説明

液体噴出容器

【課題】カバー筒のうちゲートマークが現れる部分を利用者が簡単に除去することが可能な除去用ピースに形成した液体噴出容器を提供する。
【解決手段】胴体4の上方へ口頸部8を起立する収納容器2と、口頸部8内へ垂下するポンプシリンダ22の上部を、口頸部8外面に嵌めた装着筒28で抜止めするとともに、ポンプシリンダ22内へ挿入した作動部材36の上半部に、ノズル47付きの押下げヘッド46を形成してなる噴出器20と、上記作動部材36を覆うように収納容器2に下降可能に取り付けられ、かつゲートマークM付きの頂壁56を有する合成樹脂製のカバー筒50とを具備し、カバー筒の頂壁56のうち少なくとも押下げヘッド46の上面と対向しかつゲートマークMを含む壁部分を、破断線60で囲われた除去用ピース58とし、カバー筒50を下降させたときに除去用ピース58を押し上げる押上げ機構Aを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体噴出容器に関する。なお、本明細書において、「液体」というときにはクリーム状物や霧などの液状物を含むものとする。
【背景技術】
【0002】
ノズル付きの押下げヘッドを備えた液体噴出容器において、押下げヘッドを覆うカバー筒を設けたものが知られている(特許文献1)。こうしたカバー筒を合成樹脂で成形することは、慣用的に行われている。
【0003】
カバー筒に限らないが合成樹脂製製品を金型で成形するときに、成形品のうち金型の樹脂注入口(ゲート)に相当する箇所にゲートマークができるということが知られている(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−122545号
【特許文献2】特開2007−160852
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記ゲートマークは、製品の体裁を損なうために人目につかないところに設けることが好適であるが、液体注出容器の上部に組み付けるカバー筒の場合には、どこに設けても人目に触れてしまうという問題がある。
【0006】
またいわゆるウェルドライン(金型内へ注入された樹脂の流れが金型内で再び合流する箇所でできるライン)を避けるためにファンゲート(扇形ゲート)を採用した場合には、ゲートカット工程又はゲートカット機が必要となる。
【0007】
こうした課題を解決するために、出願人は、成形品のうちゲートマークが現れる部分及びその周囲を破断線で囲み、利用者によって取り除かれる除去用ピースとするという構成を採用するという着想に至った。
【0008】
こうした構造は、従来の合成樹脂製容器の蓋において無い訳ではなく、例えば特許文献2の図4は、プリリング付きのキャップにおいて、プルリングで引き抜き可能に周囲を破断線で囲んだ頂壁部分(除去用ピース)の中心部分にゲートを配置した金型を開示している。しかしながら、仮に特許文献2の除去用ピースをカバー筒の構造にそのまま採用すると、カバー筒の頂壁の一部を除去するためにプルリングを頂壁に付設することになり、体裁が悪く、嵩張るものになってしまう。
【0009】
本出願人は、プルリングとは異なる手段で、カバー筒の頂壁部分を除去することを提案するものである。なお、ゲートマークを除去することは、本発明の主要な用途の一つではあるが、必ずしもそれに限定されるものではない。
【0010】
本発明の第1の目的は、カバー筒の上部を利用者が簡単に除去することが可能は液体噴出容器を提案することである。
【0011】
本発明の第2の目的は、カバー筒のうちゲートマークが現れる部分を利用者が簡単に除去することが可能な除去用ピースに形成した液体噴出容器を提供することである。
【0012】
本発明の第3の目的は、上述の除去用ピースを除去するための押上げ機構を体裁よくかつコンパクトに組み込んだ液体噴出容器を提供することである。
【0013】
本発明の第4の目的は、上述の除去用ピースをカバー筒の残余部分とを破断線で区画し、封緘機能を発揮することが可能な液体噴出容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
