説明

液体容器の製造方法、および、液体容器

【課題】液体容器の機能を損なうことなく、容易に、または、効率的に、液体容器に液体を再注入する。
【解決手段】液体噴射装置へ供給する液体が収容された液体容器の製造方法は、(a)収容された液体を、液体噴射装置に対して供給するための液体供給部と、液体供給部よりも上流側に位置し、収容された液体の残量を検知するためのセンサ部と、センサ部よりも上流側に位置し、液体に混入した気泡を捕捉する気泡トラップ部と、気泡トラップ部よりも上流側に位置し、液体を収容するための液体収容部と液体容器を準備する工程と、(b)気泡トラップ部または気泡トラップ部より下流側の液体の流通経路に連通する注入口を形成する工程と、(c)注入口から液体を注入する工程と、(d)該注入後に、前記注入口を封止する工程とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体噴射装置へ供給する液体を収容する液体容器およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インクジェットプリンタにおいては、インクカートリッジのインクが消費され、その残量がなくなると、インクカートリッジは、新たな製品に取り替えられていた。カートリッジは、リサイクル材としてリサイクルされているものの、さらなる資源の有効利用についての取り組みも検討されている。このような状況において、使用済みのインクカートリッジにインクを再注入する使用方法、いわゆるリフィルが行われることがある。インクカートリッジのリフィルを行う方法として、例えば、下記特許文献1の技術が知られている。
【0003】
特許文献1では、インクカートリッジのインク排出口を栓で封じた上で、インクカートリッジの外壁にドリル等で貫通穴を形成し、当該貫通穴から注入器によりインク貯留部にインクを再注入し、注入後に貫通穴を封じることで、リフィルを行う技術を開示している。なお、インクカートリッジ内の空気は、インクが再注入されるに従い、注入器よりも大きく形成した貫通穴から外部に自然排気するものとしている。
【0004】
【特許文献1】特開2007−508160号公報
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術では、インク排出口を封止し、インクの注入に伴ってインクカートリッジ内の空気を貫通穴から排気することから、インク貯留部とインク排出口の間の流路には、インクが進入できず、効率的なリフィルが行えなかった。また、近年のインクカートリッジは、内部構造の複雑化・高度化が進んでおり、特許文献1の技術を単純に適用することができなくなっている。例えば、インクカートリッジが、圧電素子を用いてインク残量を検知するインクセンサを備えている場合には、センサ部への空気の混入によるセンサの誤動作を回避するために、インク流路構成が特に複雑化されており、貫通穴を形成する箇所の選定が難しく、貫通穴を形成する箇所によっては、インクカートリッジの機能を損ねる場合があった。さらに、インク貯留部とインク排出口の間に設けられたインクセンサに空気が混入して、センサが誤動作を起こしたり、プリンタの印刷ヘッドに空気が進入して、印刷ヘッドの不具合を生じさせたりするおそれがあった。
【0006】
かかる問題は、プリンタ用のインクカートリッジに限らず、例えば、金属を含む液体材料を噴射して半導体上に電極層を形成する噴射装置に液体材料を供給する液体収容体など、液体噴射装置に液体を供給するための液体容器に共通する問題であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述の問題を踏まえ、本発明が解決しようとする課題は、液体容器の機能を損なうことなく、容易に、または、効率的に、液体容器に液体を再注入することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0009】
[適用例1]液体噴射装置へ供給する液体が収容された液体容器の製造方法であって、
(a)収容された前記液体を、前記液体噴射装置に対して供給するための液体供給部と、前記液体供給部よりも上流側に位置し、収容された液体の残量を検知するためのセンサ部と、前記センサ部よりも上流側に位置し、前記液体に混入した気泡を捕捉する気泡トラップ部と、前記気泡トラップ部よりも上流側に位置し、前記液体を収容するための液体収容部と、を備える液体容器を準備する工程と、
(b)前記気泡トラップ部または前記気泡トラップ部より下流側の前記液体の流通経路に連通する注入口を形成する工程と、
(c)前記注入口から前記液体を注入する工程と、
(d)該注入後に、前記注入口を封止する工程と
を備える、製造方法。
こうすれば、気泡トラップ部または気泡トラップ部より下流側の前記液体の流通経路に注入口を形成して、液体の注入を行う。この結果、先ず、気泡トラップ部より下流側に十分に液体が注入されてから、注入口より上流側の液体収容部に液体が注入される。したがて、センサ部および気泡トラップ部に気泡が残存することがないため、液体が残存するにもかかわらず液体なしを検出してしまうというセンサの誤動作を生じにくくすることができる。また、その結果、気泡の液体噴射装置への供給を抑制するので、気泡混入に起因する液体噴射装置での不具合の発生を抑制することができる。
【0010】
[適用例2]請求項1記載の製造方法であって、
前記液体容器は、さらに、
前記液体収容部と連通する上流部と前記気泡トラップ部と連通する下流部とを有する接続流路を備え、
前記接続流路は、容器本体を一方の面から他方の面に向かって貫通し、互いの端部が連通する複数の貫通孔と、前記貫通孔の両端をそれぞれ封止するフィルムとによって区画形成されている、製造方法。
こうすれば、接続流路により、気泡トラップ室より下流側に気泡が侵入することを抑制することができる。また、接続流路は、貫通孔と封止フィルムにより区画形成されるので、製造が容易である。また、接続流路の流路長を少ないスペースで稼ぐことができる。この結果、より気泡トラップ室より下流側に気泡が侵入することを抑制することができる。
【0011】
[適用例3]請求項2に記載の製造方法であって、
前記接続流路を形成する前記複数の貫通孔は、前記上流部から下流部に向かって折り返し階段状に形成されている、製造方法。
こうすれば、接続流路の流路長を少ないスペースで稼ぐことができるとともに、液体容器の姿勢に関わらず気泡トラップ室より下流側に気泡が侵入することを抑制することができる。
【0012】
[適用例4]請求項3に記載の製造方法であって、
前記接続流路を形成する前記複数の貫通孔は、前記液体容器が前記液体噴射装置に装着された装着状態で、略水平に形成されていると共に、装着状態において鉛直方向に沿って千鳥状に配置されている、製造方法。
こうすれば、接続流路の流路長をより少ないスペースで稼ぐことができる。
【0013】
[適用例5]請求項1に記載の製造方法であって、
前記液体容器は、さらに、
前記液体収容部よりも上流側に位置し、前記液体収容部に収容された前記液体の消費に伴って外部から大気を前記液体容器の内部に導入する大気開放部を備え、
前記(c)工程は、前記大気開放部をから前記液体収容部内の空気を吸引する工程を備える、製造方法。
こうすれば、大気解放部から液体収容部内の空気を吸引し、液体収容部内が減圧状態となった後に液体の注入を行うので、速やかに液体を注入することができる。また、センサ部および気泡トラップ部に気泡が残存することを防止できる。
【0014】
[適用例6]請求項1に記載の製造方法であって、
前記(c)工程は、前記液体供給部から液体収容部内の空気を吸引する工程を備える、製造方法。
こうすれば、液体供給部まで速やかに液体を充填することができる。
【0015】
[適用例7]適用例1に記載の製造方法であって、
