説明

液体吐出装置

【課題】画質劣化を抑制すること。
【解決手段】媒体に液体を吐出する複数のノズルが所定方向に並んだ第1ノズル列と、媒体に液体を吐出する複数のノズルが前記所定方向に並んだ第2ノズル列であって、前記所定方向の一方側の端部が前記第1ノズル列の前記所定方向における他方側の端部と重なるように配置された第2ノズル列と、ある画素データに基づいて、前記第1ノズル列の前記他方側の端部に属する第1ノズルと前記第2ノズル列の前記一方側の端部に属する第2ノズルとからの、その前記画素データに対応する前記媒体上の領域への液体の吐出を制御する制御部を備える液体吐出装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体吐出装置として、所定方向に複数のノズルが並んだノズル列を有するヘッドからインクを吐出するインクジェットプリンタ(以下、プリンタ)が知られている。また、インクジェットプリンタにおいて、高速印刷を実現するために、複数のヘッドを有し、各ヘッドのノズル列が所定方向に並ぶように配置されたプリンタが提案されている。但し、このようなプリンタでは、ヘッドの特性差により、異なるヘッドにて印刷された画像の境目が目立ち、画像劣化の原因となってしまう。
【0003】
そこで、あるヘッドのノズル列の一方側端部のノズルと別のヘッドのノズル列の他方側端部のノズルとを重複させ、このノズルの重複部分と対向する媒体に対して、そのヘッドのノズルと別のヘッドのノズルにより、交互、又は、所定間隔おきに、ドットを形成する印刷方法が提案されている。(特許文献1参照)
【特許文献1】特開2001−1510号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記のような印刷方法では、複数のヘッドの位置合わせが高精度に行われないと、例えば、ノズルの重複部分と対向する媒体において、あるヘッドのノズルにより形成されたドットの間に、別のヘッドのノズルによるドットが形成されなくなってしまう。そうすると、ドット間隔が空き過ぎて淡く視認され、印刷画像の画質劣化の原因となる。
そこで、本発明では、画質劣化を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
課題を解決するための主たる発明は、媒体に液体を吐出する複数のノズルが所定方向に並んだ第1ノズル列と、媒体に液体を吐出する複数のノズルが前記所定方向に並んだ第2ノズル列であって、前記所定方向の一方側の端部が前記第1ノズル列の前記所定方向における他方側の端部と重なるように配置された第2ノズル列と、ある画素データに基づいて、前記第1ノズル列の前記他方側の端部に属する第1ノズルと前記第2ノズル列の前記一方側の端部に属する第2ノズルとからの、その前記画素データに対応する前記媒体上の領域への液体の吐出を制御する制御部と、を備える液体吐出装置である。
【0006】
本発明の他の特徴は、本明細書、及び添付図面の記載により、明らかにする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
===開示の概要===
本明細書の記載、及び添付図面の記載により、少なくとも次のことが明らかとなる。
【0008】
即ち、媒体に液体を吐出する複数のノズルが所定方向に並んだ第1ノズル列と、媒体に液体を吐出する複数のノズルが前記所定方向に並んだ第2ノズル列であって、前記所定方向の一方側の端部が前記第1ノズル列の前記所定方向における他方側の端部と重なるように配置された第2ノズル列と、ある画素データに基づいて、前記第1ノズル列の前記他方側の端部に属する第1ノズルと前記第2ノズル列の前記一方側の端部に属する第2ノズルとからの、その前記画素データに対応する前記媒体上の領域への液体の吐出を制御する制御部と、を備える液体吐出装置を実現すること。
このような液体吐出装置によれば、データにて指示された以上に、ドット間隔(液体痕の間隔)が空いてしまうことを防止できる。例えば、液体吐出装置がプリンタであれば、ノズル列の端部が対応する媒体領域が淡く視認されてしまうことを防止できる。ある画素データに対応する媒体上の領域(ノズル列の端部が対応する媒体領域)に対して、仮に第1ノズルと第2ノズルにより交互にドットを形成させるとしたら、ノズル列の取付誤差等が発生してしまうと、ドット間隔が空き過ぎてしまう。また、第1ノズル列と第2ノズル列との特性差を緩和できる。
【0009】
かかる液体吐出装置であって、前記制御部は、前記ある画素データではない別の画素データの示す階調値に基づいて、前記第1ノズル及び前記第2ノズル以外のノズルから所定の液体量を吐出させ、前記ある画素データの示す階調値が前記別の画素データの示す階調値と等しい場合、前記ある画素データに対応する前記媒体上の領域に前記第1ノズルと前記第2ノズルとからそれぞれ前記所定の液体量を吐出させること。
このような液体吐出装置によれば、データにて指示された以上にドット間隔が空いてしまうことを防止できる。
【0010】
かかる液体吐出装置であって、前記制御部は、前記ある画素データの示す前記階調値が閾値以上である場合、前記ある画素データに対応する前記媒体上の領域に前記第1ノズルと前記第2ノズルとからそれぞれ前記所定の液体量を吐出させ、前記ある画素データの示す前記階調値が前記閾値未満である場合、前記ある画素データに対応する前記媒体上の領域に、前記第1ノズルから前記所定の液体量を吐出させ、前記第2ノズルからは液体を吐出させないこと。
このような液体吐出装置によれば、例えば、液体吐出装置がプリンタの場合に、階調値が閾値以上であり濃い階調値である場合に、データにて指示された以上にドット間隔が空きすぎて、その隙間が目立ってしまうことを防止でき、より高画質な画像が得られる。逆に、階調値が閾値未満であり淡い階調値である場合には、第1ノズルと第2ノズルによりドットが形成されて、濃く視認されてしまうことを防止でき、より高画質な画像が得られる。
【0011】
かかる液体吐出装置であって、前記制御部は、ハーフトーン処理により、各画素データの示す階調値を、前記各画素データに対応する前記媒体上の領域に形成すべきドットサイズを示すドットデータに変換し、前記ある画素データに対応する前記媒体上の領域に、前記ある画素データの前記ドットデータが示すドットサイズ以下のドットを、前記第1ノズルと前記第2ノズルとにそれぞれ形成させること。
このような液体吐出装置によれば、ノズル列の端部が対応する媒体領域に液体が吐出され過ぎてしまうことを防止できる。
【0012】
かかる液体吐出装置であって、ある第1ノズルとある第2ノズルとが重なり、別の第1ノズルと別の第2ノズルとが、前記ある第1ノズル及び前記ある第2ノズルよりも、前記他方側に位置して重なり、前記制御部は、前記ある第2ノズルよりも前記ある第1ノズルに大きいサイズのドットを形成させ、前記別の第1ノズルよりも前記別の第2ノズルに大きいサイズのドットを形成させること。
このような液体吐出装置によれば、第1ノズル列と第2ノズル列との特性差を緩和できる。
【0013】
かかる液体吐出装置であって、前記制御部は、前記ある画素データの示す階調値を、前記第1ノズル用の第1階調値と、前記第2ノズル用の第2階調値とに分配した後に、画素データの示す階調値を、前記画素データに対応する前記媒体上の領域に形成すべきドットサイズを示すドットデータに変換するハーフトーン処理により、前記第1階調値を第1ドットデータに変換し、前記第2階調値を前記第2ドットデータに変換し、前記ある画素データに対応する前記媒体上の領域に、前記第1ドットデータが示すドットサイズのドットを前記第1ノズルに形成させ、前記第2ドットデータが示すドットサイズのドットを前記第2ノズルに形成させること。
このような液体吐出装置によれば、ノズル列の端部が対応する媒体領域に液体が吐出され過ぎてしまうことを防止できる。
【0014】
かかる液体吐出装置であって、ある第1ノズルとある第2ノズルとが重なり、別の第1ノズルと別の第2ノズルとが、前記ある第1ノズル及び前記ある第2ノズルよりも、前記他方側に位置して重なり、前記制御部は、前記ある画素データの示す階調値を、前記ある第2ノズルよりも前記ある第1ノズルにより大きいサイズのドットが形成されるように、前記第1階調値と前記第2階調値とに分配し、前記ある画素データの示す階調値を、前記別の第1ノズルよりも前記別の第2ノズルにより大きいサイズのドットが形成されるように前記第1階調値と前記第2階調値とに分配すること。
このような液体吐出装置によれば、第1ノズル列と第2ノズル列との特性差を緩和できる。
【0015】
かかる液体吐出装置であって、前記制御部は、前記ある画素データではない別の画素データの示す階調値に基づいて、前記第1ノズル及び前記第2ノズル以外のノズルから液体を吐出させ、前記階調値と等しい前記ある画素データの示す階調値を淡い階調値に変換し、前記淡い階調値に基づいて、前記ある画素データに対応する前記媒体上の領域に、前記第1ノズルと前記第2ノズルとからそれぞれ液体を吐出させること。
このような液体吐出装置によれば、ノズル列の端部が対応する媒体領域に液体が吐出され過ぎてしまうことを防止できる。
【0016】
===インクジェットプリンタについて===
以下、インクジェットプリンタ(以下、プリンタ1という)とコンピュータが接続された印刷システムを、「液体吐出装置」の一例として、以下に説明する。
【0017】
