液体噴射ヘッドユニット、および、その製造方法
【課題】複数の液体噴射ヘッドをより短時間で位置精度良く取り付けることが可能なことが可能な液体噴射ヘッドユニット、および、その製造方法を提供する。
【解決手段】サブキャリッジ26は、第1のヘッド取付部36aと第2のヘッド取付部36bと、を有し、第2のヘッド取付部は、第2のヘッドの位置を調整する調整機構の構成部材の少なくとも一部を有し、同一組の一方の第1の記録ヘッドは、ノズルが規定位置に配置されるように第1のヘッド取付部に対して位置決めされた状態で固定され、他方の第2の記録ヘッドは、第1のヘッドの所定のノズルから噴射されたインクの記録媒体上における着弾位置に対する、当該第2の記録ヘッドの所定のノズルから噴射されたインクの記録媒体上における着弾位置に基づいて、調整機構により第1の記録ヘッドに対する相対位置が規定された状態で第2のヘッド取付部に固定された。
【解決手段】サブキャリッジ26は、第1のヘッド取付部36aと第2のヘッド取付部36bと、を有し、第2のヘッド取付部は、第2のヘッドの位置を調整する調整機構の構成部材の少なくとも一部を有し、同一組の一方の第1の記録ヘッドは、ノズルが規定位置に配置されるように第1のヘッド取付部に対して位置決めされた状態で固定され、他方の第2の記録ヘッドは、第1のヘッドの所定のノズルから噴射されたインクの記録媒体上における着弾位置に対する、当該第2の記録ヘッドの所定のノズルから噴射されたインクの記録媒体上における着弾位置に基づいて、調整機構により第1の記録ヘッドに対する相対位置が規定された状態で第2のヘッド取付部に固定された。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット式記録装置などの液体噴射装置に用いられる液体噴射ヘッドユニット、および、その製造方法に関し、特に、複数の液体噴射ヘッドを位置精度良く取り付けることが可能な液体噴射ヘッドユニット、および、その製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液体噴射装置は、液体を液滴として噴射可能な液体噴射ヘッドを備え、この液体噴射ヘッドから各種の液体を噴射する装置である。この液体噴射装置の代表的なものとして、例えば、インクジェット式記録ヘッド(以下、記録ヘッドという)を備え、この記録ヘッドのノズルから液体状のインクをインク滴として噴射させて記録を行うインクジェット式記録装置(プリンター)等の画像記録装置を挙げることができる。また、近年においては、この画像記録装置に限らず、ディスプレイ製造装置などの各種の製造装置にも応用されている。
【0003】
近年、上記プリンターには、ノズルを複数列設してなるノズル群を有する記録ヘッドをサブキャリッジなどのヘッド固定部材に複数並べて固定したものを1つのヘッドユニットとする構成を採用するものがある(例えば、特許文献1参照)。このサブキャリッジは、複数の記録ヘッドが取り付けられる部分が開口した枠体状の部材であり、このサブキャリッジに対して各記録ヘッドが位置決めされた状態でネジ留めによって固定される。
【0004】
ここで、記録ヘッドと記録媒体とを相対的に往復移動させながら記録動作を行うように構成されたプリンターでは、記録ヘッドの各ノズル列にそれぞれ割り当てられるインクの色の配列がサブキャリッジにおける記録ヘッドの並設方向の中心から同方向において対称となる位置関係で、各記録ヘッドをサブキャリッジに取り付ける構成も提案されている。この構成では、同色のノズル列を有する2つの記録ヘッドを組として含み、この組を成す各記録ヘッドは、ヘッド並設方向の中心から同方向において対称な位置関係でサブキャリッジにそれぞれ配置される。このような構成を採用することにより、往路と復路とで記録媒体に対する各色のインクの着弾順序を揃えることできる。
記録媒体に対する各色のインクの着弾順序が往復で異なると、異なる色のドット同士が重なる部分の色合いが往復で異なってしまう。例えば、先に形成されたシアンドットと後から形成されたマゼンタドットとが重なった部分の色合いと、先に形成されたマゼンタドットと後から形成されたシアンドットとが重なった部分の色合いとが異なる。これにより記録画像等の画質に悪影響を及ぼす虞がある。これに対して、上記の構成によれば、往路と復路とで記録媒体に対する各色のインクの着弾順序が揃えられることにより、異なる色のドット同士の重なり順も往復で揃うので、記録画像等の画質の低下を抑えることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−273109号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、記録ヘッドのノズルが例えばポンチを用いた塑性加工により形成される構成では、ノズル形成面に対するノズルの中心軸の傾きが生じることがある。このような記録ヘッドをサブキャリッジに対し、各記録ヘッドのノズル位置が規定の位置に配置されるように取り付け位置を調整して取り付けたとしても、ノズルの傾きが記録ヘッド毎に異なっていた場合には、インクの飛翔方向も記録ヘッド毎にばらついてしまう。その結果、記録紙等の記録媒体に対するインクの着弾位置にばらつきが生じ、記録画像等の画質の低下を招く虞があった。特に、上記した構成のように、サブキャリッジに対称配置された同色の組を成す記録ヘッド同士において着弾位置のばらつきが生じると、記録画像等の画質への影響が大きくなる可能性がある。
【0007】
その一方で、各記録ヘッドのノズルから記録媒体に対してインクを実際に噴射させて、当該インクの着弾位置が設計上目標とする着弾位置に合致するように、サブキャリッジに対する記録ヘッドの取り付け位置を調整する方法も考えられる。しかしながら、このような調整方法は、ノズルの位置を基準として取り付け位置を調整する方法と比較して、調整時間をより多く要し、生産性の面で不利であるという問題があった。同様な理由から、アフターサービスなどで記録ヘッドの位置を再調整する際にも時間を要し、稼働率の低下を招いていた。
【0008】
なお、このような問題は、インクを噴射する記録ヘッドを搭載したインクジェット式記録装置だけではなく、ヘッド固定部材に対して複数の液体噴射ヘッドを固定する構成を採用する、他の液体噴射ヘッドユニット、及びこれを備える液体噴射装置においても同様に存在する。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数の液体噴射ヘッドをより短時間で位置精度良く取り付けることが可能なことが可能な液体噴射ヘッドユニット、および、その製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の液体噴射ヘッドユニットは、液体を噴射するノズルを複数含むノズル列を少なくとも1つ有する液体噴射ヘッドと、
複数の前記液体噴射ヘッドが、前記ノズル列を並べて配設して位置決めされた状態で固定されるヘッド固定部材と、を備え、
同色の液体を噴射するノズル列を有する2つの液体噴射ヘッドが第1のヘッドおよび第2のヘッドとして組を成し、各ノズル列にそれぞれ割り当てられる液体の色の配列が、各液体噴射ヘッドの並設方向の中心から同方向において対称となるように、前記ヘッド固定部材に各液体噴射ヘッドの組が少なくとも2組以上固定された液体噴射ヘッドユニットであって、
前記ヘッド固定部材は、前記第1のヘッドが固定される第1のヘッド取付部と、前記第2のヘッドが固定される第2のヘッド取付部と、を有し、
前記第2のヘッド取付部は、当該第2のヘッド取付部に配置された前記第2のヘッドの位置を調整する調整機構の構成部材の少なくとも一部を有し、
同一組の一方の第1のヘッドは、前記ノズルが規定位置に配置されるように位置決めされた状態で前記第1のヘッド取付部に固定され、
同一組の他方の第2のヘッドは、前記第1のヘッドの所定のノズルから噴射された液体の着弾対象における着弾位置に対する、当該第2のヘッドの所定のノズルから噴射された液体の着弾対象における着弾位置に基づいて、前記調整機構により前記第1のヘッドに対する相対位置が規定された状態で前記第2のヘッド取付部に固定されたことを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、同色のノズル列を有して組を成す一方の第1のヘッドについては、対象ノズルが規定の位置に配置されるようにヘッド固定部材の第1のヘッド取付部に対して位置決めされた状態で固定されるのに対し、他方の第2のヘッドについては、組を成す第1のヘッドの所定のノズルから噴射された液体の着弾対象における着弾位置に対する、当該第2のヘッドの所定のノズルから噴射された液体の着弾対象における着弾位置に基づいて、調整機構により第1のヘッドに対する相対位置が規定された状態でヘッド固定部材に固定されるので、特に同色の液体を噴射するノズル列を有する同一組の液体噴射ヘッド同士の位置関係がより高い精度で確保される。即ち、実際の液体の着弾位置に基づいて同一組の液体噴射ヘッド同士の相対位置が規定されるので、ノズル形成面に対するノズルの傾き等の液体噴射ヘッド毎に固有の特性が、同一組の液体噴射ヘッド同士の位置関係に反映され、同色のノズル列を有する液体噴射ヘッドの組を有する構成において、同色液体間の着弾位置ずれを防止することができる。これにより、着弾対象に対して画像等を記録した場合において、着弾位置ずれに起因する記録画像等の画質の低下を抑制することが可能となる。
また、ノズルから噴射された液体の着弾対象上における実際の着弾位置に基づく位置調整方法は、ノズルの位置を基準とした位置調整方法と比較して、調整時間をより多く要するが、組を成す一方の第1のヘッドについては調整時間が比較的短い後者の位置調整方法が採用されるので、全ての液体噴射ヘッドについて前者の位置調整方法を採用する場合よりも調整時間を全体的に短縮することができる。その結果、生産性の低下等を抑制することが可能となる。
【0012】
上記構成において、前記調整機構は、前記第2のヘッド取付部を区画する区画壁のヘッド並設方向の一側およびヘッド並設方向に直交する方向の一方にそれぞれ付勢する付勢部材と、当該付勢部材を取り付ける付勢部材取付部と、当該付勢部材によって付勢された状態で前記第2のヘッド取付部に配置された前記第2のヘッドの前記ヘッド並設方向に直交する方向の位置を調整する第1の調整部材と、当該第2のヘッドのノズル形成面方向の傾きを調整する第2の調整部材と、を含む構成を採用することが望ましい。
【0013】
また、上記構成において、各組の第1のヘッドのうちの一つは、前記第1のヘッド取付部に対して基準ヘッドとして固定され、
残りの他の第1のヘッドは、前記基準ヘッドに対して相対位置が規定された状態で前記第1のヘッド取付部に固定される構成を採用することができる。
【0014】
また、上記構成において、前記基準ヘッドは、前記第1のヘッド取付部に対して位置決めピンにより位置決めされた状態で固定される構成を採用することができる。
【0015】
上記構成によれば、基準ヘッドの第1のヘッド取付部に対する位置調整は、位置決めピンを用いて簡単且つ迅速に完了するので、調整時間をさらに短縮化することが可能となる。
【0016】
また、本発明の液体噴射ヘッドユニットの製造方法は、液体を噴射するノズルを複数含むノズル列を少なくとも1つ有する液体噴射ヘッドと、
複数の前記液体噴射ヘッドが、前記ノズル列を並べて配設して位置決めされた状態で固定されるヘッド固定部材と、を備え、同色の液体を噴射するノズル列を有する2つの液体噴射ヘッドが第1のヘッドおよび第2のヘッドとして組を成し、各ノズル列にそれぞれ割り当てられる液体の色の配列が、各液体噴射ヘッドの並設方向の中心から同方向において対称となるように、前記ヘッド固定部材に各液体噴射ヘッドの組が少なくとも2組以上固定される液体噴射ヘッドユニットの製造方法であって、
所定のノズルが規定位置に配置されるように前記ヘッド固定部材の第1のヘッド取付部に対して同一組の一方の第1のヘッドの取り付け位置を調整する第1の位置調整工程と、
前記第1の位置調整工程により取り付け位置が規定された状態で前記第1のヘッドを前記第1のヘッド取付部に固定する第1の固定工程と、
同一組の一方の第1のヘッドの所定のノズルから噴射された液体の着弾対象における着弾位置に対する、同一組の他方の第2のヘッドの所定のノズルから噴射された液体の着弾対象における着弾位置に基づいて、前記調整機構により前記第1のヘッドに対する前記第2のヘッドの相対位置を調整する第2の位置調整工程と、
前記第2の位置調整工程により取り付け位置が規定された状態で前記第2のヘッドを前記ヘッド固定部材の第2のヘッド取付部に固定する第2の固定工程と、
を含むことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】プリンターの内部構成の一部を示す斜視図である。
【図2】プリンターの平面図である。
【図3】キャリッジアセンブリーの平面図である。
【図4】キャリッジアセンブリーの右側面図である。
【図5】ヘッドユニットの斜視図である。
【図6】ヘッドユニットの底面側の斜視図である。
【図7】流路部材を取り外した状態のヘッドユニットの平面図である。
【図8】流路部材を取り外した状態のヘッドユニットの斜視図である。
【図9】図7におけるA−A線断面図である。
【図10】図7におけるB−B線断面図である。
【図11】サブキャリッジの構成を説明する図である。
【図12】記録ヘッドのノズル形成面側の斜視図である。
【図13】第1の記録ヘッドを説明する図である。
【図14】第2の記録ヘッドを説明する図である。
【図15】サブキャリッジに対し第1の記録ヘッドを取り付けるための装置構成を説明する模式図である。
【図16】第2の記録ヘッドの位置を調整するための調整機構の構成を説明する模式図である。
【図17】キャリッジ本体に対するサブキャリッジの平面方向の傾き調整について説明する模式図である。
【図18】θ調整について説明する模式図である。
【図19】Y方向調整について説明する模式図である。
【図20】第2実施形態における第2の記録ヘッドの位置調整について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態を、添付図面を参照して説明する。なお、以下に述べる実施の形態では、本発明の好適な具体例として種々の限定がされているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。また、以下においては、液体噴射装置として、インクジェット式記録装置(以下、プリンター)を例に挙げて説明する。
【0019】
図1はプリンター1の内部構成の一部を示す斜視図、図2はプリンター1の平面図である。例示したプリンター1は、記録用紙、フィルム等の記録媒体(着弾対象)に向けて、液体の一種であるインクを噴射する。このプリンター1は、フレーム2の内部にキャリッジアセンブリー3(ヘッドユニット保持部材の一種)を、記録媒体の送り方向に交差する方向である主走査方向に往復移動可能に搭載している。プリンター1の背面側のフレーム2の内壁には、当該フレーム2の長手方向に沿って長尺な上下一対のガイドロッド4a,4bが互いに間隔を空けて平行に取り付けられている。キャリッジアセンブリー3は、その背面側に設けられた軸受け部7(図4参照。)等にガイドロッド4a,4bが嵌合することで、これらのガイドロッド4a,4bに対して摺動可能に支持されている。
【0020】
フレーム2の背面側であって主走査方向の一端側(図3における右端部)には、キャリッジアセンブリー3を移動させるための駆動源としてのキャリッジモーター8が配設されている。このキャリッジモーター8の駆動軸は、フレーム2の背面側から内面側に突出しており、その先端部分には、駆動プーリー(図示せず)が接続されている。この駆動プーリーは、キャリッジモーター8の駆動により回転される。また、この駆動プーリーに対して主走査方向における反対側(図2における左端部)の位置には、遊転プーリー(図示せず)が設けられている。これらのプーリーには、タイミングベルト9が架け渡されている。このタイミングベルト9には、キャリッジアセンブリー3が接続されている。そして、キャリッジモーター8が駆動されると、駆動プーリーの回転に伴ってタイミングベルト9が回動し、キャリッジアセンブリー3がガイドロッド4a,4bに沿って主走査方向に移動する。
【0021】
フレーム2の背面の内壁には、リニアスケール10(エンコーダーフィルム)が、主走査方向に沿ってガイドロッド4a,4bと平行に張設されている。リニアスケール10は、透明な樹脂製フィルムによって作製された帯状部材であり、例えば、透明なベースフィルムの表面に帯幅方向を横断する不透明なストライプが複数印刷されたものである。各ストライプは、同じ幅とされ、帯長手方向に一定ピッチで形成されている。また、キャリッジアセンブリー3の背面側には、このリニアスケール10のストライプを光学的に読み取るためのリニアエンコーダーが設けられている(図示せず。)。リニアエンコーダーは、例えば、互いに対向配置された一対の発光素子と受光素子とによって構成され、リニアスケール10の透明部分での受光状態とストライプ部分での受光状態の差異に応じてエンコーダーパルスを出力するようになっている。即ち、リニアエンコーダーは位置情報出力手段の一種であり、キャリッジアセンブリー3の走査位置に応じたエンコーダーパルスを、主走査方向における位置情報として出力する。これにより、プリンターの制御部(図示せず)はこのリニアエンコーダーからのエンコーダーパルスに基づいてキャリッジアセンブリー3の走査位置を認識しながら、ヘッドユニット17による記録媒体に対する記録動作を制御することができる。そして、プリンター1は、主走査方向の一端側のホームポジションから反対側の端部(フルポジション)へ向けてキャリッジアセンブリー3が移動する往動時と、フルポジションからホームポジション側にキャリッジアセンブリー3が戻る復動時との双方向で記録紙上に文字や画像等を記録する所謂双方向記録処理が可能に構成されている。
【0022】
図2に示すように、キャリッジアセンブリー3には、ヘッドユニット17の各記録ヘッド18に各色のインクを供給するためのインク供給チューブ14と、駆動信号等の信号を供給するための信号ケーブル15が接続されている。その他、プリンター1には、図示しないが、インクを貯留したインクカートリッジ(液体供給源)が着脱可能に取り付けられるカートリッジ装着部、記録紙を搬送する搬送部、待機状態の記録ヘッド18のノズル形成面をキャッピングするキャッピング部等が設けられている。
【0023】
図3はキャリッジアセンブリー3の平面(上面)図、図4はキャリッジアセンブリー3の右側面図である。なお、図3はキャリッジカバー13を外した状態を示している。キャリッジアセンブリー3は、後述するヘッドユニット17(本発明における液体噴射ヘッドユニットの一種。)を内部に搭載するキャリッジ本体12と、このキャリッジ本体12の上部開口を塞ぐキャリッジカバー13とから成り上下に分割可能な中空箱体状の部材である。キャリッジ本体12は、略矩形状の底板部12aと、当該底板部12aの四方の外周縁からそれぞれ上方に起立した側壁部12bとから成り、これらの底板部12a及び側壁部12bに囲まれた空間内にヘッドユニット17を収容する。底板部12aには、収容されたヘッドユニット17の各記録ヘッド18のノズル形成面53を露出させるための図示しない底部開口が開設されている。そして、ヘッドユニット17をキャリッジ本体12内に収容した状態では、底板部12aの底部開口から各記録ヘッド18のノズル形成面53が、キャリッジ本体12の底部よりも下方(記録動作時における記録媒体側)に突出する。
