説明

液体圧送装置

【課題】 排気弁を開き給気弁を閉じたときに、液体圧送先側でハンマを起こすことのない液体圧送装置を提供する。
【解決手段】 作動蒸気導入口11に給気弁20が設けられ、作動蒸気排出口13に排気弁21が設けられ、液体流入口16に液体流入口開閉弁50が設けられ、液体排出口17に液体排出口開閉弁6が設けられる。密閉容器2内にフロート3とスナップ機構5が内蔵される。スナップ5機構は、フロートアーム34と副アーム37とコイルバネ38を有する。給気弁20と排気弁21が動力伝達軸46を介して副アーム37に連結され、液体流入口開閉弁50と液体排出口開閉弁6が動力伝達軸46に連結される。排気弁21を開き給気弁20を閉じ液体流入口開閉弁50を開いたときに液体排出口開閉弁6を閉じ、排気弁21を閉じ給気弁20を開き液体流入口開閉弁50を閉じたときに液体排出口開閉弁6を開く。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温水や燃料等の液体を圧送する液体圧送装置に関するものである。本発明の液体圧送装置は、各種蒸気使用装置で発生した復水をボイラーや廃熱利用箇所に送る装置として特に適するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の液体圧送装置は、例えば特許文献1に開示されている。これは、密閉容器に作動蒸気導入口と作動蒸気排出口と液体流入口及び液体排出口が設けられ、作動蒸気導入口に給気弁が設けられ、作動蒸気排出口に排気弁が設けられ、液体排出口に液体圧送先への流体の流れだけを許容する圧送側逆止弁が設けられ、密閉容器内にフロートとスナップ機構が内蔵され、スナップ機構は、密閉容器内に支持された揺動軸と、揺動軸の周りに回転するフロートアーム及び副アームと、フロートアームに支持された第1の軸と、副アームに支持された第2の軸と、第1及び第2の軸の間に取り付けられたバネを有し、フロートがフロートアームに連結され、給気弁と排気弁が動力伝達軸を介して副アームに連結され、フロートの昇降に応じてスナップ機構を動作させて動力伝達軸をスナップ移動させることにより、給気弁と排気弁の開閉を切り換えて、初めに排気弁を開き給気弁を閉じることにより液体を液体流入口から密閉容器内に流入させ、次いで排気弁を閉じ給気弁を開くことにより密閉容器内に溜った液体を液体排出口から液体圧送先へ圧送する液体圧送装置において、液体流入口を開閉する液体流入口開閉弁を動力伝達軸に連結し、排気弁を開き給気弁を閉じたときに液体流入口開閉弁を開き、排気弁を閉じ給気弁を開いたときに液体流入口開閉弁を閉じるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−299602
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の液体圧送装置は、排気弁を開き給気弁を閉じたときに、圧送側逆止弁の閉弁が遅れて作動蒸気導入口から密閉容器内に導入された作動蒸気の一部が圧送側逆止弁の下流側に流出するために、圧送側逆止弁の下流側でハンマを起こす問題点があった。
【0005】
したがって本発明が解決しようとする課題は、排気弁を開き給気弁を閉じたときに、液体圧送先側でハンマを起こすことのない液体圧送装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の液体圧送装置は、密閉容器に作動蒸気導入口と作動蒸気排出口と液体流入口及び液体排出口が設けられ、作動蒸気導入口に給気弁が設けられ、作動蒸気排出口に排気弁が設けられ、密閉容器内にフロートとスナップ機構が内蔵され、スナップ機構は、密閉容器内に支持された揺動軸と、揺動軸の周りに回転するフロートアーム及び副アームと、フロートアームに支持された第1の軸と、副アームに支持された第2の軸と、第1及び第2の軸の間に取り付けられたバネを有し、フロートがフロートアームに連結され、給気弁