説明

液体回収容器及び液体噴射装置

【課題】液体を十分に回収することができる液体回収容器、及び該液体回収容器を備えた液体噴射装置を提供する。
【解決手段】排出されるインクを回収可能な廃インクタンク28であって、排出されたインクを吸収するインク吸収材30と、インク吸収材30内に対して吸引力を作用させる凹部33とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を受容可能な液体回収容器、及び該液体回収容器を備えた液体噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液体噴射ヘッドに形成されたノズル開口からターゲットに液体を噴射する液体噴射装置として、例えば、インクジェット式プリンター(以下、単に「プリンター」という。)が広く知られている。こうしたプリンターでは、通常、増粘したインク(液体)によるノズル開口の目詰まり抑制や、記録ヘッド(液体噴射ヘッド)内のインク中に混入した気泡や塵埃の排出等を目的として、記録ヘッド内から増粘したインクを廃インク(液体)として強制的に吸引して排出する、所謂クリーニングが行われる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1に記載のプリンターには、廃インクタンクがプリンターの内部に着脱可能に設けられている。そして、クリーニングにより記録ヘッド内から強制的に吸引された廃インクは、液体流路として機能する可撓性チューブを介してプリンター内の所定箇所に配置された廃インクタンク(液体回収容器)に排出されると共に、その廃インクタンク内に収容された廃インク吸収材(液体吸収材)に吸収される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−296757号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載のプリンターでは、廃インクタンクに排出され、廃インク吸収材に吸収された廃インクは、重力に従って廃インク吸収材における下方へ浸透しやすい一方で、排出された箇所から水平方向や上方へは浸透しにくい。そのため、廃インク吸収材の下方寄りの部分に廃インクが偏在し、廃インク吸収材の全域には廃インクを分散させることができず、廃インク吸収材に対して廃インクを十分に吸収させることができなくなる虞があった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、液体を十分に回収することができる液体回収容器、及び該液体回収容器を備えた液体噴射装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の液体回収容器は、排出される液体を回収可能な液体回収容器であって、排出された前記液体を吸収する液体吸収材と、前記液体吸収材内に対して吸引力を作用させる吸引作用部とを備えた。
【0008】
上記構成によれば、排出された液体を、重力や液体吸収材の浸透力だけで拡散させるのではなく、液体吸収材内に作用する吸引力によって、重力や浸透力では拡散しにくい領域にまで浸透して拡散させることができる。よって、液体吸収材は液体を十分に吸収することができる。また、吸引力による浸透は、重力や浸透力による場合よりも早く浸透するため、より短時間で広い範囲に液体を浸透させることができる。
【0009】
また、本発明の液体回収容器において、鉛直方向における前記吸引作用部の高さ位置は、排出された前記液体を受容する受容部の高さ位置以上である。
上記構成によれば、吸引作用部は、受容部に受容された液体を重力に抗して液体吸収材内に対して鉛直上方に拡散させる。このため、吸引力が無い場合の鉛直上方への拡散に比較して、より上方への拡散が可能になるため、液体吸収材は液体を十分に吸収することができる。
【0010】
また、本発明の液体回収容器において、前記吸引作用部及び前記受容部は、前記液体吸収材における水平方向に離れた両側に設けられる。
吸引作用部による吸引力の作用は、受容部に近い側で弱く、受容部から遠い側で強くなる。一方で、排出された液体は受容部に近い側では浸透しやすく、受容部から遠い側で浸透しにくい。上記構成によれば、受容部から遠く浸透しにくい液体に対して強い吸引力が働き、受容部から近く浸透しやすい液体に対して弱い吸引力が働くので、全体的に浸透することになる。
【0011】
また、本発明の液体回収容器において、前記吸引作用部及び前記受容部は、前記液体吸収材における水平方向両側の側面に設けられると共に、前記吸引作用部は、前記受容部と同じ高さ位置に設けられる。
【0012】
上記構成によれば、排出された液体は、重力と浸透力と吸引力の全てを受けて拡散する。そのため、液体吸収材は、当該液体吸収材における広範な部位を通じて液体を吸収するため、液体を十分に吸収することができる。
【0013】
また、本発明の液体回収容器において、前記吸引作用部及び前記受容部は、前記液体吸収材における水平方向両側の側面に設けられると共に、前記吸引作用部は、前記受容部よりも上方位置に設けられる。
【0014】
上記構成によれば、吸引作用部は、受容部に受容された液体を重力に抗して鉛直上方に拡散させつつ、受容部から遠ざかる方向に向けて拡散させる。そのため、液体吸収材は、当該液体吸収材における広範な部位を通じて液体を吸収するため、液体を十分に吸収することができる。
【0015】
また、本発明の液体回収容器において、前記吸引作用部及び前記受容部は、前記液体吸収材における同一の側面に設けられると共に、前記吸引作用部は、前記受容部よりも上方位置に設けられる。
