説明

液体噴射装置

【課題】脱着方向に付勢された状態で液体噴射装置に着脱自在に装着された液体収容体の脱着時において、液体収容体の脱着方向への飛び出しを好適に規制することのできる液体収容体装着機構及び同装着機構を備えた液体噴射装置並びに同液体噴射装置に装着される液体収容体を提供する。
【解決手段】装着機構29は、装着機構29に装着されるインクカートリッジ22を脱着方向に付勢するばね36と、ばね36の付勢力に抗してインクカートリッジ22を装着状態に保持可能な保持用係止部30cと、インクカートリッジ22の脱着時に、インクカートリッジ22の脱着方向への飛び出しを規制可能な規制用係止部30bとを備える。規制用係止部30bは、外部から付与される操作力に基づき変位することによって、インクカートリッジ22の飛び出しを規制する位置態様となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体収容体を着脱自在に装着する液体収容体装着機構、該液体収容体装着機構を備えた液体噴射装置、及び該液体噴射装置に装着される液体収容体に関する。
【背景技術】
【0002】
液体噴射ヘッドから液体をターゲットに対して噴射する液体噴射装置として、例えば、インクジェット式プリンタ(以下、単に「プリンタ」と言う)が知られている。こうしたプリンタのうち、インクを収容したインクカートリッジを交換することでインクを追加補給するタイプのプリンタでは、インクカートリッジを着脱可能なカートリッジ装着機構を備えているのが一般的である。従来、こうしたカートリッジ装着機構には、インクカートリッジの着脱交換をスムーズに行うために、インクカートリッジを脱着方向に付勢する付勢手段と、インクカートリッジを付勢手段による脱着方向への付勢力に抗して装着状態に保持する保持手段とを備えたものがあった。
【0003】
このようなカートリッジ装着機構を備えたプリンタにあっては、付勢手段の付勢力によっては、インクカートリッジを脱着するために保持手段による保持状態を解除したときに、インクが消耗されて軽くなったインクカートリッジが一気に飛び出し、インクカートリッジから漏出したインクが飛散して装置内を汚損してしまうという問題があった。
【0004】
そこで、こうした問題に対応するため、カートリッジ装着機構にインクカートリッジの脱着方向への飛び出しを規制する規制手段を備えたプリンタが提案されている(例えば、特許文献1)。すなわち、この特許文献1のプリンタでは、保持手段による保持状態を解除されたインクカートリッジが脱着方向へ移動するときに、規制手段に設けられたフック部がインクカートリッジに設けられた溝に係止されることで、インクカートリッジの飛び出しを規制するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−288866号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献1のプリンタの規制手段においては、インクカートリッジが大型であったり、インク残量が多かったりした場合には、付勢力を受けて移動するインクカートリッジの慣性力が大きくなるため、飛び出しを規制しきれないという問題があった。この問題に対応するためには、付勢部材の付勢力を調整することが考えられるが、インクカートリッジの着脱交換時における操作性を低下させないように付勢力の調整を行うのは困難であった。
【0007】
なお、上記インクジェット式プリンタの場合に限らず、液体収容体が脱着方向に付勢された状態で着脱自在に装着される液体噴射装置においては、こうした実情も概ね共通したものとなっている。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものである。その目的は、脱着方向に付勢された状態で液体噴射装置に着脱自在に装着された液体収容体の脱着時において、液体収容体の脱着方向への飛び出しを好適に規制することのできる液体収容体装着機構及び同装着機構を備えた液体噴射装置並びに同液体噴射装置に装着される液体収容体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の液体収容体装着機構は、液体を収容した液体収容体が着脱可能に装着される液体収容体装着機構であって、前記液体収容体を脱着方向に付勢する付勢手段と、該付勢手段の付勢力に抗して前記液体収容体を装着状態に保持可能な保持手段と、前記液体収容体の脱着時に、前記液体収容体の脱着方向への飛び出しを規制可能な規制手段とを備え、該規制手段は、外部から付与される操作力に基づき変位することによって、前記液体収容体の飛び出しを規制する位置態様となる。
【0010】
