説明

液体噴射装置

【課題】装置コストの上昇を抑えつつ、高い液体噴射効率を得ることができる液体噴射装置を提供する。
【解決手段】液体噴射装置1は、ワークW1,W2に対して液体を噴射する液体噴射ヘッド33と、第一ワークW1を載置する第一ワーク搬送テーブル24と、第二ワークW2を載置する第二ワーク搬送テーブル26と、第一ワーク搬送テーブル24と第二ワーク搬送テーブル26とを載置しつつ第一方向へ移動可能なスライダー23と、液体噴射ヘッド33及び第二ワーク搬送テーブルを駆動制御する制御部111と、を備え、第二ワーク搬送テーブル26は、第一ワーク搬送テーブル24の第二方向に並列配置されており、第一ワーク搬送テーブル24に対して、第二ワークW2を載置しつつ第一方向に相対移動可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
紫外線の照射を受けることによって硬化する機能液を記録媒体に向けて吐出することによって記録媒体に機能液を塗布し、記録媒体に塗布された機能液を紫外線の照射により硬化させることができる液滴吐出装置(液体噴射装置)がある。
このような液滴吐出装置は、例えば、機能液を液滴として吐出する液滴吐出ヘッドと、液滴吐出ヘッドを主走査方向に移動させるヘッド移動手段と、記録媒体を副走査方向に移動させる記録媒体移動手段と、機能液に紫外線を照射する紫外線照射装置等を備えている。
【0003】
そして、液滴吐出装置では、液滴吐出ヘッドの主走査方向において、複数の液滴吐出ヘッドからなるヘッドユニットの両側と記録媒体の搬送方向でヘッドユニットの下流側とに紫外線照射装置を配置したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−313445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
産業用途などに用いられる液体噴射装置では、高い生産能力(液体噴射効率)が求められる。高い液体噴射効率を得るためには、液体噴射ヘッドの走査速度等を高めたり、液体噴射ヘッドの数を増やすことが考えられる。
しかし、装置コストの上昇や、液体噴射の着弾精度などにおいて技術的な課題が多い。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑み、装置コストの上昇を抑えつつ、高い液体噴射効率を得ることができる液体噴射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
本発明に係る液体噴射装は、ワークに対して液体を噴射する液体噴射ヘッドと、第一ワークを載置する第一ワーク搬送テーブルと、第二ワークを載置する第二ワーク搬送テーブルと、前記第一ワーク搬送テーブルと前記第二ワーク搬送テーブルとを載置しつつ第一方向へ移動可能なスライダーと、前記液体噴射ヘッド及び前記第二ワーク搬送テーブルを駆動制御する制御部と、を備え、前記第二ワーク搬送テーブルは、前記第一ワーク搬送テーブルの前記第一方向と交差する第二方向に並列配置されており、前記第一ワーク搬送テーブルに対して、前記第二ワークを載置しつつ前記第一方向に相対移動可能であることを特徴とする。
【0008】
前記制御部は、前記液体噴射ヘッドからの液体噴射に先だって、前記第一ワーク搬送テーブルと前記第二ワーク搬送テーブルの前記第一方向における相対位置調整を行うことを特徴とする。
【0009】
前記第二ワーク搬送テーブルは、前記第一ワーク搬送テーブルに対して前記第二方向に相対移動可能であり、前記制御部は、前記液体噴射ヘッドからの液体噴射に先だって、前記第一ワーク搬送テーブルと前記第二ワーク搬送テーブルの前記第二方向における相対位置調整を行うことを特徴とする。
【0010】
前記制御部は、前記第一ワーク搬送テーブルを駆動制御可能であり、前記第一ワーク搬送テーブル及び前記第二ワーク搬送テーブルは、それぞれ、前記第一方向及び前記第二方向に直交する軸回りに回転可能であり、前記制御部は、前記液体噴射ヘッドからの液体噴射に先だって、前記第一ワーク搬送テーブルと前記第二ワーク搬送テーブルの前記軸周りにおける姿勢調整を行うことを特徴とする。
【0011】
前記第一ワーク搬送テーブル及び前記第二ワーク搬送テーブルの位置姿勢検出を行う検出部を備え、前記制御部は、前記検出部の検出結果に基づいて、前記第一ワーク搬送テーブルと前記第二ワーク搬送テーブルの位置調整および姿勢調整の少なくとも一方を行うことを特徴とする。
【0012】
前記液体噴射ヘッドからの液体噴射を制御する噴射制御部を備え、前記噴射制御部は、前記第一ワーク搬送テーブルと前記第二ワーク搬送テーブルの前記第二方向の間隔に基づいて液体噴射データを補正して、前記第一ワーク搬送テーブルに載置された前記第一ワーク及び前記第二ワーク搬送テーブルに載置された前記第二ワークに対して同一の走査の間に前記液体を噴射させることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係る液滴吐出装置1の概略構成を示す斜視図である。
【図2】キャリッジ7を示す側面図である(図1のA矢視図)。
【図3】キャリッジ7を示す底面図である。
【図4】吐出ヘッド33を示す断面図である(図2のB−B線に沿う断面図)。
【図5】ワーク搬送装置3の構成を示す平面図及び側面図である。
【図6】液滴吐出装置1の制御ブロック図である。
【図7】液滴吐出装置1による描画処理を示すフロー図である。
【図8】ワーク搬送装置の変形例(ワーク搬送装置4)を示す平面図及び側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態に係る液体噴射装置について図面を参照して説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0015】
図1は、本発明の実施形態に係る液滴吐出装置1の概略構成を示す斜視図である。
なお、図1のY方向はワークW(W1,W2)の移動方向(第一方向、副走査方向)を示し、X方向は平面視でY方向とは直交する方向を示している(第二方向、走査方向)。XY平面と直交する方向は、Z方向としている。
Y(−)側を上流側(一方側)、Y(+)側を下流側(他方側)と呼ぶ。
【0016】