【0016】
上記構成によれば、吸引作用部は、受容部に受容された液体を重力に抗して鉛直上方に拡散させる。そして次に、液体吸収材は、上下方向に拡散された液体を水平方向において受容部から遠ざかる方向に拡散させる。そのため、液体吸収材は、当該液体吸収材における広範な部位を通じて液体を吸収するため、液体を十分に吸収することができる。
【0017】
また、本発明の液体回収容器において、前記吸引作用部は、前記受容部を水平方向において挟んだ位置関係となる複数の位置で前記液体吸収材内に対して鉛直上方から吸引力を作用させる。
【0018】
上記構成によれば、吸引作用部は、受容部に受容された液体を、受容部を水平方向に挟んだ複数の位置で重力に抗して鉛直上方に拡散させる。そのため、液体吸収材は、当該液体吸収材における広範な部位を通じて液体を吸収するため、液体を十分に吸収することができる。
【0019】
また、本発明の液体噴射装置は、ターゲットに対して液体を噴射する液体噴射ヘッドと、 上記構成の液体回収容器と、前記液体噴射ヘッドから前記液体を吸引して前記液体回収容器に排出する排出部と、前記液体回収容器に対して吸引力を発生する吸引手段とを備えた。
【0020】
上記構成によれば、上記液体回収容器の発明と同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】第1の実施形態のプリンターの部分破断斜視図。
【図2】(a)は第1の実施形態のメンテナンスユニットを正面から見た模式図、(b)は第1の実施形態のメンテナンスユニットを上方から見た模式図。
【図3】(a)はインク吸収材に対して廃インクが受容された直後の状態を示す模式図、(b)は(a)に示す状態から廃インクが鉛直下方に拡散した状態を示す模式図、(c)は(b)に示す状態から廃インクが水平方向に拡散した状態を示す模式図。
【図4】第1の実施形態の変形例のメンテナンスユニットを上方から見た模式図。
【図5】第2の実施形態のメンテナンスユニットの模式図。
【図6】(a)はインク吸収材に対して廃インクが受容された直後の状態を示す模式図、(b)は(a)に示す状態から廃インクが水平方向に拡散した状態を示す模式図、(c)は(b)に示す状態から廃インクが鉛直上方に拡散した状態を示す模式図。
【図7】第3の実施形態のメンテナンスユニットの模式図。
【図8】(a)はインク吸収材に対して廃インクが受容された直後の状態を示す模式図、(b)は(a)に示す状態から廃インクが鉛直上方に拡散した状態を示す模式図、(c)は(b)に示す状態から廃インクが水平方向に拡散した状態を示す模式図。
【図9】第3の実施形態の変形例のメンテナンスユニットを上方から見た模式図。
【図10】(a)は第4の実施形態のメンテナンスユニットを正面から見た模式図、(b)は第4の実施形態のメンテナンスユニットを上方から見た模式図。
【図11】(a)はインク吸収材に対して廃インクが受容された直後の状態を示す模式図、(b)は(a)に示す状態から廃インクが水平方向に拡散した状態を示す模式図、(c)は(b)に示す状態から廃インクが鉛直上方に拡散した状態を示す模式図。
【図12】第4の実施形態の変形例のメンテナンスユニットを上方から見た模式図。
【図13】(a)〜(c)は別の実施形態のメンテナンスユニットを模式的に示す要部拡大図。
【図14】別の実施形態のメンテナンスユニットの模式図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(第1の実施形態)
以下、本発明を液体回収容器が着脱可能とされた液体噴射装置の一種であるインクジェット式プリンターに具体化した第1の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明において「前後方向」、「上下方向」及び「左右方向」をいう場合は、特に説明がない限り、図1〜図3に示す各図において矢印で示す「前後方向」、「上下方向」及び「左右方向」をいうものとする。
【0023】
図1に示すように、本実施形態に係る液体噴射装置としてのインクジェット式プリンター(以下、「プリンター」という。)11は、平面視で矩形状をなすフレーム12を備えている。フレーム12内には支持台13が左右方向に延設されると共に、当該支持台13上には紙送りモーター14を有する紙送り機構により記録用紙Pが後方側から前方側に向かって給送される。また、フレーム12内における支持台13の上方には、当該支持台13の長手方向(左右方向)と平行に延びるガイド軸15が架設されている。
【0024】
ガイド軸15には、キャリッジ16が、ガイド軸15の軸線方向(左右方向)に沿って往復移動可能に支持されている。また、フレーム12内の後面においてガイド軸15の両端部と対応する位置には、駆動プーリ17及び従動プーリ18が回転自在に支持されている。駆動プーリ17にはキャリッジ16を往復移動させる際の駆動源となるキャリッジモーター19が連結されると共に、これら一対のプーリ17,18間には、キャリッジ16を固定したタイミングベルト20が掛装されている。したがって、キャリッジ16は、キャリッジモーター19の駆動により、ガイド軸15にガイドされながらタイミングベルト20を介して左右方向に移動する。
【0025】