【0024】
キャリッジ本体12とヘッドユニット17との間には、当該キャリッジ本体12に収容されたヘッドユニット17の姿勢を調整するための図示しない偏心カムが複数設けられている。そして、キャリッジ本体12には、これらの偏心カムを回転させるための調整レバー20が複数設けられている。これらの調整レバー20の操作により、偏心カムが回転してその回転中心から外周面までのカム径が増減し、このカム径の増減によって、キャリッジ本体12に収容されたヘッドユニット17(サブキャリッジ26)のキャリッジ本体12に対する位置や傾きなどの姿勢を調整することができるように構成されている。
【0025】
図5はヘッドユニット17の斜視図であり、図6はヘッドユニット17を下面(ノズル形成面)側から見た斜視図である。また、図7は流路部材24が取り付けられていない状態のヘッドユニット17の平面図(上面図)、図8は同状態のヘッドユニット17の斜視図である。さらに、図9は図7におけるA−A線断面図、図10は図7におけるB−B線断面図である。そして、図11は、サブキャリッジの構成を説明する図であり、(a)は上面図、(b)は下面図である。
【0026】
ヘッドユニット17は、複数の記録ヘッド18等をユニット化したものであり、これらの記録ヘッド18が取り付けられるサブキャリッジ26(本発明におけるヘッド固定部材の一種)と、流路部材24と、を備えている。サブキャリッジ26は、記録ヘッド18が固定される枠状のベース部26aと、このベース部26aの四方の外周縁からそれぞれ上方に起立した起立壁部26bと、から上面が開口した中空箱体状に形成されている。これらのベース部26aと四方の起立壁部26bとから囲まれた空間が、記録ヘッド18の少なくとも一部(主にサブタンク37)を収容する収容部として機能する。本実施形態のサブキャリッジ26は、金属、例えばアルミニウムにより作製されており、合成樹脂製のものと比べて剛性が高められている。
【0027】
ベース部26aの略中央部分には、複数の記録ヘッド18を挿通可能なヘッド挿通開口28が開設されている。このためベース部26aは、額縁状の枠体となっている。このヘッド挿通開口28は、収容部に連通した開口部である。ここで、本実施形態におけるサブキャリッジ26には、合計6つの記録ヘッド18が取り付けられる。そして、この記録ヘッド18は、サブキャリッジ26に固定する際の位置調整の仕方に応じて第1の記録ヘッド18A(第1のヘッドに相当)および第2の記録ヘッド18B(第2のヘッドに相当)の2種類に分類されている。そして、図11に示すように、サブキャリッジ26においてヘッド並設方向の中央の仮想仕切り線Lpから片側半分(図11(a)における左半分)には、合計3つの第1のヘッド取付部36aが、区画壁である起立壁部26bと仕切壁49とにより区画形成されている。各第1のヘッド取付部36aには、3つの第1の記録ヘッド18Aが、ベース部26aとの間にそれぞれスペーサー32を介在させた状態でノズル列方向に直交する方向に横並びで取り付けられる。また、残り半分(図11(a)における右半分)合計3つの第2のヘッド取付部36bが、区画壁である起立壁部26bと仕切壁49とにより区画形成されている。この第2のヘッド取付部36bには、3つの第2の記録ヘッド18Bが、ベース部26aとの間にそれぞれ調整ブロック50を介在させた状態で、ノズル列方向に直交する方向に横並びで取り付けられる。なお、各記録ヘッド18の位置調整の仕方の詳細については後述する。
【0028】
このベース部26aの下面(記録時の記録媒体に対向する側の面)において各第1のヘッド取付部36aに対応する箇所には、止着穴29がそれぞれ開設されている。この止着穴29は、後述するスペーサー固定ネジ27の軸部が挿通される貫通穴である。本実施形態において、止着穴29は、1つの記録ヘッド18の取り付け位置に対し、ヘッド挿通開口28を間に挟んでノズル列方向に対応する方向の両側に、後述するスペーサー32のサブキャリッジ用挿通穴32″に対応して2つずつ、合計4箇所設けられている。また、第1のヘッド取付部36aにおける端部のヘッド取付部(第1の記録ヘッド18Aの記録ヘッドH1が取り付けられる位置)には、止着穴29の近傍に位置決め穴72(図11(b)参照)がそれぞれ設けられている。この位置決め穴72については後述する。
【0029】
このベース部26aの上面(ヘッド収容部の底面)において各第2のヘッド取付部36bに対応する箇所には、位置決め穴41とバネ止着ピン42がそれぞれ立設されている。位置決め穴41は、第2の記録ヘッド18Bをサブキャリッジ26に対して位置決めする際に、当該第2の記録ヘッド18Bの調整ブロック50に開設された位置決め穴48と位置が合わせられた状態で治具の位置決めピンが挿通されて、サブキャリッジ26に対する第2の記録ヘッド18Bの大まかな位置を規定するための貫通穴である。位置決め穴41は、1つの第2の記録ヘッド18Bの取り付け位置に対し、ヘッド挿通開口28を間に挟んでノズル列方向に対応する方向(ヘッド並設方向に直交する方向)の両側に1つずつ、合計2箇所設けられている。また、バネ止着ピン42(付勢部材取付部の一種)は、第2の記録ヘッド18Bの調整ブロック50に設けられたバネ止着ピン60(60a,60b)との間に付勢部材の一種である付勢バネ44(44a,44b)を架け渡すためのピンである。本実施形態において、バネ止着ピン42は、1つの第2のヘッド取付部36bに対し、ヘッド挿通開口28を間に挟んでノズル列方向に対応する方向の両側に1つずつ、合計2箇所設けられている。ここで、ノズル列方向の両側のバネ止着ピン42のうち一方(図11(a)において下側)のバネ止着ピン42を第1のバネ止着ピン42aとし、他方(図11(a)において上側)のバネ止着ピン42を第2のバネ止着ピン42bとする。各バネ止着ピン42a,42bは、第2のヘッド取付部36bを区画するヘッド並設方向両側の仕切壁49のうち、ヘッド並設方向における第1のヘッド取付部36aとは反対側(一側)の仕切壁49の近傍に立設されている。さらに第1のバネ止着ピン42aは、第2のヘッド取付部36bを区画する起立壁部26bのうちのノズル列方向における一方の起立壁部26bの近傍(仕切壁49と起立壁部26bとで形成される隅角部)に立設されている。
【0030】
サブキャリッジ26の四方の起立壁部26bのうちの3つには、側方に向けて耳片状のフランジ部30が突設されている。フランジ部30には、キャリッジ本体12の底板部12aのヘッドユニット17の取り付け位置に開設された図示しない3箇所の取り付けネジ穴に対応して、挿通穴31がそれぞれ開設されている。そして、キャリッジ本体12の底板部12aの各取り付けネジ穴に、それぞれ対応する挿通穴31の位置を合わせた状態で、ヘッドユニット固定ネジ22(図3参照)を、挿通穴31を通じて取り付けネジ穴に止着することで、キャリッジ本体12内部にヘッドユニット17が収容・固定される。なお、上述したように、ヘッドユニット17をキャリッジ本体12に対して本固定する前の段階で、上記の調整レバー20の操作により、キャリッジ本体12に対するヘッドユニット17の位置や傾きなどの姿勢が調整される。また、サブキャリッジ26の四方の起立壁部26bの上端面には、流路部材24を固定するための固定ネジ穴33が合計4箇所設けられている。
【0031】
流路部材24の内部には、各記録ヘッド18のサブタンク37(後述)の流路接続部38にそれぞれ対応した各色のインク分配流路(図示せず)が区画形成されている。この流路部材24の上面(サブキャリッジ26に固定される側の面とは反対側の面)には、図5に示すように、チューブ接続部34が設けられている。このチューブ接続部34の内部には、各色のインクに対応した導入口39が複数設けられている。各導入口39は、それぞれ対応する色のインク分配流路に連通している。そして、チューブ接続部34に上記のインク供給チューブ14が接続されると、インク供給チューブ14内の各色のインク供給路と、それぞれ対応する導入口39とが液密状態で連通する。これにより、インクカートリッジ側からインク供給チューブ14を通じて送られてきた各色のインクが、導入口39を通じて流路部材24内のインク分配流路にそれぞれ導入される。各インク分配流路を通過したインクは、流路接続部38を通じて各記録ヘッド18のサブタンク37に流入する。流路部材24の四隅には、サブキャリッジ26の固定ネジ穴33に対応する流路挿通穴(図示せず)が、それぞれ板厚方向を貫通した状態で形成されている。流路部材24がサブキャリッジ26に固定される際に、流路止着ネジ45が流路挿通穴を通じて固定ネジ穴33に止着(螺合)される。
【0032】
図12は、記録ヘッド18(液体噴射ヘッドの一種)の構成を説明する斜視図である。また、図13は、第1の記録ヘッド18Aの構成を説明する図であり、(a)は上面図、(b)は側面図である。さらに、図14は、第2の記録ヘッド18Bの構成を説明する図であり、(a)は上面図、(b)は側面図である。
【0033】
記録ヘッド18の本体は、ノズル51に連通する圧力室を含むインク流路を形成する流路ユニットや、圧力室内のインクに圧力変動を生じさせる圧電振動子或いは発熱素子などの圧力発生手段(何れも図示せず)をヘッドケース52に備えている。この記録ヘッド18は、プリンター1の制御部側からの駆動信号を圧力発生手段に印加して圧力発生手段を駆動することにより、ノズル51からインクを噴射して記録紙等の記録媒体に着弾させる記録動作を行うように構成されている。各記録ヘッド18のノズル形成面53には、インクを噴射するノズル51が複数列設されてノズル列56が構成され、本実施形態においては、このノズル列56がノズル列に直交する方向に2列並べて形成されている。1つのノズル列56は、例えば360dpiのピッチで開設された360個のノズル開口から成る。各ノズル列56に対応するインク流路や圧力発生手段等はそれぞれ個別に設けられており、後述するように、同一記録ヘッド18の2つのノズル列56にそれぞれ異なるインクが割り当てられる。
【0034】
ヘッドケース52は、中空箱体状部材であり、その先端側には、ノズル形成面53を露出させた状態で流路ユニットを固定している。また、ヘッドケース52の内部に形成された収容空部内には圧力発生手段などを収容し、先端面とは反対側の基端面側(上面側)には、流路ユニット側にインクを供給するためのサブタンク37が装着されている。また、ヘッドケース52の上面側におけるノズル列方向の両側には、側方に向けて突出したフランジ部52aがそれぞれ形成されている。このフランジ部52aには、スペーサー32のヘッド用挿通穴32′(図15参照)または調整ブロック50の取付用挿通穴に対応して、取り付け穴54がそれぞれ開設されている。
【0035】
第1の記録ヘッド18Aのフランジ部52aに取り付けられるスペーサー32は、合成樹脂から成る部材であり、1つの第1の記録ヘッド18Aに対して両側のフランジ部52aの上面(サブタンク37側の面)にそれぞれ1つずつ、合計2つ取り付けられる。このスペーサー32の幅方向(記録ヘッド18に取り付けられた状態におけるノズル列に直交する方向)の中央部分には、記録ヘッド18の取り付け穴54に対応してヘッド用挿通穴32′(図15参照)が開設されている。なお、図13では、取り付け穴54とこのヘッド用挿通穴32′に、フランジ部52aの下面側からスペーサー止着ネジ43の軸部が挿通され、この軸部の先端にナット57が螺合され、フランジ部52aにスペーサー32が締結された状態を図示している。スペーサー32には、さらに2つの位置決め穴がスペーサー32の厚さ方向を貫通した状態で開設されている。このうちの1つの位置決め穴73は、サブキャリッジ26の位置決め穴72に対応して設けられており、サブキャリッジ26に対して第1の記録ヘッド18Aの記録ヘッドH1を位置決めする際に、治具の位置決めピンが挿通される貫通穴である。
【0036】
また、スペーサー32の幅方向の両端部には、サブキャリッジ26のベース部26aに設けられた止着穴29に対応して、サブキャリッジ用挿通穴32″がそれぞれ開設されている。即ち、スペーサー32には、1つのヘッド用挿通穴32′と2つのサブキャリッジ用挿通穴32″が各々設けられている。このスペーサー32は、第1の記録ヘッド18Aがサブキャリッジ26に取り付けられる前の段階で、それぞれの第1の記録ヘッド18Aの両側のフランジ部52aに、スペーサー止着ネジ43によってそれぞれ締結される。後述するように、スペーサー32は、サブキャリッジ26に対して接着剤によって仮固定された後、スペーサー固定ネジ27によって本固定される。サブキャリッジ26に一旦固定された記録ヘッド18は、スペーサー32との間のスペーサー止着ネジ43の締結を解除することにより、スペーサー32及びサブキャリッジ26から取り外すことができるようになっている。これにより、記録ヘッド18の交換や修理等による記録ヘッド18の着脱が容易になる。
【0037】
第2の記録ヘッド18Bの両側のフランジ部52aにそれぞれ取り付けられる調整ブロック50は、スペーサー32と同様に、合成樹脂から成る部材であり、1つの第2の記録ヘッド18Bに対して両側のフランジ部52aの上面(サブタンク37側の面)にそれぞれ1つずつ、合計2つ取り付けられる。ここで、第2の記録ヘッド18Bの一方(図14において右側)のフランジ部52aに取り付けられる調整ブロック50を、第1調整ブロック50aとし、第2の記録ヘッド18Bの他方(図14において左側)のフランジ部52aに取り付けられる調整ブロック50を、第2調整ブロック50bとする。この調整ブロック50a,50bは、フランジ部52aの上面に対して立設される直方体状のブロック本体部58と、このブロック本体部58の上端部から側方(フランジ部52aに取り付けた状態におけるサブタンク37側とは反対側)に向けて略直角に延出したブロックフランジ部59と、から成る部材である。
【0038】
第1の調整ブロック50aのブロックフランジ部59の上面の略中央部には、第1のバネ止着ピン60a(付勢部材取付部の一種)が立設されている。この第1のバネ止着ピン60aは、サブキャリッジ26に設けられた第1のバネ止着ピン42aとの間に第1の付勢バネ44a(図7参照)を架け渡すためのピンである。また、ブロックフランジ部59において、この第1のバネ止着ピン60aから外れた位置には、位置決め穴48がブロックフランジ部59の厚さ方向を貫通した状態で開設されている。この位置決め穴48は、サブキャリッジ26の位置決め穴41に対応して設けられており、サブキャリッジ26に対して第2の記録ヘッド18Bを位置決めする際に、治具の位置決めピンが挿通される貫通穴である。
【0039】
さらに、ブロックフランジ部59の上面と、当該ブロックフランジ部59の突出端面との境界の辺縁部には、側方視においてブロックフランジ部59の上面に対して傾斜した面取り部61aが形成されている。本実施形態では、ブロックフランジ部59の上面に対する面取り部61aの傾斜角度は45°となっている。この面取り部61aは、後述するように、サブキャリッジ26の第2のヘッド取付部36bに配置された状態の第2の記録ヘッド18BのY方向の位置を調整する際に、Y方向調整ピン65の先端のテーパー面67が摺動する面である。同様に、ブロックフランジ部59の幅方向(フランジ部52aに取り付けた状態においてノズル列方向に直交する方向であり、ヘッド並設方向。)の一側(図14(a)における上側であり、第2のヘッド取付部36bに配置した状態におけるヘッド並設方向の一側の仕切壁49と対向する側)の側面と、ブロックフランジ部59の上面との境界の辺縁部にも側方視においてブロックフランジ部59の上面に対して傾斜した面取り部61bが形成されている。ブロックフランジ部59の上面に対する面取り部61bの傾斜角度は45°となっている。この面取り部61bは、後述するように、サブキャリッジ26に対する第2の記録ヘッド18Bの平面方向の角度を調整する際に、θ調整ピン66のテーパー部が摺動される面である。この第1の調整ブロック50aは、後述する位置調整において調整ピン65,66による調整が行われる側の、調整側調整ブロックとも言える。
【0040】
第2の調整ブロック50bのブロックフランジ部59の上面の隅角部(図14(a)における左下)には、第2のバネ止着ピン60b(付勢部材取付部の一種)が立設されている。この第2のバネ止着ピン60bは、サブキャリッジ26に設けられた第2のバネ止着ピン42bとの間に第2の付勢バネ44b(図7参照)を架け渡すためのピンである。また、ブロックフランジ部59において、この第2のバネ止着ピン60bから外れた位置には、位置決め穴48がブロックフランジ部59の厚さ方向を貫通した状態で開設されている。この位置決め穴48は、サブキャリッジ26の位置決め穴41に対応して設けられており、サブキャリッジ26に対して第2の記録ヘッド18Bを位置決めする際に、治具の位置決めピンが挿通される貫通穴である。この第2の調整ブロック50bは、後述する位置調整において第1の調整ブロック50a側での調整の際の支点となる支点側調整ブロックとも言える。
【0041】
上記各調整ブロック50a,50bは、第2の記録ヘッド18Bがサブキャリッジ26に取り付けられる前の段階で、図14に示すように、ブロックフランジ部59の突出端部を互いに反対方向に向けた姿勢で、それぞれの第2の記録ヘッド18Bの両側のフランジ部52aに、接着又はネジ留め等により固定される。
【0042】
上記サブタンク37は、流路部材24からのインクを記録ヘッド18の圧力室側に導入する部材である。サブタンク37は、内部の圧力変動に応じてバルブを開閉し、圧力室側へのインクの導入を制御する自己封止機能を有している。このサブタンク37の後端面(上面)におけるノズル列方向の両端部に、上記流路部材24側の図示しない接続流路が接続される流路接続部38が設けられている。この流路接続部38には図示しないリング状のパッキンが嵌め込まれており、このパッキンにより流路部材24との液密性が確保される。また、サブタンク37の内部には、圧力発生手段に駆動信号を供給するための図示しない駆動基板が2枚設けられている。この駆動基板は、上記の信号ケーブル15と電気的に接続されて、当該信号ケーブル15を通じてプリンター1の制御部から送られてくる駆動信号等を、駆動基板を介して圧力発生手段側に供給する。
【0043】
