説明

液体吐出装置

【課題】廃液タンクの液体吸収体に吸収された液体の吸収量が所定吸収量以上となったことを精度よく検出する。
【解決手段】吸引キャップ21と廃液タンク25との間には、2つの中間タンク22a、22bが設けられている。中間タンク22a、22bには、それぞれ、インクジェットヘッド4から排出されたブラックインク及び3色のカラーインクが一時的に貯留される。中間タンク22a、22bに貯留されたブラックインク及びカラーインクは、所定比率R1で、廃液タンク25に移送され、ブラックインクとカラーインクとが所定比率R1で混ざったインクが、廃液タンク25のインク吸収フォーム42に吸収される。インク吸収フォーム42には、互いに対抗する一対の電極43a、43bが挿通されており、インク吸収フォーム42の電極43aと電極43bとに挟まれた部分の導電率を検出することができるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズルから液体を吐出する液体吐出ヘッドを備えた液体吐出装置に関する。
【0002】
ノズルから液体を吐出する液体吐出ヘッドを備えた液体吐出装置として、特許文献1には、インクジェットヘッドのノズルからブラックインク及び3色のカラーインクを吐出することによって印刷を行うインクジェット式プリンタが記載されている。特許文献1に記載のインクジェット式プリンタは、ブラックのインクを吐出するノズルを覆う第1キャップ部、及び、3色のカラーのインクを吐出するノズルを覆う第2キャップ部のいずれかが選択的に吸引ポンプに接続可能となっており、吸引ポンプの第1、第2キャップ部と反対側に、廃インク吸収材が収容された廃液タンクが接続されている。そして、第1、第2キャップ部のいずれかを吸引ポンプに接続した状態で、吸引ポンプを駆動することにより、ノズルからインクジェットヘッド内のブラック又は3色のカラーのインクが排出され、排出されたインクが、廃インク吸収材に吸収された状態で廃液タンクに貯留される。
【0003】
ここで、特許文献1に記載されているように、インクジェットヘッドから排出されたインクが廃液タンクに貯留される場合には、廃液タンクからインクが溢れてしまうのを防止するために、廃液タンクにおけるインクの貯留量を把握する必要がある。
【0004】
廃液タンクにおけるインクの貯留量を把握するための構成として、特許文献2には、インク吸収部材が収容された廃液タンク(廃インク収納部)の一端部に、排出されたインクを廃液タンクへ流すための廃インク回収用パイプが接続されており、他端部に、互いに対向する一対の電極が配置されている。そして、廃液タンクにおけるインクの貯留量がその上限近くに達したときに、廃液タンク内のインクが上記一対の電極の間に達して電極間が導通し、これにより、廃液タンク内のインクの貯留量がその上限近くに達したことを検出することができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−93245号公報
【特許文献2】特開平8−104014号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、特許文献2において、一対の電極間が導通しているか否かを検出するということは、具体的には、電極間の導電率が所定の閾値以上となっているか否かを検出することであるため、導電率の上記閾値を予め設定しておく必要がある。一方、特許文献1のように、互いに導電率の異なるブラックのインクとカラーのインクが同じ廃液タンクに貯留される場合には、ブラック及びカラーのインクを排出させるタイミングや頻度などにより、ブラックのインクとカラーのインクとがどのような比率で混ざったインクがインク吸収体の各部分に達するのかが変わってくる。
【0007】
そのため、特許文献2に記載の構成により、特許文献1に記載のインクジェット式プリンタの廃液タンクにおけるインクの貯留量が、その上限近くに達したか否かを検出するとした場合、上記導電率の閾値を高めの値に設定すると、導電率の低いインクの比率が多いインクが一対の電極の間に達しても、電極間の導通が検出されず、廃液タンクからインクが溢れてしまう虞がある。
【0008】
一方、上記導電率の閾値を低めの値に設定すると、導電率の高いインクが、一対の電極の間から少し離れた部分に達した時点で、電極間の導通が検出されてしまい、廃液タンクにインクを吸収可能な領域が残っているにも関わらず、廃液タンクにおけるインクの貯留量がその上限近くに達したと判定されてしまう。さらに、上記導電率の閾値をあまりに低く設定すると、インク吸収体の周囲の湿気などによって、電極間の導通が検出されてしまう虞もある。
【0009】
本発明の目的は、廃液タンクにおける液体の貯留量が所定量以上となったことを精度よく検出することが可能な液体吐出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の発明に係る液体吐出装置は、導電率の互いに異なる複数種類の液体を吐出する液体吐出ヘッドと、前記液体吐出ヘッドから前記複数種類の液体を排出させる液体排出手段と、液体を吸収する液体吸収体と、前記液体吸収体を電気的に検査することによって前記液体吸収体に所定吸収量以上の液体が吸収されたか否かを検出する液体吸収センサと、を有し、前記液体排出手段によって前記液体吐出ヘッドから排出された前記複数種類の液体を貯留する廃液タンクと、前記液体排出手段によって前記液体吐出ヘッドから排出された液体が前記廃液タンクに至る経路の途中に設けられており、前記複数種類の液体を個別に一時的に貯留する複数の中間タンクと、前記複数の中間タンクから前記廃液タンクに至る経路の途中に設けられており、前記複数の中間タンクから前記廃液タンクへ流れる液体の量を調整する液量調整手段と、前記液量調整手段の動作を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記液量調整手段を制御して、前記複数の中間タンクから前記廃液タンクへ、前記複数種類の液体を所定比率で流れさせることを特徴とする。
【0011】
本発明によると、廃液タンクが備える液体吸収体に、複数種類の液体が所定比率で混ざった状態で吸収されるため、液体吸収体に導電率の互いに異なる複数種類の液体が吸収される場合でも、液体吸収体を電気的に検査する液体吸収センサにより、液体吸収体に所定吸収量以上の液体が吸収されたか否かを精度よく検出することができる。
【0012】
