説明

液体容器用口栓

【課題】たとえ収容容量が少量のタイプの容器の小型の口栓でも、その密封性を的確に確保し、併せて開栓が容易な液体容器用口栓を提供する。
【解決手段】容器1から突出するスパウト5の注出筒7にスクリューキャップ4を螺合させることで口栓6が構成され、前記注出筒7の頂面に可撓性のあるシール蓋9を張り付けてこの注出筒7の口部8の密封性を保つように構成された液体容器用口栓において、シール蓋9の周縁9Aの一部に一体若しくは一体的に連結され、且つ、展開可能にこのシール蓋9上に折畳み重合されてなる引っ張りタブ10を備え、この引っ張りタブ10の一部が注出筒7の側面からはみ出る長さに構成されるとともに、前記スクリューキャップ4の開栓動作に伴って前記引っ張りタブ10をシール蓋9から上方へ浮き上がらせるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、醤油等の調味料や油、或いは清酒や果実飲料などを収容するもので、容器頂部に突設されたスパウトにキャップが螺着された液体容器の口栓、更に詳しくは、小容量の液体容器の口栓に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、これらの液体を収容する容器01には、使用時の使い易さを考慮して、例えば、図8(A)、(B)に示すように、胴部02が四角柱状で、切妻屋根型の頂部の傾斜板03にスクリューキャップ04とスパウト05とからなる口栓06が突設された液体容器01が広く使用されている。この口栓06は、容器01から突出するスパウト05の注出筒07にスクリューキャップ04を螺合させたものである。また、注出口08の開封については、プルタブ09を引き抜いて開栓する方法が一般的である。
【0003】
ところで、醤油等の調味料や油、或いは濃縮型の果実飲料、清涼飲料などは消費間隔が長いために、商品化する場合は少量の容器に入れられる場合が多い。
【0004】
そのため、このような少量の容器、例えば200ml程度では、注出口の口径は10mm前後で小さいために、設計上(構造上)プルタブを設けることは非常に難しく、仮に設けることができたとしてもブルタブに指が入らないなどプルタブを摘まむことができないため開栓が困難であった。そのため、このような不便を解消するために、現状としては、図9(A)、(B)に示すように、アルミニウムシール等のフィルム系蓋001に、開栓時に指先で摘まんで引き剥がす引っ張り代(本発明では引っ張りタブ)002が一体に設けられたものが採用されている。注出口にこのアルミニウムシール等のフィルム系蓋001を熱などで溶着して、この注出口の密封性を確保し、シール剥離後はキャップにて密封性を確保している(例えば特許文献1〜3参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、図9(A)、(B)に示すような従来の形態の場合、この引っ張り代002は、流通時はキャップ内にシワがよらないようにして収納しておく必要がある。先にも述べたように、殊に少量を収容した容器、例えば200ml程度の容器では、注出口の口径は10mm前後と小さいので、図9(A)、(B)に示すような形状を備えたタイプのもの等に代表される蓋では、引っ張り代002を充分な大きさにすることができない。その結果、引っ張り代002が撮みにくく、仮に摘めたとしてもその面積が小さいことで、開封に際して加えられる力が十分に伝わりにくいことから、引き剥がし難く、所謂開栓し難く、現に消費者からも開け難いという苦情が寄せられることが多いのが現状である。この点は特許文献2に開示されたつまみ部も同様である。
【0006】
また、特許文献1に示されるように、上下二つ折りにしたシール板の下側を注出口に貼着するタイプでは、引っ張りタブ機能を発揮する上側板部がキャップで閉栓されている間中、上からの押圧力で塑性変形する傾向にある。その結果、キャップを外してもこの上側板部は下側のシール板にぴたりと張り付いて浮き上がらず、指先で引き剥がすのが大変困難である。
【0007】
