説明

液体噴出器

【課題】シリンダ30を備えた固定吸引部B1と、固定吸引部B1に対して上方付勢状態で上下動可能に装着するとともに、シリンダ30を摺動するピストン42を備え、且つ、ノズルチップ50bを介して噴霧孔60を開口した可動噴出部B2とを備えたポンプBを、容器体Aに着脱自在に装着し、可動噴出部B2の押し下げにより噴霧孔60から噴霧する如く構成した液体噴出器であって、液詰め替え等の際に容器体内にゴミ等が侵入した場合でもノズル孔の液詰まりを防止することができる噴霧用の液体噴出器を提案する。
【解決手段】噴霧孔60上流の液通路にメッシュ71を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体噴出器に関する。
【背景技術】
【0002】
液体噴出器として、容器体にポンプを装着したものが知られており、ポンプは、シリンダ内を摺動するピストンを備えた作動部材を上下動させることにより、作動部材上部のノズル孔より液を噴出する如く構成したものが種々提案されている。(例えば、特許文献1参照)
【0003】
特許文献1に記載された液体噴出器は、作動部材を構成する噴霧用のヘッドに、噴霧用のノズルチップを嵌着することで液を霧状に噴霧することができる如く構成されており、作動部材を上下動させることで、内臓ポンプ機構の作用により容器体内の液をノズルチップを介してノズル孔より噴霧する如く構成している。
【0004】
従来のこの種の液体噴出器は、容器体に装着筒を介して着脱自在に装着し、容器体内の液を使い切った際に取り外して液の詰め替えを行うことが一般的に行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実願昭60−185371号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記した如き液の詰め替え等を行う際に容器体内に異物(ゴミ等)が侵入してしまう虞があり、その場合噴霧用のノズルチップを介してのノズル孔はその機能上径が小さくなっているためゴミが詰まってしまう虞があった。
【0007】
本発明はこの様な点に鑑みてなされたもので、液体の詰め替え等の際に容器体内に異物(ゴミ等)が侵入した場合でもノズル孔の液詰まりを防止することができる噴霧用の液体噴出器を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の手段として、以下の通り構成した。即ち、容器体Aと、容器体Aに着脱自在に嵌合させたポンプBとを備え、ポンプBは、容器体Aに着脱自在に装着するとともに、シリンダ30を備えた固定吸引部B1と、固定吸引部B1に対して上方付勢状態で上下動可能に装着するとともに、シリンダ30を摺動するピストン42を備え、且つ、ノズルチップ50bを介して噴霧孔60を開口した可動噴出部B2とを備え、可動噴出部B2の押し下げにより噴霧孔60から噴霧する如く構成した液体噴出器であって、噴霧孔60上流の液通路にメッシュ71を設けた。
【0009】
第2の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段に於いて、第1嵌合筒53を備えたケーシング50aと、装着筒部80を頂壁部81から起立したシリンダ部材50dを備え、メッシュ71を、ケーシング50aの第1嵌合筒53とシリンダ部材50dの装着筒部80の間で介在させ、係合したことを特徴とする請求項1に記載の液体噴出器。
【0010】
第3の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第2の手段に於いて、第1嵌合筒53と装着筒部80の間に嵌合させた筒部70下端にメッシュ71を張設した。
【0011】
第4の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第2の手段に於いて、第1嵌合筒53下面に上面を当接して装着筒部80内周に嵌合させた筒部70下端にメッシュ71を張設した。
【0012】
第5の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第2の手段に於いて、第1嵌合筒53内面に嵌合させた筒部70の上端にメッシュ71を張設した。
【0013】