この構成によれば、外部から付与される操作力に基づいて規制手段が変位されるため、着脱交換時における操作性を低下させることなく、液体収容体の飛び出しを好適に規制することができる。
【0011】
また、本発明の液体収容体装着機構は、一つの操作力で前記保持手段を前記液体収容体の保持状態を解除する位置態様に変位させるとともに前記規制手段を前記液体収容体の飛び出しを規制する位置態様に変位させる操作部を備える。
【0012】
この構成によれば、外部から付与する一つの操作力で、保持手段による液体収容体の保持状態の解除と、規制手段による液体収容体の飛び出し規制とを行うことができる。すなわち、液体収容体の保持状態の解除を行う操作力によって液体収容体の飛び出しを規制することができる。したがって、付勢手段の付勢力が大きい場合には、保持状態の解除に必要な操作力も大きくなるため、付勢力に応じた操作力によって確実に液体収容体の飛び出しを規制することができる。
【0013】
また、本発明の液体収容体装着機構において、前記操作部は、前記液体収容体に係止することで前記保持手段として機能する保持用係止部が一端側に設けられるとともに、前記液体収容体に係止することで前記規制手段として機能する規制用係止部が他端側に設けられ、且つ、前記保持用係止部と前記規制用係止部との間の部分において回動可能に支持された操作レバーにより構成されている。
【0014】
この構成によれば、操作部としての操作レバーを回動させることで、液体収容体の保持及び保持状態の解除並びに飛び出し規制の3つの操作を行うことができる。したがって、簡易な構成で液体収容体の飛び出しを規制することができる。
【0015】
また、本発明の液体収容体装着機構において、前記操作レバーは可撓性素材からなる。
この構成によれば、操作レバーは可撓性素材からなることから、保持状態を解除するために操作力を加えた場合に撓みが生じる。したがって、この撓みが解消される間、すなわち保持状態の解除操作から実際に保持状態が解除されるまでに時間遅れが生じる。一方、加えられた操作力はすみやかに液体収容体の飛び出し規制に適用されるため、保持状態の解除から飛び出し規制までの時間間隔を短くすることができる。したがって、確実に液体収容体の飛び出しを規制することができる。
【0016】
また、本発明の液体収容体は、液体を収容する液体収容体であって、上記構成の液体収容体装着機構に備えられた前記操作レバーの前記保持用係止部が係合する保持用被係止部と、前記規制用係止部が係合する規制用被係止部とを備える。
【0017】
この構成によれば、保持用係止部が係合する保持用被係止部と規制用係止部が係合する規制用被係止部との距離や、規制用被係止部の大きさを変化させることにより、保持状態解除から飛び出し規制までの時間間隔を調整することができる。したがって、確実に液体収容体の飛び出しを規制するとともに、液体収容体装着機構や液体収容体の形状等に応じて脱着時の飛び出し量を調整することができる。
【0018】
また、本発明の液体噴射装置は、液体を収容した液体収容体が着脱可能に装着され、該液体収容体から供給される液体を液体噴射ヘッドから噴射する液体噴射装置であって、上記構成の液体収容体装着機構を備える。
【0019】
この構成によれば、上記発明の液体収容体装着機構と同様の作用効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施形態におけるインクジェット式プリンタの概略平面図。
【図2】実施形態におけるインクカートリッジ装着機構の斜視図。
【図3】(a)はインクカートリッジの装着機構への装着状態を示す図1におけるA−A線矢視断面図で、(b)はインクカートリッジの装着機構からの脱着時の状態を示す同断面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明をインクジェット式プリンタ(以下、単にプリンタという)に具体化した一実施形態を図1〜図3に従って説明する。
図1に示すように、本実施形態の液体噴射装置としてのプリンタ11は、略矩形箱状をなす本体ケース12を備えるとともに、この本体ケース12内の前方下部には、プラテン13が主走査方向となる本体ケース12の長手方向(図1において左右方向)に沿って架設されている。プラテン13は、ターゲットとしての記録用紙Pを支持する支持台であって、このプラテン13上には、図示しない紙送り機構により記録用紙Pが主走査方向と直交する副走査方向に沿って給送されるようになっている。
【0022】
