液体噴射装置
【課題】クリーニング処理によるノズルのクリーニングを好適に行うことのできる液体噴射装置を提供する。
【解決手段】プリンターは、ノズルが形成された液体噴射ヘッドと、底壁部31および側壁部32,33,34などからなるキャップ30と、キャップ30内のインクを吸引する吸引ポンプとを備え、ノズルを囲うようにキャップ30を液体噴射ヘッドに当接させた状態で吸引ポンプを駆動することにより、ノズルからインクを強制排出させる。キャップ30内には、側壁部32,34の内面間を繋ぐ突っ張り部材40が架設される。そして、底壁部31がキャップ30の内方側に変形したときに、突っ張り部材40の延設方向の両端41aを互いに離間させるように変形する態様で、同突っ張り部材40の延設方向の中間部位が底壁部31の変形部分によって押圧される。
【解決手段】プリンターは、ノズルが形成された液体噴射ヘッドと、底壁部31および側壁部32,33,34などからなるキャップ30と、キャップ30内のインクを吸引する吸引ポンプとを備え、ノズルを囲うようにキャップ30を液体噴射ヘッドに当接させた状態で吸引ポンプを駆動することにより、ノズルからインクを強制排出させる。キャップ30内には、側壁部32,34の内面間を繋ぐ突っ張り部材40が架設される。そして、底壁部31がキャップ30の内方側に変形したときに、突っ張り部材40の延設方向の両端41aを互いに離間させるように変形する態様で、同突っ張り部材40の延設方向の中間部位が底壁部31の変形部分によって押圧される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット式プリンター等の液体噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、液体噴射装置の一種として、記録ヘッドのノズル形成面に開口したノズルからインクを記録用紙などの記録媒体に噴射して印刷を行うインクジェット式プリンターが広く知られている。
【0003】
こうしたプリンターでは、ノズル内に滞留したインクの水分や揮発成分が蒸発して同インクの粘度が上昇することによってノズルの目詰まりが生じたり、ノズル内に気泡や金属粒子等の異物が混入したりすることがある。そして、そうした目詰まりや異物等の混入がノズルに生じると、インクの吐出方向がずれたり、適量のインクをノズルから吐出することができなくなったりする等の印刷不良を招くこととなる。
【0004】
そこで、こうしたインクジェット式プリンターにおいて、ノズルをクリーニングするためのクリーニング処理を実行することが提案されている(例えば特許文献1参照)。クリーニング処理の実行に際しては、まずクリーニング用のキャップの開口部分とノズル形成面とが対向して位置するようにそれらが相対移動される。その後、キャップを移動させてノズル形成面に対してノズルを囲うように当接させる。これにより、キャップの内面とノズル形成面との間にノズル内と連通された密閉空間が形成される。そして、キャップに接続された吸引ポンプを駆動することによって、目詰まりの原因となるノズル内のインクが吸引されるとともに、同インクがキャップ内の密閉空間を経由して外部に排出される。
【0005】
ここで、クリーニング処理の実行に際して吸引ポンプが駆動されると、上記密閉空間が負圧(大気圧より低い圧力)になって上記キャップの壁部がその内方に撓むように変形するために、変形したキャップの壁部がノズルの噴孔を塞ぐことによってノズル内部のインクを適正に排出させることができなくなるなどといった不都合を招くおそれがある。
【0006】
特許文献1には、キャップの壁部を支持するための支持部材を同キャップと一体に形成することが提案されている。具体的には、そうした支持部材として、キャップの側壁と並行に延びる形状のものを設けることや、キャップ内を区画して複数の部屋に分割する形状の内壁部を設けることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−136512号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上記特許文献1に記載の装置のように、キャップの側壁と並行に延びる形状の支持部材を設けたとしても、吸引ポンプの駆動によってキャップの壁部が変形する以上、その変形に伴って支持部材が変形することは避けられない。そのため、支持部材によって支持されるキャップの壁部(詳しくは、その内方に設けられたシール部材)がキャップの内方側に撓むように変形することは避けられない。
【0009】
また、キャップ内を複数の部屋に区画する内壁部を支持部材として設けた場合、例えば支持部材によって区画された各部屋にインク排出孔を設けてそれらインク排出孔から各別にインクを排出する構造を採用するなど、キャップ内からインクを排出するための構造が複雑になってしまう。
【0010】
このように特許文献1に記載の装置は、ノズルのクリーニングを行う上で好ましい構造になっているとは云えず、この点において更なる改善の余地がある。
なお、こうした問題は、ファクシミリや複写機等に用いられる印刷装置や、液晶ディスプレイ、ELディスプレイ、あるいは面発光ディスプレイの製造などに用いられる電極材や色材などの液体を噴射する液体噴射装置等々、先に例示したインクジェット式プリンターに限らず、他の液体噴射装置にあっても、概ね共通したものとなっている。
【0011】
本発明は、こうした従来の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、クリーニング処理によるノズルのクリーニングを好適に行うことのできる液体噴射装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明の液体噴射装置は、液体を噴射するノズルが形成された液体噴射ヘッドと、底壁部および該底壁部を囲む側壁部からなるキャップと、前記キャップに接続されて同キャップの内部の液体を吸引可能な吸引ポンプと、を備えてなり、前記ノズルを囲うように前記キャップを前記液体噴射ヘッドに当接させた状態で前記吸引ポンプを駆動することにより前記ノズルから液体を強制排出させるクリーニング処理を実行する液体噴射装置において、前記キャップの内部に前記側壁部における対向する二つの第1壁部の内面間を繋ぐ突っ張り部材が架設されるとともに、該突っ張り部材は、前記キャップの各壁部における前記二つの第1壁部に挟まれた部分の少なくとも一部をなす第2壁部が前記キャップの内方側に変形したときに、前記突っ張り部材の延設方向の両端を互いに離間させるように変形する態様で同突っ張り部材の延設方向の中間部位が前記第2壁部の変形部分によって押圧されるように配設される。
【0013】
この発明では、クリーニング処理の実行に際して吸引ポンプが駆動されると、液体噴射ヘッドのノズル形成面とキャップとにより区画された部分の圧力低下に伴って第2壁部をキャップ内方側に撓ませるように変形させる力が発生するとともに、その力によって突っ張り部材の中間部位が押圧されるようになる。この第2壁部による押圧力は突っ張り部材の延設方向における両端を互いに離間させるように作用するために、このときキャップの側壁部における対向する二つの第1壁部を押し広げるように上記突っ張り部材によってキャップが押圧されるようになる。
【0014】
このように本発明によれば、クリーニング処理の実行時において第2壁部をキャップ内方側に変形させるように作用する力を利用して、第1壁部のキャップ内方側への変形を抑えることができるようになる。したがって、第1壁部のキャップ内方側への変形に起因して不都合が発生する懸念がある装置において、同第1壁部の変形を好適に抑えることができる。しかも、こうした構成はキャップの内部を複数の部屋に区画することなく実現することができるため、インクをキャップの内部から外部に排出するための構造が複雑になることがなく、同キャップをノズルのクリーニングを行う上で好ましい構造とすることができる。したがって本発明によれば、クリーニング処理におけるノズルのクリーニングを好適に行うことができるようになる。
【0015】
本発明の液体噴射装置において、前記キャップは、その各壁部が同一の材料により形成されるとともに、前記第2壁部の肉厚が前記二つの第1壁部の肉厚より薄く設定される。
この発明によれば、キャップの各壁部の肉厚の設定を通じて、第1壁部と比較して第2壁部が変形し易い構造にすることができるため、同第2壁部の変形を利用して突っ張り部材を押圧する力を好適に発生させることができる。しかも、第1壁部が変形し難い構造にすることもできるために、同第1壁部がキャップの内方に向けて不要に変形することを好適に抑えることができる。
【0016】
本発明の液体噴射装置において、前記キャップは、その各壁部が同一の材料により形成されるとともに、前記第2壁部の面積が前記二つの第1壁部の面積の合計より大きく設定される。
【0017】
壁部の面積が大きくなるほど、キャップとノズル形成面とにより区画された部分の圧力が低下した際に同壁部をキャップの内方に変形させるように作用する力、すなわち壁部によって突っ張り部材を押圧する力が大きくなる。
【0018】
本発明によれば、キャップの各壁部の面積の設定を通じて、上記二つの第1壁部によって突っ張り部材を押圧する力と比較して第2壁部によって突っ張り部材を押圧する力が大きくなるように、それら押圧力をそれぞれ設定することができるようになる。これにより、第2壁部をキャップ内方側に変形させるように作用する力を利用して第1壁部のキャップ内方側への変形を抑えるとの構成を実現することができるようになる。
【0019】
本発明の液体噴射装置において、前記突っ張り部材は、弾性を有する材料により形成される。
この発明によれば、キャップとノズル形成面とにより区画された部分の圧力が低下した際に同キャップの各壁部から突っ張り部材に作用する押圧力、すなわち二つの第1壁部からの押圧力と第2壁部からの押圧力とによって突っ張り部材を弾性変形させることができる。そのため、それら第1壁部の上記キャップ外方側への不要な変形を抑えつつ、上記キャップ外方側に押圧する力を各第1壁部に作用させることができるようになる。
【0020】
本発明の液体噴射装置において、前記突っ張り部材は、前記第1壁部を押圧する部分の面積が他の部分の延設方向と直交する方向における断面積より大きく設定される。
この発明によれば、突っ張り部材による押圧力を第1壁部の広い範囲にわたって伝達させることができるために、同第1壁部の上記キャップ内方側への変形を広範囲にわたって抑えることができる。また、突っ張り部材の延設方向における中間部位がキャップ内部において占めるスペースを小さく抑えることもできるため、同突っ張り部材がキャップ内部からのインク排出の妨げになることを抑えることができる。したがって、ノズルのクリーニングをより好適に行うことができる。
【0021】
本発明の液体噴射装置において、当該装置は、前記第2壁部と前記突っ張り部材との間に、同第2壁部の変形による押圧力を前記突っ張り部材に伝達するための伝達部材が設けられる。
【0022】
この発明によれば、突っ張り部材と第2壁部との距離によることなく、伝達部材を介して、同第2壁部が変形した部分によって上記突っ張り部材を押圧することができるようになる。そのため、突っ張り部材の形状設定の自由度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明を具体化した一実施の形態にかかるインクジェット式プリンターの斜視図。
【図2】同プリンターのメンテナンス機構の概略構成を示す略図。
【図3】ノズルプレートの下面とキャップの側壁部の開口端との関係を示す略図。
【図4】キャップの平面図。
【図5】同キャップの図4におけるA−A線に沿った断面図。
【図6】同キャップの図4におけるB−B線に沿った断面図。
【図7】同キャップの動作態様の一例を示す断面図。
【図8】同キャップの動作態様の一例を示す断面図。
【図9】変形例のキャップを示す平面図。
【図10】他の変形例のキャップを示す平面図。
【図11】その他の変形例のキャップを示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明にかかる液体噴射装置を液体としてのインクを噴射するインクジェット式プリンターに具体化した一実施の形態について説明する。
図1は、本実施の形態にかかるインクジェット式プリンターの斜視構造を示している。なお、以下の説明において、「前後方向」、「上下方向」および「左右方向」をいう場合は、図1を基準とした場合の「前後方向」、「上下方向」および「左右方向」と一致するものとする。また、この場合における「前後方向」は記録媒体の搬送方向である副走査方向に相当するとともに、「上下方向」は鉛直方向に相当し、「左右方向」は搬送体に支持された記録手段の移動方向である主走査方向に相当する。