前記液体容器は、さらに、前記液体容器は、さらに、
前記センサ部と前記液体供給部との間に位置し、前記液体が上流側に逆流することを抑制する逆流抑制部を備え、
前記(b)工程は、前記気泡トラップ室または前記気泡トラップ室から前記逆流抑制部までの前記液体の流通経路に連通するように前記注入口を形成し、
前記(c)工程は、前記注入口から前記液体を前記逆流抑制部より上流側に前記液体を注入し、
前記製造方法は、さらに、
(e)前記液体供給部を吸引して、前記逆流抑制部から前記液体供給部までに前記液体を充填する工程を含む、製造方法。
こうすれば、逆流抑制部を備える液体容器への液体の充填を、センサ部に気泡が混入することを抑制すると共に、気泡の液体噴射装置への供給を抑制するように、実行すること ができる。
【0016】
[適用例8]請求項1に記載の製造方法であって、
前記液体容器は、さらに、前記センサ部と前記液体供給部との間に位置し、前記液体を一時的に貯留するバッファ部を備え、
前記(b)工程は、前記バッファ部に連通する前記注入口を形成する、製造方法。
こうすれば、逆流抑制部を備える液体容器への液体の充填を、センサ部に気泡が混入することを抑制すると共に、気泡の液体噴射装置への供給を抑制するように、実行することができる。
【0017】
[適用例9]請求項1に記載の製造方法であって、
前記(e)工程は、前記注入口に弾性部材を挿入する工程である、製造方法。
こうすれば、簡単に注入口を封止でき、さらに、2回目以降の液体の再充填を、弾性部材を取り外して容易に行うことができる。
【0018】
[適用例10]適用例1に記載の製造方法であって、
前記液体容器は、前記気泡トラップ部または気泡トラップ部より下流側の前記液体の流通経路を形成する壁部を覆う蓋部材を備え、
前記(b)工程は、
(b1)前記蓋部材に前記注入口より大きな孔を形成する工程と、
(b2)前記壁部に前記注入口を形成する工程と、
を含む、製造方法。
こうすれば、蓋部材を取り外すことなく、液体の再充填を容易に行うことができる。
【0019】
[適用例11]適用例1に記載の製造方法であって、
前記液体容器は、さらに、収容する前記液体の消費量に関する情報を記憶するメモリを備え、
前記製造方法は、さらに、
(f)前記メモリに記憶された前記液体の消費量に関する情報を書き換える工程を含む、製造方法。
こうすれば、メモリの液体消費量に関する情報を適切な値に書き換えることにより、再充填後の液体容器を支障なく液体噴射装置にて使用できる。
【0020】
[適用例12]適用例1に記載の製造方法であって、
前記液体容器は、さらに、収容する前記液体の消費量に関する情報を記憶するメモリを備え、
前記製造方法は、さらに、
(g)前記メモリを交換する工程を含む、製造方法。
こうすれば、メモリを交換することで、再充填後の液体容器を支障なく液体噴射装置にて使用できる。
【0021】
[適用例13]液体噴射装置へ供給する液体が収容された液体容器であって、
前記液体容器に収容された前記液体を、液体流通経路の下流側である前記液体噴射装置に対して供給するための液体供給部と、
前記液体供給部よりも上流側に位置し、前記液体容器に収容された液体の残量を検知するためのセンサを収容可能なセンサ部と、
前記センサ部よりも上流側に位置し、前記液体に混入した気泡を捕捉する気泡トラップ部と、
前記気泡トラップ部よりも上流側に位置し、前記液体を収容するための液体収容部と
前記気泡トラップ部または前記気泡トラップ部より下流側の前記液体の流通経路に連通し、前記液体を注入可能な注入口と、
前記注入口を封止する封止部材と、
を備える、液体容器。
この液体容器は、注入に際して、適用例1の効果を得ることができる。また、注入口が封止されているので、注入口に起因して機能が損なわれることがない。また、封止部の脱着により、何度でも、注入口から液体を注入することができる。
【0022】
[適用例14]液体噴射装置に装着可能で、前記液体噴射装置へ供給する液体を収容する液体容器であって、
前記液体容器に収容された前記液体を、前記液体噴射装置に対して供給するための液体供給部と、
前記液体供給部よりも液体流通経路の上流側に位置し、前記液体容器に収容された液体の残量を検知するためのセンサ部と、
前記センサ部よりも上流側に位置し、前記液体に混入した気泡を捕捉する気泡トラップ部と、
前記気泡トラップ部よりも上流側に位置し、前記液体を収容するための液体収容部と、
を備え、
前記気泡トラップ部に流入した気泡を捕捉可能な量の液体が、前記気泡トラップ部に充填されている液体容器。
こうすれば、気泡トラップ部が気泡補足機能を果たせるので、センサ部に気泡が混入して、液体が残存するにもかかわらず液体なしを検出してしまうというセンサの誤動作を生じにくくすることができる。
【0023】
[適用例15]
適用例14に記載の液体容器は、さらに、
前記気泡トラップ部または前記気泡トラップ部より下流側の前記液体の流通経路に設けられた注入口と、
前記注入口を封止する封止部材と、
を備える液体容器。
こうすれば、封止部材を取り除くことで、何度でもインクの再注入を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
A.第1実施例:
・インクカートリッジの構成:
図1は、本発明の実施例としてのインク再注入処理に用いるために準備されるインクカートリッジ1の外観斜視図である。図2は、図1に対応するインクカートリッジ1の分解斜視図である。図3は、カートリッジ本体10の外観斜視図である。図1〜図3には、方向を特定するため、XYZ軸が図示されている。
【0025】
インクカートリッジ1は、内部に液体のインクを収容する。インクカートリッジ1は、インクジェットプリンタのキャリッジ(図示省略)に装着され、当該インクジェットプリンタにインクを供給する。
【0026】
図1に示すようにインクカートリッジ1は、略直方体形状を有し、Z軸正方向側の面1aと、Z軸負方向側の面1bと、X軸正方向側の面1cと、X軸負方向側の面1dと、Y軸正方向側の面1eと、Y軸負方向側の面1fとを有している。以下では、説明の便宜上、面1aを上面、面1bを底面、面1cを右側面、面1dを左側面、面1eを正面、面1fを背面とも呼ぶ。また、これらの面1a〜1fのある側を、それぞれ上面側、底面側、右側面側、左側面側、正面側、背面側とも呼ぶ。
【0027】
底面1bには、インクジェットプリンタにインクを供給するための供給孔を有する液体供給部50が設けられている。底面1bには、さらに、インクカートリッジ1の内部に大気を導入するための大気開放孔100が開口している(図2)。
【0028】
大気開放孔100は、インクジェットプリンタのキャリッジに形成された突起(図示省略)が所定の隙間を有するように余裕を持って嵌るような深さと径を有している。ユーザは、大気開放孔100を気密に封止する封止フィルム90を剥がしてから、インクカートリッジ1をキャリッジに装着する。
【0029】
左側面1dには、係合レバー11が設けられている。係合レバー11には、突起11aが形成されている。突起11aが、キャリッジへの装着時にキャリッジに形成された凹部(図示省略)と係合することによりキャリッジに対してインクカートリッジ1が固定される。インクジェットプリンタの印刷時には、キャリッジは、印刷ヘッド(図示省略)と一体になって、印刷媒体の紙巾方向(主走査方向)に往復移動する。
【0030】
左側面1dの係合レバー11の下方には、回路基板35が設けられている。回路基板35上には、複数の電極端子35aが形成されており、これらの電極端子35aは、キャリッジに設けられた電極端子(図示省略)を介して、インクジェットプリンタと電気的に接続される。
【0031】
インクカートリッジ1の上面(面1a)と背面(面1f)には、外表面フィルム60が貼り付けられている。