本体ケース12内においてプラテン13の後部上方には、主走査方向に沿って棒状のガイド軸14が架設され、このガイド軸14にはキャリッジ15が挿通支持されている。また、本体ケース12内の後方側面においてガイド軸14の両端部と対応する位置には、駆動プーリ16及び従動プーリ17が回転自在に支持されている。駆動プーリ16にはキャリッジモータ18が連結されるとともに、一対のプーリ16,17間にはキャリッジ15を支持した無端状のタイミングベルト19が掛装されている。したがって、キャリッジ15は、キャリッジモータ18の駆動により、ガイド軸14に沿って主走査方向に往復移動可能となっている。
【0023】
本体ケース12内の一端側(図1では右端側)には箱形のカートリッジホルダ20が設けられている。カートリッジホルダ20は、前壁及び上壁前部にあたる部分が蓋部21として開閉可能に構成されている。
【0024】
カートリッジホルダ20には、液体収容体としてのインクカートリッジ22が液体としてのインクの色毎に複数個(本実施形態においては4個)、装着可能となっている。インクカートリッジ22の着脱交換は、蓋部21を開けて行われるようになっている(図3(b)参照)。
【0025】
各インクカートリッジ22はカートリッジホルダ20に装着された場合にインク供給路23の上流端に接続されるようになっている。また、各インク供給路23の下流端は、キャリッジ15上に搭載されたバルブユニット24の上流側とそれぞれ接続されるとともに、バルブユニット24の下流側はキャリッジ15の下面側に設けられた記録ヘッド25に接続されている。
【0026】
カートリッジホルダ20とプラテン13との間には、記録ヘッド25の退避位置となるホームポジションHPが設けられている。印刷の開始前などには、このホームポジションHPにおいて記録ヘッド25に対するクリーニング等、各種メンテナンス処理が実行される。
【0027】
カートリッジホルダ20の上には加圧ポンプ26が載置されている。加圧ポンプ26は加圧空気の供給源であり、加圧空気供給路27の上流端に接続されている。加圧空気供給路27は加圧ポンプ26の下流側に配設された分配器28を境にインクカートリッジ22の個数と同数に分岐されて、それぞれの下流端が対応するインクカートリッジ22に接続されている。
【0028】
次に、本実施形態のプリンタにおけるインクカートリッジ22の装着機構について説明する。
カートリッジホルダ20内には、図2に示す液体収容体装着機構としての装着機構29が収容されている。各インクカートリッジ22はこの装着機構29を介してカートリッジホルダ20に装着されるようになっている。各装着機構29の上部において前寄りの位置には可撓性素材からなる操作部としての操作レバー30が設けられており、インクカートリッジ22を着脱交換する際には、この操作レバー30が操作されるようになっている。
【0029】
図3(a)及び図3(b)に示すように、装着機構29の後壁29aには、上下方向における中央付近にインク供給路23の上流端が接続されたインク供給ポート31が設けられている。また、インク供給ポート31には中空針であるインク供給針32が前方(図3(a)及び図3(b)において左方)に向けて突設されるように設けられている。
【0030】
同じく後壁29aのインク供給ポート31の上側には、加圧空気供給路27の下流端が接続された加圧空気供給ポート33が設けられている。さらに、後壁29aのインク供給ポート31の下側及び加圧空気供給ポート33の上側には、一対の位置決め部材34がそれぞれ前方に向けて突設されている。
【0031】
また、装着機構29の後壁29a寄りの位置には、前後方向に摺動可能なスライダ35が設けられている。このスライダ35は付勢手段としてのばね36によって、図3(b)におけるOUT方向、すなわちインクカートリッジ22の脱着方向に付勢されている。
【0032】
装着機構29に設けられた操作レバー30は、支持部30aによって装着機構29の側壁29bに対して回動可能に支持されるとともに、ばね37によって時計回り方向(図3(a)に示す矢印方向)に付勢されている。
【0033】
操作レバー30の支持部30aより前側の端部には規制手段としての規制用係止部30bが下向きに突設されるとともに、支持部30aより後側の端部には保持手段としての保持用係止部30cが設けられている。また、規制用係止部30bが設けられた前側端部の上面には押圧部30dが形成されている。
【0034】
インクカートリッジ22は、図3(a)に示す装着機構29への装着状態における上面に、操作レバー30の規制用係止部30bが係合する凹部である規制用被係止部22a及び保持用係止部30cが係合する凹部である保持用被係止部22bが設けられている。規制用被係止部22a及び保持用被係止部22bは、その深さ及び左右方向(図3(a)及び図3(b)において紙面と直交する方向)の幅は等しく、前後方向の幅は規制用被係止部22aの方が保持用被係止部22bよりも広くなっている。