【0025】
図1に示すように、インクジェット式プリンター11(以下、単に「プリンター11」)は、略矩形箱状をなすフレーム12を備えている。このフレーム12内の下部には、その長手方向である左右方向に沿って支持台13が延設されている。また、フレーム12の後方面の下部には紙送りモーター14が設けられている。この紙送りモーター14の駆動を通じて図示しない紙送り機構により、支持台13上にその後方側から記録用紙Pが給送されるようになっている。
【0026】
フレーム12内における支持台13の上方には、該支持台13の長手方向である左右方向に沿ってガイド軸15が架設されている。このガイド軸15にはその軸線方向において往復移動可能にキャリッジ16が支持されている。詳しくは、キャリッジ16に左右方向において貫通する支持孔16aが形成されるとともに、この支持孔16aにガイド軸15が挿通されている。
【0027】
フレーム12の後壁内面において上記ガイド軸15の両端の近傍にあたる位置には、駆動プーリー17aと従動プーリー17bとがそれぞれ回転自在に支持されている。駆動プーリー17aにはキャリッジモーター18の出力軸が連結されるとともに、それらプーリー17a,17b間には一部がキャリッジ16に連結された無端状のタイミングベルト17が巻き掛けられている。上記プリンター11は、キャリッジモーター18を駆動することにより、タイミングベルト17を介してキャリッジ16をガイド軸15によってガイドしつつ左右方向において往復移動させることの可能な構造になっている。
【0028】
上記キャリッジ16の下面には液体噴射ヘッドとしての記録ヘッド19が設けられている。この記録ヘッド19にはインク噴射用のノズル20(図2参照)が複数設けられている。また、記録ヘッド19の下方端にはノズルプレート19aが取り付けられている。このノズルプレート19aには、各ノズル20の噴孔20aが形成されている。一方、キャリッジ16には記録ヘッド19に対してインクを供給するためのインクカートリッジ22が着脱可能に装着されている。
【0029】
そして、プリンター11では、記録ヘッド19に設けられた圧電素子21(図2参照)を駆動することにより、インクカートリッジ22内のインクが記録ヘッド19内に供給されるとともに同記録ヘッド19の各ノズル20(図2参照)から支持台13上に給送された記録用紙Pに噴射されるといったように印刷が行われる。
【0030】
また、フレーム12の内部における上記支持台13よりも右側の領域、すなわち印刷時において使用されない領域(ホームポジション領域)には、記録ヘッド19のクリーニング等のメンテナンスを行うためのメンテナンス機構23が設けられている。プリンター11では、定期的に、記録ヘッド19をホームポジション領域に移動させるとともに上記メンテナンス機構23を作動させることによって記録ヘッド19(詳しくは、そのノズル20)をクリーニングする処理(クリーニング処理)が実行される。
【0031】
以下、上記メンテナンス機構23の概要について説明する。
図2は、メンテナンス機構23の概略構成を示している。
同図2に示すように、メンテナンス機構23は、底壁部31とこれを囲む四つの側壁部32,33,34,35(図4〜図6参照)とからなる略有底四角箱状に形成されたキャップ30を備えている。キャップ30の各壁部(底壁部31および各側壁部32〜35)は比較的硬質な樹脂材料により一体に形成されている。上記底壁部31の肉厚は各側壁部32〜35の肉厚より薄く設定されている。また、底壁部31はその中央部分に向かうほど下方側の位置になる形状に形成されている。
【0032】
キャップ30の開口端、すなわち各側壁部32〜35の上方側の端部には、同端部に沿って延びる略長方形状であり且つ上方に向けて突出する形状のシール部材36が設けられている。このシール部材36は、キャップ30の各壁部(底壁部31および各側壁部32〜35)を形成する材料と比較して軟質な材料(ゴム材料や熱可塑性エラストマーなど)により形成されている。
【0033】
キャップ30は、上記記録ヘッド19がホームポジション領域に移動したときにおいてキャップ30の開口部分が同記録ヘッド19(詳しくは、ノズルプレート19a)の下面と若干の距離を置いて対向する位置になるように配設されている。
【0034】
キャップ30の底壁部31にはその下方に向かって突出する形状の排出部37が形成されている。この排出部37にはその内部を上下方向において貫通する形状の排出路37aが形成されている。また排出部37は排出チューブ24を介して廃インクタンク25に接続されている。この排出チューブ24の途中にはキャップ30内の流体(具体的には、インクや空気)を吸引して廃インクタンク25内に排出するための吸引ポンプ26が設けられている。なお、廃インクタンク25の内部にはインクを吸収して保持する廃インク吸収材27が収容されている。
【0035】
メンテナンス機構23には上記キャップ30を上下方向に昇降するための昇降装置(図示略)が設けられている。
以下、上述したクリーニング処理の実行態様について説明する。
【0036】
このクリーニング処理の実行に際しては先ず、記録ヘッド19に設けられたキャリッジ16をホームポジション領域に移動させる。これにより、キャップ30の開口部分と記録ヘッド19(詳しくは、ノズルプレート19a)の下面とが若干の距離を置いて対向した状態になる。そして、この状態で上記昇降装置によってキャップ30を上昇させる。これにより、キャップ30の開口端(詳しくは、シール部材36)が各ノズル20の噴孔20aを囲うようにノズルプレート19aの下面に押し付けられた状態(図2に示す状態)になる。言い換えれば、各ノズル20を囲うようにキャップ30が記録ヘッド19に当接させられた状態になる。本実施の形態では、このノズルプレート19aの下面がノズル20の噴孔20aが形成されたノズル形成面として機能する。
【0037】
そして、この状態で吸引ポンプ26が駆動される。これによりキャップ30内の流体が吸引されてノズルプレート19aの下面とキャップ30とにより区画された空間内の圧力が低下するようになるために、これに伴い発生する負圧(大気圧より低い圧力)によって各ノズル20内のインクが吸引されてキャップ30内に排出されるようになる。さらには、キャップ30内のインクが排出路37aおよび排出チューブ24を介して廃インクタンク25内に排出される。このようにしてノズル20内のインクを強制排出させることにより、同ノズル20のクリーニングが行われる。
【0038】
なお、上記メンテナンス機構23では、キャップ30の開口端にその各側壁部32〜35と比較して軟質の材料により形成されたシール部材36が設けられている。そのため、それら側壁部32〜35の強度を高く維持しつつ、キャップ30とノズルプレート19aとの接触面圧を確保して同キャップ30およびノズルプレート19aの間からのキャップ30内への空気の流入を抑えることができる。
【0039】
ここで、上述したクリーニング処理の実行に際して吸引ポンプ26が駆動されると、ノズルプレート19aの下面とキャップ30とにより区画された空間が負圧になるために、上記キャップ30の各壁部(底壁部31および各側壁部32〜35)が同キャップ30の内方側に撓むように変形するおそれがある。
【0040】
図3に、クリーニング処理の実行におけるノズルプレート19aの下面とキャップ30の側壁部32,33,34,35の開口端との位置関係を示す。同図3に示すように、本実施の形態のプリンター11では、ノズルプレート19aに形成された全て(本実施の形態では32個)の噴孔20aが囲われるように、キャップ30の側壁部32〜35の形状が設定されている。
【0041】
しかしながら、キャップ30の各側壁部32〜35がその内方側に撓むように変形すると、その変形部分がノズル20の噴孔20aを塞ぐことによって同ノズル20内のインクの排出が妨げられたり、同変形部分が接触することによってノズル20の噴孔20aの変形を招いたりするなどの不都合を招くおそれがある。近年、高い解像度に対する要求に応えるためにノズルの数は増加する傾向にあり、これに伴って各ノズル20の噴孔20aとキャップ30の側壁部32〜35との距離が短くなる傾向があることから、そうした不都合が発生し易くなっている。
【0042】
こうした実情をふまえて、本実施の形態にかかるプリンター11では、キャップ30の内部に、その各側壁部32〜35の内方側への変形を抑えるための突っ張り部材40(図4〜図6参照)を配設するようにしている。
【0043】
以下、この突っ張り部材40の形状および配設態様について説明する。
図4にキャップ30の平面構造を示し、図5に同キャップ30の図4におけるA−A線に沿った断面構造を示し、図6に該キャップ30の図4におけるB−B線に沿った断面構造を示す。
【0044】
図4〜図6に示すように、キャップ30の内部には突っ張り部材40が配設されている。この突っ張り部材40は弾性を有する材料(具体的には、ステンレス板)により形成されている。また突っ張り部材40はキャップ30の各側壁部32〜35のうちの対向する二つの側壁部32,34の内面を繋ぐように架設された支え部分41と、同じく対向する側壁部33,35の内面を繋ぐように架設された支え部分42とが一体に形成された平面視略十字形状に形成されている。なお本実施の形態では、二つの側壁部32,34と二つの側壁部33,35とがそれぞれ、キャップの各側壁部における対向する二つの第1壁部として機能する。
【0045】
突っ張り部材40の支え部分41は、その両端部41a(具体的には、キャップ30の側壁部32,34に当接する部分)における前後方向の幅が他の部分(詳しくは、延設方向における中間部分41b)の前後方向の幅より大きく設定されている。これにより支え部分41は、その両端部41aと各側壁部32,34との接触部分、すなわち上記キャップ30の各側壁部32,34を押圧する部分の面積が上記延設方向と直交する方向における中間部分41bの断面積より大きくなっている。また、突っ張り部材40の支え部分42についても同様に、その両端部42a(具体的には、キャップ30の側壁部33,35に当接する部分)における左右方向の幅が他の部分(詳しくは、延設方向における中間部分42b)の左右方向の幅より大きく設定されている。これにより支え部分42は、その両端部42aと各側壁部33,35との接触部分、すなわち上記キャップ30の各側壁部33,35を押圧する部分の面積が上記延設方向と直交する方向における中間部分42bの断面積より大きくなっている。
【0046】
キャップ30の各側壁部32,34の内面にはその上方側の端部の近傍に前後方向において延びる係合溝32a,34aがそれぞれ形成されている。また、キャップ30の各側壁部33,35の内面には、その上方側の端部の近傍に左右方向において延びる係合溝33a,35aがそれぞれ形成されている。そして、突っ張り部材40の支え部分41の両端部41aが側壁部32,34の係合溝32a,34aに挿入および固定されるとともに、支え部分42の両端部42aが側壁部33,35の係合溝33a,35aに挿入および固定されることにより、同突っ張り部材40がキャップ30内に取り付けられる。
【0047】
また、突っ張り部材40の支え部分41と支え部分42とは共に、その延設方向における中間部位に向かうほど底壁部31側(下方側)の位置になる側面視略V字形状に形成されている。一方、キャップ30の底壁部31には、その上方に向けて突出する形状の凸部38が一体に形成されている。この凸部38は、その突端が上記突っ張り部材40の支え部分41と支え部分42とが交差する部分(交差部分43)の下面に接触する形状に形成されている。なお本実施の形態では、上記底壁部31が、キャップの各壁部における前記二つの第1壁部に挟まれた部分の少なくとも一部をなす第2壁部として機能する。また、上記凸部38が、前記第2壁部と突っ張り部材との間に設けられて同第2壁部の変形による押圧力を突っ張り部材に伝達する伝達部材として機能する。
【0048】
以下、キャップ30の内部に突っ張り部材40を配設することによる作用について説明する。
図7および図8に、クリーニング処理の実行時(負圧発生時)におけるキャップ30の断面構造を示す。なお、図7は先の図4のA−A線に沿った断面構造に対応するキャップ30の断面図であり、図8は先の図4のB−B線に沿った断面構造に対応するキャップ30の断面図である。
【0049】
図7および図8に示すように、クリーニング処理が実行されて負圧が発生すると、これに伴ってキャップ30の底壁部31を同キャップ30の内方(具体的には、上方)に撓ませる方向(図中に白抜きの矢印で示す方向)に変形させる力が作用するようになる。この力は上記底壁部31に形成された凸部38を上方に移動させるように作用するために、同凸部38の突端によって突っ張り部材40の交差部分43の下面が上方に向けて押圧されるようになる。