第6の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段乃至第5の手段のいずれかの手段に於いて、可動噴出部B2はステム41と噴出ヘッド50とを備え、ステム41は、シリンダ30内を摺動するピストン42を下部に備えるとともに、上部に大径のピストン43を備えてなり、噴出ヘッド50は、周壁51上端より頂壁52を延設するとともに、頂壁52裏面より第1嵌合筒53及び外方の第2嵌合筒54を同心円状に垂設し、且つ、第1嵌合筒53内より噴霧孔60に至る液通路pを備えたケーシング50aと、第2嵌合筒54内周に嵌着した装着筒部80を頂板部81上面より起立するとともに、頂板部81中央に、ステム41内に支持した棒体45先端の吐出弁体45aで閉塞する吐出口83を穿設し、且つ、頂板部81周縁部より大径のピストン43が摺動する大径のシリンダ82を垂設するとともに、大径のシリンダ82内に吐出弁体45aとの隙間を調整する隙間調整筒84を垂設したシリンダ部材50dとを備え、可動噴出部B2の押し下げ時に、シリンダ30と大径のシリンダ82との径差に起因する荷重変化で吐出口83が開口する吐出弁46を備えている。
【0014】
第7の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第6の手段に於いて、隙間調整筒84の内径と棒体45の外径との径差aが、噴霧孔60の径bより大であり、メッシュの径cが噴霧孔60の径bより小である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、噴霧孔60上流の液通路にメッシュ71を設けているので、例えば、収納液の詰め替え時に誤って異物(ゴミ等)が侵入した場合であっても、メッシュ71によりそれより下流への侵入を防止でき、一般に径の小さい噴霧孔60が目詰まりする等の不都合を防止できるという利点がある。
【0016】
第2の手段乃至第5の手段の場合には、筒部70及びメッシュ71の組み付け操作がより容易に行える利点がある。
【0017】
第6の手段の場合には、吐出口に向かう液流路を狭く形成できるため、吐出口83からの噴射液の圧力をより増加することができ、例え異物(ゴミ等)がメッシュ71を通過しても噴霧孔60で詰まることをより確実に防止できる。
【0018】
隙間調整筒84の内径と棒体45の外径との径差aが、噴霧孔60の径bより大であり、メッシュの径cが噴霧孔60の径bより小である場合には、上記したメッシュ71での異物(ゴミ等)の捕捉或いはメッシュ71を通過した異物(ゴミ等)の噴霧孔60の通過をより確実に行える利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】液体噴出器の縦断面図である。(実施例1)
【図2】メッシュの要部拡大略図である。(実施例1)
【図3】液体噴出器の要部縦断面図である。(実施例2)
【図4】液体噴出器の要部縦断面図である。(実施例3)
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の形態を図面を参照して説明する。
【0021】
図1は液体噴出器1の一例を示し、液体噴出器1は、容器体Aと、ポンプBとから構成されている。容器体Aは、胴部10より肩部11を介して口頸部12を起立した所謂ボトルタイプのものが使用されている。
【0022】
ポンプBは、固定吸引部B1と、可動噴出部B2とを備えている。
【0023】
固定吸引部B1は、容器体Aの口頸部12外周に嵌合させて、容器体Aに対して着脱自在に装着させる装着キャップ20を備え、装着キャップ20と一体に設けたシリンダ30を備えている。装着キャップ20は、口頸部12外周に螺着した装着筒21の上端より内方へフランジ状の頂板22を延設し、頂板22の上面より案内筒23を起立している。また、シリンダ30は装着キャップ20の頂板22内周縁より下方に一体に垂設し、上部内径を大径部30aに下部内径を小径部30bに形成し、大径部30aの下端部に外気導入孔31を穿設している。また、シリンダ30内下端部には吸込み弁32を設けており、吸込み弁32に連設した連結筒33に吸上げパイプ34を嵌着している。
【0024】
可動噴出部B2は、ステム部材40と、噴出ヘッド50とを備えている。
【0025】
ステム部材40は、上下端を開口した筒状のステム41を備えており、ステム41の外周下部には小径のピストン42を、外周上部には大径のピストン43をそれぞれ突設している。また、放射状のリブ44を介してステム41内部に棒体45を支持している。棒体45は上下をステム41より突出して支持されており、上端部を吐出弁体45aとして構成している。そして、小径のピストン42をシリンダ30下部の小径部30b内周に摺動可能に嵌合させ、放射状のリブ44下面とシリンダ30内底部とに介在させたコイルスプリングsにより常時上方へ付勢させて上下動可能に装着されている。
【0026】