液滴吐出装置(液体噴射装置)1は、ワーク搬送装置3、キャリッジ7及びキャリッジ搬送装置11等を有している。キャリッジ7には、ヘッドユニット13と2個の紫外線照射装置15が設けられている。
液滴吐出装置1では、ヘッドユニット13と基板などのワークWとの平面視での相対位置を変化させつつ、ヘッドユニット13から液状体を液滴として吐出させることによって、ワークWに液状体で所望のパターンを描画することができる。
【0017】
このような液滴吐出装置1は、例えば、樹脂フィルムなどのように、液状体が浸透しにくい記録媒体への描画に適用され得る。
また、液滴吐出装置1を、例えば、液晶表示パネル等に用いられるカラーフィルターの製造や、有機EL(Electro Luminescence)装置の製造などに適用することもできる。
赤、緑及び青の3色のフィルターエレメントを有するカラーフィルターの場合、液滴吐出装置1は、例えば、基板に赤、緑及び青の各着色層を形成する工程で好適に使用され得る。この場合、ヘッドユニット13から各着色層に対応する各液状体を、ワークWに液滴として吐出させることによって、ワークWに赤、緑及び青のそれぞれのフィルターエレメントのパターンが描画される。
また、有機EL装置の製造では、例えば、赤、緑及び青の画素ごとに、各色に対応する機能層(有機層)を形成する工程で好適に使用され得る。この場合、ヘッドユニット13から各色の機能層に対応する各液状体を、ワークWに液滴として吐出させることによって、ワークWに赤、緑及び青のそれぞれの機能層のパターンが描画される。
【0018】
図2は、キャリッジ7を示す側面図である(図1のA矢視図)。図3は、キャリッジ7を示す底面図である。
なお、図3では、ノズル37をわかりやすく示すため、ノズル37が誇張され、且つノズル37の個数が減じられている。
【0019】
ヘッドユニット13は、ヘッドプレート31と、吐出ヘッド33と、を有している。
吐出ヘッド(液体噴射ヘッド)33は、ノズル面35を有している。ノズル面35には、複数のノズル37が形成されている。
吐出ヘッド33において、複数のノズル37は、Y方向に沿って配列する4本のノズル列39を構成している。4本のノズル列39は、X方向に互いに隙間をあけた状態で並んでいる。各ノズル列39において、複数のノズル37は、Y方向に沿って所定のノズル間隔Pで形成されている。
以下において、4本のノズル列39のそれぞれが識別される場合に、ノズル列39a、ノズル列39b、ノズル列39c及びノズル列39dという表記が用いられる。
吐出ヘッド33において、ノズル列39aとノズル列39bとは、互いにY方向にP/2の距離だけずれている。ノズル列39c及びノズル列39dも、互いにY方向にP/2の距離だけずれている。
【0020】
2個の紫外線照射装置15(15a,15b)は、それぞれ、X方向にヘッドユニット13を挟んで互いに対峙する位置に設けられている。
紫外線照射装置15a,15bは、それぞれ、紫外光41を発する光源43を有している。光源43からの紫外光41は、吐出ヘッド33から吐出された機能液53(液状体)の硬化を促進させる。機能液53は、紫外光41の照射を受けると、硬化が促進する。
光源43としては、例えば、LED、LD、水銀ランプ、メクルハライドランプ、キセノンランプ、エキシマランプ等の種々の光源43が採用され得る。
【0021】
図4は、図2のB−B線における断面図である。
吐出ヘッド33は、ノズルプレート46と、キャビティープレート47と、振動板48と、複数の圧電崇子49と、を有している。
ノズルプレート46は、ノズル面35を有している。複数のノズル37は、ノズルプレート46に設けられている。
キャビティープレート47は、ノズルプレート46のノズル面35とは反対側の面に設けられている。キャビティープレート47には、複数のキャビティー51が形成されている。各キャビティー51は、各ノズル37に対応して設けられており、対応する各ノズル37に連通している。各キャビティー51には、不図示のタンクから機能液53が供給される。
【0022】
振動板48は、キャビティープレート47のノズルプレート46側とは反対側の面に設けられている。振動板48は、Z方向に振動(縦振動)することによって、キャビティー51内の容積を拡大したり、縮小したりする。
複数の圧電崇子49は、それぞれ、振動板48のキャビティープレート47側とは反対側の面に設けられている。各圧電崇子49は、各キャビティー51に対応して設けられており、振動板48を挟んで各キャビティー51に対向している。各圧電素子49は、駆動信号に基づいて、伸長する。
これにより、振動板48がキャビティー51内の容積を縮小する。このとき、キャビティー51内の機能液53に圧力が付与される。その結果、ノズル37から、機能液53が液滴(液体)55として吐出される。吐出ヘッド33による液滴55の吐出法は、インクジェット法の1つである。インクジェット法は、塗布法の1つである。
【0023】
そして、吐出ヘッド33は、ノズル面35がヘッドプレート31から突出した状態で、ヘッドプレート31に支持されている。さらに、ヘッドユニット13は、キャリッジ7に支持されている。ヘッドユニット13は、ノズル面35がZ方向の下方に向けられた状態でキャリッジ7に支持されている。
このようにして、ワークWには、吐出ヘッド33から機能液53が塗布され得る。
【0024】
なお、本実施形態では、縦振動型の圧電素子49が採用されているが、機能液53に圧力を付与するための加圧手段は、これに限定されず、例えば、下電極と圧電休層と上電極とを積層形成した撓み変形型の圧電素子も採用され得る。
また、加圧手段としては、振動板と電極との間に静電気を発生させて、静電気力によって振動板を変形させてノズルから液滴を吐出させるいわゆる静電式アクチュエーターなども採用され得る。さらに、発熱体を用いてノズル内に泡を発生させ、その泡によって機能液に圧力を付与する構成も採用され得る。
【0025】
機能液53としては、光の照射を受けることによって硬化が促進する機能液53が採用されている。また、機能液53の硬化を促進させる光として、紫外光41が採用されている。
機能液53は、樹脂材料、光重合開始剤及び溶媒を、成分として含んでいる。これらの成分に、顔料や染料等の色素や、親液性や撥液性等の表面改質材料などの機能性材料身添加することによって固有の機能を有する機能液53を生成することができる。顔料や染料等の色素を含有する機能液53は、例えば、ワークWに描画する画像を形成するための機能液53として採用され得る。
