説明

液体噴射ヘッド及び液体噴射装置

【課題】可撓性ケーブルへの接着剤の付着を抑制して、可撓性ケーブルの折れや断線等の不具合を抑制することができる液体噴射ヘッド及び液体噴射装置を提供する。
【解決手段】ノズル開口を有するノズルプレートと、圧力発生室が形成された流路形成基板と、アクチュエーター装置と、で構成されたアクチュエーターユニットと、圧力発生室に液体を供給する流路と挿通孔501とが設けられた流路ユニット500と、を具備し、アクチュエーターユニットには、一端がアクチュエーター装置に接合され、ノズル開口が開口する開口面とは反対側に引き延ばされた可撓性ケーブル410を有し、流路ユニット500の挿通孔501には、可撓性ケーブル410が挿通されており、アクチュエーターユニットと接合するための接着剤塗布領域508が挿通孔501の外周に設けられ、挿通孔501内に接着剤塗布領域508よりも内側に突出したガイド部材509を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズル開口から液体を噴射する液体噴射ヘッド及び液体噴射装置に関し、特に液体としてインクを吐出するインクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液滴を吐出する液体噴射ヘッドの代表例としては、インク滴を吐出するインクジェット式記録ヘッドが挙げられる。このインクジェット式記録ヘッドとしては、例えば、インク滴をノズル開口から吐出するアクチュエーターユニットと、アクチュエーターユニットに固定されてインクが貯留された液体貯留部材からのインクを各ヘッド本体に供給する共通の流路部材(ヘッドケース)とを具備するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
流路部材には、アクチュエーターユニットに一端が固定されたCOF基板等の可撓性ケーブルを挿通する挿通孔と、挿通孔の周囲にアクチュエーターユニットが接着される接着剤塗布領域とが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−98866号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、アクチュエーターユニットの可撓性ケーブルは、一端がアクチュエーターユニットに固定された後、挿通孔に挿通されると共にアクチュエーターユニットと流路部材との接着が行われるため、可撓性ケーブルを挿通孔に挿通する際に接着剤塗布領域に接触し易く、可撓性ケーブルに接着剤が付着する虞があるという問題がある。
【0006】
また、可撓性ケーブルを流路部材の挿通孔内に挿通する際に、可撓性ケーブルの先端が引っかかり、可撓性ケーブルの折れによる断線等の不具合や挿通不良などが発生する虞があるという問題がある。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑み、可撓性ケーブルへの接着剤の付着を抑制して、可撓性ケーブルの折れや断線等の不具合を抑制することができる液体噴射ヘッド及び液体噴射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する本発明の態様は、ノズル開口に連通する圧力発生室と、該圧力発生室に圧力変化を生じさせるアクチュエーター装置とを有する液体噴射ヘッドであって、前記ノズル開口を有するノズルプレートと、前記圧力発生室が形成された流路形成基板と、前記アクチュエーター装置と、を一体的に組み立て構成されたアクチュエーターユニットと、前記圧力発生室に液体を供給する流路と挿通孔とが設けられた流路ユニットと、を具備し、前記アクチュエーターユニットには、一端が前記アクチュエーター装置に接合され、前記ノズル開口が開口する開口面とは反対側に引き延ばされた可撓性ケーブルを有し、前記流路ユニットの前記挿通孔には、前記可撓性ケーブルが挿通されており、前記アクチュエーターユニットと接合するための接着剤塗布領域が前記挿通孔の外周に設けられ、前記挿通孔内には、前記接着剤塗布領域よりも内側に突出したガイド部材が設けられていることを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる態様では、可撓性ケーブルを挿通孔に挿入する際に、ガイド部材によって可撓性ケーブルが挿通孔の中心側に移動し、接着剤塗布領域に塗布された接着剤が可撓性ケーブルに付着するのを抑制することができる。また、ガイド部材によって可撓性ケーブルの挿通孔への挿入が導かれるため、挿通孔内で可撓性ケーブルの折れ等の破損が発生するのを抑制することができる。
【0009】
ここで、前記ガイド部材には、前記可撓性ケーブルの厚肉部に対応して溝部が設けられていることが好ましい。これによれば、可撓性ケーブルとガイド部材とが当接することを抑制して、摺接や当接した衝撃などによって可撓性ケーブルに破損するのを抑制することができる。
【0010】
また、前記ガイド部材が、前記流路ユニットの厚み方向において前記接着剤塗布領域よりも前記アクチュエーター側に突出して設けられていることが好ましい。これによれば、ガイド部材が接着剤塗布領域に塗布した接着剤よりも先に可撓性ケーブルに接触し易く、接着剤が可撓性ケーブルにさらに付着し難くすることができる。
【0011】
また、前記ガイド部材が、前記挿通孔内に挿通方向に連続して突出するリブ形状を有することが好ましい。これによれば、ガイド部材が挿通孔の深くまで可撓性ケーブルをガイドすることができると共に、ガイド部材によって隔壁の剛性を向上することができる。
【0012】
また、前記ガイド部材の前記接着剤塗布領域側の角部は、曲面形状を有することが好ましい。これによれば、可撓性ケーブルがガイド部材の角部に引っかかるのを抑制して、可撓性ケーブルが引っかかることによって折れが発生するのを抑制することができる。
【0013】
また、前記ガイド部材と前記可撓性ケーブルとの間隔は、前記可撓性ケーブルに設けられた厚肉部と前記ガイド部材との間隔よりも狭いことが好ましい。これによれば、液体噴射ヘッドが移動した際に、可撓性ケーブルの厚膜部以外の領域を先にガイド部材に当接させて、厚膜部がガイド部材に当接するのを抑制することができ、厚膜部の破壊を抑制することができる。
【0014】
さらに、本発明の他の態様は、上記態様の液体噴射ヘッドを具備することを特徴とする液体噴射装置にある。かかる態様では、信頼性を向上した液体噴射装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施形態1に係る記録ヘッドの分解斜視図。
【図2】実施形態1に係る記録ヘッドの分解斜視図。
【図3】実施形態1に係るヘッド本体の分解斜視図。
【図4】実施形態1に係るヘッド本体の平面図。
【図5】実施形態1に係るヘッド本体の断面図。
【図6】実施形態1に係る流路部材とアクチュエーターユニットとの分解斜視図。
【図7】実施形態1に係る流路部材の平面図。
【図8】実施形態1に係る流路部材の断面図。
【図9】実施形態1に係る流路部材の断面図。
【図10】実施形態1に係る流路部材の要部を拡大した斜視図。
【図11】実施形態1に係る流路部材及びアクチュエーターユニットの組み立て状態を示す平面図及び断面図。
【図12】実施形態1に係る流路部材及びアクチュエーターユニットの組み立て状態を示す要部を拡大した断面図。
【図13】実施形態1に係る記録ヘッドの製造方法を示す要部断面図。
【図14】実施形態1に係る記録ヘッドの製造方法を示す要部断面図。