本実施形態において、図6に示すように、サブキャリッジ26に取り付けられる各記録ヘッド18は、同色のインクを噴射するノズル列56を有する第1の記録ヘッド18Aと第2の記録ヘッド18Bの同士で組を成している。具体的には、例えば、イエローインク(Y)に対応するノズル列56およびブラックインク(K)に対応するノズル列56をそれぞれ有する第1の記録ヘッド18Aの記録ヘッドH3と、第2の記録ヘッド18Bの記録ヘッドH4とが組を成し、マゼンタインク(M)に対応するノズル列56およびシアンインク(C)に対応するノズル列56をそれぞれ有する第1の記録ヘッド18Aの記録ヘッドH2と、第2の記録ヘッド18Bの記録ヘッドH5とが組を成している。また、ライトシアンインク(Lc)に対応するノズル列56およびライトマゼンタインク(Lm)に対応するノズル列56をそれぞれ有する第1の記録ヘッド18Aの記録ヘッドH1と、第2の記録ヘッド18Bの記録ヘッドH6とが組を成している。そして、これらの記録ヘッド18は、各ノズル列56にそれぞれ割り当てられるインクの色の配列がヘッド並設方向(即ち、記録動作時におけるヘッドユニット17と記録媒体Sとの相対移動方向)の中心から同方向において対称となるように、サブキャリッジ26に取り付けられる。即ち、本実施形態では、ヘッド並設方向の中央から当該方向の両端側に向かって、ブラックインク、イエローインク、シアンインク、マゼンタインク、ライトマゼンタインク、ライトシアンインクの順となるように対称配列となっている。このような各記録ヘッド18の位置関係を採用することにより、往路と復路とで記録媒体に対する各色のインクの着弾順序を揃えることが可能となる。これにより、異なる色のドット同士の重なり順も往復で揃うので、記録画像等の画質の低下を抑えることが可能となる。なお、サブキャリッジ26に対する各記録ヘッド18のより具体的な固定方法等については後述する。
【0044】
次に、上記のヘッドユニット17の製造工程(組み立て工程)について説明する。
ここで、組を成す第1の記録ヘッド18Aと第2の記録ヘッド18Bのうち、第1の記録ヘッド18Aについては、所定のノズル51が規定位置に配置されるようにサブキャリッジ26に対する固定位置の調整が行われるのに対し、第2の記録ヘッド18Bについては、組を成す第1の記録ヘッド18Aの所定のノズル51から噴射されたインクの記録媒体における着弾位置に対する、当該第2の記録ヘッド18Bの所定のノズル51から噴射されたインクの記録媒体における着弾位置に基づいて、サブキャリッジ26に対する固定位置の調整が行われる。
【0045】
まず、第1の記録ヘッド18Aの位置調整および固定(第1のヘッド取付工程)について説明する。
図15は、サブキャリッジ26に対し第1の記録ヘッド18Aを取り付けるための装置構成を説明する模式図である。この装置は、CCDカメラ等の撮像手段70と、位置調整対象の第1の記録ヘッド18Aを保持した状態で移動させるための図示しないヘッド移動機構と、アライメント基板71と、を備えている。なお、同図において、左右方向がノズル列方向、奥行き方向(図に垂直な方向)がノズル列に直交する方向となっている。アライメント基板71は、線膨張係数が可及的に小さいガラスなどの透光性を有する板材から構成されている。このアライメント基板71には、後述するように位置決めの基準となる記録ヘッド18(以下、適宜、基準ヘッドという。)の複数(少なくとも2箇所)の特定のノズル51(以下、適宜、基準ノズルという。)の配置位置を規定する一組の基準ノズルマークと、位置決め対象の第1の記録ヘッド18Aの少なくとも2箇所の特定のノズル51(以下、適宜、対象ノズルという。)の基準ノズルに対する相対位置を規定する対象ノズルマークと、が設けられている。対象ノズルマークは、基準ノズルマークに対する相対位置が設計値(規定位置)となるように形成位置が定められている。
【0046】
取り付け対象の第1の記録ヘッド18Aは、サブタンク37をヘッド挿通開口28から挿通させて収容部内に収容し、且つ、フランジ部52aの上面とサブキャリッジ26のベース部26aの下面との間に、フランジ部52aに予め締結されたスペーサー32を介在させた状態で、ノズル形成面53を撮像手段70に対向させた姿勢でセットされる。この状態で、第1の記録ヘッド18Aはヘッド移動機構によって保持される。
【0047】
本実施形態における第1のヘッド取付工程は、第1の記録ヘッド18Aをヘッド移動機構によって保持した状態で、当該第1の記録ヘッド18Aをノズル列方向又はノズル列方向に直交する方向に移動させることにより、或いは、ノズル形成面方向に回転させることにより、アライメント基板71に対する記録ヘッド18の相対位置が、サブキャリッジ26のベース部26a上で調整されるようになっている。
【0048】
各第1の記録ヘッド18Aをサブキャリッジ26に取り付ける第1のヘッド取付工程は、所定の第1のヘッド取付部36aに第1の記録ヘッド18Aを位置決めする第1の位置調整工程と、第1の記録ヘッド18Aをベース部26aに対して接着剤によって仮固定する第1の仮固定工程と、仮固定された状態で第1の記録ヘッド18Aをスペーサー固定ネジ27によってベース部26aに固定する第1の本固定工程(第1の固定工程)と、を含む。
【0049】
本実施形態では、まず、サブキャリッジ26のヘッド並設方向端部(仮想仕切り線Lpから最も遠い位置。図11における左端)の第1のヘッド取付部36aに、ライトシアンインクおよびライトマゼンタインクに対応するノズル列56を有する第1の記録ヘッド18Aの記録ヘッドH1が最初に取り付けられる。この第3の記録ヘッドH3については、アライメント基板63を用いた位置調整が行われることなく、図示しない治具の位置決めピンを記録ヘッドH1の位置決め穴73とサブキャリッジ26の位置決め穴72とにそれぞれ嵌入させることで、サブキャリッジ26に対する配置位置が規定される(第1の位置調整工程)。この状態で、スペーサー32の上面とベース部26aの下面との間に、毛細管力を利用して接着剤が流し込まれ、この接着剤が固化することで仮固定される(第1の仮固定工程)。この接着剤としては、シアノアクリレートを主成分とした所謂瞬間接着剤が好適である。そして、位置決めされた状態で、スペーサー固定ネジ27を用いてスペーサー32とベース部26aとがネジ留めされて、記録ヘッドH1がベース部26aの規定位置に本固定される(第1の本固定工程)。このように、記録ヘッドH1の第1のヘッド取付部36aに対する位置調整は、位置決めピンを用いて簡単且つ迅速に完了するので、調整時間の短縮化に寄与することが可能となる。そして、本実施形態においては、この記録ヘッドH1が本発明における基準ヘッドに相当する。なお、サブキャリッジ26に最初に取り付けられる第1の記録ヘッド18Aに対しても、アライメント基板63を用いた位置調整を行ってもよい。
【0050】
次に、サブキャリッジ26に最初に取り付けられた記録ヘッドH1を基準ヘッドとして、当該記録ヘッドH1の隣の第1のヘッド取付部36aに、マゼンタインクおよびシアンインクに対応するノズル列56を有する第1の記録ヘッド18Aの記録ヘッドH2が位置調整されてサブキャリッジ26に固定される。第1の記録ヘッド18Aの記録ヘッドH2および第1の記録ヘッド18Aの記録ヘッドH3の位置調整工程では、上述したように、それぞれ個別のアライメント基板71を用いて位置調整が行われる。このアライメント基板71は、ノズル形成面53と撮像手段70との間に配置される。
【0051】
記録ヘッドH2の第1の位置調整工程で用いられるアライメント基板71には、基準ヘッドである記録ヘッドH1の基準ノズルに対応する基準ノズルマークと、取り付け対象ヘッドである記録ヘッドH2の対象ノズルに対応する対象ノズルマークと、が形成されている。撮像手段70によって撮像された画像は、図示しないモニターに映し出される。このモニターには、取り付け対象の第1の記録ヘッド18Aのノズル形成面53に、透明なアライメント基板71が重畳して映し出される。そして、このモニターに映し出された画像に基づいて、ベース部26a上で取り付け対象の記録ヘッド18の位置調整が行われる。具体的には、まず、モニターに画像として映し出される基準ヘッド(この場合、記録ヘッドH1)の各基準ノズルに、それぞれ対応する基準ノズルマークが重なるように、アライメント基板71の位置が調整される(アライメント基板キャリブレーション工程)。
【0052】
なお、第1の位置調整工程に関し、例示したアライメント基板71を用いずに行うことも可能である。例えば、モニターに映し出される画像に、記録ヘッド18の基準ノズルや対象ノズルに対応したアライメント用マークを表示して、このアライメント用マークに基づいて位置調整を行うようにしても良い。この方法では、第1の記録ヘッド18Aの取り付け作業が行われる各ステージの移動位置に対するアライメント基板の基準マークの位置が制御装置の記憶部に記憶され、この記憶された位置に対して取り付け対象の第1の記録ヘッド18Aの対象ノズル位置を合わせることで位置調整が行われる。そして、基準ノズルマークを基準ノズルに対し撮像手段70の視野内に入る程度に調整することで、基準ノズルと基準ノズルマークとの位置ズレ量が算出され、取り付け対象の第1の記録ヘッド18Aを位置合わせするときの位置合わせの指示値に対して、基準ノズルの位置ズレ量が補正される。
【0053】
アライメント基板71の位置が調整されたならば、次に、取り付け対象の記録ヘッドH2の各対象ノズルが、アライメント基板71上の対応する対象ノズルマークにそれぞれ重なるように、当該記録ヘッドH2の位置がヘッド移動機構によって調整される。これにより、サブキャリッジ26上において記録ヘッドH1に対する記録ヘッドH2の相対位置が規定される。そして、ヘッド移動機構による記録ヘッドH2に対するクランプが維持された状態で、スペーサー32の上面とベース部26aの下面との間に接着剤が毛細管力によって流し込まれ、この接着剤が固化することで仮固定される(第1の仮固定工程)。そして、仮固定された状態で、スペーサー固定ネジ27を用いてスペーサー32とベース部26aとがネジ留めされて、記録ヘッドH2がベース部26aの規定位置に本固定される(第1の本固定工程)。
【0054】
記録ヘッドH2がサブキャリッジ26に固定されたならば、続いて、イエローインクおよびブラックインクに対応するノズル列56を有する第1の記録ヘッド18Aの記録ヘッドH3が位置調整されてサブキャリッジ26に固定される。記録ヘッドH3の第1の位置調整工程で用いられるアライメント基板71には、基準ヘッドである記録ヘッドH1の基準ノズルに対応する基準ノズルマークと、取り付け対象ヘッドである記録ヘッドH3の対象ノズルに対応する対象ノズルマークと、が形成されている。そして、記録ヘッドH2に対する第1の位置調整工程と同様に、モニターに画像として映し出される記録ヘッドH1の各基準ノズルに対応する基準ノズルマークがそれぞれ重なるようにアライメント基板71の位置が調整された後、記録ヘッドH3の各対象ノズルがアライメント基板71上の対応する対象ノズルマークにそれぞれ重なるように、当該記録ヘッドH3の位置がヘッド移動機構によって調整される。これにより、サブキャリッジ26上において記録ヘッドH1に対する記録ヘッドH3の相対位置が規定される。
【0055】
この状態で、記録ヘッドH3のスペーサー32の上面とベース部26aの下面との間に接着剤が流し込まれて記録ヘッドH3が仮固定される(第1の仮固定工程)。そして、仮固定された状態で、スペーサー固定ネジ27を用いてスペーサー32とベース部26aとがネジ留めされて、第5の記録ヘッドH5がベース部26aの規定位置に本固定される(第1の本固定工程)。
【0056】
ここまでの工程で、組を成す第1の記録ヘッド18Aと第2の記録ヘッド18Bのうち、第1の記録ヘッド18A(記録ヘッドH1〜H3)のサブキャリッジ26への取り付けが完了したことになる。次に、第2の記録ヘッド18B(記録ヘッドH4〜H6)を、サブキャリッジ26の各第2のヘッド取付部36bに、後述する位置決めピンを用いてそれぞれ仮配置する(取り付け方の詳細については後述する。)。この状態で、キャリッジ本体12にサブキャリッジ26を取り付け、キャリッジ本体12に対するサブキャリッジ26の平面方向(ノズル形成面方向)の傾き調整が行われる。具体的には、記録紙等の記録媒体に対してキャリッジ本体12を主走査方向に相対移動させつつ、図17に示すように、各第1の記録ヘッド18Aの所定のノズル51(例えば、ノズル列56の一端部に位置するノズル51)から記録媒体に対して連続的にインクを噴射させて主走査方向に沿ってそれぞれ横罫線(A〜C)を記録する。この例では、記録ヘッドH1によって形成された横罫線をA、記録ヘッドH2によって形成された横罫線をB、記録ヘッドH3によって形成された横罫線をCとしている。図17(a)に示すように、各横罫線A〜Cが主走査方向に直交する副走査方向にずれている場合、図17(b)に示すように、各横罫線A〜Cの副走査方向(Y方向)の位置が互いに重なるように、上記の調整レバー20の操作によりキャリッジ本体12に対するサブキャリッジ26の平面方向の位置が調整される。これにより、各第1の記録ヘッド18Aのノズル列56が、主走査方向に対してそれぞれ直交する状態となる。なお、図17では、ノズル列56の一端部に位置するノズル51で記録した横罫線に基づく傾き調整を例示したが、精度を高める観点から、ノズル列56を構成する全てのノズル51で記録した横罫線について、各第1の記録ヘッド18Aで重なるように傾き調整を行うことが望ましい。但し、全てのノズル51で位置調整を行う場合、その分、調整時間が長くなってしまうので、ノズル51を間引いて、即ち、数ノズルおきに調整を行うようにしても良い。
【0057】
キャリッジ本体12に対するサブキャリッジ26の位置が調整されたならば、サブキャリッジ26がヘッドユニット固定ネジ22によりネジ留めされてキャリッジ本体12に固定される。次に、サブキャリッジ26における第2の記録ヘッド18Bの位置調整および固定(第2のヘッド取付工程)が行われる。この第2のヘッド取付工程は、プリンター1に取り付けられたキャリッジ本体12にサブキャリッジ26を取り付けられた状態で行う方法と、サブキャリッジ26を着弾検査専用の装置に取り付けて行う方法の二通りの方法がある。前者の方法は、プリンター1に組み付けた状態で位置調整を行うので、プリンター1の構成部品をネジ留め等により組み付ける際の応力(例えば、サブキャリッジ26をキャリッジ本体12にネジ留めする際の応力)が作用してサブキャリッジ26が変形することによる各記録ヘッド18の位置ずれを無くすことができる。特に、同一組の第1の記録ヘッド18Aと第2の記録ヘッドBとの間の位置ずれを防止することができる。一方、後者の方法は、サブキャリッジ26単位で迅速に位置調整が可能であるため、例えば、記録ヘッド18の修理又は交換時のメンテナンス時間を短縮することができるという利点がある。ここで、後者の方法で用いられる着弾検査装置は、プリンターの構成部品のうち着弾位置ずれの検査にのみ必要な部品で構成されたものである。
以下では、前者の方法でヘッド取付工程を行う手順について説明する。
【0058】
図16は、サブキャリッジ26に対し第2の記録ヘッド18Bの位置調整を行う調整機構の構成を説明する模式図であり、(a)は側方から見た状態(一部断面)、(b)は上方から見た状態を示している。第2の記録ヘッド18Bについては、所定のノズル51からインクを記録媒体に対して噴射させたときの当該インクの着弾位置を観察しながら、Y方向調整ピン65とθ調整ピン66を用いてサブキャリッジ26に対する第2の記録ヘッド18Bの配置位置(同一組の第1の記録ヘッド18Aに対する相対位置)が調整される。
【0059】
各第2の記録ヘッド18Bは、キャリッジ本体12にサブキャリッジ26が取り付けられる前の段階で、ヘッド挿通開口28から調整ブロック50のブロックフランジ部59を挿通させてサブキャリッジ26のベース部26aの上面(収容部の底面)に着座させることで、第2のヘッド取付部36bに配置される。この状態で、サブキャリッジ26側の位置決め穴41と調整ブロック50の位置決め穴48とに図示しない治具の位置決めピンを挿入することで、サブキャリッジ26に対する大まかな位置が規定される。なお、後述する位置調整工程では、この位置決めピンは取り外される。
【0060】
また、調整側調整ブロックである第1の調整ブロック50aのバネ止着ピン60aとサブキャリッジ26側のバネ止着ピン42aとの間に第1の付勢バネ44aが架け渡されると共に、支点側調整ブロックである第2の調整ブロック50bのバネ止着ピン60bとサブキャリッジ26側のバネ止着ピン42bとの間に第2の付勢バネ44bが架け渡される。これにより、取り付け対象の第2の記録ヘッド18Bは、サブキャリッジ26において仕切壁49に沿った方向(Y方向(ノズル列方向))の一方(図16における右側)に付勢されると共に、仕切壁49に直交する方向(X方向)の一側(図16における上側)に付勢された状態となる。なお、第2のヘッド取付部36bにおいて、第2の記録ヘッド18Bと、サブキャリッジ26の起立壁部26bおよび仕切壁49(即ち、第2のヘッド取付部36bの区画壁)との間には、当該第2の記録ヘッド18Bが移動可能な間隙が確保されるようになっている。
【0061】
上述したように、キャリッジ本体12に対するサブキャリッジ26の平面方向の傾き調整が行われた後、各第2の記録ヘッド18B(H4〜H6)をサブキャリッジ26に取り付ける工程が行われる。各第2の記録ヘッド18Bをサブキャリッジ26に取り付ける第2のヘッド取付工程は、ベース部26aの所定の第2のヘッド取付部36bに第2の記録ヘッド18Bを位置決めする第2の位置調整工程と、第2の記録ヘッド18Bをベース部26aに対して接着剤によって仮固定する第2の仮固定工程と、仮固定された状態で第2の記録ヘッド18Bをベース部26aに固定する第2の本固定工程(第2の固定工程)と、を含む。
【0062】
第2の位置調整工程では、図7〜図9および図16に示すように、各第2の記録ヘッド18Bに対してY方向調整ピン65(第1の調整部材の一種)とθ調整ピン66(第2の調整部材の一種)がそれぞれセットされる。これらの調整ピン65,66は細長い円柱状の部材であり、その先端部分には先細りしたテーパー部67が形成されている。本実施形態において、調整ピンの軸方向に対するテーパー部67の側方視における傾斜角は45°に設定されている。これらの調整ピン65,66は、第2の記録ヘッド18Bの位置調整工程において図示しない治具によって軸方向がサブキャリッジ26のベース部26aに対して垂直となる状態で保持され、第2のヘッド取付部36bに配置された取り付け対象の第2の記録ヘッド18Bの第1調整ブロック50aの面取り部61の傾斜面に対してテーパー部67の傾斜面が平行に接触する状態とされる。具体的には、Y方向調整ピン65のテーパー部67が面取り部61aに接触すると共に、θ調整ピン66のテーパー部67が面取り部61bに接触する状態にセットされる。なお、第1の調整ブロック50aのバネ止着ピン60a、サブキャリッジ26側のバネ止着ピン42a、第1の付勢バネ44a、第2の調整ブロック50bのバネ止着ピン60b、サブキャリッジ26側のバネ止着ピン42b、第2の付勢バネ44b、Y方向調整ピン65、およびθ調整ピン66は、本発明における調整機構を構成する。
【0063】
