説明

液体噴射装置、及び、その制御方法

【課題】メンテナンス処理時のメニスカスを安定させつつ、メンテナンス処理に要する時間を短縮することが可能な液体噴射装置、及び、その制御方法を提供する。
【解決手段】気泡除去用フラッシング駆動信号は、予め定められた規定数のフラッシングパルス群Pgを発生する毎に一定時間フラッシング駆動パルスDPが含まれない休止区間Itを発生し、休止区間の時間Tiが、0.8秒以上20秒以下の範囲内に設定され、プリンターコントローラーは、気泡除去フラッシング処理において、フラッシングパルス群を構成する各フラッシング駆動パルスを圧電素子に対して連続的に印加することでノズルからインクを噴射させる1セットのフラッシングを行う毎に、休止区間によりフラッシング処理を一定時間休止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット式プリンター等の液体噴射装置、及び、その制御方法に関するものであり、特に、液体噴射ヘッドの噴射能力を回復させるメンテナンス処理を行う液体噴射装置、及び、その制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、液体噴射装置は、ノズルから液体を噴射可能な液体噴射ヘッドを備え、この液体噴射ヘッドから各種の液体を噴射する装置である。この液体噴射装置の代表的なものとして、例えば、液体噴射ヘッドとしてのインクジェット式記録ヘッド(以下、単に記録ヘッドという)を備え、この記録ヘッドのノズルから液体状のインクを記録用紙等の記録媒体(着弾対象)に対して噴射・着弾させることで画像やテキスト等の記録を行うインクジェット式プリンター(以下、単にプリンターという。)等の画像記録装置を挙げることができる。
【0003】
ここで、上記インクジェット式プリンター(以下、単にプリンターと略記する)を例に挙げると、このプリンターは、リザーバーから圧力室を通りノズルに至る一連のインク流路や、圧力室の容積を変動させるための圧力発生手段(例えば、圧電素子)等を有する記録ヘッドを搭載し、また、圧力発生手段を駆動するための駆動信号を発生する駆動信号発生手段等を備えている。そして、駆動信号に含まれる駆動パルスを圧電素子に印加して圧力室内のインクに圧力変動を生じさせ、この圧力変動を利用してノズルからインクを噴射するように構成されている。このようなプリンターでは、圧力室等のインク流路内に気泡が混入し、この気泡により圧力変化が吸収される等して、インクが噴射されなかったり(所謂ドット抜け)、噴射されたインクの飛翔方向が曲がったりする等の噴射不良が生じる場合がある。
【0004】
このため、上記噴射不良を防止してインクの噴射を良好に維持するために、種々のメンテナンス処理に関する技術が提案されてきた。例えば、ノズルをキャップで一時的に封止して、この封止状態でキャップ内部を負圧にすると共に、噴射駆動パルスを圧電素子に印加して圧力室内のインクに圧力変動を生じさせてインクの空噴射を行い、増粘インクや気泡を強制的に排出させるクリーニング処理が行われている。しかしながら、上記のクリーニング処理を実行しても気泡を完全に除去することは困難であった。なお、空噴射とは、プリンターの本来の目的である記録媒体に対する画像等の印刷のためにインクを噴射することとは別に、記録ヘッドの噴射特性を正常な状態に回復することを目的としてインクを噴射することである。
【0005】
そこで、この種のプリンターでは、上記のクリーニング処理とは別に、ノズルからインクを強制的に噴射させるメンテナンス処理としてフラッシング処理を行っている。具体的には、上記のクリーニング処理を行った後や、インクカートリッジを交換した時の初期充填を行った後、或いは、印刷動作中(記録動作中)において所定の印刷単位毎、例えば一定時間印刷する毎、所定回数のパス(記録ヘッドの走査)を行う毎、又は、所定のページ数を印刷する毎に、記録媒体から外れた位置にあるインク受け部材まで記録ヘッドを移動させ、その位置でインクを繰り返し空噴射させるようにしている。このフラッシング処理には、ノズル近傍で増粘したインクを排出することを主な目的としてインクを空噴射させる増粘インク排出用フラッシング処理の他に、インク中の気泡を除去することに主眼を置いた気泡除去フラッシング処理等がある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−73074号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記の気泡除去フラッシング処理によって十分な気泡排出効果を得るためには、1つのノズルあたり1回の噴射をフラッシングセグメントと呼ばれるフラッシング単位として、数千〜数万セグメントの噴射動作を行う必要がある。そして、この数千〜数万セグメントのフラッシング処理を途中で休止させることなく一度に連続的に実行すると、メニスカスの振動が不安定になって、ノズルから噴射されるインクの飛翔曲がりが生じたり霧状のインクミストが生じてノズル面に付着したりする虞があった。ノズル面にインクが付着すると、ノズルから噴射されるインクの飛翔曲がり等の噴射不良の原因となる場合もある。