図1は、印刷システムの構成ブロック図である。図2Aはプリンタ1の概略断面図であり、図2Bはプリンタ1の概略上面図である。まず、コンピュータ60から印刷データがプリンタ1に送信される。プリンタ1は印刷データを受信すると、コントローラ10により各ユニット(搬送ユニット20、駆動ユニット30、ヘッドユニット40)を制御し、印刷テープTに画像を形成する。なお、検出器群50によりプリンタ1内の状況を監視され、コントローラ10はその検出結果に基づいて各ユニットを制御する。
【0018】
搬送ユニット20は、印刷テープTが連続する方向(以下、搬送方向)に、印刷テープTを、上流側から下流側に搬送するものである。モータによって駆動する搬送ローラ21により、印刷前のロール状の印刷テープT1を印刷領域に供給し、その後、印刷済みの印刷テープT2を巻取機構によりロール状に巻き取る。なお、印刷中の印刷領域では、印刷テープTが下からバキューム吸着され、印刷テープTは所定の位置に保持される。
【0019】
駆動ユニット30は、ヘッドユニット40を、搬送方向と、印刷テープTの幅方向(搬送方向と交差する方向)とに自在に移動させるものである。駆動ユニット30は、ヘッドユニット40を搬送方向に移動させる第1ステージ31と、第1ステージ31を幅方向に移動させる第2ステージ32と、これらを移動させるモータとで、構成されている。
【0020】
図3は、ヘッドユニット40の下面のノズル配列を示す。ヘッドユニット40は第1ヘッド41(1)と第2ヘッド41(2)を有する。各ヘッド41の下面には、インク吐出部であるノズルが複数設けられている。そして、各ヘッド41の下面には、イエローインクノズル列Yと、マゼンタインクノズル列Mと、シアンインクノズル列Cと、ブラックインクノズル列Kが形成されている。各ノズル列はノズルを180個ずつ備え、幅方向(所定方向に相当)に一定の間隔(180dpi)で整列している。幅方向の奥側のノズルから順に若い番号が付されている(#1、#2…#180)。
【0021】
第1ヘッド41(1)と第2ヘッド41(2)は幅方向に千鳥状に並んで配置されている。また、第1ヘッド41(1)が有するノズル列(第1ノズル列に相当)の手前側(他方側に相当)の端部に属する5個のノズル(#176〜#180)と、第2ヘッド41(2)が有するノズル列(第2ノズル列に相当)の奥側(一方側に相当)の端部に属する5個のノズル(#1〜#5)と、が重なるように、第1ヘッド41(1)と第2ヘッド41(2)が配置されている。即ち、図中の一点鎖線にて囲まれた領域では、第1ヘッド41(1)のノズル(例えば#176)と第2ヘッド41(2)のノズル(例えば#1)とが搬送方向に並んでいる。
【0022】
以下、この一点鎖線にて囲まれた領域に属するノズルを「重複ノズル」といい、更に、第1ヘッド41(1)のノズル#176〜#180を「第1重複ノズル(第1ノズルに相当)」といい、第2ヘッド41(2)のノズル#1〜#5を「第2重複ノズル(第2ノズルに相当)」という。また、第1ヘッド41(1)のノズル列の手前側端部と第2ヘッド41(2)のノズル列の奥側端部とが重なる領域(即ち、一点鎖線に囲まれた領域)を、「ヘッドの重複部分」という。
【0023】
次に、プリンタ1の印刷手順について説明する。まず、搬送ユニット20により印刷領域に供給された印刷テープTに対して、ヘッドユニット40が第1ステージ31により搬送方向に移動し、この移動中にノズルからインクが吐出される。その結果、印刷テープTには搬送方向に沿ったドット列が形成される。その後、ヘッドユニット40は第2ステージ32により第1ステージ31を介して幅方向に移動する。そして、再び、ヘッドユニット40の搬送方向の移動中に、ノズルからインクが吐出され、先程とは違う領域にドット列が形成される。この動作を繰り返すことで、印刷領域に供給された印刷テープTに画像が印刷される(画像形成動作)。その後、搬送ユニット20により印刷が成されていない印刷テープTが印刷領域に供給され(搬送動作)、再び、画像が形成される。この画像形成動作と印刷テープTの搬送動作とを交互に繰り返すことで、連続する印刷テープT(以下、媒体という)に画像が印刷される。
【0024】
===比較例:部分オーバーラップ印刷について===
図4Aは、2つのヘッド42(1),42(2)が本実施形態とは異なる位置に配置された状態を示す図である。説明のため、ノズル列が有するノズル数を減らしている。図中の2つのヘッド42(1),42(2)は、奥側のヘッド42(1)のノズル列の手前側端部と、手前側のヘッド42(2)のノズル列の奥側端部とが重なっていない。即ち、奥側のヘッド42(1)のノズル列の最も手前側に位置するノズルと、手前側のヘッド42(2)のノズル列の最も奥側に位置するノズルとの間隔が180dpiとなるように、2つのヘッド42(1),42(2)が配置されている。
【0025】
ところで、ヘッドユニット40が複数のヘッドを有することで、ヘッドユニット40の搬送方向への1回の移動にて印刷される画像幅が大きくなる。ゆえに、ヘッドユニット40の搬送方向への移動回数を削減でき、高速印刷が可能となる。但し、異なるヘッドにて印刷される画像が幅方向に並ぶため、ヘッドの特性差が画像に現れ易い。特に、図4Aに示すようにヘッド42が配置された比較例のプリンタでは、ヘッド42の特性差が目立ち易く、画像劣化の原因に繋がる。例えば、幅方向の奥側のヘッド42(1)により形成されるドット径が比較的に大きく(白丸○)、手前側のヘッド42(2)により形成されるドット径が比較的に小さい(黒丸●)とする。そうすると、異なるヘッド42により印刷された画像の境目が目立ってしまう。そこで、「部分オーバーラップ印刷」という印刷方法が提案されている。
【0026】
図4Bは、本実施形態とは異なる比較例の印刷方法を示す図である。図4Bに描かれている第1ヘッド41(1)と第2ヘッド41(2)の配置は、本実施形態のヘッド41の配置(図3)と同じである。即ち、第1ヘッド41(1)のノズル列の手前側端部に属するノズル(第1重複ノズル)と、第2ヘッド41(2)のノズル列の奥側端部に属するノズル(第2重複ノズル)とが重複している。なお、説明のためノズル列のノズル数を減らしている。また、ドットが搬送方向に所定間隔おきに並んだラスタラインが、幅方向にノズルピッチ(180dpi)で並ぶ画像を印刷するとする。
【0027】
比較例の印刷方法である「部分オーバーラップ印刷」は、ヘッドの重複部分と対向する媒体上の領域(以下、「重複領域」という)に対して、第1重複ノズルと第2重複ノズルとから交互にインクを吐出する印刷方法である。その結果、重複領域に形成される搬送方向に沿ったドット列(以下、ラスタラインという)は、第1重複ノズルにより形成されたドット(白丸○)と第2重複ノズルにより形成されたドット(黒丸●)が交互に並んで構成されている。なお、第1重複ノズルと第2重複ノズルから交互にインクを吐出するに限らない。例えば、重複領域の奥側のラスタラインでは、第2重複ノズルよりも第1重複ノズルにより形成されるドット数が多くなるようにしてもよい。
【0028】
このように、重複領域に形成されるラスタラインが、第1重複ノズルと第2重複ノズルにより形成されることで(図4B)、図4Aのように、奥側のヘッド42(1)のみにより形成されるラスタライン(白丸のみのドット列)と手前側のヘッド42(2)のみにより形成されるラスタライン(黒丸のみのドット列)とが、幅方向に並ぶように印刷される場合に比べて、異なるヘッド41にて印刷される画像の境目が目立ち難く、ヘッド41の特性差が画像に現れ難くなる。
【0029】
なお、第1ヘッド41(1)のノズル列の全ノズルと、第2ヘッド41(2)のノズル列の全ノズルとが重なり、全てのラスタラインが第1ヘッド41(1)のノズルと第2ヘッド41(2)により形成される印刷方法(オーバーラップ印刷)の方が、部分オーバーラップ印刷よりも、ヘッド41の特性差を緩和できる。しかし、ヘッドユニット40の搬送方向への1回の移動にて印刷される画像の幅が小さくなるため、印刷速度が低下してしまう。つまり、部分オーバーラップ印刷のように、異なるヘッド41のノズル列の端部のノズルのみを重ねて、ヘッド41の繋ぎ目に対応する領域(重複領域)に形成するラスタラインのみ、異なる2つのヘッド41のノズルにより形成することで、高速印刷を実現し、且つ、ヘッドの特性差を緩和できる。
【0030】
図5は、第2ヘッド41(2)に取付誤差が生じた際の部分オーバーラップ印刷の様子を示す図である。ノズル列のノズル間隔は微小であり(本実施形態は180dpi)、複数のヘッド41を誤差なく取り付けることは難しい。ここで、第2ヘッド41(2)が幅方向の手前側にずれて取り付けられたとする。この場合、本来であれば、第1ヘッド41(1)の第1重複ノズル(例えば#8)と、それに対応する第2ヘッド41(2)の第2重複ノズル(例えば#1)とが搬送方向に並ぶところを、第2重複ノズル(#1)が第1重複ノズル(#8)に対して幅方向の手前側に位置する。
【0031】
その結果、重複領域において、図4Bに示すように、第1重複ノズルにより形成されるドットと第2重複ノズルにより形成されるドットとが搬送方向に並ぶことがなく、第1重複ノズルにより形成され、搬送方向に並ぶドット(白丸○)の間に、第2重複ノズルによるドット(黒丸●)が形成されない。即ち、重複領域以外の媒体上の領域では、搬送方向に所定間隔にてドットが並んでいるのに対して、重複領域では搬送方向にドットが1個おきに(所定間隔の倍の間隔にて)形成されることになる。つまり、重複領域はそれ以外の領域に比べて、ドット間の隙間が大きいために淡く視認され、画像全体で濃度むらが発生してしまう。
【0032】
そこで、本実施形態では、高速印刷を目的として複数のヘッド41を有するプリンタ1において、異なるヘッド41の特性差が画像に現れ難くなるようにし、また、ヘッド41の取付誤差などによる発生する濃度むら(重複領域の淡さ)を抑制することを目的とする。