そこでこの発明の課題は、たとえ収容容量が少量のタイプの容器の小型の口栓でも、その密封性を的確に確保し、併せて開栓が容易な液体容器用口栓を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の技術的な課題を解決するために、この発明の請求項1記載の液体容器用口栓は、容器から突出するスパウトの注出筒にスクリューキャップを螺合させることで口栓が構成され、前記注出筒の頂面に可撓性のあるシール蓋を張り付けてこの注出筒の口部の密封性を保つように構成された液体容器用口栓において、シール蓋の周縁の一部に一体若しくは一体的に連結され、且つ、展開可能にこのシール蓋上に折畳み重合されてなる引っ張りタブを備え、この引っ張りタブの一部が注出筒の側面からはみ出る長さに構成されるとともに、前記スクリューキャップの開栓動作に伴って前記引っ張りタブをシール蓋から上方へ浮き上がらせるように構成されたものである。
【0009】
以上の構成による液体容器用口栓においては、図1、図4に示すように、注出筒の頂面にシール蓋が張り付けられることで注出筒の口部の密封性が保たれている。そして、このシール蓋の上面に引っ張りタブが折畳み重合され、スクリューキャップによってシールの上面に押圧密着される。斯かる密封状態から容器の注出筒の口部を開放するには、先ずスクリューキャップを回動して注出筒から離脱させる。このスクリューキャップの離脱によって、つまりは開栓動作に伴って引っ張りタブがシール蓋から上方へ浮き上がる。その結果、シール蓋の上面と引っ張りタブとの間に隙間が形成される。この隙間は指先がシール蓋の上面と引っ張りタブとの間に挿入されるのを容易にする。その結果、引っ張りタブを簡単に指先でつまむことができる。指先で摘まんだ引っ張りタブをそのまま引き上げれば、この引き上げ力を連結部を介してシール蓋を上方へ引き上げる力として働かせることができ、シール蓋を注出筒の口部から簡単に、また、上手く引き剥がすことができる。
【0010】
この発明は、別の観点から、請求項2に記載のように、容器から突出するスパウトの注出筒にスクリューキャップを螺合させることで口栓が構成され、前記注出筒の頂面に可撓性のあるシール蓋を張り付けてこの注出筒の口部の密封性を保つように構成された液体容器用口栓において、シール蓋の周縁の一部に一体若しくは一体的に連結され、且つ、展開可能にこのシール蓋上に折畳み重合されてなる引っ張りタブを備え、この引っ張りタブの前記シール蓋との連結部分以外の少なくとも一部が注出筒の側面からはみ出る長さに構成されるとともに、前記スクリューキャップの開栓動作に伴って前記引っ張りタブの前記はみ出し部分がこのスクリューキャップ内面のネジ山に引っ掛けられて引き上げられることにより、引っ張りタブが上方へ引き上げられることによって引っ張りタブをシール蓋から上方へ浮き上がるように構成されたものである。
【0011】
更にこの発明は、更に別の観点から、請求項4に記載のように、容器から突出するスパウトの注出筒にスクリューキャップを螺合させることで口栓が構成され、前記注出筒の頂面に可撓性のあるシール蓋を張り付けてこの注出筒の口部の密封性を保つように構成された液体容器用口栓において、シール蓋の周縁の一部に一体若しくは一体的に連結され、且つ、展開可能にこのシール蓋上に折畳み重合されてなる引っ張りタブを備え、この引っ張りタブの前記シール蓋との連結部分が注出筒の側面からはみ出る長さに構成されるとともに、前記スクリューキャップの閉栓時に少なくともこのスクリューキャップ内面のネジ山によって前記連結部分が下方へ折り曲げられることによってこの引っ張りタブに折り曲がりばね効果が付与されるように構成し、スクリューキャップの開栓動作に伴って前記引っ張りタブが前記折り曲がりばね効果によってシール蓋から上方へ浮き上がるように構成されたものである。
【0012】
以上の構成による液体容器用口栓においては、図1、図4 に示すように、注出筒の頂面にシール蓋が張り付けられることで注出筒の口部の密封性が保たれている。そして、このシール蓋の上面に引っ張りタブが折畳み重合されている。この引っ張りタブの一部(図1では遊端側、図4では連結部側がシール蓋と共々)は注出筒の側面から外方へ張り出している。この状態からスクリューキャップを注出筒に螺合させると、このスクリューキャ
ップ内面のネジ山によって下方へ折り曲げられる。
【0013】
ここで、引っ張りタブの一部を注出筒の側面から外方へ張り出させた形態(請求項2)の場合には、ネジ山が通り過ぎると、この引っ張りタブの一部はその弾性反発力によって元の水平な姿勢に復帰しようとして、ネジ山の頂部の移動経路を超えてネジ谷側に位置することになる。