【0008】
また、記録ヘッドが複数のノズル列(ノズル群)を有する場合、1ノズル列ずつ気泡除去フラッシング処理を行う構成では、その分、メンテナンスに要する時間が長くなってしまう問題があった。その一方で、全てのノズル列に対して同時に気泡除去フラッシング処理を行う構成では、連続して多量のインクが噴射されるので、隣り合うノズル列間に気流が発生する。そして、噴射されたインクの一部がミストとなってこの気流に乗り、記録ヘッドのノズル面に付着する虞があった。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、メンテナンス処理時のメニスカスを安定させつつ、メンテナンス処理に要する時間を短縮することが可能な液体噴射装置、及び、その制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記目的を達成するために提案されたものであり、圧力室に通じるノズルを列設してなるノズル群を複数有し、圧力発生手段の駆動により前記圧力室内の液体に圧力変動を生じさせて前記ノズルから液体を噴射する液体噴射ヘッドと、該液体噴射ヘッドによる噴射動作を制御する制御手段とを備えた液体噴射装置であって、
前記制御手段は、前記圧力発生手段を駆動して液体流路中の気泡を除去するためのメンテナンスパルスを含むメンテナンス駆動信号を発生可能に構成され、
前記駆動信号は、予め定められた規定数のメンテナンスパルス群を発生する毎に一定時間メンテナンスパルスが含まれない休止区間を発生し、
前記休止区間の時間が、0.8秒以上20秒以下の範囲内に設定され、
前記液体噴射ヘッドの噴射能力を回復させるためのメンテナンス処理において、前記メンテナンスパルス群を前記圧力発生手段に対して連続的に印加することで前記ノズルから液体を噴射させる1セットのメンテナンス処理を行う毎に、前記休止区間によりメンテナンス処理を一定時間休止することを特徴とする。
なお、「気泡を除去する」とは、液体流路中の気泡を液体内に溶解させる現象を含め、ノズルからの液体の噴射によって液体と共に気泡をノズルから排出させる現象を意味する。
【0011】
本発明によれば、1セットのメンテナンス処理が行われる毎に、メンテナンス処理が一定時間休止され、この休止区間では、休止時間がメニスカスの振動周期よりも十分に長い0.8秒以上20秒以下の範囲内に設定されるので、ノズルにおけるメニスカスの振動が安定化される。このため、途中に休止区間を設けることなく一度にメンテナンス処理を実行する場合と比較して、液体の噴射が安定するので、ミスト等の発生が抑制される。その結果、液体噴射ヘッドのノズル面がミスト等によって汚染されることが防止される。
また、休止区間において、液体に対する気泡の溶解が促進される。これにより、気泡の排出性を向上させることができる。その結果、メンテナンス処理の時間短縮に寄与することができる。
さらに、メンテナンス処理時の液体の噴射によってノズルの周囲に液体が付着する場合があるが、休止区間を設けることによって、この間にノズルにおける噴射側に押し出されていたメニスカスが液体流路内の負圧により圧力室側に移動し、このメニスカスの移動に伴ってノズルの周囲に付着していた液体がノズル側に引き込まれていく。これにより、メンテナンス処理によるノズル面の汚れを可及的に抑制することができる。
【0012】
また、上記実施形態において、前記ノズル群は、1つおきで並ぶノズル群からなる第1のノズル群グループと、当該第1のノズル群グループとは異なるノズル群からなる第2のノズル群グループとに分けられ、
前記制御手段は、前記第1のノズル群グループ又は前記第2のノズル群グループの一方に対して前記メンテナンスパルス群によりメンテナンス処理を実行している期間の少なくとも一部の期間において、他方に対しては前記休止区間によりメンテナンス処理を休止させる構成を採用することが望ましい。
【0013】
この構成によれば、1ノズル群ずつメンテナンス処理を行う構成と比較して、液体流路中の増粘液体や気泡をより効率良く除去することができ、メンテナンスに要する時間を削減することができる。
また、隣り合うノズル群同士で同時にメンテナンス処理が実行されないので、即ち、隣り合うノズル群同士で同時に液体が噴射されないので、隣接するノズル群の間で液体の噴射による気流が発生することが抑制され、噴射された液体の一部がミストとなってこの気流に乗ってノズル面に付着する不具合が防止される。
【0014】
さらに、上記実施形態において、前記メンテナンスパルス群を構成するメンテナンスパルスの数が多い程、前記休止区間の時間が長く設定される構成を採用することが望ましい。
【0015】
この構成によれば、メンテナンスパルス群を構成するメンテナンスパルスの数が多い程、1セットの噴射回数が多くなってその分メニスカスの振動が大きくなるが、休止区間の時間が長く設定されるので、メニスカスの振動を十分に収束させることができる。逆に、メンテナンスパルス群を構成するメンテナンスパルスの数が少ない程、休止区間の時間が短く設定されるので、メンテナンス処理に要する時間が無駄に長くなることが防止される。