【0050】
本実施の形態では、突っ張り部材40の支え部分41と支え部分42とが共に側面視略断面V字形状に形成されるとともに、その両端部41aがキャップ30の各側壁部32〜35の内面に固定されている。
【0051】
そのため、突っ張り部材40の支え部分41(図7)の中間部位(詳しくは、上記交差部分43)が上記凸部38によって上方に向けて押圧されると、同突っ張り部材40の両端部41aを互いに離間させる方向(同図中に黒塗りの矢印で示す方向)に変形させる力が同突っ張り部材40に作用するようになる。これにより、突っ張り部材40の支え部分41の両端部41aが固定されているキャップ30の各側壁部32,34を押し広げるように同突っ張り部材40によって各側壁部32,34が押圧されるようになる。また、突っ張り部材40の交差部分43が上記凸部38によって上方に向けて押圧されると、支え部分42(図8)の両端部42aを互いに離間させる方向(同図中に黒塗りの矢印で示す方向)に変形させる力が同突っ張り部材40に作用するようになる。これにより、突っ張り部材40の支え部分42の両端部42aが固定されているキャップ30の各側壁部33,35を押し広げるように、同突っ張り部材40によって各側壁部33,35が押圧されるようになる。
【0052】
上記プリンター11では、各側壁部32〜35のキャップ30内方側への変形を抑える効果が、同キャップ30の形成材料、その各壁部(底壁部31および側壁部32〜35)の面積や肉厚、並びに突っ張り部材40の形成材料や延設形状などといった種々のパラメータによって変化する。そのため本実施の形態では、それらパラメータが、各側壁部32〜35のキャップ30の内方側への変形を適正に抑えることが可能になるように実験やシミュレーションの結果をもとに予め求められて設定されている。
【0053】
このように本実施の形態にかかるプリンター11では、クリーニング処理の実行時において、キャップ30の底壁部31を同キャップ30の内方側に変形させるように作用する力を利用して、キャップ30の側壁部32〜35の同キャップ30の内方側への変形を抑えることができるようになる。これにより前述した不都合、すなわちキャップ30の側壁部32〜35の内方側への変形に起因する不都合の発生を抑えることができる。したがって、クリーニング処理におけるノズル20のクリーニングを好適に行うことができる。
【0054】
なお、本実施の形態では、キャップ30の側壁部32〜35の内方側への変形を抑えるために同キャップ30の内部に突っ張り部材40が配設されるとはいえ、これに伴ってインクをキャップ30の内部から外部に排出するための構造が複雑になることはない。そのため、キャップ30をノズル20のクリーニングを行う上で好ましい構造とすることができる。
【0055】
また本実施の形態では、キャップ30の各壁部(底壁部31および各側壁部32〜35)が同一の材料により形成されるとともに、底壁部31の肉厚が各側壁部32〜35の肉厚より薄く設定されている。こうしたキャップ30の各壁部の肉厚の設定を通じて、各側壁部32〜35と比較して底壁部31が変形し易い構造にすることができるために、同底壁部31の変形を利用して突っ張り部材40を押圧する力を好適に発生させることができる。しかも、各側壁部32〜35が変形し難い構造にすることもできるために、それら側壁部32〜35がキャップ30の内方に向けて不要に変形することを好適に抑えることができる。
【0056】
さらに本実施の形態では、突っ張り部材40が弾性を有する材料により形成されているために、ノズルプレート19aの下面とキャップ30とにより区画された空間内の圧力が低下した際に、同キャップ30の各壁部から突っ張り部材40に作用する押圧力によって該突っ張り部材40を弾性変形させることができる。
【0057】
詳しくは、図7に示すように、突っ張り部材40の支え部分41に対してキャップ30の各側壁部32,34から作用する押圧力と同キャップ30の底壁部31(詳しくは、凸部38)から作用する押圧力とによって、同突っ張り部材40の支え部分41が弾性変形して湾曲するようになる。また図8に示すように、突っ張り部材40の支え部分42についても同様に、同支え部分42に対してキャップ30の各側壁部33,35から作用する押圧力と同キャップ30の底壁部31から作用する押圧力とによって弾性変形して湾曲するようになる。
【0058】
このとき突っ張り部材40の弾性力によって各側壁部32〜35が押圧されるようになるため、同キャップ30の外方側に押圧する力を各側壁部32〜35に作用させることができる。しかも、突っ張り部材40が弾性変形した分だけ、キャップ30の各側壁部32〜35の同キャップ30の外方側への変形が抑えられるために、それら各側壁部32〜35の外方側への不要な変形を抑えることが可能になる。
【0059】
また本実施の形態では、支え部分41の両端部41aの前後方向の幅が中間部分41bの前後方向の幅より大きく設定されるとともに、支え部分42の両端部41aの左右方向の幅が中間部分42bの左右方向の幅より大きく設定されている。そのため、突っ張り部材40による押圧力をキャップ30の各側壁部32〜35の広い範囲にわたって伝達させることができ、それら側壁部32〜35の上記キャップ30の内方側への変形を広範囲にわたって抑えることができる。また、突っ張り部材40の延設方向における中間部位がキャップ30内部において占めるスペースを小さく抑えることもできるため、同突っ張り部材40がキャップ30内部からのインク排出の妨げになることを抑えることができる。したがって、ノズルのクリーニングをより好適に行うことができる。
【0060】
本実施の形態では、キャップ30の底壁部31に凸部38が突設されており、この凸部38を介して同底壁部31の変形による押圧力が突っ張り部材40に伝達されるようになっている。これにより、キャップ30の底壁部31と突っ張り部材40との距離によることなく、凸部38を介して、同底壁部31が変形した部分によって上記突っ張り部材40を押圧することができるため、突っ張り部材40の形状設定の自由度を格段に高めることができる。
【0061】
本実施の形態によれば、以下に記載する作用効果を奏することができるようになる。
(1)キャップ30の内部に突っ張り部材40を配設するようにしたために、クリーニング処理の実行時において、キャップ30の底壁部31を同キャップ30の内方側に変形させるように作用する力を利用して、キャップ30の側壁部32〜35の同キャップ30の内方側への変形を抑えることができる。これによりキャップ30の側壁部32〜35の内方側への変形に起因する不都合の発生を抑えることができ、クリーニング処理におけるノズル20のクリーニングを好適に行うことができる。
【0062】
(2)キャップ30の各壁部を同一の材料により形成するとともに、底壁部31の肉厚を各側壁部32〜35の肉厚より薄く設定した。そのため各側壁部32〜35と比較して底壁部31が変形し易い構造にすることができ、同底壁部31の変形を利用して突っ張り部材40を押圧する力を好適に発生させることができる。しかも、各側壁部32〜35が変形し難い構造にすることもでき、それら側壁部32〜35がキャップ30の内方に向けて不要に変形することを好適に抑えることができる。
【0063】
(3)弾性を有する材料によって突っ張り部材40を形成したため、ノズルプレート19aの下面とキャップ30とにより区画された空間内の圧力が低下した際に、同キャップ30の各壁部から突っ張り部材40に作用する押圧力によって該突っ張り部材40を弾性変形させることができる。そのため、キャップ30の外方側に押圧する力を各側壁部32〜35に作用させることができる。しかも、突っ張り部材40が弾性変形した分だけキャップ30の各側壁部32〜35の同キャップ30の外方側への変形が抑えられるために、それら各側壁部32〜35の外方側への不要な変形を抑えることが可能になる。
【0064】
(4)支え部分41の両端部41aの前後方向の幅を中間部分41bの幅より大きく設定するとともに、支え部分42の両端部41aの左右方向の幅を中間部分42bの幅より大きく設定した。そのため、キャップ30の各側壁部32〜35の上記キャップ30の内方側への変形を広範囲にわたって抑えることができ、さらには突っ張り部材40がキャップ30内部からのインク排出の妨げになることを抑えることもできる。したがって、ノズルのクリーニングをより好適に行うことができる。
【0065】
(5)キャップ30の底壁部31に凸部38を突設したために、キャップ30の底壁部31と突っ張り部材40との距離によることなく、凸部38を介して、底壁部31の変形部分によって上記突っ張り部材40を押圧することができる。そのため、突っ張り部材40の形状設定の自由度を格段に高めることができる。
【0066】
なお、上記実施の形態はこれを適宜変更した以下の形態にて実施することもできる。
・上記実施の形態において、必ずしも、キャップ30の底壁部31の肉厚を側壁部32〜35の肉厚より薄く設定しなくてもよい。前述したようにキャップ30の各側壁部32〜35の内方側への変形を抑える効果は、同キャップ30の各壁部(底壁部31および側壁部32〜35)の肉厚の関係のみによって定まるのではなく、キャップ30の形成材料や各壁部の面積の関係、並びに突っ張り部材40の形成材料や延設形状などといった種々のパラメータによって変化する。そのため、キャップ30の各壁部の肉厚以外のパラメータの設定を通じて、同キャップ30の各側壁部32〜35の内方側への変形を抑える効果が十分に得られるのであれば、キャップ30の底壁部31の肉厚を側壁部32〜35の肉厚より厚く設定したり、それら肉厚を等しく設定したりすることも可能である。
【0067】
・上記実施の形態において、クリーニング処理が実行されていないときに凸部38の突端と突っ張り部材40の下面とが接触した状態になっていることに限らず、同凸部38の突端と突っ張り部材40の下面とが若干の距離を置いた状態になっていてもよい。こうした構成によっても、キャップ30の底壁部31の変形が始まった直後のしばらくの間、突っ張り部材40が凸部38によって上方に押圧されない状態になるものの、底壁部31の変形が進んで凸部38の突端が突っ張り部材40に接触した後においては、同突っ張り部材40を凸部38によって上方に押圧することができる。
【0068】
・上記実施の形態において、キャップ30の凸部38を省略してもよい。こうした構成では、突っ張り部材40の形状をその交差部分43が底壁部31側に突出する形状に変更したり、突っ張り部材40に底壁部31側に突出する形状の別部材を取り付けたりして、キャップ30の底壁部31が内方側に変形した際にその変形を利用して突っ張り部材40の交差部分43の下面を押圧する力が作用する構造にすればよい。
【0069】
なお、キャップ30の壁部の形成材料と肉厚とが同一であると仮定した場合、同壁部の面積が大きくなるほど、キャップ30とノズルプレート19aの下面とにより区画された空間の圧力が低下したときにおいて上記壁部をキャップ30の内方に変形させるように作用する力、すなわち壁部によって突っ張り部材40を押圧する力は大きくなる。そのため、各側壁部32〜35による押圧力と比較して底壁部31による押圧力が大きくなるようにそれら突っ張り部材40を押圧する力を設定する際には、キャップ30の各壁部を同一の材料で形成するとともに底壁部31の面積を各側壁部32〜35の面積の合計より大きく設定することにより、各押圧力の設定を容易に行うことが可能になる。
【0070】
・上記実施の形態において、クリーニング処理の実行時に必ずしもキャップ30の各側壁部32〜35が同キャップ30の外方側に変形しなくてもよい。キャップ30の各側壁部32〜35を突っ張り部材40によって同キャップ30の外方側に向けて押圧することができるのであれば、それら側壁部32〜35のキャップ30の内方側への変形を抑えることはできる。
【0071】
・上記実施の形態において、突っ張り部材40をステンレス板により形成することに限らず、他の金属板により形成することもできる。また、樹脂材料などの金属材料以外の材料によって突っ張り部材40を形成することも可能である。要は、キャップ30の各壁部からの押圧による変形に耐え得る材料であり、且つその押圧が解除されたときにおいて変形前の形状に復帰する復元力を有する材料であれば、突っ張り部材40を形成する材料として採用することができる。
【0072】
・上記実施の形態において、突っ張り部材40の支え部分41と支え部分42とを一体に形成することに限らず、それらを別体に形成してもよい。
・上記実施の形態において、支え部分41が側壁部32側の部分と側壁部34側の部分とに分割された構造を採用したり、支え部分42が側壁部33側の部分と側壁部35側の部分とに分割された構造を採用したりしてもよい。