噴出ヘッド50は、ケーシング50aと、ノズルチップ50bと、メッシュ部材50cと、シリンダ部材50dと、シール部材50eとから構成されている。
【0027】
ケーシング50aは、周壁51の上端縁より頂壁52を延設した下端開口の有頂筒状をなし、頂壁52の裏面中央部に第1嵌合筒53及び第2嵌合筒54を同心円状に垂設している。また、ケーシング50aの前面上部よりノズルチップ50bを嵌合するための環状溝55を穿設した突部を設け、環状溝55は第1嵌合筒53内と連通させている。
【0028】
ノズルチップ50bは後端を開口した前端閉塞の筒状をなしており、内面に霧を形成するための溝を備えた公知形態のもので、前壁中央に噴霧孔60を穿設している。そして、ノズルチップ50bを環状溝55内に嵌着した状態で、第1嵌合筒53内から噴霧孔60に至る液通路pが形成されている。
【0029】
メッシュ部材50cは、第1嵌合筒53外周に嵌合させた筒部70の下端にメッシュ71を張設している。メッシュ71は合成樹脂、金属等で形成され、後述する如く、ノズルチップ50bの噴霧孔の径、或いは隙間調整筒84と棒体45との径差等を考慮してその径を選択すると良い。その径は噴霧孔の径より小さいことが好ましく、また、隙間調整筒84と棒体45との径差より小さいことが好ましい。
【0030】
シリンダ部材50dは、第2嵌合筒54の内周でメッシュ部材50cの筒部70外周に嵌着した装着筒部80を頂板部81の上面より起立し、また、頂板部81の周縁部より下方へ大径のシリンダ82を垂設している。また、頂板部81の中央には吐出口83を開口し、吐出口83周囲の頂板部81裏面からは隙間調整筒84を垂設している。
【0031】
シール部材50eは、大径のシリンダ82とケーシング周壁51との間に嵌着筒部90を嵌着して装着しており、装着筒部80の下端より内方へ延設したフランジ91を介して下方へシール筒92を垂設し、シール筒92の下端部にシリンダ30の上部の大径部30a内周に摺動可能な環状のシール片93を突設している。
【0032】
そして、上記の如く構成した噴出ヘッド50は、大径のシリンダ82内周に大径のピストン43を摺動可能に嵌合させるとともに、吐出口83に吐出弁体45aを圧接閉塞してステム41に装着しており、シール片93をシリンダ30の上部の大径部30a内周上部に摺動可能に嵌合させている。吐出口83と吐出弁体45aとで吐出弁46を構成している。
【0033】
また、上記可動噴出部B2において、図1に示す如く、シリンダ部材50dの隙間調整筒84内周と、棒体45の上部外周との径差をaとし、また、図2に拡大略図で示す如く、メッシュ71の径をcとし、図1に示す如く、ノズルチップ50bの噴霧孔60の径をbとした場合に、a>b>cの関係が成り立つ様に各径を構成している。
【0034】
この様に構成することで、仮に容器体A内より吸い上げられた異物(ゴミ等)が隙間調整筒84と棒体45との間を通ってメッシュ71に至った場合にメッシュ71で止められてそれ以降の液通路内への侵入を防止でき、或いは仮にメッシュ71を通過した場合でも噴霧孔60に詰まらずに外部に排出される如く構成している。
【0035】
上記の如く構成された液体噴出器1を使用する場合について説明する。噴出ヘッド50を押圧して可動噴出部B2を押し下げると、当初吐出弁46は閉じているが、シリンダ30とシリンダ30との径差に起因する荷重変化によりステム41が大径シリンダ30に対して牽いては噴出ヘッド50に対して相対的に下降して吐出弁46が開き、小径のシリンダ30内、ステム41内、大径のシリンダ82内の加圧液体は吐出弁46を介して液通路pを通り噴霧孔60より霧状に噴出される。
【0036】
図3は他の例を示すもので、メッシュ部材50cの構成が相違する例を示す。本例では、図1の例に於いて、シリンダ部材50dの装着筒部80を第1嵌合筒53と第2嵌合筒54との間に嵌着し、メッシュ部材50cの筒部70をシリンダ部材50dの装着筒部80内面下端部で、第1嵌合筒53の下面に嵌着している。その他の構成は図1の例と同様であるため説明を省略する。
【0037】
図4は更に他の例を示すもので、図1の例に於いて、シリンダ部材50dの装着筒部80を第1嵌合筒53と第2嵌合筒54との間に嵌着し、メッシュ部材50cの筒部70を第1嵌合筒53の内面に嵌着しており、筒部70の上面にメッシュ71を張設している。その他の構成は図1の例と同様であるため説明を省略する。
【0038】
尚、上記各部材は主として合成樹脂により形成され、必要に応じて金属或いは柔軟性のあるエラストマー等を併用することも可能である。また、メッシュ71については、メッシュ部材50cの筒部70に複数張設しても良い。
【符号の説明】
【0039】