【0016】
また、上記実施形態において、前記メンテナンス処理において前記圧力発生手段に印加されるメンテナンスパルスの総数が少なくとも5000以上であることが望ましい。
【0017】
この構成によれば、圧力発生手段に印加されるメンテナンスパルスの総数が少なくとも5000以上に設定されることで、メンテナンス処理によって十分な気泡排出効果が得られる。
【0018】
また、本発明は、圧力室に通じるノズルを列設してなるノズル群を複数有し、圧力発生手段の駆動により前記圧力室内の液体に圧力変動を生じさせて前記ノズルから液体を噴射する液体噴射ヘッドと、該液体噴射ヘッドによる噴射動作を制御する制御手段とを備えた液体噴射装置の制御方法であって、
前記圧力発生手段を駆動して液体流路中の気泡を除去するためのメンテナンスパルスを含むメンテナンス駆動信号が発生され、
前記駆動信号は、予め定められた規定数のメンテナンスパルス群を発生する毎に一定時間メンテナンスパルスが含まれない休止区間を発生し、
前記休止区間の時間が、0.8秒以上20秒以下の範囲内に設定され、
前記液体噴射ヘッドの噴射能力を回復させるためのメンテナンス処理において、前記メンテナンスパルス群を前記圧力発生手段に対して連続的に印加することで前記ノズルから液体を噴射させる1セットのメンテナンス処理を行う毎に、前記休止区間によりメンテナンス処理を一定時間休止することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】プリンターの構成を説明する斜視図である。
【図2】記録ヘッドの部分断面図である。
【図3】ノズルプレートの構成を説明する平面図である。
【図4】プリンターの電気的構成を説明するブロック図である。
【図5】気泡除去フラッシング用駆動信号の構成を説明する波形図である。
【図6】フラッシング用駆動パルスの構成を説明する波形図である。
【図7】気泡除去フラッシング処理について説明するタイミングチャートである。
【図8】休止時間に対するフラッシング効果について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための形態を、添付図面を参照して説明する。なお、以下に述べる実施の形態では、本発明の好適な具体例として種々の限定がされているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。また、以下においては、本発明の液体噴射装置として、インクジェット式記録装置(以下、プリンター)を例に挙げて説明する。
【0021】
図1は、このプリンター1の基本構成を説明する斜視図である。この図1に示すように、プリンター1は、ガイド軸2に取り付けられたキャリッジ3を有し、その下面には記録ヘッド4(本発明の液体噴射ヘッドの一種)が取り付けられている。また、このキャリッジ3の内部にはインクカートリッジを着脱可能に保持するカートリッジホルダー部が設けられている(何れも図示せず)。そして、キャリッジ3は、キャリッジモーター(パルスモーター)5の回転軸に接合された駆動プーリー6と遊転プーリー7との間に掛け渡されたタイミングベルト8に接続されており、キャリッジモーター5の駆動によって記録用紙9の幅方向(主走査方向)に移動する。即ち、キャリッジモーター5、駆動プーリー6、遊転プーリー7、及びタイミングベルト8によりキャリッジ移動機構51(図4参照)が構成される。
【0022】
上記のインクカートリッジは、インク(本発明の液体の一種)を貯留する貯留部材である。このインクは、インク溶媒中に色材を溶解或いは分散させたものであり、例えば、色材として顔料や染料が用いられ、インク溶媒として水が用いられる。そして、このインクカートリッジがカートリッジホルダー部に装着されると、カートリッジホルダー部に設けられたインク供給針(図示せず)がインクカートリッジ内に挿入される。このインク供給針は記録ヘッド4のインク流路(液体流路の一種。)に連通されているため、インク供給針が挿入されると、インクカートリッジ内のインクが記録ヘッド4内に供給可能な状態になる。なお、インクカートリッジとしては、プリンター本体(筐体)側に配置されてインク供給チューブを通じて記録ヘッド4に供給するタイプを採用することもできる。
【0023】
また、ガイド軸2の下方には、プラテン11が設けられている。このプラテン11は、記録用紙9を下方から支持する板状部材である。このプラテン11にはスポンジ等の吸液部材12が配設されている。また、この吸液部材12よりも紙送り上流側には、ガイド軸2と平行に紙送りローラー13が配置されている。この紙送りローラー13は、記録用紙9の搬送時において、紙送りモーター14(ステッピングモーター又はDCモーター)からの駆動力によって回転される。即ち、紙送りローラー13及び紙送りモーター14により紙送り機構52(図4参照)が構成される。
【0024】
キャリッジ3の移動範囲内であってプラテン11よりも外側の位置には、ホームポジションが設定されている。記録ヘッド4は、待機状態においてホームポジションに位置付けられる。このホームポジションには、記録ヘッド4のノズル形成面を払拭するためのワイパー機構15と、非記録状態においてノズル形成面を封止可能なキャッピング機構16とがガイド軸2に沿って横並びに配設されている。
