説明

液体圧送装置

【課題】 蒸気使用装置側に復水を滞留することを防止できる液体圧送装置を提供する。
【解決手段】 液体圧送装置1の液体流入口4の上流側にパイプ25を介して液体タンク6を接続する。液体タンク6の上部に復水流入管8を接続する。液体タンク6の下部に管路9を介して温度調整弁7を接続する。液体圧送装置1に作動流体導入口2と作動流体排出口3と液体排出口5をそれぞれ形成する。作動流体導入口2に圧縮空気供給管18を接続する。
液体圧送装置1が故障して液体排出口5から液体を排出することができなくなると、復水流入管8から流入する復水が液体タンク6内に溜まり、放熱により復水が所定温度まで低下すると、温度調整弁7が自動的に開弁することによって、液体タンク6内の復水を系外へ排出することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温水や燃料等の液体を圧送する液体圧送装置に関するものである。本発明の液体圧送装置は、各種蒸気使用装置で発生した蒸気の凝縮水としての復水をボイラーや廃熱利用箇所に送る装置として特に適するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の液体圧送装置は、例えば特許文献1に開示されている。これは、密閉容器に作動流体導入口と作動流体排出口と液体流入口及び液体排出口が設けられ、密閉容器内に溜った液体の液面の高さに応じて作動流体導入口の給気弁口を開閉する給気弁体と作動流体排出口の排気弁口を開閉する排気弁体の開閉を切り換えて、初めに排気弁口を開き給気弁口を閉じて液体流入口から液体を流入させ、次いで排気弁口を閉じ給気弁口を開いて密閉容器内に溜った液体を液体排出口から圧送する液体圧送装置において、給気弁体に給気弁体を開弁操作する下部昇降棒を一体的に取り付けて、下部昇降棒を下部案内部材で上下に案内すると共に、給気弁体に上部昇降棒を一体的に取り付けて、上部昇降棒を上部案内部材で上下に案内したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−309285
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の液体圧送装置は、液体圧送装置自身が故障して、液体排出口から液体を排出することができなくなると、液体流入口の上流側すなわち蒸気使用装置側に復水を滞留してしまい、蒸気使用装置に悪影響を及ぼす問題があった。
【0005】
従って、本発明が解決しようとする課題は、蒸気使用装置側に復水を滞留することを防止できる液体圧送装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明は、密閉容器に作動流体導入口と作動流体排出口と液体流入口及び液体排出口が設けられ、密閉容器内に溜った液体の液面の高さに応じて作動流体導入口の給気弁口を開閉する給気弁体の開閉と、作動流体排出口の排気弁口を開閉する排気弁体の開閉を切り換えて、初めに排気弁口を開き給気弁口を閉じて液体流入口から液体を流入させ、次いで排気弁口を閉じ給気弁口を開いて密閉容器内に溜った液体を液体排出口から圧送する液体圧送装置において、液体流入口の上流側に液体を一旦溜め置く液体タンクを接続して、当該液体タンクに、液体の温度が所定値まで低下すると自動的に開弁する温度調整弁を取り付けたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、液体流入口の上流側に液体を一旦溜め置く液体タンクを接続して、この液体タンクに温度調整弁を取り付けたことにより、液体圧送装置が故障して液体排出口から液体を排出することができなくなると、液体(復水)は液体タンクに溜め置かれ、放熱により復水温度が所定値まで低下すると、温度調整弁が自動的に開弁して復水を系外へ排出することによって、蒸気使用装置側に復水が滞留することを防止できるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態に係わる液体圧送装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図1を参照して説明する。本実施例の液体圧送装置1は、密閉状容器に作動流体導入口2と作動流体排出口3と液体流入口4と液体排出口5をそれぞれ形成して、液体流入口4の上流側に配置した液体タンク6と、この液体タンク6に接続した温度調整弁7とで構成する。