そして、各調整ピン65,66は、図示しないマイクロメーターの表示(送り量)に応じて、図において白抜きの矢印で示すように、サブキャリッジ26のベース部26aに対して垂直方向に所望量だけ上昇または下降するように構成されている。Y方向調整ピン65を下降させると、これに従い、第1調整ブロック50aが、Y方向調整ピン65のテーパー部67の傾斜面に面取り部61aの傾斜面を摺動させつつY方向の他方に押し出されるようにしてスライドする。これにより、第2の記録ヘッド18Bが付勢バネ44a,44bの付勢力に抗しつつ全体的にY方向の一方から他方へ向けて移動する。逆にY方向調整ピン65を上昇させるに従い、第1調整ブロック50aが、Y方向調整ピン65のテーパー部67の傾斜面に面取り部61aの傾斜面を摺動させつつ付勢バネ44a,44bの付勢力によってY方向の他方から一方に引き寄せられるようにスライドする。これにより、第2の記録ヘッド18Bが全体的にY方向の他方から一方へ向けて移動する。
【0064】
また、θ調整ピン66を下降させると、これに従い、第1調整ブロック50aが、Y方向調整ピン65のテーパー部67の傾斜面に面取り部61bの傾斜面を摺動させつつX方向の一側から他側に向けて押し出されるようにしてスライドする。ここで、第2の調整ブロック50bが第2の付勢バネ44bによってY方向に直交するX方向の一側に付勢されているので、この第2の調整ブロック50bの少なくとも一部と仕切壁49との接触状態が維持され、この接触部分(図16(b)においてFで示す)を回転中心(支点)として、第2の記録ヘッド18Bが付勢バネ44a,44bの付勢力に抗しつつノズル形成面方向に図16(b)において時計回りに回転する。逆に、θ調整ピン66を上昇させると、第1調整ブロック50aが、θ調整ピン66のテーパー部67の傾斜面に面取り部61bの傾斜面を摺動させつつX方向の他側から一側に第1の付勢バネ44aの付勢力によって引き寄せられるようにスライドする。これにより、上記接触部分Fを回転中心として、第2の記録ヘッド18Bが付勢バネ44a,44bの付勢力によってノズル形成面方向に図16(b)において反時計回りに回転する。
【0065】
図18および図19は、第2の位置調整工程におけるドット位置について説明する模式図であり、図18はθ調整について説明する図、図19はY方向調整について説明する図である。
第2の位置調整工程では、まず、第1の記録ヘッド18Aに対する第2の記録ヘッド18Bのノズル形成面方向の角度の調整が行われる。このθ調整工程では、上記のように、取り付け対象の第2の記録ヘッド18Bに対して位置調整が可能な状態にセットされた後、組を成す第1の記録ヘッド18Aの所定のノズル列56の各ノズル51からインクを噴射させて記録媒体に縦罫線(図18においてDで示す)を記録する。続いて、キャリッジ本体12が第1の記録ヘッド18Aと第2の記録ヘッド18Bとの間隔(設計上の間隔)に相当する距離だけ記録媒体に対して主走査方向に移動した時点で、第2の記録ヘッド18Bのノズル列56(複数のノズル列56を有する構成では、第1の記録ヘッド18Aで縦罫線Dを記録したノズル列56と同色のノズル列56)の各ノズル51からインクを噴射させて記録媒体に縦罫線(図18においてEで示す)を記録する。そして、図18(a)に示すように、記録された縦罫線Eが縦罫線Dに対して傾斜している場合、図18(b)に示すように、両者が平行となるようにθ調整ピン66を用いて第2の記録ヘッド18Bのノズル形成面方向の角度θを調整する。例えば、縦罫線Dに対する縦罫線Eの傾斜角度を図示しない測定装置で測定し、或いは、作業者が目視で確認しつつ、傾斜角度に応じてθ調整ピン66を上昇又は下降させて第2の記録ヘッド18Bのノズル形成面方向の角度(傾き)を調整する。調整後、同様にして縦罫線Dと縦罫線Eを記録して縦罫線Dに対する縦罫線Eの傾斜状態を確認し、両者が平行になるまで同様な手順を繰り返す。このようにして、第1の記録ヘッド18Aのノズル列56に対して第2の記録ヘッド18Bのノズル列56が平行となるように調整される。なお、縦罫線D,EのX方向のずれについては、ノズル51からインクを噴射するタイミングを制御上で調整することで修正されるが、その詳細な説明については省略する。
【0066】
第2の記録ヘッド18Bのノズル形成面方向の角度θの調整が完了したならば、続いて、第2の記録ヘッド18BのY方向の位置調整が行われる。Y方向位置調整工程では、まず、図19に示すように、組を成す第1の記録ヘッド18Aの所定のノズル51(例えば、何れかのノズル列56の一端部に位置するノズル51)からインクを噴射させて記録媒体の所定の位置にドットDa(基準ドット)を記録する。続いて、キャリッジ本体12が第1の記録ヘッド18Aと第2の記録ヘッド18Bとの間隔に対応する距離だけ記録媒体に対して主走査方向に移動した時点で、第2の記録ヘッド18Bの所定のノズル51(第1の記録ヘッド18AでドットDaを記録したノズル51に対応するノズル51)からインクを噴射させて記録媒体にドットDbを記録する。そして、図19(a)に示すように、記録されたドットDbがドットDaに対してY方向にずれている場合、図19(b)に示すように、両者のY方向の位置が一致する状態となるようにY方向調整ピン65を用いて第2の記録ヘッド18BのY方向の位置を調整する。例えば、ドットDaに対するドットDbのY方向の位置ずれ量を図示しない測定装置で測定し、或いは作業者が目視で確認しつつ、ずれ量に応じてY方向調整ピン65を上昇又は下降させて第2の記録ヘッド18BのY方向の位置を調整する。調整後、同様にしてドットDaとドットDbを記録してドットDaに対するドットDbのY方向の位置ずれ状態を確認し、両者のY方向の位置が一致するまで同様な手順を繰り返す。このようにして、第1の記録ヘッド18Aに対する第2の記録ヘッド18BのY方向(即ち、主走査方向に直交する副走査方向)の位置が一致するように調整される。
【0067】
このような第2の位置調整工程が、各第2の記録ヘッド18B(H4〜H6)に対して順次行われる。本実施形態においては、まず、イエローインクおよびブラックインクに対応するノズル列56を有する第2の記録ヘッド18Bの記録ヘッドH4に対して位置調整が行われた後、サブキャリッジ26に固定される(第2の本固定工程)。第2の記録ヘッド18Bのサブキャリッジ26への固定方法は、接着剤による仮固定(第2の仮固定工程)と固定ネジ等の締結部材による本固定(第2の本固定工程)とを経る。即ち、第1の記録ヘッド18Aと同様に、両側の調整ブロック50a,50bの下面とベース部26aの上面との間に接着剤が毛細管力によって流し込まれ、この接着剤が固化することで仮固定された後、図示しない固定ネジ等の締結部材を用いて各調整ブロック50a,50bとベース部26aとがネジ留めされて、第2の記録ヘッド18Bがサブキャリッジ26の第2のヘッド取付部36bにおける規定位置に本固定される。
【0068】
このようにして記録ヘッドH4が固定された後、続いて、マゼンタインク(M)に対応するノズル列56およびシアンインク(C)に対応するノズル列56を有する第2の記録ヘッド18Bの記録ヘッドH5について、組を成す第1の記録ヘッド18Aの記録ヘッドH2に対する相対位置が調整された後、サブキャリッジ26に固定される。最後に、ライトシアンインクに対応するノズル列56およびライトマゼンタインクに対応するノズル列56を有する第2の記録ヘッド18Bの記録ヘッドH6について、組を成す第1の記録ヘッド18Aの記録ヘッドH1に対する相対位置が調整された後、サブキャリッジ26に固定される。
【0069】
このような手順でサブキャリッジ26に対して各記録ヘッド18のヘッド取付工程を順次行うことにより、各記録ヘッド18が高精度に位置決めされた状態で固定される。上述したように、記録ヘッド18の位置調整に関し、同色のインクを噴射するノズル列56を有して組を成す一方の第1の記録ヘッド18Aについては、対象ノズルが規定の位置に配置されるようにサブキャリッジ26の第1のヘッド取付部36aに対して位置決めされた状態で固定されるのに対し、他方の第2の記録ヘッド18Bについては、組を成す第1の記録ヘッド18Aの所定のノズル51から噴射されたインクの記録媒体における着弾位置に対する、当該第2の記録ヘッド18Bの所定のノズル51から噴射されたインクの記録媒体における着弾位置に基づいて、調整機構により第1の記録ヘッド18Aに対する相対位置が規定された状態でサブキャリッジ26に固定されるので、特に同色のノズル列56を有する同一組の記録ヘッド18同士の位置関係がより高い精度で確保される。即ち、実際のインクの着弾位置に基づいて同一組の記録ヘッド18同士の相対位置が規定されるので、ノズル形成面53に対するノズル51の傾き等の記録ヘッド毎に固有の特性が反映され、本実施形態のように、同色のノズル列56を有する記録ヘッド18の組を複数有する構成において、同色インク間の着弾位置ずれを防止することができる。これにより、記録媒体に対して画像等を記録した場合において、着弾位置ずれに起因する記録画像等の画質の低下を抑制することが可能となる。
また、ノズル51から噴射されたインクの記録媒体上における実際の着弾位置に基づく位置調整方法は、ノズル51の位置を基準とした位置調整方法と比較して、調整時間をより多く要するが、組を成す一方の第1の記録ヘッド18Aについては調整時間が比較的短い後者の位置調整方法が採用されるので、全ての記録ヘッド18について前者の位置調整方法を採用する場合よりも調整時間を全体的に短縮することができる。その結果、生産性の低下等を抑制することが可能となる。
【0070】
その後、流路部材24がサブキャリッジ26に固定される(流路取付工程)。上述したように、流路部材24は、流路止着ネジ45によってサブキャリッジ26に対して固定される。この際、流路部材24の接続流路40が各記録ヘッド18のサブタンク37の流路接続部38にそれぞれ挿入されて液密状態で連結される。なお、流路部材24は、各記録ヘッド18がサブキャリッジ26に取り付けられる前の段階で、サブキャリッジ26に固定されるようにしても良い。
【0071】
なお、本発明は、上記した各実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて種々の変形が可能である。
【0072】
図20は、第2の実施形態における第2の記録ヘッド18Bに対する調整機構について説明する平面図である。上記第1の実施形態では、調整機構の構成部材の一つとして調整ピン65,66を例示したが、この第2の実施形態では、上記の調整ピン65,66に替えて調整ネジ75,76が採用されている。これらの調整ネジの一方のY方向調整ネジ75(第1の調整部材の一種)は、第2のヘッド取付部36bを区画する起立壁部26bのうちのノズル列方向における一方の起立壁部26bに開設されたネジ穴77に外側から軸部を通されて、第2のヘッド取付部36bに配置された第2の記録ヘッド18Bの第1調整ブロック50aに先端を当接させた状態で取り付けられている。そして、このY方向調整ネジ75を時計回りに回転させると、これに従い起立壁部26bからの軸部の突出量が増加し、これにより、第2の記録ヘッド18Bが付勢バネ44a,44bの付勢力に抗しつつ全体的にY方向の一方から他方へ向けて移動する。一方、Y方向調整ネジ75を反時計回りに回転させると、これに従い起立壁部26bからの軸部の突出量が減少し、これに応じて、第2の記録ヘッド18Bが、付勢バネ44a,44bの付勢力によって全体的にY方向の他方から一方へ向けて移動する。
【0073】
θ調整ネジ76(第2の調整部材の一種)は、第2のヘッド取付部36bを区画する仕切壁49のうちの一側の仕切壁49に開設されたネジ穴78に外側から軸部を通されて、第2のヘッド取付部36bに配置された第2の記録ヘッド18Bの第1調整ブロック50aに先端を当接させた状態で取り付けられている。そして、このθ調整ネジ76を時計回りに回転させると、これに従い仕切壁49からの軸部の突出量が増加し、これに応じて、第2の調整ブロック50bと仕切壁49との接触部分Fを回転中心として第2の記録ヘッド18Bが付勢バネ44a,44bの付勢力に抗しつつノズル形成面方向に図20において時計回りに回転する。一方、θ調整ネジ76を反時計回りに回転させると、これに従い起立壁部26bからの軸部の突出量が減少し、これに応じて、上記接触部分Fを回転中心として、第2の記録ヘッド18Bが付勢バネ44a,44bの付勢力によってノズル形成面方向に図20において反時計回りに回転する。
このように、調整ネジ75,76を用いることにより、上記調整ピン65,66を採用する構成と同様に、第2の記録ヘッド18BのY方向の位置およびノズル形成面方向の傾きを調整することができる。その他の構成については上記第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0074】
その他、第2の記録ヘッド18BのY方向の位置およびノズル形成面方向の傾きを調整することが可能なものであれば、各実施形態で例示した調整ピン65,66や調整ネジ75,76に限られない。例えば、シム(スペーサー)等を利用することもできる。
【0075】
なお、ヘッド固定部材としてのサブキャリッジ26に取り付けられる記録ヘッド18の構成や個数に関しては、上記実施形態で例示したものには限られない。また、上記第1の実施形態では、サブキャリッジ26において、ヘッド並設方向の中央の仮想仕切り線Lp(図11)から片側半分の第1のヘッド取付部36aに、3つの第1の記録ヘッド18Aが取り付けられ、残り半分の第2のヘッド取付部36bに、3つの第2の記録ヘッド18Bが取り付けられる構成を例示したが、これには限られず、例えば、第1の記録ヘッド18Aと第2の記録ヘッド18Bとをヘッド並設方向に交互に配置する構成においても、本発明を適用することができる。この構成では、第1の記録ヘッド18A同士の間隔が少なくとも記録ヘッド1つ分だけ空くので、これらの第1の記録ヘッド18Aをサブキャリッジ26に固定した後の工程で、図17を参照して先述したキャリッジ本体12に対するサブキャリッジ26の平面方向の傾き調整の精度が向上する。
【0076】
さらに、上記各実施形態では、記録媒体に対してヘッドユニット17を往復移動させながらインクの噴射を行う構成を例示したが、これには限られない。例えば、ヘッドユニット17の位置を固定した状態で、当該ヘッドユニット17に対して記録媒体を移動させながらインクの噴射を行う構成を採用することもできる。
【0077】
そして、以上では、液体噴射装置の一種であるインクジェット式プリンター1を例に挙げて説明したが、本発明は、複数の液体噴射ヘッドをヘッド固定部材に取り付ける他の液体噴射装置にも適用することができる。例えば、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターを製造するディスプレイ製造装置,有機EL(Electro
Luminescence)ディスプレイやFED(面発光ディスプレイ)等の電極を形成する電極製造装置,バイオチップ(生物化学素子)を製造するチップ製造装置,ごく少量の試料溶液を正確な量供給するマイクロピペットにも適用することができる。
【符号の説明】
【0078】
1…プリンター,3…キャリッジアセンブリー,12…キャリッジ本体,13…キャリッジカバー,17…ヘッドユニット,18…記録ヘッド,26…サブキャリッジ,26a…起立壁,32…スペーサー,36…ヘッド取付部,42…バネ止着ピン,44a,44b…付勢バネ,49…仕切壁,50a,50b…調整ブロック,51…ノズル,52…ヘッドケース,53…ノズル形成面,56…ノズル列,58…ブロック本体部,59…ブロックフランジ部,60a,60b…バネ止着ピン,61a,61b…面取り部,65…Y方向調整ピン,66…θ調整ピン,67…テーパー部,70…撮像手段,71…アライメント基板
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット式記録装置などの液体噴射装置に用いられる液体噴射ヘッドユニット、および、その製造方法に関し、特に、複数の液体噴射ヘッドを位置精度良く取り付けることが可能な液体噴射ヘッドユニット、および、その製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液体噴射装置は、液体を液滴として噴射可能な液体噴射ヘッドを備え、この液体噴射ヘッドから各種の液体を噴射する装置である。この液体噴射装置の代表的なものとして、例えば、インクジェット式記録ヘッド(以下、記録ヘッドという)を備え、この記録ヘッドのノズルから液体状のインクをインク滴として噴射させて記録を行うインクジェット式記録装置(プリンター)等の画像記録装置を挙げることができる。また、近年においては、この画像記録装置に限らず、ディスプレイ製造装置などの各種の製造装置にも応用されている。
【0003】
近年、上記プリンターには、ノズルを複数列設してなるノズル群を有する記録ヘッドをサブキャリッジなどのヘッド固定部材に複数並べて固定したものを1つのヘッドユニットとする構成を採用するものがある(例えば、特許文献1参照)。このサブキャリッジは、複数の記録ヘッドが取り付けられる部分が開口した枠体状の部材であり、このサブキャリッジに対して各記録ヘッドが位置決めされた状態でネジ留めによって固定される。
【0004】
ここで、記録ヘッドと記録媒体とを相対的に往復移動させながら記録動作を行うように構成されたプリンターでは、記録ヘッドの各ノズル列にそれぞれ割り当てられるインクの色の配列がサブキャリッジにおける記録ヘッドの並設方向の中心から同方向において対称となる位置関係で、各記録ヘッドをサブキャリッジに取り付ける構成も提案されている。この構成では、同色のノズル列を有する2つの記録ヘッドを組として含み、この組を成す各記録ヘッドは、ヘッド並設方向の中心から同方向において対称な位置関係でサブキャリッジにそれぞれ配置される。このような構成を採用することにより、往路と復路とで記録媒体に対する各色のインクの着弾順序を揃えることできる。
記録媒体に対する各色のインクの着弾順序が往復で異なると、異なる色のドット同士が重なる部分の色合いが往復で異なってしまう。例えば、先に形成されたシアンドットと後から形成されたマゼンタドットとが重なった部分の色合いと、先に形成されたマゼンタドットと後から形成されたシアンドットとが重なった部分の色合いとが異なる。これにより記録画像等の画質に悪影響を及ぼす虞がある。これに対して、上記の構成によれば、往路と復路とで記録媒体に対する各色のインクの着弾順序が揃えられることにより、異なる色のドット同士の重なり順も往復で揃うので、記録画像等の画質の低下を抑えることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−273109号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、記録ヘッドのノズルが例えばポンチを用いた塑性加工により形成される構成では、ノズル形成面に対するノズルの中心軸の傾きが生じることがある。このような記録ヘッドをサブキャリッジに対し、各記録ヘッドのノズル位置が規定の位置に配置されるように取り付け位置を調整して取り付けたとしても、ノズルの傾きが記録ヘッド毎に異なっていた場合には、インクの飛翔方向も記録ヘッド毎にばらついてしまう。その結果、記録紙等の記録媒体に対するインクの着弾位置にばらつきが生じ、記録画像等の画質の低下を招く虞があった。特に、上記した構成のように、サブキャリッジに対称配置された同色の組を成す記録ヘッド同士において着弾位置のばらつきが生じると、記録画像等の画質への影響が大きくなる可能性がある。