【0035】
インクカートリッジ22の内部は加圧室22cとなっており、この加圧室22c内には内部にインクが充填されたインクパック38が収容されている。インクパック38は、重ね合わされた2枚のラミネートフィルムの3辺を溶着し、残りの1辺を、その中央からインク導出部材39が突出するように配置された状態で熱溶着することで袋状に形成されている。インクパック38内のインクは、インク導出部材39内に形成されたインク導出孔(図示略)を通じて導出されるようになっている。インクパック38は、インクカートリッジ22の装着機構29への装着状態時に、装着機構29の後壁29aに設けられたインク供給ポート31と対向する位置にインク導出部材39が配置されるように、インクカートリッジ22内に収容されている。
【0036】
インクカートリッジ22のインク導出部材39の上側にあたる位置には、図3(b)に示すように、装着機構29の後壁29aに設けられた加圧空気供給ポート33に向けて突設された中空針である空気供給針40が設けられている。また、図3(a)に示すように、インクカートリッジ22の空気供給針40の上側及びインク導出部材39の下側には、後壁29aに設けられた一対の位置決め部材34を摺動案内可能な一対の位置決め孔41が設けられている。
【0037】
次に、以上のように構成された装着機構29の作用について説明する。
まず、インクカートリッジ22を装着機構29に装着する場合には、インクカートリッジ22が図3(b)におけるIN方向、すなわち装着方向に向かって挿入され、スライダ35に当接させられる。このとき、インクカートリッジ22の位置決め孔41内に装着機構29に設けられた位置決め部材34が挿入される。また、加圧空気供給ポート33に空気供給針40が挿通されるとともに、インク導出部材39のインク導出孔内にインク供給針32が挿通される。
【0038】
この状態からさらにインクカートリッジ22がばね36の付勢力に抗して装着方向に挿入され、インクカートリッジ22の保持用被係止部22bの上側に操作レバー30の保持用係止部30cが位置するようになると、操作レバー30は時計回り方向に付勢されているために同方向に回動して、保持用被係止部22bに保持用係止部30cが係合する。これにより、インクカートリッジ22は脱着方向に付勢された状態で装着機構29に保持され、図3(a)に示す装着状態となる。
【0039】
インクカートリッジ22が装着機構29への装着状態となったとき、加圧空気供給路27の下流端が加圧室22c内に連通するとともに、インク供給路23の上流端がインクパック38内に連通する。したがって、この状態で加圧ポンプ26が駆動された場合には、加圧ポンプ26から圧送された加圧空気が加圧空気供給路27を介して加圧室22c内に導入され、加圧空気の空気圧によってインクパック38が押し潰される。すると、インクパック38内のインクがインク供給路23を通じて記録ヘッド25に送られ、記録ヘッド25の下面に設けられた複数のノズル(図示略)から記録用紙Pにインク滴が噴射されることで印刷が行われる。
【0040】
次に、インクカートリッジ22を脱着する場合には、図3(b)に示すように蓋部21が開かれて、操作レバー30は、図3(a)に示す状態において、その押圧部30dが押し下げられる。
【0041】
すると、操作レバー30がばね37の付勢力に抗して反時計回りに回動されるので、保持用係止部30cの保持用被係止部22bに対する係合が解かれ、保持状態が解除されたインクカートリッジ22はばね36の付勢力によって脱着方向へ飛び出す。同時に、規制用係止部30bが下向きに変位し、図3(b)に示すようにインクカートリッジ22の規制用被係止部22aに係合されることによって、インクカートリッジ22の飛び出しが規制される。
【0042】
すなわち、操作レバー30の一端側に設けられた押圧部30dを押し下げるという一つの操作力で、保持用係止部30cをインクカートリッジ22の保持状態を解除する位置態様に変位させるとともに、規制用係止部30bをインクカートリッジ22の飛び出しを規制する位置態様に変位させる。
【0043】
このとき、操作レバー30の一端側(押圧部30d)を押し下げるために必要な操作力の大きさは、ばね36の付勢力の大きさに対応しているため、保持状態の解除を行う操作力が大きいほど飛び出しを規制する力も大きくなる。
【0044】
また、操作レバー30は可撓性素材からなるため、一端側(押圧部30d)を押し下げられた操作レバー30には撓みが生じ、押圧部30dの押し下げ動作から保持用係止部30cの保持用被係止部22bに対する係合が実際に解かれるまでには時間遅れが生じる。一方、規制用係止部30bは押し下げと同時に変位されるため、時間遅れなく規制用被係止部22aに係合される。すなわち、保持状態の解除が完了されて飛び出し規制がなされるまでの時間間隔は操作レバー30の撓みによる時間遅れの分だけ短くなる。したがって、規制用係止部30bはタイミングを逃すことなく飛び出したインクカートリッジ22の規制用被係止部22aに対して係合される。