【図15】一実施形態に係るインクジェット式記録装置を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1及び図2は、本発明の実施形態1に係る液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドの分解斜視図である。図1に示すように、インクジェット式記録ヘッドIは、インクを噴射するヘッド本体1と、複数のヘッド本体1が第1の方向に沿って固定される流路部材500と、流路部材500のヘッド本体1とは反対側に設けられた回路基板600と、流路部材500の回路基板600側に設けられた第2の流路部材である保持部材700と、ヘッド本体1の流路部材500とは反対側に設けられたカバーヘッド800とを具備する。
【0017】
まず、ヘッド本体1について図3〜図5を参照して詳細に説明する。なお、図3は、本発明の実施形態1に係るヘッド本体の分解斜視図であり、図4は、ヘッド本体の平面図であり、図5は、図4のA−A′断面図である。
【0018】
図示するように、ヘッド本体1を構成する流路形成基板10は、本実施形態ではシリコン単結晶基板からなり、その一方の面には二酸化シリコンからなる弾性膜50が形成されている。
【0019】
流路形成基板10には、壁部11によって区画された複数の圧力発生室12がその幅方向に並設された列が2列設けられている。また、各列の圧力発生室12の長手方向外側の領域には連通部13が形成され、連通部13と各圧力発生室12とが、各圧力発生室12毎に設けられたインク供給路14及び連通路15を介して連通されている。連通部13は、後述する保護基板30のマニホールド部31と連通して圧力発生室12の列毎に共通のインク室となるマニホールド100の一部を構成する。インク供給路14は、圧力発生室12よりも狭い幅で形成されており、連通部13から圧力発生室12に流入するインクの流路抵抗を一定に保持している。なお、本実施形態では、流路の幅を片側から絞ることでインク供給路14を形成したが、流路の幅を両側から絞ることでインク供給路を形成してもよい。また、流路の幅を絞るのではなく、厚さ方向から絞ることでインク供給路を形成してもよい。さらに、各連通路15は、圧力発生室12の幅方向両側の壁部11を連通部13側に延設してインク供給路14と連通部13との間の空間を区画することで形成されている。すなわち、流路形成基板10には、圧力発生室12の幅方向の断面積より小さい断面積を有するインク供給路14と、このインク供給路14に連通すると共にインク供給路14の幅方向の断面積よりも大きい断面積を有する連通路15とが複数の壁部11により区画されて設けられている。
【0020】
また、流路形成基板10の弾性膜50が形成された面と反対側の面には、各圧力発生室12のインク供給路14とは反対側の端部近傍に連通するノズル開口21が穿設されたノズルプレート20が、接着剤や熱溶着フィルム等によって固着されている。本実施形態では、流路形成基板10に圧力発生室12が並設された列を2列設けたため、1つのヘッド本体1には、ノズル開口21の並設されたノズル列が2列設けられている。なお、ノズルプレート20は、例えばガラスセラミックス、シリコン単結晶基板又はステンレス鋼などからなる。
【0021】
一方、このような流路形成基板10の開口面とは反対側には、上述したように、弾性膜50が形成され、この弾性膜50上には、絶縁体膜55が形成されている。さらに、この絶縁体膜55上には、第1電極60と、圧電体層70と、第2電極80とが順次積層形成されて、本実施形態のアクチュエーター装置である圧電素子300を構成している。ここで、圧電素子300は、第1電極60、圧電体層70及び第2電極80を含む部分をいう。一般的には、圧電素子300の何れか一方の電極を共通電極とし、他方の電極及び圧電体層70を各圧力発生室12毎にパターニングして構成する。そして、ここではパターニングされた何れか一方の電極及び圧電体層70から構成され、両電極への電圧の印加により圧電歪みが生じる部分を圧電体能動部という。本実施形態では、流路形成基板10側の第1電極60を圧電素子300の共通電極とし、第2電極80を圧電素子300の個別電極としているが、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障はない。また、ここでは、圧電素子300と当該圧電素子300の駆動により変位が生じる振動板とを合わせてアクチュエーター装置と称する。なお、上述した例では、弾性膜50、絶縁体膜55及び第1電極60が振動板として作用するが、勿論これに限定されるものではなく、例えば、弾性膜50及び絶縁体膜55を設けずに、第1電極60のみが振動板として作用するようにしてもよい。また、圧電素子300自体が実質的に振動板を兼ねるようにしてもよい。
【0022】
圧電体層70は、第1電極60上に形成される電気機械変換作用を示す圧電材料、特に圧電材料の中でもペロブスカイト構造の強誘電体材料からなる。圧電体層70は、ペロブスカイト構造の結晶膜を用いるのが好ましく、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の強誘電体材料や、これに酸化ニオブ、酸化ニッケル又は酸化マグネシウム等の金属酸化物を添加したもの等が好適である。
【0023】
また、圧電素子300の個別電極である各第2電極80には、絶縁体膜55上まで延設された例えば、金(Au)等からなるリード電極90(接続端子)が接続されている。リード電極90は、一端部が第2電極80に接続されていると共に、他端部側が圧電素子300が並設された列と列との間に延設されて、詳しくは後述するフレキシブル配線部材であるCOF基板410と接続されている。
【0024】
このような圧電素子300が形成された流路形成基板10上、すなわち、第1電極60、絶縁体膜55及びリード電極90上には、マニホールド100の少なくとも一部を構成するマニホールド部31を有する保護基板30が接着剤35を介して接合されている。このマニホールド部31は、本実施形態では、保護基板30を厚さ方向に貫通して圧力発生室12の幅方向に亘って形成されており、上述のように流路形成基板10の連通部13と連通されて各圧力発生室12の共通のインク室となるマニホールド100を構成している。マニホールド100は、圧力発生室12に並設された列に対して1つずつ、合計2つ設けられている。そして、各マニホールド100は、それぞれノズル開口21の並設されたノズル列に連通して設けられている。なお、本実施形態では、流路形成基板10にマニホールド100となる連通部13を設けるようにしたが、特にこれに限定されず、例えば、流路形成基板10の連通部13を圧力発生室12毎に複数に分割して、マニホールド部31のみをマニホールドとしてもよい。また、例えば、流路形成基板10に圧力発生室12のみを設け、流路形成基板10と保護基板30との間に介在する部材(例えば、弾性膜50、絶縁体膜55等)にマニホールドと各圧力発生室12とを連通するインク供給路14を設けるようにしてもよい。
【0025】
また、保護基板30の圧電素子300に対向する領域には、圧電素子300の運動を阻害しない程度の空間を有する保持部である圧電素子保持部32が設けられている。圧電素子保持部32は、圧電素子300の運動を阻害しない程度の空間を有していればよく、当該空間は密封されていても、密封されていなくてもよい。なお、本実施形態では、圧電素子300が並設された列が2列設けられているため、圧電素子保持部32を圧電素子300の並設された各列に対応してそれぞれ設けるようにした。すなわち、保護基板30には、圧電素子保持部32が並設された圧電素子300の列が並ぶ列設方向に2つ設けられている。