と排気弁が動力伝達軸を介して副アームに連結され、フロートの昇降に応じてスナップ機構を動作させて動力伝達軸をスナップ移動させることにより、給気弁と排気弁の開閉を切り換えて、初めに排気弁を開き給気弁を閉じることにより液体を液体流入口から密閉容器内に流入させ、次いで排気弁を閉じ給気弁を開くことにより密閉容器内に溜った液体を液体排出口から液体圧送先へ圧送する液体圧送装置であって、液体流入口を開閉する液体流入口開閉弁を動力伝達軸に連結し、排気弁を開き給気弁を閉じたときに液体流入口開閉弁を開き、排気弁を閉じ給気弁を開いたときに液体流入口開閉弁を閉じるものにおいて、液体排出口を開閉する液体排出口開閉弁を動力伝達軸に連結し、排気弁を開き給気弁を閉じ液体流入口開閉弁を開いたときに液体排出口開閉弁を閉じ、排気弁を閉じ給気弁を開き液体流入口開閉弁を閉じたときに液体排出口開閉弁を開くことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、液体排出口を開閉する液体排出口開閉弁を動力伝達軸に連結し、排気弁を開き給気弁を閉じ液体流入口開閉弁を開いたときに液体排出口開閉弁を閉じ、排気弁を閉じ給気弁を開き液体流入口開閉弁を閉じた液体排出口開閉弁を開くものであるので、排気弁を開き給気弁を閉じ液体流入口開閉弁を開いたときに液体排出口開閉弁を素早く閉じることができ、作動蒸気導入口から密閉容器内に導入された作動蒸気が液体排出口開閉弁の下流側に流出することを防止でき、液体圧送先側でハンマを起こすことがないという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態に係わる液体圧送装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図1を参照して説明する。本実施例の液体圧送装置1は密閉容器2内にフロート3と切替え弁4とスナップ機構5と液体排出口開閉弁6及び液体流入口開閉弁50が配されたものである。密閉容器2は本体部7と蓋部8が図示しないネジによって結合され、内部に液体溜空間10が形成されたものである。蓋部8には作動蒸気導入口11,作動蒸気排出口13,液体流入口16,液体排出口17が設けられている。作動蒸気導入口11の内側に給気弁20が取り付けられ、作動蒸気排出口13の内側に排気弁21が取り付けられ、液体流入口16の内側に液体流入口開閉弁50が取り付けられている。給気弁20は弁ケース22と弁体23及び昇降棒24によって構成される。弁ケース22は軸方向に貫通孔を有し、貫通孔の上端面は弁座25として機能する。弁ケース22の中間部には前記した貫通孔と外部とを連通する4つの開口26が設けられている。弁体23は球状で作動蒸気導入口11側にあり、昇降棒24の上端が当接することにより開閉される。昇降棒24は弁ケース22の貫通孔を通って密閉容器2側に抜け、連接板27に当接するようになっている。連接板27は動力伝達軸28に連結され、動力伝達軸28はスナップ機構5と連結されている。排気弁21は弁ケース29と弁体30と昇降棒31によって構成される。弁ケース29は軸方向に貫通孔を有し、貫通孔の内部に弁座32があり、弁座32の下から昇降棒31の上端に保持固定された弁体30が当接して開閉を行うものである。昇降棒31の下端はピンで動力伝達軸28に連結されている。液体流入口開閉弁50は弁ケース51と弁体52によって構成される。弁ケース51は軸方向に貫通孔を有し、貫通孔の内部に弁座54があり、弁座54の下から弁体52が当接して開閉を行うものである。弁ケース51の中間部には前記した貫通孔と外部とを連通する4つの開口53が設けられている。弁体52の下端は連接板27に連結されている。給気弁20と排気弁21で切替え弁4が構成され、給気弁20が開くと排気弁21と液体流入口開閉弁50は閉じ、給気弁20が閉じると排気弁21と液体流入口開閉弁50は開く。
【0010】