【0033】
===本実施形態の印刷方法の概略について===
図6は、本実施形態の印刷方法を示す図である。例えば、ドットが搬送方向に所定間隔おきに並んだラスタラインが、幅方向にノズルピッチ(180dpi)で並ぶ画像を印刷する際に、本実施形態では、第1重複ノズル及び第2重複ノズルも、それ以外のノズルと同様に、搬送方向に所定間隔おきにドットを形成する。そのため、ヘッド41に取付誤差が生じず、第1重複ノズル(例えば#8)と、それに対応する第2重複ノズル(例えば#1)とが、搬送方向に並んで位置する場合、第1重複ノズルにより形成されるドット列と、第2重複ノズルにより形成されるドット列とが、重なって形成される。図6では、第2ヘッド41(2)の取付誤差により、第2重複ノズルが第1重複ノズルに対して幅方向の手前側に位置している。また、比較例の部分オーバーラップ印刷(図5)では、印刷されないドットを斜線のドットにて示している。
【0034】
このように、重複領域に対して、第1重複ノズルと第2重複ノズルの両方のノズルにより、所定間隔おきにドットを形成することで、比較例(図5)の重複領域のように、搬送方向に並ぶドットが所定間隔よりも広くなってしまい、淡く視認されてしまうことを防止できる。即ち、比較例のように、ヘッド41の取付誤差等により、第1重複ノズルにより形成されたドット間に、第2重複ノズルによるドットが形成されずに、ドット間の隙間が大きくなり、重複領域の画像とそれ以外の領域の画像とにおいて濃度むらが発生してしまうことを防止できる。
【0035】
ここで、媒体上に仮想的に定められたマス目の1つのマス目に対して、データ上における1つの画素が対応するとする。その画素の示す濃度(階調値)が画素データである。そして、ある画素データに基づいて、その画素に対応する媒体上の領域に対して、その画素データに割り当てられたノズルからの液体吐出が制御されるとする。
【0036】
本実施形態のような印刷(図6)を行うために、印刷データを作成する際に、媒体上の重複領域に対応する1つの画素データに対して、第1重複ノズルと第2重複ノズルとが割り当てられる。逆に言えば、1つの画素データに基づいて、第1重複ノズルと第2重複ノズルとから液体が吐出される。つまり、本実施形態の印刷システムでは、第1重複ノズルと第2重複ノズルが割り当てられた画素データ(ある画素データに相当)に基づいて、第1重複ノズル(第1ノズルに相当)と第2重複ノズル(第2ノズルに相当)からの、その画素データに対応する媒体上の領域へのインク(液体)の吐出が制御される。また、重複ノズル以外のノズルが割り当てられた画素データの示す階調値に基づいて、重複ノズル以外のノズルから所定のインク量(液体量)が吐出され、重複ノズルが割り当てられた画素データの示す階調値が、その階調値と等しい場合に、第1重複ノズルと第2重複ノズルからそれぞれ所定のインク量が吐出される。
【0037】
一方、比較例の部分オーバーラップ印刷では、重複領域に対応する1つの画素データに対して、第1重複ノズルか、又は、第2重複ノズルが割り当てられる。そして、第1重複ノズルが割り当てられた画素データと、第2重複ノズルが割り当てられた画素データにより、第1重複ノズルによるドットと第2重複ノズルによるドットが交互に並んだラスタラインが形成される。
【0038】
つまり、本実施形態では、異なるヘッド41(1),41(2)の繋ぎ目部分(ヘッドの重複部分)と対向する媒体上の領域(重複領域)のうちのある領域(1つの画素データに対応する媒体上の領域)に対して、一方のヘッド41(1)のノズル(第1重複ノズル)と他方のヘッド41(2)のノズル(第2重複ノズル)の両方のノズルからインクを吐出することで、ヘッド41(1),41(2)に取付誤差が生じたとしても、印刷データにて指示された所定間隔以上にドット間隔が空いてしまうことを防止できる。そのため、本実施形態では、特に、高い階調値にて濃く印刷する場合(例えば、ベタ塗り印刷の場合)に、ドット間に大きな隙間が生じて、例えば、白い媒体であれば白地部分が目立ってしまうことを防止でき、画像劣化を抑制できる。
【0039】
また、異なるヘッド41(1),41(2)の繋ぎ目部分(ヘッドの重複部分)と対向する媒体上の領域(重複領域)には、第1ヘッド41(1)によるドット(白丸○)と第2ヘッド41(2)によりドット(黒丸●)が形成されるため、図4Aのように異なるヘッドにより形成されたラスタラインが幅方向に並んでしまう場合に比べて、ヘッド41の特性差が画像に現れ難い。
【0040】
但し、重複領域では、第1重複ノズルによるドットと第2重複ノズルによるドットが重なるように形成されるため、印刷データにて指示された階調値よりも濃く印刷される傾向がある。そのため、低い階調値にて淡く印刷する場合には、重複領域の濃さが、重複領域以外の媒体上の領域に比べて、目立ってしまう虞がある。
【0041】
そこで、例えば、重複領域に対応する画素データに対して閾値を設け、重複領域に対応する画素データの示す階調値が閾値以上であり、濃く印刷する場合には、その画素データに対して、第1重複ノズルと第2重複ノズルを割り当て、第1ノズルと第2ノズルとからそれぞれ所定のインク量を吐出させる。その結果、その画素データと対応する領域には、第1重複ノズルによるドットと第2重複ノズルによるドットが重なるように形成される。一方、画素データの示す階調値が閾値未満であり、淡く印刷する場合には、その画素データに対して、第1重複ノズルか第2重複ノズルを割り当てる。例えば、第1重複ノズルが割り当てられた場合には、第1重複ノズルから所定のインク量が吐出され、第2重複ノズルからはインクが吐出されない。その結果、その画素データと対応する領域には、第1重複ノズルか第2重複ノズルによりドットが形成される。
【0042】
そうすることで、濃く印刷する場合には、ヘッド41の取付誤差などにより、第1重複ノズルとそれに対応する第2重複ノズルとが幅方向にずれたとしても、印刷データにて指示される以上にドット間に大きな隙間が生じて、淡く視認されることを防止できる。逆に、淡く印刷する場合には、濃く印刷する場合に比べて、形成されるドット数が少ないため、ヘッド41の取付誤差等により、印刷データにて指示される以上にドット間に隙間が生じたとしても、その隙間は目立ち難く、問題ないと言える。
【0043】
また、重複ノズル以外のノズルが割り当てられた画素データの示す階調値に基づいて、重複ノズル以外のノズルから所定のインク量を吐出させ、重複ノズルが割り当てられた画素データの示す階調値がその階調値と等しい場合には、その階調値を低い階調値(淡い階調値に相当、例えば、その階調値の80%の階調値)に変換し、第1重複ノズルと第2重複ノズルからそれぞれ所定のインク量よりも少ないインク量を吐出させてもよい。
【0044】
また、これに限らず、重複領域において、第1重複ノズルによるドットと第2重複ノズルによるドットが重なるように形成されることで、重複領域が他の領域に比べて濃く印刷されてしまうことを防止するために、重複領域の濃度補正を行ってもよい。以下、重複領域の濃度補正方法について説明する。
【0045】
===重複領域の濃度補正について:補正例1===
図7は、印刷データ作成処理フローである。重複領域の濃度補正処理は、コンピュータ60のメモリに記憶されたプリンタドライバに従って、コンピュータ60が印刷データの作成中に行うとする。そして、コンピュータ60に作成された印刷データはプリンタ1に送信され、プリンタ1はその印刷データに従って印刷を行う。ゆえに、本実施形態では、コンピュータ60とプリンタ1が接続されたシステムが「液体吐出装置」に相当する。
【0046】
解像度変換処理(S001)は、アプリケーションプログラムから出力された画像データを、媒体に印刷する際の解像度に変換する処理である。なお、解像度変換処理後の画像データは、RGB色空間により表される256階調のデータ(RGBデータ)である。なお、画像データは画素データの集まりである。画素データは画素の示す階調値であり、1つの画素が256階調で表現され、階調値が高くなるほどその画素に対応する媒体上の領域の濃度が濃くなるとする。
色変換処理(S002)は、RGBデータを、プリンタ1のインクに対応したCMYK色空間により表されるCMYKデータに変換する処理である。
ハーフトーン処理(S003)は、高階調数のデータを、プリンタ1が形成可能な階調数のデータ(ドットサイズを示すドットデータ)に変換する処理である。
【0047】
図8Aは、本実施形態のプリンタ1が印刷可能なドットの種類を示す図である。本実施形態の1つの画素は、「特大ドットを形成する」、「大ドットを形成する」、「中ドットを形成する」、「小ドットを形成する」、「極小ドットを形成する」、「ドットを形成しない」、の6階調にて表現される。
【0048】
重複画素データの濃度補正処理(S004)は、重複領域に対応する画素データ(即ち、重複ノズルが割り当てられる画素データ、以下、重複画素データという)の濃度補正を行う処理である。詳細は後述する。
ラスタライズ処理(S005)は、マトリクス状の画像データを、プリンタ1に転送すべきデータ順に、画素データごとに並べ替えられる処理である。これらの処理を経て生成された印刷データは、印刷方式に応じたコマンドデータ(搬送量など)と共に、プリンタドライバによりプリンタ1に送信される。
【0049】