以下において、ワークWに描画する画像を形成するための機能液53は、画像塗料と呼ばれる。
【0026】
また、機能液53の成分としての樹脂材料に、例えば、アクリル系の樹脂材料などの光透過性を有する樹脂材料身採用することによって、光透過性を有する機能液53を構成することができる。このような光透過性を有する機能液53は、例えば、クリアインクとしての用途が考えられる。以下において、光透過性を有する機能液53は、透光塗料と呼ばれる。
クリアインクの用途としては、例えば、画像を被覆するオーバーコート層としての用途や、画像を形成する前の下地層としての用途などが考えられる。以下において、下地層として適用される機能液53は、下地塗料と呼ばれる。
下地塗料としては、透光塗料だけでなく、透光塗料に種々の顔料を添加した機能液53を採用することもできる。例えば、白色を呈する機能液53や、金属的な光沢(メタリッ列を示す機能液53なども、下地塗料として採用され得る。
【0027】
機能液53における樹脂材料は、樹脂膜を形成する材料である。このような樹脂材料としては、常温で液状であり、重合させることによってポリマーとなる材料であれば特に限定されない。樹脂材料としては、粘性が小さいものが好ましく、オリゴマーの形態であるのが好ましい。さらに、樹脂材料としては、モノマーの形態であることが一層好ましい。
光重合開始剤は、ポリマーの架橋吐基に作用して架橋反応を進行させる添加剤である。光重合開始剤としては、例えば、ペンジルジメチルケタールなどが採用され得る。本実施形態では、光重合開始剤として、ラジカル型の光重合開始剤が採用されている。ラジカル型の光重合開始剤としては、例えば、チバ・ジャパン(株)社製のイルガキュア819などが採用され得る。
溶媒は、樹脂材料の粘度を調整するためのものである。
【0028】
図1に戻り、キャリッジ搬送装置11は、架台101と、ガイドレール103と、を有している。
架台101は、X方向に延在しており、ワーク搬送装置3をX方向にまたいでいる。架台101は、ワーク搬送装置3の上面に対向している。架台101は、一対の支柱107によって支持されている。二対の支柱107(107a,107b)は、定盤21を挟んでX方向に互いに対峙する位置に設けられている。
支柱107は、ワーク搬送装置3よりもZ方向の上方に突出している。これにより、架台101とワーク搬送装置3との間には、隙間が保たれている。
【0029】
ガイドレール103は、架台101の定盤21側に設けられている。ガイドレール103は、X方向に沿って延在しており、架台101のX方向における幅にわたって設けられている。
キャリッジ7は、ガイドレール103に支持されている。キャリッジ7がガイドレール103に支持された状態において、吐出ヘッド33のノズル面35は、Z方向において、ワーク搬送装置3に対向している。
キャリッジ7は、ガイドレール103によってX方向に沿って案内され、X方向に往復動可能な状態でガイドレール103に支持されている。
なお、平面視で、キャリッジ7がワーク搬送装置3に重なっている状態において、ノズル面35とワーク搬送装置3の上面(後述する載置面24a,26a)とは、互いに隙間を保った状態で対向する。
【0030】
キャリッジ7は、不図示の移動機構及び動力源によって、X方向に往復動可能に構成されている。移動機構としては、例えば、ボールねじやリニアガイドなどを利用した機構が採用され得る。
また、本実施形態では、キャリッジ7をX方向に沿って移動させるための動力源として、不図示のキャリッジ搬送モーターが採用されている。キャリッジ搬送モーターとしては、ステッピングモーター、サーボモーター、リニアモーターなどの種々のモーターが採用され得る。
キャリッジ搬送モーターからの動力は、移動機構を介してキャリッジ7に伝達される。これにより、キャリッジ7は、ガイドレール103に沿って往復移動することができる。つまり、キャリッジ搬送装置11は、キャリッジ7に支持されたヘッドユニット13を、X方向に沿って往復移動させることができる。
液滴吐出装置1では、吐出ヘッド33をワークW(ワークW1,W2)に対向させた状態で、吐出ヘッド33とワークWとを相対的に往復移動させながら、吐出ヘッド33から液滴55を吐出させることによって、ワークWへのパターンの描画が行われる。
【0031】
図5は、ワーク搬送装置3の構成を示す平面図及び側面図である。
ワーク搬送装置3は、床面Fに載置された定盤21、定盤21に対してY方向(第一方向)に移動可能なスライダー23、スライダー23に載置された第一ワークテーブル24、スライダー23に載置されると共にスライダー23に対してY方向に移動可能な第二ワークテーブル26等を備えている。
【0032】
定盤21は、例えば金属製のフレーム等の熱膨張係数が小さい材料で構成されており、Y方向に沿って延びるように据えられている。
定盤21の上面21aには、2本のガイドレール22が平行に敷設される。ガイドレール22は、互いにX方向に隙間をあけた状態で並んで、Y方向に沿って延在している。
【0033】
スライダー23は、ガイドレール22を挟んで定盤21の上面21aに対向した状態で設けられている。スライダー23は、ガイドレール22によってY方向に沿って案内され、定盤21上をY方向に沿って往復移動可能に構成されている。
スライダー23の上面23aと下面は、ほぼ平行に形成される。そして、スライダー23の上面23aのX(+)側(第二方向の一方側)には、ワークW1が載置される第一ワークテーブル(第一ワーク搬送テーブル)24が配置される。スライダー23の上面23aのX(−)側(第二方向の他方側)には、ワークW2が載置される第二ワークテーブル(第二ワーク搬送テーブル)26が配置される。
第一ワークテーブル24と第二ワークテーブル26は、平面視においてほぼ同一形状を有しており、スライダー23の上面23a上においてX方向に所定の間隙を有して並列に近接配置される。
【0034】
スライダー23の上面23aのX(−)側には、2本のガイドレール28が平行に敷設される。ガイドレール28は、互いにX方向に隙間をあけた状態で並んで、Y方向に沿って延在している。これにより、第二ワークテーブル26は、Y方向に沿って案内され、スライダー23上をY方向に沿って往復移動可能に構成されている。