第2の発明に係る液体吐出装置は、第1の発明に係る液体吐出装置において、前記所定比率は、前記複数の中間タンクの各々から順に連続して前記廃液タンクに液体を流れさせたときの、液体吸収センサの検出精度が良い所望の比率であることを特徴とする。
【0013】
本発明によると、液体吸収センサにより、液体吸収体に所定吸収量以上の液体が吸収されたか否かを精度よく検出することができる。
【0014】
第3の発明に係る液体吐出装置は、第1又は第2の発明に係る液体吐出装置において、前記制御手段は、前記複数の中間タンクのうちいずれかの中間タンクにおける液体の貯留量が所定貯留量以上になったときに、前記液量調整手段を制御して、前記複数の中間タンクから前記廃液タンクへ、前記複数種類の液体を前記所定比率で流れさせることを特徴とする。
【0015】
本発明によると、中間タンクにある程度の量の液体が貯留された段階で、中間タンクから廃液タンクに液体を流れさせることができる。
【0016】
第4の発明に係る液体吐出装置は、第3の発明に係る液体吐出装置において、前記液体排出手段により前記液体吐出ヘッドから液体を排出させた回数から、前記複数の中間タンクの少なくとも1つにおける液体の貯留量を推定する貯留量推定手段をさらに備え、前記制御手段は、前記貯留量推定手段によって、いずれかの前記中間タンクにおける液体の貯留量が前記所定貯留量以上となったと推定されたときに、前記液量調整手段を制御して、前記複数の中間タンクから前記廃液タンクへ、前記複数種類の液体を前記所定比率で流れさせることを特徴とする。
【0017】
本発明によると、別途センサなどを設けることなく、いずれかの中間タンクにおける液体の貯留量が所定貯留量以上になったことを検知することができる。
【0018】
第5の発明に係る液体吐出装置は、第3の発明に係る液体吐出装置において、前記複数の中間タンクの少なくとも一方に、前記中間タンクにおける液体の貯留量が、前記所定貯留量以上であるか否かを検出する貯留量センサが設けられており、前記制御手段は、前記貯留量センサにより、いずれかの前記中間タンクにおける液体の貯留量が前記所定貯留量以上になったことが検出されたときに、前記液量調整手段を制御して、前記複数の中間タンクから前記廃液タンクへ、前記複数種類の液体を前記所定比率で流れさせることを特徴とする。
【0019】
本発明によると、いずれかの中間タンクにおける液体の貯留量が所定貯留量以上になった否かを精度よく検出することができる。
【0020】
第6の発明に係る液体吐出装置は、第3〜第5のいずれかの発明に係る液体吐出装置において、前記液体吐出ヘッドは、導電率の互いに異なる2種類の液体を吐出するものであって、前記中間タンクを2つ備え、2つの前記中間タンクには、前記所定貯留量がそれぞれ設定されており、前記制御手段は、2つの前記中間タンクのうちの一方の中間タンクにおける液体の貯留量が、前記設定された所定貯留量以上になったときに、前記液量調整手段を制御して、他方の中間タンクに貯留された液体の全てを前記廃液タンクに流れさせる設定をし、前記一方の中間タンクから前記廃液タンクへ、前記他方の中間タンクから前記廃液タンクへ流れさせる液体の量との比率が前記所定比率となる量の液体を流れさせる設定をし、前記一方の中間タンクと前記他方の中間タンクとから前記廃液タンクへ、液体を流れさせることを特徴とする。
【0021】
本発明によると、2つの中間タンクを備えている場合、一方の中間タンクにおける液体の貯留量が所定貯留量以上になったときに、他方の中間タンクに貯留されている液体を全て廃液タンクへ流れさせるとともに、一方の中間タンクから廃液タンクへ、他方の中間タンクから廃液タンクに流れさせる液体の量との比率が所定比率となる量の液体を流れさせるので、2つの中間タンクから廃液タンクに、確実に所定比率で液体を流れさせることができる。
【0022】
第7の発明に係る液体吐出装置は、第6の発明に係る液体吐出装置において、2つの前記中間タンクに、それぞれ、前記中間タンクが空であるか否かを検出するエンプティセンサが設けられており、前記制御手段は、前記液量調整手段を制御して、前記エンプティセンサにより前記他方の中間タンクが空になったことが検出されるまで前記他方の中間タンクから前記廃液タンクに液体を流れさせることによって、前記他方の中間タンクに貯留された液体をすべて前記廃液タンクに流れさせ、前記エンプティセンサにより前記他方の中間タンクが空になったことが検出された後、前記一方の中間タンクから前記廃液タンクに液体を流れさせることを特徴とする。
【0023】
本発明によると、エンプティセンサにより他方の中間タンクが空になったことが検出されたときに、一方の中間タンクから廃液タンクに液体を流れさせるので、エンプティセンサによる検知を、一方の中間タンクから廃液タンクに液体を流れさせることを開始するためのトリガとして利用することができる。
【0024】
第8の発明に係る液体吐出装置は、第6又は第7の発明に係る液体吐出装置において、前記制御手段は、前記一方の中間タンクにおける液体の貯留量が前記所定貯留量以上になったときに、前記他方の中間タンクが空である場合には、前記液量調整手段を制御して、前記一方の中間タンクからのみ前記廃液タンクへ液体を流れさせて、前記一方の中間タンクにおける液体の貯留量を減少させることを特徴とする。
【0025】
本発明によると、一方の中間タンクにおける液体の貯留量が所定貯留量以上になったときに他方の中間タンクが空であり、2つの中間タンクから廃液タンクへ2種類の液体を所定比率で流れさせることができない場合に、一方の中間タンクからのみ液体を廃液タンクへ流れさせて一方の中間タンクにおける液体の貯留量を減少させることにより、この後、液体排出手段により液体が排出されたときに、一方の中間タンクから液体があふれてしまうのを防止することができる。
【0026】
第9の発明に係る液体吐出装置は、第4〜第8のいずれかの発明に係る液体吐出装置において、前記液体吐出ヘッドが、前記2種類の液体として、顔料インクと染料インクとを吐出することを特徴とする。
【0027】
本発明によると、顔料インクと染料インクとはその導電率が互い異なるが、これら2種類のインクを廃液タンクに排出させる場合でも、液体吸収センサにより、液体吸収体に所定吸収量以上の液体が吸収されたか否かを精度よく検出することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、液体吸収体に導電率の互いに異なる複数種類の液体が吸収される場合でも、液体吸収体に所定吸収量以上の液体が吸収されたか否かを精度よく検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施の形態に係るプリンタの概略構成図である。