【0073】
こうした構成においては、それら分割体を直接固定したり他の部材を介して固定したりするなどして、支え部分41あるいは支え部分42を一体構造にしたうえでキャップ30に組み付けることが望ましい。このように組み付けることにより、クリーニング処理の実行停止によって支え部分41や支え部分42が同処理の実行前の形状に復帰する際に、支え部分41や支え部分42ともどもキャップ30の各側壁部32〜35が変形するようになるため、それら側壁部32〜35の形状を実行前の形状に復帰させることができるようになる。
【0074】
また上記構成では、キャップ30の上方側から見た上記支え部分41の延設形状や支え部分42の延設形状が直線形状に設定されることが望ましい。仮に、そうした延設形状をクランク形状や、屈曲形状、湾曲形状に設定すると、支え部分41(あるいは支え部分42)によって側壁部32,34(あるいは側壁部33,35)を押し広げるように押圧する際に、支え部分41(あるいは支え部分42)を前後方向(あるいは左右方向)に変形させる力が発生してしまう。これは、支え部分41や支え部分42を介して、キャップ30の底壁部31を内方側に変形させる力を各側壁部32〜35に伝達する際に、その伝達の効率を低下させる一因になるために好ましくない。この点、上記延設形状を直線形状に設定することにより、支え部分41(あるいは支え部分42)を前後方向(あるいは左右方向)に変形させる力が発生することを極力抑えることができるため、キャップ30の底壁部31を内方側に変形させる力を各側壁部32〜35に効率よく伝達することができるようになる。
【0075】
・上記実施の形態において、支え部分41の両端部41aを中間部分41bより幅広の形状に形成しなくてもよい。また、支え部分42の両端部42aを中間部分42bより幅広の形状に形成しなくてもよい。
【0076】
・上記実施の形態において、弾性を有していない、あるいは殆ど弾性を有していない材料によって突っ張り部材40を形成してもよい。
・上記実施の形態において、キャップ30の係合溝33a,35aと突っ張り部材40の支え部分42(図6)とを省略してもよい。図9は、そうした変形例のキャップ50と突っ張り部材51とを示している。こうした構成によっても、クリーニング処理の実行時において、キャップ50の底壁部31を同キャップ50の内方側に変形させるように作用する力を利用して、キャップ50の側壁部32,34の同キャップ50の内方側への変形を抑えることができる。したがって、それら側壁部32,34の内方側への変形に起因する不都合の発生が懸念されるものにおいて、その不都合の発生を抑えることができる。
【0077】
・上記実施の形態において、キャップ30の係合溝32a,34a(図5)を省略するとともに、突っ張り部材40の支え部分41を省略してもよい。図10は、そうした変形例のキャップ60と突っ張り部材61とを示している。こうした構成によっても、クリーニング処理の実行時において、キャップ60の底壁部31を同キャップ60の内方側に変形させるように作用する力を利用して、キャップ60の側壁部33,35の同キャップ60の内方側への変形を抑えることができる。したがって、それら側壁部33,35の内方側への変形に起因する不都合の発生が懸念されるものにおいて、その不都合の発生を抑えることができる。
【0078】
・上記実施の形態において、底壁部31の内方側への変形を利用して各側壁部32〜35の内方側への変形を抑えるための突っ張り部材40に代えて、側壁部33の内方側への変形を利用して側壁部32,34の内方側への変形を抑えるための突っ張り部材を設けたり、側壁部35の内方側への変形を利用して側壁部32,34の内方側への変形を抑えるための突っ張り部材を設けたりしてもよい。
【0079】
図11は、そうした変形例のキャップ70と突っ張り部材79a,79bとを示している。同図11に示す例では、キャップ70の内部に突っ張り部材79a,79bが配設されている。突っ張り部材79a,79bは、共にキャップ70の各側壁部72〜75のうちの対向する二つの側壁部72,74の内面を繋ぐように架設されている。この構成では、二つの側壁部72,74が第1壁部として機能する。
【0080】
突っ張り部材79aは、その延設方向における中間部位に向かうほど側壁部73側(後方側)の位置になる平面視略V字形状に形成されている。そして、側壁部73には、その前方に向けて突出する形状の凸部78aが一体に形成されている。この凸部78aの突端は上記突っ張り部材79aの延設方向における中間部位の後面に接触するようになっている。また、突っ張り部材79bは、その延設方向における中間部位に向かうほど側壁部75側(前方側)の位置になる平面視略V字形状に形成されている。そして、側壁部75には、その後方に向けて突出する形状の凸部78bが一体に形成されている。この凸部78bの突端は上記突っ張り部材79bの延設方向における中間部位の前面に接触するようになっている。同構成では、上記側壁部73や側壁部75が第2壁部として機能し、上記凸部78aや凸部78bが伝達部材として機能する。
【0081】
こうした構成では、クリーニング処理が実行されて負圧が発生すると、これに伴ってキャップ70の側壁部73,75をその内方に撓ませる方向(図中に白抜きの矢印で示す方向)に変形させる力が作用する。この力は凸部78a,78bを共にキャップ70の内方に移動させるように作用するために、凸部78aの突端によって突っ張り部材79aの後面が前方に向けて押圧されるようになる一方、凸部78bの突端によって突っ張り部材79bの前面が後方に向けて押圧されるようになる。そのため、このとき突っ張り部材79a,79bの両端を互いに離間させる方向(同図中に黒塗りの矢印で示す方向)に変形させる力が同突っ張り部材79a,79bに作用するようになる。これにより、キャップ70の各側壁部72,74を押し広げるように同突っ張り部材79a,79bによって各側壁部72,74が押圧されるようになる。
【0082】
このように上記構成によれば、クリーニング処理の実行時において、キャップ70の側壁部73,75を内方側に変形させるように作用する力を利用して、キャップ70の側壁部72,74の内方側への変形を抑えることができる。
【0083】
なお、上記構成では、キャップ70の各壁部(底壁部71および側壁部72〜75)が同一の材料により形成されるとともに、側壁部73,75の肉厚が側壁部72,74の肉厚より薄く設定されている。そのため、側壁部72,74と比較して側壁部73,75が変形し易い構造にすることができ、同側壁部72,74の変形を利用して突っ張り部材79a,79bを押圧する力を好適に発生させることができる。しかも、側壁部72,74が変形し難い構造にすることもでき、それら側壁部72,74がキャップ70の内方に向けて不要に変形することを好適に抑えることができる。
【0084】
・上記実施の形態において、側壁部32の内方側への変形を利用して側壁部33,35の内方側への変形を抑えるための突っ張り部材を設けたり、側壁部34の内方側への変形を利用して側壁部33,35の内方側への変形を抑えるための突っ張り部材を設けたりしてもよい。
【0085】
・本発明にかかる液体噴射装置は、略有底四角箱状のキャップを備えたインクジェット式プリンターに具体化することに限らず、有底筒形状をなし且つその延設方向と直交する方向における断面が長穴形状や楕円形状、あるいは円形状をなすキャップを備えたインクジェット式プリンターなどに具体化することもできる。また、インクジェット式プリンターに限らず、インク以外の他の液体を噴射したり吐出したりする液体噴射装置に本発明を具体化することも可能である。なお、ここでいう液体とは液体噴射装置が噴射することのできるものであればよい。詳しくは、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状体、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような流状態、また物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたものなどを含む。液体の代表的な例としてはインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インクおよび油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。液体噴射装置の具体例としては、例えば液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルタの製造などに用いられる電極材や色材などの材料を分散又は溶解のかたちで含む液体を噴射する液体噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を噴射する液体噴射装置、捺染装置やマイクロディスペンサ等であってもよい。さらに、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する液体噴射装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する液体噴射装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する液体噴射装置を採用してもよい。そして、これらのうちいずれか一種の液体噴射装置に本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0086】
11…インクジェット式プリンター、12…フレーム、13…支持台、14…紙送りモーター、15…ガイド軸、16…キャリッジ、16a…支持孔、17…タイミングベルト、17a…駆動プーリー、17b…従動プーリー、18…キャリッジモーター、19…記録ヘッド、19a…ノズルプレート、20…ノズル、20a…噴孔、21…圧電素子、
22…インクカートリッジ、23…メンテナンス機構、24…排出チューブ、25…廃インクタンク、26…吸引ポンプ、27…廃インク吸収材、30,50,60,70…キャップ、31,71…底壁部、32,33,34,35,72,73,74,75…側壁部、32a,33a,34a,35a…係合溝、36…シール部材、37…排出部、37a…排出路、38,78a,78b…凸部、40,51,61,79a,79b…突っ張り部材、41、42…支え部分、41a、42a…端部、41b,42b…中間部分、43…交差部分。
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット式プリンター等の液体噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、液体噴射装置の一種として、記録ヘッドのノズル形成面に開口したノズルからインクを記録用紙などの記録媒体に噴射して印刷を行うインクジェット式プリンターが広く知られている。
【0003】
こうしたプリンターでは、ノズル内に滞留したインクの水分や揮発成分が蒸発して同インクの粘度が上昇することによってノズルの目詰まりが生じたり、ノズル内に気泡や金属粒子等の異物が混入したりすることがある。そして、そうした目詰まりや異物等の混入がノズルに生じると、インクの吐出方向がずれたり、適量のインクをノズルから吐出することができなくなったりする等の印刷不良を招くこととなる。
【0004】
そこで、こうしたインクジェット式プリンターにおいて、ノズルをクリーニングするためのクリーニング処理を実行することが提案されている(例えば特許文献1参照)。クリーニング処理の実行に際しては、まずクリーニング用のキャップの開口部分とノズル形成面とが対向して位置するようにそれらが相対移動される。その後、キャップを移動させてノズル形成面に対してノズルを囲うように当接させる。これにより、キャップの内面とノズル形成面との間にノズル内と連通された密閉空間が形成される。そして、キャップに接続された吸引ポンプを駆動することによって、目詰まりの原因となるノズル内のインクが吸引されるとともに、同インクがキャップ内の密閉空間を経由して外部に排出される。
【0005】
ここで、クリーニング処理の実行に際して吸引ポンプが駆動されると、上記密閉空間が負圧(大気圧より低い圧力)になって上記キャップの壁部がその内方に撓むように変形するために、変形したキャップの壁部がノズルの噴孔を塞ぐことによってノズル内部のインクを適正に排出させることができなくなるなどといった不都合を招くおそれがある。
【0006】