【0032】
インクカートリッジ1は、カートリッジ本体10と、カートリッジ本体10の正面側(面1e側)を覆う蓋部材20とを有している。
【0033】
カートリッジ本体10の正面側には、様々な形状を有するリブ10aが形成されている。カートリッジ本体10と蓋部材20との間には、カートリッジ本体10の正面側を覆うフィルム80が設けられている。フィルム80は、カートリッジ本体10のリブ10aの正面側の端面に隙間が生じないように緻密に貼り付けられている。これらのリブ10aとフィルム80により、複数の小部屋、例えば、後述する第1および第2の液体収容室、バッファ室がインクカートリッジ1の内部に区画形成される。
【0034】
カートリッジ本体10の背面側には、差圧弁収容室40aと気液分離室70aとが形成されている。差圧弁収容室40aは、バルブ部材41とバネ42とバネ座43とからなる差圧弁40を収容する。気液分離室70aの底面を囲む内壁には土手70bが形成され、気液分離膜71が、当該土手70bに貼着されており、全体で気液分離フィルタを構成している。
【0035】
カートリッジ本体10の背面側には、さらに、複数の溝10bが形成されている。これらの溝10bは、カートリッジ本体10の背面側の略全体を覆うように外表面フィルム60が貼り付けられたときに、カートリッジ本体10と外表面フィルム60との間に後述する各種の流路、例えば、インクや大気が流動するための流路を形成する。
【0036】
次に、上述した回路基板35周辺の構造を説明する。カートリッジ本体10の右側面(面1c)の底面側(面1b側)には、センサ収容室30a(請求項のセンサ部に相当)が形成されている(図2)。センサ収容室30aには、液体残量センサ31が収容され、フィルム32により接着されている。液体残量センサ31は、圧電素子を含むセンサチップ31aと、金属製のセンサベース部材31cと、センサチップ31aとセンサベース部材31cを接着する接着シート31bを含んでいる。センサ収容室30aの右側面側の開口は、カバー部材33によって覆われ、カバー部材33の外表面33aに、中継端子34を介して、上述した回路基板35が固定される。センサ収容室30aと、液体残量センサ31と、フィルム32と、カバー部材33と、中継端子34と、回路基板35とを全体で、センサ部30とも呼ぶ。
【0037】
詳細な図示は省略するが、センサチップ31aは、後述するインク流動部の一部を形成するキャビティと、キャビティの壁面の一部を形成する振動板と、振動板上に配置された圧電素子とを備えている。圧電素子の端子は、電気的に回路基板35の電極端子の一部に接続されており、インクジェットプリンタにインクカートリッジ1が装着されたとき、圧電素子の端子は、回路基板35の電極端子を介してインクジェットプリンタと電気的に接続される。インクジェットプリンタは、圧電素子に電気エネルギを与えることにより、圧電素子を介して振動板を振動させることができる。その後、振動板の残留振動の特性(周波数等)を、圧電素子を介して検出することにより、インクジェットプリンタはキャビティにおけるインクの有無を検出することができる。具体的には、カートリッジ本体10に収容されていたインクが消尽されることにより、インクが満たされた状態から大気が満たされた状態に、キャビティの内部の状態が変化すると、振動板の残留振動の特性が変化する。かかる振動特性の変化を、液体残量センサ31を介して検出することにより、インクジェットプリンタは、キャビティにおけるインクの有無を検出することができる。
【0038】
また、回路基板35には、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)などの書き換え可能な不揮発性メモリが設けられており、インクジェットプリンタのインク消費量の情報をはじめ、インクに関連する情報が記録される。
【0039】
カートリッジ本体10の底面側には、上述した液体供給部50と大気開放孔100と共に、減圧孔110が設けられている。減圧孔110は、インクカートリッジ1の製造工程においてインクを注入する際に、空気を吸い出してインクカートリッジ1の内部を減圧するために用いられる。
【0040】
液体供給部50、大気開放孔100、減圧孔110は、インクカートリッジ1が製造された直後には、それぞれ封止フィルム54、90、98によって開口部が封止されている。このうち、封止フィルム90は、上述したようにインクカートリッジ1がインクジェットプリンタのキャリッジに装着される前にユーザによって剥離される。これにより、大気開放孔100は外部と連通し、インクカートリッジ1の内部に大気が導入される。また、封止フィルム54は、インクカートリッジ1がインクジェットプリンタのキャリッジに装着された際に、キャリッジに備えられたインク供給針によって破られるように構成されている。
【0041】
液体供給部50の内部には、内部側から順に、閉塞バネ53と、バネ座52と、シール部材51とが収容されている。シール部材51は、液体供給部50にインク供給針が挿入されているときに、液体供給部50の内壁とインク供給針の外壁との間に隙間が生じないようにシールする。バネ座52は、インクカートリッジ1がキャリッジに装着されていないときに、シール部材51の内壁に当接して液体供給部50を閉塞する。閉塞バネ53は、バネ座52をシール部材51の内壁に当接させる方向に付勢する。キャリッジのインク供給針が液体供給部50に挿入されると、インク供給針の上端がバネ座52を押し上げ、バネ座52とシール部材51との間に隙間が生じ、当該隙間からインク供給針にインクが供給される。
【0042】
図4は、大気開放孔100から液体供給部50に至る経路の概念的に説明する図である。インクカートリッジ1の内部構造について説明する前に、理解の容易のため、大気開放孔100から液体供給部50に至る経路を、図4を参照して概念的に説明する。
【0043】
大気開放孔100から液体供給部50に至るまでの経路は、インクを収容するためのインク収容部と、インク収容部の上流側の大気導入部と、インク収容部の下流側のインク流動部とに大きく分けられる。
【0044】
大気導入部は、上流側から順に、大気開放孔100と、蛇行路310と、上述した気液分離膜71を収納する気液分離室70aと、気液分離室70aとインク収容部とを連結する空気室320〜360とから構成される。蛇行路310は、上流端が大気開放孔100と連通し、下流端が気液分離室70aと連通している。蛇行路310は、大気開放孔100からインク収容部までの距離を長くするために細長く蛇行して形成されている。これにより、インク収容部内のインク中の水分の蒸発を抑制することができる。気液分離膜71は、気体の透過を許容すると共に、液体の透過を許容しない素材で構成されている。気液分離膜71を、気液分離室70aの上流側と下流側との間に配置することにより、インク収容部から逆流してきたインクが、気液分離室70aより上流に進入することを抑制することができる。空気室には、上述した減圧孔110が形成されており、上述したように封止フィルム98により外側から封止されている。空気室320〜360の具体的構成は、後述する。
【0045】
インク収容部は、上流から順に、第1の液体収容室370と、連通路380と、第2の液体収容室390とから構成される。連通路380の上流側は第1の液体収容室370と連通し、連通路380の下流側は第2の液体収容室390と連通している。なお、第1の液体収容室370と第2の液体収容室390とは一体的な構成であってもよい。第1の液体収容室370、第2の液体収容室390及び連通路380は、請求項の液体収容部に相当する。
【0046】