【0026】
このような保護基板30としては、流路形成基板10の熱膨張率と略同一の材料、例えば、ガラス、セラミック材料等を用いることが好ましく、本実施形態では、流路形成基板10と同一材料のシリコン単結晶基板を用いて形成した。
【0027】
また、保護基板30には、保護基板30を厚さ方向に貫通する貫通孔33が設けられている。貫通孔33は、本実施形態では、2つの圧電素子保持部32の間に設けられている。そして、各圧電素子300から引き出されたリード電極90の端部近傍は、貫通孔33内に露出するように設けられている。
【0028】
圧電素子300を駆動するための駆動回路200は、可撓性を有する可撓性ケーブルであるCOF基板410に実装してある。ここで、COF基板410は、下端部がリード電極90に接続されるとともにほぼ垂直に立ち上げられている。
【0029】
さらに詳言すると、本実施形態に係るヘッド本体1では、流路形成基板10に圧力発生室12が並設された列を2列設けたため、圧電素子300が圧力発生室12の幅方向(圧電素子300の幅方向)に並設された列が2列設けられている。すなわち、圧力発生室12、圧電素子300及びリード電極90の2列が相対向して設けられたものである。そして、2枚のCOF基板410の下端部が貫通孔33に挿入されて、各COF基板410のそれぞれの下端部が圧電素子300の各列のリード電極90の端部及び第1電極60に接続されると共に、COF基板410の上端部側がほぼ垂直に立ち上げられている。本実施形態では、各圧電素子300の列にそれぞれ1枚のCOF基板410を設けるようにしたが、勿論これに限定されず、圧電素子300の1列に対して複数枚のCOF基板を用いるようにしてもよい。
【0030】
なお、可撓性を有する可撓性ケーブルであるCOF基板410は、単体で起立させようとしてもたわみ変形して自立させるのが困難であるため、詳しくは後述する流路部材500の挿通孔501に挿入する際に、挿通孔501の周囲のヘッド本体1が接合される接着剤塗布領域に塗布された接着剤がCOF基板410に付着しやすく、また、挿通孔501内に挿入された際に屈曲する虞がある。このため、詳しくは後述するが、COF基板410を流路部材500の挿通孔501に挿入した際に、COF基板410が挿通孔501の中央部に寄せられるガイド部材509れている。
【0031】
もちろん、COF基板410を剛性部材である支持部材に接合してもよい。これにより、単体では自立し難いCOF基板410を支持部材によって支持させることができる。なお、支持部材としては、2枚のCOF基板410の間に設けられて、両側面にそれぞれCOF基板410が接合される板状部材等を用いることができる。
【0032】
なお、COF基板410の下端部とリード電極90とは、導電性粒子(例えば、異方性導電膜(ACF)や異方性導電ペースト(ACP)などの異方性導電材に含有されるもの)で電気的に接続されている。これにより、圧電素子300の列に対応した複数のリード電極90と、COF基板410とを同時に電気的に接続することができる。もちろん、COF基板410の下端部とリード電極90との接続は、導電性粒子に限定されず、例えば、半田等の金属材料を溶融させて両者を接続するようにしてもよい。
【0033】
また、図5に示すように、保護基板30上には、封止膜41及び固定板42とからなるコンプライアンス基板40が接合されている。ここで、封止膜41は、剛性が低く可撓性を有する材料(例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)フィルム)からなり、この封止膜41によってマニホールド部31の一方面が封止されている。また、固定板42は、金属等の硬質の材料(例えば、ステンレス鋼(SUS)等)で形成される。この固定板42のマニホールド100に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部43となっているため、マニホールド100の一方面は可撓性を有する封止膜41のみで封止されている。
【0034】
さらに、コンプライアンス基板40上には、保持部材であるヘッドケース110が設けられている。ヘッドケース110には、インク導入口44に連通してカートリッジ等の貯留手段からのインクをマニホールド100に供給するインク導入路111(図3参照)が設けられている。また、ヘッドケース110には、開口部43に対向する領域に凹形状の逃がし部112(図5参照)が形成され、開口部43のたわみ変形が適宜行われるようになっている。さらに、ヘッドケース110には、保護基板30に設けられた貫通孔33と連通する配線部材保持孔113が設けられており、COF基板410は、配線部材保持孔113内に挿通された状態で、COF基板410の下端部がリード電極90と接続されている。そして、ヘッドケース110の配線部材保持孔113に挿通されたCOF基板410は、ヘッドケース110と接着剤120を介して接着されている。これにより、COF基板410が、ヘッドケース110の配線部材保持孔113内で直立することができる。
【0035】
このようなヘッド本体1では、ノズル開口21が開口するインク吐出面とは反対側にCOF基板410が突出して設けられていることになる。
【0036】
そして、本実施形態のインクジェット式記録ヘッドIは、図1及び図2に示すように、ヘッド本体1のCOF基板410側に設けられた本実施形態の流路ユニットである流路部材500と、流路部材500のヘッド本体1とは反対側に設けられた回路基板600と、流路部材500のヘッド本体1とは反対側に設けられた第2の流路部材である保持部材700とをさらに具備する。
【0037】
本実施形態の流路ユニットである流路部材500について、さらに図6〜図12を参照して説明する。なお、図6は流路部材とアクチュエーターユニットとの分解斜視図であり、図7は流路部材のヘッド本体側からの平面図であり、図8は図7のB−B′断面図、図9は図7のC−C′断面図であり、図10は流路部材のヘッド本体側からの要部を拡大した斜視図である。また、図11は流路部材及びアクチュエーターユニットの回路基板側からの平面図及びそのD−D′断面図であり、図12は図10の要部を拡大した断面図である。
【0038】
図6に示すように、流路部材500は、底面にヘッド本体1が複数、本実施形態では、ヘッド本体1のノズル列の列設方向である第1の方向に5個固定されている。
【0039】
また、図8に示すように、流路部材500は、各ヘッド本体1の圧力発生素子へ駆動信号を供給するリード電極に接続され、可撓性を有する可撓性ケーブルであるCOF基板410が挿入される厚さ方向に貫通した挿通孔501を有する。挿通孔501は、隔壁502によって区画されることで各ヘッド本体1に独立して設けられている。このような挿通孔501は、ヘッド本体1側に幅広(挿通孔501の並設方向の幅)となる幅広部505と、ヘッド本体1とは反対側である保持部材700側に幅広部505よりも幅狭の幅狭部506とで構成されている。この幅広部505と幅狭部506との間の内壁面には、その幅の違いによって段差部507が設けられている。段差部507は、ヘッド本体1側に向かって幅が拡大するように傾斜して設けられており、挿通孔501に挿通されたCOF基板410の先端部が段差部507に引っかかり難くなっている。
【0040】