【0035】
第一ワークテーブル24及び第二ワークテーブル26は、それぞれ、ワークW(ワークW1,W2)が載置される面である載置面24a,26aを有している。載置面24a,26aは、スライダー23側とは反対側(上側)に向けられている。
載置面24a,26aは、Z方向の同一位置(高さ)において同一面内に位置するように調整されている。つまり、吐出ヘッド33のノズル面35から載置面24aまでの距離と載置面24aまでの距離は、同一距離に設定されている。
更に、第一ワークテーブル24及び第二ワークテーブル26は、それぞれ、載置面24a,26aをスライダー23に対してZ方向回りに回転させるθ1回転機構25、θ2回転機構27を備えている。
【0036】
スライダー23及び第二ワークテーブル26は、それぞれ、不図示の移動機構及び動力源によって、Y方向に往復動可能に構成されている。移動機構としては、例えば、ボールねじやリニアガイドなどを利用した機構が採用され得る。
θ1回転機構25、θ2回転機構27としては、例えば、円弧形ガイドやクロスローラリングなどを利用した機構が採用され得る。
【0037】
スライダー23及び第二ワークテーブル26をY方向に沿って移動させるための動力源として、ステッピングモーター、サーボモーター、リニアモーターなどの種々のモーターが採用され得る(スライダー搬送モーター123、第二ワークテーブル搬送モーター124)。
同様に、θ1回転機構25、θ2回転機構27の動力源として、ステッピングモーター、サーボモーター、リニアモーターなどの種々のモーターが採用され得る(第一ワークテーブル回転モーター125、第二ワークテーブル回転モーター126)。
【0038】
これにより、ワーク搬送装置3は、スライダー23をY方向に移動させることにより、第一ワークテーブル24の載置面24aに載置されたワークW1と、第二ワークテーブル26の載置面26aに載置されたワークW2を、同時にY方向に沿って往復移動させることができる。
また、スライダー23に対して第二ワークテーブル26をY方向に移動させることにより、第一ワークテーブル24に対する第二ワークテーブル26のY方向の位置を調整可能である。つまり、ワークW1とワークW2のY方向の相対位置を調整可能である。
同様に、θ1回転機構25、θ2回転機構27を駆動することにより、スライダー23に対する第一ワークテーブル24及び第二ワークテーブル26のZ方向回りの姿勢をそれぞれ独立に調整可能である。つまり、吐出ヘッド33に対するワークW1とワークW2のZ方向回りの相対姿勢を調整可能である。
【0039】
第一ワークテーブル24の載置面24a及び第二ワークテーブル26の載置面26aには、それぞれアライメントマーク24b,26bが貼付又は刻印されている。
このアライメントマーク24b,26bは、ワーク搬送装置3の上流側(Y(−)側)に配置されたアライメントカメラ61,62により検出される。
そして、アライメントカメラ61,62によるアライメントマーク24b,26bの検出結果に基づいて、第一ワークテーブル24に対する第二ワークテーブル26のY方向の位置調整、すなわちワークW1とワークW2のY方向の相対位置の調整が行われる。
同様に、アライメントカメラ61,62によるアライメントマーク24b,26bの検出結果に基づいて、スライダー23(定盤21)に対する第一ワークテーブル24及び第二ワークテーブル26のZ方向回り(θ方向)の姿勢調整、すなわち吐出ヘッド33に対するワークW1及びワークW2のZ方向回りの相対姿勢の調整も行われる。
【0040】
アライメントカメラ(検出部)61,62は、ワーク搬送装置3の上流側に配置される。
ワーク搬送装置3の上流側において、架台101を支持する一対の支柱107には、カメラ支持部材65が架台101と平行となるように架け渡されている。そして、カメラ支持部材65に対して、アライメントカメラ61,62が第一ワークテーブル24の載置面24a及び第二ワークテーブル26に対向するようにして配置されている。
なお、アライメントカメラ61,62の配置位置は、図1に示される位置に限定されず、ワークW(ワークW1,W2)を給材した位置でアライメントマーク24b,26bを取り込める位置であればよい。
【0041】
図6は、液滴吐出装置1の制御ブロック図である。
液滴吐出装置1は、上記各構成の動作を制御する制御部111を有している。制御部111は、CPU(Central Processing Unit)113と、制御部115と、メモリー部117と、を有している。制御部115及びメモリー部117は、バス119を介してCPU113に接続されている。
また、液滴吐出装置1は、キャリッジ搬送モーター121、スライダー搬送モーター123、第二ワークテーブル搬送モーター124、第一ワークテーブル回転モーター125、第二ワークテーブル回転モーター126、入力装置129、表示装置131等を有している。これらは、それぞれ、入出力インターフェース133とバス119とを介して制御部111に接続されている。
また、アライメントカメラ61,62も、入出力インターフェース133とバス119とを介して制御部111に接続されている。
【0042】
キャリッジ搬送モーター121は、キャリッジ7を駆動するための動力を発生させる。
スライダー搬送モーター123は、スライダー23を駆動するための動力を発生させる。第二ワークテーブル搬送モーター124は、第二ワークテーブル26を駆動するための動力を発生させる。
第一ワークテーブル回転モーター125は、θ1回転機構25を駆動するための動力を発生させる。第二ワークテーブル回転モーター126は、θ2回転機構27を駆動するための動力を発生させる。
【0043】
入力装置129は、各種の加工条件を入力する装置である。表示装置131は、加工条件や、作業状況を表示する装置である。液滴吐出装置1を操作するオペレーターは、表示装置131に表示される情報を確認しながら、入力装置129を介して種々の情報を入力することができる。
吐出ヘッド33、紫外線照射装置15a,15bも、それぞれ、入出力インターフェース133とバス119とを介して制御部111に接続されている。