インク流動部は、上流側から順に、気泡トラップ流路400と、気泡トラップ室410と、第1流動路420と、上述したセンサ部30と、第2流動路430と、バッファ室440と、上述した差圧弁40を収容する差圧弁収容室40aと、第3流動路450と、第4流動路460とから構成されている。気泡トラップ流路400は、上流端が第2の液体収容室390に連通し、下流端が気泡トラップ室410に連通している。すなわち、気泡トラップ流路400は、第2の液体収容室390と気泡トラップ室410とを接続する接続流路である。気泡トラップ流路400は、細い流路が屈曲部した形状に形成されている。かかる形状とすることで、インク内に混入した気泡を捕捉して、気泡トラップ流路400より下流側に気泡が進入することを抑制することができる。気泡トラップ室410は、気泡トラップ流路400から気泡トラップ室410の上流側に流入したインクを、気泡トラップ室410の底面側から第2流動路430を介してセンサ部30へ導出することにより、万一、気泡トラップ流路400から気泡が進入した場合に、上面側で気泡を捕捉する。このように、気泡が下流側へ進入しにくい構成としているのは、気泡がセンサ部30に進入すると、液体残量センサ31の誤動作が生じるからである。第1流動路420は、上流端が気泡トラップ室410と連通しており、下流端がセンサ部30に連通している。なお、気泡トラップ室410は、請求項の気泡トラップ部に相当し、気泡トラップ流路400は、請求項の接続流路に相当する。
【0047】
第2流動路430は、上流端がセンサ部30に連通し、下流端がバッファ室440に連通している。バッファ室440は、直接的に差圧弁収容室40aに連通している。差圧弁収容室40aにおいて、差圧弁40により、差圧弁収容室40aより下流側のインクの圧力は、上流側のインクの圧力より低く調整され、下流側のインクが負圧となるようにされる。これにより、記録ヘッドからのインク垂れが防止される。第3流動路450は、上流端が差圧弁収容室40aに連通し、下流端が第4流動路460を介して液体供給部50に連通している。なお、差圧弁収容室40aは、請求項の逆流抑制部に相当する。
【0048】
インクは、インクカートリッジ1の製造時には、図4において破線ML1で液面を概念的に示すように、第1の液体収容室370まで充填されている。インクカートリッジ1の内部のインクが、インクジェットプリンタによって消費されていくと、液面は下流側に移動し、その代わりに大気開放孔100を介して上流から大気がインクカートリッジ1の内部に流入する。そして、インクの消費が進むと、図4において破線ML2で液面を概念的に示すように、液面がセンサ部30にまで到達する。そうすると、センサ部30に大気が導入され、液体残量センサ31により、インク切れが検出される。インク切れが検出されると、インクカートリッジ1は、センサ部30より下流側(バッファ室440等)に存在するインクが完全に消費されるより前の段階で、印刷を停止し、ユーザにインク切れを通知する。こうすることで、印刷ヘッドに空気が流入することを防止しつつ、インク切れになった際にインクカートリッジ1内部に残存するインク量を少なくすることができる。
【0049】
以上の説明を踏まえて、大気開放孔100から液体供給部50に至るまでの経路の各構成要素のインクカートリッジ1内における具体的構成を、図5および図6を参照して説明する。図5は、第1実施例におけるインクカートリッジ1のカートリッジ本体10を正面側から見た図である。図6は、第1実施例におけるインクカートリッジ1のカートリッジ本体10を背面側から見た図である。
【0050】
インク収容部のうち、第1の液体収容室370及び第2の液体収容室390は、カートリッジ本体10の正面側に形成されている。第1の液体収容室370及び第2の液体収容室390は、図5において、それぞれ、シングルハッチング及びクロスハッチングで示されている。連通路380は、図6に示すように、カートリッジ本体10の背面側の中央部付近に形成されている。連通孔371は連通路380の上流端と第1の液体収容室370とを連通させる孔であり、連通孔391は連通路380の下流端と第2の液体収容室390とを連通させる孔である。
【0051】
大気導入部のうち、蛇行路310及び気液分離室70aは、図6に示すように、カートリッジ本体10の背面側のうち右側面側の位置にそれぞれ形成されている。連通孔102は、蛇行路310の上流端と大気開放孔100とを連通する孔である。蛇行路310の下流端は、気液分離室70aの側壁を貫通して気液分離室70aに連通している。
【0052】
図4に示した大気導入部の空気室320〜360は、カートリッジ本体10の正面側に配置された空気室320、340、350、360(図5参照)と、カートリッジ本体10の背面側に配置された空気室330(図6参照)とから構成され、各空間は上流から符合の順に直列に一本の流路を形成している。連通孔322は、気液分離室70aと空気室320とを連通する孔である。連通孔321、341は、空気室320と空気室330との間、空気室330と空気室340との間を、それぞれ連通する孔である。空気室340と空気室350との間は、空気室340と空気室350を隔てるリブに形成された切欠342により連通している。上流端を連通孔351とし、下流端を連通孔361とする接続部355により、空気室350と空気室360との間が連通されている。上流端を切り欠き362とし、下流端を切り欠き372とする接続部365により、空気室360と第1の液体収容室370との間が連通されている。このように、複数に区画され、立体的に構成された空気室を設けることで、第1の液体収容室370から気液分離室70aへ、インクが逆流することを抑制することができる。
【0053】
インク流動部のうち、気泡トラップ流路400、気泡トラップ室410は、図5に示すように、カートリッジ本体10の正面側の、液体供給部50に近接する位置に形成されている。第2の液体収容室390には、気泡トラップ流路400の上流端に連通する切り欠き392が形成されている。気泡トラップ流路400の下流端は、切り欠き411を介して、気泡トラップ室410に連通するように形成されている。
【0054】
図7は、気泡トラップ流路400の構成を説明する説明図である。図7は、図5および図6におけるA−A断面に対応している。気泡トラップ流路400は、第1の貫通孔655aと、第2の貫通孔655bと、折り返し部655cを有している。第1の貫通孔655aおよび第2の貫通孔655bは、カートリッジ本体10を前面側から背面側に向けて貫通する貫通孔である。第1の貫通孔655aの下流側の端部と第2の貫通孔655bの上流側の端部は折り返し部655cにより連通されており、これにより第1の貫通孔655aと第2の貫通孔655bは、一本の細長い気泡トラップ流路400に形成されている。第1の貫通孔655aおよび第2の貫通孔655bの両端部の開口部は、外表面フィルム60とフィルム80とによって封止されている。すなわち、第1および第2の貫通孔655a、655b、折り返し部655cの内壁と、外表面フィルム60およびフィルム80の内面とにより、気泡トラップ流路400が区画形成されている。このような構成にすることにより、2本の貫通孔655a、655bと、貫通孔の端部同士を連通する折り返し部655cを、カートリッジ本体10に形成するだけで気泡トラップ流路400に必要な形状を形成できるので、カートリッジ本体10の作製が容易になる。気泡トラップ流路400が比較的細く長い形状に形成されることにより第2の液体収容室390から気泡トラップ室410に気泡が流入することを抑制している。気泡トラップ流路400は、2本の貫通孔が端部で折り返された形状を有することで、気泡トラップ流路400の流路長を少ないスペースで稼ぐことができる。気泡トラップ流路400は、このような形状を有することにより、外部環境変化、例えば、外気温の変動、外気圧に起因する、気泡トラップ室410に対する気泡の進入を抑制することができる。具体的には、例えば、外気温の低下によってインクが凍結する場合、気泡トラップ室410を満たしているインクは、体積の増大によって第2の液体収容室390へと流動する。インクが解凍すると体積は元に戻る(減少する)が、インクカートリッジ1の姿勢によっては気泡トラップ室410の切り欠き411(入口)と第2の液体収容室390の空気とが接触した状態でインクが解凍することもある。この場合、気泡トラップ室410に第2の液体収容室390内の空気が流入し、気泡トラップ室410内に気泡が発生するおそれがある。これに対して、本実施例では、気泡トラップ流路400の体積を、気泡トラップ室410〜バッファ室440間を満たしているインクが凍結した際に増大する体積よりも大きな体積となるような流路長とすることによって、インクの解凍後であっても気泡トラップ流路400内にインクを残留させて、気泡トラップ室410への空気(気泡)の進入を抑制または防止している。なお、バッファ室440もインクの体積増加を考慮して設計されている。この結果、気泡トラップ室より下流側に気泡が侵入することを抑制することができる。