【0014】
また、連結部分を注出筒の側面から外方へ張り出させた形態(請求項4)の場合には、ネジ山が通り過ぎると、その折れ曲がりによって、引っ張りタブにその遊端側を上方に浮き上がらせようとするバネ効果が働く。
【0015】
従って、注出筒の口部を開放すべくスクリューキャップを取り外そうとすると、スクリューキャップの上方への移動によって、引っ張りタブの一部を注出筒の側面から外方へ張り出させた形態(請求項2)の場合には、この引っ張りタブの一部がネジ山に引っ掛かってこのネジ山の上方への移動に伴って上方へ引き上げられ、シール蓋の上面から上方へ浮き上がる。
【0016】
また、連結部分を注出筒の側面から外方へ張り出させた形態(請求項4)の場合には、スクリューキャップの上方への移動によって、引っ張りタブに掛かる押圧力が無くなるため、引っ張りタブはその折り曲がりばね効果によって自らシール蓋の上面から上方へ浮き上がる。
【0017】
このようにして、何れの場合にも、引っ張りタブとシール蓋との間に隙間が形成される。したがって指先の挿入が楽に行え、引っ張りタブの一部を簡単につまみ上げることができる。摘み上げた引っ張りタブをそのまま上方へ引き上げると、この引き上げ力が連結部を介してシール蓋を上方へ引き上げる力として働き、シール蓋を注出筒の口部から上手く引き剥がすように働く。
【発明の効果】
【0018】
従って、この発明の液体容器用口栓は、シール蓋によって注出筒の口部を密封するので、高い密封性が保たれる。そして、単にスクリューキャップを注出筒から離脱さえすれば、最大限シール蓋と同等あるいはそれよりもやや大きめの引っ張りタブが簡単に浮き上がってこのシール蓋の上面との間に指先を挿入できるに足る間隔が形成される。従って、従来のように、注出筒の口部の外側面にへばり付いた細幅・小片の引っ張りタブを苦労して起き上がらせる必要もなく、引っ張りタブを簡単に指先で摘まむことができ、また、そのまま摘み上げることができる。更に、引っ張りタブは従来のように細幅・小片ではなく、最大限シール蓋と同等あるいはそれよりもやや大きめのものを採用できるので、シール蓋を口部から引き剥がすにあたっても強力な引き剥がし力をシール蓋に作用させることができ、開封が容易になる。
【0019】
また、この発明に係る液体容器用口栓は、請求項3に記載されるように、引っ張りタブのシール蓋との連結部分からこの連結部に対向する遊端までの長さが注出筒の直径よりも長尺で、遊端が少なくともスクリューキャップのネジ山頂部の移動経路よりもスクリューキャップ周壁内面側に入り込んで存在する寸法に設定されているのが望ましい。
スクリューキャップによる開栓時、このはみ出る部位はネジ山の移動経路を超えて更にスクリューキャップの周壁側に位置しているので、ネジ山にしっかりと掬い上げられ、的確に上方へ持ち上げることができるからである。
【0020】
更に、この発明に係る液体容器用口栓は、請求項6に記載されるように、少なくとも引っ張りタブはアルミシール若しくはアルミ箔を備えた多層フィルム若しくは合成樹脂製の
フィルムの何れかであるのが望ましい。
何れの場合でも腰が強く、スクリューキャップのネジ山による持ち上げであるにしても、連結部分の折れ曲がりによるバネ力の働きにしても、その作用が的確に引っ張りタブに働き、所期の望ましい浮き上がり姿勢を実現できるからである。
【0021】
また、この発明に係る液体容器用口栓は、請求項7に記載されるように、容器は50角の紙容器であるのが望ましい。
小径の口部を持つ少量収容のこのランクの紙容器に適用することが、この発明によってもたらされる作用を理想的に発揮させ得るからである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】この発明に係る液体容器用口栓の一実施の形態を示し、シール蓋を口部に取り付け状態の説明側面図である。
【図2】シール蓋と引っ張りタブとの構成を示し、(A)はシール蓋と引っ張りタブを展開した平面図、(B)は(A)中AーA断面図である。
【図3】作用の説明図で、(A)はスクリューキャップ閉栓後の一部切り欠き説明側面図、(B)はスクリューキャップを取り除いたときの説明側面図である。