特許文献1には、キャップの壁部を支持するための支持部材を同キャップと一体に形成することが提案されている。具体的には、そうした支持部材として、キャップの側壁と並行に延びる形状のものを設けることや、キャップ内を区画して複数の部屋に分割する形状の内壁部を設けることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−136512号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上記特許文献1に記載の装置のように、キャップの側壁と並行に延びる形状の支持部材を設けたとしても、吸引ポンプの駆動によってキャップの壁部が変形する以上、その変形に伴って支持部材が変形することは避けられない。そのため、支持部材によって支持されるキャップの壁部(詳しくは、その内方に設けられたシール部材)がキャップの内方側に撓むように変形することは避けられない。
【0009】
また、キャップ内を複数の部屋に区画する内壁部を支持部材として設けた場合、例えば支持部材によって区画された各部屋にインク排出孔を設けてそれらインク排出孔から各別にインクを排出する構造を採用するなど、キャップ内からインクを排出するための構造が複雑になってしまう。
【0010】
このように特許文献1に記載の装置は、ノズルのクリーニングを行う上で好ましい構造になっているとは云えず、この点において更なる改善の余地がある。
なお、こうした問題は、ファクシミリや複写機等に用いられる印刷装置や、液晶ディスプレイ、ELディスプレイ、あるいは面発光ディスプレイの製造などに用いられる電極材や色材などの液体を噴射する液体噴射装置等々、先に例示したインクジェット式プリンターに限らず、他の液体噴射装置にあっても、概ね共通したものとなっている。
【0011】
本発明は、こうした従来の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、クリーニング処理によるノズルのクリーニングを好適に行うことのできる液体噴射装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明の液体噴射装置は、液体を噴射するノズルが形成された液体噴射ヘッドと、底壁部および該底壁部を囲む側壁部からなるキャップと、前記キャップに接続されて同キャップの内部の液体を吸引可能な吸引ポンプと、を備えてなり、前記ノズルを囲うように前記キャップを前記液体噴射ヘッドに当接させた状態で前記吸引ポンプを駆動することにより前記ノズルから液体を強制排出させるクリーニング処理を実行する液体噴射装置において、前記キャップの内部に前記側壁部における対向する二つの第1壁部の内面間を繋ぐ突っ張り部材が架設されるとともに、該突っ張り部材は、前記キャップの各壁部における前記二つの第1壁部に挟まれた部分の少なくとも一部をなす第2壁部が前記キャップの内方側に変形したときに、前記突っ張り部材の延設方向の両端を互いに離間させるように変形する態様で同突っ張り部材の延設方向の中間部位が前記第2壁部の変形部分によって押圧されるように配設される。
【0013】
この発明では、クリーニング処理の実行に際して吸引ポンプが駆動されると、液体噴射ヘッドのノズル形成面とキャップとにより区画された部分の圧力低下に伴って第2壁部をキャップ内方側に撓ませるように変形させる力が発生するとともに、その力によって突っ張り部材の中間部位が押圧されるようになる。この第2壁部による押圧力は突っ張り部材の延設方向における両端を互いに離間させるように作用するために、このときキャップの側壁部における対向する二つの第1壁部を押し広げるように上記突っ張り部材によってキャップが押圧されるようになる。
【0014】
このように本発明によれば、クリーニング処理の実行時において第2壁部をキャップ内方側に変形させるように作用する力を利用して、第1壁部のキャップ内方側への変形を抑えることができるようになる。したがって、第1壁部のキャップ内方側への変形に起因して不都合が発生する懸念がある装置において、同第1壁部の変形を好適に抑えることができる。しかも、こうした構成はキャップの内部を複数の部屋に区画することなく実現することができるため、インクをキャップの内部から外部に排出するための構造が複雑になることがなく、同キャップをノズルのクリーニングを行う上で好ましい構造とすることができる。したがって本発明によれば、クリーニング処理におけるノズルのクリーニングを好適に行うことができるようになる。
【0015】
本発明の液体噴射装置において、前記キャップは、その各壁部が同一の材料により形成されるとともに、前記第2壁部の肉厚が前記二つの第1壁部の肉厚より薄く設定される。
この発明によれば、キャップの各壁部の肉厚の設定を通じて、第1壁部と比較して第2壁部が変形し易い構造にすることができるため、同第2壁部の変形を利用して突っ張り部材を押圧する力を好適に発生させることができる。しかも、第1壁部が変形し難い構造にすることもできるために、同第1壁部がキャップの内方に向けて不要に変形することを好適に抑えることができる。
【0016】
本発明の液体噴射装置において、前記キャップは、その各壁部が同一の材料により形成されるとともに、前記第2壁部の面積が前記二つの第1壁部の面積の合計より大きく設定される。
【0017】
壁部の面積が大きくなるほど、キャップとノズル形成面とにより区画された部分の圧力が低下した際に同壁部をキャップの内方に変形させるように作用する力、すなわち壁部によって突っ張り部材を押圧する力が大きくなる。
【0018】
本発明によれば、キャップの各壁部の面積の設定を通じて、上記二つの第1壁部によって突っ張り部材を押圧する力と比較して第2壁部によって突っ張り部材を押圧する力が大きくなるように、それら押圧力をそれぞれ設定することができるようになる。これにより、第2壁部をキャップ内方側に変形させるように作用する力を利用して第1壁部のキャップ内方側への変形を抑えるとの構成を実現することができるようになる。
【0019】
本発明の液体噴射装置において、前記突っ張り部材は、弾性を有する材料により形成される。
この発明によれば、キャップとノズル形成面とにより区画された部分の圧力が低下した際に同キャップの各壁部から突っ張り部材に作用する押圧力、すなわち二つの第1壁部からの押圧力と第2壁部からの押圧力とによって突っ張り部材を弾性変形させることができる。そのため、それら第1壁部の上記キャップ外方側への不要な変形を抑えつつ、上記キャップ外方側に押圧する力を各第1壁部に作用させることができるようになる。
【0020】
本発明の液体噴射装置において、前記突っ張り部材は、前記第1壁部を押圧する部分の面積が他の部分の延設方向と直交する方向における断面積より大きく設定される。
この発明によれば、突っ張り部材による押圧力を第1壁部の広い範囲にわたって伝達させることができるために、同第1壁部の上記キャップ内方側への変形を広範囲にわたって抑えることができる。また、突っ張り部材の延設方向における中間部位がキャップ内部において占めるスペースを小さく抑えることもできるため、同突っ張り部材がキャップ内部からのインク排出の妨げになることを抑えることができる。したがって、ノズルのクリーニングをより好適に行うことができる。
【0021】
本発明の液体噴射装置において、当該装置は、前記第2壁部と前記突っ張り部材との間に、同第2壁部の変形による押圧力を前記突っ張り部材に伝達するための伝達部材が設けられる。
【0022】
この発明によれば、突っ張り部材と第2壁部との距離によることなく、伝達部材を介して、同第2壁部が変形した部分によって上記突っ張り部材を押圧することができるようになる。そのため、突っ張り部材の形状設定の自由度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明を具体化した一実施の形態にかかるインクジェット式プリンターの斜視図。
【図2】同プリンターのメンテナンス機構の概略構成を示す略図。
【図3】ノズルプレートの下面とキャップの側壁部の開口端との関係を示す略図。
【図4】キャップの平面図。
【図5】同キャップの図4におけるA−A線に沿った断面図。
【図6】同キャップの図4におけるB−B線に沿った断面図。
【図7】同キャップの動作態様の一例を示す断面図。
【図8】同キャップの動作態様の一例を示す断面図。
【図9】変形例のキャップを示す平面図。
【図10】他の変形例のキャップを示す平面図。
【図11】その他の変形例のキャップを示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明にかかる液体噴射装置を液体としてのインクを噴射するインクジェット式プリンターに具体化した一実施の形態について説明する。
図1は、本実施の形態にかかるインクジェット式プリンターの斜視構造を示している。なお、以下の説明において、「前後方向」、「上下方向」および「左右方向」をいう場合は、図1を基準とした場合の「前後方向」、「上下方向」および「左右方向」と一致するものとする。また、この場合における「前後方向」は記録媒体の搬送方向である副走査方向に相当するとともに、「上下方向」は鉛直方向に相当し、「左右方向」は搬送体に支持された記録手段の移動方向である主走査方向に相当する。
【0025】
図1に示すように、インクジェット式プリンター11(以下、単に「プリンター11」)は、略矩形箱状をなすフレーム12を備えている。このフレーム12内の下部には、その長手方向である左右方向に沿って支持台13が延設されている。また、フレーム12の後方面の下部には紙送りモーター14が設けられている。この紙送りモーター14の駆動を通じて図示しない紙送り機構により、支持台13上にその後方側から記録用紙Pが給送されるようになっている。
【0026】
フレーム12内における支持台13の上方には、該支持台13の長手方向である左右方向に沿ってガイド軸15が架設されている。このガイド軸15にはその軸線方向において往復移動可能にキャリッジ16が支持されている。詳しくは、キャリッジ16に左右方向において貫通する支持孔16aが形成されるとともに、この支持孔16aにガイド軸15が挿通されている。
【0027】
フレーム12の後壁内面において上記ガイド軸15の両端の近傍にあたる位置には、駆動プーリー17aと従動プーリー17bとがそれぞれ回転自在に支持されている。駆動プーリー17aにはキャリッジモーター18の出力軸が連結されるとともに、それらプーリー17a,17b間には一部がキャリッジ16に連結された無端状のタイミングベルト17が巻き掛けられている。上記プリンター11は、キャリッジモーター18を駆動することにより、タイミングベルト17を介してキャリッジ16をガイド軸15によってガイドしつつ左右方向において往復移動させることの可能な構造になっている。
【0028】
上記キャリッジ16の下面には液体噴射ヘッドとしての記録ヘッド19が設けられている。この記録ヘッド19にはインク噴射用のノズル20(図2参照)が複数設けられている。また、記録ヘッド19の下方端にはノズルプレート19aが取り付けられている。このノズルプレート19aには、各ノズル20の噴孔20aが形成されている。一方、キャリッジ16には記録ヘッド19に対してインクを供給するためのインクカートリッジ22が着脱可能に装着されている。
【0029】
そして、プリンター11では、記録ヘッド19に設けられた圧電素子21(図2参照)を駆動することにより、インクカートリッジ22内のインクが記録ヘッド19内に供給されるとともに同記録ヘッド19の各ノズル20(図2参照)から支持台13上に給送された記録用紙Pに噴射されるといったように印刷が行われる。
【0030】
また、フレーム12の内部における上記支持台13よりも右側の領域、すなわち印刷時において使用されない領域(ホームポジション領域)には、記録ヘッド19のクリーニング等のメンテナンスを行うためのメンテナンス機構23が設けられている。プリンター11では、定期的に、記録ヘッド19をホームポジション領域に移動させるとともに上記メンテナンス機構23を作動させることによって記録ヘッド19(詳しくは、そのノズル20)をクリーニングする処理(クリーニング処理)が実行される。
【0031】
以下、上記メンテナンス機構23の概要について説明する。
図2は、メンテナンス機構23の概略構成を示している。
同図2に示すように、メンテナンス機構23は、底壁部31とこれを囲む四つの側壁部32,33,34,35(図4〜図6参照)とからなる略有底四角箱状に形成されたキャップ30を備えている。キャップ30の各壁部(底壁部31および各側壁部32〜35)は比較的硬質な樹脂材料により一体に形成されている。上記底壁部31の肉厚は各側壁部32〜35の肉厚より薄く設定されている。また、底壁部31はその中央部分に向かうほど下方側の位置になる形状に形成されている。
【0032】