【0044】
CPU113は、プロセッサーとして各種の演算処理を行う。制御部115は、各構成の駆動を制御する。メモリー部117は、RAM(Random Access Memory)や、ROM(Read Only Memory)などを含んでいる。
メモリー部117には、液滴吐出装置1における動作の制御手順が記述されたプログラムソフト135を記憶する領域や、各種のデータを一時的に展開する領域であるデータ展開部137などが設定されている。データ展開部137に展開されるデータとしては、例えば、描画すべきパターンが示される描画データや、描画処理等のプログラムデータなどが挙げられる。
制御部115は、モーター制御部141と、吐出制御部145と、照射制御部147と、表示制御部151と、を有している。
【0045】
モーター制御部141は、CPU113からの指令に基づいて、キャリッジ搬送モーター121の駆動及びスライダー搬送モーター123の駆動を個別に制御する。
また、モーター制御部141は、アライメントカメラ61,62からの検出結果に基づいて、第二ワークテーブル26を駆動して、第一ワークテーブル24と第二ワークテーブル26のY方向の相対位置を調整する。同様に、モーター制御部141は、アライメントカメラ61,62からの検出結果に基づいて、θ1回転機構25、θ2回転機構27を駆動して、第一ワークテーブル24及び第二ワークテーブル26のZ方向回りの姿勢を個別に制御する。
【0046】
吐出制御部(噴射制御部)145は、CPU113からの指令に基づいて、吐出ヘッド33の駆動を制御する。
照射制御部147は、CPU113からの指令に基づいて、紫外線照射装置15a,15bのそれぞれにおける光源43の発光状態を個別に制御する。
表示制御部151は、CPU113からの指令に基づいて、表示装置131の駆動を制御する。
【0047】
次に、液滴吐出装置1における描画処理について説明する。
図7は、液滴吐出装置1による描画処理を示すフロー図である。
液滴吐出装置1では、制御部111が入力装置129から入出力インターフェース133及びバス119を介して描画データを受け取ると、CPU113によって、図7に示す描画処理が開始される。
描画データは、機能液53(液状体)により、ワークW(ワークW1,W2)に描画すべきパターンを指示するものであり、描画すべきパターンがビットマップ状に表現されている。ワークWへのパターンの描画は、吐出ヘッド33をワークWに対向させた状態で、吐出ヘッド33とワークWとを相対的に往復移動させながら、吐出ヘッド33から液滴55を所定周期で吐出させることによって行われる。
【0048】
最初に、CPU113は、ステップS1において、キャリッジ搬送指令をモーター制御部141に出力する。このとき、モーター制御部141は、キャリッジ搬送モーター121の駆動を制御して、キャリッジ7を往路開始位置に移動させる。
液滴吐出装置1では、描画エリアが設定されている。描画エリアは、
第一ワークテーブル24及び第二ワークテーブル26によってY方向に沿って描かれる軌跡と、吐出ヘッド33によってX方向(走査方向)に沿って描かれる軌跡とが重なり合う領域である。
そして、往路開始位置は、キャリッジ7をX方向に沿って往復移動させるときの往路が開始する位置である。往路開始位置は、平面視で、描画エリアの外側に位置している。往路開始位置は、平面視で、描画エリアの支柱107a側に位置している。
【0049】
次いで、ステップS2において、CPU113は、ワーク搬送指令をモーター制御部141に出力する。このとき、モーター制御部141は、スライダー搬送モーター123の駆動を制御して、ワークW(ワークW1,W2)を描画エリアに向けて移動させる。
この際、モーター制御部141は、第二ワークテーブル搬送モーター124、第一ワークテーブル回転モーター125及び第二ワークテーブル回転モーター126の駆動も制御する。
具体的には、第一ワークテーブル24及び第二ワークテーブル26がアライメントカメラ61,62の下方を通過した際に、第一ワークテーブル24及び第二ワークテーブル26の載置面24a,26aに刻印されたアライメントマークを検出する。そして、アライメントカメラ61,62の検出結果に基づいて、制御部111が第一ワークテーブル24と第二ワークテーブル26の位置・姿勢を求める。更に、モーター制御部141が、第一ワークテーブル24と第二ワークテーブル26の位置・姿勢(Y,θ)が所定の範囲内となるように、第二ワークテーブル搬送モーター124、第一ワークテーブル回転モーター125及び第二ワークテーブル回転モーター126を駆動制御する。つまり、ワークW1,W2のY方向の相対位置と、吐出ヘッド33に対するワークW1,W2のZ方向周り(θ方向)の姿勢が調整される。具体的には、ワークW1,W2のX方向の両端が同一直線上において平行となるように調整される。
そして、ワークW1,W2の位置・姿勢(Y,θ)の調整が完了すると、第二ワークテーブル搬送モーター124、第一ワークテーブル回転モーター125及び第二ワークテーブル回転モーター126を停止させて、第一ワークテーブル24と第二ワークテーブル26の位置・姿勢(Y,θ)が固定され、ワークW1,W2が位置ずれ・回転ずれが防止される。
【0050】
また、吐出制御部145は、アライメントカメラ61,62の検出結果に基づいて求められたワークW1とワークW2の走査方向の距離に基づいて、描画データを補正する。
具体的には、まず、ワークW1とワークW2の走査方向の距離に対応する無吐出画像データを生成する。次いで、描画データのうち、ワークW1に対する描画データとワークW2に対する描画データとの間に、生成した無吐出画像データを挿入して、一つの描画データを生成する。つまり、描画データにおけるワークW1,W2への吐出開始位置を、実際のワークW1,W2の位置に合わせ込むように補正する。
これにより、ワークW1,W2に対する描画処理を一つの描画データを用いて、キャリッジ7を途中で停止させることなく連続的に行うことが可能となる。
【0051】
次に、ステップS3において、CPU113は、キャリッジ走査指令をモーター制御部141に出力する。このとき、モーター制御部141は、キャリッジ搬送モーター121の駆動を制御して、キャリッジ7の往復移動を開始させる。