フロート3はフロートアーム34と揺動軸35を介してブラケット36によって支持されている。ブラケット36は図示しないネジによって密閉容器2の蓋部8に一体的に取り付けられている。スナップ機構5は、密閉容器2内に支持された揺動軸35と、揺動軸35の周りに回転するフロートアーム34及び副アーム37と、フロートアーム34に支持された第1の軸39と、副アーム37に支持された第2の軸41と、第1及び第2の軸39,41の間に取り付けられた圧縮状態のコイルバネ38とから構成される。フロートアーム34は平行に対向した2枚の板よりなり、左端にフロート3が固着され、右側部が揺動軸35によって回転可能に支持されている。従って、フロート3は揺動軸35を中心として上下に揺動する。フロートアーム34の中央部に揺動軸35と平行な第1の軸39が掛け渡されている。第1の軸39に第1バネ受け部材40が回転可能に支持されている。また、揺動軸35には副アーム37が回転可能に支持されている。副アーム37は平行に対向した2枚の板よりなり、左端部に揺動軸35と平行な第2の軸41が掛け渡されている。第2の軸41に第2バネ受け部材42が回転可能に支持されている。第1及び第2のバネ受け部材40,42の間に圧縮状態のコイルバネ38が配置されている。フロートアーム34には半円状に長孔43が設けられ、長孔43内に揺動軸35と平行なストッパー軸44がブラケット36によって支持されている。ストッパー軸44は副アーム37の回転範囲を規制する。副アーム37の右端部に揺動軸35と平行な連結軸45が貫通して取り付けられ、連結軸45に動力伝達軸28の中間部が連結されている。揺動軸35と平行でフロートアーム34の揺動範囲を規制するストッパー軸55,56がブラケット36によって支持されている。液体排出口17を開閉する液体排出口開閉弁6は動力伝達軸28の下部の二股部に取り付けられている。液体排出口開閉弁6は液体排出口開閉弁体57と液体排出口開閉弁体57の球心を回転可能に動力伝達軸28に取り付ける揺動軸35と平行な弁体取付軸58とから構成される。液体排出口開閉弁体57は液体排出口17の密閉容器2内側端に取り付けられた排液弁座60に形成された排液弁口59を開閉する。排気弁21と液体流入口開閉弁50が開き給気弁20が閉じると液体排出口開閉弁6は閉じ、排気弁21と液体流入口開閉弁50が閉じ給気弁20が開くと液体排出口開閉弁6は開く。
【0011】
次に本実施例の液体圧送装置1の作用について説明する。まず液体圧送装置1の外部配管は作動蒸気導入口11が高圧の蒸気源に接続され、作動蒸気排出口13は蒸気循環配管に接続される。液体流入口16は蒸気使用装置等の負荷に接続され、液体排出口17はボイラー等の液体圧送先へ接続される。本実施例の液体圧送装置1の液体溜空間10内に復水が無い場合は、図1に示すようにフロート3は底部に位置する。このとき、切替え弁4における給気弁20が閉じられ排気弁21が開かれている。また、液体流入口開閉弁50が開かれ液体排出口開閉弁6が閉じられている。そして、蒸気使用装置等の負荷内で復水が発生すると、復水は液体流入口16から液体圧送装置1に流下して、液体溜空間10内に溜る。液体溜空間10内に溜った復水によってフロート3が浮上すると、フロートアーム34が揺動軸35を中心に時計回り方向に回転し、コイルバネ38との連結部である第1の軸39が上方に移動して揺動軸35と第2の軸41を結ぶ線の延長線上に近付き、コイルバネ38が圧縮変形する。そしてフロート3が更に浮上して第1の軸39が揺動軸35と第2の軸41を結ぶ線の延長線上を越えると、コイルバネ38が急激に変形を回復し、副アーム37が反時計回り方向に回転して連結軸45が上方にスナップ移動する。その結果、連結軸45に連結された動力伝達軸28が上側にスナップ移動し、給気弁20が開かれ排気弁21が閉じられると共に液体流入口開閉弁50が閉じられ液体排出口開閉弁6が開かれる。
【0012】