図8Bは、重複画素データを第1重複ノズル用の画素データと第2重複ノズル用の画素データに置き換える様子を示す図である。この補正例1では、ハーフトーン処理後の重複画素データが「特大ドット」を形成するように指示している場合には、第1重複ノズルと第2重複ノズルに、特大ドットよりもサイズの小さい「大ドット」を形成させる。そのために、「特大ドットを形成する」という重複画素データを、「大ドットを形成する」という第1重複ノズル用の画素データと、同じく「大ドットを形成する」という第2重複ノズル用の画素データとに置き換える。同様に、重複画素データが「大ドット」を形成するように指示している場合には、第1重複ノズルと第2重複ノズルに大ドットよりもサイズの小さい「中ドット」を形成させるようにデータを置き換える。
【0050】
このように、補正例1では、重複画素データ(ある画素データに相当)に対応する媒体上の領域に、その重複画素データが示すドットサイズよりも小さいドット(又は、その重複画素データが示すドットサイズ以下のドット)を、第1重複ノズルと第2重複ノズルに形成させるように、ハーフトーン処理後の重複画素データを、重複ノズル用の画素データに置き換える。なお、重複画素データが「極小ドット」を形成するように指示している場合には、第1重複ノズルか第2重複ノズルのどちらかに極小ドットを形成させるとよい。このとき、第1重複ノズルにより形成される極小ドット数と第2重複ノズルによる極小ドット数とが同程度となるようすることで、ヘッド41の特性差が画像に現れ難くなる。
【0051】
図9Aは、重複領域に対して濃度補正処理が行われない場合のドット形成の様子を示し、図9Bは、重複領域に対して補正例1の濃度補正処理が行われた場合のドット形成の様子を示す図である。ハーフトーン処理後の画素データが全て「大ドット」を形成するように指示しているとする。また、第1重複ノズルに対して第2重複ノズルが幅方向の手前側にずれて配置されているとする。図9Aでは、ハーフトーン処理後の重複画素データ「大ドット形成」に対して、第1重複ノズルと第2重複ノズルによりそれぞれ「大ドット」が形成される。そうすることで、ヘッド41の取付誤差により、第1重複ノズルに対して第2重複ノズルが幅方向にずれていても、部分オーバーラップ印刷を行うときのように、印刷データにて指示された以上にドット間に大きな隙間が生じてしまうことを防止できる。その一方で、重複領域では、第1重複ノズルと第2重複ノズルにより大ドットが重なるように形成されるため、重複領域以外の領域に比べて、大ドットが多く形成され、濃く視認されてしまう。
【0052】
一方、図9Bでは、「大ドット形成」という重複画素データを補正例1の濃度補正方法に従い、「中ドット形成」という第1重複ノズル用の画素データと、同じく「中ドット形成」という第2重複ノズル用の画素データとに置き換える。その結果、重複領域以外の領域には「大ドット」が形成され、重複領域には、第1重複ノズルと第2重複ノズルとにより、大ドットよりも小さいサイズの「中ドット」が形成される。即ち、重複領域では、重複領域以外の領域に比べて形成されるドット数は多いが、形成されるドットサイズが小さい。そのため、結果的には、重複領域以外の領域に向けて吐出されるインク量と、重複領域に向けて吐出されるインク量を同等にすることができ、重複領域がそれ以外の領域よりも濃く視認されてしまうことを防止でき、濃度むらが解消される。
【0053】
図10は、印刷データ作成中における補正例1の濃度補正処理のイメージ図である。補正例1では、図7のフローにも示すようにハーフトーン処理後の画素データに対して濃度補正処理を行う。図中のマス目を1つの画素とし、画素に「大」が記されていれば、その画素に対応する媒体上の領域に「大ドット」を形成し、画素に「中」が記されていれば、その画素に対応する媒体上の領域に「中ドット」を形成するとする。ハーフトーン処理後の画素データによると、全ての画素データが「大ドット」を形成するように示している。
【0054】
その後、濃度補正処理において、重複ノズルが割り当てられる重複画素(太線内)のデータを、第1重複ノズル用の画素データと第2重複ノズル用の画素データとに置き換える。重複画素データが「大ドット形成」を示す場合には、「中ドット形成」という第1重複ノズル用の画素データと、「中ドット形成」という第2重複ノズル用の画素データに置き換えられる。そのため、図10の濃度補正処理後の画像データでは、太線に囲まれた第1重複ノズル用の画素データ及び、第2重複ノズル用の画素データには、「中」が記されている。なお、重複画素データ以外の画素データは変換されることなく、「大ドット形成」のままである。最後に、ラスタライズ処理により、各画素データが、インクが吐出される順に対応するノズルに割り当てられるように、並び替えられて、プリンタ1に送信される。
【0055】
こうすることで、図9Bに示すように、重複領域には、第1重複ノズルと第2重複ノズルにより「中ドット」が重なるように形成され、重複領域以外の領域には「大ドット」が形成される。その結果、重複領域がそれ以外の領域よりも濃く視認されてしまうことを防止でき、濃度むらが解消される。
【0056】
以上をまとめると、この補正例1では、重複領域に対応する重複画素データを、第1重複ノズル用の画素データ、及び、第2重複ノズル用画素データとして、その重複画素データが示すドットサイズよりも小さいサイズのドットが形成されるデータに変換する。その結果、第1重複ノズルによるドットと第2重複ノズルによるドットが重なるようにして形成されることによる重複領域の濃さを補正できる。
【0057】
また、補正例1では、例えば、重複領域に対して大ドットを形成するように指示された際に、2つの重複ノズルから中ドットを形成することによって、結果的に、重複領域に向けて吐出されるインク量を同等にしている。そのため、同じ濃度の画像を印刷する際に、重複領域ではそれ以外の領域に比べて、小さいサイズのドットにより印刷されるため、粒状性が高く、より高画質な画像が得られる。
【0058】
<補正例1の変形例>
前述の補正例1では、図8Bに示すように、重複画素データが「大ドット形成」を示している場合に、その全ての重複画素データを、第1重複ノズルと第2重複ノズルによりそれぞれ中ドットが形成されるデータに置き換えているが、これに限らない。
【0059】
例えば、「大ドット形成」を示す重複画素データが10個あるときに、そのうちの5個の重複画素データを、「中ドット形成」という第1重複ノズル用の画素データ及び第2重複ノズル用の画素データに置き換える。そして、残りの5個の重複画素データを、「中ドット形成」という第1重複ノズル用の画素データと、「小ドット形成」という第2重複ノズル用画素データとに置き換えてもよい。そうすることで、「大ドット形成」を示す全ての重複画素データに対して、第1重複ノズルと第2重複ノズルに「中ドット」を形成すると、重複領域が未だ濃く印刷されてしまう場合に、一部の重複画素データに対して、第2重複ノズルに「小ドット」を形成させることで、重複領域の濃さをより確実に補正できる。このように同じ重複画素データであっても、重複画素データによって、第1重複ノズル用の画素データと第2重複ノズル用の画素データとに置き換える際に、異なるデータに置き換えても良い。その結果、補正例1よりも重複領域の濃度補正処理を高精度に行うことができる。
【0060】
そのために、製造工程等において、補正例1の濃度補正処理、即ち、同じデータを示す全ての重複画素データは、第1重複ノズル用の画素データと第2重複ノズル用の画素データが同じ組み合わせとなるように変換し、実際にテストパターン等を印刷させるとよい。その結果、補正例1の濃度補正処理では、重複領域の濃度補正が不十分であり、他の領域に比べて未だ濃く印刷される場合には、同じデータを示す重複画素データであっても、一部の重複画素データに対しては、重複ノズルから更に小さいサイズのドットが形成されるように、データを置き換えても良い。逆に、補正例1の濃度補正処理を行うと、重複領域が淡く印刷され過ぎてしまう場合には、同じデータを示す重複画素データであっても、一部の重複画素データに対しては、重複ノズルから大きいサイズのドットが形成されるように、データを置き換えても良い。
【0061】
===重複領域の濃度補正について:補正例2===
本実施形態では、2つのヘッド41(1),41(2)の繋ぎ目部分(ヘッドの重複部分)にて画像が印刷される重複領域において、第1ヘッド41(1)のノズルと第2ヘッド41(2)のノズルとによりドットが重なるように形成される。そのため、2つのヘッド41(1),41(2)の特性差が画像に現れ難い。そして、この補正例2では、更に、ヘッド41(1),41(2)の特性差を緩和するために、ハーフトーン処理後の重複画素データを、第1重複ノズル用の画素データと第2重複ノズル用の画素データとに置き換える際に、階調性をもたせる。そのため、補正例2の濃度補正処理は、補正例1と同様に(図7)、ハーフトーン処理後に行われる。
【0062】
図11Aは、ハーフトーン処理後に、「特大ドット形成」を示す重複画素データを、階調性を持たせて、第1重複ノズル用の画素データと第2重複ノズル用の画素データに置き換えるパターンを示す図である。図11Bは、図11Aに示すパターンに従って、重複領域のドットが形成された様子を示す図である。説明の為ノズル列のノズル数を減らし、全ての画素データが「特大ドット形成」を示すとする。また、第1重複ノズルに対して、第2重複ノズルが幅方向の手前側にずれて取り付けられている。そして、第1ヘッド41(1)と第2ヘッド41(2)との特性差を表すために、第1ヘッド41(1)により形成されるドットを丸(○)にて示し、第2ヘッド41(2)により形成されるドットを三角(△)にて示す。
【0063】