図1に示すように、キャリッジ16の下面には液体噴射ヘッドとしての記録ヘッド21が設けられている。一方、キャリッジ16上には記録ヘッド21に対して液体としてのインクを供給するための複数(本実施形態では5つ)のインクカートリッジ23が着脱可能に搭載されている。これら各インクカートリッジ23は、記録ヘッド21の下面にて構成されるノズル形成面21a(図2参照)に形成された複数のノズル開口列(図示略)と個別に対応するものであると共に、記録ヘッド21内に形成されたインク流路(図示略)を介して対応するノズル列にインクを個別に供給する。
【0026】
さらに、フレーム12内の一端部(図1では右端部)、すなわち、記録用紙Pが至らない非印刷領域には、プリンター11の電源オフ時や記録ヘッド21をメンテナンスする場合にキャリッジ16を位置させるためのメンテナンス位置となるホームポジションHPが設けられている。そして、このホームポジションHPの下方となる位置には、記録ヘッド21からの記録用紙Pに対するインクの噴射が良好に維持されるように、各種のメンテナンス動作を行うメンテナンスユニット24が設けられている。
【0027】
メンテナンスユニット24は、記録ヘッド21のノズルから排出される廃インクを受容する液体受け部としてのキャップ25と、当該キャップ25に対して接続される排出チューブ26と、排出チューブ26を通じてキャップ25内を吸引する吸引ポンプ27と、キャップ25を昇降させるための昇降装置(図示略)とを備えている。そして、キャリッジ16がホームポジションHPに移動した状態において昇降装置の駆動に基づきキャップ25が上昇した場合には、記録ヘッド21の下面であるノズル形成面21aに対してキャップ25が各ノズル列を囲んだ状態で当接する。また、キャップ25が記録ヘッド21のノズル形成面21aに対して当接した状態で吸引ポンプ27が駆動した場合、キャップ25内に負圧が蓄積して記録ヘッド21のノズル内からインクが吸引されて液体回収容器としての廃インクタンク28に対して回収される。本実施形態では、キャップ25、排出チューブ26、及び吸引ポンプ27を併せて、排出部と呼ぶ。
【0028】
図2(a)及び図2(b)に示すように、廃インクタンク28は、略箱体形状をなすタンク本体29を備えると共に、このタンク本体29の内部には、多孔質体からなる平板状の4つの液体吸収材としてのインク吸収材30が上下方向に積層して収容されている。これらのインク吸収材30のうち、最も上方に位置するインク吸収材30の側面には凹部31が形成されている。そして、インク吸収材30の凹部31には、排出チューブ26の下流端がタンク本体29の側面に形成された貫通孔32を介して挿入されている。排出チューブ26の下流端から排出されたインクは凹部31に排出される。
【0029】
インク吸収材30には、凹部31が形成された側面とは反対側の側面に凹部33が形成されている。凹部33は、上方から見てインク吸収材30の上面の対角線方向において凹部31に対して対向している。また、この凹部33には、減圧ポンプ34から延びる減圧チューブ35の先端部がタンク本体29の側面に形成された貫通孔36を介して挿入されている。そして、減圧ポンプ34が駆動した場合には、減圧チューブ35を通じてタンク本体29内のインク吸収材30から空気が吸引される。すなわち、インク吸収材30の凹部33が、インク吸収材30内に対して吸引力を作用させる吸引作用部として機能する。また、減圧ポンプ34と減圧チューブ35が吸引手段となり、貫通孔36が吸引手段とタンク本体29を接続する接続部となる。このとき、排出チューブ26からインク吸収材30に排出されたインクは、重力と、インク吸収材30の持つ浸透力と、減圧チューブ35側からの吸引力を受けて拡散する。また、凹部31と凹部33が、鉛直方向において同じ高さ位置で、インク吸収材30における水平方向両側の側面に形成されている。
【0030】
ちなみに、減圧チューブ35の先端部とインク吸収材30の凹部33の内面との間には若干のクリアランスが確保されている。そのため、減圧ポンプ34が減圧チューブ35を通じてインク吸収材30を吸引したとしても、廃インクが減圧チューブ35を通じて減圧ポンプ34に吸入されることが回避される。
【0031】
次に、上記のように構成されたプリンター11の作用について、特に、廃インクタンク28に排出された廃インクがインク吸収材30の全域に亘って拡散する際の作用に着目して以下説明する。なお、作用の説明の際には、排出チューブ26、凹部31、減圧チューブ35、凹部33は省略する。
【0032】
さて、メンテナンスユニット24が記録ヘッド21に対してメンテナンス動作を実行すると、インク吸収材30には、図3(a)に示す右上端部となる部分に対してキャップ25内から排出チューブ26を通じて廃インクが排出される。すると、インク吸収材30に排出された廃インクは、インク吸収材30から毛管力が作用することにより、インク吸収材30の凹部31の内面に対して浸透して吸収されて、廃インクの受容部37が形成される。なお、本実施形態では、インク吸収材30における廃インクの受容部37とは、例えば、排出チューブ26からインク吸収材30に対して廃インクが拡散し始めてから30秒程度経過した時点で、インク吸収材30が廃インクを受容する領域を示している。そして、図2(a)に示すように、受容部37は凹部33と同じ高さに位置する。
【0033】
ここで、減圧ポンプ34を駆動させない場合、この受容部37に含まれる廃インクは、図3(b)において点線で示すように、重力に従って鉛直下方に拡散する。これは、インク吸収材30内で水平方向に拡散する浸透力よりも、重力の方が大きいからである。この拡散は、数時間から数日かけてゆっくりと行われる。この場合、インク吸収材30における廃インクの拡散した領域37aには、上方側から下方側に向かって次第に大きくなるように廃インク量の勾配が形成される。