キャップ30の開口端、すなわち各側壁部32〜35の上方側の端部には、同端部に沿って延びる略長方形状であり且つ上方に向けて突出する形状のシール部材36が設けられている。このシール部材36は、キャップ30の各壁部(底壁部31および各側壁部32〜35)を形成する材料と比較して軟質な材料(ゴム材料や熱可塑性エラストマーなど)により形成されている。
【0033】
キャップ30は、上記記録ヘッド19がホームポジション領域に移動したときにおいてキャップ30の開口部分が同記録ヘッド19(詳しくは、ノズルプレート19a)の下面と若干の距離を置いて対向する位置になるように配設されている。
【0034】
キャップ30の底壁部31にはその下方に向かって突出する形状の排出部37が形成されている。この排出部37にはその内部を上下方向において貫通する形状の排出路37aが形成されている。また排出部37は排出チューブ24を介して廃インクタンク25に接続されている。この排出チューブ24の途中にはキャップ30内の流体(具体的には、インクや空気)を吸引して廃インクタンク25内に排出するための吸引ポンプ26が設けられている。なお、廃インクタンク25の内部にはインクを吸収して保持する廃インク吸収材27が収容されている。
【0035】
メンテナンス機構23には上記キャップ30を上下方向に昇降するための昇降装置(図示略)が設けられている。
以下、上述したクリーニング処理の実行態様について説明する。
【0036】
このクリーニング処理の実行に際しては先ず、記録ヘッド19に設けられたキャリッジ16をホームポジション領域に移動させる。これにより、キャップ30の開口部分と記録ヘッド19(詳しくは、ノズルプレート19a)の下面とが若干の距離を置いて対向した状態になる。そして、この状態で上記昇降装置によってキャップ30を上昇させる。これにより、キャップ30の開口端(詳しくは、シール部材36)が各ノズル20の噴孔20aを囲うようにノズルプレート19aの下面に押し付けられた状態(図2に示す状態)になる。言い換えれば、各ノズル20を囲うようにキャップ30が記録ヘッド19に当接させられた状態になる。本実施の形態では、このノズルプレート19aの下面がノズル20の噴孔20aが形成されたノズル形成面として機能する。
【0037】
そして、この状態で吸引ポンプ26が駆動される。これによりキャップ30内の流体が吸引されてノズルプレート19aの下面とキャップ30とにより区画された空間内の圧力が低下するようになるために、これに伴い発生する負圧(大気圧より低い圧力)によって各ノズル20内のインクが吸引されてキャップ30内に排出されるようになる。さらには、キャップ30内のインクが排出路37aおよび排出チューブ24を介して廃インクタンク25内に排出される。このようにしてノズル20内のインクを強制排出させることにより、同ノズル20のクリーニングが行われる。
【0038】
なお、上記メンテナンス機構23では、キャップ30の開口端にその各側壁部32〜35と比較して軟質の材料により形成されたシール部材36が設けられている。そのため、それら側壁部32〜35の強度を高く維持しつつ、キャップ30とノズルプレート19aとの接触面圧を確保して同キャップ30およびノズルプレート19aの間からのキャップ30内への空気の流入を抑えることができる。
【0039】
ここで、上述したクリーニング処理の実行に際して吸引ポンプ26が駆動されると、ノズルプレート19aの下面とキャップ30とにより区画された空間が負圧になるために、上記キャップ30の各壁部(底壁部31および各側壁部32〜35)が同キャップ30の内方側に撓むように変形するおそれがある。
【0040】
図3に、クリーニング処理の実行におけるノズルプレート19aの下面とキャップ30の側壁部32,33,34,35の開口端との位置関係を示す。同図3に示すように、本実施の形態のプリンター11では、ノズルプレート19aに形成された全て(本実施の形態では32個)の噴孔20aが囲われるように、キャップ30の側壁部32〜35の形状が設定されている。
【0041】
しかしながら、キャップ30の各側壁部32〜35がその内方側に撓むように変形すると、その変形部分がノズル20の噴孔20aを塞ぐことによって同ノズル20内のインクの排出が妨げられたり、同変形部分が接触することによってノズル20の噴孔20aの変形を招いたりするなどの不都合を招くおそれがある。近年、高い解像度に対する要求に応えるためにノズルの数は増加する傾向にあり、これに伴って各ノズル20の噴孔20aとキャップ30の側壁部32〜35との距離が短くなる傾向があることから、そうした不都合が発生し易くなっている。
【0042】
こうした実情をふまえて、本実施の形態にかかるプリンター11では、キャップ30の内部に、その各側壁部32〜35の内方側への変形を抑えるための突っ張り部材40(図4〜図6参照)を配設するようにしている。
【0043】
以下、この突っ張り部材40の形状および配設態様について説明する。
図4にキャップ30の平面構造を示し、図5に同キャップ30の図4におけるA−A線に沿った断面構造を示し、図6に該キャップ30の図4におけるB−B線に沿った断面構造を示す。
【0044】
図4〜図6に示すように、キャップ30の内部には突っ張り部材40が配設されている。この突っ張り部材40は弾性を有する材料(具体的には、ステンレス板)により形成されている。また突っ張り部材40はキャップ30の各側壁部32〜35のうちの対向する二つの側壁部32,34の内面を繋ぐように架設された支え部分41と、同じく対向する側壁部33,35の内面を繋ぐように架設された支え部分42とが一体に形成された平面視略十字形状に形成されている。なお本実施の形態では、二つの側壁部32,34と二つの側壁部33,35とがそれぞれ、キャップの各側壁部における対向する二つの第1壁部として機能する。
【0045】
突っ張り部材40の支え部分41は、その両端部41a(具体的には、キャップ30の側壁部32,34に当接する部分)における前後方向の幅が他の部分(詳しくは、延設方向における中間部分41b)の前後方向の幅より大きく設定されている。これにより支え部分41は、その両端部41aと各側壁部32,34との接触部分、すなわち上記キャップ30の各側壁部32,34を押圧する部分の面積が上記延設方向と直交する方向における中間部分41bの断面積より大きくなっている。また、突っ張り部材40の支え部分42についても同様に、その両端部42a(具体的には、キャップ30の側壁部33,35に当接する部分)における左右方向の幅が他の部分(詳しくは、延設方向における中間部分42b)の左右方向の幅より大きく設定されている。これにより支え部分42は、その両端部42aと各側壁部33,35との接触部分、すなわち上記キャップ30の各側壁部33,35を押圧する部分の面積が上記延設方向と直交する方向における中間部分42bの断面積より大きくなっている。
【0046】
キャップ30の各側壁部32,34の内面にはその上方側の端部の近傍に前後方向において延びる係合溝32a,34aがそれぞれ形成されている。また、キャップ30の各側壁部33,35の内面には、その上方側の端部の近傍に左右方向において延びる係合溝33a,35aがそれぞれ形成されている。そして、突っ張り部材40の支え部分41の両端部41aが側壁部32,34の係合溝32a,34aに挿入および固定されるとともに、支え部分42の両端部42aが側壁部33,35の係合溝33a,35aに挿入および固定されることにより、同突っ張り部材40がキャップ30内に取り付けられる。
【0047】
また、突っ張り部材40の支え部分41と支え部分42とは共に、その延設方向における中間部位に向かうほど底壁部31側(下方側)の位置になる側面視略V字形状に形成されている。一方、キャップ30の底壁部31には、その上方に向けて突出する形状の凸部38が一体に形成されている。この凸部38は、その突端が上記突っ張り部材40の支え部分41と支え部分42とが交差する部分(交差部分43)の下面に接触する形状に形成されている。なお本実施の形態では、上記底壁部31が、キャップの各壁部における前記二つの第1壁部に挟まれた部分の少なくとも一部をなす第2壁部として機能する。また、上記凸部38が、前記第2壁部と突っ張り部材との間に設けられて同第2壁部の変形による押圧力を突っ張り部材に伝達する伝達部材として機能する。
【0048】
以下、キャップ30の内部に突っ張り部材40を配設することによる作用について説明する。
図7および図8に、クリーニング処理の実行時(負圧発生時)におけるキャップ30の断面構造を示す。なお、図7は先の図4のA−A線に沿った断面構造に対応するキャップ30の断面図であり、図8は先の図4のB−B線に沿った断面構造に対応するキャップ30の断面図である。
【0049】
図7および図8に示すように、クリーニング処理が実行されて負圧が発生すると、これに伴ってキャップ30の底壁部31を同キャップ30の内方(具体的には、上方)に撓ませる方向(図中に白抜きの矢印で示す方向)に変形させる力が作用するようになる。この力は上記底壁部31に形成された凸部38を上方に移動させるように作用するために、同凸部38の突端によって突っ張り部材40の交差部分43の下面が上方に向けて押圧されるようになる。
【0050】
本実施の形態では、突っ張り部材40の支え部分41と支え部分42とが共に側面視略断面V字形状に形成されるとともに、その両端部41aがキャップ30の各側壁部32〜35の内面に固定されている。
【0051】
そのため、突っ張り部材40の支え部分41(図7)の中間部位(詳しくは、上記交差部分43)が上記凸部38によって上方に向けて押圧されると、同突っ張り部材40の両端部41aを互いに離間させる方向(同図中に黒塗りの矢印で示す方向)に変形させる力が同突っ張り部材40に作用するようになる。これにより、突っ張り部材40の支え部分41の両端部41aが固定されているキャップ30の各側壁部32,34を押し広げるように同突っ張り部材40によって各側壁部32,34が押圧されるようになる。また、突っ張り部材40の交差部分43が上記凸部38によって上方に向けて押圧されると、支え部分42(図8)の両端部42aを互いに離間させる方向(同図中に黒塗りの矢印で示す方向)に変形させる力が同突っ張り部材40に作用するようになる。これにより、突っ張り部材40の支え部分42の両端部42aが固定されているキャップ30の各側壁部33,35を押し広げるように、同突っ張り部材40によって各側壁部33,35が押圧されるようになる。
【0052】
上記プリンター11では、各側壁部32〜35のキャップ30内方側への変形を抑える効果が、同キャップ30の形成材料、その各壁部(底壁部31および側壁部32〜35)の面積や肉厚、並びに突っ張り部材40の形成材料や延設形状などといった種々のパラメータによって変化する。そのため本実施の形態では、それらパラメータが、各側壁部32〜35のキャップ30の内方側への変形を適正に抑えることが可能になるように実験やシミュレーションの結果をもとに予め求められて設定されている。
【0053】
このように本実施の形態にかかるプリンター11では、クリーニング処理の実行時において、キャップ30の底壁部31を同キャップ30の内方側に変形させるように作用する力を利用して、キャップ30の側壁部32〜35の同キャップ30の内方側への変形を抑えることができるようになる。これにより前述した不都合、すなわちキャップ30の側壁部32〜35の内方側への変形に起因する不都合の発生を抑えることができる。したがって、クリーニング処理におけるノズル20のクリーニングを好適に行うことができる。
【0054】
なお、本実施の形態では、キャップ30の側壁部32〜35の内方側への変形を抑えるために同キャップ30の内部に突っ張り部材40が配設されるとはいえ、これに伴ってインクをキャップ30の内部から外部に排出するための構造が複雑になることはない。そのため、キャップ30をノズル20のクリーニングを行う上で好ましい構造とすることができる。
【0055】
また本実施の形態では、キャップ30の各壁部(底壁部31および各側壁部32〜35)が同一の材料により形成されるとともに、底壁部31の肉厚が各側壁部32〜35の肉厚より薄く設定されている。こうしたキャップ30の各壁部の肉厚の設定を通じて、各側壁部32〜35と比較して底壁部31が変形し易い構造にすることができるために、同底壁部31の変形を利用して突っ張り部材40を押圧する力を好適に発生させることができる。しかも、各側壁部32〜35が変形し難い構造にすることもできるために、それら側壁部32〜35がキャップ30の内方に向けて不要に変形することを好適に抑えることができる。
【0056】
さらに本実施の形態では、突っ張り部材40が弾性を有する材料により形成されているために、ノズルプレート19aの下面とキャップ30とにより区画された空間内の圧力が低下した際に、同キャップ30の各壁部から突っ張り部材40に作用する押圧力によって該突っ張り部材40を弾性変形させることができる。