【0007】
その一方で、各記録ヘッドのノズルから記録媒体に対してインクを実際に噴射させて、当該インクの着弾位置が設計上目標とする着弾位置に合致するように、サブキャリッジに対する記録ヘッドの取り付け位置を調整する方法も考えられる。しかしながら、このような調整方法は、ノズルの位置を基準として取り付け位置を調整する方法と比較して、調整時間をより多く要し、生産性の面で不利であるという問題があった。同様な理由から、アフターサービスなどで記録ヘッドの位置を再調整する際にも時間を要し、稼働率の低下を招いていた。
【0008】
なお、このような問題は、インクを噴射する記録ヘッドを搭載したインクジェット式記録装置だけではなく、ヘッド固定部材に対して複数の液体噴射ヘッドを固定する構成を採用する、他の液体噴射ヘッドユニット、及びこれを備える液体噴射装置においても同様に存在する。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数の液体噴射ヘッドをより短時間で位置精度良く取り付けることが可能なことが可能な液体噴射ヘッドユニット、および、その製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の液体噴射ヘッドユニットは、液体を噴射するノズルを複数含むノズル列を少なくとも1つ有する液体噴射ヘッドと、
複数の前記液体噴射ヘッドが、前記ノズル列を並べて配設して位置決めされた状態で固定されるヘッド固定部材と、を備え、
同色の液体を噴射するノズル列を有する2つの液体噴射ヘッドが第1のヘッドおよび第2のヘッドとして組を成し、各ノズル列にそれぞれ割り当てられる液体の色の配列が、各液体噴射ヘッドの並設方向の中心から同方向において対称となるように、前記ヘッド固定部材に各液体噴射ヘッドの組が少なくとも2組以上固定された液体噴射ヘッドユニットであって、
前記ヘッド固定部材は、前記第1のヘッドが固定される第1のヘッド取付部と、前記第2のヘッドが固定される第2のヘッド取付部と、を有し、
前記第2のヘッド取付部は、当該第2のヘッド取付部に配置された前記第2のヘッドの位置を調整する調整機構の構成部材の少なくとも一部を有し、
同一組の一方の第1のヘッドは、前記ノズルが規定位置に配置されるように位置決めされた状態で前記第1のヘッド取付部に固定され、
同一組の他方の第2のヘッドは、前記第1のヘッドの所定のノズルから噴射された液体の着弾対象における着弾位置に対する、当該第2のヘッドの所定のノズルから噴射された液体の着弾対象における着弾位置に基づいて、前記調整機構により前記第1のヘッドに対する相対位置が規定された状態で前記第2のヘッド取付部に固定されたことを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、同色のノズル列を有して組を成す一方の第1のヘッドについては、対象ノズルが規定の位置に配置されるようにヘッド固定部材の第1のヘッド取付部に対して位置決めされた状態で固定されるのに対し、他方の第2のヘッドについては、組を成す第1のヘッドの所定のノズルから噴射された液体の着弾対象における着弾位置に対する、当該第2のヘッドの所定のノズルから噴射された液体の着弾対象における着弾位置に基づいて、調整機構により第1のヘッドに対する相対位置が規定された状態でヘッド固定部材に固定されるので、特に同色の液体を噴射するノズル列を有する同一組の液体噴射ヘッド同士の位置関係がより高い精度で確保される。即ち、実際の液体の着弾位置に基づいて同一組の液体噴射ヘッド同士の相対位置が規定されるので、ノズル形成面に対するノズルの傾き等の液体噴射ヘッド毎に固有の特性が、同一組の液体噴射ヘッド同士の位置関係に反映され、同色のノズル列を有する液体噴射ヘッドの組を有する構成において、同色液体間の着弾位置ずれを防止することができる。これにより、着弾対象に対して画像等を記録した場合において、着弾位置ずれに起因する記録画像等の画質の低下を抑制することが可能となる。
また、ノズルから噴射された液体の着弾対象上における実際の着弾位置に基づく位置調整方法は、ノズルの位置を基準とした位置調整方法と比較して、調整時間をより多く要するが、組を成す一方の第1のヘッドについては調整時間が比較的短い後者の位置調整方法が採用されるので、全ての液体噴射ヘッドについて前者の位置調整方法を採用する場合よりも調整時間を全体的に短縮することができる。その結果、生産性の低下等を抑制することが可能となる。
【0012】
上記構成において、前記調整機構は、前記第2のヘッド取付部を区画する区画壁のヘッド並設方向の一側およびヘッド並設方向に直交する方向の一方にそれぞれ付勢する付勢部材と、当該付勢部材を取り付ける付勢部材取付部と、当該付勢部材によって付勢された状態で前記第2のヘッド取付部に配置された前記第2のヘッドの前記ヘッド並設方向に直交する方向の位置を調整する第1の調整部材と、当該第2のヘッドのノズル形成面方向の傾きを調整する第2の調整部材と、を含む構成を採用することが望ましい。
【0013】
また、上記構成において、各組の第1のヘッドのうちの一つは、前記第1のヘッド取付部に対して基準ヘッドとして固定され、
残りの他の第1のヘッドは、前記基準ヘッドに対して相対位置が規定された状態で前記第1のヘッド取付部に固定される構成を採用することができる。
【0014】
また、上記構成において、前記基準ヘッドは、前記第1のヘッド取付部に対して位置決めピンにより位置決めされた状態で固定される構成を採用することができる。
【0015】
上記構成によれば、基準ヘッドの第1のヘッド取付部に対する位置調整は、位置決めピンを用いて簡単且つ迅速に完了するので、調整時間をさらに短縮化することが可能となる。
【0016】
また、本発明の液体噴射ヘッドユニットの製造方法は、液体を噴射するノズルを複数含むノズル列を少なくとも1つ有する液体噴射ヘッドと、
複数の前記液体噴射ヘッドが、前記ノズル列を並べて配設して位置決めされた状態で固定されるヘッド固定部材と、を備え、同色の液体を噴射するノズル列を有する2つの液体噴射ヘッドが第1のヘッドおよび第2のヘッドとして組を成し、各ノズル列にそれぞれ割り当てられる液体の色の配列が、各液体噴射ヘッドの並設方向の中心から同方向において対称となるように、前記ヘッド固定部材に各液体噴射ヘッドの組が少なくとも2組以上固定される液体噴射ヘッドユニットの製造方法であって、
所定のノズルが規定位置に配置されるように前記ヘッド固定部材の第1のヘッド取付部に対して同一組の一方の第1のヘッドの取り付け位置を調整する第1の位置調整工程と、
前記第1の位置調整工程により取り付け位置が規定された状態で前記第1のヘッドを前記第1のヘッド取付部に固定する第1の固定工程と、
同一組の一方の第1のヘッドの所定のノズルから噴射された液体の着弾対象における着弾位置に対する、同一組の他方の第2のヘッドの所定のノズルから噴射された液体の着弾対象における着弾位置に基づいて、前記調整機構により前記第1のヘッドに対する前記第2のヘッドの相対位置を調整する第2の位置調整工程と、
前記第2の位置調整工程により取り付け位置が規定された状態で前記第2のヘッドを前記ヘッド固定部材の第2のヘッド取付部に固定する第2の固定工程と、
を含むことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】プリンターの内部構成の一部を示す斜視図である。
【図2】プリンターの平面図である。
【図3】キャリッジアセンブリーの平面図である。
【図4】キャリッジアセンブリーの右側面図である。
【図5】ヘッドユニットの斜視図である。
【図6】ヘッドユニットの底面側の斜視図である。
【図7】流路部材を取り外した状態のヘッドユニットの平面図である。
【図8】流路部材を取り外した状態のヘッドユニットの斜視図である。
【図9】図7におけるA−A線断面図である。
【図10】図7におけるB−B線断面図である。
【図11】サブキャリッジの構成を説明する図である。
【図12】記録ヘッドのノズル形成面側の斜視図である。
【図13】第1の記録ヘッドを説明する図である。
【図14】第2の記録ヘッドを説明する図である。
【図15】サブキャリッジに対し第1の記録ヘッドを取り付けるための装置構成を説明する模式図である。
【図16】第2の記録ヘッドの位置を調整するための調整機構の構成を説明する模式図である。
【図17】キャリッジ本体に対するサブキャリッジの平面方向の傾き調整について説明する模式図である。
【図18】θ調整について説明する模式図である。
【図19】Y方向調整について説明する模式図である。
【図20】第2実施形態における第2の記録ヘッドの位置調整について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態を、添付図面を参照して説明する。なお、以下に述べる実施の形態では、本発明の好適な具体例として種々の限定がされているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。また、以下においては、液体噴射装置として、インクジェット式記録装置(以下、プリンター)を例に挙げて説明する。
【0019】
図1はプリンター1の内部構成の一部を示す斜視図、図2はプリンター1の平面図である。例示したプリンター1は、記録用紙、フィルム等の記録媒体(着弾対象)に向けて、液体の一種であるインクを噴射する。このプリンター1は、フレーム2の内部にキャリッジアセンブリー3(ヘッドユニット保持部材の一種)を、記録媒体の送り方向に交差する方向である主走査方向に往復移動可能に搭載している。プリンター1の背面側のフレーム2の内壁には、当該フレーム2の長手方向に沿って長尺な上下一対のガイドロッド4a,4bが互いに間隔を空けて平行に取り付けられている。キャリッジアセンブリー3は、その背面側に設けられた軸受け部7(図4参照。)等にガイドロッド4a,4bが嵌合することで、これらのガイドロッド4a,4bに対して摺動可能に支持されている。
【0020】
フレーム2の背面側であって主走査方向の一端側(図3における右端部)には、キャリッジアセンブリー3を移動させるための駆動源としてのキャリッジモーター8が配設されている。このキャリッジモーター8の駆動軸は、フレーム2の背面側から内面側に突出しており、その先端部分には、駆動プーリー(図示せず)が接続されている。この駆動プーリーは、キャリッジモーター8の駆動により回転される。また、この駆動プーリーに対して主走査方向における反対側(図2における左端部)の位置には、遊転プーリー(図示せず)が設けられている。これらのプーリーには、タイミングベルト9が架け渡されている。このタイミングベルト9には、キャリッジアセンブリー3が接続されている。そして、キャリッジモーター8が駆動されると、駆動プーリーの回転に伴ってタイミングベルト9が回動し、キャリッジアセンブリー3がガイドロッド4a,4bに沿って主走査方向に移動する。
【0021】
フレーム2の背面の内壁には、リニアスケール10(エンコーダーフィルム)が、主走査方向に沿ってガイドロッド4a,4bと平行に張設されている。リニアスケール10は、透明な樹脂製フィルムによって作製された帯状部材であり、例えば、透明なベースフィルムの表面に帯幅方向を横断する不透明なストライプが複数印刷されたものである。各ストライプは、同じ幅とされ、帯長手方向に一定ピッチで形成されている。また、キャリッジアセンブリー3の背面側には、このリニアスケール10のストライプを光学的に読み取るためのリニアエンコーダーが設けられている(図示せず。)。リニアエンコーダーは、例えば、互いに対向配置された一対の発光素子と受光素子とによって構成され、リニアスケール10の透明部分での受光状態とストライプ部分での受光状態の差異に応じてエンコーダーパルスを出力するようになっている。即ち、リニアエンコーダーは位置情報出力手段の一種であり、キャリッジアセンブリー3の走査位置に応じたエンコーダーパルスを、主走査方向における位置情報として出力する。これにより、プリンターの制御部(図示せず)はこのリニアエンコーダーからのエンコーダーパルスに基づいてキャリッジアセンブリー3の走査位置を認識しながら、ヘッドユニット17による記録媒体に対する記録動作を制御することができる。そして、プリンター1は、主走査方向の一端側のホームポジションから反対側の端部(フルポジション)へ向けてキャリッジアセンブリー3が移動する往動時と、フルポジションからホームポジション側にキャリッジアセンブリー3が戻る復動時との双方向で記録紙上に文字や画像等を記録する所謂双方向記録処理が可能に構成されている。
【0022】
図2に示すように、キャリッジアセンブリー3には、ヘッドユニット17の各記録ヘッド18に各色のインクを供給するためのインク供給チューブ14と、駆動信号等の信号を供給するための信号ケーブル15が接続されている。その他、プリンター1には、図示しないが、インクを貯留したインクカートリッジ(液体供給源)が着脱可能に取り付けられるカートリッジ装着部、記録紙を搬送する搬送部、待機状態の記録ヘッド18のノズル形成面をキャッピングするキャッピング部等が設けられている。
【0023】
図3はキャリッジアセンブリー3の平面(上面)図、図4はキャリッジアセンブリー3の右側面図である。なお、図3はキャリッジカバー13を外した状態を示している。キャリッジアセンブリー3は、後述するヘッドユニット17(本発明における液体噴射ヘッドユニットの一種。)を内部に搭載するキャリッジ本体12と、このキャリッジ本体12の上部開口を塞ぐキャリッジカバー13とから成り上下に分割可能な中空箱体状の部材である。キャリッジ本体12は、略矩形状の底板部12aと、当該底板部12aの四方の外周縁からそれぞれ上方に起立した側壁部12bとから成り、これらの底板部12a及び側壁部12bに囲まれた空間内にヘッドユニット17を収容する。底板部12aには、収容されたヘッドユニット17の各記録ヘッド18のノズル形成面53を露出させるための図示しない底部開口が開設されている。そして、ヘッドユニット17をキャリッジ本体12内に収容した状態では、底板部12aの底部開口から各記録ヘッド18のノズル形成面53が、キャリッジ本体12の底部よりも下方(記録動作時における記録媒体側)に突出する。
【0024】
キャリッジ本体12とヘッドユニット17との間には、当該キャリッジ本体12に収容されたヘッドユニット17の姿勢を調整するための図示しない偏心カムが複数設けられている。そして、キャリッジ本体12には、これらの偏心カムを回転させるための調整レバー20が複数設けられている。これらの調整レバー20の操作により、偏心カムが回転してその回転中心から外周面までのカム径が増減し、このカム径の増減によって、キャリッジ本体12に収容されたヘッドユニット17(サブキャリッジ26)のキャリッジ本体12に対する位置や傾きなどの姿勢を調整することができるように構成されている。
【0025】
図5はヘッドユニット17の斜視図であり、図6はヘッドユニット17を下面(ノズル形成面)側から見た斜視図である。また、図7は流路部材24が取り付けられていない状態のヘッドユニット17の平面図(上面図)、図8は同状態のヘッドユニット17の斜視図である。さらに、図9は図7におけるA−A線断面図、図10は図7におけるB−B線断面図である。そして、図11は、サブキャリッジの構成を説明する図であり、(a)は上面図、(b)は下面図である。
【0026】
ヘッドユニット17は、複数の記録ヘッド18等をユニット化したものであり、これらの記録ヘッド18が取り付けられるサブキャリッジ26(本発明におけるヘッド固定部材の一種)と、流路部材24と、を備えている。サブキャリッジ26は、記録ヘッド18が固定される枠状のベース部26aと、このベース部26aの四方の外周縁からそれぞれ上方に起立した起立壁部26bと、から上面が開口した中空箱体状に形成されている。これらのベース部26aと四方の起立壁部26bとから囲まれた空間が、記録ヘッド18の少なくとも一部(主にサブタンク37)を収容する収容部として機能する。本実施形態のサブキャリッジ26は、金属、例えばアルミニウムにより作製されており、合成樹脂製のものと比べて剛性が高められている。
【0027】
ベース部26aの略中央部分には、複数の記録ヘッド18を挿通可能なヘッド挿通開口28が開設されている。このためベース部26aは、額縁状の枠体となっている。このヘッド挿通開口28は、収容部に連通した開口部である。ここで、本実施形態におけるサブキャリッジ26には、合計6つの記録ヘッド18が取り付けられる。そして、この記録ヘッド18は、サブキャリッジ26に固定する際の位置調整の仕方に応じて第1の記録ヘッド18A(第1のヘッドに相当)および第2の記録ヘッド18B(第2のヘッドに相当)の2種類に分類されている。そして、図11に示すように、サブキャリッジ26においてヘッド並設方向の中央の仮想仕切り線Lpから片側半分(図11(a)における左半分)には、合計3つの第1のヘッド取付部36aが、区画壁である起立壁部26bと仕切壁49とにより区画形成されている。各第1のヘッド取付部36aには、3つの第1の記録ヘッド18Aが、ベース部26aとの間にそれぞれスペーサー32を介在させた状態でノズル列方向に直交する方向に横並びで取り付けられる。また、残り半分(図11(a)における右半分)合計3つの第2のヘッド取付部36bが、区画壁である起立壁部26bと仕切壁49とにより区画形成されている。この第2のヘッド取付部36bには、3つの第2の記録ヘッド18Bが、ベース部26aとの間にそれぞれ調整ブロック50を介在させた状態で、ノズル列方向に直交する方向に横並びで取り付けられる。なお、各記録ヘッド18の位置調整の仕方の詳細については後述する。
【0028】
このベース部26aの下面(記録時の記録媒体に対向する側の面)において各第1のヘッド取付部36aに対応する箇所には、止着穴29がそれぞれ開設されている。この止着穴29は、後述するスペーサー固定ネジ27の軸部が挿通される貫通穴である。本実施形態において、止着穴29は、1つの記録ヘッド18の取り付け位置に対し、ヘッド挿通開口28を間に挟んでノズル列方向に対応する方向の両側に、後述するスペーサー32のサブキャリッジ用挿通穴32″に対応して2つずつ、合計4箇所設けられている。また、第1のヘッド取付部36aにおける端部のヘッド取付部(第1の記録ヘッド18Aの記録ヘッドH1が取り付けられる位置)には、止着穴29の近傍に位置決め穴72(図11(b)参照)がそれぞれ設けられている。この位置決め穴72については後述する。
【0029】