【0034】
続いて、インク吸収材30に対して廃インクが上下方向に拡散した状態で減圧ポンプ34が駆動される。そして、インク吸収材30には、図3(c)に示す左上端部に対して吸引力が作用する。すると、インク吸収材30に対して作用する吸引力は、インク吸収材30に含まれる廃インクに対しても作用する。そのため、実線で示された拡散した廃インクは、図3(c)において点線で示すように、インク吸収材30内を水平方向に拡散する。ここで、図3では上と下に廃インクが拡散していない領域を示しているが、これは図をわかりやすくするためである。実際にはインク吸収材30における廃インクは、インク吸収材30の上下方向の略全域に亘って上下方向に細長く延びるように拡散している。そのため、この廃インクがインク吸収材30に対して水平方向に拡散すると、インク吸収材30には、廃インクが図3(c)に示す右方寄りの部分からインク吸収材30の上下方向の略全域に亘って水平方向に拡散する。以上を繰り返すと、インク吸収材30は、広い範囲に亘って廃インクを吸収するようになる。したがって、インク吸収材30は、より多くの廃インクを効率よく保持することが可能となる。
【0035】
なお、廃インクタンク28に収容される複数のインク吸収材30のうち、減圧チューブ35が接続される最も上方側に位置するインク吸収材30は、下方側に位置するその他のインク吸収材30よりも廃インクの吸収力が大きくなるように設定してもよい。例えば、空隙率が小さいインク吸収材やインクの保持能力が大きいインク吸収材を用いる。このようなインク吸収材30は吸収力は高いが、浸透性(流動性)は低い。逆に下方側に位置するインク吸収材30は吸収力は低いが浸透性(流動性)は高くなる。本実施形態では、吸引力が左上に作用するため、下方側のインク吸収材30は上方側のインク吸収材30より吸引力が作用しにくい。しかし、下方側のインク吸収材30は浸透性(流動性)が高いため、そのような状態でも拡散する。逆に、上方側のインク吸収材30は浸透性が低いが、吸引力がより作用するので拡散する。このようにしてインク吸収材30における広範な部位を通じて廃インクを吸収させることが可能となる。
【0036】
上記実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)排出されたインクを、重力やインク吸収材30の浸透力だけで拡散させるのではなく、インク吸収材30内に作用する吸引力によって、重力や浸透力では拡散しにくい領域にまで浸透して拡散させることができる。よって、インク吸収材30は廃インクを十分に吸収することができる。
【0037】
(2)減圧ポンプ34は、受容部37に受容された廃インクを重力に抗してインク吸収材30内に対して鉛直上方に拡散させる。このため、吸引力が無い場合の鉛直上方への拡散に比較して、より上方への拡散が可能になるため、インク吸収材30は廃インクを十分に吸収することができる。
【0038】
(3)受容部37から遠く浸透しにくい廃インクに対して強い吸引力が働き、受容部37から近く浸透しやすい廃インクに対して弱い吸引力が働くので、インク吸収材30の全体に廃インクを浸透させることができる。
【0039】
(4)吸引力による浸透は、重力や浸透力による場合よりも早く浸透するため、より短時間で広い範囲に廃インクを浸透させることができる。
なお、上記第1の実施形態は、以下のような変形例に変更してもよい。
【0040】
・上記第1の実施形態において、減圧ポンプ34は、排出された廃インクを重力に従って鉛直下方に拡散させている最中に駆動してもよいし、廃インクが排出された直後に駆動してもよい。
【0041】
・上記第1の実施形態において、図4に示すように、凹部31及び凹部33は、インク吸収材30の上面の長手方向において対向してもよい。
・上記第1の実施形態において、凹部31は、積層されたインク吸収材30のうち、上側から二番目に位置するインク吸収材30の側面に形成してもよい。
【0042】
・上記第1の実施形態において、凹部31の高さと凹部33の高さを互いに異ならせてもよい。また、凹部33は、積層されたインク吸収材30のうち、最も上側に位置するインク吸収材30以外の他のインク吸収材30の側面に形成してもよい。ただし、凹部31及び凹部33は、積層されたインク吸収材30の高さ方向の真ん中よりも上側に形成することが望ましい。
【0043】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態を図5及び図6に従って説明する。なお、第2の実施形態は、タンク本体29に対する排出チューブ26及び減圧チューブ35の接続態様が第1の実施形態と異なる。したがって、以下の説明においては、第1の実施形態と相違する構成について主に説明し、第1の実施形態と同一又は相当する構成については同一符号を付して重複説明を省略する。
【0044】
さて、図5に示すように、本実施形態では、タンク本体29に収容された複数のインク吸収材30のうち、最も下方側に位置するインク吸収材30の側面に凹部31が形成されている。そして、このインク吸収材30の凹部31には、排出チューブ26の先端部がタンク本体29の側面に形成された貫通孔38を介して挿入される。その一方で、タンク本体29に収容された複数のインク吸収材30のうち、最も上方側に位置するインク吸収材30の側面に凹部33が形成されている。また、凹部33は、凹部31が形成された側面と対向する側面に形成されている。そして、このインク吸収材30の凹部33には、減圧チューブ35の先端部がタンク本体29の側面に形成された貫通孔39を介して挿入されている。すなわち、本実施形態では、凹部33の方が凹部31よりも上方に位置すると共に、これらの凹部31,33がインク吸収材30における水平方向に離れた両側に形成されている。