【0057】
詳しくは、図7に示すように、突っ張り部材40の支え部分41に対してキャップ30の各側壁部32,34から作用する押圧力と同キャップ30の底壁部31(詳しくは、凸部38)から作用する押圧力とによって、同突っ張り部材40の支え部分41が弾性変形して湾曲するようになる。また図8に示すように、突っ張り部材40の支え部分42についても同様に、同支え部分42に対してキャップ30の各側壁部33,35から作用する押圧力と同キャップ30の底壁部31から作用する押圧力とによって弾性変形して湾曲するようになる。
【0058】
このとき突っ張り部材40の弾性力によって各側壁部32〜35が押圧されるようになるため、同キャップ30の外方側に押圧する力を各側壁部32〜35に作用させることができる。しかも、突っ張り部材40が弾性変形した分だけ、キャップ30の各側壁部32〜35の同キャップ30の外方側への変形が抑えられるために、それら各側壁部32〜35の外方側への不要な変形を抑えることが可能になる。
【0059】
また本実施の形態では、支え部分41の両端部41aの前後方向の幅が中間部分41bの前後方向の幅より大きく設定されるとともに、支え部分42の両端部41aの左右方向の幅が中間部分42bの左右方向の幅より大きく設定されている。そのため、突っ張り部材40による押圧力をキャップ30の各側壁部32〜35の広い範囲にわたって伝達させることができ、それら側壁部32〜35の上記キャップ30の内方側への変形を広範囲にわたって抑えることができる。また、突っ張り部材40の延設方向における中間部位がキャップ30内部において占めるスペースを小さく抑えることもできるため、同突っ張り部材40がキャップ30内部からのインク排出の妨げになることを抑えることができる。したがって、ノズルのクリーニングをより好適に行うことができる。
【0060】
本実施の形態では、キャップ30の底壁部31に凸部38が突設されており、この凸部38を介して同底壁部31の変形による押圧力が突っ張り部材40に伝達されるようになっている。これにより、キャップ30の底壁部31と突っ張り部材40との距離によることなく、凸部38を介して、同底壁部31が変形した部分によって上記突っ張り部材40を押圧することができるため、突っ張り部材40の形状設定の自由度を格段に高めることができる。
【0061】
本実施の形態によれば、以下に記載する作用効果を奏することができるようになる。
(1)キャップ30の内部に突っ張り部材40を配設するようにしたために、クリーニング処理の実行時において、キャップ30の底壁部31を同キャップ30の内方側に変形させるように作用する力を利用して、キャップ30の側壁部32〜35の同キャップ30の内方側への変形を抑えることができる。これによりキャップ30の側壁部32〜35の内方側への変形に起因する不都合の発生を抑えることができ、クリーニング処理におけるノズル20のクリーニングを好適に行うことができる。
【0062】
(2)キャップ30の各壁部を同一の材料により形成するとともに、底壁部31の肉厚を各側壁部32〜35の肉厚より薄く設定した。そのため各側壁部32〜35と比較して底壁部31が変形し易い構造にすることができ、同底壁部31の変形を利用して突っ張り部材40を押圧する力を好適に発生させることができる。しかも、各側壁部32〜35が変形し難い構造にすることもでき、それら側壁部32〜35がキャップ30の内方に向けて不要に変形することを好適に抑えることができる。
【0063】
(3)弾性を有する材料によって突っ張り部材40を形成したため、ノズルプレート19aの下面とキャップ30とにより区画された空間内の圧力が低下した際に、同キャップ30の各壁部から突っ張り部材40に作用する押圧力によって該突っ張り部材40を弾性変形させることができる。そのため、キャップ30の外方側に押圧する力を各側壁部32〜35に作用させることができる。しかも、突っ張り部材40が弾性変形した分だけキャップ30の各側壁部32〜35の同キャップ30の外方側への変形が抑えられるために、それら各側壁部32〜35の外方側への不要な変形を抑えることが可能になる。
【0064】
(4)支え部分41の両端部41aの前後方向の幅を中間部分41bの幅より大きく設定するとともに、支え部分42の両端部41aの左右方向の幅を中間部分42bの幅より大きく設定した。そのため、キャップ30の各側壁部32〜35の上記キャップ30の内方側への変形を広範囲にわたって抑えることができ、さらには突っ張り部材40がキャップ30内部からのインク排出の妨げになることを抑えることもできる。したがって、ノズルのクリーニングをより好適に行うことができる。
【0065】
(5)キャップ30の底壁部31に凸部38を突設したために、キャップ30の底壁部31と突っ張り部材40との距離によることなく、凸部38を介して、底壁部31の変形部分によって上記突っ張り部材40を押圧することができる。そのため、突っ張り部材40の形状設定の自由度を格段に高めることができる。
【0066】
なお、上記実施の形態はこれを適宜変更した以下の形態にて実施することもできる。
・上記実施の形態において、必ずしも、キャップ30の底壁部31の肉厚を側壁部32〜35の肉厚より薄く設定しなくてもよい。前述したようにキャップ30の各側壁部32〜35の内方側への変形を抑える効果は、同キャップ30の各壁部(底壁部31および側壁部32〜35)の肉厚の関係のみによって定まるのではなく、キャップ30の形成材料や各壁部の面積の関係、並びに突っ張り部材40の形成材料や延設形状などといった種々のパラメータによって変化する。そのため、キャップ30の各壁部の肉厚以外のパラメータの設定を通じて、同キャップ30の各側壁部32〜35の内方側への変形を抑える効果が十分に得られるのであれば、キャップ30の底壁部31の肉厚を側壁部32〜35の肉厚より厚く設定したり、それら肉厚を等しく設定したりすることも可能である。
【0067】
・上記実施の形態において、クリーニング処理が実行されていないときに凸部38の突端と突っ張り部材40の下面とが接触した状態になっていることに限らず、同凸部38の突端と突っ張り部材40の下面とが若干の距離を置いた状態になっていてもよい。こうした構成によっても、キャップ30の底壁部31の変形が始まった直後のしばらくの間、突っ張り部材40が凸部38によって上方に押圧されない状態になるものの、底壁部31の変形が進んで凸部38の突端が突っ張り部材40に接触した後においては、同突っ張り部材40を凸部38によって上方に押圧することができる。
【0068】
・上記実施の形態において、キャップ30の凸部38を省略してもよい。こうした構成では、突っ張り部材40の形状をその交差部分43が底壁部31側に突出する形状に変更したり、突っ張り部材40に底壁部31側に突出する形状の別部材を取り付けたりして、キャップ30の底壁部31が内方側に変形した際にその変形を利用して突っ張り部材40の交差部分43の下面を押圧する力が作用する構造にすればよい。
【0069】
なお、キャップ30の壁部の形成材料と肉厚とが同一であると仮定した場合、同壁部の面積が大きくなるほど、キャップ30とノズルプレート19aの下面とにより区画された空間の圧力が低下したときにおいて上記壁部をキャップ30の内方に変形させるように作用する力、すなわち壁部によって突っ張り部材40を押圧する力は大きくなる。そのため、各側壁部32〜35による押圧力と比較して底壁部31による押圧力が大きくなるようにそれら突っ張り部材40を押圧する力を設定する際には、キャップ30の各壁部を同一の材料で形成するとともに底壁部31の面積を各側壁部32〜35の面積の合計より大きく設定することにより、各押圧力の設定を容易に行うことが可能になる。
【0070】
・上記実施の形態において、クリーニング処理の実行時に必ずしもキャップ30の各側壁部32〜35が同キャップ30の外方側に変形しなくてもよい。キャップ30の各側壁部32〜35を突っ張り部材40によって同キャップ30の外方側に向けて押圧することができるのであれば、それら側壁部32〜35のキャップ30の内方側への変形を抑えることはできる。
【0071】
・上記実施の形態において、突っ張り部材40をステンレス板により形成することに限らず、他の金属板により形成することもできる。また、樹脂材料などの金属材料以外の材料によって突っ張り部材40を形成することも可能である。要は、キャップ30の各壁部からの押圧による変形に耐え得る材料であり、且つその押圧が解除されたときにおいて変形前の形状に復帰する復元力を有する材料であれば、突っ張り部材40を形成する材料として採用することができる。
【0072】
・上記実施の形態において、突っ張り部材40の支え部分41と支え部分42とを一体に形成することに限らず、それらを別体に形成してもよい。
・上記実施の形態において、支え部分41が側壁部32側の部分と側壁部34側の部分とに分割された構造を採用したり、支え部分42が側壁部33側の部分と側壁部35側の部分とに分割された構造を採用したりしてもよい。
【0073】
こうした構成においては、それら分割体を直接固定したり他の部材を介して固定したりするなどして、支え部分41あるいは支え部分42を一体構造にしたうえでキャップ30に組み付けることが望ましい。このように組み付けることにより、クリーニング処理の実行停止によって支え部分41や支え部分42が同処理の実行前の形状に復帰する際に、支え部分41や支え部分42ともどもキャップ30の各側壁部32〜35が変形するようになるため、それら側壁部32〜35の形状を実行前の形状に復帰させることができるようになる。
【0074】
また上記構成では、キャップ30の上方側から見た上記支え部分41の延設形状や支え部分42の延設形状が直線形状に設定されることが望ましい。仮に、そうした延設形状をクランク形状や、屈曲形状、湾曲形状に設定すると、支え部分41(あるいは支え部分42)によって側壁部32,34(あるいは側壁部33,35)を押し広げるように押圧する際に、支え部分41(あるいは支え部分42)を前後方向(あるいは左右方向)に変形させる力が発生してしまう。これは、支え部分41や支え部分42を介して、キャップ30の底壁部31を内方側に変形させる力を各側壁部32〜35に伝達する際に、その伝達の効率を低下させる一因になるために好ましくない。この点、上記延設形状を直線形状に設定することにより、支え部分41(あるいは支え部分42)を前後方向(あるいは左右方向)に変形させる力が発生することを極力抑えることができるため、キャップ30の底壁部31を内方側に変形させる力を各側壁部32〜35に効率よく伝達することができるようになる。
【0075】
・上記実施の形態において、支え部分41の両端部41aを中間部分41bより幅広の形状に形成しなくてもよい。また、支え部分42の両端部42aを中間部分42bより幅広の形状に形成しなくてもよい。
【0076】
・上記実施の形態において、弾性を有していない、あるいは殆ど弾性を有していない材料によって突っ張り部材40を形成してもよい。
・上記実施の形態において、キャップ30の係合溝33a,35aと突っ張り部材40の支え部分42(図6)とを省略してもよい。図9は、そうした変形例のキャップ50と突っ張り部材51とを示している。こうした構成によっても、クリーニング処理の実行時において、キャップ50の底壁部31を同キャップ50の内方側に変形させるように作用する力を利用して、キャップ50の側壁部32,34の同キャップ50の内方側への変形を抑えることができる。したがって、それら側壁部32,34の内方側への変形に起因する不都合の発生が懸念されるものにおいて、その不都合の発生を抑えることができる。
【0077】
・上記実施の形態において、キャップ30の係合溝32a,34a(図5)を省略するとともに、突っ張り部材40の支え部分41を省略してもよい。図10は、そうした変形例のキャップ60と突っ張り部材61とを示している。こうした構成によっても、クリーニング処理の実行時において、キャップ60の底壁部31を同キャップ60の内方側に変形させるように作用する力を利用して、キャップ60の側壁部33,35の同キャップ60の内方側への変形を抑えることができる。したがって、それら側壁部33,35の内方側への変形に起因する不都合の発生が懸念されるものにおいて、その不都合の発生を抑えることができる。
【0078】
・上記実施の形態において、底壁部31の内方側への変形を利用して各側壁部32〜35の内方側への変形を抑えるための突っ張り部材40に代えて、側壁部33の内方側への変形を利用して側壁部32,34の内方側への変形を抑えるための突っ張り部材を設けたり、側壁部35の内方側への変形を利用して側壁部32,34の内方側への変形を抑えるための突っ張り部材を設けたりしてもよい。