第1の手段は、胴体4の上方へ口頸部8を起立する収納容器2と、
口頸部8内へ垂下するポンプシリンダ22の上部を、口頸部8外面に嵌めた装着筒28で抜止めするとともに、ポンプシリンダ22内へ挿入した作動部材36の上半部に、ノズル47付きの押下げヘッド46を形成してなる噴出器20と、
上記作動部材36を覆うように収納容器2に下降可能に取り付けられ、かつ頂壁56を有する合成樹脂製のカバー筒50と、を具備し、
カバー筒の頂壁56のうち少なくとも押下げヘッド46の上面と対向する壁部分を、破断線60で囲われた除去用ピース58とし、カバー筒50を下降させたときに除去用ピース58を押し上げる押上げ機構Aを設けている。
【0015】
本手段では、図1及び図8に示すようにカバー筒の頂壁のうちの一部を、周囲から破断可能な除去用ピースに形成することを提案している。カバー筒は押下げヘッドの周囲を覆っており、使用するときにはカバー筒を下降させるように設けている。この操作を利用して、除去用ピースを相対的に押し上げ、除去するために、使用の操作が面倒となることもない。利用者によって破断可能な除去用ピースを設けることの利用態様として、前述のゲートマークの除去があるが、それ以外にも、封緘機能の担保や押下げヘッドの保護などの目的で利用できる。
【0016】
第2の手段は、第1の手段を有し、かつ上記頂壁56をゲートマークM付きの頂壁とし、かつ上記押下げヘッド46の上面と対向する頂壁部分がゲートマークMを含む。
【0017】
本手段は、主たる利用態様として除去用ピースをゲートマーク付きの頂壁部分とすることを提案している。ゲートマークは当該頂壁部分の表側又は裏側のいずれにあってもよい。
【0018】
第3の手段は、第1の手段又は第2の手段を有し、かつ上記除去用ピース58の外周部を破断線60形成箇所よりも下方へ延長するとともに、
この延長壁部64に対応して、装着筒28が有する内向きフランジ状壁30の上面から起立壁34を上方へ延ばし、
これら延長壁部64及び起立壁34の各対向端部が相互に当接することで除去用ピースの押上げ機構Aを構成している。
【0019】
本手段では、図1及び図8に示すように除去用ピースの押下げ機構の好適な態様を示している。延長壁部及び起立壁は、除去用ピースの全周又は一部を押し上げて、破断線を破断させるように設ける。これら延長壁部及び起立壁は既存のカバー筒の内部に形成されるから、体裁を損なうことがなく、かつ容器が嵩張ることもない。
【0020】
第4の手段は、第1の手段から第3の手段のいずれかを有し、かつ少なくともカバー筒50とカバー筒に隣接する収納容器2の胴体部分とをシュリンクフィルム66で覆うとともに、上記カバー筒を、収納容器2に対して一定の範囲で螺下降可能に形成している。
【0021】
本手段では、カバー筒及び胴体の隣接部分をシュリンクフィルムで包むとともに、そのカバー筒を螺下降可能とすることを提案している。カバー筒を無理に回すとシュリンクフィルムが図3に点線で示す如く裂けたり、または歪んでしまうために、そうした不適切な操作を抑制することができる。
【0022】
第5の手段は、第1の手段又は第3の手段を有し、かつ 上記延長壁部64及び起立壁34は、予め各対向端部の間にカバー筒の下降代Hとしての間隙を存するように設け、かつカバー筒50をその可動範囲の途中まで押し下げたときに延長壁部64が起立壁34に突き当たるように形成している。
【0023】
本手段では、図1に示すようにカバー筒をある程度下降させたときに、延長壁部が起立壁に突き当たって破断線が破断するようにしている。仮に下降操作の後にシュリンクフィルムを除去しても、破断線が切れることで不正操作の痕跡が残るから、不正操作の有無の確認が容易である。なお、上述の「予め」とは、容器を最初に使用する状態でという程度の意味である。
【0024】
第6の手段は、第4の手段を有し、かつ上記延長壁部64及び起立壁34は、予め延長壁部及び起立壁の各対向端部が相互に当接するように形成している。
【0025】