【0025】
図2に示すように、記録ヘッド4は、圧力発生ユニット18と流路ユニット19とから構成されており、これらを重ね合わせた状態で一体化してある。圧力発生ユニット18は、圧力室21を区画するための圧力室プレート22、供給側連通口26及び第1連通口28aを開設した連通口プレート23、及び、圧電素子24を実装した振動板25と、を積層し、焼成等により一体化することで構成されている。また、流路ユニット19は、供給口27や第2連通口28bを形成した供給口プレート29、リザーバー30や第3連通口28cを形成したリザーバープレート31、及び、ノズル32が形成されたノズルプレート33からなるプレート部材を積層状態で接着することで構成されている。
【0026】
圧力室21とは反対側となる振動板25の外側表面には、各圧力室21にそれぞれ対応した状態で複数の圧電素子24が配設される。例示した圧電素子24は撓み振動モードの振動子であり、駆動電極24aと共通電極24bとによって圧電体24cを挟んで構成されている。そして、圧電素子24の駆動電極に駆動信号(駆動パルス)が印加されると、駆動電極24aと共通電極24bとの間には電位差に応じた電場が発生する。この電場は圧電体24cに付与され、圧電体24cが付与された電場の強さに応じて変形する。即ち、駆動電極24aの電位を高くする程、圧電体層20cは電場と直交する方向に収縮し、圧力室21の容積を少なくするように振動板25を変形させる。
【0027】
図3は、上記ノズルプレート33の構成を説明する平面図である。ノズルプレート33は、ドット形成密度に対応したピッチ(例えば180dpi)で複数のノズル32を列状に穿設した金属製の薄いプレートである。本実施形態において、このノズルプレート33は、ステンレス製の板材によって作製され、複数(例えば、180個)のノズル32から構成されるノズル列(本発明におけるノズル群の一種。)を複数有している。そして、本実施形態における記録ヘッド4は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の合計4種類のインクを噴射可能に構成されており、第1ノズル列Aから第4ノズル列Dまでの合計4列のノズル列が、各色に対応させてノズルプレート33に形成されている。各ノズル列は、1つおきで並ぶノズル列A,Cからなる第1のノズル列グループ(ノズル群グループ)と、当該第1のノズル列グループとは異なるノズル列B,Dからなる第2のノズル列グループとに分けられている。そして、後述するように、メンテナンス処理(気泡除去フラッシング処理)が、ノズル列グループ毎に交互に行われるように構成されている。
【0028】
図4はプリンター1の電気的な構成を示すブロック図である。このプリンター1は、プリンターコントローラー35とプリントエンジン36とで概略構成されている。プリンターコントローラー35は、本発明における制御手段に相当し、記録ヘッド4の圧電素子24を駆動するための駆動パルスを含む駆動信号を発生し、当該駆動パルスの電位変化によって圧電素子24を変形駆動させる。このプリンターコントローラー35は、ホストコンピュータ等の外部装置からの印刷データ等が入力される外部インターフェース(外部I/F)37と、各種データ等を記憶するRAM38と、各種データ処理のための制御ルーチン等を記憶したROM39と、各部の制御を行う制御部41と、クロック信号を発生する発振回路42と、記録ヘッド4へ供給する駆動信号を発生する駆動信号発生回路43と、印刷データをドット毎に展開することで得られる画素データや駆動信号等を記録ヘッド4に出力するための内部インターフェース(内部I/F)45と、を備えている。
【0029】
制御部41は、記録ヘッド4の動作を制御するためのヘッド制御信号を記録ヘッド4に出力したり、駆動信号を生成させるための制御信号を駆動信号発生回路43に出力したりする。制御部41は、記録ヘッド4の走査位置に応じてリニアエンコーダー53から出力されるエンコーダーパルスEPからタイミングパルスPTSを生成するタイミングパルス生成手段としても機能する。このタイミングパルスPTSは、駆動信号発生回路43が発生する駆動信号の発生開始タイミングを規定する信号である。駆動信号発生回路43は、このタイミングパルスPTSを受信する毎に駆動信号を出力する。換言すると、駆動信号は、タイミングパルスPTSで区切られる単位周期で繰り返し発生される。また、制御部41は、タイミングパルスPTSに同期して、ラッチ信号LATやチェンジ(チャンネル)信号CHを記録ヘッド4に出力する。ラッチ信号LATは、駆動信号の単位周期Tの開始タイミングを規定する信号であり、チェンジ信号CHは、駆動信号に含まれる駆動パルスの供給開始タイミングを規定する。
【0030】
