてもよい。また、ヘッドホルダ26、かしめ部33及び連結部34が全て同じ合成樹脂材料によって構成されていることにも限られず、これらが、合成樹脂あるいは合成樹脂以外の互いに異なる材料によって構成されていてもよい。
【0078】
また、上述の実施の形態では、かしめ部33の搬送方向に関する長さW1が、突起45の搬送方向に関する長さW2よりも長くなっていたが、これには限られない。すなわち、かしめ部33の搬送方向に関する長さは、突起45の搬送方向に関する長さ以下であってもよい。この場合でも、熱かしめにより、かしめ部33は、突起45の少なくとも一部分の上方及び下方に回り込むため、固定部42を側面32に固定することができる。
【0079】
また、上述の実施の形態では、保護枠41の2つの第2対向部51bの各々の外周端に2つの固定部42が連なっていたが、固定部42の数はこれには限られず、各第2対向部51bの外周端に1つの固定部42、あるいは、3つ以上の固定部42が連なっていてもよい。
【0080】
さらに、2つの第2対向部51bの両方の外周端に固定部42が連なっていることにも限られず、一方の第2対向部51bの外周端にのみ固定部42が設けられていてもよい。さらには、固定部42が第2対向部51bの外周端に連なっていることにも限られず、第1対向部51aの外周端の他の部分に連なっていてもよい。
【0081】
また、保護枠41は、矩形の枠であることにも限られず、略円形の枠、略楕円形の枠などであってもよい。この場合には、固定部42は、保護枠41の外周端のうちいずれかの部分に連なるように設ければよい。
【0082】
また、上述の実施の形態では、固定部42の上端部に切り欠き43が形成されていることにより、固定部42の上端部が2つの部分44に分かれており、連結部34は、切り欠き43を通って固定部42を挟んで側面32と反対側まで延びてかしめ部33に接続されていたが、これには限られない。
【0083】
例えば、固定部42の上端部に切り欠き43が形成されておらず、連結部34は、固定部42の外側を回り込むように、固定部42を挟んで側面32と反対側まで延びていてもよい。
【0084】
また、上述の実施の形態では、インクジェットヘッド3がキャリッジ2とともに走査方向に移動することにより、ワイパ7がインク吐出面3aに対して走査方向に相対移動するようになっていたが、これには限られない。すなわち、ワイパ7自身が走査方向に移動することによって、ワイパ7がインク吐出面3aに対して走査方向に相対移動するようになっていてもよい。
【0085】
また、ワイパ7自身が移動する場合には、ワイパ7の移動方向(拭き取り方向)は、走査方向と平行であることには限られず、例えば搬送方向など、インク吐出面3aに沿った走査方向以外の方向であってもよい。そして、この場合には、固定部42を保護枠41の拭き取り方向に関する両端部に連なるように設ければよい。
【0086】
さらには、インク吐出面3aのインクなどを拭き取るためのワイパ7は設けられていなくてもよい。
【0087】
また、上述の実施の形態では、搬送方向に関してノズル15よりも上流側の位置に、記録用紙Pの浮き上がりを防止するためのコルゲート6が設けられていたが、コルゲート6は設けられていなくてもよい。
【0088】
また、以上の例では、固定部42が、ヘッドホルダ26の側面32に固定されていたが、固定部42は、側面32以外の、ヘッドホルダ26のインク吐出面3aと直交する方向に沿って延びた壁面に固定されていてもよい。
【0089】
また、以上では、ノズルからインクを吐出するインクジェットヘッドを備えたプリンタに本発明を適用した例について説明したが、これには限れられない。ノズルからインク以外の液体を吐出するプリンタ以外の液体吐出装置に本発明を適用することも可能である。
【符号の説明】
【0090】
1 プリンタ
3 インクジェットヘッド
3a インク吐出面
4 用紙搬送ローラ
6 コルゲート
7 ワイパ
15 ノズル
26 ヘッドホルダ
32 鉛直面
33 かしめ部
34 連結部
41 保護枠
41 下面
42 固定部
42a 面
43 切り欠き
44 部分
45 突起
51a 第1対向部
51b 第2対向部
52a、52b リブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズルが開口し、被吐出媒体と対向する液体吐出面を備えた液体吐出ヘッドと、
前記液体吐出面を露出させた状態で前記液体吐出ヘッドを保持するヘッドホルダと、
前記液体吐出面と直交する第1方向から見て前記液体吐出面を取り囲むように配置されているとともに、前記第1方向に関して前記液体吐出面よりも前記被吐出媒体側に突出した保護枠と、を備え、
前記ヘッドホルダは、
前記第1方向に沿って延びた壁面と、
前記壁面と対向するように配置されたかしめ部と、
前記壁面と前記かしめ部とを連結する連結部と、を備え、
前記保護枠には、その外周端に連なっているとともに前記壁面と前記かしめ部との間に位置するように延びた、前記保護枠を前記ヘッドホルダに固定するための固定部が設けられ、
前記固定部の前記かしめ部側の面には、突起が形成されており、
前記かしめ部は、前記第1方向に関する長さが、前記突起の前記第1方向に関する長さよりも長くなっており、熱かしめによって前記突起の周囲に回り込むことで、前記固定部を前記壁面に固定していることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
前記固定部は、その先端部に切り欠きが形成されていることにより、先端部において2つの部分に分かれており、これら2つの部分の前記かしめ部側の面に、それぞれ、前記突起が形成されており、