【0055】
センサ部30は、図2を参照して説明したように、カートリッジ本体10の左側面の底面側に配置されている。気泡トラップ室410とセンサ部30とを連通する第1流動路420、センサ部30とバッファ室440とを連通する第2流動路430は、図6に示すように、カートリッジ本体10の背面側にそれぞれ形成されている。気泡トラップ室410には、連通孔412が形成され、気泡トラップ室410と第1流動路420との間を連通している。連通孔421は、第1流動路420とセンサ部30との間を連通する孔である。また、連通孔422、441は、センサ部30と第2流動路430との間、第2流動路430とバッファ室440との間を連通する孔である。
【0056】
バッファ室440、第3流動路450は、図5に示すように、カートリッジ本体10の正面側のうち、左側面側にそれぞれ形成されている。連通孔441は、第2流動路430の下流端とバッファ室440とを連通する孔である。連通孔442は、バッファ室440と差圧弁収容室40aとを直接に連通する孔である。連通孔451は、差圧弁収容室40aと第3流動路450との間を連通する孔である。連通孔452は、第3流動路450と液体供給部50内部に形成された第4流動路460との間を連通する孔である。
【0057】
・インク注入方法:
図8は、インク再注入処理の処理ステップを示すフローチャートである。インク再注入処理は、インクジェットプリンタに装着して使用し、インク残量が所定値以下になったインクカートリッジ1に再度、インクを注入する処理(いわゆるリフィル処理)である。
【0058】
図9は、蓋部材20に形成された貫通孔を示す説明図である。まず、インクカートリッジ1の蓋部材20の左側面1dの底面1b側に所定の大きさの貫通孔HL1が形成される(ステップS10)。
【0059】
図10は、図9におけるB−B断面を示す断面図である。B−B断面は、ZX平面に平行で貫通孔HL1の中心を通る断面である。貫通孔HL1が形成されると、次に、貫通孔HL1の奥にあるカートリッジ本体10の気泡トラップ室410を形成する壁面に注入口HL2が形成される(ステップS20)。貫通孔HL1および注入口HL2は、例えば、ドリルによって形成される。貫通孔HL1の直径は、注入口HL2より大きい。例えば、注入口HL2は、直径3mm程度、貫通孔HL1は、直径6mm程度に形成される。
【0060】
図11は、図10における気泡トラップ室410近傍の拡大図である。注入口HL2が形成されると、注入口HL2にインク注入チューブTU1が装着される(ステップS30)。図10に示すように、TU1の先端部分には、注入口HL2の内壁とインク注入チューブTU1の外壁との間をシールするシール部材SEが装着される。例えば、インク注入チューブTU1の先端に予めシール部材SEを嵌装しておき、シール部材SEを注入口HL2に挿入すれば良い。
【0061】
図12は、インクカートリッジ1に対するインクの注入に用いる器具を説明する図である。インク注入チューブTU1の上流には、バルブ830が接続される。バルブ830の上流には、液体ポンプ820と、インクが収容されたインクタンク810とが接続される。これにより、バルブ830を開放して液体ポンプ820を稼働させると、インクタンク810内のインクを、インク注入チューブTU1を介して、インクカートリッジ1の内部に導入できる。インク注入チューブTU1が装着された現段階では、バルブ830は閉じられている。
【0062】
インク注入チューブTU1が装着されると、大気開放孔100が吸引され、インクカートリッジ1の内部が減圧される(ステップS40)。大気開放孔100には、吸引チューブTU3を介して、バルブ930と、真空室920と、真空ポンプ910が接続される。真空ポンプ910を稼働させて真空室920の内部を十分減圧して、バルブ930を開けると、大気開放孔100を吸引することができる。
【0063】
大気開放孔100が吸引された状態で、液体ポンプ820が稼働されると共に、バルブ830が開けられ、インクがインクカートリッジ1の内部に注入される(ステップS50)。大気開放孔から吸引した場合、差圧弁40は閉じられた状態になるので、差圧弁40より下流側にはインクは注入されない。まず、気泡トラップ室410から下流側で差圧弁40までのインク流通経路にインクが充填されていく。その後、気泡トラップ室410から上流側にインクが充填されていく。第1の液体収容室370に十分なインクが収容された時点で、バルブ830が閉じられ、インクの注入が終了される。
【0064】
インクの注入が終了すると、バルブ930が閉じられ、大気開放孔100の吸引を停止すると共に、吸引チューブTU3が取り外され、大気開放孔100が大気に開放される(ステップS60)。
【0065】
図13は、注入口HL2に封止部材が挿入された様子を示す図である。大気開放孔100が大気開放されると、注入口HL2が封止される(ステップS70)。注入口HL2は、図13に示すように封止部材1000が挿入されることによって封止される。封止部材1000は、ゴム、エラストマーなどの弾性を有する部材であることが好ましい。これにより、注入口HL2が確実に封止されると共に、再び封止部材1000を取り外すことにより、インクを複数回に亘って注入することが可能になる。
【0066】
注入口HL2が封止されると、液体供給部50が吸引される(ステップS80)。液体供給部50には、図12に示すように、先端にバネ座52を押し上げて、液体供給部50を開口させる針部材APを介して、吸引チューブTU2が接続される。吸引チューブTU2の他端には、注射器状の吸引器940が接続される。吸引器940を吸引動作させることにより液体供給部50が吸引される。この結果、差圧弁40から液体供給部50までのインクの流通経路にインクが充填される。この結果、第1の液体収容室370から液体供給部50までの流通経路の全てにインクが充填されることとなる。インクの充填が完了すると、大気開放孔100および液体供給部50がそれぞれ封止フィルム90、54により封止される(ステップS90)。
【0067】
さらに、インクカートリッジ1の回路基板35に設けられた不揮発性メモリのインク消費量の情報が使用可能値に書き換えられる(ステップS100)。インクが使用され、インクカートリッジ1のインク残量が所定値以下になった場合、不揮発性メモリにこのインク残量を表す情報が記憶されている場合がある。かかる場合、インクジェットプリンタは、このインクカートリッジ1にはインクが入っていないと判断し、正常に印刷動作に移行しない場合がある。そのような不都合を避けるため、不揮発性メモリのインク消費量の情報が、インクが所定値以上入っていることを示す使用可能値に書き換えられる。