また、挿通孔501は、ヘッド本体1のヘッドケース110の外径よりも小さな開口面積で、且つ上述したようにCOF基板410が挿通可能な大きさで設けられており、図11(b)に示すように、各挿通孔501の周縁部にヘッド本体1がそれぞれ固定される。本実施形態では、1つの流路部材500にヘッド本体1が5個保持されるため、挿通孔501はヘッド本体1と同じ数、すなわち5個設けられている。そして、図8及び図10に示すように、流路部材500のヘッド本体1側に開口する挿通孔501の周囲が、ヘッド本体1(ヘッドケース110)が接着剤512(図12参照)を介して接合される接着剤塗布領域508となっている。
【0041】
ここで、接着剤塗布領域508とは、流路部材500とヘッド本体1とを接着する際に接着剤が塗布される領域のことであり、実際に流路部材500とヘッド本体1とを接着した際には、接着剤は両者の押圧によってその他の領域(例えば、後述するガイド部材509の先端等)に流出していてもよい。
【0042】
また、図10に示すように、流路部材500の挿通孔501内には、接着剤塗布領域508よりも挿通孔501に突出するガイド部材509が設けられている。本実施形態では、図8に示すように、挿通孔501が幅広部505と、幅狭部506とで構成されているため、ガイド部材509は、幅広部505の内壁面に、幅狭部506の内壁面と同じ高さとなるように、挿通孔501の貫通方向に沿って突出して設けられている。また、ガイド部材509は、本実施形態では、1つの挿通孔501内に、挿通孔501の短手方向の両側の内壁面にそれぞれ長手方向に沿って複数個、例えば、4個設けられたリブ形状を有する。挿通孔501の短手方向の両側の内壁面にそれぞれ設けられた4個のガイド部材は、互いに相対向して設けられている。
【0043】
また、図12に示すように、COF基板410の駆動回路200が設けられた領域は、その他の領域に比べて厚肉部となっている。このため、本実施形態では、図10及び図12に示すように、厚肉部である駆動回路200に対応して、ガイド部材509に凹形状の溝部510が設けられている。溝部510は、挿通孔501のヘッド本体1側に開口するように設けられており、駆動回路200の挿入時からガイド部材509が駆動回路200に当接されないようにしている。このような溝部510は、本実施形態では、挿通孔501の並設方向と直交する方向において、中央部側に設けられた2つのガイド部材509に設けられており、溝部510が設けられたガイド部材509の両側に位置する2つのガイド部材509には、溝部510が設けられていない。ちなみに、溝部510を形成するガイド部材509については、駆動回路200の大きさ及びガイド部材509の位置に応じて適宜決定すればよい。このようにガイド部材509に溝部510を設けることによって、COF基板410を挿通孔501内に挿入した際に、駆動回路200がガイド部材509に当接することがなく、駆動回路200がガイド部材509に当接することによる傷の発生や衝撃による破壊などを抑制することができる。したがって、溝部510の深さ(挿通孔501の並設方向の凹み量)は、COF基板410の厚肉部の厚さ(駆動回路200の高さ)に応じて適宜決定すればよい。ただし、図12に示すように、ガイド部材509とCOF基板410との間隔dは、駆動回路200と溝部510との間隔dよりも狭い方が好ましい(d<d)。これは、インクジェット式記録ヘッドIが後述するインクジェット式記録装置IIに搭載された際に、キャリッジ3の主走査方向の移動に伴い、COF基板410が挿通孔501内でたわみ、駆動回路200がガイド部材509に当接してしまうからである。ちなみに、インクジェット式記録ヘッドIが移動した際に、駆動回路200とガイド部材509(溝部510)との間隔dが、COF基板410(駆動回路200以外の領域)とガイド部材509との間隔dよりも狭いと(d>d)、COF基板410がガイド部材509に当接する前に、駆動回路200がガイド部材509(溝部510)に当接して破壊されてしまう虞があるからである。すなわち、ガイド部材509とCOF基板410との間隔dは、駆動回路200と溝部510との間隔dよりも狭くすることで、インクジェット式記録ヘッドIが移動した際に、COF基板410の駆動回路200以外の領域が、先にガイド部材509に当接して、駆動回路200がガイド部材509(溝部510)に当接するのを抑制して破壊が発生するのを低減することができる。
【0044】
また、図10に示すように、本実施形態のガイド部材509は、ヘッド本体1側の角部511が曲面形状で形成されている。すなわち、ガイド部材509のヘッド本体1側の角部511は、R形状で形成されている。このようにガイド部材509の角部511をR形状(曲面)とすることで、挿通孔501内にCOF基板410を挿入する際に、角部511にCOF基板410が引っかかり、COF基板410に折れや破損が発生するのを抑制することができる。
【0045】
このようなガイド部材509を設けることによって、図12に示すように、COF基板410を挿通孔501内に挿通する際に、COF基板410がガイド部材509によって挿通孔501の中心側に導かれ、接着剤塗布領域508に塗布された接着剤512がCOF基板410に付着するのを抑制することができる。
【0046】
ちなみに、挿通孔501に幅広部505を設けずに、幅狭部506だけを設けることで、挿通孔501を画成する隔壁502の厚さを厚くし、隔壁502の端面の一部を接着剤塗布領域508とすることも考えられるものの、隔壁502を厚く形成すると、流路部材500の製造時に隔壁502に余分な盛り上がりが発生し、回路基板600やヘッド本体1の取り付け不良が発生する虞がある。特に、流路部材500を樹脂材料で成形する場合、余分な盛り上がりが発生する。これは、成形時に肉厚部分が存在すると、樹脂の冷却時に収縮することによる凹みが形成される、いわゆる、「ヒケ」という現象が発生し、このヒケによって肉厚部分に余分な盛り上がりが発生する。したがって、本実施形態のように、リブ状のガイド部材509を設けることによって、隔壁502を比較的薄い厚さで形成することができ、製造時のヒケによる余分な盛り上がりを抑制することができる。ちなみに、幅狭部506を画成する隔壁502の厚さは、幅広部505を画成する領域よりも厚くなっている。これは、詳しくは後述するが、1つの隔壁502のヘッド本体1の並設方向とは交差する方向に並設されて保持部材700側に開口する2つの流路503が設けられているため、この流路503を形成する領域が必要になるからである。また、本実施形態では、詳しくは後述するが、隔壁502には、保持部材700側に開口する凹部504が設けられており、これにより、隔壁502の幅狭部506を画成する領域の厚さが比較的厚くても、ヒケが発生するのを抑制することができる。
【0047】
また、本実施形態では、複数のガイド部材509をリブ状に設けるようにしたため、隔壁502の幅狭部506を画成する領域の剛性が向上する。ちなみに、ガイド部材509を設けずに、比較的薄い隔壁502だけを設けた場合、隔壁502の剛性が低く、変形して寸法制度が低下するなどの不具合が発生する虞がある。本実施形態では、ガイド部材509によって隔壁502の薄い領域の剛性を向上することができるため、隔壁502の変形を抑制して寸法制度が低下するのを抑制することができると共に、隔壁502(幅狭部506を画成する領域)をさらに薄い厚さで形成することもできる。
【0048】