このベース部26aの上面(ヘッド収容部の底面)において各第2のヘッド取付部36bに対応する箇所には、位置決め穴41とバネ止着ピン42がそれぞれ立設されている。位置決め穴41は、第2の記録ヘッド18Bをサブキャリッジ26に対して位置決めする際に、当該第2の記録ヘッド18Bの調整ブロック50に開設された位置決め穴48と位置が合わせられた状態で治具の位置決めピンが挿通されて、サブキャリッジ26に対する第2の記録ヘッド18Bの大まかな位置を規定するための貫通穴である。位置決め穴41は、1つの第2の記録ヘッド18Bの取り付け位置に対し、ヘッド挿通開口28を間に挟んでノズル列方向に対応する方向(ヘッド並設方向に直交する方向)の両側に1つずつ、合計2箇所設けられている。また、バネ止着ピン42(付勢部材取付部の一種)は、第2の記録ヘッド18Bの調整ブロック50に設けられたバネ止着ピン60(60a,60b)との間に付勢部材の一種である付勢バネ44(44a,44b)を架け渡すためのピンである。本実施形態において、バネ止着ピン42は、1つの第2のヘッド取付部36bに対し、ヘッド挿通開口28を間に挟んでノズル列方向に対応する方向の両側に1つずつ、合計2箇所設けられている。ここで、ノズル列方向の両側のバネ止着ピン42のうち一方(図11(a)において下側)のバネ止着ピン42を第1のバネ止着ピン42aとし、他方(図11(a)において上側)のバネ止着ピン42を第2のバネ止着ピン42bとする。各バネ止着ピン42a,42bは、第2のヘッド取付部36bを区画するヘッド並設方向両側の仕切壁49のうち、ヘッド並設方向における第1のヘッド取付部36aとは反対側(一側)の仕切壁49の近傍に立設されている。さらに第1のバネ止着ピン42aは、第2のヘッド取付部36bを区画する起立壁部26bのうちのノズル列方向における一方の起立壁部26bの近傍(仕切壁49と起立壁部26bとで形成される隅角部)に立設されている。
【0030】
サブキャリッジ26の四方の起立壁部26bのうちの3つには、側方に向けて耳片状のフランジ部30が突設されている。フランジ部30には、キャリッジ本体12の底板部12aのヘッドユニット17の取り付け位置に開設された図示しない3箇所の取り付けネジ穴に対応して、挿通穴31がそれぞれ開設されている。そして、キャリッジ本体12の底板部12aの各取り付けネジ穴に、それぞれ対応する挿通穴31の位置を合わせた状態で、ヘッドユニット固定ネジ22(図3参照)を、挿通穴31を通じて取り付けネジ穴に止着することで、キャリッジ本体12内部にヘッドユニット17が収容・固定される。なお、上述したように、ヘッドユニット17をキャリッジ本体12に対して本固定する前の段階で、上記の調整レバー20の操作により、キャリッジ本体12に対するヘッドユニット17の位置や傾きなどの姿勢が調整される。また、サブキャリッジ26の四方の起立壁部26bの上端面には、流路部材24を固定するための固定ネジ穴33が合計4箇所設けられている。
【0031】
流路部材24の内部には、各記録ヘッド18のサブタンク37(後述)の流路接続部38にそれぞれ対応した各色のインク分配流路(図示せず)が区画形成されている。この流路部材24の上面(サブキャリッジ26に固定される側の面とは反対側の面)には、図5に示すように、チューブ接続部34が設けられている。このチューブ接続部34の内部には、各色のインクに対応した導入口39が複数設けられている。各導入口39は、それぞれ対応する色のインク分配流路に連通している。そして、チューブ接続部34に上記のインク供給チューブ14が接続されると、インク供給チューブ14内の各色のインク供給路と、それぞれ対応する導入口39とが液密状態で連通する。これにより、インクカートリッジ側からインク供給チューブ14を通じて送られてきた各色のインクが、導入口39を通じて流路部材24内のインク分配流路にそれぞれ導入される。各インク分配流路を通過したインクは、流路接続部38を通じて各記録ヘッド18のサブタンク37に流入する。流路部材24の四隅には、サブキャリッジ26の固定ネジ穴33に対応する流路挿通穴(図示せず)が、それぞれ板厚方向を貫通した状態で形成されている。流路部材24がサブキャリッジ26に固定される際に、流路止着ネジ45が流路挿通穴を通じて固定ネジ穴33に止着(螺合)される。
【0032】
図12は、記録ヘッド18(液体噴射ヘッドの一種)の構成を説明する斜視図である。また、図13は、第1の記録ヘッド18Aの構成を説明する図であり、(a)は上面図、(b)は側面図である。さらに、図14は、第2の記録ヘッド18Bの構成を説明する図であり、(a)は上面図、(b)は側面図である。
【0033】
記録ヘッド18の本体は、ノズル51に連通する圧力室を含むインク流路を形成する流路ユニットや、圧力室内のインクに圧力変動を生じさせる圧電振動子或いは発熱素子などの圧力発生手段(何れも図示せず)をヘッドケース52に備えている。この記録ヘッド18は、プリンター1の制御部側からの駆動信号を圧力発生手段に印加して圧力発生手段を駆動することにより、ノズル51からインクを噴射して記録紙等の記録媒体に着弾させる記録動作を行うように構成されている。各記録ヘッド18のノズル形成面53には、インクを噴射するノズル51が複数列設されてノズル列56が構成され、本実施形態においては、このノズル列56がノズル列に直交する方向に2列並べて形成されている。1つのノズル列56は、例えば360dpiのピッチで開設された360個のノズル開口から成る。各ノズル列56に対応するインク流路や圧力発生手段等はそれぞれ個別に設けられており、後述するように、同一記録ヘッド18の2つのノズル列56にそれぞれ異なるインクが割り当てられる。
【0034】
ヘッドケース52は、中空箱体状部材であり、その先端側には、ノズル形成面53を露出させた状態で流路ユニットを固定している。また、ヘッドケース52の内部に形成された収容空部内には圧力発生手段などを収容し、先端面とは反対側の基端面側(上面側)には、流路ユニット側にインクを供給するためのサブタンク37が装着されている。また、ヘッドケース52の上面側におけるノズル列方向の両側には、側方に向けて突出したフランジ部52aがそれぞれ形成されている。このフランジ部52aには、スペーサー32のヘッド用挿通穴32′(図15参照)または調整ブロック50の取付用挿通穴に対応して、取り付け穴54がそれぞれ開設されている。
【0035】
第1の記録ヘッド18Aのフランジ部52aに取り付けられるスペーサー32は、合成樹脂から成る部材であり、1つの第1の記録ヘッド18Aに対して両側のフランジ部52aの上面(サブタンク37側の面)にそれぞれ1つずつ、合計2つ取り付けられる。このスペーサー32の幅方向(記録ヘッド18に取り付けられた状態におけるノズル列に直交する方向)の中央部分には、記録ヘッド18の取り付け穴54に対応してヘッド用挿通穴32′(図15参照)が開設されている。なお、図13では、取り付け穴54とこのヘッド用挿通穴32′に、フランジ部52aの下面側からスペーサー止着ネジ43の軸部が挿通され、この軸部の先端にナット57が螺合され、フランジ部52aにスペーサー32が締結された状態を図示している。スペーサー32には、さらに2つの位置決め穴がスペーサー32の厚さ方向を貫通した状態で開設されている。このうちの1つの位置決め穴73は、サブキャリッジ26の位置決め穴72に対応して設けられており、サブキャリッジ26に対して第1の記録ヘッド18Aの記録ヘッドH1を位置決めする際に、治具の位置決めピンが挿通される貫通穴である。
【0036】
また、スペーサー32の幅方向の両端部には、サブキャリッジ26のベース部26aに設けられた止着穴29に対応して、サブキャリッジ用挿通穴32″がそれぞれ開設されている。即ち、スペーサー32には、1つのヘッド用挿通穴32′と2つのサブキャリッジ用挿通穴32″が各々設けられている。このスペーサー32は、第1の記録ヘッド18Aがサブキャリッジ26に取り付けられる前の段階で、それぞれの第1の記録ヘッド18Aの両側のフランジ部52aに、スペーサー止着ネジ43によってそれぞれ締結される。後述するように、スペーサー32は、サブキャリッジ26に対して接着剤によって仮固定された後、スペーサー固定ネジ27によって本固定される。サブキャリッジ26に一旦固定された記録ヘッド18は、スペーサー32との間のスペーサー止着ネジ43の締結を解除することにより、スペーサー32及びサブキャリッジ26から取り外すことができるようになっている。これにより、記録ヘッド18の交換や修理等による記録ヘッド18の着脱が容易になる。
【0037】
第2の記録ヘッド18Bの両側のフランジ部52aにそれぞれ取り付けられる調整ブロック50は、スペーサー32と同様に、合成樹脂から成る部材であり、1つの第2の記録ヘッド18Bに対して両側のフランジ部52aの上面(サブタンク37側の面)にそれぞれ1つずつ、合計2つ取り付けられる。ここで、第2の記録ヘッド18Bの一方(図14において右側)のフランジ部52aに取り付けられる調整ブロック50を、第1調整ブロック50aとし、第2の記録ヘッド18Bの他方(図14において左側)のフランジ部52aに取り付けられる調整ブロック50を、第2調整ブロック50bとする。この調整ブロック50a,50bは、フランジ部52aの上面に対して立設される直方体状のブロック本体部58と、このブロック本体部58の上端部から側方(フランジ部52aに取り付けた状態におけるサブタンク37側とは反対側)に向けて略直角に延出したブロックフランジ部59と、から成る部材である。
【0038】
第1の調整ブロック50aのブロックフランジ部59の上面の略中央部には、第1のバネ止着ピン60a(付勢部材取付部の一種)が立設されている。この第1のバネ止着ピン60aは、サブキャリッジ26に設けられた第1のバネ止着ピン42aとの間に第1の付勢バネ44a(図7参照)を架け渡すためのピンである。また、ブロックフランジ部59において、この第1のバネ止着ピン60aから外れた位置には、位置決め穴48がブロックフランジ部59の厚さ方向を貫通した状態で開設されている。この位置決め穴48は、サブキャリッジ26の位置決め穴41に対応して設けられており、サブキャリッジ26に対して第2の記録ヘッド18Bを位置決めする際に、治具の位置決めピンが挿通される貫通穴である。
【0039】
さらに、ブロックフランジ部59の上面と、当該ブロックフランジ部59の突出端面との境界の辺縁部には、側方視においてブロックフランジ部59の上面に対して傾斜した面取り部61aが形成されている。本実施形態では、ブロックフランジ部59の上面に対する面取り部61aの傾斜角度は45°となっている。この面取り部61aは、後述するように、サブキャリッジ26の第2のヘッド取付部36bに配置された状態の第2の記録ヘッド18BのY方向の位置を調整する際に、Y方向調整ピン65の先端のテーパー面67が摺動する面である。同様に、ブロックフランジ部59の幅方向(フランジ部52aに取り付けた状態においてノズル列方向に直交する方向であり、ヘッド並設方向。)の一側(図14(a)における上側であり、第2のヘッド取付部36bに配置した状態におけるヘッド並設方向の一側の仕切壁49と対向する側)の側面と、ブロックフランジ部59の上面との境界の辺縁部にも側方視においてブロックフランジ部59の上面に対して傾斜した面取り部61bが形成されている。ブロックフランジ部59の上面に対する面取り部61bの傾斜角度は45°となっている。この面取り部61bは、後述するように、サブキャリッジ26に対する第2の記録ヘッド18Bの平面方向の角度を調整する際に、θ調整ピン66のテーパー部が摺動される面である。この第1の調整ブロック50aは、後述する位置調整において調整ピン65,66による調整が行われる側の、調整側調整ブロックとも言える。
【0040】
第2の調整ブロック50bのブロックフランジ部59の上面の隅角部(図14(a)における左下)には、第2のバネ止着ピン60b(付勢部材取付部の一種)が立設されている。この第2のバネ止着ピン60bは、サブキャリッジ26に設けられた第2のバネ止着ピン42bとの間に第2の付勢バネ44b(図7参照)を架け渡すためのピンである。また、ブロックフランジ部59において、この第2のバネ止着ピン60bから外れた位置には、位置決め穴48がブロックフランジ部59の厚さ方向を貫通した状態で開設されている。この位置決め穴48は、サブキャリッジ26の位置決め穴41に対応して設けられており、サブキャリッジ26に対して第2の記録ヘッド18Bを位置決めする際に、治具の位置決めピンが挿通される貫通穴である。この第2の調整ブロック50bは、後述する位置調整において第1の調整ブロック50a側での調整の際の支点となる支点側調整ブロックとも言える。
【0041】
上記各調整ブロック50a,50bは、第2の記録ヘッド18Bがサブキャリッジ26に取り付けられる前の段階で、図14に示すように、ブロックフランジ部59の突出端部を互いに反対方向に向けた姿勢で、それぞれの第2の記録ヘッド18Bの両側のフランジ部52aに、接着又はネジ留め等により固定される。
【0042】
上記サブタンク37は、流路部材24からのインクを記録ヘッド18の圧力室側に導入する部材である。サブタンク37は、内部の圧力変動に応じてバルブを開閉し、圧力室側へのインクの導入を制御する自己封止機能を有している。このサブタンク37の後端面(上面)におけるノズル列方向の両端部に、上記流路部材24側の図示しない接続流路が接続される流路接続部38が設けられている。この流路接続部38には図示しないリング状のパッキンが嵌め込まれており、このパッキンにより流路部材24との液密性が確保される。また、サブタンク37の内部には、圧力発生手段に駆動信号を供給するための図示しない駆動基板が2枚設けられている。この駆動基板は、上記の信号ケーブル15と電気的に接続されて、当該信号ケーブル15を通じてプリンター1の制御部から送られてくる駆動信号等を、駆動基板を介して圧力発生手段側に供給する。
【0043】
本実施形態において、図6に示すように、サブキャリッジ26に取り付けられる各記録ヘッド18は、同色のインクを噴射するノズル列56を有する第1の記録ヘッド18Aと第2の記録ヘッド18Bの同士で組を成している。具体的には、例えば、イエローインク(Y)に対応するノズル列56およびブラックインク(K)に対応するノズル列56をそれぞれ有する第1の記録ヘッド18Aの記録ヘッドH3と、第2の記録ヘッド18Bの記録ヘッドH4とが組を成し、マゼンタインク(M)に対応するノズル列56およびシアンインク(C)に対応するノズル列56をそれぞれ有する第1の記録ヘッド18Aの記録ヘッドH2と、第2の記録ヘッド18Bの記録ヘッドH5とが組を成している。また、ライトシアンインク(Lc)に対応するノズル列56およびライトマゼンタインク(Lm)に対応するノズル列56をそれぞれ有する第1の記録ヘッド18Aの記録ヘッドH1と、第2の記録ヘッド18Bの記録ヘッドH6とが組を成している。そして、これらの記録ヘッド18は、各ノズル列56にそれぞれ割り当てられるインクの色の配列がヘッド並設方向(即ち、記録動作時におけるヘッドユニット17と記録媒体Sとの相対移動方向)の中心から同方向において対称となるように、サブキャリッジ26に取り付けられる。即ち、本実施形態では、ヘッド並設方向の中央から当該方向の両端側に向かって、ブラックインク、イエローインク、シアンインク、マゼンタインク、ライトマゼンタインク、ライトシアンインクの順となるように対称配列となっている。このような各記録ヘッド18の位置関係を採用することにより、往路と復路とで記録媒体に対する各色のインクの着弾順序を揃えることが可能となる。これにより、異なる色のドット同士の重なり順も往復で揃うので、記録画像等の画質の低下を抑えることが可能となる。なお、サブキャリッジ26に対する各記録ヘッド18のより具体的な固定方法等については後述する。
【0044】
次に、上記のヘッドユニット17の製造工程(組み立て工程)について説明する。
ここで、組を成す第1の記録ヘッド18Aと第2の記録ヘッド18Bのうち、第1の記録ヘッド18Aについては、所定のノズル51が規定位置に配置されるようにサブキャリッジ26に対する固定位置の調整が行われるのに対し、第2の記録ヘッド18Bについては、組を成す第1の記録ヘッド18Aの所定のノズル51から噴射されたインクの記録媒体における着弾位置に対する、当該第2の記録ヘッド18Bの所定のノズル51から噴射されたインクの記録媒体における着弾位置に基づいて、サブキャリッジ26に対する固定位置の調整が行われる。
【0045】
まず、第1の記録ヘッド18Aの位置調整および固定(第1のヘッド取付工程)について説明する。
図15は、サブキャリッジ26に対し第1の記録ヘッド18Aを取り付けるための装置構成を説明する模式図である。この装置は、CCDカメラ等の撮像手段70と、位置調整対象の第1の記録ヘッド18Aを保持した状態で移動させるための図示しないヘッド移動機構と、アライメント基板71と、を備えている。なお、同図において、左右方向がノズル列方向、奥行き方向(図に垂直な方向)がノズル列に直交する方向となっている。アライメント基板71は、線膨張係数が可及的に小さいガラスなどの透光性を有する板材から構成されている。このアライメント基板71には、後述するように位置決めの基準となる記録ヘッド18(以下、適宜、基準ヘッドという。)の複数(少なくとも2箇所)の特定のノズル51(以下、適宜、基準ノズルという。)の配置位置を規定する一組の基準ノズルマークと、位置決め対象の第1の記録ヘッド18Aの少なくとも2箇所の特定のノズル51(以下、適宜、対象ノズルという。)の基準ノズルに対する相対位置を規定する対象ノズルマークと、が設けられている。対象ノズルマークは、基準ノズルマークに対する相対位置が設計値(規定位置)となるように形成位置が定められている。
【0046】
取り付け対象の第1の記録ヘッド18Aは、サブタンク37をヘッド挿通開口28から挿通させて収容部内に収容し、且つ、フランジ部52aの上面とサブキャリッジ26のベース部26aの下面との間に、フランジ部52aに予め締結されたスペーサー32を介在させた状態で、ノズル形成面53を撮像手段70に対向させた姿勢でセットされる。この状態で、第1の記録ヘッド18Aはヘッド移動機構によって保持される。
【0047】
本実施形態における第1のヘッド取付工程は、第1の記録ヘッド18Aをヘッド移動機構によって保持した状態で、当該第1の記録ヘッド18Aをノズル列方向又はノズル列方向に直交する方向に移動させることにより、或いは、ノズル形成面方向に回転させることにより、アライメント基板71に対する記録ヘッド18の相対位置が、サブキャリッジ26のベース部26a上で調整されるようになっている。
【0048】
各第1の記録ヘッド18Aをサブキャリッジ26に取り付ける第1のヘッド取付工程は、所定の第1のヘッド取付部36aに第1の記録ヘッド18Aを位置決めする第1の位置調整工程と、第1の記録ヘッド18Aをベース部26aに対して接着剤によって仮固定する第1の仮固定工程と、仮固定された状態で第1の記録ヘッド18Aをスペーサー固定ネジ27によってベース部26aに固定する第1の本固定工程(第1の固定工程)と、を含む。
【0049】