駆動信号発生回路43は、記録用紙9等の記録媒体(着弾対象)に対してインクを噴射して画像等を記録するための駆動パルスを含む駆動信号を発生する。また、本実施形態における駆動信号発生回路43は、メンテナンスパルス(フラッシング駆動パルス)を含む複数のメンテナンス用駆動信号(気泡排出フラッシング用駆動信号)を発生可能に構成されている。このメンテナンス用駆動信号を用いたメンテナンス処理の詳細については後述する。
【0031】
次に、プリントエンジン36側の構成について説明する。プリントエンジン36は、記録ヘッド4と、キャリッジ移動機構51と、紙送り機構52と、リニアエンコーダー53と、から構成されている。記録ヘッド4は、シフトレジスター(SR)46、ラッチ47、デコーダー48、レベルシフター(LS)49、スイッチ50、及び圧電素子24を、各ノズル27に対応させて複数備えている。プリンターコントローラー35からの画素データ(SI)は、発振回路42からのクロック信号(CK)に同期して、シフトレジスター46にシリアル伝送される。
【0032】
シフトレジスター46には、ラッチ47が電気的に接続されており、プリンターコントローラー35からのラッチ信号(LAT)がラッチ47に入力されると、シフトレジスター46の画素データをラッチする。このラッチ47にラッチされた画素データは、デコーダー48に入力される。このデコーダー48は、2ビットの画素データを翻訳してパルス選択データを生成する。本実施形態におけるパルス選択データは、合計2ビットのデータによって構成されている。
【0033】
そして、デコーダー48は、ラッチ信号(LAT)又はチェンジ信号(CH)の受信を契機にパルス選択データをレベルシフター49に出力する。この場合、パルス選択データは、上位ビットから順にレベルシフター49に入力される。このレベルシフター49は、電圧増幅器として機能し、パルス選択データが「1」の場合、スイッチ50を駆動できる電圧、例えば数十ボルト程度の電圧に昇圧された電気信号を出力する。レベルシフター49で昇圧された「1」のパルス選択データは、スイッチ50に供給される。このスイッチ50の入力側には、駆動信号発生回路43からの駆動信号COMが供給されており、スイッチ50の出力側には、圧電素子24が接続されている。
【0034】
そして、パルス選択データは、スイッチ50の作動、つまり、駆動信号中の駆動パルスの圧電素子24への供給を制御する。例えば、スイッチ50に入力されるパルス選択データが「1」である期間中は、スイッチ50が接続状態になって、対応する駆動パルスが圧電素子24に供給され、この駆動パルスの波形に倣って圧電素子24の電位レベルが変化する。一方、パルス選択データが「0」である期間中は、レベルシフター49からはスイッチ50を作動させるための電気信号が出力されない。このため、スイッチ50は切断状態となり、圧電素子24へは駆動パルスが供給されない。
【0035】
次に、上記の構成において、記録ヘッド4の噴射能力を回復させるためのメンテナンス処理について説明する。
この種のプリンターでは、当該プリンターに新たに装着されたインクカートリッジ内のインクを記録ヘッドのインク流路に初期充填する際などにおいて、インクに空気(気泡)が混入する場合がある。そして、インクが充填されてから時間の経過と共に徐々にインク中に空気が溶解していき、最終的には飽和状態となる。このように空気が飽和状態まで溶解したインクを、適宜、飽和インクと呼ぶ。このような飽和インクでは、温度が高くなるほど溶解度が低下するので、印刷処理中にノズルから連続的にインクを噴射して圧力変動を繰り返したり、インクの温度が上昇したりすると、インク中に溶解していた空気が気泡となって現れ、インク流路内に蓄積していく。インク流路内に滞留する気泡はインクを噴射する際の圧力変化を吸収してしまい、これにより、上記の噴射不良が生じる虞がある。
【0036】
このため、本発明に係るプリンター1では、記録ヘッド4を正常な状態、即ち、噴射不良を防止してノズル32からのインクの噴射が適切に行われる状態に回復させるために、メンテナンス処理として気泡除去フラッシング処理を行う。この気泡除去フラッシング処理では、記録媒体に対して画像等の印刷を行うことを目的としてインクを噴射する印刷処理とは別に、後述するフラッシング駆動パルスを圧電素子24に印加してノズル32からインクを空噴射させることで、インクと共に気泡を排出させる。この気泡除去フラッシング処理は、例えば、プリンター1に新たに装着されたインクカートリッジのインクを記録ヘッド4内部に充填した後や、印刷処理中において一定の処理単位毎などに実行される。
【0037】
図5は、気泡除去フラッシング処理で用いられる気泡除去フラッシング用駆動信号COMを説明する図である。本実施形態において、プリンターコントローラー35の駆動信号発生回路43は、2つの駆動信号COM1,COM2を発生するように構成されている。第1駆動信号COM1は、上記の第1のノズル列グループ(ノズル列A,C)に属する各ノズル32に対応する圧電素子24を駆動するための駆動信号である。また、第2駆動信号COM2は、第2のノズル列グループ(ノズル列B,D)に属する各ノズル32に対応する圧電素子24を駆動するための駆動信号である。
【0038】