【図2】図1のインク排出ユニットの構成を示す図である。
【図3】図2のIII−III線断面図である。
【図4】図1の制御装置の機能ブロック図である。
【図5】中間タンクから廃液タンクへインクを移送する手順を示すフローチャートである。
【図6】変形例1の図4相当の図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0031】
図1に示すように、本実施の形態に係るプリンタ1は、キャリッジ2、サブタンク3、インクジェットヘッド4、インク排出ユニット5などを備えている。また、プリンタ1は、制御装置50によってその動作が制御されている。
【0032】
キャリッジ2は、走査方向(図1の左右方向)に延びた2本のガイドレール11に取り付けられており、移動機構6(図4参照)によりガイドレール11に沿って走査方向に往復移動する。
【0033】
サブタンク3はキャリッジ2に設けられており、4本のチューブ12を介して、4つのインクカートリッジ13に接続されている。4つのインクカートリッジ13は、走査方向に配列されており、図1の右側に配置されたものから順に、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタのインクが貯留されている。ここで、ブラックインクは顔料インクであり、その導電率がσb(例えば0.3μs/cm程度)となっている。また、3色(イエロー、シアン、マゼンタ)のカラーインクは染料インクであり、その導電率がσc(例えば、4.0μs/cm程度)となっている。そして、インクカートリッジ13に貯留されたインクは、チューブ12を介してサブタンク3に供給され、サブタンク3において一時的に貯留される。
【0034】
インクジェットヘッド4(液体吐出ヘッド)は、サブタンク3に取り付けられている。インクジェットヘッド4は、サブタンク3からインクが供給され、その下面に形成された複数のノズル15から供給されたインクを吐出する。より詳細に説明すると、インクジェットヘッド4には、複数のノズル15が走査方向と直交する紙送り方向(図1の上下方向)に配列されることによってそれぞれ形成されたノズル列20が、走査方向に4列に形成されている。そして、複数ノズル15からは、図1の右側のノズル列20を構成しているものから順に、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタのインクを吐出する。すなわち、インクジェットヘッド4は、導電率の互いに異なる2種類のインク(ブラックインクと3色のカラーインク)を吐出する。
【0035】
そして、プリンタ1においては、図示しない用紙搬送ローラにより紙送り方向(図1の下方)に搬送される記録用紙Pに、キャリッジ2とともに走査方向に往復移動するインクジェットヘッド4からインクを吐出することにより、記録用紙Pに印刷を行う。
【0036】
次に、インク排出ユニット5について説明する。インク排出ユニット5は、インクジェットヘッド4内の増粘したインク、異物、気泡などを排出させるとともに、排出されたインクなどを貯留するためのものである。インク排出ユニット5は、吸引キャップ21、2つの中間タンク22a、22b、切り替え装置23、ポンプ24、廃液タンク25などを備えている。
【0037】
吸引キャップ21は、キャリッジ2がほぼ最大限、図1の右方に移動した状態で、インクジェットヘッド4と対向する位置に配置されており、昇降機構7(図4参照)により、図1の紙面垂直方向に昇降可能となっている。また、吸引キャップ21は、インクジェットヘッド4と対向した状態で、図1の最も右側のノズル列20を形成する、ブラックインクを吐出する複数のノズル15と対向するキャップ部21aと、図2の左側3列のノズル列20を形成する、3色のカラーインクを吐出する複数のノズル15と対向するキャップ部21bとを備えている。そして、吸引キャップ21とインクジェットヘッド4とが対向した状態で、吸引キャップ21を上昇させると、ブラックインクを吐出するノズル15がキャップ部21aに覆われるとともに、カラーインクを吐出するノズル15がキャップ部21bに覆われる。
【0038】
中間タンク22a、22bは、内部にインクを貯留するためのインク貯留室31a、31bがそれぞれ形成されたタンクであり、インク貯留室31a、31bが、それぞれ、チューブ19a、19bを介してキャップ部21a、21bに接続されている。ここで、インク貯留室31bの容積は、インク貯留室31aの容積の約3倍となっている。
【0039】
また、インク貯留室31aには、フルセンサ32a(貯留量センサ)及びエンプティセンサ33aが設けられており、インク貯留室31bには、フルセンサ32b及びエンプティセンサ33bが設けられている。
【0040】
フルセンサ32a、32bは、それぞれ、中間タンク22a、22bのインクの貯留量Sb、Scが、予め設定された所定貯留量Sb1、Sc1以上であるか否かを検出する。ここで、所定貯留量Sc1は、所定貯留量Sb1の約3倍となっている。エンプティセンサ33a、33bは、それぞれ、中間タンク22a、22bが空になったか否かを検出する。
【0041】
また、中間タンク22aの、図2の右側の側壁の上端部となる部分、及び、インク貯留室31aの下側の壁となる部分には、それぞれ、インク貯留室31aを中間タンク22aの外部に連通させるインク連通口34a、35aが設けられている。また、中間タンク22bの、図2の右側の側壁の上端部となる部分、及び、インク貯留室31bの下側の壁となる部分には、それぞれ、インク貯留室31bを中間タンク22bの外部に連通させるインク連通口34b、35bが設けられている。
【0042】
切り替え装置23は、チューブ18a〜18dを介して、それぞれ、連通口34a、35a、34b、35bと接続されているとともに、連通口34a、35a、34b、35bと反対側において、チューブ17を介してポンプ24と接続されている。切り替え装置23は、チューブ18a〜18dのいずれかを選択的にチューブ17に接続させることにより、連通口34a、35a、34b、35bのいずれかを選択的にポンプ24に接続させる。