【0068】
以上説明した第1実施例によれば、気泡トラップ室410からインクを注入するため、気泡トラップ室410より下流側でセンサ部30を含む差圧弁40までの流通経路に十分に液体が充填されてから、気泡トラップ室410より上流側に液体が充填される。したがって、センサ部30および気泡トラップ室410に気泡が残存することを抑制できるため、液体が残存するにもかかわらず液体なしを検出してしまうというセンサの誤動作を生じにくくすることができる。気泡トラップ室410は、その気泡補足機能が機能する程度に十分にインクが充填されていれば良い。具体的には、液体噴射装置に装着された装着状態において、切り欠き411よりも上側に液面が位置する程度にまで少なくとも液体が気泡トラップ室410に充填されていることが好ましい(図11において、液面ML3で示す程度以上が好ましい)。さらには、気泡トラップ室410は、そのインク充填率が高いほうが、気泡補足機能を十分に発揮できるため好ましく、実質的に100%インクが充填されていることがより好ましい。
【0069】
さらに、大気開放孔100を吸引しながら、インクの注入を行うので、速やかに液体を注入することができる。さらに、カートリッジ本体10に形成される注入口HL2に対応する位置に貫通孔HL1を形成するので、蓋部材20を取り外すことなく、容易にインクの注入を行うことができる。
【0070】
B.第1実施例の変形例:
・第1変形例:
図14は、第1実施例の変形例を説明する第1の図である。注入口HL2を形成する位置は、上記実施例に限られない。例えば、図14にハッチングで示すように、気泡トラップ室410からインクを注入する場合には、気泡トラップ室410を形成する左側面1d側の壁面および底面1b側の壁面のどこかに注入口HL2を形成すれば良い。また、フィルム80の気泡トラップ室410の正面側を覆う部分に注入口を形成しても良い。さらに、気泡トラップ室410に限らず、バッファ室440からインクを注入しても良い。かかる場合は、図14においてハッチングで示すように、フィルム80のバッファ室440の正面側を覆う部分に注入口を形成しても良い。
【0071】
図15は、フィルム80に注入口を形成する場合の態様の一例を示す図である。例えば、フィルム80のバッファ室440の正面側を覆う部分に注入口を形成する場合、まず、当該部分にゴムやエラストマーなどの弾性板ERを接着材により接着する。そして、インク注入チューブTU1が先端に取り付けられた針体ACを、積層された弾性板ERとフィルム80に貫通させる。針体ACは、中空構造を有し、先端には、先端孔SHが形成されている。この結果、インク注入チューブTU1に供給されたインクは、針体ACを介して、バッファ室440の内部に導入される。このように構成すれば、フィルム80が必要以上に破損されることを抑制して、インク漏れを生じることなく、インクをインクカートリッジ1の内部に導入することができる。インクの注入が終了し、針体ACを抜いた跡には、フィルムを貼り付けて封止しても良い。
【0072】
図16は、第1実施例の変形例を説明する第2の図である。注入口は、例えば、図15に16にてハッチングで示す領域、すなわち、外表面フィルム60の第2流動路430および第1流動路420の背面側を覆う部分に形成されても良い。
【0073】
また、例えば、差圧弁40のバルブ部材41に孔を形成して、差圧弁40の機能を失わせるなどの工夫をする場合などは、図15、図16においてクロスハッチングで示すように、差圧弁40より下流側の第3流動路450や、差圧弁40のバネ座43に、注入口を形成しても良い。差圧弁40のバネ座43に注入口を作製する例を示す。図17は、図16におけるC−C断面を示す図である。差圧弁40のバネ座43を貫通する孔HL3がインクの注入口として、形成されている。以上の説明から解るように、一般的に言えば、気泡トラップ室410あるいは気泡トラップ室410より下流側の流通経路に注入口が形成されれば良い。
【0074】
C.第2実施例:
上記第1実施例に示したタイプのインクカートリッジ1に限らず、第1実施例に示すインク再注入処理は、様々なタイプのインクカートリッジに適用することができる。他のタイプのインクカートリッジの一例を第2実施例として説明する。
【0075】
図18は、第2実施例におけるインクカートリッジ1Aの外観構成を示す斜視図である。図19は、図18に対応するインクカートリッジ1Aの分解斜視図である。図20は、第2実施例におけるインクカートリッジ1Aのカートリッジ本体10を正面側から見た図である。図21は、第2実施例におけるインクカートリッジ1Aのカートリッジ本体10を背面側から見た図である。
【0076】
第2実施例におけるインクカートリッジ1Aは、第1実施例におけるインクカートリッジ1と比較して、Y軸方向の巾が半分程度の小型のインクカートリッジである。しかしながら、第2実施例におけるインクカートリッジ1Aの各部品の構成、および、流路の概要は、図1〜図6を参照して説明した第1実施例におけるインクカートリッジ1の構成と、同様である。このため、図18〜図20において、第2実施例のインクカートリッジ1Aの構成に付された符号を、図1〜図6における第1実施例のインクカートリッジ1の対応する構成に付された符号と、同一とする。そして、第1実施例と同一の符号を付された構成については、その説明を原則として省略し、以下では第1実施例と同一の符号を用いて説明する。
【0077】
第2実施例におけるインクカートリッジ1Aは、第1実施例におけるインクカートリッジ1にはない構成として、図20に示すように、空間501および空間503を備えている。空間501及び503は、インクが充填されない未充填室である。未充填室501及び503は、大気開放孔100から液体供給部50に至る経路上にはなく、独立している。未充填室501の背面側には、大気と連通する大気連通孔502が設けられている。同様に、未充填室503の背面側には、大気と連通する大気連通孔504が設けられている。未充填室501及び503は、インクカートリッジ1を減圧パックにより包装した時に、負圧を蓄圧した脱気室となる。これにより、インクカートリッジ1は包装された状態で、カートリッジ本体10内部の気圧が規定値以下に保たれ、溶存空気の少ないインクを供給することができる。
【0078】
第2実施例のインクカートリッジ1Aの気泡トラップ流路400の構成は、第1実施例のインクカートリッジ1の気泡トラップ流路400と少し異なっている。第2実施例のインクカートリッジ1Aの気泡トラップ流路400は、4つの貫通孔を含んでいる。これらの貫通孔の端部は、正面側、あるいは、背面側で、切り欠きによって、連通されており、これによって、一本の流路となっている。第2実施例のインクカートリッジ1Aは、Y軸方向の巾が短いので、その分、一本の貫通孔の長さが第1実施例より短くなる。そのため、4本の貫通孔を折り返し形状とすることにより、気泡トラップ流路400として必要な流路長を稼いでいる。4本の貫通孔は、インクカートリッジ1Aが底面1bを下向きにした状態で設置されたとき、底面1bからの鉛直方向(Z軸方向)と交差し、Y軸方向側から見て、鉛直方向に千鳥状に配置されている。そして、4つの貫通孔と、4つの貫通孔の端部を連通する切り欠き部は、折り返し階段形状に形成されている。具体的には、4つの貫通孔は、インクカートリッジ1の底面に対して平行に厚さ方向(Y方向)に横断し、かつそれぞれ鉛直方向(高さ方向=Z軸方向)に異なる高さで配置されている。各貫通孔の鉛直方向の高さは、上流側から下流側に向かって順次高くなる。気泡トラップ流路400を、上記形状を有することにより、第1実施例における気泡トラップ流路400と同様に、外部環境変化、例えば、外気温の変動、外気圧に起因する、気泡トラップ室410に対する気泡の進入を抑制することができる。