ここで、キャリッジ7の往復移動では、キャリッジ7は、上述した往路開始位置と復路開始位置との間を往復移動する。つまり、往路開始位置から復路開始位置で折り返して往路開始位置に戻る経路がキャリッジ7の1往復である。このため、往路開始位置から復路開始位置に向かう経路がキャリッジ7の往路である。他方で、復路開始位置から往路開始位置に向かう経路がキャリッジ7の復路である。
なお、復路開始位置は、X方向に描画エリアを挟んで往路開始位置に対峙する位置である。復路開始位置は、平面視で、描画エリアの外側に位置している。このため、往路開始位置と復路開始位置とは、平面視で、描画エリアをX方向に挟んで互いに対峙している。復路開始位置は、平面視で、描画エリアの支柱107b側に位置している。
【0052】
次いで、ステップS4において、CPU113は、紫外線照射装置15aに対する照射指令を照射制御部147に出力する。このとき、照射制御部147は、紫外線照射装置15aの光源43の駆動を制御して、紫外線照射装置15aの光源43を点灯させる。
次いで、ステップS5において、CPU113は、吐出ヘッド33の位置が往路における描画開始位置に到達したか否かを判定する。ここで、描画開始位置は、描画エリア内で吐出ヘッド33から液滴55の吐出を開始させる位置である。
このとき、吐出ヘッド33の位置が描画開始位置に到達した(Yes)と判定されると、処理がステップS6に移行する。他方で、吐出ヘッド33の位置が描画開始位置に到達していない(No)と判定されると、吐出ヘッド33の位置が描画開始位置に到達するまで処理が待機される。
次いで、ステップS6において、CPU113は、吐出指令を吐出制御部145に出力する。このとき、吐出制御部145は、吐出ヘッド33の駆動を制御して、描画データに基づいて、各ノズル37から液滴55を吐出させる。これにより、往路での描画が開始される。
【0053】
次いで、ステップS7において、CPU113は、吐出ヘッド33の位置が往路における描画停止位置に到達したか否かを判定する。ここで、描画停止位置は、描画エリア内で吐出ヘッド33から液滴55の吐出を停止させる位置である。
このとき、吐出ヘッド33の位置が描画停止位置に到達した(Yes)と判定されると、処理がステップS8に移行する。他方で、吐出ヘッド33の位置が描画停止位置に到達していない(No)と判定されると、吐出ヘッド33の位置が描画停止位置に到達するまで処理が待機される。
【0054】
次いで、ステップS8において、CPU113は、吐出停止指令を吐出制御部145に出力する。このとき、吐出制御部145は、吐出ヘッド33の駆動を停止して、各ノズル37からの液滴55の吐出を停止させる。これにより、往路での描画が終了する。
次いで、ステップS9において、CPU113は、紫外線照射装置15aに対する照射停止指令を照射制御部147に出力する。このとき、照射制御部147は、紫外線照射装置15aの光源43の駆動を制御して、紫外線照射装置15aの光源43を消灯させる。
【0055】
次いで、ステップS10において、CPU113は、キャリッジ7の位置が復路開始位置に到達したか否かを判定する。このとき、キャリッジ7の位置が復路開始位置に到達した(Yes)と判定されると、処理がステップS11に移行する。他方で、キャリッシ7の位置が復路開始位置に到達していない(No)と判定されると、キャリッジ7の位置が復路開始位置に到達するまで処理が待機される。
次いで、ステップS11において、CPU113は、改行指令をモーター制御部141に出力する。このとき、改行指令を受けたモーター制御部141は、スライダー搬送モーター123の駆動を制御して、ワークWをY(+)側に移動(改行)させ、ワークWにおいてパターンを描画すべき新たな領域を描画エリアに移動させる。
【0056】
次いで、ステップS12では、CPU113は、描画データが終了したか否かを判定する。このとき、描画データが終了した(Yes)と判定されると、処理がステップS13に移行する。他方で、描画データが終了していない(No)と判定されると、処理がステップS14に移行する。
ステップS13では、CPU113は、キヤリッジ7の位置が往路開始位置に到達したか否かを判定する。このとき、キャリッジ7の位置が往路開始位置に到達した(Yes)と判定されると、処理がステップS24に移行する。他方で、キャリッジ7の位置が往路開始位置に到達していない(No)と判定されると、キャリッジ7の位置が往路開始位置に到達するまで処理が待機される。
【0057】
次いで、ステップS14において、CPU113は、紫外線照射装置15bに対する照射指令を照射制御部147に出力する。このとき、照射制御部147は、紫外線照射装置15bの光源43の駆動を制御して、紫外線照射装置15bの光源43を点灯させる。
次いで、ステップS15において、CPU113は、吐出ヘッド33の位置が復路における描画開始位置に到達したか否かを判定する。このとき、吐出ヘッド33の位置が描画開始位置に到達した(Yes)と判定されると、処理がステップS16に移行する。他方で、吐出ヘッド33の位置が描画開始位置に到達していない(No)と判定されると、吐出ヘッド33の位置が描画開始位置に到達するまで処理が特機される。
次いで、ステップS16において、CPU113は、吐出指令を吐出制御部145に出力する。このとき、吐出制御部145は、吐出ヘッド33の駆動を制御して、描画データに基づいて、各ノズル37から液滴55を吐出させる。これにより、復路での描画が開始される。
【0058】
次いで、ステップS17において、CPU113は、吐出ヘッド33の位置が復路における描画停止位置に到達したか否かを判定する。このとき、吐出ヘッド33の位置が描画停止位置に到達した(Yes)と判定されると、処理がステップS18に移行する。他方で、吐出ヘッド33の位置が描画停止位置に到達していない(No)と判定されると、吐出ヘッド33の位置が描画停止位置に到達するまで処理が待機される。
次いで、ステップS18において、CPU113は、吐出停止指令を吐出制御部145に出力する。このとき、吐出制御部145は、吐出ヘッド33の駆動を停止して、各ノズル37からの液滴55の吐出を停止させる。これにより、復路での描画が終了する。