本実施形態では、まず、サブキャリッジ26のヘッド並設方向端部(仮想仕切り線Lpから最も遠い位置。図11における左端)の第1のヘッド取付部36aに、ライトシアンインクおよびライトマゼンタインクに対応するノズル列56を有する第1の記録ヘッド18Aの記録ヘッドH1が最初に取り付けられる。この第3の記録ヘッドH3については、アライメント基板63を用いた位置調整が行われることなく、図示しない治具の位置決めピンを記録ヘッドH1の位置決め穴73とサブキャリッジ26の位置決め穴72とにそれぞれ嵌入させることで、サブキャリッジ26に対する配置位置が規定される(第1の位置調整工程)。この状態で、スペーサー32の上面とベース部26aの下面との間に、毛細管力を利用して接着剤が流し込まれ、この接着剤が固化することで仮固定される(第1の仮固定工程)。この接着剤としては、シアノアクリレートを主成分とした所謂瞬間接着剤が好適である。そして、位置決めされた状態で、スペーサー固定ネジ27を用いてスペーサー32とベース部26aとがネジ留めされて、記録ヘッドH1がベース部26aの規定位置に本固定される(第1の本固定工程)。このように、記録ヘッドH1の第1のヘッド取付部36aに対する位置調整は、位置決めピンを用いて簡単且つ迅速に完了するので、調整時間の短縮化に寄与することが可能となる。そして、本実施形態においては、この記録ヘッドH1が本発明における基準ヘッドに相当する。なお、サブキャリッジ26に最初に取り付けられる第1の記録ヘッド18Aに対しても、アライメント基板63を用いた位置調整を行ってもよい。
【0050】
次に、サブキャリッジ26に最初に取り付けられた記録ヘッドH1を基準ヘッドとして、当該記録ヘッドH1の隣の第1のヘッド取付部36aに、マゼンタインクおよびシアンインクに対応するノズル列56を有する第1の記録ヘッド18Aの記録ヘッドH2が位置調整されてサブキャリッジ26に固定される。第1の記録ヘッド18Aの記録ヘッドH2および第1の記録ヘッド18Aの記録ヘッドH3の位置調整工程では、上述したように、それぞれ個別のアライメント基板71を用いて位置調整が行われる。このアライメント基板71は、ノズル形成面53と撮像手段70との間に配置される。
【0051】
記録ヘッドH2の第1の位置調整工程で用いられるアライメント基板71には、基準ヘッドである記録ヘッドH1の基準ノズルに対応する基準ノズルマークと、取り付け対象ヘッドである記録ヘッドH2の対象ノズルに対応する対象ノズルマークと、が形成されている。撮像手段70によって撮像された画像は、図示しないモニターに映し出される。このモニターには、取り付け対象の第1の記録ヘッド18Aのノズル形成面53に、透明なアライメント基板71が重畳して映し出される。そして、このモニターに映し出された画像に基づいて、ベース部26a上で取り付け対象の記録ヘッド18の位置調整が行われる。具体的には、まず、モニターに画像として映し出される基準ヘッド(この場合、記録ヘッドH1)の各基準ノズルに、それぞれ対応する基準ノズルマークが重なるように、アライメント基板71の位置が調整される(アライメント基板キャリブレーション工程)。
【0052】
なお、第1の位置調整工程に関し、例示したアライメント基板71を用いずに行うことも可能である。例えば、モニターに映し出される画像に、記録ヘッド18の基準ノズルや対象ノズルに対応したアライメント用マークを表示して、このアライメント用マークに基づいて位置調整を行うようにしても良い。この方法では、第1の記録ヘッド18Aの取り付け作業が行われる各ステージの移動位置に対するアライメント基板の基準マークの位置が制御装置の記憶部に記憶され、この記憶された位置に対して取り付け対象の第1の記録ヘッド18Aの対象ノズル位置を合わせることで位置調整が行われる。そして、基準ノズルマークを基準ノズルに対し撮像手段70の視野内に入る程度に調整することで、基準ノズルと基準ノズルマークとの位置ズレ量が算出され、取り付け対象の第1の記録ヘッド18Aを位置合わせするときの位置合わせの指示値に対して、基準ノズルの位置ズレ量が補正される。
【0053】
アライメント基板71の位置が調整されたならば、次に、取り付け対象の記録ヘッドH2の各対象ノズルが、アライメント基板71上の対応する対象ノズルマークにそれぞれ重なるように、当該記録ヘッドH2の位置がヘッド移動機構によって調整される。これにより、サブキャリッジ26上において記録ヘッドH1に対する記録ヘッドH2の相対位置が規定される。そして、ヘッド移動機構による記録ヘッドH2に対するクランプが維持された状態で、スペーサー32の上面とベース部26aの下面との間に接着剤が毛細管力によって流し込まれ、この接着剤が固化することで仮固定される(第1の仮固定工程)。そして、仮固定された状態で、スペーサー固定ネジ27を用いてスペーサー32とベース部26aとがネジ留めされて、記録ヘッドH2がベース部26aの規定位置に本固定される(第1の本固定工程)。
【0054】
記録ヘッドH2がサブキャリッジ26に固定されたならば、続いて、イエローインクおよびブラックインクに対応するノズル列56を有する第1の記録ヘッド18Aの記録ヘッドH3が位置調整されてサブキャリッジ26に固定される。記録ヘッドH3の第1の位置調整工程で用いられるアライメント基板71には、基準ヘッドである記録ヘッドH1の基準ノズルに対応する基準ノズルマークと、取り付け対象ヘッドである記録ヘッドH3の対象ノズルに対応する対象ノズルマークと、が形成されている。そして、記録ヘッドH2に対する第1の位置調整工程と同様に、モニターに画像として映し出される記録ヘッドH1の各基準ノズルに対応する基準ノズルマークがそれぞれ重なるようにアライメント基板71の位置が調整された後、記録ヘッドH3の各対象ノズルがアライメント基板71上の対応する対象ノズルマークにそれぞれ重なるように、当該記録ヘッドH3の位置がヘッド移動機構によって調整される。これにより、サブキャリッジ26上において記録ヘッドH1に対する記録ヘッドH3の相対位置が規定される。
【0055】
この状態で、記録ヘッドH3のスペーサー32の上面とベース部26aの下面との間に接着剤が流し込まれて記録ヘッドH3が仮固定される(第1の仮固定工程)。そして、仮固定された状態で、スペーサー固定ネジ27を用いてスペーサー32とベース部26aとがネジ留めされて、第5の記録ヘッドH5がベース部26aの規定位置に本固定される(第1の本固定工程)。
【0056】
ここまでの工程で、組を成す第1の記録ヘッド18Aと第2の記録ヘッド18Bのうち、第1の記録ヘッド18A(記録ヘッドH1〜H3)のサブキャリッジ26への取り付けが完了したことになる。次に、第2の記録ヘッド18B(記録ヘッドH4〜H6)を、サブキャリッジ26の各第2のヘッド取付部36bに、後述する位置決めピンを用いてそれぞれ仮配置する(取り付け方の詳細については後述する。)。この状態で、キャリッジ本体12にサブキャリッジ26を取り付け、キャリッジ本体12に対するサブキャリッジ26の平面方向(ノズル形成面方向)の傾き調整が行われる。具体的には、記録紙等の記録媒体に対してキャリッジ本体12を主走査方向に相対移動させつつ、図17に示すように、各第1の記録ヘッド18Aの所定のノズル51(例えば、ノズル列56の一端部に位置するノズル51)から記録媒体に対して連続的にインクを噴射させて主走査方向に沿ってそれぞれ横罫線(A〜C)を記録する。この例では、記録ヘッドH1によって形成された横罫線をA、記録ヘッドH2によって形成された横罫線をB、記録ヘッドH3によって形成された横罫線をCとしている。図17(a)に示すように、各横罫線A〜Cが主走査方向に直交する副走査方向にずれている場合、図17(b)に示すように、各横罫線A〜Cの副走査方向(Y方向)の位置が互いに重なるように、上記の調整レバー20の操作によりキャリッジ本体12に対するサブキャリッジ26の平面方向の位置が調整される。これにより、各第1の記録ヘッド18Aのノズル列56が、主走査方向に対してそれぞれ直交する状態となる。なお、図17では、ノズル列56の一端部に位置するノズル51で記録した横罫線に基づく傾き調整を例示したが、精度を高める観点から、ノズル列56を構成する全てのノズル51で記録した横罫線について、各第1の記録ヘッド18Aで重なるように傾き調整を行うことが望ましい。但し、全てのノズル51で位置調整を行う場合、その分、調整時間が長くなってしまうので、ノズル51を間引いて、即ち、数ノズルおきに調整を行うようにしても良い。
【0057】
キャリッジ本体12に対するサブキャリッジ26の位置が調整されたならば、サブキャリッジ26がヘッドユニット固定ネジ22によりネジ留めされてキャリッジ本体12に固定される。次に、サブキャリッジ26における第2の記録ヘッド18Bの位置調整および固定(第2のヘッド取付工程)が行われる。この第2のヘッド取付工程は、プリンター1に取り付けられたキャリッジ本体12にサブキャリッジ26を取り付けられた状態で行う方法と、サブキャリッジ26を着弾検査専用の装置に取り付けて行う方法の二通りの方法がある。前者の方法は、プリンター1に組み付けた状態で位置調整を行うので、プリンター1の構成部品をネジ留め等により組み付ける際の応力(例えば、サブキャリッジ26をキャリッジ本体12にネジ留めする際の応力)が作用してサブキャリッジ26が変形することによる各記録ヘッド18の位置ずれを無くすことができる。特に、同一組の第1の記録ヘッド18Aと第2の記録ヘッドBとの間の位置ずれを防止することができる。一方、後者の方法は、サブキャリッジ26単位で迅速に位置調整が可能であるため、例えば、記録ヘッド18の修理又は交換時のメンテナンス時間を短縮することができるという利点がある。ここで、後者の方法で用いられる着弾検査装置は、プリンターの構成部品のうち着弾位置ずれの検査にのみ必要な部品で構成されたものである。
以下では、前者の方法でヘッド取付工程を行う手順について説明する。
【0058】
図16は、サブキャリッジ26に対し第2の記録ヘッド18Bの位置調整を行う調整機構の構成を説明する模式図であり、(a)は側方から見た状態(一部断面)、(b)は上方から見た状態を示している。第2の記録ヘッド18Bについては、所定のノズル51からインクを記録媒体に対して噴射させたときの当該インクの着弾位置を観察しながら、Y方向調整ピン65とθ調整ピン66を用いてサブキャリッジ26に対する第2の記録ヘッド18Bの配置位置(同一組の第1の記録ヘッド18Aに対する相対位置)が調整される。
【0059】
各第2の記録ヘッド18Bは、キャリッジ本体12にサブキャリッジ26が取り付けられる前の段階で、ヘッド挿通開口28から調整ブロック50のブロックフランジ部59を挿通させてサブキャリッジ26のベース部26aの上面(収容部の底面)に着座させることで、第2のヘッド取付部36bに配置される。この状態で、サブキャリッジ26側の位置決め穴41と調整ブロック50の位置決め穴48とに図示しない治具の位置決めピンを挿入することで、サブキャリッジ26に対する大まかな位置が規定される。なお、後述する位置調整工程では、この位置決めピンは取り外される。
【0060】
また、調整側調整ブロックである第1の調整ブロック50aのバネ止着ピン60aとサブキャリッジ26側のバネ止着ピン42aとの間に第1の付勢バネ44aが架け渡されると共に、支点側調整ブロックである第2の調整ブロック50bのバネ止着ピン60bとサブキャリッジ26側のバネ止着ピン42bとの間に第2の付勢バネ44bが架け渡される。これにより、取り付け対象の第2の記録ヘッド18Bは、サブキャリッジ26において仕切壁49に沿った方向(Y方向(ノズル列方向))の一方(図16における右側)に付勢されると共に、仕切壁49に直交する方向(X方向)の一側(図16における上側)に付勢された状態となる。なお、第2のヘッド取付部36bにおいて、第2の記録ヘッド18Bと、サブキャリッジ26の起立壁部26bおよび仕切壁49(即ち、第2のヘッド取付部36bの区画壁)との間には、当該第2の記録ヘッド18Bが移動可能な間隙が確保されるようになっている。
【0061】
上述したように、キャリッジ本体12に対するサブキャリッジ26の平面方向の傾き調整が行われた後、各第2の記録ヘッド18B(H4〜H6)をサブキャリッジ26に取り付ける工程が行われる。各第2の記録ヘッド18Bをサブキャリッジ26に取り付ける第2のヘッド取付工程は、ベース部26aの所定の第2のヘッド取付部36bに第2の記録ヘッド18Bを位置決めする第2の位置調整工程と、第2の記録ヘッド18Bをベース部26aに対して接着剤によって仮固定する第2の仮固定工程と、仮固定された状態で第2の記録ヘッド18Bをベース部26aに固定する第2の本固定工程(第2の固定工程)と、を含む。
【0062】
第2の位置調整工程では、図7〜図9および図16に示すように、各第2の記録ヘッド18Bに対してY方向調整ピン65(第1の調整部材の一種)とθ調整ピン66(第2の調整部材の一種)がそれぞれセットされる。これらの調整ピン65,66は細長い円柱状の部材であり、その先端部分には先細りしたテーパー部67が形成されている。本実施形態において、調整ピンの軸方向に対するテーパー部67の側方視における傾斜角は45°に設定されている。これらの調整ピン65,66は、第2の記録ヘッド18Bの位置調整工程において図示しない治具によって軸方向がサブキャリッジ26のベース部26aに対して垂直となる状態で保持され、第2のヘッド取付部36bに配置された取り付け対象の第2の記録ヘッド18Bの第1調整ブロック50aの面取り部61の傾斜面に対してテーパー部67の傾斜面が平行に接触する状態とされる。具体的には、Y方向調整ピン65のテーパー部67が面取り部61aに接触すると共に、θ調整ピン66のテーパー部67が面取り部61bに接触する状態にセットされる。なお、第1の調整ブロック50aのバネ止着ピン60a、サブキャリッジ26側のバネ止着ピン42a、第1の付勢バネ44a、第2の調整ブロック50bのバネ止着ピン60b、サブキャリッジ26側のバネ止着ピン42b、第2の付勢バネ44b、Y方向調整ピン65、およびθ調整ピン66は、本発明における調整機構を構成する。
【0063】
そして、各調整ピン65,66は、図示しないマイクロメーターの表示(送り量)に応じて、図において白抜きの矢印で示すように、サブキャリッジ26のベース部26aに対して垂直方向に所望量だけ上昇または下降するように構成されている。Y方向調整ピン65を下降させると、これに従い、第1調整ブロック50aが、Y方向調整ピン65のテーパー部67の傾斜面に面取り部61aの傾斜面を摺動させつつY方向の他方に押し出されるようにしてスライドする。これにより、第2の記録ヘッド18Bが付勢バネ44a,44bの付勢力に抗しつつ全体的にY方向の一方から他方へ向けて移動する。逆にY方向調整ピン65を上昇させるに従い、第1調整ブロック50aが、Y方向調整ピン65のテーパー部67の傾斜面に面取り部61aの傾斜面を摺動させつつ付勢バネ44a,44bの付勢力によってY方向の他方から一方に引き寄せられるようにスライドする。これにより、第2の記録ヘッド18Bが全体的にY方向の他方から一方へ向けて移動する。
【0064】
また、θ調整ピン66を下降させると、これに従い、第1調整ブロック50aが、Y方向調整ピン65のテーパー部67の傾斜面に面取り部61bの傾斜面を摺動させつつX方向の一側から他側に向けて押し出されるようにしてスライドする。ここで、第2の調整ブロック50bが第2の付勢バネ44bによってY方向に直交するX方向の一側に付勢されているので、この第2の調整ブロック50bの少なくとも一部と仕切壁49との接触状態が維持され、この接触部分(図16(b)においてFで示す)を回転中心(支点)として、第2の記録ヘッド18Bが付勢バネ44a,44bの付勢力に抗しつつノズル形成面方向に図16(b)において時計回りに回転する。逆に、θ調整ピン66を上昇させると、第1調整ブロック50aが、θ調整ピン66のテーパー部67の傾斜面に面取り部61bの傾斜面を摺動させつつX方向の他側から一側に第1の付勢バネ44aの付勢力によって引き寄せられるようにスライドする。これにより、上記接触部分Fを回転中心として、第2の記録ヘッド18Bが付勢バネ44a,44bの付勢力によってノズル形成面方向に図16(b)において反時計回りに回転する。
【0065】
図18および図19は、第2の位置調整工程におけるドット位置について説明する模式図であり、図18はθ調整について説明する図、図19はY方向調整について説明する図である。
第2の位置調整工程では、まず、第1の記録ヘッド18Aに対する第2の記録ヘッド18Bのノズル形成面方向の角度の調整が行われる。このθ調整工程では、上記のように、取り付け対象の第2の記録ヘッド18Bに対して位置調整が可能な状態にセットされた後、組を成す第1の記録ヘッド18Aの所定のノズル列56の各ノズル51からインクを噴射させて記録媒体に縦罫線(図18においてDで示す)を記録する。続いて、キャリッジ本体12が第1の記録ヘッド18Aと第2の記録ヘッド18Bとの間隔(設計上の間隔)に相当する距離だけ記録媒体に対して主走査方向に移動した時点で、第2の記録ヘッド18Bのノズル列56(複数のノズル列56を有する構成では、第1の記録ヘッド18Aで縦罫線Dを記録したノズル列56と同色のノズル列56)の各ノズル51からインクを噴射させて記録媒体に縦罫線(図18においてEで示す)を記録する。そして、図18(a)に示すように、記録された縦罫線Eが縦罫線Dに対して傾斜している場合、図18(b)に示すように、両者が平行となるようにθ調整ピン66を用いて第2の記録ヘッド18Bのノズル形成面方向の角度θを調整する。例えば、縦罫線Dに対する縦罫線Eの傾斜角度を図示しない測定装置で測定し、或いは、作業者が目視で確認しつつ、傾斜角度に応じてθ調整ピン66を上昇又は下降させて第2の記録ヘッド18Bのノズル形成面方向の角度(傾き)を調整する。調整後、同様にして縦罫線Dと縦罫線Eを記録して縦罫線Dに対する縦罫線Eの傾斜状態を確認し、両者が平行になるまで同様な手順を繰り返す。このようにして、第1の記録ヘッド18Aのノズル列56に対して第2の記録ヘッド18Bのノズル列56が平行となるように調整される。なお、縦罫線D,EのX方向のずれについては、ノズル51からインクを噴射するタイミングを制御上で調整することで修正されるが、その詳細な説明については省略する。
【0066】
第2の記録ヘッド18Bのノズル形成面方向の角度θの調整が完了したならば、続いて、第2の記録ヘッド18BのY方向の位置調整が行われる。Y方向位置調整工程では、まず、図19に示すように、組を成す第1の記録ヘッド18Aの所定のノズル51(例えば、何れかのノズル列56の一端部に位置するノズル51)からインクを噴射させて記録媒体の所定の位置にドットDa(基準ドット)を記録する。続いて、キャリッジ本体12が第1の記録ヘッド18Aと第2の記録ヘッド18Bとの間隔に対応する距離だけ記録媒体に対して主走査方向に移動した時点で、第2の記録ヘッド18Bの所定のノズル51(第1の記録ヘッド18AでドットDaを記録したノズル51に対応するノズル51)からインクを噴射させて記録媒体にドットDbを記録する。そして、図19(a)に示すように、記録されたドットDbがドットDaに対してY方向にずれている場合、図19(b)に示すように、両者のY方向の位置が一致する状態となるようにY方向調整ピン65を用いて第2の記録ヘッド18BのY方向の位置を調整する。例えば、ドットDaに対するドットDbのY方向の位置ずれ量を図示しない測定装置で測定し、或いは作業者が目視で確認しつつ、ずれ量に応じてY方向調整ピン65を上昇又は下降させて第2の記録ヘッド18BのY方向の位置を調整する。調整後、同様にしてドットDaとドットDbを記録してドットDaに対するドットDbのY方向の位置ずれ状態を確認し、両者のY方向の位置が一致するまで同様な手順を繰り返す。このようにして、第1の記録ヘッド18Aに対する第2の記録ヘッド18BのY方向(即ち、主走査方向に直交する副走査方向)の位置が一致するように調整される。