給気弁20が開かれて作動蒸気導入口11が開放されると、密閉容器2内に高圧蒸気が導入され、内部の圧力が上昇し、液体溜空間10に溜った復水は、蒸気圧に押されて液体排出口17から外部のボイラーや廃熱利用装置へ排出される。復水の排出によって復水溜空間10内の水位が低下すると、フロート3が降下して、フロートアーム34が揺動軸35を中心に反時計回り方向に回転し、コイルバネ38との連結部である第1の軸39が下方に移動して揺動軸35と第2の軸41を結ぶ線の延長線上に近付き、コイルバネ38が圧縮変形する。そしてフロート3が更に降下して第1の軸39が揺動軸35と第2の軸41を結ぶ線の延長線上を越えると、コイルバネ38が急激に変形を回復し、副アーム37が時計回り方向に回転して連結軸45が下方にスナップ移動する。その結果、連結軸45に連結された動力伝達軸28が下側にスナップ移動し、給気弁20が閉じられ排気弁21が開かれると共に液体流入口開閉弁50が開かれ液体排出口開閉弁6が閉じられる。これにより、密閉容器2内の高圧蒸気が作動蒸気排出口13から液体発生源側に排出され、密閉容器2内の圧力が低下し、密閉容器2内に再び液体が流下して溜る。
【産業上の利用可能性】
【0013】
本発明は、各種蒸気使用装置で発生した復水をボイラーや廃熱利用箇所に送る復水圧送装置に限らず、温水や燃料等の液体を圧送する液体圧送装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0014】
1 液体圧送装置
2 密閉容器
3 フロート
4 切替え弁
5 スナップ機構
6 液体排出口開閉弁
10 液体溜空間
11 作動蒸気導入口
13 作動蒸気排出口
16 液体流入口
17 液体排出口
20 給気弁
21 排気弁
28 動力伝達軸
34 フロートアーム
35 揺動軸
37 副アーム
38 コイルバネ
39 第1の軸
41 第2の軸
50 液体流入口開閉弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
密閉容器に作動蒸気導入口と作動蒸気排出口と液体流入口及び液体排出口が設けられ、作動蒸気導入口に給気弁が設けられ、作動蒸気排出口に排気弁が設けられ、密閉容器内にフロートとスナップ機構が内蔵され、スナップ機構は、密閉容器内に支持された揺動軸と、揺動軸の周りに回転するフロートアーム及び副アームと、フロートアームに支持された第1の軸と、副アームに支持された第2の軸と、第1及び第2の軸の間に取り付けられたバネを有し、フロートがフロートアームに連結され、給気弁と排気弁が動力伝達軸を介して副アームに連結され、フロートの昇降に応じてスナップ機構を動作させて動力伝達軸をスナップ移動させることにより、給気弁と排気弁の開閉を切り換えて、初めに排気弁を開き給気弁を閉じることにより液体を液体流入口から密閉容器内に流入させ、次いで排気弁を閉じ給気弁を開くことにより密閉容器内に溜った液体を液体排出口から液体圧送先へ圧送する液体圧送装置であって、液体流入口を開閉する液体流入口開閉弁を動力伝達軸に連結し、排気弁を開き給気弁を閉じたときに液体流入口開閉弁を開き、排気弁を閉じ給気弁を開いたときに液体流入口開閉弁を閉じるものにおいて、液体排出口を開閉する液体排出口開閉弁を動力伝達軸に連結し、排気弁を開き給気弁を閉じ液体流入口開閉弁を開いたときに液体排出口開閉弁を閉じ、排気弁を閉じ給気弁を開き液体流入口開閉弁を閉じたときに液体排出口開閉弁を開くことを特徴とする液体圧送装置。

【図1】
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【公開番号】特開2011−241689(P2011−241689A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−112168(P2010−112168)
【出願日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(000133733)株式会社テイエルブイ (913)
【Fターム(参考)】