また、本実施形態では、ガイド部材509のヘッド本体1側、すなわち、COF基板410が挿入される側の角部511をR形状としたため、COF基板410の先端部等がガイド部材509の角部511に引っかかり、COF基板410に折れや破損などが発生するのを抑制することができる。
【0049】
挿通孔501を画成する隔壁502には、図7及び図8に示すように、ヘッド本体1のヘッドケース110に設けられたインク導入路111(図3参照)に連通して、インク導入路111を介してマニホールド100にインクを供給する流路503が設けられている。流路503は、流路部材500のヘッド本体1側に開口すると共に、保持部材700側に開口するように厚さ方向に貫通して設けられている。また、流路503は、1つの隔壁502に対して複数、例えば2つ設けられている。
【0050】
1つの隔壁502に設けられた2つの流路503は、回路基板600側では、図7に示すようにヘッド本体1の並設方向とは交差する方向に並設されて開口し、ヘッド本体1側では、図6に示すようにヘッド本体1の並設方向と同じ方向となるように並設されて開口している。すなわち、1つの隔壁502に設けられた2つの流路503で構成される流路グループにおいて、2つの流路503のマニホールド100に連通する流出口503aは、ヘッド本体1の並設方向である第1の方向と同一方向に沿って配設されている。また、1つの隔壁502に設けられた2つの流路503で構成される流路グループにおいて、2つの流路503の上流側(保持部材700の供給連通路側)の流入口503bは、ヘッド本体1の並設方向である第1の方向と交差する方向に沿って配設されている。ちなみに、このように流出口503aと流入口503bとが平面視した際に異なる位置に設けられているため、実際には、各流路503はヘッド本体1が固定される面に直交する方向に対して傾斜して設けられている。
【0051】
このような1つの隔壁502に設けられて1つの流路グループを構成する2つの流路503は、それぞれ、互いに隣接する2つのヘッド本体1のインク導入路111を介してマニホールド100に連通する。そして、1つのヘッド本体1には、2つのマニホールド100がヘッド本体1の並設方向である第1の方向に並設されており、各マニホールド100がそれぞれ複数のノズル開口21が並設されたノズル列に連通している。ここで、上述のように、流路503の流出口503aは、第1の方向に並設されているため、各流出口503aをマニホールド100の長手方向(ノズル開口21の並設方向)の中央部に連通させることができる。ちなみに、流出口503aをマニホールド100の長手方向に並設してしまうと、流路503をマニホールド100の中央部に連通させることができず、長手方向に偏った位置で連通してしまう。このように流出口503aをマニホールド100の長手方向に偏った位置で連通すると、マニホールド100の長手方向両端部での圧力損失勾配に差が生じてしまい、ノズル開口から吐出されたインク滴の吐出特性に差が生じ、均一なインク吐出を行わせることができずに、印刷品質が低下してしまう。また、流入口503bを流出口503aに合わせて、第1の方向に沿って配設すると、流入口503bを第1の方向に沿って配設するスペースが必要となり、回路基板600に流入口503bを避けるスペースが必要となって、回路基板600に所望の電子部品を実装することができないため大型化してしまう。
【0052】
本実施形態では、各流路503の流出口503aをマニホールド100の中央部に連通させることで、マニホールド100の長手方向両端部での圧力損失勾配に差が生じるのを抑制して、ノズル開口21から吐出されるインク滴の吐出特性に差を低減して、均一なインク吐出を行わせることができ、印刷品質を向上することができる。特に、印刷品質を向上するためにノズル開口21の数を多くしたとしても、マニホールド100の長手方向両端部の圧力損失勾配に差が生じるのを抑制して、印刷品質が低下するのを抑制することができる。
【0053】
また、本実施形態では、各流路503の流出口503aをマニホールド100の中央部に連通しても、複数の流入口503bを第1の方向と交差する方向に配設することで、流路部材500が大型化するのを抑制することができると共に、流路部材500に取り付ける回路基板600に所望の実装部を実装することができる。特に、本実施形態の流路部材500には、COF基板410を挿通する挿通孔501が設けられているため、回路基板600に電子部品を実装する領域が狭いが、流路503の流入口503bを第1の方向と交差する方向に沿って配設することで、挿通孔501の幅が狭くなるのを抑制して、流路部材500の小型化を図ることができる。
【0054】
ちなみに、本実施形態では、流路グループを構成する各流路503の長さは略同じ長さとなるように設けられている。これにより、各流路503を介して各マニホールド100に供給されるインクの圧力損失を均一化して、インク吐出特性を均一化することができる。
【0055】
なお、流路503の回路基板600側の開口は、図7及び図8に示すように、突出した突出部503cの端面となるように設けられている。この突出部503cが、詳しくは後述する回路基板600の挿通孔に挿通されることで、突出部503cの端面に開口する流路503と保持部材700の供給連通孔とが連通される。
【0056】
また、隔壁502には、上述したように、回路基板600側(第1の面側)に開口する凹部504が設けられている。凹部504は、図7に示すように、各隔壁502の流路503の両側(本実施形態では、ヘッド本体1の並設方向と交差する方向)に設けられている。この凹部504は、隔壁502を厚さ方向に貫通することなく、幅狭部506を画成する領域の深さで設けられており、図8に示すように、隔壁502のヘッド本体1側(第2の面側)は平坦面となっている。そして、図12に示すように、この隔壁502の平坦面がヘッド本体1のヘッドケース110が接着される接着剤塗布領域508となっている。
【0057】
このような流路部材500は、例えば、樹脂材料を成形することで形成することができる。これにより、低コストで製造することができる。
【0058】
また、図1及び図2に示すように、流路部材500に固定されたヘッド本体1のノズル開口21が開口するインク吐出面には、複数のヘッド本体1に共通するカバーヘッド800が設けられている。カバーヘッド800は、各ヘッド本体1のノズル開口21を露出する窓部801が設けられており、窓部801を介して露出されたノズル開口21からインク滴が吐出される。本実施形態では、複数のヘッド本体1と、複数のヘッド本体1が固定されたカバーヘッド800とをアクチュエーターユニットとしているが、勿論、1つ又は複数のヘッド本体1をアクチュエーターユニットとしてもよい。
【0059】
さらに、図1及び図2に示すように、流路部材500のヘッド本体1とは反対側には、回路基板600が保持されている。
【0060】
回路基板600は、各種配線や電子部品が実装されたものであり、電子部品が実装された実装部(図示無し)が流路部材500側となるように流路部材500に保持されている。
【0061】
また、実装部は、流路部材500の凹部504内に収納されるように配置されている。これにより、流路部材500と保持部材700との間隔を狭くして、大型化するのを抑制することができる。ちなみに、回路基板600の実装部を流路部材500とは反対側に設けると、実装部の高さの分だけ、流路部材500と保持部材700との間隔を広げなくてはならず、大型化してしまう。
【0062】
さらに、回路基板600には、厚さ方向に貫通した接続孔(図示無し)が設けられており、接続孔内に挿通されたCOF基板410の先端部が屈曲されて回路基板600と電気的に接続されている。