本実施形態のプリンタ1は各ヘッド41が重複ノズルを5個ずつ有する(図3)。そこで、ハーフトーン処理後の重複画素データが「特大ドット」を形成するように示している場合に、5個の第1重複ノズル(#176〜#180)のうちの最も奥側のノズル#176(ある第1ノズルに相当)に「特大ドット」を形成させ、同じく、5個の第2重複ノズル(#1〜#5)のうちの最も奥側のノズル#1(ある第2ノズルに相当)に「極小ドット」を形成させるように、データを置き換える。そのため、図11Bに示すように、重複領域の奥側では、第1重複ノズル#176により形成される特大ドットのラスタライン(○)と、第2重複ノズル#1により形成される極小ドットのラスタライン(△)が形成される。
【0064】
5個の重複ノズルにおいて、手前側の重複ノズルになるにつれて、第1重複ノズルが形成するドットサイズは小さくなり、逆に、第2重複ノズルが形成するドットサイズは大きくなるように、重複画素データが第1重複ノズル用の画素データ及び第2重複ノズル用の画素データに置き換えられる。そうすることで、重複領域の中央では、第1重複ノズル#178と第2重複ノズル#3によりそれぞれ中ドットのラスタラインが形成される。そして、重複領域の手前側では、第1重複ノズル#180(別の第1ノズルに相当)により形成される極小ドットのラスタライン(○)と、第2重複ノズル#5(別の第2ノズルに相当)により形成される特大ドットのラスタライン(△)が形成される。
【0065】
つまり、重複領域の奥側、即ち、第1ヘッド41(1)側では、第1重複ノズルにより形成されるドットの方が第2重複ノズルにより形成されるドットよりも大きくなるようにし、重複領域の手前側、即ち、第2ヘッド41(2)側では、第2重複ノズルにより形成されるドットの方が第1重複ノズルにより形成されるドットよりも大きくなるようにする。その結果、重複領域に印刷される画像の奥側部分では、第2重複ノズルよりも第1重複ノズルの影響が大きく、手前側部分では、第1重複ノズルよりも第2重複ノズルの影響が大きくなる。そのため、幅方向の奥側から手前側にかけて、第1ヘッド41(1)のノズルのみにより形成される画像(○)から第2ヘッド41(2)のノズルのみにより形成される画像(△)に移行する際に、第1ヘッド41(1)と第2ヘッド41(2)のヘッドの特性差が目立ち難くなり、より高画質な画像が得られる。
【0066】
図12は、ハーフトーン処理後に、「大ドット形成」を示す重複画素データを、階調性を持たせて、第1重複ノズル用の画素データと第2重複ノズル用の画素データに置き換えるパターンを示す図である。本実施形態のプリンタ1は各ヘッド41が重複ノズルを5個ずつ有する。また、プリンタ1が形成可能なドットサイズを5個としている(図8A)。そのため、「特大ドット形成」を示す重複画素データを第1重複ノズル用の画素データに変換する際に、奥側から手前側の第1重複ノズルほどサイズの小さいドットが形成させることができる。しかし、特大ドットよりも小さいサイズのドット形成する重複画素データは、必ずしも5個の第1重複ノズルに対して、奥側から手前側の第1重複ノズルほどサイズの小さいドットを形成させることはできない。
【0067】
例えば、「大ドット形成」を示す重複画素データを第1重複ノズル用の画素データに変換する際に、最も奥側の第1重複ノズル#176と奥から2番目の第1重複ノズル#177に「中ドット」を形成させるようにする。そして、それよりも手前側の第1重複ノズル#178,#179には「小ドット」を形成させ、最も手前側の第1重複ノズル#180には「極小ドット」を形成させるように、データを変換する。逆に、最も奥側の第2重複ノズル#1には「極小ドット」を形成させ、手前側の第2重複ノズル#2,#3には「小ドット」を形成させ、更に手前側の第2重複ノズル#4,#5には「中ドット」を形成させるように、データを変換する。
【0068】
そうすることで、5個の重複ノズルが形成する全てのドットに対して階調性をもたせられなくとも、第1ヘッド41(1)側(奥側)の第1重複ノズル(例えばノズル#176)により形成されるドットを、それに対応する第2重複ノズル(例えばノズル#1)により形成されるドットよりも大きくできる。逆に、第2ヘッド41(2)側(手前側)の第2重複ノズル(例えばノズル#5)により形成されるドットを、それに対応する第1重複ノズル(例えばノズル#180)により形成されるドットよりも大きくでき、第1ヘッド41(1)と第2ヘッド41(2)のヘッドの特性差が目立ち難い画像が得られる。
【0069】
そして、図11Aや図12に示すような重複画素データの置き換えパターンをコンピュータ60のメモリに記憶させることで、コンピュータ60が、ハーフトーン処理後の重複画素データを、階調性を持たせて、第1重複ノズル用画素データと第2重複ノズル用画素データに置き換えられる。
【0070】
また、図11Bでは、全ての重複画素データが「特大ドット形成」を示すとしているが、実際の印刷画像では、これに限らない。例えば、最も奥側の重複画素データは「大ドット形成」を示し、奥側から2番目の重複画素データは「特大ドット形成」を示しているとする。このとき、重複領域において、最も奥側の第1重複ノズルにより「中ドット」が形成され、奥側から2番目の第1重複ノズルにより「大ドット」が形成される。そのため、必ずしも、重複領域の奥側から手前側の領域になるほど、第1重複ノズルにより形成されるドットサイズが小さくなるとは限らない。但し、同じ重複画素データに基づいて、重複領域の奥側では、第1重複ノズルの方が第2重複ノズルよりも大きなドットを形成し、重複領域の手前側では、第2重複ノズルの方が第1重複ノズルよりも大きなドットを形成するため、同じ画素データに基づいて第1重複ノズルと第2重複ノズルが同じサイズのドットを形成する場合に比べて、印刷画像にヘッド41の特性差が現れ難くなる。
【0071】
===重複領域の濃度補正について:補正例3===
図13は、補正例3における印刷データ作成のフローである。この補正例3では、補正例1や補正例2とは異なり、ハーフトーン処理(S104)する前の重複画素データに対して、濃度補正処理(S103)を行う。
【0072】
図14は、印刷データ作成中における補正例3の濃度補正処理のイメージ図である。ハーフトーン処理前の画素データは高階調数(256階調)のデータである。ここで、全ての画素データが「階調値200」を示しているとする。その後、濃度補正処理にて、重複ノズルが割り当てられる重複画素データの階調値を半分の「100(第1階調値と第2階調値に相当)」にする。
【0073】
次に、ハーフトーン処理により、重複画素データは、「階調値100」という高階調のデータから「中ドット形成(第1ドットデータと第2ドットデータに相当)」という低階調のデータに変換される。一方、重複画素データ以外の画素データは、「階調値200」から「大ドット形成」というデータに変換される。最後に、ラスタライズ処理の際に、図中のハーフトーン処理後の画像データのうちの実線で囲まれた領域の画素データを第1ヘッド41(1)のノズル列に割り当て、点線で囲まれた領域の画素データを第2ヘッド41(2)のノズル列に割り当てる。
【0074】
即ち、濃度補正処理前には、全ての画素データが階調値200を示し、濃度補正処理せずにハーフトーン処理を行えば、全ての画素データが「大ドット形成」というデータに変換されるところを、濃度補正処理にて重複画素データの階調値を半分にした後にハーフトーン処理を行うことで、重複画素データは「中ドット形成」というデータに変換される。このように、重複画素データの階調値を半分にしてハーフトーン処理を行ったデータを、第1重複ノズルと第2重複ノズルに共通のデータとして割り振る。その結果、補正例1と同様に(図9B)、重複領域には、第1重複ノズルによる中ドットと第2重複ノズルによる中ドットとが重なるように形成される。こうすることで、重複領域の濃度補正処理を行わずに、第1重複ノズルと第2重複ノズルとにより大ドットが重なるように形成する場合(図9A)に比べて、重複領域が濃く視認されてしまうことを防止できる。
【0075】
なお、補正例1では、重複画素データをハーフトーン処理した後に、形成されるドットサイズが小さくなるように、重複画素データを第1重複ノズル用の画素データと第2重複ノズル用の画素データとに置き換える。一方、補正例2では、重複画素データの階調値を半分にした後にハーフトーン処理するため、重複領域内に形成されるドットサイズが小さくなる他に、重複領域内に生成されるドット数が少なくなることもある。但し、結果的には、濃度補正処理を行わない場合に比べて、重複領域に向けて吐出される液体量が減るため、重複領域が濃く視認されてしまうことを防止できる。
【0076】
図15は、ハーフトーン処理前の重複画素データの階調値を、階調性を持たせて、第1重複ノズル用の画素データと第2重複ノズル用の画素データとに置き換える様子を示す図である。図14では、重複画素データの階調値を半分に分けているが、これに限らない。例えば、重複画素データの示す階調値が「200」であるときに、重複画素データのうちの奥側(第1ヘッド41(1)のノズルが割り当てられている画素側)の重複画素データでは、第1重複ノズル(ある第1ノズルに相当)用の画素データの階調値「150(第1階調値に相当)」を、第2重複ノズル(ある第2ノズルに相当)用の画素データの階調値「50(第2階調値に相当)」よりも大きくするとよい。その結果、重複領域の奥側において、第2重複ノズルよりも第1重複ノズルからの液体吐出量の方が多くなる。逆に、手前側(第2ヘッド41(2)のノズルが割り当てられている画素側)の重複画素データでは、第2重複ノズル(別の第2ノズルに相当)用の画素データの階調値「150(第2階調値に相当)」を、第1重複ノズル(別の第1ノズルに相当)用の画素データの階調値「50(第1階調値に相当)」よりも大きくするとよい。こうすることで、異なるヘッド41の特性差が画像中に目立ち難くなり、より高画質な画像が得られる。