【0045】
そして、メンテナンスユニット24が記録ヘッド21に対してメンテナンス動作を実行すると、インク吸収材30には、図6(a)に示す右下端部となる部分に対してキャップ25内から排出チューブ26を通じて廃インクが排出される。すると、インク吸収材30に排出された廃インクは、インク吸収材30から毛管力が作用することにより、インク吸収材30に対して拡散して吸収されて、廃インクの受容部37が形成される。
【0046】
ここで減圧ポンプ34を駆動させない場合、この受容部37に含まれる廃インクは下方へ移動できるスペースがないために、図6(b)において点線で示すように、インク吸収材30に対して水平方向に拡散する。また、廃インクは上方へも浸透するが、受容部37から遠ざかるほど上方への浸透力は小さくなる。ここで、インク吸収材30における廃インクは、インク吸収材30の左右方向の略全域に亘って水平に細長く延びるように拡散している。この場合、インク吸収材30における廃インクの拡散した領域には、図6(b)における右方側から左方側に向かって次第に小さくなるように廃インク量の勾配が形成される。
【0047】
続いて、インク吸収材30に対して廃インクが水平方向に拡散した状態で減圧ポンプ34が駆動される。そして、インク吸収材30には、図6(c)におけるインク吸収材30の左上端部に対して吸引力が作用する。すると、インク吸収材30に対して作用する吸引力は、インク吸収材30に含まれる廃インクに対しても作用する。そのため、実線で示された廃インクは、図6(c)において点線で示すように、インク吸収材30内を鉛直上方に拡散する。
【0048】
ここで、インク吸収材30における廃インクの拡散する領域37aには、廃インクの量が相対的に少ない部分が凹部33側に、廃インクの量が相対的に多い部分が凹部31側に配置されている。そのため、減圧ポンプ34を駆動した際、相対的に廃インクの量が少なく鉛直上方に向けての廃インクの拡散が自然に起こり難い部分に、減圧ポンプ34の駆動に伴う吸引力が大きく作用する。
【0049】
一方で、廃インクの量が相対的に多い部分は、減圧ポンプ34の駆動時に吸引力が作用し難い。その結果、廃インクは受容部37から遠い部分ほど上方へ拡散する。したがって、インク吸収材30は、広い範囲に亘って廃インクを吸収するため、廃インクを効率よく保持することが可能となる。
【0050】
したがって、本実施形態によれば、上記第1の実施形態の効果(1)〜(4)に加えて以下に示す効果を得ることができる。
(5)インク吸収材30の凹部33には、受容部37に受容された廃インクを重力に抗して鉛直上方に拡散させつつ、受容部37から遠ざかる方向へ拡散させるような吸引力が作用する。そのため、インク吸収材30は、当該インク吸収材30における広範な部位を通じて廃インクを吸収するため、廃インクを十分に吸収することができる。
【0051】
なお、上記第2の実施形態は以下のような変形例に変更してもよい。
・上記第2の実施形態において、減圧ポンプ34は、排出された廃インクを水平方向に拡散させている最中に駆動してもよいし、廃インクが排出された直後に駆動してもよい。
【0052】
・上記第2の実施形態において、凹部31及び凹部33は、インク吸収材30の上面の長手方向において対向してもよい。
・上記第2の実施形態において、凹部31は、積層されたインク吸収材30のうち、下側から二番目に位置するインク吸収材30の側面に形成してもよい。
【0053】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態を図7及び図8に従って説明する。なお、第3の実施形態は、タンク本体29に対する排出チューブ26及び減圧チューブ35の接続態様が上記各実施形態とは異なる。したがって、以下の説明においては、上記各実施形態と相違する構成について主に説明し、上記各実施形態と同一又は相当する構成については同一符号を付して重複説明を省略する。
【0054】
さて、図7に示すように、本実施形態では、タンク本体29に収容された複数のインク吸収材30のうち、最も下方側に位置するインク吸収材30の側面に凹部31が形成されている。そして、このインク吸収材30の凹部31には、排出チューブ26の先端部がタンク本体29の側面に形成された貫通孔40を介して挿入される。その一方で、タンク本体29に収容された複数のインク吸収材30のうち、最も上方側に位置するインク吸収材30の側面に凹部33が形成されている。そして、このインク吸収材30の凹部33には、減圧チューブ35の先端部がタンク本体29の側面に形成された貫通孔41を介して挿入される。すなわち、本実施形態では、凹部33の方が凹部31よりも上方に位置すると共に、これらの凹部31,33がインク吸収材30における同一の側面に設けられている。
【0055】
そして、メンテナンスユニット24が記録ヘッド21に対してメンテナンス動作を実行すると、インク吸収材30には、図8(a)に示すインク吸収材30の右下端部となる部分に対してキャップ25内から排出チューブ26を通じて廃インクが排出される。すると、インク吸収材30に排出された廃インクは、インク吸収材30から毛管力が作用することにより、インク吸収材30に対して拡散して吸収されて、廃インクの受容部37が形成される。
【0056】