【0063】
また、回路基板600には、上述のように、流路部材500の突出部503cが挿入される挿通孔(図示無し)が設けられている。流路部材500の突出部503cが挿通孔内に挿通されることで、突出部503cに設けられた流路503は、回路基板600の外側(流路部材500とは反対側)に開口し、後述する保持部材700の供給連通路712と接続される。
【0064】
また、回路基板600は、図1及び図2に示すように、保持部材700の側面に固定された外部配線接続基板740と電気的に接続されている。外部配線接続基板740には、圧電素子300を駆動するための駆動信号等が入力される外部配線(図示なし)が電気的に接続されており、外部配線からの駆動信号等は、外部配線接続基板740及び回路基板600を介してヘッド本体1(COF基板410)に供給される。
【0065】
このような構成の流路部材500及び回路基板600では、上述のように、流路部材500に隔壁502を設けることで、隣り合うヘッド本体1の間から回路基板600側にインクが侵入するのを抑制することができる。すなわち、隔壁502を設けずに、複数のヘッド本体1に共通する挿通孔501を設けると、ヘッド本体1を流路部材500に強固に固定することができず、破壊され易くなってしまうと共に、隣り合うヘッド本体1の間からインクが回路基板600側に侵入し、回路基板600の電気的な短絡や物理的な破壊が生じてしまう虞がある。
【0066】
本実施形態では、隔壁502にガイド部材509を設けると共に、回路基板600側に凹部504を設けることで、隔壁502の実質的な厚さを薄くして、隔壁502の製造時に余分な盛り上がりが発生するのを抑制することができる。なお、成形以外の他の方法で複雑な形状を有する流路部材500を形成すると、コストが増大してしまう。また、隔壁502の厚さを薄くし過ぎると、ヘッド本体1と隔壁502との間に隙間が生じ、ヘッド本体1側のインクが、回路基板600側に回り込んで短絡などの不具合が生じてしまう虞があると共に、隔壁502とヘッド本体1との隙間に入り込んだインクが予期せぬタイミングで落下して、紙等の被噴射媒体となる被記録媒体を汚してしまうなどの不具合が生じてしまう虞があるため、隔壁502の厚さは、ヘッド本体1と隔壁502との間に隙間が生じない程度に厚く、且つ成形時にヒケが発生しない程度に薄くするのが好適である。
【0067】
また、凹部504は、回路基板600とは反対側、すなわち、ヘッド本体1側に開口するように形成することも考えられるものの、凹部504をヘッド本体1側に開口させると、接着剤塗布領域508の面積が減少してしまうと共に、凹部504内にインクが溜まり、予期せぬタイミングで落下して、紙等の被記録媒体を汚してしまうなどの不具合が生じてしまう虞があるため好ましくない。
【0068】
さらに、本実施形態では、流路部材500に凹部504や挿通孔501を設けることで、隔壁502の表面積が狭くなるものの、流路503の流入口503bを第1の方向と交差する方向に沿って配設することで、隔壁502を幅広にすることなく、流路503を設ける領域を確保することができる。
【0069】
このような流路部材500とアクチュエーターユニットであるカバーヘッド800に固定された複数のヘッド本体1との組み立て方法について詳細に説明する。なお、図13及び図14は、本発明の実施形態1に係るインクジェット式記録ヘッドの製造方法、特に、流路部材とアクチュエーターユニットとの組み立て方法を示す要部断面図である。図13(a)に示すように、複数のヘッド本体1が共通のカバーヘッド800に固定されたアクチュエーターユニットを用いる。アクチュエーターユニットを構成する各ヘッド本体1には、COF基板410の一端部が予め接続されている。また、図13(a)に示すように、流路部材500の接着剤塗布領域508に接着剤512を塗布する。なお、ヘッド本体1側に接着剤を塗布することも考えられるものの、ヘッド本体1側に接着剤を塗布するには、突出したCOF基板410が邪魔になって、例えば、スクリーン転写等によって均一な接着剤を塗布することができない。また、ヘッド本体1側に接着剤を塗布する際に、COF基板410に接着剤が付着してしまうため、均一な接着剤塗布領域508を有する流路部材500側に接着剤を塗布するのが好ましい。
【0070】
次いで、図13(b)に示すように、ヘッド本体1のCOF基板410の固定されていない他端部側を流路部材500の挿通孔501に近接させる。このとき、COF基板410を挿通孔501に挿通する直前までは、櫛歯形状を有する支持治具900を用いてCOF基板410を支持する。ここで、支持治具900は、一方向に突出した複数の櫛歯部901を有し、一つのヘッド本体1に固定された2枚のCOF基板410を2つの櫛歯部901の間に挿入することで、櫛歯部901の間でCOF基板410を支持し、COF基板410をノズル開口21が設けられたノズル面に対して略垂直に直立させる。ちなみに、支持治具900によってCOF基板410を支持しないと、COF基板410は可撓性を有するため、COF基板410の他端部側がヘッド本体1側に垂れ下がり、複数のCOF基板410を同時に挿通孔501に挿通するのが困難となる。本実施形態では、支持治具900によって複数のCOF基板410を直立させることで、複数のCOF基板410を同時に挿通孔501に挿通することができる。
【0071】
次いで、図14(a)に示すように、支持治具900によって直立させたCOF基板410を挿通孔501に挿通する。このとき、COF基板410の他端部を支持治具900で支持した状態では、支持治具900が邪魔となってCOF基板410の他端部を挿通孔501に挿通することができない。したがって、COF基板410の他端部を挿通孔501に挿通する際には、支持治具によるCOF基板410の支持をヘッド本体1側に徐々に移動させる。
【0072】
また、このとき、上述のように、挿通孔501内には、ガイド部材509が設けられているため、COF基板410は、ガイド部材509によって、挿通孔501の中央部、すなわち、接着剤塗布領域508から離れた位置に移動される。これにより、COF基板410に接着剤512が付着するのを抑制することができる。また、COF基板410を挿通孔501に挿通した際に、ガイド部材509によって、挿通孔501内の段差部507等にCOF基板410が引っかかり、折れや破損が発生するのを抑制することができる。
【0073】
そして、図14(b)に示すように、COF基板410を支持する支持治具900を取り除いた後、COF基板410と複数のヘッド本体1とを接着剤512を介して接着することで、流路部材500とアクチュエーターユニットとが一体化される。
【0074】
このように形成されたアクチュエーターユニットと流路部材500とが一体化されたものに、回路基板600及び保持部材700が固定される。
【0075】
ここで、流路部材500が保持される保持部材700について図1及び図2を参照して説明する。
【0076】
保持部材700は、流路部材500のヘッド本体1とは反対側の面(回路基板600が固定された面)に固定されたベース部材710と、供給針730が複数配設された供給針ホルダー720と、ベース部材710の一側面に固定された外部配線接続基板740と、外部配線接続基板740を覆う保護部材750とを具備する。
【0077】
ベース部材710は、一方面が流路部材500の回路基板600側に固定されて、流路部材500との間で回路基板600を保持する。
【0078】