【0067】
このような第2の位置調整工程が、各第2の記録ヘッド18B(H4〜H6)に対して順次行われる。本実施形態においては、まず、イエローインクおよびブラックインクに対応するノズル列56を有する第2の記録ヘッド18Bの記録ヘッドH4に対して位置調整が行われた後、サブキャリッジ26に固定される(第2の本固定工程)。第2の記録ヘッド18Bのサブキャリッジ26への固定方法は、接着剤による仮固定(第2の仮固定工程)と固定ネジ等の締結部材による本固定(第2の本固定工程)とを経る。即ち、第1の記録ヘッド18Aと同様に、両側の調整ブロック50a,50bの下面とベース部26aの上面との間に接着剤が毛細管力によって流し込まれ、この接着剤が固化することで仮固定された後、図示しない固定ネジ等の締結部材を用いて各調整ブロック50a,50bとベース部26aとがネジ留めされて、第2の記録ヘッド18Bがサブキャリッジ26の第2のヘッド取付部36bにおける規定位置に本固定される。
【0068】
このようにして記録ヘッドH4が固定された後、続いて、マゼンタインク(M)に対応するノズル列56およびシアンインク(C)に対応するノズル列56を有する第2の記録ヘッド18Bの記録ヘッドH5について、組を成す第1の記録ヘッド18Aの記録ヘッドH2に対する相対位置が調整された後、サブキャリッジ26に固定される。最後に、ライトシアンインクに対応するノズル列56およびライトマゼンタインクに対応するノズル列56を有する第2の記録ヘッド18Bの記録ヘッドH6について、組を成す第1の記録ヘッド18Aの記録ヘッドH1に対する相対位置が調整された後、サブキャリッジ26に固定される。
【0069】
このような手順でサブキャリッジ26に対して各記録ヘッド18のヘッド取付工程を順次行うことにより、各記録ヘッド18が高精度に位置決めされた状態で固定される。上述したように、記録ヘッド18の位置調整に関し、同色のインクを噴射するノズル列56を有して組を成す一方の第1の記録ヘッド18Aについては、対象ノズルが規定の位置に配置されるようにサブキャリッジ26の第1のヘッド取付部36aに対して位置決めされた状態で固定されるのに対し、他方の第2の記録ヘッド18Bについては、組を成す第1の記録ヘッド18Aの所定のノズル51から噴射されたインクの記録媒体における着弾位置に対する、当該第2の記録ヘッド18Bの所定のノズル51から噴射されたインクの記録媒体における着弾位置に基づいて、調整機構により第1の記録ヘッド18Aに対する相対位置が規定された状態でサブキャリッジ26に固定されるので、特に同色のノズル列56を有する同一組の記録ヘッド18同士の位置関係がより高い精度で確保される。即ち、実際のインクの着弾位置に基づいて同一組の記録ヘッド18同士の相対位置が規定されるので、ノズル形成面53に対するノズル51の傾き等の記録ヘッド毎に固有の特性が反映され、本実施形態のように、同色のノズル列56を有する記録ヘッド18の組を複数有する構成において、同色インク間の着弾位置ずれを防止することができる。これにより、記録媒体に対して画像等を記録した場合において、着弾位置ずれに起因する記録画像等の画質の低下を抑制することが可能となる。
また、ノズル51から噴射されたインクの記録媒体上における実際の着弾位置に基づく位置調整方法は、ノズル51の位置を基準とした位置調整方法と比較して、調整時間をより多く要するが、組を成す一方の第1の記録ヘッド18Aについては調整時間が比較的短い後者の位置調整方法が採用されるので、全ての記録ヘッド18について前者の位置調整方法を採用する場合よりも調整時間を全体的に短縮することができる。その結果、生産性の低下等を抑制することが可能となる。
【0070】
その後、流路部材24がサブキャリッジ26に固定される(流路取付工程)。上述したように、流路部材24は、流路止着ネジ45によってサブキャリッジ26に対して固定される。この際、流路部材24の接続流路40が各記録ヘッド18のサブタンク37の流路接続部38にそれぞれ挿入されて液密状態で連結される。なお、流路部材24は、各記録ヘッド18がサブキャリッジ26に取り付けられる前の段階で、サブキャリッジ26に固定されるようにしても良い。
【0071】
なお、本発明は、上記した各実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて種々の変形が可能である。
【0072】
図20は、第2の実施形態における第2の記録ヘッド18Bに対する調整機構について説明する平面図である。上記第1の実施形態では、調整機構の構成部材の一つとして調整ピン65,66を例示したが、この第2の実施形態では、上記の調整ピン65,66に替えて調整ネジ75,76が採用されている。これらの調整ネジの一方のY方向調整ネジ75(第1の調整部材の一種)は、第2のヘッド取付部36bを区画する起立壁部26bのうちのノズル列方向における一方の起立壁部26bに開設されたネジ穴77に外側から軸部を通されて、第2のヘッド取付部36bに配置された第2の記録ヘッド18Bの第1調整ブロック50aに先端を当接させた状態で取り付けられている。そして、このY方向調整ネジ75を時計回りに回転させると、これに従い起立壁部26bからの軸部の突出量が増加し、これにより、第2の記録ヘッド18Bが付勢バネ44a,44bの付勢力に抗しつつ全体的にY方向の一方から他方へ向けて移動する。一方、Y方向調整ネジ75を反時計回りに回転させると、これに従い起立壁部26bからの軸部の突出量が減少し、これに応じて、第2の記録ヘッド18Bが、付勢バネ44a,44bの付勢力によって全体的にY方向の他方から一方へ向けて移動する。
【0073】
θ調整ネジ76(第2の調整部材の一種)は、第2のヘッド取付部36bを区画する仕切壁49のうちの一側の仕切壁49に開設されたネジ穴78に外側から軸部を通されて、第2のヘッド取付部36bに配置された第2の記録ヘッド18Bの第1調整ブロック50aに先端を当接させた状態で取り付けられている。そして、このθ調整ネジ76を時計回りに回転させると、これに従い仕切壁49からの軸部の突出量が増加し、これに応じて、第2の調整ブロック50bと仕切壁49との接触部分Fを回転中心として第2の記録ヘッド18Bが付勢バネ44a,44bの付勢力に抗しつつノズル形成面方向に図20において時計回りに回転する。一方、θ調整ネジ76を反時計回りに回転させると、これに従い起立壁部26bからの軸部の突出量が減少し、これに応じて、上記接触部分Fを回転中心として、第2の記録ヘッド18Bが付勢バネ44a,44bの付勢力によってノズル形成面方向に図20において反時計回りに回転する。
このように、調整ネジ75,76を用いることにより、上記調整ピン65,66を採用する構成と同様に、第2の記録ヘッド18BのY方向の位置およびノズル形成面方向の傾きを調整することができる。その他の構成については上記第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0074】
その他、第2の記録ヘッド18BのY方向の位置およびノズル形成面方向の傾きを調整することが可能なものであれば、各実施形態で例示した調整ピン65,66や調整ネジ75,76に限られない。例えば、シム(スペーサー)等を利用することもできる。
【0075】
なお、ヘッド固定部材としてのサブキャリッジ26に取り付けられる記録ヘッド18の構成や個数に関しては、上記実施形態で例示したものには限られない。また、上記第1の実施形態では、サブキャリッジ26において、ヘッド並設方向の中央の仮想仕切り線Lp(図11)から片側半分の第1のヘッド取付部36aに、3つの第1の記録ヘッド18Aが取り付けられ、残り半分の第2のヘッド取付部36bに、3つの第2の記録ヘッド18Bが取り付けられる構成を例示したが、これには限られず、例えば、第1の記録ヘッド18Aと第2の記録ヘッド18Bとをヘッド並設方向に交互に配置する構成においても、本発明を適用することができる。この構成では、第1の記録ヘッド18A同士の間隔が少なくとも記録ヘッド1つ分だけ空くので、これらの第1の記録ヘッド18Aをサブキャリッジ26に固定した後の工程で、図17を参照して先述したキャリッジ本体12に対するサブキャリッジ26の平面方向の傾き調整の精度が向上する。
【0076】
さらに、上記各実施形態では、記録媒体に対してヘッドユニット17を往復移動させながらインクの噴射を行う構成を例示したが、これには限られない。例えば、ヘッドユニット17の位置を固定した状態で、当該ヘッドユニット17に対して記録媒体を移動させながらインクの噴射を行う構成を採用することもできる。
【0077】
そして、以上では、液体噴射装置の一種であるインクジェット式プリンター1を例に挙げて説明したが、本発明は、複数の液体噴射ヘッドをヘッド固定部材に取り付ける他の液体噴射装置にも適用することができる。例えば、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターを製造するディスプレイ製造装置,有機EL(Electro
Luminescence)ディスプレイやFED(面発光ディスプレイ)等の電極を形成する電極製造装置,バイオチップ(生物化学素子)を製造するチップ製造装置,ごく少量の試料溶液を正確な量供給するマイクロピペットにも適用することができる。
【符号の説明】
【0078】
1…プリンター,3…キャリッジアセンブリー,12…キャリッジ本体,13…キャリッジカバー,17…ヘッドユニット,18…記録ヘッド,26…サブキャリッジ,26a…起立壁,32…スペーサー,36…ヘッド取付部,42…バネ止着ピン,44a,44b…付勢バネ,49…仕切壁,50a,50b…調整ブロック,51…ノズル,52…ヘッドケース,53…ノズル形成面,56…ノズル列,58…ブロック本体部,59…ブロックフランジ部,60a,60b…バネ止着ピン,61a,61b…面取り部,65…Y方向調整ピン,66…θ調整ピン,67…テーパー部,70…撮像手段,71…アライメント基板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を噴射するノズルを複数含むノズル列を少なくとも1つ有する液体噴射ヘッドと、
複数の前記液体噴射ヘッドが、前記ノズル列を並べて配設して位置決めされた状態で固定されるヘッド固定部材と、を備え、
同色の液体を噴射するノズル列を有する2つの液体噴射ヘッドが第1のヘッドおよび第2のヘッドとして組を成し、各ノズル列にそれぞれ割り当てられる液体の色の配列が、各液体噴射ヘッドの並設方向の中心から同方向において対称となるように、前記ヘッド固定部材に各液体噴射ヘッドの組が少なくとも2組以上固定された液体噴射ヘッドユニットであって、
前記ヘッド固定部材は、前記第1のヘッドが固定される第1のヘッド取付部と、前記第2のヘッドが固定される第2のヘッド取付部と、を有し、
前記第2のヘッド取付部は、当該第2のヘッド取付部に配置された前記第2のヘッドの位置を調整する調整機構の構成部材の少なくとも一部を有し、
同一組の一方の第1のヘッドは、前記ノズルが規定位置に配置されるように位置決めされた状態で前記第1のヘッド取付部に固定され、
同一組の他方の第2のヘッドは、前記第1のヘッドの所定のノズルから噴射された液体の着弾対象における着弾位置に対する、当該第2のヘッドの所定のノズルから噴射された液体の着弾対象における着弾位置に基づいて、前記調整機構により前記第1のヘッドに対する相対位置が規定された状態で前記第2のヘッド取付部に固定されたことを特徴とする液体噴射ヘッドユニット。
【請求項2】
前記調整機構は、前記第2のヘッド取付部を区画する区画壁のヘッド並設方向の一側およびヘッド並設方向に直交する方向の一方にそれぞれ付勢する付勢部材と、当該付勢部材を取り付ける付勢部材取付部と、当該付勢部材によって付勢された状態で前記第2のヘッド取付部に配置された前記第2のヘッドの前記ヘッド並設方向に直交する方向の位置を調整する第1の調整部材と、当該第2のヘッドのノズル形成面方向の傾きを調整する第2の調整部材と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の液体噴射ヘッドユニット。
【請求項3】
各組の第1のヘッドのうちの一つは、前記第1のヘッド取付部に対して基準ヘッドとして固定され、
残りの他の第1のヘッドは、前記基準ヘッドに対して相対位置が規定された状態で前記第1のヘッド取付部に固定されたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の液体噴射ヘッドユニット。
【請求項4】
前記基準ヘッドは、前記第1のヘッド取付部に対して位置決めピンにより位置決めされた状態で固定されたことを特徴とする請求項3に記載の液体噴射ヘッドユニット。
【請求項5】
液体を噴射するノズルを複数含むノズル列を少なくとも1つ有する液体噴射ヘッドと、
複数の前記液体噴射ヘッドが、前記ノズル列を並べて配設して位置決めされた状態で固定されるヘッド固定部材と、を備え、同色の液体を噴射するノズル列を有する2つの液体噴射ヘッドが第1のヘッドおよび第2のヘッドとして組を成し、各ノズル列にそれぞれ割り当てられる液体の色の配列が、各液体噴射ヘッドの並設方向の中心から同方向において対称となるように、前記ヘッド固定部材に各液体噴射ヘッドの組が少なくとも2組以上固定される液体噴射ヘッドユニットの製造方法であって、
所定のノズルが規定位置に配置されるように前記ヘッド固定部材の第1のヘッド取付部に対して同一組の一方の第1のヘッドの取り付け位置を調整する第1の位置調整工程と、
前記第1の位置調整工程により取り付け位置が規定された状態で前記第1のヘッドを前記第1のヘッド取付部に固定する第1の固定工程と、
同一組の一方の第1のヘッドの所定のノズルから噴射された液体の着弾対象における着弾位置に対する、同一組の他方の第2のヘッドの所定のノズルから噴射された液体の着弾対象における着弾位置に基づいて、前記調整機構により前記第1のヘッドに対する前記第2のヘッドの相対位置を調整する第2の位置調整工程と、
前記第2の位置調整工程により取り付け位置が規定された状態で前記第2のヘッドを前記ヘッド固定部材の第2のヘッド取付部に固定する第2の固定工程と、
を含むことを特徴とする液体噴射ヘッドユニットの製造方法。
【請求項1】
液体を噴射するノズルを複数含むノズル列を少なくとも1つ有する液体噴射ヘッドと、
複数の前記液体噴射ヘッドが、前記ノズル列を並べて配設して位置決めされた状態で固定されるヘッド固定部材と、を備え、
同色の液体を噴射するノズル列を有する2つの液体噴射ヘッドが第1のヘッドおよび第2のヘッドとして組を成し、各ノズル列にそれぞれ割り当てられる液体の色の配列が、各液体噴射ヘッドの並設方向の中心から同方向において対称となるように、前記ヘッド固定部材に各液体噴射ヘッドの組が少なくとも2組以上固定された液体噴射ヘッドユニットであって、
前記ヘッド固定部材は、前記第1のヘッドが固定される第1のヘッド取付部と、前記第2のヘッドが固定される第2のヘッド取付部と、を有し、
前記第2のヘッド取付部は、当該第2のヘッド取付部に配置された前記第2のヘッドの位置を調整する調整機構の構成部材の少なくとも一部を有し、
同一組の一方の第1のヘッドは、前記ノズルが規定位置に配置されるように位置決めされた状態で前記第1のヘッド取付部に固定され、
同一組の他方の第2のヘッドは、前記第1のヘッドの所定のノズルから噴射された液体の着弾対象における着弾位置に対する、当該第2のヘッドの所定のノズルから噴射された液体の着弾対象における着弾位置に基づいて、前記調整機構により前記第1のヘッドに対する相対位置が規定された状態で前記第2のヘッド取付部に固定されたことを特徴とする液体噴射ヘッドユニット。
【請求項2】
前記調整機構は、前記第2のヘッド取付部を区画する区画壁のヘッド並設方向の一側およびヘッド並設方向に直交する方向の一方にそれぞれ付勢する付勢部材と、当該付勢部材を取り付ける付勢部材取付部と、当該付勢部材によって付勢された状態で前記第2のヘッド取付部に配置された前記第2のヘッドの前記ヘッド並設方向に直交する方向の位置を調整する第1の調整部材と、当該第2のヘッドのノズル形成面方向の傾きを調整する第2の調整部材と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の液体噴射ヘッドユニット。
【請求項3】
各組の第1のヘッドのうちの一つは、前記第1のヘッド取付部に対して基準ヘッドとして固定され、
残りの他の第1のヘッドは、前記基準ヘッドに対して相対位置が規定された状態で前記第1のヘッド取付部に固定されたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の液体噴射ヘッドユニット。
【請求項4】
前記基準ヘッドは、前記第1のヘッド取付部に対して位置決めピンにより位置決めされた状態で固定されたことを特徴とする請求項3に記載の液体噴射ヘッドユニット。
【請求項5】
液体を噴射するノズルを複数含むノズル列を少なくとも1つ有する液体噴射ヘッドと、
複数の前記液体噴射ヘッドが、前記ノズル列を並べて配設して位置決めされた状態で固定されるヘッド固定部材と、を備え、同色の液体を噴射するノズル列を有する2つの液体噴射ヘッドが第1のヘッドおよび第2のヘッドとして組を成し、各ノズル列にそれぞれ割り当てられる液体の色の配列が、各液体噴射ヘッドの並設方向の中心から同方向において対称となるように、前記ヘッド固定部材に各液体噴射ヘッドの組が少なくとも2組以上固定される液体噴射ヘッドユニットの製造方法であって、
所定のノズルが規定位置に配置されるように前記ヘッド固定部材の第1のヘッド取付部に対して同一組の一方の第1のヘッドの取り付け位置を調整する第1の位置調整工程と、
前記第1の位置調整工程により取り付け位置が規定された状態で前記第1のヘッドを前記第1のヘッド取付部に固定する第1の固定工程と、
同一組の一方の第1のヘッドの所定のノズルから噴射された液体の着弾対象における着弾位置に対する、同一組の他方の第2のヘッドの所定のノズルから噴射された液体の着弾対象における着弾位置に基づいて、前記調整機構により前記第1のヘッドに対する前記第2のヘッドの相対位置を調整する第2の位置調整工程と、
前記第2の位置調整工程により取り付け位置が規定された状態で前記第2のヘッドを前記ヘッド固定部材の第2のヘッド取付部に固定する第2の固定工程と、
を含むことを特徴とする液体噴射ヘッドユニットの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2012−121278(P2012−121278A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−275423(P2010−275423)
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]