【0079】
第2実施例におけるインクの注入口HL4は、例えば、底面1bの気泡トラップ室410を形成している壁面に、気泡トラップ室410と連通するように形成される。第2実施例においても、第1実施例と同様に、フィルム80のバッファ室440を覆う部分、あるいは、第3流動路450を覆う部分に注入口を形成して良い。また、外表面フィルム60の第2流動路430を覆う部分、あるいは、第1流動路420を覆う部分に注入口を形成しても良い。インク注入処理のステップは、第1実施例と同様であるので、その説明を省略する。
【0080】
以上説明した第2実施例においても、第1実施例と同様のインク再注入処理を適用することができる。その結果、第1実施例と同様の作用・効果を生じる。
【0081】
D.変形例:
・第1変形例:
上記インク再注入処理では、大気開放孔100を吸引しながら、インクを注入しているが、これに代えて、減圧孔110、あるいは、液体供給部50を吸引しながらインクを注入しても良い。また、前述した吸引はインクを注入する間も継続してもよいし、吸引を停止した後にインクを注入してもよい。また、大気開放孔100または減圧孔110を吸引せず、大気に開放した状態でインクを注入しても良い。
【0082】
・第2変形例:
上記実施例では、注入口をシールしながらインクを注入することは、必須ではないが、こうすることで、インク注入が効率的に行え、また、インクがカートリッジ本体10の外部に漏れることがない。
【0083】
・第3変形例:
インクの注入量は、第1の液体収容室370に十分なインクが充填されるまでとしたが、これは適宜、必要な量に変更して良い。インクの注入量は、フィルム80が透明フィルムであれば、目視で確認して良いし、注入を自動化する場合や、フィルム80が透明でない場合などには、予め定めた量を注入するものとしてもよい。
【0084】
・第4変形例:
上記実施例において、液体ポンプ820を用いてインクを注入する手法や、吸引器940を用いて液体供給部50を吸引する手法は、一例に過ぎない。例えば、インクを注入する手法として、注射器を用いて注入する方法など、種々の方法によりインクを注入すればよい。
【0085】
・第5変形例:
上記第1実施例では、蓋部材20に貫通孔HL1を開けてから、注入口HL2を形成しているが、貫通孔HL1を開けることなく、蓋部材20を取り外して、注入口HL2を形成しても良い。こうすれば、再び蓋部材20を装着すれば、外観上、孔が見えないため見栄えが向上する。
【0086】
・第6変形例:
上記第1実施例では、インクの注入後に、弾性を有する封止部材1000を用いて、注入口HL2を封止しているが、これに代えて、フィルムを溶着しても良いし、非弾性の樹脂を接着剤で接着することで、注入口を封止しても良い。あるいは、注入口HL2及びその周辺に接着剤などを固着させてもよい。一般的には、注入口HL2を気密に封止できるものであればよい。
【0087】
・第7変形例:
上記実施例のインクカートリッジ1は、不揮発性メモリを備えており、そのメモリにイン残量を表す情報が格納されている。不揮発性メモリを備えない、インクカートリッジ1であれば、メモリの書き換えは必要ではない。また、上記実施例におけるメモリの書き換えに代えて、メモリの交換を行っても良い。具体的には、古いメモリを取り外し、インクが所定値以上入っていることを示す使用可能値がインク残量を表す情報として格納された新しいメモリを取り付ければよい。
【0088】
・第8変形例:
上記実施例は、インクジェット式のプリンタと、インクカートリッジが採用されているが、インク以外の他の液体を噴射したり吐出したりする液体噴射装置と、その液体を収容した液体容器を採用しても良い。微小量の液滴を吐出させる液体噴射ヘッド等を備える各種の液体消費装置に流用可能である。なお、液滴とは、上記液体噴射装置から吐出される液体の状態をいい、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。また、ここでいう液体とは、液体噴射装置が噴射させることができるような材料であれ良い。例えば、物質が液相であるときの状態のものであれば良く、粘性の高い又は低い液状態、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような流状態、また物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散または混合されたものなどを含む。また、液体の代表的な例としては上記実施例の形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インクおよび油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。液体噴射装置の具体例としては、例えば、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルタの製造などに用いられる電極材や色材などの材料を分散または溶解のかたちで含む液体を噴射する液体噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を噴射する液体噴射装置であってもよい。さらに、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する液体噴射装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する液体噴射装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する液体噴射装置を採用しても良い。そして、これらのうちいずれか一種の噴射装置および液体容器に本発明を適用することができる。
【0089】
以上、本発明の実施例および変形例について説明したが、本発明はこれらの実施例および変形例になんら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において種々の態様での実施が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の実施例としてのインク再注入処理に用いるインクカートリッジの外観斜視図。
【図2】図1に対応するインクカートリッジの分解斜視図。
【図3】カートリッジ本体の外観斜視図。
【図4】大気開放孔から液体供給部に至る経路の概念的に説明する図。
【図5】第1実施例におけるインクカートリッジのカートリッジ本体を正面側から見た図。
【図6】第1実施例におけるインクカートリッジのカートリッジ本体を背面側から見た図。
【図7】気泡トラップ流路の構成を説明する説明図。
【図8】インク再注入処理の処理ステップを示すフローチャート。
【図9】蓋部材に形成された貫通孔を示す説明図。
【図10】図9におけるB−B断面を示す断面図。
【図11】図10における気泡トラップ室近傍の拡大図。
【図12】インクカートリッジに対するインクの注入に用いる器具を説明する図。
【図13】注入口に封止部材が挿入された様子を示す図。
【図14】第1実施例の変形例を説明する第1の図。
【図15】フィルムに注入口を形成する場合の態様の一例を示す図。
【図16】第1実施例の変形例を説明する第2の図。
【図17】図16におけるC−C断面を示す図。
【図18】第2実施例におけるインクカートリッジの外観構成を示す斜視図。
【図19】図18に対応するインクカートリッジの分解斜視図。
【図20】第2実施例におけるインクカートリッジのカートリッジ本体を正面側から見た図。
【図21】第2実施例におけるインクカートリッジのカートリッジ本体を背面側から見た図である。
【符号の説明】
【0091】
1、1A…インクカートリッジ
10…カートリッジ本体