ここで、減圧ポンプ34を駆動させた場合、インク吸収材30には、図8(b)に示す右上端部に対して吸引力が作用する。すると、インク吸収材30に対して作用する吸引力は、インク吸収材30に含まれる廃インクに対しても作用する。そのため、受容部37に含まれる廃インクは、図8(b)において点線で示すように、インク吸収材30に対して重力に抗して鉛直上方に拡散する。
【0057】
そして、インク吸収材30における廃インクの拡散する領域37aには、下方側から上方側に向かって次第に大きくなるように廃インク量の勾配が形成される。
続いて、インク吸収材30に対して廃インクが上下方向に拡散した状態で減圧ポンプ34の駆動が停止される。すると、実線で示された拡散した廃インクは、図8(c)において点線で示すように、インク吸収材30に対して水平方向に拡散する。ここで、図8(c)では上と下に廃インクが拡散していない領域を示しているが、これは図をわかりやすくするためである。実際にはインク吸収材30における廃インクは、インク吸収材30の上下方向の略全域に亘って上下方向に細長く延びるように拡散している。そのため、この廃インクがインク吸収材30に対して水平方向に拡散すると、インク吸収材30には、廃インクが図8(c)に示すインク吸収材30の右方寄りの部分からインク吸収材30の上下方向の略全域に亘って水平方向に拡散する。以上を繰り返すと、インク吸収材30は、広い範囲に亘って廃インクを吸収するため、より多くの廃インクを効率よく保持することが可能となる。
【0058】
したがって、本実施形態によれば、上記第1の実施形態の効果(1)、(2)、(4)に加えて以下に示す効果を得ることができる。
(6)インク吸収材30の凹部33には、受容部37に受容された廃インクを重力に抗して鉛直上方に拡散させるように吸引力が作用する。そして次に、インク吸収材30は、上下方向に拡散された廃インクを水平方向において受容部37から遠ざかる方向に拡散させる。そのため、インク吸収材30は、当該インク吸収材30における広範な部位を通じて廃インクを吸収するため、廃インクを十分に吸収することができる。
【0059】
なお、上記第3の実施形態は以下のような変形例に変更してもよい。
・上記第3の実施形態において、インク吸収材30に対して吸収された廃インクが当該インク吸収材30における水平方向の略全域に亘って拡散した後に、減圧ポンプ34の駆動を開始させてもよい。この場合、インク吸収材30に拡散する廃インクの量は水平方向にばらつきがあるため、減圧ポンプ34を駆動したとしても、図7に示す左上部までは廃インクは拡散しない。しかしながら、減圧ポンプ34の駆動を停止させた後に、廃インクがインク吸収材30に対して水平方向に拡散することにより、インク吸収材30の略全域に廃インクが拡散する。
【0060】
・上記第3の実施形態において、図9に示すように、凹部31及び凹部33は、上方から見て互いに近接して配置されるのであれば、インク吸収材30において互いに異なる側面に形成してもよい。
【0061】
・上記第3の実施形態において、凹部31は、積層されたインク吸収材30のうち、下側から二番目に位置するインク吸収材30の側面に形成してもよい。
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態を図10及び図11に従って説明する。なお、第4の実施形態は、タンク本体29に対する排出チューブ26及び減圧チューブ35の接続態様が上記各実施形態とは異なる。したがって、以下の説明においては、上記各実施形態と相違する構成について主に説明し、上記各実施形態と同一又は相当する構成については同一符号を付して重複説明を省略する。
【0062】
さて、図10(a)及び図10(b)に示すように、本実施形態では、タンク本体29に収容された複数のインク吸収材30のうち、上方側に位置する3つのインク吸収材30の略中央部には、貫通孔42が上下方向に貫通形成されている。また、これらのインク吸収材30のうち、最も下方側に位置するインク吸収材30の上面の略中央部には、上記の貫通孔42に対して平面視における位置が一致するように凹部43が形成されている。そして、これらのインク吸収材30の貫通孔42及び凹部43には、排出チューブ26の先端部がタンク本体29の上面に形成された貫通孔44を介して挿入される。
【0063】
その一方で、タンク本体29に収容された複数のインク吸収材30のうち、最も上方側に位置するインク吸収材30の上面には、一対の凹部45,46が貫通孔42を基準として点対称となる位置に形成されている。そして、このインク吸収材30における各凹部45,46には、減圧チューブ35の先端部がタンク本体29の上面に形成された貫通孔47,48を介してそれぞれ挿入される。すなわち、本実施形態では、凹部43を水平方向において両側から挟んだ位置関係となる二つの位置でインク吸収材30に対して鉛直上方から吸引力を作用させる。
【0064】
そして、メンテナンスユニット24が記録ヘッド21に対してメンテナンス動作を実行すると、インク吸収材30には、図11(a)に示す下端略中央となる部分に対してキャップ25内から排出チューブ26を通じて廃インクが排出される。すると、インク吸収材30に排出された廃インクは、インク吸収材30から毛管力が作用することにより、インク吸収材30に対して拡散して吸収されて、廃インクの受容部37が形成される。
【0065】