これらの駆動信号COM1,COM2には、連続した複数のフラッシング駆動パルスDP(本発明におけるメンテナンスパルスに相当)から構成されるフラッシングパルス群Pg(本発明におけるメンテナンスパルス群に相当)と、一定時間フラッシング駆動パルスDPが生じない休止区間Itと、が含まれる。一組のフラッシングパルス群Pgは、例えば、1000個のフラッシング駆動パルスDPから構成され、各フラッシング駆動パルスDPは、例えば、2kHzの周波数で発生される。また休止要素Itは、後述する基準電位VBで一定な部分である。この休止要素Itの時間(休止時間)Tiは、フラッシングパルス群Pgを構成するフラッシング駆動パルスDPの数に応じて、0.8秒以上20秒以内の値に設定される。例えば、フラッシング駆動パルスDPの数が少ないほど休止時間Tiが短く設定される一方、フラッシング駆動パルスDPの数が多いほど休止時間Tiが長く設定される。休止時間Tiは、メニスカスの振動周期Tm(例えば、0.1秒)よりも十分に長く、この休止期間においてフラッシングによるメニスカスの振動が十分に減衰される。そして、各駆動信号COM1,COM2では、互い違いとなるように上記フラッシングパルス群Pgと休止要素Itが交互に発生される。即ち、駆動信号COM1でフラッシングパルス群Pgが発生されている期間においては、駆動信号COM2で休止要素Itが発生され、駆動信号COM1で休止要素Itが発生されている期間においては、駆動信号COM2でフラッシングパルス群Pgが発生される。
【0039】
図6は、フラッシングパルス群Pgを構成するフラッシング駆動パルスDPの構成を説明する波形図である。なお、同図において横軸は時間、縦軸は電位を示す。また、駆動パルスの電位変化の基準となる電位、或いは、上記休止要素Itにおける電位である基準電位VBは、圧電素子24が圧力室21側に変位可能な範囲で変位して圧力室21を収縮させた状態に対応する電位(収縮電位)に調整されている。さらに、膨張電位VLは、圧電素子24が圧力室21とは反対側に変位可能な範囲の最大限に変位して圧力室21を膨張させた状態に対応する電位(膨張電位)である。
【0040】
フラッシング駆動パルスDPは、プリンター1の本来の目的として記録用紙9等の記録媒体にインクを噴射して画像等を記録するための通常の駆動パルスと比較して、圧電素子24を駆動したときに圧力室21内に生じる圧力変動が可能な限り大きくなるように設定された駆動パルスであり、これによりインク流路内の気泡に対してより確実に圧力変化を付与することができ、以て当該気泡の排出性が高められている。このフラッシング駆動パルスDPは、基準電位VB(収縮電位)から膨張電位VLまでマイナス側(第1の方向)に電位が変化して圧力室21を膨張させる膨張要素P11と、膨張電位VLを一定時間維持する膨張維持要素P12(ホールド要素)と、膨張電位VLから基準電位VBまでプラス側(第2の方向)に電位が変化して圧力室21を急激に収縮させる収縮要素P13と、から構成される。
【0041】
このフラッシング駆動パルスDPが圧電素子24に印加されると、まず、膨張要素P11によって圧電素子24は圧力室21から離隔する方向に撓み、これにより圧力室21が基準電位VBに対応する収縮容積から膨張電位VLに対応する膨張容積まで膨張する。この膨張により、ノズル32におけるメニスカスが圧力室21側に大きく引き込まれる。そして、この圧力室21の膨張状態は、膨張維持要素P12の供給期間中に亘って維持される。その後、収縮要素P13が印加されることで圧電素子24が圧力室21側に撓む。この圧電素子24の変位により、圧力室21は膨張容積から収縮容積まで急激に収縮される。この圧力室21の急激な収縮により圧力室21内のインクが加圧され、ノズル32からインクが噴射される。
【0042】
フラッシングタイミングが到来すると、プリンターコントローラー35は、キャリッジ移動機構51を制御して、記録ヘッド8をキャッピング機構16上或いはプラテン11の端部領域に設定されたフラッシングポイント上まで移動させ、この状態で気泡除去フラッシング処理(メンテナンス処理に相当)を実行する。この気泡除去フラッシング処理では、フラッシングパルス群Pgを構成する各フラッシング駆動パルスDPを圧電素子24に連続的に印加することにより、圧力室21内のインクに印刷処理時や他のフラッシング処理時よりも強い圧力変動を付与することで、キャッピング機構16のキャップ部材などのフラッシングポイントに対してノズル32からインクを空噴射させるフラッシングが行われる。この気泡除去フラッシング処理による比較的大きい(印刷処理における噴射時の圧力変化と比較して大きい)圧力変化が、記録ヘッド4のインク流路内に滞留している気泡に対して作用する。このような強い圧力変化を繰り返すことで、インク流路中の気泡がインク内に溶け込むことが促進される。これにより、インク流路中に滞留していた気泡をインクと共にノズル32から容易に排出することができる。
【0043】