次いで、ステップS19において、CPU113は、紫外線照射装置15bに対する照射停止指令を照射制御部147に出力する。このとき、照射制御部147は、紫外線照射装置15bの光源43の駆動を制御して、紫外線照射装置15bの光源43を消灯させる。
【0059】
次いで、ステップS20において、CPU113は、キャリッジ7の位置が往路開始位置に到達したか否かを判定する。このとき、キャリッジ7の位置が往路開始位置に到達した(Yes)と判定されると、処理がステップS21に移行する。他方で、キャリッジ7の位置が往路開始位置に到達していない(No)と判定されると、キャリッジ7の位置が往路開始位置に到達するまで処理が待機される。
次いで、ステップS21において、CPU113は、改行指令をモーター制御部141に出力する。このとき、改行指令を受けたモーター制御部141は、スライダー搬送モーター123の駆動を制御して、ワークWをY(+)側に移動(改行)させ、ワークWにおいてパターンを描画すべき新たな領域を描画エリアに移動させる。
次いで、ステップS22において、CPU113は、描画データが終了したか否かを判定する。このとき、描画データが終了した(Yes)と判定されると、処理がステップS23に移行する。他方で、描画データが終了していない(No)と判定されると、処理がステップS4に移行する。
【0060】
ステップS23では、CPU113は、キャリッジ7の位置が復路開始位置に到達したか否かを判定する。このとき、キャリッジ7の位置が復路開始位置に到達した(Yes)と判定されると、処理がステップS24に移行する。他方で、キャリッジ7の位置が復路開始位置に到達していない(No)と判定されると、キャリッジ7の位置が復路開始位置に到達するまで処理が待機される。
次いで、ステップS24において、CPU113は、キャリッジ走査停止指令をモーター制御部141に出力してから、処理を終了させる。このとき、キャリッジ走査停止指令を受けたモーター制御部141は、キャリッジ搬送モーター121の駆動を制御して、キャリッジ7の往復移動を停止させる。
【0061】
以上、説明したように、液滴吐出装置1によれば、一つのヘッドユニット13(キャリッジ7)の1回の走査の間に、2つのワークW1,W2に対して同一の走査の間に描画処理を行うことができるので、高い描画能力(液体噴射効率)を実現することができる。
また、ワークW1,W2を載置する第一ワークテーブル24,第二ワークテーブル26が同時にY方向に移動すると共に、第二ワークテーブル26が第一ワークテーブル24に対して位置調整可能に構成したので、少ない軸構成(移動機構)によりワークW1,W2の位置姿勢の調整を実現することができる。したがって、装置コストの上昇を最小限に抑えることができる。
【0062】
本実施形態では、ステップS2において吐出制御部145が、アライメントカメラ61,62の検出結果に基づいて求められたワークW1とワークW2の走査方向の距離に基づいて、描画データを補正する例を示したが、これに限らない。画像データの補正は行わずに、X方向における吐出タイミングを補正することで対応しても良い。
このときワークW1,W2に対する描画処理は、キャリッジ7を途中で停止させることなく連続的に行うように制御しておく。
また、本実施形態では、スライダー23と第一ワークテーブル24とを別々に構成したが、一体に構成するようにしても良い。
【0063】
図8は、ワーク搬送装置の変形例を示す平面図及び側面図である。なお、ワーク搬送装置3と同一の構成部材等には、同一の符号を付してその説明を省略する。
ワーク搬送装置4は、第二ワークテーブル26とスライダー23との間に、副走査方向(Y方向(第一方向))に敷設されたガイドレール28に加えて、走査方向(X方向(第二方向))に敷設されたガイドレール29が設けられている。これにより、第二ワークテーブル26は、X方向及びY方向に沿って案内され、スライダー23上をX方向及びY方向に沿って往復移動可能に構成されている。
これにより、第一ワークテーブル24と第二ワークテーブル26のX方向の間隔を正確に調整することが可能となる。
【0064】
また、本変形例では、第二ワークテーブル26とスライダー23との間に、Y方向に敷設されたガイドレール28に加えて、X方向に敷設されたガイドレール29が設けられる構成を示したが、これに限らない。
X方向に敷設されたガイドレール29は、第一ワークテーブル24とスライダー23との間に施設してもよい。この場合、ガイドレール28と29とが、第一ワークテーブル24と第二ワークテーブル26とに分散して配置されるため、装置の高さを本変形例に比べて低くすることができる。また、精度影響も本変形例に比べて小さくすることができる。
【0065】
また、ワーク搬送装置4を用いた場合には、上述した描画処理のステップS2において以下の処理が行われる(ステップS2´)。
すなわち、ステップS2´においては、アライメントカメラ61,62の検出結果に基づいて、第一ワークテーブル24と第二ワークテーブル26の位置・姿勢(X,Y,θ)を求めた後に、第一ワークテーブル24と第二ワークテーブル26の位置・姿勢(X,Y,θ)が所定の範囲内となるように調整される。つまり、ワークW1,W2のX方向及びY方向の相対位置、吐出ヘッド33に対するワークW1,W2のZ方向回り(θ方向)の相対姿勢がそれぞれ調整される。
また、吐出制御部145では、ワークW1とワークW2の走査方向(X)の距離が所定の範囲内となるように調整されることが予め分かっているので、その距離に応じた無吐出画像データが予め用意されている。したがって、この無吐出画像データをワークW1に対する描画データとワークW2に対する描画データとの間に挿入して、一つの描画データを生成する。
【0066】
ワーク搬送装置4を用いた場合にも、一つのヘッドユニット13(キャリッジ7)の1回の走査の間に、2つのワークW1,W2に対して同一の走査の間に描画処理を行うことができるので、高い描画能力(液体噴射効率)を実現することができる。
また、ワークW1,W2を載置する第一ワークテーブル24,第二ワークテーブル26が同時にY方向に移動すると共に、第二ワークテーブル26が第一ワークテーブル24に対して位置調整可能に構成したので、少ない軸構成(移動機構)によりワークW1,W2の位置姿勢の調整を実現することができる。したがって、装置コストの上昇を最小限に抑えることができる。