【0043】
また、連通口34a、35a、34b、35bと切り替え装置23とを接続するチューブ18a〜18dには、それぞれ、バルブ26a〜26dが設けられており、バルブ26a〜26dを開閉することにより、チューブ18a〜18dによる連通口34a、35a、34b、35bと切り替え装置23との接続及びその遮断を切り替えることができるようになっている。
【0044】
廃液タンク25は、内部にインクを貯留するためのインク貯留室41が形成されたタンクであり、インク貯留室41内には、そのほぼ全域にスポンジ等からなるインク吸収フォーム42(液体吸収体)が設けられている。また、インク吸収フォーム42の図2における右上端部には、互いに対向するように配置された一対の電極43a、43bが挿通されている。電極43a、43bは、インク吸収フォーム42の電極43aと電極43bとに挟まれた部分の導電率σを検出するためのものである。
【0045】
また、廃液タンク25のインク貯留室41の下側の壁の図2における左端部には、インク貯留室41と廃液タンク25の外部とを連通させる連通口44が設けられており、ポンプ24と連通口44とが、チューブ16を介して接続されている。
【0046】
そして、プリンタ1においては、キャップ部21a、21bによりノズル15を覆い、バルブ26a〜26dのうちバルブ26aのみを開き、切り替え装置23により、連通口34aとポンプ24とを接続した状態で、ポンプ24を駆動すると、キャップ部21aに覆われたノズル15からインクジェットヘッド4内のブラックインクが排出され(ブラックパージ)、排出されたブラックインクが、中間タンク22aのインク貯留室31aに一時的に貯留される。
【0047】
一方、キャップ部21a、21bによりノズル15を覆い、バルブ26a〜26dのうちバルブ26cのみを開き、切り替え装置23により、連通口34bとポンプ24とを接続した状態で、ポンプ24を駆動すると、キャップ部21bに覆われたノズル15からインクジェットヘッド4内のカラーインクが排出され(カラーパージ)、排出されたカラーインクが、中間タンク22bのインク貯留室31bに一時的に貯留される。
【0048】
ここで、本実施の形態では、連通口34a、34bが、フルセンサ32a、32bよりも上方の、インク貯留室31a、31bの上端部と連通しているため、ブラックパージ及びカラーパージの際に、中間タンク22a、22bのインクが廃液タンク25に向けて流れることはない。
【0049】
なお、本実施の形態では、上述のブラックパージ及びカラーパージを実行させるための吸引キャップ21、チューブ17、18a、18c、19a、19c、切り替え装置23、ポンプ24及びバルブ26a、26cが、本発明に係る液体排出手段に相当する。
【0050】
また、上述のブラックパージやカラーパージは、例えば、前回のブラックパージ及びカラーパージから一定時間が経過する毎など定期的に実行される。また、印刷品質が低下したときなどにプリンタ1のユーザがパージを指示したときにも実行される。
【0051】
さらに、プリンタ1においては、バルブ26a〜26dのうちバルブ26bのみを開き、切り替え装置23により、連通口35aとポンプ24とを接続した状態で、ポンプ24を駆動すると、インク貯留室31a内のブラックインクが連通口35aから排出されるとともに廃液タンク25に移送され、廃液タンク25において、インク吸収フォーム42に吸収された状態で貯留される。
【0052】
一方、バルブ26a〜26dのうちバルブ26dのみを開き、切り替え装置23により、連通口35bとポンプ24とを接続した状態で、ポンプ24を駆動すると、インク貯留室31ba内のカラーインクが連通口35bから排出されるとともに、廃液タンク25に移送され、廃液タンク25において、インク吸収フォーム42に吸収された状態で貯留される。
【0053】
そして、以上のような構成を有するインク排出ユニット5においては、中間タンク22a、22bが、液体排出手段により液体吐出ヘッド4から排出されたインクが廃液タンク25に至る経路の途中に設けられている。
【0054】
次に、プリンタ1の動作を制御する制御装置50について説明する。制御装置50はCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などからなり、これらが図4に示すように、印刷制御部51、パージ制御部52、移送制御部53、動作停止指示部54などとして機能する。
【0055】
印刷制御部51は、プリンタ1において印刷を行う際に、移動機構6、インクジェットヘッド4などの制御を行う。パージ制御部52は、プリンタ1においてブラックパージ及びカラーパージを実行させる際に、移動機構6、昇降機構7、切り替え装置23、ポンプ24、バルブ26a〜26dなどの制御を行う。
【0056】
移送制御部53は、中間タンク22a、22bから廃液タンク25にインクを移送する際に、フルセンサ32a、32b、エンプティセンサ33a、33bの検出結果に基づいて、切り替え装置23、ポンプ24、バルブ26a〜26dなどの制御を行う。
【0057】
動作停止指示部54は、導電率検出部55を有している。導電率検出部55は、電極43aと電極43bとの間の抵抗値などから、インク吸収フォーム42の電極43aと電極43bとに挟まれた部分の導電率σが所定導電率σ1以上であるかを検出する(インク吸収フォーム42を電気的に検査する)することによって、インク吸収フォーム42の当該部分にインクが達したか否か(インク吸収フォーム42に所定吸収量以上のインクが吸収されたか否か)を検出する。そして、動作停止指示部54は、導電率検出部55により検出された導電率σが、所定導電率σ1以上となったときに、印刷制御部51、パージ制御部52及び移送制御部53の動作を停止させて、プリンタ1の動作を停止させる。なお、本実施の形態では、電極43a、43bと導電率検出部55とを合わせたものが、本発明に係る液体吸収センサに相当する。
【0058】
ここで、所定導電率σ1は、ブラックインクとカラーインクとが1:3の比率(所定比率)で混ざったインクの導電率と同程度の3.075μs/cm(=[0.3・(1/4)]+[4.0・(3/4)])程度の値に設定されており、ブラックインク及びカラーインクのうち、導電率の低いブラックインクの導電率σb(0.3μs/cm程度)よりも高く、導電率の高いカラーインクの導電率σc(4.0μs/cm程度)よりも低い値となっている。