【0077】
このように重複画素データの階調値を、半分ではなく、階調性を持たせて、第1重複ノズル用の画素データと第2重複ノズル用の画素データとして分配する場合、図14に示すようにハーフトーン処理後の重複画素データを、第1重複ノズルと第2重複ノズルの共通のデータとすることはできない。そのため、図15に示すように、ハーフトーン処理前に、重複画素データを、第1重複ノズル用の画素データと第2重複ノズル用の画素データとに分配するとよい。
【0078】
===重複領域の濃度補正について:補正例4===
この補正例4では、重複領域に印刷される画像が、画素データにて示された濃度(階調値)に近付くために、画素列ごと(列領域ごと)の補正値H(詳細は後述する)を算出する。なお、画素列とは、印刷データ上において、搬送方向に対応する方向に複数の画素が並んだ画素のことをいう。また、画素列に対応する媒体上の領域を「列領域」という。
【0079】
図16Aから図16Cは、重複領域に対して補正例1から補正例3のような濃度補正処理を行わない場合における本実施形態の印刷方法を示す図である。図16Aでは、ヘッド41の取付誤差等がなく、第1重複ノズルと第2重複ノズルとが搬送方向に並ぶ場合に印刷されるドットの様子を示す図である。重複領域に対して、第1重複ノズルから吐出されるインク滴と第2重複ノズルから吐出されるインク滴が重なって着弾する。そのため、重複領域には、それ以外の領域よりも大きなドットが形成される。即ち、重複領域以外の1番目から3番目の列領域の濃度よりも、重複領域である4番目から6番目の列領域の濃度の方が濃く視認される。そこで、この補正例4では、実際にプリンタ1にテストパターンを印刷させる。そのテストパターン結果より、重複領域に属する列領域が他の列領域に比べて、どの程度濃く印刷されるかを検出し、列領域ごとの補正値Hを算出する。
【0080】
また、重複領域である4番目の列領域と隣接する3番目の列領域に、4番目の列領域に形成される大きなドットがはみ出す場合がある。このとき、3番目の列領域は、重複領域ではなくとも、それ以外の1番目や2番目の列領域よりも濃く視認されてしまう。つまり、同じノズルにより列領域に形成された画像であっても、隣接する列領域に対応付けられたノズルの影響を受けて、濃度が異なる場合がある。このような場合、単にノズルに対応付けた補正値では、濃度むらを抑制することができない。そのため、列領域ごとの補正値Hを算出することで、重複ノズルにより形成されるドットが重複領域以外の領域に影響し、濃度むらが発生してしまうことを防止できる。
【0081】
同様に、図16Bでは、第1重複ノズルに対して第2重複ノズルが幅方向の奥側にずれて取り付けられた場合に印刷されるドットの様子を示している。この場合、第2重複ノズルにより形成されるドットが3番目の列領域にはみ出して形成されてしまう。その結果、3番目の列領域は、重複領域でなくとも、濃く視認されてしまう。そのため、列領域ごとの補正値Hにより、この3番目の列領域の濃度を補正できる。
【0082】
一方、図16Cでは、第1重複ノズルに対して第2重複ノズルが幅方向の手前側にずれて取り付けられた場合に印刷されるドットの様子を示している。この場合、4番目の列領域に形成されるはずである第2重複ノズルによるドットが、5番目の列領域に寄って形成されてしまう。その結果、4番目の列領域は、重複領域であっても、他の重複領域に属する列領域ほどには濃く印刷されない。そのため、他の重複領域に属する列領域と同様に、4番目の列領域の濃度補正処理を行ってしまうと、4番目の列領域は淡く視認されてしまう。そこで、列領域ごとの補正値Hにより濃度補正処理を行うことで、より正確に濃度補正を行うことができる。
【0083】
また、重複領域に対して、補正例1から補正例3の濃度補正処理を行った場合にも同じことが言える。例えば、補正例1により、図9Bに示すように、重複画素データが「大ドット形成」を示す場合に、第1重複ノズルと第2重複ノズルとにより中ドットを形成させたとしても、重複領域が未だ他の領域に比べて濃く視認されてしまう場合もある。このとき、補正例1にて濃度補正処理を行った印刷データに基づいて、テストパターンを印刷し、列領域ごとの補正値Hを算出することで、補正例1による濃度補正処理では補正しきれなかった濃さを補正できる。逆に、濃度補正処理を行うことで、重複領域が淡く印刷され過ぎてしまった場合にも、補正値Hにより、重複領域の淡さを補正できる。つまり、重複領域に対して補正例1から補正例3の濃度補正処理を行い、更に、画素列ごとの補正値Hに基づいて、その画素列に対応する列領域の濃度補正を行うことで、濃度むらがより抑制され、高画質な画像が得られる。
【0084】
また、ヘッド41だけでなくノズルごとによっても特性が異なる。そのため、重複ノズルであっても、それ以外のノズルであっても、例えば、インク吐出量が既定量よりも少なかったり、多かったりする場合がある。この場合、既定量よりも少ない量のインクを吐出するノズルにより形成された列領域は淡く視認され、既定量よりも多い量のインクを吐出するノズルにより形成された列領域は濃く視認されてしまう。このような列領域を補正値Hにより補正できる。即ち、画素列ごとの補正値Hにより、重複領域だけでなく、重複領域以外の領域の濃度むらも解消できる。また、吐出されたインク滴が飛行曲がりするノズルが割り当てられた列領域と隣接する列領域の濃度も、画素列ごとの補正値Hによれば、自身の列領域に対応付けられたノズルだけでなく、隣接する列領域に対応付けられたノズルも考慮して補正される。
【0085】
図17は、補正値Hの算出方法のフローである。以下、補正値Hの算出方法について説明する。補正値Hは、プリンタ1の製造工程などにて行われるとする。
【0086】
<S201:テストパターンの印刷>
図18Aは、テストパターンを示す図であり、図18Bは、補正用パターンを示す図である。コンピュータ60はプリンタドライバに従ってプリンタ1に図18Aに示すようなテストパターンを印刷させる。このとき、重複ノズルが割り当てられた画素データに基づいて、その画素データと対応する媒体の領域に対して、第1重複ノズルと第2重複ノズルとからインクを吐出させる。また、重複領域に対して、補正例1から補正例3の濃度補正処理が行った状態でテストパターンを印刷してもよいし、濃度補正処理を行わない状態でテストパターンを印刷してもよいとする。
【0087】
テストパターンは、異なる色のノズル列ごと(シアン・マゼンタ・イエロー・ブラック)に形成された4つの補正用パターンによって構成される。各補正用パターンは3種類の濃度の帯状パターンから構成される。帯状パターンはそれぞれ一定の階調値の画像データから生成されたものである。帯状パターンの階調値を指令階調値と呼び、濃度30%の帯状パターンの指令階調値をSa(76)、濃度50%の帯状パターンの指令階調値をSb(128)、濃度70%の帯状パターンの指令階調値をSc(179)、と表す。
【0088】
本実施形態のプリンタ1は、ヘッドユニット40の搬送方向への1回の移動(パス)によりバンド画像が印刷されると、バンド画像分だけヘッドユニット40が幅方向に移動し、先に印刷されたバンド画像と搬送方向に並ぶように、次のパスにて、再びバンド画像が印刷されるようなバンド印刷を行うとする。即ち、あるパスで形成されたラスタラインの間に、他のパスで形成されるラスタラインが印刷されることはない。前述のように、ある列領域の濃度は、その列領域に対応付けられたノズルと、その列領域と隣接する列領域に対応付けられたノズルの特性によって異なってくる。バンド印刷では、あるパスで形成されたラスタラインの間に、他のパスで形成されるラスタラインが印刷されることがない。そのため、補正用パターンを2回のパスにて形成すれば、列領域ごとの補正値Hを算出できる。ゆえに、補正用パターンは2回のパスにて形成される710個(=(180+175)×2)のラスタラインから構成されるとする。また、重複ノズル以外のノズルが割り当てられる列領域の補正値Hは算出しない場合、重複ノズルとそれに隣接するノズルのみをもちいて、補正用パターンを形成するとよい。
【0089】
<S202:読取階調値の取得>
次に、印刷されたテストパターンをスキャナで読み取る。例えば、図18Aに示すように、テストパターンが印刷された用紙のシアンの補正用パターンを囲む範囲(一点鎖線)を読取範囲とすればよい。同様に、他のノズル列が形成した補正用パターンも読み取る。読み取った補正用パターンの画像(一点鎖線の範囲)が傾いている場合には、画像の傾きθを検出し、画像データに対して傾きθに応じた回転処理を行う。
【0090】
なお、補正用パターンを読み取った画像データ上においても、「列領域」に対応する領域を「画素列」とする。そして、補正用パターンよりも大きい範囲(一点鎖線の範囲)にて読み取った画像データのうちの不要な画素をトリミングする。そうして、読取画像データ上において、搬送方向に相当する方向の画素列数を、補正用パターンのラスタラインの数(列領域の数)と同数になるようにする。つまり、画素列と列領域を一対一で対応させる。例えば、一番上に位置する画素列が1番目の列領域に対応し、その下に位置する画素列は2番目の列領域に対応する。
【0091】