前記かしめ部は、前記固定部の前記2つの部分に形成された突起にまたがって延びており、
前記連結部が、前記切り欠きを通って、前記固定部の前記壁面と反対側まで延びて前記かしめ部に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記かしめ部と前記連結部とは、前記ヘッドホルダと同じ材料からなり、前記第1方向に関する長さが同じになっていることを特徴とする請求項2のいずれかに記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記かしめ部は、前記第1方向と直交し且つ前記壁面と平行な第2方向に関する長さが、前記固定部よりも長くなっていることにより、前記突起の全体を覆っていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記液体吐出面に接触した状態で、前記液体吐出面に沿った拭き取り方向に前記液体吐出ヘッドと相対移動することによって、前記液体吐出面に付着した液体を拭き取るワイパをさらに備え、
前記保護枠は、前記固定部を複数有しており、
前記複数の固定部が、前記保護枠の前記拭き取り方向に関する両端部にそれぞれ連なっており、
前記保護枠の被吐出媒体と対向する面と、この面に連なる前記固定部の前記かしめ部側の面とが、滑らかにつながっていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の液体吐出装置。
【請求項6】
前記液体吐出面と対向する位置において、前記被吐出媒体を、前記第1方向及び前記第2方向と直交する第3方向に搬送する搬送機構と、
前記第3方向に関して前記ノズルよりも上流側に配置されており、前記液体吐出面側への前記被吐出媒体の浮き上がりを押さえる押さえ部材と、をさらに備え、
前記保護枠が、前記第1方向から見て、前記第3方向に延びた第1対向辺、及び、前記第2方向に延びた第2対向辺とによって構成される矩形の枠であり、
前記保護枠は、成形によって作製されたものであって、被吐出媒体との対向面と反対側の面のうち、前記第2対向辺のうち少なくとも前記第3方向に関する上流側の辺となる部分に、前記被吐出媒体と反対側に突出しているとともに、その全長にわたって連続的に延びたリブが形成されており、
前記固定部は、前記保護枠の前記第1対向辺となる部分に連なっていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の液体吐出装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の液体吐出装置の製造方法であって、前記かしめ部を熱かしめによって前記突起の周囲に回り込ませることで、前記固定部を前記壁面に固定して、前記保護枠を前記ヘッドホルダに取り付ける取り付け工程を備えていることを特徴とする液体吐出装置の製造方法。
【請求項8】
前記液体吐出装置が、
前記液体吐出面と対向する位置において、前記被吐出媒体を、前記第1方向及び前記第1方向と直交し且つ前記壁面と平行な第2方向と直交する第3方向に搬送する搬送機構をさらに備え、
前記保護枠は、前記固定部を複数有しており、
前記複数の固定部が、前記保護枠の前記第2方向に関する両端部に連なるものであって、
前記取り付け工程において、前記固定部を前記第2方向に押し広げた状態で、前記かしめ部を熱かしめによって前記突起の周囲に回り込ませることで、前記固定部を前記壁面に固定することを特徴とする請求項7に記載の液体吐出装置の製造方法。
【請求項9】
前記液体吐出装置が、
前記液体吐出面と対向する位置において、前記被吐出媒体を、前記第1方向及び前記第1方向と直交し且つ前記壁面と平行な第2方向と直交する第3方向に搬送する搬送機構をさらに備え、
前記保護枠が、前記第1方向から見て、前記第3方向に延びた第1対向辺、及び、前記第2方向に延びた第2対向辺とによって構成される矩形の枠であり、
前記固定部が、前記保護枠の前記第1対向辺となる部分に連なっているとともに、前記保護枠に連なる部分から、前記保護枠の前記被記録媒体との対向面と反対側に延びたものであって、
前記保護枠の前記第2対向辺となる部分が、その長さ方向に沿って、前記対向面となる面と反対側に凹むように湾曲する前記保護枠を作製する保護枠作製工程、をさらに備え、
前記取り付け工程において、前記保護枠作製工程において作製した保護枠を前記ヘッドホルダに取り付けることを特徴とする請求項7に記載の液体吐出装置の製造方法。
【請求項10】
前記保護枠の前記対向面と反対側の面のうち、前記第2対向辺のうち少なくとも前記第3方向に関する上流側の辺となる部分に、前記被吐出媒体と反対側に突出しているとともに、その全長にわたって連続的に延びたリブが形成されたものであって、
前記保護枠作製工程において、成形によって前記保護枠に前記リブが形成された前記保護枠を作製することを特徴とする請求項9に記載の液体吐出装置の製造方法。
【請求項11】
前記液体吐出装置が、前記第3方向に関して前記ノズルよりも上流側に配置されており、前記液体吐出面側への前記被吐出媒体の浮き上がりを押さえる押さえ部材をさらに備えたものであることを特徴とする請求項8〜10のいずれかに記載の液体吐出装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−95009(P2013−95009A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−238417(P2011−238417)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】