10a…リブ
10b…溝
11…係合レバー
11a…突起
20…蓋部材
30…センサ部
30a…センサ収容室
31…液体残量センサ
31a…センサチップ
31b…接着シート
31c…センサベース部材
33…カバー部材
34…中継端子
35…回路基板
35a…電極端子
40…差圧弁
40a…差圧弁収容室
41…バルブ部材
42…バネ
43…バネ座
50…液体供給部
51…シール部材
52…バネ座
53…閉塞バネ
54…封止フィルム
60…外表面フィルム
70a…気液分離室
70b…土手
71…気液分離膜
32、80、90、98…フィルム
100…大気開放孔
110…減圧孔
310…蛇行路
320〜360…空気室
370…第1の液体収容室
371…連通孔
390…第2の液体収容室
400…気泡トラップ流路
410…気泡トラップ室
420…第1流動路
430…第2流動路
440…バッファ室
450…第3流動路
460…第4流動路
810…インクタンク
820…液体ポンプ
830…バルブ
910…真空ポンプ
920…真空室
930…バルブ
940…吸引器
1000…封止部材
AC…針体
SE…シール部材
AP…針部材
ER…弾性板
HL1…貫通孔
HL2、HL4…注入口
TU1…インク注入チューブ
TU2…吸引チューブ
TU3…吸引チューブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体噴射装置へ供給する液体が収容された液体容器の製造方法であって、
(a)収容された前記液体を、前記液体噴射装置に対して供給するための液体供給部と、前記液体供給部よりも上流側に位置し、収容された液体の残量を検知するためのセンサ部と、前記センサ部よりも上流側に位置し、前記液体に混入した気泡を捕捉する気泡トラップ部と、前記気泡トラップ部よりも上流側に位置し、前記液体を収容するための液体収容部と、を備える液体容器を準備する工程と、
(b)前記気泡トラップ部または前記気泡トラップ部より下流側の前記液体の流通経路に連通する注入口を形成する工程と、
(c)前記注入口から前記液体を注入する工程と、
(d)該注入後に、前記注入口を封止する工程と
を備える、製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の製造方法であって、
前記液体容器は、さらに、
前記液体収容部と連通する上流部と前記気泡トラップ部と連通する下流部とを有する接続流路を備え、
前記接続流路は、容器本体を一方の面から他方の面に向かって貫通し、互いの端部が連通する複数の貫通孔と、前記貫通孔の両端をそれぞれ封止するフィルムとによって区画形成されている、製造方法。
【請求項3】
請求項2に記載の製造方法であって、
前記接続流路を形成する前記複数の貫通孔は、前記上流部から下流部に向かって折り返し階段状に形成されている、製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載の製造方法であって、
前記接続流路を形成する前記複数の貫通孔は、前記液体容器が前記液体噴射装置に装着された装着状態で、略水平に形成されていると共に、装着状態において鉛直方向に沿って千鳥状に配置されている、製造方法。
【請求項5】
請求項1に記載の製造方法であって、
前記液体容器は、さらに、
前記液体収容部よりも上流側に位置し、前記液体収容部に収容された前記液体の消費に伴って外部から大気を前記液体容器の内部に導入する大気開放部を備え、
前記(c)工程は、前記大気開放部から前記液体収容部内の空気を吸引する工程を備える、製造方法。
【請求項6】
請求項1に記載の製造方法であって、
前記(c)工程は、前記液体供給部から前記液体収容部内の空気を吸引する工程を備える、製造方法。
【請求項7】
請求項1に記載の製造方法であって、
前記液体容器は、さらに、
前記センサ部と前記液体供給部との間に位置し、前記液体が上流側に逆流することを抑制する逆流抑制部を備え、
前記(b)工程は、前記気泡トラップ室または前記気泡トラップ室から前記逆流抑制部までの前記液体の流通経路に連通するように前記注入口を形成し、
前記(c)工程は、前記注入口から前記液体を前記逆流抑制部より上流側に前記液体を注入し、
前記製造方法は、さらに、
(e)前記液体供給部を吸引して、前記逆流抑制部から前記液体供給部までに前記液体を充填する工程を含む、製造方法。
【請求項8】
請求項1に記載の製造方法であって、
前記液体容器は、さらに、前記センサ部と前記液体供給部との間に位置し、前記液体を一時的に貯留するバッファ部を備え、
前記(b)工程は、前記バッファ部に連通する前記注入口を形成する、製造方法。
【請求項9】
請求項1に記載の製造方法であって、
前記(d)工程は、前記注入口に弾性部材を挿入する工程である、製造方法。
【請求項10】
請求項1に記載の製造方法であって、
前記液体容器は、前記気泡トラップ部または気泡トラップ部より下流側の前記液体の流通経路を形成する壁部を覆う蓋部材を備え、
前記(b)工程は、
(b1)前記蓋部材に前記注入口より大きな孔を形成する工程と、
(b2)前記壁部に前記注入口を形成する工程と、
を含む、製造方法。
【請求項11】
請求項1に記載の製造方法であって、
前記液体容器は、さらに、収容する前記液体の消費量に関する情報を記憶するメモリを備え、
前記製造方法は、さらに、
(f)前記メモリに記憶された前記液体の消費量に関する情報を書き換える工程を含む、製造方法。
【請求項12】
請求項1に記載の製造方法であって、
前記液体容器は、さらに、収容する前記液体の消費量に関する情報を記憶するメモリを備え、
前記製造方法は、さらに、
(g)前記メモリを交換する工程を含む、製造方法。
【請求項13】
液体噴射装置へ供給する液体が収容された液体容器であって、
前記液体容器に収容された前記液体を、前記液体噴射装置に対して供給するための液体供給部と、
前記液体供給部よりも上流側に位置し、前記液体容器に収容された液体の残量を検知するためのセンサ部と、
前記センサ部よりも上流側に位置し、前記液体に混入した気泡を捕捉する気泡トラップ部と、
前記気泡トラップ部よりも上流側に位置し、前記液体を収容するための液体収容部と
前記気泡トラップ部または前記気泡トラップ部より下流側の前記液体の流通経路に連通し、前記液体を注入可能な注入口と、
前記注入口を封止する封止部材と、
を備える、液体容器。
【請求項14】
液体噴射装置に装着可能で、前記液体噴射装置へ供給する液体を収容する液体容器であって、
前記液体容器に収容された前記液体を、前記液体噴射装置に対して供給するための液体供給部と、
前記液体供給部よりも液体流通経路の上流側に位置し、前記液体容器に収容された液体の残量を検知するためのセンサ部と、
前記センサ部よりも上流側に位置し、前記液体に混入した気泡を捕捉する気泡トラップ部と、
前記気泡トラップ部よりも上流側に位置し、前記液体を収容するための液体収容部と、
を備え、
前記気泡トラップ部に流入した気泡を捕捉可能な量の液体が、前記気泡トラップ部に充填されている液体容器。
【請求項15】
請求項14に記載の液体容器は、さらに、
前記気泡トラップ部または前記気泡トラップ部より下流側の前記液体の流通経路に設けられた注入口と、
前記注入口を封止する封止部材と、
を備える液体容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2010−5958(P2010−5958A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−169090(P2008−169090)
【出願日】平成20年6月27日(2008.6.27)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】