図19は、濃度30%から70%の帯状パターンの読取結果をグラフにて示した図である。画素列と列領域を一対一で対応させた後、帯状パターンごとに、各列領域の濃度を算出する。ある列領域に対応する画素列の各画素の読取階調値の平均値を、その列領域の読取階調値とする。図19では、横軸が列領域番号であり、縦軸が読取階調値である。グラフに示されるように、各帯状パターンは、それぞれの指令階調値で一様に形成されたにも関わらず、列領域ごとに読取階調値にばらつきが生じている。特に、補正例1から3の濃度補正処理を行わずにテストパターンを印刷すると、重複領域に属する列領域の濃度はそれ以外の領域に属する列領域の濃度に比べて、読取階調値が高くなる。この列領域ごとの濃度のばらつきが印刷画像の濃度むらの原因となる。
【0092】
<S203:補正値Hの算出>
図19に示すような列領域ごとの濃度のばらつきを低減するためには、同一の階調値における列領域ごとの濃度のばらつきをなくせばよい。即ち、各列領域の濃度を一定の値に近づけることで、濃度むらが改善される。
【0093】
そこで、同一の指令階調値、例えば、Sbにおいて、全列領域の読取階調値の平均値Cbtを、「目標値Cbt」として設定する。そして、指令階調値Sbにおける各列領域の読取階調値を目標値Cbtに近づけるように、各列領域に対応する画素の階調値を補正する。なお、重複領域に対して濃度補正処理を行わずにテストパターンを行うと、重複領域に属する列領域の読取階調値が高く、全ての列領域の読取階調値の平均値を目標値にしてしまうと、目標値が高くなってしまう。そのため、重複領域以外の列領域の読取階調値の平均値を目標値とするとよい。
【0094】
指令階調値Sbに対する読取階調値Cbiが目標値Cbtよりも低い列領域iでは、指令階調値Sbの設定よりも濃く印刷されるように、ハーフトーン処理前および濃度補正処理前の階調値を補正する。一方、目標値Cbtよりも読取階調値の高い列領域j(Cbj)では、指令階調値Sbの設定よりも淡く印刷されるように階調値を補正する。
【0095】
図20Aは、目標の階調値Cbtよりも読取結果の低いi列領域の目標階調値Sbtの算出方法を示す図である。横軸が指令階調値を示し、縦軸が読取階調値を示す。グラフ上には、指令階調値(Sa,Sb,Sc)に対するi列領域のシアンの読取結果(Cai,Cbi,Cci)がプロットされている。指令階調値Sbに対してi列領域が目標値Cbtにて表されるための目標指令階調値Sbtは次式(直線BCに基づく線形補間)により算出される。
Sbt=Sb+(Sc−Sb)×{(Cbt−Cbi)/(Cci−Cbi)}
【0096】
図20Bは、目標の階調値Cbtよりも読取結果の高いj列領域の目標階調値Sbtの算出方法を示す図である。グラフ上には、j列領域のシアンの読取結果がプロットされている。指令階調値Sbに対してj列領域が目標値Cbtにて表されるための目標指令階調値Sbtは次式(直線ABに基づく線形補間)により算出される。
Sbt=Sa+(Sb−Sa)×{(Cbt−Caj)/(Cbj−Caj)}
【0097】
こうして、指令階調値Sbに対して、各列領域の濃度が目標値Cbtにて表されるための目標指令階調値Sbtを算出した後、次式により、各列領域の指令階調値Sbに対する補正値Hを算出する。
Hb=(Sbt−Sb)/Sb
【0098】
同様にして、3つの指令階調値(Sa,Sb,Sc)に対する3つの補正値(Ha,Hb,Hc)を列領域ごとに算出する。また、シアンだけでなく、その他のノズル列の補正値Hも算出する。なお、本実施形態の補正用パターンは、バンド印刷方法によりヘッドユニット40の2回のパスにて形成されている。そこで、対応する2つの列領域の補正値Hの平均値を、その列領域の補正値Hとするとよい。
【0099】
<S204:補正値Hの記憶について>
図21は、補正値テーブルである。補正値Hの算出後、補正値Hをプリンタ1のメモリ53に記憶する。補正値テーブルには、3つの指令階調値に対する3つの補正値(Ha_i,Hb_i,Hc_i)が列領域iごとに対応付けられている。補正値テーブルには、ヘッドユニット40の1回のパスにて印刷の対象となる列領域の補正値Hが記憶される。そして、列領域番号176から180の補正値Hが重複領域の補正値Hとなる。
【0100】
<ユーザーのもとでの印刷について>
図22は、列領域ごとに設定された補正値Hを用いて濃度補正処理を行う際の印刷データの作成処理のフローである。プリンタ1の製造工程において、濃度むら補正のための補正値Hが算出され、補正値Hがプリンタのメモリ53に記憶された後、プリンタ1は出荷される。そして、ユーザーが、プリンタ1を使用する際にプリンタドライバをインストールすると、プリンタドライバはプリンタ1に対してメモリ53に記憶されている補正値Hをコンピュータ60に送信するように要求する。プリンタドライバは、プリンタ1から送られてくる補正値Hをコンピュータ60内のメモリに記憶する。
【0101】
そして、プリンタドライバは、ユーザーからの印刷命令を受けると、図22の印刷データ作成処理のフローに従って印刷データを作成する。その際に、図22に示すように、色変換処理の後(S302)、高階調にて示された画素データを、その画素データが割り当てられる列領域の補正値Hに従って、階調値が補正される(S303、詳細は後述)。その後、重複領域に対して補正例1から補正例3の濃度補正処理を行わない場合(1)には、補正値Hにて補正された画素データをハーフトーン処理する。一方、重複領域に対して補正例1または補正例2の濃度補正処理を行う場合(2)には、補正値Hにて補正された画素データをハーフトーン処理した後に、更に、重複領域に対応する画素データを、第1重複ノズル用の画素データと第2重複ノズル用の画素データに置き換える。また、重複領域に対して補正例3の濃度補正処理を行う場合(3)には、補正値Hにて補正された画素データのうちの重複領域に対応する画素データの階調値を半分にするなどして補正し(例えば図14,図15)、ハーフトーン処理する。
【0102】
次に、S303にて、画素データの示す高階調の階調値を補正値Hにより補正する処理について説明する。プリンタドライバは、各画素データの階調値(以下、補正前の階調値S_inとする)を、その画素データが対応する列領域の補正値Hに基づいて補正する(補正後の階調値S_outとする)。
【0103】
補正前の階調値S_inが指令階調値のいずれかSa,Sb,Scと同じであれば、コンピュータ60のメモリに記憶されている補正値Ha,Hb,Hcをそのまま用いることができる。例えば、補正前の階調値S_in=Scであれば、補正後の階調値S_outは次式により求められる。
S_out=Sc×(1+Hc)
【0104】
図23は、シアンのi番目の列領域の補正前の階調値S_inが指令階調値と異なる場合の補正方法を示す図である。横軸を補正前の階調値S_inとし、縦軸を補正後の階調値S_outとする。補正前の階調値S_inが指令階調値SaとSbの間であるとき、指令階調値Saの補正値Haと指令階調値Sbの補正値Hbを基に線形補間によって次式により補正後の階調値S_outを算出する。
S_out=Sa+(S’bt−S’at)×{(S_in−Sa)/(Sb−Sa)}
【0105】
なお、補正前の階調値S_inが指令階調値Saよりも小さい場合には、階調値0(最低階調値)と指令階調値Saの線形補間によって、補正後の階調値S_outを算出する。補正前の階調値S_inが指令階調値Scよりも大きい場合には、階調値255(最高階調値)と指令階調値Scの線形補間によって、補正後の階調値S_outを算出する。また、これに限らず、指令階調値とは異なる補正前の階調値S_inに対応した補正値H_outを算出し、補正後の階調値S_outを算出してもよい(S_out=S_in×(1+H_out))。
【0106】
===その他の実施形態===
上記の各実施形態は、主としてインクジェット方式のプリンタを有する印刷システムについて記載されているが、濃度むら補正方法等の開示が含まれている。また、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
【0107】
<シリアル式のプリンタについて>
前述の実施形態では、連続媒体を印刷領域に搬送した後に、ヘッドユニット40を搬送方向と連続媒体の幅方向に交互に移動しながら画像を形成し、画像形成後には、再び、印刷されていない連続媒体の領域を印刷領域に搬送し、これを繰り返すことで連続媒体に画像を印刷するインクジェットプリンタを例に挙げているがこれに限らない。例えば、複数のヘッドを有するヘッドユニットがキャリッジにより移動方向に移動しながらラスタラインを形成する動作と、単票紙を移動方向と交差する方向である搬送方向に搬送する動作とを交互に繰り返すシリアル式のプリンタにおいても本件発明を適用できる。この場合、ヘッドは搬送方向に複数のノズルが並んだノズル列を備える。そして、一方のヘッドのノズル列の搬送方向における下流側端部と、他方のヘッドのノズル列の上流側端部とが重なるように、複数のヘッドを配置する。そして、そのノズル列の端部と対向する媒体の領域に対しては、同じ画素データに基づいて、異なるヘッドのノズルからそれぞれインクを吐出させる。その結果、ヘッドの取付誤差等により発生する濃度むらを解消できる。
【0108】
<ラインヘッドプリンタについて>
また、紙幅方向に沿ったノズル列を有する複数のヘッドが、紙幅方向に並んでいるラインヘッドプリンタであっても、本件発明を適用できる。ラインヘッドプリンタでは、紙幅方向いっぱいにノズルが並び、そのノズルの下を用紙が紙幅方向と交差する方向である搬送方向に停まることなく搬送される際に、各ノズルからインクが吐出されることによって画像が完成する。この場合、紙幅方向に隣り合うヘッドの一方のヘッドのノズル列端部と他方のヘッドのノズル列端部とが重なり合うように、各ヘッドを配置する。そして、ノズル列の端部と対向する媒体の領域に対しては、同じ画素データに基づいて、異なるヘッドのノズルからそれぞれインクを吐出させる。その結果、ヘッドの取付誤差等による濃度むらを解消できる。特にラインヘッドプリンタは多数のヘッドを有し、他のプリンタに比べて、取付誤差による濃度むらが発生しやすいと言えるため、本件発明が有効に適用できる。