【0059】
次に、中間タンク22a、22bから廃液タンク25にインクを移送する手順について図5のフローチャートを用いて詳細に説明する。
【0060】
図5のフローはプリンタ1の電源がオンになったときに開始される。プリンタ1の使用が継続されると、ブラックパージやカラーパージが繰り返し実行され、中間タンク22a、22bのインクの貯留量Sb、Scが徐々に増加する。このとき、フルセンサ32a、32bのいずれかにより、中間タンク22a、22bのいずれかにおけるインクの貯留量が所定貯留量以上(Sb≧Sb1、又は、Sc≧Sc1)となったことが検出されるまで待機する(S101:NO)。
【0061】
そして、フルセンサ32aにより、中間タンク22aのブラックインクの貯留量Sbが所定貯留量Sb1以上となったことが検出されたとき(S101:YES)、エンプティセンサ33bにより中間タンク22bが空であることが検出されていない(Sc≠0)場合には(S102:NO)、エンプティセンサ33bにより、中間タンク22bが空であることが検出されるまで(中間タンク22bのカラーインクを全て)、中間タンク22bから廃液タンク25にカラーインクを移送する(流れさせる)(S103)。
【0062】
続いて、エンプティセンサ33bにより中間タンク22bが空であることが検出されたことを開始のトリガとして、中間タンク22bから廃液タンク25へ移送されたカラーインクの量の約3分の1の量、すなわち、中間タンク22bから廃液タンク25へ移送されたカラーインクの量との比率が所定比率R1となるような量のブラックインクを、中間タンク22aから廃液タンク25へ移送する(S104)。
【0063】
一方、上記S102において、エンプティセンサ33bにより、中間タンク22bが空である(Sc=0)ことが検出された場合には(S102:YES)、エンプティセンサ33aにより、中間タンク22aが空であることが検出されるまで(中間タンク22aに貯留されているブラックインクを全て)、中間タンク22aから廃液タンク25にブラックインクを移送する(S105)。
【0064】
同様に、フルセンサ32bにより、中間タンク22bのカラーインクの貯留量Scが所定貯留量Sc1以上となったことが検出されたとき(S101:YES)、エンプティセンサ33aにより中間タンク22aが空であることが検出されていない(Sb≠0)場合には(S102:NO)、エンプティセンサ33aにより、中間タンク22aが空であることが検出されるまで(中間タンク22aのブラックインクを全て)、中間タンク22aから廃液タンク25にブラックインクを移送する(S103)。
【0065】
続いて、エンプティセンサ33aにより中間タンク22aが空であることが検出されたことを開始のトリガとして、中間タンク22aから廃液タンク25へ移送されたブラックインクの量の約3倍の量、すなわち、中間タンク22aから廃液タンク25へ移送されたブラックインクの量との比率が所定比率R1となるような量のカラーインクを、中間タンク22bから廃液タンク25へ移送する(S104)。
【0066】
一方、上記S102において、エンプティセンサ33aにより、中間タンク22aが空である(Sb=0)ことが検出された場合には(S102:YES)、エンプティセンサ33bにより、中間タンク22bが空であることが検出されるまで(中間タンク22bに貯留されているカラーインクを全て)、中間タンク22bから廃液タンク25にブラックインクを移送する(S105)。
【0067】
そして、以上のように、一方の中間タンクのインクの貯留量が所定貯留量以上となったときに(S101:YES)、他方の中間タンクにインクが貯留されている場合(S102:NO)には、上記S103、S104の手順で、2つの中間タンク22a、22bから廃液タンク25に順に連続してブラックインク及びカラーインクを移送することにより、中間タンク22a、22bから廃液タンク25に移送されてインク吸収フォーム42に吸収されるインクの、ブラックインクとカラーインクの比率が所定比率R1となるように調整される。
【0068】
なお、本実施の形態では、中間タンク22a、22bから廃液タンク25に、ブラックインクとカラーインクの比率が所定比率R1となるように調整して、インクを移送するための、チューブ16、17、18b、18d、切り替え装置23、ポンプ24、バルブ26b、26dが本発明に係る液量調整手段に相当する。そして、液量調整手段は、中間タンク22a、22bから廃液タンク25に至る経路の途中に設けられている。
【0069】
また、一方の中間タンクのインクの貯留量が所定貯留量以上となったときに(S101:YES)、他方の中間タンクが空である場合(S102YES)には、他方の中間タンクから廃液タンクに液体を移送することができない。すなわち、2つの中間タンク22a、22bから廃液タンク25に所定比率R1でインクを移送することができない。しかしながら、このままにしておくと、次にブラックパージ又はカラーパージが実行されたときに、上記一方の中間タンクからインクが溢れてしまう虞がある。
【0070】
そこで、本実施の形態では、このような場合に、上記一方の中間タンクから廃液タンク25にインクを移送する(S105)ことによって、一方の中間タンクにおけるインクの貯留量を減少させ、これにより、一方の中間タンクからインクが溢れてしまうのを防止している。
【0071】
そして、上記S104あるいはS105の後、インク吸収フォーム42に吸収されたインクが電極43aと電極43bとに挟まれた部分に達しておらず、導電率検出部55により検出された導電率σが、所定導電率σ1よりも小さい場合には(S106:NO)、上記S101に戻る。一方、インク吸収フォーム42に吸収されたインクが電極43aと電極43bとに挟まれた部分に達し、所定導電率σ1以上となった場合には(S106:YES)、動作停止指示部54が、プリンタ1の動作を停止させて(S107)、これ以降、プリンタ1を使用できないようにした上で、動作を終了する。
【0072】
ここで、本実施の形態とは異なり、中間タンク22a、22bがなく、ブラックパージ及びカラーパージによりインクジェットヘッド4から排出されたインクが、直接廃液タンク25に排出されてインク吸収フォーム42に吸収されるとすると、ブラックパージ及びカラーパージの実行タイミングや頻度の違いなどによって、インク吸収フォーム42の電極43aと電極43bとに挟まれた部分に達するインクの導電率が変わってくる。