図7は、気泡除去フラッシング処理について説明するタイミングチャートである。同図において、フラッシング区間は、1組のフラッシングパルス群Pgに属する各フラッシング駆動パルスDPが圧電素子24に順次印加されることによって、フラッシング駆動パルスDPの数に対応した回数のインクがノズル32から空噴射されて1セットのフラッシングが行われる区間である。1つのフラッシング駆動パルスDPによりノズル32から1回だけインクが噴射されるフラッシングの単位をフラッシングセグメントと呼び、本実施形態において1000フラッシングセグメントのフラッシングが1セットとなっている。また、休止区間は、駆動信号COMにおける休止要素Itに対応する区間である。この休止区間においては、圧電素子24の駆動が停止(基準電位VBに対応する変位状態で停止)されるので、圧力室21内には、圧電素子24の変位に基づく圧力変化は生じない。
【0044】
この気泡除去フラッシング処理において、プリンターコントローラー35は、第1のノズル列グループ(ノズル列A,C)に対しては上記第1駆動信号COM1を用いてフラッシングを行い、第2のノズル列グループ(ノズル列B,D)に対しては上記第2駆動信号COM2を用いてフラッシングを行う。そして、上述したように、各駆動信号COM1,COM2では、互い違いとなるように上記フラッシングパルス群Pgと休止要素Itが交互に発生されるので、図7に示すように、第1のノズル列グループが、1セットのフラッシングを行っている間(フラッシング区間)の少なくとも一部の期間では、第2のノズル列グループは休止区間となり、フラッシング処理が休止される(非フラッシング状態)。各ノズル列グループでは、1セットのフラッシングが行われる毎に、休止時間Tiだけフラッシングが一定時間休止される。そして、1つのノズル32あたり、トータルで5セットから10セットのフラッシングが、セット毎に休止区間を入れつつ実行される。即ち、各ノズル32に対して、合計5000フラッシングセグメントから10000フラッシングセグメントのフラッシングが行われることになる。フラッシングセグメントを少なくとも5000以上に設定することで、メンテナンス処理によって十分な気泡排出効果が得られる。
【0045】
ここで、図8は、休止時間Tiに対する気泡除去フラッシング処理の効果の度合いを示す図である。休止時間Tiが0.8秒よりも短い場合、液体に対する気泡の溶解が促進される時間が採れず、また、メニスカスの安定性も確保し難くなるため、気泡排出効果が低下する虞がある。また、休止時間Tiが20秒よりも長い場合、ノズル32からインクの溶媒の蒸発が進んでインクが増粘し、これによりインクが正常に噴射されなくなる虞がある。したがって、休止時間Tiを0.8秒以上20秒以下に設定することで、気泡除去フラッシング処理の効果を高めることができる。
また、フラッシングパルス群Pgを構成するフラッシング駆動パルスDPの数が多い程、1セットの噴射回数が多くなってその分メニスカスの振動が大きくなるが、その分、休止時間Tiが長く設定されるので、メニスカスの振動を十分に収束させることができる。逆に、フラッシングパルス群Pgを構成するフラッシング駆動パルスDPの数が少ない程、休止時間Tiが短く設定され、気泡除去フラッシング処理に要する時間が無駄に長くなることが防止される。
【0046】
このように1セットのフラッシングが行われる毎に、フラッシングを一定時間休止することにより、休止区間では、休止時間Tiがメニスカスの振動周期Tmよりも十分に長く設定されるので、ノズル32におけるメニスカスの振動が安定化される。このため、途中に休止区間を設けることなく一度に気泡除去フラッシング処理を実行する場合と比較して、インクの噴射が安定するので、インクミスト等の発生が抑制される。その結果、記録ヘッド4のノズル面(ノズルプレート33)がミスト等によって汚染されることが防止される。
【0047】
また、常に圧力変化を付与するよりも、圧力変化を一時的に中止して静止時間を置いた方がインクに対する気泡の溶解が促進されると考えられる。したがって、この休止区間を設けることにより、気泡の排出性を向上させることができる。その結果、メンテナンス処理時間の短縮に寄与することができる。
【0048】
さらに、フラッシング時のインクの噴射によってノズル32の周囲にインクが付着する場合があるが、休止区間を設けることによって、この間にノズル32における吐出側に押し出されていたメニスカスがインク流路内の負圧により圧力室21側に移動し、このメニスカスの移動に伴ってノズル32の周囲に付着していたインクがノズル32に引き込まれていく。これにより、フラッシング処理によるノズル面の汚れを可及的に抑制することができる。
【0049】
本実施形態では、複数のノズル列A〜Dが第1のノズル列グループと第2のノズル列グループとに分けられ、第1のノズル列グループ又は第2のノズル列グループの一方に対して気泡除去フラッシング処理を実行している期間の少なくとも一部の期間において、他方に対しては休止区間としてフラッシング処理を休止させる構成を採用しているので、1ノズル列ずつ気泡除去フラッシング処理を行う構成と比較して、インク流路中の増粘インクや気泡をより効率良く除去することができ、メンテナンスに要する時間を削減することができる。また、隣り合うノズル列同士の同時フラッシングを避けることができる。これにより、隣接ノズル列間で気流が発生することが抑制され、噴射されたインクの一部がミストとなってこの気流に乗って記録ヘッド4のノズルプレート33に付着する不具合が防止される。