【図4】別の実施の形態を示し、シール蓋を口部に取り付け状態の説明側面図である。
【図5】別の実施の形態のシール蓋と引っ張りタブとの構成を示し、(A)は全体平面図、(B)は(A)中AーA断面図である。
【図6】別の実施例の作用の説明図で、(A)はスクリューキャップ閉栓後の一部切り欠き説明側面図、(B)スクリューキャップを取り除いたときの説明側面図である。
【図7】この発明に採用された50角の紙容器の外観図である。
【図8】従来例を示し、(A)は紙容器と全体の外観図、(B)は要部の一部切欠き断面図である。
【図9】更に別の従来例を示し、(A)はシール蓋の全体平面図、(B)は口部に貼着された状態の要部の外観図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、この発明に係る液体容器用口栓を50角で、200ミリリットル入りの醤油用紙容器に適用した場合の実施の形態を図1〜7の記載に基づいて説明する。
【0024】
この発明に採用された50角の醤油用紙容器1とは、図7に示すように、使用時の使い易さを考慮して、胴部2が角柱状で、切妻屋根型の頂部の傾斜板3にスクリューキャップ4とスパウト5とからなる口栓6が突設された液体用紙容器である。口栓6は、図1に示すように、容器1から突出するスパウト5の注出筒7に螺合されるスクリューキャップ4とから構成される。尚、図1中、SAはスクリューキャップ4内部に収容したシール材である。
【0025】
この紙容器1は、板紙を基材とし、内層と外層がヒートシール可能な熱可塑性合成樹脂から構成される積層シートを紙容器スリーブに加工し、それを製函して作製される。積層シートの材質は、醤油を収容して長期保存に耐えられるものであれば良く、具体的には、例えば、〔容器外側〕ポリエチレン/板紙/ポリエチレン/アルミニウム箔/ポリエチレンテレフタレートフィルム/ポリエチレン〔容器内側〕等の周知の材質構成のものが好ましく使用できる。なお、紙容器1に用いる板紙には、コートボール、コートマニラ等が使用でき、表面には必要に応じて文字や絵柄などを印刷できるものが望ましい。
【0026】
このような少量収容タイプの紙容器では、その注出筒7の口部8の直径も概ね10mm前後で、大変小径である。
【0027】
また、この注出筒7には、その外周面の雄ネジにスクリューキャップ4 の雌ネジが螺合され、この注出筒7に対してスクリューキャップ4が嵌脱自在に螺着される。
【0028】
前記口部8の頂面にはその全域を封止するために円形のシール蓋9の周縁部下面が、熱スタンプ溶着法、高周波溶着法、更には接着剤使用による適宜の接着手段によって貼着される。
【0029】
そして、このシール蓋9は、図2(A)、(B)に示すように、その周縁の一部から放射方向に向けて帯状の引っ張りタブ10が一体に連設されている。この引っ張りタブ10はシール蓋9との連結部11を直線的に結ぶ線分を折り曲げ線12として展開可能に上下二つ折りして形成される。
【0030】
このシール蓋9の前記折り曲げ線12とこれに対向する周縁9Aまでの長さD(直径)は注出筒7の口部8の外形寸法と同等もしくはやや長めに設定されている。口部8を密封する上で必然である。
【0031】
シール蓋9と引っ張りタブ10とは、アルミニウムフィルム、ポリエステルフィルム等がラミネートされた多層フィルムが採用される。なお、必要に応じて、熱可塑性合成樹脂にあっても比較的腰の強い種類のものも採用される。
【0032】
シール蓋9に引っ張りタブ10を連結するに当たっては、図2(A)、(B)、更には図5(A)、(B)に示すように、フィルムを打ち抜きして両者が一連一体に連なった形態のものが採用される。なお、図示しないが、シール蓋9と引っ張りタブ10とを別々に形成し、引っ張りタブ10の基端10Aをシール蓋9の周縁の一部に、前記した適宜の接着手段によって、貼着するものであっても良い。
【0033】
次に、シール蓋9の開封を容易にするためのこのシール蓋9と引っ張りタブ10との口部8への取り付け方について詳細に説明する。基本的には二通りの形態があり、何れも引っ張りタブ10を上方へ浮き上がらせ、シール蓋9との間に、この引っ張りタブ10を摘まみ易くする隙間Sを得るようにするものである。
【0034】