ここで、減圧ポンプ34を駆動させない場合、この受容部37に含まれる廃インクは、下方へ移動できるスペースがないために、図11(b)において点線で示すように、インク吸収材30に対して水平方向に拡散する。ここで、インク吸収材30における廃インクは、インク吸収材30の左右方向の略全域に亘って水平に細長く延びるように拡散している。また、廃インクは上方へも浸透するが、受容部37から遠ざかるほど上方への浸透力は小さくなる。この場合、インク吸収材30における廃インクの拡散した領域37aには、図11(b)における下端中央部から左右両側に向かって次第に小さくなるように廃インク量の勾配が形成される。
【0066】
続いて、インク吸収材30に対して廃インクが水平方向に拡散した状態で減圧ポンプ34が駆動される。そして、インク吸収材30には、図11(c)に示す左上端部及び右上端部に対して吸引力がそれぞれ作用する。すると、インク吸収材30に対して作用する吸引力は、インク吸収材30に含まれる廃インクに対しても作用する。そのため、実線で示された廃インクは、図11(c)において点線で示すように、インク吸収材30内を重力に抗して鉛直上方に拡散する。
【0067】
ここで、インク吸収材30における廃インクの拡散する領域37aには、廃インクの量が相対的に少ない部分が凹部45,46側に配置されている。そのため、減圧ポンプ34を駆動した際、相対的に廃インクの量が少なく鉛直上方に向けての廃インクの拡散が自然に起こり難い部分に、減圧ポンプ34の駆動に伴う吸引力が大きく作用する。
【0068】
一方で、廃インクの量が相対的に多い部分は、減圧ポンプ34の駆動時に吸引力が作用し難い。その結果、廃インクは受容部37から遠い部分ほど上方へ拡散する。したがって、インク吸収材30は、広い範囲に亘って廃インクを吸収するようになるため、廃インクを効率よく保持することが可能となる。
【0069】
したがって、本実施形態によれば、上記第1の実施形態の効果(1)〜(4)に加えて以下に示す効果を得ることができる。
(7)インク吸収材30の凹部45,46には、受容部37に受容された廃インクを、受容部37を水平方向に挟んだ複数の位置で重力に抗して鉛直上方に拡散させるように吸引力が作用する。そのため、インク吸収材30は、当該インク吸収材30における広範な部位を通じて廃インクを吸収するため、廃インクを十分に吸収することができる。
【0070】
なお、上記第4の実施形態は、以下のような変形例に変更してもよい。
・上記第4の実施形態において、排出チューブ26の先端部が挿入される凹部43は、タンク本体29に収容されたインク吸収材30のうち、上方側に位置するインク吸収材30に対して形成するようにしてもよい。かかる構成においては、排出チューブ26からインク吸収材30に排出された廃インクは、重力に従ってインク吸収材30に対して鉛直下方に拡散する一方で、減圧ポンプ34の駆動に伴って作用する吸引力に従ってインク吸収材30に対して鉛直上方に拡散する。そのため、インク吸収材30は、その広範な部位を通じて廃インクを吸収することにより、廃インクを十分に吸収することが可能となる。
【0071】
・上記第4の実施形態において、図12に示すように、減圧チューブ35の先端部が挿入される双方の凹部45,46を排出チューブ26から見てインク吸収材30の上面の短手方向の一方側に形成してもよい。
【0072】
・上記第4の実施形態において、減圧ポンプ34は、排出された廃インクを水平方向に拡散させている最中に駆動してもよいし、廃インクが排出された直後に駆動してもよい。
・上記第4の実施形態において、減圧チューブ35を減圧ポンプ34側から複数に分岐させて双方の凹部45,46に挿入してもよい。この場合、単一の減圧ポンプ34を用いて両凹部45,46を通じてインク吸収材30内の廃インクに吸引力を作用させることができる。
【0073】
なお、上記各実施形態は、以下のような別の実施形態に変更してもよい。
・上記各実施形態において、図13(a)に示すように、外側に突出する管状の突起50をタンク本体29に設け、この突起50に対して減圧チューブ35を嵌合してもよい。
【0074】
また、突起50の内側に空間域50aを形成してもよい。この場合、図13(b)に示すように、突起50に対して減圧チューブ35を嵌合してもよいし、図13(c)に示すように、突起50の空間域50aに減圧チューブ35を挿入してもよい。
【0075】
これらの構成では、突起50が減圧ポンプ34とタンク本体29を接続する接続部として機能すると共に、突起50の内側の空間域50aがインク吸収材30に対して吸引力を作用させる吸引作用部として機能する。
【0076】
・上記各実施形態において、積層されるインク吸収材30の個数としては任意の数を採用できる。また、インク吸収材30を積層することなく、単一のインク吸収材30を用いてもよい。なお、上記各実施形態において、図2(a)、図5、図7、及び図10(a)には、インク吸収材30とタンク本体29との間に隙間を設けた構成が図示されているが、必ずしも、インク吸収材30とタンク本体29との間に隙間を設ける必要はない。
【0077】
・上記各実施形態において、排出チューブ26が挿入される凹部31,43、及び、減圧チューブ35が挿入される凹部33,45,46を省略してもよいし、これらの凹部31,43、及び、凹部33,45,46に代えて切り欠きを設けてもよい。
【0078】
・上記各実施形態において、タンク本体29をプリンター11に対して着脱可能にしてもよい。
・上記各実施形態において、図14に示すように、キャップ25と吸引ポンプ27とを接続する排出チューブ26の途中位置に切替弁51を設け、この切替弁51に対して減圧チューブ35を接続してもよい。この場合、切替弁51がキャップ25及び減圧チューブ35に対する吸引ポンプ27の連通状態を切り替えることにより、吸引ポンプ27が減圧ポンプ34として兼用される。また、この構成では、減圧チューブ35がインク吸収材30から廃インクを吸入したとしても、吸入された廃インクは排出チューブ26を通じて再びインク吸収材30に排出されて吸収される。