1:液体噴出器
A:容器体
10…胴部、11…肩部、12…口頸部
B:ポンプ
B1:固定吸引部
20:装着キャップ
21…装着筒、22…頂板、23…案内筒
30:シリンダ
30a…大径部、30b…小径部、31…外気導入孔、32…吸込み弁、33…連結筒、34…吸上げパイプ
B2:可動噴出部
40:ステム部材
41…ステム、42…小径のピストン、43…大径のピストン、44…放射状のリブ、45…棒体、45a…吐出弁体、46…吐出弁
50:噴出ヘッド
50a:ケーシング
51…周壁、52…頂壁、53…第1嵌合筒、54…第2嵌合筒、55 …環状溝
50b:ノズルチップ
60…噴霧孔
50c:メッシュ部材
70…筒部、71…メッシュ
50d:シリンダ部材
80…装着筒部、81…頂板部、82…大径のシリンダ、83…吐出口、84…隙間調整筒
50e:シール部材
90…嵌合筒部、91…フランジ、92…シール筒、93…シール片
s:コイルスプリング
p:液通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器体(A)と、容器体(A)に着脱自在に嵌合させたポンプ(B)とを備え、ポンプ(B)は、容器体(A)に着脱自在に装着するとともに、シリンダ(30)を備えた固定吸引部(B1)と、固定吸引部(B1)に対して上方付勢状態で上下動可能に装着するとともに、シリンダ(30)を摺動するピストン(42)を備え、且つ、ノズルチップ(50b)を介して噴霧孔(60)を開口した可動噴出部(B2)とを備え、可動噴出部(B2)の押し下げにより噴霧孔(60)から噴霧する如く構成した液体噴出器であって、噴霧孔(60)上流の液通路にメッシュ(71)を設けたことを特徴とする液体噴出器。
【請求項2】
第1嵌合筒(53)を備えたケーシング(50a)と、装着筒部(80)を頂壁部(81)から起立したシリンダ部材(50d)を備え、メッシュ(71)を、ケーシング(50a)の第1嵌合筒(53)とシリンダ部材(50d)の装着筒部(80)の間で介在させ、係合したことを特徴とする請求項1に記載の液体噴出器。
【請求項3】
第1嵌合筒(53)と装着筒部(80)の間に嵌合させた筒部(70)下端にメッシュ(71)を張設したことを特徴とする請求項2に記載の液体噴出器。
【請求項4】
第1嵌合筒(53)下面に上面を当接して装着筒部(80)内周に嵌合させた筒部(70)下端にメッシュ(71)を張設したことを特徴とする請求項2に記載の液体噴出器。
【請求項5】
第1嵌合筒(53)内面に嵌合させた筒部(70)の上端にメッシュ(71)を張設したことを特徴とする請求項2に記載の液体噴出器。
【請求項6】
可動噴出部(B2)はステム(41)と噴出ヘッド(50)とを備え、ステム(41)は、シリンダ(30)内を摺動するピストン(42)を下部に備えるとともに、上部に大径のピストン(43)を備えてなり、噴出ヘッド(50)は、周壁(51)上端より頂壁(52)を延設するとともに、頂壁(52)裏面より第1嵌合筒(53)及び外方の第2嵌合筒(54)を同心円状に垂設し、且つ、第1嵌合筒(53)内より噴霧孔(60)に至る液通路(p)を備えたケーシング(50a)と、第2嵌合筒(54)内周に嵌着した装着筒部(80)を頂板部(81)上面より起立するとともに、頂板部(81)中央に、ステム(41)内に支持した棒体(45)先端の吐出弁体(45a)で閉塞する吐出口(83)を穿設し、且つ、頂板部(81)周縁部より大径のピストン(43)が摺動する大径のシリンダ(82)を垂設するとともに、大径のシリンダ(82)内に吐出弁体(45a)との隙間を調整する隙間調整筒(84)を垂設したシリンダ部材(50d)とを備え、可動噴出部(B2)の押し下げ時に、シリンダ(30)と大径のシリンダ(82)との径差に起因する荷重変化で吐出口(83)が開口する吐出弁(46)を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項5に記載の液体噴出器。
【請求項7】
隙間調整筒(84)の内径と棒体(45)の外径との径差aが、噴霧孔(60)の径bより大であり、メッシュの径cが噴霧孔(60)の径bより小であることを特徴とする請求項6に記載の液体噴出器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−152726(P2012−152726A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−16774(P2011−16774)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】