その第一は、図3に示すように、スクリューキャップ4のネジ山によって引っ張りタブ10を上方へ引き上げてシール蓋9との間に隙間Sを得る形態である。また、第二は、図6に示すように、シール蓋9と引っ張りタブ10とを折り曲げることによって得られる折り曲がりばね効果によって、シール蓋9との間に隙間Sを得る形態である。
【0035】
前記第一の形態の具体的な構成について説明する。
図1、図2の(A)、(B)に示すように、引っ張りタブ10のシール蓋9との連結部11に対向する遊端10Bまでの長さdをシール蓋9の直径Dよりも長尺にし、図1に示すように、遊端10Bが少なくともスクリューキャップ4のネジ山13の頂部14の移動経路Lを超えてスクリューキャップ4の周壁4Aの内面4B側に入り込んで存在する寸法に設定されている。つまり、スクリューキャップ4を注出筒7に螺合させたときには、この引っ張りタブ10の前記遊端10Bがネジ谷15に入り込んで存在する寸法に設定されている。
【0036】
このような構成であると、図1に示すように、注出筒7の口部8にシール蓋9が張り付けられることでこの口部8の密封性が保たれている。また、シール蓋9の上面に引っ張りタブ10が折畳まれている。この状態では、引っ張りタブ10の遊端10B側が注出筒7の側面から外方へ張り出している。次いで、スクリューキャップ4を注出筒7に螺合させ
ると、このスクリューキャップ4内面のネジ山13の通過によって、この引っ張りタブ10の遊端10Bは下方へ折り曲げられる。ネジ山13が通り過ぎると、図3(A)に示すように、この引っ張りタブ10の遊端10Bはその弾性反発力によって元の水平な姿勢に復帰しようとして、ネジ山13の頂部14の移動経路Lを超えてネジ谷15側に位置することになる。スクリューキャップ4の螺合が完了したときには、シール蓋9の上面に引っ張りタブ10が折畳み重合された状態で、このスクリューキャップ4によってシール蓋9の上面に押圧密着される。
【0037】
斯かる密封状態から容器の注出筒7の口部8を開放するには、先ずスクリューキャップ4を回動して注出筒7から離脱する。このときこの引っ張りタブ10の遊端10Bはスクリューキャップ4のネジ谷15側に位置しているので、スクリューキャップ4の上方への移動によって、この引っ張りタブ10の遊端10Bがネジ山13に引っ掛けられて上方へ引き上げられる。その結果、図3(B)に示すように、この遊端10B側がシール蓋9の上面から上方へ浮き上がり、シール蓋9と引っ張りタブ10との間に隙間Sが形成されることになる。
【0038】
次に第2の形態の具体的な構成について説明する。
図 4、図5(A)、(B)に示すように、シール蓋9と引っ張りタブ10の連結部11側を注出筒7の外周面よりも更に前記スクリューキャップ4のネジ山13の移動軌跡Lを超えてスクリューキャップ4の周壁4Aの内面4B側に入り込んで存在する寸法に設定されている。つまり、スクリューキャップ4を注出筒7に螺合させたときには、この連結部11の少なくとも左右両端縁部分11Aがネジ谷15に入り込んで存在する寸法に設定されている。
【0039】
このような構成であると、図4に示すように、注出筒7の口部8にシール蓋9が張り付けられることでこの口部8の密封性が保たれている。また、シール蓋9の上面に引っ張りタブ10が折畳まれている。この状態では、シール蓋9と引っ張りタブ10の連結部11の少なくとも左右両端縁部分11A側が注出筒7の側面から外方へ張り出している。次いで、スクリューキャップ4を注出筒7に螺合させると、図6(A)に示すように、このスクリューキャップ4の内面のネジ山13の通過によって、この注出筒7の側面から外方へ張り出した連結部11の少なくとも左右両端縁部分11Aは下方へ折り曲げられる。そして、この折れ曲がりによって、引っ張りタブ10にはその遊端10B側を上方に浮き上がらせようとするバネ力が蓄積される。その結果引っ張りタブ10にはその遊端10B側を常に上方へ浮き上がらせようとするバネ効果が与えられることになる。特にこの連結部11側はシール蓋9と引っ張りタブ10とが二枚重ねになった状態で折れ曲がるために、引っ張りタブ10の遊端10Bを上方へ浮き上がらせようとするバネ効果は一枚ものよりも遥かに強くなる。スクリューキャップ4の螺合が完了したときには、シール蓋9の上面に引っ張りタブ10が折畳まれた状態で、このスクリューキャップ4によってシール蓋9の上面に押圧密着される。