本手段では、図8に示すように予め延長壁部と起立壁とを当接させることを提案している。これによりシュリンクフィルムの上から除去用ピースを押し下げることを防止し、その押下げにより除去用ピースの破断線が損傷するなどの不都合を回避できる。
【0026】
第7の手段は、第3の手段から第6の手段のいずれかを有し、かつ上記カバー筒50の下部は、収納容器2の胴体4上部を覆っており、これら胴体上部の外周面とカバー筒の内周面との一方にほぼ斜めの案内溝16を形成するとともに、他方に案内溝16内に突入する係合突子54を形成して、カバー筒50が回転により昇降するように形成し、
かつ上記延長壁部64及び起立壁34を、カバー筒50の回転軸と同心の円周壁としている。
【0027】
本手段では、カバー筒の昇降手段を提案している。この昇降手段は、図1に一部を点線で示す如く収納容器の胴体とカバー筒とに設けたほぼ斜めの案内溝及び係合突子からなり、この係合突子が図1→図3→図4→図5→図6のように案内溝内を斜めに進むことでカバー筒が螺下降する。これら昇降手段は、除去用ピース押上げ機構Aの一部であり、収納容器の胴体とカバー筒との間に形成されるから、体裁を損なうことがなく、かつ嵩張らない。
【発明の効果】
【0028】
第1の手段に係る発明によれば、ガイド筒の頂壁に存する除去用ピースを筒壁内部から押し上げるから、押上げ機構が利用者の目に触れにくく、シンプルな外形となる。
【0029】
第2の手段に係る発明によれば、ゲートマークMを含む頂壁部分を除去用ピース58としたから、ゲート箇所を切断するときの仕上げ工程を省略できる。
【0030】
第3の手段に係る発明によれば、除去用ピース58の押上げ機構Aを、カバー筒の延長壁部64と装着筒28の起立壁34とで形成するから、体裁がよくかつ嵩張らない。
【0031】
第4の手段に係る発明によれば、シュリンクフィルム66の上からカバー筒50を回そうとすると、シュリンクフィルム66が歪み、さらには破断するから、他人の勝手に操作することを抑制することができる。
【0032】
第5の手段に係る発明によれば、カバー筒50を押し下げる途中で延長壁部64が起立壁34に突き当たるようにしたから、不正操作が容易に確認できる。
【0033】
第6の手段に係る発明によれば、予め延長壁部64と起立壁34とを相互に当接させているから、シュリンクフィルム66で覆われた状態では、除去用ピース58を押し下げることができない。
【0034】
第7の手段に係る発明によれば、案内溝16と係合突子54とを利用して除去用ピースを押し上げるから、容器の体裁を損なわず、かつ嵩張らない。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る液体噴出容器の縦断面図である。
【図2】図1の容器の平面図である。
【図3】図1の容器を使用するときの第1の段階での縦断面図である。
【図4】図1の容器を使用するときの第2の段階での縦断面図である。
【図5】図1の容器を使用するときの第3の段階での縦断面図である。
【図6】図1の容器を使用するときの第4の段階での縦断面図である。
【図7】図1の容器の変形例の平面図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る液体噴出容器の縦断面図である。
【図9】図8の容器を使用するときの一つの段階での縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1から図9は、本発明の第1の実施形態に係る液体噴出容器を示している。この液体噴出容器は、収納容器2と、噴出器20と、カバー筒50と、シュリンクフィルム66とで構成している。これら各部材は特に断らない限り合成樹脂で形成することができる。
【0037】
収納容器2は、胴体4を有し、かつ胴体上方へ口頸部8を起立している。
【0038】
図示例では、上記収納容器2を、容器体2Aと補助筒2Bとで形成している。後述の案内溝を補助筒の外面に形成するためである。図示の容器体2Aは、胴体相当部分を、下から順に大径胴部分と中径胴部分と小径胴部分とに形成し、この小径胴部分から肩部6を介して口頸部8を起立している。