【0109】
<液体吐出装置について>
前述の実施形態では、液体吐出方法を実施する液体吐出装置(一部)としてインクジェットプリンタを例示していたが、これに限らない。液体吐出装置であれば、プリンタ(印刷装置)ではなく、様々な工業用装置に適用可能である。例えば、布地に模様をつけるための捺染装置、カラーフィルター製造装置や有機ELディスプレイ等のディスプレイ製造装置、チップへDNAを溶かした溶液を塗布してDNAチップを製造するDNAチップ製造装置、回路基板製造装置等であっても、本件発明を適用することができる。
また、液体の吐出方式は、駆動素子(ピエゾ素子)に電圧をかけて、インク室を膨張・収縮させることにより液体を吐出するピエゾ方式でもよいし、発熱素子を用いてノズル内に気泡を発生させ、その気泡によって液体を吐出させるサーマル方式でもよい。
【0110】
また、前述の実施形態では、プリンタ1に接続されたコンピュータ60が、重複ノズルが割り当てられる画素データを、その画素データに基づいて複数の重複ノズルからそれぞれインクが吐出されるようにデータを置き換える処理を行っているため、コンピュータ60が制御部に相当し、コンピュータ60とプリンタ1が接続されたシステムが、「液体吐出装置」に相当する。但し、これに限らず、プリンタ1のコントローラ10がこのコンピュータ60の役割を担う場合、コントローラ10が「制御部」に相当し、プリンタ1単体が「液体吐出装置」に相当する。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】印刷システムの構成ブロック図である。
【図2】図2Aはプリンタの概略断面図、図2Bはプリンタの概略上面図である。
【図3】ヘッドユニットの下面のノズル配列を示す図である。
【図4】図4Aは本実施形態と異なるヘッドの配置を示す図であり、図4Bは本実施形態と異なる比較例の印刷方法を示す図である。
【図5】ヘッドに取付誤差が生じた際の比較例の印刷を示す図である。
【図6】本実施形態の印刷方法を示す図である。
【図7】印刷データ作成処理フローである。
【図8】図8Aはプリンタ1が印刷可能なドットの種類を示す図であり、図8Bは重複画素データの重複ノズル用の画素データへの置き換えを示す図である。
【図9】図9Aは濃度補正処理が行われない場合のドット形成の様子を示し、図9Bは補正例1の濃度補正処理が行われた場合のドット形成の様子を示す図である。
【図10】補正例1の濃度補正処理のイメージ図である。
【図11】図11Aは重複画素データを階調性を持たせて重複ノズル用の画素データに置き換える様子を示し、図11Bはドット形成の様子を示す図である。
【図12】重複画素データを階調性を持たせて重複ノズル用の画素データに置き換えるパターンを示す図である。
【図13】補正例3における印刷データ作成のフローである。
【図14】補正例3の濃度補正処理のイメージ図である。
【図15】重複画素データ階調性を持たせて重複ノズル用の画素データに置き換える様子を示す図である。
【図16】図16Aから図16Cは、濃度補正処理を行わない場合における本実施形態の印刷方法を示す図である。
【図17】補正値の算出方法のフローである。
【図18】図18Aはテストパターンを示す図であり、図18Bは補正用パターンを示す図である。
【図19】帯状パターンの読取結果をグラフにて示した図である。
【図20】図20A及び図20Bは目標階調値の算出方法を示す図である。
【図21】補正値テーブルである。
【図22】補正値を用いて濃度補正処理を行う印刷データ作成処理フローである。
【図23】補正前の階調値が指令階調値と異なる場合の補正方法を示す図である。
【符号の説明】
【0112】
1 プリンタ、10 コントローラ、11インターフェース部、
12 CPU、13 メモリ、14 ユニット制御回路、
20 搬送ユニット、21 搬送ローラ、
30 駆動ユニット、31 第1ステージ、32 第2ステージ、
40 ヘッドユニット、41 ヘッド、42 ヘッド、
50 検出器群、60 コンピュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体に液体を吐出する複数のノズルが所定方向に並んだ第1ノズル列と、
媒体に液体を吐出する複数のノズルが前記所定方向に並んだ第2ノズル列であって、前記所定方向の一方側の端部が前記第1ノズル列の前記所定方向における他方側の端部と重なるように配置された第2ノズル列と、
ある画素データに基づいて、前記第1ノズル列の前記他方側の端部に属する第1ノズルと前記第2ノズル列の前記一方側の端部に属する第2ノズルとからの、その前記画素データに対応する前記媒体上の領域への液体の吐出を制御する制御部と、
を備える液体吐出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液体吐出装置であって、
前記制御部は、前記ある画素データではない別の画素データの示す階調値に基づいて、前記第1ノズル及び前記第2ノズル以外のノズルから所定の液体量を吐出させ、
前記ある画素データの示す階調値が前記別の画素データの示す階調値と等しい場合、
前記ある画素データに対応する前記媒体上の領域に前記第1ノズルと前記第2ノズルとからそれぞれ前記所定の液体量を吐出させる、
液体吐出装置。
【請求項3】
請求項2に記載の液体吐出装置であって、
前記制御部は、前記ある画素データの示す前記階調値が閾値以上である場合、前記ある画素データに対応する前記媒体上の領域に前記第1ノズルと前記第2ノズルとからそれぞれ前記所定の液体量を吐出させ、
前記ある画素データの示す前記階調値が前記閾値未満である場合、前記ある画素データに対応する前記媒体上の領域に、前記第1ノズルから前記所定の液体量を吐出させ、前記第2ノズルからは液体を吐出させない、
液体吐出装置。
【請求項4】
請求項1に記載の液体吐出装置であって、
前記制御部は、ハーフトーン処理により、各画素データの示す階調値を、前記各画素データに対応する前記媒体上の領域に形成すべきドットサイズを示すドットデータに変換し、
前記ある画素データに対応する前記媒体上の領域に、前記ある画素データの前記ドットデータが示すドットサイズ以下のドットを、前記第1ノズルと前記第2ノズルとにそれぞれ形成させる、
液体吐出装置。
【請求項5】
請求項4に記載の液体吐出装置であって、
ある第1ノズルとある第2ノズルとが重なり、
別の第1ノズルと別の第2ノズルとが、前記ある第1ノズル及び前記ある第2ノズルよりも、前記他方側に位置して重なり、
前記制御部は、前記ある第2ノズルよりも前記ある第1ノズルに大きいサイズのドットを形成させ、前記別の第1ノズルよりも前記別の第2ノズルに大きいサイズのドットを形成させる、
液体吐出装置。
【請求項6】
請求項1に記載の液体吐出装置であって、
前記制御部は、前記ある画素データの示す階調値を、前記第1ノズル用の第1階調値と、前記第2ノズル用の第2階調値とに分配した後に、
画素データの示す階調値を、前記画素データに対応する前記媒体上の領域に形成すべきドットサイズを示すドットデータに変換するハーフトーン処理により、前記第1階調値を第1ドットデータに変換し、前記第2階調値を前記第2ドットデータに変換し、
前記ある画素データに対応する前記媒体上の領域に、前記第1ドットデータが示すドットサイズのドットを前記第1ノズルに形成させ、前記第2ドットデータが示すドットサイズのドットを前記第2ノズルに形成させる、
液体吐出装置。
【請求項7】
請求項6に記載の液体吐出装置であって、
ある第1ノズルとある第2ノズルとが重なり、
別の第1ノズルと別の第2ノズルとが、前記ある第1ノズル及び前記ある第2ノズルよりも、前記他方側に位置して重なり、
前記制御部は、前記ある画素データの示す階調値を、前記ある第2ノズルよりも前記ある第1ノズルにより大きいサイズのドットが形成されるように、前記第1階調値と前記第2階調値とに分配し、
前記ある画素データの示す階調値を、前記別の第1ノズルよりも前記別の第2ノズルにより大きいサイズのドットが形成されるように前記第1階調値と前記第2階調値とに分配する、
液体吐出装置。
【請求項8】
請求項1に記載の液体吐出装置であって、
前記制御部は、前記ある画素データではない別の画素データの示す階調値に基づいて、前記第1ノズル及び前記第2ノズル以外のノズルから液体を吐出させ、
前記階調値と等しい前記ある画素データの示す階調値を淡い階調値に変換し、
前記淡い階調値に基づいて、前記ある画素データに対応する前記媒体上の領域に、前記第1ノズルと前記第2ノズルとからそれぞれ液体を吐出させる、
液体吐出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図18】
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【公開番号】特開2009−226904(P2009−226904A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−78597(P2008−78597)
【出願日】平成20年3月25日(2008.3.25)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】