【0079】
図11は、そうした変形例のキャップ70と突っ張り部材79a,79bとを示している。同図11に示す例では、キャップ70の内部に突っ張り部材79a,79bが配設されている。突っ張り部材79a,79bは、共にキャップ70の各側壁部72〜75のうちの対向する二つの側壁部72,74の内面を繋ぐように架設されている。この構成では、二つの側壁部72,74が第1壁部として機能する。
【0080】
突っ張り部材79aは、その延設方向における中間部位に向かうほど側壁部73側(後方側)の位置になる平面視略V字形状に形成されている。そして、側壁部73には、その前方に向けて突出する形状の凸部78aが一体に形成されている。この凸部78aの突端は上記突っ張り部材79aの延設方向における中間部位の後面に接触するようになっている。また、突っ張り部材79bは、その延設方向における中間部位に向かうほど側壁部75側(前方側)の位置になる平面視略V字形状に形成されている。そして、側壁部75には、その後方に向けて突出する形状の凸部78bが一体に形成されている。この凸部78bの突端は上記突っ張り部材79bの延設方向における中間部位の前面に接触するようになっている。同構成では、上記側壁部73や側壁部75が第2壁部として機能し、上記凸部78aや凸部78bが伝達部材として機能する。
【0081】
こうした構成では、クリーニング処理が実行されて負圧が発生すると、これに伴ってキャップ70の側壁部73,75をその内方に撓ませる方向(図中に白抜きの矢印で示す方向)に変形させる力が作用する。この力は凸部78a,78bを共にキャップ70の内方に移動させるように作用するために、凸部78aの突端によって突っ張り部材79aの後面が前方に向けて押圧されるようになる一方、凸部78bの突端によって突っ張り部材79bの前面が後方に向けて押圧されるようになる。そのため、このとき突っ張り部材79a,79bの両端を互いに離間させる方向(同図中に黒塗りの矢印で示す方向)に変形させる力が同突っ張り部材79a,79bに作用するようになる。これにより、キャップ70の各側壁部72,74を押し広げるように同突っ張り部材79a,79bによって各側壁部72,74が押圧されるようになる。
【0082】
このように上記構成によれば、クリーニング処理の実行時において、キャップ70の側壁部73,75を内方側に変形させるように作用する力を利用して、キャップ70の側壁部72,74の内方側への変形を抑えることができる。
【0083】
なお、上記構成では、キャップ70の各壁部(底壁部71および側壁部72〜75)が同一の材料により形成されるとともに、側壁部73,75の肉厚が側壁部72,74の肉厚より薄く設定されている。そのため、側壁部72,74と比較して側壁部73,75が変形し易い構造にすることができ、同側壁部72,74の変形を利用して突っ張り部材79a,79bを押圧する力を好適に発生させることができる。しかも、側壁部72,74が変形し難い構造にすることもでき、それら側壁部72,74がキャップ70の内方に向けて不要に変形することを好適に抑えることができる。
【0084】
・上記実施の形態において、側壁部32の内方側への変形を利用して側壁部33,35の内方側への変形を抑えるための突っ張り部材を設けたり、側壁部34の内方側への変形を利用して側壁部33,35の内方側への変形を抑えるための突っ張り部材を設けたりしてもよい。
【0085】
・本発明にかかる液体噴射装置は、略有底四角箱状のキャップを備えたインクジェット式プリンターに具体化することに限らず、有底筒形状をなし且つその延設方向と直交する方向における断面が長穴形状や楕円形状、あるいは円形状をなすキャップを備えたインクジェット式プリンターなどに具体化することもできる。また、インクジェット式プリンターに限らず、インク以外の他の液体を噴射したり吐出したりする液体噴射装置に本発明を具体化することも可能である。なお、ここでいう液体とは液体噴射装置が噴射することのできるものであればよい。詳しくは、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状体、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような流状態、また物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたものなどを含む。液体の代表的な例としてはインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インクおよび油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。液体噴射装置の具体例としては、例えば液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルタの製造などに用いられる電極材や色材などの材料を分散又は溶解のかたちで含む液体を噴射する液体噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を噴射する液体噴射装置、捺染装置やマイクロディスペンサ等であってもよい。さらに、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する液体噴射装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する液体噴射装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する液体噴射装置を採用してもよい。そして、これらのうちいずれか一種の液体噴射装置に本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0086】
11…インクジェット式プリンター、12…フレーム、13…支持台、14…紙送りモーター、15…ガイド軸、16…キャリッジ、16a…支持孔、17…タイミングベルト、17a…駆動プーリー、17b…従動プーリー、18…キャリッジモーター、19…記録ヘッド、19a…ノズルプレート、20…ノズル、20a…噴孔、21…圧電素子、
22…インクカートリッジ、23…メンテナンス機構、24…排出チューブ、25…廃インクタンク、26…吸引ポンプ、27…廃インク吸収材、30,50,60,70…キャップ、31,71…底壁部、32,33,34,35,72,73,74,75…側壁部、32a,33a,34a,35a…係合溝、36…シール部材、37…排出部、37a…排出路、38,78a,78b…凸部、40,51,61,79a,79b…突っ張り部材、41、42…支え部分、41a、42a…端部、41b,42b…中間部分、43…交差部分。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を噴射するノズルが形成された液体噴射ヘッドと、底壁部および該底壁部を囲む側壁部からなるキャップと、前記キャップに接続されて同キャップの内部の液体を吸引可能な吸引ポンプと、を備えてなり、前記ノズルを囲うように前記キャップを前記液体噴射ヘッドに当接させた状態で前記吸引ポンプを駆動することにより前記ノズルから液体を強制排出させるクリーニング処理を実行する液体噴射装置において、
前記キャップの内部に前記側壁部における対向する二つの第1壁部の内面間を繋ぐ突っ張り部材が架設されるとともに、
該突っ張り部材は、前記キャップの各壁部における前記二つの第1壁部に挟まれた部分の少なくとも一部をなす第2壁部が前記キャップの内方側に変形したときに、前記突っ張り部材の延設方向の両端を互いに離間させるように変形する態様で同突っ張り部材の延設方向の中間部位が前記第2壁部の変形部分によって押圧されるように配設されてなる
ことを特徴とする液体噴射装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液体噴射装置において、
前記キャップは、その各壁部が同一の材料により形成されてなるとともに、前記第2壁部の肉厚が前記二つの第1壁部の肉厚より薄く設定されてなる
ことを特徴とする液体噴射装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の液体噴射装置において、
前記キャップは、その各壁部が同一の材料により形成されてなるとともに、前記第2壁部の面積が前記二つの第1壁部の面積の合計より大きく設定されてなる
ことを特徴とする液体噴射装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の液体噴射装置において、
前記突っ張り部材は、弾性を有する材料により形成されてなる
ことを特徴とする液体噴射装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の液体噴射装置において、
前記突っ張り部材は、前記第1壁部を押圧する部分の面積が他の部分の延設方向と直交する方向における断面積より大きく設定されてなる
ことを特徴とする液体噴射装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の液体噴射装置において、
当該装置は、前記第2壁部と前記突っ張り部材との間に、同第2壁部の変形による押圧力を前記突っ張り部材に伝達するための伝達部材が設けられてなる
ことを特徴とする液体噴射装置。
【請求項1】
液体を噴射するノズルが形成された液体噴射ヘッドと、底壁部および該底壁部を囲む側壁部からなるキャップと、前記キャップに接続されて同キャップの内部の液体を吸引可能な吸引ポンプと、を備えてなり、前記ノズルを囲うように前記キャップを前記液体噴射ヘッドに当接させた状態で前記吸引ポンプを駆動することにより前記ノズルから液体を強制排出させるクリーニング処理を実行する液体噴射装置において、
前記キャップの内部に前記側壁部における対向する二つの第1壁部の内面間を繋ぐ突っ張り部材が架設されるとともに、
該突っ張り部材は、前記キャップの各壁部における前記二つの第1壁部に挟まれた部分の少なくとも一部をなす第2壁部が前記キャップの内方側に変形したときに、前記突っ張り部材の延設方向の両端を互いに離間させるように変形する態様で同突っ張り部材の延設方向の中間部位が前記第2壁部の変形部分によって押圧されるように配設されてなる
ことを特徴とする液体噴射装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液体噴射装置において、
前記キャップは、その各壁部が同一の材料により形成されてなるとともに、前記第2壁部の肉厚が前記二つの第1壁部の肉厚より薄く設定されてなる
ことを特徴とする液体噴射装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の液体噴射装置において、
前記キャップは、その各壁部が同一の材料により形成されてなるとともに、前記第2壁部の面積が前記二つの第1壁部の面積の合計より大きく設定されてなる
ことを特徴とする液体噴射装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の液体噴射装置において、
前記突っ張り部材は、弾性を有する材料により形成されてなる
ことを特徴とする液体噴射装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の液体噴射装置において、
前記突っ張り部材は、前記第1壁部を押圧する部分の面積が他の部分の延設方向と直交する方向における断面積より大きく設定されてなる
ことを特徴とする液体噴射装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の液体噴射装置において、
当該装置は、前記第2壁部と前記突っ張り部材との間に、同第2壁部の変形による押圧力を前記突っ張り部材に伝達するための伝達部材が設けられてなる
ことを特徴とする液体噴射装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−56116(P2012−56116A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−199071(P2010−199071)
【出願日】平成22年9月6日(2010.9.6)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月6日(2010.9.6)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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