【0067】
また、本変形例では、ステップS2´において、吐出制御部145では、予め用意されている無吐出画像データをワークW1に対する描画データとワークW2に対する描画データとの間に挿入して、一つの描画データを生成する例を示したが、これに限らない。
ワークW1とワークW2の位置・姿勢(X,Y,θ)が所定の範囲内となるように調整されることが予め分かっているので、無吐出画像データをワークW1に対する描画データとワークW2に対する描画データとの間に挿入して作成した一つの描画データを予め用意しておいてもよい。
【0068】
また、上述した実施形態では、圧力発生室内の液体に圧力を付与する圧力発生素子として、撓み振動型の圧電素子を例示したが、特に限定されない。例えば、圧力発生素子として、圧電材料と電極形成材料とを交互に積層させて軸方向に伸縮させる縦振動型の圧電素子であってもよいし、発熱素子等であってもよい。
【0069】
また、上述の実施形態では、機能液を吐出する液滴吐出装置について説明したが、本発明は広く液体噴射装置全般を対象としたものである。
液体噴射装置としては、例えば、インク滴を吐出するインクジェット式プリンター、液晶ディスプレー等のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射装置、有機ELディスプレーやFED(電界放出ディスプレー)等の電極形成に用いられる電極材料噴射装置、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射装置等を挙げることができる。
【0070】
また、上述の実施形態では、吐出ヘッド33がスライダー23に対してX方向に往復走査する構成としたが、これに限らない。
スライダー23が吐出ヘッド33に対してX方向に往復走査する構成としても良い。この場合、吐出ヘッド33はスライダー23に対してY方向に移動可能としても良いし、吐出ヘッド33を固定とするとともに、吐出ヘッド33の長さをワークのY方向における印刷領域の幅以上とするいわゆるラインヘッドを採用してもよい。
また、スライダー23をY方向に移動させる構成とし、吐出ヘッド33の長さをワークのX方向における印刷領域の幅以上とするいわゆるラインヘッドを採用してもよい。この場合、第二ワーク搬送テーブル26は、第一ワーク搬送テーブル24に対して、少なくともX方向において相対位置を調整可能な構成とする。
また。ラインヘッドを採用する場合、吐出ヘッド33を固定すると説明したがこれに限らず、解像度をあげるために吐出ヘッド33も移動可能な構成としても良い。
【符号の説明】
【0071】
1…液滴吐出装置、 3,4…ワーク搬送装置、 21…定盤、 23…スライダー、 24…第一ワークテーブル(第一ワーク搬送テーブル)、 25…θ1回転機構、 26…第二ワークテーブル(第二ワーク搬送テーブル)、 27…θ2回転機構、 33…吐出ヘッド(液体噴射ヘッド)、 55…液滴(液体)、 61,62…アライメントカメラ(検出部)、 111…制御部、 141…モーター制御部、 145…吐出制御部(噴射制御部)、 W1,W2…ワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークに対して液体を噴射する液体噴射ヘッドと、
第一ワークを載置する第一ワーク搬送テーブルと、
第二ワークを載置する第二ワーク搬送テーブルと、
前記第一ワーク搬送テーブルと前記第二ワーク搬送テーブルとを載置しつつ第一方向へ移動可能なスライダーと、
前記液体噴射ヘッド及び前記第二ワーク搬送テーブルを駆動制御する制御部と、
を備え、
前記第二ワーク搬送テーブルは、前記第一ワーク搬送テーブルの前記第一方向と交差する第二方向に並列配置されており、前記第一ワーク搬送テーブルに対して、前記第二ワークを載置しつつ前記第一方向に相対移動可能であることを特徴とする液体噴射装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記液体噴射ヘッドからの液体噴射に先だって、前記第一ワーク搬送テーブルと前記第二ワーク搬送テーブルの前記第一方向における相対位置調整を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置。
【請求項3】
前記第二ワーク搬送テーブルは、前記第一ワーク搬送テーブルに対して前記第二方向に相対移動可能であり、
前記制御部は、前記液体噴射ヘッドからの液体噴射に先だって、前記第一ワーク搬送テーブルと前記第二ワーク搬送テーブルの前記第二方向における相対位置調整を行う
ことを特徴とする請求項2に記載の液体噴射装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第一ワーク搬送テーブルを駆動制御可能であり、
前記第一ワーク搬送テーブル及び前記第二ワーク搬送テーブルは、それぞれ、前記第一方向及び前記第二方向に直交する軸回りに回転可能であり、
前記制御部は、前記液体噴射ヘッドからの液体噴射に先だって、前記第一ワーク搬送テーブルと前記第二ワーク搬送テーブルの前記軸周りにおける姿勢調整を行う
ことを特徴とする請求項1から3のうちいずれか一項に記載の液体噴射装置。
【請求項5】
前記第一ワーク搬送テーブル及び前記第二ワーク搬送テーブルの位置姿勢検出を行う検出部を備え、
前記制御部は、前記検出部の検出結果に基づいて、前記第一ワーク搬送テーブルと前記第二ワーク搬送テーブルの位置調整および姿勢調整の少なくとも一方を行う
ことを特徴とする請求項1から4のうちいずれか一項に記載の液体噴射装置。
【請求項6】
前記液体噴射ヘッドからの液体噴射を制御する噴射制御部を備え、
前記噴射制御部は、前記第一ワーク搬送テーブルと前記第二ワーク搬送テーブルの前記第二方向の間隔に基づいて液体噴射データを補正して、前記第一ワーク搬送テーブルに載置された前記第一ワーク及び前記第二ワーク搬送テーブルに載置された前記第二ワークに対して同一の走査の間に前記液体を噴射させる
ことを特徴とする請求項1から5のうちいずれか一項に記載の液体噴射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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