【0045】
以上のようにインクカートリッジ22の脱着方向への飛び出しを規制した後、操作レバー30への外部からの操作力の付与を中止すると、再びインクカートリッジ22がばね36の付勢力によって脱着方向に移動する。しかし、このときインクカートリッジ22に及ぼされる付勢力は飛び出しが規制される前と比較して小さくなっているため、インクカートリッジ22が勢いよく飛び出すことはない。
【0046】
なお、図3(a)のインクカートリッジ22の装着状態においては、操作レバー30の規制用係止部30bの下側付近に規制用被係止部22aの前方内壁が位置している。この状態において、規制用被係止部22aの前後方向への幅を後方向に拡げるようにした場合、操作レバー30に操作力が付与されてから規制用係止部30bが規制用被係止部22aに係合するまでの時間間隔が長くなる。そのため、この場合にはより確実に飛び出し規制が行われるとともに、飛び出しが規制されるまでのインクカートリッジ22の移動量が大きくなって、規制解除後の勢いはさらに抑制される。
【0047】
上記説明した実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)上記実施形態では、外部から付与される操作力に基づいて規制用係止部30bがインクカートリッジ22の飛び出しを規制する位置態様に変位されるため、着脱交換時における操作性を低下させることなく、インクカートリッジ22の飛び出しを好適に規制することができる。
【0048】
(2)上記実施形態では、一つの操作力で保持用係止部30cをインクカートリッジ22の保持状態を解除する位置態様に変位させるとともに規制用係止部30bをインクカートリッジ22の飛び出しを規制する位置態様に変位させる操作レバー30を備えている。そのため、保持状態の解除を行う操作力によってインクカートリッジ22の飛び出しを規制することができる。このとき、付勢手段の付勢力が大きい場合には保持状態の解除に必要な操作力も大きくなるため、付勢力に応じた操作力によって確実にインクカートリッジ22の飛び出しを規制することができる。
【0049】
(3)上記実施形態では、操作レバー30を回動させることで、インクカートリッジ22の保持及び保持状態の解除並びに飛び出し規制の3つの操作を行うことができる。したがって、簡易な構成でインクカートリッジ22の飛び出しを規制することができる。
【0050】
(4)上記実施形態では、操作レバー30は可撓性素材からなることから、保持状態を解除するために操作力を加えた場合に撓みが生じる。したがって、この撓みが解消される間、すなわち保持状態の解除操作から実際に保持状態が解除されるまでに時間遅れが生じる。一方、加えられた操作力はすみやかにインクカートリッジ22の飛び出し規制に適用されるため、保持状態の解除から飛び出し規制までの時間間隔を短くすることができる。したがって、確実にインクカートリッジ22の飛び出しを規制することができる。
【0051】
(5)上記実施形態では、規制用被係止部22aの前後方向の幅を変化させることにより、保持状態解除から飛び出し規制までの時間間隔を調整することができる。したがって、確実にインクカートリッジ22の飛び出しを規制するとともに、装着機構29やインクカートリッジ22の形状等に応じて脱着時の飛び出し量を調整することができる。
【0052】
なお、上記実施形態は以下のような別の実施形態に変更してもよい。
・上記実施形態においては、インクカートリッジ22の装着状態において、操作レバー30の規制用係止部30bの下側付近に規制用被係止部22aの前方内壁が位置するようにしたが、規制用被係止部22aの位置を前後方向に変化させて、保持用被係止部22bと規制用被係止部22aとの距離を変更するようにしてもよい。
【0053】
・上記実施形態においては、操作レバー30の押圧部30dを外部から付与する操作力で押し下げることによってインクカートリッジ22の脱着操作を行うようにしたが、操作レバーを操作可能な制御装置を備え、この制御装置に接続されたボタン等による操作やホストコンピュータ等を介した脱着指令に基づいて操作レバー30が回動されるようにしてもよい。
【0054】
・上記実施形態において、インクカートリッジ22に規制用被係止部22aを設けない構成とし、延設された操作レバー30及び規制用係止部30bがインクカートリッジ22の前側の外壁面に係止することで飛び出しが規制されるようにしてもよい。