【0073】
そして、インク吸収フォーム42の当該部分に達するインクが、ブラックインクの比率が多く、導電率が低いインクである場合には、インクがインク吸収フォーム42の当該部分に達しても、導電率σが所定導電率σ1以上とならない。その結果、インク吸収フォーム42にその上限までインクが吸収されたことを検出することができず、廃液タンク25からインクが溢れてしまう虞がある。
【0074】
一方、インク吸収フォーム42の当該部分に達するインクがカラーインクの比率が多く、導電率が高いインクである場合には、インクがインク吸収フォーム42の当該部分から少し離れた部分に達した時点で、導電率σが所定導電率σ1以上となってしまう。その結果、インク吸収フォーム42にまだインクを吸収可能な領域が十分に残った状態で、プリンタ1が使用できなくなってしまい、プリンタ1の使用可能期間が短くなってしまう。
【0075】
これに対して、本実施の形態では、キャップ部21a、21bから廃液タンク25に至る経路の途中に、それぞれ、中間タンク22a、22bが設けられており、上述したように、上記S103、S104の手順で、2つの中間タンク22a、22bから廃液タンク25にブラックインク及びカラーインクを順に連続して移送することにより、インク吸収フォーム42にブラックインクとカラーインクが所定比率R1で混ざったインクが吸収される。したがって、インク吸収フォーム42の電極43aと電極43bとに挟まれた部分に達するインクが、確実にブラックインクとカラーインクとが所定比率R1で混ざったインクとなり、導電率検出部55で導電率σが所定導電率σ1以上であるか否かを検出することにより、インク吸収フォーム42にその上限までインクが吸収されたか否かを精度よく検出することができる。
【0076】
また、本実施の形態では、ブラックパージによるブラックのインクの排出量と、カラーパージによる3色のカラーインクの排出量との比率は、1:3に近いものになると予想されるのにあわせて、ブラックインクとカラーインクの比率が1:3となるように所定比率R1を設定しているが、所定比率R1を異なる比率に設定してもよい。
【0077】
ただし、ブラックインクあるいはカラーインクの比率を高くしすぎた場合には、中間タンク22a、22bのどちらかにインクが多く残ってしまうため、当該中間タンクからインクが溢れてしまうのを防止するために、当該中間タンクの容積を大きくするなどする必要がある。
【0078】
また、導電率の低いブラックインクの比率を高くした場合には、これに合わせて所定導電率σ1の値を低くすることとなるため、ブラックインクの比率をあまりに高くしすぎると、インク吸収フォーム42の周辺の湿気等によって導電率σが所定導電率σ1以上となってしまい、インクがインク吸収フォーム42の電極43aと電極43bとに挟まれた部分に達したか否かを精度よく検出することができない虞がある。
【0079】
そのため、所定比率R1は、2つの中間タンク22a、22bから順に連続して廃液タンク25にインクを移送したときの、導電率検出部55による検出精度が良くなる所望の比率とすることが好ましい。
【0080】
なお、本実施の形態では、上述したように、ブラックインクとカラーインクの比率が1:3となるように所定比率R1を設定しており、これに対応して、所定導電率σ1を3.075程度に設定しているため、所定導電率σ1が小さすぎず、導電率検出部55により、導電率σが所定導電率σ1以上であるか否かを検出することにより、インク吸収フォーム42に所定吸収量以上のインクが吸収されたか否かを精度よく検出することができる。すなわち、本実施の形態では、所定比率R1は、2つの中間タンク22a、22bから順に連続して廃液タンク25にインクを移送したときの、導電率検出部55による検出精度が良くなる所望の比率となっている。
【0081】
ここで、本実施の形態では、上記S105において、中間タンク22a、22bから廃液タンク25にブラックインク及びカラーインクのいずれか一方のみを移送しているため、これによって、インク吸収フォーム42に吸収されるインクの、ブラックインクとカラーインクとの比率が変わってしまうようにも思われる。
【0082】
しかしながら、ブラックパージやカラーパージが定期的に実行される場合には、通常、ブラックパージ及びカラーパージの両方が実行され、ユーザがブラックパージ及びカラーパージのいずれか一方のみを繰り返し指示した場合でも、長期間、他方のパージが実行されていなければ、ユーザの指示により実行される一方のパージの間に、定期的に他方のパージが実行される。そのため、上記S102において、他方の中間タンクが空であることが検出されて上記S105の工程に進むことは稀であり、上記S105において中間タンク22a、22bから廃液タンク25に移送されたインクが、インク吸収フォーム42に吸収されるインクの、ブラックインクとカラーインクの比率に与える影響はわずかなものである。
【0083】
次に、本実施の形態に種々の変更を加えた変形例について説明する。ただし、本実施の形態と同様の構成については適宜その説明を省略する。
【0084】
上述の実施の形態では、上記S103において、他方の中間タンクのインクを全て廃液タンク25に移送した後、エンプティセンサにより、他方の中間タンクが空になったことが検出されたことを開始のトリガとして、上記S104において、一方の中間タンクから廃液タンクにインクを移送したが、これには限られない。
【0085】
例えば、他方の中間タンクから廃液タンク25へのインクの移送を開始させてから、他方の中間タンク内のインクが全て廃液タンク25に移送されるのにかかる時間よりも若干長い時間が経過した後に、一方の中間タンクからの廃液タンク25の移送を開始させるなどしてもよい。
【0086】
また、2つの中間タンク22a、22bから廃液タンク25にインクを移送する順序は、上述の実施の形態とは逆であってもよい。すなわち、一方の中間タンクから廃液タンクにインクを移送した後に、他方の中間タンクから廃液タンクにインクを移送してもよい。
【0087】
また、上述の実施の形態では、フルセンサ32a、32bのいずれかにより、中間タンク22a、22bのいずれかのインクの貯留量が所定貯留量以上(Sb≧Sb1、又は、Sc≧Sc1)となったことが検出されたときに、中間タンク22a、22bから廃液タンク25へのインクの移送を開始したがこれには限られない。
【0088】