【0010】
液体タンク6の上部に図示しない蒸気使用装置と接続した復水流入管8を取り付ける。蒸気使用装置で発生した復水が、この復水流入管8から液体タンク6内へ流入するものである。液体タンク6の下部に管路9を介して温度調整弁7を取り付ける。温度調整弁7は、内部に図示しないがバイメタルや液封ベローズ等の感温素子を取り付けたもので、流入する復水の温度が所定値まで低下すると自動的に開弁することができるものである。
【0011】
液体圧送装置1の液体流入口4の入口側に逆止弁14を取り付けて、液体タンク6と接続する。この逆止弁14は、液体圧送装置1側への液体の通過を許容し、逆方向の液体の通過は許容しないものである。
【0012】
液体圧送装置1の液体排出口5にも逆止弁16を介して液体圧送管路17を接続する。この逆止弁16は液体圧送装置1から液体圧送管路17側へのみ液体を通過させるものである。
【0013】
液体圧送装置1の作動流体導入口2に、圧送流体としての圧縮空気供給管18を接続する。作動流体排出口3には高圧空気の排出管21を接続する。
【0014】
液体圧送装置1は、内部に配置した図示しないフロートが下方部に位置する場合に、高圧空気としての作動流体導入口2が閉口され、一方、作動流体排出口3が開口されて、液体タンク6内の復水が、パイプ25と逆止弁14を通って液体圧送装置1内へ流下する。
【0015】
液体圧送装置1内に液体が溜まって図示しないフロートが所定の上方部に位置すると、作動流体排出口3が閉口され、一方、作動流体導入口2が開口されて、圧縮空気供給管18から高圧空気が液体圧送装置1内に流入し、内部に溜まった液体を液体排出口5と逆止弁16及び液体圧送管路17を経て液体圧送先へ圧送するものである。
【0016】
液体が圧送されて液体圧送装置1内の液位が低下すると、再度、作動流体導入口2が閉口され、作動流体排出口3が開口されることにより、液体流入口4から液体が圧送装置1内へ流下してくる。このような作動サイクルを繰り返すことにより、液体圧送装置1は、液体タンク6からの復水を圧送するものである。
【0017】
液体圧送装置1が故障して、液体排出口5から液体を排出することができなくなると、液体流入口4の上流側すなわち液体タンク6に復水を滞留するが、滞留した復水が所定温度まで降温すると、温度調整弁7が自動的に開弁して復水を系外へ排出することができる。
【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明は、各種蒸気使用装置で発生した復水をボイラーや廃熱利用箇所に送る復水圧送装置に限らず、温水や燃料等の液体を圧送する液体圧送装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0019】
1 液体圧送装置
2 作動流体導入口
3 作動流体排出口
4 液体流入口
5 液体排出口
6 液体タンク
7 温度調整弁
8 復水流入管
14 逆止弁
16 逆止弁
17 液体圧送管路
18 圧縮空気供給管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
密閉容器に作動流体導入口と作動流体排出口と液体流入口及び液体排出口が設けられ、密閉容器内に溜った液体の液面の高さに応じて作動流体導入口の給気弁口を開閉する給気弁体の開閉と、作動流体排出口の排気弁口を開閉する排気弁体の開閉を切り換えて、初めに排気弁口を開き給気弁口を閉じて液体流入口から液体を流入させ、次いで排気弁口を閉じ給気弁口を開いて密閉容器内に溜った液体を液体排出口から圧送する液体圧送装置において、液体流入口の上流側に液体を一旦溜め置く液体タンクを接続して、当該液体タンクに、液体の温度が所定値まで低下すると自動的に開弁する温度調整弁を取り付けたことを特徴とする液体圧送装置。

【図1】
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【公開番号】特開2012−127258(P2012−127258A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−279337(P2010−279337)
【出願日】平成22年12月15日(2010.12.15)
【出願人】(000133733)株式会社テイエルブイ (913)
【Fターム(参考)】