【0040】
斯かる密封状態から容器の注出筒7の口部8を開放するには、先ずスクリューキャップ4を回動して注出筒7から離脱させる。このとき、このシール蓋9と引っ張りタブ10の連結部11は二重重ねで互いに密着しているから、可撓性よりも剛性が勝り、一旦折り曲げられた後はその折り曲げ姿勢を保持する。従ってスクリューキャップ4の上方への移動によってもこの連結部11はその折り曲げ姿勢を保つ。更にスクリューキャップ4を回動してその天板4Cの内面による押圧力が開放されるに伴って、図6(B)に示すように、引っ張りタブ10の遊端10B側はその折り曲がりばね効果によって自らシール蓋9の上面から上方へ浮き上がる。そして、最終的にはシール蓋9との間に隙間Sが形成されることになる。
【0041】
このようにして、図1〜3、また、図4〜6に示す何れの場合にも、シール蓋9と引っ張りタブ10との間に隙間Sが形成される。従って、指先の挿入が楽に行え、引っ張りタブ10の遊端10Bを簡単に摘まみ上げることができる。摘み上げた引っ張りタブ10をそのまま上方へ引き上げると、この引き上げ力が連結部11を介してシール蓋10を上方へ引き上げる力として働き、シール蓋10を注出筒7の口部8から上手く引き剥がすように働く。
【0042】
尚、図4〜6に示す実施の形態においては、引っ張りタブ10の寸法dは図1〜3に示す実施の形態のように、長尺にする必要はない。遊端10Bがシール蓋9の周縁9Aと同等の位置にあっても良く、更には必要に応じて、やや短目であっても良い。隙間Sの寸法にもよるが、シール蓋9の周縁9Aから中心に至る範囲内に遊端10Bが位置する関係寸法であるのが望ましい。
【0043】
なお、開口した注出筒7の口部8はスクリューキャップ4を螺着して再び封止する。
【実施例1】
【0044】
次に、アルミニウムフィルム、ポリエステルフィルムの多層フィルムから、図2に示される形態の一体型シール蓋と帯状引張り引っ張りタブを得、帯状の引張り引っ張りタブのシール蓋の遊端からの突出寸法が0. 0mm、0.3mm、0.5mm、0.8mmを夫々100個作製し、得られたシール蓋を注出筒の口部に貼着して、スクリューキャップを開栓して、それぞれの場合について、帯状の引っ張りタブの遊端の浮き上がりの状況を確認した。
【0045】
結果は明らかで、突出寸法が0. 0mmの場合には、浮き上がり個数は皆無で、全個シール蓋に密着したままであった。また、0.3mmでは35個が浮き上がらなかった。0.5mm、0.8mmの場合には全個浮き上がって、そのまま摘まんで開封出来た。
【0046】
以上の結果から、張り出し寸法が0.3〜0.8mmまでの間では、スクリューキャップのネジ山の引き上げ力が的確に働き、望ましい隙間を得ることが分かった。
【実施例2】
【0047】
また、アルミニウムフィルム、ポリエステルフィルムの多層フィルムから、図5に示される形態の折畳み型と図外の接着型の二種類のシール蓋と帯状引張り引っ張りタブを得、連結部が注出筒の口部外縁からの突出寸法が0. 0mm、0.3mm、0.5mm、0.8mmを夫々100個作製し、得られたシール蓋を注出筒の口部に貼着して、スクリューキャップを閉栓した後、これを開栓して、それぞれの場合について、帯状の引っ張りタブの遊端の浮き上がりの状況を確認した。
【0048】
得られた結果によると、突出寸法が0. 0mmの場合には、36個が浮き上がらずシール蓋に密着したままであった。また、0.3mmでは8個が浮き上がらなかった。0.5mm、0.8mmの場合には全個浮き上がって、そのまま摘まんで開封出来た。
【0049】
以上の結果から、張り出し寸法が0.3〜0.8mmまでの間で望ましい隙間を得ることが分かった。
【0050】
以上に示したこの本発明に液体容器用口栓は、単に醤油の収納容器に限らず、他の液体調味料や油、或いは清酒や果実飲料などを収容する容器に適用される。また、容器の構成も切妻屋根型に限定されるものではなく、注出筒とスクリューキャップとを備えたものであれば、例えば合成樹脂製のチューブ容器、空にはパウチ等にも適用できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0051】
1…紙容器
2…胴部
3…傾斜板
4…スクリューキャップ
7…注出筒
8…口部
9…シール蓋
9A…周縁