一変形例(変形例1)では、フルセンサ32a、32bが設けられておらず、図6に示すように、制御装置50に、中間タンク22a、22b内のインクの貯留量Sb、Scがそれぞれ所定貯留量Sb1、Sc1以上であるか否かを推定する貯留量推定部61がさらに設けられている。
【0089】
貯留量推定部61は、ブラックパージ及びカラーパージの実行回数をカウントするパージカウンタ62を備え、パージカウンタ62によってカウントされた、前回の中間タンク22a、22bから廃液タンク25へのインクの移送以降のブラックパージ又はカラーパージの実行回数が所定回数に達したときに、中間タンク22a、22bのインクの貯留量が所定貯留量以上になった(Sb≧Sb1、又は、Sc≧Sc1)と推定する。そして、この場合には、上記S101において、中間タンク22a、22bのいずれかのインクの貯留量が所定貯留量以上になったと推定されたときに、S102に進む。
【0090】
この場合には、フルセンサ32a、32bを設けることなく、中間タンク22a、222bの貯留量Sb、Scが所定貯留量Sb1、Sc1以上になったことを検出することができ、プリンタ1の構成を簡単にすることができる。
【0091】
また、上述の実施の形態や変形例1では、中間タンク22a、22bのいずれかのインク貯留量が所定貯留量以上となったとき、あるいは、所定貯留量以上であると推定されたときに、中間タンク22a、22bから廃液タンク25へインクを移送したが、これには限られず、例えば、一定時間が経過する毎など、中間タンク22a、22bのインクの貯留量とは関係なく、中間タンク22a、22bから廃液タンク25へインクを移送してもよい。
【0092】
また、上述の実施の形態では、上記S102において、エンプティセンサ33a、33bにより、中間タンク22a、22bが空であるか否かを検出したが、これには限られない。例えば、制御装置50に変形例1のパージカウンタ62と同様のパージカウンタを設け、パージカウンタによるブラックパージ及びカラーパージの実行回数や、ポンプ24の駆動回数などから、中間タンク22a、22bが空であるか否かを検出してもよい。
【0093】
また、上述の実施の形態では、2つの中間タンク22a、22bの両方に対してフルセンサ32a、32bが設けられていたが、フルセンサ32a、32bのうち一方のみが設けられていてもよい。この場合には、フルセンサが設けられていない他方の中間タンクのインクの貯留量が所定貯留量以上となったことを検出することができない。しかしながら、例えば、他方の中間タンクのインク貯留室の容積を大きくするなどすれば、フルセンサにより一方の中間タンクのインクの貯留量が所定貯留量以上となったことが検出される前に、他方の中間タンクからインクが溢れてしまうのを防止することができる。
【0094】
同様に、変形例1において、パージカウンタ62により、ブラックパージ、カラーパージのいずれか一方の実行回数のみをカウントして、中間タンク22a、22bのいずれか一方の貯留量が所定貯留量以上となったか否かのみを推定してもよい。
【0095】
また、上述の実施の形態では、上記S105において、一方の中間タンクのインクを全て廃液タンク25に移送したが、これには限られず、一方の中間タンクのインクの一部のみを廃液タンク25に移送してもよい。この場合でも、一方の中間タンクのインクの貯留量を減少させ、当該中間タンクからインクが溢れてしまうのを防止することができる。
【0096】
また、上述の実施の形態では、ポンプ24を駆動して、中間タンク22a、22bから廃液タンク25にインクを移送したが、これには限られない。例えば、バルブ26b、26dを開くだけで、中間タンク22a、22b内のインクが重力によって廃液タンク25に流れるようになっていてもよい。
【0097】
また、この場合には、バルブ26b、26dの両方を開いて、2つの中間タンク22a、22bから同時に廃液タンク25へインクを流れさせてもよい。なお、この場合、廃液タンク25に流すインクの量は、バルブ26b、26dをどの程度開くかなどによって調整すればよい。
【0098】
また、上述の実施の形態では、インク吸収フォーム42の電極43aと電極43bとに挟まれた部分の導電率を直接検出することによって、インク吸収フォーム42の当該部分にインクが達したか否かを検出していたが、これには限られない。例えば、電極43a、43b間にある電圧の波形信号を付与した場合、インク吸収フォーム42の当該部分にインクが達した状態とインクが達していない状態とで、当該波形信号の位相が異なる。ここで、この位相の違いはインク吸収フォーム42の上記部分の導電率(抵抗値)の違いによって生じるものである。したがって、当該波形信号の位相を検出する(インク吸収フォーム42を電気的に検査する)ことによって、インク吸収フォーム42の上記部分にインクが達したか否かを検出してもよい。さらに、これらとは別の方法で、インク吸収フォーム42を電気的に検査してもよい。
【0099】
また、上述の実施の形態では、ブラックパージ及びカラーパージにより、インクジェットヘッド4内のブラックインク及びカラーインクを排出させる場合について説明したが、これには限られず、インクジェットヘッド4を駆動してノズル15からインクを吐出させる、いわゆるフラッシングによって、インクジェットヘッド4内のブラックインク及びカラーインクを排出させてもよい。なお、この場合には、フラッシングを実行するインクジェットヘッド4が、本発明に係る液体排出手段を兼ねている。
【0100】
また、上述の実施の形態では、インクジェットヘッド4が、顔料インクであるブラックインクと、染料インクである3色のカラーインクの、導電率の互いに異なる2種類のインクを吐出するものであったが、これには限られない。例えば、3色のカラーインクの導電率が互いに大きく異なっているなど、インクジェットヘッド4が、導電率の互いに異なる3種類以上のインクを吐出するものであってもよい。
【0101】
この場合には、キャップ部や中間タンクなどを、導電率の異なるインクごとに設け、導電率の異なるインクを個別に中間タンクに一時的に貯留するとともに、中間タンクから廃液タンク25に所定比率でこれら複数種類のインクを移送するようにすればよい。
【0102】
また、以上では、導電性の互いに異なる複数種類のインクを吐出するインクジェットヘッドを備えたプリンタに本発明を適用した例について説明したが、導電率の互いに異なるインク以外の複数種類の液体を吐出する液体吐出ヘッドを備えた液体吐出装置に本発明を適用することも可能である。