【0079】
・上記各実施形態において、液体噴射装置として、インク以外の他の液体を噴射したり吐出したりする液体噴射装置を採用しても良い。微小量の液滴を吐出させる液体噴射ヘッド等を備える各種の液体消費装置に流用可能である。なお、液滴とは、上記液体噴射装置から吐出される液体の状態をいい、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。また、ここでいう液体とは、液体消費装置が噴射させることができるような材料であれ良い。例えば、物質が液相であるときの状態のものであれば良く、粘性の高い又は低い液状態、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような流状態、また物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散または混合されたものなどを含む。また、液体の代表的な例としては上記実施例の形態で説明したようなインク等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インクおよび油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種流体組成物を包含するものとする。液体消費装置の具体例としては、例えば液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルタの製造などに用いられる電極材や色材などの材料を分散または溶解のかたちで含む液体を噴射する液体噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとして用いられ試料となる流体を噴射する液体噴射装置、捺染装置やマイクロディスペンサ等であってもよい。さらに、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する液体噴射装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する液体噴射装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する液体噴射装置を採用してもよい。
【符号の説明】
【0080】
11…液体噴射装置としてのインクジェット式プリンター、21…液体噴射ヘッドとしての記録ヘッド、25…液体受け部としてのキャップ、28…液体回収容器としての廃インクタンク、30…液体吸収材としてのインク吸収材、33…吸引作用部としての凹部、37…受容部、45…吸引作用部としての凹部、46…吸引作用部としての凹部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排出される液体を回収可能な液体回収容器であって、
排出された前記液体を吸収する液体吸収材と、
前記液体吸収材内に対して吸引力を作用させる吸引作用部とを備えたことを特徴とする液体回収容器。
【請求項2】
請求項1に記載の液体回収容器において、
鉛直方向における前記吸引作用部の高さ位置は、排出された前記液体を受容する受容部の高さ位置以上であることを特徴とする液体回収容器。
【請求項3】
請求項2に記載の液体回収容器において、
前記吸引作用部及び前記受容部は、前記液体吸収材における水平方向に離れた両側に設けられることを特徴とする液体回収容器。
【請求項4】
請求項3に記載の液体回収容器において、
前記吸引作用部及び前記受容部は、前記液体吸収材における水平方向両側の側面に設けられると共に、
前記吸引作用部は、前記受容部と同じ高さ位置に設けられることを特徴とする液体回収容器。
【請求項5】
請求項3に記載の液体回収容器において、
前記吸引作用部及び前記受容部は、前記液体吸収材における水平方向両側の側面に設けられると共に、
前記吸引作用部は、前記受容部よりも上方位置に設けられることを特徴とする液体回収容器。
【請求項6】
請求項2に記載の液体回収容器において、
前記吸引作用部及び前記受容部は、前記液体吸収材における同一の側面に設けられると共に、
前記吸引作用部は、前記受容部よりも上方位置に設けられることを特徴とする液体回収容器。
【請求項7】
請求項2に記載の液体回収容器において、
前記吸引作用部は、前記受容部を水平方向において挟んだ位置関係となる複数の位置で前記液体吸収材内に対して鉛直上方から吸引力を作用させることを特徴とする液体回収容器。
【請求項8】
ターゲットに対して液体を噴射する液体噴射ヘッドと、
請求項1〜請求項7のうち何れか一項に記載の液体回収容器と、
前記液体噴射ヘッドから前記液体を吸引して前記液体回収容器に排出する排出部と、
前記液体回収容器に対して吸引力を発生する吸引手段と
を備えたことを特徴とする液体噴射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−86550(P2012−86550A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−136008(P2011−136008)
【出願日】平成23年6月20日(2011.6.20)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】