10…引っ張りタブ
10B…遊端
11…連結部
13…ネジ山
14…頂部
15…ネジ谷
D…シール蓋の直径
d…引っ張りタブの長さ
L…ネジ山頂部の移動軌跡
S…隙間
【先行技術文献】
【特許文献】
【0052】
【特許文献1】実開昭58−103751号公報
【特許文献2】特開昭10−59406号公報
【特許文献3】実開昭56−91267号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器から突出するスパウトの注出筒にスクリューキャップを螺合させることで口栓が構成され、前記注出筒の頂面に可撓性のある合成樹脂製シール蓋を張り付けてこの注出筒の口部の密封性を保つように構成された液体容器用口栓において、シール蓋の周縁の一部に一体若しくは一体的に連結され、且つ、展開可能にこのシール蓋上に折畳み重合されてなる引っ張りタブを備え、この引っ張りタブの一部が注出筒の側面からはみ出る長さに構成されるとともに、前記スクリューキャップの開栓動作に伴って前記引っ張りタブをシール蓋から上方へ浮き上がらせるように構成されていることを特徴とする液体容器用口栓。
【請求項2】
容器から突出するスパウトの注出筒にスクリューキャップを螺合させることで口栓が構成され、前記注出筒の頂面に可撓性のある合成樹脂製シール蓋を張り付けてこの注出筒の口部の密封性を保つように構成された液体容器用口栓において、シール蓋の周縁の一部に一体若しくは一体的に連結され、且つ、展開可能にこのシール蓋上に折畳み重合されてなる引っ張りタブを備え、この引っ張りタブの前記シール蓋との連結部分以外の少なくとも一部が注出筒の側面からはみ出る長さに構成されるとともに、前記スクリューキャップの開栓動作に伴って前記引っ張りタブの前記はみ出し部分がこのスクリューキャップ内面のネジ山に引っ掛けられて引き上げられることにより、引っ張りタブが上方へ引き上げられることによって引っ張りタブをシール蓋から上方へ浮き上がるように構成されていることを特徴とする液体容器用口栓。
【請求項3】
引っ張りタブのシール蓋との連結部分からこの連結部に対向する遊端までの長さが注出筒の直径よりも長尺で、遊端が少なくともスクリューキャップのネジ山頂部の移動経路よりもスクリューキャップ周壁内面側に入り込んで存在する寸法に設定されている請求項1〜2のいずれかに記載の液体容器用口栓。
【請求項4】
容器から突出するスパウトの注出筒にスクリューキャップを螺合させることで口栓が構成され、前記注出筒の頂面に可撓性のある合成樹脂製シール蓋を張り付けてこの注出筒の口部の密封性を保つように構成された液体容器用口栓において、シール蓋の周縁の一部に一体若しくは一体的に連結され、且つ、展開可能にこのシール蓋上に折畳み重合されてなる引っ張りタブを備え、この引っ張りタブの前記シール蓋との連結部分が注出筒の側面からはみ出る長さに構成されるとともに、前記スクリューキャップの閉栓時に少なくともこのスクリューキャップ内面のネジ山によって前記連結部分が下方へ折り曲げられることによってこの引っ張りタブに折り曲がりばね効果が付与されるように構成し、スクリューキャップの開栓動作に伴って前記引っ張りタブが前記折り曲がりばね効果によってシール蓋から上方へ浮き上がるように構成されていることを特徴とする液体容器用口栓。
【請求項5】
引っ張りタブはシール蓋の周縁の一部に一体に連なるか、接着手段によって一体的に連設されている請求項1〜3の何れかに記載の液体容器用口栓。
【請求項6】
引っ張りタブとシール蓋はアルミシール若しくはアルミ箔を備えた多層フィルム若しくは合成樹脂製のフィルムの何れかである請求項1〜4の何れかに記載の液体容器用口栓。
【請求項7】
容器は50角の紙容器である請求項1〜5の何れかに記載の液体容器用口栓。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−56606(P2012−56606A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−203122(P2010−203122)
【出願日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【出願人】(594180634)鎌田醤油株式会社 (2)
【Fターム(参考)】