また、ベース部材710のヘッド本体1とは反対側には、供給針ホルダー720が固定されている。
【0079】
さらに、ベース部材710の一側面(流路部材500及び供給針ホルダー720が固定された面とは交差する面)には、保持壁部711を有し、保持壁部711の外側に外部配線接続基板740が固定されている。
【0080】
保持部材700に保持された外部配線接続基板740は、各種駆動信号用の電子部品が実装されており、ヘッド本体1のCOF基板410に接続された回路基板600を介してヘッド本体1に駆動信号を供給する。また、外部配線接続基板740には、上端部(回路基板600とは反対側)にコネクター741が設けられており、このコネクター741を介して外部配線接続基板740には、制御装置からの制御ケーブル等の外部配線が電気的に接続される。
【0081】
供給針ホルダー720は、ベース部材710の流路部材500とは反対側に連通部材770を介して固定されるものであり、ベース部材710に固定された面とは反対側にインクを貯留した貯留手段であるインクカートリッジが装着されるカートリッジ装着部721を有する。
【0082】
また、図2に示すように、供給針ホルダー720の底面には、一端がカートリッジ装着部721に開口し、他端がベース部材710側に開口する複数の導入孔722がそれぞれ形成された管状の供給連通路形成部723が突設されている。そして、導入孔722は、連通部材770及びベース部材710に設けられた供給連通路712を介して流路503の流入口503bと接続される。
【0083】
また、供給針ホルダー720の上面側、すなわち、カートリッジ装着部721の導入孔722の開口部分には、インクカートリッジに挿入される複数の供給針730が、インク内の気泡や異物を除去するためのフィルター731(図2参照)を介して固定されている。
【0084】
これら各供給針730は、導入孔722に連通する貫通路(図示無し)をそれぞれ内部に有する。そして、供給針730がインクカートリッジに挿入されることで、インクカートリッジ内のインクは供給針730の貫通路を介して供給針ホルダー720の導入孔722に供給される。なお、導入孔722に導入されたインクは、連通部材770及びベース部材710に設けられた供給連通路712を介して流路503に供給され、流路503を介してヘッド本体1のインク導入路111に供給される。
【0085】
保護部材750は、保持壁部711の外側に設けられた一側面及び上面が開口する箱形状を有し、上述のように保持壁部711に固定された外部配線接続基板740を覆うようにベース部材710に固定されている。
【0086】
保護部材750は、外部配線接続基板740のコネクター741側(上部側)が開口することで、コネクター741が外部配線と接続可能となっている。
【0087】
この保護部材750によって外部配線接続基板740を保護することによって、外部配線接続基板740に外部から物がぶつかることによる破損や、インクや埃などの異物が付着して短絡する等の不具合を防止することができると共に、回路基板600とCOF基板410とを接続している空間を、上方に存在するコネクター741周辺の一部領域を除いて封止することで、内部にインクが侵入するのを抑制することができる。ちなみに、インクジェット式記録ヘッドIは、インク吐出面が図1の下側、すなわち、外部配線接続基板740のコネクター741とは反対側の面となっているため、コネクター741側が開口していても、インクは内部に入り難い。また、このコネクター741の周囲の開口を樹脂等で塞ぐようにすれば、さらに確実にインクの浸入を防止できるものである。
【0088】
このように、本実施形態では、回路基板600は、流路部材500と保持部材700との間で、ヘッド本体1のCOF基板410と接続され、COF基板410と接続された回路基板600は、流路部材500とは異なる部材である保持部材700に設けられた外部配線接続基板740に接続されている。
【0089】
そして、ヘッド本体1を保持する流路部材500と、外部配線接続基板740を保持する保持部材700とが別部材からなるため、回路基板600とCOF基板410とは、流路部材500と保持部材700とを接合する前に、ヘッド本体1と流路部材500とを接合した状態で接続することができる。これにより、COF基板410と回路基板600との接続を容易に行うことができると共に、回路基板600と外部配線接続基板740との接続を容易に行うことができる。
【0090】
また、本実施形態のインクジェット式記録ヘッドIでは、流路部材500と保持部材700とを別部材とし、流路部材500と保持部材700との間で回路基板600とCOF基板410とを接続するようにした。これにより、回路基板600の取り回しを容易にして、複数のヘッド本体1を1つの回路基板600に容易に接続することができ、インクジェット式記録ヘッドIを小型化することができると共にコストを低減することができる。ちなみに、流路部材500と保持部材700とが一体的に形成されていると、一つの回路基板600に複数のヘッド本体1を接続することが容易にはできない。これは、流路部材500と保持部材700とを成型により形成した際に、隔壁502の上方に空間を画成することが実質的に困難であるため、流路部材500と保持部材700との間の回路基板600を保持する空間を形成できないことから各ヘッド本体1毎に区画された貫通孔しか設けることができず、複数のヘッド本体1の数と同じ数だけ分割された回路基板が必要になってしまうからである。そして、各ヘッド本体1毎に回路基板をそれぞれ設けると、部品点数が増えて高コストとなってしまう。また、流路部材500と保持部材700とが一体的に形成されていると、ヘッド本体1と流路部材500とを接着する際に、各ヘッド本体1に個別の回路基板を接続した状態で、ヘッド本体1と回路基板とを貫通孔内に挿入しなくてはならず、ヘッド本体1と流路部材500とを接着する接着剤が、回路基板等に付着し易く、余分な接着剤によって回路基板と外部配線接続基板との接続不良や、ヘッド本体1と流路部材500とを接着する接着剤が不足して接着不良が発生する虞がある。なお、本実施形態であっても、各ヘッド本体1毎や、複数個のヘッド本体1群毎に回路基板600を設けるようにしても、回路基板600の取り回しを容易にして、回路基板600とCOF基板410とを確実に接続することができるという効果を奏する。
【0091】
このような構成のインクジェット式記録ヘッドIでは、インクカートリッジからのインクを挿通孔501、供給連通路712、流路503と、インク導入路111及びインク導入口44とを介してマニホールド100内に取り込み、マニホールド100からノズル開口21に至るまでの流路内をインクで満たした後、外部配線接続基板740から回路基板600及びCOF基板410を介して供給された記録信号に従って、各圧力発生室12に対応する各圧電素子300に電圧を印加して圧電素子300と共に振動板をたわみ変形させることにより、各圧力発生室12内の圧力が高まり各ノズル開口21からインク滴が噴射される。
【0092】
(他の実施形態)
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明の基本的構成は上述したものに限定されるものではない。例えば、上述した実施形態1では、ガイド部材509のヘッド本体1側の端面を接着剤塗布領域508と面一となるようにしたが、特にこれに限定されず、例えば、ガイド部材509のヘッド本体1側の端面が、接着剤塗布領域508よりもヘッド本体1側に突出するようにしてもよい。これにより、接着剤塗布領域508の接着剤がCOF基板410にさらに付着し難くすることができる。