【0050】
なお、上記各実施形態では、圧力発生手段として、所謂撓み振動型の圧電素子24を例示したが、これには限られず、例えば、所謂縦振動型の圧電素子を採用することも可能である。この場合、例示した駆動信号に関し、電位の変化方向、つまり上下が反転した波形となる。
【0051】
さらに、以上では、液体噴射装置の一種であるインクジェット式プリンター1を例に挙げて説明したが、本発明は、気泡の残留が問題となる他の液体噴射装置にも適用することができる。例えば、液晶ディスプレー等のカラーフィルターを製造するディスプレー製造装置,有機EL(Electro Luminescence)ディスプレーやFED(面発光ディスプレー)等の電極を形成する電極製造装置,バイオチップ(生物化学素子)を製造するチップ製造装置,ごく少量の試料溶液を正確な量供給するマイクロピペットにも適用することができる。
【符号の説明】
【0052】
1…プリンター,4…記録ヘッド,16…キャッピング機構,21…圧力室,24…圧電素子,32…ノズル,35…プリンターコントローラー,51…キャリッジ移動機構,52…紙送り機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力室に通じるノズルを列設してなるノズル群を複数有し、圧力発生手段の駆動により前記圧力室内の液体に圧力変動を生じさせて前記ノズルから液体を噴射する液体噴射ヘッドと、該液体噴射ヘッドによる噴射動作を制御する制御手段とを備えた液体噴射装置であって、
前記制御手段は、前記圧力発生手段を駆動して液体流路中の気泡を除去するためのメンテナンスパルスを含むメンテナンス駆動信号を発生可能に構成され、
前記駆動信号は、予め定められた規定数のメンテナンスパルス群を発生する毎に一定時間メンテナンスパルスが含まれない休止区間を発生し、
前記休止区間の時間が、0.8秒以上20秒以下の範囲内に設定され、
前記液体噴射ヘッドの噴射能力を回復させるためのメンテナンス処理において、前記メンテナンスパルス群を前記圧力発生手段に対して連続的に印加することで前記ノズルから液体を噴射させる1セットのメンテナンス処理を行う毎に、前記休止区間によりメンテナンス処理を一定時間休止することを特徴とする液体噴射装置。
【請求項2】
前記ノズル群は、1つおきで並ぶノズル群からなる第1のノズル群グループと、当該第1のノズル群グループとは異なるノズル群からなる第2のノズル群グループとに分けられ、
前記制御手段は、前記第1のノズル群グループ又は前記第2のノズル群グループの一方に対して前記メンテナンスパルス群によりメンテナンス処理を実行している期間の少なくとも一部の期間において、他方に対しては前記休止区間によりメンテナンス処理を休止させることを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置。
【請求項3】
前記メンテナンスパルス群を構成するメンテナンスパルスの数が多い程、前記休止区間の時間が長く設定されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の液体噴射装置。
【請求項4】
前記メンテナンス処理において前記圧力発生手段に印加されるメンテナンスパルスの総数が少なくとも5000以上であることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の液体噴射装置。
【請求項5】
圧力室に通じるノズルを列設してなるノズル群を複数有し、圧力発生手段の駆動により前記圧力室内の液体に圧力変動を生じさせて前記ノズルから液体を噴射する液体噴射ヘッドと、該液体噴射ヘッドによる噴射動作を制御する制御手段とを備えた液体噴射装置の制御方法であって、
前記圧力発生手段を駆動して液体流路中の気泡を除去するためのメンテナンスパルスを含むメンテナンス駆動信号が発生され、
前記駆動信号は、予め定められた規定数のメンテナンスパルス群を発生する毎に一定時間メンテナンスパルスが含まれない休止区間を発生し、
前記休止区間の時間が、0.8秒以上20秒以下の範囲内に設定され、
前記液体噴射ヘッドの噴射能力を回復させるためのメンテナンス処理において、前記メンテナンスパルス群を前記圧力発生手段に対して連続的に印加することで前記ノズルから液体を噴射させる1セットのメンテナンス処理を行う毎に、前記休止区間によりメンテナンス処理を一定時間休止することを特徴とする液体噴射装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−110716(P2011−110716A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−266238(P2009−266238)
【出願日】平成21年11月24日(2009.11.24)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】