【0039】
上記補助筒2Bは、円環状の頂板10から足の短い内筒12と足の長い外筒14とを垂下してなる2重筒形である。補助筒2Bは、上記頂板10の内周部を上記肩部6に載置するとともに、内筒12下端に付設した係合凸条13を、上記容器体の小径胴部分に形成した係合溝に係止させて、容器体に対して回動不能に設けている。
【0040】
上記外筒14の外面には、図1に点線で描くように後述の係合突子を案内するための案内溝16を形成する。この案内溝16は、斜溝部16cの上下両端側に、上下両辺が水平な第1、第2の停止部16b、16dを形成し、第1の停止部16bから外筒14の上端面へ垂直な導入口16aを短く延ばしている。導入口16a、第1の停止部16b、斜溝部16c、第2の停止部16dの各連続箇所には、それぞれ係合突子が乗り越え可能なストッパ18を形成している。
【0041】
噴出器20は、ポンプシリンダ22と、装着筒28と、作動部材36とを具備している。
【0042】
上記ポンプシリンダ22は、口頸部8内に垂下された筒壁の上端に外向きフランジ24を有し、この外向きフランジを口頸部8の上端面に係止させるとともに、筒壁下端部に吸込み弁26を設ける。吸込み弁からは、一部省略して描く吸込み管を容器体の底部付近へ垂下する。
【0043】
上記装着筒28は、上記口頸部外面への螺着させた筒壁の上端に内向きフランジ状壁30を有し、この内向きフランジ状壁を上記外向きフランジ24の上面に圧着させている。内向きフランジ状壁30の上面の内縁からは案内筒32を、またやや外側からは円筒形の起立壁34をそれぞれ立ち上げている。
【0044】
上記作動部材36は、ポンプシリンダ22内面を摺動する筒状ピストン40を下端に有するプランジャ38と、プランジャ内に挿入された弁棒42と、プランジャの上部外面に嵌合されたピストンガイド44と、このピストンガイドの上部を嵌合させた第2のシリンダを下面に有する押下げヘッド46とを具備している。47は、ノズルである。ピストンガイドはスプリングにより上方へ付勢されており、プランジャの上端部と押下げヘッドの下面との間には吐出弁48を形成している。
【0045】
上記カバー筒50は、補助筒2Bの外面に嵌合した筒壁52と、この筒壁の上面を閉塞する頂壁56とで形成している。
【0046】
図示例の筒壁52は、大径筒部52aの上部から内向きフランジ状の縮径部52bを経て小径筒部52cを起立してなり、小径筒部の上端部はさらにテーパ状に縮径して頂壁56に連続している。これら縮径部52b及び小径筒部52cは、図6に示すように、補助筒2Bの頂板10及び装着筒28の筒壁の輪郭に相応する形状となっている。必ずしもこのような形状とする必要はないが、後述の押下げヘッドを操作するときに小径筒部52cを親指と中指とではさみ、人差し指で押下げヘッドを押し下げることができるので操作し易い。
【0047】
上記筒壁の大径筒部52aの内面からは係合突子54を突出している。この係合突子は、案内溝16内に挿入しており、第1の停止部16bから斜溝部16cを経て第2の停止部16dへスライドすることで、カバー筒が螺下降するように構成している。
【0048】
上記カバー筒50の頂壁56は、除去用ピース58を有する。この除去用ピースは、上記押下げヘッド46の上面に対向する円形の頂壁部分の外周部を破断線60で囲んでなる。この破断線は、図2に示す如く、周方向の複数箇所に破断可能なブリッジ62として残して、スリットを穿設してなる。もっとも周方向全長を薄肉線で形成しても構わない。
【0049】
除去用ピース58の中心部にはゲートマークMが現れている。除去用ピース58は、単なる円板形状に形成してもよいが、図示例では、押下げヘッド46の上部に被さる帽子状部としている。すなわち、円形の頂壁部分の外周部を破断線下方に延長して、円筒形の延長壁部64を上記押下げヘッド46の周面に沿って垂下させている。図1に示す最初の状態において、除去用ピース58の水平部分(頂壁相当部分)と押下げヘッドの上面との間には隙間が存する。
【0050】