【0093】
また、例えば、上述した実施形態1では、流路ユニットとして流路部材500を例示したが、特にこれに限定されず、例えば、流路部材500と保持部材700とを流路ユニットとしてもよく、また、その他の部材を含めて流路ユニットとしてもよい。
【0094】
さらに、例えば、上述した実施形態1では、2つのCOF基板410を設けるようにしたが、COF基板410の数や位置などは特にこれに限定されるものではなく、COF基板410を3つ以上設けるようにしてもよい。また、駆動回路200を異なる場所に設け、可撓性ケーブルとして、COF基板ではなく、回路を搭載しない配線基板を用いるようにしてもよい。
【0095】
また、上述した実施形態1では、流路形成基板10に圧力発生室12が並設された列を2列設けたものであるが、この場合の列数には特別な制限はない。一列であっても、3列以上であっても構わない。複数列の場合には少なくとも2列一組を相対向させて設ければよい。
【0096】
また、上述した実施形態1では、圧力発生室12に圧力変化を生じさせる圧力発生素子として、薄膜型の圧電素子300を有するアクチュエーター装置を用いて説明したが、特にこれに限定されず、例えば、グリーンシートを貼付する等の方法により形成される厚膜型のアクチュエーター装置や、圧電材料と電極形成材料とを交互に積層させて軸方向に伸縮させる縦振動型のアクチュエーター装置などを使用することができる。また、圧力発生素子として、圧力発生室内に発熱素子を配置して、発熱素子の発熱で発生するバブルによってノズル開口から液滴を吐出するものや、振動板と電極との間に静電気を発生させて、静電気力によって振動板を変形させてノズル開口から液滴を吐出させるいわゆる静電式アクチュエーターなどを使用することができる。
【0097】
なお、上述した実施形態のインクジェット式記録ヘッドIは、インクジェット式記録装置IIに搭載される。図15は、そのインクジェット式記録装置の一例を示す概略図である。図示するように、インクジェット式記録ヘッドIは、インク供給手段を構成するカートリッジ2A及び2Bが着脱可能に設けられ、このインクジェット式記録ヘッドIを搭載したキャリッジ3は、装置本体4に取り付けられたキャリッジ軸5に軸方向移動自在に設けられている。このインクジェット式記録ヘッドIは、例えば、ブラックインク組成物及びカラーインク組成物を吐出するものとしている。
【0098】
そして、駆動モーター6の駆動力が図示しない複数の歯車およびタイミングベルト7を介してキャリッジ3に伝達されることで、インクジェット式記録ヘッドIを搭載したキャリッジ3はキャリッジ軸5に沿って移動される。一方、装置本体4にはキャリッジ軸5に沿ってプラテン8が設けられており、図示しない給紙ローラーなどにより給紙された紙等の記録媒体である記録シートSがプラテン8に巻き掛けられて搬送されるようになっている。さらに、本発明は、広く液体噴射ヘッド全般を対象としたものであり、例えば、プリンター等の画像記録装置に用いられる各種のインクジェット式記録ヘッド等の記録ヘッド、液晶ディスプレー等のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレー、FED(電界放出ディスプレー)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等にも適用することができる。
【0099】
また、液体噴射装置の一例としてインクジェット式記録装置IIを挙げて説明したが、上述した他の液体噴射ヘッドを用いた液体噴射装置にも用いることが可能である。
【符号の説明】
【0100】
I インクジェット式記録ヘッド(液体噴射ヘッド)、 II インクジェット式記録装置(液体噴射装置)、 1 ヘッド本体、 10 流路形成基板、 12 圧力発生室、 13 連通部、 14 インク供給路、 15 連通路、 21 ノズル開口、 30 保護基板、 32 圧電素子保持部、 33 貫通孔、 60 第1電極、 70 圧電体層、 80 第2電極、 90 リード電極(接続端子)、 100 マニホールド、 110 ヘッドケース(保持部材)、 120 接着剤、 200 駆動回路、 300 圧電素子(アクチュエーター装置)、 410 COF基板(可撓性ケーブル)、 430 緩衝部材、 500 流路部材(流路ユニット)、 501 貫通孔、 502 隔壁、 503 流路、 503a 流出口、 503b 流入口、 504 凹部、 505 幅広部、 506 幅狭部、 507 段差部、 508 接着剤塗布領域、 509 ガイド部材、 510 溝部、 511 角部、 512 接着剤、 600 回路基板、 700 保持部材、 800 カバーヘッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズル開口に連通する圧力発生室と、該圧力発生室に圧力変化を生じさせるアクチュエーター装置とを有する液体噴射ヘッドであって、
前記ノズル開口を有するノズルプレートと、
前記圧力発生室が形成された流路形成基板と、
前記アクチュエーター装置と、を一体的に組み立て構成されたアクチュエーターユニットと、
前記圧力発生室に液体を供給する流路と挿通孔とが設けられた流路ユニットと、を具備し、
前記アクチュエーターユニットには、一端が前記アクチュエーター装置に接合され、前記ノズル開口が開口する開口面とは反対側に引き延ばされた可撓性ケーブルを有し、
前記流路ユニットの前記挿通孔には、前記可撓性ケーブルが挿通されており、前記アクチュエーターユニットと接合するための接着剤塗布領域が前記挿通孔の外周に設けられ、前記挿通孔内には、前記接着剤塗布領域よりも内側に突出したガイド部材が設けられていることを特徴とする液体噴射ヘッド。
【請求項2】
前記ガイド部材には、前記可撓性ケーブルの厚肉部に対応して溝部が設けられていることを特徴とする請求項1記載の液体噴射ヘッド。
【請求項3】
前記ガイド部材が、前記流路ユニットの厚み方向において前記接着剤塗布領域よりも前記アクチュエーター側に突出して設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の液体噴射ヘッド。
【請求項4】
前記ガイド部材が、前記挿通孔内に挿通方向に連続して突出するリブ形状を有することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項5】
前記ガイド部材の前記接着剤塗布領域側の角部は、曲面形状を有することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項6】
前記ガイド部材と前記可撓性ケーブルとの間隔は、前記可撓性ケーブルに設けられた厚肉部と前記ガイド部材との間隔よりも狭いことを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか一項に記載の液体噴射ヘッドを具備することを特徴とする液体噴射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−56920(P2011−56920A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−212526(P2009−212526)
【出願日】平成21年9月14日(2009.9.14)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】