【0055】
・上記実施形態においては、操作レバー30を可撓性素材によって形成するようにしたが、金属など他の素材によって形成するようにしてよい。
・上記実施形態において、操作レバー30がばね37によって反時計回り方向に付勢されるようにしてもよい。この場合には、操作レバー30の前端側に保持用係止部30cが設けられるとともに、後端側に規制用係止部30bが設けられるようにすればよい。またこの場合には、操作レバー30の前端側を外部から付与する操作力で押し上げることによってインクカートリッジ22の脱着操作を行うようにしてもよい。
【0056】
・上記実施形態においては、棒状の操作レバー30の前端側に規制用係止部30bが設けられるとともに後端側に保持用係止部30cが設けられるようにしたが、操作レバーの形状はこれに限らない。例えば、操作レバーをL字形状の部材として、各先端部がインクカートリッジ22を係止するようにしてもよいし、操作レバーを歯車形状の部材として、歯車の歯がインクカートリッジ22を係止するようにしてもよい。
【0057】
・上記実施形態においては、本発明にかかる液体噴射装置をインクジェット式プリンタに適用する場合について説明したが、こうしたプリンタに限らない他の液体噴射装置にも本発明は同様に適用することができる。例えば、ファクシミリや複写機等に用いられる印刷装置や、液晶ディスプレイ、ELディスプレイ、あるいは面発光ディスプレイの製造などに用いられる電極材や色材などの液体を噴射する液体噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体噴射装置、さらには精密ピペットとしての試料噴射装置等であってもよい。
【符号の説明】
【0058】
11…液体噴射装置としてのプリンタ、22…液体収容体としてのインクカートリッジ、22a…規制用被係止部、22b…保持用被係止部、29…液体収容体装着機構としての装着機構、30…操作部としての操作レバー、30b…規制用係止部、30c…保持用係止部、36…付勢手段としてのばね。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を収容した液体収容体が着脱可能に装着される液体収容体装着機構であって、
前記液体収容体を脱着方向に付勢する付勢手段と、
該付勢手段の付勢力に抗して前記液体収容体を装着状態に保持可能な保持手段と、
前記液体収容体の脱着時に、前記液体収容体の脱着方向への飛び出しを規制可能な規制手段とを備え、
該規制手段は、外部から付与される操作力に基づき変位することによって、前記液体収容体の飛び出しを規制する位置態様となることを特徴とする液体収容体装着機構。
【請求項2】
一つの操作力で前記保持手段を前記液体収容体の保持状態を解除する位置態様に変位させるとともに前記規制手段を前記液体収容体の飛び出しを規制する位置態様に変位させる操作部を備えることを特徴とする請求項1に記載の液体収容体装着機構。
【請求項3】
前記操作部は、前記液体収容体に係止することで前記保持手段として機能する保持用係止部が一端側に設けられるとともに、前記液体収容体に係止することで前記規制手段として機能する規制用係止部が他端側に設けられ、且つ、前記保持用係止部と前記規制用係止部との間の部分において回動可能に支持された操作レバーにより構成されていることを特徴とする請求項2に記載の液体収容体装着機構。
【請求項4】
前記操作レバーは可撓性素材からなることを特徴とする請求項3に記載の液体収容体装着機構。
【請求項5】
液体を収容する液体収容体であって、
請求項3又は4に記載の液体収容体装着機構に備えられた前記操作レバーの前記保持用係止部が係合する保持用被係止部と、前記規制用係止部が係合する規制用被係止部とを備えることを特徴とする液体収容体。
【請求項6】
液体を収容した液体収容体が着脱可能に装着され、該液体収容体から供給される液体を液体噴射ヘッドから噴射する液体噴射装置であって、
請求項1〜4のうちいずれか一項に記載の液体収容体装着機構を備えることを特徴とする液体噴射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−66601(P2012−66601A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−5346(P2012−5346)
【出願日】平成24年1月13日(2012.1.13)
【分割の表示】特願2006−296267(P2006−296267)の分割
【原出願日】平成18年10月31日(2006.10.31)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】