【符号の説明】
【0103】
1 プリンタ
4 インクジェットヘッド
21 吸引キャップ
22a、22b 中間タンク
23 切り替え装置
24 ポンプ
25 廃液タンク
26a〜26d バルブ
42 インク吸収フォーム
50 制御装置
61 貯留量推定部
62 パージカウンタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電率の互いに異なる複数種類の液体を吐出する液体吐出ヘッドと、
前記液体吐出ヘッドから前記複数種類の液体を排出させる液体排出手段と、
液体を吸収する液体吸収体と、前記液体吸収体を電気的に検査することによって前記液体吸収体に所定吸収量以上の液体が吸収されたか否かを検出する液体吸収センサと、を有し、前記液体排出手段によって前記液体吐出ヘッドから排出された前記複数種類の液体を貯留する廃液タンクと、
前記液体排出手段によって前記液体吐出ヘッドから排出された液体が前記廃液タンクに至る経路の途中に設けられており、前記複数種類の液体を個別に一時的に貯留する複数の中間タンクと、
前記複数の中間タンクから前記廃液タンクに至る経路の途中に設けられており、前記複数の中間タンクから前記廃液タンクへ流れる液体の量を調整する液量調整手段と、
前記液量調整手段の動作を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記液量調整手段を制御して、前記複数の中間タンクから前記廃液タンクへ、前記複数種類の液体を所定比率で流れさせることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
前記所定比率は、
前記複数の中間タンクの各々から順に連続して前記廃液タンクに液体を流れさせたときの、液体吸収センサの検出精度が良い所望の比率であることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記複数の中間タンクのうちいずれかの中間タンクにおける液体の貯留量が所定貯留量以上になったときに、前記液量調整手段を制御して、前記複数の中間タンクから前記廃液タンクへ、前記複数種類の液体を前記所定比率で流れさせることを特徴とする請求項1又は2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記液体排出手段により前記液体吐出ヘッドから液体を排出させた回数から、前記複数の中間タンクの少なくとも1つにおける液体の貯留量を推定する貯留量推定手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記貯留量推定手段によって、いずれかの前記中間タンクにおける液体の貯留量が前記所定貯留量以上となったと推定されたときに、前記液量調整手段を制御して、前記複数の中間タンクから前記廃液タンクへ、前記複数種類の液体を前記所定比率で流れさせることを特徴とする請求項3に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記複数の中間タンクの少なくとも1つに、前記中間タンクにおける液体の貯留量が、前記所定貯留量以上であるか否かを検出する貯留量センサが設けられており、
前記制御手段は、前記貯留量センサにより、いずれかの前記中間タンクにおける液体の貯留量が前記所定貯留量以上になったことが検出されたときに、前記液量調整手段を制御して、前記複数の中間タンクから前記廃液タンクへ、前記複数種類の液体を前記所定比率で流れさせることを特徴とする請求項3に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
前記液体吐出ヘッドは、導電率の互いに異なる2種類の液体を吐出するものであって、
前記中間タンクを2つ備え、
2つの前記中間タンクには、前記所定貯留量がそれぞれ設定されており、
前記制御手段は、2つの前記中間タンクのうちの一方の中間タンクにおける液体の貯留量が、前記設定された所定貯留量以上になったときに、前記液量調整手段を制御して、他方の中間タンクに貯留された液体の全てを前記廃液タンクに流れさせる設定をし、前記一方の中間タンクから前記廃液タンクへ、前記他方の中間タンクから前記廃液タンクへ流れさせる液体の量との比率が前記所定比率となる量の液体を流れさせる設定をし、
前記一方の中間タンクと前記他方の中間タンクとから前記廃液タンクへ、液体を流れさせることを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の液体吐出装置。
【請求項7】
2つの前記中間タンクに、それぞれ、前記中間タンクが空であるか否かを検出するエンプティセンサが設けられており、
前記制御手段は、前記液量調整手段を制御して、前記エンプティセンサにより前記他方の中間タンクが空になったことが検出されるまで前記他方の中間タンクから前記廃液タンクに液体を流れさせることによって、前記他方の中間タンクに貯留された液体をすべて前記廃液タンクに流れさせ、
前記エンプティセンサにより前記他方の中間タンクが空になったことが検出された後、前記一方の中間タンクから前記廃液タンクに液体を流れさせることを特徴とする請求項6に記載の液体吐出装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記一方の中間タンクにおける液体の貯留量が前記所定貯留量以上になったときに、前記他方の中間タンクが空である場合には、前記液量調整手段を制御して、前記一方の中間タンクからのみ前記廃液タンクへ液体を流れさせて、前記一方の中間タンクにおける液体の貯留量を減少させることを特徴とする請求項6又は7に記載の液体吐出装置。
【請求項9】
前記液体吐出ヘッドが、前記2種類の液体として、顔料インクと染料インクとを吐出することを特徴とする請求項4〜8のいずれかに記載の液体吐出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−250490(P2012−250490A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−125997(P2011−125997)
【出願日】平成23年6月6日(2011.6.6)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】