この延長壁部64は、起立壁34と同径かつ同心であり、カバー筒が螺下降したときに、延長壁部64の下端部と起立壁34の上端部とが衝突し、その下降力の反力が破断線60に伝わり、破断を生ずるように構成している。これら延長壁部64及び起立壁34と、既述案内溝及び係合突子による昇降手段で、本発明の除去用ピースの押上げ機構Aを構成している。もっとも昇降手段を省略して、利用者が手でカバー筒を引き下げるようにしても構わない。
【0051】
本実施形態の押下げ機構Aの特長は、図1に示す最初の状態において起立壁34の上端部と延長壁部の下端部との間に下降代Hが存在し、破断線60を破断することなくカバー筒50及び押下げヘッド46をある程度下降させることができることである。その下降巾が許容範囲内であれば、破断線が破断しない方が都合のよい場合があるからである。例えば製品の出荷時にカバー筒50に不意に他物が当たったような場合である。なお、容器の未使用状態では、ポンプシリンダ22内部は空であるので、内容物が吐出されるなどの不都合は生じず、製品としての品質は担保される。なお、カバー筒50が僅かに下降しただけで破断線が破断する構成についても、後の実施形態で説明する。
【0052】
上記延長壁部64及び起立壁34は、必ずしも図示例のように円筒壁に形成する必要がなく、例えば延長壁部64及び起立壁34の一方を円筒壁に、他方を、円筒壁の周辺に沿った、垂下長の等しい複数の垂壁にそれぞれ形成することもできる。
【0053】
シュリンクフィルム66は、収納容器2とカバー筒50とを覆っている。図示例では液体噴出容器の全体をシュリンクフィルム66で覆っているが、例えばカバー筒50の下部と収納容器胴体4の隣接部分、或いは除去用ピース及びカバー筒の筒壁上端部のように一部分だけをシュリンクフィルム66で覆っても構わない。
【0054】
上記構成において、図1の状態からシュリンクフィルム66を付けたままでカバー筒50を回すと、カバー筒が螺下降する。下降の過程において、まずシュリンクフィルムが図3に示すように裂け、次に延長壁部64が起立壁34に当接し、カバー筒の筒壁52に対して除去用ピースが押し上げられるために、破断線60が破断する。これらの操作が不正に行われたときには、シュリンクフィルム及び破断線60の破壊箇所が不正操作の痕跡として残るために、不正操作を確認することができる。
【0055】
利用者による正規の開封作業である場合には、さらにカバー筒50を下限位置まで下降させ、除去用ピースを取り外す。
【0056】
破断線を構成するブリッジが切れるときに、除去用ピース58が図6に示すように飛び出すように外れるようにブリッジの強度を設計することができる。これとは逆に変形例である図7に示すように連結強度(例えば巾や厚みなど)の異なる複数のブリッジ62A、62B、62C…を設けてもよい。このようにすると、各ブリッジが強度の弱いものから切断する。故に各ブリッジが一斉に切れることがないので、除去用ピースの飛び出しを防止できる。
【0057】
以上説明したように利用者が液体噴出容器の封緘を解除するときに、ゲートマークM付きの除去用ピース58が破断され、かつ除去されるので、成形品のうちゲート相当部分を製造工程としてカットすること、及びカットされたゲート相当部分を除去することを省略することができる。
以下、本発明の他の実施形態を説明する。これらの説明において第1実施形態と同じ構成については同一の符号を付することで解説を省略する。
【0058】
図8から図9は、本発明の第2の実施形態に係る液体噴出容器を示している。
【0059】
本実施形態では、第1の実施形態における延長壁部64をさらに延長して、最初の状態において延長壁部64と起立壁34との各対向端部が当接するようにしたものである。これによりカバー筒50を下降させると、すぐに破断線が切れる。
【0060】
この実施形態によれば、シュリンクフィルム66上から、除去用ピース58を押し下げようとしても、押下げることができない。従って除去用ピース58の押下げによる不正操作を回避することができる。
【符号の説明】
【0061】
2…収納容器 2A…容器体 4…胴体 6…肩部 8…口頸部
2B…補助筒 10…頂板 12…内筒 13…係合凸条 14…外筒
16…案内溝 16a…導入口 16b…第1の停止部 16c…斜溝部
16d…第2の停止部 18…ストッパ
20…噴出器 22…ポンプシリンダ 24…外向きフランジ 26…吸込み弁
28…装着筒 30…内向きフランジ状壁 32…案内筒 34…起立壁
36…作動部材 38…プランジャ 40…筒状ピストン 42…弁棒
44…ピストンガイド 46…押下げヘッド 47…ノズル 48…吐出弁
50…カバー筒 52…筒壁 52a…大径筒部 52b…縮径部
52c…小径筒部 54…係合突子 56…頂壁 58…除去用ピース
60…破断線 62、62A、62B、62C…ブリッジ
64…延長壁部 66…シュリンクフィルム
A…押上げ機構 M…ゲートマーク H…下降代

【特許請求の範囲】
【請求項1】
胴体4の上方へ口頸部8を起立する収納容器2と、
口頸部8内へ垂下するポンプシリンダ22の上部を、口頸部8外面に嵌めた装着筒28で抜止めするとともに、ポンプシリンダ22内へ挿入した作動部材36の上半部に、ノズル47付きの押下げヘッド46を形成してなる噴出器20と、
上記作動部材36を覆うように収納容器2に下降可能に取り付けられ、かつ頂壁56を有する合成樹脂製のカバー筒50と、を具備し、
カバー筒の頂壁56のうち少なくとも押下げヘッド46の上面と対向する壁部分を、破断線60で囲われた除去用ピース58とし、カバー筒50を下降させたときに除去用ピース58を押し上げる押上げ機構Aを設けたことを特徴とする、液体噴出容器。
【請求項2】
上記頂壁56をゲートマークM付きの頂壁とし、
かつ上記押下げヘッド46の上面と対向する頂壁部分がゲートマークMを含むことを特徴とする、請求項1記載の液体噴出容器。
【請求項3】
上記除去用ピース58の外周部を破断線60形成箇所よりも下方へ延長するとともに、
この延長壁部64に対応して、装着筒28が有する内向きフランジ状壁30の上面から起立壁34を上方へ延ばし、
これら延長壁部64及び起立壁34の各対向端部が相互に当接することで除去用ピースの押上げ機構Aを構成したことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載した液体噴出容器。
【請求項4】
少なくともカバー筒50とカバー筒に隣接する収納容器2の胴体部分とをシュリンクフィルム66で覆うとともに、上記カバー筒を、収納容器2に対して一定の範囲で螺下降可能に形成したことを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれかに記載した液体噴出容器。
【請求項5】
上記延長壁部64及び起立壁34は、予め各対向端部の間にカバー筒の下降代Hとしての間隙を存するように設け、かつカバー筒50をその可動範囲の途中まで押し下げたときに延長壁部64が起立壁34に突き当たるように形成したことを特徴とする、請求項3又は請求項4に記載した液体噴出容器。
【請求項6】
上記延長壁部64及び起立壁34は、予め延長壁部及び起立壁の各対向端部が相互に当接するように形成したことを特徴とする、請求項4に記載した液体噴出容器。
【請求項7】
上記カバー筒50の下部は、収納容器2の胴体4上部を覆っており、これら胴体上部の外周面とカバー筒の内周面との一方にほぼ斜めの案内溝16を形成するとともに、他方に案内溝16内に突入する係合突子54を形成して、カバー筒50が回転により昇降するように形成し、
かつ上記延長壁部64及び起立壁34を、カバー筒50の回転軸と同心の円周壁としたことを特徴とする、請求項3から請求項6のいずれかに記載した液体噴出容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−136713(P2011−136713A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−296448(P2009−296448)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】